説明

1−アザビシクロ[2.2.2]オクト置換フロ[2,3−c]ピリジニルカルボキサミドの結晶性フマル酸塩及び該塩を含む組成物並びにその製造方法

本発明は、N‐[1‐アザビシクロ[2.2.2]オクト‐3‐イル]フロ[2,3‐c]ピリジン‐5‐カルボキサミドのフマル酸塩、その組成物、ラセミ混合物、または純粋なエナンチオマー、及びその製造方法を提供する。上記フマル酸塩は、α7nAChRが関与することが知られている疾患又は状態を治療するために有用である。式(I)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドのフマル酸塩を含む結晶、及びその組成物に関する。また、本発明は、このような結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、中枢神経系(CNS)活性に大きな役割を果たしている。特に、これらは、認知、学習、気分、感情及び神経保護に関与していることが知られている。ニコチン性アセチルコリン受容体には、いくつかのタイプがあり、各々がCNS機能を調節するのに異なる役割を果たしていると考えられる。ニコチンは、そのような受容体のすべてに影響を及ぼし、様々な活性を有する。残念ながら、その活性のすべてが望ましいわけではない。実際、ニコチンの最も望ましくない特性の1つは、常習性があることであり、効力と安全性との間の比率が低いことである。本発明は、この大きなリガンド依存性受容体ファミリーの密接に関係する他のメンバーと比較して、α7 nAChRに対して大きな効果を有する分子に関する。すなわち、本発明によれば、副作用がより少ない活性な薬物分子であるN−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの安定なフマル酸塩が提供される。
【0003】
細胞表面受容体は、一般に優れた有効な薬物標的である。nAChRは、神経細胞の活性及び脳機能を制御するリガンド依存性イオンチャネルの大きなファミリーを含む。これらの受容体は、五量体構造を有する。哺乳動物においては、この遺伝子ファミリーは、会合して独特な薬理を有する複数の受容体サブタイプを形成する9つのアルファサブユニット及び4つのベータサブユニットで構成されている。アセチルコリンは、これらのサブタイプすべての内因性制御因子であるが、ニコチンは全てのnAChRを非選択的に活性化させる。
【0004】
α7 nAChRは、試験が困難な標的であることが分かっている一つの受容体システムである。自然のα7 nAChRは、ほとんどの哺乳動物細胞系において、常法に従っては安定に発現させることができない(Cooper及びMillar、J.Neurochem.、1997、68(5):2140−51)。α7 nAChRの機能アッセイを困難にしている別の特徴に、この受容体が急速に(100ミリ秒)失活することがある。この急速な失活は、チャネル活性の測定に使用可能な機能アッセイの大きな制約となっている。
【0005】
最近、Eisele等は、α7 nAChRのN−末端リガンド結合ドメインと5−HT3受容体のポア形成性C−末端ドメインとの間で形成されるキメラ受容体が、アフリカツメガエル卵母細胞においてニコチン性作用薬感受性を保持しながら十分発現されることを示した(Eisele等、Nature、366(6454)、p479−83、1993)。Eisele等は、トリ(ニワトリ)型α7 nAChR受容体のN−末端、及びマウス型5−HT3遺伝子のC−末端を使用した。しかしながら、生理条件下では、α7 nAChRはカルシウムチャネルであり、一方、5−HT3Rはナトリウム及びカリウムチャネルである。実際、Eisele等は、ニワトリα7 nAChR/マウス5−HT3Rが自然のままのα7 nAChRとはまったく異なる挙動を示し、そのポア要素はカルシウムを通さず、実際にはカルシウムイオンによって遮断されることを教示している。PCT国際特許出願公開第WO00/73431A2号は、5−HT3Rがカルシウムを通せるようになるアッセイ条件について報告している。このアッセイを使用して、この受容体における作用薬活性をスクリーニングすることができる。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
本発明は、以下の式I:
【化1】

で表される化合物のフマル酸塩、又は前記塩がそのフマル酸塩であることを条件にその医薬組成物、ラセミ混合物若しくはその純粋な鏡像異性体を開示する。式Iで表される化合物は、N−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドとしても知られている。式Iは、純粋な鏡像異性体、例えば、限定されることなく、種々の鏡像異性体純度のN−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドであることができる。本発明は、種々の割合のフマル酸塩当量のフマル酸塩も含む。例えば、本発明の一態様によれば、1当量のフマル酸塩、一フマル酸塩が提供されるが、これには限定されない。本発明の別の態様によれば、2分の1当量のフマル酸塩、半フマル酸塩が提供される。1当量のフマル酸塩が好ましい。
【0007】
本発明によれば、式Iで表される化合物のフマル酸塩が提供される。驚くべきことに、式Iで表される化合物のフマル酸塩は、結晶性であり、比較的非吸湿性であり、遊離塩基よりも高い融点を含む、他の塩よりも一般的に良好な物性を有する。本発明の別の態様によれば、無水結晶形のフマル酸塩が提供される。また、本発明によれば、式Iで表される化合物のフマル酸塩の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの一フマル酸塩を含む結晶(例えば、結晶形Ia)の製造方法が提供される。一の実施態様によれば、本方法は、遊離塩基をアルコールに、例えば、蒸気浴(これには限定されない)上で加熱溶解するステップ、少なくとも1当量のフマル酸を添加するステップ、及び反応液を、ほぼ室温から約−20℃に冷却することにより塩を溶液から沈殿させるステップを含む。別の態様では、遊離塩基をアルコール、好ましくは、メタノール又はエタノールに溶解して約0.04M〜約1Mの濃度とすることを含む。
【0009】
また、一フマル酸塩の製造方法は、遊離塩基をイソプロパノールに溶解して濃度約0.1M〜約1Mとするステップ、少なくとも1当量のフマル酸をメタノールに溶解して調製した溶液を添加して濃度約2M〜約5Mにするステップ、アセトンをフマル酸溶液に添加して最終濃度約0.1M〜約0.5Mとするステップ、反応液を約1〜3時間攪拌するステップ、アセトンを添加して最終濃度約0.05M〜約0.2Mとするステップ、約8〜24時間攪拌するステップ、得られた固体を集め、新鮮なアセトンで洗浄するステップ、及び得られた塩を乾燥するステップを含む。
【0010】
また、一フマル酸塩の製造方法は、遊離塩基をイソプロパノールに溶解して濃度約0.25M〜約0.75M(又はその中のいずれかの範囲、例えば0.4〜0.6)とするステップ、少なくとも1当量のフマル酸をメタノールに溶解して調製した溶液を添加して濃度約3M〜約4Mにするステップ、アセトンをフマル酸溶液に添加して最終濃度約0.25M〜約0.35Mとするステップ、反応液を約2時間攪拌するステップ、アセトンを添加して最終濃度約0.1Mとするステップ、約12〜20時間(又はその中のいずれかの範囲、例えば14〜16時間)攪拌するステップ、得られた固体を集め、新鮮なアセトンで洗浄するステップ、及び得られた塩を乾燥するステップを含む。
【0011】
また、本方法は、遊離塩基をn−ブタノールに溶解して溶液濃度を約0.6M〜約0.8Mとすることを含む。遊離塩基を含有する溶液を、少なくとも1当量のフマル酸を30%水/アセトンに添加して調製した約0.35M〜約0.45M溶液に添加する。次に、この溶液を、減圧蒸留で約0.55M〜約0.75Mに濃縮する。n−ブタノールを添加して遊離塩基の濃度を、約0.4M〜約0.6Mとする。スラリーを除去し、得られたフマル酸塩をn−ブタノールですすぎ、80℃の真空オーブン中で約2〜5日間乾燥する。
【0012】
また、本発明によれば、一フマル酸塩の製造方法であって、遊離塩基をアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)に、例えば、蒸気浴(これには限定されない)上で加熱溶解して濃度約0.04M〜約1Mとするステップ;少なくとも1当量のフマル酸を添加するステップ;反応液を、ほぼ室温から約−20℃に冷却することにより塩を溶液から沈殿させるステップ;及び塩を集め、乾燥するステップを含む方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、フマル酸塩の製造方法であって、遊離塩基をアルコール(イソプロパノール等)に溶解して濃度約0.1M〜約1M(及びその中の範囲、例えば約0.4M〜約0.8M、及びその中の範囲、例えば約0.5M〜約0.6M)とするステップ;少なくとも1当量のフマル酸をアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)に溶解して調製した溶液を添加して濃度約2M〜約5M(例えば、約3M〜約4M、及びその中の範囲)とするステップ、アセトンをフマル酸溶液に添加して最終濃度約0.1M〜約0.5M(例えば、約0.25M〜約0.4M、及びその中の範囲)とするステップ;反応液を約1〜約3時間攪拌するステップ、アセトンを添加して最終濃度約0.05M〜約0.2M(例えば、約0.075M〜約0.15M、及びその中の範囲)とするステップ、約8〜24時間攪拌するステップ、得られた固体を集め、新鮮なアセトンで洗浄するステップ、及び得られた塩を乾燥するステップを含む方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、一フマル酸塩の製造方法であって、遊離塩基をアルコール(例えば、n−ブタノール)に溶解して約0.6M〜約0.8M(例えば、約0.7M)の溶液を得るステップ;この遊離塩基含有溶液を、少なくとも1当量のフマル酸を30%水/アセトンに添加して調製した約0.35M〜約0.45M溶液(例えば、0.4M溶液)に添加するステップ;反応液を約0.55M〜約0.75M(例えば、減圧蒸留を用いて)に濃縮するステップ;より多くのアルコールを添加して遊離塩基濃度を約0.4M〜約0.6Mとするステップ;生じた固体を除去するステップ、アルコールですすぐステップ、及び約2〜5日間(例えば、3日間)、場合により加熱しながら乾燥するステップを含む方法が提供される。この加熱は、約80℃であることができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの半フマル酸塩を含む結晶(例えば、結晶形Ib)の製造方法が提供される。この半フマル酸塩は、1当量の遊離塩基に対して0.5当量の化学量論値を有している。一実施態様によれば、この方法は、遊離塩基をイソプロパノール(IPA)に加熱(例えば、約70℃(これには限定されない))溶解(約9重量%)するステップを含む。別に、フマル酸のIPA溶液(2.8重量%)を、およそ(例えば+/−10%)0.5モル当量のフマル酸を用いて約70℃に加熱することにより調製する。次に、IPA/遊離塩基溶液をIPA/フマル酸溶液に添加するか、又はIPA/フマル酸溶液をIPA/遊離塩基溶液に添加する。この添加中、温度を維持する。添加完了するとすぐに沈殿が開始する。この系を約70℃に保持した後、系を室温に冷却し、その温度でスラリーを濾過し、ケーキをIPAで洗浄した後、28インチHgの下で約45℃でオーブン乾燥する。
【0016】
