説明

5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩、その製造方法及びその用途

【課題】 低刺激性かつ溶液中で分解しにくい5-アミノレブリン酸エステル類の新規な塩、その製造方法及びこれを含有する医療用組成物及び植物活力剤組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)
R1OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (1)
〔式中、R1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示し;R2は、水素原子又はR1を示し;Lは0〜2の整数を示す。但し、L=2のとき、複数のR2は同一でも、異なっていてもよい〕
で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物・発酵、動物・医療、植物等の分野において有用な5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩、その製造方法、これを含有する医療用組成物及びこれを含有する植物活力剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
5−アミノレブリン酸エステルの塩酸塩は、医療分野においては、がん治療(非特許文献1)、植物分野においては除草剤(特許文献1)、耐塩性向上剤(特許文献2)、種子処理剤(特許文献3)などとして有用なことが知られている。
【0003】
一方、5−アミノレブリン酸エステル類は塩酸塩としてのみ製造法が知られており、例えば、5−アミノレブリン酸塩酸塩とアルコールを縮合剤存在下で縮合する方法(特許文献1)、5−アルコキシカルボキサミドレブリン酸エステルのアミノ基の保護基を除去する方法(特許文献1、非特許文献2)が報告されている。
【0004】
しかしながら、医薬分野においては、5−アミノレブリン酸エステル塩酸塩の水溶液をヒトの皮膚へ塗布した場合、水分の蒸発と共に5−アミノレブリン酸エステル塩酸塩の濃度が相対的に上昇し、酸性度が上昇する結果として、皮膚にかゆみが発生することや、皮膚に赤斑が発生することがあった。また、5−アミノレブリン酸エステル塩酸塩を水等に溶解して液剤にすると、時間と共にその成分の分解が進んでしまう場合があった。
また、植物分野においては、植物に対して一般的に使用されている殺菌剤成分の硝酸銀等と混合して使用すると、5−アミノレブリン酸塩酸塩と硝酸銀が反応して塩化銀の沈殿が発生する結果、噴霧器のノズルが詰まって噴霧できなくなる場合があり、操作上の注意が必要であった。
【非特許文献1】Jean-Michel Gaullier et. al.,Cancer Research, 57, 1481-1486(1997)
【非特許文献2】H. Brunner et. al., Photochemistry and Photobiology, 78(5), 481-486(2003)
【特許文献1】特開平4−9360号公報
【特許文献2】特開平8−151304号公報
【特許文献3】特開2001−10号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、低刺激性かつ溶液中で分解しにくい5-アミノレブリン酸エステル類の新規な塩、その製造方法及びこれを含有する医療用組成物及び植物活力剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討を行った結果、5−アミノレブリン酸リン酸塩とアルコールを作用させることにより、上記要求が満たされる特定の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩が得られることを見出した。また、リン酸類を5−保護アミノレブリン酸エステルに作用させることによっても、上記要求が満たされる特定の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
R1OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (1)
〔式中、R1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示し;R2は、水素原子又はR1を示し;Lは0〜2の整数を示す。但し、L=2のとき、複数のR2は同一でも、異なっていてもよい〕
で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、下記一般式(2)
HOCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (2)
〔R2、Lは前記定義の通り〕
で表される5−アミノレブリン酸リン酸類塩と下記一般式(3)
R1OH (3)
で示されるアルコールを反応させることを特徴とする、前記一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、下記一般式(4)
R2OCOCH2CH2COCH2NHR6 (4)
〔式中、R2は前記定義の通り、R6は、アミノ保護基を示す〕
で表される5−アミノレブリン酸類と下記一般式(5)
HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (5)
〔R2及びLは前記定義の通り〕
で示されるリン酸類を反応させ、アミノ保護基(R6)を脱離させることを特徴とする、一般式(6)
R2OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (6)
〔R2及びLは前記定義の通り。Lにかかわらず複数のR2は異なっていても良い〕
で表される化合物の製造方法を提供するものである。
【0009】
