説明

21位の芳香族リンカーを介して硝酸エステルに結合したグルココルチコイド類および眼科におけるそれらの使用

本発明は、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンおよびベクロメタゾンのニトロオキシ誘導体、それらの製造方法、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患および黄斑を治療するためのこれらの化合物および組成物の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロイド類のニトロオキシ誘導体、それらの製造方法、これらの化合物を含む医薬組成物、およびこれらの化合物類の使用方法ならびに眼疾患、とりわけ糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑の治療のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
網膜は、目の一部であり、光に対して敏感である。黄斑は、我々が読んだり顔を認識することを可能にする網膜の一部である。黄斑の疾患、例えば加齢黄斑変性症および糖尿病性黄斑浮腫は、失明の原因の主な割合を占める。
【0003】
これらの疾患を治療するため、失明性障害に対するその効果のために種々の薬剤が調査された。
【0004】
今のところ、外科的処置、例えば硝子体内注射もしくは眼窩周囲注射を介して、または全身経路を介して黄斑および網膜に、これらの薬剤が送達される。外科的手法は、しばしば反復注射を必要とし、眼内炎、網膜剥離および硝子体出血を含む重篤な眼の合併症に至ることもある。同様に、全身投与は、様々な全身性副作用の可能性に関連し、かつ網膜への薬剤の治療レベルの送達の困難性に関連する。
【0005】
近年、レザー治療で効果がない、びまん性黄斑浮腫の治療での硝子体内投与のトリアムシノロンアセトニドの効果の報告が多数あった。
【0006】
しかしながら、硝子体内のトリアムシノロン注射は多くの眼の合併症に関係する。硝子体内トリアムシノロン治療の合併症は、ステロイド誘発性眼圧上昇、白内障発生、術後感染眼内炎および非感染性眼内炎ならびに疑似眼内炎を含む。
【0007】
現在の化学療法において、主な効果としてステロイド類および炭酸脱水素酵素阻害剤が、対症療法において用いられている。しかし、それらの有効性は確立しておらず、それらの長期投与は、白内障、ステロイド誘発性眼圧上昇、緑内障および感染症の発症に至り、したがって糖尿病のような慢性疾患におけるこれらの薬剤の連続使用は、その状況において困難である。
【0008】
欧州特許公報EP 0929565号は、一般式B−X1−NO2 (式中、Bは、ステロイド残基、特にヒドロコルチゾンを含み、X1は、ベンジル環、アルキル鎖またはエーテルである二価の連結橋(connecting bridge)である)の化合物類を開示している。その化合物類は、眼障害の治療に用いられ得る。
【0009】
欧州特許公報第EP 1475386号は、式A−B−C−NO2(式中、Aはステロイド残基を含み、B−Cは、抗酸化剤残基を含む二価の連結橋である)の化合物類を開示している。その化合物類は、酸化的ストレスおよび/または内皮機能不全の治療に用いられ得る。
【0010】
開示された化合物類において、抗酸化剤リンカーは、エステル結合を形成しているカルボキシ基を介してステロイドの21-OHに結合している。
【0011】
国際出願第WO 03/64443号は、一般式B−X1−NO2(式中、Bは、ステロイド残基を含み、X1は、ベンジル環または複素環式リンカーである二価の連結橋である)の化合物類を開示している。その化合物類は、眼疾患の治療に用いられ得る。
【0012】
国際出願第WO 07/025632号は、式R−Z−X−ONO2(式中、R−Xは、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンバリレートまたはプレドニゾロンエチルカルボネート残基を含み、X1は、芳香環、アルキル鎖、エーテル、フェルラ酸、バニリン酸または複素環である二価の連結橋である)の化合物類を開示している。その化合物類は、皮膚または粘膜疾患および特にアトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎および乾癬の治療に用いられ得る。
【0013】
F. Galassiら、Br J Ophthalmology、2006、90、1414-1419は、ウサギにおける実験的なコルチコステロイド誘発性緑内障のモデルにおいて、デキサメタゾン 21-[(4-ニトロオキシメチル)]ベンゾエートの効果を開示している。NO放出性デキサメタゾンを1日2回局所投与し、その結果は、その化合物が、眼圧上昇を予防し得ること、眼球後方の血行の障害を予防し得ること、コルチコステロイド類を用いる局所治療により誘発される可能性がある毛様体における形態学的変化を予防し得ることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許公報EP 0929565号
【特許文献2】欧州特許公報第EP 1475386号
【特許文献3】国際出願第WO 03/64443号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】F. Galassiら、Br J Ophthalmology、2006、90、1414-1419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
炎症性疾患を治療するためのステロイド類のニトロオキシ誘導体を提供することは、本発明の1つの目的である。
【0017】
眼疾患、特に糖尿病性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑の予防または治療用のステロイド類のニトロオキシ誘導体を提供することは、本発明のもう1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの目的は、式(I):
【化1】

[式中、
【0019】
R1はOHであり、R2はCH3であるか、またはR1およびR2は一緒になって、式(II):
【化2】

の基であり、
R3は水素原子またはFであり、かつR4はFまたはClであるが、
但し:
− R1がOHであり、かつR2がCH3であるときは、R3は水素原子であり;
− R1およびR2が一緒になり、式(II)の基であるときは、R4はFであり;
R1、R2、R3およびR4は、αまたはβ位で、ステロイド構造の17、16、6および9位における炭素原子に結合しており;
【0020】
Rは:
【化3】

[式中、
【0021】
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10 アルキレンであり;好ましくはR5は、直鎖状C1〜C6アルキレンであり;
【0022】
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはR6は、Hまたは-CH3であり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはそれぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
【0023】
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり、好ましくはR9はHまたは-CH3であり;
nは、0〜6の整数であり;好ましくはnは0または1であり;
oは、1〜6の整数であり;好ましくはoは2〜4の整数であり、より好ましくはoは2であり;
pは、1〜6の整数であり;好ましくはpは1〜4の整数であり;より好ましくはpは1または2であり;
【0024】
qは、0〜6の整数であり;好ましくはqは0〜4であり、より好ましくは0または1であり;
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである);
である]から選択される]
【0025】
但し、R1およびR2が、互いに一緒になって、式(II):
【化4】

の基であり、
R4がFであり、R3が水素原子であり、そして
Rが、Yが-R5-CH(ONO2)R6であり、R6がHである式(III)の化合物である式(I)の化合物を含まない]
の化合物またはその塩もしくは立体異性体である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】VEGF-誘発性ラットにおける測定された網膜漏出:対照、化合物(1)およびその対応するステロイドコア、フルオシノロンアセトニド(FC)で処置した
【図2】図1aから導かれたFCおよび化合物(1)により結果として生じた漏出の百分率阻害
【図3】VEGF-誘発性ラットにおける測定された網膜漏出:対照、化合物(18)およびその対応するステロイドコア、トリアムシノロンアセトニド(TAAC)で処置した
【図4】図2aから導かれた化合物(18)およびその対応するステロイドコア、トリアムシノロンアセトニド(TAAC)
【図5】Brown Norwayラットにおいて硝子体内に投与された化合物(1)に対するフルオノシノロンアセトニドのインビボIOP効果
【図6】Brown Norwayラットにおいて硝子体内に投与されたフルオシノロンアセトニド(FC)、化合物(1)および化合物(1)のデスニトロ誘導体のインビボIOP効果
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のその他の態様において、式(I):
【化5】

[式中、
R4はFであり、R3はFであり、および
【0028】
R1およびR2は、互いに一緒になって、式(II):
【化6】

の基であり、
R1、R2、R3およびR4は、α位で、ステロイド構造の17、16、6および9位における炭素原子に結合しており;
【0029】
【化7】

[式中、
【0030】
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
【0031】
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10アルキレンであり;好ましくはR5は、直鎖状C1〜C6アルキレンであり;
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはR6は、Hまたは-CH3であり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはそれぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
【0032】
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキル、好ましくはR9はHまたは-CH3であり;
nは、0〜6の整数であり;好ましくはnは0または1であり;
oは、1〜6の整数であり;好ましくはoは2〜4の整数であり、より好ましくはoは1であり;
pは、1〜6の整数であり;好ましくはpは1〜4の整数であり;より好ましくはpは1または2であり;
qは、0〜6の整数であり;好ましくはqは0〜4であり、より好ましくは0または1であり;
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである)である;
である]から選択される]
の化合物が提供される。
【0033】
本発明のその他の態様において、式(I):
【化8】