また、本発明によれば、式Iで表されるフマル酸塩の投与により哺乳動物において症状軽減がなされる、治療を必要としている哺乳動物における疾患又は状態の治療方法、又は前記疾患又は状態を治療するための薬剤の製造ための式Iで表されるフマル酸塩の使用方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、治療を必要としている哺乳動物における疾患又は状態の治療方法、又は前記疾患又は状態を治療するための薬剤の製造のための式Iで表されるフマル酸塩の使用方法であって、前記哺乳動物に治療的有効量の式Iで表されるフマル酸塩を投与することを含む方法が提供される。ここで、該疾患又は状態は、以下に挙げるもののいずれか1つ以上又はそれらの組み合わせである:アルツハイマー病の認知および注意欠陥症状、アルツハイマー病などの疾患に関連する神経変性、初老期痴呆(軽い認知障害)、老人性痴呆症、統合失調症、精神病、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、うつ病、不安障害、全般性不安障害、外傷後ストレス障害、気分障害及び感情障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、外傷性脳損傷、一般的及び脳腫瘍に関連する行動障害及び認知障害、エイズ痴呆複合症、ダウン症候群に関連する痴呆、レビ小体型痴呆、ハンチントン病、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、ピック病、過食症及び神経性食欲不振症を含む摂食失調症、禁煙および依存薬物中止に関連する離脱症状、ジルドゥラトゥーレット症候群、加齢黄斑変性症、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は痛みに関連する症状。
【0018】
本発明の別の態様によれば、統合失調症又は精神病を患っている哺乳動物の治療方法であって、抗精神病薬(抗精神病剤とも称される)とともに式Iで表される化合物のフマル酸塩を投与することによる方法が提供される。本発明の化合物と抗精神病薬は、同時に投与してもよいし、別個に間隔をあけて投与してもよい。同時に投与するときには、本発明の化合物と抗精神病薬とを、単一の医薬組成物に含有させることができる。別法として、2つの別個の組成物、すなわち、本発明の化合物を含有する組成物と抗精神病薬を含有する他の組成物を同時に投与することができる。
【0019】
非常に数多くの因子が結晶化条件に影響を及ぼし、これらは、当業者には周知である。このような因子には、例えば、以下のものが挙げられるが、これらには限定されない:結晶化溶液における塩の濃度;結晶化溶液の初期温度と最終温度との間の差(もしあれば);冷却速度(もしあれば);溶媒の蒸発速度(もしあれば);種晶添加;過飽和比;及び沈殿剤の存在。本明細書における開示に基づいて、当業者は、過度の実験をおこなうことなく、結晶化条件に到達するための一つ以上の適切な因子を選択及び/又は調整することができる。結晶化溶液に有用な溶媒には、例えば、以下に挙げるもののいずれか一つがあるが、これらには限定されない:メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、エーテル、ジメチルケトン、水。
【0020】
本発明のさらなる態様及び実施態様は、当業者には、以下の詳細な説明を、実施例及び特許請求の範囲とともにみることにより明らかとなるであろう。本発明は、種々の形態の実施態様が可能であるが、以下に記載するのは本発明の具体的な実施態様であり、ここで開示されるものは、説明のためのみに記載され、本発明は本明細書に記載の具体的実施態様には限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
驚くべきことに、本発明者等は、式I
【化2】

で表される化合物のフマル酸塩、又は塩がそのフマル酸塩であることを条件にその医薬組成物、ラセミ混合物若しくは純粋な鏡像異性体は、結晶性であり、比較的非吸湿性であり、一般的に他の塩よりも物性がよいことを見いだした。
【0022】
また、本発明によれば、フマル酸塩及び式Iで表される化合物のフマル酸塩の製造方法、それらを含有する医薬組成物、並びに式Iで表される化合物のフマル酸塩を用いて、同定された疾患を治療する方法も提供される。
【0023】
式Iで表される化合物は、キヌクリジン環上に光学活性中心を有する。立体化学的な純度はできるだけ高い方が好ましいが、絶対的な純度は必要としない。本発明は、ラセミ混合物及び種々の立体化学的な純度の組成物を含む。立体選択的合成を実施及び/又は反応生成物を適切な精製ステップに付して、実質的に鏡像異性的に純粋な物質を生成することが好ましい。鏡像異性的に純粋な物質を生成するのに好適な立体選択的合成方法は、ラセミ混合物を精製して鏡像異性的に純粋な画分とする方法として当該技術分野においては周知である。
【0024】
当業者に周知の略語を使用することができる(例えば、「Me」=メチル、「Et」=エチル、「h」=時間、「min」=分、「rt」又は「RT」=室温)。
【0025】
すべての温度の単位は、℃である。
【0026】
室温は、15〜25℃の範囲である。
【0027】
初老期痴呆は、軽い認知障害としても知られる。
【0028】
AChRは、アセチルコリン受容体を意味する。
【0029】
nAChRは、ニコチン性アセチルコリン受容体を意味する。
【0030】
5HT3Rは、セロトニン−タイプ3受容体を意味する。
【0031】
α−btxは、α−ブンガロトキシンを意味する。
【0032】
FLIPRは、ハイスループットホールセルアッセイにおいて細胞の蛍光を正確に測定するように設計されたMolecular Devices社製の装置である(Schroeder等、J.Biomolecular Screening、1(2)、p75−80、1996)。
【0033】
TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味する。
【0034】
HPLCは、高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【0035】
MeOHは、メタノールを意味する。
【0036】
EtOHは、エタノールを意味する。
【0037】
IPAは、イソプロピルアルコールを意味する。
【0038】
THFは、テトラヒドロフランを意味する。
【0039】
DMSOは、ジメチルスルホキシドを意味する。
【0040】
DMFは、ジメチルホルムアミドを意味する。
【0041】
EtOAcは、酢酸エチルを意味する。
【0042】
TMSは、テトラメチルシランを意味する。
【0043】
TEAは、トリエチルアミンを意味する。
【0044】
DIEAは、ジイソプロピルエチルアミンを意味する。
【0045】
MLAは、メチルリカコニチンを意味する。
【0046】
エーテルは、ジエチルエーテルを意味する。
【0047】
HATUは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味する。
【0048】
DBUは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを意味する。
【0049】
50%飽和1:1 NaCl/NaHCO3は、NaCl/NaHCO3 1:1飽和溶液を調製し、等体積の水を添加して調製した溶液を意味する。
【0050】
Na2SO4は、硫酸ナトリウムを意味する。
【0051】
2CO3は、炭酸カリウムを意味する。
【0052】
MgSO4は、硫酸マグネシウムを意味する。
【0053】
Na2SO4、K2CO3又はMgSO4を乾燥剤として使用するとき、それらは無水物である。
【0054】
NaHCO3は、重炭酸ナトリウムを意味する。
【0055】
KHCO3は、重炭酸カリウムを意味する。
【0056】
(2E)−ブタ−2−エン二酸を、フマル酸塩と交換可能に使用する。両方とも、同じ塩を意味する。
【0057】
哺乳動物は、ヒト及び他の哺乳動物、例えば、食用動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、家禽等)、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、トリ及び魚)又は他の哺乳動物を指す。
【0058】
塩水は、飽和塩化ナトリウム水溶液を意味する。
【0059】
Equは、モル当量を意味する。
【0060】
IRは、赤外分光法を意味する。
【0061】
PSIは、ポンド/平方インチである。
【0062】
NMRは、核(プロトン)磁気共鳴分光法であり、化学シフトを、TMSから低磁場側へのppm(δ)で表示する。
【0063】
MSは、m/e又は質量/電荷単位で表される質量分析法を意味する。HRMSは、m/e又は質量/電荷単位で表される高分解能質量分析法を意味する。[M+H]+は、親化合物とプロトンからなるイオンを意味する。[M−H]-は、親化合物から1つのプロトンが脱離したイオンを意味する。[M+Na]+は、親化合物とナトリウムイオンからなるイオンを意味する。[M+K]+は、親化合物とカリウムイオンからなるイオンを意味する。EIは、電子衝撃を意味する。ESIは、エレクトロスプレーイオン化を意味する。CIは、化学イオン化を意味する。FABは、高速原子衝撃を意味する。
【0064】
本明細書で使用される用語「過飽和比」は、溶液中の物質濃度の結晶化温度での飽和溶液中の物質濃度に対する比を意味する。
【0065】
本明細書で使用される用語「種晶添加」は、「種」結晶を結晶化溶液に添加して結晶の形成を促進する方法を意味する。好ましくは、種結晶の組成は、形成されている結晶の組成と同じである。
【0066】
本明細書で使用される用語「沈殿剤」は、結晶化溶液に添加したときに結晶化を誘発しやすい物質を意味する。有用な沈殿剤には、例えば、塩の非溶媒及び過剰な対イオンを含む溶液などがある。本明細書で使用される用語「非溶媒」は、塩の溶解度が、好ましくは約1重量%以下、より好ましくは約0.1重量%以下、最も好ましくは約0.01重量%以下である溶媒である。
【0067】
本明細書で使用される用語「無水結晶」は、水が特異的に結合していない結晶を意味する。好ましくは、無水結晶は、実質的な量の水を含有しない。水分含量は、例えば、カールフィッシャー滴定等の当該技術分野において公知の方法により測定できる。好ましくは、無水結晶の水分は、約2重量%以下、より好ましくは約0.5重量%以下、最も好ましくは約0.3重量%未満である。
【0068】
本明細書で使用される用語「結晶性」とは、長距離秩序分子構造を有する物質を意味する。結晶形の結晶化度は、例えば、粉末X線回折、吸湿、示差走査熱量測定、溶液熱量測定及び溶解性を含む数多くの方法により測定できる。
【0069】
本明細書で使用される用語「より結晶性」とは、物質が、比較される物質よりも結晶化度が高いことを意味する。結晶化度がより高い物質は、一般的に高秩序の長距離分子構造を有し、結晶化度がより小さい物質よりも結晶構造における欠陥がより少ない。より高い結晶化度は、他の形態と比較して、例えば、粉末X線回折パターンにおけるよりシャープな反射、特定の相対湿度での同様なサイズの粒子より低い吸湿度、より低い溶解熱、より高い融解熱、より遅い溶解速度、及びそれらの組み合わせ等の方法により評価される。
【0070】
本明細書で使用される用語「より低結晶性」とは、物質が、比較される物質よりも結晶化度が低いことを意味する。結晶化度がより低い物質は、一般的に結晶構造において、結晶化度がより高い物質よりも、より低度の長距離秩序及びより多くの欠陥を有する。より低い結晶化度は、他の形態と比較して、例えば、粉末X線回折パターンにおいてより広い及び/又はより小さい反射、特定の相対湿度での同様なサイズの粒子より高い吸湿度、より高い溶解熱、より低い融解熱、より早い溶解速度、及びそれらの組み合わせ等の方法により評価される。
【0071】
本願で言及される、バルク製剤安定性試験における用語「安定」とは、バルク製剤の少なくとも約97重量%、好ましくは少なくとも約98重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%が、表示された条件下で表示された時間保存した後に変化しないままであることを意味する。
【0072】
粉末X線回折(PXRD)
結晶性有機化合物は、三次元空間において周期的にアレイ状に配列された多数の原子から構成されている。構造の周期性は、通常はっきりした物性、例えば、ほとんどの分光プローブ(例えば、X線回折、赤外及び固体NMR)によるシャープではっきりとしたスペクトルの特徴を示す。X線回折(XRD)は、固体の結晶化度を測定する最も感度のよい方法のうちの一つであると認識されている。結晶は、ブラッグの法則により予想される格子面間隔と一致する特定の角度を生じるはっきりとした回折極大を示す。これに対して、非晶質物質は、長距離秩序を有しない。これらは、液体状態のように分子間の追加の容積をしばしば保持する。反復する結晶格子の長距離秩序がないため、非晶質固体は、通常ブロードな拡散したハロを有する特徴のないXRDパターンを示す。
