説明

1日1回投与用トラゾドン組成物

本発明は、トラゾドン又はトラゾドン誘導体の1日1回用製剤に関する。当該製剤はトラゾドン又はトラゾドン誘導体及び放出制御性賦形剤を含み、従って、一旦経口的に投与されると、当該トラゾドン又はトラゾドン誘導体は投与開始の少なくとも1時間後〜少なくとも24時間後、治療的血漿中濃度で維持される。投与後、初期治療作用が最初の1時間以内に効果を示し、少なくとも約24時間持続する。この治療効果は、残りの24時間の期間、比較的かつ実質的に一定のままである。当該製剤は鬱病及び/又は睡眠障害の治療のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗鬱薬トラゾドン、特にトラゾドンの1日1回製剤、並びに鬱病及びいくつかの睡眠障害を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
トラゾドンは、セロトニン2レセプターアンタゴニスト/再取り込み阻害剤であり、また、5−ヒドロキシトリプタミン2A(5−HT2A)レセプターの遮断を介して大脳皮質における細胞外γ−アミノ酪酸(GABA)レベルを減少させる。当該減少は、(5−HT)放出の増加を伴う。高用量のトラゾドンは5−HTの輸送を阻害し、この取り込み阻害は結果としてさらなる5−HTレベルの上昇をもたらす。この2つの機序がトラゾドンの抗鬱病プロファイルをもたらし得ると熟慮されている。さらに、GABA作動性システム及びセロトニン作動性システム間の相互作用は、その鎮静特性及び抗不安特性を説明し得る。
【0003】
従って、トラゾドンは鎮静特性及び抗不安特性を備える精神賦活性化合物である。トラゾドンは、経口投与の後に上部消化管から速やかに吸収され、大規模に代謝される。トラゾドンは通常、悲しみ、無価値又は罪の感情;日常活動への興味の喪失;食欲の変化;疲労感;死又は自殺の思考;及び不眠といった鬱病の症状を軽減するために用いられる。トラゾドンは他の目的にも使用することができ、その詳細は当業界で十分に裏付けられている。
トラゾドンは、通常使用されるその塩酸塩形態で示される式のトリアゾロピリジン誘導体である。この化合物の製剤は、1968年に公表されたG. Palazzoらの米国特許No. 3,381,009 に初めて開示された。
【0004】
トラゾドンの溶解性はpH依存的であり、水中で6.74のpKaを有する。結果として、トラゾドンは酸媒体中で(胃及び腸上部で見出されるような)、すなわちトラゾドンのpKa未満である場合には高溶解性である。対照的に、トラゾドンのpKaよりも上である場合、例えば、腸下部の中性条件及び塩基性条件においてトラゾドンの溶解性は極めて低い。当該不溶性は、明らかにトラゾドンの溶解(dissolution)に影響を有し、従って、腸下部における吸収に関する当該薬剤の利用能に影響を有する。これらの特性は、消化管の全長に沿って実質的に均一な吸収、特に、腸管上部及び腸管下部の両方を通過する間に実質的に均一な吸収を必要とするトラゾドンの長時間作用型(例えば、8時間よりも長い)の形態の開発を妨害すると考えられてきた。
【0005】
多くの薬物と同様に、トラゾドンは通常、1日2回(BID)又は1日3回(TID)の使用のための即放性(immediate release)形態として処方され、このことに関連するあらゆる不都合及び不利益を伴う。例えば、トラゾドンの即放性形態でのBID又はTID投薬は結果として、いわゆる治療濃度域(therapeutic window)の範囲内にない血中の薬物濃度をもたらし、高レベルに達する場合には用量関連性の副作用のより高い危険性と関連し得、又は低レベルにしか達しない場合にはより低い程度の有効性をもたらし得る。さらに、1日に複数回の投与は、投与後すぐに起こるトラゾドンのピーク濃度に伴う終日にわたる複数回の眠気をもたらし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その結果、有効濃度を速やかに達成して24時間以上を超えて安定的に維持する単一錠剤であって、かつトラゾドンが実質的に消化管の上部及び下部の全体に沿って均一に吸収され得るようにその放出プロファイルがpH非依存的であり、その結果、1日中の眠気のような副作用の頻度及び重症度を低減する、トラゾドンの1日1回(OAD)製剤への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
本発明は、1日1回経口投与用又はトラゾドン若しくはその誘導体用の徐放性医薬組成物を提供する。当該組成物は、約15質量%〜約60質量%のトラゾドン又はその誘導体、及び約15質量%〜約60質量%の放出制御性(controlled release)賦形剤を含む。当該放出制御性賦形剤は、哺乳動物、例えば、ヒトへ経口的に投与される場合に、トラゾドン又はその誘導体が投与開始の少なくとも約1時間後〜少なくとも約24時間後、有効血漿中濃度に達することを可能にする。いくつかの状況下では、当該放出制御性賦形剤は、トラゾドン又はトラゾドン誘導体が消化管上部及び消化管下部の両方を通過する間に吸収され得るように、トラゾドン又はその誘導体の実質的にpH非依存的な放出制御を提供する。
当該徐放性製剤は、鬱病の症状の1つ以上を治療する、すなわち改善するのに有効なトラゾドン又はトラゾドン誘導体の血漿中濃度を少なくとも24時間提供する。他の実施態様において、当該徐放性製剤は、睡眠障害を治療するために、例えば睡眠構築(sleep architecture)を改善するために有効な量のトラゾドン又はトラゾドン誘導体を提供する。
【0008】
