説明

1つのカーボンナノチューブ導電性層を有するタッチスクリーン

【課題】従来技術よりも効果的にタッチスクリーンの厳しい要件を満たす湿式塗布・ロール・ツー・ロール製造方法によって得られる、改善されたタッチスクリーン電極を提供する。
【解決手段】タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、タッチスクリーンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、電子デバイスのためのタッチスクリーンに関する。具体的には本発明は、タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、タッチスクリーンを提供する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル・ディスプレイのようなデバイスは、透明電極としてインジウム錫酸化物(ITO)層を備えた基板を含有する。ITOの塗布は、最大250℃の高い基板温度条件を伴う真空スパッタリング法によって行われ、従ってガラス基板が一般に使用される。無機ITO層並びにガラス基板の脆弱性に起因する、このような電極の高い製作方法コスト、及び低い可撓性は、潜在的な用途の範囲を制限してしまう。結果として、可撓性基板としてプラスチック樹脂を、そして電極としてカーボンナノチューブ又は有機導電性ポリマー層を含む、有機だけから成るデバイスを形成することに関心が高まりつつある。このようなプラスチック電子装置は、新しい特性を有する低コストのデバイスを可能にする。可撓性のプラスチック基板には、(スパッタリングのようなバッチ法と比較して)連続的なホッパー又はローラ塗布法によって、導電性ポリマー層を設けることができ、そしてその結果得られる有機電極は、可撓性がより高く、コストがより低く、しかもより軽量であるような電子デバイスの「ロール・ツー・ロール」製作を可能にする。タッチスクリーン(タッチパネル又はタッチスイッチとも呼ばれる)は、コンベンショナルなCRTにおいて、そしてコンピュータのフラットパネル・ディスプレイ・デバイスにおいて、また具体的にはポータブル・コンピュータとともに幅広く使用される。図1は、タッチスクリーンの、デバイスに近い方の側に位置する第1電極15(以下、デバイス側電極と呼ぶ)と、タッチスクリーンの、使用者に近い方の側に位置する第1電極16(以下、タッチ側電極と呼ぶ)とを含む典型的な従来技術の抵抗型タッチスクリーン10を示している。デバイス側電極15は、第1の導電性層を有する透明基板12を含む。タッチ側電極16は、典型的には可撓性透明支持体である透明支持体17と、誘電(絶縁)スペーサ要素20によって第1の導電性層14から物理的に分離された第2の導電性層18とを含む。これらの導電性層を横切って電圧が発生させられる。導電性層14及び18は、電力使用量及び位置検知精度を最適化するように選択された抵抗を有する。外部の物体、例えば指やスタイラスによってタッチ側電極16を変形させると、第2の導電性層18は、第1の導電性層14と電気的に接触させられ、これにより導電性層間で電圧が移動される。この電圧の規模は、変形させる物体の位置を検出するために、導電性層18及び14の縁部に形成された金属バスバー導電性パターン(図示せず)に接続されたコネクタ(図示せず)を介して測定される。
【0003】
デバイス側及びタッチ側の電極上の透明導電性層として、ITOが一般に採用される。しかしながらITOは、応力下で亀裂を形成する傾向があり、また特にタッチ側電極に関して、電極の導電率が低下し、そしてタッチスクリーンの性能が劣化する結果を伴う。この用途のためには、より可撓性の導電性ポリマー含有層も考慮されているが、しかし、これらの導電性ポリマーは、ITOよりも軟質であり、且つ物理的に耐久性が低く、従ってこのような導電性層は、繰り返しされた接触後に劣化する傾向がある。
【0004】
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は本質的に、巻かれて中空円筒体にされ、これにより、六角形及び五角形を成して配列されたsp2混成カーボンから成る外径0.4 nm〜10 nmの細管をもたらすグラフェンシートである。これらのSWCNTの各端部は典型的には、SWCNTの直径に適したサイズの半球形フラーレン(バッキーボール)でキャップされる。しかしながら、これらのエンドキャップは、細管をキャップしない状態で残す適切な処理技術によって除去することもできる。SWCNTは、単一の細管として、或いは、典型的にはロープ又はバンドルと呼ばれる集合形態で存在することができる。これらのロープ又はバンドルは、チューブ間の間隔がほぼ3〜4Åである三角格子を形成する、ファンデルワールス相互作用によって集合させられた数百のSWCNTを含有することができる。SWCNTロープは、連携するSWCNTバンドルから成ることができる。
【0005】
SWCNTの固有の特性は、多くの用途における使用にとってこれらを魅力的なものにする。SWCNTは高い電子伝導率(例えば金属伝導率)、高い熱伝導率、高いモジュラス及び引張り強度、高いアスペクト比、及びその他の独自の特性を有することができる。さらに、SWCNTは、炭素原子の幾何学的配列及びSWCNTの物理的寸法に応じて、金属、半金属、又は半導体であってよい。単層カーボンナノチューブのサイズ及び構造を特定するために、システムが開発され、下記に説明され、そして現在利用されている。SWCNTは指数(n, m)によって記述され、n及びmは、単一の六角形グラファイト・ストリップを、このストリップが巻かれて円筒形にされたときにその縁部が継ぎ目なしに接合するように、どのように切断するかを記述する整数である。n=m、例えば(n, n)である場合、結果として得られるチューブは、「ひじ掛け椅子」又は(n, n)型であると言われる。それというのも、チューブがチューブ軸に対して垂直に切断されると、六角形の辺だけが露出され、そしてチューブ縁部の周囲の六角形のパターンは、ひじ掛け椅子のひじ掛けとシートとがn回繰り返されたものに似ているからである。m=0の場合、その結果として生じたチューブは、「ジグザグ」又は(n, 0) 型であると言われる。それというのもチューブがチューブ軸に対して垂直に切断されると、エッジはジグザグのパターンになるからである。n≠m及びm≠0の場合、その結果として生じたチューブはキラル性を有する。電子特性は構造に依存し、例えばひじ掛け椅子型チューブは金属であり、極めて高い導電性を有している。他のチューブ・タイプはこれらの構造に応じて金属、半金属、又は半導体である。SWCNTはキラル性とは無関係に、極めて高い熱伝導性及び引張り強度を有している。SWCNTの金属(ほぼ4.7 eV)タイプ及び半導体(ほぼ5.1 eV)タイプの仕事関数は異なる。
【0006】
炭素同素体(例えばグラファイト、ダイヤモンド)の他の形態と同様に、これらのSWCNTは、扱いにくく、また、たいていの溶剤(有機及び水性など)中に本質的に不溶性である。従って、SWCNTは、種々の用途のために加工するのが極めて困難であった。SWCNTを種々の溶剤中に可溶性にするいくつかの方法が採用されている。1つのアプローチは、SWCNTの端部を親水性又は疎水性部分で共有結合的に官能化することである。第2のアプローチは、SWCNTを可溶化するのを助けるために、高レベルの界面活性剤及び/又は分散剤(小分子又は高分子)を添加することである。
【0007】
Lavin他は米国特許第6,246,134号明細書において、SWCNTを使用したポリマー複合体の形成方法を開示している。この方法は、SWCNTの少なくとも一方の側がポリマーに化学結合されているSWCNT/ポリマー複合材料の溶融押出し手段を提供し、ポリマーは、線状又は分枝状ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、又はポリウレタンから選択される。この方法は、溶剤に基づく処理の機会を提供せず、パターニング又はデバイス形成の機会を制限し得る溶融押出しに限定される。同定された、化学結合されたポリマーは、典型的には高い分子量を有しており、そしてSWCNTに巻付いてチューブ間の接触を妨げることによって、SWCNTのいくつかの材料特性(例えば電子又は熱輸送)を妨害するおそれがある。
【0008】
Connell他は、米国特許出願公開第2003/0158323号明細書において、電子伝導性であり透明であるポリマー/SWCNT複合体を製造する方法を記載している。ポリマー(ポリイミド、コポリイミド、ポリアミド酸、ポリアリーレンエーテル、ポリメチルメタクリレート)、及びSWCNT又はMWCNTは、可視スペクトルにおける種々の透過率とともに、10-5〜10-12 S/cmの導電率を有する皮膜を流延するために、有機溶剤(DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、トルエン)中で混合される。加えて、結果として生じるポリマーのモノマーを、好適な溶剤中でSWCNTと混合し、種々の重量比を有する複合体をもたらすために、これらのSWCNTの存在において重合することもできる。これらのポリマー複合体中で達成される導電率は、桁違いに低すぎ、電子伝導体又はEMIシールドとしてたいていの電子デバイス内で使用するのに最適ではない。加えて、使用される有機溶剤は毒性であり、高価であり、そして処理の問題を引き起こす。さらに、使用又は重合されるポリマーは、導電性ではなく、そしてチューブ間の接触を妨げて、複合体の抵抗率をさらに高めるおそれがある。
【0009】
Kupel他は国際公開第03/060941号パンフレットにおいて、懸濁されたカーボンナノチューブを形成するための組成物を開示している。これらの組成物は、好適な界面活性剤(臭化/塩化/ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム)とともに液体、及びSWCNT又はMWCNTから成っている。例に提供されたSWCNTに対する界面活性剤の重量比は1.4〜5.2である。この方法は、SWCNTを可溶化するために極めて高いレベルの界面活性剤を必要とするため問題をはらむ。界面活性剤は絶縁性であり、この組成物から堆積された皮膜の導電性を妨害する。界面活性剤を皮膜から洗浄することはできるが、しかしこの工程は複雑さを増し、そして処理の効率を減少させるおそれがある。さらに、このような組成物から堆積された皮膜から形成される構造に起因して、界面活性剤すべてを除去することは極めて難しくなる。
【0010】
Papadaopoulos他の米国特許第5,576,162号明細書には、画像形成要素内部で主に静電防止材料として使用されるべきカーボンナノ繊維を含む画像形成要素が記載されている。これらの材料は、多くの現在の電子デバイス、特にディスプレイにおいて必要な、高透明且つ高導電性(低いシート抵抗Rs)の層を提供することができない。
【0011】
Smalley他は米国特許第6,645,455号明細書において、種々の溶剤中の溶媒和を容易にするためにSWCNTを化学的に誘導体化するための方法を開示している。最初に、種々の誘導基(アルキル鎖、アシル、チオール、アミノ、アリールなど)は、SWCNTの端部に添加される。SWCNTの側壁は主としてフッ素基で官能化され、フッ素化SWCNTを生じさせる。2-プロパノール中のこのような「フルオロチューブ」の溶解度限界は、ほぼ0.1 mg/mLであり、水又は水/アセトン混合物中では溶解度は本質的にゼロである。メチル化SWCNTを生成するために、フッ素化SWCNTに更なる化学反応を施し、これらのチューブはクロロホルム中で低い溶解度を有するが、しかしその他の溶剤中には溶解度を有さない。このような低い濃度は大量生産において有用なほとんどの堆積技術にとって実際的でなく、そして使用不能である。さらに、このような高い液体ロード率は、余分の乾燥を考慮に入れる必要があり、そして過剰の溶剤からの混合に起因して、パターン化された画像を破壊するおそれがある。加えて、この方法は、種々の官能化基(アシル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキル、アミノ、ハロゲン、チオール)による細管端部の官能化を開示するが、しかし、端部官能化だけでは、可溶化を介して実現可能な分散体を製造するのに十分でないことがある。さらに、側壁官能化はフッ素だけで行われ、このことはアルコール中の溶解度を制限し、このような溶解度制限は、製造及び製品加工をより難しくするおそれがある。加えて、フッ素化SWCNTはフッ素化に起因して絶縁体であり、そしてこれにより、特に電子伝導体としては電子デバイスにとって有用でない。さらに、SWCNTの終点にこれらの官能基を添加するために必要な化学転換は、有害であり高価であり得る追加の処理工程及び化学物質を必要とする。
【0012】
Smalley他は米国特許第6,683,783号明細書において、長さ5〜500 nmのSWCNTをもたらす、SWCNT材料の精製方法を開示している。この特許明細書の中では、水中に0.1 mg/mLのSWCNTを分散させるために、0.5重量%の界面活性剤Triton X-100を使用する配合物が開示されている。このような低い濃度のSWCNTは、大量生産において有用なほとんどの堆積技術にとって実際的でなく、そして使用不能である。さらに、このような高い液体ロード率は、余分の乾燥を考慮に入れる必要があり、そして過剰の溶剤からの混合に起因して、パターン化された画像を破壊するおそれがある。加えて、この方法は、種々の官能化基(アシル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキル、アミノ、ハロゲン、チオール)による細管端部の官能化を開示するが、しかし、端部官能化だけでは、可溶化を介して実現可能な分散体を製造するのに十分でないことがある。さらに、SWCNTの終点にこれらの官能基を添加するために必要な化学転換は、有害であり高価であり得る追加の処理工程及び化学物質を必要とする。また、上記特許明細書は、少なくとも99重量%の単層カーボン分子である当該組成物を開示しており、このことは明らかに、SWCNT上に配置することができる官能化量を制限し、これにより、その可溶化レベル及び処理可能性を制限する。
【0013】
Rinzler他は、国際公開第2004/09884号パンフレットにおいて、波長3 umにおいて200オーム/□及び少なくとも30 %の透過率を達成するように、多孔質膜上にSWCNT膜を形成する方法を開示している。この方法は、多数のサブミクロン孔を備えた高容積の孔を有する多孔質膜(例えばポリカーボネート又は混合セルロースエステル)を必要し、このことは、前記孔を通してかなりな量のSWCNT分散体を失い、これにより、かなりな量の材料を無駄にするおそれがあるので不利である。また、このような膜は、多くの電子デバイス、例えばディスプレイに必要とされる光学透明度を有さない場合がある。さらに膜は、真空濾過システム内部に設けられ、このことは、このようなシステムの処理可能性を重度に制限し、そしてSWCNT溶液のロール・ツー・ロール塗布用途を不可能にする。さらに、SWCNT膜を形成するために使用された分散体の重量パーセントは、水溶液中0.005 mg/mLであった。このような重量パーセントはこのような高液体ロード率とともにたいていの塗布システム及び堆積システムにおいて実際的でなく、使用不能である。このような高液体ロード率は、溶剤の広がり、ひいては画像のにじみ/破壊に起因して、パターン化された画像を形成するのを事実上不可能にする。
