説明

3次元画像処理装置及びX線診断装置

【課題】関心対象を観察しやすい画像を提供すること。
【解決手段】 画像データ記憶部11には、関心対象に対して撮影方向が相違する複数の投影画像のデータが記憶される。特徴点座標取得部101は、画像データ記憶部11に記憶された複数の投影画像のうち少なくとも2枚の画像上での前記複数関心対象の軸に関する特徴情報と撮影方向とに基づいて前記関心対象の軸に関する3次元座標を取得する。座標変換部102は、前記3次元座標情報をもとに前記関心対象の軸を一軸とする3次元座標系を設定する。再構成処理部103は、画像データ記憶部11に記憶された複数の投影画像から上記設定された3次元座標系を基準とした3次元画像のデータを再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影方向が異なる複数のX線画像から3次元画像を再構成する3次元画像処理装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管内インターベンション中に、ステントなど局所領域を三次元再構成して表示する技術がある。通常、この再構成処理では、頭部を上、足を下とした頭尾軸を基準とした天板座標系で画像が生成される。このように生成された画像を例えばボリュームレンダリング形式でモニタに表示すると、ステントは斜めに表示され、回転させると斜めに回転する。また、この画像を例えばスライス形式でモニタに表示すると、ステント断面は楕円に表示される。医師は、ステントがつぶれている箇所が無く十分に拡張したかを確認したいのに、上記表示された画像からでは把握しにくいという問題がある。一方、医師がインターベンション手術中に手動で回転軸を変更するのは手間がかかる。
【0003】
なお、本願に関連する公知文献としては、例えば次のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−288164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の表示方法では、ステント等の関心対象を観察しにくく、また医師がインターベンション手術中に手動で回転軸を変更するのは手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、関心対象を観察しやすい画像を提供することができる3次元画像処理装置及びX線診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
本発明の第1の態様は、関心対象に対して撮影方向が相違する複数の投影画像のデータを記憶する記憶部と、前記複数の投影画像のうち少なくとも2枚の画像上での前記複数関心対象の軸に関する特徴情報と撮影方向とに基づいて前記関心対象の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、前記3次元座標情報をもとに前記関心対象の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部と、前記複数の投影画像から前記3次元座標系を基準とした3次元画像のデータを再構成する再構成部とを具備する3次元画像処理装置を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様は、関心対象に関する第1の3次元画像のデータを記憶する記憶部と、前記第1の3次元画像上での前記複数関心対象の軸に関する特徴情報に基づいて前記関心対象の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、前記3次元座標情報をもとに前記関心対象の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部とを具備する3次元画像処理装置を提供する。
【0009】
本発明の第3の態様は、X線を発生するX線管と、医療器具が留置された被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管を前記X線検出器とともに前記被検体の周囲を回転する回転機構と、前記X線管が前記X線検出器とともに前記被検体の周囲を回転しながら繰り返し撮影した撮影方向が相違する複数の画像のデータを記憶する記憶部と、前記複数の投影画像のうち医療器具に関する少なくとも2枚の画像上での前記医療器具の軸に関する特徴情報と撮影方向とに基づいて前記医療器具の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、前記3次元座標情報をもとに前記医療器具の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部と、前記複数の投影画像から前記3次元座標系を基準とした3次元画像のデータを再構成する再構成部とを具備するX線診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
