説明

6−ピリミジニル−ピリミド−4−オン誘導体

神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)等のタウプロテインキナーゼ1の異常亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療のために用いられる、式(I)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)などの、タウプロテインキナーゼ1(TPK1、GSK−3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βとも呼ばれる)の異常亢進に主に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は進行性の老年期痴呆であり、神経細胞の変性及び神経細胞数の減少による脳の萎縮が顕著に認められる。病理学的には、脳内に多数の老人斑と神経原線維変化が認められる。患者数は、老齢人口の増加と共に増大し、該疾患は深刻な社会問題を起こしている。この疾患の原因については諸説あるものの未だ不明であり、早期の解明が望まれている。
【0003】
アルツハイマー病に特徴的な2つの病理変化の出現程度は、知的機能障害の程度とよく相関することが知られている。そこで、この2つの病理変化の構成成分に関する分子レベルの研究を通して、該疾患の病因を明らかにしようとする研究が1980年代前半より行われてきた。老人斑は細胞外に蓄積するもので、その主構成成分がアミロイドβ蛋白(本明細書において以下「Aβ」と略す)であることが解明されている(非特許文献1〜3)。また、もう1つの病理変化である神経原線維変化はペアード−ヘリカル−フィラメント(Paired Helical Filament:本明細書において以下「PHF」と略す)と呼ばれる二重螺旋状の線維状物質が細胞内に蓄積してくるものであり、その主構成成分は脳に特異的な微小管付随蛋白質の一種であるタウ蛋白質であることが明らかにされている(非特許文献4〜5)。
【0004】
さらに遺伝学的研究より、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子としてプレセニリン1及び2が見つかり(非特許文献6〜8) 、プレセニリン1及び2の変異体が存在するとAβの分泌が促進することが明らかとなった(非特許文献9〜10) 。これらの結果からアルツハイマー病は、何らかの原因でAβが異常に蓄積、凝集し、これがPHFの形成と連動して神経細胞の死を招くものと考えられている。また、虚血性脳血管障害に伴う神経細胞死の発生過程において、細胞外へのグルタミン酸流出、及びそれに応答するグルタミン酸受容体の活性化が重要な因子になると考えられる。
【0005】
グルタミン酸受容体の一種であるAMPA 受容体を刺激するカイニン酸処置によってAβの前駆体であるアミロイド前駆体蛋白(amyloid precursor protein:本明細書において以下「APP」と略す)のmRNAが増加すること(非特許文献11) 、APPの代謝が亢進すること(非特許文献12) が報告されており、Aβの蓄積が虚血性脳血管障害による細胞死に関与していることが強く示唆される。Aβが異常に蓄積、凝集する他の疾患としては、例えば、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、及びレビー小体病等を挙げることができる。またPHF蓄積による神経原線維変化を示す疾患としては、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症及びレビー小体病等を挙げることができる。
【0006】
タウ蛋白質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量48-65KDaに数本のバンドを形成する一群の近縁蛋白質であり、微小管の形成を促進する。アルツハイマー病脳のPHF中に組み込まれたタウ蛋白質は通常のタウ蛋白質に比べて異常にリン酸化されていることが証明されてきている(非特許文献13〜14)。この異常なリン酸化を触媒する酵素が単離され、タウプロテインキナーゼ1(本明細書において以下、「TPK1」と略す)と命名され、その理化学的性質が解明されている(非特許文献15) 。更に、TPK1の部分アミノ酸配列に基づいてラット大脳皮質cDNAライブラリーからラットTPK1のcDNAがクローニングされ、そのヌクレオチド配列が決定されると共にアミノ酸配列が推定された。その結果、このラットTPK1の1次構造がラットGSK-3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)として知られる酵素の1次構造と一致することが確認されている(非特許文献16)。
【0007】
老人斑の主構成成分であるAβには神経毒性があることが報告されている(非特許文献17)。しかしながら、なぜAβが細胞を死に至らしめるのかについては諸説あり、統一された見解は得られていない。高島らはラット胎児の海馬初代培養系にAβを処理すると細胞死が起こることを確認した後、Aβ処理によりTPK1活性が増加すること、及びAβによる細胞死をTPK1のアンチセンスが阻止することを発見した(非特許文献18、特許文献1)。
【0008】
以上のことから、TPK1活性を阻害する化合物は、Aβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、アルツハイマー病における神経細胞死を阻止し、病気の進行を阻止あるいは遅らせることができる可能性がある。また、同様にAβの細胞毒性を抑えることにより、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチー、レビー小体病による脳出血等の治療剤となる可能性がある。更に、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、血管性痴呆、外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障などの神経変性疾患;インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、総合失調症、脱毛症、及び、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、ウイルス誘導性腫瘍などの癌の治療剤となる可能性がある。
【0009】
ヒトTPK1の阻害剤は、Plasmodium falciparumで見出されたこの酵素の相同分子種であるpfGSK3もまた阻害する可能性があるので、マラリアの治療に用いることができると考えられる(非特許文献19)。
近年、人類遺伝学及び動物研究の両方が、骨量増加の主要な調節剤であるWnt/LPR5経路の役割を指摘している。TPK1の阻害は標準的Wntシグナリングの活性化を結果として引き起こす。Wntシグナリングの欠損は骨量が低下する疾患に関与しているとされているので、TPK1阻害剤は、骨量が減少する疾患、骨関連の病変、骨粗鬆症の治療にも用いられるかもしれない。
【0010】
近年のデータによれば、TPK1阻害剤は尋常性天疱瘡の治療又は阻害にも用いられる可能性がある。
近年の研究はTPK1阻害剤治療によって好中球および巨核球の回復が改善されることを示している。従って、TPK1阻害剤は癌化学療法によって引き起こされる好中球減少の治療にも有益であろう。
【0011】
6−ピリミジニル−ピリミド−2−オン誘導体には既にTPK1の阻害剤として公知であるものがある(国際公開WO03/027080:特許文献2)が、驚くべきことに、式(I)の化合物はチトクロームP450 2D6 : CYP 2D6を阻害することなく、より良好なインビボ活性を示すことがわかった。このことは、化合物の開発可能性に大きく貢献する。
【0012】
また、薬剤として使用される化合物は他の薬と組み合わせて投与される場合を考慮して検討することが一般的に必要である。この必要性は近年の薬物治療の多様化や、社会の高齢化とともに増加している、薬剤−薬剤の相互作用を防止するため、例えば、投与される化合物は、チトクロームP450 2D6のようなチトクロームP450 酵素を阻害しないことが望まれる。阻害する場合は薬剤の組み合わせに関連する予測できない副作用につながりかねない。
【0013】
国際公開WO03/027080で公知の化合物から、インビトロ活性は同様であり、そのため、これらの全ての化合物は同様のプロファイルを有しているだろうと予測されていた。驚くべきことに、WO03/027080に概念的に含まれるが例示されていないこれらの化合物のうちの1つが、他の開示されている化合物と顕著に異なっていることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許EP616032
【特許文献2】国際公開WO03/027080
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Biochem. Biophys. Res. Commun., 120, 855(1984)
【非特許文献2】EMBO J, 4, 2757(1985)
【非特許文献3】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4245(1985)
【非特許文献4】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 4506(1988)
【非特許文献5】Neuron, 1, 827(1988)
【非特許文献6】Nature, 375, 754(1995)
【非特許文献7】Science, 269, 973(1995)
【非特許文献8】Nature. 376, 775(1995)
【非特許文献9】Neuron, 17, 1005(1996)
【非特許文献10】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 2025(1997)
【非特許文献11】Society for Neuroscience Abstracts, 17,1445(1991)
【非特許文献12】The Journal of Neuroscience, 10,2400(1990)
【非特許文献13】J. Biochem., 99, 1807(1986)
【非特許文献14】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 4913(1986)
【非特許文献15】J. Biol. Chem., 267, 10897 (1992)
【非特許文献16】FEBS Lett., 325, 167(1993)
【非特許文献17】Science, 250, 279(1990)
【非特許文献18】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 7789(1993)
【非特許文献19】Biochimica et Biophysica Acta 1697, 181- 196, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、チトクローム2D6を阻害することなくインビボ活性が改善している、アルツハイマー病などの疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物を提供することにある。より詳細には、本発明の課題は、CYP 2D6を阻害することなくインビボ活性が改善され、TPK1活性を阻害することによりAβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、また神経細胞死を阻止することにより、アルツハイマー病などの神経変性疾患に対して根本的な予防及び/又は治療を可能にする医薬の有効成分として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、下記式(I)で表される新規化合物が所望の作用を有しており、上記の疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であることが見出された。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、式(I)で表される化合物:
【0018】
【化1】

