説明

1−メチルニコチンアミド類似体

本発明は、対象中の1−メチルニコチンアミドまたは重水素化種の血中濃度を上昇させるのに有用な1−メチル−ニコチンアミドの誘導体および類似体に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1−メチルニコチンアミド(1−MNA)は、抗炎症作用を含む、多様な生物学的活性を示す: Biedron et al., 2008, “1-Methylnicotinamide and nicotinamide: two related anti-inflammatory agents that differentially affect the functions of activated macrophages”, J. Arch. Immunol. Ther. Exp. (Warsz) 56(2):127-34, and references therein; Gebicki et al., 2003, “1-Methylnicotinamide: a potent anti-inflammatory agent of vitamin origin”, Pol. J. Pharmacol. 55(1):109-12。
【0002】
1−MNAは脂質異常症の薬剤として臨床試験の対象であってきた。同様に、PCT/IB06/004013、PCT/EP05/05057および米国特許出願番号11/715,660などに開示されるように、前臨床実験に基づいて、様々な治療指標が、この分子について提案されてきた。これらの出願のそれぞれは、プロスタサイクリン(PGI)の放出を刺激する1−MNAの能力の実証を含む。また、Chlopicki et al., 2007, “1-Methylnicotinamide (MNA), a primary metabolite of nicotinamide, exerts anti-thrombotic activity mediated by a cyclooxygenase-2/prostacyclin pathway” , Br. J .Pharmacol. 152(2):230-9もまた参照。
【0003】
1−MNAは、脳血管関門を通過しない有機カチオンであり、明らかに細胞に入らない。Smolenskiらによる最近の研究は、1−MNAがヒト被験者中で2〜3時間の半減期を有することを証明する。1−MNAに多様な生物学的活性および付随した有用性が与えられているため、細胞内で、半減期を増加させ、その分布を拡大させ、その効果を測定するように設計されたストラテジーを確立することは、相当に興味深い。したがって、当技術分野において、例えば、1−MNAの血中濃度を上昇させ、効果的な1日1回の投薬形態を可能とする能力を提供するかもしれない、より長期に作用する1−MNAの処方についての長年にわたる切実な、しかし満たされないニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、1−MNAの半減期を増加させる1−MNA類似体、誘導体、およびそれらの重水素化種に関する。
【0005】
一態様において、本発明は、式Iまたは式II:
【化1】

式中、
各Rは、出現毎に独立してHまたはDからなる群から選択され;
は、出現毎に独立してH、DまたはCRからなる群から選択され、但し、Rが1個の分子に2個置換してもよい場合には、両方の出現がCRではなく;
またはRのうち少なくとも1個は、Dであり;
は、存在する場合には、薬学的に許容し得る対イオンである、
で表される化合物を含む。
【0006】
別の態様において、本発明は、その必要がある対象に治療上有効な量の式(I)または(II)で表される化合物を投与することを含む、疾病または疾患を治療するまたは診断する方法を含む。
【0007】
一態様において、疾病または疾患は、心臓病、糖尿病、癌、骨粗鬆症、肥満、皮膚疾患、静脈血栓症、心筋梗塞、発作(stroke)、鬱血性心不全、アルツハイマー病、湿疹、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、脳血管けいれん、冠攣縮性狭心症、気管支ぜんそく、早期陣痛、勃起障害、緑内障、血管平滑筋細胞増殖、心筋肥大、マリグノーマ(malignoma)、虚血再灌流傷害(ischemia/reperfusion-induced injury)、内皮機能不全、クローン病、大腸炎、過敏性腸疾患(irritable bowel disease)、神経突起伸長、レイノー病、アンギナ、または、良性前立腺過形成である。
【0008】
さらに、別の態様において、式(I)または(II)で表される化合物は、経口的に、経鼻的に、経直腸的に、経膣内的に、膀胱内に、非経口的に、口腔(buccal)に、舌下に、または局所的に、投与される。
【0009】
別の態様において、式(I)または(II)で表される化合物は、澱粉、糖、セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤(wetting agent)、乳化剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、調味料、芳香剤、防腐剤、抗酸化剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬化剤(hardner)、セッティング剤(setting agent)、懸濁剤、界面活性剤、保湿剤(humectant)、担体および安定剤、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される1または2以上の薬学的に許容し得る添加剤を用いて製剤される。
【0010】
さらなる態様において、対象は、哺乳動物である。さらに別の態様において、対象は、ヒトである。
