説明

2−イミノ−4−チアゾリジノン誘導体及び2,4−チアゾリジンジオン誘導体の製造法

【課題】5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン(一般名:ロシグリタゾン)を、工程数が少なく、かつ高収率で得ることができる製造方法を提供すること。
【解決手段】4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒドと2−イミノ−4−チアゾリジノンとを縮合反応させて、新規化合物の5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを得、この新規化合物を還元して、5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンとし、これを加水分解することにより、5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下式で示される5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン(一般名称:ロシグリタゾン)の製造法、及びその新規中間体に関する。
【化10】

【背景技術】
【0002】
本発明の製造方法に係る前記化合物(V)は、優れたインスリン抵抗性改善作用を有しており、糖尿病治療薬として有用な物質である。
化合物(V)の従来の製造方法として4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒドと2,4−チアゾリジオンとを反応させて、5−4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン}−2−イミノ−4−チアゾリジノンを得、これを還元することにより得る方法等が開示されている(特許文献1、特許文献2及び非特許文献1)。
しかし、これらの方法は、還元に多量の重金属触媒を使用する問題がある。また、従来のいずれの方法も、収率の点で満足とは言い難い。
【0003】
【特許文献1】特許第2817840号公報
【特許文献2】特許第3723448号公報
【非特許文献1】ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第37巻,第23号,p.3977−3985(1994).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、糖尿病治療薬として有用な5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンを、工程数が少なく、かつ高収率で得ることができる製造方法と、そのために有用な合成中間体である5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン及びその製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、新規化合物である5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを得、これを合成中間体として使用することにより、所期の目的を達成することができることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち本発明によれば、
1.式(I)
【化11】

