説明

5−HT6受容体アンタゴニストとしての置換された6−(1−ピペラジニル)−ピリダジン類

【化1】


本発明は5−HT−アンタゴニスト性質を有する式(I)[式中、R、R、RおよびXは請求項で定義された意味を有する]の新規な置換された6−(1−ピペラジニル)−ピリダジン類に関する。本発明はさらにそのような新規化合物の製造方法、該新規化合物を活性成分として含んでなる製薬学的組成物並びに薬品としての該化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は5−HT−アンタゴニスト性質を有する新規な置換された6−(1−ピペラジニル)−ピリダジン類に関する。本発明はさらにそのような新規化合物の製造方法、該新規化合物を活性成分として含んでなる製薬学的組成物並びに薬品としての該化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景先行技術
特許文献1はとりわけナルコレプシーの処置において使用できるヒスタミンH3受容体活性を有する3−アリール−6−ピペラジン−1−イルピリダジン類に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/066604号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の記述
5−ヒドロキシトリプタミン受容体6(5−HT)受容体はG蛋白質結合された受容体ファミリーに属しそしてアデニレートシクラーゼ活性を刺激する5−HTおよび5−HT受容体を包含するG蛋白質のGsファミリーに結合される。5−HT受容体もグルタミン作用性およびコリン作用性ニューロン活性を調整するようである。5−HT受容体は認識工程に関係する脳領域で選択的に見出される。セレトニン5−HTの遮断は例えば記憶の如きより高度の認識工程においてそして統合失調症に関係する負の兆候が考えられる時に有益である。実際に、多くの前臨床データは5−HT受容体拮抗作用が齧歯動物における認識工程に正の影響を有することを示した(Mitchell and Neumaier(2005)5−HT receptors:a novel target for cognitive enhancement.Pharmacology & Therapeutics 108:320−333)。5−HT受容体は末梢組織においてはほとんどまたは全く発現せず、それはより少ない副作用で薬品標的化における選択性を生じうる。
【0005】
より一般的には、5−HT受容体親和力を有する化合物は種々の中枢神経系の疾患、不安症、鬱病、注意欠如活動過多障害、アルツハイマー病、癲癇、および統合失調症の処置にも有用でありうる。
【0006】
さらに、5−HT拮抗作用は食欲および摂食抑制にも関連していた。例えば肥満症のような摂食障害の蔓延がこれを全ての年令群において主要な公衆衛生問題にしている。摂食障害は種々の重度疾病、例えば糖尿病、胃腸管の疾患、心臓血管疾病、睡眠時無呼吸症および変形性関節症、を罹患し易くする。5−HT受容体は新世代の安全で且つより有効な抗−肥満症薬品の開発のための分子標的として多大の興味を引き起こしてきた。
【0007】
本発明の目的は、他の受容体との無視できる程度の相互作用を有するために比較的少ない副作用をもたらす選択的な5−HT受容体アンタゴニストである新規化合物を提供することである。本発明はさらに、それらの製造方法およびそれらを含んでなる製薬学的組
成物にも関する。本発明はまた、認識減損および食品関連疾患の処置または予防のための薬品の製造用のこれらの誘導体の使用にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
はクロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
はフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、
は水素、C1−4−アルキルまたはピリジニルメチルであり、
Xは−O−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−SO−、−CO−、−NH−CH−、−O−CH−、1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである]
に従う新規化合物およびそれらの立体異性体形態、並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩類および溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を次にさらに記述する。以下の議論において、本発明の種々の面がさらに詳細に規定される。そのように規定される各面は、明らかに逆のことが指示されない限り、いずれかの他の面と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると指示されたいずれかの特徴でも好ましいまたは有利であると指示されたいずれかの他の特徴と組み合わせることができる。
【0012】
例えば、本発明は
がトリフルオロメチルであり、
がフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、好ましくはRがハロで置換されたフェニルであり、
が水素、C1−4−アルキルまたはピリジニルメチルであり、好ましくはRが水素、メチルまたはピリジニルメチルであり、
Xが−O−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−SO−、−CO−、−NH−CH−、−O−CH−、1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体形態、並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩類および溶媒和物に関する。
【0013】
本発明は
がトリフルオロメチルであり、
がフェニルまたはフルオロで置換されたフェニルであり、
が水素、メチルまたはピリジニルメチルであり、
Xが−O−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−SO−、−CO−、−NH−CH−、−O−CH−、1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体形態、並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩類および溶媒和物に関する。
【0014】
別の態様では、本発明はRがフェニルまたはハロよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたフェニルである他の態様のいずれかに従う化合物に関する。
【0015】
別の態様では、本発明はRがフェニルまたはハロよりなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである他の態様のいずれかに従う化合物に関する。
【0016】
別の態様では、本発明はRがフェニルまたは1個のハロで置換されたフェニルである他の態様のいずれかに従う化合物に関する。
【0017】
別の態様では、本発明はハロがフルオロである他の態様のいずれかに従う化合物に関する。
【0018】
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体形態の中で、最も興味あるものは、例えば、
4−(4−フルオロフェノキシ)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
N−(4−フルオロフェニル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンアミン、
4−(フェニルメチル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジン、
フェニル[6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジニル]−メタノン、
アルファ−フェニル−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンメタノール、
4−(フェニルスルホニル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
4−[(Z)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
4−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
4−[(4−フルオロフェニル)エチニル]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−4−[(E)−2−フェニルエテニル]−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
[6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジニル]フェニル−メタノン、
N−[(4−フルオロフェニル)メチル]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンアミン、
4−[(4−フルオロフェニル)メトキシ]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
4−[(E)−2−フェニルエテニル]−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
N−(4−フルオロフェニル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンアミン.2.5HCl.0.5HO、
4−[(E)−2−フェニルエテニル]−6−[4−(4−ピリジニルメチル)−1−ピペラジニル]−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
4−[(E)−2−フェニルエテニル]−6−[4−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジニル]−3−(トリフルオロメチル)−ピリダジン、
並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩類および溶媒和物である。
【0019】
本発明の化合物の化学名はケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstracts Service)(CAS)により認められた命名法則に従い記述された。互変異性体形態の場合には、構造の描写された互変異性体形態の名称が記述された。しかしながら、他の記述されていない互変異性体形態も本発明の範囲内に含まれることは明らかである。
【0020】
