説明

2次元トランスジューサアレイを動作させるためのシステム及び方法

【課題】2次元トランスジューサアレイ内のトランスジューサをアドレス指定するための改良型の技法を提供すること。
【解決手段】本技法の実施形態による2次元トランスジューサアレイ(20)内のトランスジューサ(22)をアドレス指定するためのシステム及び方法を開示する。本技法の一態様ではそのトランスジューサ(22)は横列と縦列の形で配列されており、また縦列は共通の送信及び受信回路(37、38)に結合される一方、横列は横列選択回路(28)に結合されている。別の実施形態では、各トランスジューサ(22)は単独で専用の送信回路(37)に結合されており、また縦列は共通の受信回路(38)に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には2次元トランスジューサアレイに関する。本発明は具体的には、2次元トランスジューサアレイ内部で個々のトランスジューサ素子をアドレス指定するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用超音波撮像システムは、対象内に音響波を送信すると共に、反射された音響波を受信し処理することによって画像を形成する。典型的には複数の超音波トランスジューサが送信波を送り出して反射波を受け取っている。こうした走査は、超音波が送信される際、ある短い時間間隔の後にシステムが受信モードに切り替わる際、並びに反射した超音波を表示のために受信しビーム形成させかつ処理する際における一連の計測値を含む。
【0003】
トランスジューサ素子は典型的には、入力電圧波形によって個々に駆動を受ける。入力波形の間に時間遅延及び振幅の差を実現することによって、好ましいベクトル方向に沿って伝播し対象の選択した部位で集束する正味の超音波が形成されるように合成させるための超音波を発生させるように個々のトランスジューサ素子を制御することが可能である。同様にトランスジューサが受信した反射波は、正味の信号が対象内の単一の集束ゾーンから反射された音波を示すように数学的に処理されることがある。送信モードの場合と同様に、超音波エネルギーのこの集束式の受信は、トランスジューサ素子から受け取った信号に対して様々な時間遅延及び利得を付与し得られた波形を足し合わせることによって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4371805号
【特許文献2】米国特許第5329496号
【特許文献3】米国特許第5622177号
【特許文献4】米国特許第5590658号
【特許文献5】米国特許第5690114号
【特許文献6】米国特許第2817023号
【特許文献7】米国特許第5839442号
【特許文献8】米国特許第5957846号
【特許文献9】米国特許第5964709号
【特許文献10】米国特許第6106472号
【特許文献11】米国特許第6384516号
【特許文献12】米国特許第6552964号
【特許文献13】米国特許第6641534号
【特許文献14】米国特許第6865140号
【特許文献15】米国特許第6875177号
【特許文献16】米国特許第7257051号
【特許文献17】米国特許第7280435号
【特許文献18】米国特許第7300403号
【特許文献19】米国特許第7353056号
【特許文献20】米国特許出願第20050057284号
【特許文献21】米国特許出願第20050237858号
【特許文献22】米国特許出願第20070016026号
【特許文献23】EP第1768101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波撮像システムにより形成される画像の品質や分解能はその一部が、アレイ内のトランスジューサの数の関数である。したがって、高い画質を達成するには、トランスジューサ素子の数が多いことが望ましい。さらに、トランスジューサアレイ内の各トランスジューサは個々の電気接続を介して送信及び受信回路に結合させている。多数の電気接続を製作することに関する技術的問題や出費のために、典型的なトランスジューサアレイ内に含み得るトランスジューサの数が制限されることがある。したがって、大型の2次元トランスジューサアレイ内にあるトランスジューサをアドレス指定するための改良型の技法を提供できると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技法の実施形態による2次元アレイ内でトランスジューサをアドレス指定するためのシステム及び方法を開示する。本技法の一態様では、トランスジューサが横列と縦列の形で配列されており、その縦列は共通の送信及び受信回路に結合されている一方、その横列は横列選択回路に結合されている。別の実施形態では、各トランスジューサは単独で専用の送信回路に結合されており、その縦列は共通の受信回路に結合されている。この両方の実施形態では、トランスジューサを信号発生/受け取り回路に通信可能に結合させるために使用される個々の電気相互接続の数が削減される。
【0007】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の態様による個々のトランスジューサをアドレス指定するための改良型技法による2次元トランスジューサアレイを含む例示的な超音波デバイスの図である。
【図2】本発明の態様による図1に示した2次元トランスジューサアレイのブロック図である。
【図3】本発明の態様による図2に示したトランスジューサアレイの横列選択タイミング及び対応する電圧出力を表している電圧対時間のグラフである。