【0073】
報告によれば、有機化合物の異なる結晶形を特徴付けるために、PXRDが使用されてきた(例えば、医薬組成物に有用な化合物)。例えば、米国特許第5,504,216号(Holohan等)、第5,721,359号(Dunn等)、第5,910,588号(Wangnick等)、第6,066,647号(Douglas等)、第6,225,474号(Matsumoto等)、第6,239,141号(Allen等)、第6,251,355号(Murata等)、第6,288,057号(Harkness)、第6,316,672号(Stowell等)、及び第6,329,364号(Groleau)を参照。
【0074】
結晶性物質は、数多くの医薬用途において好ましい。結晶形は、一般的に同じ物質の非晶質形態よりも熱力学的に安定である。この熱力学的安定性は、好ましくは結晶形のより低い溶解性及び改善された物理的安定性に反映される。結晶性固体における分子の規則的な充填により、化学的不純物が含有されないことが好ましい。したがって、結晶性物質は、一般的にそれらの非晶質対応物よりも化学的純度が高い。結晶性固体における充填は、一般的に十分に規定された格子の位置に分子を拘束し、化学反応の必須条件である分子移動度を減少させる。したがって、ほとんど顕著な例外なく、結晶性固体は、同じ分子組成の非晶質固体よりも化学的に安定である。好ましくは、本願に開示されている結晶形のN−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドのフマル酸塩は、本明細書で開示されている有利な化学的及び/又は物理的性質の一つ以上を有する。
【0075】
本願で開示されている結晶形のN−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドのフマル酸塩は、好ましくははっきりとした粉末X線回折プロファイルを有する。ここで使用される特徴的な回折ピークは、観察される回折パターンの最も強いピークから選択されるピークである。好ましくは、特徴的なピークは、回折パターンにおける最も強いピークの約20、より好ましくは最も強いピークの約10、最も好ましくは最も強いピークの約4〜5から選択される。
【0076】
PXRDは、Scintag DMS/NT(商標)及びMicrosoft Windows(登録商標)NT(商標)4.0ソフトウエアにより動作するScintag X1 Advanced Diffraction System又はScintag X2 Advanced Diffraction Systemを用いて実施した。システムでは、1.5406オングストロームのCu KL3(Kα1)発光を得るための45kV及び40mAに維持された銅X線ソース、及び固体ペルチェ冷却検出器を使用した。ビーム開口は、チューブ発散スリット及び散乱線除去スリット(2及び4mm)及び検出器散乱線除去及び受光スリット(幅0.5及び0.3mm)を用いて制御した。データを、1ポイント当たり0.02°のステップスキャン、1ポイント当たり1/2秒のカウント時間、2〜35°の範囲の2θで集めた。Scintag Roundトップローディングステンレス鋼サンプルカップ(部品番号1ZEO−20−0120−01)を、全ての分析に使用した。12mmのキャビティを有するアルミニウムスペーサを用いて、サイズの小さな試料を収容した。試料は、受け入れたままか、又は手で粉砕した後に試験した。
【0077】
表1及び表2に、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの一フマル酸塩及び半フマル酸塩の結晶形Ia及び結晶形Ibについての粉末X線回折パターンを示す。表1は、一フマル酸塩についての2θが2〜35°のPXRDパターンからの最も強いピークを表にして示す。表2は、半フマル酸塩についての2θが2〜35°のPXRDパターンからの最も強いピークを表にして示す。遊離塩基、結晶形Ia及び結晶形Ibは、全てそれらの独特なPXRDパターン(図示せず)により容易に識別される。
【0078】
好ましくは、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの一フマル酸塩を含む無水結晶(例えば、結晶形Ia)は、約18.90°及び24.97°の2θ、より好ましくは約18.21°、18.90°、21.74°及び24.97°の2θに特徴的な回折ピークを有する。最も好ましくは、結晶形Iaについて、表1に示されている特徴的な回折ピークを有する:
【表1】

【0079】
好ましくは、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの半フマル酸塩の結晶形Ibは、約19.84°及び24.83°の2θ、より好ましくは約17.59°、18.43°、19.84°、22.74°及び24.83°の2θに特徴的な回折ピークを有する。最も好ましくは、結晶形Ibについて、表2に示されている特徴的な回折ピークを有する:
【表2】

【0080】
吸湿データ
一定相対湿度(RH)での固体格子による水の吸収を、制御された雰囲気の微量てんびんによるDMSGにより測定した。スキャンは、25℃で36%〜0%RHで実施し、次に90%RHに増加し、3%RHの間隔で0%RHに低下させた。試料の量は、8〜14mgであった。各ステップで、5回の連続スキャンについて質量変化が0.01mg未満であるときに、てんびんが平衡となったとみなした。各スキャンの間の時間は120秒とした。
【0081】
表3に、N−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの結晶形Ia及びIbについて、25℃での吸湿データを示す。より結晶度の高い多形、結晶形Iaは、74%超の相対湿度(RH)で、結晶形Ibよりも吸湿性が低かった。
【0082】
【表3】

【表4】

【0083】
温度データ
Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA Instruments社製2920型モジュールを用いてDSCを行った。データを集め、TA Instruments社製NT Ver.1.3L用Thermal Solutions及びNT Ver.2.4F用Universal Analysisを用いて解析した。試料約1mgを、コーティングをほどこしたふた付きのアルミニウムパン(TA部品番号900779及び900786)に正確に計り取った。これらを圧着してふたとパンの間の熱接触を良好なものとした(TA部品番号900796及び900790)。試料を、1℃/分と10℃/分とのあいだの直線的熱傾斜で室温〜約300℃で評価した。セルを、50立方センチメートル/分(標準状態換算)(sccm)の乾燥窒素フローでパージした。
【0084】
N−[(3R)1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの一フマル酸塩及び半フマル酸塩の無水結晶形Iaについて、示差走査熱量測定データを得た。結晶形Iaは融点195℃であり、結晶形Ibは融点238℃であった。
【0085】
本明細書の「有効量」の化合物という用語は、無毒であるが所望の効果を与えるのに十分な量の化合物(単一種又は複数種)を意味する。以下で示すように、正確な必要量は、対象の種、年齢および一般的病態、治療する疾患の重篤度、使用する個々の化合物(単一種又は複数種)、投与形式などによって対象ごとに変わる。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能であるが、適切な有効量は、日常的な実験法のみを用いて当業者により決定されることができる。
【0086】
本発明の化合物および/または組成物で疾患症状を治療するために投与する治療的に有効な化合物(単一種又は複数種)量および投与計画は、対象の年齢、体重、性別および医学的状態、疾患の重篤度、投与経路および投与頻度、ならびに使用する個々の化合物(単一種又は複数種)を含む、様々な要因によって決まり、したがって、大きく変動し得る。これらの組成物は、治療的有効量の式Iの化合物に加えて、周知の担体および賦形剤を含有する。これらの医薬組成物は、成人に対して約0.001〜100mg/kg/日、好ましくは約0.1〜50mg/kg/日の活性成分を含有することができる。約1〜1000mgの日用量の活性成分が成人に対して適切と考えられる。この日用量を、1日に1〜4回に分けて投与することができる。
【0087】
式Iで表されるフマル酸塩に加えて、治療用組成物は、1つ以上の無毒の薬学的に許容される担体物質または賦形剤を含有することができる。本明細書の「担体」物質または「賦形剤」という用語は、それ自体治療薬ではないが、対象に治療薬を送達させるための担体および/または希釈剤および/またはアジュバントまたはビヒクルとして使用される任意の物質、あるいは取扱いまたは貯蔵特性を改善し、または経口投与に適切なカプセル剤、錠剤などの別個の物に投与単位の組成物を形成させ、または形成を容易にするために医薬組成物に添加される任意の物質を意味する。賦形剤としては、限定的なものではなく例示として、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー、潤滑剤、流動促進剤、不快な味または臭気を遮断または相殺するために添加される物質、香味料、色素、芳香剤、組成物の外観を向上させるために添加される物質などがある。許容される賦形剤としては、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールなどがあり、次いで、錠剤化またはカプセル化されて好都合に投与される。このようなカプセル剤または錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物が分散された形で、または当業者に既知の他の方法で提供することができる徐放性製剤を含むことができる。経口投与の場合、医薬組成物を、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液または液体の形とすることができる。必要であれば、他の活性成分をこの組成物に含ませることができる。
【0088】
上述の経口投与に加えて、本発明の組成物は、任意の適切な経路で、このような経路に適応した医薬組成物の形で、かつ目的の治療に有効な用量で投与することができる。例えば、これらの組成物を、非経口、例えば、静脈内、腹腔内、皮下または筋肉内投与することができる。非経口投与の場合、食塩水溶液、デキストロース溶液、または水を適切な担体として使用することができる。非経口投与製剤は、水性または非水性の等張無菌注射液または懸濁液の形とすることができる。これらの溶液および懸濁液は、経口投与製剤に使用することを意図される上述の担体または希釈剤の1つ以上を含む無菌粉末または顆粒から調製することができる。これらの化合物を、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、EtOH、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/または様々な緩衝液に溶解させることができる。他のアジュバントおよび投与形式が医薬品分野で広く知られている。
【0089】
セロトニンタイプ3受容体(5HT3R)は、筋肉および神経細胞のnAChR、グリシン受容体、γ−アミノ酪酸タイプA受容体などが含まれるリガンド依存性イオンチャネルスーパーファミリーの一員である。この受容体スーパーファミリーの他のメンバー同様、5HT3Rは、α7 nAChRとの高い配列相同性を示すが、2つのリガンド依存性イオンチャネルは、機能的に極めて異なる。例えば、α7 nAChRは、急速に失活し、カルシウム透過性が高く、アセチルコリンおよびニコチンによって活性化される。一方、5HT3Rは、徐々に失活し、カルシウムに対して比較的不透過性であり、セロトニンによって活性化される。これらの実験は、α7 nAChRと5HT3Rタンパク質がある程度の相同性を有するが、機能は極めて異なることを示唆している。実際、チャネルの薬理は極めて異なる。例えば、選択性の高い5HT3R拮抗薬であるオンダンセトロンは、α7 nAChRにおいてほとんど活性を持たない。その逆も真である。例えば、選択性の高いα7 nAChR作用薬であるGTS−21は、5HT3Rにおいてほとんど活性を持たない。