用語「置換された」が本発明において使用される時には常に、「置換された」を使用する表示において指定された原子上の1個もしくはそれ以上の水素、好ましくは1〜3個の水素、より好ましくは1個の水素、が指定された群からの選択肢で置換されていることを意味し、ただし条件として指定された原子の基準原子価を越えないこと並びにその置換が安定な化合物すなわち反応混合物からの有用な純度への単離および治療剤への調合に耐えるのに充分な耐性を有する化合物を生ずることである。例えば、フェニルがハロで置換される時には、これは該フェニルがハロから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されることを意味する。
【0021】
この出願全体にわたり、用語「C1−4アルキル」は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1,1−ジメチルエチル、を定義する。グループとしてまたはグループの一部としての用語ハロは、断らない限りまたは概念から明らかでない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを総称する。
【0022】
いずれかの構成成分において1回より多く可変因子が生ずる時には、各々の定義は独立している。
【0023】
製薬学的に許容可能な塩類は式(I)に従う化合物が形成可能な治療的に活性な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義される。該塩類は式(I)に従う化合物の塩基形態を適当な酸類、例えば無機酸類、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸および燐酸;有機酸類、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、マンデル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸およびマンデル酸、で処理することにより得られうる。逆に、該塩形態を適当な塩基を用いる処理により遊離形態に転化することもできる。酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を適当な有機および無機塩基を用いる処理によりそれらの無毒の金属またはアミン付加塩形態に転化することもできる。適当な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩類、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩類、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩類など、有機塩基との塩類、例えば第一級、第二級および第三級の脂肪族および芳香族アミン類、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンとの塩基;ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩類、並びにアミノ酸類、例えばアルギニン、リシンなど、との塩類を含んでなる。逆に、塩形態を酸を用いる処理により遊離酸形態に転化することもできる。
【0024】
溶媒和物の用語は式(I)の化合物およびそれらの塩類が形成しうる水和物および溶媒付加物形態を含んでなる。そのような形態の例は例えば水和物、アルコレート類などであ
る。
【0025】
式(I)の化合物並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩類および立体異性体形態のあるものが1個もしくはそれ以上のキラル中心を含有できそして立体異性体形態として存在しうることは認識されよう。
【0026】
以上で使用された用語「立体異性体形態」は式(I)の化合物が有することができる全ての可能な異性体形態を定義する。断らない限り、化合物の化学的表示は全ての可能な立体異性体形態の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造の全てのジアステレオマー類およびエナンチオマー類を含有する。より特に、ステレオジェン中心はR−またはS−立体配置を有することができ、2価の環式の(部分的)飽和基上の置換基はシス−またはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を包含する化合物は該二重結合のところでEまたはZ−立体化学性を有することができる。式(I)の化合物の立体異性体形態は本発明の範囲内に包括される。
【0027】
特定の立体異性体形態が指定される時には、これは該形態が他の異性体を実質的に含まないこと、すなわち50%より少ない、好ましくは20%より少ない、より好ましくは10%より少ない、さらにより好ましくは5%より少ない、さらに好ましくは2%より少ないそして最も好ましくは1%より少ない他の異性体と会合していることを意味する。
【0028】
治療用途のためには、式(I)の化合物の塩類は対イオンが製薬学的に許容可能なものである。しかしながら、製薬学的に許容可能でない酸類および塩基類の塩類も、例えば、製薬学的に許容可能な化合物の製造または精製における使用を見出すことができる。全ての塩類が、製薬学的に許容可能であるかまたはないかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0029】
下記の方法において製造される式(I)の化合物はエナンチオマー類のラセミ混合物の形態で合成することができ、それらは当該技術で既知の分割工程に従い互いに分離することができる。式(I)の化合物ラセミ化合物は適当なキラル酸を用いる反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。該ジアステレオマー形態は引き続き、例えば、選択的または分別結晶化により分離されそしてエナンチオマー類はそこからアルカリにより遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態の別の分離方法はキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体異性体形態は、反応が立体特異的に起きる限り、適当な出発物質の対応する純粋な立体異性体形態から誘導することもできる。好ましくは、特異的な立体異性体が所望される場合には、該化合物は立体特異的製造方法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0030】
この出願の枠内では、本発明に従う化合物はその化学元素の全ての同位体組み合わせを含んでなることが本来的に意図される。この出願の枠内では、特に式(I)に従う化合物に関して述べられる時には、化学元素はこの元素の全ての同位体および同位体混合物を含んでなる。特に、水素が述べられる時には、H、H、Hおよびそれらの混合物をさすことが理解されよう。
【0031】
本発明に従う化合物は従って、1つもしくはそれ以上の非放射活性原子がその放射活性同位体の1つにより置換されている放射標識付き化合物とも称する放射活性化合物を包含する1つもしくはそれ以上の元素の1つもしくはそれ以上の同位体およびそれらの混合物を有する化合物を本来的に含んでなる。用語「放射標識付き化合物」は少なくとも1個の放射活性原子を含有する式(I)に従ういずれかの化合物またはその製薬学的に許容可能な塩を意味する。例えば、化合物を陽電子またはガンマ発生放射活性同位体で標識付けす
ることができる。放射配位子結合技術に関しては、H原子または125I原子が置換用の選択肢原子である。画像を得るためには、最も普遍的に使用される陽電子発生(PET)放射活性同位体は11C、18F、15Oおよび13Nであり、それらの全ては加速器で製造されそしてそれぞれ20分、100分、2分および10分の半減期を有する。これらの放射活性同位体の半減期はあまりに短いため、それらの製造場所に加速器を有する施設でそれらを使用することのみが実行可能であり、そのためそれらの使用は限定される。これらの中で最も広く使用されているものは18F、99mTc、201Tlおよび123Iである。これらの放射活性同位体の取扱い、それらの製造、単離および分子中への導入は当業者に既知である。
【0032】
特に、放射活性原子は水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンよりなる群から選択される。特に、放射活性同位体はH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される。
【0033】
明細書および添付された特許請求の範囲で使用される際には、単数形「a」、「an」、および「the」は概念が明らかに他のことを記述しない限り複数形も包含する。例えば、「化合物」は1種の化合物または1種より多い化合物を意味する。
【0034】
明細書で使用される上記の用語および他のものは当業者に良く理解されている。
【0035】
薬理学
認識減損および食品関連疾患の処置に関して活性である化合物を見出すために、我々はセロトニン5−HT受容体と選択的に相互作用する化合物に関してスクリーニングした。本発明の範囲内の化合物は明白な特徴を有することが見出され、これはセロトニン5−HT受容体を除いて試験した受容体に関する低い親和力を有することである。
【0036】
本発明の化合物は「ラットにおける亜慢性のPCPで誘発される注意のセット(傾向)の偏移の逆転」試験(‘Reversal of subchronic PCP−induced attentional set shifting in rats’ test)(J.S.Rodefer et al.,Neurospychopharmacology(2007),1−10)において活性であることもさらに予期できる。
【0037】
式(I)の化合物の上記の薬理学に鑑みて、それらが薬品としての使用に適することは当然の帰結である。
【0038】
より具体的には、認識が減損される症状であるアルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ハンチントン病、レービー体認知症、HIV疾病による認知症、クロイツフェルト−ヤーコブ病による認知症、健忘障害、軽度認識障害、および年令関連性認識低下の処置または予防における;摂食障害および疾病の処置および/または予防のための;食欲の抑制のための;体重の維持、増加または減少、食欲不振、大食症、肥満症、悪液質、II型糖尿病(非インスリン依存性真性糖尿病)、肥満症により引き起こされるII型糖尿病のための;発作、片頭痛、頭部外傷、癲癇、過敏性結腸症候群、過敏性腸症候群の処置および/または予防のための;中枢神経系の疾患、統合失調形態疾患、統合失調情動疾患、妄想疾患、短期精神病疾患、共有精神病疾患、全身的医学症状による精神病疾患、物質誘発性精神病疾患、その他のものに特定されない精神病疾患、認知症に関連する精神病、重度鬱病疾患、気分変調疾患、月経前不快疾患、その他のものに特定されない鬱病疾患、双極性I疾患、双極性II疾患、循環気質疾患、その他のものに特定されない双極性疾患、全身的医学症状による気分障害、物質誘発性気分障害、その他のものに特定されない気分障害、全身化された不安疾患、強迫疾患、パニック疾患、急性ストレス疾患、外傷後ス
