説明

2流体小出し装置

流体を格納し及び小出しにする、2流体カートリッジ(20,150)である。開示された2流体カートリッジ(20)においては、携帯式のアプリケータ(42)が使用され、等しくない比率にて、2成分の最終生成物(例えば、接着剤)を、小出しにして混合する。2流体カートリッジ(150)は、シリンジとして構成される。そのような2成分の最終生成物を小出しに出来る能力は、歯科の分野において特に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
歯科の分野においては、歯科医師は、しばしば、一人の患者に対して使用した後に使い捨てにできるような、小出しカートリッジを使用することを好む。これらは、代表的に、単一用量カートリッジと称される。単一用量カートリッジは、多数回使用のカートリッジに比べて、いくつかの重要な利点を提供する。単一用量カートリッジは、多数回使用のカートリッジに比べて、衛生的である。単一用量カートリッジによれば、歯科医師は、手順の完了後にカートリッジを廃棄できるので、それにより、患者間に細菌及び感染が広がる可能性を減少させられる。また、単一用量カートリッジは、多数回使用のカートリッジと同じ位の浪費を有することがない。多数回使用のカートリッジによれば、樹脂と硬化剤との成分が、使用と使用との間において、しばしば互いに混じり合ってしまい、接着剤が硬化して、カートリッジが使用不能になる。この結果、歯科医師は、多数回使用のカートリッジを2〜3回使用できるに過ぎず、カートリッジを多数回使用できるという利益を達成できない。
【0002】
[関連出願]
本願は、2007年8月6日に出願された、米国仮特許出願第60/963,631号(係属中)に基づく優先権を主張し、同出願の内容をここで参照によって完全に引用する。
【0003】
現在の歯科医師の多くが使用している単一用量の小出しシステムは、再使用可能な携帯式アプリケータと、使い捨て可能な単一要素とから構成され、単一用量カートリッジは、携帯式アプリケータに装着される。米国特許第5,306,147号及び第6,095,814号は、そのような単一用量の小出しシステムの例を示している。これらのシステムは、単一成分の流体を小出しにするためのものである。しかしながら、これらは、2流体が必要である場合における最も適切な選択ではない。現在、2成分接着剤を塗布しようとする歯科医師は、1つの流体(例えば、代表的には樹脂)を単一用量カートリッジから表面上に小出しにし、次に、第2の流体(例えば、代表的には硬化剤)を第2の単一用量カートリッジから小出しにし、次に、両者を一緒に手で混ぜている。この手順は、時間を要し、厄介であり、歯科医師が、2成分接着剤を混合するための最も効率的な方法とは言えない。
【0004】
また、歯科医師は、しばしば、流体を1:1以外の等しくない比率にて、小出しにすることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、単一用量小出し装置に関して、しかし、多数回使用の小出し装置にも適用可能又は好ましい特徴を備えた、2流体小出し装置の改良を求める継続的な要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般的に、2流体を格納し及び小出しにするための自己収容式の2流体小出し装置を提供する。小出し装置は、2流体容器を具備し、これは、外側カートリッジ壁と、遠位端にある第1の出口と、開いた近位端とを有している。送出管は、少なくとも部分的に外側カートリッジ壁の内部に配置され、第2の出口を具備している。第1のピストンは、外側カートリッジ壁と送出管との間に配置され、第1の流体のための第1の流体チャンバを形成する。首部は、外側カートリッジ壁に結合され、アプリケータに結合される。変形例としては、首部を省略し、例えば、小出し装置はシリンジとして構成される。首部を有する実施形態においては、第2のピストンは、少なくとも部分的に首部の内部に配置され、第2の流体の単一用量のための第2の流体チャンバを少なくとも部分的に形成する。第2のチャンバは、外側カートリッジ壁における開いた近位端から近位方向に延在している。伝達構造は、第2のピストンから第1のピストンへ力を伝達するように動作し、それにより、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を小出しにする。伝達構造は、第1のピストンに結合されるか、又は一体的に形成され、これは、例えば、チャンバが別々に充填されるのか、又は、それぞれの流体について同時に充填されるのかに依存する。
【0007】
さらに別の観点としては、第2の流体チャンバは、さらに、ピストン表面に結合された側壁によって形成され、側壁は、伝達構造を備えている。側壁は、入子式に、首部の内部に摺動すると共に、入子式に、送出管にかぶさって摺動する。混合装置は、外側カートリッジ壁に取り付けられ、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を受け入れる。首部は、一体的に又は着脱可能に、外側カートリッジ壁に結合されている。
