説明

2−ブロモ又はクロロアニリンのパラジウム触媒インドール化

本発明は、一般式IIIの置換インドール化合物の製造方法を提供し、この方法は、以下の工程:式(I)(式中、X、R及びR1は、ここで定義される。)の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリンと式II(式中、R2及びR3)の置換アセチレンを、溶液中パラジウム触媒、リガンド、及び塩基の存在下好適な温度で反応させることにより式(III)の化合物を与える工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2004年3月16日に出願された米国仮出願シリアル番号No.60,553,596の利益を主張しまたその内容は、ここに組み込まれる。
(本発明の分野)
本発明は、医薬にまたさらに具体的には置換インドール化合物の合成方法の分野に関する。
(本発明の背景)
上記インドール核は、多数の天然製品及び医薬活性化合物から見出した顕著な構造モチーフである。薬剤の調製にまた薬剤自体として使用される置換インドールの例としては、抗-炎症薬のインドメタシン、抗-炎症剤薬かつ鎮痛薬のトロペジン、抗ヒスタミン剤のメブヒドロリン及び血管拡張剤のビンポセチンが挙げられる。米国特許出願シリアル番号10/198,384及び2004年2月20日に出願された米国仮出願60/546,213に開示される薬剤として使用されるインドール化合物の他の例の内容は、参考としてここに組み込まれる。
インドール構造の形成の必要性に応じるために多くの方法が、開発されており、中でも、フィッシャーのインドール化は、依然として産業上の最も一般的に使用される技術である。Indoles; Sundberg, R. J., Ed.; Academic: London, 1996; Sundberg, R. J. Pyrroles and their Benzo Derivatives: Synthesis and Applications. In Comprehensive Heterocyclic Chemistryを参照されたい。この方法の過多にかかわらず、C-5以外のレジオで置換したインドールのレジオ選択的形成が、興味深いものになってきている。最近開発されたLarockらのパラジウム-触媒インドール化反応(Larock, R. C.; Yum, E. K. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 6689; Larock, R. C.; Yum, E. K.; Refvik, M. D. J. Org. Chem. 1998, 63, 7652)によって先述のレジオ(位置)選択性の問題に対する一つの方法を提供する。Larockは、置換オルト-インドリンと過剰量の好適な内部ナトリウムアルキン又は酢酸カリウム又はカーボネイト塩基と1当量のLiCl又はn-Bu4NClとを反応させること及び時折リガンドのトリフェニルホスフィンを添加することによって、最良の結果が、得られ得ることを報告した。Larockは、このリガンドが、パラジウム触媒反応に不可欠でないことを報告した。Larockは、さらにリガンドとしてのトリフェニルホスフィンの使用を報告したが、より良いインドール化の結果を提供することを見出さなかった。
【0002】
内部アルキンと2-ヨードアニリンとのこの多目的の「リガンドレス」ヘテロ環化によって、置換の程度及び官能基のタイプという点で、従来の方法では容易に利用でき得ない種々のインドールへの接近を可能にする(式1、スキーム1)。ヨードアニリンの対応する2-ブロモ又は2-クロロ誘導体への置換は、コスト及び処理能力の見込みから重要な実用的及び経済的な値となり得る。しかし、Larockのプロトコルは、アセチレンと2-ブロモ又はクロロアニリンとのインドール化に適用されなかった。ヨウ化物の存在によって、これらのアルキン挿入方法における生成物の性質に誘起効果(pronounced effect)が仮定された(Larock, R. C.; Yum, E. K.; Refvik, M. D. J. Org. Chem. 1998, 63, 7652.)。さらに、オルト-パラジウム化錯体とアルキンとの反応における先の研究は、多挿入生成物の排他的な形成を示す(式2、スキーム1)(Maassarani, F.; Pfeffer, M.; Borgne, G. L. Organometallics 1987, 6, 2029; (b) Maassarani, F.; Pfeffer, M.; Borgne, G. L., Organometallics 1987, 6, 2043; (c) Maassarani, F.; Pfeffer, M.; Spencer, J.; Wehman, E. J. Organomet. Chem. 1994, 466, 265)。




スキーム1

当業界において、基質特異的でなく、かつR2及びR3に種々の置換基を有する内部アルキンにおけるパラジウム触媒インドール化を行うために使用され得る条件が必要とされている。
【0003】
(本発明の概要)
以下の工程、
(a)式(I)

(I)
(式中、Xは、Br又はCl、Rは、H、C1-8アルキル、アリール、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)-アリール、-S(O)2C1-6アルキル又は-S(O)2アリール、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO2H、CO2M(ここで、Mは、Na、K、Li、Mgから選択される。)、-CO2C1-6アルキル、C1-6アルキルHNC(O)-、





又は


の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリンと、


式(II)

(II)
(式中、R2は、非環状又は環状アルキル、アリール、又は複素環であり、任意に部分的に又は完全にハロゲン化されるフェニル、R3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるフェニル、又はR3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール及びイミダゾールから選択されるヘテロアリールであり、又はR3は、トリアルキシリル、アルキル、アルコキシである。)
の置換アセチレンとを、溶媒中のパラジウム触媒、リガンド、及び塩基の存在下、反応させて式(III)