以上本発明によれば、関心対象を観察しやすい画像を提供することができる3次元画像処理装置及びX線診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る3次元画像処理装置を備えたX線撮影装置の一実施形態を示す図。
【図2】天板座標系でステントを表示した図。
【図3】ステントを基準とした座標系でステントを表示した図。
【図4】ステントのX線投影画像の一例を示す図。
【図5】特徴点の三次元座標を求める処理を示す図。
【図6】第1実施形態における3次元画像処理部の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態に係る3次元画像処理装置を備えたX線撮影装置の一実施形態を示す図。
【図8】第2実施形態における3次元画像処理部の動作の手順を示すフローチャート。
【図9】第1のボリュームデータから第2のボリュームデータへの変換処理を示す図。
【図10】第3実施形態に係る3次元画像処理装置による表示例を示す図。
【図11】変形例1の動作を示す図。
【図12】変形例3の動作を示す図。
【図13】変形例4の動作を示す図。
【図14】変形例5の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る3次元画像処理装置について説明する。なお、各実施形態では、3次元画像処理装置はX線撮影装置に組み込まれるものとして説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る3次元画像処理装置を装備したX線撮影装置の構成図である。X線撮影装置は、Cアーム装置5を有する。Cアーム装置5は、Cアーム16と、Cアーム16を直交3軸に関して回転自在に支持する床置き又は天井吊り支持機構と、回転駆動源とを有する。Cアーム16の一端にはX線管1が取り付けられる。X線制御部4は、システム制御部9の制御に従って、X線管1からX線を発生するために、X線管1の電極間に管電圧を印加し、またX線管1の陰極フィラメントに加熱電流を供給する。Cアーム16の他端にはX線検出器2が取り付けられる。X線管1とX線検出器2とは天板3上の被検体Pを挟んで対向する。X線検出器2は、例えばイメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせから構成される。または、X線検出器2は、マトリクス状に配列された半導体検出素子を有するフラットパネルディテクタ(FPD:平面型X線検出器)で構成される。Cアーム回転機構6は、システム制御部9の制御に従って、Cアーム16を回転するためにその駆動源に電力を供給する。Cアーム5が回転しながら撮影を繰り返すことで、3次元画像再構成に必要な多方向のX線画像(投影画像)を取得することができる。
【0014】
Cアーム5の回転、X線管21への高電圧の印加、及びX線検出器2の信号読み出しがシステム制御部9により制御され、画像収集回路10により撮影方向の異なる複数の投影画像のデータが収集される。また、本X線撮影装置では、被検体Pを計測して心電図を発生するために心電計10が装備される。画像データ記憶部11は、上記画像収集回路10で収集された複数の投影画像のデータを、上記撮影方向のデータと心電図からシステム制御部9により取得される心位相のデータとに関連付けて記憶する。なお、心位相とは、心電図のR波から次のR波までの期間内の各時点を規定する尺度として定義され、通常はパーセントの単位で表す。
【0015】
操作部8は、ユーザからの各種指令をシステム制御部9に伝達するために設けられ、キーボード、マウス等の各種入力デバイスを有する。モニタ12は、CRT(cathode-ray tube)や液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等で構成される。
【0016】
3次元画像処理部100は、特徴点座標取得部101、座標変換部102、再構成処理部103、及び表示処理部104を備えている。図2に示すように、通常、天板3を基準とした座標系(天板座標系)でボクセルを定義して再構成処理により三次元画像のデータ(ボリュームデータ)が生成される。このボリュームデータをボリュームレンダリング形式で表示すると、ステントは斜めに表示され、回転させると斜めに回転する。また、このボリュームデータを例えばスライス形式で表示すると、ステント断面は楕円になってしまう。そこで、関心対象であるステントを観察しやすくするために、3次元画像処理部100は、図3に示すように、ステントの中心軸に沿った方向でボクセルを定義してボリュームデータを再構成する。なお、本実施形態では、ステントを関心対象として説明するが、ステント以外にもバルーン、閉塞用デバイスなどその他の体内に挿入するデバイスでもよいし、血管などの体内の一部位としてもよい。また、心臓血管以外にも穿刺手術時のデバイスを関心対象として観察するような場合にも有用である。
【0017】
