2次元(多次元)分離概念が例として適用された2次元(多次元)分離ガスクロマトグラフィーx質量分析(GCxMS)技術のための新規のデータ処理/視覚化の方法
本発明は、任意の多次元分離に適用されるソフトウェア発展形態および動作を含むデータ処理/視覚化の方法である。ディーゼルのGC−MS分析を例にとって、このソフトウェアの発展形態および動作を実証する。本方法の工程は、(1)GC−MS試験から得られた総イオンクロマトグラムを表示する工程と、(2)各々の質量スペクトル対保持時間を表示する工程と、(3)相対極性を表示するために参照化合物ファミリーとしてノルマルパラフィンファミリーを選択する工程と、(4)全ての質量スライスをそれぞれ変換し、ノルマルパラフィン化合物ファミリーを同じ相対保持時間(位置)で揃える工程と、(5)2次元(多次元)のデータを最も効果的に表示するために軸を回転させる工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元分離のデータ処理および視覚化のための方法である。ガスクロマトグラフィー/質量分析システムからのクロマトグラムを代表的な例として使用し、データの処理および視覚化のための方法を実証した。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた(結合された)技術(GC−MS)は、長年にわたり、未知成分の分離/同定を行うための強力な技術となっている。この結合技術では、GCで分離を行い、分離された成分をMSで同定する。石油ストリーム等の複雑な混合物の場合、従来のGCに類似した前記技術では、GC分離において成分の共溶出現象がかなり発生し、これに起因して多くの質量スペクトルが混在しMS解釈が難しくなる、という問題が依然として存在する。
【0003】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。この新規のデータ処理/視覚化の方法では、ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた前記技術により、複雑な混合物の分離を大幅に改善する。複雑な混合物の分析において従来のGC分離で発生していた共溶出の問題を大幅に解消することができる。
【0004】
2次元(多次元)分離は、導入されて10年近くになる。この2次元(多次元)分離の概念を実行する分離技術の開発は、そのほとんどがクロマトグラフタイプの開発に集中している。しかしながら、多次元クロマトグラフ分離を、他のタイプの分離技術にも拡大することができる。その他の分離技術としては、質量分析法(MS)による質量分離、紫外(UV)と可視(VIS)と赤外(IR)分光計とによる波長/内部原子/分子運動分離、および熱重量分析(TGA)技術による熱分離等があり、これらは全て異なる分離機構を使用している。これらのどの技術とハイフンで結んだ場合も、2次元(多次元)分離の達成が可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、任意の多次元分離に適用されるソフトウェア発展形態および動作を含むデータ処理/視覚化の方法である。「クロマトグラフ」タイプの分離には、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等がある。「非クロマトグラフ」タイプの分離には、紫外および可視分光(UV−Vis)、赤外分光(IR)、原子吸光および発光分光(AAおよびAES)、質量分析(MS)、および核磁気共鳴分光(NMR)等がある。少なくとも1次元「非クロマトグラフ」タイプの分離を使用した2次元分離は、「クロマトグラフ」タイプと「非クロマトグラフ」タイプとの任意の組み合わせ、即ち「クロマトグラフ」と「非クロマトグラフ」の両タイプの組み合わせとすることが可能である。例えば、GC−MS、LC−UV、SFC−UV、LC−IR、GC−IR、LC−NMR等が挙げられる。ディーゼルのGC−MS分析が、このソフトウェア発展形態および動作を実証するための一例である。この例の方法の工程は、(1)GC−MS試験から得られた総イオンクロマトグラムを決定する工程と、(2)各々の質量スペクトル対保持時間を決定する工程と、(3)相対極性を決定するために参照化合物ファミリーとしてノルマルパラフィンファミリーを選択する工程と、(4)全ての質量スライスをそれぞれ変換し、ノルマルパラフィン化合物ファミリーを同じ相対保持時間(位置)で揃える工程と、(5)2次元(多次元)のデータを最も効果的に表示するために軸を回転させる工程とを含む。
【0006】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。GCxMSの直接の利点は、従来のGC−MS操作と変わらないことである。ソフトウェアの機能拡張だけを実施して、データ処理/視覚化を向上させる。次に一例を挙げる。ハイフンで結ばれたGC−MS技術(極性キャピラリカラムを含むGC(極性分離を達成可能である)、および非フラグメンテーションイオン化方法を含むMS(沸点分離のための質量分離が可能である(質量の上昇は沸点の上昇とほぼ等価)))を用いて操作して、石油ストリーム等の複雑な混合物を分析する場合、本新規のデータ処理/視覚化の方法を使用して2次元(多次元)分離が達成され得る。
【0007】
データ処理/視覚化の改良形態では、分子量/質量に基づく沸点タイプの分離と、分子極性に基づく分子クラスの分離とを示すことができる。厳密な質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで、特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析におけるGCxMSは、一回の試験で広範囲の情報を生成することができる技術である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、任意の2次元(多次元)の「クロマトグラフ」または「非クロマトグラフ」タイプの分離システムから得られた2次元(多次元)データを処理して表示するための方法である。本発明は、各分離技術から分離次元を適切に決定する工程と、化合物のクラスまたはファミリーを参照する工程と、分離されたその他の各化合物をそれぞれ異なる分離次元に変換して、参照化合物クラスまたはファミリーに揃える工程と、分離次元の軸を再配置して、2次元(多次元)の分離結果を最も効果的に表示する工程とを含む。
【0009】
上記したように、多次元クロマトグラフ分離を、他のタイプの分離技術にも拡大することができる。その他の分離技術としては、質量分析法(MS)による質量分離、紫外(UV)と可視(VIS)と赤外(IR)分光計とによる波長/内部原子/分子運動分離、および熱重量分析(TGA)技術による熱分離等があり、これらは全て異なる分離機構を使用している。これらのどの技術とハイフンで結んだ場合も、2次元(多次元)分離の達成が可能である。
【0010】
分離次元については、以下のように定義することができる。
ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等を含む「クロマトグラフ」タイプの分離技術の場合、分離次元は、保持時間(分)、または保持時間に関連する単位/保持時間から逸脱した単位(例えば、GCでは温度、LCでは分子溶解度、SECでは分子量)で定義される。