またさらに別の実施態様において、薬学的に許容し得る対イオンは、塩化物、臭化物、安息香酸、サリチル酸、酢酸、クエン酸、酪酸からなる群から選択される。
【0011】
開示された内容の組成物および方法について本発明から予見されるように、一つの観点において、本発明の態様は、ここに開示される要素および/またはステップを含む。別の観点において、本発明の実施態様は、本質的にここに開示される要素および/またはステップからなる。さらに別の観点において、この発明の実施態様は、ここに開示される要素および/またはステップからなる。
【0012】
発明の詳細な説明
1−MNAの血中濃度を上昇させる方法は、1,4−ジヒドロ−1−メチル−ニコチンアミドのようなプロドラッグを投与することである:Erb et al., 1999, Biochem. Pharmacol. 57 (6):681-4。Erbらは、脳へ浸透可能なプロドラッグ、1,4−ジヒドロ−1−メチルニコチンアミド(ジ−ヒドロ−MNA)を合成および投与し、そして脳細胞外液中の1−MNAおよび塩素の濃度に対する影響を検査した。ジ−ヒドロ−MNA(1mmol/kg、s.c.)の投与により、HPLCで測定したところ、それぞれ血漿および肝臓中において1−MNAの濃度が4および9倍となった。同時に、脳組織中の1−MNA濃度は、20倍に増加した。脳細胞外液中において、ジ−ヒドロ−MNA(1−3mmol/kg、s.c.)の注射は、1−MNAの濃度を>10μMの最大レベルまで、3から10倍まで上昇させる。
【0013】
Perioliらは、いくつかのNSAIDの可能性のある新規なプロドラッグを合成した(“Potential prodrugs of non-steroidal anti-inflammatory agents for targeted drug delivery to the CNS”, Eur. J. Med. Chem. 2004, 39 (8):715-27中)。これらの新規なNSAID前駆体は、脳へのNSAIDの到達を増加させるために開発された。Perioliの分子中、対象NSAIDのカルボキシレート基は、アミノアルコールブリッジを介して、1,4−ジヒドロ−1−メチルピリジン−3−カルボキシレート部分と結合している。これらの修飾は、NSAIDの親油性を元の値を超えて増加させている。この技術分野で十分認知されているように、親油性は、薬物の経口の吸収についての重要な基準である。したがって、1−MNAよりも親油的な化合物である、1,4−ジヒドロ−N−メチル−ニコチンアミドの使用は、1−MNAの血中濃度を上昇させ、臨床において目標とする薬理学的エンドポイントを達成する有望な手段を提供する。
【0014】
他の1−MNAの血中濃度を上昇させるアプローチは、1−MNAの分解へつながる異化経路を阻害することにより達成されることができる。1−MNAの修飾を伴う主要な代謝経路は、アルデヒド・オキシダーゼ酵素を伴う(Obach et al., 2004, “Human liver aldehyde oxidase: inhibition by 239 drugs.” J. Clin. Pharmacol. 44 (1):7-19.)。アルデヒド・オキシダーゼは、ピリジン環の2−および4−位への水の付加を触媒し、生じた水酸基の酸化が続けて起こる。水酸化1−MNAの酸化は、1個のH分子、すなわち2個のプロトンと2個の電子、に相当する損失を必要とする。
【0015】
原則として、1−MNAの代謝は、1−MNAの2または4−位のどちらかまたは両方におけるアルキル基(例えば、説明のみの目的のため、CH)または重水素原子の存在により抑制されうる。特定の理論に結び付けられることを望まないのであれば、重水素標識されたまたはアルキル化1−MNA異性体は、母体をなす1−MNAと比較して遥かにゆっくりと代謝され、すべて軽水素の母体によって達成される濃度以上の定常の1−MNA濃度を生じさせ得る。
【0016】
ジ−ヒドロ−MNAはin vivoで代謝して1−MNAとなることから、ジヒドロ種の重水素類似体は、また、1−MNA濃度を上昇させる観点から有用であると考えられる。1位におけるCHの代わりに、モノ、ジまたはトリ重水素メチル基(すなわち、‐CH、式中、xおよびyは、独立して0、1、2または3であり、かつx+y=3である。)を含有する構造もまた開示されている。
【0017】
定義
本発明のこれらおよび別の態様は、便宜のためにここに収集された下記の定義を参照しつつ説明される。
冠詞「a」および「an」は、ここでは、冠詞の文法的目的の1というよりも、1または1より大きい(すなわち、少なくとも1)を参照して使用される。例えば、「要素」(an element)は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0018】
ここで使用される用語「治療」または「治療する」は、疾病もしくは疾患または疾病もしくは疾患の症状を、治す(cure)、治癒する(heal)、楽にする(alleviate)、緩和する(relieve)、変える(alter)、修復する(remedy)、改善する(ameliorate)、改良する(improve)または、それに作用する目的で、治療薬、すなわち本発明の化合物(単独または1または2以上の追加の化合物と組み合わせて)を対象へ適用するまたは投与する、あるいは、本発明の化合物で治療可能な疾病または疾患を有する対象から(例えば、診断またはex vivo適用のため)分離した組織または細胞系に治療薬を適用または投与することと定義される。このような治療は、薬理ゲノム学の分野から得られる知識に基づいて、具体的に適合されまたは修正される
【0019】