トレス疾患、精神薄弱、浸透性発達障害、注意欠如障害、注意欠如/活動過多障害、破壊行動障害、妄想型の人格障害、分裂病質型の人格障害、分裂特徴型の人格障害、チック障害、ツレット症候群、抜毛癖、痙攣疾患、発作、物質依存症、物質乱用、物質禁断の処置のための;薬物嗜癖および/または停止の処置および/または予防のための;ニコチン嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための;アルコール嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための薬品。
【0039】
前章で挙げられた疾患に罹っている罹患体の処置を最適化するために、式(I)の化合物を他の精神作用性化合物と一緒に投与することができる。
【0040】
本発明はまたそのような疾患に罹っている温血動物の処置方法も提供し、該方法は上記疾患の処置において有効な治療量の式(I)の化合物の全身投与を含んでなる。
【0041】
本発明はまた薬品、より特に認識が減損される症状であるアルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ハンチントン病、レービー体認知症、HIV疾病による認知症、クロイツフェルト−ヤーコブ病による認知症、健忘障害、軽度認識障害、および年令関連性認識低下の処置または予防における;摂食障害および疾病の処置および/または予防のための;食欲の抑制のための;体重の維持、増加または減少、食欲不振、大食症、肥満症、悪液質、II型糖尿病(非インスリン依存性真性糖尿病)、肥満症により引き起こされるII型糖尿病のための;発作、片頭痛、頭部外傷、癲癇、過敏性結腸症候群、過敏性腸症候群の処置および/または予防のための;中枢神経系の疾患、統合失調形態疾患、統合失調情動疾患、妄想疾患、短期精神病疾患、共有精神病疾患、全身的医学症状による精神病疾患、物質誘発性精神病疾患、その他のものに特定されない精神病疾患、認知症に関連する精神病、重度鬱病疾患、気分変調疾患、月経前不快疾患、その他のものに特定されない鬱病疾患、双極性I疾患、双極性II疾患、循環気質疾患、その他のものに特定されない双極性疾患、全身的医学症状による気分障害、物質誘発性気分障害、その他のものに特定されない気分障害、全身化された不安疾患、強迫疾患、パニック疾患、急性ストレス疾患、外傷後ストレス疾患、精神薄弱、浸透性発達障害、注意欠如障害、注意欠如/活動過多障害、破壊行動障害、妄想型の人格障害、分裂病質型の人格障害、分裂特徴型の人格障害、チック障害、ツレット症候群、抜毛癖、痙攣疾患、発作、物質依存症、物質乱用、物質禁断の処置のための;薬物嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための;ニコチン嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための;アルコール嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための薬品、の製造ための以上で定義された式(I)の化合物の使用にも関する。
【0042】
ある態様では、該症状は薬物嗜癖および禁断の処置および/または予防、ニコチン嗜癖および禁断の処置および/または予防、アルコール嗜癖および禁断の処置および/または予防から選択される。
【0043】
ある態様では、該疾病または症状は認識が減損される症状、中枢神経系の疾患、不安症、鬱病、注意欠如活動過多障害、アルツハイマー病、癲癇、統合失調症、摂食障害および疾病から選択される。
【0044】
ある態様では、該疾病または症状は認識が減損される症状、中枢神経系の疾患、不安症、鬱病、注意欠如活動過多障害、アルツハイマー病、癲癇および統合失調症から選択される。
【0045】
ある態様では、該疾病または症状は認識が減損される症状、不安症、アルツハイマー病、および統合失調症から選択される。
【0046】
ある態様では、該疾病または症状は不安症、アルツハイマー病、および統合失調症から選択される。
【0047】
ある態様では、該疾病は統合失調症である。
【0048】
ある態様では、該疾病はアルツハイマー病である。
【0049】
ある態様では、該症状は認識が減損される症状である。
【0050】
本発明はまた、薬品、より特に該疾病または症状の処置における薬品、の製造のための以上で定義された式(I)の化合物の使用にも関する。
【0051】
本発明はまた、上記の疾病または症状の処置または予防における使用のための式(I)の化合物にも関する。
【0052】
本発明はまた、上記の疾病または症状の処置における使用のための式(I)の化合物にも関する。
【0053】
本発明はまた、上記の疾病または症状を処置または予防するための式(I)の化合物にも関する。
【0054】
本発明はまた、上記の疾病または症状を処置するための式(I)の化合物にも関する。
【0055】
そのような疾病の処置における当業者は以下に表示される試験結果から有効な治療のための1日の量を決めることができよう。有効な治療のための1日の量は約0.01mg/kg〜約10mg/kgの体重、より好ましくは約0.05mg/kg〜約1mg/kgの体重、であろう。
【0056】
本発明はまた、製薬学的に許容可能な担体および、活性成分としての、治療的に有効な量の式(I)に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0057】
投与の容易さのために、当該化合物を投与目的のために種々の製薬学的形態に調合することができる。本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸もしくは塩基付加塩、それらの立体異性体形態、またはそれらのいずれかの亜群もしくは組み合わせを投与目的のために種々の製薬学的に許容可能な形態に調合することができる。適切な組成物として、全身投与薬品用に一般的に使用される全ての組成物が挙げられうる。本発明の製薬学的組成物を製造するためには、活性成分としての有効な量の場合により付加塩形態であってもよい特定化合物を製薬学的に許容可能な担体と密に混合して一緒にし、この担体は投与用に所望される調剤の形態により広範囲の形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口、直腸、皮下、非経口注射または吸入による投与に適する単位剤形において望ましい。例えば、経口剤形での組成物の製造においては、一般的な製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液剤の如き経口液体調剤の場合には例えば水、グリコール類、油類、アルコール類など;散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には固体担体、例えば澱粉、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤など、を使用することができる。投与におけるそれらの容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位剤形であり、その場合にはもちろん固体の製薬学的担体が使用される。非経口組成物に関しては、担体は一般的には殺菌水を少なくとも大部分含んでなるが、例えば溶解を助けるための他の成分を含むことができる。例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注射液剤を製造することができる。式(I)の化
合物を含有する注射液剤は長期活性用に油の中に調合することができる。この目的のために適する油類は、例えば、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油、大豆油、長鎖脂肪酸類の合成グリセロールエステル類、並びにこれらおよび他の油類の混合物である。注射懸濁剤を製造することもでき、その場合には、適当な液体担体、懸濁剤などを使用できる。使用直前に液体形態調剤に転換されることを意図する固体形態調剤も包含される。皮下投与に適する組成物では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を場合により少量のいずれかの性質の適当な添加剤と組み合わせて含んでなることができ、それらの添加剤は皮膚に有意な悪影響を与えないものである。該添加剤は皮膚への投与を促進できおよび/または所望する組成物の製造の助けとなりうる。これらの組成物は種々の方法で、例えば、経皮パッチ剤として、滴下剤(spot−on)として、軟膏剤として、投与できる。対応する塩基または酸形態に優るそれらの増加した水溶解度のために式(I)の化合物の酸または塩基付加塩類が水性組成物の製造においてはより適する。
【0058】
投与の容易さおよび薬用量の均一性のために上記の製薬学的組成物を単位剤形に調合することが特に有利である。ここで使用される単位剤形は単位薬用量として適する物理的に分離した単位をさし、各々の単位は必要な製薬学的担体と会合して所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を含有する。そのような単位剤形の例は錠剤(刻み目付きもしくはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット剤、ウェファー剤、坐剤、注射液剤または懸濁剤など、およびそれらの分離された複数分である。
【0059】
本発明に従う化合物は有効な経口投与可能な化合物であるため、該化合物を含んでなる経口投与用の製薬学的組成物が特に有利である。
【0060】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解度および/または安定性を高めるために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリン類またはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換されたシクロデキストリン類、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、を使用することが有利でありうる。また、共溶媒(co−solvents)、例えばアルコール類、は製薬学的組成物中での本発明に従う化合物の溶解度および/または安定性を改良しうる。
【0061】
投与の方式によって、製薬学的組成物は好ましくは0.05〜99重量%の、より好ましくは0.1〜70重量%の、さらにより好ましくは0.1〜50重量%の、式(I)の化合物、および、1〜99.95重量%の、より好ましくは30〜99.9重量%の、さらにより好ましくは50〜99.9重量%の、製薬学的に許容可能な担体を含んでなり、全ての百分率は組成物の合計重量を基準とする。
【0062】
製造
式(I−a)
【0063】
【化2】