【0008】
本発明はさらに、小出し組立体を提供し、これは、力提供機構を備えたアプリケータを具備し、本願において議論された特徴の1又は複数を有する自己収容式の2流体小出し装置と組み合わせられる。力提供機構は、任意の適当な形態を呈し、第2のピストンに力を提供するように適合し、次に、伝達構造を介して、力を第1のピストンに対して伝達する。
【0009】
本発明の様々な追加的な詳細及び特徴については、添付図面と関連させて例示的な実施形態に係る以下の詳細な説明を検討することで、当業者により容易に明らかになる。
【0010】
本発明のこれらの及びその他の特徴、観点、及び利点については、以下の説明及び添付図面に関連してより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の実施形態によるカートリッジを示した斜視図であって、キャップを所定位置に配置している。
【図1B】本発明の実施形態によるカートリッジを示した斜視図であって、キャップを取り外して、混合ノズルを取り付けている。
【図2A】プランジャを備え、延長部を露出させた携帯式アプリケータと、本発明の実施形態によるカートリッジ及び混合ノズルとを示した斜視図である。
【図2B】プランジャを備え、延長部を露出させた携帯式アプリケータの待機位置を示した斜視図であって、混合ノズルが取り付けられたカートリッジが挿入されている。
【図2C】プランジャを露出させた携帯式アプリケータの圧縮位置を示した斜視図であって、混合ノズルが取り付けられたカートリッジが挿入されている。
【図3】本発明の2流体カートリッジにおける充填された実施形態を示した長手方向の断面図であって、図2A及び図2Bに示された、取付ノズルと静的混合装置との断面、及びプランジャの延長部の部分を示している。
【図4】図3に示された2流体カートリッジを示した長手方向の断面図であって、中間的な小出し位置を示している。
【図5】図3に示された2流体カートリッジを示した長手方向の断面図であって、2流体カートリッジの内容物が排出されている。
【図6】本発明の別の実施形態による2流体シリンジタイプの小出し装置を示した長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1A及び図1Bを参照すると、本発明の実施形態による単一用量の2流体カートリッジであって、等しくない比率にて流体を格納し及び小出しする小出し装置として動作するものが示されている。図示した実施形態は、流体比率が10:1である2流体カートリッジの実施形態であるけれども、本願に開示された発明から逸脱することなく、別の流体比率をもつカートリッジの実施形態も利用できることを理解されたい。加えて、本願に開示される特徴は、多数回使用の小出し装置にも適用できる。2流体カートリッジ20は、外側カートリッジ壁22と底部24とを具備する。底部24は、この実施形態においては、外側カートリッジ壁22にスナップ結合するスナップカラー26を有している。他の実施形態においては、底部24は、異なる方法で外側カートリッジ壁22に結合するように形成され、それらには、外側カートリッジ壁22に、溶着され、螺合され、又は一体的に形成された底部24を有することが含まれる。スナップカラー26は、省略することもでき、及びカートリッジ壁22の後端を閉じるための他の構造物によって置換することもできる。さらに、底部24は、着座カラー28と首部30とを具備する。詳しくは後述するが、2流体カートリッジ20は、互いに分離させて2流体を格納しており、これらは一緒に混合されると、化学的に反応して、接着剤などの最終生成物を形成する。この実施形態による2流体カートリッジ20は、排出に際して単一用量の最終生成物を得るのにちょうど充分な成分流体を格納している。図1Aは、ねじ付きキャップ32が所定位置に取り付けられた、小出しカートリッジ20を示している。ねじ付きキャップ32は、輸送中及び使用前に、所定位置に配置される。図1Bは、ねじ付きキャップ32が取り外されて、ノズル34がカートリッジ20に取り付けられ、使用の準備が出来た状態の小出しカートリッジ20を示している。ノズル34は、保持ナット36によってカートリッジ20に取り付けられ、保持ナットは、カートリッジ20のねじ付き出口38(図2A)に螺着されるけれども、これは、バヨネット、スナップ嵌合など、任意の適当な方法によって取り付けてもよい。代表的に、ノズル34は、その内部に静的混合装置40を収容している。静的混合装置40は、カートリッジ20から小出しにされるときに、2流体カートリッジ20に格納された2流体を混合する。
【0013】