用語「対象」は、本発明の化合物で治療可能な疾病または疾患が発生し得る生体を含む。用語「対象」は、動物、例えば哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)、ウサギ、リス、クマ、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、ゴリラおよびヒト))はもちろん、ニワトリ、カモ、ガチョウおよびこれらの形質転換種ならびに細胞、例えば、これらに由来する不死化または未不死化細胞を含む。
【0020】
本発明の組成物の対象を治療するための投与は、対象中の本発明の化合物で治療することのできる疾病または疾患(リポタンパク質異常など)を治療するのに有効な投薬、期間で、既知の方法を用いて行われ得る。治療効果を得るために必要な治療化合物の有効量は、要因、例えば、対象中の疾病または疾患の状態、年齢、性別および対象の重量、ならびに対象中の問題の疾病または疾患(リポタンパク質異常など)を抑制する治療化合物の能力によって、変化し得る。投与計画は、最適な治療反応を与えるように調節され得る。例えば、いくつかの分割投与量が日毎に投与され、または投与量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例して減少され得る。本発明の治療化合物の有効な投与量の範囲の非限定の例は、1〜500mg/体重kg/日の間の範囲である。当業者は、過度の実験をすることなく、関連する要因を研究し、および、治療化合物の有効量についての決定をすることが可能であろう。
【0021】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量の水準は、患者に有毒となることなく、特定の患者、組成物、および投与の様式について所望する治療反応が達成されるのに有効な活性成分の量を得るために、変化し得る。
【0022】
特に、選択される投薬量の水準は、本発明で用いられる特定の化合物の活性、投与の時間、用いられる特定の化合物の排出率、治療の継続期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物または物質、治療される患者の年齢、性別、重量、体調、全体的な健康および従前の病歴、ならびに、医療分野で周知の要因などを含む、様々な要因に依存するであろう。
【0023】
当分野において通常の知識を有する医者(medical doctor)、例えば、医師(physician)または獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされる水準よりも低い水準で医薬組成物中の本発明で用いられる化合物の投薬を開始し、次第に投薬を所望する効果が達成されるまで増加させることができる。
【0024】
投薬の計画は、何が有効量を構成するかに影響を与える。治療製剤は、疾病または疾患(リポタンパク質異常など)の発現前または後のいずれかに、対象に対して投与できる。さらに、いくつかに分割された投薬量および時間差の投薬量が、日毎にまたは順次に投与されてよく、あるいは、投与は、連続的に注入されてもよく、あるいは、大量瞬時投与であってもよい。さらに、治療製剤の投薬量は、治療または予防状況の緊急性によって示されるように、比例するように増加され、または減少され得る。
【0025】
特定の態様では、投与の容易性および投薬量の均一性のために、投薬単位形態に組成物を製剤することが特に有利である。ここで使用される投薬単位形態は、治療される対象へのまとまった投薬量として適した物理的に分離した単位をいう:予め決定された量の治療化合物を含むそれぞれの単位は、必要とされる薬学的ビヒクルと関係して、所望する治療効果を生じるように計算される。本発明の投薬単位形態の明細は、(a)治療化合物独特の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)対象中の疾病または疾患(リポタンパク質異常など)に対するこのような治療化合物を配合/製剤する分野においての固有の制限によって表され、直接依存する。
【0026】
本発明の化合物
本発明の化合物は、式Iまたは式II:
【化2】

式中、
各Rは、出現毎に独立してHまたはDからなる群から選択され;
は、出現毎に独立してH、DまたはCRからなる群から選択され、但し、Rが1個の分子に2個置換してもよい場合には、両方の出現がCRではなく;
またはRのうち少なくとも1個は、Dであり;
は、存在する場合には、薬学的に許容し得る塩が形成されるように、薬学的に許容し得る対イオンである、
に従った化合物を含む。
【0027】
本明細書において、専門語「薬学的に許容し得る塩」とは、無機酸、有機酸、溶媒和物、水和物、またはこれらのクラスレートを含む薬学的に許容し得る毒性を有さない酸から調製される、投与される化合物の塩をいう。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸およびリン酸である。好適な有機酸は、例えば、脂肪族、芳香族、カルボン酸およびスルホン酸の有機酸類から選択でき、これらの例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラ−トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸等である。
【0028】