当該徐放性賦形剤は、経口摂取後約1時間〜約24時間にわたる間、実質的に一定のままである約50ng/mL〜約3000ng/mLの治療的に有効な血漿中トラゾドン濃度又はトラゾドン誘導体濃度を提供することができる。血漿中濃度は概して、投与される用量に依存する。例えば、ある実施態様において、本明細書で熟慮される徐放性医薬組成物は、150mgの塩酸トラゾドンを含む。当該製剤は、投与開始の少なくとも約1時間後〜約24時間後、約150ng/mL〜約500ng/mLの有効血漿中トラゾドン濃度を提供する。別の実施態様において、当該徐放性医薬組成物は、300mgの塩酸トラゾドンを含む。当該製剤は、投与開始から少なくとも約1時間後〜約24時間後、約300ng/mL〜約1000ng/mLの有効血漿中トラゾドン濃度を提供する。
【0009】
いくつかの実施態様において、当該徐放性医薬組成物は、約15質量%〜約60質量%のトラゾドン又はその誘導体、及び約15質量%〜約85質量%の放出制御性賦形剤を含む。別の実施態様において、当該組成物は、約20質量%〜約50質量%のトラゾドン、及び約20質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含む。例えば、当該組成物は、約35質量%〜約50質量%のトラゾドン、及び約15質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の実施に際して、多くの種々の賦形剤が有用であってもよいことが熟慮される。ある実施態様において、当該放出制御性賦形剤は、架橋(cross-linked)ハイアミロースデンプン(high amylose starch)を含む。いくつかの実施態様において、当該架橋ハイアミロースデンプンは、オキシ塩化リンによって架橋され及び/又はヒドロキシプロピル側鎖を含む。いくつかの実施態様において、当該架橋ハイアミロースデンプンは、約65質量%〜約75質量%のアミロースを含み、オキシ塩化リンによって架橋される。本発明の実施に際して有用な1つの好ましい架橋ハイアミロースデンプンは、CONTRAMID(登録商標)として知られるLabopharm, Inc. Laval, Canada から商業的に入手できる架橋ハイアミロースデンプンである。
【0011】
さらに、当該徐放性医薬組成物は、1つ以上の(more or more)医薬添加剤を含んでいてもよい。医薬添加剤の例としては、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、可溶化剤(例えば、ポビドン又は塩化セチルピリジニウム)、酸性化剤(例えば、アルギン酸)、造孔剤(pore forming agent)(例えば、スクロース)、潤滑剤(例えば、ナトリウムステアリルフマラート)及び流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)が挙げられる。
【0012】
ある実施態様において、本発明は、約20質量%〜約50質量%の塩酸トラゾドン、約20質量%〜約50質量%の架橋ハイアミロースデンプン、約10質量%〜約20質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0質量%〜約5質量%の塩化セチルピリジニウム、約0質量%〜約20質量%のアルギン酸、約1質量%〜約5質量%のナトリウムステアリルフマラート、及び約1質量%までのコロイド状二酸化ケイ素を含む徐放性医薬組成物を提供する。
当該徐放性医薬組成物は、経口投与に適した錠剤及びカプレットのような種々の形状(shape)並びに形態(form)中に処方することができる。ある実施態様において、本発明は、300mgのトラゾドンを含むカプレットを提供する。そのようなカプレットは、就寝前投与用に適合させることができる。そのような製剤は、経口投与後速やかに傾眠を引き起こすが、それにもかかわらず、即放性トラゾドン組成物の反復投与と比較して、患者において経口投与の約8時間後に実質的に全く眠気を提供しない。
【0013】
本発明は、約20質量%〜約40質量%の放出制御性賦形剤を含む、300mgの塩酸トラゾドンの1日1回経口投与用の単位用量の徐放性医薬組成物であって、経口的に摂取される際に、3錠が24時間の間投与される市販の100mg力価×3錠の塩酸トラゾドン錠剤の1日用量と実質的に等価な濃度−時間曲線下面積を提供する、前記単位用量の徐放性医薬組成物、を提供する。また、本発明は、約30質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含む、150mgの塩酸トラゾドンの1日1回経口投与用の単位用量の徐放性医薬組成物であって、経口的に摂取される際に、3錠が24時間の間投与される市販の50mg力価×3錠の塩酸トラゾドン錠剤の1日用量と実質的に等価な濃度−時間曲線下面積を提供する、前記単位用量の徐放性医薬組成物をも提供する。
【0014】
さらに、本発明は、上記の徐放性医薬組成物の1つである抗鬱薬を必要とするヒトへ1日1回投与することによる鬱病の治療方法を提供する。当該組成物は、就寝前に投与することができる。
さらに、本発明は、その治療を必要とするヒトの睡眠構築(sleep architecture)を改善する方法であって、前記ヒトへ上記の徐放性医薬組成物の1つを1日1回投与することを含む、前記方法を提供する。当該組成物は、好ましくは就寝前に投与される。
本発明を、添付の図面により例証するが、限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は一つには、トラゾドン又はトラゾドン誘導体の1日1回製剤であって、1つ以上の鬱病の系の治療、すなわちこれらを改善するのに有効な、1時間〜24時間の間、本質的に安定な当該活性成分の血漿中濃度を提供する、前記トラゾドン又はトラゾドン誘導体の1日1回製剤を処方することが可能であるという発見に基づく。この発見は驚くべきものであるが、その理由は、トラゾドンの溶解性がpH依存的でありかつ消化管下部で見出される高いpHで速やかに減少するにもかかわらず、腸管上部及び腸管下部を通したpH変化に無関係に少なくとも24時間血流中のトラゾドンの治療的濃度、安定的濃度及び/又は有効濃度を提供することが可能なことが見出されたためである。