図2A乃至図2Cを参照すると、本発明による2流体カートリッジ20は、図2A乃至図2Cに図示されたような、携帯式アプリケータ42と共に使用される。携帯式アプリケータ42は、市場において入手可能な、標準的な携帯式アプリケータである。そのような携帯式アプリケータは、歯科の分野において、一般的に使用されている。さらに、本発明による2流体カートリッジ20は、歯科の分野での使用のみに限られないことを理解されたい。本発明による2流体カートリッジ20は、あらゆる使用分野において、携帯式アプリケータと共に使用できる。また、本発明によるカートリッジ20は、あらゆる携帯式アプリケータと共に使用され又は該アプリケータに合わせて改変され、図面に示した例示と共に使用されるだけに限られないことを理解されたい。
【0014】
図2A乃至図2Cに示した携帯式アプリケータは、延長部46を備えたプランジャ44を有している。プランジャ44は、携帯式アプリケータ42のハンドル50の前部を通って延びる。また、携帯式アプリケータ42は、アプリケータ42の前部に、プランジャ通路56を有しており、アプリケータ42が使用されるとき、プランジャ44のための移動経路を形成する。プランジャ通路56は、その前端に、幅が変化した3つの異なる部分58,60,62を有し、詳しくは後述するように、カートリッジ20を受け入れて保持する。後方部分58は、最も広い幅を有し、中間部分60は、より幅が狭く、前方部分62は、最も狭い幅を有している。
【0015】
携帯式アプリケータ42におけるプランジャ44は、ハンドル50の後部部分54に対して密着している。ハンドル50における前方部分48と後方部分54との間において、プランジャ44の部分は、ばね52の内部に配置されている。ユーザが、ハンドル50の後方部分54を押圧すると、プランジャ44及び延長部46は、カム機構を介して、プランジャ通路56の中を前方へと押され、ばね52は圧縮される(図2C)。ハンドル50の後方部分54が解放されると、ばね52のポテンシャルエネルギーによって、プランジャ44とハンドル50の後方部分54とを待機位置へと押し戻す(図2B)。
【0016】
図2A及び図2Bを参照すると、この実施形態においては、カートリッジ20はアプリケータ42の中に装填されるが、そのためには、プランジャ通路56の幅広の後方部分58に対して着座カラー28を合わせ、カートリッジ20をプランジャ通路56の中に落下させる。次に、カートリッジ20は、プランジャ通路56において前方に引かれ、着座カラー28が中間部分60に着座し、カートリッジ20の首部30が前方部分62における最も幅狭の直径にしっかりと着座する。これは、一般的に、“ブリーチローディング”の構成と称される。次に、カートリッジ20は、図2Bに示すように、アプリケータ42に着座して、使用の準備が完了する。上述した着座構造は、カートリッジ20がアプリケータ42に合致するために設計される単なる一例であることを理解されたい。スナップカラー26を省略し、他の構造物に置換して、カートリッジ20の後端を閉じてもよい。また、底部24は、必要に応じて、任意の意図するアプリケータ42に合致させるように、あらゆる方法で再構成できる。例えば、ブリーチローディングの構造の代わりに、カートリッジ20は、プランジャ通路56に嵌入し、締り嵌めによって所定位置に保持されるものでもよい。これは、底部24が外側カートリッジ壁22から分離されていることの1つの理由であり、異なって構成された底部24が、標準的な外側カートリッジ壁22の構造と共に使用できてスナップ嵌合できるためである。
【0017】
必要とされる最終生成物の量に応じて、カートリッジ20は、カートリッジ20の外側カートリッジ壁22の部分を調整することで、異なるサイズに作られる。この実施形態においては、外側カートリッジ壁22とスナップカラーとがいかなるサイズに形成されたとしても、着座カラー28と首部30とは常に同一サイズに維持されて、アプリケータ42のプランジャ通路56及び着座部分58,60,62に合致することに留意されたい。
【0018】
次に図3を参照すると、本発明の実施形態による2流体カートリッジ20の長手方向の断面図が示されている。この実施形態による2流体カートリッジ20は、第1の流体78と第2の流体80とをそれぞれ格納し及び小出しにするために、第1の流体チャンバ70と第2の流体チャンバ72とを形成している。この実施形態による2流体カートリッジ20においては、カートリッジ20は、加えて、外側カートリッジ壁22と、送出管74と、外側シール77と内側シール79とを有してなる第1のピストン76と、シール83を有してなる圧縮壁82と、底部流体組立体110とを具備している。底部流体組立体110と、特に、その後部ピストン面96とは、後述するように、第2のピストンとして機能する。この実施形態においては、シール77,83は環状の突起部であり、シール79は要素間の密着によって得られるけれども、他のシール構造(例えば、Oリングシール又はリップシール)を使用してもよいことを理解されたい。この実施形態における外側カートリッジ壁22は、円筒形の壁であって、中空の内部86を形成し、上昇した抜け口ボス120を形成されて有している。この実施形態における外側カートリッジ壁22は、その後端に、環状のスナップ隆起部88を有している。底部24のスナップカラー26は、カートリッジ20が組み立てられたとき、外側カートリッジ壁22に嵌着し、スナップ隆起部88に係合する。外側カートリッジ壁22の他方の端部、つまり前端には、放出開口部90が形成され、雄ねじ出口38を具備している。
