説明

6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,2−a]イミダゾール−3−カルボン酸アミドの誘導体

【課題】症性疾患の治療に有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸アミドの誘導体はCAMとロイコインテグリンの相互作用に対して良い阻害効果を示すので、炎症性疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
1. 技術分野
本発明は、一般的に6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸アミドの一連の新規誘導体、これらの化合物の合成、炎症性疾患の治療におけるそれらの使用及びこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 背景情報
最近の10年間に及ぶ研究は、体内における細胞-細胞相互作用に伴う分子現象、特に免疫系内における細胞の移動と活性化に関与する当該現象の解明を助けた(一般的に、von Andrian UH, et al. N Engl J Med 2000; 343(14):1020-1034参照)。それに応じて、細胞表面タンパク質、特に細胞間細胞接着分子(Intercellular Cellular Adhesion Molecule)(「ICAM」)及び「ロイコインテグリン(Leukointegrin)」(LFA-1、MAC-1及びp150,95(WHO命名法では、それぞれCD18/CD11a、CD18/CD11b、及びCD18/CD11cと呼ばれる)が挙げられる)が、目標として損傷部位への白血球の血管外漏出及び明確な標的への白血球の移動のプロセスにおける介入を有する医薬の研究開発の主題であった。例えば、現在では、炎症反応の必須要素である白血球の血管外漏出前に、白血球上で構成的に発現されるインテグリンの活性化が起こり、次いでインテグリン(例えば、LFA-1)と、血管の上皮細胞表面及び他の白血球上に発現されるICAM-1、ICAM-2又はICAM-3と命名された1個又は数個の明確な細胞間接着分子(ICAM)との間で密接なリガンド/受容体相互作用が起こると認められている。ICAMとロイコインテグリンの相互作用は、免疫系が正常に機能するのに重要なステップである。抗原提示、T細胞媒介細胞傷害性及び白血球の血管外漏出などの免疫プロセスは全て、ロイコインテグリンと相互作用するICAMによって媒介される細胞接着を必要とする。一般的にKishimoto, T. K.; Rothlein; R. R. Adv. Pharmacol. 1994, 25, 117-138 and Diamond, M.; Springer, T. Current Biology, 1994, 4, 506-532を参照されたい。
【0003】
「白血球接着不全症I」と呼ばれる状態である、ロイコインテグリンの適切な発現を欠く個体群が同定されている(Anderson, D. C.; et al., Fed. Proc. 1985, 44, 2671-2677及びAnderson, D. C.; et al., J. Infect. Dis. 1985, 152, 668-689)。これらの個体は、自身の細胞を細胞基質に接着させられないため、正常な炎症反応及び/又は免疫反応を開始できない。これらのデータは、CD18ファミリーの機能的な接着分子を欠くため正常な様式でリンパ球が接着できない場合に免疫反応が軽減されることを示す。CD18を欠くLAD患者は炎症反応を開始できないという事実のため、CD18/CD11/ICAM相互作用の拮抗が炎症反応をも阻害すると考えられた。免疫細胞の輸送と活性化におけるLFA-1の役割はよく確立され、かつLFA-1欠損マウスを用いた研究及び抗LFA-1抗体を遮断する研究によって支持されている。in vitroでは、LFA-1欠損リンパ球は、凝集及び増殖の欠損によって特徴づけられる。in vivoでは、遅延型過敏(delayed type hypersensitivity)(DTH)反応で同様の欠損が観察される。臓器移植の動物モデルでは、抗LFA-1抗体が有効性を示した。まとめると、これらの研究は、炎症反応の開始及び/又は伝播におけるLFA-1の役割を支持する(Giblin, P.A. et al. Curr. Pharm. Design, 2006, 12: 2771-2795)。
【0004】
ICAMとロイコインテグリンの間の相互作用の拮抗は、どちらかの成分に向けた薬剤によって現実化できることが実証された。詳細には、例えばICAM-1等のCAM、又は例えばLFA-1等のロイコインテグリンを、これらの分子のどちらか又は両方に向けた抗体によって遮断すると、炎症反応を効率的に阻害する。ICAM又はロイコインテグリンに対する抗体によって阻害される炎症及び免疫反応のin vitroモデルには、抗原又はマイトジェン誘発リンパ球増殖、リンパ球のホモタイプ凝集、T細胞媒介細胞溶解及び抗原特異的誘導耐性がある。in vitro研究の妥当性は、ICAM-1又はLFA-1に向けた抗体を用いたin vivo研究で支持される。心臓、腸、膵島及び角膜などの移植の多くのモデルでは、抗LFA-1による単独又は抗ICAM-1との併用治療後に移植片の生存期間の延長が観察された(例えば、Nakakura EK et al., Transplantation 1993; 55(2):412-417参照)。抗LFA-1抗体は、多発性硬化症、ループス及び炎症性関節炎の動物モデルで有益であることも示された(例えばKobayashi Y et al., Cell Immunol 1995; 164(2):295-305参照)。臨床的に最初に試験すべきLFA-1標的治療学は抗LFA-1抗体だった。オズリモマブ(Odulimomab)は、骨髄移植の臨床治験(Stoppa AM et al., Transpl Int 1991; 4(1):3-7)及び腎臓移植の臨床治験(Hourmant M et al. Transplantation 1994; 58(3):377-380)で有効性を示した。乾癬用に市販されているヒト化抗LFA-1抗体Raptiva(登録商標)(抗CD11a、hu1124、エファリズマブ)は、LFA-1の役割についての臨床的な概念証明を提供した(Leonardi CL et al., J Am Acad Dermatol 2005; 52(3 Pt 1):425-433)。
【0005】
このように、先行技術は、ICAMのロイコインテグリンへの結合に拮抗する大型タンパク質分子が、多くの自己免疫性又は炎症性疾患の病因と関係があることが多い炎症反応及び免疫反応を緩和する際に治療の可能性があることを実証した。しかし、タンパク質は、経口送達できないこと及び慢性投与のためのこれらの分子の有用性を制限する可能性がある免疫反応性といった、治療薬として重大な欠陥を有する。さらに、タンパク質ベースの治療薬は一般的に製造するのに費用がかかる。
その結果、ICAMのロイコインテグリンへの結合に直接かつ選択的に拮抗するための大型タンパク質分子と同様の能力を有する小分子が好ましい治療薬を生じさせるであろうといことになる。
ICAMとロイコインテグリンの相互作用に影響を与えるいくつかの小分子が文献に記載されている。例えば、米国特許第6,355,664号(及び対応するWO98/39303)、第6,710,664号、第6,977,267号、第7,199,125号及びWO2006065908は、LFA-1とICAM-1の相互作用の阻害薬である、ヒダントインコアを有する分類の小分子を開示している。米国特許第6,492,408号(及び対応するWO01/07440A1)、米国特許第6,844,360号、米国特許第6,852,748号、米国特許第7,517,897号及び米国特許出願公開2006/0229287は、全て、これと同じ活性を有し、代わりに6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾールコアを有する化合物を開示しており、また1H-イミダゾ-[1,2-a]イミダゾール-2-オンコアを有する阻害薬はJ-P Wu, et al., J. Med Chem. 2004; 47(22) 5356-5366によって開示されている。加えて、米国特許第6,673,825号及び第6,974,815号及び米国特許出願公開20060052434は、LFA-1とICAM-1の相互作用の阻害薬である、それぞれウラゾール、ヘキサヒドロベンズイミダゾール及びピロリジンコアを有する小分子を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の簡単な概要)
本発明は、6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸アミドの新分類の誘導体及びその製造方法を含む。これらの化合物は炎症状態の治療に有用である。すなわち、それらはICAMとロイコインテグリンの相互作用に対して良い阻害効果を示す。それらは、全血環境内で良い機能性LFA-1拮抗作用を維持しながら、既知のLFA-1拮抗薬を超える改良された代謝プロファイルを有することも予想される。従って、本発明は、炎症状態の治療のためのこれらの化合物の使用及び活性成分として該化合物を含む医薬組成物をさらに含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の詳細な説明)
一実施形態では、下記式I
【0008】
【化1】

