説明

2−置換―6−ヘテロ環ピリミドン誘導体

神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)等のタウプロテインキナーゼ1の異常活性に起因する疾患の予防及び/又は治療のために用いられる、式(I)で表される化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩:


式中、R1はそれぞれ水素原子等を表し;Xは酸素原子等を表し;Aは、C3−C7シクロアルキル基、C6−C10アリール基又はヘテロ環基を表し;R6は、ハロゲン原子等を表し;sは0又は1から5の整数を表し;Qは置換されていてもよいピリジン環、又はピリミジン環を表し;R2は水素原子等を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)などの、タウプロテインキナーゼ1の異常亢進に主に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
GSK3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)は、代謝、分化、生存に重要な役割を果たすプロリン指向性セリン−トレオニンキナーゼである。当初、GSK3βは、グリコーゲン合成酵素をリン酸化できることにより阻害できる酵素として同定された。その後、GSK3βは、タウプロテインキナーゼ1(TPK1)と同一であることが分かった。TPK1は、タウリン酸化部位をリン酸化する酵素であり、タウ蛋白質もアルツハイマー病及び幾つかのタウオパチーで過剰リン酸化されていることが見出される。
【0003】
興味深いことに、TPK1がプロテインキナーゼB(AKT)をリン酸化すると、そのキナーゼ活性が失われる。そして、この活性阻害は神経栄養因子の効果を媒介している場合があるかもしれないとの仮説が立てられている。さらに、細胞の生存に関わる蛋白質であるβ-カテニンをTPK1によってリン酸化すると、ユビキチン化依存プロテアソーム経路によるβ-カテニンの分解が起こる。
従って、TPK1活性を阻害すると神経栄養作用が起こるようである。実際、TPK1の非競合的阻害剤であるリチウムが、Bcl-2のような生存因子の誘導や、P53およびBaxのようなプロアポトーシス因子の発現阻害によって、幾つかのモデルで神経突起生成を促進し、ニューロンの生存を増加させるという証拠がある。
【0004】
近年の研究により、β―アミロイドがTPK1活性とタウ蛋白質リン酸化を増加させることが示されている。さらに、この過剰リン酸化及びβ―アミロイドの神経毒性効果は、塩化リチウムおよびTPK1アンチセンスmRNAによって阻害される。これらの観測結果は、TPK1がアルツハイマー病の2つの主要な病理学的経路であるAPP(アミロイド前駆体蛋白)の異常プロセシング及びタウ蛋白質過剰リン酸化を結びつけるものであることを強く示唆している。
【0005】
タウの過剰リン酸化は神経細胞骨格の不安定化を起こすとはいえ、異常TPK1活性の病理学的帰結はおそらくタウ蛋白質の病理学的リン酸化のせいのみではない。なぜなら、上述のように、このキナーゼの過活性はアポトーシス因子および抗アポトーシス因子の発現の調節を通じて生存に影響しているかもしれないからである。さらに、β―アミロイドによって誘導されTPK1活性が増加してリン酸化が起こることによって、エネルギー生産およびアセチルコリン合成における中心的な酵素であるピルベートデヒドロゲナーゼの阻害が起こることが示されている。
【0006】
これらの実験的観測結果の全てによって、神経病理学的変性、アルツハイマー病に伴う認知注意欠損、ならびにその他の急性および慢性の神経変性疾患およびTPK1が非制御の状態になるその他の病変の治療への用途がTPK1に見出されうることが示されている(非特許文献1〜4:Nature reviews Vol.3, June 2004, p.479-487; Trends in Pharmacological Sciences Vol. 25 No. 9, Sept. 2004, p. 471-480; Journal of neurochemistry 2004, 89, 1313-1317; Medicinal Research Reviews, Vol. 22, No. 4, 373-384, 2002)。
【0007】
神経変性疾患としては、限定されるものではないが、パーキンソン病、タウオパチー(例えば、前頭側頭性認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上麻痺など)、ウィルソン病、ハンチントン病(非特許文献5:The Journal of biological chemistry Vol. 277, No. 37, Issue of September 13, pp. 33791-33798, 2002)、プリオン病(非特許文献6:Biochem. J. 372, p.129-136, 2003)、および血管性認知症を含むその他の認知症;急性その他の外傷性損傷;脳血管障害(例えば、加齢性黄斑変性症);脳及び脊髄損傷;筋萎縮性側索硬化症(非特許文献7:European Journal of Neuroscience, Vol. 22, pp. 301-309, 2005);末梢性ニューロパシー;網膜症、及び緑内障が挙げられる。近年の研究によって、TPK1を阻害すると胚性幹細胞(ESC)の神経分化が起こり、ヒト及びマウスのESCの再生およびこれらの多分化能の維持がサポートされることも示されている。これは、TPK1の阻害剤が再生医療への用途を有し得ることを示唆している(非特許文献8:Nature Medicine 10, p. 55 - 63, 2004)。
【0008】
TPK1の阻害剤は、躁鬱(躁鬱病)などのその他の神経系疾患の治療への用途も見出し得る。例えば、リチウムはすでに50年以上も精神安定剤として躁鬱性疾患の初期治療に用いられている。リチウムの治療作用はリチウムがTPK1の直接的な阻害剤になる用量(1−2mM)で確認される。リチウムの作用のメカニズムは明確ではないが、TPK1の阻害剤はリチウムの精神安定効果を再現することに用いることができると考えられる。AKT-TPK1シグナリング交代もまた、統合失調症の発症機序に関係しているとされている。
【0009】
さらに、TPK1阻害は、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、および幾つかのウイルス誘導性腫瘍などの癌の治療においても有用であり得る。例えば、TPK1の活性型は結腸直腸癌患者の癌において高くなっていることが示されており、結腸直腸癌細胞におけるTPK1阻害は、p53依存型アポトーシスを活性化し、癌成長に拮抗する。TPK1阻害はまた、前立腺癌細胞株においてTRAIL誘導型アポトーシスを促進させる。TPK1は紡錘体の動力学においても役割を果たしており、TPK1阻害剤は染色体移動を阻害し、微小管の安定化、および低用量タキソールで見られるものと類似の細胞分裂前中期での分裂停止を導く。TPK1阻害剤のその他の用途の可能性としてはインスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病など)、肥満症、及び脱毛症が挙げられる。
【0010】
ヒトTPK1の阻害剤は、Plasmodium falciparumで見出されたこの酵素の相同分子種であるpfGSK3もまた阻害する可能性があるので、マラリアの治療に用いることができると考えられる(非特許文献9:Biochimica et Biophysica Acta 1697, 181- 196, 2004)。
近年、人類遺伝学及び動物研究の両方が、骨量増加の主要な調節剤であるWnt/LPR5経路の役割を指摘している。
TPK1の阻害は標準的Wntシグナリングの活性化を結果として引き起こす。Wntシグナリングの欠損は骨量が低下する疾患に関与しているとされているので、TPK1阻害剤は、骨量が減少する疾患、骨関連の病変、骨粗鬆症の治療にも用いられるかもしれない。
【0011】
近年のデータによれば、TPK1阻害剤は尋常性天疱瘡の治療又は阻害にも用いられる可能性がある。
近年の研究はTPK1阻害剤治療によって好中球および巨核球の回復が改善されることを示している。従って、TPK1阻害剤は癌治療によって引き起こされる好中球減少の治療にも有益であろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Nature reviews Vol.3, June 2004, p.479-487
【非特許文献2】Trends in Pharmacological Sciences Vol. 25 No. 9, Sept. 2004, p. 471-480
【非特許文献3】Journal of neurochemistry 2004, 89, 1313-1317
【非特許文献4】Medicinal Research Reviews, Vol. 22, No. 4, 373-384, 2002
【非特許文献5】The Journal of biological chemistry Vol. 277, No. 37, Issue of September 13, pp. 33791-33798, 2002
【非特許文献6】Biochem. J. 372, p.129-136, 2003
【非特許文献7】European Journal of Neuroscience, Vol. 22, pp. 301-309, 2005
【非特許文献8】Nature Medicine 10, p. 55 - 63, 2004
【非特許文献9】Biochimica et Biophysica Acta 1697, 181- 196, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、アルツハイマー病などの疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物を提供することにある。より詳細には、本発明の課題は、TPK1活性を阻害することによりAβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、また神経細胞死を阻止することにより、アルツハイマー病などの神経変性疾患に対して根本的な予防及び/又は治療を可能にする医薬の有効成分として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記課題を解決すべく、TPK1のリン酸化能に対する阻害作用を有する各種化合物をスクリーニングした。その結果、下記式(I)で表される化合物が所望の作用を有しており、上記の疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0015】
すなわち本発明は、下記を提供するものである。
1.式(I)で表される化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩:
【0016】
【化1】