【0014】
Blanchet-Fincher他は、国際公開第02/080195号パンフレット及び米国特許出願公開第20040065970号明細書において、ポリアニリン(PANI)及びSWCNT又はMWCNTから成る高導電性組成物、及びこのような組成物を供与体要素から受容基板上へ堆積させる方法を示している。エメラルジンポリアニリンの窒素塩基塩誘導体を、有機溶剤(トルエン、キシレン、トゥルピノール、芳香族化合物)中でSWCNTと混合し、そして流延して、導電率値62 S/cm(PANI中1 wt%のSWCNT)及び44 S/cm(PANI中2 wt%のSWCNT)の膜を形成する。これらの膜は、材料転写システムのために使用するものとして適した多層供与体構造の一部として生成することができる。PANI/SWCNT複合体は、供与体シートから好適な受容体基板へ、像様形態で転写される。PANIは、濃く着色された導電性ポリマーであり、そしてその結果、透明度及び色において満足できない導電性複合体をもたらすことがある。満足できない透明度及び色は、ディスプレイのような用途にとっては望ましくないことがある。
【0015】
Hsuは、国際公開第2004/029176号パンフレットにおいて、電子伝導性有機ポリマー/ナノ粒子複合材料のための組成物を開示している。ポリアニリン(Ormecon)又はPEDT(Baytron P)を、モリブデン・ナノワイヤ又はカーボンナノチューブ(8 n直径、20 um長、60 S/cm)と混合する。上記発明において開示された組成物は、導電率が最小限であることにより不利になる。
【0016】
Arthur他は国際公開第03/099709号パンフレットにおいて、カーボンナノチューブ塗膜をパターン化する方法を開示している。イソプロピルアルコール(IPA)及び水(粘度改質剤を含むことができる)中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が基板上に噴霧塗布される。SWCNT塗膜の適用後、バインダーが像様印刷され、そして硬化される。或いは、標準的なフォトリソグラフィ法を用いて画像を形成するために、光画定性バインダーを使用することができる。バインダーで基板に保持されない材料は、洗浄によって除去される。粘度改質剤を含むイソプロピルアルコール(IPA)及び水中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が、基板上にグラビア塗布される。イソプロピルアルコール(IPA)及び水中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が、基板上に噴霧塗布される。SWCNTの電子特性を有意に変化させるために、塗布された皮膜は次いで、マスクを通して高強度光源に当てられる。この工程に続いて、バインダー塗布が行われる。これらの方法において用いられる分散体濃度は、直接堆積(インクジェットなど)技術を介して画像を生成するのを極めて難しくする。さらに、低固形分分散体に起因して溶剤ロード率がこのように高くなることにより、長い処理時間及び過剰溶剤の取り扱いの難しさがもたらされる。加えて、これらのパターン化方法は、追加の除去工程を介してSWCNT材料を不必要に廃棄し、これによりコスト及びプロセス時間を招く減法プロセスである。この出願はまた、このような組成物から導電性組成物及び塗膜を形成する方法を開示してはいるが、満足できる方法も、このような方法を実施するための組成物も教示していない。
【0017】
電気光学的ディスプレイ・デバイス、例えば液晶ディスプレイ・デバイス(LCD)、エレクトロルミネセント・ディスプレイ・デバイス、フォトセル、タッチスクリーン、固体画像センサー、及びエレクトロクロミック・ウィンドウなどの製造に際しては、或いは、これらのデバイスの成分、例えば電磁妨害(EMI)シールドとして、金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン・ドープ型酸化錫、及び錫酸カドミウム(酸化カドミウム錫)の透明電子伝導性層(TCL)が広く使用されている。
【0018】
本来的に導電性(電子伝導性とも呼ばれる)のポリマーが、その電子伝導性を理由として、最近種々の業界から大きな注目を浴びている。これらのポリマーの多くは濃く着色されており、TCL用途にはあまり適さないものの、これらの本来的に導電性のポリマーのうちのいくつか、例えば、置換型又は無置換型ピロール含有ポリマー(米国特許第5,665,498号明細書及び同第5,674,654号明細書に記載)、置換型又は無置換型チオフェン含有ポリマー(米国特許第5,300,575号、同第5,312,681号、同第5,354,613号、同第5,370,981号、同第5,372,924号、同第5,391,472号、同第5,403,467号、同第5,443,944号、同第5,575,898号、同第4,987,042号、及び同第4,731,408号の各明細書に記載)、及び置換型又は無置換型アニリン含有ポリマー(米国特許第5,716,550号、同第5,093,439号、及び同第4,070,189号の各明細書に記載)は、透明であり、また少なくとも、中程度の被覆率で薄い層で塗布されたときには、ひどく濃くは着色されない。イオン伝導性ではなく電子伝導性を有することにより、これらのポリマーは、低い湿度でさえも導電性である。
【0019】
ディスプレイ関連デバイスにおいて電子伝導性ポリマーを適用することは、従来より構想されてきた。欧州特許出願公開第9910201号明細書には、抵抗型タッチスクリーンにおいて使用するための光透過性導電性ポリマー塗膜を有する光透過性基板が記載されている。米国特許第5,738,934号明細書には、導電性ポリマー塗膜を有するタッチスクリーン・カバーシートが記載されている。
【0020】
薄膜無機発光ダイオードの製造のために商業的なポリチオフェン塗布シート、例えばAgfaのOrgaconを使用することが、米国特許第6,737,293号明細書に示唆されている。しかし、後で論じるように、このような製品の表面電気抵抗率に対する透明度は、いくつかの用途にとって十分でない場合がある。
【0021】
液晶ディスプレイ内で面内切換えモードにおいてフリンジ・フィールドを防止するために導電性高分子フィルムを使用することが、米国特許第5,959,708号明細書に提案されている。しかし、これらのフィルムに対する所要導電率はさほど厳しくないように見える。例えば1つの態様(第5欄、第6〜7行)の場合、高分子フィルムは全体的に非導電性であることができる。さらに、米国特許第5,959,708号明細書は、これらのフィルムの透過特性に関する使用に言及していない。
【0022】
ポリチオフェンと酸化ケイ素との複合材料を使用して、陰極線管のためのガラス基板上に透明塗膜を使用することが、米国特許第6,404,120号明細書に開示されている。しかしこの方法は、ガラス上でエチレンジオキシチオフェン・モノマーを現場重合し、高温でこれを焼成し、続いてテトラエチルオルトシリケートで洗浄することを示唆する。このような込み入ったプロセスは、幅広可撓性プラスチック基板のロール・ツー・ロール製造のために実施するのは難しいことがある。
【0023】
導電性膜として、ITOの代わりに、現場重合されたポリチオフェン及びポリピロールを使用することが、米国特許出願公開第2003/0008135号明細書に提案されている。前述のように、このようなプロセスは、導電性塗膜のロール・ツー・ロール製造のために実施するのが難しい。同じ特許出願において、結果として劣った塗膜特性をもたらすポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の分散体を使用して、比較例を形成した。
【0024】
ポリチオフェン中に内蔵するために、導電率増強剤、例えばジヒドロキシ又はポリヒドロキシ及び/又はカルボキシ基又はアミド基又はラクタム基を含む有機化合物を添加することが、米国特許第5,766,515号明細書に示唆されている。
【0025】
上に示したように、当業者は、電子デバイス内に内蔵することができる種々様々な電子伝導性TCL組成物を開示している。しかしながら、最近のディスプレイ・デバイス及び特にタッチスクリーンによって要求される、高い透明度、低い表面電気抵抗率、可撓性、及び繰り返しの接触下での堅牢性という厳しい要件は、従来技術において記載されたTCL組成物を用いて達成することは極めて難しい。このように、環境上望ましい成分を使用して、典型的な製造条件下で種々様々な基板上にロール・ツー・ロール塗布することができる透明導体が、依然として決定的に必要である。優れたタッチスクリーン電極性能を提供するのに加えて、TCL層はまた、高透明でなければならず、湿度変化の影響に抵抗しなければならず、物理的に堅牢でなければならず、そして妥当なコストで製造可能でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
好ましくは、従来技術よりも効果的にタッチスクリーンの厳しい要件を満たす湿式塗布・ロール・ツー・ロール製造方法によって得られる、改善されたタッチスクリーン電極を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、タッチスクリーンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、従来技術の抵抗型タッチスクリーンの断面を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の非対称電極を採用する抵抗型タッチスクリーンの断面を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の抵抗型タッチスクリーンの別の態様を示す図である。
【図4】図4は、本発明の抵抗型タッチスクリーンの別の態様を示す図である。
【図5】図5は、本発明のタッチスクリーンの構造を示す分解図である。
【図6A】図6Aは、閉じた端部を備えた細管を有するプリスチンな単層カーボンナノチューブを示す概略図である。
【図6B】図6Bは、開いた端部を備えた細管を有するプリスチンな単層カーボンナノチューブを示す概略図である。
【図7A】図7Aは、閉じた端部を備えた細管を有する官能化された単層カーボンナノチューブを示す概略図である。
【図7B】図7Bは、開いた端部を備えた細管を有する官能化された単層カーボンナノチューブを示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の単層電極及び多層電極を試験するために、本発明において製作されたタッチスクリーンを示す分解図である。
【図9】図9は、単層Bekaert ITOタッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としてのオン状態の抵抗プロフィールを、下記比較例1の結果に基づいて示す図である。
【図10】図10は、Bekaert ITO単層に対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記比較例1の結果に基づいて示す図である。
【図11】図11は、Baytron P AG(PEDOT/PSS)単層に対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記比較例2の結果に基づいて示す図である。
【図12】図12は、単層導体Baytron P AGタッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としてのオン状態の抵抗プロフィールを、下記比較例2の結果に基づいて示す図である。
【図13】図13は、単層導体Keytec ITOタッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記比較例4の結果に基づいて示す図である。
【図14】図14は、単層導体Keytec ITOタッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、オン状態の抵抗プロフィールを、下記比較例4の結果に基づいて示す図である。
【図15】図15は、対向電極としてKeytec ITOとBaytron P AGとを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、オン状態の抵抗プロフィールを、下記比較例5の結果に基づいて示す図である。
【図16】図16は、本発明によるBekaert ITO及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記本発明例1の結果に基づいて示す図である。
【図17】図17は、本発明によるBekaert ITO及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、オン状態の抵抗プロフィールを、下記本発明例1の結果に基づいて示す図である。
【図18】図18は、本発明によるBaytron P AG(架橋剤を含有する)及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記本発明例2の結果に基づいて示す図である。
【図19】図19は、本発明によるBaytron P AG(架橋剤を含有する)及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、オン状態の抵抗プロフィールを、下記本発明例2の結果に基づいて示す図である。
【図20】図20は、対向電極としてKeytec ITOと、カーボンナノチューブ(露出層)及びPedot/PSS(第1層又は埋込み層)とを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、タッチスイッチを作動させるための力を、下記本発明例3の結果に基づいて示す図である。
【図21】図21は、対向電極としてKeytec ITOと、カーボンナノチューブ(露出層)及びPedot/PSS(第1層又は埋込み層)とを有する非対称電極タッチスイッチに対応する、単一点作動回数の関数としての、オン状態の抵抗プロフィールを、下記本発明例3の結果に基づいて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、タッチスクリーンを提供する。
【0030】
本発明のタッチスクリーンは、構成において非対称の電極を含む。すなわち、デバイス側電極上の露出導電性層と比較して、タッチ側電極上の露出導電性層内には、異なる導電性材料が採用される。本発明の場合、タッチ側電極又はデバイス側電極(ただし両方ではない)は、カーボンナノチューブを含む露出導電性層を有する。加えて、スペーサ要素の互いに対向する側に位置する電極を、対向電極と呼ぶこともできる。本発明のこのような対向電極は、構成において非対称の電極を含む。