【0016】
従って、本発明は、1日1回経口投与用又はトラゾドン若しくはその誘導体用の徐放性医薬組成物を提供する。当該組成物は、約15質量%〜約60質量%のトラゾドン又はその誘導体、及び約15質量%〜約85質量%の放出制御性賦形剤を含む。当該放出制御性賦形剤は、哺乳動物、例えばヒトへ経口的に投与される場合に、トラゾドン又はその誘導体が有効血漿中濃度、例えば鬱病の治療のための投与開始の少なくとも約1時間後〜約24時間後、治療的有効血漿中濃度を達成する及び/又は維持することを可能にする。
さらに、同一製剤又は同様の製剤を、睡眠障害を治療するため、例えば、睡眠構築を改善するために使用することが可能である。当該放出制御性賦形剤は、哺乳動物、例えばヒトへ経口的に投与される場合に、トラゾドン又はその誘導体が、睡眠障害を治療するための有効血漿中濃度を達成することを可能にする。そのような製剤は、投与後速やかに(例えば、1時間以内に)傾眠を引き起こすが、それにもかかわらず、即放性トラゾドン組成物の反復投与と比較して、患者において経口投与の約8時間後に実質的に全く眠気を提供しない。
【0017】
本明細書に記載される製剤は、当該活性成分の血漿中濃度の速やかな上昇を提供し、その後、当該血漿中濃度は少なくとも24時間以上比較的かつ実質的に安定のままである。1時間〜24時間の当該血漿中濃度は、平均血漿中濃度の約45%の範囲内、より好ましくは平均血漿中濃度の約30%の範囲内、さらに最も好ましくは平均血漿中濃度の約15%の範囲内のままである。いくつかの製剤において、経口摂取の1時間以内のトラゾドン又はトラゾドン誘導体の最初の速やかな放出の後、トラゾドン又はトラゾドン誘導体は、少なくとも24時間、ほぼゼロ次動力学(zero order kinetics)でインビボにおいて放出され、プラトー(plateau)血漿中濃度をもたらす。これら製剤において、当該トラゾドン製剤の有効血漿中濃度は、概して経口摂取の約1時間後に一定のままであり、経口投与の少なくとも約24時間後まで、約60ng/mL〜約3000ng/mL、約150ng/mL〜1500ng/mL、約600ng/mL〜1300ng/mL、約500ng/mL〜1200ng/mL、又は約300ng/mL〜650ng/mLの範囲にあることが可能である。
【0018】
本明細書で熟慮される製剤は、約4回目の投与後に、定常状態、例えば、平均して正規母集団(normal population)の範囲内に達してもよい。定常状態において当該製剤によりもたらされるピーク−トラフ比率は、約60%〜約100%であってもよい。
本明細書で熟慮される当該徐放性トラゾドン製剤は、例えば、投与される(例えば、1日2回又は3回)即放性製剤のAUC(曲線下面積)に関して生物学的に同等である有効血漿中濃度を有していてもよい。当該AUCは、与えられる薬物の長期にわたる身体への総曝露量を評価するための数学上の計算であり、薬剤の濃度 対 時間のプロットの曲線下面積を意味する。AUCは、投薬スケジュールの指針として使用され、また、身体における種々の薬物製剤の生物学的利用能を比較するのに使用される。
【0019】
本明細書に記載される当該製剤は、トラゾドン及びトラゾドン誘導体の運搬に特に有用である。誘導体としては、トラゾドンの医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝物(mtabolite)、塩及びエステルなどが挙げられる。例えば、用語“医薬的に許容される塩”は、当業界で認識され(art-recognized)、化合物の比較的無毒な無機酸の付加塩及び有機酸の付加塩を意味し、例えば、本発明の組成物中に含まれるものであってもよい。好ましい実施態様において、当該製剤中の活性成分は塩酸トラゾドンである。
【0020】
本発明の組成物は、トラゾドン又はその誘導体及び放出制御性賦形剤を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される組成物は、約15質量%以上、例えば、約15質量%〜約60質量%、又は約20質量%〜約60質量%、又は約20質量%〜約55質量%、のトラゾドン又はその誘導体を含む。別の実施態様において、本明細書で熟慮される組成物は、約15質量%以上、例えば、約15質量%〜約85質量%、又は約20質量%〜約85質量%、又は約20質量%〜約60質量%、又は約20質量%〜約50質量%、又は約30質量%〜約50質量%、の放出制御性賦形剤を含んでいてもよい。本発明の組成物は、好ましくは約20質量%〜約50質量%、より好ましくは約25質量%〜約50質量%、のトラゾドン又はトラゾドン誘導体、及び約20質量%〜約50質量%、より好ましくは約25質量%〜約50質量%、の放出制御性賦形剤を含む。ある特定の実施態様において、本発明は、約25質量%〜約50質量%の塩酸トラゾドン、及び約30質量%〜約50質量%の本明細書に開示されるような架橋ハイアミロースデンプン、を含む組成物に向けられる。
【0021】
本発明の徐放性医薬組成物の実例は、150mgの塩酸トラゾドンを含むものである。この製剤は、初回投与の約1時間後〜24時間後、好ましくは約150ng/mL〜500ng/mLの範囲の有効血漿中濃度を提供することができる。別の実例は、当該組成物が300mgの塩酸トラゾドンを含むものである。この製剤は、好ましくは約300ng/mL〜1000ng/mLの範囲の血漿中トラゾドン濃度を提供することができる。当然のことながら、本発明の別の組成物を、相応して血漿中濃度を変化させることを伴う種々の量のトラゾドン又はその誘導体を用いて調製してもよく、当該血漿中濃度は、例えば約50ng/mL〜約3000ng/mLであることが可能である。