(III)
の化合物を与える工程、
を含むことを特徴とする置換インドール化合物の製造方法である。
【0004】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、電子リッチ(electron-rich)なパラジウムリガンドを使用するインドール化反応における2-ブロモ及び2-クロロアニリン誘導体の使用に関する。
パラジウム触媒カップリング反応における適切なリガンド及び反応条件の使用によって、2-ブロモ及び2-クロロアニリン基質を使用して二置換インドールが得られ得ることを見出した。
本発明の出発材料として使用され得る2-ブロモアニリン及び2-クロロアニリン誘導体は、典型的に対応する2-ヨードアニリンアニリン誘導体より著しく低いコストである。さらに、それらの分子量は、より低く(2-クロロアニリンの分子量:185.6、2-ブロモアニリンの分子量:230.06、2-ヨードアニリンの分子量:277.06)、インドール中間体の生産においてより高い生産性(マスアウトプット)となり得る。
本発明の最も広い態様は、
式(I)

(I)
(式中、Xは、Br又はCl、Rは、H、C1-8アルキル、アリール、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)-アリール、-S(O)2C1-6アルキル又は-S(O)2アリール、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO2H、CO2M(ここで、Mは、Na、K、Li、Mgから選択される。)、-CO2C1-6アルキル、C1-6アルキルHNC(O)-、





又は


の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリンと、
式(II)

(II)
(式中、R2は、非環状又は環状アルキル、アリール、又は複素環であり、任意に部分的又は完全にハロゲン化され、R3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるフェニル、又はR3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール及びイミダゾールから選択されるヘテロアリールであり、又はR3は、トリアルキルシリル、アルキル、アルコキシである。)
の置換アセチレンとを、溶媒中のパラジウム触媒、リガンド、及び塩基の存在下、反応させて式(III)

(III)
の化合物を与える工程、
を含むことを特徴とする置換インドール化合物の製造方法である。
【0005】
本発明の別の態様は、上記方法(式中、Xは、Br又はCl、Rは、H、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO2H、CO2M(式中、Mは、Na、K、Li、Mgから選択される。)、-CO2C1-6アルキル、C1-6アルキルHNC(O)-、





又は

R2は、非環状又は環状C3-6アルキル、C6-8アリール、又は複素環であり、R3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるフェニル、又はR3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール及びイミダゾールから選択されるヘテロアリールであり、又はR3は、トリアルキシリル、アルキル、アルコキシである。)
本発明の他の態様としては、リガンドが以下
a)1,1'-ビス(ジ-アルキルホスフィノ)フェロセン、
b)トリアルキルホスフィン、ビフェニルジアルキルホスフィン、
c)1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン、
d)1,1'-ビス(ジ-イソ-プロピルホスフィノ)フェロセン又はトリシクロヘキシルホスフィン、
e)2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-ビフェニル、
f)2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-2'-N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、
から選択される最も広い態様の方法が挙げられる。
【0006】
別の態様としては、上記触媒が、Pd(OAc)2、PdCl2、PdBr2、Pd2(dba)3、[Pd(アリル)Cl]2、Pd(CH3CN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、Pd/C、カプセル封入されたPd及びPd(Cy3P)2Cl2からなるリストから選択される上記最も広い態様を与える。
別の態様としては、上記塩基が、K2CO3、 KHCO3、 Na2CO3、 CsOAc、 KOAc、 K3PO4、 Cs2CO3、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、テトラメチルグアニジン(TMG)、Bu4N+OAc-からなるリストから選択される最も広い態様の本発明の方法を与える。
好ましい態様は、上記塩基が、K2CO3である最も広い態様の本発明の方法を与える。
好ましい態様としては、上記溶媒が、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、4,4-ジメチル-2-イミダゾリン(DMI)、又はキシレンである上記最も広い態様の本発明の方法を与える。
本発明のさらなる態様において、上記溶媒が、NMP又はDMFである上記最も広い本発明の方法を提供する。
好適な態様は、パラジウム触媒インドール化反応が、110℃〜140℃の温度で行われる最も広い態様の本発明の方法を与える。
好ましい態様は、溶媒が、NMP、塩基が、K2CO3、触媒が、Pd(OAc)2、及びリガンドが、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン又はトリ(シクロヘキシル)ホスフィンである最も広い態様の本発明の方法を与える。
本発明において、R2及びR3位に種々の置換基を有する中間体内部アルキンを作るために使用され得る、先述のように一般式Iの化合物を更に与える。
【0007】
(一般的な合成方法)
以下の合成スキームにおいて、他で特定されない限り、上記化学式におけるすべての置換基は、一般式(I)と同一の意味を持つべきである。以下に記載される合成スキームで使用される反応剤は、ここに記載されているようにでも、記載されていないようにでも得られ、それ自体は商業的に入手可能又は当業者に既知の方法によって商業的に入手可能な材料から調製され得る。
最適な反応条件及び反応時間は、使用される特定の反応剤によってさまざまであってよい。他で特定されない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は、当業者によって容易に選択され得る。特定の手順は、合成実験項に与えられる。典型的に、反応方法は、所望な場合に高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって観測され得、また中間体及び生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製され得る。
【化1】

