説明

4極以上を有する磁石部材とシャッター

【課題】本発明は携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッターに装設し、且つ前記シャッターのヨークの一側に隣接する4極以上を有する磁石部材を提供する。
【解決手段】前記磁石部材は円盤部と駆動部を含む。円盤部には4極以上のN極とS極が形成される。円盤部は円環側面、及び対向する第1端面と第2端面を有する。駆動部は円盤部の第1端面と第2端面のうちの一方から垂直方向に沿って突伸してなる。前述の内容から、駆動部は円盤部の端面から突伸してなることによって、磁化した際に、円盤部に4極以上のN極とS極を形成することができ、大量生産に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石に関し、特に4極以上のN極とS極を形成する磁石部材と前記磁石部材を応用したシャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンディタイプの通信電子製品の普及に伴い、また撮影機能を備えたニーズに対して、目下ハンディタイプの通信電子製品は撮影レンズを大方配備すると共に、その上にシャッターを設けることによって、露出時間を制御している。シャッターは主に基板、基板上に設けた電磁弁、及び電磁弁と結合する羽根を含み、羽根が作動することによって、絞りが開いたり閉じたりして光線の進入時間を制御している。電磁弁は通常磁石、ヨーク、ヨークに巻装するコイルで構成され、コイルが通電すると、磁石の両極であるN極とS極の作用によって、羽根が予期した作動を行う。
【0003】
しかし、シャッターの動作制御のニーズについては、シャッター時間を制御する他に、さらに同時に絞り制御の動作ニーズを備えることが必要である。こうなると、羽根の動作制御が一層複雑化する。一般的に、磁石を4極以上の磁気領域に磁化形成することができるが、つまりN極、S極、N極、S極といった排列を有し、ヨークとコイルが通電する組合せで、磁石が複数種類の順、逆回転する変化をすることによって、羽根の制御を多段式変化にして、シャッターと絞りを制御するニーズを達成する。
【0004】
図1に示すように、従来の一般的な磁石11は主に上盤部111と下盤部112、上盤部111の側縁から水平に突出したアーム部113、及びアーム部113の末端から垂直に突伸させた駆動部114を有する。駆動部114は羽根の中に貫通して、磁石11が回転する際、羽根をそらすことができる。
【0005】
今のところ、磁石11は大部分が鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性を有する金属で製造されており、最終的に磁化によって磁極を形成して磁石を構成するものの、この種の構造設計の磁石11は両極を磁化して形成した磁極を提供することができるに留まり、図2で示すように、4極を磁化して形成する磁極を提供すると、突出したアーム部113が磁化設備12に干渉して、磁石11を回転させて磁化して4極の磁気領域を形成することができないため、この種の磁石11は動作制御が複雑なシャッター内に組み込むことができない。
【0006】
そこで、本発明人は上記の欠点が改善可能と考え、つぶさに観察、研究して、合理的設計で上記の欠点を効果的に改善した本発明を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−076451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、磁化し易くて4極以上の磁極を形成することができ、大量生産に役立つ磁石部材を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、上記の磁石部材を備えて動作制御の複雑化を要するシャッターに運用することであり、このシャッターは携帯型移動通信機器の撮影モジュール内に応用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は円盤部と駆動部を含む4極以上を有する磁石部材を提供する。円盤部は4極以上のN極とS極が形成され、円環側面、円環側面に対向して連接する第1端面と第2端面、及び第1、第2端面を貫通する軸孔を有する。駆動部は円盤部の第1、第2端面のうちの一方から垂直方向に沿って突伸してなる。
【0011】