【0017】
式中、各記号は下記のように定義される:
1 は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(I−f)で表される基:
【0018】
【化2】

【0019】
{式中、A14は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、 置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
13は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−g)で表される基:
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、A15は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
16は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
12は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
11は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−h)で表される基:
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、A17は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
18は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
14とA13、A14とA11、A13とA11は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し、
Xは、酸素原子、硫黄原子、S=O、S(=O)2、CH2、CHR1、CR12、又は下記式(I−e)で表される基:
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、A9は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
10は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC1−C6アルキルオキシ基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキルオキシ基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し;
【0026】
Aは、C3−C7シクロアルキル基、C6−C10アリール基又はヘテロ環基を表し;
6は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(I−k)で表される基:
【0027】
【化6】

【0028】
{式中、C4は、水素原子(C3、C2、及びC1の全てが結合を表す場合を除く)、 置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
3は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−l)で表される基:
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、C5は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
6は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
2は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
1は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−m)で表される基:
【0031】
【化8】

【0032】
(式中、C7は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
8は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
4とC3、C4とC1、C3とC1は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し;
sは0又は1から5の整数を表し;
Qは、下記式(II−a)又は(II−b)で表される基:
【0033】
【化9】

【0034】
[式中、R20は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(II−c)で表される基:
【0035】
【化10】

【0036】
{式中、B4は、水素原子(B3、B2、及びB1の全てが結合を表す場合を除く)、 置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
3は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(II−d)で表される基:
【0037】
【化11】

【0038】
(式中、B5は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
6は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
2は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
1は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(II−e)で表される基:
【0039】
【化12】

