説明

2液吐出用のエアゾールバルブ、隔壁部材、係合部材および内部容器

【課題】互いに影響を及ぼしあう活性な2種類の内容物を、互いに接触しうる状態で1つの容器内で長時間保管する方法を提供する。
【解決手段】外部容器11と、その外部容器11に収納される内部容器12と、その内部容器12内に互いに接触しうる状態で収納され、用時に混合して使用する互いに活性な2種類の内容物A、Bと、内部容器12を加圧する不活性ガスCとからなり、前記内容物A、Bの粘度が1,000〜1,000,000mPa・sであり、前記内容物を不活性ガスにより0.2MPa以上で維持する内容物の保管方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに活性な2種類の内容物を1つの容器内で長期間その性能を劣化させることなく保存する内容物の保管方法およびその保管方法を用いたディスペンサー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許3079150号公報
【特許文献2】実公昭63−28684
【特許文献3】実公昭63−91473
【特許文献4】特開平9−104487
【0003】
従来、染毛剤などの複数の内容物を混ぜ合わせて使用する製品がある。該製品は、各内容物をチューブ容器などに個別に充填しており、トレイやブラシなどに各内容物を吐出し、混合してから頭髪に塗布している。該製品の場合は、複数の容器から吐出し混ぜ合わせる操作が必要であり、手間がかかる。また各内容物の吐出量にばらつきが生じやすく、所望の効果がえられにくいという問題があった。
一方、前記内容物を個々のエアゾール容器に充填し、共通する吐出部材を装着することにより複数のエアゾール容器を連結した製品がある。該製品の場合、一回の吐出操作で各内容物を同時に吐出することができ、さらに混合された状態で吐出されると混ぜ合わせる操作も不要となる。しかし製品の構成が複雑になり、コストが高くなる。また各エアゾール容器の製品圧力に差がある場合や、吐出部材を設計どおりに操作しなかった場合には各内容物の吐出量に差が生じ、所望の効果が得られにくい。
【0004】
前記問題点を解決しうる方法として、[特許文献1]に開示されているように複数の内容物を1本の容器に充填した包装製剤が知られている。この製品は、外容器の内部に可畳性の内袋を収容し、その内袋内に異なる種類の内容物、とくにゲル状の内容物を層状に充填している。このものはゲル状の内容物を1個所のノズルないしスパウトから吐出するときに、各内容物を連続的に複層の状態で吐出する(層状吐出)ことができる。そして1個のエアゾール製品で構成するので、構成が簡単で従来の吐出部材を使用することができ、容器を手で握りやすい。さらに1本の容器に充填した共通の噴射剤で内容物を噴射させるので、噴射させる圧力が同じであり、両者の吐出量は調節し易い。
また、容器内に複数の内袋を有するエアゾール製品が[特許文献2]および[特許文献3]に開示されている。この製品は、各内容物をそれぞれの内袋に充填することができるため、各内容物を独立して充填することができる。
【0005】
他方、エアゾール製品において、その内容物が自己分解や反応によってガスを発生する成分(以下、ガス発生成分)を有する場合、時間の経過と共に、ガスが発生し、発生したガスによりエアゾール容器内部の圧力が上昇して容器が破裂しやすくなり、安全性が低下するという問題がある。このような問題を解決するエアゾール製品として、[特許文献4]にはガス吸収剤を外部容器内に設けたものが開示されている。これにより充填された内容物から発生するガスを有効に吸収し、エアゾール製品の内圧の上昇を抑制する効果が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガス発生成分を有する内容物と、ガス発生成分と反応して効果を発揮する有効成分を配合する内容物、たとえば2液反応型染毛剤を前記[特許文献1]の容器に充填すると、内部容器内で内容物同士が直接接触するため、該接触部分から有効成分が逐次反応し、内容物が著しく変色する。また、[特許文献2]、[特許文献3]のように、異なる内容物を別々に充填可能な複数内袋を有する容器に充填した場合であっても、内容物同士は直接接触しないが、ガス発生成分より発生したガスが内袋を透過して他方の内容物と接触可能であり、有効成分と反応し、内容物を劣化させる。さらに、[特許文献4]記載のガス吸収剤を設けても長期保存すると内容物は変色する。
本発明は、互いに影響を及ぼしあう活性な2種類の内容物を、互いに接触しうる状態で1つの容器内で長時間保管する方法およびその方法を用いたディスペンサー容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内容物の保管方法(請求項1)は、用時に混合して使用する互いに活性な2種類の内容物を外部容器内に加圧下で、互いに接触しうる状態で収納する前記内容物の保管方法であって、前記内容物の粘度が1,000〜1,000,000mPa・sであり、前記内容物を不活性ガスにより0.2MPa以上に加圧した状態で維持することを特徴としている。ここで、接触しうる状態とは、内容物同士が直接接触している状態の他、内部容器やピストンなどの隔壁により内容物が区分けされているが、内容物の一部が隔壁を透過して他の内容物と接触可能である状態、また、内容物の自己分解反応あるいは内容物同士の反応から発生したガスが前記隔壁を透過して他の内容物と接触する状態を含む。
【0008】
このような保管方法においては、前記外部容器内に収納され、前記内容物を収納する内部容器を有するものが好ましい(請求項2)。また、前記2種類の内容物が互いに接触および/または混合すると反応し、効果を発揮する反応成分を有しているものが好ましく(請求項3)、さらに、前記2種類の内容物が酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤である場合が好ましい(請求項4)。
【0009】
本発明のディスペンサー容器(請求項5)は、外部容器と、該外部容器内に収納される内部容器と、該内部容器内に互いに接触しうる状態で収納され、その粘度が1,000〜1,000,000mPa・sである互いに活性な2種類の内容物と、前記内容物を0.2MPa以上に加圧する不活性ガスと、前記内容物を同時に吐出する吐出部材を備えていることを特徴としている。また、前記2種類の内容物が酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤であるものが好ましい(請求項6)。さらに、前記外部容器と内部容器との間にガス吸収剤を備えているものが好ましい(請求項7)。
このようなディスペンサー容器においては、前記内部容器が不活性ガスの圧力により収縮する内袋(請求項8)、または、前記内部容器内に、不活性ガスと、その不活性ガスにより移動するピストンとを備えているものが好ましい(請求項9)。
【0010】
また、前記内部容器が複数の収納部を有するもの(請求項10)、特に前記内部容器が上下に収納部を有するものが好ましい(請求項11)。
さらに、前記内部容器が上下に収納部を有し、上収納部に第1剤が充填され、下収納部に第2剤が充填されているものが好ましい(請求項12)。このようなディスペンサー容器においては、前記内容物を定量吐出する手段を備えているものが好ましい(請求項13)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の保管方法(請求項1)は、互いに活性な2種類の内容物を互いに接触しうる状態で容器内に収納されているにも関わらず、内容物の粘度を1,000〜1,000,000mPa・sとし、内容物を不活性ガスにて0.2MPa以上に加圧することにより内容物同士の反応または内容物の自己分解を抑制することができ、それに伴う内容物の劣化を防止するという効果が得られる。これは、通常、内容物同士の反応または内容物の自己分解により発生したガス(気泡)は、内容物との比重差により内容物内を移動する。このとき内容物内部では対流や攪拌が生じ、ガスの発生をさらに促進させる。しかしながら、内容物の粘度を前記特定の範囲とし、さらに内容物を加圧する圧力を前記範囲内にすることにより、気泡は大きくなりにくく、また、気泡の移動速度が抑制され、さらに気泡の移動に伴って生じる内容物の対流や拡散が抑制されたことにより得られた効果であると考えられる。また、内容物同士の反応により沈殿物など内容物と比重差の異なる生成物が生成する場合であっても、本発明の保管方法によれば、内容物内部で対流や攪拌が起こりにくくなるため、同じ作用を奏する。