攪拌装置及び加熱装置を有する好適な大きさの反応フラスコにパラジウム触媒(0.5〜10モル%)、触媒に対するモノデンタット(monodentat)比率が約4対1又はバイデンタット(bi-dentat)リガンドの比率が2対1のリガンド、約1当量の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリン化合物(8)(式中、R、R1及びXが、ここに定義される。)、好適な量の溶媒、及び置換アセチレン化合物(9)を装入する。Lは、より大きいアセチレン置換基を意味し、またSは、より小さいアセチレン置換基を意味する。いくつかの場合において、置換基L及びSは、同一でよく、かつ2当量量より多い塩基である。このフラスコは、その後不活性ガスでパージされる。この反応は、典型的に約110〜140℃に好ましくは約110℃に加熱され、また反応が完了するまで攪拌した。その後混合物を当業界で一般的に使用される技術を使用して完了させる(work up)。
【0008】
(使用される化学命名法及び慣例)
ここに具体的に記載されていない用語は、開示及び文脈を考慮して、当業者によって与えられる意味が与えられるべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、逆に特定されない限り、以下の用語は、示された意味を有し、以下の慣習に従う。
「アルキン」又は「アルキニル」又は「アルキニル基」の用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む分岐又は直鎖脂肪族炭化水素部分を意味する。この用語は、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、n-ペンチニル、ヘプチニル、オクチニル、デシニル等の基が裏付けている。
「アルコキシ」又は「アルコキシ基」の用語は、式AlkO-(式中、Alkは、アルキル基である。)の部分を意味する。この用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ等の基に裏付けられる。
「アルキル」又は「アルキル基」の用語は、分岐又は直鎖飽和脂肪族炭化水素部分を意味する。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)等の基に裏付けられる。
【0009】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロアリール基」の用語は、好適な芳香族5-から14-員環の単環式又は多環式部分であって、1以上の縮合又は架橋環、好ましくは5〜7員の単環又は7〜10員の二環式単位を有する部分であって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される環における1〜4個のヘテロ原子を有し、いかなる硫黄ヘテロ原子は、任意に酸化されまたいかなる窒素ヘテロ原子は、任意に酸化又は四級化され得る。他に特定されない限り、ヘテロアリール環は、いかなる好適なヘテロ原子又は炭素原子に伴い、結果として安定な構造また置換される場合、安定構造になるいかなる好適なヘテロ原子又は炭素原子で置換され得る。典型的かつ好ましいヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピローリル、オキザゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、アザインドリル、ジアザインドリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロアザインドイル、イソインドリル、アザイソインドリル、ベンゾフラニル、フラノピリジニル、フラノピラミジニル、フラノピラジニル、フラノピリダジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラノピリジニル、ジヒドロフラノピリミジニル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾチエニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、チエノピラジニル、チエノピリダジニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロチエノピリジニル、ジヒドロチエノピリミジニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ジアザインダゾリル、ベンジミダゾリル、イミダゾピリジニル、ベンズチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、ベンゾキサゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、ベンズイソキサゾリル、プリニル、クロマニル、アザクロマニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シノリニル、アザシノリニル、フタラジニル、アザフタラジニル、キナゾリニル、アザキナゾリニル、キノキサリニル、アザキノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロナフチリジニル、テトラヒドロナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、及びフェノキサジニル等が挙げられる。他の好ましいヘテロアリールとしては、ピリジニル、フラニル、ピリミジニル、チオフェン、ピロール及びイミダゾールが挙げられる。
【0010】
「複素環」の用語は、飽和でも不飽和でもよい安定な4-8員(しかし、好ましくは5又は6員)単環又は8-11員二環式ヘテロ環ラジカルを意味し、非芳香族である。それぞれのヘテロ環は、炭素原子及び窒素、酸素及び硫黄から選択される、1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は、この環のいかなる原子とくっつけてよく、結果として安定構造が形成する。「複素環」の例としては、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、インドリニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、及びヘキサヒドロピリダジニルが挙げられる。
「アリール」又は「アリール基」の語は、単環(例えば、フェニル又はフェニレン)又は多縮合環(例えばナフチル又はアントラニル)を有する6〜14の炭素原子を有する芳香族炭素環式部分を意味する。別に特定されない限り、アリール環は、いかなる好適な炭素原子とくっつけてよく、結果として安定構造となり、また置換される場合、いかなる好適な炭素原子で置換されて、安定構造になり得る。代表的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニル等が挙げられる。アリールは、さらに「Ar」と短縮してよい。
「任意の」又は「任意に」の用語は、引き続き記載される事象又は環境が生じても生じなくてもよいことを意味し、また、この記載が、事象又は環境が生じまた生じない場合を含む。例えば、「任意に置換されたシクロアルキル」は、シクロアルキル部分が置換されてもされなくてもよいことを意味し、この記載は、置換シクロアルキル及び置換を有しないシクロアルキル部分を含む。
【0011】
「置換された」の用語は、原子の通常の原子価が、超えないことまた置換の結果、安定な化合物になることを条件として、基又は部分の原子上の1種以上の水素が、特別に命名されてもされなくとも、望ましい置換基の群から選択で置換される。置換基との結合が、環の2つの原子に結合する結合と交差するように示される場合、そのような置換基は、環のいかなる原子と結合し得る。置換基が、そのような置換基が上記化合物の残りと結合するに介する原子を示さずに列挙される場合、そのような置換基は、そのような置換基のいかなる原子を介して結合し得る。一般的に、いかなる置換基又は基が、いかなる構成物質又は化合物において1回以上存在する場合、それぞれの存在の定義は、全ての他の存在の定義と独立である。そのような置換基及び/又は変数の組み合わせは、そのような組み合わせが結果として安定な化合物の場合に限って、許容できる。
ここに記載される反応のそれぞれの収率は、理論的収量の割合として示される。
本発明の方法の一つの例において、反応を出発材料としてメチル3-アミノ-4-クロロ-ベンゾエートと1-シクロペンチル-2-ピリジニルアセチレンとで行った(スキーム7)。リガンド、塩基及び溶媒の好適な選択は、表1に示されるような十分な結果を得るために重要である。いくつかのリガンドを検討した。N-Bu4N+OAc-の存在下、リガンド4a、4b又は5を使用する場合、反応が滑らかに進むと、所望のインドール生成物を与える。主な副反応は、二重アミノ化を経由する塩化アリールのホモカップリングであった(エントリー1-3)。塩基、溶媒、温度、及び濃度の適切な選択は、アミノ化副生成物の形成を最小化させ、かつさらに所望のレジオ選択性を最大化させることが重要であった。K2CO3のような無機塩基を使用することによって、洗浄反応は、塩基としてn-Bu4N+OAc-を使用することによって得られ得る。ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンのようなフェロセンリガンドを塩基としてK2CO3と組み合わせて使用する場合、迅速に完了した2-クロロアニリンと内部アセチレンとのインドール化によって高純度かつ高レジオ選択性の生成物を与える(エントリー4)。添加剤としてのLiCl又はLiIの添加によって、収率は改良しなかった。代わりにこの反応の速度を落とした(エントリー5-6)。触媒の装填を減少する場合(5モル%)、この反応は更に穏やかにまたきれいに進行した(エントリー7)。リガンドと酢酸パラジウムの比を2:1から1:1に変えると、反応時間が延びる(エントリー8)。塩基としてK2CO3、リガンド4a、4b又は6の使用によっても良好な収率を与える(エントリー9-10)。使用された波長は240nmであった。
【0012】
スキーム7
【化2】