[式中、
R1およびR2は、互いに一緒になって、式(II):
【0034】
【化9】

の基であり、
R1、R2およびR4は、α位で、ステロイド構造の17、16および9位における炭素原子に結合しており;
【化10】

[式中、
【0035】
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10アルキレンであり;好ましくはR5は、直鎖状C1〜C6アルキレンであり;
【0036】
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはR6は、Hまたは-CH3であり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはそれぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキル、好ましくはR9はHまたは-CH3であり;
【0037】
nは、0〜6の整数であり;好ましくはnは0または1であり;
oは、1〜6の整数であり;好ましくはoは2〜4の整数であり、より好ましくはoは2であり;
pは、1〜6の整数であり;好ましくはpは1〜4の整数であり;より好ましくはpは1または2であり;
qは、0〜6の整数であり;好ましくはqは0〜4であり、より好ましくは0または1であり;
【0038】
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである)である;
である]から選択される]
の化合物が提供される。
【0039】
本発明のその他の態様において、式(I):
【化11】

[式中、
R1はOHであり、R2はCH3であり、R3は水素原子であり、そしてR4はFであり、
R1およびR4は、α位で、ステロイド構造の17および9位における炭素原子に結合しており、R2は、β位で、ステロイド構造の16位における炭素原子に結合しており;
【0040】
Rは:
【化12】

[式中、
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
【0041】
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10 アルキレンであり;好ましくはR5は、直鎖状C1〜C6アルキレンであり;
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはR6は、Hまたは-CH3であり;
【0042】
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはそれぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキル、好ましくはR9はHまたは-CH3であり;
nは、0〜6の整数であり;好ましくはnは0または1であり;
【0043】
oは、1〜6の整数であり;好ましくはoは2〜4の整数であり、より好ましくはoは2であり;
pは、1〜6の整数であり;好ましくはpは1〜4の整数であり;より好ましくはpは1または2であり;
qは、0〜6の整数であり;好ましくはqは0〜4であり、より好ましくは0または1であり;
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである);
である]から選択される]
の化合物が提供される。
【0044】
本発明のその他の態様において、式(I):
【化13】

[式中、
R1はOHであり、R2はCH3であり、R3は水素原子であり、そしてR4はClであり、
R1およびR4は、α位で、ステロイド構造の17および9位における炭素原子に結合しており、R2は、β位で、ステロイド構造の16位における炭素原子に結合しており;
【0045】
Rは:
【化14】

[式中、
【0046】
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
【0047】
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10 アルキレンであり;好ましくはR5は、直鎖状C1〜C6アルキレンであり;
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはR6は、Hまたは-CH3であり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;好ましくはそれぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
【0048】
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキル、好ましくはR9はHまたは-CH3であり;
nは、0〜6の整数であり;好ましくはnは0または1であり;
oは、1〜6の整数であり;好ましくはoは2〜4の整数であり、より好ましくはoは2であり;
pは、1〜6の整数であり;好ましくはpは1〜4の整数であり;より好ましくはpは1または2であり;
qは、0〜6の整数であり;好ましくはqは0〜4であり、より好ましくは0または1であり;
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである);
である]から選択される]
の化合物が提供される。
【0049】
好ましいRは:
【化15−1】

【0050】
【化15−2】

である。
【0051】
本発明のその他の態様において、以下の群:
【化16−1】

【0052】
【化16−2】

【0053】
【化16−3】

【0054】
【化16−4】

から選択される化合物が提供される。
【0055】
本発明のその他の態様において、炎症性疾患を治療するための式(I)の化合物が提供される。
本発明のその他の態様において、眼疾患、特に糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑を治療するための式(I)の化合物が提供される。好ましい化合物は、上記の式(I)の化合物である。
【0056】
本発明のその他の態様において、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症、および網膜のその他の疾患ならびに黄斑、特に糖尿病性黄斑浮腫の予防における、または治療における使用のための、R1およびR2が、互いに一緒になって、式(II):
【0057】
【化17】

の基であり、
R4がFであり、R3が水素原子であり、そしてRは、Yが-R5-CH(ONO2)R6であり、R6がHである式(III)の化合物である式(I)の化合物を含む、式(I)の化合物が提供される。好ましい化合物は、式(18)
【0058】
【化18】

の化合物である。
【0059】
本発明のさらにその他の態様において、式(I)の化合物および/またはその塩もしくは立体異性体の医薬的有効量ならびに少なくとも硝子体内投与または眼窩周囲投与のために好適な形態にある眼科的に許容な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0060】
用語「賦形剤」は、本発明の化合物(類)以外のいかなる成分を説明するために本明細書中で用いられている。賦形剤の選択は、例えば特定の投与方法、安定性に対する賦形剤の効果および投与形態の特性のような因子に多いに依存する。
【0061】
本発明のその他のさらなる態様において、本発明の化合物が、眼科的に許容なビヒクルにおける懸濁液またはエマルジョンとして投与される医薬組成物が提供される。
【0062】
医薬的用途のために意図される本発明の化合物は、結晶質または非晶質の製品として投与され得る。医薬的用途のために意図される本発明の化合物は、単独でまたは本発明の1以上の他の化合物との組み合わせで投与され得る。
【0063】
糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑の治療または予防のための薬剤としての本発明の化合物の有用性は、従来のアッセイにおける化合物の活性により実証された。
【0064】
合成法
1) 一般式(I)の化合物(ここで、R1、R2、R3およびR4は、上記で定義したとおりであり、基Rは、式(III)および(IV)(ここで、Yは、上記で定義したとおりである)において定義したとおりである)の化合物は:
【0065】
1.1) 式(V):
【化19】

[式中、R1、R2、R3およびR4は、上記で定義したとおりであり、Wは、HまたはC(O)-Clである]
の化合物を、式(VII)または(VIII):
【0066】
【化20】

[式中、Yは、上記で定義したとおりであり、
【0067】
W1は、Wが-C(O)-Clである場合にはHであるか、または
W1は、WがHである場合には-C(O)-Clもしくは-CO-O-Ra(ここで、Raは、ペンタフルオロフェニルまたは4-ニトロフェニルである)であり、P1は、is a ジオール保護基、例えばアセタール、例えばp-メトキシベンジリデン、ブチリデンおよびT. W. Greene "Protective groups in organic synthesis"、Harvard University Press、1980、第2版に記載されているものである]
の化合物と反応させることにより得ることができる。
【0068】
1.1.a) 式(VII)または(VIII)(ここで、W1は-C(O)-Clである)の化合物との、式(V)(ここで、WはHである)の化合物の反応、または
式(VII)または(VIII)(ここで、W1はHである)の化合物との、式(V)(ここで、Wは-C(O)-Clである)の化合物の反応は、有機塩基、例えばN,N-ジメチルアミノピリジン (DMAP)、トリエチルアミン、ピリジンの存在下に実施され得る。反応は、不活性な有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、-20℃〜40℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で実施される。反応は、時間範囲30分〜36時間以内で完了する。
【0069】
1.1.b) 式(VII)または(VIII)(ここで、W1は-C(O)-O-Ra(ここで、Raは上記で定義したとおりである)である)の化合物との、式(V)(ここで、WはHである)の化合物の反応は、触媒、例えばDMAPの存在下またはDMAPおよびルイス酸、例えばSc(OTf)3もしくはBi(OTf)3の存在下に実施され得る。反応は、不活性な有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、-20℃〜40℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で実施される。反応は、時間範囲30分〜36時間以内で完了する。
【0070】
1.2) T. W. Greene "Protective groups in organic synthesis"、Harvard University Press、1980、第2版に記載の方法に従って、工程1.1.a)または1.1.b)で得られる化合物を任意に脱保護する。テトラヒドロフラン中の塩酸は、アセタール保護基を除去するために好ましい方法である。
【0071】
式(V)の化合物の製造
2) 式(V)の化合物(ここで:
- WはHであり、R1はOHであり、R2はCH3であり、R3は水素原子であり、R4はFまたはClであり;
- またはWはHであり、R3は水素原子もしくはFであり、R4はFであり、かつ
R1およびR2は、一緒になって式(II):
【化21】