上記の別の目的を達するために、本発明は基板、2つの電磁弁、第1羽根、スペーサ、2枚の第2羽根を含む携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッターを提供する。基板は絞りと2本の旋回柱を有し、電磁弁はそれぞれ基板の側辺に設置されたヨーク、ヨークに巻装されたコイル、及びヨークの一側に隣接し、且つ回転可能な磁石部材を備える。各磁石部材は上記に説明したうちの円盤部と駆動部を備え、基板の旋回柱は前記磁石部材の軸孔を貫通する。第1羽根は基板に組み込まれ、且つ2つの電磁弁のうちの1つの磁石部材の駆動部に係合され、この駆動部により駆動されて基板の絞りを遮蔽したり開放したりする。スペーサは基板に組み込まれ、第2羽根はスペーサの上方に設けられ、且つ2つの電磁弁のもう一方の磁石部材の駆動部に係合され、この駆動部により駆動されて基板の絞りを遮蔽したり開放したりする。
【発明の効果】
【0012】
本発明が有する効果は次の通りである。駆動部が円盤部の端面から突伸してなり、磁化した際に、駆動部は磁化設備に干渉することはなく、このため設計時のニーズに応じて円盤部に4極以上のN極とS極を形成することができ、大量生産に役立ち、さらに動作制御の複雑化を要するシャッター内に運用されて、需要者が求める機能を達成する。
【0013】
本発明が上述の目的を達するために採用した技術、方法及び効果を一層理解できるよう、以下に本発明に関する詳細説明と添付図面を参照することで、本発明の目的、特徴がこれによって深く具体的に理解されると信じる。然しながら、添付図面は参考及び説明用に供したに過ぎず、本発明に制限を課すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の磁石の概略斜視図である。
【図2】従来の磁石と磁化設備が磁化する際の概略図である。
【図3】本発明の磁石部材の斜視図である。
【図4】本発明の磁石部材と磁化設備が磁化する際、4極の磁極を形成することを示した概略図である。
【図5】本発明の磁石部材が6極の磁極を形成する概略図である。
【図6】本発明のシャッターの第1組合せの平面図である。
【図7】本発明のシャッターの第2組合せの平面図であり、第1羽根が遮蔽状態であることを示している。
【図8】本発明のシャッターの第3組合せの平面図であり、第1羽根が開放状態であることを示している。
【図9】本発明のシャッターの第4組合せの平面図であり、第2羽根が遮蔽状態であることを示している。
【図10】本発明のシャッターの第5組合せの平面図であり、第2羽根が開放状態であることを示し、しかも第2羽根の状態をはっきり示すためにスペーサを撤去している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
図3は本発明が提供する円盤部21と駆動部22を含む4極以上を有する磁石部材20である。
【0016】
円盤部21は円環側面211、円環側面に対向して連接する第1端面212と第2端面213、及び第1、第2端面212、213を貫通する軸孔214を有する。駆動部22は円盤部21の第1、第2端面212、213のうちの一方から垂直方向Zに沿って突伸(突設)してなる。
【0017】
図4に示すように、磁石部材20の磁化が必要な場合、駆動部22が円盤部21の端面から突伸してなり、円盤部21の側縁から突伸してなるのでないことから、磁化する際に、駆動部22が磁化設備9に干渉することはなく、このため設計時のニーズに応じて、円盤部21に4極以上且つ偶数のN極とS極を形成することができる。図4に示すように、円盤部21が4極のN極とS極を形成するか、又は図5に示すように、円盤部21’が6極のN極とS極を形成する。このうち、円盤部21のN極とS極は交差する様に環設して円盤部21に排列形成する。
【0018】
図6に示すように、本発明の磁石部材20は携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッター2に装設するのに提供され、前記の携帯型移動通信機器は携帯電話やPDA等でよい。前記シャッター2には基板30、基板30の側辺に設置した2つのヨーク40、ヨーク40にそれぞれ巻装したコイル50を備える。基板30の中央には絞り31が設けられる。基板30上には2本の旋回柱32が設けられ、それぞれ別の磁石部材20の軸孔214に貫通されている。これにより2つの磁石部材20が回転可能に基板30に設けられる。しかも2つの磁石部材20はそれぞれ別のヨーク40の一側に隣接して配置され、2つのヨーク40と2つのコイル50とで2つの電磁弁を構成する。
【0019】
図7に示すように、基板30上に第1羽根60を設け、磁石部材20の駆動部22はこの第1羽根60の端部に係合され、第1羽根60を作動させ、図7、図8に示すように、続いて絞り31を開放したり遮蔽したりすることができる。
【0020】
