説明

2液型接着剤の混合塗布方法および混合塗布装置

【課題】 余分な材料を必要とせずにミキサー内での固化を防止できる2液型接着剤の混合塗布方法および混合塗布装置を提供する。
【解決手段】 主剤供給手段15A〜19Aより供給される主剤および硬化剤供給手段15B〜19Bより供給される硬化剤を混合して接着すべきワークWに接着ビードとして塗布する塗布ガンS3を備える2液型接着剤の混合塗布方法において、塗布ガンS3による塗布終了より以前に硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給を停止させ、塗布ガンS3による塗布終了時点で塗布ガンS3内を主剤供給手段15A〜19Aより供給した主剤により満たすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型接着剤を混合しつつ吐出する2液型接着剤の混合塗布方法および混合塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から主剤と硬化剤とからなる2液型接着剤を混合しつつ吐出する2液型接着剤の混合塗布装置は知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
これらは、主剤および硬化剤を収容した原液タンクから夫々規定の量を計量しつつミキサーに供給し、ミキサーでこれら2液を混合させてノズルから接着部位に吐出し、ワーク上に塗布開始から塗布終了まで一定の割合で主剤と硬化剤とが混合された接着ビードを形成するようにしている。また、特許文献1においては、原液タンクは主剤および硬化剤を収容した変形可能な容器を夫々カートリッジに受け入れ、モータによりピストンを移動させて変形可能な容器を夫々押圧して主剤および硬化剤を押出してミキサーに供給するようにしている。
【特許文献1】特開平9−131558号公報
【特許文献2】実公昭59−20343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、混合され、硬化が開始された2液がミキサー内に滞留する構成になっていたため、長時間使用しない場合は、ミキサー内で混合された2液が固化し、ミキサーを交換しないと塗布が再開できない不具合があった。また、この不具合を解消するために、ミキサー内で混合された2液を固化する前にミキサー内からパージ(捨て打ち)させることも考えられるが、パージのために余分な材料を必要とするものであった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、余分な材料を必要とせずにミキサー内での固化を防止できる2液型接着剤の混合塗布方法および混合塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、主剤供給手段より供給される主剤および硬化剤供給手段より供給される硬化剤を混合して接着すべきワークに接着ビードとして塗布する塗布ガンを備える2液型接着剤の混合塗布方法において、塗布ガンによる塗布終了より以前に硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給を停止させ、塗布ガンによる塗布終了時点で塗布ガン内を主剤供給手段より供給した主剤により満たすようにした。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本発明では、塗布ガンによる塗布終了より以前に硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給を停止させ、塗布ガンによる塗布終了時点で塗布ガン内を主剤供給手段より供給した主剤により満たすようにしたため、塗布後長時間放置しても塗布ガン内で接着剤が固化することがなく、また、塗布ガン内をパージすることによる材料の無駄も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の2液混合接着剤の混合塗布方法及びその接着構造体を各実施形態に基づいて説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1〜図5は、本発明を適用した2液型接着剤の混合塗布方法及びその接着構造体の第1実施形態を示し、図1は2液型接着剤の混合塗布装置の概略構成図、図2は2液型接着剤の混合塗布装置の回路構成図、図3は接着対象の一例を示すワークの断面図、図4は主剤および硬化剤の塗布ガンへの供給量の制御パターンを示す特性図、図5は図4の制御パターンによる塗布状態の接着ビードの平面図である。