【図4】本発明の態様によるトランスジューサの最初の3つの横列の横列選択タイミングを表した図3に示した電圧対時間の拡大グラフである。
【図5】本発明の態様による2次元トランスジューサアレイの代替的な実施形態を表した図である。
【図6】本発明の態様によるトランスジューサアレイで使用される受信回路の代替的な実施形態を表した図である。
【図7】本発明の態様によるトランスジューサアレイで使用される受信回路の代替的な実施形態を表した図である。
【図8】本発明の態様によるトランスジューサアレイで使用される受信回路の代替的な実施形態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示した技法によれば、各トランスジューサごとに個々の専用の処理電子回路を使用することなくトランスジューサアレイを製作することが可能となる。本明細書に開示した実施形態によれば、その各々を幾つかのトランスジューサによって共有し得るように複数の信号バスを使用するような2次元トランスジューサアレイを製作することができる。個々のトランスジューサの起動を可能にするために、トランスジューサは選択回路によって起動させるスイッチを通じて信号バスに結合させることがある。アレイ内のトランスジューサをアドレス指定するための、技術的な問題がより少なくかつより経済的な技法を提供することによって、既存の超音波テクノロジーと比較してさらに大型のトランスジューサアレイを製作することができ、これによって大型の2次元トランスジューサアレイを有する新たな超音波技法やデバイスが可能となる。
【0010】
図1は、本発明の態様によるトランスジューサをアドレス指定する改良型技法による2次元トランスジューサアレイを含む例示的な超音波デバイスである。図1に示すように、改良型超音波デバイス10は、患者12の組織に隣接して配置させ、通信ケーブル16を通じてモニタ14に結合されることがある。モニタ14によって超音波デバイス10のオペレータは、超音波デバイス10が受け取った信号から作成した超音波画像の再構成及び観察が可能となる。さらにモニタ14は、通信ケーブル16を通じて超音波デバイス10に制御信号を提供することもある。超音波デバイス10は、トランスジューサアレイ20を包含する役割をすると共に該トランスジューサアレイ20を患者12の組織のごく近傍にもってくることを可能にさせるハウジング18を含むことがある。ハウジング18は、超音波デバイス10を患者12の組織に沿わせることを可能にするような薄手で柔軟な材料を含むことがある。幾つかの実施形態ではそのハウジングは例えば、シリコンベースのポリマーなどのエラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル、あるいはポリエチレンなどのポリオレフィンを含むことがある。ハウジング18はさらに、超音波デバイス10を適所に保持するために粘着剤の裏当てを含むことがある。別法として超音波デバイス10は伸縮性のバンドまたはストラップによって適所に保持させることがある。
【0011】
トランスジューサアレイ20は、ハウジング18の内部に配置されると共に、ハウジング18によって患者12のごく近傍に保持される。トランスジューサアレイ20はさらに患者12の組織との良好な接触を提供するような柔軟性とすることがある。一実施形態ではそのトランスジューサアレイ20は概ね高さを最大で6”かつ幅を6”とすることがあり、また1000×1000のマトリックス状に配列させた最大で概ね1,000,000個のトランスジューサを含むことがある。このようにトランスジューサの数が多いことによって、関心対象部位内部で超音波画像を幾つかの画像スライスにわたって取得するためにオペレータが超音波デバイス10を動かすことのないような自動走査が可能となる。そうでない場合は、トランスジューサアレイ20の横列を電子走査することによって幾つかの画像スライスが取得されることがある。トランスジューサアレイ20内で使用する電気相互接続の数を削減するために、トランスジューサを幾つかの信号バスまたは共通の相互接続に結合させることがある(これについては以下で記載することにする)。
【0012】
図2は、本発明の態様による図1に示した大型の2次元トランスジューサアレイ20のブロック図である。トランスジューサアレイ20は格子状に配列させたトランスジューサ22を含む。便宜上、トランスジューサアレイ20のうちの2つの横列と2つの縦列だけを示している。しかし、本実施形態によるトランスジューサアレイはその総数が最大で数百万個のトランスジューサ22となるような横列数と縦列数を含むことがあることを理解されたい。トランスジューサ22は、例えば容量性マイクロマシン加工超音波トランスジューサ(cMUTS)や圧電トランスジューサなどの任意のタイプの超音波トランスジューサとすることができる。
【0013】
単一の縦列内にあるトランスジューサ22の各々は、トランスジューサ22に対して超音波信号を送出及び受信するように構成された回路に該縦列内のトランスジューサ22の各々を電気的に相互接続している縦列バス24に結合させることがある。各トランスジューサ22はスイッチ26を通じて縦列バス24に選択的に結合させることがある。スイッチ26は、電界効果トランジスタやマイクロ電子機械システム(micro−electromechanical system:MEMS)スイッチなどの任意のタイプの半導体式や適当なその他のスイッチとすることができ、また送信電圧を支持するために高電圧(50〜200V)の通過を可能とさせることがある。各スイッチ26のゲートは、トランスジューサの各横列を横列選択回路28に結合させる電気接続である横列バス25に結合させることがある。横列選択回路28は、横列バス25を介してゲートに信号を送出することによってトランスジューサ22の1つまたは複数の横列を選択的に起動し、これによってトランスジューサ22の選択した横列を縦列バス24に結合させることがある。その縦列バス及び横列バス上に配置させる信号を制御することによって、トランスジューサ22を個々に、あるいは1つまたは複数の横列を一度にアドレス指定することができる。
