説明

2つの二次元部品の摩擦溶接接合

この発明は互いの頂部に位置する複数の二次元部品の摩擦溶接接合に関する。複数の部品は接続本体(1,17)によって結合され、接続本体は、カラー(7)によって上側の部品(9)の上に位置する。接続本体は配管片の形状を有し、上側の部品(9)は回転および圧力によって前部の環状の切断端縁を有する接続本体によって浸透され、接続本体は、その前部で上側の部品(9)を介して切断し、且つ、その空洞スペースに上側の部品(9)の切断材料を受けた後、下側の部品(1)とともに、接続本体の回転および圧力によって生成された摩擦溶接領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はお互いの頂部に位置する複数の二次元部品を含む摩擦溶接接合に関し、複数の二次元部品は、カラーによって上側の部品に位置する接続本体によって結合される。
【背景技術】
【0002】
このタイプの摩擦溶接接合はDE19620814A1から公知である。互いの頂部に位置し、アルミニウムやアルミ合金のような同じ種類の材料で構成されている2つの二次元部品が、この公知の摩擦溶接接合によって結合される。平坦な円錐、またはのこぎり状溝を有するように設計された接続本体の閉じた前部が上側の部品に置かれて、圧力の下の回転によって後者に差し込まれるという事実によって、このために使用される摩擦溶接接合は生産される。上側の部品は可塑化され、そして、得られた溶融状態の材料は2つの部品をお互いに接続する。
【0003】
この方法によると、上側の部品の材料は、上側の部品に差し込まれている接続本体の全断面にわたって溶かすか、または機械加工しなければならないが、切りくずをどのように除去するのかは不明である。上側の部品の関連領域が溶かされるなら、これはかなりのエネルギー量を必要とする。したがって、お互いの頂部に位置する2つの部品の間で摩擦溶接接合を生成するための公報から公知の方法は、かなりの技術的問題を伴う。
【0004】
お互いの頂部に位置する2個の薄板の間で摩擦溶接接合を生産するための同様の方法はPCT公報WO98/04381に開示されている。この方法で、丸いスタンプは放射状に一部を切取った平坦な前部を有する摩擦要素として使用される。これは、回転および圧力によって上側の薄板を通して押され、それによって、後者は溶ける。次に、スタンプは下側の薄板に比較的短い長さだけ入り込み、そして、また、下側の薄板は溶ける。その結果、円柱状にある程度スタンプを囲む溶融帯が形成され、この方法で、2個の薄板が結合される。そして、スタンプは溶融帯から引っ込められる。
【0005】
この方法においても、下側の薄板からの溶融材料、特に、上部薄板からの比較的大量の溶融材料がどこに流れるのか不明である。とにかく、これは公報からはわからない。
【0006】
お互いの頂部に位置する2つの二次元部品のための摩擦溶接接合を設計するための既存の必要性を考慮すると、接続本体がお互いの頂部に位置する2つの部品の上側の部品に差し込まれるとき、それによって溶けた材料は妨害を避けるために何らかの方法で収容されなければならないという知識は、明らかに、EP1230062B1で説明された方法になる。これは、原則として、WO98/04381で説明されるように行われ、これによって、間隔をあけてスタンプを取り巻き、上側部分を押すスリーブはスリーブの内表面とスタンプとの間に付加的なスペースを生成し、そこへ、この材料が溶けた時上下の部品からの材料が流れる。それからスタンプはこの材料をある程度この空洞に押し、そこから、それは押し出され、それによって、上下の部品のプランジャー浸透部に対応する比較的大きな領域を液体で満たす。この液体が上下の部品の間の接続を形成する。
【0007】
これは技術的な観点から行いにくい方法である。これは、特に多量の熱が必要であり、単に上側または下側の部品の材料を可塑化するだけでは溶融状態の材料が流れることを引き起こすためには不十分であるためである。代わりに、スリーブとスタンプの間の環状隙間に材料が流れるようにし、そして、それが置き換えられたスペースに流れ返すのを可能にするために、比較的高い粘着性を有するようにこの材料を溶かさなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE19620814A1
【特許文献2】WO98/04381
