説明

3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体

【課題】 ベンゾジアゼピン受容体に対して選択的な高い親和性を有する化合物を提供する。
【解決手段】 化1で表される3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体。
【化1】


(式中、Hetはオキサジアゾリル基を意味し、R1 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基,低級アルキニル基,置換若しくは非置換アリール基,置換若しくは非置換ヘテロアリール基,低級アルコキシ基などであり、R2 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,ハロゲン原子,水酸基,低級アルコキシ基,シアノ基,ニトロ基,アシル基,置換若しくは非置換ベンゾイル基などであり、R3 は水素原子,ハロゲン原子,低級アルコキシ基などである。)
【効果】 本発明の化合物はベンゾジアゼピン受容体に対して選択的な高い親和性を有するので、ベンゾジアゼピン受容体作用薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬として有用な、特に、ベンゾジアゼピン受容体に選択的な親和性を有する新規3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体およびその医薬としての使用に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ジアゼパムに代表されるベンゾジアゼピン(BZP)系化合物は抗不安作用を有し、当初抗不安薬として開発されたが、抗不安作用のほかに抗痙攣作用、鎮静・催眠作用を有することから、その後これらの化合物は1)抗不安薬、2)催眠(睡眠)薬、3)筋弛緩薬、4)抗てんかん薬として広範囲に臨床応用されている。
【0003】BZP系化合物の主な薬理作用は、1)馴化作用、2)催眠作用、3)中枢性筋弛緩作用、4)抗痙攣作用などであるが、これらの薬理作用は、それぞれ独立した作用機序により出現するものではなく、密接に関連した神経薬理学的機序に起因すると解釈されている。BZP系化合物はふらつき,眠気,筋弛緩あるいは認知力,反射運動能力の低下などの副作用や、耐性,依存性形成など改善すべき問題点が多く残されている。
【0004】1970年代後半以降、BZP系化合物の薬理作用の研究の進展により、その作用機序の解明の足掛かりが2つあった。その1つはBZP系薬物による中枢神経系のγ−アミノ酪酸(GABA)作動性神経情報伝達機構のBZP系化合物による増強現象であり、もう1つはBZP特異的結合部位(BZP受容体)の発見とともに、脳内BZP受容体とGABA受容体との間の機能的連絡機構の証明である。これらの研究成果により、BZP系化合物の薬理作用発現にGABA作動性神経情報伝達機構が関与することがほぼ確立した。
【0005】BZP系化合物の有する前述の副作用や、耐性,依存性形成など改善すべき諸問題を解決する目的で、現在ではベンゾジアゼピンとは化学構造上異なるが、作用機構上同様に機能する非BZP系化合物の開発研究がなされている。これらの化合物も含めてベンゾジアゼピン受容体作動薬としてまとめられている。このような非BZP系化合物として、例えば下記化2および化3で表される化合物が知られている。
【0006】化2に示される化合物はジャーナル オブ メジシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)第34巻第2060頁(1991)に記載されている。
【0007】
【化2】


(式中、Ra は水素原子,Rb 〜Rd はメチル基など、およびRe はメトキシ基などを表す。)
【0008】また、化3に示される化合物は特開平6-192258号および特開平7-10874 号公報に記載されている。
【0009】
【化3】