【0014】
縦列バス24は、送信/受信(T/R)スイッチ34を通じてトランスジューサ22の各縦列を送信回路37及び受信回路38に結合させており、このT/Rスイッチ34はその縦列バス24を送信回路37と受信回路38のどちらに結合させるのかを決定している。送信回路37は、縦列バス24を介してトランスジューサ22に送られる出力電圧波形の発生を制御するように構成された制御ロジック30を含むことがある。出力電圧波形を発生させるために、制御ロジック30は1つまたは複数の制御信号をパルス発生器36に送出することがあり、このパルス発生器36の出力は縦列バス24に結合されると共に事前定義の複数の離散的電圧レベルを出力するように構成されている。制御ロジック30からの信号によって、パルス発生器36の出力電圧を事前定義の電圧レベルに沿ってステップ変化させて所望の出力電圧波形を生成している。幾つかの実施形態ではそのパルス発生器36は、0、+V及び−Vという3つの電圧レベルを備えた方形波を発生させることがある。別の実施形態ではそのパルス発生器36は、幾つかの電圧レベルを含むと共に正弦波形に似せた波形を出力することがある。さらに別の実施形態ではそのパルス発生器36は、アナログ出力波形を発生させることがある。さらに、制御ロジック30及び/またはパルス発生器36は、各縦列バス24ごとに異なる波形を生成するように構成されることがある。例えば幾つかの実施形態ではその制御ロジック30は、ある特定の関心対象部位に超音波全体が集束されるように各縦列バス24の出力波形の間に位相遅延を生成することがある。
【0015】
受信回路38は、患者12から反射された超音波を表しているデータをトランスジューサ22から受け取るデータ収集回路32を含むことがある。次いでデータ収集回路32は、このデータから超音波画像を作成することがある。データ収集回路32はさらに、患者内のある特定の関心対象部位に超音波画像を集束させるために、受け取ったデータに対して位相遅延及び信号利得偏差を導入することがある。受信回路38はさらに、トランスジューサから受け取った電圧波形をデータ収集回路32に適したディジタル形式に変換するための回路を含むこともある。幾つかの実施形態ではその受信回路38は、増幅器40及びアナログ対ディジタル変換器(ADC)42を含むことがある。増幅器40は、トランスジューサ22から電圧信号を受け取ることがあり、またこの信号をADC42に適したレベルまで増幅することがある。次いでADC42は、トランスジューサ22から受け取った信号をディジタル信号に変換しており、このディジタル信号は処理のためにデータ収集回路32に送られることがある。
【0016】
T/Rスイッチ34は、縦列バス24を送信回路37と受信回路38のどちらに結合させるかを制御することによって縦列バスに対する信号のルート設定を制御する。送信段階の間は、T/Rスイッチ34が出力信号をパルス発生器36から縦列バス24に結合させており、これによって出力信号は横列選択回路28が選択したトランスジューサ22の横列に送信される。受信段階の間は、T/Rスイッチ34が縦列バス24を増幅器40に結合させる。増幅器40がトランスジューサ22から受け取った信号は次いで、データ収集回路32に中継される前にADC40によりディジタル化される。
【0017】
上に記載したアドレス指定技法を用いることによって、各トランスジューサ22ごとの個々の相互接続を用いることなく個々のトランスジューサ22を選択的に起動することが可能となる。例えば100×100のトランスジューサアレイでは、相互接続の数を10,000から200まで減少させることができる。これによって、典型的な超音波デバイスと比較して製作コストを大幅に節約することができ、またさらに大型のトランスジューサアレイの製作が可能となる。幾つかの実施形態ではその超音波デバイスは、トランスジューサアレイ20全体、あるいは個々の横列や縦列などトランスジューサアレイ20の所望の部分組を同時にアドレス指定するように構成されることがある。
【0018】
超音波データを収集する処理は、出力段階と受信段階という2つの段階を含むことがある。出力段階の間は、T/Rスイッチ34が縦列バス24のうちの1つまたは幾つかをパルス発生器36の出力に結合させていると共に、制御ロジック30が次に縦列バス24に送るための出力波形を発生させている。次いで横列選択回路28は、スイッチ26のうちの1つまたは幾つかの横列を起動させ、これによって選択したトランスジューサ22が縦列バス24に結合される。選択されたトランスジューサ22は次いで、パルス発生器36から出力電圧波形を受け取り、得られた超音波波形を患者12に送信する。図3に関連して以下でさらに説明することにするが、幾つかの実施形態ではその横列選択回路28は、出力波形を発生させている間のある短い時間にわたってトランスジューサ22の各横列を順次起動させることによってアレイ20全体を走査することがある。
【0019】
