説明

(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸を含む医薬組成物

錠剤、カプセル、粉剤、顆粒剤等の経口用の(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−
5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩の化学的に安定な配合物が、分解物(ラクトンおよび酸化物)の形成を安定化する物質を用いて開発された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬剤学の分野からの本発明は、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩(以降「薬剤」と云う)、特にヘミカルシウム塩、に関する。
【背景技術】
【0002】
本薬剤は、EP521471から知られ、医薬組成物に配合される3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素阻害剤であり、高コレステロール血症、高脂質タンパク質血症および動脈硬化症を治療する(薬物の製造の)為に使用され得る。原薬剤または組成物に配合される原薬剤に関連する主な問題は、原薬剤が特に分解の影響を受けやすいことである。形成される主な分解物は(US6548513から知られている)ラクトン(N−{4−(4−フルオロ−フェニル)−5−〔2−(4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロピラン−2−イル)−ビニル〕−6−イソプロピル−ピリミジン−2−イル}−N−メチルーメタンスルホンアミド)およびその酸化物(7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタ−6−エン酸)である。また、光に曝露されると、該薬剤は、US2005/0187234A1に記述されている2つのジアステレオマー環状化合物への分解を受ける。該薬剤の湿度、酸性度、酸素および光の条件下での該分解は、通常の貯蔵条件に対して十分安定な医薬配合物の製造に対する挑戦である。
【0003】
該薬剤または化学的に類似の化合物、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤に属する化合物のこの安定化は、配合物中のpHの制御(炭酸塩はたは重炭酸塩等の成分の添加)によりおよび組成物への安定化無機塩、詳細には、三塩基性リン酸カルシウムの添加により達成され得るであろう。ブチル化ヒドロキシトルエン等の抗酸化剤もまた該薬剤の酸化を妨げるために使用され得る。もう1つの選択肢は、アミノ糖を用いて医薬組成物を安定化することである。現在クレスター(Crester)の商品名の下で販売されている該薬剤の医薬組成物は、該薬剤5,10,20または40mg、安定化無機塩としての三塩基性リン酸カルシウムおよび次の非活性成分:微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、トリアセチン、二酸化チタン、黄色三二酸化鉄および赤色酸化鉄を含む。
【発明の開示】
【0004】
本発明の1つの態様において、本発明は、HPLCで測定して、7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタ−6−エン酸0.05%未満を含むことを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
本発明の更なる態様において、本発明は、HPLCで測定して、N−{4−(4−フルオロ−フェニル)−5−〔2−(4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロピラン−2−イル)−ビニル〕−6−イソプロピルーピリミジンー2−イル}−N−メチルーメタンスルホンアミド0.5%未満およびHPLCで測定して、7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタ−6−エン酸0.05%未満もまた含むことを特徴とする、該薬剤を含む医薬組成物である。
【0006】
特別な実施形態において、本発明は、その成分の少なくとも1つが、トウモロコシデンプン、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒプロメロースからなる第一の群および/またはトウモロコシデンプン、マニトール、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースからなる第二の群から選ばれることを特徴とする、該薬剤を含む医薬組成物である。
【0007】
具体的には、1つの実施形態において、該医薬組成物は、従ってケイ化微結晶セルロース、薬剤、トウモロコシデンプンを重量比10:3−4:1−2で含む。より具体的には、タルクおよびグリセリルビハネートからなる群から選ばれ得る少なくとも1つの潤滑剤5%までを更に含み得る。更により具体的には、該医薬組成物は、該薬剤、ケイ化微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ラクトース、タルク、コロイド状二酸化シリコン、グリセリルビハネートおよびステアリルフマル酸ナトリウムを重量比10:20−30:10−17:50−60:1−3:0−0.6:0−2:0−1で含み得る。
【0008】
該組成物は、フィルムで被覆されてよく、該被膜はHPMC,HPC,ポリエチレングリコールおよびタルクを含む。
【0009】
もう1つの態様において、本発明は、a)該薬剤およびケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む賦形剤を混合しおよび篩分けして均一な混合物を得る段階;
b)粉末混合物を(場合により)粉砕する段階;
c)粉末混合物(または顆粒)を潤滑剤と混合する段階;
d)粉末混合物(または顆粒)を錠剤に圧縮する段階;
e)前の段階(複数)で調製された錠剤を(場合により)被覆する段階;
を有し、特別な態様において、該薬剤:ケイ化微結晶セルロース:トウモロコシデンプンの重量比が、10:10−40:2−20である該薬剤を含む医薬組成物を調製するための方法を示す。
【0010】
更に本発明は、
a)該ヘミカルシウム塩および賦形剤混合物(この混合物は、ラクロース、ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む)の乾式混合段階;
b)その中に追加の賦形剤を(場合により)混合する段階;
c)その中にステアリルフマル酸ナトリウムまたはグリセリルビハネートから選ばれる潤滑剤、特にグリセリルビハネートを混合する段階;
d)得られた粉末混合物を錠剤に圧縮段階;
e)先行の段階で調製された錠剤を(場合により)被覆する段階;
を含み、具体的には、該組成物および(場合により)フィルム・コーティングの重量に対して、該ヘミカルシウム塩が5−20重量%;ラクトースが40−60重量%;ケイ化微結晶セルロースが20−30%;およびトウモロコシデンプンが1から25%の量であることを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩を含む、医薬組成物を調製するための方法である。
【0011】
本発明は、高コレステロール血症、高脂質タンパク質血症および動脈硬化症を治療する為の上述の医薬組成物の使用および高コレステロール血症、高脂質タンパク質血症および動脈硬化症を治療する為の薬物の製造のための該薬剤のケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンとの使用においても具現される。
【0012】
