説明

2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体とその付加塩及びそれらを有効成分とするPDE阻害剤

【課題】 ホスホジエステラーゼ阻害作用を有する医薬品として有用な2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)
【化1】


で表される2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として有用な2−置換−6−(ピラゾロピリジン−4−イル)ピリダジノン誘導体とその付加塩並びに水和物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は生体内のセカンドメッセンジャーであるcyclic AMP(cAMP)及びcyclic GMP(cGMP)を分解する酵素である。現在までに、PDEは1〜11までのタイプが見つかっており、タイプ毎にcAMPを特異的に分解するか、cGMPを特異的に分解するかあるいは両方を分解するかが決まっている。各タイプのPDE組織分布には差がみられ、臓器の種類により、様々なタイプのPDEにより細胞反応がコントロールされていると考えられている。
【0003】
PDE阻害剤の開発はこれまでに数多く行われており、例えばPDE3阻害剤は狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは抗喘息薬として、またPDE4阻害剤は気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病などの治療薬として期待されている。PDE5阻害剤は男性性機能障害治療薬としてすでに臨床において利用されている。さらに最近ではPDE10A modulatorとして、minocyclineをハンチントン病患者に試用して有効であったという報告があり(特許文献1)、PDE10阻害剤がハンチントン病、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、統合失調症などの各種精神障害治療薬として有効であることを示した公開特許公報も開示されてきている(特許文献2)。また、肥満やメタボリックシンドロームに対しても有効であることを示す国際公開パンフレットもごく最近開示された(特許文献3)。
【0004】
PDE阻害作用を有するピラゾロピリジン誘導体が特許文献4,5,6、7及び8に開示されているが、本出願化合物の特徴でもあるピラゾロピリジン環の3位でピリダジノン環と連結し、かつそのピリダジノン環2位にアルキル基を介してピリダジノン環を有する化合物は知られていなかった。一方、フタラジノン環2位にアルキル基を有してPDE阻害作用を有する化合物が特許文献9及び10に開示されているが、本発明化合物は、これらで開示された化合物と全く構造を異にする化合物である。
【0005】
【特許文献1】WO01024781号パンフレット
【特許文献2】特開2002−363103号公報
【特許文献3】WO05120514号パンフレット
【特許文献4】再公表WO98/14448号公報
【特許文献5】特開平10−109988号公報
【特許文献6】特開2006−117647号公報
【特許文献7】WO2006095666号公報
【特許文献8】特開2006−169138号公報
【特許文献9】WO2001019818号パンフレット
【特許文献10】WO9947505号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れたホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、かつ副作用の軽減された2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ホスホジエステラーゼ阻害活性を有し、かつ安全性の高い化合物を創製すべく鋭意研究を重ねた結果、公知のPDE阻害剤とは構造を異にした新規な2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体がPDE阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は
1)一般式(1)
一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコシ基を、
は水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルカノイル基、ヒドロキシ基又はアルボキシル基を、、
及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を、
nは1〜5の整数を、
【0011】
【化2】

【0012】
は同一又は異なって単結合又は二重結合を示す。]
で表される2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0013】
2) 前記一般式(1)で示される化合物が、
6−(6−クロロ−2−エチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−5−メチル−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
である上記1)記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0014】
3)上記1)〜2)の何れかに記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分とするホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、
【0015】
4)上記1)〜2)の何れかに記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分として含有する医薬、に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、新規な2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体に優れたPDE阻害作用を有することを見出したものである。このようなPDE阻害作用を有する化合物は、狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、ハンチントン病、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病、統合失調症などの各種精神障害、肥満、メタボリックシンドローム等の予防又は治療薬、男性性機能障害治療薬などとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一般式(1)において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0018】
「炭素数1〜6のアルキル基」とは、直鎖もしくは分岐した炭素数1〜6の炭化水素であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基などを挙げることができる。
【0019】
「炭素数1〜6のアルコキシ基」とは、直鎖もしくは分岐した炭素数1〜6のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t−ブトキシ基などを挙げることができる。
【0020】
「置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基」とは、直鎖もしくは分岐した炭素鎖上にハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有するアルキル基を挙げることができる。
【0021】
「炭素数1〜6のアルカノイル基」とは、直鎖もしくは分岐した炭素数1〜6のアルカノイル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルカノイル基である。例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基又はイソブチリル基などを挙げることができる。
【0022】
「炭素数3〜8のシクロアルキル基」とは、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基などの炭素数3〜8の環状炭化水素を挙げることができる。
【0023】
「炭素数2〜4のアルケニル基」とは、直鎖もしくは分岐した不飽和2重結合を有する炭素数2〜4の炭化水素であり、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基又はイソブチリル基などが挙げられる。
【0024】
本発明における薬理学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの酸付加塩を挙げることができる。
【0025】
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物は、例えば以下に示す合成経路により製造することができる。
<合成経路A>
【0026】
【化3】

【0027】
合成経路Aにおいて、一般式(3)
【0028】
【化4】

【0029】
[式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、メトキシメチルオキシ基又は水酸基を示し、R、R、R、n及び
【0030】
【化5】

【0031】
は前述の通り]
で表される化合物は一般式(2)
【0032】
【化6】

【0033】
[式中、R、R、R及び
【0034】
【化7】

【0035】
は前述の通り]
で表される化合物と一般式(4)
【0036】
【化8】

【0037】
[式中、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基又はパラトルエンスルホニルオキシ基を示し、X及びnは前述の通り]
で表される化合物を塩基の存在下、作用させることによって製造することができる(工程A−1)。
【0038】
反応はn−ブチルリチウム、水素化ナトリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどを塩基として用い、テトラヒドロフラン(THF)又はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などを反応溶媒として、0℃〜100℃にて行うことができる。
【0039】
合成経路Aで一般式(1)で表される化合物は一般式(3)で表される化合物を一般式(5)
【0040】
【化9】

