説明

7a5/プログノスチンおよび腫瘍の診断および治療のためのその使用

本発明は、7a5/プログノスチンのポリペプチドをエンコードする核酸配列および、特に転移性腫瘍の腫瘍診断および腫瘍治療のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7a5/プログノスチン(7a5/Prognostin)のポリペプチドをエンコードする核酸配列および特に転移性腫瘍の診断および治療のためのその使用に関する。本発明の目的のため、本明細書中のすべての引用文献は引用により完全に参考事項に加えられたものとする。
【背景技術】
【0002】
転移の形成は複雑な多段階の過程である。この過程は多重の分子および細胞変化を含み、さらに原理的には以下の明確な4相に細分化することができる:a)原発腫瘍の成長および血管新生、b)血管系への単一(single)浸潤細胞の放出および侵入、c)血管系内での播種および標的器官での管外遊出、そして最終的にd)浸潤を受けた腫瘍細胞からの巨視的な転移の形成。
【0003】
この過程において、原発腫瘍の特定細胞はその細胞−細胞接触を喪失し、細胞外基質を経由して浸潤し、血液およびリンパ系を介して拡散する。これらの腫瘍細胞は最終的には管外遊出(extravade)し、特異的な標的器官で付着し、その場所で増殖することができ、これにより転移が形成される。
【0004】
転移性拡散との全般的な会合を示す分子群は、原発腫瘍と転移との間の比較においてすでに同定されていた。したがって、原発腫瘍における細胞接着分子(例えばカドヘリン)の調節不全が細胞−細胞接触の喪失に導き、そして動態化された腫瘍細胞が血管およびリンパ管系へ浸潤および侵入することが可能になる。血管系およびリンパ管系を介した腫瘍細胞拡散は、その後、その管の内皮細胞に付着する。この過程は内皮細胞上の接着分子(例えばE−セレクチン、LPAM、VCAM−1、LuECAM−1、ICAM−1)によって媒介され、腫瘍細胞の特異的な表面分子(例えばVLA−4、LFA−1)は選択的様式でその接着分子に結合することができる。転移性拡散の以後の過程では、転移性腫瘍細胞が細胞外基質の成分、例えばラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンおよびビトロネクチンとの結合が生じる必要がある。このことは種々のインテグリンによって媒介され、したがって、種々の転移能を有する腫瘍細胞は細胞外基質の種々の要素との接着については変動する。また組織阻害剤(MMPの組織阻害剤、TIMP)を伴う系中の基質分解酵素、例えば基質メタロプロテイナーゼ(MMP、特にMMP−9およびMMP−2)が腫瘍細胞の管外遊出および遊走に関して非常に重要である。これらの分子の活性は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子/ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPA/uPA受容体)系を介して組織特異的様式で調節され得る。この事象は例えば結腸直腸癌の肝臓転移におけるMMP−9の発現に関して証明されている。
【0005】
特異的接着分子(VCAM−1、LPAM、E−セレクチン、VLA、1CAM−1および種々のインテグリン)が標的器官での転移性腫瘍細胞の接着に必須である[例えば、非特許文献1〜4を参照すること]。腫瘍細胞は転移性拡散の標的器官で接着および増殖することができる特定微小環境を見出す必要がある(「種と土壌仮説」)。腫瘍細胞は最初は全身に拡散することができるが、最終的には特定器官においてのみ転移を生じさせる。したがって転移性拡散の必須要因は腫瘍細胞の標的器官への遊走ではなく、標的器官における特定環境内で腫瘍細胞が増殖する潜在能力である。「休眠中の」腫瘍細胞は転移が検出可能でない状態で数年間、身体中に存在するかもしれない。
【0006】
上記「種と土壌」仮説は器官特異的な転移性拡散に関して最も一般に認められている理論の1つである。さらに第二の理論が存在する。この理論によれば、内皮細胞は転移性拡散の標的器官の血管中で特定接着分子を発現し、これにより循環性腫瘍細胞の接着が導かれ、そしてこれらの特定器官において転移が形成される。第三のいわゆる化学誘引理論では、器官特異的分子が血流に侵入し、そしてこれらの分子が腫瘍細胞を転移性拡散の各標的器官へ遊走させ、そしてその部位で転移形成を誘導すると述べている。
【0007】
器官特異的な転移性拡散の分野における現在の研究では、長期の過程において選択的に活性化(または非活性化)される必要がある遺伝子であって、−身体中での腫瘍細胞拡散時には−未だ活性ではなかった(あるいは依然として活性であった)遺伝子が明らかに存在することが証明されている。したがって、特定標的器官の転移の中でいずれの遺伝子が異なる様式で発現されているかを各原発腫瘍と比較して調査する目的で、遺伝子発現解析は不可欠である。
【0008】
ドイツでは毎年、約20,000件の結腸癌(大腸癌)の新規症例が登録されている。結腸癌はいくつかの既知の転移性拡散標的部位を有する。例えば肝臓、リンパ節、肺、骨および脳である。
【0009】
Robert-Roessle-Klinikは外科手術を中心に取り扱う腫瘍学指向の医療センターである。毎年約300人の結腸癌患者が処置されており、そのうち約150〜170人の患者は原発腫瘍の転移を示す。標的器官の観察転移頻度は文献記載のデータと一致して、肝臓転移80%および肺転移15%である。5年生存率は約20〜25%であるが、単発性転移(肝臓、肺)の症例では約5%でしかない。
【0010】
肝臓は結腸癌の転移性拡散のための最も重要な標的器官を構成する。その理由は、この腫瘍細胞が門脈によって媒介され、まず肝臓内で捕捉され、その後他の器官へ播種するからである。
【0011】
他方、同様に既知であるのは、転移が肝臓で検出されなくても、転移が、例えば肺または骨に存在することが多いことである。したがって転移性結腸癌は、器官特異的な転移性拡散における異なった遺伝子発現をさらに研究する目的で遺伝子を同定および解析するための興味深いモデルを構成する。
【0012】
そのような遺伝子によってエンコードされたタンパク質は特定組織および器官での腫瘍細胞の接着に直接の機能を果たすかもしれない(器官特異的接着分子)。さらに、これらは標的器官の正常細胞との相互作用によって特定環境での細胞増殖および転移成長を可能にするかもしれない(例えば特異的受容体およびエフェクター)。さらに、そのようなタンパク質は、例えば種々のシグナル伝達経路および調節機構において特定標的器官内での転移成長のための腫瘍細胞の細胞内調整に必須であると考えられる。これに関連して重要なことは、各タンパク質−タンパク質相互作用ドメイン、例えばSrcホモロジードメイン(SH3、SH2ドメイン)またはEps15ホモロジードメイン(EHドメイン)を有するタンパク質である。これらのドメインはリガンドとの特異的結合を可能にする規定の配列モチーフである。SH3ドメインは−他の例の内で−そのようなタンパク質中に存在し、特異的リガンドをキナーゼまたはその基質へ導き、したがってチロシンキナーゼシグナル伝達経路の調節に決定的な役割を果たす。
【0013】
特に有益なことはそのようなマーカー遺伝子の同定である。実際の転移性拡散およびそれに基づいて、この過程の可能な予防の前に、特定標的器官内での転移の推定形成を予測するために、原発癌細胞内での該マーカー遺伝子の発現を利用することが出来る。
【非特許文献1】Streit Met al., Adhesion receptors in malignant transformation and dissemination ofgastrointestinal tumours. Recent Results Cancer Res. 1996; 142:19-50.
【非特許文献2】Imai K,et al. Regulation ofintegrin function in the metastasis of colorectal cancer, Nippon Geka GakkaiZasshi. 1998 Jul; 99(7):415-8.