の基である)の化合物は、市場で入手できる。
【0072】
2.1)
式(V)の化合物(ここで、Wは-C(O)-Clまたは-CO-O-Raであり、R1、R2、R3およびR4は上記で定義したとおりである)は、対応する市販の式(V)の化合物(ここで、WはHである)から、文献で公知の方法を用いて得ることができる。
式(VII)または(VIII)の化合物の製造
【0073】
3) 式(VII)または(VIII)の化合物(ここで、W1はHであり、P1は上記で定義したとおりであり、そして
Yは:
-R5-CH(ONO2)R6
-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
(ここで、R5、R6、R9、o、pおよびqは、上記で定義したとおりである)である)は、以下のようにして製造され得る:
【0074】
3.1.a) 式(IX)または(X):
【化22】

[式中、Pはヒドロキシ保護基、例えばシリルエーテル類、例えばトリメチルシリルもしくはtert-ブチル-ジメチルシリルまたはトリチルおよびT. W. Greene "Protective groups in organic synthesis"、Harvard University Press、1980、第2版に記載されたものであり、P1は上記のとおりである]
【0075】
の化合物を、縮合剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド 塩酸塩(EDAC)、N,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下、任意の塩基、例えばDMAPの存在下に、式(XI)または(XII):
HO-R5-CH(Q)R6 (XI)
【0076】
または
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(Q)R9 (XII)
(ここで、R5、R6、R9、o、pおよびqは上記で定義したとおりであり、QはONO2またはQ1(ここで、Q1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシル基またはトシル基である)である)の化合物と反応させることによる。
【0077】
反応は、不活性な有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、-20℃〜50℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で実施される。反応は、時間範囲30分〜36時間以内で完了する;
【0078】
3.1.b) 上記のとおりの式(IX)または(X)の化合物を、有機塩基、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたは無機塩基、例えば炭酸もしくは水酸化アルカリ、炭酸カリウム、炭酸セシウムの存在下に、不活性な有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、-20℃〜40℃好ましくは5℃〜25℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で、式(XIII)または(XIV):
W3-R5-CH(Q)R6 (XIII)
【0079】
または
W3-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(Q)R9 (XIV)
(ここで、R5、R6 R9、o、p、q および Q は上記で定義したとおりであり、そしてW3はCl、BrまたはIである)の化合物と反応させることによる。反応は、時間範囲1〜8時間以内に完了する。W3が、塩素または臭素の間から選択される場合には、反応はヨウ素塩、例えばKIの存在下に実施される。
【0080】
3.1.c) 式(IXa)または(Xa):
【化23】

[式中、PおよびP1は上記で定義したとおりであり、Rbはペンタフルオロフェニル、4-ニトロフェニルまたはt-(N-スクシイミジル)である]
の化合物を、触媒、例えばDMAPの存在下またはDMAPおよびルイス酸、例えばSc(OTf)3もしくはBi(OTf)3の存在下に、式(XI)または(XII):
HO-R5-CH(Q)R6 (XI)
【0081】
または
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(Q)R9 (XII)
(ここで、R5、R6、R9、o、pおよびqは上記で定義したとおりである)
の化合物と反応させることによる。
反応は、不活性な有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、-20℃〜40℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で実施される。反応は、時間範囲30分〜36時間以内で完了する。
【0082】
3.1.d) 式(IXb)または(Xb):
【化24】

[式中、PおよびP1は上記で定義したとおりである]
の化合物を、有機塩基、例えばN,N-ジメチルアミノピリジン (DMAP)、トリエチルアミンまたはピリジンの存在下に、式(XI)または(XII):
HO-R5-CH(Q)R6 (XI)
【0083】
または
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(Q)R9 (XII)
(ここで、R5、R6、R9、o、p、qおよびQは上記で定義したとおりである)
の化合物と反応させることによる。
反応は、不活性な有機溶媒、例えばN,N’-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサンまたは-20℃〜40℃の温度におけるポリハロゲン化脂肪族炭化水素中で実施される。反応は、時間範囲30分〜36時間以内で完了する。
【0084】
3.2) 工程3.1.a)〜3.1.d)において得られた化合物(ここで、QはQ1である)を、好適な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、DMF中、ナイトレート源、例えば硝酸銀、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛または硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルはC1-C10アルキルである)と反応させることによる。反応は暗闇中、室温〜溶媒の沸点の温度で実施した。
【0085】
あるいは、AgNO3との反応は、アセトニトリルまたはTHFのような溶媒中、約100〜180℃の範囲の温度で、時間範囲約1〜60分間超音波照射下に行われ得る。好ましいナイトレート源は、硝酸銀であり、そして
【0086】
3.3) T. W. Greene "Protective groups in organic synthesis"、Harvard University Press、1980、第2版に記載の方法に従って、ヒドロキシ保護基Pを任意に除去する。フッ素イオンは、シリルエーテル基を除去するための好ましい方法である。
【0087】
4) 式(VII)または(VIII)の化合物(ここで、W1はHであり、P1は上記で定義したとおりであり、そして
Yは、
-R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、R5、R9、R7、R8、o、pおよびqは上記で定義したとおりであり、nは0である)である)は、以下のようにして製造され得る:
【0088】
4.1.a) 3.1.a)に記載の方法に従って、上記の式(IX)または(X)の化合物を、式(XV)または(XVI):
HO-R5-CH=CH-R9 (XV)
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH=CH-R9 (XVI)
(ここで、R5、o、p、q、XおよびR9は上記で定義したとおりである)
の化合物と反応させることによる;
【0089】
4.1.b) 3.1.b)に記載の方法に従って、上記の式(IX)または(X)の化合物を、式(XVII)または(XVIII):
W3-R5-CH=CH-R9 (XVII)
W3-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH=CH-R9 (XVIII)
(ここで、R5、o、p、q、XおよびR9は上記で定義したとおりであり、W3はCl、BrまたはIである)
の化合物と反応させることによる;
【0090】
4.1.c) 3.1.c)に記載の方法に従って、上記の式(IXa)または(Xa)の化合物を、式(XV)または(XVI):
HO-R5-CH=CH-R9 (XV)
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH=CH-R9 (XVI)
(ここで、R5、o、p、q、XおよびR9は上記で定義したとおりである)
の化合物と反応させることによる;
【0091】
4.1.d) 3.1.d)に記載の方法に従って、上記の式(IXb)または(Xb)の化合物を、式(XV)または(XVI):
HO-R5-CH=CH-R9 (XV)
HO-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH=CH-R9 (XVI)
(ここで、R5、o、p、q、XおよびR9は上記で定義したとおりである)
の化合物と反応させることによる;
【0092】
4.2.a) 式(VIIA)または(VIIIA):
【化25】

[式中、PおよびP1は上記で定義したとおりであり、そして
Y'は:
-R5-CH=CH-R9
-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH=CH-R9
【0093】
(ここで、R5、o、p、qおよびR9は上記で定義したとおりである)である]
の化合物を、好適な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチルまたはDMF中、ヨウ素の存在下、ナイトレート源、例えば硝酸銀と反応させることによる。反応は暗闇中、室温〜溶媒の沸点の温度で実施した。あるいは、反応は、アセトニトリルまたはTHFのような溶媒中、約100〜180℃の範囲の温度で、時間範囲約1〜60分間超音波照射下に行われ得る。
あるいは、
【0094】
4.2.b) 式(VIIB)または(VIIIB):
【化26】