【0031】
露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、本発明のタッチスクリーンは、ITOを含むタッチ側電極とデバイス側電極とを採用する(対称構成)コンベンショナルなタッチスクリーンと比較して、タッチスクリーンの改善された耐久性を提供する。下記の詳細な説明から、これらの及びその他の利点が明らかになる。
【0032】
図2は、デバイス側電極25とタッチ側電極26とを含む、本発明の抵抗型タッチスクリーン39の1つの態様を示している。デバイス側電極25は順番に、絶縁基板29と、前記基板と接触する露出導電性層24とを含む。タッチ側電極26は順番に、絶縁基板27と、前記基板と接触する露出導電性層28とを含む。前記露出導電性層24及び28は隣り合っていて、誘電スペーサ32によって分離されている。好ましくは、露出導電性層のシート抵抗は、100〜106オーム/□である。
【0033】
図2に示された態様の場合、露出導電性層24又は28(ただし両方ではない)はカーボンナノチューブを含む。好ましくは、カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む。カーボンナノチューブを含まない他方の露出導電性層は、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。好適な電子伝導性ポリマーは、ポリピロール、ポリアニリン、又はポリチオフェンを含む。好適な透明導電性酸化物は、錫ドープ型酸化インジウム、フッ素ドープ型酸化亜鉛、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、インジウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン・ドープ型酸化錫、又はフッ素ドープ型酸化錫を含む。好適な透明金属膜は、銀、金、銅、パラジウム、白金、又はこれらの材料の合金を含む。
【0034】
本発明の抵抗型タッチスクリーンは好ましくは、物体(プラスチック又は金属スタイラス、指など)による点作動に対して機械的に堅牢である。タッチ側電極とデバイス側電極とが接触すると、タッチスクリーンがアクティブ化又は作動させられる。時間の経過とともに、繰り返しの接触、及びこのような接触中に加えられる力は、従来技術のタッチスクリーンを損傷する。このような損傷により、タッチスクリーンを作動させるために必要な力が徐々に大きくなる。本発明の好ましい態様において、タッチスクリーン上の点を作動させるのに必要となる力は、500,000回の単一点作動の間にわたって、500パーセントを上回って変化することはない。より好ましくは、タッチスクリーンを作動させるのに必要となる力は、100パーセントを上回って、そして最も好ましくは50パーセントを上回って変化することはない。単一点作動は、このようなタッチスクリーンを作動させるために、タッチスクリーン上の単一の点に物体を当てることである。
【0035】
本発明の導電性層において使用するのに適したカーボンナノチューブは、当業者に知られた任意の方法(レーザ・アブレーション、CVD、アーク放電)によって形成することができる。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブではない炭素質不純物(グラファイト、非晶質、ダイヤモンド、非管状フラーレン、多層カーボンナノチューブ)又は金属不純物を最小限にしか又は全く有さないことが好ましい。金属不純物及び炭素質不純物のレベルが減少するのに伴って、透明度が著しく増大することが判っている。金属不純物及び炭素質不純物の量が減少するのに伴って、層均一性、表面粗さ、及び粒子の低減によって証明される皮膜品質も改善される。
【0036】
高電子伝導性を達成するために、金属SWCNTがカーボンナノチューブの最も好ましいタイプであるが、しかし半金属及び半導体SWCNTを使用することもできる。プリスチンなSWCNTとは、SWCNTの表面が、合成調製、不純物の酸洗浄、アニーリング、又は指向性官能化を介して共有結合的に官能化された材料を含まないことを意味する。しかしながら本発明の目的上、SWCNTは好ましくは官能化されている。好ましい官能基は、カルボン酸、カルボン酸アニオン(カルボン酸塩)、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボニル、リン酸塩、硝酸塩、又はこれらの親水性種の組合わせから選択される親水性種である。いくつかの用途において、他のタイプの官能基、例えばポリマー、小分子、又はこれらの組合わせが必要とされることがある。例えばこのような官能化は、特定のポリマーマトリックス中のSWCNTの相容性を改善することができる。
【0037】
図5に目を転じると、開いた又は閉じた端部を有するプリスチンなSWCNTが示されている。プリスチンであるSWCNTは、高レベルの分散剤を使用することなしには、たいていの溶剤中、特に水性媒体中で本質的に扱いにくい。従って、水性塗布用組成物を生成するために、プリスチンなSWCNT及び水だけを使用することは可能でない。図6は、共有結合的に官能化されたSWCNTの基礎構造を例示する。図6におけるXは、上記親水性種のうちの1つから選択することができる。SWCNTの外面又は内面、開いた又は閉じた端部、又は側壁上の任意の点にXを位置決めできることは注目に値する。潜在的にほとんどの効果のために、Xは外面全体にわたって均一に分配されることが好ましい。
【0038】
最も好ましい共有結合的な表面官能基は、カルボン酸又はカルボン酸塩、又はこれらの混合物(以後、単にカルボン酸と呼ぶ)である。カルボン酸に基づく官能化の場合、SWCNT上の好ましい官能化炭素レベルは0.5〜100原子パーセントである。この場合、1原子パーセントの官能化炭素は、SWCNT中の100個の炭素毎に1つが、共有結合された官能基を有することを意味する。官能化炭素は、ナノチューブ上のいかなる場所に存在していてもよい(開いた又は閉じた端部、外側又は内側の側壁)。既に述べたように、好ましくは、官能化は、SWCNTの外面上で行われる。より好ましくは、官能化パーセント範囲は、0.5〜50原子パーセントであり、最も好ましくは0.5〜5原子パーセントである。これらの原子パーセント範囲内でこれらの基でSWCNTが官能化されると、コンベンショナルな塗布手段によって高導電性透明皮膜を形成するのに必要な固形分ローディング率で、安定した分散体を調製するのが可能になる。この方法は、実質的に水性の分散体中の極めて効果的な分散を可能にし、そして分散助剤を必要としない。加えて、最も効率的な官能化レベルは、カーボンナノチューブの電子特性を著しく変化させることなしに、所望の分散体を提供することになる。透明度は、バルク透過率が60 %を上回る導電性層として定義される。この透明度は、厚さ1マイクロメーター未満の薄い塗膜を製造することによって達成することができる。官能化は多数のルートによって実施することができる。典型的には原材料(官能化されていない)SWCNTは、混合物であってよい強酸化剤(塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、オレウム、硝酸、クエン酸、シュウ酸、クロロスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基性有機酸、二塩基性有機酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、セレート、臭素酸塩、過酸化水素、重クロム酸塩)の浴に添加される。硫酸、硝酸、過マンガン酸、及びクロロスルホン酸が、酸化及び官能化の有効性に基づき好ましい。1時間〜数日間のプロセス時間にわたって適宜に撹拌しながら、SWCNTと強酸化剤とのこの混合物の環流に際して、20〜120℃の温度が用いられるのが典型的である。このプロセスが終了すると、生SWCNTは今や官能化SWCNTである。残留する酸化剤は、官能化SWCNT(主としてカルボン酸官能化)の粉末が、乾燥するまで行われる適宜の加熱後に残されるように、分離技術(濾過洗浄、遠心分離、横流濾過)を介して除去される。
【0039】
分散体及び塗布用組成物のpHは重要である。pHがより塩基性になる(カルボン酸基のpKaを上回る)につれて、カルボン酸はイオン化され、これによりカルボン酸アニオンを、安定性を助成することができる嵩高な反発性の基にする。好ましいpHは、3〜10 pHである。より好ましいpHは3〜6である。
【0040】
SWCNTの長さは20 nm〜1 m、より典型的には20 nm〜50 umであってよい。SWCNTは、個々のSWCNTとして、又はSWCNTバンドルとして存在することができる。導電性層内のSWCNTの直径は、0.05 nm〜5 nmであってよい。バンドル形態を成すSWCNTの直径は、1 nm〜1 umであってよい。好ましくはこのようなバンドルは直径50 nm未満、好ましくは20 nm未満であり、長さ20 nm〜50 umとなる。電子の輸送を容易にするために、より大きい表面積が達成され、そして、より小さなバンドル・サイズを有し、これにより、バンドルの内側位置に位置していてアクセスすることができないSWCNTの表面を露出させることにより、より大きい有効表面積が達成されることが重要である。SWCNTの端部は、適宜のサイズの半球形バッキーボールによって閉じることができる。或いは、SWCNTの端部の両方が開いていてもよい。いくつかの事例では、一方の端部が開いており、そして他方の端部が閉じていることを見いだすことができる。
【0041】
0.05〜10重量%(500〜100000)ppmの範囲のSWCNT固形分ローディング率を有する水性分散体を形成するために、官能化SWCNT(上記のように製造されるか又は供給元から購入される)が使用される。より好ましくは、SWCNT固形分ローディング率は0.1〜5重量%である。最も好ましくは、固形分ローディング率は0.1〜1重量%である。このような固形分ローディング率は、容易な塗布が行われるのを可能にし、そしてロール塗布及び/又はインクジェット印刷を標準的技法で実施することができるように、粘度を最小限に抑える。官能化SWCNTはしばしば、粉末/フレーク形態を成しており、分散させるためにエネルギーを必要とする。典型的な分散プロセスは、数分間から1時間にわたって高剪断混合装置(ホモジナイザー、マイクロ流動化装置、カウル・ブレード高剪断ミキサー、自動媒体ミル、ボールミル)を使用することができる。我々はまた、官能化SWCNTを分散させるには、標準的な超音波処理及び浴超音波処理で十分であることを見いだした。典型的には、脱イオン水中1000 ppmのSWCNT分散体が、2〜24時間にわたって浴超音波装置によって形成される(親水性官能化レベルに依存する)。分散プロセス後、pHは所望の範囲に調節することができる。大きな粒子を除去するために、遠心分離又は濾過プロセスが用いられる。結果として得られる分散体は、静止状態で数か月にわたって安定となる(親水性官能化レベルに依存する)。この分散体は、多くの塗布技術に関して単一パス・モードで導電性塗膜を生成するのに十分に高い固形分ローディング率を有する。
【0042】
本発明の導電性層は、乾燥塗膜重量約0.1〜約1000 mg/m2の官能化SWCNTを含有するべきである。好ましくは、導電性層は、乾燥塗膜重量約0.5〜約500 mg/m2の官能化SWCNTを含有するべきである。乾燥塗膜中のこのようなSWCNT範囲は、標準的な塗布方法によって容易に到達することができ、最良の透過特性をもたらし、そして、最も望ましいシート抵抗を達成するためのコストを最小限に抑える。実際の乾燥塗膜重量は、採用される特定の導電性官能化SWCNTの特性によって、そして特定の用途に対する要件によって決定され、これらの要件は、例えば、層の導電率、透明度、光学濃度、コストなどを含んでよい。
【0043】
好ましい態様の場合、導電性SWCNTを含有する層は:
a) 式Iに基づくSWCNT:
【0044】
【化1】

【0045】
(上記式中、R1及びR2のそれぞれは独立してカルボン酸、カルボン酸アニオン(カルボン酸塩)、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボニル、リン酸塩、硝酸塩を表し、そしてチューブは、実質的に六角形形態を成す炭素原子から構成された単層カーボンナノチューブである)、及び任意選択的に
b) 分散剤、及び任意選択的に
c) 高分子バインダー
を含有する混合物を適用することにより調製される。
【0046】
R1及びR2置換基は、SWCNT全体にわたって均一又は不均一に分配されてよい。分散体中の分散剤ローディング率は、最小限ないしは無しであることが好ましい。最大分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の50重量%であることが好ましい。より好ましい分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の5重量%未満である。最も好ましい分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の0重量%である。分散剤レベルが低下するのに伴って、電子伝導率は上昇する。選択することができる数多くの分散剤がある。好ましい分散剤は、オクチルフェノールエトキシレート(TX-100)、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホネート)、ナトリウム塩、ポリ(ビニルピロリドン)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロック・コポリマー(Pluronics又はPoloxamers)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij 78、Brij 700)、及び臭化セチルトリメチルアンモニウム又は臭化ドデシルトリメチルアンモニウムである。これらの分散剤は、電子伝導性に対する影響が最小限であるように好ましい低い分散剤ローディング率で、カーボンナノチューブを効果的に分散することができる。これらの分散剤の好適な混合物を利用することができる。
【0047】
加えて、本発明の官能化のための好ましい態様では、好ましくは、官能基が:
R-SOxZy
【0048】
(上記式中、Rは、SWCNTの格子内部の炭素であり、xは1〜3であってよく、そしてZは、水素原子、又は、Na、Mg、K、Ca、Zn、Mn、Ag、Au、Pd、Pt、Fe、Coのような金属の金属カチオンであってよく、そしてyは0又は1であってよい)から選択された硫黄含有基又はこれらの親水性種の組合わせであることが可能である。上記硫黄含有基は、スルホン酸、スルホン酸、及び/又はスルホン酸、及び/又は対応するアニオン又はこれらの混合物を含有してよい。共有結合表面官能化のための最も好ましい硫黄含有基は、スルホン酸又はスルホン酸塩又はこれらの混合物(以後、単にスルホン酸と呼ぶ)である。共有結合スルホン酸が、硫黄含有基のなかで、最良のカーボンナノチューブ分散体を提供する。