表I










* 生成物の比は、HPLC分析によって測定した。
【0013】
置換ブロモアニリンを使用するインドール化反応の例を、スキーム8に示す。対応する2-クロロアニリン誘導体のインドール化に使用される同一の条件の下で、2-ブロモアニリンとアセチレンとの反応は、収率と変換に基づき非常に有効である。この反応は、きれいであり、かつ5時間以内10モル%の酢酸パラジウムの存在下5時間で完了した。主な副生成物は、観察されなかった。N-Hインドール生成物のメチル化の後、N-Me生成物を反応混合物中94エリア%純度で得た。レジオ異性体の比は、19:1であった。この生成物は、フラッシュクロマトグラフィーの後、87%の収率で得た。
スキーム8
【化3】

この反応を、さらにスキーム9に示されるように研究し、結果を表2にまとめる。
スキーム9
【化4】

スキーム8に使用された同一の条件を使用することによって、スキーム9に示される反応はさらにゆっくり進んだ。完全な変換のためには、延長した反応時間が必要であった。類似の結果が、リガンド4a、4b、5又は6のいずれかを使用しても観察された。試験したリガンドの全てにおいて、2-クロロアニリンの最小のホモカップリングを有する5(R=t-ブチル)は、最良の結果を与えた。結果を表IIに示す。












































【0014】
表II











*比をHPLC分析を使用して決定した。
【0015】
出発材料を商業的に利用可能な3-ニトロ-4-クロロ-6-ベンゾイルクロライドから2工程で、容易に調製した。

スキーム10
【化5】

リガンド-本発明で使用され得る好適なリガンドとしては、高い反応性のリガンド、例えば、ビフェニル型Buchwald型ビフェニルリガンド(4a,4b)フェロセン型リガンド(5)又はトリシクロヘキシルホスフィンリガンド(6)が挙げられる。

(式中、(4a)及び(4b)においてRは、シクロヘキシル、又はt-ブチルであり、また(5)においてRは、イソプロピル又はt-ブチルである。)

触媒-本発明の方法の態様で使用され得る多数の触媒は、Pd(OAc)2、PdCl2、PdBr2、Pd2(dba)3、[Pd(アリル)Cl]2、Pd(CH3CN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、Pd/C、カプセル封入されたPd及びPd(Cy3P)2Cl2を含む本発明の方法を提供する。

塩基-本発明の方法で使用され得る好適な塩基としては、K2CO3、KHCO3、Na2CO3、CsOAc、KOAc、K3PO4、Cs2CO3、1,8- ジアザビシクロ[5.4.0]アンデク-7-エン(DBU), テトラメチル グアニジン(TMG), Bu4N+OAc-から成るリストから選択されるものが挙げられる。