【0064】
[式中、Rはクロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、R3aはC1−4アルキルまたはピリジニルメチルであり、そしてRおよびXは上記の通りに定義される]
の化合物は、式(I−b)
【0065】
【化3】

【0066】
[式中、R、XおよびRは上記の通りに定義される]
の化合物を、例えばEtNの如き塩基、例えばNaBH(OAc)、Pt/C(R1a=Clに関しては適さない)またはラネーニッケル(R1a=CNに関しては適さない)の如き還元剤および例えばジクロロメタン(DCM)、メタノールまたはエタノールの如き適当な反応溶媒の存在下で、C1−4−アルデヒド(例えばホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒド)またはピリジンカルボキシアルデヒドと反応させることにより製造できる。
【0067】
式(I−b)
【0068】
【化4】

【0069】
[式中、置換基は上記の通りに定義される]
の化合物は、適当な条件下での、例えば溶媒としてのDCM中のトリフルオロ酢酸(TFA)またはメタノール(MeOH)中のスルホン化されたポリスチレンタイプ(例えばAMBERLITETM酸)の酸カチオン−交換樹脂またはジオキサン中のHClの存在下における、式(II)
【0070】
【化5】

【0071】
[式中、Lは適当な保護基、例えばtert−ブチルオキシカルボニル、を表わし、そしてR、RおよびXは上記の通りに定義される]
の中間体内の保護基の脱保護により製造できる。
【0072】
式(II’)
【0073】
【化6】

【0074】
[式中、Lは適当な保護基、例えばtert−ブチルオキシカルボニル、を表わし、そしてRおよびXは上記の通りに定義される]
の中間体は、クロロ誘導体(II’’)を例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの如きパラジウム触媒の存在下で例えばDMFの如き適当な溶媒中でZn(CN)と反応させることにより製造できる。
【0075】
式(II−a)
【0076】
【化7】

【0077】
[式中、R1aはクロロまたはトリフルオロメチルでありそして他の置換基は上記の通りに定義される]
の中間体は一般的には式(III)
【0078】
【化8】

【0079】
[式中、R1aおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体と市販のR−フェノール[式中、Rは水素またはハロである]との間のN,N−ジメチルグリシンで促進されるウルマンカップリング反応で製造される。このタイプの反応は典型的には銅またはニッケル触媒条件(例えばCuO、CuIまたはNi(OAc)の如き銅またはニッケル塩を使用する)およびCsCO、KPOまたはKCOのような塩基のもとで高められた温度(70−100℃)において例えばジオキサンまたはトルエンの如き適当な不活性溶媒中で行うことができる。
【0080】
式(II−b)
【0081】
【化9】

【0082】
[式中、R1a、RおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体は一般的には、典型的には例えば(1S)−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン]((S)−BINAP)の如き配位子およびCsCO、KPO、KCOまたはナトリウムtert−ブトキシド(tert−BuONa)のような塩基の存在下における高められた温度(70−100℃)における例えばジオキサンまたはトルエンの如き適当な不活性溶媒中での式(III)の中間体と市販のR−フェノール[式中、Rは水素またはハロである]との間の反応により製造される。
【0083】
式(II−c)
【0084】
【化10】

【0085】
[式中、R1a、RおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体は一般的にはCsCO、KPOまたはKCOのような塩基の存在下における高められた温度(70−100℃)における例えばジメチルスルホキシド(DMCO)の如き適当な不活性溶媒中での式(III)の中間体とR−ベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩[式中、Rは水素またはハロである]とのCuI/L−プロリン触媒作用を受けるカップリング反応により製造される。
【0086】
式(II−d)
【0087】
【化11】

【0088】
[式中、R1a、RおよびLは上記の通りに定義されそしてX’は1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである]
の中間体は一般的にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)の如き触媒、CsCO、KPOまたはKCOのような塩基、および場合により例えばCuO、CuIまたはNi(OAc)の如き銅またはニッケル塩の存在下における場合により例えばジオキサンまたはN,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)の如き適当な溶媒の存在下における例えば普通の温度の如き適当な反応条件下での、反応の完了を確実にするための期間にわたる普通の加熱またはマイクロ波照射のいずれかによる[(R−フェニル)エテニル)]−ボロン酸または(R−フェニル)エチニル)[式中、Rは水素またはハロである]に対する式(III)の中間体のカップリングにより製造される。
【0089】
式(II−e)
【0090】
【化12】

【0091】
[式中、R1a、RおよびLは上記の通りに定義されそしてX’’は−NH−CH−または−O−CH−である]
の中間体は一般的にはNaHのような塩基の存在下における例えばTHFまたはDMFの如き適当な溶媒中での例えば反応の完了を確実にするための期間にわたる普通の温度の如き適当な反応条件下での、R−ベンゼンメタンアミンまたはR−ベンゼンメタノール[式中、Rは水素またはハロである]に対する式(III)の中間体のカップリングにより製造される。
【0092】
式(II−f)
【0093】
【化13】

【0094】
[式中、R1aおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体は、H雰囲気下での例えばEtOHまたはMeOHの如き適当な溶媒中での室温におけるPd/C触媒を用いる式(II−g)
【0095】
【化14】

【0096】
[式中、R1aおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体の還元により製造できる。
【0097】
式(II−h)
【0098】
【化15】

【0099】
[式中、R1aおよびLは上記の通りに定義される]
の中間体は、例えばDCMまたは酢酸エチル(EtOAc)の如き適当な溶媒中での低温における、典型的には0℃における、例えばMnOまたは1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−3H−1,2−ベンズヨードキソール−3−オン(デスマーチン試薬)の如き酸化剤を用いる式(II−g)の中間体の酸化により製造できる。
【0100】
式(II−g)の中間体は、式(IV)
【0101】
【化16】

【0102】
[式中、R1aおよびLは上記の通りに定義される]
の化合物を例えばブチルリチウムおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物の如き適当な塩基の存在下で例えばテトラヒドロフラン(THF)の如き適当な不活性溶媒中で典型的には−78℃〜0℃の範囲にわたる低温においてベンズアルデヒドと反応させることにより製造できる。
【0103】
式(III)の中間体は式(IV)の中間体を例えばブチルリチウムおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物の如き適当な塩基の存在下で例えばTHFの如き適当な不活性溶媒中で典型的には−78℃〜0℃の範囲にわたる低温においてヨウ素と反応させることにより製造できる。
【0104】
式(IV’)
【0105】
【化17】

【0106】
の中間体は、6−クロロ−3−トリフルオロメチルピリダジン(Goodman,A.J.;Stanforth,S.P;Tarbit B.Tetrahedron 1999,55,15067−15070に記載された工程に従い製造される)を例えばジイソ
プロピルエチルアミン(DIPEA)の如き適当な塩基の存在下で例えばCHCNの如き適当な溶媒中で普通の温度において、反応の完了を確実にするための期間にわたる普通の加熱またはマイクロ波照射のいずれかにより、1−ピペラジンカルボン酸tert−ブチルと反応させることにより製造できる。
【実施例】
【0107】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0108】
実験部分
以下で、用語「DCM」はジクロロメタンを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「LCMS」は液体クロマトグラフィー/質量分光法を意味し、「q.s.」は十分量を意味し、「HPLC」は高性能液体クロマトグラフィーを意味し、「r.t.」は室温を意味し、「Pd(OAc)」は酢酸パラジウムを意味し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し、「min.」は分間を意味し、「h.」は時間を意味し、「(S)−BINAP」は(1S)−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「EtN」はトリエチルアミンを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「r.m.」は反応混合物を意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「Pd(PPh」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを意味し、そして「NaBH(OAc)」はトリアセトキシホウ水素化ナトリウムを意味する。
【0109】
マイクロ波補助反応は単一方式反応器であるEmrysTM Optimizerマイクロ波反応器(Personal Chemistry A.B.、現在はBiotage)の中で行われた。
【0110】
H NMRスペクトルは標準パルス配列のそれぞれ400MHzおよび500MHzで操作されるBruker DPX−400またはBruker AV−500分光計のいずれかで溶媒としてCDClおよびDMSO−dを使用して記録された。化学シフト(δ)は内部標準として使用されたテトラメチルシラン(TMS)からの100万部当たりの部数(ppm)ダウンフィールドで報告される。
【0111】
A.中間体の製造
[実施例A1]
a)中間体1の製造
【0112】
【化18】