【非特許文献3】KrauseT, Turner GA. Are selectins involved in metastasis? Clin Exp Metastasis. 1999 May;17(3):183-92
【非特許文献4】PorteraCA Jr, et al. Moleculardeterminants of colon cancer metastasis. SurgOncol. 1998 Nov-Dec;7(3-4):183-95
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって本発明の目的は、そのようなマーカー遺伝子により特定標的器官内における転移の形成に関して改善された診断および治療を達成することが可能なマーカー遺伝子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の側面では、以下の群から選択される7a5/プログノスチンのポリペプチドをコードする核酸配列を提供することによって、この目的を達成する:a)配列番号1に記載の配列を有する核酸配列、b)縮重した遺伝子コードの結果として、配列番号1に記載の核酸配列から導かれる核酸配列、c)配列番号1に記載の核酸配列の誘導体であって、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、かつアミノ酸レベルで少なくとも80%のホモロジーを示し、当該ポリペプチドの生物学的活性が有意に減少していない誘導体およびd)ヒトゲノム核酸配列であって、7a5/プログノスチンのための遺伝子を含み、かつ多型性を示す核酸配列。別の側面は、本発明による核酸配列によってエンコードされ、特に配列番号2のアミノ酸配列と一致して、同様に提供される7a5/プログノスチンポリペプチドに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
さらに本発明のポリペプチドの精製用に追加ポリペプチド(「タグ」)を付加してよい。タンパク質タグは、例えばマトリックスに高親和力で吸着させ、そして複合体を大量に溶出させることなく適切なバッファーで厳密に洗浄し、次いで吸着複合体を意図的に溶出させることを可能にする。当業者によく知られているタンパク質タグの例は、(His)タグ、V5タグ、Mycタグ、FLAGタグ、Strepタグ、StrepタグII、ヘマグルチニンタグ、グルタチオントランスフェラーゼタグ(GST)タグ、親和性−キチン−結合タグを有するインテイン(intein with anaffinity-chitin-binding-tag)またはマルトース結合タンパク質(MBP)タグである。これらのタンパク質タグは、N末端、C末端および/または内部に位置してよい。
【0017】
細胞から単離された天然ポリペプチドは別にして、本発明のすべてのポリペプチドまたはその部分は、無細胞条件下で、例えば合成またはインビトロ翻訳によって製造したものであってもよい。したがって完全ポリペプチドまたはその部分は、例えば古典的合成(メリフィールド法)によって合成してよい。本発明のポリペプチドの部分は抗血清の生成に特に適しており、該抗血清を用いて、各遺伝子発現ライブラリをスクリーニングし、本発明のポリペプチドの機能性変異体をさらに取得することができる。
【0018】
細胞から単離された天然核酸は別にして、本発明のすべての核酸またはその部分もまた合成によって製造したものでもよい。さらに、合成によって製造された核酸を使用して本発明を実施してもよい。したがって本発明の核酸は、例えば配列番号2に記載のタンパク質配列から出発し、遺伝子コードを利用して化学的に合成してもよく、この合成は、例えばホスホトリエステル法にしたがって達成される(例えばUhlmann & Peyman 1990, Chemical Reviews 90:543-584を参照すること)。
【0019】
アクセッション番号XP_294213.1(2003年4月28日に本データベースに登録)は816アミノ酸長を有するヒトポリペプチドを示す。ESTAI594717[ホモサピエンス(Homo sapiens)]に類似していると記載されるこの配列はその最後の813アミノ酸の中の配列番号2と同一であり、NCBIコンティグNT_007819からプログラム「GenomeScan」を使用する自動コンピュータ解析によって取得された。該遺伝子は第7染色体に位置する。該遺伝子に関する機能および予後的な有用性はいずれも知られていない。したがって本発明は、7a5/プログノスチンのゲノムDNA配列、完全長cDNAおよび推定タンパク質配列の同定を提供する。
【0020】
本発明の別の側面は、本発明の核酸配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに関する。オリゴヌクレオチドは、一方ではPCR反応において使用することができ、同時にハイブリダイゼーション反応のプローブとしても使用することができる重要な手段を構成する。可能性のあるその他の適用は、例えば遺伝子治療または変異誘発技術における治療物質として見出されことである。本発明のオリゴヌクレオチドは、DNA、dsDNA、RNA、mRNA、siRNA、PNAおよび/またはCNAを含む核酸の形式で存在しうる。該オリゴヌクレオチドはさらに「センス」または「アンチセンス」オリゴヌクレオチドとして存在してもよい。ハイブリダイゼーションに基づく検出技術では、本オリゴヌクレオチドはさらに、例えば色素、放射性核種、酵素または質量および電荷マーカーを用いて適切に標識してよい。標識は採用される実際の検出方法に依存する。本発明のオリゴヌクレオチドは好ましくはDNAであり、特に、少なくとも8ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド長、特に少なくとも24ヌクレオチド長を有する二本鎖DNAである。該オリゴヌクレオチドのための上限は実際の実施用途によって決定され、通常は最大50〜200ヌクレオチド長が好ましい。
【0021】
オリゴヌクレオチドは通常、エンドまたはエキソヌクレアーゼ、特に細胞中に存在するDNアーゼおよびRNアーゼによって速やかに分解される。したがって分解に対して核酸を安定化させるために、核酸を修飾することが有益であり、その結果高濃度の核酸が細胞中で長期にわたって維持される(Beigelmann et al.1995, Nucleic Acids Res. 23:3989-94; Dudycz 1995, WO95/11910; Macadam et al. 1998, WO 98/37240; Reese et al. 1997, WO 97/29116)。典型的には、そのような安定化は1つまたは複数のインターヌクレオチドリン酸基の導入または1つまたは複数の非ホスホルインターヌクレオチド(non-phosphor-internucleotides)の導入によって達成することができる。
【0022】
適切な修飾インターヌクレオチドはUhlmann and Peymann(1990, Chem. Rev. 90:544)に総括されている(さらにBeigelman et al. 1995, Nucleic Acids Res. 23:3989-94;Dudycz 1995, WO 95/11910; Macadam et al. 1998, WO98/37240; Reese et al. 1997, WO 97/29116を参照のこと)。本発明の適用において採用してよい核酸中の修飾インターヌクレオチドリン酸部分および/または非ホスホルエステル結合は、例えばホスホン酸メチル(methylphosphonate)、ホスホロチオエート(phosphorothioate)、ホスホルアミダート(phosphoramidate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate)、リン酸エステル(phosphateester)を含み、また非ホスホルインターヌクレオチドアナログは、例えばシロキサン架橋(siloxanebridges)、カーボネート架橋(carbonate bridges)、カルボキシメチルエステル(carboxymethylester)、アセトアミデート架橋(acetamidate bridges)および/または硫黄架橋(sulphur bridges)を含む。さらに、この修飾が本発明の1適用において使用することができる医薬組成物の耐久性を改善することを意図している。
【0023】
各遺伝子の発現用には一般に二本鎖DNAが好ましく、またポリペプチドをコードするDNA領域が特に好ましい。この領域はKozakコンセンサス配列(Kozak 1987, Nucleic Acids Res. 15:8125-48)中に位置する第1の開始コドン(ATG)で開始し、ATGと同一リーディングフレーム中の次の終止コドン(TAG、TGAまたはTAA)まで伸びる。本発明の核酸配列の別の適用は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(Zheng and Kemeny 1995, Clin. Exp. Immunol. 100:380-382;Nellen and Lichtenstein 1993, Trends Biochem. Sci. 18:419-23)および/またはリボザイム(Amarzguioui et al. 1998, Cell. Mol. Life Sci. 54:1175-202; Vaish,et al. 1998, Nucleic Acids Res. 26:5237-42; Persidis1997, Nat. Biotechnol. 15:921-2; Couture and Stinchcomb 1996, Trends Genet. 12:510-5)の構築である。「アンチセンス」オリゴヌクレオチドを用いて、本発明の核酸の安定性を減少させおよび/またはその翻訳を阻害することができる。ゆえに、インビボおよびインビトロの両環境において各遺伝子の細胞内発現を減少させることが可能である。したがって、オリゴヌクレオチドは治療物質として適しているであろう。プローブまたは「アンチセンス」オリゴヌクレオチドとしての適用では、一本鎖DNAまたはRNAが好ましい。本発明のオリゴヌクレオチドは、DNA、dsDNA、RNA、mRNA、siRNA、PNAおよび/またはCNAを含む核酸の形式で存在してもよい。特に好ましい本発明の別の側面はsiRNA形式の治療物質としてオリゴヌクレオチドに関する。遺伝子治療のこのアプローチは腫瘍治療においても当業者によく知られており、例えば以下に挙げる文献および本明細書中で引用された別の参考文献から集めることができる。一般的な技術背景は例えば以下に挙げる文献中に記載されている:Ait-Si-Ali S, Guasconi V, Harel-Bellan A. RNAinterference and its possible use in cancer therapy. Bull Cancer. 