【特許文献3】EP1230062B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、お互いの頂部に位置する複数の二次元部品の摩擦溶接接合を生成することである。ここでは、集中した回転摩擦溶接領域が、接続本体周りの狭い限られた空間である接触領域に生成され、必ずお互いの頂部に位置する二次元部品から置き換えられる材料が、互いの頂部に位置する複数の部品間の摩擦溶接接合および接続本体が十分組み立てられたとき、材料が妨げにならないように集められるようにしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によると、この目的は接続本体がチューブ要素として設計され、上側の部品は回転と圧力によって前部の環状の切断端縁を有する接続本体によって差し込まれることによって達成される。ここで、接続本体は、その前部で上側の部品を切断し、上側部品の切断した材料をその空洞部に収容した後、下側の部品と共に、接続本体の回転および圧力によって生成された摩擦溶接領域を形成する。
【0011】
接続本体をチューブ片として設計したため、接続本体の空洞のスペースは、最終的にチューブ状の接続本体の前部の領域に必要な摩擦溶接ゾーンを生成するために、後者が圧力と回転の下に置かれたとき接続本体から除去されるべき二次元部品からの材料を収容するためのスペースをもたらす。接続本体をチューブとして設計したため、このチューブ片の前部を環状の切断端縁として利用することができ、この環状切断端縁は、二次元部品と接触している、ほんの比較的狭い領域のみで二次元部品から、比較的わずかな量だけを取り除いて可塑化する必要がある。このことは、材料を加熱するための必要なエネルギーを提供するのに重要である。接続本体に取り付けられたカラーが、二次元部品を結合するのに利用されて、この接続本体は、カラーによって上側の部品に位置し、下側の部品に後者を押しつける。この下側の部品は、摩擦溶接領域によって接続本体の前部と上側部品の下側の縁の両方に接続され、それによって、お互いの頂部に位置する2つの部品間に永久的な丈夫な接続が達成される。これは、好ましくは、互いの頂部に位置する2つの部品に関するが、多数の二次元部品がこのように互いに接続されてもよい。
【0012】
接続本体の相応しい設計は、それが空洞のボルトとして設計されているときである。しかしながら、接続本体をナットとして設計することも可能である。
【0013】
有利には、上側の部品は軽金属で作られる。しかしながら、また、プラスチックで上側の部品を設計するのも可能である。
【0014】
同様の選択は下側の部品にも存在する。例えば、それは、金属かプラスチックのどちらで作られてもよい。
【0015】
また、接続本体に使用される材料のために様々なオプションが存在す。有利な実施の形態は、接続本体を金属から生産することである。しかしながら、また、プラスチックで接続本体を設計することも可能である。
【0016】
回転と圧力によって互いの頂部に位置する二次元部品に差し込まれる接続本体の環状の切断端縁を、環状の切断端縁に関して好ましく設計するには、後者には、チューブとして設計された接続本体の上にシャープな外側端縁が設けられる。チューブの前は漏斗の形に空洞のスペースと一体化し、それによって、二次元部品からの溶融状態の材料を容易に収容する。
【0017】
外側の縁は、ナイフの刃のような閉じた円周を有してもよいが、外側の端縁に歯を設けてもよい。
【0018】
上側の部品の向きに所望の連続したプリテンションを有するカラーを提供するために、上側の部品を押し付けるばね要素をカラーと上側の部品の間に適切に設ける。バネ要素に所望のプリテンションを与えるために、回転式の摩擦溶接領域を形成した後に、停止しているときに、カラーは上側の部品に対して押し付けられる。これは、接続本体が停止しているときに、カラーに作用する軸方向圧縮力によって適切に行なわれる。
【0019】
チューブの周りで二次元部品からの溶融状態の材料が途中でフランジの向きに外部まで流れ出るのを防ぐために、カラーには上側の部品に対向する側面に環状のリッジ(突起部)が適切に設けられる。この環状のリッジは半径方向における外側へのシールとしてある程度作用する。
【0020】
結果として生じる高い表面圧力のため、環状の尾根は上側の部品に押し込まれる。
【0021】
本発明の模範的実施の形態は図面に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】空洞のボルトとして設計された接続本体を示す図である。
【図2】図1による、接続本体によって結合された2つの二次元部品の間の摩擦溶接接合を示す図である。
【図3】図1に従う、外側のねじ山付きのボルトを有する、接続本体の変形例を示す図である。
【図4】ナットとして設計された接続本体を示す図である。
【図5】ばね要素を有する接続本体を示す図である。
