説明

3’,6−置換インディルビンおよびその生物学的適用

本発明は式(I)で表されるインディルビン誘導体およびその生物学的適用に関する。式中、Rは、−(A)−Rまたは−CO−N(R,R)を表し、Aは、1個または数個のA基によって置換されていてもよいC1−C5アルキレン基であり、Aは、ハロゲンBr、OH、ORまたはNHであり、Rは、C1〜C5アルキルであり;・Rは、ハロゲン、OH、N(R、R)であり;同一または異なっているRおよびRは、上記で定義されるものなどのAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルであり、またはRおよびRは、OもしくはNなどの別のヘテロ原子を含んでいてもよい、5もしくは6個の要素を有する環の一部であり;・n=1〜5]
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK−3)に対する選択性が増強された3’,6−置換インディルビンに関する。また、その生物学的適用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトキノームを構成する518種のプロテインキナーゼの中でも、GSK−3は、特に興味深く、十分に研究されたセリン/トレオニンキナーゼのファミリーとして際立っている。広範囲の類似性(84%の全体の同一性、98%の触媒ドメイン内)を共有する2種のGSK−3形態(GSK−3αおよびGSK−3β)があるだけであり、主な相違は、GSK−3αのN末端ドメインにおける余分なGlyリッチストレッチに起因する。GSK−3は、単細胞寄生虫から酵母、哺乳類にまで存在する高度に保存されたプロテインキナーゼである。これらのキナーゼは、WntおよびHedgehogシグナル伝達、胚発生(パターン指定および軸配向)、転写、インスリン作用、細胞分裂周期、細胞死、細胞生存、分化、複数の神経機能、日内周期調節、幹細胞分化などといった多数の重大な生理学的事象に関与している。さらに、GSK−3は、アルツハイマー病、統合失調症、双極性障害などの神経系障害、糖尿病、心臓肥大、腎疾患、ショックおよび炎症、癌などを含む多様なヒト疾患に関与している。したがって、基礎研究における薬理学的ツールとして、特定の疾患の治療ための、およびフィーダー細胞の不在下での多能性幹細胞の維持のための可能性ある薬物として使用するための、強力な、選択的GSK−3阻害剤の探索を支持する強力な論理的根拠がある。多数の阻害性GSK−3骨格(scaffold)が記載されている。興味深いことに、これらの阻害剤の多くはまた、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、十分に研究された重要な調節酵素の別のファミリーとも相互作用する。
【0003】
GSK−3阻害剤の中でも、ビス−インドールインディルビンの誘導体(まとめて、インディルビンと呼ばれる)が、独創的な、見込みのあるツールおよび薬剤の1クラスと思われる。その中程度の選択性は、研究試薬として使用される場合には不都合であり得るが、いくつかの疾患関連標的(特に、CDKおよびGSK−3)に対するその組み合わされた効果は、治療的適用の可能性にとって利点となり得る。多数のインディルビンの中でも、6−ブロモ−インディルビン−3’−オキシム(6BIO)(1〜3)は、種々の細胞設定におけるGSK−3の生理学的役割を調べるために、また胚幹細胞の運命を変えるために(1)広く使用されてきた(非特許文献1〜3)。
【0004】
極めて強力な、比較的選択性のキナーゼ阻害性インディルビンが開発されているが、それらは、通常、低い水溶性を示す。これらの見込みのある化合物の溶解度の問題に対処するために、本発明者らは、親水性の増大した6BIOの新規類似体をデザインした。分子の親水特性の改善は、いくつかの方法によって取り組まれ得る。芳香族炭素原子と、sp3のハイブリダイゼーション状態を変更することによるインディルビン骨格の芳香族特性の低減が、溶解度を増強するための一方法として提案されている。代替法は、分子への親水基の導入である。親水性の最適化が、標的キナーゼに対する分子の効力または選択性のいずれかに悪影響を与えないことが絶対必要であるということは明らかである。したがって、キナーゼに対する有効性の激減を伴わずには変更できない分子の2つの重要な領域があるので、置換位置の選択は極めて重要である。第1のものは、キナーゼ標的の活性部位と水素結合性相互作用パターンを形成する、ビス−インドールコアのラクタム窒素およびカルボニルおよび複素環式窒素からなるファルマコフォアである。第2のものは、GSK−3βに対する6BIOの選択性決定基である6位での臭素置換である。本発明者らによって、6BIOとの複合体中のGSK−3βの結晶構造の詳細な分析が実施された。このように得られた情報に基づいて、本発明者らは、インディルビン骨格に化学修飾を実施するには3’位が重大であると考えた。したがって、本発明者らは、3’位に種々の置換を有する一連の6−ブロモ−インディルビンをデザインし、合成した。予想外なことに、これらの分子は、GSK−3に対する高い効力、増強された選択性およびかなり増大した水溶性を示した。これらの分子を、いくつかの細胞系においてそのGSK−3阻害作用について評価した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Meijer, L; Skaltsounis, AL; Magiatis, P; Polychonopoulos, P; Knockaert, M; Leost, M; Ryan, XP; Vonica, CD; Brivanlou, A; Dajani, R; Tarricone, A; Musacchio, A; Roe, SM; Pearl, L, Greengard, P. GSK-3 selective inhibitors derived from Tyrian purple indirubins. Chem. & Biol. 2003, 10, 1255-1266.
【非特許文献2】Jope, R.S.; Johnson, G.V.W. The glamour and gloom of glycogen synthase kinase-3. Trends Biochem. Sci. 2004, 29, 95-102.
【非特許文献3】Ribas, J.; Bettayeb, K.; Ferandin, Y.; Garrofe-Ochoa, X.; Knockaert, M.; Totzke, F.; Schachtele, C.; Mester, J.; Polychronopoulos, P.; Magiatis, P.; Skaltsounis, A.L.; Boix, J.; Meijer, L.,. 7-bromoindirubin-3’-oxime induces caspase-independent cell death. Oncogene 2006, 25, 6304-6318.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、GSK−3に対して増強された選択性を有する新規3’,6−置換インディルビンを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、前記インディルビンを得る方法を提供することである。
【0008】
さらに別の目的によれば、本発明は、有効成分として前記インディルビンを含有する医薬組成物および生物学的試薬ならびにこのような有効成分の使用を含むGSK−3調節解除と関連している病態を治療する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるインディルビン誘導体は、次式(I)
【化1】