【0019】
{3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン}又はその医薬上許容される塩を提供するものである。
本発明は、医薬としての3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)− 6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【0020】
本発明は、タウプロテインキナーゼ1の阻害剤としての3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
本発明は、タウプロテインキナーゼ1の機能亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いられる医薬としての3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【0021】
本発明は、神経変性疾患の予防及び/又は治療のための、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【0022】
本発明は、アルツハイマー病、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、血管性痴呆、外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障の予防及び/又は治療のための、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【0023】
本発明は、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、総合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、骨粗鬆症、マラリア、癌化学療法によって引き起こされる好中球減少、及びウイルス誘導性腫瘍の予防及び/又は治療のための、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【0024】
以前の研究により、GSK-3活性は、長期増強、記憶の固定に関連する電気生理学的要素、を減少させることが示されており、この酵素の阻害剤は認知機能改善作用があるかもしれないことを示唆している。化合物の認知機能改善作用はアルツハイマー病、パーキンソン症候群、加齢に伴う記憶障害、軽度認識障害、脳損傷、総合失調症、及びその他のこのような障害が観察される状態に特徴的な、記憶障害の治療への適用を見出しうる。
【0025】
本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、加齢に伴う記憶障害、軽度認識障害、脳損傷、総合失調症、及びその他のこのような障害が観察される状態に特徴的な認識及び記憶の障害で特徴付けられる疾患の治療のための、式(I)、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン又はその医薬上許容される塩に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の化合物はTPK1阻害活性を有しており、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)や上記他の疾患等のTPK1の異常亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特に示さない限り、後述の定義は本発明を説明するために用いられる様々な用語の意味と範囲を表し、定義するために提示される。
【0028】
前記の式(I)で表される化合物の医薬上許容される塩としては、塩酸及び臭化水素酸等の無機酸との塩ならびに酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸及び安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。
本発明の範囲には、前記式(I)で表される化合物に加えて、その医薬上許容される塩、それらの溶媒和物及び水和物も包含される。
【0029】
本発明の化合物はTPK1に対するインビボでの阻害活性を有している。従って、アルツハイマー病などの神経変性疾患の患者においてTPK1活性を阻害することができ、Aβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、神経細胞死を阻止する。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の予防及び/又は治療を根本的に可能にする医薬の有効成分として有用である。また、本発明の化合物は、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳脳炎、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、ピック病、皮質底部変性、前頭側頭性痴呆、血管性痴呆、外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、総合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、ウイルス誘導性腫瘍、骨粗鬆症、マラリア、癌化学療法によって引き起こされる好中球減少、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、加齢に伴う記憶障害、軽度認識障害、脳損傷、総合失調症、及びその他のこのような障害が観察される状態に特徴的な、認識及び記憶の障害で特徴付けられる疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。
【0030】
本発明の化合物のCYP 2D6に対する阻害活性は低いので、組み合わせて用いられる薬剤の代謝に影響が少ない、従って、他の薬剤と組み合わせて用いた場合でも薬剤−薬剤相互作用からの副作用は、ほとんど生じない。
また、本発明の化合物は顕著な毒性を示さないので、薬剤に用いられるのに適している。
【0031】
本発明の医薬の有効成分としては、前記式(I)、医薬上許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物で表される物質を用いることができる。本発明の医薬としては、該物質自体を投与してもよいが、有効成分として前記の物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態の医薬を投与することが望ましい。本発明の医薬の有効成分としては、上記の物質の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
医薬組成物の種類は特に限定されず、経口又は非経口投与用の任意の製剤形態として提供される。例えば、医薬組成物は、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤等の経口投与用医薬組成物の形態として、又は、静脈内投与用、筋肉内投与用、もしくは皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤等の非経口投与用医薬組成物の形態として調製することができる。
【0033】
本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、予防及び/又は治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、適宜選択することが可能である。一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01〜1000mg(有効成分質量)程度であり、一日1回又は数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。該医薬を注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001〜3000mg(有効成分質量)を連続投与又は間欠投与することが望ましい。
【実施例】
【0034】
本発明を、実施例を参照してさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0035】
本発明の化合物の調製
実施例1:3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン

本発明の化合物を、塩基の存在下で、2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体1)及び対応するアミン(中間体19)を縮合させて調製した。
本発明の化合物の概略合成スキームは以下のとおりである。
【0036】
【化2】