投与についての、1−メチル−ニコチンアミド、または誘導体、修飾物、あるいはこれらの組み合わせは、約1ngから約10,000mg、約5ngから約9,500mgまで、約10ngから約9,000mgまで、約20ngから約8,500mgまで、約30ngから約7,500mgまで、約40ngから約7,000mgまで、約50ngから約6,500mgまで、約100ngから約6,000mgまで、約200ngから約5,500mgまで、約300ngから約5,000mgまで、約400ngから約4,500mgまで、約500ngから約4,000mgまで、約1μgから約3,500mgまで、約5μgから約3,000mgまで、約10μgから約2,600mgまで、約20μgから約2,575mgまで、約30μgから約2,550mgまで、約40μgから約2,500mgまで、約50μgから約2,475mgまで、約100μgから約2,450mgまで、約200μgから約2,425mgまで、約300μgから約2,000まで、約400μgから約1,175mgまで、約500μgから約1,150mgまで、約0.5mgから約1,125mgまで、約1mgから約1,100mgまで、約1.25mgから約1,075mgまで、約1.5mgから約1,050mgまで、約2.0mgから約1,025mgまで、約2.5mgから約1,000mgまで、約3.0mgから約975mgまで、約3.5mgから約950mgまで、約4.0mgから約925mgまで、約4.5mgから約900mgまで、約5mgから約875mgまで、約10mgから約850mgまで、約20mgから約825mgまで、約30mgから約800mgまで、約40mgから約775mgまで、約50mgから約750mgまで、約100mgから約725mgまで、約200mgから約700mgまで、約300mgから約675mgまで、約400mgから約650mgまで、約500mg、または約525mgから約625mgまでの範囲であり得る。
【0029】
投与の剤形
別の態様において、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物を保持する容器、および、対象中にある本発明の化合物で治療可能な1または2以上の疾病または疾患の1または2以上の症状を治療し、予防し、または抑制するために該化合物を使用するための使用説明書(instruction)を含む包装された医薬組成物に関する。
【0030】
用語「容器」は、医薬組成物を保持するための任意の入れ物を含む。例えば、一態様において、容器は、医薬組成物を含有するパッケージングである。他の態様において、容器は、医薬組成物を含むパッケージングでなく、すなわち、容器は、包装された医薬組成物または包装されていない医薬組成物および、該医薬組成物を使用するための使用説明書を含む箱、ガラス瓶などの入れ物である。さらに、包装技術は、当該分野において周知である。使用説明書が包装された製品とさらに機能的な関係を形成するように、医薬組成物を使用するための使用説明書は、医薬組成物を含む包装上に含まれてもよいことは理解されるべきである。
【0031】
本発明の別の態様は、治療的有効量の1−メチル−ニコチンアミド、または類似体、誘導体、修飾物またはこれらの組み合わせ、および薬学的に許容し得る担体を含む、医薬組成物である。
専門語「治療的有効量」は、対象中にある1もしくは2以上の疾病または疾患を治療するために有効な、本発明の一定の化合物あまたは1もしくは2以上本発明の化合物の組み合わせの量を表現する。
【0032】
専門語「薬学的に許容し得る担体」は、本発明の化合物をそれが意図する機能を発揮できるように対象内へまたは対象へ輸送(carry)または運搬(transport)するのに伴う薬学的に許容し得る材料、組成物または担体、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、溶媒または封入材料を含む。典型的には、このような化合物は、1つの器官または体の部分から、他の器官または体の部分へ輸送または運搬される。各担体は、剤形の他の成分と適合し、および患者に有害でないという意味で「許容し得」なければならない。薬学的に許容し得る担体として使用できる材料のいくつかの例は、糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;添加剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス;オイル、例えば、ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;ピロゲン−フリーウォーター;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに製剤処方で用いられる他の無毒な適合可能な物質を含む。ここで用いられる「薬学的に許容し得る担体」は、また、任意かつ全てのコーティング剤、抗生物質および抗真菌薬ならびに、吸収遅延剤、ならびに、上記化合物の活性と適合し、かつ対象に生理的に許容し得るその他を含む。補助的な活性化合物もまた、組成物に組み込まれ得る。
【0033】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、これらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。適当な流動性は、例えば、レシチンのコーティングを用いることにより、分散の場合において求められる粒径を維持することにより、および界面活性剤を使用することにより、維持され得る。微生物の活動の防止は、様々な抗生物質、抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成され得る。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、または多価アルコール、例えば、マンニトールおよびソルビトールを組成物中に含むことが好ましいであろう。注入可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物中に含ませることにより、発揮され得る。一態様において、薬学的に許容し得る担体は、DMSO単独ではない。
【0034】