【0041】
[式中、R、及び
【0042】
【化10】

【0043】
は前述の通り]
で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程A−2)。
【0044】
反応は一般式(3)で表される化合物のXが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基又はパラトルエンスルホニルオキシ基の場合、n−ブチルリチウム、水素化ナトリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどを塩基として用い、THF又はDMFなどを反応溶媒として、0℃〜100℃にて行うことができる。
【0045】
また、一般式(3)で表される化合物のXがt−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基又はトリイソプロピルシリルオキシ基の場合、テトラブチルアンモニウムフルオリド、フッ化水素酸又はフッ化水素酸ピリジニウムなどを、THFなどを溶媒として0℃〜常温にて作用させてまず水酸基に変換する必要がある。Xがテトラヒドロピラニルオキシ基又はメトキシメチルオキシ基の場合は例えば、濃塩酸、臭化水素酸などの酸類を酢酸などの溶媒中、0℃〜100℃で作用させることによって水酸基へと変換することができる。得られた水酸化体を塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子に変換する場合、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン又はトリフェノキシホスフィンなどの存在下、塩素、四塩化炭素、N−クロロコハク酸イミドなどの塩素化剤、臭素、四臭化炭素、N−ブロモコハク酸イミドなどの臭素化剤、又はヨウ素、N−ヨードコハク酸イミドなどのヨウ素化剤を、トルエン、塩化メチレン又はTHFなどの溶媒中、0℃〜常温にて作用させて行うことができる。また、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基又はパラトルエンスルホニルオキシ基に変換する場合、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン又はピリジンなどの塩基存在下、対応するスルホニルクロリド又はスルホニルアンヒドリドを、塩化メチレン又はTHFなどの溶媒中、0℃〜常温にて行うことができる。このようにして変換された化合物は、一般式(5)で表される化合物とn−ブチルリチウム、水素化ナトリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの塩基の存在下に、THF又はDMFなどを溶媒として用い、0℃〜100℃にて反応させることができる。
【0046】
<合成経路B>
【0047】
【化11】

【0048】
合成経路Bで一般式(6)
【0049】
【化12】

【0050】
[式中、R、X、n及び
【0051】
【化13】

【0052】
は前述の通り]
で表される化合物は、一般式(5)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物を塩基の存在下、作用させることによって製造することができる(工程B−1)。
反応は工程A−1と同様に行うことができる。
【0053】
合成経路Bで一般式(1)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程B−2)。
【0054】
反応は一般式(6)で表されるの化合物のXが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基又はパラトルエンスルホニルオキシ基の場合、n−ブチルリチウム、水素化ナトリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどを塩基として用い、THF又はDMFなどを反応溶媒として、0℃〜100℃にて行うことができる。
【0055】
また、一般式(6)で表される化合物のXがt−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基又はトリイソプロピルシリルオキシ基の場合、テトラブチルアンモニウムフルオリド、フッ化水素酸又はフッ化水素酸ピリジニウムなどを、THFなどを溶媒として0℃〜常温にて作用させてまず水酸基に変換する必要がある。Xがテトラヒドロピラニルオキシ基又はメトキシメチルオキシ基の場合は例えば、濃塩酸、臭化水素酸などの酸類を酢酸などの溶媒中、0℃〜100℃で作用させることによって水酸基へと変換することができる。得られた水酸化体を塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子に変換する場合、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン又はトリフェノキシホスフィンなどの存在下、塩素、四塩化炭素、N−クロロコハク酸イミドなどの塩素化剤、臭素、四臭化炭素、N−ブロモコハク酸イミドなどの臭素化剤、又はヨウ素、N−ヨードコハク酸イミドなどのヨウ素化剤を、トルエン、塩化メチレン又はTHFなどの溶媒中、0℃〜常温にて作用させて行うことができる。また、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基又はパラトルエンスルホニルオキシ基に変換する場合、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン又はピリジンなどの塩基存在下、対応するスルホニルクロリド又はスルホニルアンヒドリドを、塩化メチレン又はTHFなどの溶媒中、0℃〜常温にて行うことができる。このようにして変換された化合物は、一般式(2)の化合物とn−ブチルリチウム、水素化ナトリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの塩基の存在下に、THF又はDMFなどを溶媒として用い、0℃〜100℃にて反応させることができる。
【0056】
<合成経路C>
【0057】
【化14】

【0058】
合成経路Cで一般式(8)
【0059】
【化15】

【0060】
[式中、R、R、X、n及び
【0061】
【化16】

【0062】
は前述の通り]
で表される化合物は、一般式(7)
【0063】
【化17】

【0064】
[式中、R、R及び
【0065】
【化18】

【0066】
は前述の通り]
で表される化合物と一般式(4)で表される化合物を塩基の存在下、作用させることによって製造することができる(工程C−1)。
反応は、工程A−1と同様に行うことができる。
【0067】
合成経路Cで一般式(9)
【0068】
【化19】

【0069】
[式中、R、R、R、n、
【0070】
【化20】

【0071】
は前述の通り」
で表される化合物は、一般式(8)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程C−2)。
反応は工程A−2と同様に行うことができる。
【0072】
また、一般式(9)で表される化合物は、一般式(7)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を塩基の存在下反応させることによっても製造できる(工程C−3)。
反応は工程B−2と同様に行うことができる。
【0073】
合成経路Cで一般式(1)で表される化合物は、一般式(9)で表される化合物と一般式(10)
【0074】
【化21】

【0075】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物を塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程C−4)。
反応は、メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロヘキサン、シクロペンタン、DMF、THF、トルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム又はアセトニトリル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)などを反応溶媒として用い、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基存在下、あるいはトリエリチルアミンなどの有機塩基存在下、0℃〜常温下にて行うことができる。
【0076】
<合成経路D>
【0077】
【化22】