【0010】
図1および図2において、2液混合接着剤の混合塗布装置は、主剤および硬化剤を夫々供給する2液供給ステージS1と、2液供給ステージS1より供給された主剤および硬化剤を夫々貯留し、要求に応じて計量しつつ圧送する圧送ステージS2と、圧送ステージS2より供給された主剤および硬化剤を混合させて吐出する混合ノズル(塗布ガン)S3と、これら各ステージS1〜S3の動作を制御する混合吐出コントローラC1と、を備える。
【0011】
前記2液供給ステージS1は、主剤および硬化剤を夫々貯留したペール缶10A、10Bに嵌合するピストンを押下げることによりペール缶10A、10B内に収容されている主剤および硬化剤を配管11A、11Bを介して圧送ステージS2の塗布シリンダ15A、15Bに供給可能に構成している。前記各ピストンは混合吐出コントローラC1の指令により動作するアクチュエータ12A、12Bにより押下げ可能としている。配管11A、11Bには逆止弁13A、13Bが装備され、圧送ステージS2に供給された主剤および硬化剤の圧送ステージS2から供給ステージS1への逆流を阻止するようにしている。前記主剤および硬化剤は、ペール缶10で供給され、保管される。
【0012】
前記圧送ステージS2は、ホース16A、16Bを介して混合ノズルS3に連通され、2液供給ステージS1より配管11および逆止弁13を介して供給された主剤および硬化剤を夫々一時的に貯留するシリンダ15A、15Bを備える。各シリンダ15A、15Bにはピストン17A、17Bが摺動自在に嵌合し、ピストンロッド18A、18Bを介してピストン17A、17Bを摺動させるアクチュエータ19A、19Bを夫々備える。各アクチュエータ19A、19Bは混合吐出コントローラC1の指令によりピストン17A、17Bを摺動させてシリンダ15A、15B内の容積を変化可能であり、容積を拡大させることで主剤および硬化剤を2液供給ステージS1より導入すると共に容積を縮小させることで導入した主剤および硬化剤を混合ノズルS3に圧送する。
【0013】
混合ノズルS3は、ホース16A、16Bを介して圧送ステージS2から供給された主剤および硬化剤を導入するマニホールド20と、マニホールド20に連なり導入した主剤および硬化剤を混合させるスタティックミキサー21とを備える。スタティックミキサー21で混合した接着剤は混合ノズルS3の先端からワーク上に吐出して塗布される。
【0014】
マニホールド20には、図示しないが、開閉弁が設けられ、この開閉弁は、マニホールド20とスタティックミキサー21を内蔵した混合ノズルS3が、ハンドガンとして手動で操作される場合には、手動で開閉される。バルブの開閉信号と接着剤の吐出速度の調整信号は混合吐出コントローラC1に送信され、混合吐出コントローラC1により圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bを制御する。
【0015】
また、図1に示すように、マニホールド20とスタティックミキサー21を内蔵した混合ノズルS3を塗布ロボット25により把持させて塗布作業を行う場合には、ロボットアーム26先端のロボットハンドに把持させ、塗布ロボット25の制御コントローラC2により前記開閉弁を開閉制御し、開閉信号と吐出速度の調整信号を塗布ロボット26の制御コントローラC2から前記混合吐出コントローラC1に送信して、混合吐出コントローラC1により圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bを制御する。
【0016】
図3は接着対象であるワークの一例を示し、樹脂パネルで形成したアウターパネルW1および樹脂で成形したインナートリムW2と、補強メンバーとしてのレインフォースメンバーW3とを備えるトランクリッドである。この一例では、レインフォースメンバーW3とインナートリムW2とがリベット等の機械的な固着手段により接合され、インナートリムW2の周縁部分をアウターパネルW1の周縁部分に接着剤Bによる接合が採用されている。このように、トランクリッドのパネル周縁部分同士を接着剤Bにより接合する場合には、インナートリムW2の周縁部分に主剤と硬化剤とを混合した接着剤の接着ビードを塗布し、接着ビードが硬化しない状態でアウターパネルW1を、その周縁部分を接着ビードを介在させて圧着するようにして接合させる必要がある。両パネルW1、W2を接合させた接着ビードは、硬化剤との反応によりそのまま硬化し、硬化剤が含まれておらず主剤のみが塗布されている部分においては、空気中の水分と反応して徐々に硬化する。