本発明の化合物は、任意の好適な経路、例えば、経口的または非経口的、例えば、経皮的、経粘膜的(例えば、舌下的、舌的、(経)口腔的、(経)尿道的、膣的(例えば、経膣および膣周囲)、鼻腔(内)および(経)直腸的)、膀胱内、肺内、十二指腸内、脊髄内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入および局所投与などによって、投与されるように製剤されてもよい。
【0035】
好適な組成物および剤形は、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸剤(pills)、ジェルカプセル、トローチ剤、分散液、懸濁液、溶液、シロップ、顆粒剤、ビーズ、経皮貼布、ゲル剤、散剤、ペレット剤、マグマ、菓子錠剤、クリーム、ペースト剤、膏剤、ローション剤、ディスク(disk)、坐剤、経鼻または経皮投与のための液体噴霧、吸入のための乾燥散剤またはエアゾール剤形、膀胱内投与のための組成物および剤形等を含む。本発明で有用な剤形および組成物は、ここに記載される具体的な剤形および組成物に限定されないことを理解すべきである。
【0036】
例えば、経口投与については、本発明の化合物は、薬学的に許容し得る添加剤、例えば、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、コーンスターチ、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、グリコール酸でん粉ナトリウム)、または湿潤剤(wetting agent、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と従来の手段により作成された錠剤またはカプセルの形態であってもよい。所望する場合、錠剤は、適切な方法およびコーティング材料、例えば、Colorcon, West Point, PAから入手可能なOPADRY(登録商標)フィルムコーティングシステム(例えば、OPADRY(登録商標) OY型、OY−C型、有機腸溶性OY−P型、水性腸溶性OY−A型,OY−PM型、およびOPADRY(登録商標) ホワイト、32K18400)を用いてコートされることができる。経口投与のための液体製剤は、溶液、シロップまたは懸濁液の形態であってもよい。液体製剤は、薬学的に許容し得る付加剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、または水添化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステルまたはエチルアルコール);および防腐剤(メチルもしくはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)と従来の手段により作成されることができる。
【0037】
非経口投与のために、本発明の方法に用いるための本発明の化合物は、注射
または注入、例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下注射もしくは注入するために、または大量瞬時投与および/もしくは連続注輸で投与するために製剤されてもよい。随意に他の製剤用剤(formulatory agent)、例えば、懸濁化剤、防腐剤および/または分散剤を含む、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳液を用いることができる。
【0038】
経粘膜投与は、粘膜組織への適用に適した任意の剤形の種類または投薬単位を用いて行われる。例えば、選択された活性薬剤は、粘着錠剤もしくは貼付剤で口腔粘膜投与されてもよく、固形投薬形態が舌の下に配置されることにより舌下投与されてもよく、固形投薬形態が舌の上に配置されることにより舌投与されてもよく、液滴もしくは径鼻噴霧として経鼻投与されてもよく、エアゾール剤形、非エアゾール液体剤形もしくは乾燥散剤を吸入することにより投与されてもよく、直腸内もしくは付近に配置されてもよく(経直腸的剤形)、または、坐剤、膏薬等として尿道へ投与されてもよい。
【0039】
経尿道的投与に関しては、剤形は、活性薬剤および1または2以上の選択された担体または添加剤、例えば、水、シリコーン、ワックス、ワセリン、ポリエチレングリコール(「PEG」)、プロピレングリコール(「PG」)、リポソーム、糖、例えば、マンニトールおよびラクトース、および/もしくは様々な他の材料を含む、経尿道的投薬形態を有してもよい。経尿道的浸透促進剤が、投薬形態に含まれていてもよい。好適な浸透促進剤の例は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N,N−ジメチルアセトアミド(「DMA」)、デシルメチルスルホキシド(「C10 MSO」)、ポリエチレングリコールモノラウレート(「PEGML」)、グリセロールモノラウレート、レシチン、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、特に、1−n−ドテシルシクラザシクロヘプタン−2−オン(Nelson Research & Development Co., Irvine, Calif.より登録商標Azone(登録商標)として入手可能)、SEPA(登録商標)(Macrochem Co., Lexington, Mass.より入手可能)、例えば、Tergitol(登録商標)、Nonoxynol−9(登録商標)およびTWEEN−80(登録商標)を含む上述した界面活性剤、ならびに低級アルカノール、例えば、エタノールを含む。
【0040】
経直腸的投薬形態は、肛門坐剤、クリーム、膏薬および液剤(浣腸剤)を含んでよい。経直腸的送達のための肛門坐剤、クリーム、膏薬または液剤は、治療的有効量の選択された活性薬剤および1または2以上の経直腸的薬物投与に適した従来の無毒の担体を含む。本発明の経直腸的投薬形態は、従来の方法を用いて製造されることができる。経直腸的投薬単位は、素早くまたは数時間の期間にわたって崩壊するように製作されてもよい。崩壊完了の時限は、約10分から約6時間まで例えば、3時間より短くてもよい。