【0078】
合成経路Dで一般式(12)
【0079】
【化23】

【0080】
[式中、Zは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示し、R、X、n及び
【0081】
【化24】

【0082】
は前述の通り]
で表される化合物は、一般式(11)
【0083】
【化25】

【0084】
[式中、R、Z及び
【0085】
【化26】

【0086】
は前述の通り]
で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物を塩基の存在下、作用させることによって製造することができる(工程D−1)。
反応は、工程A−1と同様に行うことができる。
【0087】
合成経路Dで一般式(13)
【0088】
【化27】

【0089】
[式中、R、R、n、Z、並びに
【0090】
【化28】

【0091】
は前述の通り」
で表される化合物は一般式(12)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程D−2)。
反応は工程A−2と同様に行うことができる。
【0092】
また、一般式(13)で表される化合物は、一般式(11)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を塩基の存在下反応させることによっても製造できる(工程D−3)。
反応は工程B−2と同様に行うことができる。
【0093】
合成経路Dで一般式(15)
【0094】
【化29】

【0095】
[式中、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(14)
【0096】
【化30】

【0097】
[式中、R、R、Zは前述の通り]
で表される化合物のZをメタル化後、一般式(16)
【0098】
【化31】

【0099】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す]
で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程D−4)。
【0100】
反応はTHF、ジエチルエーテル又はCPME中、一般式(14)で表される化合物をLDA、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム又はt−ブチルリチウムと−78℃にて作用させるか、又はマグネシウムと加熱還流した後、一般式(16)で表される化合物と−78℃〜常温にて反応させることができる。
【0101】
合成経路Dで一般式(1)で表される化合物は、一般式(13)で表される化合物と一般式(15)で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程D−5)。
反応はテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウムなどのパラジウム触媒存在下、炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムを塩基として用い、THF、ベンゼン、トルエン、キシレン又は1、4−ジオキサンなどの溶媒中、80℃〜加熱還流下に行うことができる。
【0102】
一般式(1)で表される化合物の中、
【0103】
【化32】

【0104】
が単結合である化合物、即ち一般式(1a)
【0105】
【化33】

【0106】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物は、下記一般式(1b)
【0107】
【化34】

【0108】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物、一般式(1c)
【0109】
【化35】

【0110】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物、又は一般式(1d)
【0111】
【化36】

【0112】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物を還元することによって製造することができる。
反応は、酢酸中、亜鉛を加え80℃〜90℃にて行うことができる。
【0113】
一般式(1)で表される化合物の中、
【0114】
【化37】

【0115】
が二重結合である化合物、即ち一般式(1e)
【0116】
【化38】

【0117】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物は、下記一般式(1f)
【0118】
【化39】

【0119】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物、一般式(1g)
【0120】
【化40】

【0121】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物、又は一般式(1h)
【0122】
【化41】

【0123】
[式中、R、R、R、R及びnは前述の通り]
で表される化合物を酸化することによって製造することができる。
【0124】
反応は、酢酸中、臭素を加え50℃〜60℃にて反応させるか、アセトニトリル中、塩化銅(II)を常温〜加熱還流下に反応させることができる。また、m−ニトロベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウム水溶液中にて常温下〜加熱還流下作用させて行うこともできる。
【0125】
実施例
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
また、本実施例に用いられている一般式(2)で表される中間体等は、WO98/14448号、WO2006095666号パンフレット及び特開2006−117647号のパンフレット中の化合物を利用することができる。
【0126】
<実施例1>
6−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0127】
【化42】

【0128】
アルゴンガス雰囲気下にて、市販の4−メトキシプロピオフェノン(25.0 g)をTHF(750 mL)に溶解し、氷冷下にてリチウムビストリメチルシリルアミド(1.00 mol/L THF溶液、153 mL)を滴下し、同温で30分間攪拌した。その後、同温度にてブロモ酢酸tert‐ブチル(33.7 mL)を加え、常温にて3時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた茶褐色油状物をアセトニトリル(250 mL)に溶解し、モンモリロナイト KSF(30.0 g)を加え、加熱還流下にて7時間攪拌した。不溶物を濾去し、濾液の溶媒を減圧留去して茶褐色油状物を得た。これをエタノール(300 mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(22.0 mL)を加え、加熱還流下にて2.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣に氷水を加え、生じた固体を濾取した。得られた固体を水、冷エタノール、ジイソプロピルエーテルの順に洗浄し、目的物 (26.7 g)を無色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.25 (3H, d, J = 7.3 Hz), 2.46 (1H,
d, J = 17.1 Hz), 2.71 (1H, dd, J = 17.1, 6.7 Hz), 3.32-3.36 (1H, m), 3.85 (3H,
s), 4.16 (2H, t, J = 6.1 Hz), 6.93-6.95 (2H, m), 7.69-7.72 (2H, m), 8.44 (1H,
brs).
【0129】
<実施例2>
6−(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0130】
【化43】

【0131】
実施例1の化合物
(26.3 g)をジクロロメタン(500 mL)に溶解し、氷冷下にて塩化アルミニウム(323 g)を加え、常温にて40時間攪拌した。反応液を氷水中に注いだ後、THFにて抽出し、抽出層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を減圧留去後、生じた固体をジイソプロピルエーテルに懸濁し、濾取することで、目的物(20.9 g)を淡黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.04 (3H, d, J = 7.3 Hz), 2.18 (1H,
d, J = 15.9 Hz), 2.63 (1H, dd, J = 15.9, 1.8 Hz), 3.28-3.33 (1H, m), 3.31 (3H,
s), 6.78-6.80 (2H, m), 7.59-7.63 (2H, m), 9.78 (1H, s), 10.8 (1H, s).
【0132】
<実施例3>
6−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
【0133】
【化44】