【0017】
前記樹脂製のワークWを接着するための主剤および硬化剤としては、以下に限定されるものでないが、例えば、ウレタンポリマー(31Wt%)、カーボンブラック(40Wt%)、炭酸カルシウム(5Wt%)、アジピン酸系可塑剤(15Wt%)、フタル酸系可塑剤(7Wt%)を混合したポリウレタンシーリング材を主剤として使用し、ポリエーテルポリオール(32Wt%)、炭酸カルシウム(66Wt%)、非晶質二酸化珪素である微粉末シリカ(2Wt%)を混合したポリエーテルポリオールを硬化剤として使用することができる。
【0018】
以上の構成の2液型接着剤の混合塗布装置による接着剤塗布動作について以下に説明する。接着剤の塗布においては、先ず、2液供給ステージS1から圧送ステージS2へ主剤および硬化剤の充填がなされる。混合吐出コントローラC1は、2液供給ステージS1のアクチュエータ12A、12Bに対してペール缶10A、10B内の主剤および硬化剤を配管11A、11Bを経由させて圧送ステージS2へ送出させる指令を出力する一方、圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bに対してピストン17A、17Bを後退させて塗布シリンダ容積を増加させる指令を出力する。ペール缶10A、10B内の主剤および硬化剤は、配管11A、11Bおよび逆止弁13A、13Bを経由して塗布シリンダ15A、15B内に充填される。塗布シリンダ15A、15B内に主剤および硬化剤が規定量充填された段階で、この2液供給ステージS1および圧送ステージS2のアクチュエータ12A、12B、19A、19Bの作動が停止される。
【0019】
上記充填工程においては、塗布ロボット25は混合ノズルS3を待機位置とし、ワークハンドリングロボット30により作業ステージの治具上にワークW2を位置決めしてセットし、接合すべきワークW1を搬送するために待機位置に移動する。
【0020】
次いで、塗布ロボット25が混合ノズルS3を治具上にセットされたワークW2の接着剤塗布開始位置に位置決めする。塗布ロボット25のノズル位置信号は、制御コントローラC2より混合吐出コントローラC1に出力される。塗布ロボット25の制御コントローラC2により接着剤の塗布開始指令が出力されると、混合吐出コントローラC1は、圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bに対して主剤および硬化剤の吐出指令を出力する。主剤および硬化剤の塗布シリンダ15A、15Bのピストン17A、17Bがシリンダ容積を縮小させて主剤および硬化剤をホース16A、16Bを介して混合ノズルS3に送出す。混合ノズルS3は、ホース16A、16Bを介して供給された主剤および硬化剤をマニホールド20で合流させ、スタティックミキサー21により両剤を混合させて混合ノズルS3から吐出させる。塗布ロボット25は混合ノズルS3を予め設定した塗布ラインに沿って移動させてワークW2上に接着ビードを形成して接着剤を塗布してゆく。塗布ロボット25のノズル移動速度は制御コントローラC2により制御され、混合吐出コントローラC1により圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bにより塗布シリンダ15A、15Bから混合ノズルS3へ供給している主剤および硬化剤の供給量に対応して調整される。
【0021】
塗布ロボット25による接着剤の塗布が完了すると、制御コントローラC2は塗布終了信号を混合吐出コントローラC1に出力し、混合吐出コントローラC1は圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bの作動を停止させ、混合ノズルS3からの接着剤の吐出を停止させる。制御コントローラC2は塗布ロボット25により把持している混合ノズルS3を待機位置に退避させる。次いで、ワークハンドリングロボット30により接合すべきワークW1を把持して治具上の接着剤が塗布されたワークW2に対して位置決めし、両ワークW1、W2を圧着させる。両ワークW1、W2を接合させた接着ビードは、硬化剤との反応によりそのまま硬化し、硬化剤が含まれておらず主剤のみが塗布されている部分においては、空気中の水分と反応して徐々に硬化する。次いで、ワークハンドリングロボット30は、接合したワークWを搬出して、次工程に搬送させ、ワークWの接着作業を終了する。