【0049】
環境上の理由から、実質的に水性のカーボンナノチューブ分散体(分散体中少なくとも60重量%の水を意味する)が、カーボンナノチューブ層の適用のために好ましい。
【0050】
本発明の実施に適した電子伝導性ポリマーは、有機溶剤又は水又はこれらの混合物中で可溶性又は分散性であってよい。導電性ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)は、2つのルートのうちのいずれかによって供給することができる。第1に、PEDOTは、モノマー、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)が好適な溶剤(例えばブタノール)中に溶解される現場酸化重合を介して合成することができる。過硫酸アンモニウム、及び有機酸及び無機酸の鉄(III)塩を含む、使用可能な多数の酸化剤がある。第2に、ポリアニオン、例えばポリスチレンスルホン酸と混合されたカチオン性PEDOTの水性分散体を使用することができる。環境上の理由から、水性組成物が好ましい。
【0051】
好ましい電子伝導性ポリマーは、その色が比較的無色に近いことから、3,4-ジアルコキシ置換型ポリチオフェンスチレンスルホネートを含む。最も好ましい電子伝導性ポリマーは、ポリスチレンスルホン酸とともにカチオン形態のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含むポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェンスチレンスルホネート)を含む。上記ポリマーを選択することの利点は、これらが光及び熱に対して安定なポリマー構造を有する、主として水を基剤とする安定した分散体であり、また、貯蔵、健康、環境及び取り扱いに対する懸念を最小限しか引き起こさないことである。ポリスチレンスルホン酸は、これがPEDOTポリマーを極めて効率的に安定化し、また水性系中の分散に役立つので好ましい。別の電子伝導性ポリマーはポリアニリンである。
【0052】
導電性ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)は、2つのルートのうちのいずれかによって供給することができる。第1に、PEDOTは、モノマー、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)が好適な溶剤(例えばブタノール)中に溶解される現場酸化重合を介して合成することができる。過硫酸アンモニウム、及び有機酸及び無機酸の鉄(III)塩を含む、使用可能な多数の酸化剤がある。第2に、ポリアニオン、例えばポリスチレンスルホン酸と混合されたカチオン性PEDOTの水性分散体を使用することができる。環境上の理由から、水性組成物が好ましい。
【0053】
上記ポリチオフェン系ポリマーの調製については、「ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)及びその誘導体:過去、現在及び未来(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene) and its derivatives: past, present and future)」と題される刊行物(L.B. Groenendaal, F. Jonas, D. Freitag, H. Pielartzik及びJ.R. Reynolds、Advanced Material, (2002), 12、第7号、第481-494頁、及びこの刊行物中の参考文献に、詳細が論じられている。
【0054】
本発明の電子伝導性ポリマー層は、乾燥塗膜重量約0.1〜約1000 mg/m2の電子伝導性ポリマーを含有するべきである。好ましくは、導電性層は、乾燥塗膜重量約1〜約500 mg/m2の電子伝導性ポリマーを含有するべきである。適用される導電性ポリマーの実際の乾燥塗膜重量は、採用される特定の導電性ポリマーの特性によって、そして特定の用途に対する要件によって決定され、これらの要件は、例えば、層の導電率、透明度、光学濃度、コストなどを含む。
【0055】
好ましい態様の場合、電子伝導性ポリマーを含有する層は、
a)式Iに基づくポリチオフェン:
【0056】
【化2】

【0057】
(上記式中、R1及びR2のそれぞれは独立して水素又はC1〜4アルキル基を表すか、又は一緒に結合して、任意には置換型のC1〜4アルキレン基又はシクロアルキレン基、好ましくはエチレン基、任意にはアルキル置換型のメチレン基、任意にはC1〜12アルキル又はフェニル置換型の1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、又は1,2-シクロへキシレン基を表し;そしてnは3〜1000である)と、
b)ポリアニオン化合物と
を含む混合物を適用することにより調製される。
【0058】
電子伝導性ポリマーとポリアニオンとの組合わせは、有機溶剤又は水又はこれらの混合物中に可溶性又は分散性であることが好ましい。環境上の理由から、水性系が好ましい。これらの電子伝導性ポリマーとともに使用されるポリアニオンは、高分子カルボン酸、例えばポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸)及びポリ(マレイン酸)、及び高分子スルホン酸、例えばポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸のアニオンを含み、その広範囲の利用可能性及び水塗布性の理由から、高分子スルホン酸が本発明における使用にとって好ましい。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸は、他の重合性モノマー、例えばアクリル酸及びスチレンのエステルと共重合されたビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸から形成されたコポリマーであってもよい。ポリアニオンを提供する多酸の分子量は好ましくは1,000〜2,000,000であり、より好ましくは2,000〜500,000である。多酸又はこれらのアルカリ塩は、例えばポリスチレンスルホン酸及びポリアクリル酸として一般に入手可能であり、或いは、周知の方法によって製造することもできる。電子伝導性ポリマー及びポリアニオンの形成に必要な遊離酸の代わりに、多酸及び適量の一酸のアルカリ塩混合物を使用することもできる。ポリチオフェンとポリアニオンとの重量比は、1:99と99:1との間で広範囲に変化することができるが、最適な特性、例えば高い導電率及び分散安定性及び塗布性は、85:15〜15:85、そしてより好ましくは50:50〜15:85で得られる。最も好ましい電子伝導性ポリマーは、その低い光学濃度、安定性、幅広い利用可能性、高い導電率、及び水からの塗布が可能であることから、カチオン形態のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とを含むポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェンスチレンスルホネート)を含む。
【0059】
PEDOT/ポリスチレンスルホン酸の増強された導電率のような望ましい結果は、導電率増強剤(CEA)を内蔵することにより達成することができる。(抵抗率の低減効果に基づき)好ましいCEAは、ジヒドロキシ、ポリ-ヒドロキシ、カルボキシル、アミド、又はラクタム基を含有する有機化合物、例えば
(1)下記式IIによって表される化合物:
【0060】
(OH)n-R-(COX)m
II
【0061】
(上記式中m及びnは独立して整数1〜20であり、Rは、炭素原子数2〜20のアルキレン基、当該アリーレン鎖内炭素原子数6〜14のアリーレン基、ピラン基、又はフラン基であり、そしてXは-OH又は-NYZであり、Y及びZは独立して水素又はアルキル基である);又は
(2)糖、糖誘導体、ポリアルキレングリコール、又はグリセロール化合物;又は
(3)N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、又はN-オクチルピロリドンから成る群から選択された化合物;又は
(4)上記のものの組合わせ
である。
【0062】
特に好ましい導電率増強剤は:糖、及び糖誘導体、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース;糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール;フラン誘導体、例えば2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、及びアルコールである。エチレングリコール、グリセロール、ジ-又はトリエチレングリコールが、最大の導電率増強を提供するため、最も好ましい。
【0063】
CEAは、任意の好適な方法によって内蔵することができる。好ましくは、CEAは、SWCNT、電子伝導性ポリマーを含む塗布用組成物、又は両塗布用組成物に添加される。或いは、塗布されたSWCNT層及び電子伝導性ポリマー層を、任意の好適な方法、例えば塗布後洗浄によってCEAに対して暴露することもできる。
【0064】
塗布用組成物中のCEAの濃度は、使用される特定の有機化合物及び所要導電率に応じて広く変化することができる。しかし、本発明の実施において効果的に採用することができる好都合な濃度は、約0.5〜約25重量%;より好都合には約0.5〜約10重量%;そしてより望ましくは、これが最小有効量を提供するので、約0.5〜約5重量%である。
【0065】
導電性層内の電子伝導性ポリマー層に性能示数(FOM)を割り当てることができる。このようなFOM値は、(1)層の種々の厚さ値において導電性層の視感光透過率(T)及び表面電気抵抗(RS)を測定し、(2)これらのデータをln(1/T)対1/RSスペースにおいてプロットし、そして(3)次いでこれらのデータ点に最良にフィットし、そしてこのようなプロットの原点を通過する直線の勾配を見極めることにより、決定される。特定の理論に縛られることなしに、電子伝導性ポリマー層、特にポリアニオン化合物とともにカチオン形態のポリチオフェンを含む電子伝導性ポリマー層に対応するln(1/T)対1/RSのプロットが、線形の関係、好ましくは原点を通る線形の関係を生じさせることが見いだされる。この場合、このような線形プロットの勾配は、電子伝導性ポリマー層のFOMである。特定の理論に縛られることなしに、FOM値が低ければ低いほど、電子伝導性ポリマー層の電気特性及び光学特性がより望ましいものになること、すなわち、FOM値が低ければ低いほど、導電性層のRSは低くなり、そして導電性層の透明度は高くなることも判った。本発明の場合、<100、好ましくは≦50、そしてより好ましくは≦40のFOM値が、ディスプレイ用途にとって最も望ましい結果をもたらすことが判る。
【0066】
塗布されていない基板の関与を補正した後、530 nmにおける総光学濃度から、視感光透過率値Tを見極める。530 nmにおける総光学濃度を測定するModel 361T X-Rite濃度計が、この測定に最適である。
【0067】
視感光透過率Tは、下記表現:
T=1/(10o.d.(corrected))
による、530 nmにおける補正済総光学濃度o.d.(corrected)に関連する。
【0068】
RS値は典型的には、標準的な四点電気プローブによって測定する。
【0069】
本発明の導電性層の透明度は、必要に応じて変化することができる。タッチスクリーンにおいて電極として使用するために、導電性層は、高透明性であることが望まれる。従って本発明の導電性層の視感光透過率値Tは>65%、好ましくは≧70%、より好ましくは≧80%、そして最も好ましくは≧90%である。導電性層は、一体的な全体を形成する必要がなく、均一な厚さを有する必要がなく、そしてベース基板と連続している必要もない。好ましくは、本発明のタッチスクリーンの透明度は、可視光範囲において少なくとも70%である。
【0070】
ナノチューブ及び電子伝導性ポリマーは、皮膜形成高分子バインダーの添加なしに適用することはできるが、層の物理特性を改善するために皮膜形成バインダーを採用することもできる。このような態様の場合、層は、約1〜95%の皮膜形成高分子バインダーを含んでよい。しかし、皮膜形成バインダーの存在は、層の表面電気抵抗率全体を高めることができる。皮膜形成ポリマー・バインダーの最適な重量パーセントは、カーボンナノチューブ及び電子伝導性ポリマーの電気特性、高分子バインダーの化学組成、及び特定の回路用途のための要件に応じて変化する。
【0071】
本発明の導電性層内で有用な高分子皮膜形成バインダーの一例としては、水溶性又は水分散性の親水性ポリマー、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、マレイン酸、無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレンスルホネート、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、ジアセチルセルロース、及びトリアセチルセルロース)、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、及びポリ-N-ビニルピロリドンが挙げられる。他の好適なバインダーは、エチレン系不飽和型モノマー、例えばアクリル酸を含むアクリレート、メタクリル酸を含むメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、イタコン酸及びその半エステル及びジエステル、置換型スチレンを含むスチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル及びビニリデン、及びオレフィン、並びにポリウレタン及びポリエステルイオノマーの水性分散体から調製された付加型ホモポリマー及びコポリマーの水性エマルジョンを含む。
【0072】
導電性層内に含むことができるその他の成分の一例としては、界面活性剤、消泡剤又は塗布助剤、電荷制御剤、増粘剤又は粘度改質剤、粘着防止剤、融合助剤、架橋剤又は硬化剤、可溶性及び/又は固形粒子色素、艶消しビード、無機又は高分子粒子、付着促進剤、喰付き溶剤、又は化学エッチング剤、潤滑剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤又は色味付け剤、及び当業者によく知られたその他の添加物が挙げられる。好ましい喰付き溶剤は、少なくとも1つのヒドロキシ基又はヒドロキシ置換型置換基で置換された芳香環を含む「導電率増大用」芳香族化合物として米国特許第5,709,984号明細書に開示された揮発性芳香族化合物のいずれかを含むことができる。これらの化合物は、フェノール、4-クロロ-3-メチルフェノール、4-クロロフェノール、2-シアノフェノール、2,6-ジクロロフェノール、2-エチルフェノール、レゾルシノール、ベンジルアルコール、3-フェニル-1-プロパノール、4-メトキシフェノール、1,2-カテコール、2,4-ジヒドロキシトルエン、4-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジニトロフェノール、4-クロロレゾルシノール、1-ナフトール、及び1,3-ナフタレンジオールなどを含む。これらの喰付き溶剤は、本発明のポリエステル系ポリマーシートに特に適している。この群のうち、最も好ましいのは、レゾルシノール、及び4-クロロ-3-メチルフェノールである。これらの塗膜に適した好ましい界面活性剤は、非イオン性及びアニオン性界面活性剤である。これらの塗膜に適した好ましい架橋剤は、シラン化合物、例えば米国特許第5,370,981号明細書に開示された化合物を含む。