【0134】
実施例1の化合物 (6.50 g)を0.5 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(350 mL)に溶解し、パラニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(6.70 g)を加え、加熱還流条件下4時間攪拌した。反応液を6 mol/L塩酸で中和後、析出した固体を濾取して、目的物(3.90 g)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 2.20 (3H, s), 3.86 (3H, s), 6.83
(1H, s), 6.97 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.35 (2H, d, J = 8.6 Hz).
【0135】
<実施例4>
6−(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
【0136】
【化45】

【0137】
実施例3の化合物(3.90 g)をジクロロメタン(180 mL)に溶解し、塩化アルミニウム(24.1 g)を加え、常温にて8時間攪拌した。反応液に水を加えてTHFで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去することで目的物(2.40 g)を黄色固体として得た。
LRMS (EI+)
: 202 [M+].
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 1.89 (3H, s), 6.56 (1H, s), 6.60
(1H, d, J = 8.6 Hz), 7.05 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0138】
<実施例5>
6−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−5−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
【0139】
【化46】

【0140】
実施例4の化合物
(300 mg)をDMF(8.0 mL)に溶解し、0℃にてイミダゾール(111 mg)、 塩化t−ブチルジメチルシリル(246 mg)を加え、常温にて4時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、目的物(208 mg)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.21 (6H, s), 0.95 (9H, s), 2.10
(3H, d, J = 1.2 Hz), 6.79 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.91 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.36
(2H, d, J = 8.6 Hz), 13.08 (1H, s).
【0141】
<実施例6>
2−t−ブトキシカルボニル−6−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−5−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
【0142】
【化47】

【0143】
アルゴン雰囲気下、実施例5の化合物(207 mg)をアセトニトリル(6.5 mL)に溶解し、ジ-t-ブチルジカーボネート(170 mg)及び、N, N-ジメチルアミノピリジン(9.50
mg)を加え、常温にて3時間攪拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、目的物(159 mg)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.22 (6H, s), 0.99 (9H, s), 1.63
(9H, s), 2.15 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.76 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.89 (2H, d, J =
8.6 Hz), 7.31 (2H, d, J = 8.6 Hz).
【0144】
<実施例7>
2−t−ブトキシカルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
【0145】
【化48】

【0146】
アルゴン雰囲気下、実施例6の化合物(159 mg)をTHF(4.0 mL)に溶解し、0℃にてテトラブチルアンモニウムフルオリド (1.0 mol/L THF溶液、0.763 mL)を加え、常温にて40分攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル, 2-1→1-1)で精製し、目的物(32.2 mg)を白色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 1.53 (9H, s), 2.11 (3H, s), 6.83
(2H, d, J = 8.6 Hz), 6.92 (1H, s), 7.30 (2H, d, J = 8.6 Hz).
【0147】
<実施例8>
4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸 t−ブチルエステル
【0148】
【化49】

【0149】
アルゴン雰囲気下、4−メトキシアセトフェノン(15.0 g)をTHF(500 mL)に溶解し、0℃にてリチウムヘキサメチルジシラザン (1.0 mol/L 、THF溶液、119.9 mL)を加え、常温にて30分攪拌した。反応液に0℃にてブロモ酢酸t-ブチル(16.2
mL)を加え、常温にて3時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出層を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去することで目的物(27.4 g)を赤色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.45 (9H, s), 2.67 (2H, t, J = 6.7
Hz), 3.21 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.87 (3H, s), 6.93(2H, d, J = 8.9 Hz), 7.96 (2H,
d, J = 8.9 Hz).
【0150】
<実施例9>
6−(4−メトキシフェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0151】
【化50】

【0152】
実施例8の化合物(27.4
g)をジクロロメタン(100 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(30
mL)を加え、16時間放置した後、減圧下溶媒を留去した。得られた油状物をエタノール(200 mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(14.5 mL)を加え、加熱還流条件下2.5時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、固体を濾取することで目的物(18.9 g)を黄色固体として得た。
LRMS (EI+)
: 204 [M+].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 2.60 (2H, t, J = 8.3 Hz), 2.97 (2H,
t, J = 8.3 Hz), 3.85 (3H, s), 6.93 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.67 (2H, d, J = 9.2
Hz), 8.47 (1H, brs).
【0153】
<実施例10>
6−(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0154】
【化51】

【0155】
実施例9の化合物(6.00 g)をジクロロメタン(300 mL)に溶解し、塩化アルミニウム(78.4 g)を加え、常温にて16時間攪拌した。反応液に水を加えてTHFで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去することで目的物(4.50 g)を黄色固体として得た。
LRMS (EI+)
: 190 [M+].
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 2.38 (2H, t, J = 8.3 Hz), 2.86 (2H,
t, J = 8.3 Hz), 6.77 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.77 (1H,
s), 10.73 (1H, s).
【0156】
<実施例11>
6−(4−ヒドロキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン
【0157】
【化52】

【0158】
実施例10の化合物(8.50 g)を0.5
mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(500 mL)に溶解し、パラニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(10.3 g)を加え、加熱還流条件下1.5時間攪拌した。反応液を6 mol/L塩酸で中和し、析出した固体を濾取した。得られた固体をジクロロメタン(400
mL)に溶解し、塩化アルミニウム(108 g)を加え、常温にて19時間攪拌した。反応液に水を加えてTHFで抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した残渣を、ジエチルエーテルで洗浄して、目的物(3.29 g)を黄色固体として得た。
LRMS (EI+)
: 188 [M+].
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 6.82 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.90 (1H,
d, J = 9.8 Hz), 7.66 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.92 (1H, d, J = 9.8 Hz), 9.79 (1H,
brs).
【0159】
<実施例12>
6−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン
【0160】
【化53】