もう1つの態様において、本発明は、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩を含む医薬組成物の安定化のためのケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンの使用であり、具体的には該ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンが、該医薬組成物の重量に対して合わせて10−70%の量で存在する。
【0013】
本発明は、次の利点を有する新規医薬組成物において具現される:該組成物は該薬剤の分解物の形成を長期間(即ち、医薬品の有効期間の間)阻害する;該配合物は、性質においてアルカリ性でなく(該配合物の水性分散液のpHにより測定して、6.2である)、該薬剤の分解を妨げるアルカリ化剤は何も添加されていない:該医薬組成物は、適したバイオ医薬的性質を有する配合物を作る技術的に実施可能なプロセスを可能にする。
【0014】
従って、アルカリ性成分がないことは、一方で胃腸のpHの変化による該薬剤の生体内の吸収の低下の可能性を最小化し、他方では、アルカリ性の組成物は胃粘膜に有害作用を有するので、このような組成物は、患者に有利である。われわれの発明による該組成物の水溶液または分散液のpHは、薬剤40mgを含む錠剤が、水40ml中に分散され、ガラス電極pH計で測定された場合、実質的に中性(好適には6から8の間)であり得る。組成物は、最終剤型(例えば、錠剤)の製造のための確立された技術的手順、好適には直接圧縮、または湿式顆粒化後の錠剤化およびフィルム・コーティングにより製造され得、同時に該組成物は、クレスター(Crestor)に比肩され得る溶出および/または生物学的同等性の、適したバイオ医薬的性質を示す。
【0015】
本発明は、医薬組成物中で、該薬剤を、該薬剤を安定化する成分と組み合わせる。成分は2つの安定化の性質に従って選ばれる。第一の群において、該薬剤の酸化を阻害することが見出された成分は:トウモロコシデンプン、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒプロメロースである。第二の群において、該薬剤のラクトン形の形成を阻害することが見出された成分は:トウモロコシデンプン、マニトール、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースである。光の影響下での該薬剤の分解物の形成はまた、薬学的に許容できる顔料または着色剤を用いて、例えば錠剤被覆において、更に妨げられ得る。
【0016】
両群からの成分の選択および光からの保護は、該薬剤が安定化されている医薬組成物を好適に与える。このような配合物において、該薬剤は酸化、ラクトンの形成および分解物の形成に関し、好適には数年、より好適には数か月の期間に亘って安定である。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、該薬剤、第一の群(酸化阻害成分)からの1つ以上の成分、第二の群(ラクトン化阻害成分)からの1つ以上の成分および1つ以上の充填剤(希釈剤としても知られている)、結合剤、崩壊剤または潤滑剤を含む医薬組成物を含む。更に、従来の賦形剤、例えば、保存剤、シリカフロー・コンディショナ、抗粘着剤および安定剤のような通常の賦形剤が加えられ得る。特別な賦形剤は医薬組成物において、例えば充填剤、結合剤および崩壊剤として異なる役割を果たし得ることが認識されよう。
【0018】
通常、該薬剤は1から50重量%、好適には3から30重量%の範囲内の量で存在し得る。通常、上記の第一群および上記の第二群から選ばれる安定化物質の合わせた量は90%まで、好適には10から70%であり得る。上記の安定化物質はまた、充填剤(希釈剤)、結合剤または崩壊剤の機能も有し得る。通常、1つ以上の追加の充填剤が90重量%までの量、好適には30から70重量%の量で存在し得る。適した追加の充填剤は、例えば、ラクトース、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース、粉末化セルロース)、改質デンプン、ポリオール、無機塩または当分野で通常用いられる他の充填剤を含む。通常1つ以上の結合剤が90重量%まで、好適には20から70重量%の量で存在し得る。適した結合剤は、例えば、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガカントゴム、グアゴム、ペクチン、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンおよびアルギン酸ナトリウムを含む。適した崩壊剤は、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコールデンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含む。適した潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバワックス、水素化植物油、鉱油、グリセリルベハネート、ポリエチレングリコールおよびステアリルフマル酸ナトリウムを含む。
【0019】
好適な実施形態において、組成物は、薬剤4から11%;トウモロコシデンプン、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒプロメロースからなる第一の群およびトウモロコシデンプン、マニトール、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースからなる第二の群から選ばれる安定化物質10から50%、好適には合計で約40%を含み得る。該安定化物質は、好適には重量比10:1−2:0−2の好適にはケイ化微結晶セルロース、トウモロコシデンプンおよびグリコールデンプンナトリウムであり得る。該組成物は、更にラクトース充填剤20から80%、好適には40から60%および好適にはタルク、グリセリルベハネートおよびステアリルフマル酸ナトリウムである潤滑剤5%までを含み得る。
【0020】
好適な実施形態において、ケイ化微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ラクトース、タルク、コロイド状二酸化シリコン、グリセリルビハネートおよびステアリルフマル酸ナトリウムに対する薬剤の重量比は、10:10−40:2−20:30−70:1−10:0−0.6:0−3:0−2であり得る。最も好適には、上記の比率は、10:20−30:10−17:50−60:1−3:0−0.6:0−2:0−1であり得る。
【0021】
本発明の医薬組成物は、当分野で一般に周知の標準的な技術および製造プロセス、例えば該成分の乾式混合により調製され得る。混合前の混合物の成分または混合物自身は篩を通され得る。好都合なことに、潤滑剤がまた、混合物に加えられ得、均一な混合物が得られるまで混合が続けられる。該混合物はついで錠剤に圧縮される。替わりに、湿式顆粒化技術が用いられ得る。
【0022】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩および先述の第一および第二の群からの成分を含む医薬組成物は、該薬剤および潤滑剤を除く、すべての賦形剤(不活性成分)を二重コーン式ミキサ中で乾式混合により調製される。次に、1つの実施形態ではグリセリルベハネート、もう1つの実施形態ではステアリルフマル酸ナトリウムである潤滑剤が、該混合物に加えられ、該混合物を実質的に均一化するために必要な短時間、例えば5分まで混合される。ついで該混合物は錠剤に圧縮され、ヒプロメロースまたはヒドロキシプロピルセルロース等のフィルム形成ポリマー、ポリエチレングリコール等のフィルム・ソフナ、顔料、タルクからなる通常の被覆組成物でフィルム・コーティングされる。
【0023】
われわれの発明による典型的な組成物は以下(重量)を含み得る。
【0024】
【表1】