I
【0009】
(式中、
R1は、-CN、-OCF3、ハロゲン、任意にハロゲン又は又はC1-3アルキルで置換されていてもよいヘテロアリール及び任意にハロゲンで置換されていてもよいフェニルから選択され;
R2は、ハロゲン又は-CF3であり;
R3は、H又はハロゲンであり;
R4は、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -NR11R12
d) -SOR11
e) -SO2R11
f) -C(O)NR11R12
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、及び
i) フェニル
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(C) C3-6シクロアルキル、
(D) ヘテロアリール、及び
(E) 任意にハロゲン、-OR11、-CN又は-CF3で置換されていてもよいフェニル
から選択され;
R5は、H、C1-5アルキル又はC3-4シクロアルキルであり(ここで、C1-5アルキルは任意に-OHで置換されていてもよい);又は
R4とR5が、それらが結合している炭素と一緒に3〜7個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し、ここで、前記炭化水素環の1個の炭素原子は、
a) 任意にC1-3アルキル、ハロゲン、-OR11、-CH2OR11、-C(O)R11、-SO2R11、-C(O)CH2CO2R11、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-CN、-C(O)OR11、-N(R11)C(O)R12、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(ここで、前記ヘテロシクリル及びヘテロアリールは任意にC1-4アルキル、-OH又は-CF3で置換されていてもよい)で置換されていてもよく、
或いは
b) -O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR11-、又は-NC(O)R11-と置き換わっていてもよく;
R6は、H又はC1-3アルキルであり;
R7は、CH3であり;或いは
R6とR7が、それらが結合している炭素と一緒に3〜7個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
Yは、それぞれN、O、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族5〜8員単環式基又は芳香族8〜11員二環式基であり;
R8は、
(A) -C(O)NR9R10又は
(B) -COOR11であり;
R9は、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -COOR11,
d) -NR11R12
e) -CONR11R12
f) -NR11C(O)R12,
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、
i) フェニル、
j) -SOR11、及び
k) -SO2R11
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-6シクロアルキル
から選択され;
R10は、H又はC1-3アルキルであり;或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜6個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1又は2個の炭素原子は、
-OR11、-CH2OR11、-C(O)NR11R12、-NR11C(O)R12及び-NR11R12で一置換又は二置換され、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子は、任意に-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR11-、-NC(O)R11-又は-NSO2R13-と置き換わっていてもよく;
R11は、H又はC1-3アルキルであり;
R12は、H又はC1-3アルキルであり;或いは
R11とR12が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子は任意に-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR13-、又は-NC(O)R13-と置き換わっていてもよく;かつ
R13は、C1-3アルキルである)
の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0010】
別の実施形態では、式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
Yが、1〜3個の環窒素原子を含む6員ヘテロアリール基であり;
R8が、
(A) -COOH、又は
(B) -C(O)NR9R10であり;
R9が、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -COOR11
d) -NR11R12
e) -CONR11R12
f) -NR11C(O)R12
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、及び
i) フェニル
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-6シクロアルキル
から選択され;
R10がH又はC1-3アルキルであり;或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1又は2個の炭素原子が、
-OR11、-CH2OR11、-C(O)NR11R12、-NR11C(O)R12及び-NR11R12で一置換又は二置換され、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-O-、-NR11-、-NC(O)R11-又は-NSO2R13-と置き換わっていてもよく;
R11がH又はC1-3アルキルであり;
R12がH又はC1-3アルキルであり;かつ
R13がC1-3アルキルである、
式Iの化合物、
又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0011】
さらなる実施形態では、式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yがピリジル基であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位、5位、又は6位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H;
(B) 任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2
c) -NHC(O)CH3
d) -COOH、
e) -OCH3
f) ピリジル、
g) フラニル、
h) イミダゾリル、
i) フェニル、
j) シクロプロピル、及び
k) -NR11R12
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-5シクロアルキル
から選択され;
R10がH、-CH3、又は-CH2CH3であり、或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に
-OH、-CH2OH、-C(O)NH2、-N(CH3)2、-NHC(O)CH3又は-NCH3C(O)CH3で置換されていてもよく、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-O-、又は-NH-、-NCH3-、-NSO2CH3-又は-NC(O)CH3-と置き換わっていてもよく;
R11がH又は-CH3であり;
R12がH又は-CH3である、
式Iの化合物、
又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0012】
さらに別の実施形態では、式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yが下記基
【0013】
【化2】

【0014】
であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位又は5位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2
c) -NHC(O)CH3
d) -COOH、
e) -OCH3
f) ピリジル、
g) フラン-2-イル、
h) 1-H-イミダゾール-1-イル、
i) フェニル、
j) シクロプロピル、
k) -N(CH3)2、及び
l) -NH2
の1又は2つで置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-4シクロアルキル
から選択され;
R10が-H、又は-CH3であり、或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、かつ前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2で置換されていてもよく、或いは任意に-O-と置き換わっていてもよい、
式Iの化合物、
又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0015】
なおさらなる実施形態では、式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yが下記基
【0016】
【化3】

【0017】
であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位又は5位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H、
(B)任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2、又は
c) -COOH
の1つで置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) シクロプロピル
から選択され;
R10がHである、
式Iの化合物、
又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
以下の化合物は、一般的合成スキーム、合成例に記載の方法、及び技術上周知の方法で調製できる本発明の代表化合物である。
表1
【0018】