【0010】
[式中、Rは、−(A)−Rまたは−CO−N(R,R)を表し、
・Aは、1個または数個のA基によって置換されていてもよいC1〜C5アルキレン基であり、Aは、ハロゲンBr、OH、ORまたはNHであり、Rは、C1〜C5アルキルであり;
・Rは、ハロゲン、OH、N(R,R)であり;RおよびRは、同一または異なり、上記で定義されるものなどのAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルであるか、またはRおよびRは、OもしくはNなどの別のヘテロ原子を含んでいてもよい、5もしくは6個の環員を有する環の一部であり(すなわち、RおよびRは、互いに一緒になって、OもしくはNなどの別のヘテロ原子を含んでいてもよい、5もしくは6個の環員を有する環を形成し)、
・n=1〜5]
で表される。
【0011】
本発明はまた、上記で定義される誘導体の薬学的に許容される塩に関する。これらの塩は、とりわけ、上記で開示されるインディルビンの塩化物、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩を含む。
【0012】
第1のファミリーでは、
・Rは、−(A)−Rを表し、Rは、ハロゲン、OH、N(R,R)であり、RおよびRは、同一または異なり、上記で定義されるものなどのAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルである。
【0013】
前記ファミリーの好ましい基では、Rは、ハロゲンまたはOHである。前記基の有利な誘導体では、Aは、−(CHm1−CH(R)−(CHm2基を表し、ここで、m1=1〜3およびm2=0、1〜3である。
【0014】
前記ファミリーの別の好ましい基では、Rは、N(R,R)である。
【0015】
第1の実施形態によれば、同一または異なっているRおよびRは、上記で定義されるものなどのAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルである。
【0016】
第2の実施形態によれば、RおよびRは、ピロール、モルホリニルまたはピペラジニル基の一部であり、前記基は、1個または数個のAによって置換されていてもよく、ピペラジニル基は、C1〜C5アルキルによって位置の窒素で置換されていてもよく、C1〜C5アルキルは同様に、上記で定義されるものなどのAによって置換されていてもよい。
【0017】
前記基の有利な誘導体では、Aは、C1〜C5アルキレン基である。
【0018】
第2のファミリーでは、
・Rは、−CO−N(R,R)を表し、同一または異なっているRおよびRは、C1〜C5アルキル基である。
【0019】
本発明によれば、Rが−N(R,R)である、上記で定義されるインディルビン誘導体は、式(II)
【化2】

【0020】
で表されるオキシム誘導体を、式(III)で表される適当なアミン
(A−N(R,R
(III)
[式中、Aは、C1〜C5アルキルであり、RおよびRは、上記で定義されるとおりである]
と反応させることによって有利に合成される。
【0021】
適当なアミンは、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、メトキシエチルピペラジン、ジメチルアミンおよびジエチルアミン、N,N−ビス−2−ヒドロキシエチルアミン、N−2,3−ジヒドロキシプロピル−N−メチルアミンおよびN−2−ヒドロキシエトキシエチルピペラジンを含む。
【0022】
式(II)のオキシム誘導体は、室温で、6BIOを、DMF中、1,2−ジブロモエタンおよびトリエチルアミンEtNと反応させることによって調製することが有利である。
【0023】
さらに、RがCO−N(R,R)基を表すカルバメート誘導体は、6BIOを、N,N−ジアルキルカルバモイルクロリドと反応させることによって調製する。AがOHである式Iのアルコール誘導体は、6BIOを、適当な1,2−ジブロモアルカンまたはブロモアルコールと反応させることによって調製する。インディルビンおよび6BIOは、これまでに報告されたように合成した(文献2)。
【0024】
有利なことに、前記誘導体は、親6BIO化合物よりも細胞傷害性が少なく、細胞モデルにおいて強力なGSK−3阻害活性を示した。したがって、本発明は、アルツハイマー病、糖尿病、心臓肥大などのGSK3調節解除と関連している病態を治療するための、胚幹細胞多能性維持または哺乳類における概日期間の変更の分野における、非常に注目される手段を提供する。
【0025】
これらの結果は、薬理学的に好都合なインディルビンのデザインに向けた新規方向を開き、このような病態に対する開発を伴う。
【0026】
したがって、本発明は、薬物として使用するための式(I)の新規誘導体に関する。
【0027】
次いで、本発明はまた、治療上有効な量の、上記で定義されるものなどの式(I)の少なくとも1種の誘導体またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるビヒクルと組合せて含む医薬組成物に関する。
【0028】
薬物の製造の際に、治療上有効な量で使用される有効成分を、選択される投与様式のための薬学的に許容されるビヒクルと混合する。これらのビヒクルは固体または液体またはゲルであり得る。
【0029】
薬物は、固体または液体またはゲルであり得る。
【0030】
薬物は、好ましくは、静脈内経路によるが、経口または注射用経路筋肉内および皮下経路または鼻腔経路による投与に適した形態であり得る。
【0031】
したがって、経口経路による投与のために、ゼラチンカプセル剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤などの形態で医薬を調製できる。このような医薬は、単位あたり10マイクログラム〜1gの有効成分を含み得る。
【0032】
注射(ボーラスまたは灌流;静脈内の、皮下、腹腔内、くも膜下腔内、真皮内)による投与のためには、医薬は、滅菌または滅菌可能な溶液の形態で提供される。
【0033】
それらは、エマルジョンまたは懸濁液の形態であり得る。
【0034】
投与量単位あたりの用量は、例えば、1マイクログラム〜1gの有効成分で変動し得る。
【0035】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の実施例に、図1〜3を参照して示される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】類似体11(A)および類似体13(B)と、GSK−3βの結合ポケットとの結合様式を示す図である。両類似体のピペラジン置換は、インディルビン骨格および受容体基幹(backbone)間に形成される水素結合(黄色破線)に加えて、asp200および結合ポケットのリン酸サブサイトに位置する残基と相互作用する。
【図2】インディルビン誘導体による、GSK−3リン酸化部位でのβ−カテニンリン酸化の阻害を示す。A.SH−SY5Y神経芽腫細胞を、一定の2μMレベルのプロテアソーム阻害剤MG132の存在下で各インディルビン10μMに対して6時間曝露した。GSK−3−リン酸化β−カテニンのレベルを、GSK−3リン酸化β−カテニンと特異的に交差反応する抗体を使用して、SDS−PAGE後のウエスタンブロッティングによって推定した。シグナルがないことまたはシグナルの減少は、インディルビンが神経芽腫細胞内でGSK−3を阻害できていることを示す。C、コントロール(DMSO);6B、6BIO;M6B、メチル−6BIO(6BIOのコントロール不活性類似体);K、ケンパウロン、構造的に関連のないGSK−3阻害剤。B.インディルビンの選択のための用量反応曲線を、GSK−3リン酸化β−カテニンに対する同一抗体を使用するELISAアッセイにおいて実行した。SH−SY5Y細胞を、MG132の存在下で、さまざまな濃度の各インディルビンに対して6時間曝露し、抽出物をELISAアッセイにおいて評価した。活性は、未処理コントロール細胞におけるリン酸化β−カテニンのパーセンテージとして表した。
【図3】インディルビン誘導体による哺乳類線維芽細胞における概日期間の変化を示す。PPer2::Flucリポーター構築物を用いて安定にトランスフェクトされたRat−1線維芽細胞は、時計制御Per2プロモーター(PPer2)活性の尺度として発光の頑強な日内周期を示す。細胞を100%コンフルエンスにまで培養し、0.1μMデキサメタゾンを用いて2時間処理し、オシレーターを同期化した。次いで、培地を、0.1mMルシフェリンを補給したアッセイ培地と交換し、発光リズムを4日以上モニタリングした。培養ディッシュに、10μMで化合物を加え、引き続き残した。溶媒コントロールとしてDMSOを使用した。回帰分析を使用して、発光リズムの期間および相を調べた。A.コントロール細胞(○)またはインディルビン15で処理した細胞(●)において記録された通常の発光リズムの経時変化。白色矢印は、コントロール細胞における発光のピークを示し、黒色矢印は、インディルビン15処理細胞における発光のピークを示す。B.種々の化合物に対して曝露された細胞において算出された周期長。C、コントロール;K、ケンパウロン。
【発明を実施するための形態】
【0037】
【実施例】
【0038】
化学
一般的な化学試験手順
すべての化学薬品は、Aldrich Chemical Co.から購入した。NMRスペクトルは、Bruker DRX400およびBruker AC200分光計[H(400および200MHz)および13C(50MHz)]で記録し;化学シフトは、TMSからのppm低磁場で表されている。H−HおよびH−13C NMR実験は、標準Brukerマイクロプログラムを使用して実施した。融点は、Sanyo Gallencamp装置を用いて調べた。MSスペクトルは、MSQ Thermofinnigan分光計で測定した。すべてのUV/visスペクトルは、Shimadzu UV−160A分光光度計で記録した。
【0039】
溶解度測定。媒液(水、再蒸留された)に過剰量の固体を加え、続いて、5分間超音波処理し、周囲温度(25±0.1℃)で撹拌することによって1晩平衡化することにより、平衡溶解度を調べた。サンプルを遠心分離し、アリコートを回収した。各化合物の標準溶液を調製して、前記飽和溶液を定量し、各化合物の参照曲線をプロットした。515および518nmの間で変わる波長でUV/vis分光光度計を用いて、各飽和および標準溶液の吸光度を測定した。
【0040】
結果を表1に示す。これは、インディルビン塩の水溶性および対応する塩基のpH7.4での算出された物理化学的特性pKaおよびlogDを示す。
【表1】