【0037】
【化3】

【0038】
工程1−1:オロチン酸エチル(中間体
オロチン酸一水和物(中間体, 53.19 g, 0.306 mmol)を、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン(46.51 g, 0.306 mmol)のジメチルホルムアミド(85 ml)溶液に加えた。 溶液を5分間攪拌後、ヨウ化エチル (57.14 g, 0.366 mmol) を前記溶液に加え、混合物を60℃で5時間加熱した。水(1000 ml) を混合物に加え、得られた沈殿物をろ過で集め、水で洗浄し、乾燥させて、オロチン酸エチル(中間体, 49.25 g, 88%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ: 1.29 (3H, dt, J=1.5, 6.9 Hz), 4.31 (2H, dq, J=1.2, 7.2 Hz), 6.04 (1H, d, J=1.2 Hz), 11.11 (1H, s), 11.37 (1H, s)
MS: [M+H]+ = 185
融点: 205.5 ℃
【0039】
工程1−2:2,6−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体
N,N−ジエチルアニリン(60 ml, 0.377 mmol)を、オロチン酸エチル(中間体, 97.70 g, 0.531 mmol)及びオキシ塩化リン(120 ml, 1.31 mol)の混合物に加え、混合物を70分間還流した。溶液を氷水に注ぎ、得られた固体をろ過で集め、水で洗浄した。この固体を酢酸エチルに溶解し、溶液をシリカゲルでろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を短いシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、2,6−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体, 99.94 g, 85%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.45 (3H, t, J=7.3 Hz), 4.51 (3H, q, J=7.1 Hz), 7.97 (1H, s)
MS: [M+H]+ = 221
融点:31.6 ℃
【0040】
工程1−3:ピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体
トリエチルアミン(48.03 g, 0.475 mmol) を、2,6−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体, 38.60 g, 0.175 mmol)のテトラヒドロフラン (700 ml)溶液に加えた。溶液にパラジウム−炭素(5%)を加え、水素雰囲気下で6時間攪拌した。反応系の固体をろ過で除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体, 23.06 g, 87%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.46 (3H, t, J=7.1 Hz), 4.52 (2H, q, J=7.1 Hz), 8.03 (1H, dd, J=1.7, 5.0 Hz), 9.00 (1H, d, J=5.0 Hz), 9.42 (1H, d, J=1.4 Hz)
MS: [M+H]+ =153
融点:36.8 ℃
【0041】
工程1−4:3−オキソ−3−(ピリミジン−4−イル)プロピオン酸エチル(中間体)
エタノール(16.18 g, 0.351 mol)のジエチルエーテル(15 ml)溶液を水素化ナトリウム(13.71 g, 0.343 mol, パラフィン中60%、パラフィンはヘキサンで洗浄して除いた)のジエチルエーテル(100 ml)溶液に加えた。混合物を30分間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、トルエン(100 ml)を残渣に加えた。この溶液に、ピリミジン−4−カルボン酸エチル(中間体, 30.86 g, 0.203 mol) の溶液と酢酸エチル(30.48 g, 0.346 mol)のトルエン(100 ml)溶液を加え、混合物を80℃で3時間加熱した。混合物に塩酸、続いて重炭酸ナトリウムを加え、pH4に調整した。溶液を水と酢酸エチルに分配した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、3−オキソ−3−(ピリミジン−4−イル)プロピオン酸エチル(中間体, 36.10 g, 92%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.35 (3H, t, J=6.9 Hz), 4.31 (2H, q, J=7.2 Hz), 6.47 (1H, s), 7.84 (1H, dd, J=1.5, 5.4 Hz), 8.89 (1H, d, J=5.1 Hz), 9.24 (1H, d, J=1.2 Hz), 12.22 (1H, s)
MS: [M+H]+ = 195
融点:52.3 ℃
【0042】
工程1−5:2−メルカプト−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体)
3−オキソ−3−(ピリミジン−4−イル)プロピオン酸エチル(中間体, 36.10 g, 0.186 mol)、N−メチルチオ尿素 (25.40 g, 0.282 mol)、及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン(29.11 g, 0.191 mol)のエタノール(150 ml)溶液を21時間還流した。エタノールの半量を減圧留去し、塩酸を加えた。得られた沈殿物をろ過で集め、水で洗浄し、乾燥させた。沈殿物を熱酢酸エチル(1000 ml)中で攪拌し、沈殿物をろ過で集め、乾燥させて、2−メルカプト−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体, 33.91 g, 83%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 3.59 (3H, s), 6.91 (1H, s), 8.27 (1H, d, J=2.4 Hz), 9.08 (1H, d, J=2.1 Hz), 9.41 (1H, s), 11.99 (1H, s)
MS: [M+H]+ = 221
融点:228.0 ℃ (分解)
【0043】
工程1−6:2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体
ジメチルホルムアミド(30 ml)及び1,2−ジクロロエタン(30 ml)の混合溶媒の2−メルカプト−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体, 8.8 g, 40 mmol)の懸濁液をオキシ塩化リン(11.2 ml, 120 mmol)に加え、混合物を65℃で50分間攪拌した。溶液を氷冷ジクロロメタン(300 ml)に注ぎ、水を溶液に加え、混合物を5分間激しく攪拌した。炭酸ナトリウム水溶液 (25.4 g, 240 mmol, 水中 (100 ml)) を加え、pHを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で8に調整した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液 (5% 水中, 120 ml)を加えた。セライトでろ過後、有機層をジクロロメタンで2回抽出し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製し、ジエチルエーテルで洗浄して、2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(中間体)を淡黄色固体で得た。(2.2 g, 62%, 純度 98.7%)
1H NMR (CDCl3) δ: 3.74 (3H, s), 7.58 (1H, s), 8.19 (1H, d, J=5.7 Hz), 8.92 (1H, d, J=5.2 Hz), 9.31 (1H, d, J=1.1Hz)
MS: [M+H]+ = 223
融点: 168.5 ℃(分解)
【0044】
工程1−7:2−ブロモ−(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エタノール(中間体
(S)−CBS(25 ml、(S)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン、アルドリッチ社製、1.0Mトルエン溶液)を0℃に冷却し、ボランテトラヒドロフラン錯体(185 ml, 185 mmol, 1.0 Mテトラヒドロフラン溶液)を加えた。フラスコを氷塩化ナトリウム浴で冷却した後、臭化4−ブロモフェナシル(中間体, 50. 28 g, 181 mmol)のジクロロメタン(300 ml)溶液を温度を−5℃から0℃に保ちながら1時間にわたり滴下した。混合物を0℃で50分間攪拌した後、メタノール(12 ml)を少しずつ加えた。その後、0.5M塩酸(300 ml)を滴下し、混合物を室温で40分間攪拌した。沈殿物をろ過で除き、ろ液をジクロロメタンと水とに分配した。有機層を分離して、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせて、0.5M塩酸と食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、2−ブロモ−1−(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エタノール(中間体)を淡褐色油状物で得た。この粗生成物を精製せずに次の工程に用いた。
【0045】
工程1−8:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体10)
上記で得られた(2S)−2−ブロモ−1−(4−ブロモフェニル)エタノール(中間体)をエチルエーテル(300 ml)に溶解し、溶液を2層系で水酸化ナトリウム水溶液(14.47 g, 300 mlの水中362 mmol)と、室温で1.5時間攪拌した。混合物をジエチルエーテルと水とに分配し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体10)を淡褐色油状物で得た。この粗生成物を精製せずに次の工程に用いた。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 2.74-2.77(1H, m), 3.13-3.17(1H, m), 3.82-3.84(1H, m), 7.16(2H, d, J=8.4 Hz), 7.48(2H, d, J=8.4 Hz)
【0046】
工程1−9:(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ)エタノール(中間体11)
上記で得られた(2S)−2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体10)及び(R)−1−フェニルエチルアミン(65.22 g, 538 mmol)の混合物を80℃で加熱しながら3時間油浴中で攪拌した。過剰のアミンを減圧で蒸留除去した(7 mmHgで約70℃)。冷却後、得られた固体残渣をイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させて、(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ)エタノール(中間体11, 46.76 g, 3工程の収率81%)を白色結晶で得た。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 1.39(3H,d,J=6.3 Hz), 2.48(1H, dd, J=9.0Hz, 12.0 Hz), 2.77(1H, dd, J=3.6 Hz, 12.3 Hz), 3.82(1H, dd, J=6.6 Hz, 13.2 Hz), 7.16(2H, d, J=8.4 Hz), 7.20-7.27(3H, m), 7.31-7.34(2H, m), 7.41(2H, d, J=8.4 Hz)
MS: [M+H]+ = 320
融点: 106.3 ℃
比旋光度; [α]D = +80.74 (c=1.0, ジクロロメタン)
【0047】
工程1−10:(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体12)
塩化クロロアセチル(19.5 ml, 245 mmol)のジクロロメタン(100 ml) 溶液を、(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2−((1R)−1−フェニルエチルアミノ) エタノール (中間体11, 71.0 g, 222 mmol)及びトリエチルアミン (34 ml, 245 mmol)のジクロロメタン(600 ml)の氷冷溶液に滴下した。混合物を2時間攪拌した後、1M塩酸を加え、混合物を水とクロロホルムとに分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣を2−プロパノール(600 ml)に溶解した。溶液に水酸化カリウムを加えた(85%, 18.3 g, 278 mmol)。混合物を室温で15時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加えた。混合物を水と酢酸エチルとに分配し、有機層を、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体12, 92 g)を褐色油状物で得た。この粗生成物を精製せずに次の反応に用いた。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ: 1.53(3H, d, J=7.0 Hz), 2.96(1H, dd, J=3.0 Hz, 12.2 Hz), 3.29(1H, dd, J=10.8 Hz, 12.0 Hz), 4.38(1H, d, J=16.8 Hz), 4.49(1H, d, J=16.9 Hz), 4.53(1H, dd, J=3.0 Hz, 10.6 Hz), 6.53(1H, q, J=7.2 Hz), 7.14(2H, d, J=8.3 Hz), 7.28-7.39(5H, m), 7.45(2H, d, J=8.4 Hz)
MS: [M+H]+ = 360
比旋光度; [α]D = +71.68 (c=0.5, クロロホルム)
【0048】
工程1−11:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン(中間体13)
工程1−10で得た(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−3−オン(中間体12, 92 g)の氷冷したテトラヒドロフラン(400 ml)溶液に30分間に渡ってボランテトラヒドロフラン錯体(1.0 Mテトラヒドロフラン溶液, 600 ml, 600 mmol)を滴下した。室温に暖めて、2時間攪拌した後、混合物を再び氷冷し、メタノール (70 ml)を滴下した。溶媒を減圧留去した。残渣にメタノール(750 ml)及び1M水酸化ナトリウム水溶液(280 ml)を加えた。混合物を80℃で1時間攪拌し、その間に、1M水酸化ナトリウム水溶液(70 ml)を15分おきに3回加えた。混合物を室温に冷却した後、メタノールを減圧留去し、得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水と食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン(中間体13, 68 g、中間体11からの収率88%)を白色結晶で得た。
IR(ATR):1487, 1449, 1117, 1098, 809, 758, 699, 550 cm-1
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.35(3H, d), 2.10(2H, m), 2.60(1H, m), 3.05(1H, m), 3.35(1H, q), 3.75(1H, m), 3.89(1H, m), 4.55(1H, m), 7.25(7H, m), 7.46(2H, d)
MS: [M+H]+ = 346
融点:88.0 ℃
比旋光度; [α]D = +32.06 (c=1.0, ジクロロメタン)
【0049】
工程1−12:4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体14
(2S)−2−(4−ブロモフェニル)−4−((1R)−1−フェニルエチル) モルホリン(中間体13, 63.3 g, 183 mmol)のテトラヒドロフラン(450 ml)溶液に、n−ブチルリチウム(1.57 Mヘキサン溶液, 175 ml, 275 mmol)を−78℃で加え、混合物を20分間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(28.3 ml 365 mmol)を加え、混合物を−78℃で2時間攪拌し、その後−10℃にした。反応を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、得られた溶液を、水と酢酸エチルとに分配した。有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、粗4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体14, 55.1 g)を得た。この化合物をさらに精製せずに用いた。
【0050】
工程1−13:4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル (中間体15)
粗4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンズアルデヒド(中間体14, 55.1 g)のエタノール(280 ml)溶液に、酢酸ナトリウム(30.0 g, 365 mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(25.4 g, 365 mmol)を室温で加えた。2時間還流後、混合物を水とジクロロメタンとに分配し、有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。続いて、残渣に酢酸(140 ml)及び無水酢酸(140 ml)を加えた。混合物を2時間還流した後、溶媒を減圧除去した。残渣を水とクロロホルムとに分配した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル(中間体15, 45.7 g, 中間体13から86%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.37 (3H, d, J=7.0 Hz), 2.01 (1H, t, J=11.0 Hz), 2.15 (1H, dt, J=3.1, 11.7 Hz), 2.60-2.65 (1H, m), 3.08-3.12 (1H, m), 3.39 (1H, q, J=7.0 Hz), 3.74 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 3.92-3.96 (1H, m), 4.65 (1H, dd, J= 2.4, 10.2), 7.24-7.35 (5H, m), 7.48 (2H, d, J=7.8 Hz), 7.63 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 293
融点: 83.6 ℃
比旋光度; [α]D = +46.23 (c=0.5, クロロホルム)
【0051】
工程1−14:4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩 (中間体16)
4−((2S)−4−((1R)−1−フェニルエチル)モルホリン−2−イル) ベンゾニトリル(中間体15, 45.7 g, 156 mmol)の1,2−ジクロロエタン(312 ml)溶液に、クロロ蟻酸1−クロロエチル(66.9 g, 468 mmol)を室温で加えた。6時間還流後、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(312 ml)に溶解し、溶液を2時間還流した。溶媒を減圧下で除去した後、粗生成物をアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩(中間体16, 27.6 g, 79 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.99 (1H, t, J=11.7 Hz), 3.12 (1H, dt, J=3.1, 12.5 Hz), 3.25-3.28 (1H, m), 3.48-3.52 (1H, m), 3.92 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 4.15 (1H, dd, J=3.1, 12.5 Hz), 4.86 (1H, dd, J=2.4, 11.7 Hz), 7.60 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.90 (2H, d, J= 8.6 Hz), 9.37 (2H, brs)
MS: [M+H]+ = 189
融点:195.8 ℃
比旋光度; [α]D = +30.39 (c=0.5, メタノール)
【0052】
工程1−15:(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体17
4−((2S)−モルホリン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩(中間体16, 17.9 g, 79.8 mmol)のテトラヒドロフラン(400 ml)溶液に、トリエチルアミン(24.2 g, 240 mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(19.2 g, 87.8 mmol)を0℃で加え、混合物を室温で3時間攪拌した。得られた溶液を水と酢酸エチルとに分配し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=6/1)で精製し、(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体17, 17.6 g, 77 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.69-2.80 (1H, m), 3.00-3.09 (1H, m), 3.65-3.72 (1H, m), 3.90-4.23 (3H, m), 4.48 (1H, d, J=11.0 Hz), 7.50 (2H, d, J=7.8 Hz), 7.66 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 289
融点:104.2 ℃
比旋光度; [α]D = -37.35 (c=0.5, クロロホルム)
【0053】
工程1−16:(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体18)
(2S)−2−(4−シアノフェニル)モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体17, 17.6 g, 61.1 mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(12.8 g, 183 mmol)のエタノール(120ml)溶液に、水(120 ml)中の炭酸ナトリウム(32.4 g, 305 mmol)を室温で加え、混合物を80℃で3時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去した後、残渣を水と酢酸エチルとに分配した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。 残渣にキシレン(150 ml)及びN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(18.1 g, 122 mmol)を加えた。溶液を2時間還流した後、モレキュラーシーブス4Aを用いたディーン・スターク水分離器で水を共沸蒸留除去した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体18, 16.9 g, 80 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:1.49 (9H, s), 2.66 (3H, s), 2.77-2.90 (1H, m), 3.02-3.11 (1H, m), 3.67-3.74 (1H, m), 3.89-4.25 (3H, m), 4.48 (1H, d, J=11.0 Hz), 7.50 (2H, d, J=7.8 Hz), 8.00 (2H, d, J=7.8 Hz)
MS: [M+H]+ = 246(- tert-BuOCO)
融点:114.4 ℃
比旋光度; [α]D = -34.93 (c=0.5, クロロホルム)
【0054】
工程1−17: (2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩(中間体19)
(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル) モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体18, 16.9 g, 49.0 mmol)の酢酸エチル(60 ml)溶液に4N塩酸酢酸エチル(150 ml)を室温で加え、溶液を3時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた沈殿物をろ過し、酢酸エチルで洗浄して、減圧下で乾燥させて、(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩(中間体19, 13.3 g, 96 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 2.67 (3H, s), 3.00 (1H, t, J=12.5 Hz), 3.12 (1H, dt, J=3.9 12.5 Hz), 3.27 (1H, d, J=12.5 Hz), 3.48 (1H, d, J=12.5 Hz), 3.97 (1H, dt, J=2.4, 12.5 Hz), 4.15 (1H, dd, J=3.1, 12.5 Hz), 4.89 (1H, dd, J=1.6, 11.0 Hz), 7.58 (2H, d, J=8.6 Hz), 8.03 (2H, d, J=8.6 Hz), 9.62 (2H, brs)
MS: [M+H]+ = 246
融点:286.8 ℃
比旋光度; [α]D = +29.98 (c=0.5, メタノール)
【0055】
工程1−18:3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(本発明の化合物)
2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(9.80 g, 44.0 mmol)及び(2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリン塩酸塩(13.3 g, 47.2 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(13.4 g, 132 mmol)を室温で加え、溶液を室温で4時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮した後、生じた粗生成物を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(本発明の化合物, 18.0 g, 89 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.68 (3H, s), 3.04 (1H, dd, J=11.0, 13.3 Hz), 3.21 (1H, dt, J=3.1 12.5 Hz), 3.49 (3H, s), 3.73 (1H, d, J=13.3 Hz), 3.80-3.85 (1H, m), 3.94 (1H, dt, J=2.3, 11.7 Hz), 4.11 (1H, dd, J=1.6, 11.7 Hz), 4.86 (1H, dd, J=2.4, 10.2 Hz), 7.02 (1H, s), 7.66 (2H, d, J=7.8 Hz), 8.03 (2H, d, J=7.8 Hz), 8.22 (1H, dd, J=1.6, 5.5 Hz), 9.00 (1H, d, J=4.7 Hz), 9.30 (1H, d, J=1.6 Hz)
MS: [M+H]+ =432
【0056】
融点:191 ℃(分解)
比旋光度; [α]D = -53.71 (c=0.5, クロロホルム)
キラル HPLC条件:
カラム; DAICEL CHIRALCEL OD-H 250×4.6Φmm
溶出液; エタノール/n−ヘキサン = 80/20
流速; 0.5ml/分
温度; 40℃
検出; 242 nm (UV)
保持時間; 23.878 分 (参考、別の異性体; 30.615 分)
【0057】
比較例化合物の調製
実施例2:表1の化合物1の調製
1−メチル−2−[2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0058】
【化4】