特徴点座標取得部101は、同じ心位相の少なくとも2フレームの投影画像上に指定された複数の特徴的な点(特徴点)の2次元座標と、各々の撮影方向とに基づいて、幾何学的計算により特徴点の3次元座標(3次元位置)を求める。心位相は、例えば拡張期に合わせることで、心臓の動きによる画像のぼけを低減させることができる。ここでは、特徴点として、ステントの中心軸の両端部に付された2つのステントのマーカーを利用する。図4は、ステントを撮影した投影画像の一例である。投影画像上では、ステントマーカーはX線不透過の部分で表される。図5に示すように、画像データ記憶部11には、被検体を多方向から撮影した投影画像のデータが記憶されている。これらの投影画像を撮影したタイミングでは、ステントは3次元空間内の同じ位置にあるといえるため、特徴点座標取得部101は、少なくとも2フレームの投影画像上の特徴点の2次元座標と各々の撮影方向とに基づいて、特徴点の3次元座標を求めることができる。
【0018】
座標変換部102は、2つの特徴点の3次元座標を結ぶ直線を一軸とする3次元座標系を設定する。
【0019】
再構成処理部103は、座標変換部102により設定された3次元座標系を基準にして、複数の投影画像をもとにBack-projection処理によりボリュームデータを再構成する。再構成により生成されたボリュームデータは、画像データ記憶部11に記憶される。
【0020】
表示処理部104は、再構成処理部103により生成されたボリュームデータに対して、スライス処理、最大値投影画像(MIP:Maximum Intensity Projection)処理、又はボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理などを行い、スライス像、MIP画像又はVR画像をモニタ12に表示する。
【0021】
次に、このように構成された3次元画像処理部100の動作について説明する。図6は、3次元画像処理部100の処理手順を示すフローチャートである。
図6において、3次元画像処理部100は、複数の投影画像のデータうち、撮影方向が異なる少なくとも2枚の投影画像を選択する(ステップS1a)。3次元画像処理部100は、選択した投影画像上で2つの特徴点の指定を受け付ける(ステップS2a)。例えば、オペレータが投影画像上でステントマーカーを特徴点として指定したものとする。特徴点座標取得部101は、選択された投影画像の撮影方向と特徴点の2次元座標とに基づいて2つの特徴点の3次元座標を取得する(ステップS3a)。座標変換部102は、2つの特徴点の3次元座標を結ぶ直線を一軸とした3次元座標系を設定する(ステップS4a)。
【0022】
再構成処理部103は、複数の投影画像のデータをもとに上記設定された3次元座標系を基準としたボリュームデータを再構成する(ステップS5a)。これにより、ステントの中心軸を基準としたボリュームデータが生成される。
【0023】
表示処理部104は、再構成処理部103により生成されたボリュームデータをモニタ12にMIP表示又はVR表示し(ステップS6a)、MIP画像又はVR画像を回転動画表示する(ステップS7a)。また、表示処理部104は、生成されたボリュームデータをスライス像(断面画像)で表示し(ステップS8a)、スライスを順次表示することで動画表示する(ステップS9a)。
【0024】
以上述べたように上記第1の実施形態では、2つの特徴点の3次元座標を取得し、この2つの特徴点の3次元座標を結ぶ直線を一軸とした3次元座標系を設定し、複数の投影画像からこの3次元座標系を基準としたボリュームデータを再構成するようにしている。このようにすることで、医師は、ステント軸まわりに回転するボリュームレンダリング像を手技中に観察可能となり、さらにスライス像にはステント軸に直交する断面が表示されるため、ステント断面が円となり目視による直径計測も容易になる。結果として、手技時間を短縮させる効果がある。
【0025】
また、表示処理部104において、スライス像を表示する際に格子状にグリッド線を描画するとよい。表示されているボリュームデータは2点を結ぶ軸に沿っているので断面画像におけるグリッド線をみればステントの直径や半径が目視でほぼ計測できる。
【0026】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、天板座標系で再構成された第1のボリュームデータをもとに、ステントの中心軸方向に沿った第2のボリュームデータをリスライスにより生成する手法を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る3次元画像処理装置を装備したX線撮影装置の構成図である。なお、上記図1と同一部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0027】
図7において、再構成処理部13は、画像データ記憶部11に記憶された撮影方向が異なる複数の投影画像をもとに第1のボリュームデータを再構成する。つまり、画像データ記憶部11には、天板座標系で表された第1のボリュームデータが予め記憶されているものとする。
【0028】
3次元画像処理部110は、特徴点座標取得部111と、座標変換部112と、画像変換部113と、表示処理部114とを備える。
【0029】