【0022】
本明細書で熟慮される放出制御性賦形剤は、賦形剤を含む製剤が開示される治療効果を有し及び/又はトラゾドン若しくはトラゾドン誘導体のpH非依存的運搬を提供する限りは、当業者によく知られるとおり、かなりの程度まで様々であってもよい。放出制御性賦形剤は、架橋デンプン、ヒドロゲル、セルロース及び/又はポリマー、並びに当業者に知られる別の放出制御性賦形剤であってもよい。
別の実施態様において、当該放出制御性賦形剤は、好ましくは架橋ハイアミロースデンプン、例えば当該架橋ハイアミロースデンプンがオキシ塩化リンによって架橋されており及び/又はヒドロキシプロピル側鎖を含む、前記架橋ハイアミロースデンプンを含む。いくつかの実施態様において、当該架橋ハイアミロースデンプンは、約65質量%〜約75質量%のアミロースを含み、オキシ塩化リンによって架橋される。適した賦形剤は、登録商標CONTRAMID(登録商標)として Labopharm, Inc., Laval, Canada により開発されたものであり、かつここから入手可能である。当該CONTRAMID(登録商標)賦形剤の合成は、参照によってその全てがあらゆる目的のために本明細書に取り込まれる、例えば、米国特許No. 6,607,748 に記載されている。本明細書で熟慮される組成物は、1つ以上の追加的な制御放出賦形剤と共に、架橋ハイアミロースデンプンを含んでいてもよい。
【0023】
デンプンの架橋は、デンプンを修飾するための有力な方法を示す。通常、デンプン粒は架橋されて当該ペーストの剪断又は熱に対する抵抗性を増大させる。当該化学的架橋デンプンは、加工作業及び標準的な保管期間を通して、好ましい滑らかな質感(smooth texture)を提供し、粘度安定性を保有する。いくつかの実施態様において、本明細書で熟慮されるとおりの架橋ハイアミロースデンプンを、架橋結合後、ゼラチン化してもよい。好ましい実施態様において、架橋ハイアミロースデンプンを、ゼラチン化の前に、追加的に化学修飾(例えば、ヒドロキシプロピル化)してもよい。
【0024】
ハイアミロースデンプンの当該架橋結合は、当業界で記載される手段に従って実現してもよい。例えば、アミロースの架橋結合は、アミロースをアルカリ性の媒体中でエピクロロヒドリンと反応させることによる Mateescu[BIOCHEMIE 60:535-537(1978)]に記載される方法で実施することができる。同様に、デンプンは、エピクロロヒドリン、アジピン酸無水物、ナトリウムトリメタホスファート及びオキシ塩化リンからなる群より選択される試薬、又は2,3-ジブロモプロパノール、酢酸及びジ-若しくはトリ-塩基性カルボン酸の直鎖状の混合性の無水物、ビニルスルホン、ジエポキシド、塩化シアヌル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリスアクリロイル-s-トリアジン、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルエン2,4-ジイソシアナート、N,N-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ビス(ヒドロキシメチル)エチレン尿素、混合性の炭酸−カルボン酸無水物、炭酸及び多塩基性カルボン酸のイミダゾリド、多塩基性カルボン酸のイミダゾリウム塩、並びにポリカルボン酸のグアニジン誘導体であってもよいが、これらに限定されない別の架橋剤で架橋することもできる。採用される反応条件は、使用する架橋剤の種類及び量、並びに塩基濃度、デンプンの量及び種類に応じて異なる。
【0025】
約40w/w%以上のアミロースを含むデンプン、例えば、エンドウ豆デンプン及びしわのよった(wrinkled)エンドウ豆デンプン、豆デンプン、交配種(hybrid)若しくは遺伝子改変型のタピオカデンプン若しくはジャガイモデンプン、又はいずれの別の根(root)、塊茎若しくは穀類のデンプン、を使用して架橋ハイアミロースデンプンを形成することができることが熟慮される。好ましくは、約70w/w%のアミロースを含むハイアミロースデンプンが、基礎材料として用いられる。例えば、ハイアミロースデンプンであるCerestar AmyloGel 03003(Cerestar U.S.A. Inc.)を使用してもよい。
【0026】
トラゾドン又はトラゾドン誘導体を放出制御性賦形剤、例えばハイアミロースデンプン(例えば、架橋ハイアミロースデンプンであるCONTRAMID(登録商標))と組み合わせることによって、約6.74のpKaを有するpH感受性であるトラゾドンを、pHがトラゾドンのpKaより低い(そこでは、トラゾドンが可溶性である)消化管上部においてだけではなく、pHがトラゾドンのpKaよりも高い(そこでは、トラゾドンは難溶性である)消化管下部においても放出させ吸収させることができ、それにより消化管通過の全体を通して血液中の安定的な血漿中濃度を維持することができることを見出した。今日に至るまで、我々の知る限りにおいて、pH依存的な活性薬剤を含む1日1回製剤は、本明細書に記載される薬物動態プロファイルを有する組成物に関して示唆又は設計されていない。
【0027】
本明細書の医薬組成物はまた、医薬的に許容される添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤としては、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンのような別のデンプン;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセタートのようなセルロース及びその誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール;エチルオレアート及びエチルラウラートのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;並びに医薬製剤中で採用される別の無毒性の適合性物質を挙げることができる。当該添加剤にはまた、着色料が含まれていてもよい。