溶媒-本発明の方法で使用され得る好適な溶媒としては、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、4,4-ジメチル-2-イミダゾリン(DMI)、又はキシレンが挙げられる。
【0016】
(合成例)
本発明をより完全に理解するために、以下の例を示す。これらの例は、この発明の態様を示す目的のためであり、当業者が理解するように、特定の試薬又は条件は、それぞれの化合物必要に応じて、修飾され得るので、とにかく本発明の範囲の限定として解釈されない。使用される出発材料は、商業的に利用可能か又は当業者によって商業的に利用可能な材料から容易に調製される。

(合成例)
全ての反応をアルゴン又は窒素の不活性雰囲気下、ゴムセプタムで密封した乾燥したガラス器具で行った。すべての市販材料をさらなる精製なしに使用した。分析用の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)をUV検出器及びエクリプスXDB-C8 4.6x150mm5μmカラムを備えるアジレント1100シリーズ上で行った。分析用の薄層クロマトグラフィー(TLC)を紫外線(254nm)及びリンモリブデン酸染色液とそれに次ぐ穏やかな加熱による処理によって可視化し、生成物の精製をIsolute社から購入したFlash Si IIが予め充填されたIsolute SPEカラムを使用してフラッシュクロマトグラフィーによって行った。1H及び13CをBruker 400を使用して記録した。化学シフトをppmで記録した。以下の略語を化学シフト多重度を示すために使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、h=九重線、m=多重線、br=ブロード。高分解能マススペクトルをVG70-250S(二重集光)マススペクトロメーターで70eVにおいて得た。








【実施例】
【0017】
実施例1:5-メチル-2-フェニル-3-プロピルインドール(1a)の合成
【化6】

Pd(OAc)2 (11 mg, 0.05 mmol)、1,1’-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン(DtBPF) (47 mg, 0.1 mmol)及びK2CO3 (346 mg, 2.5 mmol) をオーブン乾燥した反応バイアルに添加した。このバイアルにアルゴンをパージした。2-クロロ-4-メチルアニリン(123 μL, 1 mmol), 1-フェニル-1-ペンチン (192μL, 1.2 mmol)及び1-メチル-2-ピロリジノン(NMP) (2 mL)を注射器を介して加えた。この反応を130℃まで加熱し、該温度で攪拌し、HPLCで観測した。この反応を4時間後完了した。所望のレジオ異性体(1a)と副生成物(1b)との比は、91:9であった。混合物を珪藻土パッドで濾過した。このケークをEtOAcで洗浄した。合わせた有機濾液を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過して、濃縮して茶褐色の残渣を得た。この生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.90 (s, 1H), 7.60-7.00 (m, 8H), 2.80 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 2.48 (s, 3H), 1.75-1.64 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.0 Hz, 3H); LC-MSD (API-ES, ポジティブ) m/z = 250 (M + H+).

実施例2
以下の例は、パラジウム触媒インドール化の一般的適用を示す。
【化7】

3-エチル-2-イソプロペニル-5-メチル-1H-インドール
攪拌棒と熱電対を備える100mlの反応フラスコにPd(OAc)2 (56 mg, 0.25 mmol)、DtBPF (142 mg, 0.3 mmol)、2-クロロ-4-メチルアニリン (0.71 g, 5 mmol)、2-メチル-1-ヘキセン-3-イン(0.94 g, 10 mmol)、K2CO3 (1.73 g, 12.5 mmol)及びDMF (50 mL)を装入する。このフラスコにアルゴンをパージした。反応を110℃まで加熱して終夜攪拌した。この反応を20時間後、110℃で完了した。この混合物を珪藻土の層で濾過し、またEtOAc(10mL)で洗浄した。濾液を水(50mL)で稀釈し、EtOAc(100Lx3)で抽出した。合わせた有機相を水(50mLx4)及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、また濃縮して濃褐色残渣を得た。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50/1)で精製した。所望の生成物をオフホワイトの固体(0.6g、60%)として得た。
以下の化合物を適当な置換アニリンとアセチレン中間体で始まり、同一の手順を使用して作った。
【0018】
5-メチル-2-フェニル-3-プロピル-1H-インドール:

収率76%、オフホワイト固体、m.p.120-123℃、; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.90 (s, 1H), 7.60-7.40 (m, 5H), 7.34-7.29 (m, 1H), 7.21-7.18 (m, 1H), 7.01-6.98 (m, 1H), 2.80 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 2.48 (s, 3H), 1.75-1.64 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.0 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 134.31, 134.27, 133.67, 129.62, 128.81, 128.67, 127.92, 127.38, 123.78, 119.05, 113.60, 110.48, 26.80, 24.30, 21.66, 14.53; LC-MSD (API-ES, ポジティブ) m/z = 250 (M + H+); HR-MS 計算値(Calcd) 249.1517, 観測値249.1515

3-シクロペンチル-5-メチル-2-ピリジン-2-イル-1H-インドール:

収率:95%、黄色固体、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.09 (s, 1H), 8.65-8.62 (m, 1H), 7.76-7.66 (m, 2H), 7.50 (s, 1H), 7.26-7.01 (m, 3H), 3.71-3.65 (m, 1H), 2.46 (s, 3H), 2.18-1.78 (m, 8H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 151.63, 149.46, 137.21, 134.80, 132.74, 127.79, 127.56, 124.42, 122.29, 121.46, 120.67, 177.99, 111.30, 37.48, 32.92, 26.68, 21.74; LC-MSD (API-ES, ポジティブ) m/z = 277.1 (M + H)
【0019】
5-メチル-2,3-ジプロピル-1H-インドール