受信段階の間は、T/Rスイッチ34が縦列バス24のうちの1つまたは幾つかを受信回路38の入力に結合させる。次いで横列選択回路は、スイッチ26のうちの1つまたは幾つかの横列を起動させ、これによって選択したトランスジューサ22が縦列バス24に結合される。次いで選択されたトランスジューサ22は、患者12から反射された超音波波形を受信し、得られた電気信号を受信回路38に送り、ここで信号をディジタル化し処理して超音波画像が作成される。送信段階の場合と同様に、横列選択回路28は、反射された超音波波形を受信している間のある短い時間にわたってトランスジューサ22の各横列を順次起動させることによってアレイ20全体を走査するように構成されることがある。横列選択タイミングについてはトランスジューサをアドレス指定する例示的な方法を例示した図3及び4を参照するとより理解が深まろう。
【0020】
図3は、本発明の態様による図2に示したトランスジューサアレイの横列選択タイミング及び対応する電圧出力を表している電圧対時間のグラフである。本例示を目的として、100×100マトリックスの超音波トランスジューサを仮定している。グラフ46内には、図2に示したパルス発生器36のうちの1つが発生させる縦列バス出力48のプロットを含めている。図3に示すように、縦列バス出力48は時刻ゼロにおけるゼロボルトから、出力周期56(Tout)の4分の1経過後にある正の電圧Vposまで上昇する。幾つかの実施形態では、Vposは概ね100ボルトに等しいことがある。したがって、幾つかの実施形態では、図2に示したスイッチ26を高電圧スイッチとすることになることを理解されたい。縦列バス出力48は正弦波波形を近似している階段状出力である。代替的な実施形態ではその縦列バス出力48をアナログ信号とすることや方形波信号とすることがある。さらに、グラフ46は便宜上、縦列バス出力48のうちの4分の1だけを示していることに留意すべきである。図示したこの例示的実施形態では、縦列バス信号の出力周波数は概ね5メガヘルツとすることがある。したがって図示した実施形態では、縦列バス信号の出力周期を概ね200ナノ秒とし、また4分の1周期56(すなわち縦列バス出力48をゼロからVposまで上昇させる時間)は概ね50ナノ秒とすることがある。
【0021】
上で検討したように、トランスジューサアレイ20の横列は、縦列バス信号48を出力している間に走査を受ける、すなわち順次起動されることがある。ある横列を起動させるごとに、該横列をある時間期間(本明細書では、「横列起動間隔」と呼ぶ)にわたって有効状態に維持しており、この間に起動を受けた横列内にあるトランスジューサは縦列バス電圧に従って電気的に充電または放電する。サイクルタイム58(Tcycle)は、トランスジューサアレイ20全体を走査するのにかかる時間量を意味している。幾つかの実施形態ではそのトランスジューサアレイ20全体が各10ナノ秒ごとに走査を受けることがあり、この場合に100横列のトランスジューサアレイ22では横列起動間隔が0.1ナノ秒になる。図3に示すように幾つかの実施形態では、そのトランスジューサアレイ20は縦列バス信号48を出力させている間に数回走査を受けることがある。このため、パルス発生器36からの出力電圧波形に応答して縦列バス電圧が変化するに連れて、トランスジューサ22が数回起動されることがある。トランスジューサ22が起動されるごとに、起動間隔中に存在する縦列バス電圧に従って充電または放電する。トランスジューサは容量性であるため、横列選択回路28の切り替えにより導入される高周波成分がトランスジューサ22によってろ過除去され、これによりトランスジューサ22の出力超音波波形が滑らかな波形に近づくことになる。
【0022】
グラフ46は、100個の横列を順次起動させる際に横列1及び横列50のトランスジューサ22に加えられる電圧を示している。トレース50は横列1に加えられる電圧を表しており、またトレース52は横列50に加えられる電圧を表している。グラフ46に示したように、横列1は時刻ゼロのすぐ後でオンに切り替えられており、この時刻までに縦列バス信号48が初期電圧レベルまでステップアップされている。横列1が起動状態を維持している間に、横列1のトランスジューサ22は縦列バス24の電圧レベルに達するまで充電される。サイクルタイム58の間に100個すべての横列が起動されるため、各横列はサイクルタイムを横列数で割った時間(この場合では、Tcycle/100)に等しいまたはこれ未満の時間期間だけ起動されている。しかし、トランスジューサ22がオフに切り替えられた後は、トランスジューサ22の出力は起動期間中に到達した最終の電圧レベルに維持される。サイクルタイム58(Tcycle)が一巡した後、再び横列1がオンに切り替えられて、横列1は当該時刻において縦列バス上に存在する電圧レベルに至る。この処理は、トランスジューサ22の各横列ごとに出力波形の送信が終了するまで継続される。各トランスジューサ横列は走査サイクルの間の若干異なる時刻で起動されるのであるが、異なる横列同士の出力波形の位相差は非常に小さいことを指摘しておくことは重要であろう。このことは、トレース52で示した横列50を参照するとより理解を深めることができよう。
【0023】
グラフ46により示したように、横列50は時刻Tcycle/2において起動され、また相次いで時間間隔Tcycleがそれぞれ経過した後に再度起動されている。このグラフから分かるように、横列1及び横列50は異なる時刻にオンに切り替えられているが、この2つの波形は両者共が出力電圧波形をサンプリングしているためこの両波形間に存在する位相遅延は非常に小さい。しかし、トランスジューサ横列間にはその切り替え間隔54に応じて縦列バス信号48によってわずかな量の位相遅延が導入されることがあることを理解されたい。一般にトランスジューサ出力波形間の位相遅延は、縦列バス(Tbus)の切り替え間隔54に等しいかこれ未満となる。