【0012】
前記外部容器に収納され、前記内容物を収納する内部容器を有する場合(請求項2)は、特に内部容器が不活性ガスの圧力に収縮する内袋である場合には、内容物は均等な圧力で、かつ、広い面積で圧力を受けるため、より安定に保管することができる。また、不活性ガスを内部容器と外部容器の間に充填することができ、内容物が外部容器と直接接触することなく保管することができる。そのため、外部容器として金属容器を用いる場合、内容物の外部容器への侵食を防止することができ、高圧下で内容物を収納していても、その安全性は高い。
【0013】
前記2種類の内容物が互いに接触および/または混合すると反応し、効果を発揮する反応成分を有している場合(請求項3)であっても、本発明の保管方法により、それらの反応を抑制することができ、長期間内容物を保存することができる。また、前記2種類の内容物が酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤である場合(請求項4)は、過酸化水素の自己分解を抑制することができる。また、発生した酸素ガスは酸化染料と反応して変色させるが、本発明の保管方法により酸素ガスの発生を抑えることができ、第1剤に含まれる酸化染料の変色(酸化)を抑制することができる。
【0014】
本発明のディスペンサー容器(請求項5)は、前述の保管方法により保管されている内容物を吐出するため、互いに活性な2種類の内容物を互いに接触しうる状態で収納していても、長時間その性能を保つことができる。また、それらの内容物を同時に吐出することができるため、手間がかからず用時に使用することができる。また、前記2種類の内容物が酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤である場合(請求項6)、前述の保管方法と同様に過酸化水素の自己分解を抑えることができる。これにより、第1剤と第2剤を含むディスペンサー容器を長期間保管した後でも、その性能を落とすことなく使用することができる。
【0015】
また、前記外部容器と内部容器との間にガス吸収剤を備えている場合(請求項7)は、内部容器を透過した、内容物同士の反応あるいは自己分解によって発生するガスを吸収することができるため、外部容器の内圧の上昇を防ぐことができる。さらに、発生したガスと他の内容物(有効成分)とが反応する場合、他の内容物の成分が内部容器内で反応し、内容物が劣化することを抑制することができる。また、このようなガス吸収剤は発生したガスが気体状態でそのガス吸収剤と接触できるように外部容器と内部容器との間の空間に設けることにより、より効率的にガスを吸収することができる。
【0016】
前記内部容器が不活性ガスの圧力により収縮する内袋である場合(請求項8)、また前記内部容器が不活性ガスと、不活性ガスの圧力により移動するピストンとを備えている場合(請求項9)は、内部容器に充填した内容物を最後まで効率よく(残量が少ない)使用することができる。さらに、このような内部容器において、複数の収納部を有する場合(請求項10)は、内容物同士が直接接することがなく、より内容物を安定に保存できるため好ましい。
【0017】
前記内部容器が上下に収納部を有する場合(請求項11)、2種類の内容物をそれぞれの収納部に収納することで、各内容物はより安定に保管され、ディスペンサー容器としてより長期間性能を保つことができる。
【0018】
前記内部容器が上下に収納部を有し、上収納部に第1剤が充填され、下収納部に過酸化水素を含む第2剤が充填されている場合(請求項12)は、第2剤がバルブの金属製のマウンティングカップなどと接触することなく収納することができるため、過酸化水素の自己分解が促進されることなく、長期間安定に保存することができる。さらに、これらのディスペンサー容器において、前記内容物を定量吐出することができる場合(請求項13)は、より効果的な量に調整することで、無駄なく安全に内容物を使用することができる。また、たとえば頭髪など目の届かない場所に吐出させる場合に必要以上の量の内容物を浪費しなくてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに図面を参照しながら本発明の保管方法および該保管方法に用いられるディスペンサー容器の実施形態を説明する。図1は本発明の保管方法により内容物を保管した保管容器を示す断面側面図、図2は本発明のディスペンサー容器の一実施形態を示す断面側面図、図3aは本発明のディスペンサー容器に用いられる隔壁部材を示す斜視図、図3bはその隔壁部材の断面側面図、図4aは図2に用いられたバルブの断面側面図、図4bはそのバルブが開いた状態の断面側面図、図5aは本発明のディスペンサー容器に用いられる係合部材の斜視図、図5bはその係合部材の断面側面図、図6aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブの他の実施形態を示す断面側面図、図6bはそのバルブが開いた状態の断面側面図、図7aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブのさらに他の実施形態を示す断面側面図、図7bはそのバルブが開いた状態の断面側面図、図8aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブのさらに他の実施形態を示す断面側面図、図8bはそのバルブを開いた状態の断面側面図、図9aは本発明のディスペンサー容器の他の実施形態を示す断面側面図、図9bはそのディスペンサー容器に用いられる隔壁部材の断面側面図、図10は本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図11aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図11bはそのディスペンサー容器に用いられる連結部材の断面側面図、図12aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図12bは図12aに用いられるバルブを示す側面断面図、図13は本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブの他の実施形態を示す側面断面図、図14aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図14bは図14aに用いられるピストン部材を示す斜視図、図14cは図14aに用いられる隔壁を示す斜視図、図15は本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【0020】
図1は本発明の保管方法により内容物を保管する保管容器を示す。保管容器1は、有底筒状の外部容器11と、その外部容器11を密閉する外部蓋11bと、その外部容器に収納される内部容器12と、その内部容器11を密閉する内部蓋12aと、その内部容器に充填される内容物A、Bと、その外部容器11と内部容器12との間に充填される不活性ガスCとから構成されるものである。
前記外部容器11は、金属板をインパクト成形や絞りしごき加工などにより有底筒状に成形したものであり、その開口部に外部蓋11bと螺合するネジ部11cを有する。また、外部容器11は金属板を円筒状に成形し、その下部に底部を2重巻き締めにより固着したものでもよい。さらに、耐圧製の合成樹脂からなるものであってもよい。
前記外部蓋11bは、外部容器11のネジ部を螺合することによって固着したものであり、外部蓋11bと外部容器11との間にはガスケット3が設けられている。
前記内部容器12は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂製のものであり、不活性ガスによる圧力によって収縮するものが好ましい。
前記内部蓋12aは、ゴム製あるいは合成樹脂製のものであり、内部容器12の開口部より若干外径が大きいものである。しかし、内部容器12と内部蓋12aの間にシール作用を奏するものであれば特に限定するものではない。
【0021】