収率:82%、黄色固体、化合物は、不安定であり、またカラムの後、容易に分解される。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (s, 1H), 7.29 (d, J = 0.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 8.5, 0.5 Hz, 1H), 2.65-2.61 (m, 4H), 2.44 (s, 3H), 1.64-1.62 (m, 4H), 0.97-0.93 (m, 6H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 134.16, 132.34, 127.79, 126.71, 120.95, 116.92, 110.38, 108.67, 26.93, 25.08, 22.90, 21.95, 20.33, 13.06, 12.74; LC-MSD (API-ES,ポジティブ) m/z = 216.1 (M + H)

5-メチル-2,3-ジフェニル-1H-インドール

収率:86%、オフホワイトの固体、m.p.153-155℃、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.15 (s, 1H), 7.48-7.28 (m, 12H), 7.12-7.09 (m, 1H), 2.44 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 135.22, 134.19, 134.18, 132.80, 130.19, 129.75, 129.00, 128.65, 128.50, 128.07, 127.57, 126.15, 124.30, 119.22, 114.57, 110.54, 21.54; LC-MSD (API-ES, ポジティブ) m/z = 284.1 (M + H); HR-MS 計算値(Calcd) 283.1361, 観測値283.1353。
【0020】
3-エチル-2-イソプロペニル-5-メチル-1H-インドール

収率:60%、オフホワイトの固体、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.23 (br s, 1H), 5.18-5.17 (m, 1H), 2.85 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.45 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.26 (t, J = 7.5 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 136.34, 134.37, 133.56, 129.22, 128.47, 123.87, 118.56, 115.44, 113.83, 110.23, 22.46, 21.58, 18.10, 15.58; LC-MSD (API-ES, ポジティブ) m/z = 200.2 (M + H)。

5-メチル-3-フェニル-2-トリメチルシラニル-1H-インドール

収率:63%、黄色油、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.03 (s, 1H), 7.47-7.27 (m, 7H), 7.05-7.02 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 0.19 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 137.10, 136.60, 134.51, 130.76, 129.54, 129.22, 128.43, 127.65, 126.87, 124.77, 119.36, 110.83, 21.85, 0.00; LC-MSD (API-ES,ポジティブ) m/z = 280.1 (M + H)。
【0021】
3-シクロペンチル-2-ピリジン-2-イル-6-トリフルオロメチル-1H-インドール

収率:93%、黄色固体、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.28 (s, 1H), 8.64 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.82-7.72 (m, 3H), 7.57 (s, 1H), 7.28-7.22 (m, 2H), 3.75-3.66 (m, 1H), 2.16-1.97 (m, 6H), 1.86-1.79 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 150.28, 149.00, 136.31, 134.74, 134.60, 128.97, 124.60 (q, J = 270 Hz), 123.88 (q, J = 32 Hz), 122.25, 121.79, 120.86, 118.14, 114.74 (q, J = 3 Hz), 108.50 (q, J = 4 Hz), 36.75, 32.56, 26.15; LC-MSD (API-ES,ポジティブ) m/z = 331.0 (M + H)。

3-メチル-2-フェニル-6-トリフルオロメチル-1H-インドール

収率:65%、黄色固体、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (s, 1H), 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.48-7.47 (m, 4H), 7.36-7.31 (m, 2H), 2.54 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 135.69, 133.53, 131.49, 131.18, 127.94, 126.96, 126.80, 125.62, 123.23 (q, J = 30 Hz), 118.23, 115.20 (q, J = 3 Hz), 107.86, 107.15 (q, J = 4 Hz), 8.52。
【0022】
2-メチル-3-フェニル-6-トリフルオロメチル-1H-インドール

収率:9%、黄色油、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (s, 1H), 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.48-7.47 (m, 4H), 7.36-7.31 (m, 2H), 2.54 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 134.53, 134.34, 134.06, 130.18, 129.40, 128.66, 126.29, 125.26 (q, J = 269 Hz), 123.53 (q, J = 32 Hz), 119.03, 116.73 (q, J = 3 Hz), 114.99, 107.78 (q, J = 5 Hz), 12.66。

2-(3-エチル-1H-インドール-2-イル)-プロパン-2-オール

収率:60%、黄色油、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (s, 1H), 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.16-7.06 (m, 2H), 2.83 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.08 (s, 1H), 1.70 (s, 6H), 1.26 (t, J = 7.5 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 137.76, 132.16, 127.65, 119.73, 117.37, 116.87, 109.42, 109.13, 69.28, 29.49, 16.45, 14.32。
【0023】
2,3-ジフェニル-1H-インドール

収率:97%、黄色固体、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.13 (s, 1H), 7.67 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.44-7.18 (m, 13H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 135.70, 134.88, 133.92, 132.49, 129.99, 128.56, 128.52, 128.37, 128.02, 127.53, 126.07, 122.54, 120.27, 119.53, 114.85, 110.75。