更に本発明は、前記一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を含有する光力学的診断用組成物を提供するものである。本発明は、また更に、前記一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を含有する植物活力剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩は、塩酸塩と比較して、高濃度の水溶液にしたときに酸性度が低い。また、水溶液等の液剤とした場合の分解速度が塩酸塩と比較して遅い。そのため皮膚に対して酸による刺激性が低く、かつ、溶液中で分解しにくいことから、これを含有する組成物は光力学的治療又は診断用薬として有用である。また塩化物イオンをほとんど含まないことから植物活力剤組成物に有用である。また、本発明の製造方法によれば、簡便かつ効率よく5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一般式(1)中、R1はヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示す。ここで、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基が好ましい。ここで、アルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜40、更に1〜18、特に1〜7のアルキル基が好ましい。アルケニル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルケニル基が挙げられ、炭素数2〜40、更に2〜18のアルケニル基が好ましい。アラルキル基としては炭素数6〜20のアリール基と炭素数1〜6のアルキル基から構成されるものが挙げられる。また、アリール基としては炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
【0012】
アルコキシ基としては炭素数1〜18のアルコキシ基、特に炭素数1〜7のアルコキシ基が好ましい。アシルオキシ基としては、炭素数1〜18のアルカノイルオキシ基、特に炭素数2〜8のアルカノイルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基としては、C1-18アルコキシ−カルボニルオキシ基、特にC1-7アルコキシ−カルボニルオキシ基が好ましい。
【0013】
炭素数1〜18の好ましいアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、n−ノニル基、イソノニル基、1−メチルオクチル基、エチルヘプチル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n−ウンデシル基、1,1−ジメチルノニル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられる。
【0014】
炭素数1〜7のより好ましいアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基が挙げられる。
【0015】
フロロが置換している場合のフロロの数は、1〜37個の範囲であればよく、置換する位置に制限はないが、好ましくは-(CH2)M(CF2)NR3〔Mは0〜6、Nは1〜7の整数を示す。ただし、MとNの和は1〜7である。R3は水素又はフロロを示す。〕で示される基であり、例えば、2,2,2−トリフロロエチル、3,3,3−トリフロロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、4,4,4−トリフロロブチル、3,3,4,4,4−ペンタフロロブチル、2,2,3,3,4,4,4−へプタフロロブチル、5,5,5−トリフロロペンチル、4,4,5,5,5−ペンタフロロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフロロペンチル、3,3,4,4,5,5,−ヘキサフロロペンチル、3,3,4,4,5,5,5−へプタフロロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフロロペンチル、6,6,6−トリフロロヘキシル、5,5,6,6,6−ペンタフロロヘキシル、4,4,5,5,6,6,6−へプタフロロヘキシル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフロロヘキシル、7,7,7−トリフロロヘプチル、6,6,7,7,7−ペンタフロロヘプチル、5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフロロヘプチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフロロヘプチル、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフロロヘプチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフロロヘプチル等が挙げられ、特に好ましくは、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフロロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフロロペンチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフロロヘプチルである。
【0016】
ヒドロキシが置換した炭素数1〜18のアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
【0017】
アルコキシが置換した炭素数1〜18のアルキル基としては、C1-7アルコキシ−C1-18アルキル基、例えば2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、2−(2−メトキシエチル)エチル等が挙げられる。