【0028】
例えば、本明細書に開示される組成物は、当業者によく知られるとおり、結合剤、可溶化剤、酸性化剤、造孔剤(pore forming agent)、潤滑剤、流動促進剤などの混合物のいずれの1つを含んでいてもよい。本発明の組成物を提供する際に使用される好ましい医薬添加剤としては例えば、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ジカルシウムホスファート、カルシウムホスファート、微結晶性セルロースなどが挙げられる)、可溶化剤(例えば、ポビドン、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられる)、酸性化剤(例えば、アルギン酸、クエン酸、コハク酸、胆汁酸などが挙げられる)、造孔剤(pore forming agent)(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられる)、潤滑剤(例えば、ナトリウムステアリルフマラート、マグネシウムステアラート、カルシウムステアラート、ステアリン酸、硬化植物油(hydrogentated vegetable oil)などが挙げられる)及び/又は流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる)が挙げられる。当業者によく知られる別の添加剤を、当然に、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の組成物中に含ませてもよい。
【0029】
例えば、本発明の組成物は、約20質量%〜50質量%の塩酸トラゾドン、約20質量%〜50質量%の架橋ハイアミロースデンプン(例えば、架橋ハイアミロースデンプンであるCONTRAMID(登録商標))、約10質量%〜25質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0質量%〜10質量%の塩化セチルピリジニウム、約0質量%〜20質量%のアルギン酸、約1質量%〜5質量%のナトリウムステアリルフマラート、及び約1質量%までのコロイド状二酸化ケイ素を含んでいてもよい。
本発明の組成物は通常、錠剤の形態で調製される。当業者によく知られるとおり、当該錠剤は、広範な形状を採用することができるが、好ましい形状はカプレットである。当該カプレットは、当業界で知られるとおり、例えば、上部及び下部パンチ(upper and lower punches)を使用して形成してもよい。いくつかの実施態様において、錠剤は被覆を含んでいてもよく、例えば着色料を含むコーティング(coating)を含んでいてもよい。適したコーティングの例としては、ポリビニルアルコール、タルク、マクロゴールなど、及びそれらの混合物のような水性フィルムコーティングポリマーが挙げられる。適した着色料の例としては、酸化鉄、レーキ(lake)、天然着色料及び当業者に知られる別の着色料が挙げられる。
【0030】
5kgバッチの例示的な徐放性製剤を製造するための例示的な処方手順において、CONTRAMID(登録商標)賦形剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラゾドンHCl及びナトリウムステアリルフマラートを個々に秤量し、30メッシュフィルターを通して移す。コロイド状二酸化ケイ素を秤量してCONTRAMID(登録商標)とプレブレンドし(pre-blended)、30メッシュフィルターを通して移し、10秒間〜30秒間、例えば、15秒間混合してプレブレンド(pre-blend)を製造する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラゾドン及びContramid(登録商標)−コロイド状二酸化ケイ素のプレブレンドを混合し、5分間〜10分間、例えば、7分間ブレンドしてバルクブレンドを製造する。結果として得られるバルクブレンドのほんの一部を、ナトリウムステアリルフマラートと混合し、20秒間〜60秒間、例えば、30秒間ブレンドする。結果として得られるナトリウムステアリルフマラートブレンドを残りのバルクブレンドと混合し、結果として得られる混合物を約2分間〜6分間、例えば、4分間ブレンドする。当該最終ブレンドを27kNの圧縮圧力を用いて圧縮して錠剤にする。カプレットを標準的な凹面パンチ(concave punch)を用いて形成する。
【0031】
1日1回投与用の用量は、25mg〜600mgのトラゾドン又はトラゾドン誘導体であってもよい。1日1回投与用の典型的な用量は150mg又は300mgのトラゾドン又はトラゾドン誘導体であってもよいが、この量は、要求される必要性及び治療にあたる医師の特有の要件に応じて大幅に変えてもよい。例えば、本発明のいずれの組成物の用量も、患者の症状、年齢及び体重、治療する又は予防する疾患の性質及び重症度、投与の経路、並びに当該対象組成物の形態に応じて異なる。本発明の組成物用の用量は、当業者に知られる技術により又は本明細書で教示されるとおりに容易に決定することができる。ある所定の患者において最も有効な治療をもたらすいずれの特定の対象組成物の投与の正確な時間及び量は、対象組成物の活性、薬物動態及び生物学的利用能、患者の生理的状態(年齢、性別、疾患の型及びステージ、一般的な健康状態、医薬の所定の用量及び型に対する反応性を含む)、投与の経路などによって決まる。本明細書で提示される指針を使用して治療を最適化(例えば、投与の最適時間及び/又は投与の最適量を決定する)してもよく、これは、被験者をモニタリングすること並びに用量及び/又はタイミングを調節することからなるルーチンな実験を必要とするに過ぎない。