保管される内容物AおよびBとしては、互いに接触および/または混合すると反応し、効果を発揮する反応成分を配合した複数の内容物が挙げられる。その具体例としては、酸化染料を含む染毛剤用第1剤と、過酸化水素を含む染毛剤用第2剤とが挙げられる。これらは接触あるいは混合されることで発色し染毛効果を発揮する。しかし、内容物はこれらに限定されるものではなく、互いに活性であり、接触および/または混合することで反応するものであればよい。その中でも、内容物同士の反応または自己分解によりガスを発生する成分(ガス発生成分)を有するもの、たとえば、ガス発生成分として過酸化水素、アンモニア水などを含有するものである場合、そのガス発生を抑えることができ特に好ましい。さらに、一方の内容物が自己分解によりガスを発生する成分を含み、他方の内容物がその発生したガスと反応し、効果を発揮する成分を含んでいるものであれば前記のもの以外でもよい。
【0022】
前記内容物を接触しうる状態で長期間安定に保管するためには、内容物の粘度(25℃)を1,000〜1,000,000mPa・s、好ましくは2,000〜50,000mPa・sとし、さらに内容物を窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを用いて内容物を収納した内部容器を0.2MPa以上、好ましくは0.4〜1.0MPaに加圧した状態を維持する。前記内容物の粘度が1000mPa・sより小さく、不活性ガスによる内容物の加圧が0.2MPaより小さい場合、内容物中で発生したガスが移動しやすくなるため、内容物に対流が生じて攪拌されやすくなり、ガスの発生が促進されてガスの発生量が多くなる。その結果、発生したガスにより内容物が反応しやすくなり、内容物の安定性が低下する。一方内容物の粘度が1,000,000mPa・sを超えると各内容物を均等に吐出し難くなり、また混合し難くなる。また、不活性ガスによる内容物の加圧が1.0MPaを超えると安全性が低下する。特に内容物Aとして酸化染料を含み、内容物Bとして過酸化水素を含む場合、前述の保管方法により過酸化水素の分解による酸素ガスの発生を抑制することができ、その結果、外部容器内の圧力上昇を抑制し、内容物Aの酸化染料が内容物B内で発生した酸素ガスによって変色することを防止することができる。
【0023】
本発明の保管方法により、内容物を保管するために、内容物を保管容器に充填する方法としては、たとえば、まず外部容器11に内部容器12を収納する。該内部容器12に、内容物Bを充填し、次いで内容物Aを内容物Bと混ざり合わないように充填し、内部蓋12aの取付けを行う。その後、外部容器11と内部容器12との間の空間に不活性ガスを所定の圧力となるように充填し、さらに、外部蓋11bをネジ締めする方法が挙げられる。なお、あらかじめ内部容器12に内容物A、Bを充填し、内部蓋12aを取り付けたものを外部容器11に収納し、その後不活性ガスを充填し、外部蓋11bを取り付けてもよい。この保管容器1では、内容物AおよびBはそれらの界面で直接接しており、その界面では反応が起こる。しかし、内容物の粘度を前述の範囲とし、内容物を不活性ガスにより前述の圧力範囲で加圧維持とすることにより、その界面で発生したガスの移動を抑えることができ、その界面以外での反応を抑えることができる。また、内容物Bに過酸化水素を含有する場合は、自己分解による酸素ガスの発生も抑えることができる。そのため、内容物A、Bを長期間安全かつ安定に保存することができる。
この保管容器1から内容物を取り出し使用する場合は、外部蓋11bを回して、外部容器の気密性を解除し、不活性ガスを外部へ放出する。ついで内部容器12内で、あるいは内部容器12から取り出して、内容物Aと内容物Bとを混ぜ合わせることで、染毛剤用第1剤と染毛剤用第2剤とを反応させて頭髪に塗布し、その反応による発色による染毛効果を得ることができる。
【0024】
このような内容物Aと(染毛剤用第1剤)しては、酸化染料や染毛補助成分、アルカリ剤、粘度調整剤などを溶媒に配合したものが挙げられる。
前記酸化染料は、後述する内容物B中に含まれる酸化剤により酸化されて発色し、頭髪を所望の色調にするための成分である。前記酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N、N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノールなどがあげられる。前記酸化染料の配合量は第1剤A中0.01〜15重量%、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。酸化染料の配合量が0.01重量%未満の場合は充分な染毛効果が得られにくく、15重量%を越えて配合しても染毛効果は変わらず、経済的ではない。
【0025】
前記染毛補助成分は処理後の頭髪の色を調整するなどの目的で用いられ、酸性染料、直接染料、他の補助成分などがあげられる。
前記酸性染料としては、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットエロー(黄色5号)、ファストグリーン(緑色3号)、ブイリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、ローズベンカルK(赤色232号)、オレンジII(だいだい色205号)、ウラニン(黄色202号)、キノリンエローWS(黄色203号)、アリザニンシアニングリーンF(緑色201号)、ピラニンコンク(緑色204号)、パテントブルー(青色203号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、ビオラミンR(赤色401号)、オレンジI(だいだい色402号)、ナフト−ルエローS(黄色403号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)などがあげられる。
前記直接染料としては、4−ニトロ−O−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクリン酸などがあげられる。
また前記他の補助成分としては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、ジフェニルアミン、パラメチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等およびそれらの塩、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、フェネチルアルコール、ベンジルオキシエタノール等、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのアルキルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低級アルキレンカーボネートなどがあげられる。
【0026】
前記アルカリ剤は、染毛効果を向上させ、毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を同時進行させて明るい色調を得るなど目的で用いられる。このようなアルカリ剤としては、アンモニア、アルカノールアミンなどがあげられ、第1剤AのpHを6〜12、好ましくは7〜11の範囲に調整する。
【0027】
前記粘度調整剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースエチルエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、第4級窒素含有セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどがあげられる。
【0028】
前記内容物Aは、前述の酸化染料と、必要に応じて配合することができる染毛補助成分やアルカリ剤などを溶媒に溶解あるいは分散させ、さらに粘度調整剤を配合して前述の粘度範囲とすることにより調製することができる。
【0029】
このような溶媒としては、水やアルコール類およびこれらの混合物などが挙げられる。前記水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などがあげられ、前記アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
【0030】
前記内容物B(染毛剤用第2剤)としては、過酸化水素や酸化酵素などの酸化剤、安定化剤、pH調整剤、粘度調整剤などを溶媒に配合したものがあげられる。