【0018】
アシルオキシ基が置換したアルキル基としては、C2-7アルカノイルオキシ−C1-18アルキル基が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基が置換したアルキル基としては、C1-18アルコキシ−カルボニルオキシ−C1-18アルキル基が挙げられる。アミノ基が置換したアルキル基としては、アミノ−C1-18アルキル基が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、4−メチルシクロヘキセニル基、4−エチルシクロヘキセニル基、2−シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルメチル基、シクロヘプテニルメチル基、2−シクロブテニルエチル基、2−シクロオクテニルエチル基、3−(4−メチルシクロヘキセニル)プロピル基、4−シクロプロペニルブチル基、5−(4−エチルシクロヘキセニル)ペンチル基、オレイル基、バクセニル基、リノレイル基、リノレニル基、trans−9−オクタデセニル基、9E,12E−オクタデカジエニル基、9E,12E,15E−オクタデカトリエニル基等が挙げられる。
【0019】
炭素数7〜26のアラルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜20のアリール基とから構成されるものが好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜26のアラルキル基のうち、ベンジル基、フェネチル基、9−フルオレニルメチル基が好ましく、ベンジル基、フルオレニルメチル基が特に好ましい。当該アラルキル基のアリール基は、上記記載の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、カルボキシ基等の置換基1〜3個によって置換されていてもよい。このような置換されたアラルキル基としては、−CH264-pp4(R4は水素、フロロ、クロロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフロロメチル、ニトロ及びメトキシから選ばれる基を示し、pは0〜4の整数を示す)で示される基が挙げられ、特に2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−トリフロロメチルベンジル、4−クロロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、2−フロロベンジル、3−フロロベンジル、4−フロロベンジル、3−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、2,3,4,5−テトラフロロベンジル、2,3,4,5,6−ペンタフロロベンジルが好ましい。
【0020】
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、カルボキシ基等の置換基1〜3個によって置換されていてもよい。
【0021】
一般式(1)中のR2は、水素原子又は前記R1で示される基である。R2としては、前記のR1で説明した基がすべて例示される。このうちR2としては、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基又はアリール基が好ましい。炭素数1〜18のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、n−ノニル基、イソノニル基、1−メチルオクチル基、エチルヘプチル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n−ウンデシル基、1,1−ジメチルノニル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜16のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0022】
一般式(1)で表わされる本発明の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩は、固体でも液体でもよい。固体とは、結晶状態、ガラス状態又は液晶状態を示すが、それらが水和物であってもよい。液体とは固体が融解した状態或いは溶液を指す。溶液とは、水をはじめとする溶媒に溶解又は分散した状態を示すが、そのpHがpH調整剤等によって調整されたものでもよい。また、水をはじめとする溶媒は、2種以上を混合して使用してもよい。pH調整剤としては、リン酸、ホウ酸、フタル酸、クエン酸、コハク酸、トリス、酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸やそれらの塩などを用いた緩衝液又はグッドの緩衝液が挙げられる。
【0023】
本発明化合物(1)は、下記一般式(2)
HOCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (2)
[式中、R2及びLは前記定義の通り]
で表される化合物と、下記一般式(3)
R1OH (3)
(式中、R1は前記定義の通り)
で表される化合物を反応させることにより製造することができる。
【0024】
反応は、一般式(2)の化合物を一般式(3)の化合物に溶解又は分散させ、加熱攪拌すれば行うことができる。また、一般式(2)の化合物の代わりに5−アミノレブリン酸のその他の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等を原料に用いることもできる。
【0025】
溶解状態や分散状態が思わしくない場合には適当な溶媒を加えて希釈することができる。
このような溶媒としては、水、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)が挙げられる。加熱する場合の温度に特に制限はないが、好ましくは室温〜100℃である。