で表わされる4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒドと、式(II)
【化12】

で表わされる2−イミノ−4−チアゾリジノンとを反応させて、式(III)
【化13】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを製造する方法、
2.式(III)
【化14】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン、
3.式(III)
【化15】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを還元して、式(IV)
【化16】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを製造する方法、
4.式(III)
【化17】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを還元して、式(IV)
【化18】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンとし、これを加水分解することにより式(V)
【化19】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンを製造する方法、を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明で使用する新規中間体(III)は、ベンジリデン部位の二重結合の還元が容易であり、選択的に還元できる。したがって、本発明によれば、廃液処理が困難な重金属化合物を多量に用いる必要がない。
また、本発明において新規中間体(III)を用いることにより、工程数が少なく、かつ収率よく化合物(V)を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、化合物(I)と化合物(II)から化合物(III)を製造する縮合反応は、通常、適当な溶媒中で適当な塩基の存在下に行なわれる。適当な溶媒としては、アルコール類(例、メタノ−ル,エタノ−ル,プロパノ−ル,2−プロパノ−ル,ブタノ−ル,イソブタノ−ル,2−メトキシエタノ−ルなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ピリジン、酢酸などの溶媒、あるいは水もしくは水とそれらの混合溶媒が用いられる。一方、適当な塩基としては、アミン類(例、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミンなど)、ナトリウムアルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、もしくは酢酸などのカルボン酸類とアミン類(例、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミンなど)との塩類などが用いられる。また、これらの塩基は適宜の割合で混合して用いても良い。化合物(II)は化合物(I)1モルに対して通常1〜4モル、好ましくは1〜2.5モルを用いる。塩基の使用量は化合物(I)1モルに対し0.05〜1.5モル、好ましくは0.3〜1.0モルである。本縮合反応は通常室温〜還流温度、好ましくは60℃〜還流温度で行なわれ、反応時間は通常0.5〜50時間である。
【0009】
なお、化合物(III)には、ベンジリデン炭素−炭素二重結合部位での立体配置により、シス体(Z体)とトランス体(E体)の幾何異性体が存在する。
また、化合物(III)には、2−イミノ−4−チアゾリジノン及びその類似化合物に認められるような、互変異性体も存在する。
【0010】
次に、以上のようにして得られる化合物(III)を還元して化合物(IV)を製造することができる。本還元反応は、通常適当な溶媒中で適当な触媒の存在下に接触還元することにより行われる。適当な溶媒としては、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エ−テル類(例えば、ジオキサン,ジメトキシエタン,テトラヒドロフランなど)、有機酸類(例えば、蟻酸、酢酸, プロピオン酸、ブタン酸など)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、あるいはこれらの混合溶媒などが用いられる。一方、触媒としては、担持された、又はされない、いわゆる不均一系の遷移金属を主成分とする触媒(例えば、パラジウム黒、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素、パラジウム−硫酸バリウム、パラジウム−炭酸バリウム、酸化白金、白金−炭素、ロジウム炭素、ルテニウム炭素、ラネーニッケルなど)が用いられる。還元反応における反応温度は、通常0〜200℃、好ましくは室温〜80℃である。還元反応における反応時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜48時間である。還元反応は、常圧でも進行するが、反応促進のために15.0MPa 以下、さらに0.2〜1.0MPaの加圧下に行うことが好ましい。また、還元反応は無機酸(例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸など)、有機酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類など)の存在下に行ってもよい。この際に使用する酸類の量は、化合物(III)に対して、通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.5〜3.0倍モルである。
なお、化合物(IV)には結晶多形が存在し、それぞれ異なった結晶形として単離することができる。
また、生成した化合物(IV)は、単離することなく次工程の化合物(V)を得るための加水分解工程に導いてもよい。
【0011】
次に、以上のようにして得られた化合物(IV)の加水分解反応は、特に困難なく、通常の方法により行うことができる。たとえば、化合物(IV)の加水分解反応は通常適当な溶媒中で適当な鉱酸あるいは適当な有機酸類の存在下に行なわれる。適当な溶媒としては、たとえばアルコール類(例、メタノ−ル,エタノ−ル,プロパノ−ル,2−プロパノ−ル,ブタノ−ル,イソブタノ−ル,2−メトキシエタノ−ルなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、有機酸類(例、蟻酸、酢酸, プロピオン酸、ブタン酸など)、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリルなどの溶媒、あるいは水もしくは水とそれらの混合溶媒が用いられる。一方、適当な鉱酸としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸などが用いられる。さらに、有機酸類(例、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類など)また、これらの鉱酸あるいは有機酸類は適宜の割合で混合して用いても良い。本加水分解反応は通常20℃〜還流温度、好ましくは50℃〜120℃で行なわれ、反応時間は通常0.5〜20時間である。
なお、化合物(V)又は化合物(V)の塩酸塩又はそのマレイン酸塩は通常の分離精製方法(例えば、濃縮、中和、塩酸塩化、晶析、抽出、再結晶、クロマトグラフィーなど)により単離精製することができる。
【実施例】
【0012】
実施例1で使用の4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒド(化合物(I))及び2−イミノ−4−チアゾリジノン(化合物(II))
は、それぞれ下記文献に記載の方法に従って製造した。
化合物(I):国際公開第07/017095号パンフレット
化合物(II):オーガニック シンセシス,合冊版 第3巻(Org. Synth., Coll. Vol.3)p.751−752.
【0013】
実施例1 5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(III)
メタノール(670mL)に2−イミノ−4−チアゾリジノン(16.1g)を懸濁し、4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒド(32.3g)およびピペリジン(10.7g)を加えた混合物を攪拌下に24時間加熱還流した。室温まで冷却し、一夜攪拌した後、析出した結晶を濾取し、メタノールで洗浄した。得られた結晶を乾燥することにより5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンの結晶(41.5g:収率93%)を得た。
mp221〜223℃(分解点)
IR(ペースト法)cm−1:3178、1670、1605、1503、1426、1286、1252、820、767、731、722、527、501
H−NMR(DMSO−d:TMS)δppm:3.08(3H、s)、3.93(2H、t)、4.21(2H、t)、6.58(1H、m)、6.65(1H、d)、7.10(2H、d)、7.51(2H、d)、7.50(1H、m)、7.56(1H、s)、8.09(1H、m)、9.25(1H、bs)
MS m/z[(M+1)]:355
【0014】
実施例2 5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(IV)