【0161】
実施例11の化合物を用いて、実施例5と同様な方法により、目的物を黄色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ0.24 (6H, s), 1.02 (9H, s), 6.93
(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.05 (1H, d, J = 10.0 Hz), 7.67 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.72
(1H, d, J = 10.0 Hz).
【0162】
<実施例13>
2−t−ブトキシカルボニル−6−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン
【0163】
【化54】

【0164】
実施例12の化合物を用いて、実施例6と同様な方法により、目的物を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ0.22 (6H, s), 0.99 (9H, s), 1.66
(9H, s), 6.91 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.98 (1H, d, J = 9.8 Hz), 7.62 (1H, d, J =
9.8 Hz), 7.69 (2H, d, J = 8.6 Hz).
【0165】
<実施例14>
2−t−ブトキシカルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン
【0166】
【化55】

【0167】
実施例13の化合物を用いて、実施例7と同様な方法により、目的物を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.55 (9H, s), 6.84 (2H, d, J = 8.6
Hz), 7.05 (1H, d, J = 10.4 Hz), 7.70 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.01 (1H, d, J = 10.4
Hz), 9.93 (1H, s).
【0168】
<実施例15>
(2−ブロモエトキシ)−t−ブチルジフェニルシラン
【0169】
【化56】

【0170】
アルゴンガス雰囲気下にて、2−ブロモエタノール(3.00 mL)をDMF(40.0 mL)に溶解し、氷冷下にてイミダゾール(4.32 g)及びtert‐ブチルジフェニルシリルクロリド (11.6 mL)を加え、常温にて1.5時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 50 : 1)にて精製し、目的物(15.1 g)を無色油状物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) :δ 1.07 (9H, s), 3.42 (2H, t, J = 6.1
Hz), 3.92 (2H, t, J = 6.1 Hz), 7.39-7.44 (6H, m), 7.66-7.68 (4H, m).
【0171】
<実施例16>
6−[4−[2−(t−ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ]フェニル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0172】
【化57】

【0173】
アルゴンガス雰囲気下にて、実施例2の化合物(3.00 g)をDMF(50.0 mL)に溶解し、実施例15の化合物 (5.87 g)及び炭酸カリウム(4.06 g)を加え、常温にて1.5時間、60℃にて6.5時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
= 2 : 1)にて精製し、目的物(5.73 g)を無色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.69 (9H, s), 1.25 (3H, d, J = 7.3
Hz), 2.46 (1H, d, J = 17.1 Hz), 2.71 (1H, dd, J = 17.1, 7.3 Hz), 3.31-3.35 (1H,
m), 4.01 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.12 (2H, t, J = 5.5 Hz), 6.89-6.91 (2H, m),
7.37-7.44 (6H, m), 7.66-7.72 (6H, m), 8.48 (1H, brs).
【0174】
<実施例17>
2−t−ブトキシカルボニル−6−[4−[2−(t−ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ]フェニル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0175】
【化58】

【0176】
アルゴンガス雰囲気下にて、実施例16の化合物(5.73 g)をアセトニトリル(100 mL)に溶解し、ジ‐tert‐ブチル‐ジ‐カーボネート(3.08 g)及び触媒量の4‐ジメチルアミノピリジンを加え、常温にて2時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
= 4 : 1)にて精製し、目的物(6.90 g)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.07 (9H, s), 1.25 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.66 (9H, s), 2.57 (1H, dd, J = 16.5, 1.2 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 16.5, 6.7
Hz), 3.35-3.38 (1H, m), 4.01 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.12 (2H, t, J = 5.5 Hz),
6.89-6.91 (2H, m), 7.37-7.44 (6H, m), 7.69-7.72 (4H, m), 7.75-7.78 (2H, m).
【0177】
<実施例18>
2−t−ブトキシカルボニル−6−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0178】
【化59】

【0179】
アルゴンガス雰囲気下にて、実施例17の化合物(6.90 g)をTHF(60.0
mL)に溶解し、氷冷下にてテトラブチルアンモニウムフルオリド(1.00 mol/L THF溶液、14.0 mL)を加え、常温にて4時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
= 1 : 2)にて精製し、目的物(3.33 g)を無色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) :δ 1.25 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.62 (9H,
s), 2.57 (1H, dd, J = 16.5, 1.8 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 16.5, 6.7 Hz), 3.33-3.40
(1H, m), 3.98-4.01 (2H, m), 4.11-4.15 (2H, m), 6.95-6.97 (2H, m), 7.78-7.81
(2H, m).
【0180】
<実施例19>
2−t−ブトキシカルボニル−6−[4−(2−ヨードエトキシ)フェニル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0181】
【化60】

【0182】
実施例18の化合物(500 mg)をTHF(10.0
mL)に溶解し、イミダゾール (147 mg)、トリフェニルホスフィン (567 mg)及びヨウ素(402 mg)を加え、常温にて1時間攪拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2 : 1)にて精製し、目的物(645 mg)を無色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.25 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.62 (9H,
s), 2.57 (1H, dd, J = 16.5, 1.8 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 16.5, 6.7 Hz), 3.35-3.39
(1H, m), 3.44 (2H, t, J = 6.1 Hz), 4.30 (2H, t, J = 6.1 Hz), 6.92-6.95 (2H, m),
7.78-7.81 (2H, m).
【0183】
<実施例20>
2−(4−ブロモブチル)−6−(6−クロロ−2−エチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0184】
【化61】