【0041】
経膣または膣周囲的投薬形態は、膣坐剤、クリーム、膏薬、液剤、ペッサリー、タンポン、ゲル、ペースト剤、フォーム(foam)または噴霧を含んでもよい。膣または膣周囲的送達のための坐剤、クリーム、膏薬、液剤、ペッサリー、タンポン、ゲル、ペースト剤、フォーム(foam)または噴霧は、治療的有効量の選択された活性薬剤および1または2以上の経膣または膣周囲的薬物投与に適した従来の無毒の担体を含む。本発明の経膣または膣周囲的形態は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、前掲(また、米国特許番号6,515,198;6,500,822;6,417,186;6,416,779;6,376,500;6,355,641;6,258,819;6,172,062;および6,086,909号で適合された薬物剤形もまた参照)に開示された従来の方法を用いて製造されることができる。経膣または膣周囲的投薬単位は、素早くまたは数時間の期間にわたって崩壊するように製作されてもよい。崩壊完了の時限は、約10分から約6時間まで例えば、3時間より短くてもよい。
【0042】
活性薬剤は、鼻腔内にまたは吸入により投与されてもよい。鼻腔内投与のための組成物は、一般的に噴霧または液滴の形状としての投与のための液剤であり、けれども、鼻腔内投与のための散剤、例えば、吸入剤、経鼻ゲル、クリーム、ペースト剤または膏薬また他の好適な剤形を用いることができる。液剤については、活性薬剤は、溶液、例えば、水もしくは生理食塩水、緩衝もしくは非緩衝、または懸濁液に製剤されてもよい。ある態様において、このような溶液または懸濁液は、鼻腔分泌物と比較して等張であり、または例えば、pH約4.0からpH約7.4まで、もしくはpH約6.0からpH約7.0まで変動する、同一のpHである。緩衝液は、生理学的に適合可能であるべきであり、例えば、リン酸緩衝液を含む。さらに、スポイト、スクィーズボトルおよび手動でまたは電気的に製粉する鼻腔内ポンプディスペンサーを含む様々な機構が液滴、小滴および噴霧の生成のために当該分野において利用可能である。
【0043】
活性薬物含有経鼻担体は、また、鼻腔内粘膜表面との所望の持続的な接触によって決定される、粘度が例えば、約10から約6500cpsまたはそれより大きい、経鼻ゲル、クリーム、ペースト剤または膏薬を含んでもよい。このような担体が粘稠な剤形は、例えば、アルキルセルロースおよび/または他の当該分野に周知の高粘度の生体適合担体(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Philadelphia, PA, Lippincott Williams & Wilkins, 2005を参照)をベースとしてもよい。付加的な粘度、保湿性ならびに感じのよい質感および匂いを与えるために、他の成分、例えば、防腐剤、着色剤、潤滑にするまたは粘稠な鉱物または植物油、香料、天然または合成の植物抽出物、例えば、芳香油および、保湿剤(humectant)および増粘剤、例えば、グリセロールが含まれていてもよい。
【0044】
吸入のための剤形は、エアゾール剤、活性薬物が担体(例えば、高圧ガス(propellant))に溶解した溶液エアゾール剤または活性薬物が担体および随意の溶媒に懸濁または分散した分散液エアゾール剤のいずれかとして、調製されてもよい。
【0045】
吸入のための非エアゾール製剤は、液体、典型的には水懸濁液の形態をとってもよいが、けれども、水溶液がまた使用されてもよい。このような場合、担体は、典型的には、剤形が通常の体液と比較して等張となるような濃度を有する塩化ナトリウム溶液である。担体に加えて、液剤は、水、ならびに/あるいは殺菌性防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、チメロサールおよびこれらの組み合わせ)、緩衝剤(例えば、クエン酸、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノパルミタートおよびこれらの組み合わせ)および/または懸濁化剤(例えば、寒天、ベントナイト、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガカント、VEEGUMおよびこれらの組み合わせ)を含む添加剤を含んでいてもよい。吸入のための非エアゾール製剤は、また、乾燥散剤、特に、散剤が約0.1μmから約50μmまで、例えば、約1μmから約25μmまでの平均粒径を有する吹入剤を含んでいてもよい。
【0046】
局所剤形は、体表面への適用に適した任意の形態であってよく、また、例えば、膏薬、クリーム、ゲル、ローション剤、溶液、ペースト剤等を含んでもよく、ならびに/またはリポソーム、ミセルおよび/もしくはミクロスフェアを含むように調製されてもよい。ある態様において、本明細書における局所剤形は、膏薬、クリームおよびゲルである。
【0047】
本発明の1−メチル−ニコチンアミド、もしくは誘導体、修飾物またはこれらの組み合わせは、また、従来の経皮的薬物送達系を用いて皮膚または粘膜組織を通じて投与されてもよく、ここで、薬剤は、皮膚に貼る薬物送達機構の役割を果たす積層構造(典型的には、経皮「貼付剤」という)中に含まれている。経皮的薬物送達は、受動拡散を伴ってもよく、または、それはエレクトロトランスポート(electrotransport)、例えば、電離療法を用いて促進されてもよい。典型的な経皮「貼付剤」では、薬物組成物は、層または上方の裏張り層に延在する「リザーバ」に含まれる。積層構造は、一つのリザーバを含んでもよく、またはそれは複数のリザーバを含んでもよい。「モノリシック」系というある種類の貼付剤では、リザーバは、薬物送達中に系を皮膚に貼付する役割を果たす薬学的に許容し得る接触粘着材料の高分子マトリックスからなる。皮膚接触粘着材料の好適な例は、限定されないが、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン等を含む。あるいは、薬物含有リザーバおよび皮膚接触粘着剤は、分離して、別個の層であり、粘着剤は、この場合上述した高分子マトリックスでありまたは液体もしくはハイドロゲルリザーバでありまたは他の形態をとるリザーバ上に延在する。