特徴点座標取得部111は、画像データ記憶部11に記憶された第1のボリュームデータにおける天板座標系での特徴点の3次元座標を取得する。ステントは、金属製で網目状の細長い筒であり、直径は2〜10mm程度、長さは8mm〜30mm程度である。金属はX線を吸収するため画像上にステントは白く表示される。第1のボリュームデータにおいて閾値以上の輝度を有する画素を抽出して上記形状のパターン認識を行うことでステントの像を検出することができる。例えば検出されたステントの像の両端部のマーカーを特徴点として2つの3次元座標を取得する。
【0030】
座標変換部112は、この2つの3次元座標を結ぶ直線を一軸とする3次元座標系を設定する。
【0031】
画像変換部113は、座標変換部112により設定された3次元座標系を基準にして、第1のボリュームデータを上記一軸に直交する面で再度スライスしなおす処理(リスライス)を行い、第2のボリュームデータに変換する。
【0032】
表示処理部114は、上記画像変換部113により変換されたボリュームデータに対して、スライス処理、最大値投影画像(MIP:Maximum Intensity Projection)処理、又はボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理などを行い、スライス像、MIP画像又はVR画像をモニタ12に表示する。
【0033】
次に、このように構成された3次元画像処理部の動作について説明する。図8は、3次元画像処理部の処理手順を示すフローチャートである。
画像データ記憶部11に記憶された第1のボリュームデータにおける天板座標系での2つの特徴点の3次元座標を取得する。(ステップS1b)。座標変換部112は、上記取得された2つの特徴点の3次元座標を結ぶ直線を一軸とした3次元座標系を設定する(ステップS2b)。画像変換部113は、図9に示すように、上記設定された3次元座標系を基準にして、画像データ記憶部11に記憶された第1のボリュームデータを上記一軸に直交する面でリスライスして新たなボリュームデータを生成する(ステップS3b)。このリスライス処理の際に、Interpolationなどの補間処理を行うようにしてもよい。
【0034】
表示処理部114は、画像変換部113により生成されたボリュームデータをモニタ12にMIP表示又はVR表示し(ステップS4b)、MIP画像又はVR画像を回転動画表示する(ステップS5b)。また、表示処理部104は、生成されたボリュームデータをスライス像(断面画像)で表示し(ステップS6b)、スライス像を順次表示することで動画表示する(ステップS7b)。
【0035】
以上述べたように上記第2の実施形態では、2つの特徴点の3次元座標を結ぶ直線を一軸とした3次元座標系を設定し、天板座標系で表された第1のボリュームデータを上記一軸に直交する面でリスライスすることで第2のボリュームデータに変換する。このようにすることで、すでに天板座標系で表されたボリュームデータが生成されている場合でも、ステントの中心軸を基準としたボリュームデータを得ることができる。したがって、上記第1の実施形態と同様に、ステント等の関心対象を観察しやすい画像を提供することが可能となる。
【0036】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、天板座標系で再構成されたボリュームデータをもとに、ステントの中心軸方向に沿った表示を行うものである。
第3の実施形態の3次元画像処理装置を装備したX線撮影装置は、上記図7に示したX線撮影装置から画像変換部113を除いた構成とする。以下、図7を参照しながら説明を行う。
【0037】
上記第2の実施形態では、画像変換部113においてリスライス処理を行ったが、この処理は処理時間がかかるという問題がある。そこで、第3の実施形態では、画像変換部113のリスライス処理を省略し、表示処理部114では、座標変換部112で設定された3次元座標系を基準にして、天板座標系で再構成されたボリュームデータを、上記2つの特徴点を結ぶ直線を一軸とする方向で表示する。例えば、表示処理部114は、座標変換部112で設定された3次元座標系を基準にして、ボリュームデータをVR表示し、図10に示すように、上記一軸の方向で回転表示させる。
【0038】
このようにすることにより、上記第3の実施形態では、表示されるステントは斜めのままであるが、天板軸方法ではなくステントの中心軸方向に回転表示することが可能となる。必要な情報は、第2実施形態と同じである。このようにすると、第2の実施形態より簡易な方法でステント等の関心対象を観察しやすくすることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0040】
(変形例1)
変形例1は、第2及び第3の実施形態において、上記2つの特徴点の3次元座標をボリュームデータから取得するようにしたものである。なお、この手法はごく一般的な3次元画像に対して適用できる。もちろんCTやMRI画像などにも適用できる。
【0041】