2004 Jan;91(1):15-8; Caplen NJ, Mousses S. Short interfering RNA (siRNA)-mediated RNA interference(RNAi) in human cells. Ann N Y Acad Sci. 2003 Dec;1002:56-62; Caplen NJ. RNAi as a gene therapy approach. Expert Opin Biol Ther. 2003 Jul;3(4):575-86; Lu PY, Xie FY, Woodle MC. siRNA-mediatedantitumourigenesis for drug target validation and therapeutics. Curr Opin Mol Ther. 2003 Jun;5(3)225-34; およびOshiumi H, Begum NA, Matsumoto M, Seya T. RNAinterference for mammalian cells. Nippon Yakurigaku Zasshi. 2002 Aug;120(2):91-5。siRNA治療用の特定ベクターに関する情報は以下に挙げる文献中に見出せる:Devroe E, Silver PA. Therapeutic potentialof retroviral RNAi vectors. Expert Opin Biol Ther. 2004 Mar;4(3):319-27. Devroe E, Silver PA.Retrovirus-delivered siRNA. BMC Biotechnol. 2002 Aug 28;2(1):15. Tran N, Cairns MJ, Dawes IW,Arndt GM. Expressing functional siRNAs in mammaliancells using convergent transcription. BMC Biotechnol. 2003 Nov 06;3(1):21. Futami T, Miyagishi M, Seki M,Taira K. Induction of apoptosis in HeLa cells with siRNA expression vectortargeted against bcl-2. Nucleic Acids Res Suppl. 2002;(2):251-2. Scherr M,Battmer K, Ganser A, Eder M.Modulation of gene expression by lentiviral-mediated delivery of smallinterfering RNA. Cell Cycle. 2003 May-Jun;2(3):251-7. Shen C, Reske SN. Adenovirus-delivered siRNA. Methods Mol Biol. 2004;252:523-32. Salmons B, Gunzberg WH. Targeting of retroviral vectors for gene therapy. Hum Gene Ther. 1993 Apr;4(2):129-41, およびKobayashi N, Matsui Y, Kawase A, Hirata K,Miyagishi M, Taira K, Nishikawa M, Takakura Y. Vector-based in vivo RNAinterference: dose- and time-dependent suppression oftransgene expression. J Pharmacol Exp Ther. 2004 Feb;308(2):668-93. Epub 2003 Nov 10。最後にNaito Y,Yamada T, Ui-Tei K, Morishita S, Saigo K. siDirect: highly effective, target-specific siRNA design software for mammalian RNAinterference. Nucleic Acids Res. 2004 Jul 1;32(Web Server issue):W124-9はsiRNA分子の設計および構築用プログラムを典型的に記載している。
【0024】
本発明の別の側面は、疾患処置用の本発明の核酸分子、本発明のポリペプチドまたは本発明のオリゴヌクレオチドに関する。ヒト疾患に関連してこれら物質を使用する可能性は現在までは知られていなかった。
【0025】
本発明の別の側面は、好ましくはプラスミド、シャトルベクター、ファージミド、コスミド、発現ベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター(Miller, et al. “Improved retroviral vectors for gene transfer andexpression”, BioTechniques Vol. 7, No. 9, p 980, 1989)および/または本発明の核酸を含有する、遺伝子治療上有効なベクター形式のベクターに関する。したがって本発明の核酸はベクター、好ましくは発現ベクターまたは遺伝子治療上有効なベクター中に含有されてもよい。遺伝子治療上有効なベクターは本発明の核酸に機能的に連結されている細胞特異的な制御配列を含むことが好ましい。発現ベクターは原核生物または真核生物の発現ベクターであってよい。原核生物の発現ベクターに関する例は、大腸菌(E.coli)での発現用には、例えばベクターpGEMまたはpUC誘導体であり、真核生物の発現ベクターに関する例は、酵母(Saccharomycescerevisiae)での発現用には、例えばベクターp426Met25またはp426GAL1(Mumberg et al. 1994, Nucleic Acids Res. 22:5767-5768)であり、昆虫細胞での発現用には、例えばEP-B1-0127 839またはEP-B1-0 549 721に開示されるベクターのようなバキュロウイルスベクターであり、ならびに哺乳類細胞での発現用には、例えばベクターRc/CMVおよびRc/RSVまたはSV40ベクターである。これらはすべては一般に入手可能である。
【0026】
一般に発現ベクターも、例えば大腸菌での発現用には、trpプロモーター(例えばEP-B1-0 154 133を参照のこと)、酵母での発現用には、Met25、GAL1またはADH2プロモーター(Russel et al. 1983, J. Biol. Chem. 258:2674-2682)、昆虫細胞での発現用には、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーター(例えばEP-B1-0127 839を参照すること)のような各宿主細胞に適したプロモーターを含む。哺乳類細胞での発現に適しているのは、例えば真核細胞において構成性、調節性、組織特異的、細胞周期特異的、または代謝特異的な発現を可能にするプロモーターである。本発明の調節性因子は、プロモーター、アクチベーター配列、エンハンサー、サイレンサーおよび/またはリプレッサー配列である。真核生物内で構成性発現を可能にする適切な調節性因子の例は、RNAポリメラーゼIIによって認識されるプロモーターまたはウイルスプロモーター、CMVエンハンサー、CMVプロモーター、SV40プロモーターまたは、例えばMMTV(マウス乳癌ウイルス;Leeet al. 1981, Nature 214:228-232)由来のプロモーターに似たLTRプロモーターおよびさらに別のウイルスプロモーター配列およびアクチベーター配列、例えばHBV、HCV、HSV、HPV、EBV、HTLVまたはHIV由来の配列である。真核生物内での計画的発現を可能にする調節性因子の例は、各リプレッサーと組み合わせたテトラサイクリンオペレーターである(Gossen et al. 1994, Curr. Opin. Biotechnol. 5:516-20)。
【0027】
トランスフェクション、形質転換または感染を利用した本発明の核酸の導入にしたがって、真核または原核細胞内でのポリペプチドの発現を可能にするために、その核酸はプラスミドとして、またはウイルスまたは非ウイルスベクターの部分として存在することが出来る。ウイルスベクターとして特に適しているのは:レトロウイルス、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびヘルペスウイルスである。非ウイルスベクターとして特に適しているのは:ウイロソーム、リポソーム、カチオン性脂質またはポリリシンコンジュゲート型DNAである。遺伝子治療上有効なベクターの例は、例えばアデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターに似たウイルスベクターである(Lindemann et al.,1997, Mol. Med. 3:466-76; Springer et al. 1998, Mol. Cell. 2:549-58)。
【0028】
本発明のポリペプチドのインビボ発現を達成する好ましい機構は、特にレトロウイルス粒子を用いるウイルス遺伝子導入(transfer)である。これらは好ましくは各標的細胞、好ましくは患者のTリンパ球にエキソビボで、形質導入によって本発明のポリペプチドをコードする遺伝子またはヌクレオチド配列を供給するために使用される。その後に新規特異性とともに導入される抗腫瘍および/または免疫調節性エフェクター機能を持ち込むために、その標的細胞を養子細胞移入の形式で患者内へ再注入しても良い。このアプローチを用いて、免疫不全を特徴とするSCID−X1疾患の新生児の処置において非常に良好な遺伝子治療成果が得られた。その処置では、血液前駆細胞にレトロウイルス導入によってχ−鎖遺伝子の非機能性変異型の類似の無傷導入遺伝子を備え付けた。該遺伝子は健康状態において適応免疫系の諸エフェクター細胞の分化に必須であり、これらの小児では非機能性変異型として存在する(Cavazzana-Calvo et al., 2000)。
【0029】
さらに、インビボで遺伝子導入を実施する可能性が存在する。この遺伝子導入は、一方では感染性粒子の選択的定位注入により、他方ではウイルス産生細胞の直接適用による(Oldfield et al.,Hum. Gen. Ther., 1993, 4:39-69)。
【0030】
現在の知識水準によって遺伝子導入に一般に使用されるウイルスベクターは主にレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクターである。これらは天然ウイルス由来の環状ヌクレオチド配列であり、その配列中、少なくともウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子が導入対象のコンストラクト(構築物)に置き換えられている。新規の非ウイルスベクターは自律性自動組込みDNA配列(autonomous self-integrating DNA-sequences)であるトランスポゾンからなり、そのトランスポゾンは例えばリポソームトランスフェクションによって宿主細胞内へ導入され、しかも哺乳類細胞内でのヒト導入遺伝子の発現のために初めて首尾良く使用された(Yant et al., 2000)。
【0031】