【0019】
底部流体組立体110は、底部24における首部30の内部に配置されている。底部流体組立体110は、側壁伝達構造112を具備し、上昇した抜け口ボス122を形成されて有し、また、後部ピストン面96を有している。底部流体組立体110を有して、首部30の内部空間を流体で占有させることで、本発明のカートリッジ20は、流体比率が著しく同等でない場合に、より使用可能になる。従前の設計においては、首部30の内部には、流体が格納されることはない。その結果、そうした従前の設計においては、著しく異なる比率の流体を収容するために、外側カートリッジ壁22を大きくしなければならない。とはいえ、より高い比率の差においては、外側カートリッジ壁22のサイズは、非実用的になって、作業が困難になる。従って、カートリッジ20の首部30に流体を格納するような底部流体組立体110を開発することで、外側カートリッジ壁22のサイズをさほど拡大させずに、より大きな比率の差を達成できる。
【0020】
カートリッジ20の送出管74は、外側カートリッジ壁22の中空内部86に配置される。この実施形態においては、送出管74は、スナップ結合92にて、外側カートリッジ壁22にロック係合するように嵌入する。この実施形態においては、送出管74は、出口94を形成し、出口90の内部に延びて、これを越えている。外側カートリッジ壁22と送出管74とは、互いに一体的に形成されることも予測され、また、図示したものとは異なる出口90,94の出口構造を採用することも予測される。この実施形態における圧縮壁82は、送出管74と共に一体的に形成され、これが、圧縮壁82を所定位置に固定する。また、この実施形態においては、送出管74は、底部流体組立体110の中に延入している。
【0021】
2流体カートリッジ20における第1のピストン76は、送出管74の外側と、外側カートリッジ壁22の内側との間にて、カートリッジ20の内部に配置されている。この実施形態においては、第1のピストン76は、送出管74の外側を取り囲んでいる。第1のピストン76は、送出管74の外側及び外側カートリッジ壁22の内側と関連して、第1の流体チャンバ70を形成する。
【0022】
この実施形態においては、底部流体組立体110と圧縮壁82とは、第2の流体チャンバ72を形成している。送出管74は、第2の流体チャンバ72と放出開口部94との間に、流体の連通を提供する。この実施形態における底部流体組立体110は、支柱を具備してはいないけれども、他の実施形態においては、出願人が公式に所有する、米国特許第5,310,091号及び米国特許出願第11/031,929号に開示されているように、支柱を用いて流体の浪費を最小化させてもよい。
【0023】
さらに、この実施形態においては、底部流体組立体110における異なる部分96と112とは互いにすべて一体的になっているけれども、このことは必要的ではないことを理解されたい。当業者は理解するだろうが、底部流体組立体110におけるそれぞれの部分は、個別の分離した構造物にすることも可能である。この実施形態においては、伝達構造112は、底部流体組立体110の後部ピストン面96から延びて、圧縮壁82と首部30の内側との間を締り嵌めにて通り抜けて、シールを形成する。この実施形態においては、充填位置では、伝達構造112の端部と第1のピストン76との間に、隙間124が形成される。隙間124は、詳しくは後述するように、第1の流体78より前に、少量の第2の流体80を小出しにさせる。
【0024】
2流体カートリッジ20から流体を小出しにするためには、底部流体組立体又は第2のピストン110を、カートリッジの前方へ向けて、前方に押圧する。開示された実施形態においては、これは、携帯式アプリケータ42の動作によって行われる。特に、図2Bを参照すると、ユーザは、ハンドル50の後方部分54を、ハンドル50の前方部分48へ向けて押圧する。その結果、プランジャ44と延長部46とは、プランジャ通路56の中にて押し出され、この方向は、図4の矢印によって示されている。この動きにおいて、延長部46の先端部は、底部流体組立体110を押圧して、端部カラー24の中に入る。この実施形態においては、後部ピストン面96は、首部30に配置されたチャンバ72内に格納された流体80を押す。