【図6】カラーの上に環状の尾根を有する接続本体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、チューブ状の空洞のボルトとして設計された接続本体1を示している。このボルトは、環状の切断端縁4が設けられた前部3を有するチューブ片2を含む。チューブ片2の材料は環状の切断端縁4から始まり、漏斗5の形状で接続本体1の空洞のスペース6と一体化する。
【0024】
接続本体1は前部3の反対側にカラー7を有し、カラーは部分的断面として示され、前部3から遠く離れた側で六角形8と一体化される。六角形8は回転機械の任意のチャックに収容されるために使用される。
【0025】
図2は図1による、接続本体を含む摩擦溶接接合を示す。この図は互いの頂部に位置する2つの二次元部品、すなわち、上側の部品9と下側の部品10とを示し、これらは、互の上にぴったりと位置する。チューブ片2は上側の部品9に接続本体1の回転と圧力によって下側の部品10に達するまで差し込まれる。これによって、移動された材料11は上側の部品9から、チューブ部分2の空洞のスペース6に押しだされる。最終的な摩擦溶接において、移動された材料11は、このように安全にチューブ片2に収容されて、そこから出ることができない。これは、摩擦溶接領域12がチューブ片2の前部に形成されて、しっかりと本体1を接続する部品10を保持するためである。この摩擦溶接領域12は少なくとも表面で移動された材料と一体化し、それによって、それを所定の位置で保持する。接続本体1の反対側では、接続本体1は上側の部品9にカラー7を押し付け、上側部品9はそれによって、カラー7と下側の部品10の間である程度固定される。また、2つの部品9と10の代わりに、3以上の二次元部品に接続本体を設けてもよい。
【0026】
図1に従った接続本体の代わりに、図3に示される接続本体の使用も可能である。これは、空洞のボルト13によって形成されたものである。任意のナットを介した空洞のボルト13に更なる部品を取り付けることを可能にするネジ14は、空洞のボルト13に切られる。空洞のボルト13は貫通孔15を有し、貫通孔15は前部3の領域(図1の前部3に対応)において空洞のスペース6のように設計され、ねじ14の領域に狭い貫通孔15を有し、この狭い貫通孔15は前部3から離れた空洞の本体13の側の六角ソケット16で終了する。六角ソケット16は回転機械のツールを収容するのに使用され、それによって、接続本体13が互いの頂部に位置する二次元部品に対して回転され押し付けられる。接続本体の機能のさらなる詳細については、図1と図2のための説明を参照すること。
【0027】
図4は接続本体の更なる変形を示している。そこでは、接続本体はナット17である。ナット17は、チューブ状のデザインである。これは、上側の部品から切り取られた材料を収容するための空洞の貫通スペース18を有することを意味する。ナットについて一般的であるように、接続本体17には確実に駆動ツールに取付けらるように六角形が設けられている。
【0028】
再度特定の接続本体の前部3の機能に関して図1と2を参照する。ここでは、接続本体1,13にその前部3に刃が設けられ、刃は前部3の外側端に沿って環状に設けられ、内部に向けて漏斗5を形成している。これによって、上側の二次元部品9から切り取られたどの材料が、空洞のスペース6に搬送されてもよい。
【0029】
図4に従ったナットとしての接続本体17の実施の形態では、外側の縁21に沿って歯22を前部20に設ける。これによって、上側の部品におかれたとき、フライスカッターのように上側の部品からの材料を歯が粉砕し、その材料は上記したように、関連する接続本体の空洞のスペース18または6に搬送される。
【0030】
図5は図1に従う接続本体1を示している。図5によると、皿バネ23が追加されている。皿バネ23はカラー7の下でチューブ片2に押されて、図2に示す活性状態で特定のバネ上部品9を押すために使用され、それによって、たとえ回転による摩擦溶接領域12(図2を参照)が上側の部品9に対して接続本体1を安定して引き込まなくても、上側の部品9が張力を与えられた皿バネ23によって、カラー7を介して接続本体1を押す。
【0031】
図6は接続本体のデザインの変更を示している。この場合、上側の部品9に面する側のカラー7の領域において、接続本体には環状のリッジ24が設けられる。環状のリッジ24は上側の部品9の表面に位置したとき、カラー7の外側端縁に沿って位置し、シールを形成し、それによって、摩擦溶接領域の生成によって液化された材料は、カラー7の向きでチューブ片2の外部で両方の部品9と10から押され、そこで、環状のリッジ24によって外へ漏れるのが防がれる。
【0032】
