説明

2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法

【課題】本発明は、ポリイミド製造に適した高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を、不活性ガス雰囲気下、180〜195℃で、無水化を完了するのに十分な時間、加熱して無水化することを特徴とする粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド原料として有用な2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法に関し、特にo−フタル酸ジエステルの二量化反応により生成した反応液から、高純度で効率よく製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある。)および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある。)は、共に芳香族ポリイミド製造のモノマー原料として知られている。特に、s−BPDAをモノマー成分とするポリイミドは、耐熱性、電気絶縁性、フィルム強度、フィルムの寸法安定性、耐溶剤性等の特性に優れるために需要が大きく、高純度のモノマーを効率よく製造する方法が検討されてきた。しかし、a−BPDAについては、高純度で効率のよい製造方法は知られていない。また、a−BPDAとs−BPDAは、同じ芳香族ジアミンを用いても得られるポリイミドの物性は全く異なる。従って、a−BPDAとしてはs−BPDAを含まない高純度品が求められる。
【0003】
例えば、特公平6−2715号公報(特許文献1)には、o−フタル酸ジエステルの二量化反応により生成した反応液から、未反応物および高沸点生成物を除去した後、メタノール等のアルコールを溶媒として晶析操作により高純度の3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル(以下、s−BPTTと略記することもある。)を、その異性体である2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル(以下、a−BPTTと略記することもある。)から分離して得る方法が記載されている。s−BPTTは、例えば特公平6−96570号公報(特許文献2)に記載されているように、濃硫酸の存在下、無水状態で加熱してs−BPDAとすることができる。しかし、前記特許文献1には、副生成物のa−BPTTから高純度のa−BPDAを得る方法は記載されていない。
【0004】
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル(a−BPTT)を主生成物として得る方法としては、特開2003−113143号公報(特許文献3)には、特定の触媒の存在下でo−フタル酸ジエステルを二量化させることで、a−BPTT/s−BPTT比率の高い反応液が得られることが記載されている。さらに、同文献には、a−BPTTを加水分解した後、高温で加熱して無水化することで、a−BPDAが得られると記載されているが、製造プロセスについては具体的な記載は一切ない。
【特許文献1】特公平6−2715号公報
【特許文献2】特公平6−96570号公報
【特許文献3】特開2003−113143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討では、a−BPDAの純度が不十分であると、もう一方のモノマーであるジアミンと反応させたときに、得られるポリアミック酸の重合度が上がらず、イミド化して得られるポリイミドの性能が劣ることがわかった。従って、a−BPDAの純度を上げることは極めて重要である。特に、o−フタル酸ジエステルの二量化反応から出発して、高純度のa−BPDAを効率よく得ることは、工業的な観点からも極めて重要である。さらに、a−BPDAを粉末状で効率よく得ることも、工業的な観点から極めて重要である。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、高分子量のポリアミック酸製造に適した高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明の1態様では、o−フタル酸ジエステルの二量化反応により生成した反応液から、効率よく、高純度のa−BPDAを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の事項に関する。
【0008】
1. 2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を、不活性ガス雰囲気下、180〜195℃で加熱し無水化することを特徴とする粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法。
【0009】
2. 前記の加熱無水化前に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の水分含有量を10%以下とすることを特徴とする上記1記載の方法。
【0010】