および更に
【表2】

【0025】
【表3】

および場合により、更に
【表4】

【0026】
ついで、錠剤被覆が、水−エタノールに基づくフィルム・コーティング配合を用いて、例えばスプレー・コーティングによって施され得る。被覆成分の組み合わせは容易に利用できる。本発明の1つの実施形態において、顔料または着色剤を含む被膜は、該薬剤の光分解物の生成率を低減する。
【0027】
実験の部
該原薬剤を、高温(40℃以上、高湿(75%以上の相対湿度、オープンディッシュ 条件),酸素雰囲気または異なったpHの溶液等の苛酷な条件に付す。次いで、該薬剤およびその分解物を分離できるHPLC分析を用い、苛酷にされた試料中の分解物の量(該薬剤に対する質量百分率として示された)を定量する。C18逆相カラム上で酸性リン酸塩緩衝液およびアセトニトリルおよびテトラヒドロフランの増加勾配を用いて良好なクロマトグラフィーの分離が達成され得る。分解物を242nmにおけるUV検出を用いて定量する。分解物の報告限界は、0.05%に設定される。HPLC分析の報告された%は一般に面積%である。
【0028】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩原薬剤を苛酷条件に曝露すると、該化合物は化学的に分解し、次の所見によって証明される不安定性を示す。
【0029】
【表5】