【0022】
以下、同様にして、ワークハンドリングロボット30により新たなワークW2を治具上に位置決めしてセットする。塗布ロボット25の混合ノズルS3を塗布開始位置に移動させ、塗布開始指令を出力し、混合吐出コントローラC1により圧送ステージS2のアクチュエータ19A、19Bを作動させ、混合ノズルS3より規定された接着剤を吐出させ、塗布ラインに沿って接着剤を塗布してゆく。このようにして、各工程を繰返すことで、ワークWを順次接着してゆくことができる。
【0023】
上記塗布工程において、混合吐出コントローラC1は、塗布シリンダ15A、15Bによる主剤および硬化剤の圧送方法として、図4に示す制御パターンで圧送ステージS2の各アクチュエータ19A、19Bを制御する。主剤は接着剤の塗布開始aから塗布終了dまでの全吐出領域で一定の吐出流量により混合ノズルS3に圧送するようアクチュエータ19Aを連続させて動作させるも、硬化剤は接着剤の塗布開始aから塗布終了dの手前の時点eまで混合ノズルS3に圧送するようアクチュエータ19Bを動作させる。即ち、時点eから塗布終了dまでは、主剤のみが混合ノズルに圧送される。この時点eから塗布終了dまでの間に圧送した主剤は、混合ノズルS3のマニホールド20およびスタティックミキサー21内に導入され、専らマニホールド20およびスタティックミキサー21内の混合された主剤および硬化剤の混合接着剤を混合ノズルS3内から押出すよう機能する。従って、接着剤の塗布終了時点dでは、混合ノズルS3内は主剤で充満されることとなる。接着剤の塗布終了時点dで混合ノズルS3から混合された主剤および硬化剤の混合接着剤が確実に吐出されてしまうようにするためには、塗布終了時点dの手前からマニホールド20およびスタティックミキサー21の容積分だけ主剤のみを圧送する必要があるが、主剤および硬化剤の混合接着剤が混合ノズルS3内に残さないようにするために、多少多めの主剤を供給することは有効である。この場合には、塗布終了時点dで供給した主剤の先行分が混合ノズルS3から若干吐出されるように時点eを前倒しするように設定する。
【0024】
他方、得られる接着ビードは、図5に示すように、塗布開始の時点aでは、混合ノズルS3内のマニホールド20およびスタティックミキサー21内の先行する塗布工程において満たされている主剤が先ず吐出され塗布される。即ち、塗布開始時点aで塗布シリンダ15A、15Bの主剤および硬化剤を所定割合で同時に混合ノズルS3に供給しても、混合ノズルS3から吐出され塗布されるのは混合ノズルS3内に充満されている主剤のみとなる。混合ノズルS3内に充満されている主剤が供給された主剤および硬化剤の混合物により押出されて吐出されて塗布された時点b後は、主剤と硬化剤との混合物が吐出され塗布される。そして、塗布終了時点dの直前の時点cにおいて、主剤と硬化剤との混合物の吐出および塗布が完了し、時点cから終了時点dまでは主剤のみが吐出され塗布される。
【0025】
時点eの硬化剤の供給停止のタイミングは、マニホールド20およびスタティックミキサー21の容積と単位長さ当たりの塗布量とから、混合ノズルS3の塗布ストロークを求め、この塗布ストローク分だけ、塗布ロボット25の塗布終了位置の手前の塗布位置に時点eを設定することで、自動的に上記作動を行わせることができる。
【0026】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0027】
(ア)主剤供給手段15A〜19Aより供給される主剤および硬化剤供給手段15B〜19Bより供給される硬化剤を混合して接着すべきワークWに接着ビードとして塗布する塗布ガンS3を備える2液型接着剤の混合塗布方法において、塗布ガンS3による塗布終了より以前に硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給を停止させ、塗布ガンS3による塗布終了時点で塗布ガンS3内を主剤供給手段15A〜19Aより供給した主剤により満たすようにした。このため、塗布後長時間放置しても塗布ガンS3内で接着剤が固化することがなく、また、塗布ガンS3内をパージすることによる材料の無駄も防止できる。