【0031】
前記酸化剤として過酸化水素を用いる場合の配合量は、第2剤B中0.1〜10重量%、さらには1〜6重量%であることが好ましい。前記過酸化水素の配合量が0.1重量%未満の場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくく、10重量%を越えると頭髪や頭皮の損傷およびエアゾール容器の腐食や圧力上昇などの悪影響を及ぼしやすくなる。
【0032】
また前記酸化剤として酸化酵素を用いる場合、前記酸化酵素としてはラッカーゼ、パーオキシターゼ、ウリターゼ、カタラーゼ、チロシナーゼなどがあげられ、その配合量は第2剤B中0.001〜20重量%、さらには0.01〜10重量%であることが好ましい。前記酸化酵素の配合量が0.001重量%未満の場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくく、20重量%を越えて配合しても効果に大差はなく、不経済である。
【0033】
前記安定化剤としては、フェナセチン、EDTA、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸、パラベンなどがあげられる。
【0034】
前記pH調整剤としては、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸などがあげられ、第2剤BのpHを2〜6、好ましくは3〜5に調整する。
【0035】
前記内容物Bは、酸化剤、必要に応じて配合することができる安定化剤、pH調整剤などを溶媒に溶解あるいは分散させ、粘度調整剤により前述の粘度範囲とすることにより調製することができる。
なお前記内容物Aおよび内容物B共に、前述の成分以外にも、染毛効果以外の効果を発揮するために他の有効成分を配合したり、吐出形態や使用感に応じて界面活性剤や油性成分、発泡剤などを配合することができる。
【0036】
前記他の有効成分としては、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、銀などの殺菌・防腐剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸などのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液、香料などがあげられる。
【0037】
前記他の有効成分の配合量は、各内容物中0.01〜15重量%、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。前記他の有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分を配合する効果が得られにくく、所望の効果を得るためには使用量が多くなる。一方15重量%を越えると、濃度が高くなりすぎて有効成分によっては頭髪や頭皮などに悪影響を及ぼす場合がある。
【0038】
前記界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、デカなど)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などがあげられる。
【0039】
前記油性成分としては、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動パラフィンなどの炭化水素、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスなどのロウ(ワックス)などがあげられる。
【0040】
前記発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンおよびこれらの混合物があげられる。
【0041】
図2に本発明の保管方法に用いることができる本発明のディスペンサー容器(エアゾール製品)を示す。このディスペンサー容器10は、外部容器11と、上下に収納部を有する内部容器12と、その外部容器の開口部に取り付けられるバルブ13(図4参照)と、そのバルブのステム(図4参照)に取り付けられる吐出部材11aと、前記上下の収納部に充填される内容物A、Bと、外部容器11と内部容器12との間の空間に充填され、各収納部内の内容物を加圧する不活性ガスCとから構成される。外部容器11は従来公知のものであり、有底筒状の胴部14と、その胴部からテーパ状に延びる肩部15と、その肩部の上部に形成されるビード部17を備えたものである。このような外部容器はアルミニウム、ブリキなどの金属板を絞り加工あるいはインパクト成形などにより有底筒状に形成し、その上部をネッキング加工により肩部15を形成し、さらにカーリング加工によりビード部17を形成することにより成形することができる。また、金属薄板を円筒状に溶接し、底部と頭部とを二重巻き締めにより取り付けたスリーピース缶や、合成樹脂、ガラスなど、他の材質のものを用いてもよい。
【0042】
内部容器12は、有底筒状で中央にくびれ部18を有するものであり、他の構成は従来公知のものと同様であり、内部容器の下部19は、外部容器11に収納しやすくするため、底部面積が小さくなるようにテーパ状に設けられている。さらに、上端近辺には肩部が形成され、首部を有し、首部上端にはフランジ部20を有する。前記内部容器12は、前記くびれ部18を介して、上収納部22と下収納部23に分かれており、ディップチューブ30を挿着した隔壁部材21を嵌入することで上収納部22と下収納部23とを区分けすることができる。このような内部容器12として、不活性ガスによって収縮することができるものが好ましく、たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの合成樹脂や合成樹脂の積層物(たとえば:PE/EVOH/PE、PE/NY/PE)、アルミなどの金属箔に合成樹脂をラミネートしたラミネートシートなどの可撓性の薄い材料を用いることが好ましい。
【0043】
前記隔壁部材21は、内容物による劣化が少なく、また成形のしやすさなどの点からポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリアセタールなどの合成樹脂製であることが好ましい。また、その形状は図3aに示されるように、その中心にディップチューブ30を挿着することができる挿着部24を有する円筒状の胴部25と、その胴部の上部にテーパ状に形成されるフランジ部26と、その胴部の下部側面に所定の間隔で円筒状に並んでおり、その端部が半径方向外側に突出した引掛け部28を有する脚部27とを備えている。このように脚部27は円筒状に並んでいるため、半径方向に弾性を示し、その脚部27を内部容器のくびれ部18下部にクリップ嵌合する。これにより隔壁部材21はくびれ部18と脚部27とフランジ部26とで固定される(図3b参照)。つまり、ディップチューブ30を挿着した状態でこの隔壁部材21をくびれ部18に嵌合させると内部容器の下収納部23はディップチューブ30の通路を除いて完全に密閉される。
【0044】
前記バルブ13は、図4aに示すように、外部容器のビード部17にクリンプされるマウンティングカップ31と、そのマウンティングカップの中央に保持されるハウジング32と、そのハウジング32内に上下移動自在に収容され、2つのステム孔39a、39bを有するステム33と、そのステムを上方に付勢させるバネ34とからなる。
マウンティングカップ31は従来公知のものであり、たとえばアルミニウムやブリキなどの金属製であり、内部容器のフランジ部20とガスケット36を介して外部容器のビード部17にクリンプされる湾曲フランジ37と、その中央にはステム33の径よりわずかに大きく形成されている開口部35と、ハウジング32を保持する有底筒状のハウジング保持部38とを有する(図2参照)。
【0045】
ハウジング32は、底部に後述する係合部材46と係合する円筒状の係合部44と、その係合部に通じ、ディップチューブ30を介して下収納部23に連通している連通孔40bと、上部に上収納部22に連通している連通孔40aと、ステム孔39aとステム孔39bを密閉するステムラバー41a、41bと、そのステムラバー41aと41bを支持する固定部材43とからなる。ステム33は、2つのステム孔39a、39bと、それらのステム孔と通じている通路42とを有している。また、ステムラバー41a、41bおよびバネ34は従来公知のものを採用することができる。前記連通孔40a、40bおよびステム孔39a、39bの大きさを調整することで、各収納部からの流量をコントロールすることができ、各収納部に充填されている内容物の吐出量を適切な比率に調整することができる。