【0040】
(式中、B7は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
8は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
4とB3、B4とB1、B3とB1は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し、
任意の2つのR20は、互いに結合して炭化水素環又はヘテロ環を形成していてもよく、
qは、1から4の整数を表す]を表し;
2は、水素原子、ハロゲン原子又は置換されていてもよいC1−C6アルキル基を表す。
【0041】
2.Qが、qが1または2を表す前記式(II−a)で表される基を表す上記第1項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
3.Qが前記式(II−b)で表される基を表す上記第1項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
4.R2が水素原子である上記第1〜3項のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
5.Xが酸素原子を表す上記第1〜4項のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【0042】
6.全てのR1が水素原子であり、Aがフェニル基を表す上記第1〜5項のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
7.R6がハロゲン原子からなる群から選択され、sが1である、上記第6項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
8.R6が式(I−k)から選択され、C1、C2、およびC3が結合を表し、C4が置換されていてもよいヘテロ環を表す上記第6項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
9.C4で表されるヘテロ環が、窒素及び/又は酸素を含み、かつ、置換されていてもよい、5又は6員のヘテロ芳香族環である上記第8項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
10.全てのR1が水素原子であり、Aがベンゾフラニル基又はベンゾイソオキサゾリル基である上記第1〜5項のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【0043】
11.全てのR1が水素原子であり、AがC3−C7シクロアルキル基を表す上記第1〜5項のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
12.2−((2−RS)−2−シクロブチル−モルホリン−4−イル)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル)−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル]―6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;及び
2−{(2S)−2−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オンからなる群から選択される上記第1項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【0044】
13.上記第1〜12項のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物及びその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩から成る群より選択される物質を有効成分として含有する医薬。
14.タウプロテインキナーゼ1の異常活性に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
15. 神経変性疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記13項に記載の医薬。
【0045】
16.神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、血管性認知症、急性脳梗塞、外傷性損傷、脳血管障害、脳髄損傷、脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障から成る群から選択される、上記第15項に記載の医薬。
17.インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、統合失調症、脱毛症、又は癌の予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
18.癌が、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TもしくはB細胞白血病、又はウイルス誘導性腫瘍である、上記第17項に記載の医薬。
19.マラリアの予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
20.骨疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
21.尋常性天疱瘡の予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
22.癌治療によって誘導される好中球減少の予防及び/又は治療に用いられる、上記第13項に記載の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0046】
特に示さない場合、下記の定義は、本明細書において本発明を表すために用いられている様々な用語の意味と範囲を表し定義するために提示される。
「C1−C6アルキル」という用語は、直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい1から6個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシルを意味する。
「C1−C12アルキル」という用語は、直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい1から12個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルを意味する。
【0047】
「C2−C6アルケニル」という用語は、2から6個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニルを意味する。
「C2−C6アルキニル」という用語は、2から6個の炭素原子を有するアルキニル基、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、へキシニルを意味する。
「C3−C7シクロアルキル」という用語は、3から7個の原子を有するシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルを意味する。
「C6−C10アリール」という用語は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、インデン、テトラヒドロナフタレンから誘導される6から10個の炭素原子を有する基を意味する。環上の結合位置は制限されない。
【0048】
「ヘテロ環基(heterocyclic group)」、「ヘテロ環基(heterocycle)」、「ヘテロ環(heterocyclic ring)」という用語は、例えば、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリジンオキシド、ピペリジン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾチアゾリノン、ベンゾキサゾリノン、プリン、キノリジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、オキサゾール、オキサゾリジン、イソキサゾール、イソキサゾリジン、オキサジアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジリジン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、チアジアゾール、ベンゾジオキソール、ジオキサン、ベンゾジオキサン、ジチアン、モルホリン、チオモルホリン、フタルイミド、ホモピペリジニル、又はホモピペラジニルから誘導される環状の基を意味する。環上の結合位置は制限されない。
【0049】
本明細書において、官能基が「置換されていてもよい」又は「任意に置換されている」と定義されているときは、その置換基の種類及び置換位置のほか、その置換基の数は特に限定されず、2以上の置換基が存在するときはそれらは同一でも異なっていてもよい。本明細書において置換基としては、例えば、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7シクロアルケニル、C6−C10アリール、ヘテロ環、C1−C6アルコキシ、C3−C6アルケニルオキシ、C3−C6アルキニルオキシ、C3−C7シクロアルキルオキシ、C3−C7シクロアルケニルオキシ、C6−C10アリールオキシ、ヘテロ環オキシ、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、ニトロ、アミノ、シアノ、水酸基、オキソ基、C1−C6アルキルカルボニル、C2−C6アルケニルカルボニル、C2−C6アルキニルカルボニル、C3−C7シクロアルキルカルボニル、C3−C7シクロアルケニルカルボニル、C6−C10アリールカルボニル、ヘテロ環カルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C2−C6アルケニルスルホニル、C2−C6アルキニルスルホニル、C3−C7シクロアルキルスルホニル、C3−C7シクロアルケニルスルホニル、C6−C10アリールスルホニル、ヘテロ環スルホニル、C1−C6アルコキシカルボニル、C3−C6アルケニルオキシカルボニル、C3−C6アルキニルオキシカルボニル、C3−C7シクロアルキルオキシカルボニル、C3−C7シクロアルケニルオキシカルボニル、C6−C10アリールオキシカルボニル、ヘテロ環オキシカルボニル、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、C3−C6アルケニルアミノ、C3−C6アルキニルアミノ、C3−C7シクロアルキルアミノ、C3−C7シクロアルケニルアミノ、C6−C10アリールアミノ、ヘテロ環−アミノ、N,N−ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノカルボニル、C1−C6アルキルアミノカルボニル、C3−C6アルケニルアミノカルボニル,C3−C6アルキニルアミノカルボニル、C3−C7シクロアルキルアミノカルボニル、C3−C7シクロアルケニルアミノカルボニル、C6−C10アリールアミノカルボニル、ヘテロ環−アミノカルボニル、N,N−ジ−C1−C6 ジアルキルアミノカルボニルが挙げられる。置換基の数及び種類ならびに置換位置は特に限定されない、また、2つ以上の置換基が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。上記の置換基において、「C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7シクロアルケニル、C6−C10アリール、ヘテロ環、又はC1−C6アルコキシ」で表現される全ての用語は上記と同じ意味を示す。これらの置換基はまた、上記の置換基で置換されていてもよい。
【0050】
2は好ましくは水素原子であればよい。
Xは、好ましくは酸素原子、CH2、又はA9が結合を表しA10が水素原子を表す式(I−e)で表される基であればよい。Xは、より好ましくは酸素原子であればよい。全てのR1が水素原子であり、AがC3−C7シクロアルキル基、フェニル基、ベンゾフラニル基又はベンゾイソオキサゾリル基であり、かつR6がハロゲン原子、又はC4がC1−C6アルキル基を表し、C3が結合もしくは酸素原子を表し、C2が結合もしくはC=Oを表し、C1が結合もしくは酸素原子を表す式(I−k)で表される基を表すことが好ましい。Aで表されるC3−C7シクロアルキル基は好ましくはシクロブチル基であればよい。R6は好ましくはハロゲン原子、ヘテロ環基、又はC1−C6アルキルオキシ基、より好ましくはハロゲン原子、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールであればよい。記号sは好ましくは0、1、又は2であればよい。
【0051】
20は好ましくはハロゲン原子、C1−C3アルキル基、C1−C3アルキルオキシ基、又はC6−C10アリール基、より好ましくはハロゲン原子、メチル基、又はフェニル基であればよい。
記号qは好ましくは1又は2、より好ましくは1であればよい。
【0052】
前記の式(I)で表される化合物の医薬上許容される塩としては、塩酸及び臭化水素酸等の無機酸との塩ならびに酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸及び安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0053】
本発明の範囲には、前記式(I)で表される化合物に加えて、その光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩、それらの溶媒和物及び水和物も包含される。前記式(I)で表される化合物は1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、このような不斉炭素の立体化学についてはそれぞれ独立して(R)体又は(S)体のいずれかをとることができ、該ピリミドン誘導体は光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することがある。純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明の好適な化合物の例を以下の表に示すが、本発明の範囲は次の化合物に限定されない。
【0054】
【表1】

