説明

A2Aアデノシン受容体拮抗剤

本発明は、式Iで表されるA2Aアデノシン受容体拮抗剤である新規化合物、ならびに種々の疾患状態、たとえば、肥満、「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)を始めとするCNS障害、脳虚血、興奮毒性、認知性および生理学的障害、うつ病、ADHD、および薬物依存(アルコール依存、アンフェタミン依存、カンナビノイド依存、コカイン依存、ニコチン依存およびオピオイド類依存)の哺乳動物の処置におけるそれらの使用、および免疫応答の強化におけるそれらの使用に関する。また、本発明は、そのような化合物を製造する方法、およびそれらを含有する薬学的組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2006年3月2日に出願された米国仮特許出願番号60/778,821、および2006年6月21に出願された米国仮特許出願番号60/815,745に対する優先権を主張する。これらの米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、A2Aアデノシン受容体拮抗剤である新規化合物、種々の疾患状態、たとえば、肥満、「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)を始めとするCNS障害、大脳虚血、興奮毒性、認知性および生理学的障害、うつ病、ADHD、および薬物依存(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド類)の哺乳動物の処置におけるそれらの使用、および免疫応答の強化におけるそれらの使用に関する。また、本発明は、そのような化合物を製造する方法、およびそれらを含有する薬学的組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アデノシンの効果は、アデノシン受容体を介して伝達され、これらは、4つの一般的サブタイプ、すなわち、A、A2A、A2BおよびAに細分され、その全てが、重要な生理的プロセスを調節する((非特許文献1;非特許文献2)。たとえば、Aアデノシン受容体の刺激により、AV結節筋細胞の活性電子の継続期間が短くなり、振幅が減少するので、AV結節筋細胞の無反応期が延長される。したがって、A受容体の刺激により、結節内回帰性頻拍の停止および心房細動および粗動の間の心室の搏動の制御を始めとする、上室性頻拍を処置する方法が提供される。A2A受容体の細胞表面を刺激することにより、冠状動脈抵抗血管が拡張され、この現象は、薬理学的ストレスによるイメージングに有用である。A2B受容体は、マスト細胞活性化、ぜんそく、血管拡張、細胞成長の調整、腸管機能および神経分泌物の調節に関連している(非特許文献3参照)。Aアデノシン受容体は、細胞増殖プロセスを調節する。特に、A受容体拮抗剤である化合物は、癌、心臓疾患、不妊症、腎臓疾患およびCNS障害の治療処置および/または予防処置に有用性がある。
【0004】
アデノシンは、中枢神経系における重要な内因性プリン神経調節物質である。近年、A2A受容体は、大脳基底核、運動機能において重要であることが知られている脳の領域において豊富に存在することが確認されている。ハロペロドールまたはMPTP (N−メチル−4−フェニル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン)の投与により、試験動物においてパーキンソン病に似た症状が作り出され、これらの症状は、A2A受容体拮抗剤の投与により逆転できることが示されている(たとえば、非特許文献4参照)。
【0005】
また、A2A受容体拮抗剤は、神経保護特性を有する。A2A拮抗剤は、ラットおよびスナネズミにおいて、海馬でのカイニン酸塩誘導興奮毒性をブロックし、虚血により誘発されるグルタミン酸塩および大脳皮質からのアスパラギン酸塩の放出を減少させ、そして虚血により誘導される損傷の拡大を抑えることが示されている。さらに、A2A受容体介在神経保護に関する証拠は、一過性虚血後の脳の梗塞面積も神経脱落症状も、A2A受容体ノックアウトマウスにおいて抑制されることが実証された研究からも上がっている。
【0006】
2Aアデノシン受容体の刺激により、冠動脈抵抗血管が拡張される。この現象は、薬理学的ストレスによるイメージングには有用であるが、過剰な血管拡張は冠状血管盗流現象となる可能性があるので、内因性アデノシンが高い患者には有利ではない。虚血は、健全な動脈に結合するより都合のよい血管拡張により起こる血流が低下した動脈により、血管床で起こるかもしれないので、冠状血管盗流現象は組織損傷を起こす可能性がある。したがって、A2A拮抗剤は冠状血管盗流現象を予防するであろう。
【0007】
アデノシン情報伝達は薬物依存に関与することが示されている。乱用される全ての主な薬物(アヘン、コカイン、エタノールなど)は、ニューロンにおけるドーパミン情報伝達を直接または間接的に変調し、それらは特に高濃度のA2Aアデノシン受容体を含む側座核において見出される。常習性物質の依存度は、アデノシン情報伝達経路により増大されることが示され、A2Aアデノシン受容体拮抗剤の投与により、常習性物質の枯渇が減らされることが示されている(たとえば、非特許文献5,および非特許文献6参照)。
【0008】
また、アデノシン受容体、特にA2Aアデノシン受容体は、免疫応答を制限する中止メカニズムとして作用することによって、インビボで炎症において、下流調節の役割を果たし(特許文献1参照)、その結果、種々の疾患の発生過程の間、正常な組織を過剰な免疫性障害から保護することが実証されている。
【0009】
したがって、A2Aアデノシン受容体を介して情報伝達を阻害することによって、哺乳動物の免疫応答は強化され、延長され、したがって、たとえばA2Aアデノシン拮抗剤がワクチンとともに共投与された場合、ワクチンの効果を増加させる。したがって、A2A受容体の調整に関連する種々の疾患状態、特に、虚血による組織損傷のような心臓血管関連疾患、パーキンソン病のようなCNS関連疾患の処置、薬物依存の処置および免疫性の改善において有用な効力のあるA2A拮抗剤である化合物を提供することが望まれている。該化合物は、A2A受容体に対して選択性があり、したがって、他のアデノシン受容体の相互作用によって引き起こされる副作用を回避することが好ましい。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0220799号明細書
【非特許文献1】G.L.Stiles,K.A.Jacobson,およびM.F.Jarvis,Wiley−Liss:New York,(1997);第29−37ページ
【非特許文献2】V.Ralevic;G.Burnstock,G.Pharmacol.Rev.(1998)第50巻,413−492
【非特許文献3】Adenosine A2B Receptors as Therapeutic Targets,Drug Dev Res 45:198;Feoktistovら,Trends Pharmacol Sci 19:148−153
【非特許文献4】「Piperazine Derivatives of [1,2,4]Triazolo[1,5−a][1,3,5]triazine as Potent and Selective Adenosine A2A Receptor Antagonists」,Chi B.Vuら、Journal of Medicinal Chemistry,2004
【非特許文献5】「The Critical Role of Adenosine A2A Receptors and Giβγ Subunits in Alcoholism and Addiction: From Cell Biology to Behavior」,by Ivan DiamondおよびLina Yao,(The Cell Biology of Addiction,2006,第291−316ページ)
【非特許文献6】「Adaptations in Adenosine Signaling in Drug Dependence:Therapeutic Implications」,Stephen P.HackおよびMacdonald J.Christie,Critical Review in Neurobiology,第15巻,235−274(2003)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の目的は、A2A受容体拮抗剤を提供することである。したがって、第一の態様では、本発明は、式I:
【0011】
【化3】

(式中、
a.Rは、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、場合によっては置換されたC2−4アルケニル、または場合によっては置換されたC2−4アルキニルであり;
b.Rは、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、または場合によっては酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、置換された5員または6員単環式複素環であり;
c.Rは、水素、−C(O)NR(式中、RおよびRは、水素、場合によっては置換された低級アルキルから独立して選択される)、場合によっては置換された、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5員または6員単環式複素環またはヘテロアリールであり;あるいは
d.RおよびRは、一緒になって、場合によっては置換されたアルキレン基と結合し、場合によっては置換された5員または6員環状アルケニル環、またはヘテロ原子が酸素または窒素である5員または6員複素環を形成し;
e.Rは、水素、または場合によっては置換されたC1−4アルキルである)の化合物、または
f.その薬学的に受容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物または多型に関する。
【0012】
さらに別の本発明の実施形態では、治療的に有効な量の式IのA2A受容体拮抗剤と、少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含む医薬製剤が提供される。製剤は、経口投与のためのものが好ましい。
【0013】
本発明の第三の実施形態では、A2A受容体拮抗剤で処置することができる、哺乳動物の疾患または状態の処置において式Iの化合物を使用する方法が提供される。該方法は、治療的に有効な用量の式Iの化合物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。そのような疾患として、肥満、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー、および脳虚血、興奮毒性、および認知性および生理学的障害、が挙げられるが、これらに限定されず、薬物依存の処置も含まれる。また、式Iの化合物は、冠血管拡張の阻害にも有用で、該処置は、冠盗血を予防する。
【0014】
本発明の第四の実施形態では、本発明は、式II:
【0015】
【化4】