【0041】
エーテル1〜3の調製のための一般手順
Ar下、DMF(90ml)中の6−ブロモインディルビン−3’−オキシム(1.0g、2.83mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.5ml)および適当な臭化物(2当量)を加え、混合物を室温で17時間撹拌した。次いで、水(300ml)を加え、形成された沈殿を濾過によって回収し、水で洗浄した。
【0042】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ブロモエチル)−オキシム](1)のデータ。
【0043】
収率:95%。融点252℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.67(1H,s,H−1’),10.93(1h,s,H−1),8.49(1H,d,J=8.3Hz,H−4),8.21(1H,d,J=7.8Hz,H−4’),7.45(2H,brs,H−6’,H−7’),7.16(1H,dd,J=8.3/2.0Hz,H−5),7.07(2H,m,H−5’,H−7),4.93(2H,t,J=5.6Hz,H−1’’),3.97(2H,t,J=5.6Hz,H−2’’)。APCI−MS m/z 462,464,466(M+H)。元素分析値(C1813Br)C,H,N。
【0044】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ヒドロキシエチル)−オキシム](2)のデータ。収率:96%。融点>300℃。Η ΝΜR(400 MHz、DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1H,brs,H−1’),10.90(1H,brs,H−1),8.54(1H,d,J=8.4Hz,H−4),8.18(1H,d,J=7.6Hz,H−4’),7.44(2H,m,H−7’,H−6’),7.16(1H,dd,J=8.4/1.9Hz,H−5),7.05(2H,m,H−5’,H−7),5.02(1H,t,J=5.4Hz,−O),4.62(2H,t,J=4.8Hz,H−1’’),3.89(2H,m,H−2’’)。CI−MS m/z 400,402(M+H)。元素分析値(C1814Br)C,H,N。
【0045】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−オキシム](3)のデータ。収率:95%。融点>300℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1Η,s,H−1’),10.90(1H,s,H−1),8.56(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.17(1H,d,J=7.7Hz,H−4’),7.44(2H,m,H−6’,H−7’),7.15(1H,dd,J=8.5,1.9Hz,H−5),7.06(1H,m,H−5’),7.03(1H,d,J=1.9Hz,H−7),5.14(1H,d,J=5.0Hz,−CHO),4.84(1H,t,J=5.6Hz,−CH),4.65(1H,dd,J=10.9,3.7Hz,H−1’’a),4.50(1H,dd,J=10.9,6.6Hz,H−1’’b),3.99(1H,m,H−2’’),3.50(2H,m,H−3’’)。APCI−MS(+)m/z 430,432(M+H)。元素分析値(C1916Br)C,H,N。
【0046】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(N,N−ジエチルカルバモイル)−オキシム](4)のデータ。
【0047】
Ar下、DMF(10ml)中の6−ブロモインディルビン−3’−オキシム(36mg、0.11mmol)溶液に、トリエチルアミン(0.5ml)および0.3ml(3.66mmol)のN,N−ジエチルカルバモイルクロリドを加え、混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、水(40ml)を加え、形成された沈殿を濾過によって回収し、水で洗浄すると、化合物(4)が定量的に得られた。収率:90%。融点237℃。Η−ΝΜR(400 MHz,ピリシン d−,δ ppm,J in Hz)12.36(1H,s,H−1’),12.15(1H,s,H−1),9.93(1H,d,J=8.6Hz,H−4),8.13(1H,d,J=7.8Hz,H−4’),7.61(1H,dd,J=8.6/1.9Hz,H−5),7.43(1H,m,H−6’),7.35(1H,d,J=1.9Hz,H−7’),7.14 − 7.06(2H,m,H−5’,H−7),3.44(4H,brs,−N(CCH),1.18(6H,t,J=7.0Hz,−N(CH)。APCI−MS(+)m/z 455,457(M+H)。元素分析値(C2119Br)C,H,N。
【化3】