【0090】
α7 nAChRは、α7サブユニットのホモ5量体によって形成されるリガンド依存性Ca++チャネルである。これまでの研究から、α−ブンガロトキシン(α−btx)が、このホモ5量体のα7 nAChRサブタイプに選択的に結合し、α7 nAChRがα−btxとメチルリカコニチン(MLA)の両方に対して親和性の高い結合部位を有することが証明された。α7 nAChRは、海馬、腹側被蓋野、および基底核から視床皮質への上行性コリン作動性投射において高度に発現される。α7 nAChR作用薬は、神経伝達物質の放出を増加させ、認知、覚醒、注意、学習および記憶を増進させる。
【0091】
ヒトおよび動物の薬理研究のデータによって、ニコチン性コリン作動性神経細胞の経路が、注意、学習および記憶を含めた認知機能の多数の重要な局面を制御していることが確認された(Levin,E.D.,Psychopharmacology,108:417−31,1992;Levin,E.D.及びSimon B.B.,Psychopharmacology,138:217−30,1998)。例えば、ニコチンがヒトにおいて認知および注意を増進させることは良く知られている。α4β2およびα7 nAChRを活性化させる化合物であるABT−418は、アルツハイマー病およびADHDの注意欠陥症状群の臨床試験において認知および注意を改善する(Potter,A.等,Psychopharmacology(Berl).,142(4):334−42,1999年3月;Wilens,T.E.等,Am.J.Psychiatry,156(12):1931−7,1999年12月)。ニコチン、および選択的であるが弱いα7 nAChR作用薬が、げっ歯類および非ヒト霊長類において認知および注意を増進させることも明らかである。
【0092】
統合失調症は、陽性症状と陰性症状の組み合わせを生じる遺伝的および非遺伝的危険因子によって起こる複雑な多因子性の病気である。陽性症状としては妄想、幻覚などがあり、陰性症状としては感情、注意、認知および情報処理における欠陥などがある。この疾患では、単一の生物学的要素が、主要な発病要因として出現することはない。実際、統合失調症は、浸透度の低い多数の危険因子が組み合わさって起こる症候群である可能性が高い。薬理研究によって、ドーパミン受容体拮抗薬が、幻覚、妄想などの統合失調症の明白な精神病性特徴(陽性症状)を治療するのに有効であることが確認された。「非定型」抗精神病薬であるクロザピンは、この疾患の陽性症状といくつかの陰性症状の両方を治療するのに有効であることから新規なものである。クロザピンを薬物として利用することは、連続使用によって顆粒球減少症および発作のリスクが高くなるので、極めて限られている。統合失調症の陰性症状を治療するのに有効な抗精神病薬はほかにない。これは、認知機能の回復が、統合失調症患者の満足のいく臨床的、機能的成果を最も良く説明するものなので重要である(Green,M.F.,Am J Psychiatry、153:321−30,1996)。さらに、この障害の患者により良好な精神的健康状態を回復させるために、統合失調症の認知障害を治療する優れた薬物が求められていることは明らかである。
【0093】
統合失調症の認知欠陥の一態様は、感覚ゲーティングの聴覚性事象関連電位(P50)試験によって測定することができる。この試験では、海馬の神経細胞活性の脳波(EEG)記録を用いて、一連の聴覚性「クリック」に対する対象の応答を測定する(Adler,L.E.等,Biol.Psychiatry,46:8−18,1999)。正常個体は、第2のクリックよりも第1のクリックに大きく反応する。一般に、統合失調症患者および失調型の患者は、両方のクリックにほぼ同程度に反応する(Cullum,C.M.等,Schizophr.Res.,10:131−41,1993)。これらのデータは、統合失調症が、重要でない情報を「選別」し、または無視することができないことを反映している。感覚ゲーティング欠陥は、この疾患の主要な病理学的特徴の1つであると考えられる(Cadenhead,K.S.等,Am.J.Psychiatry、157:55−9,2000)。複数の研究から、ニコチンが統合失調症の感覚欠陥を正常化させることが示されている(Adler,L.E.等,Am.J.Psychiatry,150:1856−61,1993)。薬理研究は、感覚ゲーティングに対するニコチンの効果がα7 nAChRを介することを示している(Adler,L.E.等,Schizophr.Bull.,24:189−202,1998)。実際、統合失調症患者は、海馬のα7 nAChR受容体が50%少ないことが生化学データから示されており、したがって、α7 nAChR機能が部分的に失われている理論的根拠となっている(Freedman,R.等,Biol.Psychiatry,38:22−33,1995)。α7 nAChR遺伝子のプロモーター領域における多型が、統合失調症における感覚ゲーティング欠陥と強く関連していることを遺伝データが示していることは興味深い。(Freedman,R.等,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,94(2):587−92,1997;Myles−Worsley,M.等,Am.J.Med.Genet,88(5):544−50,1999)。これまで、α7 nAChRのコード領域における突然変異は確認されていない。したがって、統合失調症患者は、非統合失調症患者と同じα7 nAChRを発現する。
【0094】
選択的α7nAChR作用薬は、FLIPRを用いた機能アッセイによって見つけることができる(PCT国際特許出願公開第WO00/73431号A2参照)。FLIPRは、96または384ウェルプレートの各ウェルからの蛍光シグナルを毎秒2回の速さで、最高30分間読み取るように設計されている。このアッセイを用いて、α7nAChRおよび5HT3Rの機能上の薬理を正確に測定することができる。このようなアッセイを実施するために、薬物標的としてα7/5−HT3チャネルを用いた機能的な型のα7nAChRを発現する細胞系、および機能的5HT3Rを発現する細胞系を使用した。両方の場合において、リガンド依存性イオンチャネルが、SH−EP1細胞中で発現された。どちらのイオンチャネルも、FLIPRアッセイにおいて強いシグナルを発生することができる。
【0095】
本発明の化合物は、α7nAChR作用薬であり、多種多様な疾患を治療するために使用することができる。例えば、それらを、統合失調症または精神病の治療に使用することができる。
【0096】
統合失調症は、複数の側面を有する疾患である。現在利用可能な薬物は、一般に、妄想などの精神分裂病の陽性面を制御することを目的としている。薬物の1つのクロザピンは、統合失調症に関連するより広範な症状を対象にしている。この薬物は、多くの副作用があり、したがって、多くの患者にとって適切ではない。したがって、統合失調症に付随する認知および注意欠陥を治療する薬物が求められている。同様に、統合失調感情障害に付随する認知および注意欠陥、または統合失調症患者の親類に見られる類似の症状を治療する薬物が求められている。
【0097】
精神病は、患者の現実認知における著しい障害を特徴とする精神障害である。患者は、妄想および幻覚をわずらい、話に一貫性がない場合がある。患者の挙動は激しく、周囲の人が理解できないことが多い。従来、精神病という用語は、上述のより厳格な定義を満たさない多数の症状に適用されてきた。例えば、気分障害が精神病と称された。
【0098】
様々な抗精神病薬があり、従来の抗精神病薬としては、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロクサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンなどがある。これらの薬物はすべてドーパミン2受容体に対して親和性がある。
【0099】
これら従来の抗精神病薬は、鎮静、体重増加、振せん、プロラクチンレベルの上昇、静坐不能(運動不穏)、ジストニアおよび筋肉の硬直を含めて、いくつかの副作用を有する。これらの薬物は、遅発性ジスキネジアも起こし得る。残念なことに、わずか約70%の統合失調症患者しか、従来の抗精神病薬に反応しない。これらの患者に対しては、非定型抗精神病薬が利用可能である。
【0100】
非定型抗精神病薬は、一般に、精神病の陽性症状を軽減させることができるが、精神病の陰性症状も従来の抗精神病薬より大きく改善させることができる。これらの薬物は、認知神経系欠陥を改善することができる。非定型抗精神病薬では、錐体外路(運動性)の副作用は起こり難く、したがって、遅発性ジスキネジアを起こすリスクはより小さい。最後に、これらの非定型抗精神病薬は、プロラクチンをほとんどまたはまったく上昇させない。残念なことに、これらの薬物は副作用がないわけではない。これらの薬物は各々異なる副作用を生じるが、総じて無顆粒球症、発作のリスク増加、体重増加、傾眠、眩暈、浮動性めまい、頻拍、射精量の減少、QTc間隔の軽い延長などがある。
【0101】
統合失調症などの疾患の複数の症状を治療する併用療法においては、式Iの化合物および抗精神病薬を同時にまたは異なる間隔で投与することができる。同時に投与するときには、式Iの化合物と抗精神病薬を単一の医薬組成物、例えば、併用療法医薬組成物に混合することができる。あるいは、2つの別々の組成物、すなわち、式Iの化合物を含有する1つの組成物と、抗精神病薬を含有するもう1つの組成物を同時に投与することができる。抗精神病薬の例としては、上述のものに加えて、トラジン、メラリル、トリラフォン、ナーベン、ステラジン、パーミチル、プロリキシン、リスパダール、ジプレキサ、セロクエル、ZELDOX、アセトフェナジン、カルフェナジン、クロルプロチキセン、ドロペリドール、ロクサピン、メソリダジン、モリンドン、オンダンセトロン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジンなどがあるが、これらだけに限定されない。
【0102】
併用療法医薬組成物は、治療的有効量の上述した式Iの化合物、および治療的有効量の抗精神病薬を含むことができる。これらの組成物は、一般的な賦形剤、希釈剤または担体とともに製剤することができ、圧縮して錠剤とし、または経口投与に好都合なエリキシル剤または溶液に製剤し、あるいは筋肉内静脈内経路で投与することができる。これらの化合物は、直腸、局所、経口、舌下または非経口投与することができ、徐放性剤形などとして製剤することができる。
【0103】
別々に投与するときは、式Iの化合物と抗精神病薬を含有する治療的有効量の組成物を、異なるスケジュールで投与する。2つの投与間隔が治療に有効な間隔であれば、一方をもう一方の前に投与することができる。治療に有効な間隔は、(a)式Iの化合物、または(b)抗精神病薬のどちらか1つをヒトに投与したときに始まり、統合失調症または精神病の治療において(a)と(b)の組合せの有益な効果が得られる限界で終了する期間である。式Iの化合物と抗精神病薬の投与方法は変わり得る。すなわち、どちらかの薬剤または両方の薬剤を直腸、局所、経口、舌下または非経口投与することができる。
【0104】
上述したように、本発明の化合物は、α7 nAChR作用薬である。したがって、本発明の別の側面として、本発明の化合物を用いて、アルツハイマー病の認知および注意欠陥症状、アルツハイマー病などの疾患に関連する神経変性、初老期痴呆(軽い認知障害としても知られる)および老年痴呆を含めた様々な疾患を治療することができる。
【0105】
アルツハイマー病は、認知および注意欠陥を含めて多様な側面を有している。現在、これらの欠陥は、コリンエステラーゼ阻害剤を用いて治療されている。これらの阻害剤は、アセチルコリンの分解を遅らせ、それによってコリン作動性神経系の活性を全身的に非特異的に増加させる。これらの薬物は非特異的であるので、多種多様な副作用を有する。したがって、コリン作動性経路の一部を刺激し、それによって、コリン作動性経路を非特異的に刺激することによって生じる副作用なしに、アルツハイマー病に関連する認知および注意欠陥を改善する薬物が求められている。