【0055】
【表1−2】

【0056】
式(I)で表わされる本発明の化合物の特に好適な例として、
2−((2−RS)−2−シクロブチル−モルホリン−4−イル)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル]―6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;及び
2−{(2S)−2−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン、並びに上記化合物の光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
上記の好ましい化合物の塩、又は上記の化合物又はその塩の溶媒和物若しくは水和物もまた好ましい。
前記式(I)で表される化合物は、例えば、下記に説明する方法に従って製造することができる。
【0057】
【化13】

【0058】
(上記スキームにおいて、R50は、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、 置換されていてもよいC3−C6アルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいC7−C12アラルキル基を表す。各記号の定義は既に記載したものと同義である。)
【0059】
式(I)で表される化合物は、例えば、対応する3−置換−3−オキソ−プロピオン酸エステルとグアニジン又はそれらの塩との縮合によって製造でき、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エンなどの塩基の存在下、窒素又はアルゴン雰囲気下又は通常の空気中、0℃〜200℃の範囲の好適な温度で1〜300時間反応させ、目的化合物(I')を得ることができる。
【0060】
反応の溶媒の例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール性溶媒;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒、水などが挙げられる。通常は、用いる塩基に適した単独の溶媒もしくは2種類以上の溶媒の混合物を使用すればよい。
【0061】
本発明の化合物はTPK1に対する阻害活性を有しており、アルツハイマー病などの神経変性疾患においてTPK1活性を阻害することにより、Aβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、神経細胞死を阻止する。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の予防及び/又は治療を根本的に可能にする医薬の有効成分として有用である。また、本発明の化合物は、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳脳炎、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、ピック病、皮質底部変性、前頭側頭性痴呆、血管性痴呆、急性発作及び外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、精神分裂病、脱毛症、及び、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、ウイルス誘導性腫瘍などの癌の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。本発明の化合物は優れた安全性と優れた薬物動態を有するので、該化合物は医薬として好ましい特性を有する。
【0062】
本発明の医薬の有効成分としては、前記式(I)で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群より選ばれる物質を用いることができる。本発明の医薬としては、該物質自体を投与してもよいが、有効成分として前記の物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態の医薬を投与することが望ましい。本発明の医薬の有効成分としては、上記の物質の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
医薬組成物の種類は特に限定されず、経口又は非経口投与用の任意の製剤形態として提供される。例えば、医薬組成物は、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤等の経口投与用医薬組成物の形態として、又は、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤等の非経口投与用医薬組成物の形態として調製することができる。
【0064】
本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、予防及び/又は治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、適宜選択することが可能である。一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01〜1000mg(有効成分質量)程度であり、一日1回又は数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。該医薬を注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001〜3000mg(有効成分質量)を連続投与又は間欠投与することが望ましい。
【実施例】
【0065】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中の化合物番号は、上記の表中の化合物番号に対応している。
実施例1:2−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)モルホリン−4−イル]−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン(化合物番号2)
【0066】
【化14】

【0067】
(2S)−2−(4−フルオロフェニル)モルホリン塩酸塩(中間体1、2.1g、9.6mmol)、1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン塩酸塩(2.8g、19.2mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(6.5g、50.2mmol)のメタノール(25ml)溶液を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、粗(2S)−2−(4−フルオロフェニル)モルホリン−4−カルボキシアミジンを黄色油状物で得た(7.47g)。このカルボキシアミジン(2.6g)、3−オキソ−3−ピリミジン−4−イル−プロピオン酸エチルエステル(0.98g、5.06mmol)、及び炭酸カリウム(1.4g、10.1mmol)のエタノール(29ml)溶液を80oCで18時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を水とジクロロメタンとに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除いた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、2−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)モルホリン−4−イル]−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン(化合物1、0.13g)を黄色結晶で得た。
【0068】
実施例2: 2−{(2S)−2−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン(化合物番号6)
【0069】
【化15】