3. 2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを含有する反応生成混合物の有機溶媒溶液から、晶析操作により純度95%以上の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの結晶を得る晶析工程と、得られた結晶を加水分解して、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得る工程と、得られた2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を、加熱し無水化する工程とを有し; 得られた2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを、等モル量にてN−メチルピロリドン溶媒中、モノマー濃度10質量%、25℃にて、4.5時間重合して得られるポリアミック酸の対数粘度が1.0以上となることを特徴とする粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法(但し、前記対数粘度は、N−メチル−2−ピロリドン溶液、濃度0.5g/100mL、30℃にて測定したものである)。
【0011】
4. 前記の無水化工程が、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の水分含有量を10%以下とした後、不活性ガス雰囲気下、ヘンシェルミキサーを用いて、無水化を完了するのに十分な時間、180〜195℃で加熱することで行われることを特徴とする上記3記載の方法。
【0012】
5. 前記晶析工程が、純度95%以上の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル結晶を得る第1段晶析サブ工程と、得られた結晶を有機溶媒に溶解するサブ工程と、さらに高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル結晶を得る第2段晶析サブ工程とを有することを特徴とする上記3または4記載の方法。
【0013】
6. 前記加水分解が、酸またはアルカリを使用することなく、加圧下で加熱して行われることを特徴とする上記3〜5のいずれかに記載の方法。
【0014】
7. 前記加水分解が、温度150〜250℃、圧力0.2〜3MPaの条件で行われることを特徴とする上記6記載の方法。
【0015】
8. 前記加水分解後、晶析法により2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の結晶を得ることを特徴とする上記6または7記載の方法。
【0016】
9. 前記反応生成混合物が、o−フタル酸ジエステルの二量化反応による反応生成物から得られることを特徴とする上記3〜8のいずれかに記載の方法。
【0017】
10. 前記反応生成混合物中の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの含有量が10質量%〜95質量%であり、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル/2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの比率が0.5以下であることを特徴とする上記3〜9のいずれかに記載の方法。
【0018】
11. 2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物中の不純物含有率が0.6質量%以下であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の方法。
【0019】
12. 2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物中の鉄分の含有率が1ppm以下であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の方法。
【0020】
13. 粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のメジアン粒子径が、100μm以下であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の方法。
【0021】
14. 粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のメジアン粒子径が、50μm以下であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高分子量のポリアミック酸製造に適した高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)を製造する方法を提供することができる。
【0023】
また、本発明の1態様によれば、o−フタル酸ジエステルの二量化反応により生成した反応液から、高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)を効率よく製造することができる。
後述する実施例で明らかなように、本発明は、a−BPDAを特に粉末状で得るのに極めて適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明で使用する主要な略記は、次のとおりである。