【0010】ところが、ベンゾジアゼピン受容体に対して同様に選択的な高い親和性を持ちながら全く逆の作用を示す化合物が非BZP系化合物の中から見出された〔Braestrup. C 等, Neuropharmacol., 22, 1451-1457 (1983) 〕。これらの化合物の投与により痙攣増強、不安誘発、筋緊張亢進などの薬理作用が発現する。このことにより、従来の抗不安薬としてのBZP化合物群をアゴニストとし、この逆の薬理作用を有する化合物群をインバースアゴニストと呼ばれた。
【0011】インバースアゴニストの発見により、ベンゾジアゼピン受容体(BZP受容体)に結合する化合物の固有活性と薬理作用との関係について精力的な研究が行われ、その結果、現在ではBZP受容体に結合(親和)する化合物は、複合体機能の修飾様式により、あるいは化合物の固有活性により、アゴニスト(さらにフルアゴニストとパーシャルアゴニストに小分類)、インバースアゴニスト(さらにフルインバースアゴニストとパーシャルインバースアゴニストに小分類)およびアンタゴニストに分類されている。アゴニストはBZP受容体への選択的な結合により、GABA受容体とClイオンチャンネルのカップリング機能を増強する方向に作用し、Clイオンチャンネル開閉頻度の増加によりClイオンの細胞内への流入を増加させ、細胞内の負電荷の増加により細胞活性を抑える。インバースアゴニストはこのカップリング機能を低下させる方向、すなわち、Clイオンチャンネルの開閉頻度を減少させる方向に作用し、Clイオンの細胞内への流入を減少させ、細胞内の負電荷の減少により細胞活性を亢進させる(細胞の興奮性を高める)。アンタゴニストはそれ自体カップリング機能に何ら変化をもたらさず、アゴニストがBZP受容体に結合するのを阻害する。
【0012】このようにBZP受容体はGABA受容体とClイオンチャンネルの間に介在し、これらと複合体を形成する分子単位として認識されている。最近、このBZP受容体には少なくとも3種のサブタイプが存在することが明らかにされ、それぞれω1, ω2 およびω3 受容体と名付けられている。ω1 受容体は鎮静・睡眠作用や抗不安作用の発現に、ω2 受容体は筋弛緩作用に、ω3 受容体は抗狭心作用等の薬理作用や耐性形成に深く関わっていることが示唆されている。従来のBZP系化合物はω1 およびω2 受容体に結合してその薬理作用を発現するものと考えられている。
【0013】一般に、BZP受容体に結合する化合物の固有活性を予測する指標として、GABA存在下と非存在下でのBZP受容体親和性の比(GABA比)が知られている。固有活性とGABA比との関係では、GABA比が1を越えるのものはアゴニスト、GABA比が1のものはアンタゴニスト、GABA比が1未満のものはインバースアゴニストとして分類される。化2および化3に示される化合物のような従来のBZP系化合物はほとんどのものがGABA比が1を越えアゴニストとしての固有活性を有している。逆に、GABA比が1未満でインバースアゴニストとしての性質を有しているものが、例えば下記化4で表される化合物である。
【0014】
【化4】


【0015】化4に示されるβ−カルボリン誘導体はProc. Natl. Acad. Sci. USA 1980,77, 2288(Braestrup. C 等, Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America) に記載されている。
【0016】一方、固有活性と薬理効果との関係についても、多くの研究がなされており、BZPアゴニストは前述のように、抗不安薬、睡眠障害治療薬(睡眠導入薬)やてんかん治療薬として使用される。しかしながら、BZPアゴニストの投与は他の作用として健忘作用をもたらすことが、動物だけでなくヒトにおいてもよく知られている。それ故にBZPインバースアゴニストに健忘を誘発する作用の逆の作用すなわち、抗健忘作用、脳賦活作用が期待される。しかも認知機能に重要な関わりを有しているアセチルコリンの活動がアゴニストにより低下し、インバースアゴニストにより高まるので、インバースアゴニストの中から抗記憶障害作用を持つものが期待される。したがって、BZPインバースアゴニストは脳賦活薬や老年性痴呆、脳血管性およびアルツハイマー型痴呆などの記憶障害に対する治療薬として期待されている。
【0017】ベンゾジアゼピン受容体に対して選択的な高い親和性を示す、後記一般式(I)で表される本発明の化合物については未だ全く報告されていない。
【0018】
【発明の概要】本発明は医薬として有用な、特に、ベンゾジアゼピン受容体に選択的な高い親和性を有する下記一般式(I) で表される新規3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体およびその医薬としての使用に関する。
【0019】
【化5】