【0073】
タッチスクリーンにおいて電極として使用するために、導電性層は、高透明性であることが望まれる。従って本発明の導電性層の視感光透過率値Tは>65%、好ましくは≧70%、より好ましくは≧80%、そして最も好ましくは≧90%である。導電性層は、一体的な全体を形成する必要がなく、均一な厚さを有する必要がなく、そしてベース基板と連続している必要もない。
【0074】
本発明の導電性層は、任意の剛性又は可撓性基板上に形成することができる。基板は、透明、半透明又は不透明であり、そして着色されているか又は無色であってよい。好ましくは、基板は無色又は透明である。剛性基板は、ガラス、金属、セラミック及び/又は半導体を含むことができる。好適な剛性基板の厚さは、剛性基板のために採用された実際の材料に応じて50 um〜7000 umである。可撓性基板、特にプラスチック基板を含む基板が、その多目的性、及び製造、塗布及び仕上げのし易さに関して好ましい。
【0075】
可撓性プラスチック基板は、任意の可撓性高分子フィルムであってよい。「プラスチック」とは、他の成分、例えば硬化剤、充填剤、強化剤、着色剤、及び可塑剤と組合わせることができる、通常、高分子合成樹脂から形成された高分子化合物を意味する。プラスチックは熱可塑性材料及び熱硬化性材料を含む。
【0076】
可撓性プラスチック・フィルムは、自己支持型であるのに十分な厚さと機械的完全性とを有していなければならないが、しかし、全体的に剛性であるほどには厚くあるべきではない。好適な可撓性プラスチック基板の厚さは5 um〜500 umである。機械的剛性及び耐熱性を提供しつつタッチスクリーンの重量を軽減するために、厚さは好ましくは50〜250 umである。可撓性プラスチック基板材料の別の重要な特徴は、そのガラス転移温度(Tg)である。Tgは、プラスチック材料がガラス状態からゴム状態に変化するときのガラス転移温度として定義される。Tgは、材料が実際に流動する前の所定の範囲を含む。可撓性プラスチック基板に適した材料は、ガラス転移温度が比較的低い、例えば150℃までの熱可塑性材料、並びに、ガラス転移温度がより高い、例えば150℃を上回る材料を含む。可撓性プラスチック基板のための材料は、製造プロセス条件、例えば堆積温度及びアニール温度、並びに製造後条件、例えばディスプレイ製造業者のプロセス・ライン内の条件のようなファクターに応じて選択される。下記のプラスチック基板のうちの或る特定のものは、少なくとも約200℃まで、いくつかのものは300〜350℃までのより高い処理温度に、損傷なしで耐えることができる。
【0077】
典型的には、可撓性プラスチック基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルイオノマーを含むポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、硝酸セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリオレフィンイオノマーを含むポリオレフィン、ポリアミド、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メチルx-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)、ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)及び種々のアクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)天然及び合成紙、樹脂を塗布又はラミネートされた紙、高分子発泡体を含むボイド含有ポリマー、ミクロボイド含有ポリマー及びミクロ孔性材料、又は布地、又はこれらの任意の組合わせである。
【0078】
脂肪族ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び、延伸ポリプロピレン(OPP)を含むポリプロピレンを含んでよい。環状ポリオレフィンは、ポリ(ビス(シクロペンタジエン))を含んでよい。好ましい可撓性プラスチック基板は、環状ポリオレフィン又はポリエステルである。種々の環状ポリオレフィンが可撓性プラスチック基板に適している。その例は、日本国東京在、Japan Synthetic Rubber Co.によって製造されたArton(登録商標);日本国東京在、Zeon Chemicals L.P.によって製造されたZeanor T;及び独国Kronberg在、Celanese A.G.によって製造されたTopas(登録商標)を含む。Artonは、ポリマーフィルムであるポリ(ビス(シクロペンタジエン))縮合物である。或いは、可撓性プラスチック基板はポリエステルであってもよい。好ましいポリエステルは芳香族ポリエステル、例えばAryliteである。基板は透明、半透明又は不透明であってよいが、ほとんどのディスプレイ用途にとっては、透明基板を含む透明部材が好ましい。プラスチック基板の種々の例を上に示したが、可撓性基板は他の材料、例えば可撓性ガラス及びセラミックから形成することもできることは言うまでもない。
【0079】
最も好ましい可撓性プラスチック基板はその優れた機械特性及び熱特性により、そして、適度な価格で大量に利用できるという理由から、ポリエステルである。使用のために選択される特定のポリエステルは、所望に応じて、ホモ-ポリエステル又はコ-ポリエステル、又はこれらの混合物であってよい。ポリエステルは、所望に応じて、結晶性又は非晶質、又はこれらの混合物であってよい。ポリエステルは通常、有機ジカルボン酸と有機ジオールとの縮合によって調製され、従って有用なポリエステルの例を、これらのジオール及びジカルボン酸の前駆体に関して、本明細書において下に記載する。
【0080】
本発明における使用に適したポリエステルは、芳香族、脂環式、及び脂肪族のジオールと、脂肪族、芳香族及び脂環式ジカルボン酸との縮合から誘導されたポリエステルであり、そして脂環式、脂肪族、又は芳香族ポリエステルであってよい。本発明の実施において利用することができる有用な脂環式、脂肪族、又は芳香族ポリエステルの例は、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンドデケート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(エチレン(2,7-ナフタレート))、ポリ(メタフェニレンイソフタレート)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(デカメチレンアゼレート)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(デカメチレンアジペート)、ポリ(デカメチレンセバケート)、ポリ(ジメチルプロピオラクトン)、ポリ(パラ-ヒドロキシベンゾエート)(Ekonol)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)(A-tell)、ポリ(エチレンイソフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)、ポリ(デカメチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(trans)、ポリ(エチレン1,5-ナフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(Kodel)(cis)、及びポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(Kodel)(trans)である。ジオールと芳香族ジカルボン酸との縮合から調製されたポリエステル化合物が、本発明における使用に好ましい。このような有用な芳香族カルボン酸の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、及びα-フタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、4,4-ジフェニルスルホン-ジカルボン酸、1,1,3-トリメチル-5-カルボキシ-3-(p-カルボキシフェニル)-イダン、ジフェニルエーテル4,4'-ジカルボン酸、及びビス-p(カルボキシ-フェニル)メタンなどが挙げられる。前述の芳香族ジカルボン酸のうち、ベンゼン環に基づくもの(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸)が、本発明の実施における使用にとって好ましい。これらの好ましい酸前駆体の中で、テレフタル酸が特に好ましい酸前駆体である。
【0081】
本発明の実施における使用のために好ましいポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンナフタレート)、及びこれらのコポリマー及び/又は混合物を含む。これらのポリエステルの選択肢の中では、ポリ(エチレンテレフタレート)が、その低いコスト、高い透明度、及び低い熱膨張率により、最も好ましい。
【0082】
前記基板は、必要に応じて単層又は多層を含むことができる。多数の層は、任意の数の補助層、例えば静電防止層、タイ層、又は付着促進層、耐摩耗層、カール制御層、搬送層、バリヤ層、スプライス提供層、UV吸収層、光学効果提供層、例えば反射防止・防眩層、防水層、接着剤層、及び画像形成層などを含むことができる。
【0083】
好ましい態様において、タッチ側電極はさらに、基板の、導電性層とは反対側に、防眩層、反射防止層、紫外線吸収層、又は耐摩耗性硬質塗膜層を含む。好ましくは、防眩層、又は硬質塗膜層の鉛筆硬度(鉛筆試験ASTM D 3363による硬度の標準試験法を用いる)は、少なくとも1H、より好ましくは鉛筆硬度2H〜8Hである。
【0084】
本発明における使用にとって特に効果的な硬質塗膜層は、輻射線硬化型又は熱硬化型組成物を含み、好ましくは、組成物は輻射線硬化型である。紫外線(UV)照射及び電子ビーム線照射が、最も広く採用される輻射線硬化法である。UV硬化性組成物が、本発明の耐摩耗層を形成するのに特に有用であり、硬化化学反応、フリーラジカル化学反応及びカチオン化学反応のうちの2つの主要タイプを利用して、硬化させることができる。アクリレート・モノマー(反応性希釈剤)及びオリゴマー(反応性樹脂及びラッカー)が、フリーラジカル系配合物の主成分であり、硬化された塗膜にその物理特性のほとんどを与える。UV線エネルギーを吸収し、フリーラジカルを形成するように分解し、そして重合を開始するようにアクリレート基のC=C二重結合を攻撃するためには、光重合開始剤が必要となる。カチオン化学反応は、脂環式エポキシ樹脂及びビニルエーテル・モノマーを主成分として利用する。光重合開始剤は、ルイス酸を形成するためにUV光を吸収し、ルイス酸はエポキシ環を攻撃して重合を開始する。UV硬化とは、紫外線硬化を意味し、波長280〜420nm、好ましくは320〜410nmのUV線の使用を伴う。
【0085】
本発明において有用な耐摩耗層のために使用できるUV線硬化性樹脂及びラッカーの例は、光重合可能なモノマー及びオリゴマー、例えば多官能性化合物、例えば(メト)アクリレート官能基(例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、又はネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレート及びこれらの混合物)を有する多価アルコール及びこれらの誘導体のアクリレート及びメタクリレート・オリゴマー(本明細書中の(メト)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを意味する)から誘導されたもの、及び低分子量ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、エポキシアクリレート、ポリブタジエン樹脂、及びポリチオール-ポリエン樹脂など及びこれらの混合物から誘導されたアクリレート及びメタクリレート・オリゴマー、及び比較的多量の反応性希釈剤を含有する電離線硬化性樹脂である。本明細書中で使用可能な反応性希釈剤は、単官能性モノマー、例えばエチル(メト)アクリレート、エチルへキシル(メト)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン及びN-ビニルピロリドン、及び多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、ヘキサンジオール(メト)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、又はネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレートを含む。
【0086】
とりわけ本発明の場合、好都合に使用される輻射線硬化性ラッカーは、ウレタン(メト)アクリレート・オリゴマーを含む。これらのオリゴマーは、イソシアネートを末端基とするウレタンを生成するために、ジイソシアネートと、オリゴ(ポリ)エステル又はオリゴ(ポリ)エーテルポリオールとを反応させることにより誘導される。続いて、ヒドロキシを末端基とするアクリレートを末端イソシアネート基と反応させる。このアクリル化は、オリゴマーの末端に不飽和を提供する。ウレタンアクリレートの脂肪族又は芳香族の性質は、ジイソシアネートの選択によって決定される。芳香族ジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネートは、芳香族ウレタンアクリレート・オリゴマーを生成することになる。脂肪族ジイソシアネート、例えばイソフォロンジイソシアネート又はヘキシルメチルジイソシアネートを選ぶことにより、脂肪族ウレタンアクリレートが生じる。イソシアネートの選択以上に、ポリオール主鎖が、最終オリゴマーの性能を決定する上で中枢的な役割を演じる。ポリオールは一般に、エステル、エーテル又はこれら2つの組み合わせとして分類される。オリゴマー主鎖は2つ又は3つ以上のアクリレート単位又はメタクリレート単位によって末端形成される。これらの単位は、フリーラジカル重合のための反応部位として役立つ。イソシアネート、ポリオール、及びアクリレート又はメタクリレート末端単位の中からの選択は、ウレタンアクリレート・オリゴマーの発生においてかなりの許容度を可能にする。ウレタンアクリレートはほとんどのオリゴマーと同様に、典型的には分子量及び粘度が高い。これらのオリゴマーは多官能性であり、そして複数の反応部位を含有する。反応部位数が増大することにより、硬化速度は改善され、最終生成物は架橋される。オリゴマー官能価は2〜6であってよい。