【0106】
神経変性は、アルツハイマー病などの疾患に関連する共通の障害である。現行の薬物は、この疾患のいくつかの症状を治療するが、この疾患の基になっている病理を制御するものではない。したがって、アルツハイマー病の進行を遅らせることができる薬物を提供することが望ましい。
【0107】
初老期痴呆(軽い認知障害)は、注意欠陥障害よりも記憶障害に関係し、他の点では認知機能を損なわない。軽い認知障害は、患者の年齢のわりには持続的で厄介な記憶喪失障害を含んでいる点で老年痴呆とは異なる。この疾患が確認されたのが最近であったこともあり、現時点では、軽い認知障害の治療に特に具体的な薬物療法はない。したがって、軽い認知障害に関連する記憶障害を治療する薬物が求められている。
【0108】
老年痴呆は、単一の疾患ではない。しかし、この名称で分類される症状は、認知および注意欠陥を含むことが多い。一般に、これらの欠陥は、治療されていない。したがって、老年痴呆に関連する認知および注意欠陥を改善する薬物が求められている。
【0109】
上述したように、本発明の化合物は、α7 nAChR作用薬である。したがって、本発明の化合物を用いて治療されるさらに他の疾患としては、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、うつ病、不安、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害、気分および感情障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動障害および認知障害、AIDS痴呆複合症、ダウン症候群に関連する痴呆、レビ小体型痴呆、ハンチントン病、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、ピック病、過食症および神経性食欲不振症を含めた摂食失調症、禁煙および依存薬物中止に関連する離脱症状、ジルドゥラトゥーレット症候群、加齢黄斑変性症、緑内障、緑内障に関連する神経変性、または痛みに関連する症状の任意の1つ以上又は組合せに関連する神経変性並びに認知および注意欠陥の治療などがある。
【0110】
注意欠陥障害は、一般に、乱用の可能性があるアンフェタミン様分子のメチルフェニデートを用いて治療される。したがって、現行の薬物よりも副作用が少ない注意欠陥障害治療薬物を提供することが望ましい。
【0111】
ADHDとしても知られる注意欠陥多動障害は、米国の子供全体の3〜5%が罹患している神経行動障害である。ADHDは、人の仕事の持続能力と年齢相応の抑制能力を妨害することによって、認知のみ、または認知作用と行動作用の両方に関係している。ADHDには、不注意優位型サブタイプ、多動−衝動性優位型サブタイプ、および混合型サブタイプのいくつかのタイプがある。治療には、衝動性および多動性を低下させ、注意を高める作用があるメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、またはペモリンなどの薬物療法などがある。ADHDは、現時点では、「治癒」することがない。この障害を持つ子供は、それから脱却することはめったにない。したがって、適切な医薬品が求められている。
【0112】
うつ病は、通常数ヶ月から2年以上にわたり、悲嘆、絶望および落胆を含めた感情の度合いが揺れ動く気分障害である。複素環式抗うつ薬(HCA)が現在最も使用されている抗うつ薬の種類であるが、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)が特定のタイプのうつ病に使用されている。HCAの一般的な副作用は、鎮静および体重増加である。高齢の器質性脳疾患患者においては、HCAの副作用には、発作および行動性の症状も含まれ得る。MAOIの使用による主要な副作用は、食餌と薬物の相互作用から生じる。したがって、副作用の少ない薬剤が有用である。
【0113】
不安障害(著しい不安または恐怖症的回避を伴う障害)は、精神病治療において対応がなされていない医学的ニーズのある領域である。不安の様々な疾患形態については、Diagnostic&Statistical Manual of Mental Disorders,IV(1994),pp393−394を参照されたい。
【0114】
一般的な不安障害(GAD)は、家族、健康、仕事などのことについて悩む理由がないときに悩み、悩まずには済まないときに起こる。年間で米国人口の約3〜4%がGADである。GADは小児期または青年期に襲うことが最も多いが、成人期にも発症し得る。GADは男性よりも女性で発症する。現在、治療には、認知行動療法、リラクゼーション療法、筋肉の緊張を制御するためのバイオフィードバック、およびベンゾジアゼピン、イミプラミン、ブスピロンなどの薬物療法などがある。これらの薬物は有効であるがすべて副作用がある。したがって、これらの症状に対処する副作用の少ない医薬品が求められている。
【0115】
不安には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)も含まれる。これは、患者に直接影響を及ぼした、または患者が目撃した心的外傷性の事象の記憶によって引き起こされる不安形態である。この障害は、一般に、性的暴行、身体的暴行、戦争、拷問、自然災害、自動車事故、飛行機事故、人質状態、または強制収容所を含めて、心的外傷性の事象の生存者が発症する。この病気は、飛行機事故または集団射殺現場の救助隊員、惨劇を目撃した人、または愛する人を不意に失った人も発症する。PTSDの治療には、認知行動療法、集団精神療法、ならびにクロナゼパム、ロラゼパム、およびフルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、フルボキサミンなどの選択的セロトニン再吸収阻害薬などの薬物療法などがある。これらの薬物療法は、不安やうつ病を制御する助けとなる。様々な形式の曝露療法(系統的脱感作、イメージフラッディング法など)のすべてが、PTSD患者に使用されてきた。PTSDの曝露治療は、トラウマの処理を容易にする目的で、制御された条件下で、トラウマを繰り返し解放するものである。したがって、心的外傷後ストレス障害を治療するより優れた医薬品が求められている。
【0116】
気分および感情障害は、単極性うつ病および双極性気分障害を含めた大きな疾患群に含まれる。これらの疾患は、主要な3クラスの化合物を用いて治療される。第1のグループは、複素環式抗うつ薬(HCA)である。このグループには、周知の三環式抗うつ薬が含まれる。気分障害を治療するために使用される第2の化合物グループは、特定のタイプの疾患に使用されるモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)である。第3の薬物は、リチウムである。HCAの一般的な副作用は、鎮静および体重増加である。高齢の器質性脳疾患患者においては、HCAの副作用には、発作および行動性の症状も含まれ得る。MAOIの使用による主要な副作用は、食餌と薬物の相互作用から生じる。リチウムの使用による良性の副作用は、体重増加、悪心、下痢、多尿、多飲症、振せんなどであるが、これらだけに限定されない。リチウムの毒性副作用は、持続性の頭痛、精神錯乱などであり、発作および心臓不整脈に至ることもある。したがって、副作用、または食品もしくは他の薬物との相互作用が少ない薬剤が有用である。
【0117】
境界型人格障害は、双極性障害ほど知られていないが、より一般的である。境界型人格障害患者は、感情制御障害に罹っている。うつ病、思考の歪みなど特定の症状を治療するために医薬品が使用される。
【0118】
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染により起こる。このウイルスは、特定の細胞を攻撃し、免疫、神経、および他のシステムの適正な機能を損なう。HIV感染では、AIDS痴呆複合症としても知られる思考困難など、但しこれだけに限定されない他の障害も生じる恐れがある。したがって、AIDS患者の錯乱や精神衰弱を軽減する薬物が求められている。
【0119】
筋萎縮性側索硬化症は、ルーゲーリッグ病としても知られ、運動ニューロン疾患として知られる障害クラスに属し、脳および脊髄の特定の神経細胞が徐々に変性されて、随意運動の制御に悪影響を及ぼす。現在、筋萎縮性側索硬化症の治療法はないが、患者は、そのいくつかの症状について治療を受けることができ、リルゾールは、患者を延命させることが判明した。したがって、この疾患を治療する医薬品が求められている。
【0120】
外傷性脳損傷は、頭部への突然の身体的暴行によって脳が損傷を受けたときに生じる。外傷性脳損傷の症状は、錯乱、他の認知障害などである。したがって、錯乱および他の認知障害の症状に対処することが求められている。
【0121】
脳腫瘍は、頭蓋骨内側で起こる組織の異常増殖である。脳腫瘍の症状は、行動障害、認知障害などである。腫瘍は、手術、放射線および化学療法を用いて治療されるが、関連症状に対処するために他の薬剤も必要とされる。したがって、行動障害および認知障害の症状に対処することが求められている。
【0122】
ダウン症候群患者は、細胞のすべてまたは少なくとも一部分で21番染色体の余分かつ重大な部分を有する。ダウン症候群の成人は、アルツハイマー型痴呆のリスクがあることが知られている。現在、ダウン症候群の確実な治療法はない。したがって、ダウン症候群に関連する痴呆に対処することが求められている。
【0123】
ハンチントン病は、遺伝子によってプログラムされた脳のある領域におけるニューロンの変性によって引き起こされる。ハンチントン病の初期の症状は、気分変動、新しい物事の学習障害、記憶障害などである。ハンチントン病の症状を治療するために使用される薬物のほとんどが、疲労、不穏、過剰興奮などの副作用を有する。現在、ハンチントン病の進行を止め、または逆行させる治療法はない。したがって、この症状に対処し副作用の少ない医薬品が求められている。
【0124】
レビ小体型痴呆は、レビ小体として知られる脳のある領域に発生する異常構造を含む神経変性障害である。レビ小体型痴呆の症状としては、挿間性せん妄を伴う変動性の認知障害などがあるが、これらだけに限定されない。現在、治療は、パーキンソン病および精神医学的症状に対処することに関係している。しかし、振せんまたは筋肉の動きの喪失を制御する医薬品は、実際には、レビ小体型痴呆の原疾患を悪化させる恐れがある。したがって、レビ小体型痴呆を治療する医薬品が求められている。
【0125】
パーキンソン病は、振せん、運動低下、および筋硬直を特徴とする神経障害である。現在、この疾患の進行を止める治療法はない。したがって、パーキンソン病に対処する医薬品が求められている。
【0126】
遅発性ジスキネジアは、従来の抗精神病薬の使用に関連している。この疾患は、口唇および舌の歪み、および/または腕もしくは脚のねじれとして現れることが最も多い不随意運動を特徴とする。遅発性ジスキネジアの発生率は、1年間の薬物曝露当たりで、従来の抗精神病薬を服用した患者の約5%である。この疾患の患者の約2%においては、遅発性ジスキネジアは、外観を極度に損なう。現在、遅発性ジスキネジアの一般化した治療法はない。また、原因薬物を除去することは、根源的な障害のために必ずしも選択肢にならない。したがって、遅発性ジスキネジアの症状に対処する医薬品が求められている。
【0127】
ピック病は、徐々に進行する社会的技能の低下に起因し、その結果、知力、記憶および言語障害の症状を呈して人格が変わる。一般的な症状としては、記憶喪失、自発性欠乏、思考又は集中の困難、言語障害などがある。現在、ピック病の特定の治療法または治癒法はないが、いくつかの症状は、コリン作動性抗うつ薬およびセロトニン増強抗うつ薬を用いて治療することができる。また、抗精神病薬を投与することによって、妄想または幻覚を体験しているFTD患者の症状を軽減させることができる。したがって、進行性の社会的技能低下および人格変化を治療し、より少ない副作用でこれらの症状に対処する医薬品が求められている。
【0128】