【0185】
アルゴンガス下、6−(6−クロロ−2−エチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン(300 mg)のDMF(10
mL)溶液に、0℃にて60%水素化ナトリウム(45.3 mg)を加え、常温にて1時間攪拌した。反応液に0℃にて1,4−ジブロモブタン(370 μL)を加え、常温にて6時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンミニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリムで乾燥した。溶媒を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的物(130 mg)を黄色油状物として得た。
LRMS(EI+):
424 (M+)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz):δ 1.21 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.37
(3H, t, J= 7.3 Hz), 1.90-1.97 (4H, m), 2.50 (1H, dd, J = 2.5, 16.5 Hz), 2.75
(1H, dd, J = 6.7, 16.5 Hz), 2.97-3.03 (2H, m), 3.23-3.28 (1H, m), 3.47-3.50(2H,
m), 3.78-3.85 (1H, m), 3.99-4.06(1H, m), 7.21 (1H, dd, J =1.8, 9.7 Hz), 7.83
(1H, d, J = 9.7 Hz), 8.46 (1H, d, J = 1.8 Hz).
【0186】
<実施例21>
6−(6−クロロ−2−エチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−5−メチル−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0187】
【化62】

【0188】
アルゴンガス下、実施例20の化合物(130 mg)、実施例2の化合物(62.5 mg)のDMF(5 mL)溶液に、炭酸カリウム(84.6 mg)と触媒量のヨウ化カリウムを加え、60℃にて8時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリムで乾燥した。溶媒を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1→1:2)にて精製し、目的物(97.7 mg)を黄色粉末として得た。
元素分析(%): C29H33ClN6O3として
C H N
計算値 63.44 6.06 15.31
実測値 63.07 6.07 15.00
HRMS(EI+):
549.2357 (-2.4mmu)[M+]
1H NMR (CDCl3, 400 MHz):δ 1.21 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.24
(3H, d, J = 7.3 Hz), 1.36 (3H, t, J= 7.3 Hz), 1.87-1.95 (4H, m), 2.44-2.53 (2H,
m), 2.68-2.79 (2H, m), 2.97-3.03 (2H, m), 3.25-3.34 (2H, m), 3.83-3.90 (1H, m),
4.03-4.08(3H, m), 6.91 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.15 (1H, dd, J =1.8, 9.2 Hz),
7.66-7.68(2H, m), 7.80 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.40 (1H, br s), 8.46 (1H, d, J =
1.8 Hz).
【0189】
<実施例22>
2−(4−ブロモブチル)−6−クロロ−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0190】
【化63】

【0191】
6−クロロ−2H−ピリダジン−3−オンを原料として実施例20と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.83-2.04
(4H, m), 3.43 (2H, t, J = 6.4 Hz), 4.12 (2H, t, J = 6.9 Hz), 6.89 (1H, d, J
= 9.6 Hz), 7.17 (1H, d, J = 9.8 Hz).
LRMS(EI+):
264 (M+)
HRMS(EI+): 263.9653 (-1.2mmu)[M+] .
【0192】
<実施例23>
6−クロロ−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0193】
【化64】

【0194】
実施例22の化合物と実施例2の化合物を用い、塩基として炭酸セシウムを使用し、実施例21と同様に反応させ目的物を無色粉末として得た。
元素分析(%): C19H21ClN4Oとして
C H N
計算値 58.69 5.44 14.41
実測値 58.55 5.53 14.51
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.23
(3H, d, J = 7.2 Hz), 1.78-2.05 (4H, m), 2.44 (1H, dd, J =
16.9, 1.1 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 17.3, 6.8 Hz), 3.30-3.35 (1H, m),
4.03 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.18 (2H, t, J = 7.1 Hz), 6.88 (2H, dt, J = 8.8, 2.5
Hz), 6.91 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.17 (1H, d, J = 9.6 Hz),
7.68 (2H, dt, J = 9.1, 2.5 Hz), 8.67 (1H, br s).
LRMS(EI+):
388 (M+)
HRMS(EI+): 388.1325 (+2.3 mmu)[M+]
【0195】
<実施例24>
2−メトキシ−6−(3−メチルブチニル)ピリジン
【0196】
【化65】

【0197】
2−ブロモ−6−メトキシピリジンを用い、WO2006095666号公パンフレットの実施例261と同様に反応させ目的物を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ
1.27 (6H, d, J = 6.9 Hz), 2.80 (1H, sept, J = 6.9 Hz), 3.93 (3H, s), 6.63 (1H,
dd, J = 8.3, 0.8 Hz), 6.97 (1H, dd, J = 7.3, 0.8 Hz),
7.45 (1H, dd, J = 8.3, 7.3 Hz).
LRMS(EI+):
175 (M+)
HRMS(EI+): 175.0999 (+0.2 mmu)[M+]
【0198】
<実施例25>
7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
【0199】
【化66】

【0200】
実施例24の化合物を用い、WO2006095666号公パンフレットの実施例262と同様に反応させ目的物を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ1.35 (6H, d, J = 6.9 Hz), 3.25 (1H, sept, J = 6.9 Hz),
4.09 (3H, s), 5.95 (1H, dd, J = 6.1, 2.4 Hz), 6.30 (1H, s), 6.97-7.08 (2H, m).
LRMS(EI+):
190 (M+)
HRMS(EI+):
190.1091 (-1.5 mmu)[M+]
【0201】
<実施例26>
3−ブロモ−7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
【0202】
【化67】

【0203】
実施例25の化合物(97.7 mg)のアセトニトリル(5 mL)溶液ににNBS(89.7 mg)を加え、常温にて3時間攪拌した。溶媒を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:9)にて精製し、目的物 (113 mg) を白色粉末として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.38
(6H, d, J = 7.0 Hz), 3.29 (1H, sept, J = 7.0 Hz), 4.07 (3H, s), 5.99
(1H, dd, J = 7.1, 1.5 Hz), 6.98-7.14 (2H, m).
LRMS(EI+):
268 (M+)
HRMS(EI+):
268.0220 (+0.9 mmu)[M+] HRMS: 268.0220 (98%, C11H13BrN2O
requires 268.0211).
【0204】
<実施例27>
(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−ホウ酸
【0205】
【化68】