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む種々の分光/波長タイプの分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は、波長(ナノメートル(nm)、オングストローム(Å)、または波数(cm−1)等の長さの単位)、または波長に関連する単位/波長から逸脱した単位(エネルギー単位、電子ボルト(eV)等)として定義され得る。
質量分析を含む質量分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は、質量若しくは分子量(Mw)、または質量若しくは分子量に関連する単位/質量若しくは分子量から逸脱した単位(例えば、摂氏(C)または華氏(F)、沸点等の温度単位)として定義され得る。
熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、発生気体分析(EVA)、および熱分解(Py)を含む熱分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は温度単位(摂氏(C)または華氏(F))として定義され得る。
【0011】
参照化合物クラスまたはファミリーは、2次元(多次元)分離の目的、および分離から取得される所望の情報によって決まる。化合物クラスおよびファミリーについては、以下のように定義することができる。
GC、LC、SFC、SEC等を含む「クロマトグラフ」タイプの分離技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、極性が類似、またはクロマトグラフ分離技術で基準となるその他の物理特性が類似している。実例としては、ノルマルパラフィンファミリー、直鎖アルキルベンゼンファミリー、直鎖アルキルナフタレンファミリー、または飽和直鎖状脂肪酸ファミリー等が挙げられる。
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)、および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む種々の分光/波長タイプの分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、吸光されるエネルギーが類似、または分光分離技術で基準となる、その他の原子および分子内/間のエネルギー準位の遷移が類似している。実例として、α−オレフィンファミリーのように同じ官能基を有する分子ファミリー、直鎖状アルコールファミリー、同じ環位置で置換された1環芳香族ファミリー、または水素結合を有する化合物ファミリー等が挙げられる。
質量分析を含む質量分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、質量分析分離技術で基準となる、分子構造が類似、前記構造内の官能基が類似している。実例としては、パラフィンファミリー、オレフィンファミリー、1環芳香族ファミリー、またはジベンゾチオフェンファミリー等が挙げられる。
熱重量分析(TGA)、DSC、発生気体分析(EVA)、および熱分解(Py)を含む熱分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーでは、熱分離技術で基準となる、分子構造が類似、前記構造内の特定の官能基が類似している。実例としては、パラフィンファミリー、ナフテンファミリー、3環芳香族ファミリー、またはインドールファミリー等が挙げられる。
【0012】
ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた技術(GC−MS)は、長年にわたり、未知成分の分離/同定を行うための強力な技術となっている。この結合技術では、GCで分離を行い、分離された成分をMSで同定する。石油等の複雑な混合物の場合、従来のGCに類似した前記技術では、GC分離において成分の共溶出現象がかなり発生し、これに起因して多くの質量スペクトルが混在しMS解釈が難しくなる、という問題が依然として存在する。
【0013】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。GCxMSの直接の利点は、従来のGC−MS操作と変わらないことである。ソフトウェアの機能拡張だけを実施して、データ処理/視覚化を向上させる。次に一例を挙げる。ハイフンで結ばれたGC−MS技術(極性キャピラリカラムを含むGC(は極性分離を達成可能である)および非フラグメンテーションイオン化方法を含むMS(は沸点分離のための質量分離が可能である(質量の上昇は沸点の上昇とほぼ等価)))を用いて操作して、石油ストリーム等の複雑な混合物を分析する場合、本新規のデータ処理/視覚化の方法を使用して2次元(多次元)分離が達成され得る。
【0014】
データ処理/視覚化の改良形態では、分子量/質量に基づく沸点タイプの分離と、分子極性に基づく分子クラスの分離とを示すことができる。厳密な質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで、特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析におけるGCxMSは、一回の試験で広範囲の情報を生成することができる技術である。
【実施例】
【0015】
この新規のデータ処理/視覚化の方法を実証するためにGCxMSの試験を実施した。ここでは、この強力なデータ処理/視覚化の方法の独自性および利点を示すために図が示される。
【0016】
試験条件
使用するGCシステムは、インレットおよびカラムで構成されたアジレント(Agilent)6890ガスクロマトグラフである。検出器は質量分析計である。使用するGCカラムは、中極性カラム(BPX−50、30メートル、内径0.25mm、0.25μmフィルム)である。このカラムは、主に、極性によって石油分子を分離する。
【0017】
スプリット/スプリットネス(S/S)インジェクタを介して、約1.0μLの試料を注入した(オーブン温度60℃で45p.s.i.の定圧モード、スプリット比は300℃で50:1)。オーブンについては、60℃(維持時間0分)を起点として分あたり5℃の割合で360℃まで上昇させ360℃の状態を20分間維持し、総実行時間が80分となるようにプログラムした。
【0018】
GC後、飛行時間型(TOF)質量分析計(ウォーターズ社(米国、マサチューセッツ州、ミルフォード)製のマクロマス(MacroMass)GCT)を使用して質量分析を実行した。概略を述べると、GC−TOFインターフェースの温度を350℃に維持した。GCから溶出したディーゼル分子を、フィールドイオン化(FI)を使用してイオン化した。フィールドエミッタ(CarboTech, Gesellschaft fuer instrumentelle Analytik mbH、独国)は、10μmのタングステン線で構成されていて、このタングステン線には炭素微極針が成長させてある。FIエミッタは、流出分子が炭素樹状突起の先端付近を通過するようにGCキャピラリカラムの端部と慎重に位置合わせされている。エミッタ(接地電圧)は、高電位(−12kV)に保持された一対の抽出ロッドから約1.5mm離れた位置にあり、炭素樹状突起の先端部周囲に非常に高レベルの電界(約10−7〜10−8V/cm)を生成する。このような電界の影響下では量子トンネル効果によって分子から電子を除去し最低限のフラグメンテーションでラジカル分子イオンを生成することができると一般的には考えられている。スキャン中のFIエミッタ電流は、通常どおり、0mAに設定した。スキャン間のサイクル(0.2秒)中に12mAの電流でエミッタをフラッシュして、エミッタを再生させた。