神経性過食症および神経性食欲不振症を含めた摂食障害に関連する摂食失調症には、神経生理学的経路が関与する。神経性食欲不振症は、患者がプログラムに入らないまたはプログラムに入った後も持続しないために治療が困難である。現在、重症の神経性食欲不振症の患者に有効な治療法はない。認知行動療法は、神経性過食症患者の役に立つが、応答率はわずか約50%であり、現行の治療法は、感情の制御に十分に対処していない。したがって、摂食失調症の根底にある神経生理学的障害に対処する医薬品が求められている。
【0129】
喫煙は、長年、主要な公衆衛生問題として認識されてきた。しかし、健康上有害なものと公に認識されているものの、喫煙習慣は、極めて持続性が高く、やめるのが困難である。利用可能な多数の治療方法があるが、それでも人々は喫煙し続けている。ニコチンの経皮投与、またはチューインガムによる施薬が一般的な治療法である。しかし、ニコチンは、体内で多数の作用をし、したがって、多数の副作用を有し得る。喫煙者が喫煙を抑え、または禁煙する助けとなる好都合で比較的容易な方法が長年必要とされ求められてきたことは明らかである。ある種のニコチン受容体のみを選択的に刺激する薬物が、禁煙プログラムには有用である。
【0130】
禁煙プログラムでは、最適な薬物を経口投与することができる。この薬物は、錠剤の形とすることができる。しかし、一連の漸増用量を1日の間に投与することによって、起きている時間にわたり日用量を投与することが好ましい。好ましいこのような投与方法は、薬物がその中に分散されている、徐々に溶解する舐剤、トローチ剤、またはチューインガムである。ニコチン中毒を治療する別の薬物はザイバンである。これは、ガムおよびパッチのようなニコチン代替物ではない。そうではなく、これは、脳の他の領域に作用し、その効果は、禁煙しようとする人のニコチン欲求や喫煙についての思考を抑制するのを助けることである。ザイバンはさほど有効ではなく、喫煙者の禁煙欲求を助けるのに有効な薬物が求められている。これらの薬物は、皮膚パッチを使用して経皮投与することができる。ある例では、特に徐放性製剤を使用できる場合、薬物を皮下注射投与することができる。
【0131】
薬物の使用と依存は複雑な現象であり、単一の定義に包含させることはできない。異なる薬物は異なる効果、したがって異なるタイプの依存性を有する。薬物依存には、2つの基本的原因、すなわち、耐容性と身体依存がある。耐容性は、使用者が当初少ない用量で得られた効果を生むのに徐々に多くの用量を服用しなければならないときに見られる。身体依存は、使用者が薬物に生理的に順応した状態を生じたときに見られ、薬物をもはや服用しないときには離脱(禁断)症候群が現れる。離脱症状は、薬物が中断されたとき、または拮抗薬が細胞受容体の結合部位から薬物を追い出し、それによってその効果が相殺されたときに生じ得る。薬物依存は、必ずしも身体依存を必要としない。
【0132】
また、薬物依存は、精神依存、すなわち、薬物を服用したときの快楽または満足の感情が関与することが多い。これらの感情によって、使用者は、薬物体験を繰り返し、薬物が欠乏したときの不快を避けようとする。ニコチン、ヘロイン、アルコールなどの強い身体依存を生じる薬物は、しばしば乱用され、依存パターンから抜け出すことが困難である。依存を生じる薬物はCNSに作用し、一般に、不安および緊張を緩和し、爽快、多幸感、または他の満足な気分変化をもたらし;使用者に知能および身体能力が向上した感情をもたらし;又は何らかの快適な方法で感覚知覚を変える。一般に乱用される薬物は、エチルアルコール、オピオイド、抗不安薬、催眠薬、大麻(マリファナ)、コカイン、アンフェタミンおよび幻覚薬である。薬物常習者に対する現行の治療法は、行動療法と薬物療法を併用することが多い。メサドン、LAAM(レボ−アルファ−アセチル−メタドール)などの薬物療法は、麻薬中毒に関連する離脱症状および薬物欲求を抑え、したがって、違法な薬物使用を減らし、患者が治療を続ける機会を増加させるのに有効である。医学的に支援された麻薬中毒の主要な離脱方法は、より穏和な離脱症状を生じる類似薬物に患者を切り替わらせ、次いで、徐々に代用の投薬を減らしていくものである。最も頻繁に使用される薬物はメサドンであり、1日に1回経口摂取される。患者は、離脱のより重篤な徴候を防止する最低用量から開始し、次いで、用量を徐々に減少させる。代用薬は鎮静薬からの離脱にも使用することができる。患者は、ジアゼパム、フェノバルビタールなどの長時間作用性鎮静薬に切り換えられ、次いで、それを徐々に減少させる。
【0133】
ジルドゥラトゥーレット症候群は、遺伝性の神経障害である。この障害は、チックと呼ばれる制御不能な音韻および不随意運動を特徴とする。これらの症状は、一般に、18歳になる前の人に発現する。運動障害は、単純チックで始まることがあり、呼吸および音声のものを含む複数の複雑チックに進行する。音声チックは、ぶつぶつ声または咳払いとして始まり、強迫性の発声に発展することがある。コプロラリア(不随意のわいせつな発声)が患者の50%で起こる。重度のチックおよびコプロラリアは、身体的にも社会的にも障害となり得る。チックは、筋クローヌスよりも複雑になり易いが、舞踏病の動きほど流麗ではなく、そのことからこれらを識別できるはずである。患者は、数秒間または数分間随意的にそれらを抑制することができる。
【0134】
現在、単純チックは、ベンゾジアゼピンを用いて治療されることが多い。単純チックおよび複雑チックの場合、クロニジンを使用することができる。クロニジンの長期使用は、遅発性ジスキネジアを引き起こさず、その限定された有害作用は低血圧である。より重度の症例では、ハロペリドールなどの抗精神病薬が必要になり得るが、不快、パーキンソン症、静坐不能および遅発性ジスキネジアの副作用が、このような抗精神病薬の使用を制限している。この症候群を治療する安全で有効な方法が求められている。
【0135】
加齢黄斑変性症(AMD)は、読書および自動車運転を含む「普通の」活動に必要な鮮明な中心視覚を生じるのに役立つ網膜内のごく小さい領域である黄斑の一般的な眼疾患である。AMD患者は、明瞭な中心視覚を失う。AMDは2つの形態、すなわちウェット型およびドライ型をとる。ドライ型AMDでは、黄斑中の光を感知する細胞が徐々に壊れる。現在、ドライAMDの治療法はない。ウェット型AMDでは、ドライ型AMDの悪化につれ新しい脆弱な血管が黄斑の下で成長し、これらの血管からしばしば血液や体液が漏洩して、黄斑に急速にダメージを与え、中心視覚を急速に喪失させる。レーザ手術によって、ウェット型AMDのいくつかの症例を治療することができる。したがって、AMDに対処する医薬品が求められている。
【0136】
緑内障は、視神経円板内に病理変化を引き起こす眼内圧の上昇から生じる一群の疾患に含まれ、視野に悪影響を及ぼす。緑内障を治療する医薬品は、眼内圧を低下させるために、眼内に入ってくる体液量を減少させるか、眼からの体液流出を増加させる。しかし、現行の薬物は、次第に効かなくなり、副作用を引き起こすなどの欠点があり、眼治療の専門家は他の薬物を処方するか、使用中の薬物の処方せんを修正しなければならない。緑内障として発現する障害を治療する安全で有効な方法が求められている。
【0137】
緑内障の虚血期間に、興奮毒性のアミノ酸が放出され、神経変性をもたらす一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導性の形態が刺激される。アルファ7ニコチン性作用薬は、過剰興奮性を抑制するGABAなどの阻害性アミノ酸の放出を刺激することができる。アルファ7ニコチン性作用薬は、神経細胞の細胞体に対する直接的な神経保護薬でもある。したがって、アルファ7ニコチン性作用薬は、緑内障の神経保護薬としての能力がある。
【0138】
疼痛に苦しむ患者は、いずれも病人およびその家族には過酷である疼痛、その結果生じる不眠および悲嘆の「悲惨な三主徴」と呼ばれるものを有することが多い。疼痛は、あらゆる重症度の頭痛、背痛、神経性の痛み、および関節炎、癌などの他の疾患による疼痛の存在またはそれに対する照射療法からの疼痛を含めて、但しこれらだけに限定されない様々な形態で発現し得る。疼痛は、慢性(数ヶ月また数年の持続性疼痛)の場合も、急性(負傷の可能性および治療の必要性を人に伝える短期間の即時の疼痛)の場合もある。疼痛に苦しむ患者は、個々の療法に異なる反応を示し、成功度が異なる。疼痛を治療する安全で有効な方法が求められている。
【0139】
最後に、本発明の化合物は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬(抗精神病剤とも呼ばれる)の併用療法に用いることもできる。本発明の化合物はすべてが有用であり、互いに組み合わせて使用して医薬組成物を調製することもできる。このような併用療法によって、抗精神病薬の有効量が削減され、それによって抗精神病薬の副作用が軽減される。本発明の実施に使用することができる定型抗精神病薬には、ハルドールなどがある。非定型抗精神病薬には、ジプラシドン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピンなどがある。
【実施例】
【0140】
実施例1:N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミド:
【化3】

実施例1の化合物を、フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボン酸とR−(+)−3−アミノキヌクリジンとをカップリングすることにより得る。このカルボン酸を得るには、本明細書で説明されている酸の調製、及び米国特許第6,265,580号に説明されているエステルの加水分解からの調製を含む数多くのルートがある。n−ブチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシレートを、水性メタノール又はアセトニトリル−メタノール混合物中で水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで処理することにより加水分解して対応のカルボン酸塩とする。pH2.5〜3.5に酸性化するとカルボン酸が得られ、固体として単離される。また、遊離塩基は、n−ブチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシレートから、少なくとも1.5モル当量の(R)−3−アミノキヌクリジンを用いて直接縮合し、エタノール又はn−ブチルアルコール中で加熱することによっても調製できる。
【0141】
2−クロロ−3−ピリジノール(20.0g、0.154モル)、NaHCO3(19.5g、0.232モル、1.5当量)及び水150mLを、フラスコに入れる。フラスコを、90℃の油浴に入れ、5分後、37%ホルムアルデヒド水溶液(40.5mL、0.541モル、3.5当量)を、6つの異なる量で以下の順番で添加する:12mL、3×8mL、次に2.2mL(全て90分間隔)、その後、最後に反応液を90℃で15時間攪拌後2.3mL。反応液を、90℃でさらに4時間攪拌した後、フラスコを氷浴に配置することにより冷却する。次に、反応液のpHを、6N HClで1に調整する。この反応液を、氷浴中で1.5時間攪拌して、望ましくない固体を形成させる。この望ましくない固体を、濾去し、濾液をEtOAcで7回抽出する。有機抽出物を合わせ、真空濃縮し、トルエンをフラスコに添加し、真空除去して水を共沸させた後、CH2Cl2を添加し、真空除去して淡黄色固体として2−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−3−ピリジノール(C1)を得た(収率81%)。これは、続く反応に十分な純度を有する。C66ClNO2のMS(EI)、m/z:159(M)+
【0142】
C1(11.6g、72.7ミリモル)及びNaHCO3(18.3g、218ミリモル)を、水200mLに添加する。得られた混合物を均一になるまで攪拌し、フラスコを氷浴に入れ、ヨウ素(19.4g、76.3ミリモル)を添加し、反応液を室温で週末の間攪拌する。混合物のpHを、2N NaHSO4で3に調整し、混合物をEtOAc4×50mLで抽出する。有機層を合わせ、乾燥(MgSO4)し、濾過し、濾液を真空濃縮して黄色固体を得る。粗製固体をEtOAcで洗浄して2−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−4−ヨード−3−ピリジノール(C2)をオフホワイト固体として得る(収率62%)。濾液を濃縮して小容積とし、シリカゲル250g(230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーに付する(溶離液EtOAc/CH2Cl2/ヘキサン/酢酸=2.5:4.5:4:0.1)。所望の化合物の画分を合わせ、濃縮してさらなる純粋なC2(収率12%)を得る。C65ClINO2のMS(EI)、m/z:285(M)+