(式中、Hetはオキサジアゾリル基を意味し、R1 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基,低級アルキニル基,置換若しくは非置換アリール基,置換若しくは非置換ヘテロアリール基または低級アルコキシ基を意味し、R2 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,ハロゲン原子,水酸基,低級アルコキシ基,シアノ基,ニトロ基,アシル基,置換若しくは非置換ベンゾイル基,アミノ基,モノ若しくはジ低級アルキルアミノ基,低級アルコキシカルボニルメチルオキシ基,モノ若しくはジ低級アルキルアミノカルボニルメチルオキシ基または置換若しくは非置換ベンジルオキシ基を意味し、R3 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,ハロゲン原子または低級アルコキシ基を意味する。)
【0020】
【発明の具体的説明】本発明者らは、脳内ベンゾジアゼピン受容体に親和性を有する非ベンゾジアゼピン系化合物の研究において、上記一般式(I) で表される3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体がベンゾジアゼピン(BZP)受容体に対して選択的な高い親和性を有し、ベンゾジアゼピン受容体作用薬として有用であること、しかも置換基R1 とR2 (R3 )の組み合わせにより、BZPアゴニストとしての性質を有するもの、また、BZPインバースアゴニストとしての性質を有するものがあることを見出した。
【0021】本発明の化合物は一般式(I) で表されるが、好適な化合物としては式(I) において、R1 がC1 〜C3 アルキル基,C3 〜C4 シクロアルキル基,C2 〜C3アルケニル基または置換若しくは非置換ヘテロアリール基であり、R2 が水素原子,C1 〜C3 アルキル基,ハロゲン原子またはC1 〜C3 アルコキシ基であり、R3 が水素原子である化合物が挙げられる。より好適な化合物としては下記の化合物が挙げられる。
【0022】3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(3−プロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−クロロ−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−クロロ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−フルオロ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−メトキシ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−[3−(3−ピリジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]キノリン−2(1H)−オン、3−(3−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(5−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(5−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オン
【0023】本明細書中において、低級アルキルおよび低級アルコキシの「低級」とは炭素数が1〜6個の直鎖状または分岐状の炭素鎖を意味し、シクロ低級アルキルの「低級」とは炭素数が3〜6個の炭素鎖を意味する。低級アルケニルおよび低級アルキニルは炭素数が2〜6個の直鎖状または分岐状の炭素鎖を持ち、例えばアリル基,1−プロペニル基,プロパルギル基,2−メチル−1−エチニル基が挙げられる。アシル基とは炭素数が1〜6個の直鎖状または分岐状の炭素鎖を有するアシルを意味する。アリール基とはフェニル基,ナフチル基であり、また、ヘテロアリール基とは、フリル基,チエニル基,ピリジル基,イソキサゾリル基などヘテロ原子を同一または異なって1〜3個含む5〜6員環基が挙げられ、該ヘテロ原子は窒素原子,酸素原子,硫黄原子である。置換アリール基または置換ヘテロアリール基の好ましい置換基としては1〜3個のハロゲン原子,C1 〜C3 アルキル基またはC1 〜C3 アルコキシ基が挙げられる。
【0024】本発明の化合物は下記の製造法1〜4により製造することができる。
【0025】(製造法1) 下記一般式(Ia)
【0026】
【化6】


(式中、R1 ,R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0027】または、下記一般式(Ib)、
【0028】
【化7】


(式中、R1 ,R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される本発明の化合物において、R1 が低級アルコキシ基以外の基である化合物は下記式(II)
【0029】
【化8】


(式中、R1'は低級アルコキシ基以外の前掲のR1 と同じ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0030】または、下記式(III)
【0031】
【化9】


(式中、R1'は低級アルコキシ基以外の前掲のR1 と同じ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される化合物を分子内閉環させることにより製造することができる。
【0032】本閉環反応は脱水剤を用いて行ってもよいが、通常反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中で加熱することにより行われる。溶媒として、ベンゼン,トルエン,キシレンの如き芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上混合して用いられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。
【0033】(製造法2) また、一般式(Ia)で表される本発明の化合物において、R1 が低級アルコキシ基である化合物は下記式(IV)
【0034】
【化10】