【0019】
FIによって生成されたイオンを加速し、TOFのプッシャー領域に集中させた。960Vの電圧パルスを引加すると、イオンが元々のイオン経路に直交して射出される。1.2メートルの効果的な経路長を有するTOFの中をイオンパケットが移動する。リフレクトロンは、イオンをデュアルマイクロチャネルプレート検出器に反射する。イオンの到達が、時間/デジタル変換器(TDC)を使用して、3.6GHzのサンプリングレートで記録される。30kHzの周波数で電圧パルスを引加した。33μSごとに完全なスペクトルが生成された。質量範囲は、通常どおり、50〜800ダルトンに設定した。スキャン継続時間つまりスペクトルの蓄積時間は1秒とした(即ち、各々の「スキャン」は30000スペクトルの蓄積である)。
【0020】
FIでは、ほとんどの場合、単一の分子イオンが生成されるので、化合物の混合物(一般にハロゲン化炭化水素)を使用して50〜800ダルトンの広い質量範囲を検量した。代表的な検量用の混合物は、ヘプタコサペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ペンタフルオロヨードベンゼン、ペンタフルオロクロロベンゼン、ペルフルオロトリメチルシクロヘキサン、キシレンおよびアセトンを含有する。バッチインレットを介してイオン源にキャリブラントを導入し、検量後、キャリブラントを送出した。試料分析中、正確な質量測定を行うための内部参照として単一のロック化合物を導入した。本発明者らの試験では、ペンタフルオロヨードベンゼン(モノアイソトピック質量が293.896ダルトン)を内部参照として使用した。
【0021】
データ処理/視覚化の方法の発展形態
図1は、イオン化機構としてフィールドイオン化(FI)を使用した代表的なGC−MS総イオンクロマトグラムである。X軸は保持時間またはスキャン数であり、Y軸は総イオン電流(TIC)である。TIC内のピークが対象である場合は、そのピークに対応するMSスキャンを起動して試験することで、その特定の成分の化学構造を同定できる。この状況では、GCは分離装置として使用され、MSは同定装置として使用される。GCとMSとをハイフンで結ぶことにより(GC−MS)、分離された成分の同定を行うためのGC−FIDよりはるかに強力な計測手段が提供される。
【0022】
図1の各々のデータポイントは、1ポイント(TIC)を表したものではなく、MSスキャンを表しているので、Y軸で全体の質量スペクトルを表示することができる。ここで、Y軸は質量軸となり、Z軸はイオン強度軸である。このように、GC−MSクロマトグラムを、2次元表示から3次元表示に切り替えることができる。図2は、全ての質量スペクトルが、Y−Z平面にプロットされ、X軸に沿ってスタガード配置されたGC−MSの3次元クロマトグラムを示している。図2は、図1と同じ試料に関する3次元クロマトグラムである。図2では、元々の混合物に含まれる各成分がピークを示している。
【0023】
GC−MSクロマトグラムで2次元分離を表示し化合物クラスに関する情報を提供するためには、表示を操作してGC−MSをGCxMSに変更する必要がある。この変換中に、考慮すべき点は質量軸である。一般に親質量が大きくなればなるほど分子の沸点も高くなる。従って、質量軸は沸点軸とほぼ等価であるとみなすことができる。他にもう1つ考慮すべき点として保持時間軸がある。この保持時間軸は相対極性スケールであり、同じ質量を持つ各成分の極性分離を表すものである。この試験において、保持時間軸は、パラフィン(またはノルマルパラフィン)を参照する相対極性スケールとしてみなされ得る。図2の保持時間軸では、相対極性がノルマルパラフィンを基準とする(またはノルマルパラフィンの位置に沿って揃えられる)ように、各極性スライスを回転することができる。図3は、図2から図4への変換に関係するグラフ図である。図12は、図3のグラフ図に対するアルゴリズムのフローチャートである。
【0024】
この変換後、質量軸はX軸として再度割り当てられ、Y軸は相対極性軸となり、図2は図4に変換される。図4では、化合物のクラスがその2次元パターンに基づいて同定される。従って、MSを備えるGC−MSをソフトなイオン化モード(FI)で操作する場合、従来のGC−MSによる混合物の分離/同定を、2次元分離(GCxMS)として適切に視覚化することができる。
【0025】
GCxMSによる3次元視覚化は、化合物クラスの明確な分離を実現する。ただし、この新規の視覚化では、各々の化合物系列をその親質量によって追跡可能であることから、化合物の割り当て/同定を容易に行うこともできる。図5は、当該ディーゼル混合物の飽和化合物クラスの部分を示していて、各々の化合物グループの詳細な異性体分布をクロマトグラムに示している。パラフィン、1環飽和環式化合物、および2環飽和環式化合物が、質量によって割り当て可能である。共溶出現象または妨害発生の懸念なく、それらの親質量に基づいた明確な分離が行われる。
【0026】
図6は、当該ディーゼル混合物の1環芳香族の部分を示す。この化合物クラスに属する炭素系列の主に3つの化合物グループが同定されている。図7および図8は、当該ディーゼル混合物の2環および3環芳香族の部分を示す。この2つの部分には、非常に存在率の高い化合物グループも割り当てられている。
【0027】
検討
この新規のデータ処理/視覚化の方法は、GC−MSデータを処理するための新規の方法を提供する。この方法の最も有用な利点は、分離された化合物クラスを視覚化することである。加えて、分布または相対強度を強調して、より直観的な方法でデータを表示することができる。図9は、相対強度が強調されるように、当該ディーゼル試料の飽和部分の3次元クロマトグラムを表示する方法である。
【0028】
化合物クラスの分離に加えて、各化合物クラス内の化合物グループを分離することが、石油分離における別の課題である。しかしながら、GCxMSは、詳細な化合物グループ分離データの提供に非常に優れた能力を発揮する。例えば、飽和クラスでは、1環飽和環式化合物からパラフィンを分離することができる。2環および3環芳香族の部分では、別の例を見出すことができる。様々な化合物グループがそれらの親質量に基づいて十分に分離され得る。
【0029】
GC−MSはFIモードで動作するので、1回の実験で全ての化合物の親質量を得ることが可能である。高分解能の質量演算は、各々の質量が一意的な分子式を表すことを意味している。この特有の特徴は、複雑な混合物内の元素固有の化合物分布を調べる際に、強力な手段となる。GC−MSでは、データから特定の質量または質量グループを抽出し、個別のクロマトグラムを作成することが可能である。この操作は、従来のGC−MSデータ分析におけるシグナルイオンモニタリングに類似しているが、これを更に発展させたものである。元々のGCxMSクロマトグラムから、硫黄含有化合物のクロマトグラム(例えば、ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)および窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を抽出して、元素固有のクロマトグラムを個別に作成することができる。
【0030】