【0070】
実施例2−1: 2−ブロモ−(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エタノール (中間体
(S)−CBS (25 ml、(S)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン、アルドリッチ製、1.0Mトルエン溶液)を0℃に冷却し、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(185 ml、185 mmol、1.0 Mテトラヒドロフラン溶液)を加えた。フラスコを氷冷塩化ナトリウム浴で冷却したあと、臭化4−ブロモフェナシルのジクロロメタン溶液(中間体、50.28g,181mmol)(300ml)を、温度を−5℃から0℃に保ちながら一時間にわたり滴下した。混合物を0℃で50分間攪拌したあと、メタノール(12ml)を少しずつ加えた。そのあと、0.5M塩酸(300ml)を滴下し、混合物を室温で40分間攪拌した。析出物をろ過で除き、ろ液をジクロロメタンと水とに分配した。有機層を分離し水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせて0.5M塩酸と食塩水とで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、2−ブロモ−1−(1S)−(4−ブロモフェニル)エタノール(中間体)を薄茶油状物で得た。粗生成物は精製せずに次の工程に使用した。
【0071】
実施例2−2:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体
上記で得られた(2S)−2−ブロモ−1−(4−ブロモフェニル)エタノール(中間体)をエチルエーテル(300ml)に溶解し、この溶液を水酸化ナトリウム水溶液(300ml水中に362mmol、14.47g)とともに2層システム中、室温で1.5時間攪拌した。混合物をジエチルエーテルと水とに分配し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体)を薄茶油状物で得た。この粗生成物は精製せずに次の工程に使用した。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 2.74-2.77(1H, m), 3.13-3.17(1H, m), 3.82-3.84(1H, m), 7.16(2H, d, J=8.4 Hz), 7.48(2H, d, J=8.4 Hz)
【0072】
実施例2−3:(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ)エタノール(中間体
上記で得られた(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体) と(R)−1−フェニルエチルアミン(65.22g、538mmol)の混合物を80℃に加熱しながら油浴で3時間攪拌した。過剰のアミンを減圧下で蒸留して除いた(7mmHgで約70℃)。得られた固体を冷却してからイソプロピルエーテルで洗浄して乾燥させ、(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ)エタノール(中間体、46.76g、3段階で収率81%)を白色結晶で得た。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 1.39(3H,d,J=6.3 Hz), 2.48(1H, dd, J=9.0Hz, 12.0 Hz), 2.77(1H, dd, J=3.6 Hz, 12.3 Hz), 3.82(1H, dd, J=6.6 Hz, 13.2 Hz), 7.16(2H, d, J=8.4 Hz), 7.20-7.27(3H, m), 7.31-7.34(2H, m), 7.41(2H, d, J=8.4 Hz)
MS: [M+H]+ = 320
融点:106.3℃
比旋光度: [α]D = +80.74 (c=1.0、ジクロロメタン)
【0073】
実施例2−4:(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体
塩化クロロアセチル(19.5ml、245mmol)のジクロロメタン溶液(100ml)を氷冷した(1S)−1−(4−ブロモフェニル)− 2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ)エタノール(中間体、71.0g、222mmol)とトリエチルアミン(34ml、245mmol)のジクロロメタン溶液(600 ml)に滴下した。混合物を2時間攪拌後、1M塩酸を加え、混合物を水とクロロホルムとに分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と食塩水とで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣を2−プロパノール(600ml)に溶解した。溶液に水酸化カリウム(85%、18.3g、278 mmol)を加えた。混合物を室温で15時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加えた。混合物を水と酢酸エチルとに分配し、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体、92g)を茶色油状物で得た。この粗生成物は精製せずに次の反応に使用した。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 1.53(3H, d, J=7.0 Hz), 2.96(1H, dd, J=3.0 Hz, 12.2 Hz), 3.29(1H, dd, J=10.8 Hz, 12.0 Hz), 4.38(1H, d, J=16.8 Hz), 4.49(1H, d, J=16.9 Hz), 4.53(1H, dd, J=3.0 Hz, 10.6 Hz), 6.53(1H, q, J=7.2 Hz), 7.14(2H, d, J=8.3 Hz), 7.28-7.39(5H, m), 7.45(2H, d, J=8.4 Hz)
MS: [M+H]+ = 360
比旋光度: [α]D = +71.68 (c=0.5、クロロホルム)
【0074】
実施例2−5:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン(中間体
工程1−10で得られた(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体、92g)のテトラヒドロフランの氷冷溶液(400ml)に、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、600ml、600mmol)を30分にわたり滴下した。室温に暖めて2時間攪拌したあと、混合物を再び氷冷し、メタノール(70ml)を滴下した。溶媒を減圧留去した。残渣にメタノール(750ml) と1M水酸化ナトリウム水溶液(280ml)を加えた。混合物を80℃で1時間攪拌し、その間、1M水酸化ナトリウム水溶液(70ml)を15分ごとに3回加えた。混合物を室温に冷却したあと、メタノールを減圧留去し、得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水と食塩水とで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン(中間体、68g、中間体からの収率88%)を白色結晶で得た。
IR(ATR):1487, 1449, 1117, 1098, 809, 758, 699, 550 cm-1
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.35(3H, d), 2.10(2H, m), 2.60(1H, m), 3.05(1H, m), 3.35(1H, q), 3.75(1H, m), 3.89(1H, m), 4.55(1H, m), 7.25(7H, m), 7.46(2H, d)
MS: [M+H]+ = 346
融点:88.0℃
比旋光度: [α]D = +32.06 (c=1.0、ジクロロメタン)
【0075】
実施例2−6:4−(2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体
(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン(中間体、63.3g、183mmol) のテトラヒドロフラン溶液(450ml)にn−ブチルリチウム(1.57Mヘキサン溶液、175ml、275mmol)を−78℃で加え、混合物を20分間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(28.3ml、365 mmol)を加え、混合物を−78℃で2時間攪拌し、その後、−10℃に暖めた。反応を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、得られた溶液を水と酢酸エチルとに分配した。有機層を水と食塩水とで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、粗4−(2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体、55.1g)を得た。この化合物はさら精製せずに使用した。
【0076】
実施例2−7:4−(2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル(中間体
粗4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体、55.1g)のエタノール溶液(280ml)に酢酸ナトリウム(30.0g、365mmol)とヒドロキシルアミン塩酸塩(25.4g、365mmol)を室温で加えた。2時間還流後、混合物を水とジクロロメタンとに分配し、有機層を水と食塩水とで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。その後、残渣に酢酸(140 ml)と無水酢酸(140 ml)を加えた。混合物を2時間還流したあと、溶媒を減圧除去した。残渣を水とクロロホルムとに分配した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、 硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製して4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル(中間体、45.7g、中間体から86%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:1.37 (3H, d, J=7.0 Hz), 2.01 (1H, t, J=11.0 Hz), 2.15 (1H, dt, J=3.1, 11.7 Hz), 2.60-2.65 (1H, m), 3.08-3.12 (1H, m), 3.39 (1H, q, J=7.0 Hz), 3.74 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 3.92-3.96 (1H, m), 4.65 (1H, dd, J= 2.4, 10.2), 7.24-7.35 (5H, m), 7.48 (2H, d, J=7.8 Hz), 7.63 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 293
融点: 83.6℃
比旋光度: [α]D = +46.23 (c=0.5、クロロホルム)
【0077】
実施例2−8:4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩 (中間体10
4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル(中間体、45.7g、156mmol)の1,2−ジクロロエタン溶液(312ml)に1−クロロエチルクロロホルメート(66.9g、468mmol)を室温で加えた。6時間還流後、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(312ml)に溶解し、溶液を2時間還流した。減圧下で溶媒を除去したあと、粗生成物をアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩 (中間体10、27.6g、79%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.99 (1H, t, J=11.7 Hz), 3.12 (1H, dt, J=3.1, 12.5 Hz), 3.25-3.28 (1H, m), 3.48-3.52 (1H, m), 3.92 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 4.15 (1H, dd, J=3.1, 12.5 Hz), 4.86 (1H, dd, J=2.4, 11.7 Hz), 7.60 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.90 (2H, d, J= 8.6 Hz), 9.37 (2H, brs)
MS: [M+H]+ = 189
融点: 195.8℃
比旋光度: [α]D = +30.39 (c=0.5、メタノール)
【0078】
実施例2−9:tert−ブチル(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体11
4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩 (中間体10、17.9g、79.8mmol)のテトラヒドロフラン溶液(400ml)にトリエチルアミン(24.2g、240mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(19.2g、87.8mmol)とを0℃で加え、混合物を室温で3時間攪拌した。得られた溶液を水と酢酸エチルとに分配し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=6/1)で精製して、tert−ブチル(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体11、17.6g、77%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.69-2.80 (1H, m), 3.00-3.09 (1H, m), 3.65-3.72 (1H, m), 3.90-4.23 (3H, m), 4.48 (1H, d, J=11.0 Hz), 7.50 (2H, d, J=7.8 Hz), 7.66 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 289
融点; 104.2 ℃
比旋光度: [α]D = -37.35 (c=0.5、クロロホルム)
【0079】
実施例2−10:tert−ブチル(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体12
tert−ブチル(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体11、17.6g、61.1mmol)とヒドロキシルアミン塩酸塩(12.8g、183mmol)とのエタノール溶液(120ml) に炭酸ナトリウム(32.4g、305mmol)水溶液(120 ml)を室温で加え、混合物を80℃で3時間攪拌した。減圧下で溶媒を除いたあと、残渣を水と酢酸エチルとに分配した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。残渣にキシレン(150ml)と N,N−ジメチルアセタミドジメチルアセタール(18.1g、122mmol)とを加えた。溶液を2時間還流したあと、水を、モレキュラーシーブ4A付のディーン−スターク水分離器を用いて共沸除去した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製してtert−ブチル(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体12、16.9g、80%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.66 (3H, s), 2.77-2.90 (1H, m), 3.02-3.11 (1H, m), 3.67-3.74 (1H, m), 3.89-4.25 (3H, m), 4.48 (1H, d, J=11.0 Hz), 7.50 (2H, d, J=7.8 Hz), 8.00 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 246(- tert-BuOCO)
融点: 114.4 ℃
比旋光度: [α]D = -34.93 (c=0.5、クロロホルム)
【0080】
実施例2−11:(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩 (中間体13
tert−ブチル(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン−4−カルボキシレート(中間体12、16.9g、49.0mmol)の酢酸エチル溶液(60ml)に4N塩酸酢酸エチル溶液(150ml)を室温で加え、溶液を3時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた析出物をろ過し、酢酸エチルで洗浄して、減圧下で乾燥させて、(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩(中間体13、13.3g、96%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 2.67 (3H, s), 3.00 (1H, t, J=12.5 Hz), 3.12 (1H, dt, J=3.9 12.5 Hz), 3.27 (1H, d, J=12.5 Hz), 3.48 (1H, d, J=12.5 Hz), 3.97 (1H, dt, J=2.4, 12.5 Hz), 4.15 (1H, dd, J=3.1, 12.5 Hz), 4.89 (1H, dd, J=1.6, 11.0 Hz), 7.58 (2H, d, J=8.6 Hz), 8.03 (2H, d, J=8.6 Hz), 9.62 (2H, brs)
MS: [M+H]+ = 246
融点: 286.8 ℃
比旋光度: [α]D = +29.98 (c=0.5、メタノール)
【0081】
実施例2−12:2−{(2S)− 2−(4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン(化合物6)
(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩(中間体13、4.00g、14.2mmol)と1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩(2.19g、14.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(14ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.05g、31.3mmol)を室温で加え、溶液を4時間攪拌した。溶液をエーテルでデカントし、3−オキソ−3−ピリミジン−4−イル−プロピオン酸エチルエステル(3.59g、18.5mmol)、炭酸カリウム(4.92g、35.6mmol)、及びエタノール(30ml)を得られた溶液に加えた。18時間還流したあと、溶液を減圧下で濃縮した。残渣を水と、エタノールと1N塩酸(1/1、v/v)の熱い混合物とで洗浄し、減圧下で乾燥させて、2−{(2S)− 2−(4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン(1.94g、33%)を得た。
【0082】
下記表中の化合物を上記の方法と同様にして調製した。下記表中の化合物番号は、前記の好ましい化合物の表に示された番号に対応する。
【0083】
【表2】