【0032】
結果として得られる製剤は、好ましくは、後述の実施例1及び3に記載されるようなインビトロプロファイルを有する。当該インビトロ放出プロファイルは、下記のとおり測定した。手短に言えば、放出速度は、1分間あたり150回転、37±0.5℃において、900mLのpH 1.2のヒドロクロリド/塩化ナトリウムの溶液(酸性段階)中の1時間後に、900mLのpH 6.0のリン酸ナトリウム一塩基バッファー(sodium phosphate monobasic buffer)(バッファー段階)中で、U.S.P.パドル法(U.S.P. XXVIに記載されるとおりの装置タイプII(apparatus type II))を用いて測定した。いくつかの実施態様において、製剤は放出動力学(kinetics)を有していてもよく、それによって、前述の方法によって試験される際に、最高で約30%までの当該活性成分が当該試験開始の1時間後までに放出され、約35%〜60%の当該活性成分が6時間までに放出され、最高で約80%までの当該活性成分が12時間までに放出され、及び/又は約80%以上の当該活性成分が24時間までに放出される。
【0033】
本明細書に記載される当該組成物は、鬱病、鬱病に関連する疾患、及び睡眠障害の治療に特に有用である。従って、鬱病の哺乳動物に、上記で定義されるトラゾドン製剤を1日1回(例えば、就寝時に)投与することができる。当該対象方法により治療する哺乳動物は、ヒト又はヒト以外の動物(non-human animal)のどちらを意味していてもよい。
本明細書に記載される当該組成物はまた、睡眠困難を有する及び/又は崩壊した(disrupted)睡眠構築、すなわち、崩壊した(disrupted)ノンレム/レム段階及び崩壊した(disrupted)睡眠の周期基礎構造を有する患者を治療するのにも有用である。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される製剤は経口投与後1時間以内に治療的有効量のトラゾドンの一部を放出し、従って速やかに傾眠を誘導するが、それにもかかわらず、即放性トラゾドン組成物の反復投与と比較して、患者において経口投与の約8時間後に実質的に全く眠気を提供しない。結果的に、当該製剤は、就業時間又は日中の好ましくない眠気を低減する。
本発明をここに、以下の実施例を手段として説明するが、これは例証の目的のためにのみ提示されるものであり、本発明の範囲を限定することをいっさい意図しない。
【実施例】
【0034】
実施例1
表1に示される組成を有する、300mgのトラゾドンを含む第1の徐放性製剤(製剤1と表示される)を調製した。
【表1】

【0035】
この製剤のインビトロでの放出動力学を、1分間あたり150回転、37±0.5℃において、900mLのpH 1.2のヒドロクロリド/塩化ナトリウムの溶液(酸性段階)中の1時間後に、900mLのpH 6.0のリン酸ナトリウム一塩基バッファー(sodium phosphate monobasic buffer)(バッファー段階)中で、U.S.P.パドル法(U.S.P. XXVIに記載されるとおりの装置タイプII(apparatus type II))を用いて測定した。この製剤は、前述の方法を使用して試験した際に、最高で約30%までの当該活性成分が当該実験の開始の1時間後までに放出され、約35%〜55%の当該活性成分が6時間までに放出され、最高で80%までの当該活性成分が12時間までに放出され、80%以上の当該活性成分が24時間までに放出されるというインビトロ放出プロファイルを有していた。
【0036】
さらに、当該製剤をインビボで試験した。この製剤の薬物動力学を、ヒト無作為化薬物動態クロスオーバー試験において、市販の製品であるBIDで与えられるTrittico(登録商標)AC 150mg CR錠剤、及びTIDで与えられるDesyrel(登録商標)100mg IR錠剤のものと比較した。製剤1の投与の後に、どちらの参照製品よりも、トラゾドンの血漿中濃度がより漸進的であり、かつピークのトラゾドン血漿中濃度がより低いものであることが見出された。18人の患者で測定した平均血漿中トラゾドン濃度を、図2に示す。当該結果は、この製剤が約1時間以内に治療的血漿中濃度を提供し、かつ1時間〜24時間、実質的に一定のトラゾドン濃度を提供することを示唆する。24時間時点のトラゾドン血漿中濃度は、Desyrel(登録商標)のTID投与及びTrittico(登録商標)ACのBID投与の後のものと同様であった。
当該インビボ実験は、製剤1の経口投与の後、容認できる(acceptable)血漿中濃度に到達するための短期間の後に、トラゾドンの血漿中濃度が投与後約1時間〜投与後少なくとも24時間、比較的一定レベルに維持されたことを実証する。
【0037】
実施例2
表2に示される組成を有する、300mgのトラゾドンを含む第2の徐放性製剤(製剤2と表示される)を調製した。
【表2】

【0038】
製剤2のインビトロでの放出動力学を、実施例1に記載されるとおりのU.S.P.パドル法を用いて測定した。当該インビトロ溶出(dissolution)プロファイル(図3)は、この製剤において、最高で約30%までの当該活性成分が当該実験の開始の1時間後までに放出され、約35%〜55%の当該活性成分が6時間までに放出され、最高で80%までの当該活性成分が12時間までに放出され、80%以上の当該活性成分が24時間までに放出されたことを示す。
【0039】
製剤2をインビボでも評価した。得られた結果は、製剤2をTrittico(登録商標)AC及びDesyrel(登録商標)と比較した際に、実質的に同じであった。19人の患者で測定した平均血漿中トラゾドン濃度を、図4に示す。製剤2の投与の後、トラゾドンの血漿中濃度が約1時間で治療濃度を提供するまで上昇することが見出された。当該血漿中濃度は経口投与の約6時間後まで上昇したが、その後徐々に低下した。製剤1により提供されるトラゾドンの血漿中濃度は、1時間〜24時間において、製剤2により提供されるものよりもより安定的であった。