【0025】
a−BPTT:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル
s−BPTT:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル
a−BPTA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
s−BPTA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
s−BPDA:3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
以下の説明では、必要により両者を併記する。
【0026】
本発明の1態様は、
(1)a−BPTTを含有する反応生成混合物(粗ダイマー)を得る工程、
(2)a−BPTTの晶析工程、
(3)加水分解工程、および
(4)無水化工程
の各工程を有しており、以下、典型的な連続工程を例にとって説明する。
【0027】
<反応生成混合物(粗ダイマー)の製造>
晶析工程に供給するa−BPTT(2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル)を含有する反応生成混合物は、炭素数1〜5程度のアルコールに由来するo−フタル酸ジエステルの二量化反応により得られる反応液を、適宜処理して得られるものである。尚、a−BPTTは、o−フタル酸エステルのダイマーであるので、明確のために、「反応生成混合物(粗ダイマー)」と表記する場合もある。
【0028】
この工程を図1のフローチャートを参照しながら説明する。o−フタル酸ジエステルの二量化反応(S1)は公知であり、例えば二価パラジウム塩を含む触媒の存在下、好ましくは溶媒の不存在下で分子状酸素を含む気体を反応系に供給しながら加熱する。反応生成物混合液中には、通常、a−BPTTおよびs−BPTTの他に、未反応o−フタル酸ジエステルに加え、トリ酸成分であるビフェニルトリカルボン酸誘導体類、三量化物、樹脂状物等の副反応物が含まれる。
【0029】
通常の操作では、ろ過等により反応液から触媒の残さを除いた後(S2)、蒸留操作(S3)により低沸分と高沸分を除去する。低沸分は主として未反応のo−フタル酸ジエステルである。未反応のo−フタル酸ジエステルは、ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル(s−体、a−体とも)を溶解するので、o−フタル酸ジエステルの含有量が1.0%以下になるように留去することが好ましい。回収されたo−フタル酸ジエステルは再利用される。次いで、蒸留によりa−BPTTおよびs−BPTTを含有する蒸留液を系外に取り出す。この操作により三量化物、樹脂状物等の高沸点生成物が除去される。連続工程で蒸留操作を行うときに、複数の蒸留装置を使用した少なくとも2回の蒸留工程、必要により3回またはそれ以上の蒸留工程で行われる。
【0030】
低沸分および高沸分を除去した混合液には、少なくともa−BPTTおよびs−BPTTが含まれているが、その比率は二量化触媒の種類、反応条件等によって異なる。s−体の取得を主目的とした製造工程から、副生産物としてa−体を取得するような場合は、s−BPTTが多量に含まれているので、s−BPTTを晶析させて除去する(S4)。s−BPTTの晶析操作は、後述するa−BPTTの晶析工程に準じて行うことができる。ここで得られたs−BPTTはそれ自体、ポリイミド原料のs−BPDAの原料として使用される。晶析母液から、次の蒸留工程(S5)で溶媒を回収した後、さらに精留工程(S6)で、a−BPTTを含む低沸分を蒸留で分離する。蒸留缶液にはs−BPTTが含まれるので、これからs−BPTTがさらに回収される。
【0031】
この一連の工程では、精留工程(S6)からの留出液が、次のa−BPTT晶析工程に供給される反応生成混合物(粗ダイマー)となる。留出液中には、a−BPTTの他に、s−BPTT、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸トリエステル、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸トリエステル等が含まれる。次のa−BPTTの晶析工程で、効率よく晶析操作が行えるためには、a−BPTTの含有量が全量に対して30質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは35質量%以上、特に40質量%以上である。尚、a−BPTTの含有量が高い方が好ましいが、一般的には95質量%以下である。
【0032】
また、存在するs−BPTTが多く存在すると、次のa−体の晶析工程でs−体の結晶が析出してくるので、s−体が少ない方が好ましい。s−体/a−体比で表したときに、その比は少なくとも1未満、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.2以下である。
【0033】
このような組成の反応生成混合物(粗ダイマー)が、次のa−BPTT晶析工程に供給されるが、このような組成範囲のものであれば、特に上記の工程で得られらたものに限られない。