【0113】
6−クロロ−3−トリフルオロメチルピリダジン(0.666g、5.09ミリモル)(Goodman,A.J.;Stanforth,S.P;Tarbit B.Tetrahedron 1999,55,15067−15070に記載された工程に従うことにより製造された)、1−ピペラジンカルボン酸tert−ブチル(1.138g、6.11ミリモル)およびDIPEA(1.95ml、1.12ミリモル)のCHCN(10ml)中混合物を180℃において30分間にわたりマイクロ波照射下で撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させそして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン
/EtOAc)により精製して中間体1(1.67g、99%)を淡黄色固体として生成した。C1419の必要値332;実測値333(MH)。
b)中間体2の製造
【0114】
【化19】

【0115】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(3.808ml、22.56ミリモル)をブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(6.31ml、15.79ミリモル)のTHF(125ml)中混合物に0℃において加えた。反応混合物を室温において1時間にわたり撹拌した。混合物を−78℃に冷却しそして次に中間体1(2.5g、7.52ミリモル)のTHF(20ml)中溶液を加えた。ヨウ素(2.29g、9.024ミリモル)のTHF(10ml)中溶液を加える前に混合物を1時間にわたり−78℃において撹拌した。混合物を−78℃において1時間にわたり撹拌しそして次に酢酸のTHF中10%溶液で希釈した。引き続き、混合物を放置して室温に到達させそして溶媒を真空中で蒸発させた。残渣をDCMで希釈しそして水で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を真空中で蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから沈殿させて中間体2(2.81g、82%)を淡黄色固体として生成した。C1418INの必要値458;実測値459(MH)。
【0116】
【化20】

【0117】
中間体5は中間体2と同様な処方に従い製造されたが、ベンズアルデヒドがヨウ素の代わりに使用された。収率:84%。
c−1)中間体3の製造
【0118】
【化21】

【0119】
中間体2(0.490g、1.069ミリモル)、4−フルオロフェノール(0.215g、1.92ミリモル)、N,N−ジメチルグリシン(0.107ミリモル)、CuI(0.0061g、0.032ミリモル)およびCsCO(0.697g、2.14ミリモル)のジオキサン(5ml)中混合物にNを流しそして100℃に16時間にわたり加熱した。引き続き、混合物を冷却しそしてDCM、HOおよび濃NHOH溶液を加えた。混合物を抽出しそして分離した有機層を綿の上で濾過した。溶媒を蒸発させそ
して残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/EtOAc 0−1−2−5%)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて0.435g(92%)の中間体3を白色固体として生成した。
c−2)中間体4の製造
【0120】
【化22】

【0121】
中間体2(0.15g、0.327ミリモル)、4−フルオロベンゼンアミン(0.034ml、0.3ミリモル)、(S)−BINAP(0.0061g、0.009ミリモル)、Pd(OAc)(0.002g、0.009ミリモル、CsCO(0.533g、1.63ミリモル)およびEtN(0.002ml、0.02ミリモル)のトルエン(2ml)中混合物を撹拌しそして100℃に24時間にわたり加熱した。引き続き、混合物を冷却し、珪藻土(CELITETM)を通して濾過しそして有機層を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/EtOAc 100/0−97/3−95/5)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて0.117g(81%)の中間体4を黄色固体として生成した。
c−3)中間体7の製造
【0122】
【化23】

【0123】
中間体2(0.200g、0.0004モル)のDMSO(1.5ml、乾燥)中溶液にNを数分間にわたり流した。次にベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩(0.143g、0.0009モル)、L−プロリン(0.020g、0.0002モル)、CuI(0.08g)およびKPO(0.093g、0.0004モル)の混合物を溶液に加えそして反応混合物を85℃に18時間にわたり加熱した。引き続き、混合物をDCMで希釈しそして生じた混合物をアンモニアの水溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして濾液を真空中で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液)最初は100/0、次に90/10)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.148gの薄黄色固体としての中間体7(72%)。
c−4)中間体8の製造
【0124】
【化24】

【0125】
中間体2(0.2g、0.00043モル)、[2−(4−フルオロフェニル)ビニル]ボロン酸(0.092g、0.00055モル)、Pd(PPh(0.015g、0.0000086モル)、KCO(0.118g、0.000129モル)、ジオキサン(2ml)およびDMF(0.5ml)の混合物に160℃において1時間にわたりマイクロ波線を照射した。次に溶媒を蒸発させそして残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液)97/3)により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させた。収量:0.179gの黄色油としての中間体8(92%、E/Zの混合物)。
【0126】
【化25】

【0127】
中間体10は中間体8の合成に関して使用されたものと同様な処方に従い製造されたが、出発物質として(E)−(2−フェニルビニル)ボロン酸が[2−(4−フルオロフェニル)ビニル]ボロン酸の代わりに使用された。
c−5)中間体9の製造
【0128】
【化26】

【0129】
中間体2(0.2g、0.43ミリモル)、1−エチニル−4−フルオロベンゼン(0.067g、0.55ミリモル)、Pd(PPh(0.010g、0.0086ミリモル)、CuI(0.002g、0.129ミリモル)およびEtN(2ml)の混合物を55℃に3時間にわたり撹拌した。次に、混合物を冷却し、珪藻土(CELITETM)を通して濾過しそして濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液)97/3)により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させた。収量:0.132gの中間体9(68%)。
c−6)中間体12の製造
【0130】
【化27】

【0131】
中間体2(0.400g、0.873ミリモル)および4−フルオロベンゼンメタンアミン(1.2ml、10.5ミリモル)の混合物を1時間にわたり150℃において撹拌した。引き続き、水、飽和NHCl溶液およびDCMを加えた。有機層を分離しそして綿の上で濾過した。濾液を蒸発させそして残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/EtOAc 100/0−95/5)により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させた。収量:0.340gの中間体12(86%)。
c−7)中間体13の製造
【0132】
【化28】

【0133】
4−フルオロベンゼンメタノール(0.19ml、1.74ミリモル)をNaH(0.062g、1.55ミリモル、油中60%)およびDMF(4ml、無水)の混合物に加えた。この混合物を10分間にわたり撹拌しそして次にDMF(2ml、無水)中の中間体2(0.400g、0.873ミリモル)を加えた。反応混合物を1時間にわたり室温において撹拌した。引き続き、飽和NHCl溶液、水およびDCMを加えた。有機層を分離しそして綿の上で濾過した。濾液を蒸発させそして残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/EtOAc 100/0−98/2−96/4)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.295gの中間体13(74%)。
【0134】
[実施例A2]
中間体6の製造
【0135】
【化29】

【0136】
中間体5(0.06g、0.0001モル)をEtOH(5ml)の中に溶解させそしてPd/C(0.005g)をこの溶液に加えた。反応混合物を室温および大気圧においてH雰囲気下で2日間にわたり撹拌した。次に混合物を珪藻土(CELITETM)のパッドを通して濾過しそして濾液を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.050gの中間体6(86%)。
【0137】
[実施例A3]
a)中間体11の製造
【0138】
【化30】