【0028】
(イ)塗布ガンS3による塗布開始時には、主剤供給手段15A〜19Aよりの主剤と硬化剤供給手段15B〜19Bよりの硬化剤とを塗布ガンS3に供給して、塗布ガンS3内に充満されている主剤を塗布ガンS3から接着ビードとして吐出してワークWに塗布し、その後に、主剤供給手段15A〜19Aより供給される主剤および硬化剤供給手段15B〜19Bより供給される硬化剤を混合して接着すべきワークWに接着ビードとして塗布するようにしたため、塗布ガンS3内に充満された主剤についてもワークWに塗布されることにより水分等でも十分な固化特性が得られ、材料のロス発生を防止できる。また、硬化速度が遅い方が適した部位を持つワークでは、その部位から塗布開始させることでワークに最適な接着が可能となる。
【0029】
(ウ)硬化剤供給手段15B〜19Bよりの硬化剤の供給停止タイミングは、塗布ガンS3の内容量と単位長さ当たりの塗布量とから予めパラメータとして設定することにより、複雑な設定をすることなく、容易かつ確実に、塗布パターンの設定が可能となる。
【0030】
(エ)塗布ガンS3による塗布終了時点の直前に塗布ガンS3からワークWに主剤のみが塗布されるよう硬化剤供給手段15B〜19Bよりの硬化剤の供給停止タイミングを設定することにより、硬化剤が混合された接着剤の塗布ガンS3内への残留を確実に排除でき、より確実に塗布ガンS3内の接着剤硬化を防止できる。
【0031】
(第2実施形態)
図6は、本発明を適用した2液型接着剤の混合塗布方法の第2実施形態を示す塗布ガンの概略断面図である。本実施形態においては、圧送ステージと混合ノズルとを一体に形成して両者間を連通させていたホースを削減するようにしたものである。なお、第1実施形態と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0032】
図6において、本実施形態の2液型接着剤の混合塗布装置は、混合ノズルS3のマニホールド20に直接連通させて主剤および硬化剤の塗布シリンダ15A、15Bを配置している。各塗布シリンダ15A、15Bには、第1実施形態と同様に、ピストン17A、17Bが摺動自在に挿入され、アクチュエータ19A、19Bによりピストンロッド18A、18Bを介してピストン17A、17Bの摺動位置をコントロールし、塗布シリンダ15A、15Bのシリンダ容積を可変に制御する。塗布シリンダ15A、15Bは、逆止弁13A、13Bおよび図示しないホースを介して2液供給ステージS1に連通させている。
【0033】
以上の構成にように、混合ノズルS3と圧送ステージS2とを一体化させた塗布ガンS4においては、移動させる装置として大型となるため、塗布ロボット25により保持させてワークWへの塗布作業を行わせたり、予め移動軌跡を記憶させた移動装置に保持させて塗布作業を行うことが望ましい。そして、第1実施形態と同様に、ハンドリングロボット30によりワークWをハンドリングさせ、塗布ロボット25により塗布ガンS4を作動させ、混合吐出コントローラC1により圧送ステージS2および2液供給ステージS1の各アクチュエータ12A、12B、19A、19Bを制御することで、ワークWへの接着ビードの塗布およびワークWの接着を行うことができる。なお、塗布工程の主剤および硬化剤の吐出の制御パターンは、第1実施形態と同様に行わせることができる。
【0034】
以上の構成の2液型接着剤の混合塗布装置では、圧送ステージS2と混合ノズルS3とが近接しているため、ホース等の配管による圧力損失を生ずることなく圧送ステージS2から混合ノズルS3に主剤および硬化剤を供給することができ、主剤と硬化剤の供給量および混合比率を高精度に制御することができる。
【0035】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)〜(エ)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
【0036】