【0034】
即ち、上記の説明では、二量化反応で得られるBPTT(ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル)のうちで、s−体の含有量が高い場合について説明したが、二量化反応で得られるs−体/a−体の比率は、触媒、反応条件等を変更することで変化する。従って、二量化反応後の反応生成物の組成に従って、処理手順を変更してもよい。
【0035】
例えば、a−BPTTの含有量が多い場合は、二量化反応後に蒸留(S3)により低沸分、高沸分を除いた後、s−体の晶析を行うことなく、精留操作(S6)を行って、a−BPTTを主成分とする「反応生成混合物(粗ダイマー)」を得ることもできる。さらに、二量化反応で得られるBPTTのa−体/s−体比が大きいときは、蒸留操作(S3)で高沸分、低沸分を除いた液を、「反応生成混合物(粗ダイマー)」として、次のa−BPTT晶析工程に使用してもよい。
【0036】
<a−BPTTの晶析工程>
次に、上記の反応生成混合物(粗ダイマー)から晶析工程によりにa−BPTTの結晶を取り出す。即ち、反応生成混合物(粗ダイマー)に晶析用溶媒を添加した溶液からa−BPTTの結晶を析出させる。取り出すa−BPTT結晶の純度は、好ましくは純度95%以上、特に好ましくは純度98%以上、最も好ましくは純度99%以上であり、工程条件を適切に設定することにより達成することができる。
【0037】
晶析工程の1実施形態として、連続式の2段晶析を例にとって図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
連続式の工程では、反応生成混合物(粗ダイマー)がラインにより送られ、晶析用溶媒と混合される(S21)。反応生成混合物(粗ダイマー)が蒸留工程の留出液である場合は、比較的高温(例えば100〜140℃程度)を保ちながら連続で送られてくるので、必要により晶析用溶媒を加温して添加するか、または混合後の液を加温して混合液が溶液状態となるようにする。
【0039】
次に、この溶液を第1段晶析装置に導入する(S22)。晶析装置は、例えば混合槽型の晶析槽であり、滞留している槽内液の容積と、供給量、抜き取り量の関係で、液の平均滞留時間が定められる。晶析槽は、所定の晶析温度に保つように冷却されており、a−BPTTを含有する溶液が晶析槽に導入されると滞留している晶析槽内液によりただちに冷却されて、結晶析出が起こる。結晶析出後の液は、晶析槽内液として槽内に滞留した後、次の分離工程(S23)に送られる。
【0040】
結晶を含む液は、分離工程(S23)において、例えば遠心分離機により結晶と母液に分離される。得られた結晶は、純度95%以上、特に98%以上であることが好ましく、精a−BPTT(refined a−BPTT)として、第2段晶析に使用する。
【0041】
次に、精a−BPTT結晶に溶媒を加え加温して溶解した後(S24)、第2段晶析を行う(S25)。さらに、結晶を分離して(S26)、高純度(好ましくは約純度99%以上)のa−BPTTを得る。晶析装置および操作、並びに分離装置および操作は、第1段晶析および分離工程と同様に行うことができる。尚、結晶を分離した後の母液は、蒸留(S27)にて溶媒を回収し、固形分残分を精a−BPTTと一緒にして再度第2段晶析に使用してもよい。
【0042】
以上のような晶析操作において、晶析用溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素数1〜6の低級アルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルセロソルブ、ニトロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、酢酸メチル、エタノール・エーテル混合物などの有機溶媒を挙げることができる。特に、炭素数1〜4の低級アルコールであって、a−BPTT中のアルコキシ基を与えるアルコールと同一のものが好ましく、メタノールが最も好ましい。
【0043】
晶析用溶媒の添加割合、および晶析の温度等の条件は、溶媒の溶解度を勘案して適宜設定することができる。
【0044】
晶析の対象混合物{上記例では、反応生成混合物(粗ダイマー)または精a−BPTT}と晶析用溶媒との比率については、容量比で、例えば対象混合物1に対して、晶析用溶媒が1以上、好ましくは2以上であり、また処理量を考慮すると通常は500以下、好ましくは100以下である。晶析溶媒がアルコール(最も好ましくはメタノール)の場合、容量比で、対象混合物1に対して、通常は1〜100、好ましくは1〜30であり、特に好ましくは2〜20であり、最も好ましくは2〜10である。
【0045】
前述の例のように、2段晶析を行うときは、第2段の溶媒割合を第1段より大きくすることも好ましい。第1段における反応生成混合物(粗ダイマー)/溶媒比は、好ましくは1/1〜1/100、特に好ましくは1/1〜1/20、その中でも特に1/2〜1/10、最も好ましくは1/2〜1/7であり、第2段における精a−BPTT/溶媒比は、好ましくは1/1〜1/30、特に1/2〜1/20、最も好ましくは1/3〜1/10である。低級アルコールを使用した典型的な例では、第1段で1/1.5〜1/7(特に1/2〜1/7)の間とし、第2段で1/2.5〜1/10(特に1/3〜1/10)である。