図10は硫黄含有化合物のクロマトグラム(ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)を示し、図11は窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を示す。この厳密な質量抽出プロセス中には、炭化水素類似体の質量が類似していることに起因した障害が存在する。しかしながら、化合物クラス、相対極性、および適切なアイソトープを慎重に調べた後で、障害の大部分は容易に解消することができる。
【0031】
GCxMSの定量分析は、GC−MSと同じ課題に直面している。親イオン生成の応答性は普遍的なものではないので、親イオン強度を使用して、直接、定量分析を実行することは現実的でない。相対反応因子の生成は、単なる化合物の検量に依存するか、FIDのような、より普遍的な応答性を有する他の検出器との比較に依存する必要がある。
【0032】
この新規のデータ処理/視覚化の方法では、該当するソフトなイオン化機構(FI等)を備えたGC−MSを、2次元分離技術(GCxMS)に変化させることができる。GCxMSの主な利点は、化合物クラスの分離にある。化合物クラス内の化合物グループもそれらの親質量に基づいて十分に分離される。分解能の高い質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析の場合、GCxMSはワン・フォー・オールの技術であり、一回の試験でほとんどの情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】代表的なGC−MS総イオンクロマトグラムであり、MSイオン化機構としてフィールドイオン化が使用されている。
【図2】全ての質量スペクトルがY−Z平面にプロットされ、X軸に沿ってスタガード配置された、GC−MSの3次元クロマトグラムである。
【図3】図2から図4への変換に関係するグラフ図である。
【図4】データ処理/視覚化の方法によって図2から変換されたGCxMSの3次元クロマトグラムである。
【図5】当該ディーゼル混合物の飽和化合物クラスの部分を詳細な異性体分布で示したものである。
【図6】当該ディーゼル混合物の1環芳香族の部分を示す。
【図7】当該ディーゼル混合物の2環芳香族の部分を示す。
【図8】当該ディーゼル混合物の3環芳香族の部分を示す。
【図9】ディーゼル試料の飽和部分の3次元クロマトグラムの他の視覚化であり、相対強度が強調されている。
【図10】硫黄含有化合物のクロマトグラム(ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)を示す。
【図11】窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を示す。
【図12】図3のグラフ図のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元分離のデータ処理および視覚化のための方法である。ガスクロマトグラフィー/質量分析システムからのクロマトグラムを代表的な例として使用し、データの処理および視覚化のための方法を実証した。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた(結合された)技術(GC−MS)は、長年にわたり、未知成分の分離/同定を行うための強力な技術となっている。この結合技術では、GCで分離を行い、分離された成分をMSで同定する。石油ストリーム等の複雑な混合物の場合、従来のGCに類似した前記技術では、GC分離において成分の共溶出現象がかなり発生し、これに起因して多くの質量スペクトルが混在しMS解釈が難しくなる、という問題が依然として存在する。
【0003】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。この新規のデータ処理/視覚化の方法では、ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた前記技術により、複雑な混合物の分離を大幅に改善する。複雑な混合物の分析において従来のGC分離で発生していた共溶出の問題を大幅に解消することができる。
【0004】
2次元(多次元)分離は、導入されて10年近くになる。この2次元(多次元)分離の概念を実行する分離技術の開発は、そのほとんどがクロマトグラフタイプの開発に集中している。しかしながら、多次元クロマトグラフ分離を、他のタイプの分離技術にも拡大することができる。その他の分離技術としては、質量分析法(MS)による質量分離、紫外(UV)と可視(VIS)と赤外(IR)分光計とによる波長/内部原子/分子運動分離、および熱重量分析(TGA)技術による熱分離等があり、これらは全て異なる分離機構を使用している。これらのどの技術とハイフンで結んだ場合も、2次元(多次元)分離の達成が可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、任意の多次元分離に適用されるソフトウェア発展形態および動作を含むデータ処理/視覚化の方法である。「クロマトグラフ」タイプの分離には、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等がある。「非クロマトグラフ」タイプの分離には、紫外および可視分光(UV−Vis)、赤外分光(IR)、原子吸光および発光分光(AAおよびAES)、質量分析(MS)、および核磁気共鳴分光(NMR)等がある。少なくとも1次元「非クロマトグラフ」タイプの分離を使用した2次元分離は、「クロマトグラフ」タイプと「非クロマトグラフ」タイプとの任意の組み合わせ、即ち「クロマトグラフ」と「非クロマトグラフ」の両タイプの組み合わせとすることが可能である。例えば、GC−MS、LC−UV、SFC−UV、LC−IR、GC−IR、LC−NMR等が挙げられる。ディーゼルのGC−MS分析が、このソフトウェア発展形態および動作を実証するための一例である。この例の方法の工程は、(1)GC−MS試験から得られた総イオンクロマトグラムを決定する工程と、(2)各々の質量スペクトル対保持時間を決定する工程と、(3)相対極性を決定するために参照化合物ファミリーとしてノルマルパラフィンファミリーを選択する工程と、(4)全ての質量スライスをそれぞれ変換し、ノルマルパラフィン化合物ファミリーを同じ相対保持時間(位置)で揃える工程と、(5)2次元(多次元)のデータを最も効果的に表示するために軸を回転させる工程とを含む。
【0006】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。GCxMSの直接の利点は、従来のGC−MS操作と変わらないことである。ソフトウェアの機能拡張だけを実施して、データ処理/視覚化を向上させる。次に一例を挙げる。ハイフンで結ばれたGC−MS技術(極性キャピラリカラムを含むGC(極性分離を達成可能である)、および非フラグメンテーションイオン化方法を含むMS(沸点分離のための質量分離が可能である(質量の上昇は沸点の上昇とほぼ等価)))を用いて操作して、石油ストリーム等の複雑な混合物を分析する場合、本新規のデータ処理/視覚化の方法を使用して2次元(多次元)分離が達成され得る。
【0007】