【0024】
図4は、本発明の態様によるトランスジューサの最初の3つの横列の横列選択タイミングを表した図3に示したグラフの拡大図である。図4は、時刻ゼロのすぐ後において横列1、横列2及び横列3が選択されている間のトランスジューサ22にまたがる電圧を表している。図4に示すように、縦列バス信号48は、時刻ゼロのすぐ後において第1の電圧増分Vまで上昇する。引き続いて、トレース50で表した横列1、トレース62で表した横列2、及びトレース64で表した横列3が連続してオンに切り替えられる。上で述べたように、ここに記載した実施形態は横列が100個でサイクルタイム58(Tcycle)が10ナノ秒のトランスジューサアレイ20を仮定している。したがってここに記載した実施形態の横列起動間隔59は概ね0.1ナノ秒である。換言すると、横列選択回路28は、連続するトランスジューサ横列を増分単位0.1ナノ秒で順次起動させている。したがってグラフ60に示したように、T=0.1ナノ秒において横列1がオンに切り替えられる。T=0.2ナノ秒には、横列1がオフに切り替えられかつ横列2がオンに切り替えられる。T=0.3ナノ秒には、横列2がオフに切り替えられかつ横列3がオンに切り替えられる、等々となる。幾つかの実施形態では、縦列バス信号48の立ち上がり時間66(Trise)は横列起動間隔59より短いことがあり、これによって縦列バス信号48はトランスジューサ横列がオンに切り替えられる前に各増分電圧レベル(例えば、電圧V)を安定化することが可能となる。
【0025】
個々の横列を順次選択する同じ処理を受信段階の間に実現することがあり、この際に反射された超音波波形がトランスジューサ22により受信されると共にトランスジューサ22は縦列バス24を介して受信回路38に引き渡される対応する電圧信号を発生させる。エイリアシングを回避するためには、トランスジューサ22のサンプリング速度は、受信した超音波波形の周波数の2倍を超えることがある。したがって5メガヘルツの超音波波形では、トランスジューサ22のサンプリング速度は概ね10メガサンプル毎秒(MSPS)を超えることがある。したがって100横列のトランスジューサアレイ20では、横列選択回路の切り替え周波数は概ね1ギガサンプル毎秒(GSPS)となる。さらに、トランスジューサの各縦列が同じADC42を共有しているため、ADC42のサンプル速度も概ね1GSPSであることになる。
【0026】
図5は、本発明の態様による大型2次元トランスジューサアレイの代替的な実施形態を表した図である。図5に示した実施形態では、アレイ20内の各トランスジューサ22は専用の送信パルス発生器36と関連付けされている。縦列バス24から送信信号を収集するのではなく、各専用のパルス発生器36が関連する制御ロジック30からの駆動信号に応答して関連するトランスジューサ22に出力電圧波形を提供する。制御ロジック30は、広域制御線23を通じて制御ロジック30と通信可能に結合させ得る送信同期回路27からの同期信号に応答してフル出力波形を発生させるようにプログラムされることがある。この実施形態では、送信同期回路27からの同期信号が制御ロジック30を同時にトリガし、トランスジューサ22に対して出力波形を同時に送信させることがある。さらに、制御ロジック30及び/またはパルス発生器36を各駆動ユニット向けにカスタマイズすることによって、各トランスジューサ22の波形をより個別化させることがある。
【0027】
代替的な実施形態ではその送信同期回路27を排除することがある。この実施形態では、出力超音波波形の開始は、横列選択回路28により横列バス25を通じて制御ロジック30に同期信号を送出することによって統制されることになる。図示した実施形態の場合と同様に、同期信号はすべての横列に対して、順次式に、あるいは実質的に同時刻に送られることがある。次いで制御ロジック30は、出力波形を発生させるようにパルス発生器36を駆動させるルーチンを開始することがある。
【0028】
各トランスジューサ22の出力は、縦列バス24に結合され、出力信号をトランスジューサ22から受信回路38までルート設定することがある。さらに、各トランスジューサ22はトランスジューサ22に出入りする信号のルート設定を制御するT/Rスイッチ34を通じて、かつ/またはトランスジューサ横列の選択を制御するスイッチ26を通じて縦列バス24に結合させることがある。制御ロジック30は、パルス発生器36の駆動以外にT/Rスイッチ34も制御することがある。例えば送信段階の間に、制御ロジック30はT/Rスイッチに対してトランスジューサ22をパルス発生器36の出力に結合させる信号を送出することがある。送信リソースは共通でないため、送信段階の間にさらにトランスジューサ34の全部がそれぞれのパルス発生器36に同時に結合されることがある。受信段階の間に、制御ロジック30はT/Rスイッチ34に対してトランスジューサ22を縦列バス24に結合させる信号を送出することがある。T/Rスイッチ34の起動速度に応じて、代わりに低電圧MOSFET横列選択スイッチが使用されることがある。受信段階の間に、一度にトランスジューサ22の横列の1つだけを縦列バス24に結合させることがある。したがって横列選択回路28は、反射された超音波波形を受信している間に一度に1つの横列の割でトランスジューサ22を縦列バス24に順次結合させることがある。図3に関連して上述したように、トランスジューサ22の出力は増幅器40及びADC42を含むことがある受信回路38に送られることがある。
【0029】