【0048】
脊髄内投与に利用される一般的なシステムのひとつは、Medtronic, Inc. (Minneapolis, MN)より入手可能なAPT脊髄内治療システムである。ATP脊髄内は、腹部の皮膚下に外科的に配置される小さなポンプを用い、脊髄内空間へ直接医薬(medication)を送達する。当該医薬は、また外科的に配置されたカテーテルと呼ばれる小さな管を通じて送達される。医薬は、その後、直接脊髄中の細胞に、下部尿路疾患に関連する感覚および運動信号を伝えることを伴いながら、投与されてよい。
【0049】
本明細書において、用語、嚢内投与は、一般的な意味での、嚢への直接薬物の送達を意味するように用いられる。嚢内投与の好適な方法は、例えば、米国特許番号6,207,180および6,039,967号に見出せ得る。
【0050】
さらなる本発明の投薬形態は、米国特許番号6,340,475;6,488,962;6,451,808;5,972,389;5,582,837;および5,007,790号に記載の投薬形態を含む。さらなる本発明の投薬形態は、米国特許出願番号20030147952、20030104062、20030104053、20030044466、20030039688および20020051820号に記載の投薬形態を含む。さらなる本発明の投薬形態は、PCT特許出願番号WO03/35041、WO03/35040、WO03/35029、WO03/35177、WO03/35039、WO02/96404、WO02/32416、WO01/97783、WO01/56544、WO01/32217、WO98/55107、WO98/11879、WO97/47285、WO93/18755およびWO90/11757号に記載の投薬形態を含む。
【0051】
ある多様において、本願発明の剤形は、限定されないが、短期の、迅速なオフセットはもちろん、制御された、例えば、徐放性、遅延性、パルス型放出の剤形であってよい。
【0052】
用語、徐放は、連続した期間にわたって薬物の漸進的な放出もたらし、必ずではないが、連続した期間にわたって薬物の実質的に一定の血中濃度を与え得る薬物剤形をいう従来の意味で用いられる。期間は、1月またはそれより長くもの長い間とすることができ、ボーラス形態で投与された同量の薬剤よりも長い放出であるべきである。
【0053】
徐放のために、化合物は、好適な、化合物に徐放特性を与える疎水性材料または高分子で製剤されてもよい。そのようなものとして、本発明の方法の使用のための化合物は、微粒子の例えば、注射による、形態、または埋め込みによるウェハーもしくはディスクの形態で投与されてよい。
【0054】
用語、遅延放出は、本明細書において、薬物投与に続くいくらかの遅延の後薬物の初期放出をもたらし、必ずではないが、約10分から約12時間までの遅延を含み得る薬物剤形をいう従来の意味で用いられる。
用語、パルス型放出は、本明細書において、薬物投与後に薬物のパルス状の血漿プロファイルをもたらす薬物剤形をいう従来の意味で用いられる。
用語、即時放出は、本明細書において、薬物投与後即時の薬物の放出をもたらす薬物剤形をいう従来の意味で用いられる。
【0055】
本明細書において、短期は、薬物投与後、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分または約10分まで、およびそれを含む、任意の期間をいう。
本明細書において、迅速なオフセットは、薬物投与後、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分または約10分まで、およびそれを含む、任意の期間をいう。
【0056】
本発明の化合物の治療的有効量または投与量は、患者の年齢、性別、体重、患者の現在の医学的状態、および治療される疾患または疾病(例えば、リポタンパク質異常)の性質に依るであろう。当業者は、適当な投与量をこれらおよび他の要因に従って決定できるであろう。本発明の化合物の好適な投与量は、1日あたり約500mgから約10,000mgの範囲、約750mgから3000mgまでなど、例えば、約50mgから1000mgまで、1日あたり約75mgから750mgまでなどであり得る。投与は、一回の投薬で、または複数回の投薬、例えば、1日あたり1から4回もしくはより多くの回数で投与される。複数回の投薬が用いられた場合、各投薬の量は、同一であることも異なることもできる。例えば、1日あたり100mgの投与量が、2回の50mgの投与量として、各投与量の間の間隔が約12時間で、投与されてもよい。
【0057】
1日あたりの化合物の投与の量は、毎日、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、5日おき等で投与されてもよいことは理解できる。例えば、1日おきの投与において、1日あたり500mgの用量は、月曜日に最初の1日あたり500mgの用量で開始され、水曜日に1回目の引き続く1日あたり500mgの用量が投与され、金曜日に2回目の引き続く1日あたり500mgの用量が投与されるなどでもよい。
【0058】
本発明の方法における使用のための化合物は、単位投薬形態に製剤されてもよい。用語「単位投薬形態」は、治療を受ける対象へのまとまった投薬量として適切な物理的に別個の単位をいい、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された予め決定された量の活性材料を、随意に適切な薬学的担体を伴って含む。単位投薬形態は、1回の1日投与量または複数回の1日投与量のうち一つ(例えば、1日あたり約1から4回またはより多くの回数)であってよい。