【0030】
薬剤および通常用いられるラクトース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは架橋PVPの混合物の同じ苛酷条件への曝露の結果は、該苛酷条件に付した該原薬剤の結果に実質的に類似している。
【0031】
しかし、該薬剤および先述の第一および第二の群からの成分の混合物を曝露すると、形成されるラクトンの量は、該薬剤単独に比べてかなり低く、このことは、それらの安定化の性質を示している。
【0032】
該薬剤および第一の群からのいずれかの成分の二成分混合物(w1:1)を酸素下60℃で14日間貯蔵した場合、該原薬剤の曝露の際に形成される0.17%の酸化物と比べ酸化物の形成はなかった。
【0033】
安定な配合物の2つの実施例を示し、ついで2つの参考例を示す(第一は通常用いられる打錠賦形剤を含み、第二はアルカリ化賦形剤を含む)
【実施例1】
【0034】
次の医薬組成物は、安定化成分の2つの群からの成分を用いて、上述のプロセスによって調製した新規な組成物である。
【0035】
【表6】

【0036】
該配合物のpHは6.2である。ラクトンの量は40℃および75%の相対湿度(オープンディッシュ)で14日後僅か0.50%である。酸化物は形成されない。
【0037】
ラクトンの量は不透過性包装中40℃において6か月後0.25%を超えて増加しない。酸化物の量は不透過性包装中40℃において6か月後僅かに0.50%以下である。これと比較して、現在市販されている(図)、該薬剤の医薬組成物中のラクトンおよび酸化物の量はそれぞれ0.51%および0.38%である。
【0038】
ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、顔料およびタルクからなる錠剤のフィルム・コーティング(被覆された錠剤の重量に対して2.5%の被覆)はラクトンまたは酸化物の形成に実質的な影響を示さなかった。
【実施例2】
【0039】
【表7】

【0040】
錠剤はヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、顔料およびタルクからなるフィルム・コーティング(被覆された錠剤の重量に対して2.5%の被覆)された。
【0041】
該配合物のpHは、6.3である。ラクトンの量は40℃および75%の相対湿度(オープンディッシュ)で14日後僅かに0.35%−0.43%である。酸化物は形成されない。
【0042】
(参考実施例1)
以下は薬剤およびラクトース製造業者DMVにより示唆された通常使用される賦形剤を含む組成物である。上記の実施例におけるのと同じプロセスに従って錠剤を調製する。分解物の量は、組成物中の該薬剤の不安定性を示す。
【0043】
【表8】

【0044】
ラクトンの量は40℃および75%の相対湿度(オープンディッシュ)で14日後僅に
2.32%である。
【0045】
(参考実施例2)
以下は薬剤およびこの分野の教科書により教示される通常使用される賦形剤を含む組成物である:医薬剤型:錠剤I巻(Herbert, Lieberman, Lachman, and Schwarz; Marcel Dekker, New York and Basel; second edition, 1989))この組成物にアルカリ化剤を加えた。錠剤は上記の実施例と同じプロセスに従って調製する。
【0046】
【表9】