【0206】
実施例26の化合物を用い、WO2006095666号公パンフレットの実施例263と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。すぐに次の反応に使用した。
【0207】
<実施例28>
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0208】
【化69】

【0209】
実施例23の化合物と実施例27の化合物を用い、WO2006095666号公パンフレットの実施例265と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ
1.22 (3 H, d, J = 8.3 Hz), 1.43 (6H, d, J = 6.9 Hz), 1.87-1.94 (2H, m),
2.07-2.14 (2H, m), 2.43 (1H, dd, J = 16.9, 1.1 Hz), 2.69 (1H,
dd, J = 16.9, 6.9 Hz), 3.26-3.33 (1H, m), 3.43 (1H, sept, J = 6.9
Hz), 4.05 (2H, t, J = 6.1 Hz), 4.15 (3H, s), 4.33 (2H, t, J = 7.0 Hz), 6.13
(1H, dd, J = 7.1, 1.5 Hz), 6.89 (2H, m), 7.01 (1H, d, J = 9.6
Hz), 7.15-7.30 (2H, m), 7.48 (1H, d, J = 9.7 Hz), 7.60-7.69 (2H, m),
8.75 (1H, s).
LRMS(EI+):
542 (M+)
HRMS(EI+): 542.2663 (+2.1 mmu)[M+]

【0210】
<実施例29>
3−クロロ−6−(3−メチルブチニル)ピリダジン
【0211】
【化70】

【0212】
3,6−ジクロロピリダジンを用い、実施例24と同様に3−メチル−1−ブチンと反応させ目的物を淡黄色油状物として得た。
元素分析(%): C9H9ClN2として
C H N
計算値 59.84
5.02 15.51
実測値 59.87 4.94 15.55
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ
1.28 (6H, d, J = 6.9 Hz), 2.83 (1H, sept, J = 6.9 Hz), 7.44 (2H, s).
LRMS(EI+):
180 (M+)
【0213】
<実施例30>
6−(3−メチルブチニル)−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0214】
【化71】

【0215】
実施例29の化合物を用い、WO2006095666号公パンフレットの実施例253と同様に反応させ目的物を無色粉末として得た。
元素分析(%): C9H10N2Oとして
C H N
計算値 66.65
6.21 17.27
実測値 66.44
6.19 17.31
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.27 (6H, d, J = 6.9 Hz), 2.79 (1H, sept, J = 6.9 Hz),
6.95 (1H, d, J = 9.7 Hz), 7.28 (1H, d, J = 9.7 Hz) 12.65 (1H, br s).
LRMS(EI+):
162 (M+)
【0216】
<実施例31>
2−(4−ブロモブチル)−6−(3−メチルブチニル)−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0217】
【化72】

【0218】
実施例30の化合物を用い、実施例20と同様にして反応させ目的物を橙色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ1.23
(6H, d, J = 6.9 Hz), 1.87-1.97 (4H, m), 2.75 (1H, sept, J = 6.8 Hz), 3.40 (2H,
t, J = 6.9 Hz), 4.14 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.80 (1H, d, J = 9.6 Hz),
7.16 (1H, d, J = 9.5 Hz).
LRMS(EI+):
296 (M+)
HRMS(EI+): 296.0543 (+1.9 mmu)[M+]
【0219】
<実施例32>
6−(3−メチルブチニル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0220】
【化73】

【0221】
実施例31の化合物と実施例2の化合物を用い、実施例21と同様に反応させ目的物を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.21
(3H, d, J = 6.6 Hz), 1.25 (6H, d, J = 6.9 Hz), 1.82-2.04 (4H, m), 2.43 (1H, dd
J = 16.8, 1.3 Hz), 2.69 (1H, dd, J = 17.0, 6.4 Hz), 2.77 (1H,
sept, J = 6.9 Hz), 3.28-3.33 (1H, m), 4.01 (2H, t, J = 6.1 Hz), 4.21 (2H, t, J
= 7.2 Hz), 6.84 (1H, d, J = 9.8 Hz), 6.88 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.17 (1H, d, J
= 9.5 Hz), 7.66 (2H, d, J = 9.0 Hz), 8.90 (1H, s).
LRMS(EI+):
420 (M+)
HRMS(EI+): 420.2164 (+0.3 mmu)[M+]
【0222】
<実施例33>
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0223】
【化74】

【0224】
1−アミノピリジニウムメシチレンスルホネート(177 mg)、実施例32の化合物(127
mg)のDMF(5mL)溶液に、炭酸カリウム(166 mg)を加え、60℃にて5.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリムで乾燥した。溶媒を濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→メタノール:酢酸エチル=5:95)で精製し、目的物(36.3 mg)を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ 1.23
(3H, d, J = 7.5 Hz), 1.41 (6H, d, J = 6.9 Hz), 1.89-2.16 (4H, m), 2.45 (1H, dd,
J = 16.7, 1.3 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 16.8, 6.6 Hz), 3.30-3.40
(1H, m), 3.42 (1H, sept, J = 6.7 Hz), 4.07 (2H, t, J = 6.1 Hz), 4.34 (2H, t,
J = 7.2 Hz), 6.80 (1H, td, J = 6.9, 1.4 Hz), 6.90-6.99 (2H, m),
7.03 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.19 (1H, ddd, J = 8.9, 6.7, 1.1 Hz), 7.49
(1H, d, J = 9.5 Hz), 7.65-7.73 (3H, m), 8.46 (1H, dd, J = 6.9, 1.0
Hz), 8.48 (1H, s).
LRMS(EI+):
512 (M+)
HRMS(EI+): 512.2544 (+0.8 mmu)[M+]
【0225】
<実施例34>
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0226】
【化75】