【0059】
工程2−1:4−ベンジル−2−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)モルホリン(中間体21)
攪拌している4−ベンジル−2−モルホリンカルボン酸塩酸塩(中間体20, 1.5 g, 5.82 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10 ml)溶液に、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(2.2 g, 6.98 mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(236 mg, 1.74 mmol)、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.1 ml, 29.1 mmol)を加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。N’−ヒドロキシベンズアミジン(792 mg, 5.82 mmol)を加えた後、反応混合物を 室温で1時間攪拌し、次いで、110℃に加熱した。反応完了時(薄層クロマトグラフィーで確認)、過剰の試薬を水を加えて分解し、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出物を水及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中25%酢酸エチル)で精製し、4−ベンジル−2−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)モルホリン(中間体21, 1.44 g, 77 %)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.41-2.47(1H, m), 2.60(1H, dd, J=9.8, 11.1Hz), 2.73(1H, dd, J=1.2, 11.7 Hz), 3.13(1H, d, J=11.7 Hz), 3.61(2H, s), 3.85-3.91(1H, m), 4.11(1H, dt, J=3.0, 11.5 Hz), 4.99(1H, dd, J=2.8, 9.4 Hz), 7.26-7.38(5H, m), 7.45-7.52(3H, m), 8.09-8.12(2H, m)
MS: [M+H]+ = 322
【0060】
工程2−2:2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体22)
攪拌している4−ベンジル-2−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)モルホリン(中間体21, 2.0 g, 6.22 mmol)の1,2−ジクロロエタン(10 ml)の溶液にクロロギ酸クロロエチル(2.0 ml, 18.7 mmol)を加え、反応混合物を70℃で4時間攪拌した。反応混合物を真空濃縮した。溶媒を除去した後、残渣をメタノール(10 ml)に溶解し、反応溶液を還流下で1時間攪拌した。反応完了時(薄層クロマトグラフィーで確認)、反応混合物を真空濃縮した。得られた2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体22)をさらに精製せずに次の反応に用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.15-3.22(1H, m), 3.29-3.32(1H, m), 3.47(1H, dd, J=10.2, 12.6 Hz), 3.72(1H, dd, J=2.6, 12.8 Hz), 4.00-4.06(1H, m), 4.12-4.17(1H, m), 5.40(1H, dd, J=2.8, 10.0 Hz), 7.58-7.66(3H, m), 8.03-8.05(2H, m), 9.65(2H, br)
MS: [M+H]+ = 232
融点:194.1 ℃
【0061】
工程2−3:1−メチル−2−(2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン:(表1の化合物1)
上記で得られた2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体22)のテトラヒドロフラン(10 ml)溶液に、2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4−オン(中間体,1.3 g, 6.22 mmol)及びトリエチルアミン(4.3 ml, 31.1 mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶液を水とクロロホルムとに分配し、有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム中5%メタノール)で精製し、1−メチル−2−(2−(3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−モルホリン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物1, 1.53 g, 59 %, 2工程)を固体で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.47 (3H, s), 3.60-3.70 (3H, m), 3.89-4.11 (3H, m), 5.28-5.39 (1H, m), 7.02 (1H, s), 7.56-7.62 (3H, m), 8.00-8.02 (2H, m), 8.24 (1H, d, J=4.6 Hz), 9.00 (1H, d, J=4.6 Hz), 9.29 (1H, s).
MS: 418 (M++1)
融点:166.7 ℃
【0062】
実施例3:表1の化合物2の調製:
1−メチル−2−[2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0063】
【化5】