【0046】
また冷却前の溶液温度、および晶析温度(冷却温度)も溶媒によって適宜設定することができる。晶析温度(冷却温度)は、操作上の観点から好ましくは0℃〜80℃、さらに好ましくは10℃〜60℃である。晶析溶媒としてアルコール(最も好ましくはメタノール)を使用する場合は、好ましくは10℃〜60℃、さらに好ましくは20℃〜50℃、最も好ましくは25℃〜50℃である。前述の実施形態のように2段晶析を行う場合の典型的な例では、第1段の晶析温度が10〜50℃、第2段の晶析温度が20〜60℃である。第2段の温度を高くすることが好ましい。
【0047】
また、晶析前の溶液温度は、晶析温度より通常は10℃以上高いことが好ましく、特に15℃以上高いことが好ましく、また実用的には80℃を越えて高くないこと、特に60℃を超えて高くないことが好ましい。典型的には、15〜40℃程度高いことが好ましい。
【0048】
前述の実施形態では、2段晶析を例に説明したが、1段晶析または3段以上(例えば3〜5段)の多段晶析とすることもできる。しかしながら、1段晶析では十分な純度を得ることが通常は難しい場合が多い。また、条件を適切に設定することで、通常は2段で実用的な純度が得られるので、3段以上にするメリットは少ない。
【0049】
また晶析操作として、混合槽型の晶析槽を用いて説明したが、どのような装置でもよく、連続法でなくてもバッチ式で行ってよい。例えばバッチ式で行う場合は、晶析槽に溶液を供給し、徐々に晶析温度まで冷却して、必要により種晶を投入して結晶を析出させる。1例を挙げると、例えば第1段晶析では60℃の溶液を徐々に冷却して、晶析温度(例えば25℃)になったときに種晶を投入して結晶を析出させ、1〜10時間程度熟成させた後に結晶を分離する。続いて、第2段では、第1段で得た結晶に溶媒を加えて、例えば60℃で溶解した後、溶液を徐々に冷却し、50℃程度で種晶を投入して結晶を析出させ、さらに30〜45℃程度で1〜10時間程度熟成させて結晶を分離する。
【0050】
また、分離工程も遠心分離に限らず、ろ過により分離することもできる。
【0051】
<加水分解工程>
加水分解工程(図3参照)では、晶析工程で得られた高純度のa−BPTT(2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル)を加水分解して、高純度のa−BPTA(2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸)を得る工程である。
【0052】
加水分解方法は、公知の方法を採用することができるが、本発明では、特に酸またはアルカリを添加せずに、好ましくは純水のみを添加して、加圧下で加熱して、好ましくはアルコールを留去しながら加水分解する方法が好ましい(S31)。この方法では、酸、アルカリ等の不純物を添加しないことから、高純度のa−BPTAを得ることができる。
【0053】
具体的には、前の晶析で得られた純a−BPTTと純水を容量比で例えば1/1〜1/10で反応槽に仕込み、反応温度を例えば150〜250℃、圧力を例えば0.2〜3MPaとして、さらに純水を反応槽にフィードしながら、同程度の量を反応気相部より留去させ、同時にエステルから脱離するアルコールを反応系から除去する。純水のフィードの総量は、特に制限はないが、例えば仕込み純a−BPTTの5〜30倍、特に6〜15倍とする。
【0054】
加水分解の後、水溶液からのa−BPTAの取得は、晶析法(S32)で行うことが好ましい。例えば、反応終了後、晶析槽にて冷却を行い、例えば50℃にて種晶を投入し、40℃に保持した後、遠心分離を行ってa−BPTAの結晶を分離取得する。a−BPTAの取得を晶析法で行うことで、s−体等の不純物がさらに減少し、極めて高純度のa−BPTAを得ることができる。
【0055】
以上の一連の工程では、a−BPTTの晶析工程により高純度のa−BPTTが得られ、酸またはアルカリを用いない加水分解と晶析法によってさらに純度が向上したa−BPTAが得られる。このような高純度の原料を次の無水化工程に送ることができるので、最終のa−BPDAの純度を向上させることができる。
【0056】
<無水化工程>
次の無水化工程(図4)は、a−BPTA(2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸)を無水化して、a−BPDA(2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を得る工程である。本発明者の検討では、a−BPDAの無水化率も含めた純度が低いと、これを原料とするポリアミック酸、さらにはポリイミドの性能が低下する。
【0057】
本発明では、まずa−BPTAを、無水化の前に水分を十分に乾燥することが好ましい。無水化する前の水分含有量が多い場合には、結果として得られるポリアミック酸、さらにはポリイミドの性能が低下する。これは、明確な理由は不明であるが、無水化率が低下しているものと考えられる。本発明では、a−BPTAの水分含有量が10%以下、特に5%以下になるように乾燥することが好ましい(S41)。さらに、水分含有量を4.5%以下、特に4%以下とすることが好ましい。
【0058】