【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】

【0034】
上記表中、R8が4位、5位、又は6位に存在しない場合、当該位置にHを示してある。
別の実施形態では、本発明は、表1中の化合物3、4、6、13、14、17、19、21、27、29、31、35、36、41、42、44、46、49、50、52、53、55、59、60、62、66、68、69、71〜73、77〜79、81、82、86〜88、90、91、94〜96、99〜102、105、107、109、112、114、117、120、121、126、128、129、131-133、136、139〜142、144、146〜149、154、155、159、160、163、164、166及び172から選択される化合物、又はその医薬的に許容できる塩に関する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(一般的合成方法)
以下に記載の方法で本発明の化合物を調製することができる。下記各スキーム中、基R1〜R8及びYは、特に断らない限り、一般式Iについの上記定義どおりである。最適の反応条件及び反応時間は、使用する個々の反応物によって変化し得る。特に断らない限り、当業者は、溶媒、温度、圧力及び他の反応条件を容易に選択することができる。合成例セクションで具体的手順を提供する。典型的に、所望により反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)又はHPLC-MSでモニターすることができる。シリカゲル上クロマトグラフィー、再結晶及び/又は逆相HPLCで中間体及び生成物を精製することができる。HPLC精製方法は、いずれの場合も0.1%のギ酸又は0.1%のTFAを含む水中0〜100%のアセトニトリルを使用し、かつ以下のカラムの1つを使用した。
a) Waters Sunfire OBD C18 5μm 30×150mmカラム
b) Waters XBridge OBD C18 5μm 30×150mmカラム
c) Waters ODB C8 5μm 19×150mmカラム
d) Waters Atlantis ODB C18 5μm 19×50mmカラム
e) Waters Atlantis T3 OBD 5μm 30×100mmカラム
f) Phenomenex Gemini Axia C18 5μm 30×100mmカラム
【0036】
出発原料及び試薬は商業的に入手可能であるか又は化学文献に記載の方法を利用して当業者が調製することができる。
スキームIに示すように、式Iの化合物を中間体IIから調製し得る。中間体IIの合成は、下記米国特許:第6,492,408号、第6,414,161号、第6,844,360号、及び第6,852,748号並びに米国特許出願公開2006/0025447及び2007/0173517にも報告されている。Wu et al., 米国特許第6,492,408号及びFrutos et al., 米国特許第6,414,161号に記載のように適宜置換された試薬の選択によって、式IIの化合物上に所望のR1を得ることができる。
下記スキームIに中間体IIからの式Iの化合物の合成を示す。
スキームI
【0037】
【化4】

【0038】
以上のように、グリニャール条件とCO2による捕捉又はPd触媒カルボキシル化のもとでIIをIIIに変換する。カルボン酸IIIは、適宜官能化した中間体Vによるアミド形成又は最後のアミド形成反応前に中間体IVを形成する3工程手順によって化合物Iをもたらす。中間体V、VI及びVIIは商業的に入手可能であるか、商業的に入手可能な出発原料から技術上周知又は本明細書で開示する方法によって容易に調製される。式Iの最初の生成物を技術上周知の方法でさらに改変して本発明のさらなる化合物をもたらし得る。合成例セクションでいくつかの例を提供する。
中間体の合成:
3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルアミン:
【0039】
【化5】

【0040】
メタノール(1.50L)中1,3-ジクロロ-2-フルオロ-5-ニトロ-ベンゼン(71.4g,340mmol)の溶液に水(300mL)中ギ酸アンモニウム(180g,2.86mol)の溶液を加えた。次に亜鉛粉末(93.4g,1.43mol)を等量ずつ4回で20分かけて添加した。反応を1時間撹拌してから室温に冷ました。反応混合物を珪藻土でろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。酢酸エチル(300mL)と水(300mL)を加えて混合物を再び珪藻土でろ過した。層を分け、水層を酢酸エチル(350mL)でさらに抽出した。混ぜ合わせた有機物を500mLの食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して56.4gの表題化合物を褐色固体、m/z180.2 [M+H]+として得た。この物質を何らさらに精製せずに使用した。
[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル:
【0041】
【化6】

【0042】
無水THF(582mL)中の(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピオン酸(57.2g,302mmol)の冷却(-20℃)溶液に、内部温度を-15℃で維持する速度でN-メチル-モルフォリン(34.9mL, 317mmol)を添加した。次にクロロギ酸イソブチル(42.0mL, 17mmol)を20分間にわたって加え、結果として生じた混合物を30分間撹拌した。次にTHF(160mL)中の3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルアミン(54.4g,302mmol)の溶液を40分かけて加えた。反応混合物を20℃に温めて20時間撹拌した。反応混合物をろ過し、真空中で濃縮した。結果として生じた油にMeOH(200mL)を加え、この溶液を濃縮して表題化合物を黄褐色固体、m/z 295.3 [M-t-Bu]+として得た。この物質をさらに精製せずに使用した。
(R)-2-アミノ-N-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-プロピオンアミド:
【0043】
【化7】

【0044】
水(272mL)とMeOH(135mL)中の塩酸(12M,266mL,3.19mol)の溶液にMeOH(600mL)中の粗製[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(208.6g,最大594mmol)の溶液を添加ロートで30分かけて加えた。次にCH2Cl2(300mL)を加えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。追加分のHCl(12M,100mL)を加えて撹拌をさらに20時間続けた。揮発性溶媒を真空中で除去し、残存水性混合物を-15〜-20℃に冷却した。トルエン(400mL)を添加した後、内部温度を25℃未満に維持する速度でNaOH溶液(50%水溶液,300mL)を加えた。層を分け、水層をトルエン(2×1L)で抽出した。混ぜ合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して158.3gの表題化合物を暗褐色油として得、フリーザー内で緩徐に凝固させた(m/z 251.1 [M+H]+)。この粗製物質をさらに精製せずに使用した。
(2S,5R)-2-tert-ブチル-3-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-イミダゾリジン-4-オン:
【0045】
【化8】

【0046】
40℃でトルエン(743mL)中の(R)-2-アミノ-N-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-プロピオンアミド(149g,粗製,最大594mmol)の溶液にピバルアルデヒド(67.1mL,618mmol)を一度に加えた。反応を50℃で22時間撹拌してから全て揮発性物質を真空中で除去して粘性褐色油を得た。ヘキサン(500mL)を加え、結果として生じた懸濁液を室温で30分間撹拌した。混合物をろ過し、固体を冷ヘキサンですすいだ。ろ液を真空中で濃縮し、再び同様に処理してさらなる沈殿物を得た。残存ろ液を溶液から黒色油が分離されるまでヘキサンで希釈した。この黒色油からヘキサン層をデカントして真空中で濃縮した。残留物を再び温ジエチルエーテル(300mL)に溶かし、フリーザー内で1.5時間貯蔵し、その間に細胞の成長が観察された。固体をろ過し、ろ液を再び同様に処理してさらなる結晶を得た。収集した全ての固体を合わせて112.2gの(2S,5R)-2-tert-ブチル-3-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-イミダゾリジン-4-オンを黄褐色固体として得た。この固体のトルエン(639mL)中の溶液に0℃でトリエチルアミン(73.5mL,527mmol)を一度に添加した。トリフルオロ酢酸無水物(58.6mL,422mmol)を内部温度を5℃未満に維持する速度で反応混合物に1時間かけて加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌してから1時間かけて20℃に温めた。次に混合物を10℃に冷却し、水(1.2L)を加えた。層を分け、有機層を水(1.2L、次に0.6L)で洗浄した。混ぜ合わせた水層をトルエン(0.6L)で抽出した。混ぜ合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮して149.4gの表題化合物を黄褐色固体、m/z 456.4 [M+MeCN+H]+として得た。
4-[(2R,4R)-2-tert-ブチル-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-4-メチル-5-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-イミダゾリジン-4-イルメチル]-ベンゾニトリル:
【0047】
【化9】