データ処理/視覚化の改良形態では、分子量/質量に基づく沸点タイプの分離と、分子極性に基づく分子クラスの分離とを示すことができる。厳密な質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで、特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析におけるGCxMSは、一回の試験で広範囲の情報を生成することができる技術である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、任意の2次元(多次元)の「クロマトグラフ」または「非クロマトグラフ」タイプの分離システムから得られた2次元(多次元)データを処理して表示するための方法である。本発明は、各分離技術から分離次元を適切に決定する工程と、化合物のクラスまたはファミリーを参照する工程と、分離されたその他の各化合物をそれぞれ異なる分離次元に変換して、参照化合物クラスまたはファミリーに揃える工程と、分離次元の軸を再配置して、2次元(多次元)の分離結果を最も効果的に表示する工程とを含む。
【0009】
上記したように、多次元クロマトグラフ分離を、他のタイプの分離技術にも拡大することができる。その他の分離技術としては、質量分析法(MS)による質量分離、紫外(UV)と可視(VIS)と赤外(IR)分光計とによる波長/内部原子/分子運動分離、および熱重量分析(TGA)技術による熱分離等があり、これらは全て異なる分離機構を使用している。これらのどの技術とハイフンで結んだ場合も、2次元(多次元)分離の達成が可能である。
【0010】
分離次元については、以下のように定義することができる。
ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等を含む「クロマトグラフ」タイプの分離技術の場合、分離次元は、保持時間(分)、または保持時間に関連する単位/保持時間から逸脱した単位(例えば、GCでは温度、LCでは分子溶解度、SECでは分子量)で定義される。
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む種々の分光/波長タイプの分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は、波長(ナノメートル(nm)、オングストローム(Å)、または波数(cm−1)等の長さの単位)、または波長に関連する単位/波長から逸脱した単位(エネルギー単位、電子ボルト(eV)等)として定義され得る。
質量分析を含む質量分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は、質量若しくは分子量(Mw)、または質量若しくは分子量に関連する単位/質量若しくは分子量から逸脱した単位(例えば、摂氏(C)または華氏(F)、沸点等の温度単位)として定義され得る。
熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、発生気体分析(EVA)、および熱分解(Py)を含む熱分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、分離次元は温度単位(摂氏(C)または華氏(F))として定義され得る。
【0011】
参照化合物クラスまたはファミリーは、2次元(多次元)分離の目的、および分離から取得される所望の情報によって決まる。化合物クラスおよびファミリーについては、以下のように定義することができる。
GC、LC、SFC、SEC等を含む「クロマトグラフ」タイプの分離技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、極性が類似、またはクロマトグラフ分離技術で基準となるその他の物理特性が類似している。実例としては、ノルマルパラフィンファミリー、直鎖アルキルベンゼンファミリー、直鎖アルキルナフタレンファミリー、または飽和直鎖状脂肪酸ファミリー等が挙げられる。
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)、および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む種々の分光/波長タイプの分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、吸光されるエネルギーが類似、または分光分離技術で基準となる、その他の原子および分子内/間のエネルギー準位の遷移が類似している。実例として、α−オレフィンファミリーのように同じ官能基を有する分子ファミリー、直鎖状アルコールファミリー、同じ環位置で置換された1環芳香族ファミリー、または水素結合を有する化合物ファミリー等が挙げられる。
質量分析を含む質量分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーは、質量分析分離技術で基準となる、分子構造が類似、前記構造内の官能基が類似している。実例としては、パラフィンファミリー、オレフィンファミリー、1環芳香族ファミリー、またはジベンゾチオフェンファミリー等が挙げられる。
熱重量分析(TGA)、DSC、発生気体分析(EVA)、および熱分解(Py)を含む熱分離技術等の「非クロマトグラフ」タイプの技術の場合、化合物クラスまたはファミリーでは、熱分離技術で基準となる、分子構造が類似、前記構造内の特定の官能基が類似している。実例としては、パラフィンファミリー、ナフテンファミリー、3環芳香族ファミリー、またはインドールファミリー等が挙げられる。
【0012】
ガスクロマトグラフィーと質量分析とがハイフンで結ばれた技術(GC−MS)は、長年にわたり、未知成分の分離/同定を行うための強力な技術となっている。この結合技術では、GCで分離を行い、分離された成分をMSで同定する。石油等の複雑な混合物の場合、従来のGCに類似した前記技術では、GC分離において成分の共溶出現象がかなり発生し、これに起因して多くの質量スペクトルが混在しMS解釈が難しくなる、という問題が依然として存在する。
【0013】
2次元(多次元)分離の概念をGC−MSに適用してデータ処理/視覚化の方法を構築すれば、分離/同定用のツールとしてだけでなく、2次元(多次元)分離装置(GCxMS)としてもGC−MSを使用できる。GCxMSの直接の利点は、従来のGC−MS操作と変わらないことである。ソフトウェアの機能拡張だけを実施して、データ処理/視覚化を向上させる。次に一例を挙げる。ハイフンで結ばれたGC−MS技術(極性キャピラリカラムを含むGC(は極性分離を達成可能である)および非フラグメンテーションイオン化方法を含むMS(は沸点分離のための質量分離が可能である(質量の上昇は沸点の上昇とほぼ等価)))を用いて操作して、石油ストリーム等の複雑な混合物を分析する場合、本新規のデータ処理/視覚化の方法を使用して2次元(多次元)分離が達成され得る。
【0014】
データ処理/視覚化の改良形態では、分子量/質量に基づく沸点タイプの分離と、分子極性に基づく分子クラスの分離とを示すことができる。厳密な質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで、特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析におけるGCxMSは、一回の試験で広範囲の情報を生成することができる技術である。
【実施例】
【0015】
この新規のデータ処理/視覚化の方法を実証するためにGCxMSの試験を実施した。ここでは、この強力なデータ処理/視覚化の方法の独自性および利点を示すために図が示される。
【0016】
試験条件
使用するGCシステムは、インレットおよびカラムで構成されたアジレント(Agilent)6890ガスクロマトグラフである。検出器は質量分析計である。使用するGCカラムは、中極性カラム(BPX−50、30メートル、内径0.25mm、0.25μmフィルム)である。このカラムは、主に、極性によって石油分子を分離する。