【0087】
とりわけ、耐摩耗層において好都合に使用される輻射線硬化性樹脂はまた、多価アルコール及びこれらの誘導体、例えば、ペンタエリトリトールのアクリレート誘導体、例えばペンタエリトリトールテトラアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートで官能化された、イソフォロンジイソシアネートから誘導された脂肪族ウレタンの混合物から誘導された多官能性アクリル化合物を含む。商業的に入手可能な本発明の実施において使用されるウレタンアクリレート・オリゴマーのいくつかの例は、Sartomer Company(Exton, PA)のオリゴマーを含む。本発明の実施において好都合に使用される樹脂の例は、Sartomer CompanyのCN 968(登録商標)である。
【0088】
光重合開始剤、例えばアセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α-アミルオキシムエステル、又はチオキサントン化合物を含み、そして光増感剤、例えばn-ブチルアミン、トリエチルアミン、又はトリ-n-ブチルホスフィン、又はこれらの混合物が紫外線硬化用組成物中に内蔵される。本発明において、好都合に使用される開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1である。
【0089】
UV重合性モノマー及びオリゴマーを、塗布して乾燥させ、続いて光学的に透明な架橋型耐摩耗層を形成するために、UV線に当てる。好ましいUV硬化線量は、50〜1000mJ/cm2である。
【0090】
硬質塗膜層の厚さは一般に約0.5〜50マイクロメートル、好ましくは1〜20マイクロメートル、より好ましくは2〜10マイクロメートルである。
【0091】
防眩層は、正反射を低減するために使用される粗面化表面又はテキスチャ加工表面を提供する。望ましくない反射光の全てがまだ存在するが、しかし、この反射光は正反射させられるのではなく、散乱させられる。本発明の目的上、防眩塗膜は好ましくは輻射線硬化型組成物を含む。輻射線硬化型組成物は、有機又は無機(艶消し)粒子を添加することにより、又は表面をエンボス加工することにより得られる、テキスチャ加工又は粗面化された表面を有する。硬質塗膜層のための上記輻射線硬化型組成物は、防眩層においても効果的に採用される。輻射線硬化型組成物に艶消し粒子を添加することにより、表面粗さが好ましく得られる。好適な粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物、又はハロゲン化物を有する無機化合物を含み、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na, K, Mg, Ca, Ba, Al, Zn, Fe, Cu, Ti, Sn, In, W, Y, Sb, Mn, Ga, V, Nb, Ta, Ag, Si, B, Bi, Mo, Ce, Cd, Be, Pb及びNiが好適であり、そして、Mg, Ca, B及びSiがより好ましい。2つのタイプの金属を含有する無機化合物を使用することもできる。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、つまりシリカである。
【0092】
ポリマー基板は、当業者に知られている任意の方法、例えば押出し、同時押出し、急冷、延伸、ヒートセット、ラミネーション、塗布及び溶剤流延を伴う方法によって形成することができる。ポリマー基板が、当業者に知られている任意の好適な方法によって、例えばフラットシート・プロセス又は気泡又は管プロセスによって形成された延伸シートであることが好ましい。フラットシート・プロセスは、スリットダイを通るシート材料を押出すか又は同時押出しし、そして、シートの高分子成分がその凝固温度未満に急冷されるように、冷却された流延ドラム上で、押出しされた又は同時押出しされたウェブを急冷することを伴う。
【0093】
次いで急冷されたシートを、ポリマーのガラス転移温度を上回る温度で、互いに垂直の方向で延伸することにより、二軸延伸する。シートは一方の方向で、次いで第2の方向で延伸することができ、或いは両方向で同時に延伸することもできる。任意の方向における好ましい延伸比は、少なくとも3:1である。シートが延伸された後、両延伸方向における後退が生じないようにシートを或る程度拘束しながら、ポリマーを結晶化させるのに十分な温度まで加熱することにより、シートをヒートセットする。
【0094】
シートの特性、例えば印刷適性、バリヤ特性、ヒートシール性、スプライス性、他の基板及び/又は画像形成層との付着力を改善するために、押出し、同時押出し、延伸などの後に、又は流延と完全延伸との間に、ポリマーシートに任意の数の塗布及び処理を施すことができる。このような塗膜の例は、印刷適性のためのアクリル塗膜、ヒートシール特性のためのポリハロゲン化ビニリデンであってよい。このような処理の例は、塗布性及び付着力を改善するための、火炎、プラズマ及びコロナ放電処理、紫外線処理、オゾン処理及び電子ビーム処理であってよい。更なる処理例は、ウェブ表面に対する特定の効果を得るための、カレンダリング、エンボシング、及びパターン化であってよい。ポリマーシートはさらに、ラミネーション、接着、コールド又はヒート・シーリング、押出し塗布、又は当業者に知られた任意の他の方法によって、任意の他の好適な基板内に内蔵することができる。
【0095】
例えばドット形状であってよい誘電スペーサが、規則的な距離を置いて、例えば数ミリメートル毎に導電性層表面上に設けられる。スペーサは、高分子樹脂から形成されており、そして各スペーサは高さ約10 umであり、また直径10 um〜50 umである。スペーサを調製するために採用することができる好適な高分子樹脂は、光又は熱硬化型エポキシ、アクリレート-ウレタン、アクリル、及び当業者によく知られているその他の組成物を含む。或いは、スペーサの物理特性を改変するために、スペーサにはナノ粒子、例えばシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、及びその他のものを充填することができる。
【0096】
或いは、1991年11月5日付けでSunに発行された米国特許第5,062,198号明細書に記載されているように、例えばマスクを通して噴霧するか、又は小さな直径の透明ガラス又はポリマー粒子を空気圧スパッタリングすることにより、スペーサを形成することが知られている。透明ガラス又はポリマー粒子は典型的には直径が45ミクロン以下であり、そして適用前に揮発性溶剤中で透明ポリマー接着剤と混合される。スペーサは、当業者によく知られたリソグラフィ技術によって調製することもできる。
【0097】
図3は、電極60と電極70とを有する、本発明の抵抗型タッチスクリーン59の別の態様を示している。電極60はタッチ側電極であってよく、そして電極70はデバイス側電極であってよく、或いは、電極70はタッチ側電極であってよく、そして電極60はデバイス側電極であってよい。電極70は順番に、絶縁基板63と、前記基板と接触する埋込み導電性層65と、露出導電性層67とを含む。電極60は順番に、絶縁基板62と、前記基板と接触する露出導電性層66とを含む。前記露出導電性層66及び67は隣り合っていて、誘電スペーサ68によって分離されている。図3に示された態様の場合、露出導電性層66又は67(ただし両方ではない)はカーボンナノチューブを含む。好適なカーボンナノチューブは本明細書において上に詳細に記載されている。カーボンナノチューブを含まない他方の露出導電性層は、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0098】
埋込み導電性層65は、カーボンナノチューブ、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0099】
好ましくは、埋込み導電性層は、10〜10,000オーム/□のシート抵抗を有し、そして露出導電性層は、100〜106オーム/□のシート抵抗を有している。
【0100】
図4は、電極130と電極140とを有する、本発明の抵抗型タッチスクリーン129のさらに別の態様を示している。電極130はタッチ側電極であってよく、そして電極140はデバイス側電極であってよく、或いは、電極130はタッチ側電極であってよく、そして電極140はデバイス側電極であってよい。電極140は順番に、絶縁基板133と、前記基板と接触する埋込み導電性層135と、露出導電性層137とを含む。電極130は順番に、絶縁基板132と、前記基板と接触する埋込み導電性層134と、露出導電性層136とを含む。前記露出導電性層136及び137は隣り合っていて、誘電スペーサ138によって分離されている。図4に示された態様の場合、露出導電性層136又は137(ただし両方ではない)はカーボンナノチューブを含む。好適なカーボンナノチューブは本明細書において上に詳細に記載されている。カーボンナノチューブを含まない他方の露出導電性層は、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0101】
埋込み導電性層134及び135は、組成が同じ又は異なるものであってよく、カーボンナノチューブ、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0102】
好ましくは、埋込み導電性層は、10〜10,000オーム/□のシート抵抗を有し、そして露出導電性層は、100〜106オーム/□のシート抵抗を有している。好ましくは、カーボンナノチューブを含む電子伝導性層は、102〜106オーム/□のシート抵抗を有している。
【0103】
本発明の抵抗型タッチスクリーンは好ましくは、物体(プラスチック又は金属スタイラス、指など)による点作動に対して機械的に堅牢である。タッチ側電極とデバイス側電極とが接触すると、タッチスクリーンがアクティブ化又は作動させられる。時間の経過とともに、繰り返しの接触、及びこのような接触中に加えられる力は、従来技術のタッチスクリーンを損傷する。このような損傷により、タッチスクリーンを作動させるために必要な力が徐々に大きくなる。本発明の好ましい態様において、タッチスクリーン上の点を作動させるのに必要となる力は、500,000回の単一点作動の間にわたって、500パーセントを上回って変化することはない。より好ましくは、タッチスクリーンを作動させるのに必要となる力は、100パーセントを上回って、そして最も好ましくは50パーセントを上回って変化することはない。単一点作動は、このようなタッチスクリーンを作動させるために、タッチスクリーン上の単一の点に物体を当てることである。
【0104】
抵抗型タッチスクリーンのコンベンショナルな構造は、基板上に材料を順次配置することを伴う。本明細書中で上に記載したように基板を形成し、次いで、基板に均一な導電性層を適用する。バスバーをタッチ側電極に適用し、スペーサ及びバスバーをデバイス側電極に適用し、そして最後に、タッチ側電極をデバイス側電極に取付ける。
【0105】
図5は、本発明のタッチスクリーン100の構造を示す分解図である。図5に示されているように、タッチスクリーン100は主にタッチ側電極110とデバイス側電極120とから構成されている。タッチ側電極110とデバイス側電極120とは、互いに向き合う状態で配置されており、誘電スペーサ30は、基板間にエアギャップが形成されるように、電極間に位置している。
【0106】
図5に示されているように、タッチ側電極110は、露出導電性層の互いに対向する端部に沿ってA方向に付着された一対のバスバー141及び142を備えている。タッチ側電極110はまた、コネクタ(図示せず)が接続されたコネクタ電極対143及び144をその縁部に備えている。バスバー141及び142は、配線パターン145及び146を介してコネクタ電極対143及び144に接続されている。バスバー、コネクタ電極、及び配線パターンは、高導電性材料を含む。好適な高導電性材料は、カーボンブラック、銀、金、白金、パラジウム、銅、又はこれらの材料の組合わせを含む。これらの材料は、真空蒸着、インクジェット印刷、熱転写、シルクスクリーン印刷、又はその他の方法によって適用することができる。これらの材料は熱又は光で硬化することができる。
【0107】
図5に示されているように、デバイス側電極120は、露出導電性層の互いに対向する端部に沿って、A方向に対して垂直なB方向に付着された一対のバスバー251及び252を備えている。デバイス側電極120ははまた、コネクタ(図示せず)が接続されたコネクタ電極対253及び254をその縁部に備えている。バスバー251及び252は、配線パターン255及び256を介してコネクタ電極対253及び254に接続されている。デバイス側電極120上に堆積された露出導電性層の表面上には、例えばドット形状のスペーサ30が、例えば数ミリメートル毎に設けられている。スペーサ30は、例えば光硬化性アクリル樹脂から形成されており、そして各スペーサは高さ約10 μmであり、また直径10 μm〜50 μmである。タッチ側電極110及びデバイス側電極120のそれぞれの外側領域は接着剤40によって互いに結合されている。
【0108】
上記のように調製されたタッチスクリーンは、種々のディスプレイ・デバイスにおいて採用することができる。好ましい態様の場合、ディスプレイ・デバイスは液晶ディスプレイ(LCD)を含む。好都合には、本発明のタッチスクリーンは、液晶ディスプレイ・デバイス内部の偏光板に接着することができる。
【0109】
本発明の導電性層は、当業者に知られているいかなる方法によっても適用することができる。特に好ましい方法は、任意のよく知られている塗布方法、例えばエアナイフ塗布、グラビア塗布、ホッパー塗布、ローラ塗布、噴霧塗布、電気化学塗布、インクジェット印刷、及びフレキソグラフィ印刷などによって、好適な液状媒質塗布用組成物から塗布することを含む。第1の導電性層及び露出導電性層は、順次又は同時に適用することができる。
【0110】
或いは、導電性層は、熱及び/又は圧力を加えることによって供与体部材から基板を含む受容体部材に転写することもできる。供与体部材と受容体部材基板との間には、転写を容易にするために、接着層が好ましくは存在することができる。同時係属中の同一譲受人による、2004年10月21日付けで出願された米国特許出願10/969,889号明細書(Majumdar他)、2005年2月22日付けで出願された米国特許出願11/062,416号明細書(Irvin他)、及び2004年12月22日付けで出願された米国特許出願11/022,155号明細書(Majumdar他)に記載されているように、2つの導電性層は、単一の供与体要素から同時に、又は2つの別個の供与体部材から順次にそれぞれの基板上に適用することができる。