(式中、R1"は低級アルコキシ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される化合物に、例えばジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)第18第1197頁(1981)に記載の方法に準じて、ヒドロキシルアミンを反応させることにより製造することができる。
【0035】本反応は通常適当な溶媒中で行われ、溶媒としてはメタノール,エタノールの如きアルコール類、水などが挙げられる。反応温度は用いる原料化合物の種類などにより異なるが、通常50〜90℃である。
【0036】(製造法3) また、一般式(Ib)で表される本発明の化合物において、R1 が低級アルコキシ基である化合物は下記式(V)
【0037】
【化11】


(式中、R1"は低級アルコキシ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される化合物を、例えばシンセシス(Synthesis) 第843 頁(1986)に記載の方法に準じて、分子内閉環反応させることにより製造することができる。
【0038】本閉環反応は通常適当な溶媒中で加熱することにより行われるが、溶媒としてはベンゼン,キシレン,トルエンの如き芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類などが挙げられる。反応温度は用いる原料化合物の種類などにより異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。
【0039】(製造法4) 下記一般式(Ic)
【0040】
【化12】


(式中、R1 ,R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される本発明の化合物は下記式(VI)
【0041】
【化13】


(式中、R1 ,R2 およびR3 は前掲に同じ。)で表される化合物を分子内閉環させることにより製造することができる。
【0042】本閉環反応は脱水剤を用いて行ってもよいが、通常、反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中で加熱することにより行われる。溶媒として、ベンゼン,トルエン,キシレンの如き芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上混合して用いられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。
【0043】本閉環反応は、また、特開平6-192258号公報に記載された方法に準じて、反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中トリフェニルホスフィンの如き3価のリン化合物とジアルキルアゾジカルボン酸エステルの存在下に行うこともできる。反応温度は用いる原料化合物の種類などにより異なるが、通常0〜110℃、好ましくは0〜60℃である。
【0044】上記製造法1〜4により製造される式(I) で表される本発明の化合物はクロマトグラフィー,再結晶,再沈澱などの常法により単離、精製される。
【0045】次に、本発明化合物の原料化合物の製造法について説明する。
【0046】前記製造法1で用いられる式(II)の化合物(II)は、下記反応式(化14)に示される方法により製造することができる。
【0047】
【化14】


(反応式中、R1'は低級アルコキシ基以外の前掲のR1 と同じ基を意味し、R2およびR3 は前掲に同じ。)
【0048】化合物(1) またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と種々のアミドキシム(2) を通常のアミド化反応条件下に反応させ、式(II)の化合物(II)を製造することができる。
【0049】また、前記製造法1で用いられる式(III) の化合物は、下記反応式(化15)に示される方法により製造することができる。
【0050】
【化15】


(反応式中、R1'は低級アルコキシ基以外の前掲のR1 と同じ基を意味し、R2およびR3 は前掲に同じ。)
【0051】化合物(3) とヒドロキシルアミンを通常の方法で反応させ化合物(4) とし、次いで、塩基の存在下カルボキシル基における反応性誘導体と反応させ、式(III)の化合物(III) を製造することができる。
【0052】前記製造法2で用いられる式(IV)の化合物は、例えば特開平7-10874 号公報に記載の方法に準じて、下記反応式(化16)に示される方法により製造することができる。
【0053】
【化16】


(反応式中、R1"は低級アルコキシ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0054】化合物(1) またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とチオシアン酸のアルカリ金属塩を適当な溶媒中反応させ化合物(13)とし、次いで、アルコーリシスして式(IV)の化合物(IV) を製造することができる。
【0055】前記製造法3で用いられる式(V) の化合物は、下記反応式(化17)に示される方法により製造することができる。
【0056】
【化17】


(反応式中、R1"は低級アルコキシ基を意味し、R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0057】化合物(8) を反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中水素化ホウ素ナトリウム,テトラブチルアンモニウムボロヒドリド,水素化リチウムアルミニウムの如き還元剤で還元し化合物(14)とし、次いで、適当な溶媒中活性二酸化マンガンで酸化し化合物(15)を得る。
【0058】化合物(15)に通常のオキシム化の条件でヒドロキシルアミンを反応させ化合物(16)とし、次いで、例えば、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー第45巻第3916頁(1980)に記載の方法に準じて、N−クロロコハク酸イミドと反応させ化合物(17)を得る。
【0059】化合物(17)に、例えば、シンセシス (Synthesis)第102 頁(1979)に記載の方法に準じて、適当な溶媒中アジ化ナトリウムを反応させると化合物(18)とし、次いで、例えば、シンセシス第843 頁(1986)に記載の方法に準じて、適当な溶媒中XCOR1"(Xはハロゲン原子を意味し、R1"は低級アルコキシ基を意味する)で表される化合物を反応させ化合物(19)とした後、トリフェニルホスフィンと反応させ式(V) の化合物(V) を製造することができる。
【0060】また、前記製造法4で用いられる式(VI)の化合物は、下記反応式(化18)に示される方法により製造することができる。
【0061】
【化18】