[式中、PおよびP1は上記で定義したとおりであり、そして
【0095】
Y"は:
-R5-CH(OH)-CH(OH)-R9
-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(OH)-CH(OH)-R9
(ここで、R5、o、p、qおよびR9は上記で定義したとおりである)である]
の化合物得るために、-20℃〜30℃、好ましくは-5℃〜5℃の温度で、水/tert-ブタノール混合物中Admix-αまたはAdmix-βのようなシャープレス不斉ジヒドロキシ化のための試薬を用い、式(VIIA)または(VIIIA)の化合物の二重結合のジヒドロキシ化による。反応は、時間範囲1〜24時間以内で完了する。
【0096】
4.3) 工程4.2.b)で得られた化合物を、文献で周知の方法に従って、-50℃〜0℃の温度範囲で、好適な有機溶媒、例えば塩化メチレン中の硝酸および無水酢酸と反応させることによる。
【0097】
4.4) T. W. Greene "Protective groups in organic synthesis"、Harvard University Press、1980、第2版に記載されているように、工程4.2.a)または4.3)で得られた化合物を、任意に脱保護する。フッ素イオンは、シリルエーテル基を除去するための好ましい方法である。
【0098】
5) 式(VII)または(VIII)(ここで、W1はHであり、P1は上記で定義したとおりであり、そして
Yは、
-R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、R5、R9、R7、R8、o、pおよびqは上記で定義したとおりであり、nは1〜6の整数である)である)
の化合物は、以下のようにして製造され得る:
【0099】
5.1) 3.1.b)に記載の方法に従って、上記のように式(IX)または(X)の化合物を、式(XIX)または(XX):
W3-R5-CH(Q2)-(CR7R8)n-CH(Q2)R9 (XIX)
または
W3-[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(Q2)-(CR7R8)n-CH(Q2)R9 (XX)
(ここで、R5、R9、R7、R8、n、o、pおよびqは、上記で定義したとおりであり、Q2はONO2またはOHであり、W3はCl、BrまたはIである)
の化合物と反応させることによる;
【0100】
5.2) 工程5.1)で得られた化合物(ここで、QはOHである)を、4.3)に記載の方法に従って、ナイトレート源と反応させることによる;
5.3) 3.3)に記載の方法に従って、ヒドロキシ保護基Pを任意に除去する。
化合物類(IX)、(IXa)、(IXb)、(X)、(Xa)および(Xb)の製造
【0101】
6) 式(IX)、(IXa)、(IXb)、(X)、(Xa)および(Xb)(ここで、P、P1およびRbは上記のとおりである)の化合物類は、文献で公知の方法に従って、市販のバニリン酸または没食子酸を出発して製造され得る。
【0102】
化合物類(XI)〜(XX)の製造
6.1) 式(XI)〜(XIV)(ここで、R5、R6、R9、o、p、qおよびW3は上記で定義したとおりであり、QはQ1(ここで、Q1は上記で定義したとおりである)である)の化合物類は、市販されているか、または文献で公知の方法に従って、得ることができる。
【0103】
6.2) 式(XI)〜(XIV)(ここで、R5、R6、R9、o、p、qおよびW3は上記で定義したとおりであり、QはONO2である)の化合物類は、上記のようにナイトレート源との反応により、QがQ1である対応する化合物類から得ることができる。
【0104】
6.3) 式(XV)〜(XX)(ここで、W3、R5、R9、R7、R8、n、o、pおよびqは上記で定義したとおりである)の化合物類は、市販されているか、または文献で公知の方法に従って得ることができる。
【実施例】
【0105】
実施例1 - (化合物(1))
4-(ニトロオキシ)ブチル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-16,17-(1-メチルエチリデンビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a] フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエートの合成
【化27】

【0106】
A) 4-(ニトロオキシ)ブチル 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート
【化28】

バニリン酸(5.0 g、29.73 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(50 ml)溶液に、炭酸セシウム(9.68 g、29.73 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、1-ブロモ-4-(ニトロオキシ)ブタンの20%ジクロロメタン溶液(29.45 g)を添加した。反応物を室温で69時間撹拌した。この混合物をNaH2PO4の5%水溶液に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出(3×70ml)した。有機層を水(70 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、Cartridge column FLASH 65+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 95/5 (500 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1までの間に4000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (500 ml))により精製した。生成物(5.88 g)を得た。
【0107】
B) 4-(ニトロオキシ)ブチル-3-メトキシ-4-((4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシ) ベンゾエート
【化29】

0℃で冷却した化合物A(2.94 g、10.30 mmol)のジクロロメタン(50 ml)溶液に、ピリジン(1.01 ml、10.30 mmol)およびp-ニトロフェニル クロロホルメート(2.07 ml、10.30 mmol)を加えた。反応物を室温で16時間撹拌した。この混合物を、1M HCl水溶液(2×50ml)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、Cartridge column FLASH 65+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 93/7 (500 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1までの間に4000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (500 ml))により精製した。生成物(3.50 g)を得た。
【0108】
C) 4-(ニトロオキシ)ブチル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-16,17-(1-メチルエチリデンビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ) カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
化合物B(1.00 g、2.28 mmol)のクロロホルム(30 ml)溶液に、スカンジウム トリフレート(0.10 g、0.22 mmol)およびDMAP (0.54 g、4.56 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、フルオシノロンアセトニド(0.99 g、2.28 mmol)を加えた。反応物を室温で28時間撹拌した。この混合物をジクロロメタン(30 ml)で希釈し、5%NaH2PO4で洗浄し、次いで炭酸ナトリウムの飽和水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 (600 ml))により精製した。生成物(0.29 g)を得た。
【0109】
生成物をn-ヘキサン/酢酸エチルにより結晶化した。
M.p.= 199-200℃
1H-NMR:(DMSO)、δ:7.65 (2H、d);7.38 (1H、d);7.27 (1H、d);5.60 (1H、dm);5.50 (1H、s);5.35 (2H、m);4.60 (2H、t);4.35 (2H、t);4.20 (1H、m);3.89 (3H、s);2.75-2.50 (2H、m);2.25 (1H、m);2.00 (2H、m);1.90-1.30 (13H、m);1.15 (3H、s);0.83 (3H、s).
【0110】
実施例2 - (化合物(3))
5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエートの合成
【化30】

【0111】
D) ヘキサ-5-エニル 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート
【化31】

バニリン酸(0.6 g、3.56 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(7 ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.93 ml、5.35 mmol)および6-ブロモヘキサ-1-エン(0.71 ml、5.35 mmol)を加えた。反応物を50℃で8時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 95/5 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 7/3 までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 (400 ml))により精製した。生成物(0.59 g)を得た。
【0112】
E) ヘキサ-5-エニル 4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化32】

化合物D(1.16 g、4.64 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(30 ml)溶液に、イミダゾール(1.18 g、17.40 mmol)およびtert-ブチルジメチルクロロシラン(1.31 g、8.7 mmol)を加えた。反応物を室温で12時間撹拌した。この混合物を水(50 ml)に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出(3×50ml)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:n-ヘキサン/酢酸エチル 95/5)により精製した。 生成物(1.56 g)を得た。
【0113】
F) 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化33】

化合物E(1.4 g、3.97 mmol)のアセトニトリル(30 ml)溶液に、硝酸銀(0.8 g、4.77 mmol)を加えた。反応物を-15℃で冷却し、ヨウ素(1.21 g、4.77 mmol)を加えた。反応物を-15℃で20分間撹拌した。温度を25℃に上昇させ、ヨウ素(2.7 g、15.9 mmol)を加えた。超音波照射下で反応物を100℃に60分間加熱した。得られた混合物を冷却し、ろ過し、溶媒を減圧かで除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (400 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 7/3 までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 7/3 (400 ml))により精製した。生成物(1.19 g)を得た。
【0114】
G) 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート
【化34】

-0℃で冷却した化合物F(1.19 g、2.43 mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液に、テトラブチルアンモニウムフロリドの1Mテトラヒドロフラン(2.43 ml、2.43 mmol)を加えた。反応物を0℃で20分間撹拌した。この混合物を5%NaH2PO4 水溶液中に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出(3×50ml)した。有機層を、水(50 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ (Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 までの間に1000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 4/6 までの間に200 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 4/6 (400 ml))により精製した。生成物(0.9 g)を得た。
【0115】
H) 2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ [a]フェナントレン-17-イル)-2-オキシエチル カルボノクロリダート
【化35】

N2下、0℃で冷却したフルオシノロンアセトニド(1.2 g、2.65 mmol)のテトラヒドロフラン(24 ml)溶液に、ホスゲンの20%トルエン溶液(5.58 ml、10.6 mmol)を加えた。反応物を0℃で30分間、そして室温で12時間撹拌した。過剰のホスゲンを40℃で45分間加熱することにより除去した。真空下で溶媒を留去した。粗生成物を精製せずに次の工程で用いた。
【0116】
I) 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R, 17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
化合物H(0.56 g、1.09 mmol)のジクロロメタン(24 ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.21 ml、1.2 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、化合物G(0.45 g、1.2 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液を加えた。反応物を室温で12時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣フラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名)KP-Sil、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 8/2 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 2/8 までの間に2400 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 2/8 (400 ml))により精製した。生成物(0.67 g)を得た。
【0117】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.70 (2H、d);7.30 (1H、d);7.07 (1H、d);6.45 (1H、s);6.38 (1H、dd);5.52-5.28 (2H、m);5.16-4.91 (2H、dd);5.04 (1H、d);4.74 (1H、dd);4.50 (1H、m);4.43-4.35 (3H、m);3.95 (3H、s);2.60-2.10 (4H、m);1.90-1.47 (16H、m);1.25 (3H,s);0.95 (3H、s).
【0118】
実施例3(化合物(5))
2-(2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)エトキシ)エチル 4-((2-((6S,9R,10S,11S, 13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16, 17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエートの合成
【化36】