前の工程で加水分解後に晶析して得られたa−BPTAを、例えば常圧または減圧状態にて、50〜180℃にて、好ましくは約1〜20時間、混合機を使用して乾燥して、水分を10%以下、特に5%以下にすることができる。
【0059】
次いでa−BPTAの加熱無水化(S42)は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素ガス流通下にて、温度180〜195℃、好ましくは185〜195℃にて行う。加熱温度が低い場合には、得られたa−BPDAを原料とするポリアミック酸、さらにはポリイミドの性能が低下する。これは主として、無水化が十分に進行していないためと考えられる。また、加熱温度が高すぎる場合には、脱炭酸により副生するトリ酸成分(例えばビフェニルトリカルボン酸の一無水物等の誘導体)を含む不純物が多くなり、得られたa−BPDAを原料とするポリアミック酸、さらにはポリイミドの分子量が低くなる問題が発生する。また、加熱時間は適宜設定することができるが、例えば2〜30時間、好ましくは2〜20時間加熱することで行うことができる。典型的な例では、195℃で2〜15時間である。
【0060】
a−BPTAの無水化のための加熱は、攪拌装置、好ましくはヘンシェルミキサーを使用し、a−BPTAおよび得られるa−BPDAをかき混ぜながら実施することが好ましい。ヘンシェルミキサーは約100〜約500rpm、特に約200〜400rpmの回転数で運転することが好ましい。温度は接触式熱伝対で測定される平均温度である。加熱は熱媒体とヘンシェルミキサーの回転数により制御され行われる。
【0061】
乾燥から無水化まで一連の工程で行うことも可能であり、例えば乾燥後、徐々に温度を上昇させ、上記の所定の無水化温度範囲内で所定時間保持すればよい。
本発明の乾燥および無水化工程を通して、a−BPTAおよび得られるa−BPDAは、このましくは粉末、通常は結晶粉末の状態である。
【0062】
以上のようにして得られるa−BPDAは、白色粉末で高純度であり、これを原料とすることで、分子量が高いポリアミック酸、さらには、耐熱性、機械的特性に優れたポリイミドが得られる。特に、(1)晶析操作により純度95%以上(好ましくは98%以上、特に99%以上)のa−BPTT結晶を得て、(2)好ましくは酸またはアルカリを使用することなく、加圧下で加熱して加水分解し、(3)好ましくは晶析法でa−BPTAを得て、無水化工程に送り、(4)好ましくは水分を10%以下、特に5%以下に低減した後に、(5)加熱無水化を行う、という一連の製造方法によれば、高純度のa−BPDAを生産性よく製造することができ、これを原料とすることで、分子量が高いポリアミック酸、さらには、耐熱性、機械的特性に優れたポリイミドが得られる。本発明により製造されたa−BPDAを用いると、標準条件(後述する)で得られるポリアミック酸の対数粘度ηが1.以上、好ましくは1.2以上、特に1.3以上と分子量が高いもの(通常は3以下)が容易に得られる。
【0063】
また、本発明の製造方法では、不純物の含有率が0.6質量%以下のa−BPDAが、特に粉末状で容易に得られる。尚、ここでいう不純物は、a−BPDAおよびa−BPTA以外の成分であり、通常の条件で含有される不純物としては、トリ酸成分、例えばビフェニルトリカルボン酸一無水物等のビフェニルトリカルボン酸に由来する誘導体が多く含まれ、その他高分子量物などが含まれる。また、本発明の1態様によれば、鉄分の含有率が1ppm以下の高純度a−BPDAが、特に粉末状で容易に得られる。好ましくは、本発明で得られるa−BPDA粉末は、メジアン粒子径100μm以下、特に50μm以下であり(通常は3μm以上)、従ってポリアミック酸組成物を得るために、良好な工程通過性・適合性を示す。
【実施例】
【0064】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0065】
<ポリアミック酸の対数粘度(η)の測定方法>
「標準条件で得られるポリアミック酸」とは、a−BPDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを、等モル量にてN−メチルピロリドン溶媒中、モノマー濃度10質量%、25℃にて、4.5時間重合して得られるポリアミック酸をいう。各実施例、比較例では、サンプルのa−BPDAを標準条件にて重合した。そしてポリアミック酸の溶液(0.5g/100mLのN−メチル−2−ピロリドン溶液)を作り、30℃にて、キャノンフェンスケ型の粘度計を使用して上線から下線までの通過時間を測定(t1とする)する。続いて、溶媒のみの通過時間を測定する(t0とする)。このときの対数粘度(η)は次式であらわされる。
対数粘度={ln(t1/t0)}/溶液濃度
注:lnは自然対数
【0066】
a−BPDA粉末の粒子径は、分散媒として水を用いて超音波で粉末を分散させ、レーザー回折/散乱粒度分布測定装置(モデル:LA−910,ラボラトリーズ株式会社)を使用して測定した。
【0067】
<実施例1>
酢酸パラジウム/オルトフェナントロリン/酢酸銅=2/2/0.5(モル比)の組成の触媒を使用して、o−フタル酸ジメチルの二量化反応を行った。反応液から複数回の蒸留により低沸分と高沸分を除去し、さらに晶析溶媒としてメタノールを使用してs−BPTTを晶析して除去した後、メタノールを蒸留して除去後、精留してa−BPTT(この場合は、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチル)を約40%含有している反応処理液(粗ダイマー;s−体/a−体=0.1/1)を留出させた。