(式中、
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、場合によっては置換されたC2−4アルケニル、または場合によっては置換されたC2−4アルキニルであり;
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環であり;
は、−COOR、−C(O)R、または場合によっては置換された低級アルキルであり、ここで、Rは、水素または場合によっては置換された低級アルキルであり、Rは、水素または場合によっては置換された低級アルキルであり;
は、水素または場合によっては置換されたC1−4アルキルである)の化合物に関する。
【0016】
今のところ、本発明の使用に関し好ましい化合物は、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
(3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミド;
5−メチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロベンゾ[b]チオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
N−メチル(5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミド;
3−エチル−5,6−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
エチル3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;
3−エチル−5−メチル−6−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−[3−ベンジル(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−エニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(3−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3,5−ジメチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−フリル)−3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸;
N−((lR)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
3−エチル−1,5−ジメチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(6−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1−メチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−(2−プロピルメチル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[1,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
エチル5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;および
エチル1,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
(定義および一般的なパラメータ)
本明細書において使用される以下の用語および語句は、他に示唆がある内容を除いて、一般的に以下に記載する意味を持つものである。
【0019】
用語「アルキル」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有する一価の、分岐状または非分岐状、飽和炭化水素鎖を言う。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどの基が例示される。
【0020】
用語「置換アルキル」は、以下を言う。
【0021】
1)先に定義したアルキル基であって、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する基。他に明確な記載によって制約されていない限り、全ての置換基は、場合によっては、アルキル、アリール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0022】
2)先に定義したアルキル基であって、酸素、硫黄およびNR−(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される)から独立して選択された1〜10個の原子が割り込んでいる基。全ての置換基は、場合によっては、アルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)でさらに置換されてもよい。あるいは
3)先に定義したアルキル基であって、1、2、3、4または5個の先に定義した置換基を有し、かつ先に定義したように1〜10個の原子が割り込んでいる基。
【0023】
用語「低級アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する一価の分岐状または非分岐状飽和炭化水素鎖を言う。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシルなどのような基が例示される。
【0024】
用語「置換低級アルキル」は、先に定義した低級アルキルであって、置換アルキルに関し定義した、1〜5個の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基を有する基、または先に定義した低級アルキル基であって、置換アルキルに関し定義した、1、2、3、4または5個の原子が割り込んだ基、または先に定義した低級アルキル基であって、先に定義した1、2、3、4または5個の置換基を有し、かつ先に定義した1、2、3、4または5個の原子が割り込んだ基を言う。
【0025】
用語「アルキレン」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する、分岐状または非分岐状飽和炭化水素鎖の二価の基を言う。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(たとえば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などのような基が例示される。
【0026】
用語「低級アルキレン」は、好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する分岐状または非分岐状飽和炭化水素鎖の二価の基を言う。
【0027】
用語「低級アルキレン」は、好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する分岐状または非分岐状飽和炭化水素鎖の二価の基を言う。
【0028】
用語「置換アルキレン」は、以下を言う。
【0029】
(1)先に定義したアルキレン基であって、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基を有する基。他に明確な記載によって制約されていない限り、全ての置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい。あるいは
(2)先に定義したアルキレン基であって、酸素、硫黄およびNR−(式中、Rは、水素、場合によっては置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される)から独立して選択される1〜20個の原子、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから選択される基が割り込んだ基。
【0030】
(3)先に定義したアルキレン基であって、先に定義した1、2、3、4または5個の置換基を有し、かつ先に定義した1〜20個の原子が割り込んでいる基。置換アルキレンの例として、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)などが挙げられる。
【0031】
用語「アラルキル」は、アルキレン基に共有結合するアリール基であって、アリールおよびアルキレンは本明細書で定義する通りである。「場合によっては置換されたアラルキル」は、場合によっては置換されたアルキレン基に共有結合された場合によっては置換されたアリール基を言う。そのようなアラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどが例示される。
【0032】
用語「アルコキシ」は、基:R−O−(式中、Rは、場合によっては置換されたアルキル、場合によっては置換されたシクロアルキル、または基:−Y−Z(式中、Yは、場合によっては置換されたアルキレンであり、Zは、場合によっては置換されたアルケニル、場合によっては置換されたアルキニル、または場合によっては置換されたシクロアルケニルであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは本明細書で定義する通りである)である。好ましいアルコキシ基は、場合によっては置換されたアルキル−O−であり、たとえば、例示として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0033】
「アルキルチオ」は、基:R−S−(式中、Rは、アルコキシに関する定義の通りである)を言う。
【0034】
用語「アルケニル」は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜6個の炭素原子と、1〜6個の、好ましくは1個の二重結合(ビニル)とを有する、一価の分岐状または非分岐状不飽和炭化水素基を言う。好ましいアルケニル基として、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが挙げられる。アルケニルが窒素に結合する場合は、該二重結合は、窒素に対しα位で存在しえない。
【0035】
用語「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有する先に定義したアルケニルを言う。
【0036】
用語「置換アルケニル」は、先に定義したアルケニル基であって、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SOアルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基を有する基を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全ての置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される、1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0037】
用語「アルキニル」は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜6個のアセチレン(三重結合)不飽和部位を有する、不飽和炭化水素の一価の基を言う。好ましいアルキニル基として、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(またはプロパ−1−イン−3−イル、−CHC≡CH)などが挙げられる。アルキニルが窒素に結合する場合、三重結合は、窒素に対しα位で存在し得ない。
【0038】
用語「置換アルキニル」は、先に定義したアルキニル基であって、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基を有する基を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全ての置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0039】
用語「アミノカルボニル」は、基:−C(O)NRR(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または2個のR基が結合し、複素環基(たとえば、モルホリノ)を形成する)を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0040】
用語「アシルアミノ」は、基:−NRC(O)R(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである)を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0041】
用語「アシルオキシ」は、基:−O(O)C−アルキル、−O(O)C−シクロアルキル、−O(O)C−アリール、−O(O)C−ヘテロアリールおよび−O(O)C−ヘテロシクリルを言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)でさらに置換されてもよい。
【0042】
用語「アリール」は、単環(たとえば、フェニル)、複数環(たとえば、ビフェニル)、または複数の縮合環(たとえば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6〜20個の炭素原子の芳香族系炭素環基を言う。好ましいアリールとして、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0043】
用語「アリーレン」は、先に定義したアリール基の二価の基を言う。この用語は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,4’−ビフェニレンなどの基が例示される。
【0044】
他に明確な記載によって制約されていない限り、アリールまたはアリーレン置換基に関し、該アリールまたはアリーレン基は、場合によっては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されうる。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0045】
用語「アリールオキシ」は、基:アリール−O−(式中、アリール基は先に定義した通りである)を言い、先に定義したように、場合によっては置換されたアリール基も含む。用語「アリールチオ」は、基:R−S−(式中、Rは、アリールに関し定義した通りである)を言う。
【0046】
用語「アミノ」は、基:−NHを言う。
【0047】
用語「置換アミノ」は、基:−NRR(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(たとえば、ベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選択されるが、2個のR基が水素、あるいは基:−Y−Z(式中、Yは、場合によっては置換されたアルキレンであり、Zは、アルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルである)であることはない)を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0048】
用語「カルボキシアルキル」は、基:−C(O)O−アルキルまたは−C(O)O−シクロアルキル(ここで、アルキルおよびシクロアルキルは、本明細書で定義する通りである)を言い、場合によっては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)でさらに置換されてもよい。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、単環または複数の縮合環を有する3〜20個の炭素原子の炭素環基を言う。そのようなシクロアルキル基の例示として、単環構造、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど、複数の環構造、たとえば、アダマンタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチ−2−イル、(2,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチ−2−イル)、またはアリール基が縮合する炭素環基、たとえば、インダンなどが挙げられる。
【0050】
用語「置換シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基を有するシクロアルキル基を言う。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0051】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨードを言う。
【0052】
用語「アシル」は、基:−C(O)R(式中、Rは、水素、場合によっては置換されたアルキル、場合によっては置換されたシクロアルキル、場合によっては置換されたヘテロシクリル、場合によっては置換されたアリールおよび場合によっては置換されたヘテロアリールを示す。
【0053】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環内に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とを有する、芳香族環状基から誘導されるラジカル(すなわち、完全不飽和)を言う。そのようなヘテロアリール基は、単環(たとえば、ピリジルまたはフリル)、あるいは複数の縮合環(たとえば、インドリジニル、ベンゾチアゾリル、またはベンゾチエニル)を有しうる。ヘテロアリールの例として、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、[1,3,4]チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリンなど、および窒素含有ヘテロアリール化合物のN−オキシドおよびN−アルコキシ誘導体、たとえば、ピリジン−N−オキシド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
他に明確な記載によって制約されていない限り、ヘテロアリールまたはヘテロアリーレン置換基に関して、該ヘテロアリールまたはヘテロアリーレン基は、場合によっては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されうる。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0055】
用語「ヘテロアラルキル」は、アルキレン基に共有結合するヘテロアリール基を言い、該ヘテロアリールおよびアルキレンは、本明細書に定義される。「場合によっては置換されたヘテロアラルキル」は、場合によっては置換されたアルキレン基に共有結合する場合によっては置換されたヘテロアリール基を言う。そのようなヘテロアルアルキル基は、3−ピリジルメチル、キノリン−8−イルエチル、4−メトキシチアゾール−2−イルプロピルなどが例示される。
【0056】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、基:ヘテロアリール−O−を言う。
【0057】
用語「ヘテロシクリル」は、環内に1〜40個の炭素原子と、1〜10個のヘテロ原子、好ましくは窒素、硫黄、リンおよび/または酸素から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とを有する、単環または複数の縮合環を有する一価の飽和または部分的に不飽和の基を言う。複素環基は、単環または複数の縮合環を有することができ、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジノ、ジヒドロピリジノなどが挙げられる。
【0058】
他に明確な記載によって制約されていない限り、複素環置換基に関し、該複素環基は、場合によっては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1、2、3、4または5個、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されうる。他に明確な記載によって制約されていない限り、全置換基は、場合によっては、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である)から選択される1〜3個の置換基でさらに置換されてもよい。
【0059】
用語「チオール」は、基:−SHを言う。
【0060】
用語「置換アルキルチオ」は、基:−S−置換アルキルを言う。
【0061】
用語「ヘテロアリールチオール」は、基:−S−ヘテロアリール(ここで、ヘテロアリール基は先に定義した通りである)をいい、先に定義したとおり、場合によっては置換されたヘテロアリール基を含む。
【0062】
用語「スルホキシド」は、基:−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)を言う。「置換スルホキシド」は、基:−S(O)R(式中、Rは、本明細書で定義する、置換アルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである)を言う。
【0063】
用語「スルホン」は、基:−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)を言う。「置換スルホン」は、基:−S(O)R、(式中、Rは、本明細書で定義する、置換アルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである)を言う。
【0064】
用語「ケト」は、基:−C(O)−を言う。
【0065】
用語「チオカルボニル」は、基:−C(S)−を言う。
【0066】
用語「カルボキシ」は、基:−C(O)−OHを言う。
【0067】
「任意の」または「場合によっては」は、事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを実質的に記載し、この表現には、該事象または状況が起こる場合と起こらない場合とを含む。
【0068】
用語「式Iおよび式IIの化合物」は、開示した本発明の化合物、および該化合物の薬学的に受容可能な塩、薬学的に受容可能なエステル、プロドラッグ、水和物および多型を包含するものである。さらに、本発明の化合物は、1個以上の不斉中心を有してもよく、ラセミ混合物として、または独立したエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生成することができる。任意の式Iの化合物において存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数に依存する(2のn乗の立体異性体が存在する可能性があり、ここで、nは不斉中心の数である)。独立した立体異性体は、合成の適切な段階で、中間体のラセミ混合物または非ラセミ混合物を分割することによって、あるいは従来の方法による式Iの化合物の分割によって、得ることができる。独立した立体異性体(独立したエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)および立体異性体のラセミ混合物および非ラセミ混合物は、本発明の範囲内に包含され、他の特別な示唆がない限り、その全ては、本明細書の構造式によって示されるものである。
【0069】
「異性体」は、同じ分子式を持つ、異なる化合物である。
【0070】
「立体異性体」は、原子の空間的配置の仕方だけが異なる異性体である。
【0071】
「エナンチオマー」は、互いに重なることのない鏡像である立体異性体のペアである。エナンチオマーのペアの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。用語「(±)」は、適正な場合は、ラセミ混合物を示す場合に使用される。
【0072】
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を持つが、互いの鏡像ではない立体異性体である。
【0073】
絶対立体化学は、カーン・インゴールド・プレローグR−Sシステムに従って指定されるものである。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSで指定される。絶対配置がわからない分割化合物は、それらがナトリウムD線の波長での偏光板を回転する方向(右旋性または左旋性)によって、(+)または(−)と呼ぶ。
【0074】
「局所投与」は、治療剤を傷および周辺上皮の表面へ送達することと定義される。
【0075】
「非経口投与」は、治療剤の注射による患者への全身的送達である。
【0076】
用語「治療的に有効な量」は、そのような処置を必要とする哺乳動物へ投与した時、以下に定義する処置を発揮するのに十分な式Iの化合物の量を言う。治療的に有効な量は、使用される治療剤の特定活性、および患者の年齢、全身状態、他の疾患状態の存在、および栄養状態によって、変化する。さらに、患者が受けているかもしれない他の投薬は、治療的に有効な量の投与する治療剤の決定に影響を及ぼすであろう。
【0077】
用語「処置」または「処置すること」は、哺乳動物の疾患における任意の処置を意味し、
(i)疾患の予防、すなわち、疾患の臨床症状が発現しないようにすること;
(ii)疾患を阻害すること、すなわち、臨床症状の発症を阻止すること;および/または
(iii)疾患を緩和すること、すなわち、臨床症状を後退させることが挙げられる。
【0078】
多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基/またはカルボキシル基、あるいはこれらに類似の基の存在によって、酸および/または塩基塩を形成することができる。用語「薬学的に受容可能な塩」は、生物学的効果および式Iの化合物の特性を保持し、生物学的その他で望ましくないものではない塩を言う。薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機および有機塩基から製造することができる。無機塩基から誘導される塩として、単なる例示であるが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩として、一級、二級および三級アミン類の塩、たとえば、アルキルアミン類、ジアルキルアミン類、トリアルキルアミン類、置換アルキルアミン類、ジ(置換アルキル)アミン類、トリ(置換アルキル)アミン類、アルケニルアミン類、ジアルケニルアミン類、トリアルケニルアミン類、置換アルケニルアミン類、ジ(置換アルケニル)アミン類、トリ(置換アルケニル)アミン類、シクロアルキルアミン類、ジ(シクロアルキル)アミン類、トリ(シクロアルキル)アミン類、置換シクロアルキルアミン類、ジ置換シクロアルキルアミン、トリ置換シクロアルキルアミン類、シクロアルケニルアミン類、ジ(シクロアルケニル)アミン類、トリ(シクロアルケニル)アミン類、置換シクロアルケニルアミン類、ジ置換シクロアルケニルアミン、トリ置換シクロアルケニルアミン類、アリールアミン類、ジアリールアミン類、トリアリールアミン類、ヘテロアリールアミン類、ジヘテロアリールアミン類、トリヘテロアリールアミン類、複素環式アミン類、ジ複素環式アミン類、トリ複素環式アミン類、アミンの置換基の少なくとも2つは異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環などからなる群から選択されるジアミン類およびトリアミン類の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、2個または3個の置換基がアミノ窒素と一緒になって、複素環またはヘテロアリール基を形成するアミン類も含まれる。
【0079】
適切なアミン類の具体例として、単なる例示であるが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン類、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0080】
薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機および有機酸から製造することができる。無機酸から誘導される塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩として、酢酸、プロピオン酸、グルコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0081】
本明細書で使用される、「薬学的に受容可能な担体」は、ありとあらゆる溶剤、分散媒、塗料、抗バクテリア剤および抗真菌剤、等張吸収遅延剤などを含む。そのような媒体および薬剤を、医薬活性物質のために使用することは、当該分野で周知である。従来の媒体または薬剤が活性成分と相溶性がない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用は意図されている。補足の活性成分も該組成物に導入することができる。
【0082】
本明細書で使用される用語「オピオイド類」として、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、オキシコドン(OxyContin)、プロポキシフェン(Darvon)、ヒドロコドン(Vicodin)およびヒドロモルホン(Dilaudid)、さらにメペリジン(Demerol)が挙げられる。
【0083】
(命名法)
本発明の化合物の命名および番号付けを、5−メチル−6−(1,3,4−オキサジアゾリン−2−イル)−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンと命名される、代表的な式Iの化合物(式中、Rはn−プロピルであり、Rはメチルであり、Rは1,3,4−オキサジアゾリン−2−イルである)
【0084】
【化5】

