説明

45度エルボ間配管用の管寸法読取器具

【課題】両偏心管の中心軸線と中心軸線との間の寸法を測定すれば、その値により直ちに呼管の寸法を計測できるために、面倒な取扱い操作を要しなくなる45度エルボ間配管用の管寸法読取器具を提供する。
【解決手段】中心軸線がその延長線どうしで平行となるように配管される上流偏心管と下流偏心管とに、それぞれに45度エルボを介して呼管を45度の斜めに接続する配管において、予め呼管の配管寸法を割り出すために使用する45度エルボ間配管用の管寸法読取器具であって、そのフレームとなる尺本体に、メートル尺を一体に設ける他に、メートル目盛りを1/√2に縮小した√目盛りを有するルート2尺をスライド可能に隣接して設け、さらに、尺本体には、45度エルボの規格毎の呼径を数値で配列するとともに、エルボ中心から呼径部分の端に至る伸寸の2倍数値を√2尺から取った目印を該当する呼径の数値毎に記入した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上流側の配管と下流側の配管が平行な偏心関係にあるときに、その偏心する両配管に取り付けられる45度エルボ間の配管(呼管)の寸法を割り出すことのできる45度エルボ間配管用の管寸法読取器具に関する。
【背景技術】
【0002】
配管工事において、直列から外れて平行関係に偏心した上流側の配管と下流側の配管との間を連結する際には,一般的に偏心両方の配管に45度エルボを取り付け、45度エルボを介して45度の斜めに呼管が接続される。しかし、用いる呼管の寸法を予め取ることは容易ではなかった。
【0003】
なお、塩ビの45度エルボでは、45度に曲がる本体の両端に呼管が嵌まる接続部が突出して形成され、その内径(呼径)が本体の外形とほゞ同じ大径に形成され、本体の内径と接続部の呼径との間に段差を有し、呼管は隠れた内部の段差に突き当たるまで差し込まれる関係で、呼管の寸法が割り出し難い。そこで、45度エルボ間配管用の管寸法読取器具が使用されることもあった。
【0004】
従来の管寸法読取器具Qは、図7に示すように、伸縮シャフト50の両端に仮の45度エルボ52,52を取り付け、両仮の45度エルボ52,52の外面に呼径の段差の位置が赤線54,54で示されたものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の管寸法読取器具Qによれば、使用において、偏心配管に仮45度エルボ52,52をはめ込んでから、所定の位置に両偏心管が位置するように伸縮シャフト50を伸縮調整してから、両赤線54,54間の寸法Laを測定するもので、この値Laが呼管の寸法として用いられるが、取扱い操作が容易ではなく非常に面倒であった。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、両偏心管の中心軸線と中心軸線との間の寸法を測定すれば、その値により直ちに呼管の寸法を計測できるために、面倒な取扱い操作を要しなくなる45度エルボ間配管用の管寸法読取器具を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、中心軸線がその延長線どうしで平行となるように配管される上流偏心管と下流偏心管とに、それぞれに45度エルボを介して呼管を45度の斜めに接続する配管において、予め呼管の配管寸法を割り出すために使用する45度エルボ間配管用の管寸法読取器具であって、そのフレームとなる尺本体に、メートル尺を一体に設ける他に、メートル目盛りを1/√2に縮小した√目盛りを有するルート2尺をスライド可能に隣接して設け、さらに、尺本体には、45度エルボの規格毎の呼径を数値で配列するとともに、エルボ中心から呼径部分の端に至る伸寸の2倍数値を√2尺から取った目印を該当する呼径の数値毎に記入したことを特徴とする45度エルボ間配管用の管寸法読取器具を提供するものである。
【0008】