チャンバ72における後部ピストン面96によって押された流体80は、固定された圧縮壁82によって圧縮され、流体80は、送出管74を通り、放出開口部94を通って、流体80は、2流体カートリッジ20から放出される。また、延長部46が底部流体組立体110に対して押圧されると、伝達構造112は隙間124を閉じて、次に、第1のピストン76を押圧する。第1のピストン76に対する伝達構造112の押圧によって、第1の流体チャンバ70の中にある流体78は、放出開口部90の中へ押し込まれ、放出開口部を通って、流体78は2流体カートリッジ20から排出される。流体78,80が放出開口部90,94を通って2流体カートリッジ20から放出されると、それらは、ノズル34内の静的混合装置40によって一緒に混合される。この実施形態においては、隙間124によって、少量の第2の流体80が第1の流体78に先だって排出され、初期の小出し中に少量の余分な触媒を提供し、最初の小出しビードの始まりから、流体78,80が完全に混合されることを確保している。
【0025】
この流体の放出及び混合の過程は、プランジャ44及び延長部46が動作している限り、及び2流体カートリッジ20から小出しにされるべき流体が依然として残っている限り、継続される。図4は、中間的な小出し位置にある2流体カートリッジ20を、2流体カートリッジ20から小出しにされた流体78,80の部分と共に示している。図5は、カートリッジ20のチャンバ70,72の流体内容物が完全に排出されたときの2流体カートリッジ20を示している。
【0026】
図5に示した2流体カートリッジ20の構造から、残された廃棄される流体78及び80を取り除いたものは、充填される前に、どのように2流体カートリッジ20がロックしているのかを示すことになる。2流体カートリッジ20を充填するためには、チャンバ70,72は、それらのそれぞれの放出開口部90,94を通して、適切な流体78,80にて充填される。充填の手順は、上述した小出し手順を逆にした方法で行われる。充填の手順中には、チャンバ70,72の中には、入って来る流体78,80とピストン76,96との間に、空気が存在している。空気がチャンバ70,72の中に捕らえられるとすれば、それは、2流体カートリッジ20の使用において、多数の問題点を引き起こす。最も顕著には、チャンバ70,72内に捕らえられた空気は、チャンバ70,72内の流体78,80について、体積小出し比率の制御能力にマイナスの影響を与える。この問題点を軽減するために、通気システムが採用され、例えば、出願人が公式に所有する、国際特許出願PCT/US03/17997号又は米国特許出願第10/755,796号及び第11/031,929号に開示された通気システムが採用されるので、これらの出願をここで参照によって引用する。この実施形態においては、この空気を通気するために、外側カートリッジ壁22の内部に上昇ボス120が形成されると共に、底部流体組立体110の内壁に上昇ボス122が形成されている。上昇ボス120,122は、充填手順の開始時において、シール76,83のそれぞれによって形成されるシールを一時的に開口させる。流体がチャンバ70,72に入るとき、空気が通気された後には、シール76,83は、上昇ボス120,122から外れ、上述したように、チャンバ70,72をシールする。
【0027】
図6は、本発明の他の実施形態によるシリンジタイプの2流体小出し装置150を示している。図6と、1又は複数の既述の図面との双方に含まれる同一の参照符号は、同様な機能を有する同様な構造物を参照しており、一方、図6におけるプライムマーク(’)を備えた同様な参照符号は、第1の実施形態と類似する要素を参照しており、それらは、後述するようにいくらか改変され、及び/又は、異なる実施形態に関連する図面との比較から相違が明らかなものである。同一の構造物について、さらに理解するためには、上述した説明を参照されたい。図6には示していないけれども、混合ノズル34(図3)が、前述した方法によって、ねじ付き出口38に取り付けられることを理解されたい。シリンジ小出し装置150は、外側に円筒形のカートリッジ壁22’を具備し、第1の実施形態と同様に、第1の環状ピストン76を収容している。第1のピストン76は、送出管74と外側カートリッジ壁22’との間に配置され、第1の流体(図示せず)を保持するための第1の流体チャンバ70を形成している。前述した実施形態と同様に、しかしいくらかの設計上の相違をもって、外側カートリッジ壁22’は、開かれた近位端152を具備している。可動な底部流体組立体110’は、開いた端部152を延通し、前述したように、第1の実施形態と同様な目的を有する伝達構造112’を形成している。しかしながら、この実施形態においては、底部流体組立体110’と伝達構造112’とは、シリンジ小出し装置150における手動操作可能なプランジャ154と共に動くために、その一部分であるか、又は少なくともそれに結合されている。