【0048】
試薬など:(i)ジブロモエタン、トリエチルアミン、無水DMF、25℃、(ii)2−ブロモエタノール、トリエチルアミン、無水DMF、25℃、(iii)3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、トリエチルアミン、無水DMF、25℃、(iv) N,N−ジエチルカルバモイルクロリド、トリエチルアミン、無水DMF、25℃、(v)無水DMF、25℃、アミンa〜k。
【0049】
アミン5〜15の調製のための一般手順。
【0050】
100mgの6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2’’−ブロモエチル)−オキシム](1)を、5mlの無水DMFに溶解した。磁気撹拌下、過剰の適当なアミンを加え、次いで、混合物を50℃に加熱した。反応が完了した後、混合物を水(30ml)中に注ぎ入れ、沈殿を濾過し、水およびシクロヘキサンで洗浄した。ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、モルホリン、ジエタノールアミン、3−メチルアミン−1,2−プロパンジオール、ピペラジン、1−メチルピペラジン、1−(2−メトキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンおよび1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]ピペラジンによって、それに応じた生成物(5)〜(15)が、定性的な収率で得られた。
【0051】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ジメチルアミノエチル)−オキシム](5)のデータ。融点230℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.71(1H,brs,H−1’),10.92(1H,brs,H−1),8.55(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.14(1H,d,J=7.5Hz,H−4’),7.44(2H,d,J=4.1Hz,H−6’,H−7’),7.15(1H,dd,J=8.5/2.0Hz,H−5),7.05(2H,m,H−5’,H−7),4.69(2H,t,J=5.8Hz,H−1’’),2.80(2H,t,J=5.8Hz,H−2’’),2.27(6H,s,−N(C)。APCI−MS m/z 427,429(M+H)。元素分析値(C2019Br)C,H,N。
【0052】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ジエチルアミノエチル)−オキシム](6)のデータ。融点232℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.71(1H,s,H−1’),10.92(1H,s,H−1),8.55(1H,d,J=8.2Hz,H−4),8.16(1H,d,J=7.8Hz,H−4’),7.44(2H,d,J=3.4Hz,H−6’,H−7’),7.13(1H,dd,J=8.2/2.1Hz,H−5),7.09 − 7.02(2H,m,H−7,H−5’),4.65(2H,t,J =6.0Hz,H−1’’),2.94(2H,t,J=6.0Hz,H−2’’),2.58(2H,q,J=7.2Hz,−N(CCH),0.98(6H,t,J=7.2Hz,−N(CH)。APCI−MS(+)m/z 455,457(M+H)。元素分析値(C2223Br)C,H,N。
【0053】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ピロリジン−1−イルエチル)オキシム](7)のデータ。融点208℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1H,s,H−1’),10.93(1H,s,H−1),8.54(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.14(1H,d,J=7.7Hz,H−4’),7.45(2H,m,H−6’,H−7’),7.14(1H,d,J=8.5/1.9Hz,H−5),7.05(2H,m,H−5’,H−7),4.70(2H,t,J=5.8Hz,H−1’’),2.98(2H,brt,J=5.8Hz,H−2’’),2.57(4H,brs,H−3’’,H−6’’),1.69(4H,m,H−4’’,H−5’’)。APCI−MS(+)m/z 453,455(M+H)。元素分析値(C2221Br)C,H,N。
【0054】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−モルホリン−1−イルエチル)オキシム](8)のデータ。融点235℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1H,s,H−1’),10.90(1H,s,H−1),8.52(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.15(1H,d,J=7.6Hz,H−4’),7.43(2H,m,H−6’,H−7’),7.14(1H,dd,J=8.5/1.9Hz,H−5),7.05(1H,m,H−5’),7.02(1H,d,J=1.9Hz,H−7),4.70(2H,t,J=5.8Hz,H−1’’),3.57(4H,t,J=4.5Hz,H−4’’,H−5’’),2.86(2H,t,J=5.8Hz,H−2’’),2.50(4H,m,H−3’’,H−6’’,DMSOと重複)。APCI−MS(+)m/z 469,471(M+H)。元素分析値(C2221Br)C,H,N。
【0055】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−(N,N−(2−ヒドロキシエチル)アミノエチル)オキシム)(9)のデータ。融点201℃。Η ΝΜR(400 MHz,ピリシン d−,δ ppm,J in Hz)12.31(1H,brs,H−1’),12.25(1H,brs,H−1),8.93(1H,d,J=8.2Hz,H−4),8.42(1H,d,J=7.8Hz,H−4’),7.47(1H,dd,J=8.2,1.8Hz,H−5),7.39(1H,d,J=1.8Hz,H−7),7.34(1H,t,J=7.2Hz,H−6’),7.04(2H,m,H−5’,H−7’),5.89(1H,brs,−OH),4.86(2H,t,J=6.3Hz,H−1’’),4.00(4H,m,−−N(CHOH)),3.38(2H,t,J=6.3Hz,H−2’’),3.08(4H,t,J=5.9Hz,−−N(CCHOH))。APCI−MS(+) m/z 487,489(M+H)。元素分析値(C2223Br)C,H,N。
【0056】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[N−メチル、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]エチル}オキシム](10)のデータ。融点195℃。Η ΝΜR(400 MHz,ピリジン d−,δ ppm,J in Hz)12.27(2H,m,H−1,H−1’),8.90(1H,d,J=8.8Hz,H−4),8.41(1H,d,J=7.5Hz,H−4’),7.46(1H,dd,J=8.8,1.8Hz,H−5),7.38(1H,d,J=1.8Hz,H−7’),7.36(1H,t,J=7.5Hz,H−6’),7.05(2H,m,H−5’,H−7),4.80(2H,t,J=6.1Hz,H−1’’),4.29(1H,m,H−4’’),4.11(1H,dd,J=11.0,4.6Hz,H−5’’a),4.04(1H,dd,J=11.0,5.5Hz,H−5’’b),3.14(2H,t,J=6.1Hz,H−2’’),2.93(2H,m,H−3’’),2.49(3H,s,−NC)。CI−MS m/z 487,489(M+H)。元素分析値(C2223Br)C,H,N。