メタンスルホン酸(12.1g)のギ酸(110mL)溶液に5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(20.2g)を溶解し、10%パラジウム炭素(50%含水)(7.5g)加えた混合物を、0.4MPa〜0.8MPaの水素加圧下、40〜45℃で8時間接触還元反応をおこなった。反応終了後、触媒を濾去し、更にエタノールで触媒を洗浄した。濾液と洗液を合わせて濃縮し、残留物を50%含水エタノール(80mL)に加熱溶解した。次いで、28%アンモニア水で中和して晶析させ、さらに懸濁液を加熱攪拌した後、析出した結晶を濾取し、水洗した。その後、乾燥することにより5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンの淡黄白色の結晶(19.2g:収率94.5%)を得た。
mp189〜191℃
IR(ペースト法)cm−1:3227、1665、1606、1508、1426、1294、1249、1145、821、765、745、731、720,490
H−NMR(DMSO−d:TMS)δppm:2.84(1H、dd)、3.07(3H,s)、3.29(1H、dd)、3.89(2H、t)、4.10(2H、t)、4.54(1H、dd)、6.56(1H、m)、6.64(1H、d)、6.85(2H、d)、7.12(2H、d)、7.50(1H、m)、8.08(1H、m)、8.71(1H、s)、8.94(1H、s)
MS m/z[(M+1)]:357
【0015】
実施例3 5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(IV)(別法)
メタンスルホン酸(9.82g)のギ酸(100mL)溶液に5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(18.1g)を溶解し、10%パラジウム炭素(50%含水)(3.4g)加えた混合物を、0.5MPa〜0.8MPaの水素加圧下、40℃で8時間接触還元反応をおこなった。反応終了後、触媒を濾去し、更にエタノールで触媒を洗浄した。濾液と洗液を合わせて、濃縮し、残留物を50%含水エタノール(80mL)に加熱溶解した。次いで、28%アンモニア水で中和して晶析させ、さらに懸濁液を加熱攪拌した後、結晶を濾取し、水洗した。その後、乾燥することにより5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンの淡黄色の結晶(16.8g:収率92.3%)を得た。
mp、IR、H−NMR及びMSのデータは、実施例2のデータとそれぞれ一致した。
【0016】
実施例4 5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン(V)とそのマレイン酸塩
(1)5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(18.5g)及び希塩酸水溶液(150mL)の混合溶液を10時間還流した。減圧濃縮後、残留物に水(50mL)を加えて溶解し、28%アンモニア水(22mL)を滴下して中和後、アルカリ性とした。析出した油状物を酢酸エチル(300mL)に溶解し、有機層を分層した。分離した有機層を5%食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮して5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンを得た。
mp151−153℃
IR(ペースト法)cm−1: 2666、1693、1610、1508、1428、1248、1171、1041、995、812、773、719、664、530
H−NMR(DMSO−d:TMS)δppm:3.05(1H、dd)、3.07(3H,s)、3.29(1H、dd)、3.90(2H、t)、4.11(2H、t)、4.86(1H、dd)、6.57(1H、m)、6.63(1H、d)、6.88(2H、d)、7.14(2H、d)、7.50(1H、m)、8.08(1H、m)
MS m/z[(M+1)]:358
(2)上記で得られた5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンをエタノール(120ml)に溶解し、マレイン酸(5.8g)を加えて溶解した。次いで、活性炭(2gで処理して濾過し、この濾液を冷却攪拌して晶析させた。その後、結晶を濾取し、乾燥することにより、5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン マレイン酸(マレイン酸ロシグリタゾン)の微黄白色の結晶(21.4g:収率87.1%)を得た。
HPLC純度:99.5%
mp127−128℃
IR(ペースト法)cm−1: 3129、2774、1756、1707、1640、1615、1542、1513、1350、1245、1163、865、764、717、662、579、525
H−NMR(DMSO−d:TMS)δppm:3.06(1H、dd)、3.13(3H、s)、3.29(1H,dd)、3.94(2H、t)、4.14(2H、t)、4.86(1H、dd)、6.21(2H、s)、6.69(1H、t)、6.86(2H、d)、6.87(1H,t)、7.14(2H、d)、7.66(1H、m)、8.05(1H、m)
MS m/z:358[(M+1)](ロシグリタゾンとして)
MS m/z:356[(M−1)](ロシグリタゾンとして)、115[(M−1)](マレイン酸として)
【0017】
実施例5 5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン(V)の塩酸塩
5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(14g)及び希塩酸水溶液(112mL)の混合溶液を10時間還流した。冷却後、反応液にエタノール(10mL)及び活性炭(2g)を加えて加熱攪拌し、濾過した。この濾液を冷却攪拌して晶析させた後、結晶を濾取し、水洗、次いで酢酸エチルで洗浄した。その後、乾燥することにより、5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンの塩酸塩(塩酸ロシグリタゾン)の微黄白色の結晶(14.8g:収率95.6%)を得た。
HPLC純度:99.5%
mp136−138℃
IR(ペースト法)cm−1: 3388、2736、1752、1702、1642、1609、1544、1512、1250、1152、829、769、712、661、539,508。
H−NMR(DMSO−d:TMS)δppm:3.06(1H、dd)、3.29(1H、dd)、3.32(3H,s)、4.11(2H、t)、4.22(2H、t)、4.88(1H、dd)、6.83(2H、d)、6.95(1H、t)、7.15(2H、d)、7.34(1H、d)、8.00(2H、m)
MS m/z:358[(M+1)](ロシグリタゾンとして)
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、公知化合物4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒド(I)から、新規化合物の5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン(III)を経て、糖尿病治療薬として有用な5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン(V)を、工業的に有利に製造することができる。








【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

で表わされる4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンズアルデヒドと、式(II)
【化2】

で表わされる2−イミノ−4−チアゾリジノンとを反応させて、式(III)
【化3】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを製造する方法。
【請求項2】
式(III)
【化4】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノン。
【請求項3】
式(III)
【化5】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを還元して、式(IV)
【化6】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを製造する方法。
【請求項4】
式(III)
【化7】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジリデン〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンを還元して、式(IV)
【化8】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2−イミノ−4−チアゾリジノンとし、これを加水分解することにより式(V)
【化9】

で表わされる5−〔4−[2−{N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ}エトキシ]ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオンを製造する方法。

【公開番号】特開2009−209106(P2009−209106A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54800(P2008−54800)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(593030071)大原薬品工業株式会社 (40)
【Fターム(参考)】