また遺伝子治療上有効なベクターは本発明の核酸をリポソームと複合体化させる様式で取得してもよい。その理由はこの事が、特に皮膚細胞において、非常に高いトランスフェクション効率を達成させるからである(Alexander and Akhurst 1995, Hum. Mol.Genet. 4:2279-85)。リポフェクションのためにはリポソーム懸濁物の超音波処理によってカチオン性脂質からなる単層の小胞を製造する。DNAはイオン結合式に、すなわち正味の正荷電が残存し、100%のプラスミドDNAがリポソームによって複合体化されている関連においてリポソーム表面に結合している。Felgnerら(1987, 上記)によって使用された脂質混合物DOTMA(1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウムブロミド)およびDPOE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)の他に、その後多数の新規脂質製剤が合成されており、諸細胞株のトランスフェクション効率に関して試験された(Behret al. 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6982-6986;Felgner et al. 1994, J. Biol. Chem. 269:2550-25561;Gao and Huang. 1991, Biochim.Biophys. Acta 1189:195-203)。新規脂質製剤の例は、DOTAP N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルサルフェートまたはDOGS(TRANSFECTAM;ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)である。細胞内への核酸の導入を改善する補助剤は、例えばDNAに結合したタンパク質もしくはペプチドまたは合成ペプチドDNA分子であって、細胞の核内への核酸の輸送を可能にする分子であってよい(Schwartzet al. 1999, Gene Therapy 6:282; Branden etal. 1999, Nature Biotech. 17:784)。また補助剤には細胞の細胞質内への核酸の放出を可能にする分子(Kiehler et al. 1997, Bioconj.Chem. 8:213)または例えばリポソーム(Uhlmann and Paymann 1990, 上記)が含まれる。遺伝子治療用ベクターの他の特に適した形式は本発明の核酸を金粒子上にコーティングすることによって取得することができ、その後、該粒子はいわゆる「遺伝子銃」によって組織内、好ましくは皮膚内へ、あるいは細胞内へ撃ち込まれる(Wanget al., 1999, J. Invest. Dermatol. 112:775-81)。別の側面は遺伝子銃によって「裸のDNA」を導入することに関する。この導入は例えばTNiidome and L Huang; Gene Therapy Progress andProspects: Nonviral vectors; Gene Therapy (2002) 9,1647-1652およびその引用文献に記載される通りである。
【0032】
本発明の核酸の遺伝子治療上の適用に関してさらに有益なことは、前記ポリペプチドをコードする核酸の部分がイントロン配列を含む1つまたは複数の非コーディング配列を含有し、その際にこれらの配列が好ましくはプロモーターとポリペプチドの開始コドン、および/または、特に当該遺伝子の3’末端で、ポリA配列、特に天然に存在するポリA配列またはSV40ウイルスポリA配列間に位置する場合である。その理由はこれによりmRNAの安定化が可能になるからである(Jackson 1993, Cell 74:9-14およびPalmiteret al. 1991, Proc Natl. Acad. Sci. USA 88:478-482)。
【0033】
本発明の別の側面は、本発明の少なくとも1核酸配列または少なくとも1ベクターを含有する組換え宿主原核生物または真核生物に関する。この「宿主生物」は、二倍体細胞、植物細胞、哺乳類細胞、線形動物細胞、魚類細胞、昆虫細胞および特に非ヒト幹細胞であるか、あるいはこれらの中にあり得る。好ましい例はマウス幹細胞であろう。さらに本発明は、組換え非ヒト生物、特に遺伝子欠損または「ノックアウト」−哺乳類(例えば、ヤギまたはヒツジのような)、−齧歯類(例えば、ウサギ、マウス、ラットまたはハムスターのような)、−線形動物(例えば、線虫(Caenorhabditis elegans)のような)、−魚類(例えば、ゼブラフィッシュのような)、植物(例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsisthaliana)、トウモロコシ、コメ、コムギまたはジャガイモのような)、昆虫またはクラゲであって、これらにあっては各7a5/プログノスチンに関する遺伝子が変異または欠失している組換え非ヒト生物を提供する。これらの実験生物は有益な「ツール」であり、例えば、結合パートナーをスクリーニングするために、使用してもよい(例えば以下を参照すること)。そのような生物を生産するための方法は各関連文献から当業者に周知である。
【0034】
本発明の別の側面は、7a5/プログノスチン発現に関連する疾患の診断、予後および治療を最適化するため、または本発明のポリペプチドを標的にし、該ポリペプチドと特異的に反応する薬理活性物質を同定するためのポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、この場合、上記のポリペプチドの部分はそれ自体が免疫原性であるか、あるいは免疫原性があるにしてよいか、あるいは例えば、ウシ血清アルブミンのような適切な担体と組み合わせることによってその免疫原性を高めてもよい。この抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり;好ましくはモノクローナル抗体である。本発明では、抗体なる用語は、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二重またはオリゴ特異性抗体、単鎖抗体、F(ab)-またはF(ab)-フラグメント(例えば、EP-B1-0 368 684, US 4,816,567, US4,816,397, WO 88/01649, WO 93/06213, WO 98/24884を参照すること)のような遺伝学的に製造され、しかも潜在的に修飾されている抗体またはその抗原結合部分も包括し得る。本発明の抗体を7a5/プログノスチン発現に関連する疾患の診断、治療的モニタリングおよび/または処置のために、あるいは薬理活性物質を同定するために使用することができる。別の側面は組織学的切片を評価するための抗体(pAK、mAK)の製造に関する。
【0035】
本発明の別の側面は、7a5/プログノスチン発現に関連する疾患を診断および/または処置するため、あるいは薬理活性物質を同定するための、好ましくはポリクローナルまたはモノクローナル抗体の製造方法であって、本発明のポリペプチドまたはその機能的等価物または、少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8アミノ酸、特に少なくとも12アミノ酸を含有するその部分または本発明の核酸で抗体産生生物を免疫化することを特徴とする、方法に関する。
【0036】
本方法は、当業者に一般に知られている技術にしたがって、本発明のポリペプチドまたはその上記部分またはそれをコードする核酸(群)で哺乳類、例えばウサギを免疫化することによって達成され、有益であれば、この免疫化は例えば、フロイント補助剤および/または水酸化アルミニウムゲルの存在下で行う(例えばDiamond et al. 1981, The New England Journal of Medicine, pp1344-1349を参照すること)。免疫学的反応の結果動物内で産生されたポリクローナル抗体は、その後一般に既知の方法によって血液から容易に単離することができ、そして例えばカラムクロマトグラフィを用いて精製することができる。モノクローナル抗体は、例えばWinter& Milstein(1991, Nature 349:293-299)に記載の既知の方法にしたがって製造することができる。
【0037】
本発明のさらに別の側面は、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体を含む、適切であれば、製薬的に許容される担体および/または補助剤と組み合わせた、医薬組成物に関する。
【0038】
本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体を含有する、例えば薬剤形式の医薬組成物の製造または本発明に基づく適用上のその使用は一般的な製薬的/技術的方法にしたがって従来形式で達成される。この目的では、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体を製薬的に許容される補助剤および担体物質と組み合わせて、諸症状および適用部位に適した医薬処方剤に加工する。
【0039】
これにより、それぞれ所望の放出速度、例えば短時間の放出および/または遅延もしくは持続効果を実現するように医薬品を製造することができる。そのような医薬製品の例は、軟膏、ゲル、硬膏、エマルジョン(乳剤)、ローションまたは泡剤、クリームまたは混合相または両親媒性エマルジョン系(油/水または水/油混合相)、リポソーム、トランスファーソーム(transfersome)、ペーストまたは粉末である。
【0040】
本発明における用語「補助剤(物質)(adjuvant(substance))」とは、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドもしくは本発明の抗体または患者の身体と不適切に不都合な様式で反応しない限りにおいて、任意の無毒の、固体のまたは液体の充填材料、希釈剤または包装材料(packingmaterial)を意味する。液状生薬補助剤は、例えば滅菌水、生理食塩水、糖液、エタノールおよび/または油である。錠剤およびカプセル剤製造用の生薬補助剤は例えば結合剤および充填材料を含有し得る。
【0041】
さらに、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドおよび/または本発明の抗体は全身適用型の薬剤形式で使用することができる。これらの薬剤は非経口用(parenteralia)であってもよく、注射剤(injectabilia)および注入剤がこれに属する。注射剤は、アンプル形式で、あるいはいわゆる調製済み(ready-to-use)注射剤、例えば調製済みシュリンジまたは使い捨てシュリンジとして、また一方では複数回投与用注射ボトルとして製造される。注射剤は、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)または皮内(i.c.)適用の形式で投与することができる。特に、適切な各注射用製剤は結晶懸濁液、溶液、ナノ粒子性または例えば、ヒドロゾルのようなコロイド性分散系として製造することができる。
【0042】
注射用調製物はさらに濃縮物として製造してよい。該濃縮物は等張希釈剤水溶液に溶解または分散させる。注入剤も同様に、等張溶液、脂肪乳剤、リポソーム調製物またはマイクロエマルジョンとして調製することができる。注射剤と同様に、注入用調製物もまた希釈用の濃縮物の形式で製造することができる。また注射用調製物は入院および外来の両治療において持続注入形式、例えばミニポンプの形式で投与することができる。
【0043】