さらに、図6によると、接続本体1は環状のリッジ24によって上記したように安定したシールを形成するために上側の部品9に押しつけられるという事実を参照されたい。この押圧動作は接続本体の回転の終了時に別の工程として適切に行われる。すなわち、接続本体が停止していると、回転工具から接続本体1に圧力を付与することによって、接続本体1が上側の部品に押し込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの頂部に位置する複数の二次元部品(9,10)の摩擦溶接接合であって、
複数の部品は接続本体(1,17)によって結合され、接続本体は、カラー(7)によって上側の部品(9)の上に位置し、その前部(3)によって上側の部品(9)を介した切断し、且つ、その空洞のスペース(6)に上側の部品(9)切断材料を収容した後、接続本体(1,17)は、チューブ片(2)として設計され、上側の部品(9)が回転および圧力によって前部の環状の切断端縁(4)を有する接続本体(1、17)によって浸透され、下側の部品(1)とともに、接続本体(1,17)の回転および圧力によって生成された摩擦溶接領域(12)を形成することを特徴とする、摩擦溶接接合。
【請求項2】
接続本体(1)が空洞のボルトとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦溶接接合。
【請求項3】
接続本体(17)がナットとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦溶接接合。
【請求項4】
上側の部品(9)が軽金属で作られていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項5】
上側の部品(9)がプラスチックで作られていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項6】
下側の部品(10)が金属で作られていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項7】
下側の部品(10)がプラスチックで作られていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項8】
接続本体(1,17)が金属で作られていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項9】
接続本体(1,17)がプラスチックで作られていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項10】
環状の切断端縁(4)がチューブ(2)の鋭い外側の縁によって形成され、そこから、チューブ片(2)の前部(3)が漏斗の形の空洞のスペース(6)と一体化することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項11】
外側の縁が閉じた周辺となるように設けられていることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項12】
外側の縁には歯(22)が設けられていることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項13】
カラー(7)がバネ要素(23)によって上側の部品(9)を押し付けることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項14】
摩擦溶接ゾーン(12)が形成された後に、カラー(7)が静止の間、上側の部品(9)に押し付けられることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の摩擦溶接接合。
【請求項15】
カラー(7)が上側の部品(9)に対向する側面で環状のリッジ(24)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の摩擦溶接接合。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−509072(P2010−509072A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536624(P2009−536624)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009366
【国際公開番号】WO2008/058625
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509135533)エーヨット ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (4)
【Fターム(参考)】