【0040】
実施例3
表3に示される組成を有する、150mgのトラゾドンを含む第1の徐放性製剤(製剤3と表示される)を調製した。
【表3】

【0041】
製剤3のインビトロでの放出動力学を、実施例1に記載されるとおりのU.S.P.パドル法を用いて測定した。当該インビトロ溶出(dissolution)プロファイル(図5)は、この製剤において、最高で約30%までの当該活性成分が当該実験の開始の1時間後までに放出され、約40%〜60%の当該活性成分が6時間までに放出され、最高で80%までの当該活性成分が12時間までに放出され、80%以上の当該活性成分が24時間までに放出されたことを示す。
【0042】
製剤2をインビボでも評価した。18人の患者で測定した平均血漿中トラゾドン濃度を、図6に示す。製剤3の投与の後、トラゾドンの血漿中濃度が約1時間で治療濃度を提供するように速やかに上昇することが見出された。当該結果は、1時間〜24時間の実質的に一定なトラゾドン濃度を示唆する。製剤1と同様に、これは、経口投与の後、1時間〜24時間、ゼロ次放出動力学(zero order kinetics)を示すようである。
本発明をその好ましい実施態様を手段として説明してきたが、添付の特許請求の範囲において定義されるとおり、本発明が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその広範な態様を包含することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、第1の300mgトラゾドンOAD製剤のインビトロ溶出(dissolution)プロファイルを説明する図である。
【図2】図2は、第1の300mgトラゾドンOAD製剤の1つの錠剤をヒトへ投与した際の時間の関数としての血漿中トラゾドン濃度を説明する図である。
【図3】図3は、第2の300mgトラゾドンOAD製剤のインビトロ溶出(dissolution)プロファイルを説明する図である。
【図4】図4は、第2の300mgトラゾドンOAD製剤の1つの錠剤をヒトへ投与した際の時間の関数としての血漿中トラゾドン濃度を説明する図である。
【図5】図5は、150mgトラゾドンOAD製剤のインビトロ溶出(dissolution)プロファイルを説明する図である。
【図6】図6は、150mgトラゾドンOAD製剤の1つの錠剤をヒトへ投与した際の時間の関数としての血漿中トラゾドン濃度を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約15質量%〜約60質量%のトラゾドン又はその誘導体、及び約15質量%〜約85質量%の放出制御性賦形剤を含む1日1回経口投与用の徐放性医薬組成物であって、哺乳動物へ投与される際に、前記放出制御性賦形剤が、前記トラゾドン又はその誘導体が投与開始の少なくとも約1時間後〜少なくとも約24時間後、有効血漿中濃度を維持することを可能にする、前記徐放性医薬組成物。
【請求項2】
前記血漿中濃度が哺乳動物の鬱病の治療に有効である、請求項1記載の徐放性医薬組成物。
【請求項3】
前記血漿濃度が哺乳動物の睡眠障害の治療に有効である、請求項1又は2記載の徐放性医薬組成物。
【請求項4】
塩酸トラゾドンを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項5】
前記放出制御性賦形剤が、投与後約1時間〜約24時間にわたる間、実質的に一定のままである約50ng/mL〜約3000ng/mLの血漿中トラゾドン濃度を提供する、請求項1〜4のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項6】
150mgの塩酸トラゾドンを含む、請求項1記載の徐放性医薬組成物。
【請求項7】
経口摂取の1時間後に達成される前記血漿中トラゾドン濃度が約150ng/mL〜約500ng/mLである、請求項6記載の徐放性医薬組成物。
【請求項8】
300mgの塩酸トラゾドンを含む、請求項1記載の徐放性医薬組成物。
【請求項9】
投与開始の1時間後の前記血漿中トラゾドン濃度が約300ng/mL〜約1000ng/mLである、請求項8記載の徐放性医薬組成物。
【請求項10】
約20質量%〜約50質量%のトラゾドン又はトラゾドン誘導体、及び約20質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項11】
約35質量%〜約50質量%のトラゾドン又はトラゾドン誘導体、及び約15質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含む、請求項10記載の徐放性医薬組成物。
【請求項12】
前記放出制御性賦形剤が架橋ハイアミロースデンプンを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項13】
前記架橋ハイアミロースデンプンが、約65質量%〜約75質量%のアミロースを含み、オキシ塩化リンによって架橋される、請求項12記載の徐放性医薬組成物。
【請求項14】
前記架橋ハイアミロースデンプンがヒドロキシプロピル側鎖を含む、請求項13記載の徐放性医薬組成物。
【請求項15】
前記架橋ハイアミロースデンプンがゼラチン化される、請求項14記載の徐放性医薬組成物。
【請求項16】
医薬添加剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬添加剤が結合剤、可溶化剤、酸性化剤、造孔剤、潤滑剤又は流動促進剤から選択される、請求項16記載の徐放性医薬組成物。