本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体はマイクロキャリアまたは非経口剤中のナノ粒子、例えば微小分散型の、ポリ(メタ)アクリラート、ポリラクタート、ポリグリコラート、ポリアミノ酸(poly-amin acids)またはポリエーテルウレタンに基づく粒子に結合させることができる。また非経口調製物はデポー調製物として修飾してもよい。当該修飾は例えば、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体が微小分散、分散または懸濁形式で存在するか、あるいは結晶懸濁物に加工される場合には、「高単位原理(multipleunit principle)」から出発する、あるいは本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体が医薬製剤、例えば後に埋め込まれる、錠剤またはスティック中に包埋される場合には、「1単位原理(singleunit principle)」から出発する。これらの1単位および高単位製剤中のインプラントまたはデポー調製物は、例えば乳酸またはグリコール酸のポリエステル、ポリエーテルウレタン、ポリアミノ酸、ポリ(メタ)アクリラートまたはポリサッカライドのようないわゆる生分解性ポリマーからなることが多い。
【0044】
非経口剤の調製において補助剤および担体物質としては、滅菌水(aqua sterilisata)、pH作用を有する物質、例えば有機および無機の酸および塩基ならびにその各塩のようなpH効果を有する物質、pH調節用バッファー物質、例えば塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、グルコースおよびフルクトースのような等張状態到達用の物質、例えばポリオキシエチレンソルビタンの部分脂肪酸エステル(Tween(登録商標))または例えばポリオキシエチレンの脂肪酸エステル(Cremophor(登録商標))のような界面活性剤または表面活性を有する物質および乳化剤、例えばピーナッツ油、ダイズ油またはヒマシ油のような脂肪油、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルまたは中性油(Miglyol(登録商標))のような合成脂肪酸エステル、ならびに、例えばゼラチン、デキストラン、ポリビニルピロリドンのようなポリマー性補助剤、例えばプロピレングリコール、エタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールのような溶解性を改善する有機溶媒の添加物、または例えばクエン酸塩(エステル)および尿素のような錯体形成物質、例えば安息香酸ヒドロキシプロピルおよび−メチルエステル、ベンジルアルコールのような保存剤、例えば亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤および例えばEDTAのような安定化剤である。
【0045】
懸濁物中、増粘剤を添加することは、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体の沈殿を防ぐ目的を有する;界面活性剤および解こう剤(peptisators)は堆積物が旋回し得るように確保する目的を有する;さらに例えば、EDTAのような錯体形成剤を加えてよい。さらに例えば、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、カルボキシメチルセルロース、Pluronics(登録商標)またはポリエチレングリコールソルビトール脂肪酸エステルのような諸ポリマーとの医薬活性複合体を製造してよい。凍結乾燥調製物の製造には、マンニトール、デキストラン、サッカロース、ヒトアルブミン、ラクトース、PVPまたはゼラチンタイプのような材料を使用する。
適切な各医薬製剤は、製薬−物理学の知識に基づく処方および手法にしたがって調製することができる。これらの処方および手法は当業者によく知られている。
【0046】
最後の側面は遺伝子治療において、例えばリポソーム、「粒子銃」技術または「遺伝子銃」技術のような一般的なトランスフェクション系を既述のように「裸のDNA」とともに用いる本発明の核酸および/またはオリゴヌクレオチドの投与に関する。
【0047】
本発明の別の項目は、本発明のベクターまたは本発明の別の遺伝子コンストラクトでトランスフェクトされた宿主細胞である。宿主細胞は原核細胞ならびに真核細胞であってよい。原核宿主細胞の例は大腸菌(E. coli)であり、真核宿主細胞の例は酵母(Saccharomyces cerevisiae)および昆虫細胞である。別の適切な細胞および生物は既述である。
【0048】
本発明の別の側面は、本発明の核酸配列、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体を含む診断用組成物に関する。本発明の診断用組成物は本発明の診断用キット(以下を参照すること)の部分として提供してもよい。
【0049】
本発明のさらに別の側面は腫瘍疾患の診断方法であって、病理組織から採取された生体サンプル中の7a5/プログノスチン発現を測定する段階および健常組織中の7a5/プログノスチン発現と比較する段階を含む方法に関する。7a5/プログノスチン発現の測定がハイブリダイゼーション、PCR、「リアルタイム」(RT)−PCR、抗原抗体結合、ELISA、光学的プロテオーム解析、1次元または多次元ゲル電気泳動、質量分析による解析、クロマトグラフィ、シークエンシング(配列決定)法、メチル化解析、SNP決定またはこれらの方法の組み合わせを含む本発明の方法が好ましい。
【0050】
したがって、本発明は、例えば(特に)リアルタイムRT−PCRを利用した7a5/プログノスチン発現の転写測定を確立するおよび適用することを提供する。一例として、未知のサンプル(例えば腫瘍RNA)中の7a5/プログノスチンの発現レベルを市販のヒト結腸癌標準細胞株SW620中の7a5/プログノスチン発現のパーセンテージとして求めた。
【0051】
本発明の別の側面は、腫瘍疾患の診断方法であって、該腫瘍疾患が転移性結腸癌である方法に関する。上記情報から出発して、上記方法にしたがって求めた7a5/プログノスチン発現レベルに関する予後値を得る。これらの値は臨床パラメータとして有用である。現在までには、7a5/プログノスチン転写物の発現と転移性拡散および/または転移を伴わない生存率(metastasis-free survival)または一般生存率のような臨床パラメーターの間の相関についての記述は存在しない。インビトロ系の場合には、7a5/プログノスチンcDNAのトランスフェクションはヒト結腸癌細胞の成長増加および遊走増加に導く。インビボ実験では、トランスフェクトされた細胞クローンの増加した成長特性が皮下および同所性の動物の両モデルにおいて測定された。同所性(orthotropic)モデルでは、さらに肝臓において転移の形成が起こった。7a5/プログノスチン転写物の発現と特に結腸癌の遠隔転移性拡散のための予後との相関は現在までは未知であり、その相関は驚くべきものである。
【0052】
本発明では、腸、肝臓、リンパ節、肺、骨または脳由来の腫瘍生検から調査対象の生体サンプルを得ることができる。しかし、唾液、尿、血液またはその部分のような生体サンプルを使用することもできる。
【0053】
本発明の別の重要な側面は、腫瘍疾患の処置方法であって、7a5/プログノスチン発現の調節を含む方法に関する。本発明は、例えば結腸癌の症例における、7a5/プログノスチンの(他の因子のうちで、転写に関する)発現レベルと転移性拡散の器官特異性との相関およびさらに遠隔転移の形成の見込みに関する。したがって、腫瘍診断用のマーカー遺伝子として、しかもさらに、例えば結腸癌における遠隔転移の形成に影響を与える(を予防する)腫瘍治療用の介入標的としてこの新規遺伝子の利用可能性が提供される。本発明では、腫瘍疾患処置用のアプローチは上記のように本発明の医薬組成物の投与を含むことができる。したがって本発明の別の具体的側面は腫瘍疾患の処置方法であって、その腫瘍疾患が転移性結腸癌である方法である。
【0054】
本発明の別の側面において腫瘍疾患の転移性拡散における7a5/プログノスチンの役割の同定が7a5/プログノスチンに結合する物質の検出方法において、7a5/プログノスチンを「標的」として使用する可能性を提供する。本発明では、この方法は、7a5/プログノスチン発現細胞(例えば上記組換え細胞)を候補物質と接触させる段階、7a5/プログノスチンに結合する候補物質の存在を検出する段階およびその候補物質も7a5/プログノスチンに結合するかどうかを決定する段階を含む。そのようなスクリーニングを所定の手順で達成する方法は製薬技術水準の当業者によく知られている。「ハイスループット技術」を用いて、適切な物質ライブラリーをスクリーニングすることができる。これらのライブラリーおよびそのスクリーニングは当業者によく知られており、追加の発明的労力を伴うことなく本発明の条件に容易に適合させることができる。
【0055】
本発明の別の側面は医薬組成物の製造方法に関し、上記のスクリーニング法の段階および段階c)で同定された物質を製薬的に許容される形式で適切に製剤化する段階を含む方法に関する。
【0056】
本発明の別の側面は、腫瘍疾患の診断および/または処置のための、本発明の核酸配列、本発明のポリペプチド、本発明のオリゴヌクレオチドまたは本発明の抗体の使用に関する。このための各側面は既述である。患者の7a5/プログノスチン発現の変化を解析することから出発することによって、処置に使用された治療物質の薬物動態をさらに測定することが出来て、したがって適切な様式で処置パラメータを修正することができる(この場合、専門家は他の既知パラメータにも精通している)。本側面は「個別化医療(personalisedmedicine)」としても知られている。さらにまた、イメージに基づく診断または治療(分子イメージング、方向付けした治療(molecular imaging,directed therapy))での使用のために本発明の項目にリンカー(linker)を結合させることが可能である。これらのリンカーは例えば以下に挙げる文献から当業者に既知である:Trail PA, King HD, Dubowchik GM. Monoclonal antibody drug immunoconjugates for targetedtreatment of cancer. Cancer Immunol Immunother. 2003 May;52(5):328-37. Epub 2003 Jan 16.; Signore A, Annovazzi A,Chianelli M, Corsetti F, Van de Wiele C, Watherhouse RN. Peptide radiopharmaceuticals for diagnosisand therapy. Eur J Nucl Med. 2001 Oct;28(10):1555-65.Epub 2001 Jul 31. Erratum in: Eur J Nucl Med 2001Nov;28(11):1737; およびMehvar R. Dextrans for targeted and sustained delivery oftherapeutic and imaging agents. J Control Release. 2000 Oct 3;69(1):1-25。
【0057】