【0017】
スプリット/スプリットネス(S/S)インジェクタを介して、約1.0μLの試料を注入した(オーブン温度60℃で45p.s.i.の定圧モード、スプリット比は300℃で50:1)。オーブンについては、60℃(維持時間0分)を起点として分あたり5℃の割合で360℃まで上昇させ360℃の状態を20分間維持し、総実行時間が80分となるようにプログラムした。
【0018】
GC後、飛行時間型(TOF)質量分析計(ウォーターズ社(米国、マサチューセッツ州、ミルフォード)製のマクロマス(MacroMass)GCT)を使用して質量分析を実行した。概略を述べると、GC−TOFインターフェースの温度を350℃に維持した。GCから溶出したディーゼル分子を、フィールドイオン化(FI)を使用してイオン化した。フィールドエミッタ(CarboTech, Gesellschaft fuer instrumentelle Analytik mbH、独国)は、10μmのタングステン線で構成されていて、このタングステン線には炭素微極針が成長させてある。FIエミッタは、流出分子が炭素樹状突起の先端付近を通過するようにGCキャピラリカラムの端部と慎重に位置合わせされている。エミッタ(接地電圧)は、高電位(−12kV)に保持された一対の抽出ロッドから約1.5mm離れた位置にあり、炭素樹状突起の先端部周囲に非常に高レベルの電界(約10−7〜10−8V/cm)を生成する。このような電界の影響下では量子トンネル効果によって分子から電子を除去し最低限のフラグメンテーションでラジカル分子イオンを生成することができると一般的には考えられている。スキャン中のFIエミッタ電流は、通常どおり、0mAに設定した。スキャン間のサイクル(0.2秒)中に12mAの電流でエミッタをフラッシュして、エミッタを再生させた。
【0019】
FIによって生成されたイオンを加速し、TOFのプッシャー領域に集中させた。960Vの電圧パルスを引加すると、イオンが元々のイオン経路に直交して射出される。1.2メートルの効果的な経路長を有するTOFの中をイオンパケットが移動する。リフレクトロンは、イオンをデュアルマイクロチャネルプレート検出器に反射する。イオンの到達が、時間/デジタル変換器(TDC)を使用して、3.6GHzのサンプリングレートで記録される。30kHzの周波数で電圧パルスを引加した。33μSごとに完全なスペクトルが生成された。質量範囲は、通常どおり、50〜800ダルトンに設定した。スキャン継続時間つまりスペクトルの蓄積時間は1秒とした(即ち、各々の「スキャン」は30000スペクトルの蓄積である)。
【0020】
FIでは、ほとんどの場合、単一の分子イオンが生成されるので、化合物の混合物(一般にハロゲン化炭化水素)を使用して50〜800ダルトンの広い質量範囲を検量した。代表的な検量用の混合物は、ヘプタコサペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ペンタフルオロヨードベンゼン、ペンタフルオロクロロベンゼン、ペルフルオロトリメチルシクロヘキサン、キシレンおよびアセトンを含有する。バッチインレットを介してイオン源にキャリブラントを導入し、検量後、キャリブラントを送出した。試料分析中、正確な質量測定を行うための内部参照として単一のロック化合物を導入した。本発明者らの試験では、ペンタフルオロヨードベンゼン(モノアイソトピック質量が293.896ダルトン)を内部参照として使用した。
【0021】
データ処理/視覚化の方法の発展形態
図1は、イオン化機構としてフィールドイオン化(FI)を使用した代表的なGC−MS総イオンクロマトグラムである。X軸は保持時間またはスキャン数であり、Y軸は総イオン電流(TIC)である。TIC内のピークが対象である場合は、そのピークに対応するMSスキャンを起動して試験することで、その特定の成分の化学構造を同定できる。この状況では、GCは分離装置として使用され、MSは同定装置として使用される。GCとMSとをハイフンで結ぶことにより(GC−MS)、分離された成分の同定を行うためのGC−FIDよりはるかに強力な計測手段が提供される。
【0022】
図1の各々のデータポイントは、1ポイント(TIC)を表したものではなく、MSスキャンを表しているので、Y軸で全体の質量スペクトルを表示することができる。ここで、Y軸は質量軸となり、Z軸はイオン強度軸である。このように、GC−MSクロマトグラムを、2次元表示から3次元表示に切り替えることができる。図2は、全ての質量スペクトルが、Y−Z平面にプロットされ、X軸に沿ってスタガード配置されたGC−MSの3次元クロマトグラムを示している。図2は、図1と同じ試料に関する3次元クロマトグラムである。図2では、元々の混合物に含まれる各成分がピークを示している。
【0023】
GC−MSクロマトグラムで2次元分離を表示し化合物クラスに関する情報を提供するためには、表示を操作してGC−MSをGCxMSに変更する必要がある。この変換中に、考慮すべき点は質量軸である。一般に親質量が大きくなればなるほど分子の沸点も高くなる。従って、質量軸は沸点軸とほぼ等価であるとみなすことができる。他にもう1つ考慮すべき点として保持時間軸がある。この保持時間軸は相対極性スケールであり、同じ質量を持つ各成分の極性分離を表すものである。この試験において、保持時間軸は、パラフィン(またはノルマルパラフィン)を参照する相対極性スケールとしてみなされ得る。図2の保持時間軸では、相対極性がノルマルパラフィンを基準とする(またはノルマルパラフィンの位置に沿って揃えられる)ように、各極性スライスを回転することができる。図3は、図2から図4への変換に関係するグラフ図である。図12は、図3のグラフ図に対するアルゴリズムのフローチャートである。
【0024】
この変換後、質量軸はX軸として再度割り当てられ、Y軸は相対極性軸となり、図2は図4に変換される。図4では、化合物のクラスがその2次元パターンに基づいて同定される。従って、MSを備えるGC−MSをソフトなイオン化モード(FI)で操作する場合、従来のGC−MSによる混合物の分離/同定を、2次元分離(GCxMS)として適切に視覚化することができる。
【0025】
GCxMSによる3次元視覚化は、化合物クラスの明確な分離を実現する。ただし、この新規の視覚化では、各々の化合物系列をその親質量によって追跡可能であることから、化合物の割り当て/同定を容易に行うこともできる。図5は、当該ディーゼル混合物の飽和化合物クラスの部分を示していて、各々の化合物グループの詳細な異性体分布をクロマトグラムに示している。パラフィン、1環飽和環式化合物、および2環飽和環式化合物が、質量によって割り当て可能である。共溶出現象または妨害発生の懸念なく、それらの親質量に基づいた明確な分離が行われる。
【0026】
図6は、当該ディーゼル混合物の1環芳香族の部分を示す。この化合物クラスに属する炭素系列の主に3つの化合物グループが同定されている。図7および図8は、当該ディーゼル混合物の2環および3環芳香族の部分を示す。この2つの部分には、非常に存在率の高い化合物グループも割り当てられている。
【0027】
検討
この新規のデータ処理/視覚化の方法は、GC−MSデータを処理するための新規の方法を提供する。この方法の最も有用な利点は、分離された化合物クラスを視覚化することである。加えて、分布または相対強度を強調して、より直観的な方法でデータを表示することができる。図9は、相対強度が強調されるように、当該ディーゼル試料の飽和部分の3次元クロマトグラムを表示する方法である。