【0111】
本発明の導電性層の他に、上記熱転写要素は、多数の補助層を含んでよい。これらの補助層は、光から熱への変換層であり得る輻射線吸収層、中間層、リリース層、付着促進層、作業層(デバイスの作業において使用される)、非作業層(デバイスの作業においては使用されず、例えば転写層の転写、損傷に対する保護、及び/又は外部要素との接触を容易にすることができる)を含んでよい。
【0112】
本発明の導電性層の熱転写は、選択された熱転写要素部分上に、指向性の熱を加えることにより達成することができる。加熱素子(例えば抵抗加熱素子)を使用すること、輻射線(例えば光ビーム)を熱に変換すること、且つ/又は熱を発生させるために熱転写要素層に電流を印加すること、によって熱を発生させることができる。
【0113】
塗布された基板の光学特性及びバリヤ特性を最大化するために、典型的には、低い粗さ(Ra)を有する極めて平滑な表面が望まれる。本発明の導電性層の好ましいRa値は、1000 nm未満、より好ましくは100 nm未満、最も好ましくは20 nm未満である。しかし、何らかの用途に対して、より粗い表面が必要となる場合には、当業者に知られている任意の手段によって、より高いRa値を本発明の範囲内で達成できることは、言うまでもない。
【実施例】
【0114】
下記の非限定的な例において、本発明の実施をさらに説明する。
【0115】
【表1】

【0116】
塗膜A及びBはそれぞれ、供給元Bekaert及びKeytecによって供給された。Bekaert ITOは、102 um PET基板上に塗布される。Keytec試料は、PET上のITOの対向表面上に塗膜を有した。Keytec試料において使用されるPETは、203 um基板である。
【0117】
塗膜C、D、E及びFを下記の通り生成した。多層例及び単層比較例を形成するための塗布用組成物を形成するために、下記成分を使用した。
【0118】
塗布用組成物のための成分
(a) Baytron P AG:電子伝導性ポリチオフェン及びポリアニオン、つまりポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェンスチレンスルホネート)の水性分散体、H.C. Starckにより供給;
(b) TX-100: Rohm & Haasによって供給された非イオン性界面活性剤塗布助剤
(c) エタノール;
(d) ジエチレングリコール:Aldrichによって供給された導電率増強剤
(e) Silquest A 187:Crompton Corporationによって供給された3-グリシドキシ-プロピルトリメトキシシラン、及び
(f) SWCNT:Carbon Solutionsによって供給されたP3 swcnt製品
【0119】
多層導体例を形成するために好適な基板に塗布を施す際に、下記塗布用組成物Aを調製した:
【0120】
塗布用組成物H
Baytron P AG(水中1.3%活性) 266 g
TX-100 1.5 g
ジエチレングリコール 12 g
Silquest A 187 5.4 g
高純度水 28.47 g
【0121】
塗布用組成物I
Baytron P AG(水中1.3%活性) 266 g
TX-100 1.5 g
ジエチレングリコール 12 g
高純度水 33.87 g
【0122】
塗布用組成物M
P3 SWCNT - 水中0.075重量%
TX-100 - 水中0.015重量%
エタノール - 水中25重量%
残余は高純度水
【0123】
塗布用組成物V
P3 SWCNT - 水中0.10重量%
エタノール - 水中25重量%
残余は高純度水
【0124】
使用される基板はポリエチレンテレフタレート(PET)であった。PET基板は、厚さ102 μm及び表面粗さRa 0.5 nmの写真等級であった。PETの塗布側(表側)には、薄い塩化ビニリデンコポリマー・プライマー層を、厚さ80 nmで適用した。Baytron P AGの乾燥被覆率170 mg/m2 〜 350 mg/m2をもたらすために異なる湿潤被覆率で、基板の表側表面にホッパーによって、塗布用組成物H又はIを適用し、そして各塗膜を5分間にわたって82℃で乾燥させた。適切な場合には、第2のパスにおいて、SWCNTの乾燥被覆率8 mg/m2をもたらすために、単一の湿潤被覆率で、(塗布用組成物Hが予め堆積された)乾燥されたBaytron P AG塗膜上に、塗布用組成物Mを適用した。このようにして、本発明に従って多層導体の例を形成し、この場合、電子伝導性Baytron P AGの異なる乾燥被覆率を有する導電性層を、基板表面上に1つの層で塗布し、そして、Baytron P AG上にはSWCNTの第2層を適用した。Baytron P AGの乾燥被覆率10 mg/m2 〜 100 mg/m2をもたらすために異なる湿潤被覆率で、基板の表側表面にホッパーによって塗布用組成物Vを適用し、そして各塗膜を5分間にわたって82℃で乾燥させた。塗膜のシート抵抗Rs(オーム/□)を、4点電気プローブによって測定した。
【0125】
本発明の非対称電極として使用された単層及び多層導体の堅牢性を評価するために、下記のように、小さなタッチスクリーン(以後タッチスイッチと呼ぶ)を形成して試験した。
【0126】
図8に目を転じると、単極-単投タッチスクリーンを下記のように構成することにより、単層及び多層導体材料の組み合わせの機械的堅牢性に関して評価した。
【0127】
可撓性基板上の1.27 cm×3.8 cm「ボトム」(デバイス側)導電性塗膜302を、より大型の塗布されたシートからカットした。ボトム導電性塗膜302を、導電側を上にして、25 mm×75 mmガラス顕微鏡スライド301の一方の長縁部に沿って取付けた。フィルム・ストリップの1.27 cmの端部を横切って適用され、そしてスライドの2.5 cm寸法を超えて延びる(2)3.8 cm長の銅フォイル304テープ(3M 1181 EMIシールディング・テープ)によって、ボトム導電性塗膜302を保持した。過剰なテープは、電気接続のためのアタッチメント・タブを形成するために折り返した。
【0128】
寸法は重要でない16個のスペーサ・ドット303を、ボトム導体の中央1.27 cm×1.27 cm正方形領域全体にわたって4×4行列で適用した。スペーサ・ドット303の寸法は、0.1〜1.0 mm直径、好ましくは作動力の均一性のために0.1〜0.3 mm直径と呼ぶことができる。ドットは、先の尖った塗布器を使用して手によって適用されたエポキシ(Devcon No.14250)から成った。スペーサ・ドット行列に隣接して、ガラススライドに、1.27 cm四方の非導電性両面テープ305(Polyken)を適用した。可撓性基板上の「トップ」(タッチ側)導電性塗膜306の1.27 cm×3.8 cmストリップを、一方のストリップ端部がスペーサ・ドット・アレイを覆い、そして他方の端部がガラススライドの2.54 cm寸法を超えて延びる状態で「T」字配列を形成するように、導電側を下にして両面テープ上に取付けた。電気的なアタッチメントを形成するために、2.54 cm長の導電性銅フォイル304テープを、張出したトップ導体に巻き付けた。
【0129】
フォイルテープの導電性接着剤を増強するために、銅テープ/導体層界面を横切って、銀導電ペイント線(Ernest Fullam No. 14810)を適用した。
【0130】
単一点作動試験法
ブラシレス・リニアモータと力モード動作制御部分とから成る試験装置の定置の収納部内に、完成したタッチスクリーンを入れた。ポリウレタン0.79 cm球面半径の半球体スイッチ作動用「フィンガー」(McMaster-Carr#95495K1)を、ロードセルに取付ける。ロードセルは、運動するリニアモータ段に取付けられている。力プロフィールが、125 mSにわたるゼロの力、125 mSにわたるピーク力までの線形勾配、125 mSにわたるピーク力における保持、そして125 mSにわたる線形荷重低減から成る状態で、フィンガーをスイッチに押付けた。荷重パターンは、試験期間にわたって2作動/秒で連続的に繰り返された。ピーク力は200〜300グラム力に対応するように設定した。トップ導体とボトム導体との間に、調節された5Vの差を供給することにより、タッチスクリーンを電気的に負荷した。ピーク力時間の中間点で、試験装置との接続部を、作動サイクルの後半中に逆方向の力電流に電子的に切換えた。タッチスクリーンを通る電流を、時間及び作動力の関数としてモニタリングした。
【0131】
タッチスクリーンは、12kオーム以下の抵抗でメーク及びブレークすると考えられた。記録されるデータは、オン状態抵抗、及びオン状態を達成するため、例えば状態を切換えるために必要となる力であった。タッチスクリーンは、12kオームのオン状態抵抗を常に上回るときには、故障と考えられた。
【0132】
比較例1-単層ITO導体タッチスクリーン
表Iの塗膜A(Bekaert ITO-ロット#5189376)を使用して、タッチスクリーンを構成した。単一点作動試験を実施し、そして下記図9及び10に示す結果をもたらした。Bekaert ITOの単層は、10,000回の単一点作動(single point actuations: SPA)を完了した時点で早くも、力の著しい変化を示し始めた。オン状態抵抗は、85,000 SPAで早くも著しい偏差を示した。88,000 SPAでは、Bekaert ITOの単層は、12,000オームのオン状態抵抗を常に上回り、故障した。加えて、88,000 SPA付近では、作動力は著しく散乱し、そして安定でなかった。作動回数が増大するのに伴って、作動するのに必要な力が大きくなることに相当する望ましくない著しいデータ散乱、及びオン状態抵抗増大によって証明されるように、タッチスクリーンの信頼性が低下することが、図面から明らかである。加えて、散乱データは、点選択の分解能の潜在的な問題を示す。
【0133】
比較例2-単層Baytron P AG導体タッチスクリーン
表Iの塗膜C(344 mg/m2のBaytron P AG)を使用して、タッチスクリーンを構成した。SPA試験を実施し、そして下記図11及び12に示す結果をもたらした。Baytron P AGの単層は、3,000回の単一点作動(SPA)を完了した時点で早くも、力の著しい変化を示し始めた。オン状態抵抗は、6,000 SPAで早くも著しい偏差を示した。6,000 SPAでは、Baytron P AGの単層は、12,000オームのオン状態抵抗を永続的に上回り、100,000+オームの値に達した。加えて、6,000 SPA付近では、作動力は幾何学級数的な増大を被り、そしてその後すぐに故障した。作動回数が増大するのに伴って、作動するのに必要な力が大きくなることに相当する望ましくない著しいデータ散乱、及びオン状態抵抗増大によって証明されるように、単層Baytron P AGをベースとするタッチスクリーンの信頼性が低下することが、図面から明らかである。加えて、散乱データは、点選択の分解能の潜在的な問題を示す。
【0134】
比較例3-単層Baytron P AG(架橋剤含有)導体タッチスクリーン
表Iの塗膜D(344 mg/m2のBaytron P AG w/Silquest A187)を使用して、タッチスクリーンを構成した。SPA試験を実施した。このタッチスクリーンは、比較例2と同様のオン状態抵抗及び作動力のプロフィールを被り、17,000 SPA後に故障した。作動回数が増大するのに伴って、作動するのに必要な力が大きくなることに相当する望ましくない著しいデータ散乱、及びオン状態抵抗増大によって証明されるように、硬化剤を有する単層Baytron P AGをベースとするタッチスクリーンの信頼性が低下することが、図面から明らかである。加えて、散乱データは、点選択の分解能の潜在的な問題を示す。
【0135】
比較例4-単層Keytec ITO導体タッチスクリーン
表Iの塗膜B(400オーム/□のKeytec ITO)を使用して、タッチスクリーンを構成した。SPA試験を実施し、そして下記図13及び14に示す結果をもたらした。Keytec ITOの単層は、作動するための力が線形に増大し、そして25,000 SPA完了時に早くも、作動するための力の著しい変化を示し始めた。オン状態抵抗は、35,000 SPAで早くも著しい偏差を示した。3,8000 SPAでは、Keytec ITOの単層は、12,000オームのオン状態抵抗を永続的に上回り、13,000+オームの値に達し、そして10,000,000オームもの高い値まで増大し続けた。加えて、30,000 SPA付近では、作動力は幾何学級数的な増大を被り、そしてその後すぐに、作動力の著しい散乱によって故障した。作動回数が増大するのに伴って、作動するのに必要な力が大きくなることに相当する望ましくない著しいデータ散乱、及びオン状態抵抗増大によって証明されるように、単層Keytec ITOをベースとするタッチスクリーンの信頼性が低下することが、図面から明らかである。加えて、散乱データは、点選択の分解能の潜在的な問題を示す。
【0136】
比較例5-対向電極としてKeytec ITO及びBaytron P AGを有する非対称電極タッチスイッチ
一方の電極として表Iの塗膜B(400オーム/□のKeytec ITO)を使用し、そして表Iの塗膜C(344 mg/m2のBaytron P AG)を使用して、タッチスクリーンを構成した。SPA試験を実施し、そして図15に示す結果をもたらした。驚くべきことに、このタッチスクリーンは、タッチスクリーンの測定された順方向抵抗及び逆方向抵抗の大きな差によって証明されるようなダイオード挙動表示に基づき、すぐに故障した。このような電極複合体から形成されたタッチスクリーンは機能しない。タッチスイッチの測定された順方向抵抗及び逆方向抵抗に対応するオン状態抵抗値の大きな分離によって証明されるように、Baytron P AG及びKeytec ITO非対称電極複合体をベースとするタッチスクリーンの信頼性は良くないことが、図面から明らかである。加えて、たった250サイクル後に、順方向抵抗及び逆方向抵抗は、デバイスが機能しないほど高くなる。
【0137】
本発明例1- Bekaert ITO及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチ
一方の電極として表Iの塗膜A(Bekaert ITO-ロット#5189376)を、そして第2の対向電極として表Iの塗膜SWCNT(64.6 mg/m2のSWCNT)を使用して、タッチスクリーンを構成した。単一点作動試験を実施し、そして下記図16及び17に示す結果をもたらした。非対称電極タッチスクリーンは、50,000回の単一点作動(SPA)を完了した後で、作動のための力の変化を示し始めた。オン状態抵抗は、60,000 SPA後に偏差を示した。ほぼ400,000 SPAでは、Bekaert ITO及びSWCNTの非対称電極タッチスクリーンは、12,000オームのオン状態抵抗を常に上回った。比較例1と対比すると、非対称電極アーキテクチャ及び相応する材料を使用することが、SPA寿命に対応するBekaert ITOの寿命を著しく改善したことに注目することが重要である。また、作動のための力が、比較例1ほどには値の幅広い振幅を示さないこと、例えば50,000サイクル目において、20〜30 gの力の振幅しかない本発明例1と比較して、比較例1の場合、100gもの力の振幅がすでにあることが、本発明例1によって証明される。さらに、作動のための力の増大速度は、比較例1の方が著しく速い。