本発明の別の側面は、ヒト遺伝性疾患のためのマーカーとしての本発明の核酸配列の使用に関する。この目的のためには、7a5/プログノスチンの配列を特定変異(例えばSNPまたは他の点変異)のために解析し、該変異は転移性拡散への諸傾向の原因であるかもしれない。また、本発明の核酸配列または本発明のオリゴヌクレオチドを遺伝子治療に使用することが可能である。その各側面は既に上で討議ずみであり、さらにsiRNAおよび/またはアンチセンス技術を含む。
【0058】
最後に、本発明はさらに、上記の診断用組成物を有し、しかも適当であれば、適切なバッファーおよび/または取扱指示書も含有する診断用キットを含む。一実施態様では、本発明の診断用キットはPCRキット、特にRT−PCTキット形式で、あるいはELISAキットとして提供される。
【0059】
「リアルタイム」RT−PCR用のそのようなキットの一例は、例えばリアルタイムRT−PCR用の全試薬と併せて、7a5/プログノスチン発現の転写検出のために発明者などによって設計されたプライマーおよびプローブによって実現できるであろう。さらに、発明者らは再現可能であって、かつ容易に使用可能な作業プロトコルを記載している。本発明の別の側面は、DNAチップ技術に(当技術において一般的なすべてのコントロールを使用しながら)7a5/プログノスチンを包含させることである;この場合、「すべての」既知遺伝子を−それぞれ最新の形式で−含むチップ中、しかし特に、対象関連様式で、例えば規定の腫瘍要素、シグナル伝達経路等の特定遺伝子を含有するそのようなチップ中の両者に包含させる。
【0060】
結腸癌患者の原発腫瘍における、本明細書中に記載の、新規同定遺伝子7a5/プログノスチンの発現測定の使用は、特に(例えば肝臓または肺における)遠隔転移の形成と関連付けられる。発明者らは、結腸癌患者のヒト原発腫瘍、種々の標的器官の転移および対応する健常組織において発現比較解析を用いて新規遺伝子7a5/プログノスチンを同定した。これはヒトゲノムの第7染色体上に位置する。
【0061】
驚くべきことに7a5/プログノスチンの転写発現は、a)悪性組織(原発腫瘍、転移)内では対応する健常組織内よりも高く、b)結腸癌の遠隔転移、例えば肝臓および肺内では対応する原発腫瘍内よりも高く、c)特に、すでに転移性拡散を被っているか、あるいは疾患経過中に明らかな転移性拡散を示す原発腫瘍内では転移挙動を示さない原発腫瘍内よりも高い。
【0062】
新規遺伝子7a5/プログノスチンの転写検出に基づく結腸癌患者の遠隔転移の形成に関する予後方法の本明細書中で示された発明は主要な臨床問題を重点的に取り扱うので、本発明への関心は世界中のすべての腫瘍学の医療センターおよび研究機関全体に無制限に提示することが出来る。
【0063】
特に、本発明は以下の利点を提供する:
a)新規に同定された7a5/プログノスチンcDNAの配列を各推定タンパク質配列とともに提供し、その中で特徴的相互作用ドメインを表示する(図3)。
b)インビトロ系において、7a5/プログノスチンcDNAをトランスフェクトするとヒト結腸癌細胞の成長増加および遊走増加になる。
c)皮下および同所性の両動物モデルにおけるインビボ実験では、トランスフェクトされた細胞クローン内で成長特性の増加が検出された。同所性モデルでは、さらに肝臓における転移の形成が生じた。
d)結腸癌患者の原発腫瘍、転移および対応する健常組織内での相対的7a5/プログノスチンmRNA発現を求める。
e)結腸癌患者の原発腫瘍内での相対的7a5/プログノスチンmRNA発現を求める。
【0064】
リアルタイムRT−PCRの使用は転写発現解析の「現行技術」の方式になっているので、本発明の適用に必要な装置設備を世界中の研究室にますます予想することができる。
【0065】
本発明はこれ以降、例示的方法で、添付の図面および配列を参照してさらに説明する。
配列番号1:7a5/プログノスチンのcDNA配列を示す。
配列番号2:7a5/プログノスチンのタンパク質配列を示す。
配列番号3〜配列番号6:実施例で使用するオリゴヌクレオチドを示す。
配列番号7:実施例由来の例示的siRNA分子を示す。
【実施例1】
【0066】
実施例
7a5/プログノスチンmRNAの発現レベル(リアルタイムRT−PCR)に基づく転移性拡散の予後
患者およびヒト組織
71人の患者が本研究に参加した。本研究は説明を受けた上での患者の同意の下に実施した。ヒト原発性結腸腫瘍(44患者由来46サンプル)、転移(41患者由来52サンプル)および健常組織(37粘膜サンプル、18肝組織サンプル、1肺組織サンプルおよび1リンパ節;40患者より採取)を手術時に液体窒素中でショックフリーズし、以後の解析用に−80℃で保存した。該サンプルはRobert-Roessle-Klinik, Berlinの腫瘍バンクに保存した。Robert-Roessle-Klinikの病理学者がTNM状態を測定した。
【0067】
顕微解剖およびRNAの単離
各組織の連続凍結切片をRNA単離用(10μm)および免疫組織化学用(5μm)に調製した。腫瘍細胞集団の顕微解剖では、組織当たり10番目毎の凍結切片を病理学者がhaemalaun染色後に評価した。DNアーゼインキュベーション段階を使用して顕微解剖の細胞集団からトータルRNAを単離した(High Pure RNA Tissue Kit, Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, DE)。RNA濃度は、マイクロプレート蛍光リーダーで求め(RiboGreen RNA Quantitation Kit,Molecular Probes via MoBiTec, Goettingen,DE)、重複調製物においてリボソームRNA検定曲線から算出した(EasySoftG200/Easy-Fit Software, SLT-Labinstruments, Crailsheim, DE)。腫瘍細胞株からのトータルRNAの単離はトリゾル試薬(Trizol Reagent)(Invitrogen)を用いて実施した。
【0068】
ディファレンシャルディスプレイRT−PCR
RNAimageDifferential Display System 3(GenHunter Corp.,Nashville, TN)を用いてディファレンシャルディスプレイRT−PCRを実施した。同梱の3種の各1塩基アンカープライマーを製造元の指示書にしたがって、反応当たりトータルRNA200ngの逆転写のために使用した。ディファレンシャルディスプレイPCRは推奨プロトコルにしたがって実施し、この場合、標識であるα−[33P]dATP(NENLife Science, Zaventum, Belgium)およびAmpliTaqポリメラーゼ(Applied Biosystems,Weiterstadt, DE)を使用した。PCR産物を5%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。該ゲルをブロットし、乾燥し、X線フィルム(KodakBioMax MR, via Sigma, Deisenhofen,DE)に一晩曝露した。該フィルムを再度ゲルと比較し、発現差を示すバンドを切り出した。これらのcDNA断片をPCRで再増幅した。該増幅は、ディファレンシャルディスプレイRT−PCRで使用したものと同一のプライマーの組み合わせおよびPCR条件を使用して行った;最後に、該cDNA断片をベクターpCR2.1内へクローニングした(本明細書中で記載されるコンストラクトへの指針:pCR2.1/7a3、pCR2.1/7a5、pCR2.1/7a10、OriginalTA Cloning Kit, Invitrogen)。
【0069】
cDNA断片含有コンストラクトの検査
pCR2.1コンストラクト(本明細書中に記載の:pCR2.1/7a3、pCR2.1/7a5、pCR2.1/7a10)をそれぞれ5ナイロンメンブレン上にブロットした。このブロットはMinifold II Slotblot Apparatus(Schleicher & Schuell,Dassel, DE)を使用して行った。各メンブレンを指定組織タイプから作成された完全なディファレンシャルディスプレイRT−PCR産物とハイブリダイズさせた(Consalez et al. 1996)。高い比活性を得るために、ディファレンシャルディスプレイRT−PCR産物をα−[32P]dCTP(NEN)で再標識し(RandomPrimed Labelling Kit, Roche Diagnostics)、精製した(NucleotideRemoval Kit, QIAGEN, Hilden, DE)。ハイブリダイゼーションを65℃で一夜実施した(6xSSC、5xデンハート試薬(Denhardt’s Reagent)、0.5% SDS、100μg/ml剪断DNA)。ブロットをX線フィルム(KodakXomat-AR)に曝露した。ディファレンシャルディスプレイRT−PCRで認められたパターンと類似の発現パターンを示すコンストラクトの挿入断片をシークエンシングした(Invitek, Berlin, DE)。
【0070】
cDNAライブラリースクリーニング
SW480細胞株由来ヒト結腸直腸腺癌STRETCH PLUS cDNAライブラリー(Clontech,Heidelberg, DE)を宿主細菌株Y1090 r内へトランスフェクトした。Optitran強化ニトロセルロースメンブレン(Schleicher& Schuell)を使用して2フィルターレプリカを作成した。このフィルターを変性(0.5N NaOH、1MNaCl)させ、中和(0.5Mトリス pH8、1M NaCl)した。Random Primed LabellingKit(Roche Diagnostics)を用いてコンストラクトpCR2.1/7a5をα−[32P]dCTP(NEN)で標識し、そしてプローブとして使用した。ハイブリダイゼーションを65℃で一夜実施した(5xSSC、5xデンハート試薬、0.1% SDS、100μg/ml剪断DNA)。その後、このフィルターをX線フィルム(Kodak Xomat-AR)に曝露した。ポジティブプラークを選択した。Lambda-DNA Preparation Kit(QIAGEN)を用いてDNA調製を実施した。cDNA挿入断片をシークエンシングした(Invitek)。
【0071】
配列情報の拡張
ディファレンシャルディスプレイRT−PCRおよびcDNAライブラリスクリーニングによって得られた配列をデータベース解析のために使用した。該解析はすべてHeidelbergの DKFZ(http://genius.embnet.dkfz-heidelberg.de)に属するバイオコンピューティングサービスグループのサーバー上のWWW2HUSARAnalysis Packageを用いて実施した。配列同一性を示すESTクラスターを求め、このクラスターはゲノムDNA配列断片AC007001上に位置していた。別の3ESTクラスターは5’方向に位置していた。同定されたESTクラスターが7a5cDNAの部分であるかどうかを検査するために、発明者らはEST連結RT−PCR(GeneAmp RNA PCR Kit, Applied Biosystems)を実施した。新規配列情報および重複領域において配列類似性を示すSH3BP4のcDNA配列を使用して、発明者らはゲノムDNA配列断片AC005083上に位置しているESTクラスターを同定した。当該同定されたESTが7a5cDNAの部分であるかどうかを検査するために、Long-distanceRT−PCR(逆転写:Expand Reverse Transcriptase;PCR:Expand High Fidelity PCR、共にRocheDiagnosticsから入手)を実施した。