【0119】
J) 4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-メトキシ安息香酸
【化37】

バニリン酸(2.0 g、11.89 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(50 ml)溶液に、イミダゾール(4.04 g、59.45 mmol)およびtert-ブチルジメチルクロロシラン(4.48 g、29.72 mmol)を加えた。反応物を室温で24時間撹拌した。混合物を水(70 ml)に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出(3×70ml)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-C18 HS、溶出剤:濃度勾配 アセトニトリル/ 水 65/35 (600 ml)、アセトニトリル/ 水 80/20 までの間に1200 ml)により精製した。生成物(0.70 g)を得た。
【0120】
K) 2-(2-(2-クロロエトキシ)エトキシ)エチル-4-(tert-ブチルジメチル シリルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化38】

化合物J(1.25 g、4.42 mmol)のジクロロメタン(60 ml)溶液に、2-(クロロエトキシ)-エトキシエタノール(0.83 g、5.75 mmol)およびDMAP (触媒量)を加えた。反応物を0℃で冷却し、EDAC (1.10 g、5.75 mmol)を加えた。反応物を室温で12時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、Cartridge column FLASH 40+M1(商品名)KP-Sil、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (40 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (400 ml))により精製した。生成物(1.25 g)を得た。
【0121】
L) 2-(2-(2-ニトロオキシエトキシ)エトキシ)エチル 4-(tert-ブチルジメチル シリルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化39】

化合物K(1.53 g、3.54 mmol)のアセトニトリル(45 ml)溶液に、ヨウ化ナトリウム(3.18 g、21.24 mmol)を加えた。超音波照射下で、反応物を120℃に20分間加熱した。得られた混合物を冷却し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣のアセトニトリル(45 ml)溶液に、硝酸銀(2.04 g、14.16 mmol)を加えた。超音波照射下で、反応物を120℃で5分間加熱した。得られた混合物を冷却し、ろ過し、溶媒を減圧下に除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (600 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (400 ml))により精製した。生成物(1.37 g)を得た。
【0122】
M) 2-(2-(2-ニトロオキシエトキシ)エトキシ)エチル 4-ヒドロキシ-3-メトキシ ベンゾエート
【化40】

0℃で冷却した化合物L(1.10 g、2.4 mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液に、テトラブチルアンモニウムフロリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(2.4 ml、2.4 mmol)を加えた。反応物を0℃で20分間撹拌した。その混合物を、5%NaH2PO4水溶液(100 ml)に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出(3×50ml)した。有機層を水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (600 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 までの間に2000 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (400 ml))により精製した。生成物(0.76 g)を得た。
【0123】
N) 2-(2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)エトキシ)エチル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S, 16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ [a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシ ベンゾエート
化合物H(0.508 g、0.98 mmol)のジクロロメタン(15 ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.18 ml、1.06 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、化合物M(0,37 g、 1.08 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液を加えた。反応物を室温で12時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、column FLASH 40+M(商品名) KP-Sil、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 8/2 (200 ml)、酢酸エチル100%までの間に2400 ml、酢酸エチル 100% (400 ml))により精製した。生成物(0.70 g)を得た。
【0124】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.70 (2H、d);7.30 (1H、d);7.07 (1H、d);6.45 (1H、s);6.38 (1H、dd);5.52-5.32 (1H、m);5.15-4.91 (2H、dd);5.04 (1H、d);4.57-4.49(4H、m): 4.41 (1H、m);3.95 (3H、s);3.84 (2H、dd);3.78 (2H、dd);3.68(4H、m);2.60-2.10 (4H、m);1.90-1.47 (10H、m);1.25 (3H,s);0.95 (3H、s).
【0125】
実施例4(化合物(6))
4-(ニトロオキシ)ブチル 3-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-4,5-ジヒドロキシベンゾエートの合成
【化41】

【0126】
O) メチル 7-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボキシレート
【化42】

メチル ガレート(10 g、54.3 mmol)のトルエン(25 ml)懸濁液に、p-トルエンスルホン酸(29 mg)およびp-アニスアルデヒド ジメチルアセタール(11.56 ml、67.88 mmol)を加えた。水を連続除去しながら反応物を1.5時間還流した。この混合物をジクロロメタン(70 ml)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(100 ml)で洗浄し、酢酸エチルで抽出(3×50 ml)した。有機層を水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をn-ヘキサンから結晶化した。生成物(8.6 g)を得た。
【0127】
P) 7-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボン酸
【化43】

化合物O(8.6 g、28.41 mmol)の水/エタノール5/95 (260 ml)溶液に、水酸化ナトリウム溶液(2.5 ml、62.5 mmol)を加えた。反応物を15時間還流し、真空下で溶媒を留去した。残渣を水(150 ml)に溶解させ、酢酸エチル(100 ml)で抽出した。水層を1N HCl水溶液を用いてpH 4に酸性にし、酢酸エチルで抽出(6×50 ml)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物(5.78 g)を精製せずに次の工程で用いた。
【0128】
Q) 4-(ニトロオキシ)ブチル-7-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d][1,3] ジオキソール-5-カルボキシレート
【化44】

化合物P(5.78 g、20.05 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(50 ml)溶液に、炭酸セシウム(6.52 g、20.05 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、1-ブロモ-4-(ニトロオキシ)ブタンの20%ジクロロメタン溶液(19.85 g)を加えた。反応物を室温で40時間撹拌した。この混合物を5%NaH2PO4水溶液に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出(2×70ml)した。有機層を水(50 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、SNAP Cartridge silica 100 g、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 までの間に1200 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (400 ml))により精製した。生成物(4.36 g)を得た。
【0129】
R) 4-(ニトロオキシ)ブチル 7-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d][1,3] ジオキソール-5-カルボキシレート
【化45】

化合物Q(0.519 g、1.28 mmol)のジクロロメタン(13 ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.179 ml、1.28 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、化合物H(0,6 g、 1.16 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液を加えた。反応物を室温で16時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、SNAP Cartridge silica 100 g、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 までの間に1200 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 (400 ml))により精製した。生成物(0.979 g)を得た。
【0130】
4-(ニトロオキシ)ブチル 3-((2-((6S,9R,10S,11S,13S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-4,5-ジヒドロキシベンゾエート
化合物R(0.97 g、1.09 mmol)のテトラヒドロフラン(22.4 ml)溶液に、1N HCl水溶液(22.4 ml)を加えた。反応物を室温で17時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで抽出(2×30ml)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、SNAP Cartridge silica 100 g、溶出剤:濃度勾配 アセトン/ジクロロメタン5/95 (200 ml)、アセトン/ジクロロメタン2/8 までの間に900 ml、アセトン/ジクロロメタン3/7 までの間に600 ml)により精製した。生成物(0.344 g)を得た。
【0131】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.51 (2H、dd);7.14 (1H、d);6.47 (1H、s);6.40 (1H、dd);5.52-5.32 (1H、m);5.24-4.93 (2H、dd);5.03 (1H、d);4.53 (2H、t): 4.43-4.33 (3H、m);2.54-2.17 (4H、m);2.00-1.65 (8H、m);1.53 (3H、s);1.47 (3H,s);1.25 (3H,s);0.94 (3H、s).
【0132】
実施例5 - (化合物(10))
4-(ニトロオキシ)ブチル 3-((2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-4,5-ジヒドロキシベンゾエートの合成
【化46】

【0133】
S) 2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン) ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10、11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン -17-イル)-2-オキシエチル カルボノクロリダート
【化47】

N2窒素下、0℃で冷却したトリアムシノロンアセトニド(3 g、6.9 mmol)のテトラヒドロフラン(33 ml)溶液に、ホスゲンの20%トルエン溶液(21.8 ml、41.4 mmol)を加えた。反応物を0℃で1時間および室温で17時間撹拌した。40℃で30分間加熱することにより過剰のホスゲンを除去した。真空下で溶媒を留去した。粗生成物を精製せずに次の工程で用いた。
【0134】
T) 4-(ニトロオキシ)ブチル 7-((2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボキシレート
【化48】