【0138】
本発明例2- Baytron P AG(架橋剤含有)及び単層カーボンナノチューブを有する非対称電極タッチスイッチ
一方の電極として表Iの塗膜D(344 mg/m2のBaytron P AG w/Silquest A187)を、そして第2の対向電極として表Iの塗膜SWCNT(64.6 mg/m2のSWCNT)を使用して、タッチスクリーンを構成した。単一点作動試験を実施し、そして下記図18及び19に示す結果をもたらした。この非対称電極タッチスクリーンは、1,100,000 SPA完了後、作動のための力の変化を事実上示さなかった。事実、SPAサイクル数が増大するのに伴って作動のための力の増大を全てが示す比較例と比較して、タッチスクリーンを作動させるために必要となる力はわずかに減少した。オン状態抵抗は、1,100,000 SPA後の偏差を事実上示さない。この非対称電極タッチスクリーンは、本発明を用いることによって与えられる顕著な堅牢性及び操作性を実証する。
【0139】
本発明例3- Keytec ITO、及びBaytron P AG(第1又は埋込み層)と単層カーボンナノチューブ(露出層)との多層導体を有する非対称電極タッチスイッチ
一方の電極として表Iの塗膜B(400オーム/□のKeytec ITO)を、そして第2の電極として表Iの塗膜F(8 mg/m2のP3 SWCNT第2層を有する344 mg/m2のBaytron P AG第1層)を使用して、非対称電極をベースとするタッチスクリーンを構成した。単一点作動試験を実施し、そして下記図20及び21に示す結果をもたらした。この非対称電極タッチスクリーンは、故障前に300 gを上回る力まで、作動のための力が線形に増大することを実証した。オン状態抵抗は、60,000 SPA後にわずかな偏差を示した。ほぼ200,000 SPAでは、この非対称電極タッチスクリーンは、12,000オームのオン状態抵抗を常に上回った。比較例4と対比すると、非対称電極アーキテクチャ及び相応する材料を使用することが、SPA寿命に対応するKeytec ITOの寿命を著しく改善したことに注目することが重要である。Keytec ITOタッチスクリーンは、少ない回数の作動後、極めて急速に故障した。他の興味深い点は、露出層としての極めて薄いSWCNT膜とともに、Baytron P AGとSWCNTとから成る多層導体を使用することにより、比較例5において示されたようなダイオード挙動が、本発明例3では表示されず、これにより、Keytec ITOとBaytron P AGとを適合性にすることである。
【0140】
本発明が、上述のように堅牢性を著しく改善することは驚くべきことであり、且つ極めて明白である。本発明が故障する(又は後で故障する)ことなしに、且つ/又は操作の目立った変化なしに、比較例のタッチスクリーンよりも著しく多くの作動回数を維持することができるという事実は、本発明のタッチスクリーンの信頼性が改善されるため重要である。例えば、タッチスクリーン(一例としてはタッチスクリーン成分を有する携帯電話器を使用する)に関する作動のための力が経時的に増大するのに伴って、タッチスクリーン上の或る特定の点を選択するのが徐々に難しくなるが、本発明は明らかに、このような問題を被ることはない。加えて、本発明の1つの態様は、ITO及びBaytron P AGによって示されたダイオード挙動を排除し、これにより、これらの材料を組合わせにおいて有用にした。例示の態様が、導体及び/又は電極の大幅に増強された堅牢性を提供できることは明らかである。
【符号の説明】
【0141】
10 従来技術の抵抗型タッチスクリーン
12 デバイス側透明基板
14 第1の導電性層、デバイス側
15 デバイス側の第1電極
16 タッチ側電極
17 タッチ側透明基板
18 第2の導電性層、タッチ側
20 誘電スペーサ要素
39 本発明の抵抗型タッチスクリーン
24 本発明のデバイス側の露出導電性層
25 本発明のデバイス側電極
26 本発明のタッチ側電極
27 本発明のタッチ側電極絶縁基板
28 タッチ側の露出導電性層
29 本発明のデバイス側電極絶縁基板
32 誘電スペーサ要素
59 本発明の抵抗型タッチスクリーン
60 本発明の電極
62 絶縁基板
63 絶縁基板
65 埋込み導電性層
66 露出導電性層
67 露出導電性層
68 誘電スペーサ
70 本発明の電極
129 本発明の抵抗型タッチスクリーン
130 本発明の電極
132 絶縁基板
133 絶縁基板
134 埋込み導電性層
135 埋込み導電性層
136 露出導電性層
137 露出導電性層
138 誘電スペーサ
140 本発明の電極
100 本発明の抵抗型タッチスクリーン
110 タッチ側電極
120 デバイス側電極
30 誘電スペーサ
141 タッチ側バスバー
142 タッチ側バスバー
143 タッチ側コネクタ電極
144 タッチ側コネクタ電極
145 タッチ側配線パターン
146 タッチ側配線パターン
251 デバイス側バスバー
252 デバイス側バスバー
253 デバイス側コネクタ電極
254 デバイス側コネクタ電極
255 デバイス側配線パターン
256 デバイス側配線パターン
40 接着剤
301 顕微鏡スライド
302 ボトム・デバイス側電極
303 誘電スペーサ・ドット
304 銅フォイルテープ
305 両面接着テープ
306 トップ・タッチ側電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、タッチスクリーン。
【請求項2】
前記電極の少なくとも一方が、電子伝導性ポリマー、透明導電性酸化物、及び透明金属膜から成る群から選択された少なくとも1種の材料を含む導電性層を含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
前記導電性層が、カチオン性ポリエチレンジオキシチオフェンとポリアニオンとの混合物を含む請求項2に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
前記導電性層が、ポリピロール、ポリアニリン、又はポリチオフェンを含む請求項2に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
前記導電性層が、錫ドープ型酸化インジウム、フッ素ドープ型酸化亜鉛、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、インジウムドープ型酸化亜鉛、アンチモンドープ型酸化錫、又はフッ素ドープ型酸化錫を含む請求項2に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
前記導電性層が、銀、金、銅、パラジウム、白金、又はこれらの材料の合金を含む透明金属膜を含む請求項2に記載のタッチスクリーン。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブを含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブが、共有結合された親水性種を含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項9】
該親水性種が、0.5〜5原子%の量で存在する請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項10】
前記親水性種が、カルボン酸若しくはカルボン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項11】
前記親水性種が:
SOxZy
(上記式中xは1〜3であり、そしてZは、水素原子、又は、金属Na、Mg、K、Ca、Zn、Mn、Ag、Au、Pd、Pt、Fe、Coから選択された金属カチオンであることができ、そしてyは0又は1となることができる)
から選択された硫黄含有基を含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項12】
前記カーボンナノチューブの外径が、0.5〜5ナノメートルである請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項13】
前記カーボンナノチューブが直径1〜50ナノメートルのバンドルを含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブが直径1〜20ナノメートルのバンドルを含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項15】
前記カーボンナノチューブの長さが20ナノメートル〜50ミクロンである請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項16】
前記カーボンナノチューブが長さ20ナノメートル〜50ミクロンのバンドルを含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブが金属カーボンナノチューブである請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項18】
前記親水性種が、スルホン酸若しくはスルホン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項19】
前記カーボンナノチューブが開放端カーボンナノチューブである請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項20】
前記共有結合された親水性種が、前記カーボンナノチューブの外壁上に存在する請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項21】
カーボンナノチューブを含む電子伝導性層がバインダーをさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項22】
前記電極のうちの少なくとも一方が、シート抵抗10〜10,000オーム/□を有する、該基板に隣接する電子伝導性層をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項23】
カーボンナノチューブを含む前記電子伝導性層が、シート抵抗102〜106オーム/□を有している請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項24】
前記電子伝導性ポリマーがバインダーを含む請求項2に記載のタッチスクリーン。
【請求項25】
前記バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリウレタン、又はエポキシドを含む請求項24に記載のタッチスクリーン。
【請求項26】
前記スクリーンが、500,000回を上回る単一点作動が可能である請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項27】
前記タッチスクリーンが、70パーセントを上回る可視光透明度を有している請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項28】
前記基板が、70パーセントを上回る可視光透明度を有しており、そしてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、又はガラスを含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項29】
前記タッチ側基板が防眩塗膜をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項30】
前記タッチ側基板が反射防止塗膜をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項31】
前記タッチ側基板が、2Hを上回る鉛筆硬度を有する硬質塗膜をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項32】
前記タッチ側基板が、紫外線吸収層をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項33】
該タッチスクリーン上の点を作動させるのに必要な力が、500,000回の単一点作動の間にわたって、50パーセントを上回って変化することはない請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項34】
カーボンナノチューブを含む前記露出層が、導電性ポリマー、金属粒子、又は透明導電性酸化物粒子をさらに含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項35】
カーボンナノチューブを含まない該電極が、導電性ポリマー、金属粒子、又は透明導電性酸化物粒子の混合物を含む請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項36】
カチオン性ポリエチレンジオキシチオフェンとポリアニオンとの前記混合物の性能示数が、50未満である請求項3に記載のタッチスクリーン。
【請求項37】
カーボンナノチューブを含む前記露出層が、前記タッチスクリーンのタッチ側に位置している請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項38】
タッチ側電極とデバイス側電極とを含むタッチスクリーンが取付けられたディスプレイ・デバイスを含むデバイスであって、それぞれの電極が、絶縁基板と露出導電性層とを含み、前記露出導電性層は隣り合っていて、誘電スペーサによって分離されており、そして該露出導電性層のうちの一層だけがカーボンナノチューブを含む、デバイス。
【請求項39】
前記ディスプレイ・デバイスがLCD系ディスプレイを含む請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記LCDが偏光板を含み、そして該タッチスクリーンが前記偏光板に接着されている請求項39に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−8376(P2013−8376A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−172554(P2012−172554)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−514686(P2008−514686)の分割
【原出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】