【0057】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ピペラジン−1−イルエチル)オキシム](11)のデータ。融点255℃(dec.)Η ΝΜR(400 MHz、DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.69(1H,s,H−1’),10.92(1H,s,H−1),8.53(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.15(1H,d,J=7.4Hz,H−4’),7.43(2H,m,H−6’,H−7’),7.14(1H,d,J=8.5Hz,H−5),7.03(2H,m,H−5’,H−7),4.69(2H,br t,H−1’’),2.83(2H,br t,H−2’’),2.71(4H,brs,H−4’’,H−5’’),2.46(4H,brs,H−3’’,H−6’’,DMSOと部分的に重複)。APCI−MS(+)m/z 468,470(M+H)。元素分析値(C2222Br)C,H,N。
【0058】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−{O−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]オキシム}(12)のデータ。融点222℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.68(1H,s,H−1’),10.90(1H,s,H−1),8.40(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.14(1H,d,J=7.7Hz,H−4’),7.42(2H,m,H−6’,H−7’),7.13(1H,dd,J=8.5/1.9Hz,H−5),7.04(1H,m,H−5’),7.02(1H,d,J=1.9Hz,H−7),4.68(2H,t,J=5.9Hz,H−1’’),2.85(2H,t,J=5.9Hz,H−2’’),2.50(4H,brs,H−3’’,H−6’’,DMSOと重複),2.31(4H,brs,H−4’’,H−5’’),2.13(3H,s,−NC)。APCI−MS(+)m/z 482,484(M+H)。元素分析値(C2324Br)C,H,N。
【0059】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エチル}オキシム)(13)のデータ。融点187℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)8.52(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.16(1H,d,J=7.6Hz,H−4’),7.43(2H,m,H−6’,H−7’),7.13(1H,dd,J=8.5/1.8Hz,H−5),7.05(1H,m,H−5’),7.02(1H,d,J=1.8Hz,H−7),4.69(2H,t,J=5.7Hz,H−1’’),3.45(2H,t,J=6.3Hz,H−8’’),2.85(2H,t,J=5.7Hz,H−2’’),2.50(4H,H−3’’,H−6’’,DMSOと重複),2.42(4H,H−4’’,H−5’’),2.34(2H,t,J=6.3Hz,H−7’’)。APCI−MS(+)m/z 512,514(M+H)。元素分析値(C2426Br)C,H,N。
【0060】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル]エチル}オキシム)(14)のデータ。融点184℃。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1H,s,H−1’),10.90(1H,s,H−1),8.50(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.16(1H,d,J=7.6Hz,H−4’),7.44(2H,m,H−6’,H−7’),7.15(1H,dd,J=8.5,1.7Hz,H−5),7.07(2H,m,H−5’,H−7),4.70(2H,t,J=5.6Hz,H−1’’),3.40(2H,H−8’’,水と重複),3.21(3H,s,−OC),2.87(2H,brt,H−2’’),2.66−2.40(H−4’’,H−5’’,H−3’’,H−6’’,Η−7’’,DMSOと重複)。APCI−MS(+)m/z 526,528(M+H)。元素分析値(C2528Br)C,H,N。
【0061】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]ピペラジン−1−イル}エチル)オキシム](15)のデータ。融点183℃。Η ΝΜR(400 MHz,ピリジン d−,δ ppm,J in Hz)12.31(1H,s,H−1’),12.25(1H,s,H−1),8.89(1H,d,J=8.3Hz,H−4),8.39(1H,d,J=7.9Hz,H−4’),7.45 − 7.33(3H,m,H−5,H−7’,H−6’),7.09(2H,m,H−5’,H−7),4.78(2H,t,J=5.8Hz,H−1’’),3.96(2H,t,J=5.0Hz,H−10’’),3.70(2H,t,J=5.0Hz,H−9’’),3.66(2H,t,J=5.8Hz,H−8’’),2.94(2H,t,J=5.8Hz,H−2’’),2.68(2H,brs,Η−3’’,H−6’’),2.57(8H,t,J=5.8Hz,H−4’’,H−5’’,Η−7’’)。APCI−MS(+)m/z 556,558(M+H)。元素分析値(C2630Br)C,H,N。
【0062】
アミン塩16〜26の調製のための一般手順。
【0063】
適当なインディルビン誘導体5〜15(0.10mmol)を、無水THF(50ml)に溶解し、エーテル中塩酸の飽和溶液0.2mlを滴加した。反応混合物を氷浴中で冷却させ、形成された沈殿を濾過によって回収した。
【0064】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ジメチルアミノエチル)オキシム]ヒドロクロリド(16)のデータ。Sw(g/l)0.141.Η−ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm J in Hz)11.70(1H,s,H−1’),10.97(1H,s,H−1),8.49(1H,d,J=8.3Hz,H−4),8.22(1H,J=7.4Hz,H−4’),7.46(2H,m,H−7,H−6’),7.20(1H,dd,J=8.3/1.7Hz,H−5),7.05(2H,m,H−5’,H−7’),4.95(2H,brs,H−1’’),3.58(2H,m,H−2’’),2.81(6H,brs,−N(CH)。分析値(C2020BrCl)C,H,N。
【0065】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ジエチルアミノエチル)オキシム]ヒドロクロリド(17)のデータ。Sw(g/l)0.192。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.70(1H,s,H−1’),10.98(1H,s,H−1),8.49(1H,d,J=8.6Hz,H−4),8.21(1H,d,J=7.4Hz,H−4’),7.47(2H,m,H−7,H−6’),7.21(1H,dd,J=8.6/1.9Hz,H−5),7.09 − 7.04(2H,m,H−5’,H−7’),5.00(2H,brs,H−1’’),3.58(2H,brs,H−2’’),3.24(4H,brs,−N(CCH),1.21(6H,t,J=7.0Hz,−N(CH)。分析値(C2224BrCl)C,H,N。
【0066】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ピロリジン−1−イルエチル)オキシム]ヒドロクロリド(18)のデータ。Sw(g/l)0.195。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.71(1H,s,H−1’),10.97(1H,s,H−1),8.48(1H,d,J=8.6Hz,H−4),8.22(1H,d,J=7.4Hz,H−4’),7.44 − 7.52(2H,m,H−7,H−6’),7.20(1H,dd,J=8.6/1.9Hz,H−5),7.07(2H,m,H−5’,H−7’),4.94(2H,brs,H−1’’),3.64(2H,brs,H−2’’),3.13(4H,m,Η−3’’,Η−6’’),2.02(4H,m,H−4’’,H−5’’)。元素分析値(C2222BrCl)C,H,N.