(反応式中、R1 ,R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0062】化合物(1) またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とR1 CONHNH2 (R1 は前掲に同じ。)で表されるヒドラジド(5) を通常のアミド化反応条件下に反応させ、式(VI)の化合物を製造することができる。
【0063】また、式(VI)の化合物(VI)は、化合物(1) またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とヒドラジンとを通常のアミド化反応条件下に反応させ、次いで、R1 COOH(R1 は前掲に同じ。)で表されるカルボキシル基における反応性誘導体を反応させる2段階反応で製造することもできる。
【0064】更に、本発明化合物の原料化合物の製造法について説明する。
【0065】前記反応式(化14または化16)において用いられる化合物(1) は、例えばジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー第13卷第427 頁(1976)に記載の方法に準じて、または、下記反応式(化19)に示される方法により製造することができる。
【0066】
【化19】


(反応式中、R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0067】また、前記反応式(化15)において用いられる化合物(3) は、例えばジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイアティー第73巻第3246頁(1951)およびジャーナル オブ オーガニック ケミストリー第37巻第2498頁(1972)に記載の方法に準じて、下記反応式(化20)に示される方法により製造することができる。
【0068】
【化20】


(反応式中、R2 およびR3 は前掲に同じ。)
【0069】
【効果】以下に、本発明の代表的化合物についての薬理試験方法およびその結果を示し、本発明の化合物の作用の特徴について説明する。
【0070】
試験例1 ベンゾジアゼピン受容体結合試験:
【0071】ライフ サイエンス(Life Science)第20巻第2101頁(1977)に記載の方法によりベンゾジアゼピン受容体結合試験を行った。
【0072】7〜8週令のウイスター系ラットの脳より調整した粗シナプトゾーム膜分画を118mM塩化ナトリウム、4.8mM塩化カリウム、1.28mM塩化カルシウムおよび1.2mM硫酸マグネシウムを含む15mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁(1g脳湿重量/20ml)し、受容体膜標品とした。また、標識リガンドとしては[3H]ジアゼパムを用いた。
【0073】各試験管に濃度既知の試験化合物、[3H]ジアゼパム(最終濃度1.5nM)、受容体膜標品および上記緩衝液を加えて反応液(総量1ml)とし、反応の開始は膜標品の添加により行った。0℃、20分間のインキュベーションの後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)を用いてワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、直ちに、氷冷50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7)5mlで3回洗浄した。次いで、フィルター上の放射能活性を液体シンチレーションカウンターにより測定し、全結合量を求めた。また、同時に測定した1μMジアゼパム存在下における結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。さらに、試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50値)をプロビット法により算出した。結果を表1および表2に示した。
【0074】
【表1】