(オ)主剤供給手段15A〜19Aより供給する主剤および硬化剤供給手段15B〜19Bより供給する硬化剤を混合して接着すべきワークWに接着ビードとして塗布する塗布ガンS3と、塗布ガンS3から接着剤を吐出させつつ塗布ガンS3をワークWの接着剤塗布ラインに沿って移動させてワークW上に接着ビードを形成する塗布手段25と、を備える2液型接着剤の混合塗布装置において、前記主剤供給手段15A〜19Aおよび硬化剤供給手段15B〜19Bは、塗布手段25に保持させて塗布ガンS3近傍に配置したため、ホース等の配管による圧力損失を生ずることなく圧送ステージS2から混合ノズルS3に主剤および硬化剤を供給することができ、主剤と硬化剤の供給量および混合比率を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示す2液型接着剤の混合塗布装置の概略構成図。
【図2】同じく2液型接着剤の混合塗布装置の回路構成図。
【図3】接着対象の一例を示すワークの断面図。
【図4】主剤および硬化剤の塗布ガンへの供給量の制御パターンを示す特性図。
【図5】図4の制御パターンによる塗布状態の接着ビードの平面図。
【図6】本発明の第2実施形態を示す2液型接着剤の混合塗布装置の塗布ガンの概略断面図。
【符号の説明】
【0038】
S1 2液供給ステージ
S2 圧送ステージ
S3 混合ノズル、塗布ガン
S4 塗布ガン
W ワーク
10A、10B ペール缶
11A、11B 配管
12A、12B、19A、19B アクチュエータ
13A、13B 逆止弁
15A、15B 塗布シリンダ
20 マニホールド
21 スタティックミキサー
25 塗布ロボット、塗布手段
30 ハンドリングロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤供給手段より供給される主剤および硬化剤供給手段より供給される硬化剤を混合して接着すべきワークに接着ビードとして塗布する塗布ガンを備える2液型接着剤の混合塗布方法において、
前記塗布ガンによる塗布終了より以前に硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給を停止させ、塗布ガンによる塗布終了時点で塗布ガン内を主剤供給手段より供給した主剤により満たすようにしたことを特徴とする2液型接着剤の混合塗布方法。
【請求項2】
前記塗布ガンによる塗布開始時には、主剤供給手段よりの主剤と硬化剤供給手段よりの硬化剤とを塗布ガンに供給して、塗布ガン内に充満されている主剤を塗布ガンから接着ビードとして吐出してワークに塗布し、
その後に、主剤供給手段より供給される主剤および硬化剤供給手段より供給される硬化剤を混合して接着すべきワークに接着ビードとして塗布するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の2液型接着剤の混合塗布方法。
【請求項3】
前記硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給停止タイミングは、塗布ガンの内容量と単位長さ当たりの塗布量とから予めパラメータとして設定することを特徴とする請求項1から請求項2に記載の2液型接着剤の混合塗布方法。
【請求項4】
前記塗布ガンによる塗布終了時点の直前に塗布ガンからワークに主剤のみが塗布されるよう硬化剤供給手段よりの硬化剤の供給停止タイミングを設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の2液型接着剤の混合塗布方法。
【請求項5】
主剤供給手段より供給する主剤および硬化剤供給手段より供給する硬化剤を混合して接着すべきワークに接着ビードとして塗布する塗布ガンと、塗布ガンから接着剤を吐出させつつ塗布ガンをワークの接着剤塗布ラインに沿って移動させてワーク上に接着ビードを形成する塗布手段と、を備える2液型接着剤の混合塗布装置において、
前記主剤供給手段および硬化剤供給手段は、塗布手段に保持させて塗布ガン近傍に配置したことを特徴とする2液型接着剤の混合塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−68700(P2006−68700A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258160(P2004−258160)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】