45度エルボ間配管用の管寸法読取器具を上記のように構成したから、これで両45度エルボの間に収める呼管の長さを割り出すには、当該45度エルボの呼径の数値の目印に、√2尺3のゼロの目盛りを合わせる。そうして、両偏心管の間の中心軸の間を測定した偏心寸法をメートル尺に取り、その目盛りから√目盛りを読み取ると、その値が呼管の配管寸法となる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明は、両偏心管の間の距離としての偏心寸法を√2倍した値が両45度エルボの中心間の寸法(心々寸法)に相当し、それから、両45度エルボの合計伸寸の値(伸寸の2倍値)を差し引けば、呼管の寸法が出ることに着眼したもので、この管寸法読取器具の使用においては、45度エルボの規格毎に決まっている伸寸の2倍の値を、√2尺のスライドにより差し引いておくために、両偏心管の中心軸線と中心軸線との間の寸法を測定すれば、その値により直ちに呼管の寸法を正確に読み取ることができるもので、面倒な取扱い操作を要しなく、配管の作業効率を大幅に向上できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施例を示す45度エルボ間配管用の管寸法読取器具の平面図である。
【図2】同45度エルボ間配管用の管寸法読取器具において、呼管の配管寸法を読み取る位置に√2尺をスライド設定した状態を示す平面図である。
【図3】両偏心管に45度エルボを介して呼管を接続した状態を示す正面図である。
【図4】√2尺の規格に基づく呼径ごとの伸寸を記載した表を示す平面図である。
【図5】他の実施例を示す45度エルボ間配管用の管寸法読取器具の断面図である。
【図6】塩ビ管用の45度エルボの一般的な断面図である。
【図7】従来例を示す45度エルボ間配管用の管寸法読取器具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図3は、偏心管23,24の間の呼管25による配管状態を示し、上流側の偏心管23と下流側の偏心管24とに呼管25が45度エルボ27,27を介して接続される。そして、両偏心管23,24の間の偏心寸法Mに対して、両45度エルボ27,27の中心28,28間の心々距離Nは、√2倍となる関係にある。
【0012】
この発明において、45度エルボ27について、伸寸mとは、45度エルボ27に呼管25を最後まで嵌め込んだ場合に、45度エルボ27の中心28から呼管25の先端までの距離をいうものとする。つまり、エルボ中心から呼径D部分の端に至る寸法をいう.また、ここに中心28とは、偏心管の正に中心であって、偏心管23,24の中心軸線αと呼管25の中心軸線βとが交わる点をいう。これは、塩ビ管であっても鋼管であっても同じである。
【0013】
以下に塩ビ管の配管の場合について述べるが、鋼管の配管の場合についても同様の考えで実施できる。また、45度エルボ27の規格がメートルで表示される場合について示すが、インチで表示される場合にも同様の考えにより実施できる。その場合に目印21はインチの値をメートルに換算して位置決めされる。
【実施例1】
【0014】
図1および図2は、この発明の一実施例を示し、その45度エルボ間配管用の管寸法読取器具Pは、尺本体1に1メートルのメートル尺2を一体に設けるとともに、√2尺3をスライド可能に並列して組み合わせたもので、メートル尺2には1ミリ単位でメートル目盛り5が記入され、√2尺3には、メートル尺2の目盛り5を1/√2に縮小した√目盛り7が記入される。
【0015】
管寸法読取器具Pは、対象物に突き合わせて実測しやすいように、尺本体1がメートル尺2のゼロの位置0で切断された小口形状となっている。ただし、ゼロの位置0から外側へ例えば5mm度延長されていても測定が可能であり、巻き尺等で測定も可能なので、延長した長さにしても良い。
【0016】
また、√2尺3の他端にはストッパー11が設けられる。これは、メートル尺2のゼロの位置0に、√2尺3のゼロが一致した状態(図1の状態)に保持しやすいようにするためで、同図ではメートル尺2の端にストッパー11が突き当たっている。この状態で、メートル尺2による実測は容易となる。しかし、これだけでは√2尺3が引き抜かれる方向へスライドするので、√2尺3に押すネジ13が設けられこれで完全固定される(図5参照)。
【0017】
メートル尺2と反対側において、尺本体1には、表示台15がルート2尺3と並列して設けられる。ちなみに、表示台15は尺本体1およびメートル尺2と一体関係にあり、√2尺3はそれらに対してスライドする。この表示台15にはゼロの位置0側の一端部において、45度エルボ27の呼径Dの径表示とともに、両伸寸m,mを合計した数値を√2尺3に取った目印21が設けられる。
【0018】