【0075】
【表2】


【0076】試験例2 ベンゾジアゼピンω1 とω2 受容体結合試験およびGABA比:
【0077】ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド イクスペリメンタル セラピューティックス(Jornal of Pharmacology and Experimental Therapeutics) 第253 巻第334 頁(1990)に記載の方法に準じて、ベンゾジアゼピン(BZP)ω1とω2 受容体結合試験およびGABA比(GABA存在下と非存在下におけるBZP受容体の親和性の比)の算出を行った。
【0078】7〜8週令のウイスター系雄性ラットの小脳および脊髄より調整した粗シナプトゾーム膜分画を120mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウムおよび1mM硫酸マグネシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁(1g湿重量/40ml)し、それぞれω1 とω2 受容体の膜標品とした。また、どちらの結合試験にも、[3H]フルマゼニルを標識リガンドとして用いた。
【0079】各試験管に濃度既知の試験化合物、[3H]フルマゼニル(ω1 受容体結合試験の場合は最終濃度0.3nM、ω2 受容体結合試験の場合は最終濃度1nM)、受容体膜標品、ビククリンあるいはGABAのどちらか(最終濃度100μM)および上記緩衝液を加えて反応液(総量1ml)とし、膜標品の添加により反応を開始した。37℃、30分間のインキュベーションの後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)によりワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、直ちに、氷冷50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7)5mlで3回洗浄した。続いて、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターにて測定し、全結合量を求めた。また、同時に測定した10μMフルニトラゼパム存在下における結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。次いで、試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50値)をプロビット法により算出した。さらに、GABA存在下と非存在下(ビククリン存在下)におけるIC50値の比(GABA存在下のIC50/ビククリン存在下のIC50)を求め、GABA比とした。結果を表3〜5に示した。
【0080】
【表3】