【0139】
中間体5(0.08g、0.00018モル)をDCM(2ml)の中に溶解させそして溶液を0℃まで冷却した。1,1,1−トリ(アセチルオキシ)−3H−1,2−ベンズヨードキソール−3−オン(デスマーチン試薬)(0.12g、0.00027モル)をこの溶液に加えそして反応混合物を0℃において1時間にわたり撹拌した。引き続き、水を加えそして層を分離した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。収量:中間体11(粗製、そのまま次の反応段階で使用された)。
b)中間体11の製造(別の反応工程)
MnO(5g、0.058モル)を中間体5(3g、0.007モル)のEtOAc(60ml)中混合物に加えた。反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。次に混合物を濾過しそして溶媒を蒸発させて2.5gの中間体11(83%、粗製、そのまま次の反応段階で使用された)を生成した。
【0140】
B.化合物の製造
[実施例B1]
化合物1の製造
【0141】
【化31】

【0142】
中間体3(0.435g、0.983ミリモル)のTFA(2ml)およびDCM(18ml)中混合物を3時間にわたり室温において撹拌した。次に、DCM、飽和NaCO溶液およびHOを加えそして混合物を抽出した。分離した有機層を綿の上で濾過し、溶媒を蒸発させそして残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/(MeOH中NH7N溶液)100/0−98/2)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて0.316g(94%)の化合物1を生成した。
H NMR(400MHz、CDCl)δppm:2.86−3.06(m、4H)3.57−3.64(m、4H)5.96(s、1H)7.08−7.25(m、4H)

【0143】
[実施例B2]
a−1)化合物2の製造
【0144】
【化32】

【0145】
中間体4(0.117g、0.33ミリモル)およびスルホン化されたポリスチレンタイプの酸カチオン−交換樹脂(AMBERLITETM酸)(十分量)のMeOH(8ml)中混合物を24時間にわたり振った。樹脂を濾別しそして有機層を廃棄した。引き続き、樹脂をMeOHで洗浄しそして30分間にわたりMeOH中NH7N溶液の中で撹拌した。樹脂を濾別しそして得られた有機層を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 70/30)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて黄色固体を生成した。この固体をHPLCにより再精製して0.048g(53%)の白色固体を生成した。無水固体をエチルエーテルから再結晶化して0.015gの化合物2(遊離塩基)を結晶性白色固体として生成した。
H NMR(400MHz、DMSO−d)□ppm:2.81−2.93(m、4H)3.47−3.53(m、4H)6.15(s、1H)7.26(t、J=8.81Hz、2H)7.30−7.39(m、2H)8.13(s、1H)。
a−2)化合物16の製造
【0146】
【化33】

【0147】
中間体4(0.425g、0.963ミリモル)、DCM(18ml)およびTFA(2ml)の混合物を3時間にわたり室温において撹拌した。次にDCM、飽和NaCO溶液およびHOを加えそして混合物を抽出した。分離した有機層を綿の上で濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液)100/0から97/3まで)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAc/DIPEの中に溶解させそして2−プロパノール中HCl溶液(5−6N)を加えた。引き続き、溶媒の大部分を蒸発させた。過剰のEtOAcを濃縮物に加えそして超音波浴中での超音波処理を混合物に適用した。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.388gの化合物16(97%、.2.5HCl.0.5HO)。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:3.14(広幅 s、4H)3.71−3.79(m、4H)6.28(s、1H)7.28(t、J=8.79Hz、2H)7.32−7.42(m、2H)8.47(s、1H)9.43(広幅 s、2H)。
b)化合物7および8の製造
【0148】
【化34】

【0149】
化合物7(Z−異性体)および化合物8(E−異性体)は化合物2の合成に関して使用されたものと同様な処方に従って製造されたが、出発物質として中間体8(E/Zの混合物)が中間体4の代わりに使用された。HPLC精製後に、2種の純粋な異性体が得られた。
化合物7:
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:2.59−2.82(m、4H)3.45−3.57(m、4H)6.59(広幅 d、J=12.4Hz、1H)6.91(s、1H)6.96(d、J=12.4Hz、1H)7.04−7.25(m、4H)。
化合物8:
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:2.75−2.88(m、4H)3.65−3.77(m、4H)7.05(dd、J=16.17、1.87Hz、1H)7.24−7.34(m、2H)7.53(s、0H)7.64−7.76(m、3H)。
c)化合物9の製造
【0150】
【化35】

【0151】
化合物9は化合物2の合成に関して使用されたものと同様な処方に従って製造されたが、出発物質として中間体9が中間体4の代わりに使用された。収量:黄色固体としての化合物9(80%)。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:2.72−2.86(m、4H)3.63−3.75(m、4H)7.31−7.41(m、2H)7.60(s、1H)7.62−7.69(m、2H)。
【0152】
[実施例B3]
a)化合物3の製造
【0153】
【化36】

【0154】
中間体6(0.05g、0.0001モル)をジオキサン中4M HCl(1ml)の中に溶解させた。溶液を1時間にわたり室温において撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣をDCMの中に溶解させた。この溶液を飽和NHCl溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)そして濾過した。化合物を順相カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液))により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させて0.035gの化合物3(90%)を生成した。
H NMR(500MHz、CDCl)δppm:2.82−2.89(m、4H)3.42−3.61(m、4H)3.98(s、2H)6.32(s、1H)7.09(d、J=7.51Hz、2H)7.20−7.26(m、1H)7.29(t、J=7.37Hz、2H)。
b)化合物5の製造
【0155】
【化37】

【0156】
中間体5(0.054g、0.109ミリモル)および4M HCl溶液のジオキサン中溶液を室温において16時間にわたり撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣をエチルエーテルで処理して淡黄色沈殿を生成し、それを濾別した。収量:0.0426gの化合物5(92%、HCl−塩)。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:3.18−3.32(m、4H)3.82−4.20(m、4H)5.87(s、1H)7.14−7.43(m、5H)7.65(s、1H)9.07(広幅 s、2H)。
【0157】
[実施例B4]
a)化合物4および化合物12の製造
【0158】
【化38】

【0159】
中間体11(粗製、実施例A3.aで得られた残渣)をジオキサン中4M HCl溶液(2ml)の中に溶解させそして混合物を室温において1時間にわたり撹拌した。溶媒を
蒸発させそして残渣を飽和NaHCO溶液で処理し、DCMで抽出しそしてカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/EtOAc 7/3)により精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.030gの化合物4(50%)。
【0160】
中間体11(0.5g、0.001145モル)をMeOH中HCl溶液(15ml)の中に溶解させることにより化合物4のHCl−塩である化合物12が得られた。反応混合物を4時間にわたり室温において撹拌した。次に溶媒を蒸発させて0.350gの化合物12(81.9%、HCl−塩形態)を生成した。
b)化合物13の製造
【0161】
【化39】

【0162】
化合物12(0.080g、0.215ミリモル)、ホルムアルデヒド(0.050g、0.47ミリモル)、NaBH(OAc)(0.100g、0.47ミリモル)およびEtN(0.1g、1ミリモル)のDCM(5ml)中混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。引き続き、混合物を飽和NaHCO溶液で洗浄した。分離した有機層を乾燥し(NaSO)、濾過しそして溶媒を真空中で蒸発させた。残渣を分取TLC(溶離剤:DCM/MeOH 20/1)により精製した。収量:化合物13(42%)。
【0163】
[実施例B5]
a)化合物6の製造
【0164】
【化40】

【0165】
TFA(1ml)を中間体7(0.145g、0.0003モル)のDCM(4ml)中溶液に加えそして反応混合物を2時間にわたり室温において撹拌した。引き続き、溶媒を蒸発させそして残渣をDCMの中に溶解させた。この有機溶液を飽和NaCO溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして濾液を蒸発させた。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH 7N溶液)最初は100/0、次に95/5)により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させて、0.103gの薄黄色固体を生成した。この固体をHPLCによりさらに精製して0.0513gの薄黄色固体としての化合物6(45%)を生成した。H NMR(400MHz、CDCl)δppm:2.96−3.08(m、4H)3.80−3.89(m、4H)7.45−7.54(m、2H)7.58−7.64(m、1H)7.66(s、1H)7.79(d、J=7.88Hz、2H)。
b)化合物14の製造
【0166】
【化41】