【請求項18】
前記結合剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項19】
前記可溶化剤がポビドン又は塩化セチルピリジニウムから選択される、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項20】
前記酸性化剤がアルギン酸を含む、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項21】
前記造孔剤がスクロースを含む、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項22】
前記潤滑剤がナトリウムステアリルフマラートを含む、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項23】
前記流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項17記載の徐放性医薬組成物。
【請求項24】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜3のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項25】
約20質量%〜約50質量%の塩酸トラゾドン、約20質量%〜約50質量%の架橋ハイアミロースデンプン、約10質量%〜約25質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0質量%〜約5質量%の塩化セチルピリジニウム、約0質量%〜約20質量%のアルギン酸、約1質量%〜約5質量%のナトリウムステアリルフマラート、及び約1質量%までのコロイド状二酸化ケイ素を含む、徐放性医薬組成物。
【請求項26】
錠剤の形態である、請求項1〜25のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項27】
前記錠剤がカプレット形態に成形される、請求項26記載の徐放性医薬組成物。
【請求項28】
前記カプレットが約300mgのトラゾドンを含む、請求項27記載の徐放性医薬組成物。
【請求項29】
就寝前投与用に適合される、請求項1〜28のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物。
【請求項30】
即放性トラゾドン組成物の反復投与と比較して、ヒトにおいて経口投与の約8時間後に実質的に全く眠気を提供しない、請求項29記載の徐放性医薬組成物。
【請求項31】
約20質量%〜約40質量%の放出制御性賦形剤を含む、300mgの塩酸トラゾドンの1日1回経口投与用の単位用量の徐放性医薬組成物であって、経口的に摂取される際に、3錠が24時間の間投与される市販の100mg力価×3錠の塩酸トラゾドン錠剤の1日用量と実質的に等価な濃度−時間曲線下面積を提供する、前記単位用量の徐放性医薬組成物。
【請求項32】
約30質量%〜約50質量%の放出制御性賦形剤を含む、150mgの塩酸トラゾドンの1日1回経口投与用の単位用量の徐放性医薬組成物であって、経口的に摂取される際に、3錠が24時間の間投与される市販の50mg力価×3錠の塩酸トラゾドン錠剤の1日用量と実質的に等価な濃度−時間曲線下面積を提供する、前記単位用量の徐放性医薬組成物。
【請求項33】
放出制御性賦形剤中にトラゾドン又はトラゾドン誘導体を含む徐放性医薬組成物を、睡眠障害のヒトへ投与することを含む、睡眠障害の治療方法。
【請求項34】
請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物を、睡眠障害のヒトへ投与することを含む、睡眠障害の治療方法。
【請求項35】
前記障害が治療されて睡眠構築が改善される、請求項33又は34記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が就寝前に投与される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物を、鬱病のヒトへ1日1回投与することを含む、鬱病の治療方法。
【請求項38】
前記組成物が就寝前に投与される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
鬱病の治療のための、請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物の使用。
【請求項40】
鬱病の治療に有用な組成物の製造のための、請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物の使用。
【請求項41】
睡眠障害の治療のための、請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物の使用。
【請求項42】
睡眠障害の治療に有用な組成物の製造のための、請求項1〜32のいずれか1項記載の徐放性医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−507048(P2009−507048A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529431(P2008−529431)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001484
【国際公開番号】WO2007/048220
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(507175142)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (6)
【Fターム(参考)】