【0081】
【表4】


【0082】
【表5】


【0083】
試験例3 ペンチレンテトラゾール誘発痙攣増強試験
【0084】ベンゾジアゼピン受容体インバースアゴニストは、種々の痙攣惹起薬の痙攣を増強することが知られている〔プログレス イン ニューロ−サイコ ファーマコロジー アンド バイオロジカル サイカイアトリー(Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry)第12巻第951 頁(1988)〕。そこで、1以下のGABA比を示すいくつかの化合物のペンチレンテトラゾール誘発痙攣増強作用について検討した。
【0085】ddY系雄性マウス(体重22〜25g)5匹に実施例12の化合物(20mg/kg)を経口投与し、15分後に単独では強直性痙攣を誘発しない用量のペンチレンテトラゾール(70mg/kg)を皮下投与した。その直後から30分間、後肢の強直性伸展痙攣が起こるかどうかを観察した。その結果、5匹中5匹に痙攣増強作用が認められた。同様にして実施例25の化合物(10mg/kg)を経口投与したとき、15匹中6匹に痙攣増強作用が認められた。
【0086】以上の試験結果に示す通り、本発明の化合物はベンゾジアゼピン受容体に対して選択的な高い親和性を有し、ベンゾジアゼピン受容体作用薬として有用である。しかも、本発明の化合物の中にはGABA比を指標とした固有活性において、BZPアゴニストとしての性質を有するもの、BZPインバースアゴニストとしての性質を有するものがある。インバースアゴニストとしての性質を有する本発明の化合物はアゴニストとは全く異なった臨床応用、例えば脳賦活薬、老年性痴呆やアルツハイマー病などの記憶障害に対する治療薬として期待される。
【0087】
【本発明化合物の医薬としての使用方法】本発明の化合物をベンゾジアゼピン受容体作用薬として使用する場合は、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。投与量としては、投与方法、患者の症状/年齢、処置形式(予防又は治療)等により異なるが、通常0.01〜10mg/kg/日、好ましくは0.02〜5mg/kg/日である。
【0088】本発明の化合物は通常製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、非イオン界面活性剤、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
【0089】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、ゲル剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーテ ングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物(I) の生理的に許容される酸付加塩を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて等張化剤に溶解させてもよく、またpH調節剤、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0090】これらの製剤は、本発明の化合物を0.01%以上、好ましくは0.05〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有してもよい。
【0091】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて、本発明の化合物について具体的に説明する。尚、表中の記号は次の各置換基を意味する。Me:メチル基;Et:エチル基;n−Pr:n−プロピル基;iso−Pr:イソプロピル基;c−Pr:シクロプロピル基;Ph:フェニル基を表す。
【0092】参考例11,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボン酸の製造:
【0093】(1) o−フェニレンジアミン10.8gとエタノール200mlの混合物にケトマロン酸ジエチル17.4gを加え、2時間加熱環流した。反応液を氷冷し、析出結晶を濾取して無色固体の1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボン酸エチル19.3gを得た。
【0094】(2) 上記エステル10gと10%塩酸水溶液150mlの混合溶液を3時間加熱環流した。冷却後、析出結晶を濾取、水洗し、標記化合物8.2gを得た。
【0095】参考例21,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボニトリルの製造:
【0096】(1) o−フェニレンジアミン10.8gのエタノール200mlの混合物にオキサリル酢酸ジエチルナトリウム23.1gの水150mlの水溶液と酢酸7mlを加え、30分加熱環流した。反応液を氷冷し、析出結晶を濾取、乾燥して、無色固体の2−エトキシカルボニルメチレン−2オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン10.3gを得た。
【0097】(2) 上記固体7gとトリクロロ酢酸0.9gの酢酸150mlの懸濁液に、亜硝酸イソペンチル3.9gを滴下し、2時間室温で撹拌した。析出結晶を濾取、次いで酢酸エチルで洗浄し乾燥した。濾液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に酢酸エチルを加え、析出結晶を濾取、乾燥し、上記の結晶と合わせて、エチル 2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリル)ヒドロキシイミノアセテート5.7gを得た。
【0098】(3) 上記固体20g、トリフェニルホスフィン40.2gとトリエチルアミン27gのテトラヒドロフラン500mlの懸濁液に、氷冷撹拌下アゾジカルボン酸ジエチル26.7gを滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌した。反応液に少量の水を加えた後、反応液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、結晶を濾取し、3−エトキシカルボニルイソキサゾロ[4,5−b]キノキサリン18gを得た。
【0099】(4) 上記固体2.43gと5%水酸化ナトリウム水溶液(20ml)の混合物を2時間室温で撹拌した。氷冷後、反応液を1N塩酸水で酸性にし、析出結晶を濾取した。得られた粗結晶を水、イソプロパノールで洗浄し、標記化合物1.6gを得た。
【0100】参考例31,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンアミドオキシムの製造:炭酸ナトリウム6.96gの水(50ml)溶液に氷冷下塩酸ヒドロキシルアミン9.13gを加えた。これを1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボニトリル15gのエタノール300mlの懸濁液に加え、5時間加熱還流した。溶媒を減圧留去後、残渣に水を加え結晶を濾取した。水洗後、イソプロパノールで洗浄し無色個体の標記化合物10.4gを得た。
【0101】参考例4N’−アセチル−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノキサリンカルボヒドラジドの製造:1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボン酸(0.95g)とN,N' −カルボニルジイミダゾール(1.22g)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF;10ml)の溶液を70℃で3時間加熱撹拌した。次いで、反応液にアセトヒドラジド0.55gを加え、70℃で1時間加熱撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣にイソプロパノールを加え、結晶を濾取し、標記化合物1.06gを得た。
【0102】実施例13−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの製造:
【0103】1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボン酸0.95g(5ミリモル)とN,N’−カルボニルジイミダゾール1.22g(7.5ミリモル)のDMF50mlの溶液を60℃で3時間加熱撹拌した。次いで、この溶液にアセトアミドオキシム0.56g(7.5ミリモル)を加え、同温度で1.5時間撹拌した。更に、この溶液を130℃で3時間加熱撹拌した後、減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、結晶を濾取した。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(100:1)で溶出・精製した後、エタノールから再結晶して、無色固体の標記化合物0.6g(収率52.6%)を得た。融点254〜255℃.
【0104】対応する原料化合物を用い、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例23の化合物を得た。これらの化合物を表6〜表8に示す。
【0105】
【化21】


【0106】
【表6】


【0107】
【表7】


【0108】
【表8】


【0109】実施例243−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの製造:
【0110】(1) 1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンアミドオキシム1.02g(5ミリモル)と炭酸カリウム1.14g(8.25ミリモル)のメチルエチルケトン懸濁液に、氷冷撹拌下、塩化アセチル0.59g(7.5ミリモル)を滴下した。滴下終了後室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に濃縮乾固した。残渣に水を加え、析出結晶を濾取、水洗後、イソプロパノールで洗浄し乾燥し無色固体0.98gを得た。更に精製することなく次の反応に使用した。
【0111】(2) 上記固体0.98gのDMF50mlの溶液を130℃で3時間加熱撹拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(100:1)で溶出・精製した後、エタノールから再結晶し、無色固体の標記化合物0.44g(収率38.6%)を得た。融点289〜291℃.
【0112】対応する原料化合物を用い、実施例24と同様にして、実施例25〜実施例28の化合物を得た。これらの化合物を表9に示す。
【0113】
【化22】