で説明する。
【0085】
(合成反応パラメーター)
用語「溶剤」、「不活性有機溶剤」または「不活性溶剤」は、関連して記載される反応条件下で不活性な溶剤を意味し、たとえば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどが挙げられる。反対のことを特筆しない限り、本発明の反応で使用される溶剤は、不活性有機溶剤であり、反応は、不活性ガス、好ましくは窒素下で行われる。
【0086】
用語「q.s.」は、定められた機能を達成するのに十分な量を加えることを意味し、たとえば、溶液を所望の体積にすること(すなわち、100%)を言う。
【0087】
(式Iの化合物の合成)
式Iの化合物を製造する一方法を反応スキームIに示す。
【0088】
【化6】

(ステップ1−式(2)の化合物の製造)
式(1)の化合物は市販されている。先ず、式:RCOHのカルボン酸をジフェニルホスホリルアジドおよび塩基と反応させ、得られた混合物を式(1)の化合物と反応させ、式(2)の化合物を得る。一般的に、カルボン酸を不活性溶剤、たとえばベンゼンまたはトルエンに溶解し、ジフェニルホスホリルアジドおよび第三級有機塩基、たとえばトリエチルアミンを加え、混合物を還流温度で約1時間攪拌する。次いで、式(1)の化合物を加え、混合物を約10〜24時間還流する。反応が実質的に完了した時、式(2)の生成物を従来のやり方、たとえば、酢酸エチルと水との間で分配し、生成物を、たとえば、クロマトグラフィーや再結晶によって精製して単離する。
【0089】
ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基の存在下での(1)と式:RCOHのカルボン酸との反応は、実際は、(1)と式:RNCOのイソシアネートとの反応であることに注意すべきである。多くのイソシアネートは市販されていて、あるいは当該分野で周知の方法により製造してもよく、前記反応においてRCOH、ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基の混合物の代わりに、直接使用することができる。
【0090】
(ステップ2−式I(式中、Rは水素である)の化合物の製造)
式(2)の化合物を、プロトン性溶媒、たとえば、エタノール中のナトリウムエトキシド中で、アルコキシドとの反応により環化して、式Iの化合物を得る。反応は、ほぼ室温で約1〜8時間で行われる。反応が実質的に完了した時、式I(式中、Rは水素である)の生成物は、従来のやり方で単離され、精製される。
【0091】
式II(式中、Rは、芳香族基である)の化合物を製造する一方法を反応スキームIIに示す。
【0092】
【化7】

(ステップ1−式(3)の化合物の製造)
式I(式中、Rは水素である)の化合物を、臭素化試薬、たとえば、N−ブロモスクシンイミドと反応させる。一般的に、式Iの化合物を不活性溶剤、たとえばクロロホルムに溶解し、約0℃に冷却する。次いで臭素化剤を加え、2種の化合物を、反応が完了するまで、たとえば約5〜60分攪拌する。反応が実質的に完了した時、式(3)の生成物を、従来のやり方、たとえば塩化メチレンと水との間で分配することによって単離および精製する。溶剤を除去することによって、式(3)の化合物を得る。
【0093】
(ステップ2−式Iの化合物の製造)
式(3)の化合物を、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下、式:RB(OH)の化合物(これは、市販され、あるいは当該分野で周知の方法で製造される)と反応させる。一般的に、式(3)の化合物を、不活性溶剤、たとえばジメトキシエタンに溶解し、式:RB(OH)の化合物を、次いでパラジウム触媒および炭酸ナトリウム水溶液を加える。反応を略還流温度で約8〜24時間行う。反応が実質的に完了した時、式Iの生成物を、従来のやり方、たとえば酢酸エチルと水との間で分配することによって、単離、精製する。溶剤を除去することによって、式Iの粗化合物を得、これをさらに、不活性溶剤、たとえば酢酸エチルから結晶することにより精製する。
【0094】
式I(式中、Rは水素ではない)の化合物を製造する方法を反応スキームIIAに示す。
【0095】
【化8】

(式I(式中、Rはアルキルである)の化合物の製造)
式I(式中、Rは水素である)の化合物を、式:Rハロ(式中、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードである)の化合物と反応させる。一般的には、式Iの化合物を極性溶剤、たとえばN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、式:Rハロ、次いで塩基、たとえば、トリエチルアミンまたは炭酸カリウムを加える。反応を略室温で約8〜24時間行う。反応が実質的に完了した時、式Iの生成物を、従来のやり方、たとえば、溶剤の除去、およびたとえばクロマトグラフフィーによる残渣の精製により、単離および精製する。
【0096】
が水素以外である本発明の化合物を精製する代わりの方法は、式(6)または(7)の中間体から出発するものであり、その製造法を反応スキームIIIに示す。
【0097】
【化9】

(ステップ1−式(5)の化合物の製造)
式(4)の化合物は、市販されている。先ず、式:RCOHのカルボン酸を、不活性溶剤、たとえばトルエン中で、ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基、たとえばトリエチルアミンと還流温度で約1.5時間反応させる。次いで該混合物を40℃未満に冷却し、式(4)の化合物を加え、混合物を約24時間還流する。反応が実質的に完了した時、式(5)の生成物を、従来のやり方、たとえば酢酸エチルと水との間で分配することにより単離し、生成物をたとえばクロマトグラフィーにより精製する。
【0098】
(ステップ2−式(6)の化合物の製造)
プロトン性溶媒、たとえばエタノール中のナトリウムエトキシド中でのアルコキシドとの反応により、式(5)の化合物を式(6)の化合物に環化する。一般的に、式(5)の化合物を、室温で、プロトン性溶媒、たとえばエタノールに溶解し、アルコキシド、たとえばナトリウムエトキシドを加える。混合物を室温で4〜24時間、たとえば一晩保持する。反応が実質的に完了した時、式(6)の生成物を、従来のやり方、たとえば、混合物を酸性とし、減圧下で溶剤を除去することによって、単離、精製する。
【0099】
(ステップ3−式(7)の化合物の製造)
次いで、式(6)の化合物を、塩基との反応により加水分解し、式(7)の化合物とする。一般的に、式(6)の化合物を、プロトン性溶媒、たとえばエタノールであって、塩基、たとえば水酸化カリウムが中に存在する溶剤に溶解する。混合物を約60℃で4〜24時間、たとえば一晩保持する。反応が実質的に完了した時、式(7)の生成物を、従来のやり方、たとえば、混合物を酸性にし、ろ過によって生成物を収集することによって、単離、精製する。
【0100】
次いで、式(6)および(7)の化合物を、式Iの化合物を製造するために使用することができる。その例を以下の反応スキームに示す。たとえば、式Iの化合物(Rは、オキサゾールまたは1,3−オキサゾリンである)を製造するために、式(7)の化合物をヒドロキシエチルアミンと反応させ、生成物を環化させる。
【0101】
【化10】