【0227】
実施例33 の化合物(31.0 mg)の酢酸(2 mL)溶液を110℃に加熱し、亜鉛粉末(39.0 mg)を加え10分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリムで乾燥した。溶媒を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=7:3→酢酸エチル)で精製し、目的物(17.8 mg)を無色ワックス状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ
1.23 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.41 (6H, d, J = 6.9 Hz), 1.88-1.96 (4H, m),
2.45 (1H, dd, J = 16.6, 1.2 Hz), 2.57-2.68 (2H, m), 2.71 (1H, dd, J
= 17.0, 6.9 Hz), 2.96-3.04 (2H, m), 3.25-3.38 (1H, m), 3.48 (1H, sept, J
= 6.9 Hz), 3.95 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.05 (2H, t, J = 6.0 Hz), 6.79 (1H, td, J
= 6.9, 1.4 Hz), 6.90-6.96 (2H, m), 7.19 (1H, ddd, J = 9.0, 6.8, 1.1 Hz),
7.60-7.69 (2H, m), 7.75 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.43 (1H, dt, J = 6.9, 1.1 Hz),
8.47 (1H, s).
LRMS(EI+):
514 (M+)
HRMS(EI+): 514.2684 (-0.8 mmu)[M+]
【0228】
<実施例35>
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン
【0229】
【化76】

【0230】
実施例28の化合物を用い、]実施例34と同様に反応させ目的物を無色ワックス状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ
1.23 (3H, d, J = 7.4 Hz), 1.44 (6H, d, J = 6.8 hz), 1.80-2.14 (4H, m), 2.44
(1H, dd, J = 16.7, 1.1 Hz), 2.56-2.63 (2H, m), 2.70 (1H, dd, J = 16.6, 6.4 Hz),
2.95-3.03 (2H, m), 3.26-3.38 (1H, m), 3.51 (1H, sept, J = 6.9 Hz), 3.94 (2H, t,
J = 6.4 Hz), 4.05 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.15 (3H, s), 6.13 (1H, dd, J = 7.5, 1.0
Hz), 6.91 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.20 (1H, dd, J = 9.0, 7.5 Hz), 7.36 (1H, dd, J
= 8.9, 1.2 Hz), 7.66 (2H, d, J = 8.9 Hz), 8.51 (1H, s).
LRMS(EI+):
544 (M+)
HRMS(EI+): 544.2811 (+1.3 mmu)[M+]
【0231】
<実験例1> ホスホジエステラーゼ阻害活性
PDE3A触媒領域(以下Catと略す)及び PDE4Bcatの cDNAはヒト由来のRNAよりそれぞれRT-PCRを行い単離した。各単離したcDNA断片をGateway system (Invitrogen社製)及びBac-to-Bac(登録商標)
Baculovirus Expression system (Invitrogen社製)で昆虫細胞Sf9に導入し、目的の各PDEタンパクを発現させた。これら組み換えPDE3Acat、PDE4Bcat、PDE5Acat及び PDE10A1はこれらPDEタンパクを高発現したSf9細胞の培養上清もしくは細胞抽出液からそれぞれイオン交換クロマトグラフィーで精製し、以下に示す実験に用いた。
被験化合物は4 mmol/L溶液を段階的に15%DMSO溶液で4倍希釈し、15
nmol/Lから4 mmol/Lまでの濃度の溶液を用意した(実験での最終濃度は1.5 nmol/Lから400μmol/L)。これら被験化合物溶液 10μL、緩衝液[40 mmol/L Tris-HCl (pH 7.4), 10
mmol/L MgCl2 ]で希釈した[3H] cAMP及び2×10-6unit量(1 unitはpH 7.5、30℃の条件下で1 μmol/LのcAMPを1分間に分解するPDE量を示す)の各ヒト由来組み換えPDEタンパク40 μLを96穴プレートに添加し、30℃で20分間反応した。その後65℃で2分間反応させた後、1 mg/mL 5'nucleotidase(Crotalus atrox venom, Sigma社製) 25 μLを添加し、30℃で10分間反応した。反応終了後、Dowex溶液[300 mg/mL Dowex 1x8-400 (Sigma Aldrich社製),
33% Ethanol] 200μLを添加し、4℃で20分間振動混合した後MicroScint 20(Packard社製) 200μLを添加し、シンチレーションカウンター(Topcount、Packard社製)を用いて測定した。IC50値の算出はGraphPad Prism v3.03 (GraphPad Software社製)を用いて行った。
なお、IC50値≧0.1μmol/L(−)、0.1μmol/L>IC50値≧0.01μmol/L (+)、0.01μmol/L>IC50値≧0.001μmol/L(++)、0.001μmol/L>IC50値 (+++)として表記した。
結果を表1に示す。
【0232】
【表1】

【0233】
以上のように、一般式(1)で表される本発明化合物はPDE阻害活性を有していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0234】
上述のように、本発明は、新規な2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体とその付加塩が優れたPDE阻害作用を有することを見出したものである。このようなPDE阻害剤作用を有する化合物は、狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、ハンチントン病、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病、統合失調症などの各種精神障害、肥満、メタボリックシンドローム等の予防又は治療薬、ならびに男性性機能障害治療薬として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基を、
は水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルカノイル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を、
及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を、
nは1〜5の整数を、
【化2】

は同一又は異なって単結合又は二重結合を示す。]
で表される2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物が、
6−(6−クロロ−2−エチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−5−メチル−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
6−(7−メトキシ−2−イソプロピル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[4−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェノキシ]ブチル]−4,5−ジヒドロ−(2H)−ピリダジン−3−オン、
である請求項1記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−4−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項3】
請求項1〜2の何れか1項に記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−3−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分とするホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤。
【請求項4】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の2−置換−6−(ピラゾロピリジン−4−イル)ピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分として含有する医薬。

【公開番号】特開2008−239558(P2008−239558A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83572(P2007−83572)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】