化合物Q(0.583 g、1.32 mmol)のジクロロメタン(14 ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.231 ml、1.32 mmol)を加えた。反応物を0℃で冷却し、化合物S(0,6 g、 1.2 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液を加えた。反応物を室温で16時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、SNAP Cartridge silica 100 g、溶出剤:濃度勾配 n-ヘキサン/酢酸エチル 9/1 (200 ml)、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 までの間に1200 ml、n-ヘキサン/酢酸エチル 3/7 (400 ml))により精製した。生成物(0.819 g)を得た。
【0135】
U) 4-(ニトロオキシ)ブチル 3-((2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチルエチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-4,5-ジヒドロキシベンゾエート
化合物T(0.81 g、o.93 mmol)のテトラヒドロフラン(19.5 ml)溶液に、1N HCl水溶液(19.5 ml)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。真空下で溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで抽出(2×30ml)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(Biotage System、SNAP Cartridge silica 100g、溶出剤:濃度勾配 アセトン/ジクロロメタン5/95 (200 ml)、アセトン/ジクロロメタン3/7 までの間に900 ml、アセトン/ジクロロメタン3/7 (200 ml)により精製した。生成物(0.245 g)を得た。
【0136】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.51 (2H、dd);7.23 (1H、d);6.38 (1H、s);6.18 (1H、dd);5.21-4.90 (2H、dd);5.03 (1H、d);4.53 (2H、t): 4.41-4.32 (3H、m);2.69-2.35 (4H、m);2.00-1.65 (10H、m);1.53 (3H、s);1.45 (3H,s);1.24 (3H,s);0.94 (3H、s).
【0137】
実施例6 - (化合物(17))
2-(2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)エトキシ)エチル 4-((2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-((1-メチル エチリデン)ビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化49】

実施例3に記載の方法を用い、化合物Sおよび化合物Mから出発して化合物を合成した。
【0138】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.71 (2H、d);7.26 (1H、d);7.15 (1H、d);6.31 (1H、dd);6.12 (1H、s);5.12 (1H、d);4.91 (1H、d);5.01 (2H、d);4.56 (2H、m);4. 49 (2H、t): 4.40 (1H、m);3.95 (3H、s);3.79 (2H、t);3.76 (2H、m);3.67 (4H、m);2.65-2.35 (4H、m);2.15-2.00 (1H、m);1.92-1.84 (1H、m);1.72-1.55 (2H、m);1.51 (3H、s);1.45 (3H,s);1.25 (5H、m);0.93 (3H、s).
【0139】
実施例7 - (化合物(18))
4-(ニトロオキシ)ブチル 4-((2-((9R,10S,11S,13S,16R,17S)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-(1-メチルエチリデンビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエート
【化50】

実施例1に記載の方法を用い、トリアムシノロンアセトニドおよび化合物Bから出発して化合物を合成した。
【0140】
1H-NMR:(CDCl3)、δ:7.65 (2H、m);7.26 (1H、d);7.17 (1H、d);6.40 (1H、dd);6.10 (1H、s); 5.11-4.84 (2H、dd);4.99 (1H、d);4.53 (2H、t);4.37 (2H、t);3.93 (3H、s);2.71-2.30 (5H、m);2.00-1.50 (6H、m); 1.87 (4H、m);1.50 (3H、s);1.41 (3H、s);1.22 (3H、s); 0.92 (3H、s).
【0141】
実施例F1:血管緊張に関するアッセイ
試験化合物:
− 実施例1に記載の化合物(1)
− 実施例2に記載の化合物(3)
− 実施例3に記載の化合物(5)
− 実施例4に記載の化合物(6)
− 実施例5に記載の化合物(10)
− 実施例7に記載の化合物(18)
対照化合物:
フルオシノロンアセトニド (FC)
トリアムシノロンアセトニド (TAAC)
【0142】
前駆化合物と比較して血管緊張低下を誘発するための本発明の化合物の能力は、単離したウサギの胸部大動脈標本におけるインビトロ(Wanstall J.C. ら、Br. J. Pharmacol.、134:463-472、2001)で試験した。
【0143】
雄性ニュージーランドウサギ(1.8〜2 Kg)を使用した。動物をチオペンタールナトリウム(50 mg/kg、静脈注射)で麻酔し、瀉血により屠殺し、次いで胸部を開き大動脈を切開した。直ちに大動脈をKrebs-HEPES buffer (pH 7.4;構成内容mM:NaCl 130.0、KCl 3.7、NaHCO3 14.9、KH2PO4 1.2、MgSO4・H2O 1.2、グルコース11.0、HEPES 10.0、CaCl2・2H2O 1.6)中につけ、リング切片(長さ4〜5 mm)に切り分けた。各リングを、95% O2および5% CO2で通気し、Krebs-HEPES buffer (37℃)で満たした組織浴(tissue bath)5 ml中につけ、次いで、等尺性張力の測定用BIOPAC MP150 Systemに接続した力変換機(Grass FT03)に取り付けた。その標本を、15分ごとにbufferを交換しながら、静止張力2 gで1時間平衡化させ、次いで媒介洗浄(intervening washing)を用いる90 mM KCl (3 回)にさらすことにより刺激した。平衡化後、そのリングを、メトキサミン(3 μM)を用いて最大下に予備収縮させ、収縮が、定常状態に達したときに、試験化合物に対する累積濃度−応答曲線が得られた。投与量間の時間間隔は、完全な定常応答に達するのに必要とされる時間に基づいた。
【0144】
試験化合物に対する応答は、残存収縮の百分率として表され、試験化合物の濃度に対してプロットされた。EC50値(ここで、EC50は、試験化合物に対して最大弛緩の50%を生ずる濃度である)を、これらのプロットから補完した。
【0145】
表1に示しているように、試験化合物は、濃度依存様式で弛緩を起こした。
【表1】