(ステップ1−式(8)の化合物の製造)
式(7)の化合物を、ヒドロキシエチルアミンと反応させ、式(8)の化合物を得る。一般的に、式(7)の化合物を、不活性溶剤、たとえば塩化メチレン(および溶解性の促進が必要なN,N−ジメチルホルムアミド)に溶解し、約0℃に冷却し、EDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、次いでHOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)および塩基、たとえばトリエチルアミンを加える。混合物を略室温で12〜24時間保持する。反応が実質的に完了した時、式(8)の生成物を、従来のやり方、たとえばクロマトグラフィーにより、単離、精製する。
【0102】
(ステップ2−式Iの化合物の製造)
式(8)の化合物を環化して、式Iの化合物(式中、Rは1,3−オキサゾリンである)を得る。一般的に、式(8)の化合物を、不活性溶剤、たとえばテトラヒドロフランに溶解し、バージェス試薬[(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド]を加える。混合物を約70℃で約1〜2時間保持する。反応が実質的に完了した時、式Iの生成物を、従来のやり方、たとえばクロマトグラフィーによって、単離、精製する。
【0103】
(ステップ3−式Iの化合物の製造)
式I(式中、Rは、1,3−オキサゾリンである)の化合物を、酸化剤、たとえばDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン)で処理することにより、式I(式中、Rは1,3−オキサゾールである)の化合物に変換する。一般的に、式(8)の化合物を、不活性溶剤、たとえばトルエンに、約50℃で溶解し、DDQを加える。混合物を約70〜100℃で約12〜24時間保持した。反応が実質的に完了した時、式Iの生成物を、従来のやり方、たとえばクロマトグラフィーによって単離、精製する。
【0104】
あるいは、式(7)のカルボン酸は、たとえば塩化オキサリルとの反応によって酸ハロゲン化物に変換することができ、次にこれを1−(ヒドロキシイミノ)エチルアミン誘導体と反応させる。次いで、反応スキームVIIに示すように、生成物(アミノ−1−アザプロパ−1−エニル誘導体)を、従来通りに環化し、式Iのオキサジアゾール誘導体を得る。
【0105】
【化11】

(ステップ1−式(9)の化合物の製造)
式(6)の化合物をヒドラジンと反応させ、式(9)の化合物を得る。一般的に、式(6)の化合物を、溶剤の不存在下、約120℃の温度で約1〜6時間ヒドラジン一水和物と接触させる。反応が実質的に完了した時、式(9)の生成物を、従来のやり方、たとえば、溶剤を減圧下で除去することによって、単離、精製する。
【0106】
(ステップ2−式Iの化合物の製造)
式(9)の化合物を、カルボン酸、たとえば酢酸と式:RC(OEt)の化合物との混合物に懸濁し、該混合物を、電子レンジを使用して約120〜180℃で約20分加熱する。反応が実質的に完了した時、式Iの生成物を、従来のやり方、たとえばろ過によって単離、精製する。
【0107】
【化12】

(式I(式中、Rはアミドである)の化合物の製造)
式(6)の化合物を式:HNR(式中、RおよびRは、先に定義した通りである)のアミンと反応させ、式Iの化合物(式中、Rはアミドである)を得る。一般的に、式(6)の化合物を、式:HNRのアミンと、プロトン性溶媒、たとえばメタノール中、約60℃の温度で、好ましくは密閉管中、約12〜24時間接触させる。反応が実質的に完了した時、式I(式中、Rは、式:−C(O)NRのアミドである)の生成物を、従来のやり方、たとえば、溶剤を減圧下で除去することによって、単離、精製する。
【0108】
(式I(式中、Rはアミドである)の化合物の代替製造法)
式(6)の化合物を、式:HNR(式中、RおよびRは、先に定義した通りである)のアミンと反応させ、式Iの化合物(式中、Rはアミドである)を得る。一般的には、式(6)の化合物を、式:HNRのアミンと、不活性溶剤、たとえば塩化メチレン中、EDCI(l−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)の存在下、室温で約12〜24時間接触させる。反応が実質的に完了した時、式I(式中、Rは、式:−C(O)NRのアミドである)の生成物を、従来のやり方、たとえば溶剤を減圧除去し、クロマトグラフィーによって、単離、精製する。
【0109】
式I(式中、Rは、オキサジアゾール誘導体である)の化合物を製造する代わりの方法を、反応スキームVIIに示す。
【0110】
【化13】

(ステップ1−式(10)の化合物の製造)
式(7)の化合物を、カルボン酸を酸ハロゲン化物に変換することができる試薬、たとえば、塩化チオニル、塩化オキサリルなどと反応させ、式(10)の化合物を得る。一般的には、式(7)の化合物を、塩化オキサリルと、不活性溶剤、たとえばテトラヒドロフラン中で、最初約0℃の温度、次いで室温で約12〜24時間反応させる。反応が実質的に完了した時、式(9)の生成物を、従来のやり方、たとえば、溶剤を減圧下で除去することによって単離する。
【0111】
(ステップ2−式(11)の化合物の製造)
式(a)のN−ヒドロキシアミドオキシムを、不活性溶剤、たとえばテトラヒドロフランを約0℃で溶解し、ヒンダードアミン、たとえばN,N−ジイソプロピルエチルアミン、次いで式(10)の化合物を加え、混合物を室温に温め、該温度で24時間維持する。反応が実質的に完了した時、式(11)の生成物を、従来のやり方、たとえば分取用薄層クロマトグラフィーにより、単離、精製する。
【0112】
(ステップ3−式Iの化合物の製造)
式(11)の化合物を、不活性溶剤、たとえばトルエン中、略還流温度で約24〜72時間加熱することによって環化する。反応が実質的に完了した時、式(11)の生成物を従来のやり方、たとえば、分取用薄層クロマトグラフィーにより単離、精製する。
【0113】
(有用性試験および投与)
(一般的有用性)
本発明の化合物は、A2Aアデノシン受容体拮抗剤であり、種々の疾患状態、たとえば、肥満、「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)および大脳虚血を始めとするCNS障害、興奮毒性、認知性および生理学的障害、うつ病、ADHDおよび薬物依存(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド類)の哺乳動物を処置するのに有効である。
【0114】
(試験法)
活性試験は、先に記載した特許および特許出願文献、および以下の実施例に記載されたように、ならびに当業者に明らかな方法によって行なわれる。
【0115】
パーキンソン病の処置に関する本発明の化合物の有用性は、マウスのカタレプシー反転によって、試験することができる。一般的に、ハロペリドールの皮下注射によってマウスにカタレプシーを誘発し、次いで試験化合物を経口強制給餌によって投与する。カタレプシーの反転は、パーキンソン病の処置における有効性を示す。
【0116】
アルコール依存症の処置に関する本発明の化合物の有用性は、該化合物が、ラットにおいて、エタノールの自己投与の発生率を減らすことができるかどうかを判定することによって、試験することができる。
【0117】
不安症の処置に関する本発明の化合物の有用性は、公表された以下の手法を使用することによって試験することができる。すなわち、
精神薬理学における挙動モデル:理論的、工業的および臨床的観点、Cambridge University Press,第21−49ページ(1991);およびAnn.NY Acad.Sci,−821.332−351.(1997):
高架式十字迷路試験は、不安障害、特に、GAD、パニック障害、広場恐怖症および特定の恐怖症のモデルであり、Psychopharmacol.,161,314−323(2002);Jpn.J.Psychopharmacol.,15,125−133(1995),およびPol.J. Pharmacol.,49,79−84(1997)に記載され;
社会的相互作用試験は、不安障害、特に、GADおよび社会恐怖症のモデルであり、Physiol.Behav.,71,551−557(2000)に記載され;
ボーゲル葛藤試験は、不安障害、特にGADのモデルであり、Eur.J.Pharmacol,463,67−96(2003)に記載され;
ホールボード試験は、不安障害、特にGADのモデルであり、Eur.J.Pharmacol,350,.21−29(1998)およびPol.J.Pharmacol,49,79−84(1997)に記載され、
ガラス玉覆い隠し試験は、不安障害、特にOCDのモデルであり、Jpn.J.Pharmacol.68,65−70(1995)に記載され;そして
学習性無力感は、不安障害、特にPTSDのモデルであり、Greenら,Behavioral models in psychopharmacology:theoretical,industrial,and clinical perspectives,Cambridge University Press,第21−49ページ(1991);およびAnn.NY Acad.ScL,821,332−351,(1997)に記載されている。
【0118】
(薬学的組成物)
式Iの化合物は、普通、薬学的組成物の形で投与される。したがって、本発明は、活性成分として、1種以上の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩またはエステルと、1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤、不活性固形希釈剤および充填剤を含む担体、無菌水溶液および種々の有機溶剤を含む希釈剤、可溶化剤および補助剤とを含む薬学的組成物を提供する。式Iの化合物は、単独でまたは他の治療剤と組合わせて投与してもよい。そのような組成物は、医薬分野で周知の方法(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing社,Philadelphia,PA第17編(1985)および「Modern Pharmaceutics」,Marcel Dekker,社第3編(G.S.Banker & C.T.Rhodes,Eds.)によって製造される。
【0119】
(投与)
式Iの化合物は、たとえば、口腔に、鼻腔内に、動脈内注射で、静脈内に、腹腔内に、非経口的、筋肉内に、皮下的に、経口的に、または吸入剤としてのような、参照により組み入れられた特許および特許出願に記載されたものに類似の有用性を有する薬剤に許容される投与の形態の任意の方法によって、単回投与または複数投与のどちらで投与してもよい。
【0120】
経口投与は、式Iの化合物の投与に好ましい経路である。カプセルまたは腸溶性錠剤などによって投与してもよい。少なくとも1種の式Iの化合物を含む薬学的組成物の製造では、活性成分は、普通、賦形剤によって希釈されおよび/またはカプセル、分封剤、紙または他の容器の形にできるような担体の中に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合、活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する、固形物、半固形物、または液体材料(上記のような)であってもよい。したがって、組成物は、錠剤、ピル、粉末剤、トローチ剤、分封剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中で)、たとえば10重量%までの活性化合物を含む軟こう剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、および滅菌包装粉末剤の形態であってもよい。
【0121】
適切な賦形剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。製剤には、さらに、潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤、たとえば、メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエート;甘味剤;および香料添加剤が含まれる。
【0122】
本発明の組成物は、当該分野で公知の手段を使用して、患者に投与した後、活性成分が迅速な、持続性のあるまたは遅延性のある放出を提供するように、製剤化することができる。経口投与のための放出制御による薬物送達システムとして、浸透圧ポンプシステムおよびポリマーで被覆された貯留部または薬物−ポリマーマトリックス製剤を含む溶解システムが挙げられる。制御された放出システムの例が、米国特許第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902,514号;および第5,616,345号明細書に載っている。本発明の方法における用途のための別の製剤では、経皮送達デバイス(「パッチ」)が使用される。そのような経皮パッチは、制御された量の本発明の化合物の継続的なまたは非継続的な注入を提供するために使用できる。医薬品の送達のための経皮パッチの構造および用途は、当該分野で周知である。たとえば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号および第5,001,139号を参照。そのようなパッチは、医薬品の継続的な、拍動性のまたはオンデマンド送達ように構成されてもよい。
【0123】
式Iの化合物のようなアデノシンA2A受容体拮抗剤は、広い投薬範囲で効果的であり、医薬的有効量で一般的に投与される。通常、経口投与については、各用量単位は、1mg〜2gの、より一般的には1〜700mgのアデノシンA2A受容体拮抗剤を含有し、非経口投与については、1〜700mgの、より一般的には約2〜200mgのアデノシンA2A受容体拮抗剤を含有する。しかし、実際に投与されるアデノシンA2A受容体拮抗剤の量は、処置すべき状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物およびその関連活性、個々の患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度など関連する状況に応じて、医者が決定することは理解されるであろう。
【0124】
錠剤のような固形組成物を製造するためには、主要な活性成分を、医薬的賦形剤と混合し、本発明の化合物の均質な混合物を含有する固形の予備処方組成物を作る。これらの予備処方組成物が均質であると言う場合、同じように効果のあるユニット調剤形態、たとえば、錠剤、ピルおよびカプセルに簡単に細分できるように、活性成分が組成物全体に均等に分散していることを意味する。
【0125】
本発明の錠剤またはピルは、持続作用の利点をもたらす投与形態を与えるために、または胃の酸性状態から保護するために、被覆または複合されてもよい。たとえば、錠剤またはピルは、内部投与剤成分および外部投与剤成分を含むことができ、後者は、前者を包む形をしている。2つの成分は、胃の中では分解に抵抗するように働き、内部成分を無傷で十二指腸に通過させる、あるいは放出を遅らせる腸溶層によって分離されうる。種々の物質を、そのような腸溶層または塗膜として使用することができ、そのような物質として、数多くのポリマー酸、およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような物質との混合物が挙げられる。
【0126】
吸入または吹送用の組成物として、薬学的に受容可能な水性または有機溶剤、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末剤が挙げられる。液体および固体組成物は、適切な薬学的に受容可能な前記賦形剤を含有してもよい。局所または全身効果を得るため、組成物は経口または鼻腔吸引経路によって投与されるのが好ましい。薬学的に受容可能な溶剤中の組成物を、好ましくは、不活性ガスを使用して噴霧状にしてもよい。噴霧状にされた溶液を、噴霧器から直接吸入してもよいし、あるいは噴霧器をフェースマスクテントまたは間欠性陽圧呼吸器に取り付けてもよい。溶液、懸濁液または粉末剤組成物を、適正な方法で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口的にまたは鼻腔内に投与することができる。
【0127】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含める。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施がうまくいくように本発明者によって開示された技術を表示するもので、したがって、その実施のための好ましい形態を構成すると考えられると、当業者は理解すべきである。しかし、当業者は、本開示の観点から、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、開示されている特定の実施例において、多くの変更が可能であり、類似の結果が得られると理解すべきである。
【実施例】
【0128】
(実施例1)
(式(2)の化合物の製造)
(A.式(2)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0129】
【化14】