図11に示すように、ステント周囲のみを再構成した3次元画像においては、関心対象のステントが最も強く映っており、その他の部分はあまり強くはない。そこで、3次元画像から主成分分析等の手法により、ステントの方向ベクトルと中心軸を得る。これは一般的な画像処理手法により実現できる。この結果得られた中心軸を元に、第2の実施形態に述べた「リスライス」処理を行い、第2のボリュームデータを得る。また、第3の実施形態においては、上記得られた中心軸の方向でVR表示等を行うようにする。
【0042】
(変形例2)
上記各実施形態では、2つの特徴点が取得される場合について述べた。ステントの場合は、多くはステントの上側と下側のふたつのマーカーがあるので、特徴点は2つである。変形例2では、特徴点が1つの場合について記載する。
【0043】
特徴点が1つの場合には、その特徴点の3次元座標と、その特徴点に接する接線情報を用いることで、上記各実施形態の手法を適用できる。例えばマーカーが1つしかないステントの例が挙げられる。この場合、オペレータが指定する特徴点は1つであるため、3次元座標も1つである。そこで、3次元画像からこの特徴点の3次元座標に存在する対象物(ステント)の接線を画像処理によって計算し、得られた接線情報を用いて上記各実施形態を実施する。
【0044】
また、特徴点が3つ以上の場合には、特徴点が略一直線上に乗っている場合は、その直線を軸として上記各実施形態の手法を適用する。3つの特徴点が略一直線上に乗っていない場合は、何も処理を行わず、通常表示とする。
【0045】
(変形例3)
変形例3は、上記第1の実施形態において再構成処理を行う際に、2つの特徴点を結ぶ直線を軸として、この軸を中心とする領域のみのボリュームデータを生成するようにしたものである。
【0046】
上記第1の実施形態において、2つの特徴点を結ぶ直線を一軸とした座標系でボリュームデータを作成する際に、ステントは軸中心付近に長細い物体として存在する。そこで、再構成処理部103は、立方体ではなく、上記一軸を中心とした直方体のボリュームデータを生成するようにする。例えば、図12に示すように、通常は512×512×512ピクセルのボリュームデータとしていたものを、256×256×512ピクセルとする。このようにすることで、計算すべきボリュームデータが少なくなるので、計算時間を短縮することができる。
【0047】
(変形例4)
変形例4は、上記第1の実施形態において再構成処理を行う際に、2つの特徴点を結ぶ直線を一軸として、この一軸の方向の画素ピッチをこの一軸に直交する方向の画素ピッチより大きくしてボリュームデータを生成するようにしたものである。
【0048】
すなわち、再構成処理部103は、ボクセルピッチをステント面方向(上記一軸に直交する方向)には細かく、一軸の方向には粗くする。これにより、計算すべきボリュームデータが少なくなるので、計算時間が短縮する。また、時間の経過に伴って、等方性になっていくようにしてもよい。例えば、図13に示すように、初めに軸方向は離散的に256×256×10ピクセルのボリュームデータを作成し、徐々に間隔を埋めるようにして256×256×512ピクセルのボリュームデータを作成する。
【0049】
(変形例5)
変形例5は、上記第1の実施形態において再構成処理を行う際に、2つの特徴点を結ぶ直線を軸として、この軸から外周に向かって3次元画像のデータを生成するようにしたものである。
【0050】
再構成処理部103は、2つの特徴点から定められる軸中心からBackprojection処理による再構成を行い、表示処理部104は、生成された部分から順次表示するようにする。これにより、図14に示すように、ユーザは軸付近の画像が先に表示され、順次太っていくような3次元画像が観察できる。特に、ステントは軸中心付近に長細い物体として存在するので、初めにステントが表示され、続いてまわりの構造物が表示されるようになる。
【0051】
また、本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0052】
上記実施形態においては、上記実施形態は、循環器用X線画像を説明に用いたが、X線画像に限らず、CT画像、MRI画像、超音波画像など他のシステムで収集された医用画像への拡張も可能である。
【0053】
上記実施形態では、3次元画像処理装置は、X線撮影装置と一体化した構成として説明したが、画像データ記憶部、3次元画像処理部、及びモニタを備えた3次元画像処理装置として、別個に独立した構成とすることもできる。
【0054】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…X線管、2…X線検出器、3…天板、4…X線制御部、5…Cアーム装置、6…Cアーム回転機構、7…心電計、8…操作部、9…システム制御部、10…画像収集回路、11…画像データ記憶部、12…モニタ、100…第1実施形態の3次元画像処理部、101…特徴点座標取得部、102…座標変換部、103…再構成処理部、104…表示処理部、110…第2実施形態の3次元画像処理部、111…特徴点座標取得部、112…座標変換部、113…画像変換部、114…表示処理部、13…再構成処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象に対して撮影方向が相違する複数の投影画像のデータを記憶する記憶部と、