【0028】
化合物クラスの分離に加えて、各化合物クラス内の化合物グループを分離することが、石油分離における別の課題である。しかしながら、GCxMSは、詳細な化合物グループ分離データの提供に非常に優れた能力を発揮する。例えば、飽和クラスでは、1環飽和環式化合物からパラフィンを分離することができる。2環および3環芳香族の部分では、別の例を見出すことができる。様々な化合物グループがそれらの親質量に基づいて十分に分離され得る。
【0029】
GC−MSはFIモードで動作するので、1回の実験で全ての化合物の親質量を得ることが可能である。高分解能の質量演算は、各々の質量が一意的な分子式を表すことを意味している。この特有の特徴は、複雑な混合物内の元素固有の化合物分布を調べる際に、強力な手段となる。GC−MSでは、データから特定の質量または質量グループを抽出し、個別のクロマトグラムを作成することが可能である。この操作は、従来のGC−MSデータ分析におけるシグナルイオンモニタリングに類似しているが、これを更に発展させたものである。元々のGCxMSクロマトグラムから、硫黄含有化合物のクロマトグラム(例えば、ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)および窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を抽出して、元素固有のクロマトグラムを個別に作成することができる。
【0030】
図10は硫黄含有化合物のクロマトグラム(ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)を示し、図11は窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を示す。この厳密な質量抽出プロセス中には、炭化水素類似体の質量が類似していることに起因した障害が存在する。しかしながら、化合物クラス、相対極性、および適切なアイソトープを慎重に調べた後で、障害の大部分は容易に解消することができる。
【0031】
GCxMSの定量分析は、GC−MSと同じ課題に直面している。親イオン生成の応答性は普遍的なものではないので、親イオン強度を使用して、直接、定量分析を実行することは現実的でない。相対反応因子の生成は、単なる化合物の検量に依存するか、FIDのような、より普遍的な応答性を有する他の検出器との比較に依存する必要がある。
【0032】
この新規のデータ処理/視覚化の方法では、該当するソフトなイオン化機構(FI等)を備えたGC−MSを、2次元分離技術(GCxMS)に変化させることができる。GCxMSの主な利点は、化合物クラスの分離にある。化合物クラス内の化合物グループもそれらの親質量に基づいて十分に分離される。分解能の高い質量演算が行われるため、特定の質量グループを抽出することで特定の元素を含有する化合物の分布を生成することも可能である。定量分析の場合、GCxMSはワン・フォー・オールの技術であり、一回の試験でほとんどの情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】代表的なGC−MS総イオンクロマトグラムであり、MSイオン化機構としてフィールドイオン化が使用されている。
【図2】全ての質量スペクトルがY−Z平面にプロットされ、X軸に沿ってスタガード配置された、GC−MSの3次元クロマトグラムである。
【図3】図2から図4への変換に関係するグラフ図である。
【図4】データ処理/視覚化の方法によって図2から変換されたGCxMSの3次元クロマトグラムである。
【図5】当該ディーゼル混合物の飽和化合物クラスの部分を詳細な異性体分布で示したものである。
【図6】当該ディーゼル混合物の1環芳香族の部分を示す。
【図7】当該ディーゼル混合物の2環芳香族の部分を示す。
【図8】当該ディーゼル混合物の3環芳香族の部分を示す。
【図9】ディーゼル試料の飽和部分の3次元クロマトグラムの他の視覚化であり、相対強度が強調されている。
【図10】硫黄含有化合物のクロマトグラム(ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)を示す。
【図11】窒素含有化合物のクロマトグラム(インドールおよびカルバゾール)を示す。
【図12】図3のグラフ図のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元または多次元の「クロマトグラフ」または「非クロマトグラフ」タイプの分離システムから得られた2次元または多次元データを処理して表示する方法であって、
a)各分離技術から適切な分離次元を決定する工程;
b)化合物クラスまたは化合物ファミリーを参照する工程;
c)分離されたその他の各化合物を異なる分離次元に変換して、参照化合物クラスまたはファミリーに揃える工程;および
d)前記分離次元の軸を再配置して、前記2次元または多次元の分離結果を最も効果的に表示する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を含む「クロマトグラフ」タイプの分離方法での前記分離次元は、保持時間(分)または保持時間に関連する単位/保持時間から逸脱した単位(例えば、GCでは温度、LCでは分子溶解度、SECでは分子量)で定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む「非クロマトグラフ」分光/波長タイプの分離方法での前記分離次元は、波長(ナノメートル(nm)、オングストローム(Å)等の長さの単位、波数(cm−1)または波長に関連する単位/波長から逸脱した単位(エネルギー単位、電子ボルト(eV)等))で定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
質量分析を含む「非クロマトグラフ」質量分離方法での前記分離次元は、質量、分子量(Mw)或いは質量または分子量に関連する単位/質量または分子量から逸脱した単位(温度単位、沸点等)として定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
熱分離技術である熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、発生気体分析(EVA)および熱分解(Py)を含む「非クロマトグラフ」タイプの方法での前記分離次元は、温度単位として定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
GC、LC、SFCおよびSECを含む「クロマトグラフ」タイプの分離方法における前記参照化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、極性が類似またはクロマトグラフ分離技術で基準となるその他の物理特性が類似していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記参照化合物は、ノルマルパラフィンファミリー、直鎖アルキルベンゼンファミリー、直鎖アルキルナフタレンファミリーまたは飽和直鎖状脂肪酸ファミリーであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む「非クロマトグラフ」分光/波長タイプの分離方法における前記参照化合物は、構造が類似、吸光されるエネルギーが類似または分光分離方法で基準となるその他の原子および分子内/間のエネルギー準位の遷移が類似していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記参照化合物は、α−オレフィンファミリー、直鎖状アルコールファミリー、同じ環位置で置換された1環芳香族ファミリー、水素結合を有する化合物ファミリー等のような、同じ官能基を有する分子ファミリーであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