45度エルボ27は、45度に曲がる本体27aの両端に呼管25が嵌まる接続部27b,27bが突出し(図6参照)、その内径が本体27aの内径よりも大きい呼径Dに形成され、本体の内径と接続部27bの呼径Dとの間に段差32を有する。そこで、呼管25の配管寸法Lは、両45度エルボの内部に隠れた段差32,32間の寸法となる。したがって、呼管25の寸法は、心々距離Nから伸寸m,mを差し引いて求められる。この明細書では、45度エルボ27の中心28と段差29(金属製では雌ネジ)間の寸法をこのように上記のように伸寸mと称することにした。
【0019】
上記の如く、呼管25の配管寸法Lは、エルボ心々28,28間の寸法Nから両伸寸m,mの合計寸法を除した寸法となる。呼寸mは、呼径Dの規格寸法に従って段階的に決まっており、それは表Gに示す通りである。これは例えば配管作業中に携帯して必要に応じて読み取るように使用される。
【0020】
計算上から見ると、両偏心管23,24の中心軸線α,α間の距離としての偏心寸法Mをメートル尺2または携帯する巻き尺等で測定し、それを√2倍すると、これがエルボ心々31,31間の寸法Nであるから、これから伸寸m,mの値を差し引くと、呼管25の配管寸法Lが出されることになるが、差し引く計算は不要である。
【0021】
この差し引く計算を必要としないように、表示台15には、呼径Dの規格数値を配列して記入するとともに、それぞれについて、両伸寸m,mの合計の値で√2尺3で取った目印21,21,・・が記入される。例えば、45度エルボ27の規格において、呼径Dが50であるとする。そして、呼径Dが50の目印21に√2尺3のゼロの位置を合わせると(図2)、伸寸mmの合計36mmの値Kが引かれた√2の値を計算できる計算尺の設定となる。
【0022】
この設定において、メートル尺2で100mmでは105mm、110mmでは119mmを読み取ることができる。つまり、呼管25の求める配管寸法Lは、105mm,119mmである。しかし、現場においては、45度エルボ27の規格は同じで揃っているため、一々表Gを見る必要はなく、記憶において処理できる。
【実施例2】
【0023】
図5は、45度エルボ間配管用の管寸法読取器具Pについて、尺両面を別々形式に使用できるようにしたもので、尺本体1の中央部がアルミ押出形材により表裏両面に開口する両面蟻溝型に形成され、表裏蟻溝にスライダー35,36が嵌め込まれ、両スライダーに√2尺3,3が貼り合わされ、左右に上下交互にメートル尺2,2と表示台15,15を設け、上の表示台15には上記実施例と同じくメートルの呼径Dと目印21が、下の表示台15にはインチの呼径Dと目印21がそれぞれ表示される。こうして、規格がインチ式であるエルボにも適用できるようになっている。
【符号の説明】
【0024】
P 45度エルボ間配管用の管寸法読取器具
0 ゼロの位置
1 尺本体
2 メートル尺
3 √2尺
5 メートル目盛り
7 √目盛り
11 ストッパー
13 押すネジ
21 目印
23 上流側の偏心管
24 下流側の偏心管
25 呼管
27 45度エルボ
28 エルボ中心
D 呼径
G 表
m 伸寸
α 中心軸線







【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線がその延長線どうしで平行となるように配管される上流偏心管と下流偏心管とに、それぞれに45度エルボを介して呼管を45度の斜めに接続する配管において、予め呼管の配管寸法を割り出すために使用する45度エルボ間配管用の管寸法読取器具であって、そのフレームとなる尺本体に、メートル尺を一体に設ける他に、メートル目盛りを1/√2に縮小した√目盛りを有する√2尺をスライド可能に隣接して設け、さらに、尺本体には、45度エルボの規格毎の呼径を数値で配列するとともに、エルボ中心から呼径部分の端に至る伸寸の2倍数値を√2尺から取った目印を該当する呼径の数値毎に記入したことを特徴とする45度エルボ間配管用の管寸法読取器具。
【請求項2】
√2尺のゼロの位置の反対の端に、√2尺のゼロをメートル尺2のゼロに合うスライド位置で尺本体の端に突き当たるストッパーを設け、√2尺にそのスライド位置を固定する押すネジを設けたことを特徴とする請求項1記載の45度エルボ間配管用の管寸法読取器具。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−17585(P2011−17585A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161578(P2009−161578)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(309023634)
【Fターム(参考)】