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−モルホリン−1−イルエチル)オキシム]ヒドロクロリド(19)のデータ。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.69(1H,s,H−1’),10.98(1H,s,H−1),8.47(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.22(1H,d,J=7.8Hz,H−4’),7.45(2H,m,H−7,H−6’),7.21(1H,dd,J=8.3,1.8Hz,H−5),7.06(2H,m,H−5’,H−7’),5.05(2H,brs,H−1’’),3.95(2H,m,H−2’’),3.75(4H,m,H−4’’,H−5’’),3.27(4H,H−3’’,H−6’’,水と重複)。元素分析値(C2222BrCl)C,H,N。
【0067】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−(N,N−(2−ヒドロキシエチル)アミノエチル)オキシム)ヒドロクロリド(20)のデータ。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.71(1H,s,H−1’),10.98(1H,s,H−1),8.48(1H,d,J=8.3Hz,H−4),8.22(1H,d,J=7.9Hz,H−4’),7.46(2H,m,H−7,H−6’),7.21(1H,dd,J=8.3/1.8Hz,H−5),7.06(2H,m,H−5’,H−7’),5.35(2H,brs,OH),5.03(2H,brs,H−1’’),3.84(2H,brs,H−2’’),3.78(4H,brs,−−N(CHOH)),3.38(4H,m,−−N(CCHOH),水と重複)。分析値(C2224BrCl)C,H,N。
【0068】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[N−メチル、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]エチル}オキシム)ヒドロクロリド(21)のデータ。Sw(g/l)1.45。Η ΝΜR(400 MHz,DMSO d−,δ ppm,J in Hz)11.69(1H,s,H−1’),10.96(1H,s,H−1),8.48(1H,d,J=8.5Hz,H−4),8.20(1H,d,J=7.9Hz,H−4’),7.4(2H,m,H−7,H−6’),7.19(1H,dd,J=8.5/1.8Hz,H−5),7.05(2H,m,H−5’,H−7’),4.95(2H,brs,H−1’’),3.89(1H,brs,H−4’’),3.38(4H,H−3’’,H−5’’,水と重複),2.83(2H,brs,H−3’’),2.50(3H,−N(C),DMSOと重複)。元素分析値(C2224BrCl)C,H,N.
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−ピペラジン−1−イルエチル)オキシム]ジヒドロクロリド(22)のデータ. Sw(g/l)1.61。Η ΝΜR(400 MHz,DO,δ ppm,J in Hz)7.65(1H,d,J=8.5Hz,H−4),7.55(1H,d,J=7.5,H−4’),7.26(1H,t,J=7.5Hz,H−6’),6.85(1H,t,J=7.2Hz,H−5’),6.76(1H,d,J=8.5Hz,H−5),6.72(1H,d,J=7.5Hz,H−7’),6.54(1H,s,H−7),4.42(2H,brt,H−1’’),3.38(4H,brt,H−4’’,H−5’’),3.11(6H,brs,H−3’’,H−6’’,H−2’’)。元素分析値(C2224BrCl)C,H,N.
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−{O−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]オキシム}ジヒドロクロリド(23)のデータ。Sw(g/l)1.50。Η ΝΜR(400 MHz,DO,δ ppm,J in Hz)7.63(1H,d,J=8.2Hz,H−4),7.53(1H,d,J=7.5,H−4’),7.25(1H,t,J=7.6Hz,H−6’),6.84(1H,t,J=7.6Hz,H−5’),6.75(1H,d,J=8.2Hz,H−5),6.70(1H,d,J=7.5Hz,H−7’),6.53(1H,s,H−7),4.39(2H,brs,H−1’’),3.39(4H,brs,H−3’’,H−6’’),3.11(6H,brs,H−2’’,H−4’’,H−5’’),2.90(3H,s,−NC)。元素分析値(C2326BrCl)C,H,N。
【0069】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エチル}オキシム)ジヒドロクロリド(24)のデータ。Sw(g/l)1.14。Η ΝΜR(400 MHz,DO,δ ppm,J in Hz)7.68(1H,d,J=8.5Hz,H−4),7.56(1H,d,J=7.4,H−4’),7.27(1H,brt,J=7.2Hz,H−6’),6.85(1H,brt,J=7.2Hz,H−5’),6.78(1H,d,J=8.5Hz,H−5),6.73(1H,d,J=7.4Hz,H−7’),6.57(1H,s,H−7),4.42(2H,brs,H−1’’),3.89(2H,brs,H−8’’),3.39(4H,brs,H−3’’,H−6’’),3.26(2H,brs,H−7’’),3.12(6H,brs,H−2’’,H−4’’,H−5’’)。元素分析値(C2428BrCl)C,H,N。
【0070】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−(O−{2−[4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル]エチル}オキシム)ジヒドロクロリド(25)のデータ。Sw(g/l)0.57。Η ΝΜR(400 MHz,DO,δ ppm,J in Hz)7.70(1H,brs,H−4),7.61(1H,brs,H−4’),7.28(1H,brt,J=7.2Hz,H−6’),6.88(1H,brt,J=7.5Hz,H−5’),6.77(2H,brs,H−5,H−7’),6.58(1H,s,H−7),4.52(2H,brs,H−1’’),3.74(2H,brs,H−8’’),3.55−3.22(12H,H−2’’,H−3’’,H−4’’,H−5’’,H−6’’,H−7’’),3.35(3H,s,−OC)。Anal.(C2530BrCl)C,H,N。
【0071】
(2’Z−3’E)−6−ブロモインディルビン−3’−[O−(2−{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]ピペラジン−1−イル}エチル)オキシム]ジヒドロクロリド(26)のデータ. w(g/l)4.253。Η ΝΜR(400 MHz,DO,δ ppm,J in Hz)7.54(1H,d,J=8.1Hz,H−4),7.44(1H,d,J=7.2Hz,H−4’),7.21(1H,brt,J=7.6Hz,H−6’),6.78(1H,brt,J=7.2Hz,H−5’),6.69(1H,d,J=7.2Hz,H−7’),6.61(1H,d,J=8.1Hz,H−5),6.34(1H,s,H−7),4.28(2H,brs,H−1’’),3.82,3.72,3.63,(6H,H−8’’,H−9’’,H−10’’),3.46−2.72(12H,H−2’’,H−3’’,H−4’’,H−5’’,H−6’’,H−7’’)。元素分析値(C2632BrCl)C,H,N。
【0072】
アミンaは化合物(5)(16)に、bは(6)(17)に、cは(7)(18)に、dは(8)(19)に、eは(11)(22)に、fは(12)(23)に、gは(15)(26)に、hは(10)(21)に、iは(9)(20)に、jは(13)(24)に、kは(14)(25)にそれぞれ対応する。
【0073】
生物学
キナーゼ調製およびアッセイ