【0114】
【表9】


【0115】実施例293−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの製造:
【0116】三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.22ml)に氷冷下、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンアミドオキシム1.02gのオルトぎ酸エチル(10ml)を滴下した。反応液を1時間加熱還流した後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、結晶を濾取した。得られた粗結晶を中圧カラムクロマトグラフィー(ダイヤイオンCHP−20P)に付し、溶媒溶出・精製した後、メタノールから再結晶し、標記化合物を得た。融点290〜292℃.
【0117】実施例303−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの製造:
【0118】(1) 1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボン酸0.95g(5ミリモル)とN,N’−カルボニルジイミダゾール1.22g(7.5ミリモル)のDMF50mlの溶液を60℃で3時間加熱撹拌した。次いで、この溶液にアセトヒドラジド0.56g(7.5ミリモル)を加え、同温度で1.5時間撹拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、結晶を濾取し、から再結晶して無色固体のN’−アセチル−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−キノキサリンカルボヒドラジド1.06g(収率86.1%)を得た。融点>290℃.
【0119】(2) 上記化合物0.74g(3ミリモル)、トリフェニルホスフィン1.57g(6ミリモル)およびトリエチルアミン1.06g(10.5ミリモル)の無水テトラヒドロフラン50mlの溶液に氷冷撹拌下アゾジカルボン酸ジエチル1.04g(6ミリモル)の無水テトラヒドロフラン5mlの溶液を滴下した。室温で3時間撹拌した後、少量の水を加えて減圧下で濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加えて析出結晶を濾取し、エタノールから再結晶して無色固体の標記化合物0.26g(収率38%)を得た。融点>290℃.
【0120】対応する原料化合物を用い、実施例30と同様にして、実施例31〜実施例37の化合物を得た。これらの化合物を表10に示す。
【0121】
【化23】


【0122】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記化1
【化1】


(式中、Hetはオキサジアゾリル基を意味し、R1 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基,低級アルキニル基,置換若しくは非置換アリール基,置換若しくは非置換ヘテロアリール基または低級アルコキシ基を意味し、R2 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,ハロゲン原子,水酸基,低級アルコキシ基,シアノ基,ニトロ基,アシル基,置換若しくは非置換ベンゾイル基,アミノ基,モノ若しくはジ低級アルキルアミノ基,低級アルコキシカルボニルメチルオキシ基,モノ若しくはジ低級アルキルアミノカルボニルメチルオキシ基または置換若しくは非置換ベンジルオキシ基を意味し、R3 は水素原子,低級アルキル基,シクロ低級アルキル基,ハロゲン原子または低級アルコキシ基を意味する。)で表される3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体。
【請求項2】 R1 がC1 〜C3 アルキル基,C3 〜C4 シクロアルキル基,C2 〜C3 アルケニル基,置換若しくは非置換ヘテロアリール基であり、R2が水素原子,C1 〜C3 アルキル基,ハロゲン原子またはC1 〜C3 アルコキシ基であり、R3 が水素原子である請求項1記載の3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体。
【請求項3】 3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(3−プロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−クロロ−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−クロロ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−フルオロ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、6−メトキシ−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−[3−(3−ピリジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]キノリン−2(1H)−オン、3−(3−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オン、3−(5−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オンおよび3−(5−エチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オンから選択されるいずれか一つの3−オキサジアゾリルキノキサリン誘導体。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物と生理学的に許容される添加物を含んでなるベンゾジアゼピン受容体作用薬用組成物。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物を有効成分とするベンゾジアゼピン受容体作用薬。

【公開番号】特開2002−241379(P2002−241379A)
【公開日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−87646
【出願日】平成9年3月21日(1997.3.21)
【出願人】(000002912)大日本製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】