すなわち、前述した実施形態における首部30は、省略されているが、というのは、この実施形態は、携帯式アプリケータ又はガンへの取付けを伴わないためである。シリンジ小出し装置150が、図6に示した小出し前の状態にあるとき、少なくとも第2の流体チャンバ72の一部分は、開いた端部152の近位側に配置される。ユーザが、親指ノブ154aに係合させつつ、外壁22’と取り付けられたフランジ(図示せず)とを他の指にて把持して、プランジャ154を押し込むと、遠位側のフランジ部分156は第1のピストン76に係合し、前述したのと同一の方法にて、これを遠位方向へ移動させる。底部流体組立体110’と伝達構造112’とは、係脱することの無いように、外壁22’に結合される。これに関して、開いた端部152は、内方に向いたフランジ部分として形成され、これが、外方へ向いたフランジ部分156を保持する。2流体を小出しにし混合する、シリンジ小出し装置150における残りの機能と動作とは、第1の実施形態に関して説明したのと同一であることを認識されたい。すなわち、ピストン76は、第1の流体チャンバ70から出口38を通して第1の流体を押し出し、同時に、ピストン面96は、第2の流体を出口94から押し出す。両方の流体は、前述したように、混合ノズル(図3)に入る。
【0028】
本発明による2流体カートリッジ20及び150については、多くの異なる実施形態を設計及び採用できることを理解されたい。
【0029】
本発明について、ある種の実施形態に関して説明したけれども、本発明はそれに限定されるものではないことを認識されたい。実施形態は本願では例示的に説明されており、多数の変形例、応用例、及びその他の実施形態を採用でき、それらは、本発明の範囲内に依然として含まれる。本願に開示された様々な特徴は、用途の要望に応じて、あらゆる方法にて組み合わせることができ、又は他の特徴と共に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの流体を格納し及び小出しするための自己収容式の2流体小出し装置であって、この装置が、
2流体容器であって、外側カートリッジ壁と、遠位端にある第1の出口と、開いた近位端とを有している、上記2流体容器と、
送出管であって、少なくとも部分的に外側カートリッジ壁の内部に配置され、第2の出口を具備している、上記送出管と、
第1のピストンであって、外側カートリッジ壁と送出管との間に配置され、第1の流体のための第1の流体チャンバを形成している、上記第1のピストンと、
第2のピストンであって、少なくとも部分的に第2の流体のための第2の流体チャンバを形成し、外側カートリッジ壁における開いた近位端から近位方向に延在している、上記第2のチャンバと、
伝達構造であって、第2のピストンから第1のピストンへ力を伝達するように動作し、それにより、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を小出しにする、上記伝達構造と、
を備えていることを特徴とする自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項2】
第2の流体チャンバは、さらに、ピストン表面に結合された側壁によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項3】
側壁は、伝達構造を備えていることを特徴とする請求項2に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項4】
自己収容式の2流体小出し装置が、さらに、
首部であって、外側カートリッジ壁に結合され、アプリケータに結合されるように適合している、上記首部を備え、
第2のピストンは、少なくとも部分的に首部の内部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項5】
側壁は、入子式に、送出管にかぶさって摺動することを特徴とする請求項2に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項6】
装置がさらに、外側カートリッジ壁に取り付けられた混合装置を備え、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を受け入れることを特徴とする請求項1に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項7】
首部は、着脱可能に、外側カートリッジ壁に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項8】
小出し装置は、シリンジとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項9】
2つの流体を格納し及び小出しするための自己収容式の2流体小出し装置であって、この装置が、