【0026】
また、反応に際し、縮合剤を用いることができる。そのような縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド及びその塩酸塩、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフロロリン化物塩、ジフェニルホスホリルアジドなどが挙げられる。
【0027】
この反応は、更に一般式(5)
HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (5)
[式中、R2及びLは前記定義の通り]
で表されるリン酸類の存在下で縮合させることもできる。そのようなリン酸類としては、例えば、リン酸;メチルリン酸、エチルリン酸、n−ブチルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、ヘキサデシルリン酸、ベンジルリン酸、オレイルリン酸等のリン酸モノエステル;ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジn−ブチルリン酸、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸、ジヘキサデシルリン酸、ジベンジルリン酸、ジオレイルリン酸等のリン酸ジエステルが挙げられ、リン酸、メチルリン酸、エチルリン酸、ブチルリン酸、オレイルリン酸、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジn−ブチルリン酸、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸、ジヘキサデシルリン酸、ジベンジルリン酸又はジオレイルリン酸が特に好ましい。また、次亜リン酸又は亜リン酸も好適に使用できる。
【0028】
また、一般式(6)で表される化合物は、一般式(4)
R2OCOCH2CH2COCH2NHR6 (4)
(式中、R2及びR6は前記の定義と同じ)
で表される化合物と下記一般式(5)
HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (5)
(式中、R2及びLは前記の定義と同じ)
で表されるリン酸類を反応させ、アミノ保護基(R6)を脱離させることによって製造することができる。
【0029】
6で示されるアミノ保護基としては、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、アシル基、アリールスルホニル基、アリールチオ基、アリールホスフィニル基等が挙げられ、より具体的には、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル、2−エトキシエチルオキシカルボニル、2−ブトキシエチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、m−クロロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メチルベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシ−α,α−ジメチルベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、メチルスルホニルエチルオキシカルボニル、イソニコチニルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)−エトキシカルボニル、フタロイル、ジチアスクシノイル、トシル、2−ニトロフェニルチオ、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル、ジフェニルホスフィニル、ジフェニルホスフィノチオイル、ジメチルホスフィノチオイル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルのいずれかが好ましい。
【0030】
この反応の溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭素(ジクロロメタン、クロロホルム等)が挙げられ、それらの混合溶媒も用いられる。反応中に加熱を行うこともあるが、その温度は室温〜100℃前後である。
【0031】
アミノ保護基の脱離反応は、加水素分解反応が好ましい。水素と共に用いる場合は触媒としてパラジウムを添加し、水素ガスを溶媒中に通気するか、密閉容器から水素が漏れないようにして激しく攪拌させる。パラジウムの添加量に特に制限はないが、基質質量の0.001%〜100%が好ましい。用いる水素ガスは容器内に1KPa〜25MPaあることが望ましい。
【0032】
反応液から固体を回収する場合は、反応液に貧溶媒を加えることで可能である。貧溶媒は反応溶媒よりも極性の低い溶媒であれば特に制限はないが、好ましくは上記の反応溶媒から選択したものである。固体の回収率が低い場合は冷却することによって回収率を向上させることができる。
【0033】
5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩(1)は、後記実施例に示すように、5−アミノレブリン酸エステル塩酸塩に比べて、酸性度が低く、また、分解しにくい。従って、5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩は、5−アミノレブリン酸エステル塩酸塩と同様に、ヒトを含む動物における光力学的治療又は光力学的診断剤として有用である。光力学的治療又は診断剤としては、癌、感染症、リウマチ、血栓、にきび等の治療又は診断剤が挙げられる。
【0034】
5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩の光力学的治療剤又は診断剤としての使用に際しては、公知の条件で使用すればよく、具体的には、特表2001−501970号公報、特表平4−500770号公報、特表2005−501050号公報、特表2004−506005号公報、特表2001−518498号公報、特表平8−507755号公報、特表2004−505105号公報、特表平11−501914号公報に開示されている処方、方法で使用すれば良い。