図2及び5に示すように、受信回路38は幾つかの実施形態では、各縦列バス24において共通とすることになり、また受信回路38は縦列バス24に結合されたトランスジューサ22によって共有されることになる。したがって上述したように、受信回路38のサンプリング速度は、トランスジューサ22のサンプリング速度にトランスジューサアレイ20内の横列数を乗算した値となることがある。トランスジューサのサンプリング速度が10MSPSでありかつトランスジューサ22の横列が100であると仮定すると、ADC42のサンプリング速度は概ね1GSPSとなることがある。さらに、データ収集回路32が受け取ったデータは幾つかの横列にわたってインターレース(interlaced)させることがある。しかし別の実施形態では、処理速度を低下させたADC42の利用を可能にさせかつ受け取ったサンプルデータに対してある種の前処理を提供するように受信回路38を配列させることがある。例えば、図6及び7に示した受信回路38は、トランスジューサアレイ20から受信するに従ってサンプルデータを一時的にアナログメモリデバイス内に保存できるような受信回路38の代替的な実施形態を表している。この方法では、ADC(複数のこともある)の処理速度を低減させることができ、かつ/またはそのデータをデータ収集回路32に送る前に前処理することができる(これについては、以下でさらに説明することにする)。
【0030】
図6は、本発明の態様による受信回路38の代替的な実施形態を表している。図6に示すように、受信回路38は、サンプルアンドホールド(S/H)増幅器76やADC42などのアナログ記憶デバイスからなるアレイ74を含むことがある。幾つかの実施形態ではそのアナログ記憶デバイスは、アナログランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことがある。アレイ74は、トランスジューサアレイ20内の各トランスジューサ22ごとに1つのS/H増幅器76と1つのADC42からなる対形成を含むことがある。このためにS/Hアレイ74は、トランスジューサアレイ20のそれぞれの横列及び縦列に符合して横列と縦列の形で配列されることがある。各S/H増幅器76は、縦列バス24を介してトランスジューサアレイ20のトランスジューサ22のうちの1つから反射された波形データを受け取ることがある。例えば、アレイ74の縦列1にあるS/H増幅器76はトランスジューサアレイ20の縦列1内のトランスジューサ22からデータを受け取っており、アレイ74の縦列2内のS/H増幅器76はトランスジューサアレイ20の縦列2内のトランスジューサ22からデータを受け取っており、以下同様となっている。S/H増幅器76は、適当な任意の手段によってこれらのそれぞれの縦列バス24に結合されることがある。例えば縦列バス24は、ある特定の縦列のS/H増幅器76内に多重化されることがある。別の例ではその縦列バス24は、電荷結合素子(CCD)などのパイプラインに供給されることがある。さらに別の例では、ある特定の縦列のS/H増幅器76が直列に配列されると共にシフトレジスタを介して結合されることがあり、また縦列バス24はシフトレジスタ縦列の入力に結合されることがある。
【0031】
受信段階の間に、トランスジューサアレイ20の縦列バス24はトランスジューサアレイ20内のトランスジューサ22のある特定の横列に結合されており、また受け取ったデータサンプルはS/H増幅器76の対応する横列内に保存される。S/H増幅器76の横列が新たにデータサンプルを収集した後、アナログデータをディジタル信号に変換するために各S/H増幅器76はそのデータサンプルを関連するADC42に送出する。ディジタル化したサンプルは次いで、データ線44を介してデータ収集回路32に送られる。上述の処理は、横列単位で順次実施される。トランスジューサアレイ20内の各トランスジューサ22ごとにS/Hアレイ74からデータ収集回路32まで1つのデータ線44を存在させることがあることを理解されたい。さらに、各S/H増幅器76が単独の1つのADC42と対になっているため、ADC42の処理速度はトランスジューサ22のサンプル速度に等しいことがある。例えば、トランスジューサのサンプリング速度が10MSPSであると仮定すると、トランスジューサ22の横列数と無関係にADC42の処理速度も概ね10MSPSとなることがある。
【0032】
図7は、本発明の態様による受信回路38の別の実施形態を表している。図6に示した実施形態と同様に、図7に示した実施形態もトランスジューサアレイ20のそれぞれの横列及び縦列に符合して横列と縦列の形で配列されたサンプルアンドホールド(S/H)増幅器76からなるアレイ74を含むことがあり、また各S/H増幅器76は縦列バス24を介してトランスジューサアレイ20のトランスジューサ22のうちの1つから反射された波形データを受け取ることがある。しかし図7に示した実施形態では、S/H増幅器76の各横列は1つのADC42と対になっている。
【0033】
この実施形態では、トランスジューサ76の横列がデータサンプルを受信した後、S/H増幅器76の横列がADC42に順次読み出される。S/H増幅器76の各横列は適当な任意の手段によってそれぞれのADC42に結合されることがある。例えばS/H増幅器76の横列はADC42内に多重化されることがある。別の例ではS/H増幅器76の横列によってCCDパイプラインなどのパイプラインが形成されることがある。さらに別の例ではS/H増幅器76の横列が直列に配列されると共にシフトレジスタを介して一体に結合されることがある。この方法では、S/H増幅器アレイ74からデータ収集回路32へのデータ線44の数を低減させることができる。さらに、この方法で収集されるサンプルデータがデータ収集回路に送られる前にインターレースの縦列からインターレースの横列に配列し直されることがあることも理解されたい。