【0146】
実施例F2
VEGF-誘発性漏出性ラットモデルのインビトロにおける本発明の化合物の効果の評価
血管形成誘導因子(VEGF)は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)を含む種々の病的過程と関連する血管漏出の通常の経路を活性化する。
【0147】
試験化合物:
− 実施例1に記載の化合物(1)
− フルオシノロンアセトニド(FC):化合物(1)の対照化合物
− 実施例7に記載の化合物(18)
− トリアムシノロンアセトニド(TAAC):化合物(18)の対照化合物
【0148】
雄性Sprague Dawleyラット(〜250g;Charles River laboratory)を、イソフラン吸入で麻酔し、0.5%テトラカインを1滴眼に局所的に用いた。硝子体内注射を導く針を見るために、1%シクロペントラート塩酸塩を局所的に用いて瞳孔を拡張させた。組み換えラット血管形成誘導因子(VEGF;100 ng/眼球)またはVEGF(100 ng/眼球)の他にカルボキシメチルセルロース(CMC)の0.5%滅菌生理食塩水中に調整した試験化合物を、30ゲージの針を用いて硝子体液中に注射したneedle (Xu、Q.、ら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、42:789-794、2001)。本発明の化合物を、等モル投与量における対応するステロイドコア(steroid core)と比較した。例えば、25および50 μg/眼球 の両方において投与されたフルオシノロンアセトニドと比較するために、化合物(1)を、42.4および84.7 μg/眼球 においてそれぞれ投与した。対象動物は、ビヒクルを受けた。比較のためにトリアムシノロンアセトニドと並行して、化合物(18)を同様に投与した。
【0149】
予め記載したように(Xu、Q.、ら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、42:789-794、2001)、網膜血管漏出を測定した。試験化合物の注射後18時間後に、ラットを、ケタミン(80 mg/kg)およびキシラジン(4 mg/kg)腹腔内を用いて麻酔した。次いで、エバンスブルー(EB) (45 mg/kg)を、頸静脈内に注射した。染料を2時間血液循環させた。胸腔を開き、次いで、0.5 M citrate buffer (pH 3.5、37℃)中の1 %ホルマリンを左心室を通して潅流させた。摘出した眼球から注意深く解離させ、予め秤量したエッペンドルフチューブ内に置き、スピードバキューム(speed vacuum)中で一夜乾燥し、乾燥重量を記録した。各網膜を、70℃で18時間ホルムアミド120μl中でインキュベートし、6000 rpmで2時間遠心分離することにより、エバンスブルーを抽出した。抽出物60μlの吸光度を620 nmで測定し、バックグラウンド吸光度を740 nmで決定した。正味吸光度を、620 nmのものよりバックグラウンド740 nmを差し引くことにより計算した。ホルムアミド中のエバンスブルーの標準曲線の測定も同様に行い、μl/g/時間で表されるエバンスブルー漏出量を以下に示すように計算した:
[EB (ng/ml)×120 (μl)×1000]/[乾燥網膜重量(mg)×血液循環時間(h)×プラズマEB (ng/ml)×100]。
【0150】
以下の図1aに示されているように、VEGF 100 ngの硝子体内注射は、注射後18時間の血管透過性において、3.5倍増加(n=17、P<0.05)をもたらした。フルオシノロンアセトニド25 μg/眼球 および化合物(1)42.4 μg/眼球 を用いた処置は、VEGF-誘発性漏出をそれぞれ86.1%および77.1%阻害した(図1aおよび1b、n=9、P<0.05)。同様に、トリアムシノロンアセトニド10 μg/眼球 投与量および化合物(18)の、その当量投与量は、それぞれ67.5%および54.3%減少させた(図2aおよび2b)。全てのケースにおいて、漏出の阻害は、本発明の化合物類(化合物(1)および(18))ならびにその対応するステロイドコアと大きさでは似ている。
【0151】
実施例F3
本発明の化合物によるラットにおけるインビボステロイド−誘発性眼圧(IOP)上昇の改善の評価。
試験化合物:
− 実施例1に記載の化合物(1)
− フルオシノロンアセトニド(FC):対照化合物
− 化合物(1)のデスニトロ誘導体:ブチル 4-((2-((6S,9R,10S,11S,13S, 16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-16,17-(1-メチルエチリデンビス(オキシ))-10,13-ジメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16, 17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a] フェナントレン-17-イル)-2-オキソエトキシ)カルボニルオキシ)-3-メトキシベンゾエート。
【0152】
雄性Brown Norwayラット(250〜275g;Charles River laboratory) を、IOP測定前1週間順化させた。試験化合物の硝子体内注射の前に、意識のあるラットにおいて、Tonolab Tonometer (Tiolat Inc)を用いるベースラインIOP測定を行った(Pease、M. E.、ら、J. Glaucoma、15:512-519、2006)。次いで、イソフラン吸入で麻酔し、0.5%テトラカインを1滴眼に局所的に用いた。試験化合物の硝子体内注射を向ける針を見るために、1%シクロペントラート塩酸塩および2.5% フェニレフリン HClを局所的に用いて瞳孔を拡張させた。化合物(1)を対応するステロイドコアと比較し、そして当量投与量におけるデスニトロ誘導体と比較した。たとえば、25および50 μg/眼球 の両方におけるフルオシノロンアセトニドと比較するために、化合物(1)を42.4および84.7 μg/眼球 においてそれぞれ投与した。化合物(1)のデスニトロ誘導体を、39.1 μg/眼球 で投与した(FC25 μgに対する当量)。対照動物は、ビヒクルを受けた。
【0153】
5つの測定を、各時点で平均化した。IOP測定を、試験化合物の硝子体内注射の1および2週間後に取得した。
【0154】
Brown NorwayラットにおけるベースラインIOPは18 mm Hgであった。以下の図3に示されているように、フルオノシノロンアセトニドの注射1週間後に、IOPは、それぞれ25 μg/眼球 で4 mm Hg上昇し、50 μg/眼球 で3 mm Hg上昇した。これは、2週間維持された(p<0.05)。しかしながら、 (それぞれ42.4および84.7 μg/眼球)と当量の25または50 μg/眼球 における化合物(1)の注射は、1または2週の時点のIOPに変化を生じなかった(図3)。以下の図4において見られるその他の実験において、(39.1 μg/眼球)と当量の25 μg/眼球における化合物(1)のデスニトロ誘導体および25 μg/眼球におけるフルオシノロンアセトニド(FC)は、(42.4 μg/眼球)と当量の25 μg/眼球における化合物(1)と比べIOPが増大した。
【0155】
実施例F4
眼圧、眼球の血行動態および網膜保護に対する化合物の有効性の評価ならびにニュージーランド白兎におけるインビボ エンドセリン−1(ET-1)誘発性虚血における眼房水内の炎症性サイトカイン含有量の評価
試験化合物:
− 実施例1の 化合物(1)
− フルオシノロンアセトニド (FC):対照化合物
【0156】
試験システムおよび試験方法
20匹の成長したNew Zealand Albinoウサギ体重2〜2.5 Kgを実験に用いた。選択した特定の処置のために動物を2群に分けた。実験手順は、動物の使用に対する視覚と眼科学研究会決議に準拠し、動物の使用のための医薬品安全性試験実施基準の同意に基づき、かつ実験および他の科学的目的(DM 116/1992)のためのイタリアの規則および欧州連合規則(OJ of ECL 358/1、12/12/1986)の承認のもとに実施された。ウサギを個々のケージに入れ、食餌と水を自由摂取させた。動物を、温度制御室(22〜23℃)内に12−12時間明/暗サイクルで養った。
【0157】
チレタミンにゾラゼパム(Zoletil 100、0.05 mg/kg)を加えキシラジン(Xilor 2%、0.05 ml/kg)を加えて製造した一般的な麻酔(筋肉内)下に、涙カニューレを用い、週2回6週間、エンドセリン-1 (ET-1) 250 nM、滅菌生理食塩水500 μlの注射により、眼損傷の虚血モデルは得られた。
【0158】
フルオシノロンアセトニド(FC) (ビヒクル100 μl中に0.5 mg/眼球)または化合物(1) (ビヒクル100 μl中に0.5 mg当量/眼球)を、ET-1処置(T2)の開始2週間後に眼球の1つの硝子体内(IVT)に滴下し、もう1つの眼球内に同量のビヒクルを滴下した。
【0159】
眼圧
2点標準圧力測定を用いるMarenのグループにより記載(Exp. Eye Res. (1992) 55:73-79;Exp. Eye Res. (1993) 57:67-78)されているとおりに、Tono-Pen XL (Medtronic Solan. USA)を用いて眼圧(IOP)を2回測定した。2人の独立した研究者 (C.U.およびR.M.)は、同一のtonometerを用いてIOP測定を実施した。
【0160】
表2に記載されているデータは、ET-1処置が、New Zealand白ウサギにおいてIOPを変更しないことを示している。フルオシノロンアセトニドは、ET-1誘発性虚血に続く眼圧を上昇させたが、それどころか化合物(1)でのET-1誘発性虚血に続く眼圧は変更されなかった。
【0161】
【表2】

【0162】
網膜電位図(ERG)
薬物処置の開始前(T2)および薬物処置の終わり(T6)に、網膜電位図(ERG)を、基底状態(T0)において実行した。調査開始前に全眼球について、細隙灯および間接的眼底検査を実施した。角膜もしくは水晶体混濁または網膜損傷をはっきり示す動物を、調査前に除外した。局所麻酔は、0.2% オキシブプロカイン塩酸塩(Novesine、Sandoz)1滴を用い適用した。少なくとも2時間暗闇に適合させ、トロピカミド (1%)の局所適用により目を拡張させ、角膜電極を用いて両眼の標準ERGを記録した。参照および基底電極を、ステンレス鋼縫合針でできており、耳の中に挿入した。Retimax (CSO、Florence、Italy)を用いERGシグナルを記録した。暗順応した暗順応応答(杆状体応答)および暗順応フラッシュ応答(明所視のerg網膜錐体(cone))を記録した。フラッシュは、−2.50〜+0.4 log scot cd s/m2の強度においてを変化した。3つの別れたERG平均を決定した。a−およびb−波の振幅(μV)を、各工程について計算した。基線値を、T2および処置の終わり(T6)において得られた応答と比較した。
【0163】
ET-1処置は、暗所視erg網膜錯体の振幅を顕著に減少させた(T0に対してT2、p<0.05およびT0に対してT6、p<0.05)。
表3に記載されている結果は、フルオシノロンアセトニド (FC)または化合物(1)で処置した眼は、ビヒクルで処置したものより、ERG波振幅において顕著に低い減少を示した(ビヒクルに対してp<0.05)。その上、化合物(1)は、フルオシノロンアセトニドよりもわずかにより効果的であった。
【0164】
【表3】