3-シクロペンチル-6-メトキシ-2-イル-1H-インドール

1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 11.1 (s, 1H), 8.66 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 7.87 (dt, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.66 (br d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 7.5, 5.0 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.64 (dd, J = 9.0, 2.5 Hz, 1H), 3.92-3.87 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 1.99-1.85 (m, 6H), 1.72-1.69 (m, 2H)。
【0024】
実施例3:3-シクロペンチル-1-メチル-2-ピリジン-2-イル-1H-インドール-6-カルボン酸メチルエステル(13)の合成
【化8】

熱電対、コンデンサー及び攪拌棒を備える100mLの三口フラスコにアルゴンをパージした。次いで、3-アミノ-4-クロロ安息香酸メチルエステル (5.0 g, 26.94 mmol), 2-シクロペンチルエチニル-ピリジン(5.528 g, 32.33 mmol), Pd(OAc)2 (181 mg, 0.81 mmol), DtBPF (767 mg, 1.62 mmol), K2CO3 (9.29 g, 67.35 mmol) 及びNMP (25 mL)を装入した。この反応を130℃に加熱し、HPLCで観測した。この反応は、6時間後に完了した。
この反応を室温に冷却した。DMC (11.4 mL, 134.69 mmol)及びテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB) (0.868 g, 2.69 mmol)を添加した。この混合物を130℃まで加熱した。HPLCは、3%未満の出発材料が、4.5時間後に残っていることを示した。この混合物を珪藻土パッドで濾過した。この黒色ケークをi-PrOAc(50mL)で洗浄した。この混合物の溶液収率は、78%であった。
粗生成物残渣をi-PrOAc(50mL)に溶解した。この溶液を0.3NのHCl水溶液で3回洗浄した(20 mL,次いで2 x 15 mL)。有機相を真空下濃縮した。プロパノール、水及び50%NaOHをこの残渣に添加した。この反応を90℃に1時間加熱した。HPLCは、この反応が完了したことを示した。混合物を50〜60℃に冷却した後、珪藻土及び活性炭を添加した。この混合物を50℃で30分攪拌し、珪藻土のパッドで100mLの三口フラスコに濾過した。湿ったケークを水/l-プロパノール9/1の18mLで洗浄した。次いで混合物を50℃で加熱した。酢酸をこの温度で滴下して加えた。沈殿を添加時に観測した。この懸濁液を次いで加熱環流し、30分維持した。この混合物を室温まで2時間ゆっくりと冷却した。形成した沈殿物を濾過した。湿ったケークを10mLの1-プロパノール/水(2:1)で洗浄した。黄色固体を真空下2日間乾燥した。5.6gの生成物を得た。収率は、3工程で62%であり、99.32A%の純度であった。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.80 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00 (m, 1H), 7.77 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.50 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.17-3.11 (m, 1H), 1.90-1.60 (m, 8H)。
【0025】
実施例4 1-[(3-シクロペンチル-1-メチル-2-ピリジン-2-イル-1H-インドール-6-カルボニル)-アミノ]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル (14)の合成:
【化9】

熱電対、コンデンサー及び攪拌棒を備える100mLの三口フラスコをアルゴンでパージした。1-(3-アミノ-4-クロロ-ベンゾイルアミノ)シクロブタンカルボン酸メチルエステル (5 g, 17.69 mmol)、酢酸パラジウム(0.119 g, 0.53 mmol)、1,1'-ビス(ジ-t ブチルホスフィノ)フェロセン(0.503 g, 1.06 mmol)及び炭酸カリウム (6.101 g, 44.21 mmol)をこのフラスコに装入した。2-シクロペンチルエチニル-ピリジン(3.629 g, 21.22 mmol)及びNMP (25 mL)を注射器を介して添加した。この反応を130℃に加熱して同一の温度で攪拌した。この反応をHPLCで観測した。
室温に冷却後、DMC (7.5 mL, 88.43 mmol)及びK2CO3 (2.93 g, 21.22 mmol)を添加した。この反応を135℃で6時間攪拌した。更なるDMC(3mL)を添加した。この反応をさらに4時間攪拌した。
この混合物を珪藻土のパッドで濾過した。黒色のケークを酢酸エチル(50mL,10v)で洗浄した。この黒色溶液を0.3N HCl溶液(30mL)で洗浄した。この生成物を沈殿させた。真空濾過後、3.02g(97.84 % 、248 nmでの純度)の淡黄色固体を得た。第二クロップ0.66g(97.84純度)をオフホワイトの固体として得た。単離収率は、48%であった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.72 (m, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.80-7.28 (m, 5H), 6.90 (s, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.25-3.10 (m, 1H), 2.80-2.46 (m, 4H), 2.20-1.60 (m, 10H)。
【0026】
以下の化合物を上記実施例に記載の方法を使用して3-アミノ-4-クロロ安息香酸メチルエステルから調製した。

3-シクロペンチル-1-メチル-2-ピリジン-2-イル-1H-インドール-6-カルボン酸メチルエステル:

1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.81-8.80 (m, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00-7.50 (m, 5H), 3.89 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.17-3.11 (m, 1H), 1.90-1.88 (m, 6H), 1.62-1.60 (m, 2H)。