プロピオン酸(3.8ml,50.64mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(10.9ml,50.64mmol)およびトリエチルアミン(7.1ml,50.64mmol)の混合物を、トルエン(30ml)中で1時間還流した。室温に冷却した後、エチル2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレート(3.13g,16.88mmol)を加え、該混合物を18時間還流した。生成物を酢酸エチルと水との間で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧除去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン1:1で溶出するシリカゲル上クロマトグラフに供し、エチル4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]−チオフェン−3−カルボキシレートを桃色の結晶として得た。
【0130】
(B.RおよびRが様々である式(2)の化合物の製造)
同様に、前記実施例IAの手順に倣い、場合によってはエチル2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを他の式(1)の化合物に代え、および場合によっては酢酸を他の式:RCOHのカルボン酸に代えて、以下の式(2)の化合物を製造した。
【0131】
エチル4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−[(プロピルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−{[(メチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−{[(2−メチルプロピル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(ブチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−{[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニルアミノ}−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−[(フェニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−[(2−チエニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−({[(4−メチルフェニル)メチル]アミノ}カルボニルアミノ)チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−フェニルチオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(2−フリル)チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(2−チエニル)チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(4−フェニルフェニル)チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(メチルエチル)チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−[(プロパ−2−イルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−[(プロパ−2−エニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート;
エチル4−メチル−2−{[(2−メチルプロピル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボキシレート;および
エチル2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b[チオフェン−3−カルボキシレート。
【0132】
(C.RおよびRが様々である式(2)の化合物の製造)
同様に、前記実施例IAの手順に倣い、場合によってはエチル2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを他の式(1)の化合物に代え、および場合によっては、酢酸を式:RCOHのカルボン酸に代え、酢酸を式:RCOH(式中、Rは先に定義した通りである)のカルボン酸に代え、他の式(2)の化合物を製造する。
【0133】
(実施例2)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rは水素である)の化合物の製造)
【0134】
【化15】

エチル4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキシレート(3.44g,13.46mmol)のエタノール(10ml)懸濁液に、ナトリウムエトキシド(エタノール中2M,10ml,20mmol)の溶液を、室温で加え、混合物を室温で2時間攪拌した。次いで氷を反応混合物に加え、これを氷浴で冷却し、濃塩酸を用いpHを1未満の酸性とした。次いで水(70ml)を加え、得られた固形物をろ過し、水洗し、次いで減圧下で乾燥し、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0135】
(B.式I(式中、Rは水素であり、RおよびRは様々である)の化合物の製造)
同様に、前記実施例2Aの手順に倣い、エチル4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]−チオフェン−3−カルボキシレートを他の式(2)の化合物に代えて、以下の式I(式中、Rは水素である)の化合物を製造した。
【0136】
3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−プロピル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−メチルエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(2−メチルプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−ブチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−シクロプロピルメチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−フェニル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(2−チエニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(4−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(メチルエチル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(4−フェニルフェニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−エニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロベンゾ[b]チオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1−メチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−エニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
5−メチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(C.式I(式中、Rは水素ではない)の化合物の製造)
同様に、前記実施例2Aの手順に倣い、エチル4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]−チオフェン−3−カルボキシレートを他の式(2)の化合物に代えて、以下の式I(式中、Rは水素ではない)の化合物を製造した。
【0137】
3−エチル−5,6−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アセチル−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(実施例3)
(式(3)の化合物の製造)
(A.式(3)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0138】
【化16】

3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(2.58g,12.27mmol)のクロロホルム(60ml)懸濁液を0℃に冷却し、攪拌しながら、N−ブロモスクシンイミド(2.18g,12.27mmol)を15分かけ少しずつ加えた。該混合物を30分攪拌し、次いでメタノール(10ml)を加えると固体が溶液となった。該溶液を水(30ml)で抽出し、水層を塩化メチレン(2×50ml)で洗浄した。有機層を合わせた後、固体が形成し、したがってさらに20mlのメタノールを加え、該固体を溶解した。該溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶剤をろ液から減圧除去し、6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを褐色結晶として得た。この固体を酢酸エチル(30ml)から結晶化し、薄褐色固体を得た。残渣を、酢酸エチル/ヘキサン1:1で溶出するシリカゲル上でクロマトグラフィーに供し、さらに生成物を得た。
【0139】
(B.RおよびRが様々である式(3)の化合物の製造)
同様に、前記実施例3Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式I(式中、Rは水素である)の化合物に代えて、以下の式(3)の化合物を製造した。
【0140】
6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−プロピル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−メチルエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(2−メチルプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−ブチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−シクロプロピルメチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−フェニル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(2−チエニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(4−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−ブロモ−3−エチル−5−(メチルエチル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(C.RおよびRが様々である式(3)の化合物の製造)
同様に、前記実施例3Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式I(式中、Rは水素である)の化合物に代えて、たとえば以下の式(3)の他の化合物を製造する。
【0141】
6−ブロモ−3−エチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−エチル−5−(4−フェニルフェニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−ブロモ−3−エチル−5−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン.
(実施例4)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rは水素である)の化合物の製造)
【0142】
【化17】

6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(97.6mg,0.338mmol)、2−フランボロン酸(94.5mg,0.845mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(19.5mg,0.0169mmol)、ジメトキシエタン(4ml)および炭酸ナトリウム水溶液(1ml)の混合物を調整し、該混合物を窒素下で15時間還流した。生成物をセライト(3g)でろ過し、該セライトを酢酸エチル(70ml)で洗浄した。ろ液を、水(30ml)、次いで食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を乾燥した溶液から減圧除去し、粗3−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ−[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを褐色油状物として得た。酢酸エチル(1ml)から結晶化し、生成物を薄褐色結晶として得た。
【0143】
【化17A】