【0035】
5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を含有する光力学的治療又は光力学的診断用組成物は、皮膚外用剤、注射剤、経口剤、坐剤等の剤形にすることができる。これらの剤形にするにあたっては、薬学的に許容される担体を用いることができる。当該担体としては、水、結合剤、崩壊剤、溶解促進剤、潤沢剤、充填剤、賦形剤等が用いられる。
【0036】
また、5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を例えば、植物用途に使用する場合、一般的に使用される肥料成分等を含有しても良い。肥料成分としては、特開平4−338305号公報に開示されている物質が挙げられる。
5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩は、植物活性化剤としても有用である。植物活性化剤としての使用に際しては、公知の条件で使用すればよく、具体的には、特開平7−53487号公報に開示されている方法で植物に対して使用すればよい。
【実施例1】
【0037】
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩の製造
メタノール100mLに85%リン酸18mLを溶解し、5−アミノレブリン酸リン酸塩5g(21.8mmol)加えて分散状態とし、80℃で17時間攪拌した。反応液を放冷して室温に戻し、アセトン400mLを加えた。室温で2時間攪拌した後、析出した白色固体を吸引ろ過で回収し、その固体をアセトン50mLで洗浄した後、室温下で4時間減圧乾燥した。収量1.36g(5.6mmol)。収率26mol%。
1H-NMR(D2O, 400 MHz) δ ppm: 2.68 (2H, CH2), 2.89 (2H, CH2), 3.66(3H, CH3), 4.10 (2H, CH2)
13C-NMR(D2O, 100 MHz) δ ppm: 30 (CH2), 37 (CH2), 50 (CH2), 55(CH3), 178 (CO), 207 (COO)
元素分析値:C6H11NO3・H3PO4として
理論値:C 29.64%;H 5.80%;N 5.76%
実測値:C 29.2% ;H 5.5% ;N 5.7%
イオンクロマトグラフィーによるPO43-の含有率:
理論値:39.1%
実測値:40%
イオンクロマトグラフィー分析条件;分離カラム:日本ダイオネクス製 IonPac AS12A、溶離液:Na2CO3とNaHCO3を含有する水溶液(Na2CO3:3.0 mmol/L、NaHCO3:0.5 mmol/L)、流速:1.5 mL/min.、試料導入量:25 μL、カラム温度:35℃、検出器:電気伝導度検出器。
【0039】
実施例2
5−アミノレブリン酸ベンジルエステルリン酸塩の製造
ベンジルアルコール3mLに85%リン酸 0.1 mLを溶解し、5−アミノレブリン酸リン酸塩504 mg(2.2 mmol)を加えて80℃で16時間攪拌した。反応液を室温に戻してからイソプロパノール20 mLを加えて攪拌した。4℃で18時間静置した後室温に戻し、吸引ろ過で析出した結晶を回収した。結晶をエタノール20 mLで洗浄した後、2時間減圧乾燥した。収量399 mg(1.25 mmol)。収率57 mol%。
1H-NMR(D2O, 400 MHz) δ ppm: 2.72 (2H, CH2), 2.89 (2H, CH2), 4.07(2H, CH2), 5.13 (2H, CH2), 7.40(5H, phenyl)
13C-NMR(D2O, 100 MHz) δ ppm: 30 (CH2), 37 (CH2), 50 (CH2), 70(CH2), 131.2(phenyl), 131.6(phenyl), 131.7(phenyl), 138(phenyl), 177 (CO), 207 (COO)
【0040】
実施例3
5−アミノレブリン酸ヘキシルエステルリン酸塩の製造
N−ベンジルオキシカルボニルアミノレブリン酸ヘキシルエステル200 mg(0.76 mmol)をメタノール2mLに溶解して10 mLオートクレーブにいれ、85%リン酸87 mg(H3PO4として0.82 mmol)、とパラジウム炭素10 mgを加えた後水素4 MPaを封入し、室温下で1時間攪拌した。反応液を取り出し、ろ過で不溶分を除去した後、ろ液にアセトン50 mLを加えて室温下で30分間攪拌した。発生した沈殿物を回収するためデカンテーションで上澄み液を除去し、沈殿にアセトン5mLを加えて濯ぎ、デカンテーションで上澄み液を除去した。再度アセトン5mLによる濯ぎとデカンテーションを行い、沈殿物を室温下で減圧乾燥を1時間行った。回収量145 mg(0.463 mmol)。収率61 mol%。
1H-NMR(D2O, 400 MHz) δ ppm: 0.82 (3H, CH3), 1.25-1.30(6H, 3CH2), 1.59(2H, CH2), 2.67(2H, CH2), 2.88 (2H, CH2), 4.08(4H, 2CH2)
13C-NMR(D2O, 100 MHz) δ ppm: 16.2(CH3), 24.8(CH2), 27.6(CH2), 30.4(CH2), 30.6(CH2), 33.5(CH2), 37.2 (CH2), 49.9 (CH2), 68.9(OCH2), 178.0 (CO), 206.9 (COO)
FD-MS M/Z=314(M+H)
【0041】
実施例4
5−アミノレブリン酸リン酸塩の製造