【0143】
C2(13.9g、48.6ミリモル)を、CHCl380mL/THF40mL中、N2下、トリメチルシリルアセチレン(9.6mL、68ミリモル)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(1.02g、1.46ミリモル)及びヨウ化第一銅(139mg、0.73ミリモル)と混ぜる。TEA(21mL、151ミリモル)を添加し、反応液を室温で3時間攪拌し、CHCl3200mLで希釈する。混合物を、5%HCl2×150mLで洗浄し、水層を合わせて、CHCl32×50mLで抽出する。有機層を合わせて、50%飽和NaCl100mLで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空濃縮して琥珀色の油とする。粗製物質を、シリカゲル350g(230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーに付する(溶離液35%EtOAc/ヘキサン)。所望の化合物の画分を、合わせ、濃縮して2−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−4−[(トリメチルシリル)エチニル]−3−ピリジノール(C3)を金色固体(収率92%)として得る。C1114ClNO2SiのMS(EI)、m/z:255(M)+
【0144】
C3(7.9g、31.2ミリモル)及びヨウ化第一銅(297mg、1.6ミリモル)をEtOH60mL/TEA60mLに添加したものを、フラスコに入れる。反応液を、油浴に入れ、70℃で3.5時間保持し、室温に冷却し、真空濃縮する。残留物を、5%HCl100mLとCH2Cl2(4×50mL)との間で分配する。有機層を合わせ、乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空濃縮して粗製の琥珀色の固体6.5gを得る。粗製物質を、シリカゲル300g(230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーに付する(溶離液30〜40%EtOAc/ヘキサン)。2種類の異なる所望の化合物の2組の画分を、TLC/UVにより同定する。2種類の化合物を、別個に溶離する。早く溶離した画分プールを、合わせ、濃縮して、[7−クロロ−2−(トリメチルシリル)フロ[2,3−c]ピリジン−5−イル]メタノール(C5)を白色固体(収率46%)として得る。後で溶離した画分プールを、合わせ、濃縮して、(7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン−5−イル)メタノール(C4)を白色固体(収率27%)として得る。C4について、C86ClNO2のMS(EI)、m/z:183(M)+C5について、C1114ClNO2SiのHRMS(FAB)計算値m/z:255.0482、実測値255.0481。
【0145】
C5(1.05g、4.1ミリモル)及び10%Pd/C触媒(1.05g)を、無水EtOH20mLに入れる。シクロヘキセン(4mL、40.1ミリモル)を添加し、反応液を2.5時間還流した後、セライト濾過する。フィルターケーキを、1:1EtOH/CH2Cl2で洗浄し、濾液を濃縮して淡黄色固体を得る。残留物を、飽和NaHCO340mLとの間で分配し、CH2Cl2(4×20mL)で抽出する。有機層を合わせ、乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空濃縮して淡色の油(1.04g)を得る。淡色の油を、シリカゲル50g(230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーに付する(溶離液50〜70%EtOAc/ヘキサン)。所望の化合物の画分を、合わせ、濃縮して5−ヒドロキシメチル−2−トリメチルシリル−フロ[2,3−c]ピリジン(C6)を白色固体(収率90%)として得る。C1115NO2SiのMS(EI)、m/z:221(M)+
【0146】
C6(770mg、3.48ミリモル)を、MeOH10mLに溶解する。2N NaOH(3mL、6ミリモル)を添加し、反応液を室温で1.5時間攪拌する。溶液を、真空濃縮し、残留物に水(20mL)を加えて、CH2Cl24×10mLで抽出する。有機層をあわせ、乾燥し(K2CO3)、濾過した後、真空濃縮してフロ[2,3−c]ピリジン−5−イルメタノール(C7)を白色固体(収率90%)として得る。分析結果:C87NO2の理論値:C、64.42;H、4.73;N,9.39。実測値:C、64.60;H、4.56;N、9.44。
【0147】
別法として、C3を使用して、より少ない工程でC7を得る:C3(44.6g、174.4ミリモル)を、窒素下、メタノール300ml中、ヨウ化第一銅(1.66g、8.72ミリモル)及びジイソプロピルアミン(44ml、300ミリモル)と混ぜる。反応液を、45〜50℃で6時間あたため、室温に冷却し、飽和NaHCO3100mlで処理した後、2N NaOH100mlで処理する。暗色混合物を一晩攪拌し、セライト濾過し、揮発物を真空除去し、残留物を水1×500mlとCH2Cl24×200mlとの間に分配する(分離を良好にするために、濾過が必要なことがある)。有機層を合わせ、乾燥し(MgSO4)、真空濃縮してC4(25.25g、79%)を淡橙色固体として得る。分析結果:C86ClNO2の理論値:C、52.34;H、3.29;N、7.63。実測値:C、52.27;H、3.23;N、7.57。
【0148】
C4(32.0g、174ミリモル)を、オーバーヘッドスターラを用いて、無水EtOH(900mL)中亜鉛粉末(34.2g、523ミリモル)と混ぜる。混合物を70℃に加熱し、HCl(87.2mL、1.05モル)をゆっくりと滴下し、混合物を1時間加熱還流する。混合物を、わずかに冷却し、金属亜鉛を濾去し、濃縮してほぼ乾固状態とする。黄色の油を、H2O(150mL)及びEtOAc(950mL)で希釈し、混合物を加熱還流しながら20%Na2CO3(310mL)をゆっくりと滴下する。(オーバーヘッドスターラを用いて)激しく攪拌した混合物を、1時間還流し、わずかに冷却し、有機物を、減圧下でカニューレにより除去する。追加のEtOAc(600mL)を添加し、混合物を1時間加熱還流し、わずかに冷却し、有機物を上記のようにして除去した。追加のEtOAc(600mL)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌後、1時間加熱還流し、わずかに冷却し、有機物のほとんどを上記のようにして除去する。残りの混合物を、セライト濾過し、さらなる生成物が溶離しなくなるまでEtOAcですすぎ、相分離する。水層を、EtOAc(2×400mL)でさらに抽出する。併せた有機層を、乾燥し(MgSO4)、濃縮して暗色黄色固体(23.6g)を得る。粗製物質を、スラリー充填シリカゲル900g上のクロマトグラフィーに付し、60%EtOAc/ヘキサン(3L)、70%EtOAc/ヘキサン(2L)、最後に100%EtOAcで溶離する。適切な画分を合わせ、真空濃縮してC7(19.5g、75%)を白色固体として得る。分析結果:C87NO2の理論値:C、64.42;H、4.73;N、9.39。実測値:C、64.60;H、4.56;N、9.44。
【0149】
塩化オキサリル(685μL、7.8ミリモル)を、N2下、乾燥フラスコにおいて、CH2Cl230mLに溶解する。フラスコを、ドライアイス/アセトン浴に入れ、DMSO(1.11mL、15.6ミリモル)をCH2Cl25mLに添加したものを滴下し、得られた混合物を、20分間攪拌する。C7(1.0g、6.7ミリモル)をCH2Cl210mLに添加したものを、添加し、反応液を−78℃で30分間攪拌する。TEA(4.7mL、33.5ミリモル)を添加し、反応液を室温まであたため、1時間攪拌し、飽和NaHCO325mLで洗浄する。有機層を乾燥し(K2CO3)、濾過し、真空濃縮して橙色固体を得る。粗製物質を、シリカゲル50g(230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーに付する(溶離液33%EtOAc/ヘキサン)。所望の化合物を含む画分を合わせ、濃縮して、フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボアルデヒド(C8)を白色固体(収率86%)として得る。C85NO2のMS(EI)、m/z:147(M)+
【0150】
C8(850mg、5.8ミリモル)を、DMSO10mLに溶解する。KH2PO4(221mg、1.6ミリモル)を水3mLに添加したものを、添加した後、NaClO2(920mg、8.2ミリモル)を水7mLに添加したものを添加し、反応液を室温で3時間攪拌する。反応液を、水25mLで希釈し、2N NaOHでpH10に調整し、混合物をエーテル3×20mLで抽出する。エーテル層を合わせ、捨てる。水層を、10%HCl水溶液でpH3.5に調整し、10%MeOH/CH2Cl213×10mLで抽出する。MeOH/CH2Cl2有機層を、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して淡色の油を得る。残留DMSOを、N2流下、室温で除去して白色ペーストを得る。ペーストを、MeOHに溶解し、濃縮して乾固する。白色固体を、エーテルで洗浄し、乾燥して粗製フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボン酸(C9)(収率94%)を得る。C85NO3のMS(ESI)、162.8(M−H)-
【0151】
C9(1.96g、12.0ミリモル)、DIEA(6.27mL、36.0ミリモル)及びR−(+)−3−アミノキヌクリジンジヒドロクロリド(2.42g、12.1ミリモル)をDMF(60mL)に添加し、反応液を氷浴で冷却する。HATU(4.57g、12.0ミリモル)を添加し、溶液を、2.5時間かけて室温に温めた後、真空濃縮する。残留物を、飽和NaHCO3(30mL)とともに30分間攪拌した後、CHCl3(10×50mL)で抽出する。有機層を合わせて、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮する。粗製物質を、スラリー充填シリカゲル130g上のクロマトグラフィーに付する(溶離液=10%MeOH/CHCl3中、0.5%水酸化アンモニウム)。適切な画分を合わせ、濃縮して残留物を得る。
【0152】
塩の形成:
モノフマル酸塩:
実施例1(a)(i):
遊離塩基(556mg、2.05ミリモル)を、イソプロパノール4mlに溶解する。フマル酸(238mg、2.05ミリモル)をMeOH0.5mlに溶解し、溶液をアセトン5mlで希釈し、混合物を遊離塩基溶液に一度に添加する。反応液を2時間攪拌し、高粘度スラリーをアセトン10mlで希釈し、混合物を一晩攪拌する。固形物を、集め、新鮮なアセトンで洗浄し、乾燥して実施例1(a)(i)の化合物680mg(86%)を得る。1H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ1.64、1.85、2.00、2.11、3.07、3.25、3.50、4.32、6.48、7.21、8.35、8.41、9.05ppm。分析結果:C192136の理論値:C、58.91;H、5.46;N、10.85。 実測値:C、58.78;H、5.50;N、10.79。
【0153】
実施例1(a)(ii):