【0084】
試験例1:ウシ脳TPK1によるP−GS1リン酸化に対する本発明の医薬の阻害作用
反応系として、100mM MES−水酸化ナトリウム(pH6.5)、1mM酢酸マグネシウム、0.5mM EGTA、5mM β−メルカプトエタノール、0.02% ツイン20、10% グリセロール、12μg/ml P−GS1、41.7μM[γ-32P]ATP(68kBq/ml)、ウシ脳TPK1、及び表に記載された化合物(被検化合物の溶液を10% DMSOの存在下で調製したことにより、最終の混合物は1.7% DMSOを含む)を含む混合物を用いた。ATP添加によりリン酸化反応を開始し、25℃で2時間反応させた後、氷上で21%過塩素酸を添加して反応を停止した。反応液を12,000rpmで5分間遠心し、P81ペーパー(Whatmann)に吸着させ、その後ペーパーを75mMリン酸で4回、水で3回、アセトンで1回洗浄した。ペーパーを乾燥して、残留した放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。結果を下記表に示す。被検化合物はTPK1によるP−GS1リン酸化を顕著に阻害した。この結果は、本発明の医薬がTPK1活性を阻害することによってAβの神経毒性及びPHFの形成を抑制すること、及び本発明の医薬がアルツハイマー病や上記疾患の予防及び/又は治療に有効であることを強く示唆している。
【0085】
【表3】