特開2003−88393に記載の方法で得たN−ベンジルオキシカルボニルアミノレブリン酸260 mg(0.98 mmol)、85%リン酸113 mg(H3PO4として0.98 mmol)、パラジウム炭素25 mg、イオン交換水15 mL、酢酸エチル15 mLを100 mLオートクレーブに入れ、水素ガス4Mpaを封入した後、室温下で15時間攪拌した。不溶分をろ過で除去した後、酢酸エチル層をデカンテーションで除去し、水層をエバポレータで濃縮した。その濃縮液にイソプロパノール15 mLを加えて静置し、発生した白色固体を吸引ろ過で回収した。白色固体をアセトン50 mLで洗浄してから室温下で減圧乾燥を3時間行った。収量201 mg(0.876 mmol)。収率89 mol%。
【0042】
実施例5
5−アミノレブリン酸リン酸塩の製造
非特許文献2に記載の方法で得たN−tert−ブチルオキシカルボニルアミノレブリン酸5.91 g(25.6 mmol)に85%リン酸11.37 g(H3PO4として100 mmol)とイオン交換水50 mLを加え、80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、活性炭0.42 gを加えて室温下で2時間攪拌した。吸引ろ過で活性炭を除去し、エバポレータで濃縮した。濃縮液を攪拌しながらメタノール400 mLを加え、-25 ℃で18時間静置した。析出した結晶を吸引ろ過で回収し、アセトン100 mLで結晶を洗浄した後、室温下で3時間減圧乾燥した。収量3.00 g(13.09 mmol)。収率51 mol%。
【0043】
実施例6
5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩の酸性度の測定
5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩をイオン交換水に溶解し、室温下におけるpHを測定した。比較対象として5−アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩についても同様の測定を行った。その結果、5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩水溶液のpHは、100 mmol/Lよりも高い濃度領域において、5−アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩水溶液のpHよりも高く、酸性度が低かった。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例7
水に溶解した時の5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩の分解性
5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩13.5 mg(0.06 mmol)をイオン交換水10 mLに溶解し、70℃で静置した。時間ごとに溶液を採取し、文献記載の方法 〔European Journal of Pharmaceutical Sciences, 7, 87-91(1998) 〕で5−アミノレブリン酸メチルエステルの残存率を測定した。
比較対象として5−アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩10.3 mg(0.06 mmol)をイオン交換水10 mLに溶解し、70℃で静置したものを用いた。その結果、5−アミノレブリン酸メチルエステルはリン酸塩であるほうが塩酸塩であるよりも水溶液中で分解しにくいことが判明した。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例8
塩化銀の沈殿発生実験
5−アミノレブリン酸メチルエステルリン酸塩0.5 gと硝酸銀0.5 gを0.1mol/Lリン酸水溶液10mLに溶解し、5分間静置し液の様子を観察した。沈殿の発生は認められなかった。
なお、5−アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩0.5 gと硝酸銀0.5 gを0.1mol/Lリン酸水溶液10 mLに溶解し、5分静置し液の様子を観察した。沈殿の発生が認められた。
【0048】
実施例9
(植物活力効果)
内径12 cmの磁気製ポットに火山灰土壌が600 g充填されかつ、1つのポットに高さ15 cmまで育ったツユクサが1本植えられているものを12 個ずつ用意して20 ℃の恒温環境におき、1日1回下記散布液による茎葉散布処理を行った。21 日後の葉の様子を観察した。その結果を表3にまとめた。
【0049】
【表3】

【0050】
表3の結果より、5−アミノレブリン酸リン酸塩に植物の活力効果が認められた。
【0051】
実施例10
5−アミノレブリン酸ベンジルエステルリン酸塩の酸性度の測定
5−アミノレブリン酸ベンジルエステルリン酸塩をイオン交換水に溶解し、室温下におけるpHを測定した。比較対象として5−アミノレブリン酸ベンジルエステル塩酸塩についても同様の測定を行った。その結果5−アミノレブリン酸ベンジルエステルリン酸塩水溶液のpHは、500 mmol/Lよりも高い濃度領域において、5−アミノレブリン酸ベンジルエステル塩酸塩水溶液のpHよりも高く、酸性度が低かった。
【0052】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
R1OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (1)
〔式中、R1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示し;R2は、水素原子又はR1を示し;Lは0〜2の整数を示す。但し、L=2のとき、複数のR2は同一でも、異なっていてもよい〕
で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩。
【請求項2】