【0048】
窒素雰囲気下-20℃で無水THF(382mL)中の(2S,5R)-2-tert-ブチル-3-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-イミダゾリジン-4-オン(158g,0.382mol)の溶液にLiHMDSの溶液(THF中1.0M,401mL,0.401mol)を50分かけて加えた。この添加の間に内部温度が-5℃に上昇した。この温度でさらに1時間撹拌を続けた。反応を-10℃に冷却し、無水THF(400mL)中の4-シアノベンジルブロミド(78.5g,401mmol)の溶液を50分かけて加えた。この添加の間に反応温度が0℃に上昇した。反応を10℃に温めながら撹拌を2時間続けた。反応混合物にNH4Cl飽和水溶液(200mL)、水(800mL)、及びEtOAc(1L)を加えた。層を分け、水層をEtOAc(1L)で抽出した。混ぜ合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して214.2gの表題化合物を黄褐色/褐色固体、m/z 571.3 [M+MeCN+H]+として得た。
(R)-2-(4-シアノ-フェニル)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-1-メチル-エチル-アンモニウムトルエン-4-スルホン酸塩:
【0049】
【化10】

【0050】
0℃でTHF(457mL)中の4-[(2R,4R)-2-tert-ブチル-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-4-メチル-5-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-イミダゾリジン-4-イルメチル]-ベンゾニトリル(121.3g,228.7mmol)の溶液にBnMe3NOH水溶液(水中40wt%,135.3mL,343.1mmol)を30分かけて添加した後、NaOH水溶液(50wt%,21.5mL,407mmol)を加えた。内部温度を0℃で維持するのに十分な速度で両試薬を添加した。反応混合物をこの温度で6.5時間撹拌した。次に内部温度を15℃未満で維持するのに十分な速度でHCl溶液(6N,234mL,1.40mol)を反応混合物に添加した。反応を50℃に加熱し、この温度で1.5時間撹拌した。一部の溶媒(約350mL)を真空中で除去し、CH2Cl2(300mL)を添加した。混合物を氷浴内で冷却し、NaOH溶液(2N)を内部温度を20℃未満で維持する速度で、水層のpHが14に達するまで添加した。全ての固体物質を確実に移すためCH2Cl2及びH2Oを利用して混合物を分液ロートに移した。層を分け、水層をCH2Cl2(2×500mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を食塩水(300mL)で1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して83.8gの赤/黒色の粘性油を得た。この物質をMeCN(600mL)に溶かし、撹拌しながら60℃に加熱した。この溶液にp-トルエンスルホン酸一水和物(50.1g,263mmol)を添加して沈殿を生じさせた。さらにMeCN(200mL)を加え、混合物をろ過して固体を収集した。フィルターケークを600mLのMeCNで洗浄し、乾燥させて106gの表題化合物を白色固体、m/z 366.6 [M]+として得た。
(R)-3-(4-シアノ-フェニル)-N-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-2-[3-(2,2-ジメトキシ-エチル)-ウレイド]-2-メチル-プロピオンアミド:
【0051】
【化11】

【0052】
DMSO(162mL)中の(R)-2-(4-シアノ-フェニル)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-1-メチル-エチル-アンモニウムトルエン-4-スルホン酸塩(87.7g,162.9mmol)と(2,2-ジメトキシ-エチル)-カルバミン酸フェニルエステル(40.4g,179mmol)の溶液にNa3PO4(29.4g,179mmol)とN-メチルモルフォリン(3.04mL,27.7mmol)を加えた。この溶液を65℃に加熱して6時間撹拌した。溶液を20℃に冷却し、Na2CO3水溶液(3wt%,500mL)及びEtOAc(500mL)を用いて分液ロートに移すと、振とう後に三相系を形成した。下部の二層を除去した。上部の有機層を3%NaCl(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で内部温度を40℃に維持しながら濃縮した。ヘプタンとEtOAcの混合物(10:1のヘプタン:EtOAc,20mL)を加え、結果として生じたスラリーを22℃で16時間撹拌した。スラリーをろ過し、残留物をヘプタン/EtOAcの10:1混合物(2×100mL)で洗浄して61.6gの表題化合物を白色固体、m/z 497.7 [M+H]+として得た。
4-[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イルメチル]-ベンゾニトリル:
【0053】
【化12】

【0054】
MeCN(250mL)中の(R)-3-(4-シアノ-フェニル)-N-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-2-[3-(2,2-ジメトキシ-エチル)-ウレイド]-2-メチル-プロピオンアミド(62.6g,125mmol)、PPh3(51.98g,198mmol)、及びEt3N(29.35mL,210.6mmol)の室温懸濁液にCCl4(20.3mL,210mmol)を一度に加えた。反応を2時間撹拌してから0℃に冷却した。この溶液にp-トルエンスルホン酸一水和物(37.7g,198mmol)を加えて反応を70℃で2時間加熱した。揮発性物質を真空中で蒸発させ、残留物を酢酸イソプロピル(i-PrOAc)(500mL)及び水(500mL)で希釈した。水層を除去し、有機層をNa2CO3水溶液(5wt%,500mL)、次にNaCl水溶液(3wt%,500mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空中で濃縮して油状固体を得た。ヘプタン/i-PrOAcの混合物(150mL,80:20のヘプタン:i-PrOAc)を添加して固体の沈殿を引き起こした。結果として生じたスラリーを一晩撹拌してからろ過した。ろ液を真空中でエバポレートして褐色油を得た。この油を再び同一条件を用いて3回以上処理した。次にろ液から得た残存褐色油をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー(20〜50%のEtOAc/ヘキサン)で精製して48.0gの表題化合物を白色固体、m/z 415.7 [M+H]+として得た。
4-[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨード-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イルメチル]-ベンゾニトリル:
【0055】
【化13】

【0056】
CH2Cl2(900mL)中の4-[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イルメチル]-ベンゾニトリル(48.8g,117mmol)の溶液を含むフラスコをアルミニウム箔で覆い、部分的に氷水浴に浸した。この溶液にN-ヨードスクシンイミド(29.1g,129mmol)とp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(2.95g,11.7mmol)の固体混合物を4回に分けて30分間にわたって加えた。反応を解凍氷浴内で1時間撹拌してから浴を除去した。撹拌を一晩続けた。Na2S2O3飽和水溶液(300mL)を反応に加え、CH2Cl2(200mL)と水(1L)を用いて混合物を分液ロートに移した。層を分け、水層をさらにCH2Cl2(2×500mL)及びEtOAc(500mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮して黄色油を得た。この油をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー(0〜2.5%のEtOAc/トルエン)で精製して52gの表題化合物を白色固体、m/z 541.3 [M+H]+として得た。
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸:
【0057】
【化14】