2-プロピル-3-プロピル-5-フルオロ-1H-インドール
【化10】

50mLの三口フラスコに酢酸パラジウム(22.4mg, 0.1 mmol)、dtbpf (94mg, 0.2 mmol)、炭酸カリウム (690 mg, 5 mmol)、2-ブロモ-4-フルオロアニリン(380 mg, 2 mmol)、 4-オクチン(264 mg, 2.4 mmol)及びNMP (10 ml)を装入した。この混合物をアルゴンでパージし130℃に加熱した。1時間後、反応混合物を室温に冷却した。酢酸エチルと水を加えた。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒の除去及びカラムによる粗原料の精製によって黄色油として所望の生成物(355mg,4.3wt%のAcOEtを含む。)を与えた。正確な収率は、77.6%である。

1H NMR (400 MHz): δ = 7.68 (s, 1 H), 7.16-7.13 (m, 2 H), 6.83 (td, 1 H, J=9.2 Hz, J=2.4), 2.68 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 2.61 (t, 2 H, J = 7.6), 1.72-1.57 (m, 4 H), 0.98 (t, 3 H, J = 7.2 Hz), 0.95 (t, 3 H, J = 7.2 Hz)。
【0027】
N-アセチル-2-プロピル-3-プロピル-5-フルオロ-インドール及び2-プロピル-3-プロピル-5-フルオロ-1H-インドール
【化11】

50mLの三口フラスコに酢酸パラジウム (22.4mg, 0.1 mmol)、dtbpf (94mg, 0.2 mmol)、炭酸カリウム(690 mg, 5 mmol)、2-ブロモ-4-フルオロ-アセトアニリド(464 mg, 2 mmol)、4-オクチン (264 mg, 2.4 mmol)及びNMP (10 mL)を装入した。この混合物にアルゴンをパージして130℃に加熱した。1時間後、反応混合物を室温に冷却した。酢酸エチル及び水を添加した。有機相を分離して水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄してMgSO4で乾燥した。
溶媒の除去及びカラムクロマトグラフィーによる上記クルードの精製によって、所望の生成物及び対応する脱アセチル化(deacelyated)インドールを、46:54(407mg、7.7質量%のAcOETを含む。)の比率で与えた。正確な収率は66%であった。

1H NMR (400 MHz): δ = 7.73 (m, 1 H), 7.14 (m, 1H), 6.94 (td, 1 H, J=9.2 Hz, J=2.4), 2.94 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 2.7 (s, 3H), 2.56 (t, 2 H, J = 7.6), 1.71 (m, 4 H), 1.00-0.92 (m, 6 H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程、
(a)式(I)

(I)
(式中、Xは、Br又はCl、Rは、H、アルキル、アリール、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)-アリール、-S(O)2C1-6アルキル又は-S(O)2アリール、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-CO2C1-6アルキル、C1-6アルキルHNC(O)-、





又は


の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリンと、
式(II)

(II)
(式中、R2は、非環状又は環状アルキル、アリール、又は複素環であり、R3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるフェニル、又はR3は、任意にF、Cl、アルキル、アリール、CO2C1-6アルキル又はカルボキシアミドで置換されるピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール及びイミダゾールから選択されるヘテロアリールであり、R3は、トリアルキシリル、アルキル、アルコキシである。)
の置換アセチレンとを、溶媒中のパラジウム触媒、リガンド、及び塩基の存在下、反応させて式(III)

(III)
の化合物を与える工程、
を含むことを特徴とする置換インドール化合物の製造方法。
【請求項2】
前記使用されるリガンドが、
a)1,1'-ビス(ジ-アルキルホスフィノ)フェロセン、
b)トリアルキルホスフィン、ビフェニルジアルキルホスフィン、
c)1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン、
d)1,1'-ビス(ジ-イソ-プロピルホスフィノ)フェロセン又はトリシクロヘキシルホスフィン、
e)2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-ビフェニル、
f)2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-2'-N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、
から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用されるリガンドが、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1'-ビス(ジ-イソ-プロピルホスフィノ)フェロセン又はトリシクロヘキシルホスフィンから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、Pd(OAc)2、PdCl2、PdBr2、Pd2(dba)3、[Pd(アリル)Cl]2、Pd(CH3CN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、Pd/C、カプセル封入されたPd及びPd(Cy3P)2Cl2から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基が、K2CO3、 KHCO3、 Na2CO3、 CsOAc、 KOAc、 K3PO4、 Cs2CO3、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、テトラメチルグアニジン(TMG)、Bu4N+OAc-からなるリストから選択される請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記塩基が、K2CO3である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、4,4-ジメチル-2-イミダゾリン(DMI)、又はキシレンから選択される請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒が、NMP又はDMFである請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記パラジウム触媒インドール反応を110℃〜140℃の温度で行う請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、NMP、前記塩基が、K2CO3、前記触媒が、Pd(OAc)2、及び前記リガンドが、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセンである請求項1記載の方法。
【請求項11】
式1

(I)
(式中、Xは、Br又はCl、Rは、H、C1-8アルキル、アリール、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)-アリール、-S(O)2C1-6アルキル又は-S(O)2アリール、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO2H、CO2M(ここで、Mは、Na、K、Li、Mgである。)、-CO2C1-6アルキル、C1-6アルキルHNC(O)-、





又は


の2-ブロモアニリン又は2-クロロアニリン化合物。

【公表番号】特表2007−529538(P2007−529538A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504038(P2007−504038)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/008620
【国際公開番号】WO2005/090302
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】