【0167】
中間体12(0.340g、0.7465ミリモル)、TFA(1ml)およびDCM(9ml)の混合物を3時間にわたり室温において撹拌した。次に飽和NaCO溶液、水およびDCMを加えた。有機層を分離しそして綿の上で濾過した。溶媒を蒸発させそして残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/(MeOH中NH7N溶液)最初は100/0、次に99/1、次に98/2)により精製した。所望する画分を集めそして次に溶媒を蒸発させた。粘着性生成物を2−プロパノール中5−6N HCl(0.5ml)で処理した。溶媒を蒸発させそしてEtOAcを残渣に加えた。超音波浴中での超音波処理を混合物に適用しそして引き続き化合物を濾別しそして乾燥した。収量:0.275gの化合物14(86%、.2.5HCl.0.5HO)。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:3.17(広幅 s、4H)3.80−3.92(m、4H)4.59(d、J=6.01Hz、2H)6.36(s、1H)7.18(t、J=8.79Hz、2H)7.44(dd、J=8.67、5.66Hz、2H)7.85(広幅 s、1H)9.51(広幅 s、2H)。
c)化合物15の製造
【0168】
【化42】

【0169】
化合物15は化合物6の合成に関して使用されたものと同様な処方に従い製造されたが、出発物質として中間体13が中間体7の代わりに使用された。収量:化合物15(88%)。
H NMR(400MHz、CDCl)δppm:2.93−3.04(m、4H)3.62−3.76(m、4H)5.15(s、2H)6.23(s、1H)7.10(t、J=8.67Hz、2H)7.38(dd、J=8.55、5.32Hz、2H)。
【0170】
[実施例B6]
a)化合物10の製造
【0171】
【化43】

【0172】
中間体10(5.5g、0.0127モル)およびMeOH中HCl溶液(110ml)の混合物を4時間にわたり室温において撹拌した。引き続き、溶媒を蒸発させて4.5gの化合物10(95%、HCl−塩)を生成した。
b)化合物11の製造
【0173】
【化44】

【0174】
化合物10(0.080g、0.22ミリモル)、ホルムアルデヒド(0.25ミリモル)、NaBH(OAc)(十分量)およびEtN(0.101g、1ミリモル)のDCM(5ml)中混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。次に溶媒を蒸発させそして残渣を分取TLC(溶離剤:DCM/MeOH 20/1)により精製して化合物11を生成した。
【0175】
表1に記述されている以下の式(I)の化合物は上記実施例(実施例番号)と同様にして製造された。一部の化合物は塩形態として得られた。正確な化学量論が測定された場合には、結果が「塩形態」の欄に示され、例えば化合物番号14および16を参照のこと。正確な化学量論が測定されなかった場合には、化合物の塩形態のタイプだけが示され、例えば化合物番号5を参照のこと。
【0176】
【表1−1】

【0177】
【表1−2】

【0178】
C.分析部分
LCMS
一般工程A
HPLC測定は、ポンプ、光ダイオード列検知器(PDA)(220nmで使用された波長)、カラムオーブンおよび以下の各方法で指定されたカラムを含んでなるShimadzu 2010 LCMS−システムを用いて行われた。カラムからの流をShimadzu 2010 MSD検知器に分岐した。MS検知器はAPI−ES(大気圧電子噴霧イオン化)を含んで構成されていた。質量スペクトルは100〜1000に走査させることにより得られた。界面電圧は正イオン化方式に関しては4500Vであった。噴霧気体流は1.5l/分間であった。CDL(加熱された毛管を用いる曲げられた脱溶媒和管)温度は250℃でありそしてCDL電圧は30Vであった。熱遮断温度は200℃であった。検知器電圧は1500Vであった。
【0179】
一般工程B
LC測定は、二元ポンプ、試料オーガナイザー、カラム加熱器(55℃に設定された)、ダイオード−列検知器(DAD)および以下の各方法で指定されたカラムを含んでなるAcquity Ultra Performance Liquid Chromatography(UPLC)(Waters)システムを用いて行われた。カラムからの流をMS分光計に分岐した。MS分光計は電子噴霧イオン化源を含んで構成されていた。質量スペクトルは0.18秒間にわたり0.02秒間の滞在時間を用いて100〜1000に走査させることにより得られた。毛管針電圧は3.5kVでありそして源温度は140℃に保たれた。窒素が噴霧気体として使用された。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行われた。
【0180】
LCMS方法1
一般工程Aに加えて、逆相HPLCをYMC−Pack ODS−AQ, 50x2.0mm 5μカラム上で1.0ml/分間の流速で行った。2つの移動相(移動相A:0.1%のTFAを含む水;移動相B:0.05%のTFAを含むCHCN)を使用して99%Aおよび1%Bから90%Aおよび10%Bの勾配を0.01分間で行った。引き続き、勾配を20%Aおよび80%Bに2.2分間適用しそしてこれを0.28分間にわたり維持した。1μlの典型的注入量が使用された。オーブン温度は50℃であった。(MS極性:正)。
【0181】
LCMS方法2
一般工程Bに加えて、逆相HPLCを橋かけされたエチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm、Waters Acquity)上で0.8ml/分間の流速で行った。2つの移動相(移動相A:HO/MeOH 95/5中の0.1%蟻酸;移動相B:MeOH)を使用して95%Aおよび5%Bから5%Aおよび95%Bの勾配条件を1.3分間で行い、そして0.2分間にわたり維持した。0.5μlの注入量が使用された。コーン電圧は正イオン化方式に関しては10Vでありそして負イオン化方式に関しては20Vであった。
【0182】
融点
多くの化合物に関して、融点は開放毛管の中でMettler FP62装置上で測定された。融点は3または10℃/分間の温度勾配で測定された。最高温度は300℃であった。融点はデジタル表示から読み取られた。
【0183】
【表2】

【0184】
D.薬理学
ヒト5−HT受容体に関するインビトロ結合親和力
ヒトセロトニン5−HT受容体−トランスフェクト化HEK細胞の凍結膜を解凍し、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて短時間で均質化しそして10mMのMgCl、1mMのEDTAおよび10μMのパルギリンを含有する50mMのトリス−HCl検定緩衝液(HClでpH7.4に調節された)の中で特異的および非−特異的結合に関して最適化された適当な蛋白質濃度に希釈した。放射配位子[H]リセルグ酸ジエチルアミド(Perkin Elmer、比放射能〜80Ci/ミリモル)を検定緩衝液の中で20nMの濃度に希釈した。放射配位子(20μl)を、40μlの10%DMSO対照、メチオテピン(非特異的結合の測定に関しては10−5M最終濃度)、または当該化合物のいずれかと一緒に、製造された70μlの膜溶液および70μlのWGA(小麦胚芽アグルチニン)コーティングPVT(ポリビニルトルイデン)ビーズ(0.25mg/ウエル最終濃度)と共に次にインキュベートした。1個のウエル当たりの放射配位子の最終濃度は2nMであった。24時間にわたり室温において振った後に、板をTopcountTMシンチレーション計の中で計数した。特異的結合百分率および競合結合曲線をS−プラスソフトウエア(Insighful)を用いて計算した。
【0185】
【表3】