【0034】
図8は、本発明の態様による受信回路38のさらに別の実施形態を表している。本明細書に示した実施形態では、トランスジューサアレイ20の各縦列バス24は、トランスジューサアレイ20内の各トランスジューサ22ごとに1つのアナログRAM82を含むアナログRAMバンク80に結合されている。各RAM82は、トランスジューサアレイ20内の対応するトランスジューサ22により受け取った反射波形データを保存するように構成させた一連の連続メモリアドレスを含む。受信段階の間にトランスジューサアレイ20の横列が横列選択回路28によって順次起動されるに連れて、トランスジューサ22からのデータが対応するRAM82にセーブされることがある。したがって各RAMバンク80は、トランスジューサアレイ20内の各横列をRAMバンク80内の対応するRAM82に結合させるための回路を含むことがある。例えば幾つかの実施形態ではそのRAMバンク80は、縦列バス24を適当なRAM82に順次結合させる多重化回路を含むと共に、横列選択回路28によるトランスジューサアレイ20の横列の起動と協調させることがある。幾つかの実施形態ではRAMバンク82の多重化回路は、その一部が横列選択回路28によって制御されることがある。反射波形の受信が完了した後、各トランスジューサ22ごとの反射波形は個々のRAM82内にセーブされることになる。次いでこの波形はRAM82から読み出され、データ収集回路32に送られる(これについては以下で記載することにする)。
【0035】
幾つかの実施形態ではその受信回路38は、アナログRAMバンク80から読み出されるに従って一度に1つの横列の割合で反射波形を足し合わせる加算器86を含むことがある。例えばRAMバンク80は、RAMバンク80の単一の横列内にある各RAM82の第1のメモリアドレスを読み出し、次いでRAMバンク80の同じ横列内の各RAM82の第2のメモリアドレスを読み出し、以下RAM82の当該横列内のデータの全体組が読み出されて足し合わされ終わるまで同様とすることがある。データが足し合わされるに従って、加算器86の出力はADC42に送られ、このADC42によってデータがディジタル化されてそのデータがデータ収集回路32に送出される。データ収集回路32に送られるデータはしたがって、トランスジューサ22の1つの横列全体を表す合成波形になる。各横列は、各アナログRAMバンク80からデータをすべて読み出し終わるまで連続して足し合わされる。図8を参照しながら記載する技法によれば、出力データの処理がフル反射波形の受信後に実施されることがあり、したがってトランスジューサ22のサンプル速度に依存しないため、ADC42のサンプル速度を低減させることが可能である。さらに各縦列の出力を総和信号とするように合成することによれば、使用するADC42が1つだけになる共に、データ収集回路32は反射データを受け取るための入力を1つ含むだけである。これによって受信回路38及びデータ収集回路32のコスト及び複雑性を軽減させることができる。
【0036】
図8に示した受信回路38の別の利点は、超音波ビームをある特定の方向に目標設定できるようにする処理、すなわちある特定の方向で超音波デバイス10の感度を増大させることができる処理であるビーム形成を実現するためにもこれを使用できることである。こうしたビーム形成を達成するためには、2つ以上の反射波形を同位相となるようにシフト(すなわち、時間シフト)させて互いに加算して、ある特定の方向から反射された波を表す合成波形を生成することができる。図8の受信回路38では、各RAM82内に保存されたデータを1つまたは複数のメモリアドレス全体にわたってシフトさせることによってデータに対して時間遅延を導入することがある。この方法では、データをRAM82から順々に読み出すときに、このデータのシフトが、他の波形と比較してある時間遅延をもたせてデータを加算器に送らせることになる。したがって、データシフトにより導入される時間遅延はトランスジューサ22のサンプル速度並びにデータをシフトさせるメモリアドレスの番号に依存することになる。
【0037】
一実施形態ではそのデータシフトは、ポインタ84によって示したように開始メモリアドレスを設定することによって達成される。ポインタ84は、アナログRAM82内において反射波形の第1のデータサンプルが保存されている箇所を決定している。したがってアナログRAM82は、フル反射波形と最大時間遅延を足したものを保持するだけの十分なメモリを含むことがある。トランスジューサ22からの出力データをすべてアナログRAM82に保存し終えた後には、所望の遅延が実現されていることになる。反射波形データを引き続いて各RAM82から読み出す際には、各RAM82の第1のメモリアドレスで読み出しを開始させることになる。
【0038】
本発明の技術的効果は、超音波の発生及び/または反射した超音波の受信を行うようにトランスジューサアレイ内の1つまたは複数のトランスジューサがアドレス指定されることを含んでおり、この際にそのトランスジューサは共通の電気相互接続に結合されることである。別の技術的効果は、アナログ対ディジタル変換器及びデータ収集回路に関する処理速度の低減を可能とさせるような受け取った超音波データに対する前処理を含む。
【0039】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の実施を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0040】
10 超音波デバイス
12 患者
14 モニタ