【0165】
眼球の血行動態
血行動態評価を、eco-color-doppler DynaView TM II SSD-1700 (Aloka Holding Europe AG、Milan、Italy)を用いて実施した。ET-1注射前(T0)、薬物滴下前(T2)および薬物処置の終わり(T6)において全動物を、Color Doppler Imaging (CDI)検査を受けさせた。眼動脈循環および毛様体動脈循環の評価に、特別な注意を向けた。各血管に対する血流速度を測定し、Pourcelot抵抗指標(RI)を計算した(Galassi F. ら、Acta Opht. Scand Suppl. (2000) 37-38)。
【0166】
表4に記載のデータは、フルオシノロンアセトニドが、血液潅流の減少を示す眼動脈における抵抗指標を顕著に増加させたことを示している(ビヒクルに対してp<0.001);この効果は、化合物(1)処置では明白でない。
【0167】
【表4】

【0168】
房水中の炎症性サイトカイン
ET-1投与前(T0)、化合物(1)またはフルオシノロンアセトニドの投与前(T2)および処置の終わり(T6)において、各眼球の前房液および後房液の両方から、房水試料を引き抜いた。毎回生理食塩水の同量を再導入した。房水試料を直ちに−80℃で、使用するまで凍結させた。
【0169】
ELISA法(Amersham Pharmacia Biotech)を用いる市販のキットを用いて房水中の、腫瘍壊死因子(TNFα)およびインターロイキン6 (IL-6)を測定した。検出限界濃度は、IL-6およびTNFαに対して0.10 pg/mlであった。変化量のアッセイ間係数は、全アッセイに対して0.7%であった。
【0170】
表5に記載されているデータは、ET-1処置が、房水試料中のTNFα、IL-6およびVEGF含有量を顕著に増加させ、化合物(1)が、フルオシノロンアセトニド(FC)よりもより効果的にこれらの効果を中和したことが示されている。
【0171】
【表5】

【0172】
網膜保護:形態学的分析
各動物の眼球を摘出し、角膜および水晶体を除去し、眼球をパラホルムアルデヒド−固定した。次いで、アルコール濃度を増加(50°− 75°− 95°− 100°)させて試料を脱水させた。95°アルコール処理後に、角膜から視神経の挿入までの縦断面に従って眼球を2つの部分に分割した。このようにして試料をパラフィン包埋した。厚さ8 μmの切片をヘマトキシリン−エオジンを用いて染色した。20×および40×対物レンズを備える光学顕微鏡につけたデジタル化カメラにより、顕微鏡視野を記録した。デジタル画像上で、網膜組織の形態学的分析を実行した。
【0173】
網膜組織の分析は、長期間のET-1処置は、深在性の形態学的変化を引き起こし、その結果、ERG測定において観察された機能障害を裏付ける。これらの形態学的変化は、化合物(1)で処置した動物において等しく存在せず、ところが、フルオシノロンアセトニドは効果的ではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1はOHであり、R2はCH3であるか、またはR1およびR2は一緒になって、式(II):
【化2】

の基であり、
R3は水素原子またはFであり、かつR4はFまたはClであるが、
但し:
− R1がOHであり、かつR2がCH3であるときは、R3は水素原子であり;
− R1およびR2が一緒になり、式(II)の基であるときは、R4はFであり;
R1、R2、R3およびR4は、αまたはβ位で、ステロイド構造の17、16、6および9位における炭素原子に結合しており;
Rは:
【化3】

[式中、
Yは、以下の:
1) -R5-CH(ONO2)R6
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
4) -[(CH2)o-(X)]p-(CH2)q-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
[ここで、
R5は、直鎖状または分枝鎖状C1〜C10 アルキレンであり;
R6は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;
R9は、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキルであり;
nは、0〜6の整数であり;
oは、1〜6の整数であり;
pは、1〜6の整数であり;
qは、0〜6の整数であり;
Xは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;好ましくはXはOである);
である]から選択される]
但し、R1およびR2が、互いに一緒になって、式(II):
【化4】

の基であり、
R4がFであり、R3が水素原子であり、そして
Rが、Yが-R5-CH(ONO2)R6であり、R6がHである式(III)の化合物である式(I)の化合物を除く]
の化合物またはその塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
R3はFであり、R4はFであり、
R1およびR2が一緒になり、式(II)の基であり;
R1、R2、R3およびR4は、α位で、ステロイド構造の17、16、6および9位における炭素原子に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが:
1) -R5-CH(ONO2)R6
(ここで、R5 は直鎖状C1-C5 アルキレンであり、R6はHまたは-CH3である);
または
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、
R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R9はHであり、それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;そして
nは0または1である);
または
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
(ここで、
R9はHであり、
o は、2〜4の整数であり、
p は、1〜4の整数であり,
q は、0〜4でありかつ XはOである)
である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR2が一緒になり、式(II)の基であり;
R3は水素原子であり、R4はFであり;そして
R1、R2、R3およびR4は、α位で、ステロイド構造の17、16、6および9位における炭素原子に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Yが:
1) -R5-CH(ONO2)R6
(ここで、R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R6は-CH3である);
または
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、
R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R9はHであり、
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり、
Nは0または1である);
または
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
(ここで、
R9はHであり、
o は、2〜4の整数であり、
p は、1〜4の整数であり、
q は、0〜4であり、かつXはOである)
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R1はOHであり、R2はCH3であり、R3は水素原子であり、R4はFであり、そして
R1およびR4は、α位で、ステロイド構造の17および9位における炭素原子に結合しており、R2は、β位で、ステロイド構造の16位における炭素原子に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Yは:
1) -R5-CH(ONO2)R6
(ここで、R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R6はHまたは-CH3である);
または
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、
R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R9はHであり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり;
nは0または1である);
または
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
(ここで、
R9はHであり、
o は、2〜4の整数であり、
p は、1〜4の整数であり,
q は、0〜4であり、かつXはOである)
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R1はOHであり、R2はCH3であり、R3 は水素原子でありそしてR4はClであり;
R1およびR4は、α位で、ステロイド構造の17および9位における炭素原子に結合しており、R2は、β位で、ステロイド構造の16位における炭素原子に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Yは:
1) -R5-CH(ONO2)R6
(ここで、R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R6はHまたは-CH3である);
または
2) -R5-CH(ONO2)-(CR7R8)n-CH(ONO2)R9
(ここで、
R5は直鎖状C1-C6 アルキレンであり、R9はHであり;
それぞれの存在におけるR7およびR8は、独立してHまたはCH3であり、
nは0または1である);
または
3) -[(CH2)o-X]p-(CH2)q-CH(ONO2)R9
(ここで、
R9はHであり、
o は、2〜4の整数であり、
p は、1〜4の整数であり,
q は、0〜4であり、かつ XはOである)
である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
次の:
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【化5−4】

【化5−5】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
医薬としての使用のための請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
炎症性疾患の治療において使用するための請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
眼疾患の治療において使用するための請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑を含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
炎症性疾患の治療用医薬の製造のための請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項16】
眼疾患の治療用医薬の製造のための請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項17】
硝子体内または眼窩周囲投与のための好適な形態中に、請求項1〜10のいずれか1つに記載の少なくとも1つの化合物の薬学的な有効量および眼科的に受容な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
炎症性疾患の治療における使用のための請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
眼疾患の治療における使用のための請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
眼疾患の治療における使用のための、式(I):
【化6】

[式中、
R1およびR2は、互いに一緒になって、式(II):
【化7】

の基であり、
R1、R2およびR4は、α位で、ステロイド構造の17、16および9位における炭素原子に結合しており;
【化8】

[式中、Yは、-R5-CH(ONO2)R6であり、R6は、Hである]
の化合物またはその塩もしくは立体異性体。
【請求項21】
眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症および網膜のその他の疾患ならびに黄斑を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
式(18):
【化9】

の請求項20または21に記載の化合物。
【請求項23】
硝子体内または眼窩周囲投与のための好適な形態中に、請求項20または22に記載の少なくとも1つの化合物の薬学的な有効量および眼科的に受容な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
眼疾患の治療における使用のための請求項23に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−529461(P2011−529461A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520413(P2011−520413)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058572
【国際公開番号】WO2010/012567
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】