【0058】
無水酢酸(14.0mL,148mmol)、ギ酸ナトリウム(15.1g,222mmol)及びヒューニッヒ塩基(25.8mL,148mmol)を1000mLのネジ蓋付きガラス圧力容器内で無水DMF(50mL)に懸濁させた。ネジ蓋で容器を閉じ、混合物を室温で45分間撹拌した。この混合物に無水DMF(200mL)中の4-[(R)-1-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨード-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イルメチル]-ベンゾニトリル(40.0g,73.9mmol)の溶液を添加した後、Pd(OAc)2(830mg,3.70mmol)及び無水LiCl(9.40g,221mmol)を加えた。容器にしっかり蓋をして80℃で20時間撹拌した。よく換気されたドラフト内で、反応を室温に冷まし、ネジ蓋をゆっくり外してガスを放出させた。次にHCl水溶液(2N,1L)を含む分液ロートにEtOAc(1L)を用いて反応を移した。層を分け、有機相を2NのHCl水溶液(1L)で洗浄した。混ぜ合わせた水相をEtOAc(2×1L)で抽出した。混ぜ合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。この暗色残留物にトルエンを添加して固体の沈殿を生じさせた。固体をろ過し、1:1のトルエン:ヘキサンで洗浄した後、ヘキサンで洗浄した。ろ液を濃縮し、再び同様に処理してさらなる固体を得た。全部で29.4gの表題化合物をオフホワイトの固体、m/z.459.4 [M+H]+として得た。
上記と同様に以下の中間体を合成した。
(R)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸
(R)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸
1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸
【0059】
【化15】

【0060】
THF(100mL)を含む500mLの丸底フラスコに(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸(10g,22mmol)を添加した。この溶液にHATU(9.1g,24mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(11mL,65mmol)及び1-アミノ-シクロプロパン-カルボン酸アリルエステル塩酸塩(4.3g,24mmol)を加えた。反応を室温で18時間撹拌した。有機物を水(2×30mL)と食塩水(1×30mL)で洗浄してから乾燥させ(MgSO4)、濃縮して粗製1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸アリルエステル(12.6g,22mmol)を得、さらに精製せずに先に進めた。
得られたエステル(12.6g,22mmol)をTHF(100mL)と混ぜ合わせた。モルフォリン(18.6mL,210mmol)及びPd(PPh3)4(500mg,0.40mmol)を加えて反応を室温で16時間撹拌した。溶液を珪藻土でろ過してから濃縮した。残留物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、水(2×50mL)、1M HCl(2×50mL)、食塩水(1×50mL)で洗浄してから乾燥させ(MgSO4)、ろ過かつ濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)でヘキサン中10〜100%の酢酸エチルを用いて精製して10.4gの表題化合物を得た。
上記と同様に以下の中間体を合成した。
1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸:
1-{[(R)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸:
1-{[(R)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸:
6-ヨード-ピリジン-2-カルボニトリル
【0061】
【化16】

【0062】
6-クロロ-ピリジン-2-カルボニトリル(5.0g,36mmol)をプロピオニトリル(35mL)に取った。これにTMSCl(4.6mL,36mmol)及びヨウ化ナトリウム(16.0g,108mmol)を加えて溶液を90℃に16時間加熱した。溶液を冷まし、2Mの水酸化ナトリウム(35mL)を添加してクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、水(1×50mL)及び硫酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。混ぜ合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)でヘキサン中0〜100%の酢酸エチルを用いて精製して4.6gの表題化合物を得た。
1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルアミン:
【0063】
【化17】

【0064】
乾燥THF(50mL)中の5-ヨード-ピリジン-2-カルボニトリル(1.0g,8.1mmol)の溶液にチタン(IV)イソプロポキシド(5.2mL,18mmol)を加えた。次にEtMgBr(Et2O中3.0M,10mL,32mmol)を一滴ずつ加えた。反応混合物を23時間撹拌してから水(100mL)と1N HCl(5mL)で希釈し、5分間撹拌した。混合物をろ過し、ろ液を真空中で濃縮して430mgの表題化合物を得、さらに精製せずに使用した。
上記と同様に以下の中間体を合成した。
1-(4-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルアミン
1-(6-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルアミン
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピル-カルバモイル]-シクロプロピル}-アミド
【0065】
【化18】

【0066】
DMF(4mL)中の1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボン酸(1.21g,2.32mmol)、HATU(970mg,2.55mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(808μL,4.64mmol)の溶液に1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルアミン(724mg,2.78mmol)を加えた。混合物を1.5時間撹拌してからEtOAc(30mL)で希釈した。層を分け、有機層を水(3×30mL)及び食塩水(1×25mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過、かつ濃縮して粗製固体を得た。酢酸エチル中50%のヘキサンで(及び極性を75%の酢酸エチルに高めて)溶出するシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーで粗製物質を精製して1.60gの表題化合物を得た。
上記と同様に以下の中間体を合成した。
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(4-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド:
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(6-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド:
(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド:
(R)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド:
(R)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(5-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド:
6-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ニコチン酸
【0067】
【化19】

【0068】
無水酢酸(0.58mL,6.13mmol)、ギ酸ナトリウム(625mg,9.19mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.06mL,6.13mmol)及び無水DMF(10mL)を50mLのガラス圧力管に添加した。蓋を閉じて反応を30分間撹拌した。この混合物に次に(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸{1-[1-(4-ヨード-ピリジン-2-イル)-シクロプロピルカルバモイル]-シクロプロピル}-アミド(2.35g,3.07mmol)を5mLの無水DMF中の溶液として加えた後、塩化リチウム(389mg,9.19mmol)及び酢酸パラジウム(34mg,0.15mmol)を加えた。混合物に蓋をしてから油浴内で80℃にて一晩(20時間)撹拌した。反応を室温に冷ました。反応を2N HCl(15mL)で希釈し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残存物質をDMFに溶かし、逆相HPLCで勾配として30〜100%のCH3CN/H2Oを利用して精製して1.56gの表題化合物を得た。
上記と同様に以下の中間体を合成した。
2-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-イソニコチン酸
6-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ニコチン酸
6-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ピリジン-2-カルボン酸
6-{1-[(1-{[(R)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ニコチン酸
6-{1-[(1-{[(R)-7-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ニコチン酸
【0069】
最終化合物の合成:
実施例1. (3R)-3-(4-シアノベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-N-{1-[(1-{4-[(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)カルバモイル]ピリジン-2-イル}シクロプロピル)カルバモイル]-シクロプロピル}-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-カルボキサミド
【0070】
【化20】

【0071】
3mLのDMF中の2-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-イソニコチン酸(30mg,0.044mmol)の撹拌溶液にHATU(25mg,0.66mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL)及び2-アミノ-2-メチル-プロパン-1-オール(5.8mg,0.66mmol)を加えた。溶液を室温で一晩(18時間)撹拌した。反応を水(5mL)で希釈してから5%メタノール/ジクロロメタン溶液(3×10mL)で抽出した。有機層を混ぜ合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。結果として生じた油を逆相HPLCで精製して28mgの表題化合物, m/z 755.7を得た。
上記と同様に以下の化合物を合成した:
【0072】