(B.R、RおよびRは様々である式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例4Aの手順に倣い、場合によっては6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを式(3)の他の化合物に代え、および場合によっては2−フランボロン酸を他のボロン酸誘導体に代えて、以下の式Iの化合物を得た。
【0144】
3−エチル−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−[l−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−チエニル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−エチル−6−フェニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−エチル−6−[3−ベンジル(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−[l−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(3−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(5−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(5−クロロ(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3,5−ジメチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−フリル)−3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−6−(2−メチル(1,3−チアゾール−4−イル))−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−5−メチル−6−(4−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(C.R、R、RおよびRが様々である式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例4Aの手順に倣い、場合によっては6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式(3)の化合物に代え、および場合によっては2−フランボロン酸を他のボロン酸誘導体に代えて、以下の式Iの化合物を製造した。
【0145】
3−エチル−1,5−ジメチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0146】
(D. R、R、RおよびRが様々である式Iの化合物の製造)
場合によっては、6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の前記式(3)の化合物に代え、スチールの反応条件{Pd(PPh[10モル%]、適正なRSnBu、トルエン、マイクロ波16O℃、1時間}を使用して、以下の式Iの化合物を製造した。
【0147】
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−5−メチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0148】
(E.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0149】
【化18】

3−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ−[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(50mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、炭酸カリウム(100mg)およびヨウ化メチル(1ml)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。溶剤を減圧除去した後、残渣を、20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲル上クロマトグラフに供し、3−エチル−6−(2−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0150】
【化18A】

(F.R、RおよびRが様々である式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例4Eの手順に倣い、場合によっては3−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ−[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式Iの化合物に代え、およびN,N−ジメチルホルムアミドを他のアミドに代えて、以下の式Iの化合物を製造した。
【0151】
3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(3−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(実施例5)
(式Iの化合物の代わりの製造例)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0152】
【化19】

6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(24.4mg,0.0844mmol)、3−ピリジンボロン酸(25.9mg,0.211mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.9mg,0.00422mmol)、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(0.5ml)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)の混合物を、アルゴン下で、スミス法バイアルに導入した。密封したバイアルを、マイクロ波反応器を使用し、160℃で10分加熱した。生成物をセライト(3g)でろ過し、セライトを酢酸エチル(70ml)で洗浄した。ろ液を水(30ml)、次いで食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を乾燥溶液から減圧下で除去し、粗3−エチル−5−メチル−6−(3−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを褐色油状物として得た。酢酸エチル(1ml)から結晶化し、生成物を薄褐色結晶として得た。
【0153】
【化19A】

(B.R、RおよびRが様々である式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例5Aの手順に倣い、場合によっては6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式(3)の化合物に代え、および場合によっては2−フランボロン酸を他のボロン酸誘導体に代えて、以下の式Iの化合物を製造した。
【0154】
3−エチル−5−メチル−6−ピリミジン−5−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(ピロール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(6−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−6−(2−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(実施例6)
(式(5)の化合物の製造)
(A.式(5)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0155】
【化20】

プロピオン酸(0.8ml,10mol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.22ml,10.3mmol)およびトリエチルアミン(1.39ml,10mmol)の混合物をトルエン(15ml)中で90分還流した。次いで該混合物を40℃未満に冷却し、エチル2−アミノ−5−(エトキシカルボニル)−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレート(1.76g,6.85mmol)のトルエン(10ml)溶液を加え、混合物を24時間還流した。反応混合物を食塩水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサン1:6から1:4で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを得た。構造をH NMRおよびマススペクトル分析によって確認した。
【0156】
(B.他の式(5)の化合物の製造)
同様に、前記実施例6Aの手順に倣い、場合によってはエチル2−アミノ−5−(エトキシカルボニル)−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを他の式(4)の化合物に代え、場合によってはプロピオン酸を他の式:RCOHのカルボン酸に代えて、他の式(5)の化合物を製造する。
【0157】
(実施例7)
(式(6)の化合物の製造)
(A.式(6)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0158】
【化21】

エチル5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレート(0.93g,2.84mmol)のエタノール(20ml)溶液に、ナトリウムエトキシドのエタノール(21%w/w,2ml)溶液を加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、0℃に冷却し、1Nの塩酸で酸性とした。溶剤を混合物から減圧除去し、該固形残渣に水を加え、得られた個体をろ取し、水洗し、エタノールから再結晶し、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。マススペクトル分析およびH NMRは満足した。
【0159】
(B.他の式(6)の化合物の製造)
同様に、前記実施例7Aの手順に倣い、エチル5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを他の式(5)の化合物に代え、他の式(6)の化合物を製造する。
【0160】
エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;
エチル3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;
エチル5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;および
エチル1,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート。
【0161】
(実施例8)
(式(7)の化合物の製造)
(A.式(7)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0162】
【化22】

エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(0.28g,1mmol)および水酸化カリウム(0.28g,5mmol)の溶液をエタノール(20ml)に溶解し、60℃で一晩攪拌した。冷却した後、溶剤を混合物から減圧下で除去し、残渣を水に溶解した。水溶液を塩酸水溶液で酸性とし、生成した析出物をろ取し、水洗し、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸を白色固体として得、これをエタノールから再結晶した。マススペクトル分析およびH NMRは満足した。
【0163】
(B.他の式(7)の化合物の製造)
同様に、前記実施例8Aの手順に倣い、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを他の式(6)の化合物に代え、他の式(7)の化合物を製造した。
【0164】
5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸;および
5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸。
【0165】
(C.他の式(7)の化合物の製造)
同様に、前記実施例8Aの手順に倣い、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを他の式(6)の化合物に代え、他の式(7)の化合物を製造する。
【0166】
(実施例9)
(式(8)の化合物の製造)
(A.式(8)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0167】
【化23】

3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸(92mg,0.36mmol)および2−アミノエタン−1−オール(33mg,0.54mmol)の塩化メチレン10ml)溶液に、0℃で、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.1g,0.54mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73mg,0.54mmol)およびトリエチルアミン(55mg,0.54mmol)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、塩化メチレンで希釈し、0.5Nの塩酸で洗浄した。生成物が水相にまだ存在し、これを塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧除去した。メタノールおよび塩化メチレンを残渣に加え、白色固形物をろ取し、塩化メチレンで洗浄し、(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−(2−ヒドロキシエチル)カルボキサミドを得た。マススペクトル分析およびH NMRは満足した。
【0168】
(B.他の式(8)の化合物の製造)
同様に、前記実施例9Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸を他の式(7)の化合物に代え、他の式(8)の化合物を製造した。
【0169】
N−((1R)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
N−((1S)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
N−((1R)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
N−((1S)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;
(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N,N−ジメチルカルボキサミド;および
6−[(4S)−4−シクロヘキシルメチル)(1,3−オキサゾリン−2−イル)]−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(C.他の式(8)の化合物の製造)
同様に、前記実施例9Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸を他の式(7)の化合物に代え、他の式(8)の化合物を製造する。
【0170】
(実施例10)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rは1,3−オキサゾリン−2−イルである)の化合物の製造)
【0171】
【化24】

(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−(2−ヒドロキシエチル)カルボキサミド(70mg,0.24mmol)およびバージェス試薬((メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウム水酸化物内部塩,64mg,0.27mmol)の混合物を、テトラヒドロフラン(4ml)中、70℃で2時間攪拌した。溶剤を混合物から減圧除去し、残渣を、5%メタノール/塩化メチレンで溶出する、分取用薄層クロマトグラフィーで精製し、3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを白色固体として得た。マススペクトル分析およびH NMRは満足した。
【0172】
【化24A】

(B.他の様々なRを持つ式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例10Aの手順に倣い、(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−(2−ヒドロキシエチル)カルボキサミドを、他の式(8)の化合物に代え、以下の他の式Iの化合物を製造した。
【0173】
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
6−((4R)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4R)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4R)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン
(C.他の式I(式中、Rは1,3−オキサゾリン−2−イルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例10Aの手順に倣い、(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−(2−ヒドロキシエチル)カルボキサミドを他の式(8)の化合物に代え、他の式Iの化合物を製造する。
【0174】
(実施例11)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rはオキサゾール−2−イルである)の化合物の製造)
【0175】
【化25】

3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(10mg,0.036mmol)のトルエン溶液を、50℃で加熱し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(41mg,0.18mmol)を少量ずつ加えた。得られた溶液を、95℃で一晩攪拌し、冷却し、溶剤を減圧除去した。残渣を、5%メタノール/塩化メチレンで溶出する分取用薄層クロマトグラフィーで精製し、3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを薄黄色固体として得た。
【0176】
【化25A】

(B.他の式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例11Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式I(式中、Rは、不飽和複素環である)の化合物に代え、他の式Iの化合物を製造した。
【0177】
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0178】
(C.式I(式中、Rは1,3−オキサゾール−2−イルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例11Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを他の式I(式中、Rは1,3−オキサゾリン−2−イルである)の化合物に代え、他の式I(式中、Rは1,3−オキサゾール−2−イルである)の化合物を製造した。
【0179】
(実施例12)
(式(9)の化合物の製造)
(A.式(9)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0180】
【化26】

エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(1g,3.3mmol)のヒドラジン一水和物(7ml)懸濁液を120℃で3時間攪拌した。液体を減圧除去し、残渣をジエチルエーテル(10ml)で粉砕し、ろ過し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥し、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボヒドラジドを得、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0181】
(B.他の式(9)の化合物の製造)
同様に、前記実施例12Aの手順に倣い、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを他の式(6)の化合物に代え、他の式(9)の化合物を製造した。
【0182】
(実施例13)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rは1,3,4−オキサジアゾリルである)の化合物の製造)
【0183】
【化27】

3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボヒドラジド(50mg,0.2mmol)の酢酸(2ml)およびオルトギ酸トリエチル(2ml)混合物の懸濁液を、電子レンジ中、160℃で20分加熱した。形成した析出物を室温で放置した後、ろ取し、酢酸で洗浄し、減圧下で乾燥し、3−エチル−5−メチル−6−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0184】
(B.式I(式中、Rは1,3,4−オキサジアゾール−2−イルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例13Aの手順に倣い、オルトギ酸トリエチルを他の式:RC(OEt)(式中、Rは、メチル、プロピルまたはフェニルである)の化合物に代え、以下の式Iの化合物を製造した。
【0185】
3−エチル−5−メチル−6−(5−メチル(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(5−エチル(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−5−メチル−6−(5−フェニル(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0186】
(C.他の式I(式中、Rは、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例13Aの手順に倣い、場合によっては3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボヒドラジドを他の式(9)の化合物に代え、および場合によってはオルトギ酸トリエチルを他の式:RC(OEt)の化合物に代えて、ほかの式I(式中、Rは1,3,4−オキサジアゾール−2−イル誘導体である)の化合物を製造する。
【0187】
(実施例14)
(式I(式中、Rはアミドである)の化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルアミノカルボニルである)の化合物の製造)
【0188】
【化28】

エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(30mg)のメタノール(2ml)溶液を、水(5ml)中の40%メチルアミンとともに、攪拌管中、60℃で一晩攪拌した。溶剤を反応混合物から減圧下除去し、残渣を5%メタノール/塩化メチレンで溶出する分取用薄層クロマトグラフィーで精製し、(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミドを白色固体として得た。
【0189】
(B.式I(式中、Rはアミドである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例14Aの手順に倣い、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを他の式(6)の化合物に代え、ほかの式I(式中、Rはアミドである)の化合物を製造する。
【0190】
(3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミド;および
N−メチル(5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド。
【0191】
(実施例15)
(式(10)の化合物の製造)
(A.式(10)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0192】
【化29】

3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸(0.13g,0.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、℃で塩化オキサリル(0.87ml,10mmol)を滴下し、混合物を一晩攪拌した。次いで、溶剤を減圧除去し、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニルクロライドを黄色油状物として得、これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0193】
(B.他の式(10)の化合物の製造)
同様に、前記実施例15Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸を他の式(7)の化合物に代え、他の式(10)の化合物を製造する。
【0194】
(実施例16)
(式(11)の化合物の製造)
(A.式(11)(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0195】
【化30】

N−ヒドロキシ−2−フェニルエタンイミドアミド(75mg,0.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、0℃で、ジイソプロピルエチルアミン(0.17ml,1mmol)、次いで4mlのテトラヒドロフランに溶解した3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニルクロライド(136mg,0.5mmol)を加えた。温度を室温に温め、混合物を24時間攪拌した。溶剤を減圧除去し、残渣を5%メタノール/塩化メチレンで溶出する薄層クロマトグラフィーで精製し、2−アミノ−3−フェニル−1−アザプロパ−1−エニル−3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを薄黄色固体として得た。
【0196】
(B.他の式(11)(式中、Rは1,3,4−オキサジアゾール−2−イルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例16Aの手順に倣い、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニルクロライドを他の式(10)の化合物に代え、他の式(11)の化合物を得る。
【0197】
(実施例17)
(式Iの化合物の製造)
(A.式I(式中、Rはエチルであり、Rはメチルである)の化合物の製造)
【0198】
【化31】

エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(50mg,0.13mmol)およびトルエン(15ml)の混合物を60時間還流した。溶剤を反応混合物から減圧除去し、残渣を、5%メタノール/塩化メチレンで溶出する分取用薄層クロマトグラフィーで精製し、粗3−エチル−5−メチル−6−[3−ベンジル(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを得、これをメタノールで処理し、ろ過し、薄黄色固体を得た。
【0199】
【化31A】

(B.他の式Iの化合物の製造)
同様に、前記実施例17Aの手順に倣い、エチル3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを他の式(11)の化合物に代え、他の式I(式中、Rは置換オキサジアゾールである)の化合物を製造する。
【0200】
(実施例18)
(式Iの化合物の製造)
(A.式(2)(式中、Rは2−メチルプロピルであり、Rはメチルであり、Rはアセチルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例1Aの手順に倣い、場合によってはエチル2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボキシレートを他の式(1)の化合物に代え、および場合によっては、酢酸を他の式:RCOHのカルボン酸に代えて、以下の式(2)の化合物を製造した:
エチル5−アセチル−4−メチル−2−{[(2−メチルプロピル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボキシレート。
【0201】
(B.式I(式中、Rは2−メチルプロピルであり、Rはメチルであり、Rはアセチルである)の化合物の製造)
同様に、前記実施例2Aの手順に倣い、エチル4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]−チオフェン−3−カルボキシレートを他の式(2)の化合物に代え、以下の式Iの化合物を製造した:
6−アセチル−5−メチル−3−(3−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0202】
(C.式(式中、Rは2−メチルプロピルであり、Rはメチルであり、Rは2−ブロモアセチルである)の化合物の製造)
攪拌した前記ステップBの化合物(0.28g,1mmol)のCHCl(10mL)懸濁液に、CHCl(5mL)中の臭素(0.056mL,1.1mmol)を氷浴中で滴下した。得られた混合物を1時間還流した。冷却した反応混合物に飽和NaHCO水溶液を加えた。有機層を分離し、さらにNaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空蒸発させ、6−(2−ブロモアセチル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンを得た。残渣を次のステップに直接使用した。
【0203】
(D.式I(式中、Rは2−メチルプロピルであり、Rはメチルであり、Rは水素である)の化合物の製造)
前記ステップCの化合物(0.34g,1mmol)を、ホルムアミド(5mL)中180℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機層をNaSOで乾燥し、真空蒸発させた。粗生成物を、分取用TLC(EtOAc:ヘキサン=2:3)で精製し、5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(0.04g)を得た。
【0204】
(E.式I(式中、Rは2−メチルプロピルであり、Rはメチルであり、Rは水素であり、Rは様々である)の化合物の製造)
同様に、前記ステップEの手順に倣い、ホルムアミドを他の化合物に代え、以下の式Iの化合物を製造した:
5−メチル−6−(2−メチル(1,3−チアゾール−4−イル))−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0205】
(実施例19)
以下の成分を含有する硬ゼラチンカプセルを製造する。
【0206】

成分 (mg/カプセル)
活性成分 30.0
デンプン 305.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
上記成分を混合し、硬ゼラチンカプセルに詰める。
【0207】
(実施例20)
以下の成分を使用して錠剤製剤を製造する。
【0208】

成分 (mg/錠剤)
活性成分 25.0
セルロ−ス、微結晶性 200.0
コロイドシリコンジオキシド 10.0
ステアリン酸 5.0
成分を配合し、圧縮して錠剤を形成する。
【0209】
(実施例21)
以下の成分を含有する硬ゼラチンカプセルを製造する。
【0210】

成分 (mg/カプセル)
活性成分 30.0
デンプン 305.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
上記成分を混合し、硬ゼラチンカプセルに詰める。
【0211】
(実施例22)
以下の成分を使用して錠剤製剤を製造する。
【0212】

成分 (mg/錠剤)
活性成分 25.0
セルロ−ス、微結晶性 200.0
コロイドシリコンジオキシド 10.0
ステアリン酸 5.0
成分を配合し、圧縮して錠剤を形成する。
【0213】
(実施例23)
以下の成分を含有する乾燥粉末剤吸入製剤を製造する。
成分 重量%
活性成分 5
ラクトース 95
活性成分をラクトースと混合し、混合物を乾燥粉末剤吸入装置に加える。
【0214】
(実施例24)
それぞれ30mgの活性成分を含有する錠剤を、以下のように製造する。
【0215】

成分 (mg/錠剤)
活性成分 30.0mg
デンプン 45.0mg
微結晶性セルロ−ス 35.0mg
ポリビニルピロリドン
(滅菌水中10%溶液として) 4.0mg
ナトリウム カルボキシメチルデンプン 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1.0mg
合計 120mg
活性成分、デンプンおよびセルロ−スを、第20番メッシュU.S.シーブに通し、十分に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を得られた粉末剤と混合し、次いでこれを16メッシュU.S.シーブに通す。このように製造した顆粒を、50℃〜60℃で乾燥し、16メッシュU.S.シーブに通す。次いで、先に第30番メッシュU.S.シーブに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを、顆粒に加え、混合した後、錠剤成形機で圧縮し、それぞれ120mgの重さの錠剤を得る。
【0216】
(実施例25)
それぞれ25mgの活性成分を含有する坐剤を以下のように製造する。
成分 量
活性成分 25mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mgまで
活性成分を第60番メッシュU.S.シーブに通し、これを先に溶融させた飽和脂肪酸グリセリドに必要な最小熱を使用して懸濁させる。次いで、混合物を公称容量2.0gの坐剤型に注ぎ入れ、冷却する。
【0217】
(実施例26)
それぞれ5.0mL容量当たり50mgの活性成分を含有する懸濁液を、以下のように製造する。
成分 量
活性成分 50.0mg
キサンタンガム 4.0mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロ−ス(11%)
微結晶性 セルロ−ス(89%) 50.0mg
ショ糖 1.75g
安息香酸ナトリウム 10.0mg
芳香剤および色素 任意量
精製水 5.0mLまで
活性成分、ショ糖およびキサンタンガムを配合し、第10番メッシュU.S.シーブを通し、次いで先に製造した微結晶性セルロ−スおよびナトリウムカルボキシメチルセルロ−スの水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、芳香剤および色素をいくらかの水で希釈し、攪拌しながら加える。次いで、十分な水を加え、必要とする容量にする。
【0218】
(実施例27)
皮下注射製剤は以下のように製造できる。
成分 量
活性成分 5.0mg
トウモロコシ油 10mL
(実施例28)
以下の組成を有する注射製剤を製造する。
成分 量
活性成分 2.0mg/mL
マンニトール,USP 50mg/mL
グルコン酸,USP 適量(pH5〜6)
水(蒸留、滅菌) 適量、1.0mLまで
窒素ガス、NF 適量
(実施例29)
以下の組成を有する局所製剤を製造する。
成分 グラム
活性成分 0.2〜10
スパン60 2.0
ツウィーン60 2.0
鉱物油 5.0
ペトロラタム 0.10
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 0.01
水 適量から100まで
水を除いて上記の全ての成分を合わせ、攪拌しながら、60℃に加熱する。次いで、激しく攪拌しながら、十分な量の水を60℃で加え、成分を乳化させ、次いで水を適量、100gまで加える。
【0219】
(実施例30)
徐放性組成物
成分 重さ範囲 好ましい範囲(%) 最も好ましい範囲(%)