【0072】
5’−RACE
5’−RACEを実施した。この場合、SMART RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)を製造元の指示書にしたがって使用した。アガロースゲル上で分離されたPCR産物を再増幅し、シークエンシング用にベクターpCR2.1(Invitrogen)にクローニングした。
【0073】
発現ベクター内へのORFのクローニング
Long distance RT−PCRを上記のように実施した。変更点は終止コドンなしでORF全体の増幅用プライマーを使用したことであった。5’末端のプライマーは、ベクターpcDNA3.1D/V5−His−TOPO(pcDNA3.1Directional TOPO Expression Kit, Invitrogen)内へのORFの定方向クローニングが正しいフレームで可能であるように設計した。クローニング手順は製造元の指示書にしたがって実施した。予想される挿入断片を含有するコンストラクト(pcDNA3.1D/7a5−V5−His)をシークエンシングした。
【0074】
安定に形質導入された7a5を発現するSW480細胞クローンの作成
7a5遺伝子の生物学的機能を解析するために、7a5を発現するpcDNA3.1D/7a5−V5−HisコンストラクトおよびLacZを発現するpcDNA3.1D/V5−His/lacZコンストラクト(Invitrogen、コントロールとして供給)をSW480細胞内へ(形質)導入した。該導入はリポフェクチン(Invitrogen)を製造元の指示書にしたがって使用して行った。5x10細胞の形質導入には、プラスミドDNA10μgおよびリポフェクチン15μlを使用した。形質導入の48時間後に、コンストラクトを保持するクローンをG418(Invitrogen)含有培地中で選択した。2週間後にコロニーを観察した。次いでこのコロニーをリングクローニング(ring-cloned)し、以後の実験用に増殖させた。単離されたすべての細胞クローンをウエスタンブロットおよびリアルタイムRT−PCRによって7a5またはLacZの発現のためにスクリーニングした。
【0075】
7a5発現SW480細胞クローンのウエスタンブロット
7a5形質導入型、lacZ形質導入型および野生型SW480細胞を1%SDS、10mMトリス−HCl、2mMEDTAに溶解し、そのライセートを7.5%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。エレクトロブロッティング(1時間、TransBlot - Semi Dry Transfer Cell, BioRad, Munich, DE)後に、発現された7a5タンパク質を検出した。該検出は抗V5抗体(Invitrogen)および二次抗マウス−HRP抗体(Promega,Madison, WI)を使用して行った。ECL溶液(Amersham Biosciences, Freiburg, DE)を製造元の指示書にしたがって使用し、化学発光反応を実施した。
【0076】
相対定量的2段階リアルタイムRT−PCR
トータルRNA50ngを用いて逆転写酵素反応(RT)を実施した(MuLV ReverseTranscriptase, Applied Biosystems)。各定量的リアルタイムPCR(95℃60秒間、45サイクルの95℃10秒間、60℃10秒間、72℃20秒間)では、RT容量の1/5をLightCyclerを使用して採取した(LightCyclerDNA Master Hybridization Probes Kit, Roche Diagnostics)。7a5およびハウスキーピング遺伝子グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の発現を同一RT反応由来の2調製物中で求めた。7a5には136bpアンプリコンおよびG6PDHには136bpアンプリコンをプライマーによって製造した。これらは遺伝子特異的なフルオレシンおよびLCRed640標識ハイブリダイゼーションプローブによって認識される(プライマーおよびプローブの合成:BioTeZおよびTIB MolBiol, 共にBerlin,DE)。細胞株SW620由来の校正(calibrator)cDNAを各実施での連続希釈物中で並行して使用した。
【0077】
同所移植後のマウス肝臓におけるヒト細胞SW620クローン腫瘍の検出ではヒトサテライト配列を使用した。アンプリコンを生じさせるプライマー(合成(Synthese) BioTeZ, Berlin)を(Becker et al., 2002と同様に)使用した(合成 TIB MolBiol, Berlin)。ゲノムDNA250ngを用いて上記のようにリアルタイムPCRを実施した。
プライマー:
フォワード:5’ - ttc ttt tga ttc ctc cgg tga - 3’(配列番号3)
リバース:5’ - act ctg atg ggc atg tgc tg - 3’(配列番号4)
プローブ(本事例:Light Cyclerとともに使用する):
5’ - gca gac ttcctc aag aaa ttc tgg aag atc ta - 3’ - FITC(配列番号5)
LCRed - 5’ - agtgtt tca gaa ctt ctg gac att tta gac ga - 3’(配列番号6)
アニーリング温度:60℃;サイクル数:45
【0078】
7a5形質導入SW480腫瘍細胞クローンの軟寒天成長
軟寒天中の細胞成長を評価するため、あらかじめ50℃に加熱した1%寒天(Difco, Detroit, MI)5mlをDMEM培地(2倍濃縮物、w/oフェノールレッド、Invitrogen)5mlと混合した。該培地には10%FCSおよび抗生物質が補充されていた。5x10細胞を含有する細胞懸濁物200μlをその軟寒天混合物10mlにすばやく加え、徹底的に混合し、5mlアリコートとして60mmペトリ皿に注ぎ込み、5分間氷上に置いた。7a5形質導入細胞クローン、lacZ形質導入細胞クローンおよび野生型SW480細胞を軟寒天中で8日間二通りに培養し、コロニーをカウントした。
【0079】
細胞遊走試験
トランスウェルメンブレンチャンバー(孔サイズ12.0μm、Costar, Heidelberg, DE)をRPMI1640培地1mlで平衡化し、その培地は5%CO条件下37℃で24時間10%FCSで補充されている。その後その培地を除去し、2.5x10細胞を含有する細胞懸濁物0.5mlをフィルターメンブレンチャンバーに加え、培地1.5mlを下部チャンバーに加えた。細胞播種の24時間後に、メンブレンを通過して下部チャンバー内へ遊走した細胞の数をカウントした(3通りに実施)。
【0080】
7a5形質導入SW480細胞クローンのインビボ(in vivo)成長:皮下移植
この腫瘍のインビボ成長のためには、1x10の7a5形質導入型、LacZ形質導入型または野生型SW480細胞を6〜8週齢雄性NMRInu/nuマウスの左側腹部に沿って0日目に皮下移植した。各動物群は10動物を含んでいた。動物を39日間飼育し、測定可能な腫瘍の発達を許容した。7、11、15、21、27、32、35および39日目にすべての群において2次元の腫瘍サイズを測定した。腫瘍容量を(幅x長さ)/2として算出し、平均腫瘍容量としてcm単位で表した。動物を殺して、腫瘍を取り出し、以後の解析用に液体窒素中でショックフリーズした。
【0081】
7a5形質導入SW480細胞クローンのインビボ(in vivo)成長:同所移植
1x10の7a5形質導入型、LacZ形質導入型または野生型SW480細胞を6〜8週齢雌性SCIDベージュマウスの左側腹部に沿ってまず皮下移植し、3週間成長させた。その後これらの腫瘍を取り出し、2x1x1mm片にカットし、雌性SCIDベージュマウスの盲腸内へ同所性様式で移植した。各動物群は5動物を含んでいた。動物を70日間飼育し、腫瘍成長および転移性拡散を可能にした。16日から開始し、すべての群で週に1度腫瘍サイズを測定した。動物を殺して、腫瘍および転移の可能性がある器官の両者を取り出し、以後の解析用に液体窒素中でショックフリーズした。除去後、最終腫瘍容量を長さ×幅×高さとして算出し、平均腫瘍容量としてcm単位で表した。
【0082】
ヒト組織におけるインサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション
クローニング用に、7a5特異的ディファレンシャルディスプレイRT−PCR断片をpCR2.1/7a5経由でpBluescriptII SK+ベクター(Stratagene GmbH, Heidelberg, DE)内へ導入した。センスおよびアンチセンスプローブを取得するために、T7およびSP6 RNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI)を用いてインビトロ転写を実施した。この転写はDIGLabelling Kit(Roche Diagnostics)を使用して達成した。
【0083】
ヒト組織の凍結切片をパラホルムアルデヒド中で固定し、乾燥した。プレハイブリダイゼーションを55℃で1時間実施した。該プレハイブリダイゼーションは、4xSSC、5%デキストランサルフェート、1xデンハート試薬、50%ホルムアミド、0.25mg/ml酵母tRNAおよび0.5mg/ml断片化サケ精子DNAを使用して行った。ハイブリダイゼーション反応を55℃で16時間実施した。該ハイブリダイゼーションは、500ng/mlのインビトロ転写されたRNAプローブを含有するプレハイブリダイゼーション溶液を使用して行った。2xSSC、50%ホルムアミド中で55℃にて十分な洗浄を実施した。「ブロッキング試薬(Blocking Reagent)」(Roche Diagnostics)を製造元の指示書にしたがって使用し、ブロッキングを達成した。切片を抗DIG−APFabフラグメント(Roche Diagnostics)と2時間インキュベートした。洗浄後、NBT/BCIP溶液(Roche Diagnostics)および暗所でのインキュベーションを使用して比色検出を達成した。
【0084】
免疫組織化学
原発腫瘍、リンパ節、肺および肝臓転移由来およびさらに各健常組織由来の凍結切片をDAKO catalysed Signal Amplification (CSA)System(DAKO A/S, Glostrup, Denmark)を修正した系にしたがって免疫染色した:254nmのUVC照射を室温で35分間行って内因性ビオチン反応性をブロックした。切片を0.01%NaN安定化剤水溶液中50℃で30分間再水和した。メタノール中の3%Hで50℃にて30分間インキュベートすることによって内因性ペルオキシダーゼをブロックした。タンパク質ブロックは推奨通りに5分間実施した。
【0085】
7a5由来ポリペプチド(AA812−826、C末端付近に位置する:(KLH)-SALDRMKNPVTKHWR、Eurogentec, Seraing, Belgium)に対して一次ポリクローナルウサギ抗ヒト7a5抗体を産生させ、後にCNBr−セファロース(BioGenes, Berlin, DE)に結合させたペプチド抗原を用いるアフィニティークロマトグラフィによって精製した。この抗体を1:1000希釈で免疫組織化学に使用した。非特異的抗体に基づくFc受容体の結合を回避するために、抗ウサギ特異性を有するFc欠損型ビオチン標識アフィニティー精製済みF(ab’)フラグメント抗体(1:40,000希釈、Dianova-Jackson ImmunoResearch,Hamburg, DE)を使用した。ストレプトアビジン−HRPを室温で15分間使用した。DAB基質を製造元によって提供されるプロトコルにしたがって使用して、比色検出を実施した。核をヘマトキシリンで1分間対比染色した。切片を発現の組織分布側面にしたがって解析した。