遊離塩基(20.5g)及びフマル酸(8.93g)を、n−ブチルアルコール(540mL)及び水(22mL)と混ぜる。得られた混合物を、攪拌し、70〜80℃に加熱して溶液を生成し、濾過により清澄化する。清澄化した溶液を、25℃〜30℃に冷却後、真空下で蒸留して体積約330mLまで濃縮して実施例1(a)(ii)の化合物を沈殿させる。得られたスラリーを、70℃〜80℃で14時間攪拌後、23℃に冷却する。さらに1時間攪拌後、実施例1(a)(ii)の化合物を濾取し、n−ブチルアルコールで2回(各50ml)洗浄する。実施例1(a)(ii)の化合物を、周囲窒素流で乾燥後、真空下60℃で乾燥して、実施例1(a)(ii)の化合物25.4gを得る(87%)。
【0154】
半フマル酸塩:
実施例1(b):
フマル酸(437mg)を、100mlジャケット付き反応器において、ジャケット温度約75℃(反応器温度約72℃)に加熱することにより、IPA15グラムに加熱溶解する。別個の反応器において、遊離塩基(19.98グラム(IPA中10重量/重量%))溶液を、ジャケット温度約75℃に加熱する。両方の反応器とも、攪拌を、約145rpmに設定する。フマル酸の全量が溶解したら、この溶液を、温度を72℃に維持しながら、ホールピペットにより遊離塩基溶液に移す。この移行は、10分間以内に完了する。移行が終わりに近づくにつれて固体が沈殿し始めた。得られたスラリーを、75℃で1時間保持し、直線的冷却傾斜を用いて10時間で20℃に冷却する。これを、20℃で7時間保持した後、60ml中フリット焼結ガラス漏斗に排出する。ケーキを、IPA(5ml)で洗浄し、15分間空気乾燥した。固形物を、45℃、28インチHg真空の真空オーブンに24時間入れる。
【0155】
濾液をHPLC分析すると、プロセスからのモル収率が約87%であることが分かる。酸溶液移行の完了直後及び75℃で1時間保持後に取り出した固体試料を分析すると、半フマル酸塩であることが分かる。最終的なオーブン乾燥した固体も、満足のいくものである。最終固体の概略バルク密度は、0.28g/ccである。
【0156】
実施例1(b)(i):
フマル酸(437mg)を、100mlジャケット付き反応器において、ジャケット温度約75℃(反応器温度約72℃)に加熱することにより、IPA15グラムに加熱溶解する。別個の反応器において、遊離塩基(19.97グラム(IPA中10重量/重量%))溶液を、ジャケット温度約75℃に加熱する。両方の反応器とも、攪拌を、約145rpmに設定する。フマル酸の全量が第一反応器において溶解したら、この酸溶液を、温度を約72℃に維持しながら、ホールピペットにより遊離塩基溶液に移す。この移行は、10分間以内に完了する。移行が終わりに近づくにつれて固体が沈殿し始めた。得られたスラリーを、約75℃で約1時間保持し、直線的冷却傾斜を用いて約20時間かけて約20℃に冷却する。温度を、20℃で約1時間保持した後、150ml中フリット焼結ガラス漏斗に排出する。ケーキを、IPA(10ml)で洗浄し、約2時間空気乾燥した。固形物を、約45℃、28インチHg真空の真空オーブンに約24時間入れる。
【0157】
濾液をHPLC分析すると、プロセスからのモル収率が約87%であることが分かる。酸溶液のチャージの完了直後及び75℃で1時間保持後に取り出した固体試料を分析すると、これらが半フマル酸塩であることが分かる。最終的なオーブン乾燥した固体も、半フマル酸塩の全ての特性を満足する。実施例1(b)(i)の化合物の概略バルク密度は、0.256g/ccである。
【0158】
実施例1(b)(ii):
フマル酸(437mg)を、100mlジャケット付き反応器において、ジャケット温度約75℃(反応器温度約72℃)に加熱することにより、IPA15グラムに加熱溶解する。別個の反応器において、結晶性遊離塩基2.0gを、ジャケット温度約75℃に加熱することにより、IPA20gに溶解する。両方の反応器とも、攪拌を、約145rpmに設定する。フマル酸の全量が溶解したら、遊離塩基溶液を、反応器温度を約72℃に維持しながら、ホールピペットにより酸溶液に移す。この移行は、10分間以内に完了する。移行が終わる前に、固体が沈殿し始める。得られたスラリーを、約75℃で約1時間保持し、直線的冷却傾斜を用いて約5時間かけて約20℃に冷却する。反応器温度を、約20℃で約1時間保持した後、150ml中フリット焼結ガラス漏斗に排出する。ケーキを、IPA(10ml)で洗浄し、約2時間空気乾燥した。次に、固形物を、約45℃、28インチHg真空の真空オーブンに24時間入れる。
【0159】
濾液をHPLC分析すると、プロセスからのモル収率が約95%であることが分かる。酸溶液移行の完了直後及び75℃で1時間保持後に取り出した固体試料を分析すると、これらが半フマル酸塩であることが分かる。最終的なオーブン乾燥した固体も、半フマル酸塩の全ての特性を満足する。
【0160】
実施例1(b)(iii):
フマル酸(399mg)を、100mlジャケット付き反応器において、ジャケット温度約75℃(反応器温度約72℃)に加熱することにより、IPA15グラムに加熱溶解する。別個の反応器において、結晶性遊離塩基2.0gを、ジャケット温度約75℃に加熱することにより、IPA20gに溶解する。両方の反応器とも、攪拌を、約145rpmに設定する。フマル酸の全量溶解したら、遊離塩基溶液を、反応器温度を約72℃に維持しながら、約10分間かけてホールピペットにより酸溶液に移す。移行が終わる前に、固体が沈殿し始める。得られたスラリーを、約75℃で約1時間保持し、直線的冷却傾斜を用いて約5時間かけて約20℃に冷却する。反応器温度を、約20℃で一晩保持し、反応混合物を、150ml中フリット焼結ガラス漏斗に排出する。ケーキを、IPA(10ml)で洗浄し、約2時間空気乾燥した。次に、固形物を、約45℃、28インチHg真空の真空オーブンに24時間入れる。
【0161】
濾液をHPLC分析すると、プロセスからのモル収率が約89%であることが分かる。酸溶液移行直後及び75℃で1時間保持後に取り出した固体試料を分析したところ、これらが半フマル酸塩であることが分かった。最終的なオーブン乾燥した固体も、半フマル酸塩の全ての特性を満足する。
【0162】
実施例1(b)(iv):
フマル酸(485mg)を、100mlジャケット付き反応器において、ジャケット温度約75℃(反応器温度約72℃)に加熱することにより、IPA15グラムに加熱溶解する。別個の反応器において、結晶性遊離塩基2.0gを、ジャケット温度約75℃に加熱することにより、IPA20gに溶解する。両方の反応器とも、攪拌を、約145rpmに設定する。フマル酸の全量が溶解したら、遊離塩基溶液を、反応器温度を約72℃に維持しながら、約10分間かけてホールピペットにより酸溶液に移す。移行が終わる前に、固体が沈殿し始める。得られたスラリーを、約75℃で約1時間保持し、直線的冷却傾斜を用いて約5時間かけて約20℃に冷却する。反応器温度を、約20℃で約1時間保持し、反応液を、150ml中フリット焼結ガラス漏斗に排出する。ケーキを、IPA(10ml)で洗浄し、約2時間空気乾燥した。次に、固形物を、約45℃、28インチHg真空の真空オーブンに24時間入れる。
【0163】
濾液をHPLC分析すると、プロセスからのモル収率が約91.5%であることが分かる。酸溶液移行直後及び75℃で1時間保持後に取り出した固体試料を分析したところ、これらが半フマル酸塩であることが分かった。最終的なオーブン乾燥した固体も、半フマル酸塩の全ての特性を満足する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

で表される化合物のフマル酸塩、又は前記塩がそのフマル酸塩であることを条件にその医薬組成物、ラセミ混合物若しくは純粋な鏡像異性体。
【請求項2】
前記化合物が、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの一フマル酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記塩が、結晶性であり、さらに粉末X線回折パターンにおいて、18.90°及び24.97°の2θにおいて特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
前記結晶が、18.21°、18.90°、21.74°及び24.97°の2θにおいて特徴的な粉末X線回折の回折ピークを有する、請求項3に記載の塩。
【請求項5】
前記化合物が、N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキサミドの半フマル酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項6】
前記塩が、結晶性であり、さらに粉末X線回折パターンにおいて、19.84°及び24.83°の2θにおいて特徴的な回折ピークを有する、請求項5に記載の塩。
【請求項7】
前記結晶が、粉末X線回折パターンにおいて、17.59°、18.43°、19.84°、22.74°及び24.83°の2θにおいて特徴的な粉末X線回折の回折ピークを有する、請求項5に記載の塩。
【請求項8】
前記塩が、0.3%未満の水分を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塩。
【請求項9】
前記塩が、0.2%未満の水分を有する、請求項8に記載の塩。
【請求項10】
前記塩が、0.1%未満の水分を有する、請求項8に記載の塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフマル酸塩と、場合により抗精神病薬とを含む、医薬組成物。
【請求項12】
治療を必要としている哺乳動物における疾患又は状態を治療するための薬剤の調製のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフマル酸塩の使用であって、ここで、治療的有効量の前記フマル酸塩の投与により、哺乳動物において症状軽減がなされる、前記使用。
【請求項13】
前記疾患又は状態が、アルツハイマー病の認知および注意欠陥症状、アルツハイマー病などの疾患に関連する神経変性、初老期痴呆(軽い認知障害)、老人性痴呆症、統合失調症、精神病、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、気分障害及び感情障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動障害及び認知障害、エイズ痴呆複合症、ダウン症候群に関連する痴呆、レビ小体型痴呆、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、ピック病、心的外傷後ストレス障害、過食症及び神経性食欲不振症を含む摂食失調症、禁煙および依存薬物中止に関連する離脱症状、ジルドゥラトゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は痛みに関連する症状である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
一フマル酸塩の調製方法であって、以下のステップ:
遊離塩基をアルコールに加熱して溶解するステップ;
少なくとも1当量のフマル酸を添加するステップ;
溶液から前記塩を沈殿させるステップ;
前記塩を集め、場合により前記塩を洗浄し、乾燥するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項15】
半フマル酸塩の調製方法であって、以下のステップ:
遊離塩基をアルコールに溶解するステップ;
約0.5当量のフマル酸をアルコールに溶解して調製した溶液を添加するステップ;
前記酸溶液を前記遊離塩基溶液に添加するステップ;
前記塩を集め、場合により前記塩を洗浄し、乾燥するステップ、
を含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−510664(P2006−510664A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558940(P2004−558940)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005607
【国際公開番号】WO2004/052894
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】