【0086】
試験例2:生体内でのタウ蛋白リン酸化阻害作用
被検化合物を、体重25−35gの5−6週齢雄性CD−1マウス(チャールズリバー日本)に、1、3、10、及び30mg/kg p.o.(0.5%ツイン/H2O懸濁液)で投与した。1時間後、マウスの首を切断し、大脳皮質をすぐに除去して液体窒素で凍結させた。大脳皮質は直接、2.3%SDSホモジナイゼーション緩衝液(62.5mM トリス−HCl、2.3%SDS、EDTA,EGTA,DTTを各1mM、0.2μM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフロリド(AEBSF)、13μMベスタチン、1.4μM E−64、0.1mMロイペプチン、30nMアプロチニンを含むプロテアーゼインヒビターカクテル(シグマP2714)、pH6.8)でホモジナイズし、15000×g、4℃で15分間遠心分離した。蛋白質濃度はDCプロテインアッセイキット(BIO−RAD)で測定した。上清をサンプル緩衝液(62.5mM トリス−HCl、25%グリセロール、2%SDS、0.01%ブロモフェノールブルー、pH6.8)で希釈して、蛋白質濃度を0.5−2mg/mg程度にして、5分間煮沸した。サンプル10μgを10% SDS−PAGEミニスラブゲルに乗せ、PVDF膜に転写した。膜は5%ノンファットミルクを含むPBSで室温で1時間インキュベーションし、その後、pS396抗体(BIOSOURCE)を用いて4℃で一晩プローブした。抗ウサギIgG HRP結合抗体(プロメガ)を2次抗体として用いた。膜はECLキット(アマシャム バイオサイエンス)で可視化し、LAS1000(富士写真フイルム)で検出した。
【0087】
溶解性例
(1)調製
1−1 JP−1流体
2.0gの塩化ナトリウムに7.0mLの塩酸と水を加え、溶液を1000mLとした。この溶液は透明無色でpHは約1.2であった。
1−2 JP−2流体
0.2mol/Lリン酸二水素カリウム試験溶液250mLに0.2mol/L水酸化ナトリウム試験溶液118mL及び水を加えて、溶液を1000mlとした。この溶液は透明無色でpHは約6.8であった。
1−3 希釈McIlvaine緩衝液(pH4.0)
リン酸水素二ナトリウム溶液(0.05mol/L)及び0.0025mol/Lクエン酸溶液を混合し、混合物をpH4.0として希釈McIlvaine緩衝液を調製した。
【0088】
3−4 人工腸内溶液
2つの人工腸内流体処方物を用いた:空腹状態模倣腸内流体(FaSSIF)及び満腹状態模倣腸内流体(FeSSIF)(Pharm.Res., V0l.15,No.5,1998,p698−705)。これらの溶液を調製するために、試薬を表4に示すように組み合わせ、混合物を水に加え、調製物を超音波振動でホモジナイズした。乳化が均一であることを確認した後、pHを1mol/L水酸化ナトリウム溶液を加えて調整し、溶液の量を、水を適量加えて調整した。
【0089】
【表4】

【0090】
(2)適した定量測定方法の決定
迅速な定量測定のために、セミミクロカラムを用いた迅速な測定方法(下記のより詳細に示される条件)を開発し、均一に対称で、溶媒のピークから分離した個別の試験化合物のピークを与えるようにした。
[HPLC条件]
検出器:フォトダイオードアレイ
波長:UV235nm
カラム:inertsilODS−3 5μm 3.0mmI.D.×75mm
カラム温度:40℃
移動相:A、0.1%トリフルオロ酢酸溶液
B、0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液
A:B=65:35(定組成溶離)
溶出速度:0.50mL/分
インジェクション量:5μL
【0091】
(3)適した溶解性測定方法の決定
様々な種類のフィルターに吸収される試験材料のポテンシャルを調べたあと、ろ過で不溶性成分を除いて溶解性測定を行った。
【0092】
(4)JP−14第一流体、JP−14第二流体、McIlvaine緩衝液(pH=4.0)、水、人工腸内溶液(空腹状態及び満腹状態)へのサンプル溶解性の測定法
試験液(70mL)を、水浴で37℃に温めた200mLコニカルフラスコに加えた。それぞれ約70mgの試験材料を直接フラスコに加え、超音波振動で5分間分散させ、約5cmの長さの磁気撹拌棒を用いて約600rpm(回転速度計により確認)で撹拌した。溶解性試験開始後所定のサンプリング時間に、試験溶液5mLを取り出し、孔サイズ0.45μm以下の膜フィルター(DISMIC−25HP)でろ過した。初めの2.0mLを廃棄したあと、ろ過した溶液の500μLを正確に測った。アセトニトリル500μLを正確に測ってこのろ過した溶液に加えHPLC用の試験溶液を作製した。
【0093】
別に、約5mgの試験化合物を正確に量って、アセトニトリル又は50%アセトニトリル/水のような溶媒を加え約50μg/mLの濃度の標準溶液を作製した。試験溶液及び標準溶液の5μLにつき上記の条件下の液体クロマトグラフィーでAT及びASのピーク面積をそれぞれ測定し、そこから試験材料の溶解性を一点標準較正法を用いて決定した。
【0094】
製剤例
(1) 錠剤
下記の成分を常法に従って混合し、慣用の装置により打錠した。
実施例1の化合物 30mg
結晶セルロース 60mg
コーンスターチ 100mg
乳 糖 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
【0095】
(2) 軟カプセル剤
下記の成分を常法に従って混合し、軟カプセルに充填した。
実施例1の化合物 30mg
オリーブ油 300mg
レシチン 20mg
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の化合物はTPK1阻害活性を有しており、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)や上記疾患等のTPK1の異常昂進に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩:
【化1】