キナーゼ活性を、バッファーA(10mM MgCl、1mM EGTA、1mM DTT、25mM Tris−HCl pH7.5、50μgヘパリン/ml)またはC(ホモジネーションバッファーであるが、5mM EGTAを含み、NaFを含まず、プロテアーゼ阻害剤を含まない)中、30℃、最終ATP濃度15μMでアッセイした。ブランク値を差し引き、活性を、30分のインキュベーションの間に組み込まれたリン酸のpmoleとして算出した。活性は、最大活性の(すなわち、阻害剤の不在下での)%で表した。コントロールは、ジメチルスルホキシドの適当な希釈を用いて実施した。基質のリン酸化は、P81ホスホセルロースアッセイによって評価した。
【0074】
CDK1/サイクリンBは、先に記載されるように(文献4)、M期ヒトデ(Marthasterias glacialis)卵母細胞から、ホモジネーション バッファー(60mM β−グリセロホスフェート、15mM p−ニトロフェニルホスフェート、25mM Mops(pH7.2)、15mM EGTA、15mM MgCl、1mM DTT、1mM バナジウム酸ナトリウム、1mM NaF、1mM フェニルホスフェート、10μgロイペプチン/ml、10μgアプロチニン/ml、10μg 大豆トリプシンインヒビター/mlおよび100μM ベンズアミジン)で抽出し、p9CKShs1−セファロースビーズでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、それから、遊離p9CKShs1によって溶出した。キナーゼ活性は、最終容量30μlで、15μM[γ−33P]ATP(3,000Ci/mmol;10mCi/ml)の存在下、1mgヒストンH1/mlを含むバッファーCにおいてアッセイした。30℃で30分インキュベートした後、上清の25μlのアリコートを、Whatman P81ホスホセルロースペーパーの2.5×3cm片にスポッティングし、20秒後、フィルターを、10mlリン酸/水1リットルの溶液中で5回洗浄した(各回少なくとも5分間)。湿ったフィルターを、1mlのACS(Amersham)シンチレーション液の存在下でカウントした。
【0075】
CDK5/p25を、等量の組換えヒトCDK5およびGST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)融合タンパク質として大腸菌で発現されたp25を混合することによって再構成し、グルタチオン−アガロースでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製した(p25は、p35、35kDaのCDK5アクチベーターの末端切断型である)。その活性は、CDK1/サイクリンBについて記載されるようにバッファーCにおいてヒストンH1を用いてアッセイした。
【0076】
GSK−3α/βは、固定化アキシンでのアフィニティークロマトグラフィーによってブタ脳から精製した(文献5)。最終容量30μlで、15μM[γ−33P]ATP(3,000Ci/mmol;10mCi/ml)の存在下、バッファーA中、4μMのGS−1(YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQSpEDEEE)、Millegen(Labege、France)から入手したGSK−3特異的基質を含む、1mg BSA/mlの10mM DTTで1/100希釈した後アッセイした。30℃で30分間インキュベートした後、25μlの上清のアリコートを上記のように処理した。
【0077】
細胞アッセイ
細胞培養条件および細胞生存評価
SH−SY5Yヒト神経芽腫細胞株を、2mM L−グルタミン(Invitrogen、Cergy Pontoise、France)およびLonzaから得た抗生物質(ペニシリン−ストレプトマイシン)および10%容量のウシ胎児血清(FCS)(Invitrogen)を補給したDMEMで、5% COを用いて37℃で増殖させた。薬物処理は、指数増殖期培養物で、示された時間および濃度で実施した。コントロール実験はまた、DMSOの適当な希釈物を使用して実施した。細胞生存力は、これまでに記載されるように(文献6)、処理の48時間後にMTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム)法によって決定した。
【0078】
SH−SY5Yヒト神経芽腫細胞におけるβ−カテニンリン酸化
ほぼコンフルエントのSH−SY5Yヒト神経芽腫細胞を、DMEM(10% FCSおよび抗生物質を補給した)中、96プレートで増殖させた。細胞を、試験される化合物および2μM MG132を用いて6時間同時処理した(リン酸化β−カテニンを蓄積させた)。最終DMSO濃度は、1%を越えなかった。次いで、細胞を、Cell Signaling Technologyから入手したSer33/Ser37/Thr41−リン酸化(1:1000)β−カテニンに対する抗体を使用するELISAアッセイに付した。結果は、最大β−カテニンリン酸化の、すなわち、陽性コントロール(100%リン酸化)としてMG132のみに曝露された未処理細胞におけるパーセンテージで表されている。
【0079】
細胞培養および日内周期性の発光アッセイ
これらの実験では、時計制御Per2プロモーター(PPer2)活性の尺度として、発光の頑強な日内周期を示す、PPer2::Flucリポーター構築物を用いて安定にトランスフェクトされたRat−1線維芽細胞を使用した(文献7)。細胞を、5% COインキュベーター中、37℃で、5% FBS、50ユニット/mlペニシリンおよび50μg/mlストレプトマイシンを補給したDMEM(11965−092、GIBCO/Invitrogen)で培養した。約5×10個細胞を、実験の少なくとも5日前に35mmディッシュに播種した。3日後、細胞は100%コンフルエンスに達し、細胞を0.1μMデキサメタゾン(Sigma)で1時間処理し、集団中の細胞間でオシレーターを同期化した。処理の最後に、培地を、アッセイ培地[フェノールレッドを含まない、重炭酸(350mg/L)、5% FBS、10mM HEPES(pH7.2)、抗生物質(25ユニット/mlペニシリン、25μg/mlストレプトマイシン)および0.1mM ルシフェリン(Promega)を補給したDMEM]と交換した。培養ディッシュを、40mm顕微鏡ガラスカバースリップおよび高真空グリースで密閉して、培養培地の蒸発を防いだ。LumiCycle(Actimetrics Inc.、Evanston、IL、USA)において発光リズムをモニタリングした。密閉される前に、培養ディッシュに薬物を種々の終濃度に加え、その後、細胞とともに引き続き残し、その間に、発光パターンを5日間以上記録した。溶媒コントロールとしてDMSOを使用した。発光リズムの期間および相を調べるために、Chrono IIプログラムを用いて回帰分析を実施した。
【0080】
電気泳動およびウエスタンブロッティング
細胞を4℃でホモジネーションバッファーに30分間再懸濁し、溶解し、超音波処理した。遠心分離(4℃で、14000r.p.m.15分間)した後、Bradfordタンパク質アッセイ(Bio−Rad)によって上清中のタンパク質濃度を調べた。5分間熱変性させた後、タンパク質を、MOPS SDSランニングバッファーを用い、10% NuPAGE pre−cast Bis−Tris Acetate ポリアクリルアミドミニゲル(Invitrogen)によって分離した。タンパク質を0.45μmのニトロセルロースフィルター(Schleicher and Schuell)にトランスファーした。これらをTris緩衝生理食塩水−Tween−20中、5%低脂肪乳を用いてブロッキングし、Ser33/Ser37/Thr41−リン酸化β−カテニン(1:1000)に対する抗体(Cell Signaling Technology)とともに4℃で1晩インキュベートし、Enhanced Chemiluminescence(ECL、Amersham)によって分析した。
【0081】
結果
6BIO誘導体の細胞毒性
3種のプロテインキナーゼに対する、およびヒト神経芽腫SH−SY5Y細胞の生存に対するインディルビン1〜26の効果が、表2〜表4に示されている。インディルビンは、実験の節に記載されるように、GSK−3α/β、CDK1/サイクリンB、CDK5/p25に対して種々の濃度で試験した。用量反応曲線から算出されたIC50値は、μMで報告されている。化合物は、MTS還元アッセイを使用して推定される48時間インキュベーションした後のSH−SY5Y細胞生存に対するその効果について種々の濃度で試験した。用量反応曲線から算出されるIC50値は、μMで報告されている。
【化4】