【0046】
また、前記ディップチューブ30の長さは、特に限定されないが、該実施の形態ではバルブから内部容器のくびれ部18までであり、前述したように下端が隔壁部材の挿着部24に挿着している。なお、ディップチューブ30は下端が隔壁部材21を貫通してもよく、二重構造のディップチューブを用いて伸縮可能とし、長さを適宜調整してもよい。このようなディップチューブ30としては、内容物に対する耐食性や非浸透性が高い金属(たとえばステンレス)あるいは合成樹脂を用いたり、あるいは前記金属に合成樹脂で表面をコートしたものが好ましい。これにより、ディップチューブが上下の収納部に充填されている内容物と反応することがない。また、ディップチューブ30内に残っている下側の内容物Bとディップチューブ30の外側の上収納部22内の内容物Aがディップチューブ30を浸透して混合されたり、反応することを防止することができる。
【0047】
前記バルブ13は、ステムに装着される吐出部材を指で押し下げると、図4bに示すように、ステム33が下方に移動し、ステム孔39a、39bが開放されて大気と連通し、不活性ガスの圧力によって内容物Aが連通孔40aを経て格納部45aに導入され、また、内容物Bがディップチューブ30、連通孔40bを経て格納部45bに導入される。さらに、内容物Aは格納部45a、ステム孔39aを通じてステム内の通路42に至り、また、内容物Bは格納部45b、ステム孔39bを通じてステム内の通路42に至る。該通路42で内容物AとBは混合されまたは層状の状態で吐出部材11aに移動し、吐出孔より吐出される。なお、吐出部材の操作をやめるとステム孔39a、39bはステムラバー41a、41bにより閉鎖されるため、通路42で混合あるいは接触した内容物が格納部側へ逆流することがなく、反応した内容物による未反応の内容物の劣化を防止でき、より安定に内容物を保管することができる。
【0048】
また、本実施の形態はバルブ13とディップチューブ30の間に係合部材46を有する(図5参照)。この係合部材46は筒状のものであり、前記バルブの係合部44を嵌入し、密閉する上端開口部47と、前記ディップチューブ30を嵌入し、密閉する下端開口部48と、その上下開口部をつなぐ通路49と、下端開口部48から底部面積が拡がるようにテーパ状に設けられ、内部が回転放物面を有する挿入部50とからなる。該係合部材46により、ディップチューブ30を挿着した隔壁部材21を内部容器のくびれ部18に嵌入した後、バルブ13を外部容器11に取り付けるとき、ディップチューブ30の先端を係合部材46の挿入部50に当接させることで、ディップチューブ30を下端開口部48に導くことができ、バルブ13の装着が容易になる(図5b参照)。このときバルブ13は、ディップチューブ30が下端開口部48に完全に嵌入されていないため、外部容器11のビード部よりわずかに浮いており、さらに、バルブ13をクリンプするとき、あるいはクリンプする前にバルブ13を押し下げることで、想像線で示すように、前記通路49内でハウジングの係合部44がディップチューブ30に係合される。
【0049】
さらに、図2に戻って、本実施の形態では外部容器11と内部容器12との間の空間であり、上下収納部間のくびれ部18にガス吸収剤を含むシート29を設けている。該ガス吸収剤により、内容物内で発生し、内部容器12を透過したガスを吸収することができる。その結果、発生したガスが外部容器の内圧を増大させたり、内部容器12を再度透過して他方の内容物を劣化させることを防ぐことができる。なお、内容物中で発生したガスを効率よく吸収するために、内部容器12を透過した気体状態でガス吸収剤と接触できるようにするため、ガス吸収剤を含むシート29は周囲に空間を有するように設けられるのが好ましい。
【0050】
このようなディスペンサー容器10の製造方法として、外部容器11に内部容器12を収納し、内容物Bを充填する。その後、ディップチューブ30が挿着された隔壁部材21を内部容器のくびれ部18に挿入し、内容物Aを充填する。その後、ディップチューブ30が嵌入するように、係合部材46を取り付けたバルブ13を外部容器11に仮取付けを行い、アンダーカップ充填により不活性ガスを充填する。さらに、バルブ13を押し下げ、バルブの湾曲フランジをクリンプすることでディスペンサー容器10を製造することができる。得られたディスペンサー容器10は、ガス発生成分を含む内容物と、ガス発生成分と反応し効果を発揮する有効成分とを含む内容物とを前記内部容器の上下収納部にそれぞれ充填しており、内容物同士が直接接触していないが、ガス発生成分より発生したガスが内部容器を透過して他の内容物と接触しうる状態にあるにもかかわらず、内容物の粘度を前述の範囲とし、さらに、内容物が収納された各収納部を不活性ガスにより前述の範囲で加圧することにより、ガス発生成分から発生するガス量を抑制することができる。これにより製品を長期間安全にかつ安定に保存することができる。
【0051】
次に、図6a、図7a、図8aに前述した図2のディスペンサー容器10に用いることができるバルブの他の形態を示す。図6aのバルブ13aは、それぞれステム孔39a、39bと通じ、別々に外部と連通する通路49a、49bを有するステム33を備えている。他の構成は図4aのバルブ13と同じである。これにより、内容物A、Bは、各収納部から通路49a、49bまでそれぞれ独立する。つまり、図6bのように、ステム33が押し下げられステム孔39a、39bが開かれると、内容物A、Bは、上下収納部から連通孔40a、40b、格納部45a、45b、ステム孔39a、39bさらにステム内通路49a、49bを通ってそれぞれ混合されることなくステムから吐出部材11aへ送られ、吐出部材11aの通路内で混合された状態であるいは各内容物が分離した状態で吐出される。
【0052】
図7aのバルブ13bは、ステム孔39およびそれをシールするステムラバー41を1つ有するものであり、ハウジング32内を壁部材43aにより格納部45aと、45bとに区画しているものである。他の構成は図4のバルブ13と実質的に同じのものである。これにより、バルブ13bは未作動時は、連通孔40aがステムの傾斜面33aによってシールされているため、下収納部から連通孔40bを介して格納部45bまでと、上収納部22から連通孔40aまでとが独立している。吐出部材11a(ステム)を押し下げると図7bのように連通孔40aは開放され、さらに格納部45aと格納部45bとが連通する。内容物A、Bは格納部45aで混合されるが、不活性ガスによってステム方向に押し流されているため、混合された内容物(A+B)は格納部45bや連通孔40aに流れることがなく、混合された内容物が上下収納部22、23まで逆流することを防止することができる。
【0053】
図8aのバルブ13cは、連通孔40a、40bをハウジング32底部に有する。連通孔40aは直接上収納部と連通し、連通孔40bはディップチューブ30を介して、下収納部と連通している。また、それぞれの連通孔40a、40bには逆止弁56が設けられている。この逆止弁56は、連通孔に収容したボール57と、そのボールの抜け出しを防止する抑え板58と、そのボールを下方に付勢するバネ59とから構成されている。これにより、格納部45aで混合された内容物が上下収納部へ逆流することを防ぐことができる。図8bはステム32を押し下げた状態を示しており、逆止弁56が開放されて上下収納部からハウジング32内に内容物A、Bが導入され、格納部45aで混合され、ステムの通路49を通って吐出される。
【0054】
図9aのディスペンサー容器60は、実質的に図2のディスペンサー容器10と同様のものであり、従来公知のスリーピース缶の外部容器11と、中央付近のくびれ部18により上下収納部に区分けされる内部容器12とからなる。
前記外部容器11は、ブリキなどの金属板を円筒状にした胴部14と、中央に開口部を有するドーム型の目金部19aと、底部19bとから構成されている。前記胴部14の上端と下端にそれぞれ目金部19aと底部19bとが巻き締め部17a、17bにより固着されている。
【0055】