【0064】
工程3−1:4−ベンジルモルホリン−2−カルボニトリル(中間体25)
N−ベンジルエタノールアミン(中間体23, 44.8 ml, 314 mmol)及び2−クロロアクリロニトリル(中間体24, 25 ml, 314 mmol)の混合物を室温で24時間攪拌した。混合物を0℃に冷却後、テトラヒドロフラン(300 ml)、続いてカリウムtert−ブトキシドを前記混合物に加え、混合物を0℃で1時間攪拌した。混合物をエチルエーテルで希釈し、次いで、水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中5%酢酸エチル)で精製し、4−ベンジルモルホリン−2−カルボニトリル(中間体25)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.41(1H, ddd, J=3.1, 8.8, 11.8 Hz), 2.56(1H, dd, J=3.2, 11.9 Hz), 2.64(1H, d, J=11.8 Hz), 2.76(1H, dd, J=3.8, 11.8 Hz), 3.57(2H, q, J=12.9 Hz), 3.77(1H, dt, J=3.6, 11.7 Hz), 4.03(1H, ddd, J=2.7, 8.9, 11.7 Hz), 4.60(1H, t, J=3.6 Hz), 7.26-7.36(5H, m)
MS: [M+H]+ = 203
【0065】
工程3−2:4−ベンジル−N’−ヒドロキシモルホリン−2−カルボキサミジン(中間体26)
攪拌している4−ベンジルモルホリン−2−カルボニトリル(中間体25, 5.0 g, 24.7 mmol)のエタノール及び水 (2/1, 75 ml)の混合物中の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩 (5.2 g, 74.2 mmol) 及び重炭酸ナトリウム (13.1 g, 123.5 mmol)を加え、反応混合物を還流下で12時間攪拌した。反応をクロロホルムで希釈し、反応混合物を水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。得られた4−ベンジル−N’−ヒドロキシモルホリン−2−カルボキサミジン(中間体26)をさらに精製せずに次の反応に用いた。
【0066】
工程3−3:4−ベンジル−2−(5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)モルホリン(中間体27)
攪拌している安息香酸(2.30 g, 19.1 mmol) のN,N−ジメチルホルムアミド(20 ml)溶液に、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(6.15 g, 19.1 mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(518 mg, 3.83 mmol) 及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(11.0 ml, 63.8 mmol)を加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。4−ベンジル−N’−ヒドロキシモルホリン−2−カルボキサミジン(中間体 26, 3.0 g, 12.8 mmol)を加えた後、反応混合物を 室温で1時間攪拌し、110℃に加熱した。反応完了時(薄層クロマトグラフィーで確認)、過剰の試薬を水を加えて分解し、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出物を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製し、4−ベンジル−2−(5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)モルホリン(中間体27, 3.08 g, 75 %)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.42(1H, dt, J=3.3, 11.4 Hz), 2.54(1H, dd, J=10.7 Hz), 2.76(1H, dd, J=1.7, 11.5 Hz), 3.13(1H, dd, J=2.0, 9.6 Hz), 3.61(2H, s), 3.89(1H, dt, J=2.5, 11.2 Hz), 4.07-4.11(1H, m), 4.90(1H, dd, J=2.5, 10.2 Hz), 7.26-7.36(5H, m), 7.50-7.53(2H, m), 7.57-7.61(1H, m), 8.15-8.16(2H, m)
MS: [M+H]+ = 322
【0067】
工程3−4:2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体28)
攪拌している4−ベンジル−2−(5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)モルホリン(中間体27, 900 mg, 2.80 mmol)の1,2−ジクロロエタン(2.0 ml)溶液に、クロロギ酸クロロエチル(0.46 ml, 4.20 mmol)を加え、反応混合物を70℃で4時間攪拌した。反応混合物を真空濃縮した。溶媒を除去した後、残渣をメタノール(2.0 ml)に溶解し、溶液を還流下で1時間攪拌した。反応完了時(薄層クロマトグラフィーで確認)、反応混合物を真空濃縮した。得られた2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体28)をさらに精製せずに次の反応に用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.17-3.24(1H, m), 3.30-3.44(2H, m), 3.60-3.64(1H, m), 3.99(1H, dt, J=2.3, 12.0 Hz), 4.11-4.15(1H, m), 5.16(1H, dd. J=2.6, 10.7Hz), 7.66(2H, t, J=7.7Hz), 7.73-7.77(1H, m), 8.12-8.15(2H, m), 9.42(2H, br)
MS: [M+H]+ = 232
融点:111.0 ℃
【0068】
工程3−5:1−メチル−2−[2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物2)
得られた2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン塩酸塩(中間体28)のテトラヒドロフラン(6.0 ml)溶液に2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4−オン(中間体, 260 mg, 2.34 mmol)及びトリエチルアミン(1.81 ml, 13.0 mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶液を水とクロロホルムに分配し、有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム中5%メタノール)で精製し、1−メチル−2−[2−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物2, 749 mg, 64 %, 2工程)を固体で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:3.47 (3H, s), 3.51-3.68 (3H, m), 3.96-4.10 (3H, m), 5.15-5.17 (1H, m), 7.02 (1H, s), 7.67-7.74 (3H, m), 8.13-8.24 (3H, m), 9.00 (1H, d, J=4.8 Hz), 9.30 (1H, s).
MS : 418 (M++1).
融点:207.6 ℃
【0069】
実施例4:表1の化合物3の調製:
2−[2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0070】
【化6】