【0068】
留出した反応処理液(粗ダイマー)は、120℃程度である。ライン内にて、120L/Hの反応処理液(粗ダイマー)に対して、50℃に加温したメタノールを420L/Hの量にて混合し、25℃に外部から温度コントロールされた滞留時間8時間程度の晶析槽に連続的に供給し、a−BPTTの結晶を析出させた。晶析槽から結晶を含有する槽内液を抜き出し、遠心分離機に送り結晶と母液に分離した。得られたa−BPTT結晶の純度は98.5%、収率40%であった。
【0069】
供給量120L/H(リットル/時間)の98.5%純度の精a−BPTTに対して、メタノールを供給量600L/Hにて添加して加温溶解し、40℃に温度コントロールされた滞留時間6時間程度の晶析槽に供給して、連続晶析を実施した。
【0070】
析出した結晶を含む槽内液を遠心分離機に送り、結晶を分離した。得られた結晶の純度は99.5%、収率50%であった。
【0071】
得られた純度99.5%の純a−BPTT1000Lと純水3000Lを反応槽に混合し、反応温度200℃、圧力1.5〜2.0MPa、純水のフィード量300L/Hにて、48時間加水分解反応を行った。得られた加水分解液を50℃まで冷却し、種晶を投入して結晶を析出させた。結晶含有液を遠心分離機に送り、40℃にて遠心分離して結晶を分離取得した。得られたa−BPTA結晶の純度は、99.7%で、収率は100%であった。
【0072】
得られたa−BPTA結晶を150℃で3時間乾燥し水分5%以下になったa−BPTAを、ヘンシェルミキサーを備えた加熱装置(回転数300〜350rpm)を用いて窒素気流中で195℃、6時間無水化を実施し、白色粉末のa−BPDA得た。乾燥および無水化の9時間の工程中、a−BPTAおよびa−BPDAは結晶粉末のままであった。得られたa−BPDA(総合収率20%)を液体クロマトグラフィーで評価した結果、面積百分率純度99.7%であった。また、ジアミノジフェニルエーテルとの重合物(=ポリアミック酸)の対数粘度(=η)は、1.4であった。また、鉄分含有率は0.1ppmであった。
【0073】
<実施例2>
o−フタル酸ジメチルの二量化触媒として、酢酸パラジウム/酢酸銅=2/20(モル比)の組成の触媒を使用し、二量化反応を行った。反応液から複数回の蒸留により低沸分と高沸分を除去した後、精留してa−BPTTを約70%含有している反応処理液(粗ダイマー)を留出させた。
【0074】
その後、実施例1と同一条件で、2段晶析により純a−BPTTを得、加水分解、無水化を経て白色粉末のa−BPDAを得た(総合収率27.5%)。尚、a−BPTTの2段晶析の際の第1段目晶析の収率が55%であった以外は、その他の純度、ポリアミック酸の対数粘度は実施例1同様であった。
【0075】
<実施例3>
第2晶析の濾液からメタノールを留去させた残部を第1晶析のa−BPTTとあわせ、第2晶析原料として用いた。他は実施例1と同様な方法で、白色粉末のa−BPDAを得た。その結果、総合収率は、36%になり、純度99.7%であった。また、ジアミノジフェニルエーテルとの重合物(ポリアミック酸)の対数粘度(η)は1.4であった。
【0076】
<実施例4>
実施例1のうち、1段晶析終了の状態で加水分解を行った後、無水化した他は実施例1と同様な方法で、白色粉末のa−BPDAを得た。総合収率は39%と上昇したが、純度は98.5%であり、ジアミノジフェニルエーテルとの重合物(ポリアミック酸)の対数粘度(η)は1.15であった。
実施例2〜4で得られたa−BPDA粉末の鉄分含有率は、0.1ppmであった。また、実施例1〜4で得られたa−BPDA粉末をレーザー回折/散乱測定器により測定したところ、各粉末は、メジアン粒子径39μmであった。
【0077】
<比較例1>
実施例1のうち、無水化の温度を170℃にした他は実施例1と同様な方法で、a−BPDAを得た。純度(a−BPTAまたはa−BPDAの合計)は99.7%であり、ジアミノジフェニルエーテルとの重合物(ポリアミック酸)の対数粘度(η)は0.2と極端に低下した。
【0078】
<比較例2>
実施例1のa−BPTA製造工程で得られたa−BPTAの一部を用いて熱風循環型の加熱機を利用して、窒素雰囲気下210℃、15時間無水化を実施し、白色の塊状のa−BPDAを得た。この塊状物を乳鉢で粉砕して白色粉末を得たが、粒径が不ぞろいであった。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】o−フタル酸エステルを二量化して、a−BPTTを含有する反応生成混合物を得る工程を示すフローチャートである。
【図2】a−BPTTを含有する反応生成混合物から、2段晶析により純a−BPTTを得る工程を示すフローチャートである。
【図3】純a−BPTTからa−BPTAを得る工程を示すフローチャートである。