また、内部容器のくびれ部18に係合された隔壁部材21が、上面中央から突出し、ディップチューブの下端と摺動自在に嵌合する円筒状の係合部63を備えている(図9b参照)。この係合部63は内面にディップチューブと隔壁部材21との間の軸方向の移動を許してシールするO−リング64を有するものである。この隔壁部材21に挿入されるディップチューブ30は、その長さがバルブ13から隔壁部材21までのものである。さらに、この係合部63においてディップチューブ30は上下に移動可能となるようにディップチューブ30下端と隔壁部材21の本体上面との間に隙間を有するように装着されている。該構成により、内部容器に内容物を充填するときなど、内部容器12に力が加わり、内部容器12が変形してディップチューブ30がはずれることを防止し、また内容物を充填した後、運搬のときまた使用中に落とすなどして、外部容器11に衝撃が加わった場合にディップチューブ30がはずれることを防止することができる。また、この隔壁部材21の下部内面は通路24aに向かってテーパ状に閉じている。このように、隔壁部材21内面がテーパ状に閉じていることで、吐出時の内容物の流れを滑らかにしている。
【0056】
図10のディスペンサー容器70は、従来公知の外部容器11と、内部容器12とからなり、粘度が1,000〜1,000,000(mPa・s)である内容物B、Aを順番に充填したものである。他の構成は実質的に図2のディスペンサー容器10と同じである。該実施の形態では、内容物A、Bは内部容器12内で直接接触するように収納されているが、内容物の粘度を前記範囲内とし、さらに外部容器内の圧力を不活性ガスCにて0.2MPa以上として内容物を加圧することにより、内容物の劣化を防ぎ、長期間その性能を失わずに保存することができる。
【0057】
図11のディスペンサー容器80は、従来公知の外部容器11と、左右に収納部を有する内部容器12と、その内部容器12と外部容器11との間に介在されるバルブ81と、そのバルブ81と内部容器12とをつなぐ連結部材82と、左右の収納部に充填される内容物A、Bと、外部容器11と内部容器12との間の空間に充填される不活性ガスCとを有する。内部容器12は、内部に開口部83から底面まで延びる隔壁84を有する。この隔壁84により内部容器12の内部は左右収納部85a、85bに並列的に区画され、それぞれの収納部に内容物Aと内容物Bが充填されている。これにより内容物Aと内容物Bとは直接接触することはなく、独立して収納することができる。図2のディスペンサー容器は上下に区画された収納部に内容物を充填していたが、該実施の形態のように、左右に区画された収納部に内容物を充填してもよく、この場合も図2のディスペンサー容器と同様に内容物の粘度を前記範囲内とし、内容物を不活性ガスにより0.2MPa以上に加圧することにより、内容物を長期間安定に保存することができる。また、開口部が半円状で、同じ大きさの2つの内部容器を用意し、その弦同士をあわせることで、それらの内部容器の開口部周縁が円となるようにして用いてもよい。
バルブ81は、ハウジング32下端の連通孔86aと、86bとの間に、下方に突出して形成されている係合部86cを有している。他の構成は図8aのバルブ13cと実質的に同じものである。
【0058】
連結部材82は、前記ハウジングの連通孔86a、86bと連通する通路87a、87bと、内部容器の開口部83周縁と係合することができる溝部88aと、内部容器の隔壁84の上端と係合する溝部88bと、前記バルブの係合部86cと係合することができる溝部88cとを有する(図11b参照)。これにより、内部容器の左右収納部85a、85bは連通孔86a、86bを除いて遮断される。また、前述のように開口部が半円状の内部容器を2つ組み合わせる場合、前記溝部88bに半円の弦となる側面の上端を嵌入させてもよく、あるいはそれぞれの内部容器の開口部の形に合わせた溝部を設けてもよい。また、内部容器の開口部83周縁および隔壁84の上端の厚さを溝部88a、88bより若干大きくすることで、強くシールすることができる。
【0059】
図12のディスペンサー容器71は、外部容器11に収納される中袋72と、その中袋に収納される内袋73とからなる内部容器12と、その中袋72と内袋73とに収納される2種類の内容物A、Bと、外部容器11と中袋72との間の空間に充填される不活性ガスCと、それぞれの内容物を独立してハウジング内に導くバルブ13とを有し、従来公知である吐出部材11aとを備えている。該実施の形態では、内容物が充填された中袋内に、他の内容物を充填した内袋を収納しており、内袋内の内容物は中袋内の内容物を介して不活性ガスの圧力を受けることができ、前記実施の形態と同様に内容物を安定に保管することができる。
バルブ13は、ハウジング側部に中袋72と連通可能な側面連通孔74aと、ハウジング底部に内袋73と連通する連通孔74bとを有する。また、連通孔74bの下部には内袋73の開口部と係合する係合部75が突出して設けられており、側面連通孔74bには、図8のバルブ13cと実質的に同じ逆止弁56が設けられている。これにより内容物A、Bは、吐出部材11aを押し下げ、バルブ13を開放することでのハウジング32内に押し出され、混合される。
【0060】
このようなディスペンサー容器71の製造方法は、まず中袋72に内容物Aを充填し、ついで、バルブ13と係合させた内袋73を中袋72に挿入する。このとき内袋73はしぼんでいる。ついで、アンダーカップ充填により、不活性ガスを外部容器11と中袋72との間の空間に充填し、バルブ13を外部容器11にクリンプする。最後にバルブ13から内袋73に内容物Bを充填する。なお、内袋73に内容物を充填した後、バルブの係合部75に内袋73の開口部を係合させ、中袋72に挿入してもよい。この場合は連通孔74bにも逆止弁を設けることができ、ハウジング内で混合された内容物が内袋73に逆流することを防ぐことができる。
【0061】
図13のバルブ76は、1回の吐出操作で一定量吐出することができる定量吐出バルブであり、円筒状のハウジング32と、そのハウジングの下部に取り付けられるタンク77と、さらにそのタンク77の下部に取り付けられ、中袋72と内袋73あるいは上下収納部と連通可能な混合部78と、ハウジング32内を貫通し、上下摺動自在に取り付けられており、混合部78とタンク77との間の通路をシールすることができるステム33とから構成される。
【0062】
前記ハウジング32は、その底部に設けられる連通孔40と、その下部の周囲に設けられる半径方向外側に突出している鍔部79とを有し、その鍔部79の外周端部から下方に延びる円筒状の係止具79aと、その鍔部79の中間部から下方に延びる円筒状の壁79bとからなる。さらに、係止具79aの端部には、第1カギ部79cが形成されている。
前記タンク77は、円筒状の胴部100と、その胴部の上端に設けられた半径方向内側に突出したリップ77aと、側面からテーパ状に上向きに拡がり、タンク77bの内部に向けて想像線で示すように弾性変形することができる第1椀部77bと、その第1椀部77bの端部に形成されるフランジ部77cとからなる。また胴部の上端開口部はハウジングの連通孔40と連通するように設けられている。
前記混合部78は、その上端がタンク77内と連通し、係合できるように突出している係合部101と、その上部に設けられテーパ状に拡がり、半径方向に弾性を有する第2椀部102と、その第2椀部102の上端部はハウジングの第1カギ部79cと係止する第2カギ部103が形成されている。また、この混合部78は底部で内袋73あるいは下収納部と連通可能な連通孔74bと、その側面で中袋72あるいは上収納部と連通可能な側面連通孔74aとを有し、それぞれ連通孔74b、側面連通孔74aには図8のバルブ13aに用いられる逆止弁56が設けられている。さらに、第2椀部102には、その第2椀部102とタンクの第1椀部77bとの間に設けられる空間105と中袋72あるいは上収納部とが常時連通するように通路106が設けられている。
【0063】
タンク77および混合部78のハウジング32への取り付けは、タンクのフランジ部77cをハウジングの係止具79aと壁79bの間に嵌入し、その下から混合部の第2椀部102を半径方向内側に押さえながら嵌入する。これにより、第2椀部102の力を解放すると、第1カギ部79cと第2カギ部103とが係合され、タンク77はハウジング32の下に取り付けられる。