式中、各記号は下記のように定義される:
1 は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(I−f)で表される基:
【化2】

{式中、A14は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基, 置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
13は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−g)で表される基:
【化3】

(式中、A15は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
16は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
12は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
11は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−h)で表される基:
【化4】

(式中、A17は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
18は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
14とA13、A14とA11、A13とA11は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し;
Xは、酸素原子、硫黄原子、S=O、S(=O)2、CH2、CHR1、CR12、又は下記式(I−e)で表される基:
【化5】

(式中、A9は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
10は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC1−C6アルキルオキシ基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキルオキシ基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し;
Aは、C3−C7シクロアルキル基、C6−C10アリール基又はヘテロ環基を表し;
6は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(I−k)で表される基:
【化6】

{式中、C4は、水素原子(C3、C2、及びC1の全てが結合を表す場合を除く)、 置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
3は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−l)で表される基:
【化7】

(式中、C5は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
6は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
2は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
1は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(I−m)で表される基:
【化8】

(式中、C7は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
8は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、又は置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
4とC3、C4とC1、C3とC1は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し;
sは0又は1から5の整数を表し;
Qは、下記式(II−a)又は(II−b)で表される基:
【化9】

[式中、R20は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は下記式(II−c)で表される基:
【化10】

{式中、B4は、水素原子(B3、B2、及びB1の全てが結合を表す場合を除く)、 置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表し、
3は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(II−d)で表される基:
【化11】

(式中、B5は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
6は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
2は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
1は、結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式(II−e)で表される基:
【化12】

(式中、B7は、結合、C=O、C=S、又はS(=O)2を表し、
8は、水素原子、置換されていてもよいC1−C6アルキル基、置換されていてもよいC2−C6アルケニル基、置換されていてもよいC2−C6アルキニル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3−C7シクロアルケニル基、置換されていてもよいC6−C10アリール基、置換されていてもよいヘテロ環基を表す)を表し、
4とB3、B4とB1、B3とB1は互いに結合してヘテロ環を形成していてもよい}を表し、
任意の2つのR20は、互いに結合して炭化水素環又はヘテロ環を形成していてもよく、
qは、1から4の整数を表す]を表し;
2は、水素原子、ハロゲン原子又は置換されていてもよいC1−C6アルキル基を表す。
【請求項2】
Qが、qが1または2を表す前記式(II−a)で表される基を表す請求項1に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項3】
Qが前記式(II−b)で表される基を表す請求項1に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項4】
2が水素原子である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項5】
Xが酸素原子を表す請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項6】
全てのR1が水素原子であり、Aがフェニル基を表す請求項1〜5いずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項7】
6がハロゲン原子からなる群から選択され、sが1である、請求項6に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項8】
6が式(I−k)から選択され、C1、C2、およびC3が結合を表し、C4が置換されていてもよいヘテロ環を表す請求項6に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項9】
4で表されるヘテロ環が、窒素及び/又は酸素を含み、かつ、置換されていてもよい、5又は6員のヘテロ芳香族環である請求項8に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項10】
全てのR1が水素原子であり、Aがベンゾフラニル基又はベンゾイソオキサゾリル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項11】
全てのR1が水素原子であり、AがC3−C7シクロアルキル基を表す請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項12】
2−((2−RS)−2−シクロブチル−モルホリン−4−イル)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル)−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オン;
2−[(2S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イル]―6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;及び
2−{(2S)−2−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4´]ビピリミジニル−6−オンからなる群から選択される請求項1に記載の化合物若しくはその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物及びその光学活性異性体、又はそれらの医薬上許容される塩から成る群より選択される物質を有効成分として含有する医薬。
【請求項14】
タウプロテインキナーゼ1の異常活性に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
神経変性疾患の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項16】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、血管性認知症、急性脳梗塞、外傷性損傷、脳血管障害、脳髄損傷、脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障から成る群から選択される、請求項15に記載の医薬。
【請求項17】
インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、統合失調症、脱毛症、又は癌の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項18】
癌が、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TもしくはB細胞白血病、又はウイルス誘導性腫瘍である、請求項17に記載の医薬。
【請求項19】
マラリアの予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項20】
骨疾患の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項21】
尋常性天疱瘡の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。
【請求項22】
癌治療によって誘導される好中球減少の予防及び/又は治療に用いられる、請求項13に記載の医薬。

【公表番号】特表2010−514670(P2010−514670A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525814(P2009−525814)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【国際出願番号】PCT/JP2007/075380
【国際公開番号】WO2008/078837
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】