2流体容器であって、外側カートリッジ壁と、第1の出口とを有している、上記2流体容器と、
送出管であって、少なくとも部分的に外側カートリッジ壁の内部に配置され、第2の出口を具備している、上記送出管と、
第1のピストンであって、外側カートリッジ壁と送出管との間に配置され、第1の流体のための第1の流体チャンバを形成している、上記第1のピストンと、
首部であって、外側カートリッジ壁に結合され、アプリケータに結合されるように適合している、上記首部と、
第2のピストンであって、少なくとも部分的に首部の内部に配置され、第2の流体のための第2の流体チャンバを形成する側壁に結合され、側壁が、入子式に、首部の内部に摺動すると共に、入子式に、送出管にかぶさって摺動する、上記第2のピストンと、
伝達構造であって、第2のピストンから第1のピストンへ力を伝達するように動作し、それにより、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を小出しにする、上記伝達構造と、
を備えていることを特徴とする自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項10】
側壁は、伝達構造を備えていることを特徴とする請求項9に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項11】
装置がさらに、外側カートリッジ壁に取り付けられた混合装置を備え、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を受け入れることを特徴とする請求項9に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項12】
首部は、着脱可能に、外側カートリッジ壁に結合されていることを特徴とする請求項9に記載の自己収容式の2流体小出し装置。
【請求項13】
2流体小出し組立体であって、この組立体が、
アプリケータであって、力提供機構を具備している、上記アプリケータと、
2流体容器であって、外側カートリッジ壁と、第1の出口とを有している、上記2流体容器と、
送出管であって、少なくとも部分的に外側カートリッジ壁の内部に配置され、第2の出口を具備している、上記送出管と、
第1のピストンであって、外側カートリッジ壁と送出管との間に配置され、第1の流体のための第1の流体チャンバを形成している、上記第1のピストンと、
首部であって、外側カートリッジ壁に結合され、アプリケータに結合されるように適合している、上記首部と、
第2のピストンであって、少なくとも部分的に首部の内部に配置され、少なくとも部分的に第2の流体のための第2の流体チャンバを形成し、第2のピストンを動かすために力提供機構から力を受けるように適合している、上記第2のピストンと、
伝達構造であって、第2のピストンから第1のピストンへ力を伝達するように動作し、それにより、第1のピストンを動かすと共に、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を小出しにする、上記伝達構造と、
を備えていることを特徴とする組立体。
【請求項14】
第2の流体チャンバは、さらに、側壁によって形成されていることを特徴とする請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
側壁は、伝達構造を備えていることを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
側壁は、入子式に、首部の内部において摺動することを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項17】
側壁は、入子式に、送出管にかぶさって摺動することを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項18】
装置がさらに、外側カートリッジ壁に取り付けられた混合装置を備え、第1及び第2の出口から第1及び第2の流体を受け入れることを特徴とする請求項13に記載の組立体。
【請求項19】
首部は、着脱可能に、外側カートリッジ壁に結合されていることを特徴とする請求項13に記載の組立体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−535590(P2010−535590A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520276(P2010−520276)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/072328
【国際公開番号】WO2009/021033
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】