【図4】a−BPTAからa−BPDAを得る工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を、不活性ガス雰囲気下、180〜195℃で、無水化を完了するのに十分な時間、加熱して無水化することを特徴とする粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法。
【請求項2】
前記の加熱無水化前に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の水分含有量を10%以下とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを含有する反応生成混合物の有機溶媒溶液から、晶析操作により純度95%以上の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの結晶を得る晶析工程と、
得られた結晶を加水分解して、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得る工程と、
得られた2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を、加熱し無水化する工程とを有し、
得られた2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを、等モル量にてN−メチルピロリドン溶媒中、モノマー濃度10質量%、25℃にて、4.5時間重合して得られるポリアミック酸の対数粘度が1.0以上となることを特徴とする粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法(但し、前記対数粘度は、N−メチル−2−ピロリドン溶液、濃度0.5g/100mL、30℃にて測定したものである)。
【請求項4】
前記の無水化工程が、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の水分含有量を10%以下とした後、不活性ガス雰囲気下、ヘンシェルミキサーを用いて、無水化を完了するのに十分な時間、180〜195℃で加熱することで行われることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記晶析工程が、純度95%以上の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル結晶を得る第1段晶析サブ工程と、
得られた結晶を有機溶媒に溶解するサブ工程と、さらに高純度の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル結晶を得る第2段晶析サブ工程とを有することを特徴とする請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記加水分解が、酸またはアルカリを使用することなく、加圧下で加熱して行われることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解が、温度150〜250℃、圧力0.2〜3MPaの条件で行われることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記加水分解後、晶析法により2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の結晶を得ることを特徴とする請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記反応生成混合物が、o−フタル酸ジエステルの二量化反応による反応生成物から得られることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記反応生成混合物中の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの含有量が10質量%〜95質量%であり、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル/2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの比率が0.5以下であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物中の不純物含有率が0.6質量%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物中の鉄分の含有率が1ppm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のメジアン粒子径が、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
粉末状の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のメジアン粒子径が、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−328040(P2006−328040A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281571(P2005−281571)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】