図9に示すように、基板30上にさらにスペーサ70を設けることができ、第1羽根60の上方に位置すると共に、スペーサ70の上方にさらに2枚の第2羽根80を設けて、もう1つの磁石部材20の駆動部22はこの2枚の第2羽根80の端部に係合され、第2羽根80を作動させ、図9、図10で示すように、絞り31を開放したり遮蔽したりすることができる。また、基板30の2本の旋回柱32はそれぞれ第1羽根60と第2羽根80の端部を貫通して、羽根が回転する中心とする。上記により、第1羽根60はシャッター羽根でよく、第2羽根80は絞り羽根でよいが、磁石部材20の磁極とコイル50が通電した後の正負極間の相互の組合せや作用によって、磁石部材20は多段式の回転をして羽根の軌跡を制御することができ、さらに絞りのサイズやシャッター時間を制御することができる。
【0021】
総合的に述べると、本発明の磁石部材の構造設計により、磁石が磁化した際に4極以上を形成する磁極をスムースに達成することができて大量生産に役立ち、さらに動作制御の複雑化を要するシャッターに運用して、需要者が必要とする機能を達成する。
【0022】
上記に開示した図面、説明は本発明の実施例に過ぎず、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が上記の説明に基づいてその他各種の改良を行った場合、これらの変更は本発明の発明精神並びに以下に定義する特許の範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0023】
[従来]
11 磁石
111 上盤部
112 下盤部
113 アーム部
114 駆動部
12 磁化設備
[本発明]
20 磁石部材
21、21’ 円盤部
211 円環側面
212 第1端面
213 第2端面
214 軸孔
22 駆動部
2 シャッター
30 基板
31 絞り
32 旋回柱
40 ヨーク
50 コイル
60 第1羽根
70 スペーサ
80 第2羽根
9 磁化設備
Z 垂直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッターに装設する4極以上を有する磁石部材であって、前記磁石部材は、
4極以上のN極とS極が形成され、円環側面、前記円環側面に対向して連接する第1端面と第2端面、及び前記第1、第2端面を貫通する軸孔を有する円盤部と、
前記円盤部の第1、第2端面のうちの一方から垂直方向に沿って突伸してなる駆動部と
を含むことを特徴とする4極以上を有する磁石部材。
【請求項2】
前記円盤部のN極とS極は交差する様に環設され前記円盤部に排列形成されることを特徴とする請求項1に記載の4極以上を有する磁石部材。
【請求項3】
携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッターであって、
中央に絞りを設け且つ2本の旋回柱を設けた基板と、
それぞれ前記基板の側辺に設置したヨーク、前記ヨークに巻装したコイル、及び前記ヨークの一側に隣接し且つ回転可能な磁石部材を備え、各磁石部材は円盤部と駆動部を備え、前記円盤部は4極以上のN極とS極が形成され、前記円盤部は円環側面、前記円環側面に対向して連接する第1端面と第2端面、及び前記第1、第2端面を貫通する軸孔を有し、前記駆動部は前記円盤部の第1、第2端面のうちの一方から垂直方向に沿って突伸してなり、前記基板の旋回柱は前記磁石部材の軸孔を貫通する2つの電磁弁と、
前記基板に組み込まれ且つ前記2つの電磁弁のうちの1つの磁石部材の駆動部が端部に係合され、この駆動部によって駆動されて前記基板の絞りを遮蔽したり開放したりする第1羽根と、
前記基板に組み込まれ且つ前記第1羽根の上方にあるスペーサと、
前記スペーサの上方に設けられ且つ前記2つの電磁弁のもう一方の磁石部材の駆動部が端部に係合され、この駆動部により駆動されて前記基板の絞りを遮蔽したり開放したりする第2羽根と、
を含むことを特徴とする携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッター。
【請求項4】
前記2つの電磁弁の磁石部材の円盤部のN極とS極は交差する様に環設され前記円盤部に排列形成されることを特徴とする請求項3に記載の携帯型移動通信機器の撮影モジュールのシャッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−81168(P2011−81168A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233100(P2009−233100)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(509279790)微太科技股▲分▼有限公司 (1)
【出願人】(509279804)
【Fターム(参考)】