前記複数の投影画像のうち少なくとも2枚の画像上での前記複数関心対象の軸に関する特徴情報と撮影方向とに基づいて前記関心対象の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、
前記3次元座標情報をもとに前記関心対象の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部と、
前記複数の投影画像から前記3次元座標系を基準とした3次元画像のデータを再構成する再構成部と
を具備することを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項2】
関心対象に関する第1の3次元画像のデータを記憶する記憶部と、
前記第1の3次元画像上での前記複数関心対象の軸に関する特徴情報に基づいて前記関心対象の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、
前記3次元座標情報をもとに前記関心対象の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部と
を具備することを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項3】
前記特徴情報は、前記関心対象の軸に対応する2つの特徴点であることを特徴とする請求項1又は2記載の3次元画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴情報は、前記関心対象の軸に対応する1つの特徴点と、前記特徴点に接する接線情報であることを特徴とする請求項1又は2記載の3次元画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の投影画像は、周期的に運動する部位に関する複数の周期にわたるものであって、
前記座標取得部は、略同一の位相に対応する複数の画像から前記2つの特徴点の3次元座標を取得することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項6】
前記再構成部は、前記一軸の近傍領域に限定して3次元画像のデータを生成することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項7】
前記再構成部は、前記一軸の方向の画素間を前記一軸に直交する方向の画素間より間隔をあけて前記3次元画像のデータを生成することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項8】
前記再構成部は、前記一軸から外周に向かって前記3次元画像のデータを生成することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項9】
前記2つの特徴点は、ステントの軸に対応する位置であることを特徴とする請求項3記載の3次元画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元座標系を基準にして前記第1の3次元画像を前記一軸に直交する面の複数のスライス画像を有する第2の3次元画像に変換する画像変換部をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項11】
前記3次元座標系を基準にして前記3次元画像を前記一軸の方向で表示する表示処理部をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項12】
X線を発生するX線管と、
医療器具が留置された被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管を前記X線検出器とともに前記被検体の周囲を回転する回転機構と、
前記X線管が前記X線検出器とともに前記被検体の周囲を回転しながら繰り返し撮影した撮影方向が相違する複数の画像のデータを記憶する記憶部と、
前記複数の投影画像のうち医療器具に関する少なくとも2枚の画像上での前記医療器具の軸に関する特徴情報と撮影方向とに基づいて前記医療器具の軸に関する3次元座標情報を取得する座標取得部と、
前記3次元座標情報をもとに前記医療器具の軸を一軸とする3次元座標系を設定する座標変換部と、
前記複数の投影画像から前記3次元座標系を基準とした3次元画像のデータを再構成する再構成部と
を具備することを特徴とするX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−115481(P2010−115481A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237448(P2009−237448)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】