複数回の1日投与量が使用された場合、単位投薬形態は、各投与量で、同一または異なってよい。
【0059】
当業者は、プロドラッグ形態を含むここで開示された特定の手順、態様、クレームおよび実施例に対する多数の均等を理解し、ルーチン実験以上を用いずに確認できるであろう。このような均等は、本発明の範囲内にあると考えられ、ここに付加されたクレームによって包括される。例えば、分野において認識された代替およびルーチン実験以上を用いない、反応時間、反応規模/容量、および実験試薬、例えば、溶媒、触媒、圧力、雰囲気条件、例えば、窒素雰囲気、ならびに還元/酸化試薬等を含む反応条件の修正は、本出願の範囲内にあることを理解すべきである。
【0060】
どのような値および範囲が、例えば、対象の人々の年齢、投薬量、および血中濃度について、本願明細書で提供されたとしても、これらの値と範囲に包含されるすべての値と範囲は、本発明の範囲内に包含されることを意味することが理解されるであろう。さらに、これらの範囲、ならびに値の範囲の上限または下限、に含まれる全ての値は、本出願によって、また、意図されている。
【0061】
本出願を通じて引用されたすべての参考文献、発行された特許および公開された特許出願の内容は、ここに明示的にその全体が参照によって組み込まれる。任意の本明細書中に記載された化合物の使用は、本発明の範囲内であり、また本願発明に包含されることが意図されており、さらに明示的に本願明細書に全ての目的において組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの式(I)または式(II):
【化1】

式中、
各Rは、出現毎に独立してHまたはDからなる群から選択され;
は、出現毎に独立してH、DまたはCRからなる群から選択され、但し、Rが1個の分子に2個置換してもよい場合には、両方の出現がCRではなく;
またはRのうち少なくとも1個は、Dであり;
は、存在する場合には、薬学的に許容し得る対イオンである、
で表される化合物を含む組成物。
【請求項2】
が、塩化物、臭化物、安息香酸、サリチル酸、酢酸、クエン酸、酪酸からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
その必要がある対象の疾病または疾患を治療するまたは診断する方法であって、
式(I)または式(II):
【化2】

式中、
各Rは、出現毎に独立してHまたはDからなる群から選択され;
は、出現毎に独立してH、D、CRからなる群から選択され、但し、Rが1個の分子に2個置換してもよい場合には、両方の出現がCRではなく;
またはRのうち少なくとも1個は、Dであり;および、
は、存在する場合には、薬学的に許容し得る対イオンである、
で表される化合物を少なくとも1つ含む組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
疾病または疾患が、心臓病、糖尿病、癌、骨粗鬆症、肥満、皮膚疾患、静脈血栓症、心筋梗塞、発作、鬱血性心不全、アルツハイマー病、湿疹、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、脳血管けいれん、冠攣縮性狭心症、気管支ぜんそく、早期陣痛、勃起障害、緑内障、血管平滑筋細胞増殖、心筋肥大、マリグノーマ、虚血再灌流傷害、内皮機能不全、クローン病、大腸炎、過敏性腸疾患、神経突起伸長、レイノー病、アンギナ、または良性前立腺過形成である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの式(I)または式(II)で表される化合物が、経口的に、経鼻的に、経直腸的に、経膣内的に、膀胱内に、非経口的に、口腔に、舌下に、または局所的に、投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
式(I)または式(II)で表される少なくとも一種の化合物が、澱粉、糖、セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、調味料、芳香剤、防腐剤、抗酸化剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬化剤、セッティング剤、懸濁剤、界面活性剤、保湿剤、担体および安定剤、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される1または2以上の薬学的に許容し得る添加剤を用いて製剤される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
対象が、哺乳類である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
対象が、ヒトである、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519946(P2011−519946A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508614(P2011−508614)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/042906
【国際公開番号】WO2009/137527
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510294014)コートリア・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】