【0071】
工程4−1:2−(4−ブロモフェニル)オキシラン(中間体30)
4−ブロモベンズアルデヒド(中間体29, 25.25 g, 136 mmol)、ヨウ化トリメチルスルホニウム(28.71g, 141 mmol)、水(6.5 ml, 361 mmol) 及び水酸化カリウム(15.56 g, 277 mmol)のアセトニトリル(140 ml)中の混合物を、2.5時間55℃に暖めた。得られた溶液を水とジエチルエーテルとに分配し、有機層を水、希釈塩酸、及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。2−(4−ブロモフェニル)−オキシラン(中間体30)の粗生成物を減圧下での有機溶媒除去により得て、精製することなく次の反応に用いた。
【0072】
工程4−2:2−ベンジルアミノ−1−(4−ブロモフェニル)−エタノール(中間体31)
上記で得られた2−(4−ブロモフェニル)−オキシラン(中間体30)の粗生成物及びベンジルアミン(47.00 g, 439 mmol)の混合物を8時間70℃に加熱し、過剰のベンジルアミンを減圧で蒸留除去した(10 mmHgで約65 ℃)。残渣を、冷却して凝固させ、ジイソプロピルエーテルで洗浄して、2−ベンジルアミノ−1−(4−ブロモフェニル)−エタノール(中間体31, 23.63 g,4−ブロモベンズアルデヒドから57%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.68(1H, dd, J=9.0, 12.2 Hz), 2.92(1H, dd, J=3.6, 12.2 Hz), 3.79-3.87(2H, m), 4.67(1H, dd, J=3.6, 8.9 Hz), 7.22-7.36(7H, m), 7.44-7.47(2H, m)
MS: [M+H]+ = 306
融点:108.8 ℃
【0073】
工程4−3:4−ベンジル−6−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−3−オン(中間体32)
トルエン(30 ml)中の塩化クロロアセチル(8.49 g, 75.2 mmol)を氷冷した2−ベンジルアミノ−1−(4−ブロモフェニル)−エタノール(中間体31, 21.85 g, 71.4 mmol)のトルエン(300 ml)溶液に加えた後、トリエチルアミン(10.25 g, 101 mmol)のトルエン(20 ml)溶液を前記混合物に加え、1時間攪拌した。次いで、メタノール(30 ml)中のナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液, 45.73 g, 237 mmol)を前記溶液に加え、2時間攪拌した。希釈塩酸を加えて反応をクエンチし、pHを約7.0に調整し、水と酢酸エチルに分配した。有機層を希釈塩酸、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、4−ベンジル−6−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−3−オン(中間体32, 21.26g, 86%)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.26(1H, dd, J=3.4, 12.3 Hz), 3.35(1H, dd, J=10.4, 12.3 Hz), 4.47(1H, d, J=16.8 Hz), 4.51(1H, d, J=16.6 Hz), 4.56(1H, d, J=14.6 Hz), 4.72(1H, d, J=14.8 Hz), 7.19(2H, d, J=8.4 Hz), 7.27-7.38(5H, m), 7.47(2H, d, J=8.5 Hz)
MS: [M+H]+ = 346
【0074】
工程4−4:4−ベンジル−2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン(中間体33)
4−ベンジル−6−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−3−オン(中間体32, 18.70 g, 54 mmol)のテトラヒドロフラン(100 ml)溶液にボランテトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン(0.9 M, 170 ml, 153 mmol)溶液を0℃で、窒素雰囲気下、滴下した。得られた混合物を室温に暖め、3時間攪拌した。0℃に冷却後、メタノール(30 ml)をゆっくり加えて反応をクエンチした。透明な混合物を減圧留去し、残った油状物を1N水酸化ナトリウム水溶液(300 ml)で希釈した。得られた水性混合物を100℃で3時間攪拌し、室温に冷却した。得られた有機物を酢酸エチルで抽出し、抽出物を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、4−ベンジル−2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン(中間体33, 17.30 g, 52 mmol, 96%)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:2.26 (1H, dt, J=3.4, 11.5 Hz), 2.74 (1H, dd, J=1.6, 11.5 Hz), 2.85-2.89 (1H, m), 3.82 (1H, dt, J=2.5, 11.4 Hz), 3.98-4.02 (1H, m), 4.53 (1H, d, J=2.2, 10.2 Hz), 7.21 (2H, d, J=8.3 Hz), 7.45 (2H, d, J=8.2 Hz)
MS: [M+H]+ = 332
【0075】
工程4−5:2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体34)
4−ベンジル−2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン(中間体33, 10.0 g, 30 mmol)のジクロロエタン(90 ml)溶液に、クロロギ酸クロロエチル(4.0 ml, 36 mmol)を室温で加え、得られた溶液を1時間還流した。室温に冷却後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(100 ml)で希釈し、得られた溶液を1時間還流した。メタノールを留去し、残った固体に酢酸エチルを加えた。粉砕後、白色固体をろ過で集め、減圧下で乾燥させた。得られた固体をテトラヒドロフラン(60 ml)に懸濁させ、得られた混合物にジ−tert−ブチルジカーボネート(6.50 g, 30 mmol)及び1N水酸化ナトリウム水溶液(60 ml, 60 mmol)を室温で加えた。2時間攪拌した後、 酢酸エチルでの抽出ワークアップを行い、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後濃縮を行った。得られた固体をヘキサンで洗浄し、2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体34, 9.08g, 26.5 mmol, 88%)を白色固体で得、これをさらに精製せずに次の反応に用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:1.48 (9H, s), 2.77 (2H, br), 3.03 (1H, br), 3.67 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 3.94 (2H, br), 4.01 (1H, d, J=10.8 Hz), 4.37 (1H, d, J=10.2 Hz), 7.24-7.26 (2H, m), 7.48-7.50 (2H, m)
MS: [M+H]+ = 242 (-tert−ブトキシカルボニル)
融点:97.5 ℃
【0076】
工程4−6:2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル (中間体35)
2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体34, 6 g, 17.5 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.1 g, 20 mmol)、酢酸カリウム(3.5 g, 36 mmol)、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (1.2 g, 1.5 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(40 ml)中の混合物を窒素雰囲気下で80℃に加熱した。3時間攪拌後、反応混合物を室温に冷却し、水に注いだ。酢酸エチルでの抽出ワークアップを行い、有機層を食塩水で洗浄した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液として、ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製した。2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体35, 5.6 g, 14.5 mmol,収率83%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.34 (12H, s), 1.48 (9H, s), 2.80 (1H, br), 3.05 (1H, br), 3.68 (1H, dt, J=2.3, 11.7 Hz), 3.94 (2H, br), 4.03 (1H, d, J=10.4 Hz), 4.43 (1H, d, J=9.8 Hz), 7.38 (2H, d, J=7.9 Hz), 7.81 (2H, d, J=7.9 Hz)
MS: [M+H]+ = 290 (- tert−ブトキシカルボニル)
融点:129.4 ℃
【0077】
工程4−7:2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体36)
2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.0 g, 2.6 mmol)、3−ブロモフラン(0.27 ml, 3.0 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.35 g, 0.3 mmol)及び2N炭酸カリウム水溶液(4.5 ml)のN,N−ジメチルホルムアミド(5 ml)中の混合物を窒素雰囲気下で80℃に加熱し3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、 酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体36, 0.73 g, 2.2 mmol,収率85%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.85 (1H, br), 3.06 (1H, br), 3.69 (1H, dt, J=2.6, 11.8 Hz), 3.96(2H, br), 4.03 (1H, d, J=10.1 Hz), 4.43 (1H, d, J=9.2 Hz), 6.70 (1H, d, J=1.3 Hz), 7.38 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.47-7.49 (3H, m), 7.73 (1H, s)
MS: [M+H]+ = 230 (- tert−ブトキシカルボニル)
融点:114.0 ℃
【0078】
工程4−8:2−[2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物3)
2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体36, 0.73 g, 2.2 mmol)を4N塩酸酢酸エチル溶液に室温で溶解し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を濃縮した後、生じた固体物質を集めた。得られた固体をテトラヒドロフラン(10 ml)で懸濁させた。この混合物に2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(中間体, 0.33 g, 1.5 mmol)及びトリエチルアミン(0.62 ml, 4.5 mmol)を室温で加えた。6時間攪拌後、得られた混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液として、クロロホルム/メタノール = 95/5)で精製し、2−[2−(4−フラン−3−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物3, 0.55 g, 1.3 mmol, 87%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:3.04 (1H, dd, J=10.8, 12.8 Hz), 3.20 (1H, dt, J=2.8, 12.4 Hz), 3.49 (3H, s), 3.71 (1H, d, J=13.4 Hz), 3.76 (1H, d, J=12.9 Hz), 3.92 (1H, dt, J=1.8, 11.7 Hz), 4.10 (1H, dd, J=1.8, 11.6 Hz), 4.76 (1H, dd, J=1.9, 10.6 Hz), 6.98 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.47 (1H, d, 8.2 Hz), 7.64 (1H, d, J=8.3 Hz), 7.75 (1H, d, J=1.6 Hz), 8.21-8.22 (2H, m), 8.99 (1H, d, J=5.1 Hz), 9.30 (1H, s)
MS: [M+H]+ =416
融点:219.4 ℃(分解)
【0079】
実施例5:表1の化合物4の調製:
1−メチル−2−{2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0080】
【化7】