16 ケーブル
18 ハウジング
20 トランスジューサアレイ
22 トランスジューサ
23 制御線
24 縦列バス
25 横列バス
26 スイッチ
27 送信同期回路
28 横列選択回路
30 制御ロジック
32 データ収集回路
34 送信/受信スイッチ
36 パルス発生器
37 送信回路
38 受信回路
40 増幅器
42 ADC
44 データ線
46 グラフ
48 縦列バス出力
50 トレース
52 トレース
54 切り替え間隔
56 出力周期
58 サイクルタイム
59 横列起動間隔
60 グラフ
62 トレース
64 トレース
66 立ち上がり時間
74 アナログ記憶デバイスのアレイ
76 サンプルアンドホールド増幅器
80 RAMバンク
82 RAM
84 ポインタ
86 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横列と縦列の形で配列させた複数のトランスジューサ(22)を含む2次元トランスジューサアレイ(20)と、
前記トランスジューサ(22)と電気的に結合させた、その各々が単一縦列のトランスジューサ(22)をそれぞれの送信回路(37)及びそれぞれの受信回路(38)に伝送可能に結合させている複数の縦列バス(24)であって、該送信回路(37)は出力超音波を生成するようにトランスジューサ(22)を駆動するための出力電圧信号を発生させるように構成されており、該受信回路(38)は反射超音波に応答してトランスジューサ(22)が発生させた入力電圧信号を受信するように構成されている複数の縦列バス(24)と、
その各々がトランスジューサ(22)のうちの1つとそれぞれの縦列バス(24)との間に直列に結合されている複数のスイッチ(26)と、
前記スイッチ(26)と電気的に結合させた複数の横列バス(25)であって、その各々は、トランスジューサ(22)の横列のうちの1つまたは幾つかそのそれぞれの縦列バス(24)に選択的に結合させるように構成された横列選択回路(28)に対して単一の横列内のスイッチ(26)を電気に結合させている複数の横列バス(25)と、
を備える超音波撮像デバイス(10)。
【請求項2】
前記送信回路(37)は、事前定義の複数の電圧レベルを出力するように構成されたパルス発生器(36)を備える、請求項1に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項3】
前記スイッチ(26)はマイクロ電子機械システムスイッチである、請求項1に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項4】
前記受信回路(38)は各縦列バス(24)ごとに1つのアナログ対ディジタル変換器(42)を備える、請求項1に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項5】
前記受信回路(38)は、その各々が対応するトランスジューサ(22)に結合可能であると共に該対応するトランスジューサ(22)が発生させた入力電圧信号のデータサンプルを保存するように構成されている複数のアナログ記憶デバイスを備える、請求項1に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項6】
前記受信回路(38)は、その各々が対応するトランスジューサ(22)に結合可能であると共に該対応するトランスジューサ(22)が発生させた入力電圧信号に符合した複数のデータサンプルを保存するように構成された複数のメモリ素子(82)を含んでいる複数のアナログ記憶デバイスを備える、請求項1に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項7】
前記受信回路(38)は、
アナログ記憶デバイスに結合されておりかつ1つまたは複数の合成波形を発生させるためにアナログ記憶デバイスからのデータサンプルを足し合わせるように構成されている加算器(86)と、
前記加算器(86)の出力に結合されておりかつ該足し合わせたデータをディジタル信号に変換するように構成されているアナログ対ディジタル変換器(42)と、
を備える、請求項6に記載の超音波撮像デバイス(10)。
【請求項8】
超音波撮像デバイス(10)を動作させる方法であって、
信号バスに選択的に結合可能な複数の超音波トランスジューサ(22)によって反射超音波波形を受信すると共に該反射超音波波形に符合して受信電圧波形を発生させる工程と、
受信電圧波形を発生させる間に複数の超音波トランスジューサ(22)の各々を信号バスに順次結合させる工程と、
を含む方法。
【請求項9】
複数の出力電圧波形を発生させると共に該複数の出力電圧波形のうちの各1つを複数の超音波トランスジューサ(22)のうちの1つに送出する工程をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つの出力電圧波形を発生させると共に該出力電圧波形を複数の超音波トランスジューサ(22)に選択的に結合可能な信号バスに送出する工程と、
出力電圧波形を発生させる間に複数の超音波トランスジューサ(22)の各々を信号バスに順次結合させる工程と、
を含む請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−142639(P2010−142639A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284636(P2009−284636)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】