【0086】
統計解析
統計的有意性の程度を算出した。当該計算はノンパラメトリック両側マンホイットニー順位和検定(リアルタイムRT−PCR)および2つの独立したサンプルに関するT検定(軟寒天上の成長、細胞遊走試験、インビボ成長)を使用して行った。
【0087】
転移性拡散を伴う結腸癌患者および転移性拡散を伴わない結腸癌患者の原発腫瘍における7a5/プログノスチン発現に基づく診断
図4(中央値表示を伴うボックスプロット)は、結腸癌患者(T2−40−1)由来の原発腫瘍における7a5/プログノスチン発現の程度を示す。
a)7a5分析の時点で転移がなくかつ60ヶ月の観察期間中に転移性拡散を示さなかった患者=期間中転移を伴わないM0
b)7a5分析の時点で転移がなかったが、60ヶ月の観察期間中に転移性拡散を示した患者=期間中転移を伴うM0、および
c)7a5分析の時点ですでに転移が形成されていた患者=M1
【0088】
この期間中に転移を発症したか、あるいはすでに転移を示していた患者由来の原発腫瘍では、7a5/プログノスチン発現に関する有意に高い値が測定された。
【0089】
7a5/プログノスチンの発現レベルに依存する、結腸癌患者における転移を伴わない生存率
図5(カプラン・マイヤー曲線)は、各原発腫瘍での低または高7a5/プログノスチン発現に依存する、転移を伴わない生存率の可能性を示す。相対7a5/プログノスチン値240が「カットオフ」として算定され240のすべての相対7a5/プログノスチン値が「低」であり、ならびに>240のすべての相対7a5/プログノスチン値が「高」として規定される。
【0090】
事例1:原発腫瘍での7a5/プログノスチン発現が240である患者の約20〜25%が(観察期間中に)転移を発症する。
事例2:原発腫瘍での7a/5プログノスチン発現が>240である患者の約75〜80%が(観察期間中に)転移を発症する。
【0091】
原発腫瘍における7a5/プログノスチン発現は遠隔転移の発症を有意に予測する(P=0.0057)。
【0092】
7a5/プログノスチン特異的siRNAを用いる発現レベルでの治療的介入
図6Aは、7a5/プログノスチンが安定にトランスフェクトされていて、かつこれを強力に過剰発現するヒト結腸癌細胞株由来細胞クローンの7a5/プログノスチン転写発現に対する、一過性にトランスフェクトされた7a5/プログノスチン特異的siRNAオリゴヌクレオチドの影響を説明する。siRNAで処理されていないコントロールは100%に相当する。
【0093】
有効な7a5/プログノスチン特異的siRNAオリゴヌクレオチドの例
− 完全長の7a5/プログノスチンcDNA配列のnt2233〜2253
− 5’-AAGCTTGGAAAAGGCTGGAGG-3’(配列番号7)
【0094】
7a5/プログノスチン特異的siRNAを用いる機能レベルでの介入
図6Bは、7a5/プログノスチンが安定にトランスフェクトされていて、かつこれを強力に過剰発現するヒト結腸癌細胞株由来細胞クローンの遊走挙動に対する、一過性にトランスフェクトされた7a5/プログノスチン特異的siRNAオリゴヌクレオチドの影響を説明する。siRNAで処理されていないコントロールは100%に相当する。遊走アッセイのプロトコルは上記を参照すること。
【0095】
7a5/プログノスチン特異的siRNAの一過性トランスフェクトが7a5/プログノスチン発現の阻害に導く。この結果は、転移可能性に関する生物学的パラメータとしてのこれらの細胞の遊走活性が減少することを生ずる。患者における治療的適用では、7a5/プログノスチン特異的siRNAオリゴヌクレオチドを各プラスミド内へクローニングすることが好ましい。これにより患者の原発腫瘍での安定なsiRNA発現が可能になり、これがその結果7a5/プログノスチン発現の持続的阻害に導き、したがって転移性拡散を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】結腸癌患者の原発腫瘍における相対7a5/プログノスチンmRNA発現は転移を伴わない状態の生存率と関連する。
【図2】結腸癌患者の原発腫瘍における相対7a5/プログノスチンmRNA発現は転移の進展と関連する。
【図3】新規に同定された7a5/プログノスチンcDNAの配列ならびに推定タンパク質配列を示す;特徴的相互作用ドメインが表示されている。
【図4】結腸癌患者の原発腫瘍における7a5/プログノスチン発現を示す。患者は転移性拡散および転移性拡散の時期にしたがって群に細分化されている。
【図5】転移を伴わない状態内の結腸癌患者の生存率を示す。これらの患者は原発腫瘍において低(240)および高(>240)7a5/プログノスチン発現を示す。
【図6】7a5/プログノスチン発現に対する7a5/プログノスチン特異的siRNAの阻害影響(A)および結腸癌細胞の遊走挙動に対する7a5/プログノスチン特異的siRNAの阻害影響(B)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の群から選択される7a5/プログノスチンのポリペプチドをコードする核酸配列:
a)配列番号1に記載の配列を有する核酸配列、
b)遺伝子コードの縮重の結果として配列番号1に記載の核酸配列から導かれる核酸配列、
c)配列番号1に記載の核酸の誘導体であって、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、かつアミノ酸レベルで少なくとも80%のホモロジーを示し、当該ポリペプチドの生物学的活性が大きく減少していない誘導体、および
d)ヒトゲノム核酸配列であって、7a5/プログノスチンの遺伝子を含み、かつ多型性を示す核酸配列。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸配列によってエンコードされる、特に配列番号2に記載の、7a5/プログノスチンポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の核酸配列と特異的にハイブリダイズする、特に配列番号7に記載の、オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
薬物としての、請求項1に記載の核酸分子、請求項2に記載のポリペプチドまたは請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1に記載の核酸配列を含有するベクター。
【請求項6】
請求項1に記載の少なくとも1の核酸配列または請求項5に記載の少なくとも1のベクターを含有する組換え原核生物または真核宿主生物。
【請求項7】
7a5/プログノスチンポリペプチド、特に配列番号2に記載のポリペプチドを認識するポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
請求項1に記載の核酸配列、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項7に記載の抗体を、場合により製薬的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の核酸配列、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項7に記載の抗体を含む診断用組成物。
【請求項10】
腫瘍疾患の診断方法であって、病理組織または体液由来の生体サンプル中の7a5/プログノスチン発現を測定し、その発現を健常組織または体液中の7a5/プログノスチン発現と比較する段階を含む、方法。
【請求項11】
7a5/プログノスチン発現の測定が、ハイブリダイゼーション、PCR、「リアルタイム」(RT)−PCR、抗原抗体結合、ELISA、光学的プロテオーム解析、1または多次元ゲル電気泳動、質量分析による解析、クロマトグラフィ、シークエンシング法、メチル化解析、SNP決定またはこれらの方法の組み合わせを含む、請求項10に記載の腫瘍疾患の診断方法。
【請求項12】
腫瘍疾患が転移性であり、特に転移性結腸癌である、請求項10または11に記載の腫瘍疾患の診断方法。
【請求項13】
生体サンプルが、腸、肝臓、リンパ節、肺、骨または脳由来の腫瘍生検または体液から得られる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の腫瘍疾患の診断方法。
【請求項14】
7a5/プログノスチン発現の調節を含む、腫瘍疾患の処置方法。
【請求項15】
請求項8に記載の医薬組成物の投与を含む、請求項14に記載の腫瘍疾患の処置方法。
【請求項16】
腫瘍疾患が転移性結腸癌である、請求項14または15に記載の腫瘍疾患の処置方法。
【請求項17】
7a5/プログノスチンに結合する物質の同定方法であって、以下の段階を含む方法:
a)7a5/プログノスチン発現細胞を候補物質と接触させる段階、
b)7a5/プログノスチンに結合する候補物質の存在を検出する段階、および
c)候補物質が7a5/プログノスチンに実際に結合するかどうかを決定する段階。
【請求項18】
医薬組成物の製造方法であって、請求項17に記載の方法の段階および段階c)で同定された物質を製薬的に許容される形式で製剤化する段階を含む、方法。
【請求項19】
腫瘍疾患の処置のための、請求項1に記載の核酸配列、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド、請求項7に記載の抗体または請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
腫瘍疾患の診断のための、請求項1に記載の核酸配列、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド、請求項7に記載の抗体または請求項9に記載の診断用組成物の使用。
【請求項21】
ヒト遺伝性疾患用マーカーとしての、請求項1に記載の核酸配列の使用。
【請求項22】
遺伝子治療のための、請求項1に記載の核酸配列または請求項3に記載のオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項23】
請求項9に記載の診断用組成物を含み、場合により適切なバッファーおよび/または取扱指示書をさらに含有する診断用キット。
【請求項24】
PCRキット、特にRT−PCRキット、またはELISAキット形式の、請求項23に記載の診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537701(P2007−537701A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519895(P2006−519895)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008053
【国際公開番号】WO2005/010042
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504336272)
【Fターム(参考)】