【0081】
工程5−1:2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン-4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体37)
2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体35, 1.0 g, 2.6 mmol)、2−ブロモ−1−メチルイミダゾール(0.29 mL, 3.0 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.35 g, 0.3 mmol)及び2N炭酸カリウム水溶液(4.5 ml)のN,N−ジメチルホルムアミド(5 ml)中の混合物を、窒素雰囲気下で80℃に加熱し3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)で精製し、2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体37, 0.40 g, 1.2 mmol, 45%)を無色油状物で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:1.49 (9H, s), 2.85 (1H, br), 3.07 (1H, br), 3.66-3.76 (1H, m), 3.75 (3H, s), 3.95 (2H, br), 4.05 (1H, d, J=9.8 Hz), 4.47 (1H, d, J=9.1 Hz), 6.97 (1H, s), 7.12 (1H, d, J=1.0 Hz), 7.47 (2H, d, J=8.1 Hz), 7.64 (2H, d, 8.3 Hz)
MS: [M+H]+ = 344
【0082】
工程5−2:1−メチル−2−{2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物4)
2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体37, 0.40 g, 1.2 mmol)を4N塩酸酢酸エチル(5 ml)溶液に室温で溶解し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を濃縮後、生じた固体物質を集めた。得られた固体をテトラヒドロフラン(10 ml)に懸濁させた。この混合物に、2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(中間体, 0.18 g, 0.8 mmol)及びトリエチルアミン(0.42 ml, 3 mmol)を室温で加えた。6時間攪拌後、得られた混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=95/5)で精製し、1−メチル−2−{2−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェニル]−モルホリン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物4, 0.12 g, 0.3 mmol, 35%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.07 (1H, dd, J=10.8, 12.8 Hz), 3.18-3.26 (1H, m), 3.50 (3H, s), 3.73 (1H, d, J=13.1 Hz), 3.76 (3H, s), 3.82 (1H, d, J=13.0 Hz), 3.94 (1H, dt, J=2.1, 11.7 Hz), 4.10 (1H, d, J=13.1 Hz), 4.82 (1H, dd, J=1.9, 10.3 Hz), 6.98 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.26 (1H, s), 7.57 (2H, d, J=8.3 Hz), 7.71 (2H, d, J=8.4 Hz), 8.23 (1H, dd, J=1.2, 5.4 Hz), 9.00 (1H, d, J=5.0 Hz), 9.30 (1H, d, J=1.1 Hz)
MS: [M+H]+ =430
融点:179.8 ℃ (分解)
【0083】
実施例6:表1の化合物5の調製:1−メチル−2−[2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
【0084】
【化8】

【0085】
工程6−1:2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体38)
2−(4−ブロモフェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体34, 3.0 g, 8.8 mmol)、ヨウ化銅(I) (0.05 g, 0.3 mmol)、ヨウ化ナトリウム(1.8 g, 12 mmol)及びトランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.1 ml, 0.6 mmol)のトルエン(10 ml)中の混合物を窒素雰囲気下で3時間還流した。混合物を室温に冷却した後、ピラゾール(0.68 g, 10 mmol)及びリン酸カリウム(6.4 g, 30 mmol)を前記混合物に加えた。得られた混合物を3時間還流し、続いて室温に冷却した。固体物をろ過で除いた後、ろ液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体38, 1.7 g, 5.3 mmol, 60%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.84 (1H, br), 3.06 (1H, br), 3.70 (1H, dt, J=2.4, 11.7 Hz), 4.04 (1H, d, J=10.1 Hz), 4.46 (1H, d, J=8.8 Hz), 6.47 (1H, t, J=2.0 Hz), 7.47 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.70 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.72 (1H, d, J=1.3 Hz), 7.93 (1H, d, J=2.4 Hz)
MS: [M+H]+ = 230 (- tert−ブトキシカルボニル)
融点:87.3 ℃
【0086】
工程6−2:1−メチル−2−[2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物5)
2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体38, 1.74 g, 5.3 mmol)を4N塩酸酢酸エチル(10 ml)溶液に室温で溶解し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を濃縮した後、生じた固体物を集めた。得られた固体の一部(500 mg)をテトラヒドロフラン(20 ml)に懸濁させた。この混合物に、2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(中間体, 0.33 g, 1.5 mmol)及びトリエチルアミン(0.62 ml, 4.5 mmol)を室温で加えた。6時間攪拌後、得られた混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=95/5)で精製し、1−メチル−2−[2−(4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−モルホリン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(表1の化合物5, 0.44 g, 1.0 mmol, 70%)を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:3.05 (1H, dd, J=10.7, 12.8 Hz), 3.21 (1H, dt, J=2.5, 12.5 Hz), 3.49 (3H, s), 3.72 (1H, d, J=13.0 Hz), 3.79 (1H, d, J=13.0 Hz), 3.94 (1H, dt, J=1.8, 11.6 Hz), 4.10 (1H, dd, J=1.9, 11.7 Hz), 4.80 (1H, dd, J=1.8, 10.4 Hz), 6.56 (1H, t, J=2.0 Hz), 7.02 (1H, s), 7.59 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.76 (1H, d, J=1.4 Hz), 7.87 (2H, d, 8.6 Hz), 8.22 (1H, dd, J=1.1, 5.3 Hz), 8.52 (1H, d, J=2.5 Hz), 9.00 (1H, d, J=5.2 Hz), 9.30 (1H, d, J=1.2 Hz)
MS: [M+H]+ =416
融点:183.5 ℃
【0087】
生物学的検定
実験例7:インビボでのタウ蛋白リン酸化阻害作用
被検化合物を、体重25−35gの5−6週齢雄性CD−1マウス(チャールズリバー日本)に、10mg/kg経口(0.5%ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート80(ツイン80)/水懸濁液)で投与し、1時間後、マウスの首を切断し、皮質をすぐに摘出して液体窒素で凍結させた。皮質は直接、2.3%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ホモジナイゼーション緩衝液(62.5mM 2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール塩酸塩(トリス−HCl)、2.3%SDS、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコ−ルビス(2−アミノエチルエ−テル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA),ジチオスレイトール(DTT)を各1mM、0.2μM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフロリド(AEBSF)、13μMベスタチン、1.4μM E−64、0.1mMロイペプチン、30nMアプロチニンを含むプロテアーゼインヒビターカクテル(シグマP2714)、pH6.8)でホモジナイズし、15000×g、4℃で15分間遠心分離した。蛋白質濃度はDCプロテインアッセイキット(BIO−RAD)で測定した。上清をサンプル緩衝液(62.5mM トリス−HCl、25%グリセロール、2%SDS、0.01%ブロモフェノールブルー、pH6.8)で希釈して、蛋白質濃度を0.5−2mg/mg程度にして、5分間煮沸した。サンプル(10μg)を10% ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)ミニスラブゲルで分離し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。膜は5%ノンファットミルクを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で室温で1時間インキュベーションし、その後、pS396抗体(BIOSOURCE)を用いて4℃で一晩プローブした。抗ウサギIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗体(プロメガ)を2次抗体として用いた。膜はエンハンスドケミルミネセンス法(ECL)キット(アマシャム バイオサイエンス)で可視化し、LAS1000(富士写真フイルム)で検出した。
【0088】
【表1】