1が、フロロ、ヒドロキシ及びアルコキシから選ばれる基が置換していてもよい炭素数1〜18のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル基又はフロロ、クロロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフロロメチル、ニトロ及びメトキシから選ばれる基が置換していてもよい炭素数7〜26のアラルキル基若しくは炭素数6〜20のアリール基であり;R2が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜26のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である請求項1記載の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩。
【請求項3】
1が炭素数1〜18のアルキル基、-(CH2)M(CF2)NR3、炭素数7〜26のアラルキル基又は-CH2C6H4-PFPR4であり;R2が炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリール基〔R3は水素又はフロロ基を示し、R4は水素、フロロ、クロロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフロロメチル、ニトロ及びメトキシから選ばれる基を示し、Lは0〜2の整数を示し、Mは0〜6、Nは1〜7、Pは0〜4の整数を示す。ただしMとNの和は1〜7である〕である請求項1記載の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩。
【請求項4】
1がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、シクロヘキシル、
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフロロヘプチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフロロペンチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフロロブチル、
ベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−トリフロロメチルベンジル、4−クロロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、2−フロロベンジル、3−フロロベンジル、4−フロロベンジル、3−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、2,3,4,5−テトラフロロベンジル、2,3,4,5,6−ペンタフロロベンジル及びフェネチルから選ばれる基であり、
2がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、ヘキサデシル、2−エチルヘキシル、オレイル、ベンジル及びフェニルから選ばれる基であり、
Lが0〜2である請求項1記載の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩。
【請求項5】
下記一般式(2)
HOCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (2)
[式中、R2は、水素原子、又はヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示し;Lは0〜2の整数を示す。但し、L=2のとき、複数のR2は同一でも、異なっていてもよい]
で表される5−アミノレブリン酸リン酸類塩と下記一般式(3)
R1OH (3)
[式中、R1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示す]
で示されるアルコールを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
R1OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (1)
[式中、R1、R2及びLは前記定義の通り]
で表される5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩の製造方法。
【請求項6】
下記一般式(4)
R2OCOCH2CH2COCH2NHR6 (4)
[式中、R2は、水素原子、又はヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、オキソ、フロロ、クロロ及びニトロから選ばれる基が置換していてもよい炭化水素基を示し;R6はアミノ保護基を示す]
で表される5−アミノレブリン酸類と下記一般式(5)
HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (5)
〔式中、Lは0〜2の整数を示す。R2は前記定義の通り。但し、L=2のとき複数のR2は同一でも異なっていてもよい。]
で示されるリン酸類を反応させ、アミノ保護基(R6)を脱離させることを特徴とする、下記一般式(6)
R2OCOCH2CH2COCH2NH2・HOP(O)(OR2)L(OH)2-L (6)
〔R2及びLは前記定義の通り。Lにかかわらず複数のR2は異なっていても良い〕
で表される化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を含有する光力学的治療又は光力学的診断用組成物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸エステルリン酸類塩を含有する植物活力剤組成物。

【公開番号】特開2007−15937(P2007−15937A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195941(P2005−195941)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】