【0073】
実施例2. (R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボン酸(1-{1-[5-(2-アミノ-エチルカルバモイル)-ピリジン-2-イル]-シクロプロピルカルバモイル}-シクロプロピル)-アミド塩酸塩
【0074】
【化21】

【0075】
DMF(3mL)中の2-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-イソニコチン酸(30mg,0.044mmol)にHATU(50mg,0.13mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(23μL,0.13mmol)及びモノ-Boc-保護エチレンジアミン(14mg,0.088mmol)を添加した。反応を室温で一晩振とうさせた。水を添加し(0.1mL)、粗製反応をHPLCで精製して{2-[(6-{1-[(1-{[(R)-5-(4-シアノ-ベンジル)-7-(3,5-ジクロロ-フェニル)-5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-カルボニル]-アミノ}-シクロプロパンカルボニル)-アミノ]-シクロプロピル}-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-エチル}-カルバミン酸tert-ブチルエステルを得た。この物質をジクロロメタン(1.0mL)に溶かし、ジオキサン(0.5mL)中4MのHClを加えた。反応を室温で2時間振とうさせた。揮発性物質を除去して23mgの表題化合物, m/z 726.3を得た。
上記と同様に以下の化合物を合成した。
【0076】

【0077】
(生物学的特性の説明)
下記実験プロトコルによって式Iの代表化合物の生物学的特性を調べた。
(LFA-1のICAM-1への結合の阻害を定量するためのアッセイ)
アッセイの目的:
このアッセイプロトコルは、ICAM-1とロイコインテグリンCD18/CD11a(LFA-1)の相互作用の、試験化合物による直接的拮抗作用を研究するために設計される。
アッセイプロトコルの説明:
LFA-1/ビオチン-sICAM-1分子アッセイは、PerkinElmerのTS2/4(抗LFA-1)-カスタム結合型AlphaLisaアクセプタービーズ及びストレプトアビジン被覆ドナービーズを用いるAlphaScreen技術を利用して、試験化合物がLFA-1のビオチン化-sICAMへの結合を阻害する能力を測定する(参考文献:Wilson, J, Rossi, CP, Carboni, S, Fremaux, C, Perrin, D, Soto, C, Kosco-Vilbois, M, and Scheer, A: A Homogeneous 384-Well High-Throughput Binding Assay for a TNF Receptor Using Alphascreen Technology. J Biomol Screen 2003;8:522-532)。アッセイ緩衝液(カルシウム及びマグネシウムを含有するダルベッコのPBS、2mM MgCl2、0.1mM PMSF、0.1%BSA、pH 7.1)を用いて白色OptiPlates-384内60μLの体積でこのアッセイを行なった。各ウェルにビオチン-sICAMを添加した後、精製LFA-1(50mMのトリエチルアミン、150mM NaCl、1%のβオクチルグルコシド、2mM MgCl2の緩衝液中、1Mのトリス-HClで中性pHに中和、pHpH 7.5)を添加した。化合物の試験のため、25uL中の上記のものに5uL中の化合物を加えた。LFA-1とビオチン-sICAM-1は、8〜10のバックグラウンド比にシグナルを生じさせるであろう濃度で使用した。化合物の最高濃度は、1%DMSO中1μMだった。ポジティブコントロールは、化合物を含まず、LFA-1を含むウェルだった。一方ブランクは化合物もLFA-1も含まないウェルだった。プレートを混合し、37℃で90分間インキュベートした。この後、10μg/mLという最終濃度のため0.1%BSAを含むPBSで希釈したTS2/4結合型アクセプタービーズを15μL/ウェル添加した。プレートを混合し、暗所で室温にて30分間インキュベートした後、0.1%BSAを含むPBSに15μg/mLという最終濃度で希釈したストレプトアビジン被覆ドナービーズを15μL/ウェル添加した。プレートを混合し、暗所で室温にて60分間インキュベートしてから、EnVision MultilabelリーダーでAlphaScreen 384-ウェル OptiPlateプロトコルを利用して解読した。
上記実施例で調製した化合物をこのアッセイで試験し、各化合物がIC50<1μMを有することが分かった。このアッセイのデータを以下に示す。
【0078】