【0186】
ヒトH受容体に関するインビトロ結合
SK−N−MC細胞内で安定的に発現されたクローン化ヒトH受容体に対する化合物の結合は以前に記述された通りにして行われた(Lovenberg TW, Pyati J, Chang H, Wilson SJ, Erlander MG. Cloning of rat histamine H receptor reveals distinct species pharmacological profiles. J Pharmacol Expt Ther 2000;293:771−778)。簡単に述べると、ヒトH受容体を発現するSK−N−MC細胞からの細胞ペレットを50mMのトリス−HCl/5mMのEDTAの中で均質化しそして30000gにおいて30分間にわたり再遠心した。ペレットを50mMのトリス/5mMのEDTA(pH7.4)の中で再均質化した。膜を1時間にわたり25℃において50mMのトリス−HCl/5mMのEDTA中の冷たいヨードプロキシファンで希釈された125I−ヨードプロキシファンと共にインキュベートした。反応における最終的な合計ヨードプロキシファン濃度は1nMであった。冷たいヨードプロキシファンは0.975nMで含まれそして125I−ヨードプロキシファンは0.025nMの最終的濃度で含まれる。GF/B板(0.3%のポリエチレンイミンで予備処理された)を通す濾過により細胞回収器上で反応を終結させた。板を緩衝液で5回洗浄した。非特異的結合は100μMのヒスタミンの存在下で規定された。抑制濃度(最大効果の50%抑制に寄与する、IC50)値を単一部位曲線−適合プログラム(GraphPad、サンディエゴ、カリフォルニア州)により測定しそして1nMの125I−ヨードプロキシファン解離定数(K)に基づきK値に転換した。
【0187】
【表4】

【0188】
E.組成物実施例
これらの実施例を通して使用される「活性成分」(A.I.)は式(I)の化合物、その製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩、およびその立体異性体形態に関する。
【0189】
[実施例E.1]
経口滴下剤
500グラムの活性成分を0.5リットルの2−ヒドロキシプロパン酸および1.5リットルのポリエチレングリコールの中に60〜80℃において溶解させた。30〜40℃に冷却した後に、35リットルのポリエチレングリコールを加えそして混合物を良く撹拌した。次に1750グラムのナトリウムサッカリンの2.5リットルの精製水中溶液を加えそして撹拌しながら2.5リットルのココア香料および50リットルの量にするのに十分量のポリエチレンを加えて、10mg/mlの活性成分を含んでなる経口滴下液剤を与えた。生じた液剤を適当な容器中に充填した。
【0190】
[実施例E.2]
経口液剤
9グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび1グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを4リットルの沸騰精製水の中に溶解させた。3リットルのこの溶液の中に最初に10グラムの2,3−ジヒドロキシブタンジオン酸およびその後に20グラムの活性成分を加えた。後者の溶液を前者の溶液の残存部分と一緒にしそして12リットルの1,2,3−プロパントリオールおよび3リットルのソルビトール70%溶液をそれに加えた。40グラムのナトリウムサッカリンを0.5リットルの水の中に溶解させそして2mlのラズベリーおよび2mlのグースベリーエッセンスを加えた。後者の溶液を前者と一緒にし、20リットルの量にするのに十分量の水を加えて、小匙1杯(5ml)当たり5mgの活性成分を含んでなる経口液剤を与えた。生じた液剤を適当な容器中に充填した。
【0191】
[実施例E.3]
フィルム−コーティング錠剤
錠剤芯の製造
100グラムの活性成分、570グラムのラクトースおよび200グラムの澱粉の混合物を良く混合しそしてその後に5グラムのドデシル硫酸ナトリウムおよび10グラムのポ
リビニルピロリドンの約200mlの水中溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥しそして再びふるいにかけた。次に100グラムの微結晶性セルロースおよび15グラムの水素化された植物油を加えた。全体を良く混合しそして錠剤に圧縮して、それぞれが10mgの活性成分を含有する10.000個の錠剤を与えた。
【0192】
コーティング
10グラムのメチルセルロースの75mlの変性エタノール中溶液に5グラムのエチルセルロースの150mlのジクロロメタン中溶液を加えた。次に75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加えた。10グラムのポリエチレングリコールを溶融しそして75mlのジクロロメタンの中に溶解させた。後者の溶液を前者に加えそして次に2.5グラムのオクタデカン酸マグネシウム、5グラムのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃色懸濁液を加えそして全体を均質化した。コーティング装置中で錠剤芯をこのようにして得られた混合物でコーティングした。
【0193】
[実施例E.4]
注射液剤
1.8グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび0.2グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを約0.5リットルの注射用沸騰水の中に溶解させた。約50℃に冷却した後に撹拌しながら4グラムの乳酸、0.05グラムのプロピレングリコールおよび4グラムの活性成分を加えた。溶液を室温に冷却しそして1リットルにするのに十分量の注射用水を補充して、4mg/mlの活性成分を含んでなる液剤を与えた。液剤を濾過により殺菌しそして殺菌容器中に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
はクロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
はフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、
は水素、C1−4−アルキルまたはピリジニルメチルであり、
Xは−O−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−SO−、−CO−、−NH−CH−、−O−CH−、1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである]
の化合物またはその立体異性体形態、或いはその製薬学的に許容可能な付加塩または溶媒和物。
【請求項2】
がトリフルオロメチルであり、
がフェニルまたはフルオロで置換されたフェニルであり、
が水素、メチルまたはピリジニルメチルであり、
Xが−O−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−SO−、−CO−、−NH−CH−、−O−CH−、1,2−エテンジイルまたはエチンジイルである、
請求項1に記載の化合物、或いはその製薬学的に許容可能な付加塩または溶媒和物。
【請求項3】
がフェニルまたは1個のフルオロで置換されたフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
化合物がN−(4−フルオロフェニル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンアミンである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物がN−(4−フルオロフェニル)−6−(1−ピペラジニル)−3−(トリフルオロメチル)−4−ピリダジンアミン.2.5HCl.0.5HOである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
薬品としての使用のための請求項1−5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
認識が減損される症状であるアルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ハンチントン病、レービー体認知症、HIV疾病による認知症、クロイツフェルト−ヤーコブ病による認知症、健忘障害、軽度認識障害、および年令関連性認識低下の処置または予防における薬品としての使用のための;摂食障害および疾病の処置および/または予防のための;食欲の抑制のための;体重の維持、増加または減少、食欲不振、大食症、肥満症、悪液質、II型糖尿病(非インスリン依存性真性糖尿病)、肥満症により引き起こされるII型糖尿病のための;発作、片頭痛、頭部外傷、癲癇、過敏性結腸症候群、過敏性腸症候群の処置および/または予防のための;中枢神経系の疾患、統合失調形態疾患、統合失調情動疾患、妄想疾患、短期精神病疾患、共有精神病疾患、全身的医学症状による精神病疾患、物質誘発性精神病疾患、その他のものに特定されない精神病疾患、認知症に関連する精神病、重度鬱病疾患、気分変調疾患、月経前不快疾患、その他のものに特定されない鬱病疾患、双極性I疾患、双極性II疾患、循環気質疾患、その他のものに特定されない双極性疾患、全身的医学症状による気分障害、物質誘発性気分障害、その他のものに特定されない気分障害、全身化された不安疾患、強迫疾患、パニック疾患、急性ストレス疾患、外傷後ストレス疾患、精神薄弱、浸透性発達障害、注意欠如障害、注意欠如/活動過多障害、破壊行動障害、妄想型の人格障害、分裂病質型の人格障害、分裂特徴型の人格障害、チック障害、ツレット症候群、抜毛癖、痙攣疾患、発作、物質依存症、物質乱用、物質禁断の処置のための;薬物嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための;ニコチン嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための;アルコール嗜癖および/または禁断の処置および/または予防のための請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
製薬学的に許容可能な担体および、活性成分としての、治療的に有効な量の請求項1−5のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。

【公表番号】特表2011−526269(P2011−526269A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515236(P2011−515236)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004745
【国際公開番号】WO2010/000456
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】