【0089】
実験例8:CYP2D6の阻害活性
この薬物動態研究の目的は、ヒト組み換えCYPを用いて、インビトロでヒトCYPアイソザイムの特定代謝活性への被検化合物の阻害効果を調べることであった。濃度0.4、2、10、及び50μmol/Lの被検化合物(被検化合物のDMSOへの溶解性が低い場合、濃度は0.2、1、5、及び25μmol/Lに設定された。)又は陽性対照を、CYP2D6を含む反応混合物に加えた。特定基質と陽性対照は、それぞれルシフェリン−6’−メチルエーテルのエチレングリコールエステルとキニジンである。CYPアイソザイムの基質を被検化合物の存在下又は非存在下でヒト組み換えCYPとインキュベートしてCYPアイソザイムの代謝活性を決定した。反応混合物をNADPH発生システム無しで、37℃でプレインキュベートした。反応はNADPH発生システムの添加により開始させ、アセトニトリルを添加して終了させた。ヒトCYPアイソザイムの活性を反応混合物の蛍光シグナル(CYP2D6)で測定した。個々の化合物のIC50値は、化合物のない反応混合物のデータを100%活性に設定して計算した。
【0090】
【表2】

【0091】
実験例9:認知機能改善作用
グリコーゲンシンターゼ阻害剤、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンの認知機能改善特性は正常なマウス及びスコポラミン処理マウスでのエピソード記憶障害で特徴付けられた。エピソード記憶を対象認識(OR)テストで評価した。
【0092】
対象の認識タスクは薄暗く照明された(30Lux)プレキシガラスオープンフィールドボックスで行われた。区別されるべき対象は黒いプラスチック球体と黒いプラスチック蓋とした。マウスは10分間の習得のためのトライアルに付され(第一トライアル)、その間、マウスは個々に対象A(球体又は蓋)のあるオープンフィールドに置かれた。マウスの行動はカメラを用いてビデオテープで記録し、この動物が対象Aを探索するのにかかった時間(動物の鼻が1cmの距離で対象に向かったとき)を記録した。10分間の保持トライアル(第二トライアル)が3時間後又は24時間後にあった。このトライアルの間、対象Aともう一方の対象Bを前記オープンフィールドに置き、この動物が2つの対象を探索するのにかかった時間(tA及びtB)を記録した。認識インデックス(RI)は(tB/(tA+tB))×100のように定義される。認識が無い場合は論理値50%の機会である。
【0093】
記憶障害は、習得と保持トライアルの間の24時間の遅延により、または習得トライアルの前にムスカリン性受容体拮抗薬スコポラミンを投与することにより誘発された。
正常マウスでは、習得と保持セッションの間のトライアルの間の間隔は24時間であり、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンは、経口で各セッションの1時間前に2回、又は習得セッションの直後の一回のいずれかで投与した。スコポラミン処理マウスにおいては、習得と保持セッションの間のトライアルの間の間隔は3時間であり、スコポラミン(1mg/kg)を腹腔内に習得セッションの30分前に投与し、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンは、経口で習得セッションの1時間前に投与した。
【0094】
正常マウスでは、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(1−3−10−30 mg/kg 経口)は、習得と保持セッションの1時間前に経口で投与したとき、10mg/kgの投与量から記憶力を顕著に増加させ、処理されたマウスは24時間前に探索した対象を記憶していることを示した。RI値は0、1、3、10、30mg/kgにおいて、それぞれ50%、50.3%、52.6%、60.4%、62.9%であった。
【0095】
記憶の習得の効果を記憶の固定の効果と区別するために、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンを習得期の直後に一回投与した(3−10−30mg/kg 経口)。
3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンは10及び30mg/kgの投与量で対象の認識を顕著に改善し、この化合物が最小有効投与量10mg/kgでエピソード記憶を固定することを示唆した。RI値は0、3、10、30mg/kgにおいて、それぞれ50.7%、54.6%、58.6%、及び60.0%であった。
【0096】
3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンのエピソード記憶障害に対する認知機能改善活性を評価するために、マウスをコリン作用拮抗薬であるスコポラミンで習得期の30分前に処理した(1mg/kg皮下投与)。スコポラミンはエピソード記憶を完全に消し、処理されたマウスは3時間前に探索した対象を覚えていなかった。スコポラミン処理の30分前、すなわち、習得期の1時間前に3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンを一回経口投与(10mg/kg)すると、スコポラミンで誘発されるエピソード記憶障害は完全に消え、より低い投与量3mg/kgでは効果がなかった。RI値は0、10、30mg/kgにおいて、それぞれ正常マウスで63.5%、61.7%、及び59.7%、スコポラミン処理マウスで49.9%、52.7%、及び60.4%であった。
【0097】
要するに我々の行動観察結果により、TPK1阻害剤である3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンが最小有効投与量10mg/kgでエピソード記憶を増加させ、正常マウスのエピソード記憶痕跡を固定することが示された。加えて、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンはスコポラミン処理マウスのエピソード記憶障害を防止する(MED10mg/kg)。これらの行動観察データは、3−メチル−2−((2S)−2−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)モルホリノ)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オンの認知機能改善能の可能性を強く裏づけるものである。
【0098】
製剤例
(1) 錠剤
下記の成分を常法に従って混合し、慣用の装置により打錠した。
実施例1の化合物 (製造例で調製したもの) 30mg
結晶セルロース 60mg
コーンスターチ 100mg
乳 糖 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
【0099】
(2) 軟カプセル剤
下記の成分を常法に従って混合し、軟カプセルに充填した。
実施例1の化合物 (製造例で調製したもの) 30mg
オリーブ油 300mg
レシチン 20mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
【化1】

【請求項2】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物及びその医薬上許容される塩からなる群より選択される物質を有効成分として含む医薬。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物及びその医薬上許容される塩からなる群より選択される物質を有効成分として含むタウプロテインキナーゼ1の阻害剤。
【請求項4】
タウプロテインキナーゼ1の機能亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いられる請求項2に記載の医薬。
【請求項5】
神経変性疾患の予防及び/又は治療に用いられる請求項2に記載の医薬。
【請求項6】
疾患が、アルツハイマー病、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、血管性痴呆、外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障からなる群より選択される請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁鬱病、総合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、骨粗鬆症、マラリア、癌化学療法によって引き起こされる好中球減少、及びウイルス誘導性腫瘍からなる群より選択される疾患の予防及び/又は治療に用いられる請求項2に記載の医薬。
【請求項8】
認識および記憶障害で特徴付けられる疾患の治療に用いられる請求項2に記載の医薬。

【公表番号】特表2010−538969(P2010−538969A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510582(P2010−510582)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/JP2008/066936
【国際公開番号】WO2009/035162
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】