【0079】
(全血におけるIL-2産生の阻害を定量するためのアッセイ)
アッセイの目的:
このアッセイプロトコルは、ICAM-1とロイコインテグリンCD18/CD11a(LFA-1)の相互作用の、試験化合物による機能的拮抗作用を研究するために設計される。
アッセイプロトコルの説明:
ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)によるex vivo刺激後の引き出したばかりのヘパリン処置したヒト全血中に存在する細胞によるIL-2の産生を阻害する化合物の能力について化合物を評価した。化合物をヒトAB血清で希釈して11×それらの最終アッセイ濃度にした。1.12%のDMSOを含むヒトAB血清中における濃度反応曲線に合わせたさらなる希釈後、化合物にヒト全血を加えた。血液と化合物の30分のインキュベーション後、次にSEBを添加して600ng/mLという最終濃度のSEB及び0.1%の最終DMSO濃度にした。一晩のインキュベーション(37℃の加湿CO2インキュベーター)後、血漿サンプルを収集し、電気化学発光プロトコルを利用してIL-2の存在について分析した。このアッセイでは、ビオチン化抗ヒトIL-2抗体(R&D Systems BAF202)、MSD Sulfo-TAG(MSD R91AN-2)標識化抗ヒトIL-2モノクロナール抗体(R&D Systems MAB602)、及びMSD Standard Avidinプレートを利用して血漿サンプル中のIL-2を測定した。
上記実施例で調製した代表化合物をこのアッセイで試験し、ほとんどの化合物がIC50<10μMを有することが分かった。
【0080】
(ヒト肝臓ミクロソームによる代謝安定性を定量するためのアッセイ)
アッセイの目的:
このアッセイプロトコルは、ヒト肝臓ミクロソームによる代謝的酸化に対する試験化合物の安定性を研究するために設計される。
アッセイプロトコルの説明:
ヒト肝臓ミクロソーム内で化合物をインキュベートして親化合物の消失t1/2を推定した。50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH 7.4及び2.5mM NADPH内でアッセイを行なった。1μMの最終アッセイ濃度で化合物を試験した。タンパク質濃度は1mg/mLだった。反応を37℃で5分間プレインキュベートし、NADPHを添加して代謝反応を惹起した。一定分量を0、5、及び30分に取りだし、内部標準物質を含むアセトニトリルで沈殿させた。0.25mmのガラス繊維フィルタープレートを通してサンプルをろ過し、上清をLC/MS/MSで分析した。ゼロ分サンプルのピーク面積比(化合物/内部標準物質)と比較した各時点のピーク面積比から親化合物の損失パーセントを計算して、分でのt1/2を決定した。1mgのミクロソームタンパク質を用いた分での半減期を、下記式を利用して、データをミクロソームタンパク質(mg)/肝臓(g)及び肝臓(g)/体重(kg)についてスケールアップすることによって、固有クリアランス(CLint)に換算した。
CLint(mL/分/kg)=0.693/T1/2*mL/1mg*45 LM(mg)/肝臓(g)*25.7肝臓(g)/体重(kg)
次に下記式を利用して、よく撹拌したモデルを用いてClintをスケールアップして全身クリアランスを推定した。
CLH(mL/分/kg)=QH*CLint/(QH+CLint)
式中、QHは、肝血流量であり、ヒトでは20.7mL/分/kgである。そして、QHのパーセント(%QH)としてCLHを表すことができる。
上記実施例で調製した代表化合物をこのアッセイで試験して、ほとんどの化合物が<75%QHの低速乃至適度な速度で代謝されることが分かった。
【0081】
(治療用途の説明)
本発明で提供する式Iの新規小分子は、ヒトリンパ球のICAM-1/LFA-1依存性のホモタイプな凝集及びヒトリンパ球のICAM-1への接着を阻害する。これらの化合物には、例えば、CAM及びロイコインテグリンに関係する細胞間リガンド/受容体結合反応の競合的阻害薬として、免疫細胞の活性化/増殖の調節における治療的有用性がある。さらに詳しくは、本発明の化合物を用いて一定の炎症状態を治療することができる。この治療し得る状態には、哺乳動物における特異的免疫系の反応の結果起こる状態(例えば、喘息、乾癬、臓器/組織移植拒絶反応、移植片対宿主反応並びに自己免疫疾患、例えばレイノー症候群、自己免疫性甲状腺炎、皮膚炎、多発性硬化症、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、ブドウ膜炎、炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎など、及び全身性エリテマトーデス)及び哺乳動物における非特異的免疫系の反応の結果起こる状態(例えば、成人呼吸促迫症候群、ショック、酸素中毒、敗血症に続発する多臓器損傷症候群、外傷に続発する多臓器損傷症候群、心肺バイパス術に起因する組織の再灌流傷害、心筋梗塞、急性糸球体腎炎、血管炎、反応性関節炎、急性炎症要素による皮膚症、脳卒中、熱傷、血液透析、白血球除去、壊死性腸炎及び顆粒球輸血関連症候群)が含まれる。好ましくは、本発明の化合物を用いて乾癬及び多発性硬化症を治療することができる。
【0082】
従って、本発明の別の態様は、薬物として使うため、特定の態様では、炎症又は炎症状態の治療用薬物として使うための式Iの化合物に関する。別の特定の態様では、本発明は、前記パラグラフで列挙した疾患又は状態のいずれかの治療用薬物として使うための式Iの化合物に関する。別の態様では、本発明は、前記パラグラフで列挙した疾患又は状態のいずれかの治療用薬物の製造のための式Iの化合物の使用に関する。
従って、本発明の別の態様は、治療量又は予防量の式Iの1種以上の化合物の投与による上記状態の治療又は予防方法の提供である。
本発明で提供する方法によれば、式Iの新規化合物を単独又は他の免疫抑制薬若しくは抗炎症薬と共に予防又は治療目的のために投与することができる。予防的に与える場合、いずれの免疫反応又は症状よりも先立って(例えば、多発性硬化症の再発時の前、その時、又は直後)に本免疫抑制化合物を与える。式Iの化合物の予防的投与は、その後のいずれの炎症反応(例えば、多発性硬化症における再発のような)をも防止又は減弱するのに役立つ。式Iの化合物の治療的投与は、いずれの実際の炎症(例えば、多発性硬化症における再発のような)を減弱するのに役立つ。従って、本発明によれば、炎症の発生前(予測される炎症を抑制するように)又は炎症の開始後に式Iの化合物を投与することができる。
【0083】
本発明によれば、単一用量又は分割用量で経口、非経口又は局所経路によって、式Iの新規化合物を投与してよい。式Iの化合物に適した経口薬用量は、1日約0.1mg〜10gの範囲、好ましくは1日1mg〜100mgの範囲であろう。非経口製剤では、適切な 薬用量単位は、0.1〜250mgの前記化合物を含み得るが、局所投与では、0.01〜1%の活性成分を含む製剤が好ましい。しかし、当然のことながら、薬用量投与は患者ごとに変わるであろうし、いずれの個々の患者の薬用量も臨床医の判断によって決まるであろう。臨床医は、適切な薬用量を決めるための判断基準として、患者の大きさ及び状態並びに該薬物に対する患者の反応を利用するであろう。
本発明の化合物を経口経路で投与すべき場合、適合性の医薬担体材料と共に本化合物を含む医薬製剤の形態の薬物として本化合物を投与することができる。該担体材料は、経口投与に適した不活性な有機又は無機担体材料であってよい。該担体材料の例は、水、ゼラチン、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、ワセリン等である。
【0084】
従来どおりに医薬製剤を調製することができ、完成剤形は、固体剤形、例えば、錠剤、糖衣錠(dragee)、カプセル剤など、又は液体剤形、例えば溶液、懸濁液、エマルション等であってよい。医薬製剤を滅菌などの通常の製薬工程に供してよい。さらに、医薬製剤は、通常のアジュバント、例えば保存剤、安定剤、乳化剤、風味向上剤、湿潤剤、緩衝剤、浸透圧を変えるための塩などを含んでよい。使用できる固形担体材料として、例えば、デンプン、ラクトース、マンニトール、メチルセルロース、微結晶性セルロース、タルク、シリカ、二塩基性リン酸カルシウム、及び高分子量ポリマー(例えばポリエチレングリコール)が挙げられる。
非経口使用では、式Iの化合物を医薬的に許容できる油又は液体混合物中の水性若しくは非水性溶液、懸濁液又はエマルションで投与することができ、これらは、静菌剤、抗酸化剤、保存剤、緩衝剤又は溶液を血液と等張にするための他の溶質、増粘剤、懸濁剤又は他の医薬的に許容できる添加剤を含んでよい。このタイプの添加剤としては、例えば、酒石酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、錯体形成剤(例えばEDTA)、抗酸化剤(例えば亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、及びアスコルビン酸)、粘度調節用の高分子量ポリマー(例えば液体ポリエチレンオキシド)及びソルビトール無水物のポリエチレン誘導体が挙げられる。必要な場合、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及び他の四級アンモニウム化合物などの保存剤を添加してもよい。
この発明の化合物を経鼻適用の溶液として投与してもよく、水性ビヒクルにこの発明の化合物に加えて、適切な緩衝剤、浸透圧調整剤、微生物防腐剤、抗酸化剤及び粘度増加剤を含有し得る。粘度を増加するために使用する薬剤の例は、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート又はグリセリンである。添加する微生物防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロ-ブタノール又はフェニルエチルアルコールが挙げられる。
さらに、本発明が提供する化合物を局所的に又は座剤によって投与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