質量分析等の「非クロマトグラフ」質量分離方法の前記参照化合物は、質量分析分離技術で基準となる、分子構造が類似しているかまたは前記構造内の特定の官能基が類似している前記化合物クラスまたはファミリーであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記参照化合物は、パラフィンファミリー、オレフィンファミリー、1環芳香族ファミリーまたはジベンゾチオフェンファミリーであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
熱重量分析(TGA)、DSC、発生気体分析(EVA)および熱分解(Py)を含む「非クロマトグラフ」熱分離技術における前記参照化合物は、熱分離技術で基準となる、分子構造が類似しているかまたは前記構造内の特定の官能基が類似している前記化合物クラスまたはファミリーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記参照化合物は、パラフィンファミリー、ナフテンファミリー、3環芳香族ファミリーまたはインドールファミリーであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項1】
2次元または多次元の「クロマトグラフ」または「非クロマトグラフ」タイプの分離システムから得られた2次元または多次元データを処理して表示する方法であって、
a)各分離技術から適切な分離次元を決定する工程;
b)化合物クラスまたは化合物ファミリーを参照する工程;
c)分離されたその他の各化合物を異なる分離次元に変換して、参照化合物クラスまたはファミリーに揃える工程;および
d)前記分離次元の軸を再配置して、前記2次元または多次元の分離結果を最も効果的に表示する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を含む「クロマトグラフ」タイプの分離方法での前記分離次元は、保持時間(分)または保持時間に関連する単位/保持時間から逸脱した単位(例えば、GCでは温度、LCでは分子溶解度、SECでは分子量)で定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む「非クロマトグラフ」分光/波長タイプの分離方法での前記分離次元は、波長(ナノメートル(nm)、オングストローム(Å)等の長さの単位、波数(cm−1)または波長に関連する単位/波長から逸脱した単位(エネルギー単位、電子ボルト(eV)等))で定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
質量分析を含む「非クロマトグラフ」質量分離方法での前記分離次元は、質量、分子量(Mw)或いは質量または分子量に関連する単位/質量または分子量から逸脱した単位(温度単位、沸点等)として定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
熱分離技術である熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、発生気体分析(EVA)および熱分解(Py)を含む「非クロマトグラフ」タイプの方法での前記分離次元は、温度単位として定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
GC、LC、SFCおよびSECを含む「クロマトグラフ」タイプの分離方法における前記参照化合物クラスまたはファミリーは、構造が類似、極性が類似またはクロマトグラフ分離技術で基準となるその他の物理特性が類似していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記参照化合物は、ノルマルパラフィンファミリー、直鎖アルキルベンゼンファミリー、直鎖アルキルナフタレンファミリーまたは飽和直鎖状脂肪酸ファミリーであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
X線、真空紫外(VUV)、紫外および可視(UV−Vis)、赤外(IR)、原子吸光(AA)および原子発光分光法(AES)、蛍光を含む「非クロマトグラフ」分光/波長タイプの分離方法における前記参照化合物は、構造が類似、吸光されるエネルギーが類似または分光分離方法で基準となるその他の原子および分子内/間のエネルギー準位の遷移が類似していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記参照化合物は、α−オレフィンファミリー、直鎖状アルコールファミリー、同じ環位置で置換された1環芳香族ファミリー、水素結合を有する化合物ファミリー等のような、同じ官能基を有する分子ファミリーであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
質量分析等の「非クロマトグラフ」質量分離方法の前記参照化合物は、質量分析分離技術で基準となる、分子構造が類似しているかまたは前記構造内の特定の官能基が類似している前記化合物クラスまたはファミリーであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記参照化合物は、パラフィンファミリー、オレフィンファミリー、1環芳香族ファミリーまたはジベンゾチオフェンファミリーであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
熱重量分析(TGA)、DSC、発生気体分析(EVA)および熱分解(Py)を含む「非クロマトグラフ」熱分離技術における前記参照化合物は、熱分離技術で基準となる、分子構造が類似しているかまたは前記構造内の特定の官能基が類似している前記化合物クラスまたはファミリーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記参照化合物は、パラフィンファミリー、ナフテンファミリー、3環芳香族ファミリーまたはインドールファミリーであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−542690(P2008−542690A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510271(P2008−510271)
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017446
【国際公開番号】WO2006/121878
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017446
【国際公開番号】WO2006/121878
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】
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