【0047】
該組成物は、該薬剤がアルカリ化剤の存在下で安定であることを示す。ラクトンの量は40℃および75%の相対湿度(オープンディッシュ)で1カ月後0.07%である。該試料の良好な安定性はそのアルカリ性(pH=9.9)によると思われる。
【0048】
(参考実施例3)
並行して、現在市販されている製品を評価した。ラクトンの量は40℃および75%の相対湿度で1カ月後0.10%から0.35%に増加し、酸素に60℃で10日間曝露後、0.10%から0.40%に増加した。第一の条件下で酸化物の量は同じ0.3%に留まり、第二の条件下で0.4%に増加した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】現在市販されている配合物に対応する該組成物および我々の発明による該組成物が、加速安定性プログラム(ICHガイドラインにより提案された:40℃および75%相対湿度、一次包装に保存)に付された場合に形成される主な分解物(HPLCで測定した該薬剤のラクトン形)の量の比較を示す図である(y軸は形成された分解物(ラクトン)の%を表わし、x軸は時間(月)を表わす。)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HPLCによる測定で、7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタ−6−エン酸0.05%未満を含むことを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
HPLCによる測定で、N−{4−(4−フルオロ−フェニル)−5−〔2−(4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロピラン−2−イル)−ビニル〕−6−イソプロピルーピリミジンー2−イル}−N−メチルーメタンスルホンアミド0.5%未満およびHPLCによる測定で、7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタ−6−エン酸0.05%未満を含むことを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項3】
次の追加の成分の少なくとも1つが、トウモロコシデンプン、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒプロメロースからなる群から選ばれることを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項4】
次の追加の成分の少なくとも1つが、トウモロコシデンプン、マニトール、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースからなる群から選ばれることを特徴とする、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項5】
ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
ケイ化微結晶セルロース、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩、トウモロコシデンプンを重量比10:3−4:1−2で含む、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの潤滑剤5%までを含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
潤滑剤が、タルクおよびグリセリルビハネート(behanate)からなる群から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できるその塩、ケイ化微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ラクトース、タルク、コロイド状二酸化シリコン、グリセリルビハネートおよびステアリルフマル酸ナトリウムを重量比10:20−30:10−17:50−60:1−3:0−0.6:0−2:0−1で含む医薬組成物。
【請求項10】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸の薬学的に許容できる塩が、ヘミカルシウム塩である、請求項1から9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩、ラクトース、ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む医薬組成物。
【請求項12】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸の前記ヘミカルシウム塩が5−20重量%、ラクトースが40−60重量%、ケイ化微結晶セルロースが20−30重量%、およびトウモロコシデンプンが1−25重量%および場合によりデンプングリコール酸ナトリウム(カルボキシメチルスターチナトリウム)が0−5重量%の量で存在する請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
タルクまたはコロイド状二酸化シリコンから選ばれる少なくとも1つの流動促進剤を更に含む、請求項11または12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記流動促進剤が0.5から5重量%の合計量で存在する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ステアリルフマル酸ナトリウムまたはグリセリルビハネートから選ばれる少なくとも1つの潤滑剤を更に含む、請求項11から14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記潤滑剤が、0.1から3重量%の合計量で存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
フィルムコーティングによって被覆されている、請求項11から16のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記被膜が、HPMC,HPC,ポリエチレングリコールおよびタルクを含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物の水溶液または分散液のpHが、実質的に中性であり得る、請求項1から18のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項20】
薬剤40mgを含む錠剤が、水40ml中に分散され、ガラス電極pH計で測定された場合、前記組成物の水溶液または分散液のpHが、6から8の間であり得る、請求項1から19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を調製するための方法であり、
a)(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できる塩およびケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む賦形剤を混合および篩分けして均一な混合物を得る段階;
b)(場合により)粉末混合物を顆粒化する段階;
c)粉末混合物または顆粒を潤滑剤と混合する段階;
d)粉末混合物または顆粒を錠剤に圧縮する段階;
e)(場合により)先行の段階で調製された錠剤を被覆する段階;
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できる塩:ケイ化微結晶セルロース:トウモロコシデンプンの重量比が10:10−40:2−20である、先行請求項に記載の方法。
【請求項23】
段階c)における潤滑剤が、グリセリルビハネートまたはステアリルフマル酸ナトリウムから選ばれ、および前記段階c)における混合物に加えられ、および混合される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸の薬学的に許容できる塩が、ヘミカルシウム塩である、請求項21から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩を含む医薬組成物を調製するための方法であり、
a)(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩および賦形剤混合物(この混合物は、ラクロース、ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンを含む。)を乾式混合する段階;
b)(場合により)その中に追加の賦形剤を混合する段階;
c)その中にステアリルフマル酸ナトリウムまたはグリセリルビハネートから選ばれる潤滑剤を混合する段階;
d)得られた粉末混合物を錠剤に圧縮する段階;
e)(場合により)先行の段階で調製された錠剤を被覆する段階;
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項26】
最終組成物の重量に対する量(重量)が:
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩:5−20重量%;
ラクトース:40−60重量%;
ケイ化微結晶セルロース:20−30%;および
トウモロコシデンプン:1から25%である、先行請求項に記載の方法。
【請求項27】
潤滑剤が、グリセリルビハネートである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のヘミカルシウム塩を含む医薬組成物の安定化のためのケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンの使用。
【請求項29】
前記ケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンが、医薬組成物の重量に対して合わせて10−70%の量で存在する、先行請求項に記載の使用。
【請求項30】
薬剤40mgを含む錠剤が、水40ml中に分散され、ガラス電極pH計で測定された場合、前記組成物の水溶液または分散液のpHが、6から8の間であり得る、請求項28または29に記載の使用。
【請求項31】
高コレステロール血症、高脂質タンパク質血症および動脈硬化症を治療する為の、請求項1から20のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項32】
高コレステロール血症、高脂質タンパク質血症および動脈硬化症を治療する薬物の製造の為の、(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できる塩のケイ化微結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンとの使用。
【請求項33】
(E)−7−〔4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−〔メチル(メチルスルホニル)アミノ〕ピリミジン−5−イル〕−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸または薬学的に許容できる塩:ケイ化微結晶セルロース:トウモロコシデンプンの重量比が10:10−40:2−20である、先行請求項に記載の使用。
【請求項34】
薬剤40mgを含む錠剤が、水40ml中に分散され、ガラス電極pH計で測定された場合、組成物の水溶液または分散液のpHが、6から8の間であり得る、請求項32または33に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−519985(P2009−519985A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546216(P2008−546216)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012180
【国際公開番号】WO2007/071357
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】