【表2】

【表3】

【表4】

【0082】
本発明のインディルビン誘導体を、MTS還元アッセイを使用してSH−SY5Y神経芽腫細胞の生存に対するその効果について調べた。これらのアッセイは、GSK−3に対する効力の増大は、細胞死の増強と関連しないということを示した(表1)。類似体13、14および15(およびその対応する塩24、25、26)は、細胞死誘導活性をほとんど有さなかった。6BIOのIC50、9μMと比較するためのIC50値は、それぞれ、28μM、>100μM、94μM(塩:17μM、>100μM、98μM)であった。したがって、置換ピペラジン環拡張は、GSK−3に対する選択性および有効性に有利に働き、良好な溶解度を可能にするだけでなく、その細胞毒性も低減する。これらの特徴は、細胞系におけるGSK−3の研究におけるこれらの化合物の使用にとって、また、神経変性性疾患および糖尿病との関連で、可能性ある治療リード化合物として特に好都合である。
【0083】
インディルビンによるGSK−3の細胞内阻害の確認
新規インディルビンが、細胞状況におけるGSK−3の阻害で有効であるかどうかを調べるために、SH−SY5Y神経芽腫細胞においてGSK−3特異的部位でのβ−カテニンのリン酸化に対するその効果を測定した。細胞を、一定レベルのMG132(GSK−3によってリン酸化されるとすぐのβ−カテニンの迅速な分解を防いだ、プロテアソームの阻害剤)の存在下で、10μMの各インディルビンの種々の濃度に曝露した。GSK−3によってリン酸化されたもののレベルを、SDS−PAGE後のウエスタンブロッティング(GSK−3部位でリン酸化された場合にβ−カテニンと特異的に交差反応する抗体を用いる)によって(図2a)、またはELISAアッセイによって(図2b)推定した。結果は、β−カテニン上のGSK−3選択的リン酸化部位の用量依存性阻害を示し、これは、これらの化合物は、細胞においてGSK−3を実際に阻害できることを実証した。最も効果的な化合物は、6BIO、3、5、9、11、12および13(および利用可能である場合にはその塩、すなわち、16、20、22、23、24)であった。用量反応曲線は、ELISAアッセイを用いて得られた(図2b)。キナーゼ不活性誘導体1−メチル−6BIOは、細胞アッセイでは効果がなかった。
【0084】
哺乳類細胞培養における日内周期に対する効果
GSK−3は、日内周期(日周体内時計としても知られる)の重要なレギュレーターである。日内周期は、非神経系、末梢組織における概日時計の優れたモデル系である細胞系において部分的に再現できる。この系を使用して、GSK−3阻害が日内周期に影響を及ぼし得る可能性を探った。PPer2::Flucリポーター構築物を用いて安定にトランスフェクトされたRat−1線維芽細胞は、時計制御Per2プロモーター(PPer2)の尺度として発光の頑強な日内周期を示す。実験の節に記載されるように、細胞を培養し、まず、10μMインディルビン15を用いて処理し、そのPer発現依存性発光の日内周期を4日間モニタリングした。周期長の段階的な短縮が明確に観察された(図3a)。次いで、図3aにおけるように、同様の実験を、小規模に選んだインディルビンを用いて実施し、周期長を算出した。周期長の短縮において最も有効な化合物(図3b)はまた、細胞アッセイにおけるβ−カテニンリン酸化の阻害においても最も有効であり(図2)、このことは、概日期間の短縮におけるインディルビンの作用は、GSK−3に対するものであるという仮説を支持する。これまでの研究は、薬理学的ツールとしてリチウムを使用する、哺乳類細胞の日内周期の調節におけるGSK−3の重要な作用を支持した。リチウムは、日内周期の期間を延長するのに対し、インディルビンは、期間を短縮する(図5)。しかし、日内周期のこれまでの研究において使用されたリチウムおよびGSK−3の濃度は、10〜20mMであったのに対し、インディルビンを用いた結果は、1000倍低い濃度(10μM)を用いて得られた。これらの比較は、リチウムの概日期間延長効果は、リチウムの副作用によるものであり得るということを示唆する。したがって、インディルビンは、日内周期の調節におけるGSK−3の役割を調べるための有用な薬理学的ツールとなると思われる。
【0085】
本発明者らは、疾患関連グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3のATP結合部位でのインディルビンの重要な相互作用の論理的根拠分析ならびに3’部位の種々の修飾を調べる類似体の合成および生物学的評価によって、阻害剤/GSK−3複合体にさらなる安定化を与える新規相互作用部位を明らかにすることができた。結果として、この部位での拡張は、GSK−3に対する活性および選択性の増強を提供し、また、水溶性の増強に好都合な置換を導入する機会も提供した。
【0086】


参考文献
1.Meijer, L; Skaltsounis, AL; Magiatis, P; Polychonopoulos, P; Knockaert, M; Leost, M; Ryan, XP; Vonica, CD; Brivanlou, A; Dajani, R; Tarricone, A; Musacchio, A; Roe, SM; Pearl, L, Greengard, P. GSK-3 selective inhibitors derived from Tyrian purple indirubins. Chem. & Biol. 2003, 10, 1255-1266.

2. Jope, R.S.; Johnson, G.V.W. The glamour and gloom of glycogen synthase kinase-3. Trends Biochem. Sci. 2004, 29, 95-102.

3 Ribas, J.; Bettayeb, K.; Ferandin, Y.; Garrofe-Ochoa, X.; Knockaert, M.; Totzke, F.; Schachtele, C.; Mester, J.; Polychronopoulos, P.; Magiatis, P.; Skaltsounis, A.L.; Boix, J.; Meijer, L.,. 7-bromoindirubin-3’-oxime induces caspase-independent cell death. Oncogene 2006, 25, 6304-6318.

4 Leclerc, S.; Garnier, M.; Hoessel, R.; Marko, D.; Bibb, J.A.; Snyder, G.L.; Greengard, P.; Biernat, J.; Mandelkow, E.-M.; Eisenbrand, G.; Meijer, L. Indirubins inhibit glycogen synthase kinase - 3β and CDK5/p25, two kinases involved in abnormal tau phosphorylation in Alzheimer’s disease - A property common to most CDK inhibitors ? J. Biol. Chem. 2001, 276, 251-260.

5 Primot, A.; Baratte, B.; Gompel, M.; Borgne, A.; Liabeuf, S.; Romette, J.L.; Costantini, F.; Meijer, L. Purification of GSK-3 by affinity chromatography on immobilised axin. Protein Expr. & Purif. 2000, 20, 394-404.

6 Ribas, J.; Boix, J. Cell differentiation, caspase inhibition, and macromolecular synthesis blockage, but not BCL-2 or BCL-XL proteins, protect SH-SY5Y cells from apoptosis triggered by two CDK inhibitory drugs. Exp. Cell Res. 2004, 295, 9-24.

7 Izumo, M.; Sato, T.R.; Straume M.; Johnson C.H.. Quantitative analyses of circadian gene expression in mammalian cell cultures. PLoS Computational Biology 2006, 2, e136.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
R、は−(A)−Rまたは−CO−N(R,R)を表し、
・Aは、1個または数個のA基によって置換されていてもよいC1〜C5アルキレン基であり、Aは、ハロゲンBr、OH、ORまたはNHであり、Rは、C1〜C5アルキルであり;
・Rは、ハロゲン、OH、N(R、R)であり;RおよびRは、同一または異なり、上記で定義されたAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルであるか、またはRおよびRは、OもしくはNなどの他のヘテロ原子を含んでいてもよい、5もしくは6個の環員を有する環の一部であり;
・n=1〜5]
で示されるインディルビン誘導体。
【請求項2】
請求項1に記載のインディルビン誘導体の薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Rが−(A)−Rを表し、Rがハロゲン、OHまたはN(R、R)であり、同一または異なっているRおよびRが、上記で定義されたAによって置換されていてもよいC1〜C5アルキルである、請求項1または2に記載のインディルビン誘導体。
【請求項4】
がBrまたはOHであり、Aが、−(CHm1−CH(R)−(CHm2基を表し、ここで、m1=1〜3およびm2=0、1〜3である、請求項3に記載のインディルビン誘導体。
【請求項5】
が、N(R、R)である、請求項3に記載のインディルビン誘導体。
【請求項6】
Aが、C1〜C5アルキレン基である、請求項1から5のいずれか1項に記載のインディルビン誘導体。
【請求項7】
Rが、−CO−N(R,R)を表し、同一または異なっているRおよびRが、C1〜C5アルキル基である、請求項1または2に記載のインディルビン誘導体。
【請求項8】
薬物として使用するための、請求項1から7のいずれか1項に記載のインディルビン誘導体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたインディルビン誘導体の少なくとも1種の治療上有効な量を、薬学的に許容されるビヒクルと組合せて含む医薬組成物。
【請求項10】
静脈内経路または筋肉内または皮下による投与に適した形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
GSK調節解除と関連している病態の治療のための、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
アルツハイマー病、糖尿病、心臓肥大などのGSK調節解除と関連している病態の治療のための、胚幹細胞多能性維持または哺乳類における日内周期の変更の分野における、請求項11に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−529873(P2011−529873A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520627(P2011−520627)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053153
【国際公開番号】WO2010/013168
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】