このバルブ76はステム33を押し下げることで、ステムの底部がタンクのリップ77aに嵌入し、タンク77と混合部78とを遮断する。このときタンク77内と大気は連通し、タンク77内は外部容器11内の圧力より小さくなる。これにより、タンク77と、第2椀部102との間の空間105に存在する内容物Aを介して、不活性ガスの圧力がタンク第1椀部77bにかかり、タンク77を内側方向に収縮するように変形させることで、タンク77内にある内容物を吐出することができる。これによりバルブ76はタンク77内に貯蔵された混合内容物を定量吐出することができる。
【0064】
図14のディスペンサー容器90は、内部容器91が図11の内部容器12と同様に、内部に開口部83から底面まで延びる隔壁84を有するものであって、隔壁84の両側面中央にはディスペンサー容器の軸方向に延びる通路92a、92b(図14c参照)とが設けられ、内部容器の内部にその両側面の通路に沿って上下摺動自在である断面半円のピストン部材93a、93b(図14b参照)が収容されている。内部容器の各収納部には内容物A、Bと不活性ガスCとが充填されており、この内容物と不活性ガスはピストン部材によって区画され独立に収納されている。
【0065】
バルブ94は、そのハウジング32の底面に内部容器の隔壁84と係合するように溝部95が設けられており、連通孔88a、88bは、前記隔壁の通路92a、92bに嵌入できるように突出している。その外形は通路の内形と実質的に同じであり、半円である。他の構成はバルブ81と実質的に同じである。
このディスペンサー容器90は、バルブ94を内部容器91に嵌入することで、隔壁84が、バルブの溝部95に嵌入され、バルブの連通孔88a、88bが前記通路92a、92bに挿入され、その連通孔と通路が連通する。このようなディスペンサー容器90においては、内部容器91とピストン部材93a、93bとの間の摩擦は小さいほど好ましい。また、内部容器91は外部容器11の内面に密接させてもよい。
【0066】
このディスペンサー容器90は、外部容器11に内部容器91を収容し、左右収納部85a、85bに内容物を充填した後、それぞれの収納部内に、充填された内容物の上にピストン部材93a、93bを被せ、その上から不活性ガスを充填し、マウンティングカップ31をクリンプすることで製造することができる。このように製造することで内容物はピストン部材93a、93bを介して不活性ガスにより常時矢印方向に0.2MPa以上の圧力を受け、内容物からのガスの発生を抑制することができる。ステム33を押し下げ、バルブ94を開放すると不活性ガスの圧力によりピストン部材93a、93bと内容物を矢印の方向に押し下げ、その内容物を通路92a、92bから連通孔86a、86bを介してバルブのハウジング内へ押し出す。
【0067】
図15に示すディスペンサー容器110は、外部容器11と、その外部容器の上端に設けられるバルブ13と、そのバルブ13のステム33に取り付けられる吐出部材11aと、前記外部容器11に軸方向摺動自在に収容されるピストン111と、上端が前記バルブ13と連通し、下端がピストン111上に保持されている可撓性を備えた連通チューブ112と、外部容器に上下に充填される内容物A、Bと、前記ピストン111の下部空間に充填される不活性ガスCとから構成されている。
前記バルブ13は、たとえば図12のディスペンサー容器71のバルブ13が用いられ、係合部75には連通チューブ112が係合されている。
また、連通チューブ112の下端は、ピストンに保持されており、端部付近に連通チューブ112内と外部容器11の内部とを連通する下端連通孔113を有する。
これにより、吐出部材11aを押し下げ、バルブ13を開放することで、ピストン111が上昇し、上に充填されている内容物Aはバルブの側面連通孔74aを通じてバルブ13内に導入し、下に充填されている内容物Bは下端連通孔113を通じてバルブ13内に導入する。バルブのハウジング32内で混合された内容物は吐出部材の吐出口から吐出される。該実施の形態では、図10のディスペンサー容器と同様に、内容物同士が直接接触しうる状態に収納されているが、ピストンを介して不活性ガスの圧力が両内容物に伝わるため、両内容物を安定に保管できる効果が得られる。
【実施例】
【0068】
内容物として、ガス発生成分(過酸化水素水)を配合した下記の染毛剤用第2剤と、その過酸化水素により酸化されて変色し染毛効果を発揮するパラフェニレンジアミンを配合した下記の染毛剤用第1剤とを用いた。
なお、第1剤、第2剤共に、25℃での各内容物の粘度が8000mPa・sとなるようにヒドロキシエチルセルロースを配合し調整した。
【0069】
第1剤:パラフェニレンジアミン 1.0
レゾルシン 0.5
メタフェニレンジアミン 0.2
パラアミノフェノール 0.5
プロピレングリコール 5.0
セタノール 2.0
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 2.0
ヒドロキシエチルセルロール 適量
香料 微量
28%アンモニア水 適量
精製水 残部
合計 100.0(重量%)
【0070】
第2剤:35%過酸化水素水 15.0
セタノール 2.0
プロピレングリコール 3.0
メチルポリシロキサン 0.5
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 2.0
ヒドロキシエチルセルロール 適量
香料 微量
エデト酸 0.2
精製水 残部
合計 100.0(重量%)
【0071】
上記のように調整した2種類の内容物と、図2に示すアルミニウム製の外部容器11と、PE/EvOH/PE製の内部容器12と、ポリブチレンテレフタレート製の隔壁部材21と、図4に示すバルブ13と、窒素ガスとからディスペンサー容器(2液反応型染毛剤)を製造した。
【0072】
[実施例1] 次のように製造したディスペンサー容器を実施例1とする。内部容器12を外部容器11内に収容した状態で、下収納部23に第2剤を充填し、ディップチューブ30の下端を装着した隔壁部材23を内部容器のくびれ部18に挿入して下収納部23を閉鎖した。ついで上収納部22に第1剤を充填し、ディップチューブ30の上端にバルブの係合部材46を係合させ、バルブ13と外部容器のビード部17との隙間からアンダーカップ充填により窒素ガスを0.3MPaとなるように充填し、バルブ13をクリンプして固着した。
【0073】
[実施例2] 窒素ガスを0.6MPaとなるように充填した他は、実施例1と同じディスペンサー容器を実施例2とする。
【0074】
[実施例3] 上収納部22に第2剤を充填し、下収納部に第1剤を充填した他は実施例1と同様に製造したディスペンサー容器を実施例3とする。
【0075】
[実施例4] 窒素ガスを0.6MPaとなるように充填した他は、実施例3と同様に製造したディスペンサー容器を実施例4とする。
【0076】
[比較例1] 窒素ガスを充填しない他は実施例1と同様に製造したディスペンサー容器を比較例1とする。
【0077】
[比較例2] 窒素ガスを充填しない他は実施例3と同様に製造したディスペンサー容器を比較例2とする。
【0078】
[比較例3] 粘度が100mPa・sである第1剤と第2剤である他は比較例1と同様に製造したディスペンサー容器を比較例3とする。
【0079】
[比較例4] 粘度が100mPa・sである第1剤と第2剤である他は実施例1と同様に製造したディスペンサー容器を比較例4とする。
【0080】
[比較例5] 粘度が100mPa・sである第1剤と第2剤である他は実施例2と同様に製造したディスペンサー容器を比較例5とする。
【0081】
前記実施例1〜4および比較例1〜5を45℃で2週間および6週間保存した保存品を用い、圧力変化の測定、内容物の性能試験および内容物の安定性試験を行った。
ディスペンサー容器の圧力変化は、保存前の外部容器内の圧力と保存後の外部容器内の圧力を測定し、圧力変化を算出した。なお、圧力測定は製品を25℃の恒温水槽に1時間保持した後に行った。内容物の性能試験は、長さ10cmの黒色の毛束に内容物を1g吐出して染毛した。なお、試験評価は、保存前のディスペンサー容器を用いて染毛した毛束との染まり具合を比較した。内容物の安定性試験は、不活性ガスのみを排出してから外部容器を切断し、内部容器内の内容物の外観での変化を目視で判断した。これらの結果をそれぞれ、表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示すように内容物の粘度を特定の範囲とし、内容物に特定の圧力を加えて保管することで、内部容器に含有される過酸化水素の自己分解による昇圧が抑えられ、さらに内容物の性能試験および安定性試験共に優れた結果が得られた。また、実施例1、2と実施例3、4とを比較すると、過酸化水素が含まれる第2剤を下方に充填することで昇圧がより抑えられ過酸化水素の自己分解をさらに抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の保管方法により内容物を保管した保管容器を示す断面側面図である。