I
(式中、
R1は、-CN、-OCF3、ハロゲン、任意にハロゲン又は又はC1-3アルキルで置換されていてもよいヘテロアリール及び任意にハロゲンで置換されていてもよいフェニルから選択され;
R2は、ハロゲン又は-CF3であり;
R3は、H又はハロゲンであり;
R4は、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -NR11R12
d) -SOR11
e) -SO2R11
f) -C(O)NR11R12
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、及び
i) フェニル
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(C) C3-6シクロアルキル、
(D) ヘテロアリール、及び
(E) 任意にハロゲン、-OR11、-CN又は-CF3で置換されていてもよいフェニル
から選択され;
R5は、H、C1-5アルキル又はC3-4シクロアルキルであり(ここで、前記C1-5アルキルは任意に-OHで置換されていてもよい);又は
R4とR5が、それらが結合している炭素と一緒に3〜7個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し、ここで、前記炭化水素環の1個の炭素原子は、
a) 任意にC1-3アルキル、ハロゲン、-OR11、-CH2OR11、-C(O)R11、-SO2R11、-C(O)CH2CO2R11、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-CN、-C(O)OR11、-N(R11)C(O)R12、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(ここで、前記ヘテロシクリル及びヘテロアリールは任意にC1-4アルキル、-OH又は-CF3で置換されていてもよい)で置換されていてもよく、
或いは
b) -O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR11-、又は-NC(O)R11-と置き換わっていてもよく;
R6は、H又はC1-3アルキルであり;
R7は、CH3であり;或いは
R6とR7が、それらが結合している炭素と一緒に3〜7個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
Yは、それぞれN、O、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族5〜8員単環式基又は芳香族8〜11員二環式基であり;
R8は、
(A) -C(O)NR9R10又は
(B) -COOR11であり;
R9は、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -COOR11,
d) -NR11R12
e) -CONR11R12
f) -NR11C(O)R12,
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、
i) フェニル、
j) -SOR11、及び
k) -SO2R11
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-6シクロアルキル
から選択され;
R10は、H又はC1-3アルキルであり;或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜6個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1又は2個の炭素原子は、
-OR11、-CH2OR11、-C(O)NR11R12、-NR11C(O)R12及び-NR11R12で一置換又は二置換され、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子は、任意に-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR11-、-NC(O)R11-又は-NSO2R13-と置き換わっていてもよく;
R11は、H又はC1-3アルキルであり;
R12は、H又はC1-3アルキルであり;或いは
R11とR12が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子は任意に-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-NR13-、又は-NC(O)R13-と置き換わっていてもよく;かつ
R13は、C1-3アルキルである)
の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項2】
式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を形成し;
Yが、1〜3個の環窒素原子を含む6員ヘテロアリール基であり;
R8が、
(A) -COOH、又は
(B) -C(O)NR9R10であり;
R9が、下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) C3-6シクロアルキル、
b) -OR11
c) -COOR11
d) -NR11R12
e) -CONR11R12
f) -NR11C(O)R12
g) ヘテロアリール、
h) ヘテロシクリル、及び
i) フェニル
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-6シクロアルキル
から選択され;
R10がH又はC1-3アルキルであり;或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1又は2個の炭素原子が、
-OR11、-CH2OR11、-C(O)NR11R12、-NR11C(O)R12及び-NR11R12で一置換又は二置換され、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-O-、-NR11-、-NC(O)R11-又は-NSO2R13-と置き換わっていてもよく;
R11がH又はC1-3アルキルであり;
R12がH又はC1-3アルキルであり;かつ
R13がC1-3アルキルである、
請求項1に記載の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項3】
式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yがピリジル基であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位、5位、又は6位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H;
(B) 任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2
c) -NHC(O)CH3
d) -COOH、
e) -OCH3
f) ピリジル、
g) フラニル、
h) イミダゾリル、
i) フェニル、
j) シクロプロピル、及び
k) -NR11R12
から選択される1又は2つの基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-5シクロアルキル
から選択され;
R10がH、-CH3、又は-CH2CH3であり、或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、ここで、
a) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に
-OH、-CH2OH、-C(O)NH2、-N(CH3)2、-NHC(O)CH3又は-NCH3C(O)CH3で置換されていてもよく、
或いは
b) 前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-O-、又は-NH-、-NCH3-、-NSO2CH3-又は-NC(O)CH3-と置き換わっていてもよく;
R11がH又は-CH3であり;
R12がH又は-CH3である、
請求項1に記載の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項4】
式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yが下記基
【化2】

であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位又は5位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H、
(B) 任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2
c) -NHC(O)CH3
d) -COOH、
e) -OCH3
f) ピリジル、
g) フラン-2-イル、
h) 1-H-イミダゾール-1-イル、
i) フェニル、
j) シクロプロピル、
k) -N(CH3)2、及び
l) -NH2
の1又は2つで置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) C3-4シクロアルキル
から選択され;
R10が-H、又は-CH3であり、或いは
R9とR10が、それらが結合しているNと一緒に3〜5個の炭素原子の飽和炭化水素ブリッジを構成してヘテロ環式環を形成し、かつ前記ヘテロ環式環中の1個の炭素原子が任意に-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2で置換されていてもよく、或いは任意に-O-と置き換わっていてもよい、
請求項1に記載の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項5】
式中、
R1が-CN及び-OCF3から選択され;
R2がClであり;
R3がH又はFであり;
R4とR5が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
R6とR7が、それらが結合している炭素原子と一緒に3個の炭素原子の飽和炭化水素環を構成し;
Yが下記基
【化3】

であり;
R8が-C(O)NR9R10であり、かつYの4位又は5位に結合しており;
R9が下記基:
(A) H、
(B)任意に下記基:
a) -OH、
b) -C(O)NH2、又は
c) -COOH
の1つで置換されていてもよいC1-4アルキル、及び
(C) シクロプロピル
から選択され;
R10がHである、
請求項1に記載の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項6】
下表1:

表1



































中の化合物から選択される化合物、
又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項7】
化合物3、4、6、13、14、17、19、21、27、29、31、35、36、41、42、44、46、49、50、52、53、55、59、60、62、66、68、69、71〜73、77〜79、81、82、86〜88、90、91、94〜96、99〜102、105、107、109、112、114、117、120、121、126、128、129、131〜133、136、139〜142、144、146〜149、154、155、159、160、163、164、166及び172から選択される請求項6に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩と、少なくとも1種の医薬的に許容できる担体又はアジュバントとを含む医薬組成物。
【請求項9】
薬物として使うための請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
炎症又は炎症状態の治療用薬物として使うための請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
成人呼吸促迫症候群、ショック、酸素中毒、敗血症に続発する多臓器損傷症候群、外傷に続発する多臓器損傷症候群、心肺バイパス術に起因する組織の再灌流傷害、心筋梗塞、急性糸球体腎炎、血管炎、反応性関節炎、急性炎症要素による皮膚症、脳卒中、熱傷、血液透析、白血球除去、壊死性腸炎又は顆粒球輸血関連症候群、乾癬、臓器/組織移植拒絶反応、移植片対宿主反応、自己免疫疾患、レイノー症候群、自己免疫性甲状腺炎、皮膚炎、多発性硬化症、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、ブドウ膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス又は喘息の治療用薬物として使うための請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−528862(P2012−528862A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513999(P2012−513999)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036498
【国際公開番号】WO2010/141330
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】