【図2】本発明のディスペンサー容器の一実施形態を示す断面側面図である。
【図3】図3aは本発明のディスペンサー容器に用いられる隔壁部材の斜視図であり、図3bはその隔壁部材の断面側面図である。
【図4】図4aは図2に用いられたバルブの断面側面図であり、図4bはそのバルブが開いた状態の断面側面図である。
【図5】図5aは本発明のディスペンサー容器に用いられる係合部材の斜視図であり、図5bはその係合部材の断面側面図である。
【図6】図6aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブの他の実施形態を示す断面側面図であり、図6bはそのバルブが開いた状態の断面側面図である。
【図7】図7aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブのさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図7bはそのバルブが開いた状態の断面側面図である。
【図8】図8aは本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブのさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図8bはそのバルブを開いた状態の断面側面図である。
【図9】図9aは本発明のディスペンサー容器の他の実施形態を示す断面側面図であり、図9bはそのディスペンサー容器に用いられる隔壁部材の断面側面図である。
【図10】本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図11】図11aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図11bはそのディスペンサー容器に用いられる連結部材である。
【図12】図12aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図12bは図12aに用いられるバルブを示す側面断面図である。
【図13】本発明のディスペンサー容器に用いられるバルブの他の実施形態を示す側面断面図である。
【図14】図14aは本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図14bはそのディスペンサー容器に用いられるピストン部材の斜視図であり、図14cはそのディスペンサー容器に用いられる隔壁の断面図である。
【図15】本発明のディスペンサー容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0085】
A、B 内容物
C 不活性ガス
1 保管容器
3 ガスケット
10 ディスペンサー容器
11 外部容器
11a 吐出部材
11b 外部蓋
11c ネジ部
12 内部容器
13、13a、13b、13c バルブ
14 胴部
15 肩部
17 ビード部
17a、17b 巻き締め部
18 くびれ部
19 下部
19a 目金部
19b 底部
20 フランジ部
21 隔壁部材
22 上収納部
23 下収納部
24 挿着部
24a 通路
25 胴部
26 フランジ部
27 脚部
28 引掛け部
29 シート
30 ディップチューブ
31 マウンティングカップ
32 ハウジング
33 ステム
34 バネ
35 開口部
36 ガスケット
37 湾曲フランジ
38 ハウジング保持部
39、39a、39b ステム孔
40a、40b 連通孔
41a、41b ステムラバー
42 通路
43 固定部材
43a 壁部材
44 係合部
45a、45b 格納部
46 係合部材
47 上端開口部
48 下端開口部
49、49a、49b 通路
50 挿入部
56 逆止弁
57 ボール
58 抑え板
59 バネ
60 ディスペンサー容器
61 底部
63 係合部
64 O−リング
70 ディスペンサー容器
71 ディスペンサー容器
72 中袋
73 内袋
74a 側面連通孔
74b 連通孔
75 係合部
76 バルブ
77 タンク
77a リップ部
77b 第1椀部
77c フランジ部
78 混合部
79 鍔部
79a 係止具
79b 壁部
79c 第1カギ部
80 ディスペンサー容器
81 バルブ
82 連結部材
83 開口部
84 隔壁
85a、85b 左右収納部
86a、86b 連通孔
86c 係合部
87a、87b 通路
88a、88b、88c 溝部
90 ディスペンサー容器
91 内部容器
92a、92b 通路
93a、93b ピストン部材
94 バルブ
95 溝部
100 胴部
101 係合部
102 第2椀部
103 第2カギ部
105 空間
106 通路
110 ディスペンサー容器
111 ピストン
112 連通チューブ
113 下端連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用時に混合して使用する互いに活性な2種類の内容物を外部容器内に加圧下で、互いに接触しうる状態で収納する前記内容物の保管方法であって、
前記内容物の粘度が1,000〜1,000,000mPa・sであり、
前記内容物を不活性ガスにより0.2MPa以上に加圧した状態で維持することを特徴とする内容物の保管方法。
【請求項2】
前記外部容器に収納され、前記内容物を収納する内部容器を有する請求項1記載の保管方法。
【請求項3】
前記2種類の内容物が互いに接触および/または混合すると反応し、効果を発揮する反応成分を有している請求項1記載の保管方法。
【請求項4】
前記2種類の内容物が、酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤である請求項2記載の保管方法。
【請求項5】
外部容器と、該外部容器内に収納される内部容器と、該内部容器内に互いに接触しうる状態で収納され、その粘度が1,000〜1,000,000mPa・sである互いに活性な2種類の内容物と、
前記内容物を0.2MPa以上に加圧する不活性ガスと、
前記内容物を同時に吐出する吐出部材を備えているディスペンサー容器。
【請求項6】
前記2種類の内容物が、酸化染料を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤である請求項5記載のディスペンサー容器。
【請求項7】
前記外部容器と内部容器との間にガス吸収剤を備えている請求項5記載のディスペンサー容器。
【請求項8】
前記内部容器が不活性ガスの圧力により収縮する内袋である請求項5記載のディスペンサー容器。
【請求項9】
前記内部容器内に、不活性ガスと、その不活性ガスにより移動するピストンとを備えている請求項5記載のディスペンサー容器。
【請求項10】
前記内部容器が複数の収納部を有する請求項5〜9のいずれかに記載のディスペンサー容器。
【請求項11】
前記内部容器が上下に収納部を有する請求項10記載のディスペンサー容器。
【請求項12】
前記内部容器が上下に収納部を有し、上収納部に第1剤が充填され、下収納部に第2剤が充填されている請求項9記載のディスペンサー容器。
【請求項13】
前記内容物を定量吐出する手段を備えている請求項5〜12のいずれかに記載のディスペンサー容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−105753(P2008−105753A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324365(P2007−324365)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【分割の表示】特願2002−367294(P2002−367294)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】