活性成分 50〜95 70〜90 75
微結晶性セルロ−ス 1〜35 5−15 10.6
(充填剤)
メタクリル酸共重合体 1〜35 5〜12.5 10.0
水酸化ナトリウム 0.1〜1.0 0.2〜0.6 0.4
ヒドロキシプロピル 0.5〜5.0 1〜3 2.0
メチルセルロ−ス
ステアリン酸 0.5〜5.0 1〜3 2.0
マグネシウム。
【0220】
本発明の徐放性製剤を以下のように製造する。化合物、pH−依存性バインダーおよび任意の賦形剤を完全に混合する(乾燥配合)。次いで、乾燥配合混合物を、配合粉末剤に噴霧する強塩基の水溶液の存在下、顆粒化する。顆粒を乾燥し、ふるいにかけ、場合によっては潤滑剤(たとえば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)と混合し、錠剤に圧縮する。好ましい強塩基の水溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物の溶液、たとえば、水(場合によっては、低級アルコールのような水混和性溶剤を25%まで含有する)中の水酸化ナトリウムである。
【0221】
識別、味をマスクする目的のため、および嚥下の容易性を改善するため、得られた錠剤を、場合によっては被膜剤で被覆してもよい。被膜剤は、通常、錠剤重量の2%と4%との間の範囲の重さで存在する。適切な膜形成剤は、当該分野で周知であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、カチオン性メタクリレート共重合体(ジメチルアミノエチルメタクリレート/メチル−ブチルメタクリレート共重合体−Eudragit(登録商標)−Rohm.Pharma)などが挙げられる。これらの被膜剤は、場合によっては、着色剤、可塑剤、および他の補助成分を含有してもよい。
【0222】
圧縮された錠剤は、たとえば、8Kp圧縮に耐えるのに十分な硬さを持つ。錠剤サイズは、主に、錠剤中の化合物の量に依存する。錠剤は、遊離化合物ベースで300〜1100mg含有する。たとえば、錠剤は、遊離化合物ベースで400〜600mg、650〜850mg、および900〜1100mgの範囲の量を含有する。
【0223】
溶解速度に作用するため、粉末剤を含む化合物を湿潤状態で混合する時間を制御する。たとえば、合計粉末剤の合計混合時間、すなわち、粉末剤が水酸化ナトリウム溶液に曝されている時間は、1〜10分、たとえば、2〜5分の範囲である。顆粒化の後、粒子は造粒機から取り出され、流動床乾燥機に置かれ、約60℃で乾燥する。
【0224】
(実施例31)
(A2A結合アッセイ)
(A2A拮抗剤活性の測定)
(試薬)
トリチウムアデノシンA2A拮抗剤、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン、(3H−MSX−2,特異活性:80Ci/mmol)を、American Radiolabeled Chemicals社(St.Louis,MO)から購入した。トリチウムアデノシンA拮抗剤、1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン([H]DPCPX,特異活性:120Ci/mmol)を、Perkin Elmer(Boston,MA)から購入した。トリチウムアデノシンA2a拮抗剤、4−(2−[7−アミノ−2−(2−フリル)[1,2,4]トリアゾロ[2,3−a][1,3,5]トリアジン−5−イルアミノ]エチル)フェノール([H]ZM241385特異活性:27.4Ci/mmol)を、American Radiolabeled Chemicals社(St.Louis,MO)から購入した。アデノシンデアミナーゼ(ADA)を、Roche Molecular Biochemicals(Nutley,NJ)から購入した。GTPをSigmaから購入した。化合物の濃縮ストック溶液(10mM)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、−20℃で保存し、試験に用いるために、トリス−EDTA緩衝液(50mMのトリスおよび1mMのEDTA,10mMのMgCl,pH7.4)で希釈した。トリス−EDTA緩衝液中のジメチルスルホキシドの最終含有率は、試験の間、1%以下であった。体重が250〜400g、8〜10週齢のオスのスプラーグ・ドーレイ・ラットを、Charles River Labs(Wilmington,MA)から購入した。
【0225】
(細胞培養)
ヒトA2Aアデノシン受容体またはヒトA2Bアデノシン受容体を安定的に発現するHEK293(ヒト胚腎臓293)細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMのL−グルタミン、100IU/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシンおよび2μg/mlのピューロマイシンを補充したDMEM中に維持した。ヒトAアデノシン受容体またはヒトAアデノシン受容体を安定に発現するCHO(チャイニーズハムスターの卵巣)細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMのL−グルタミン、100IUのペニシリン、50μgのストレプトマイシンおよび8μg/mlのピューロマイシンを補充したF12K培地中に維持した。PC12(ラット褐色細胞腫)細胞を、10%ウマ血清および2.5%ウシ胎仔血清、2mMのL−グルタミン、100IU/mlのペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシンを補充したF12K培地で培養した。全ての細胞は、加湿された5%CO/95%空気インキュベーター内に37℃で保たれ、1週間に2回再培養した。
【0226】
(膜調製)
150mm皿の中の培養細胞を、PBSで1回洗浄し、スクラッピングによって切り離し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する緩衝液A(10mMのHEPES、10mMのEDTA,pH7.4)で集めた。次いで、細胞をハンドヘルドホモジナイザーにより、1分間に4.5回の速度で均質化した。均質化物をベックマン超遠心分離機により、29,000×gの速度で15分間遠心分離した。ペレットを、緩衝液HE(10mMのHEPES、1mMのEDTA、pH7.4、プロテアーゼ阻害剤カクテルを有す)に再懸濁し、再び、29,000×gで15分間遠心分離した。粗膜を、緩衝液HEを使用して再懸濁し、タンパク質濃度を、BSAを標準として、Loweryの方法によって測定した。同様の手順を、新鮮なラット組織の膜を調製するために使用した。全ての実験手順は、4℃で行った。膜を分取し、−80℃に保った。
【0227】
(放射リガンド結合アッセイ)
結合アッセイは、アデノシンデアミナーゼおよび50mMのトリス−EDTA緩衝液(pH=7.4)で処理した15ugのA2A膜(ヒト組換えA2A膜、ラット線条体膜、またはPC12細胞膜)を利用し、次いで、本発明の化合物の2μLの連続希釈されたDMSOストック溶液を、10μMから0.1nMの範囲の濃度で混合し、あるいはコントロールには2μLのDMSOのみを与え、次いで、トリス−EDTA緩衝液(50mMのTris、1mMのEDTA,10mMのMgCl、pH7.4)中のトリチウム拮抗剤、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(H−MSX−2)を加え、最終濃度を2nMとした。23℃で2時間培養した後、膜ハーベスターを使用して該溶液をろ過し、複数回(3×)膜を洗浄した。フィルター板をシンチレーションカクテルで計測し、本発明の競合結合組成物による変位H−MSX−2の量を得た。放射リガンド結合データをGraphPad Prismバージョン4.0(San Diego,CA)を使用して分析した。適正な場合は、3個以上の個々の平均値の間の差の優位性を、1元配置ANOVA、次いでStudent−Newman−Keuls試験によって決定した。0.05未満のAP値は、十分に優位な差があることを示すと考えた。
【0228】
前記のアッセイを使用し、本発明の化合物のKi(A2A)データを作成した。数多くの代表的な化合物のデータが以下の表1にある。
【0229】
【表1】

【0230】
【表2】

【0231】
【表3】

【0232】
【表4】

(cAMPアッセイ)
HEK293−A2A細胞およびPC12細胞を150×25mm組織培養皿に播種し、約80%の密集状態になるまで36〜72時間成長させた。次いで、細胞をPBSで1回洗浄し、2mMのEDTAを含有するPBSで取り外した。細胞を1000rpmの速度でペレット状にし、Opti−MEM Iに再懸濁した。ADA(1U/ml)を加え、アデノシンを除いた。細胞を96−ウェルプレートに入れ(約6500個の細胞/ウェル)、37℃で30分間、拮抗剤(5分間予備処理された)の不存在または存在下、アゴニストで培養した。cAMP生成を、製造業者の指示に従い、DiscoveRxキットを使用して測定した。
【0233】
(実施例32)
(ラットにおける、抗パーキンソン病活性インビボハロペリドール誘発カタレプシーの評価)
この方法は、神経安定ドーパミンD2拮抗剤、ハロペリドールを受けた後の外部から強制された姿勢に反応する動物の能力を評価する。L−DOPAのようなパーキンソン病の処置に効果のある薬物は、ハロペリドール誘発カタレプシーをブロックする(Mandhane,S.N.;Chopde,C.T.;Ghosh,A.K.(1997)。アデノシンA2A受容体は、ラットにおいて、ハロペリドール誘発カタレプシーを調整する。
【0234】
本発明の化合物を、注射用に調製し、生理食塩液を使用して最終濃度に希釈する。3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)(0,3mg/kg)を生理食塩水に溶解する。全薬物を容量2ml/kgで投与する。動物には、3種の注射、すなわち、(1)試験の6時間前にビヒクルまたは化合物を経口投与(2)試験の2.5時間前にハロペリドール(0.2mg/kg)を腹腔内投与および(3)試験の30分前にビヒクルまたはDMPX(3mg/kg)を与える。
【0235】
試験手順は以下の通りである。
【0236】
ステップI ラットを飼育ゲージから取り出し、テーブルに置く。背中にやさしく触れるまたは押した時、ラットが動かなければ、0.5の点数を付ける。
【0237】
ステップII ラットの前足を、高さ3cmの木製ブロックに、かわるがわるに置く。ラットが15秒以内にこの姿勢を正さなければ、足毎に、ステップIの点数に0.5の点数を加える。
【0238】
ステップIII ラットの前足を、高さ9cmの木製ブロックにかわるがわるに置く。ラットが15秒以内に姿勢を正さなければ、ステップIおよびIIの点数に、点数を加える。したがって、任意の動物に関し、得られうる最も高い点数は、合計カタレプシーを反映し、3.5(カット−オフスコア)である。
【0239】
試験のデータは、適正な場合は、Kruskal−Wallis ANOVA、次いでMann−Whitney U試験を用いて分析し、平均*p<0.05対ビヒクルコントロールの平均+/−標準誤差として表す。
【0240】
(MPTP病変モデル)
マウス(C57/BL Harlan)に、1.0.mu.lの容量で、試験化合物、ビヒクルコントロールおよびポジティブコントロールを片側線条体内注入する(15匹のマウス/群)。試験化合物の投与から30分後、全てのマウスにMPTP(N−メチル−4−フェニル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン)(25mg/kgs.c)を全身的に投与し、このMPTP処置を24時間後に繰り返す。適切な時点で、自動活性化モニターで測定して、動物の自発的運動活性を対照動物と比較する。
【0241】
第2回目のMPTP注射から14日後、動物を致死させ、ドーパミンおよびその代謝物、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸およびホモバニリン酸のHPLC分析用に、線条体組織を切開した。電気化学検出に連結する逆相HPLC(Antec Decade検出器,光沢のある炭素セル,+0.65V対Ag/AgClリファレンス電極に設定)を採用する。HPLC移動相は、0.15MのNaH.sub.2PO.sub.4、0.1mMのEDTA、0.55mMのオクチルサルフェート、16%メタノール(pH3.6、オルトリン酸で調節)で構成される。
【0242】
MPTP誘発中脳損傷への試験化合物の効果は、試験化合物注射の同じ側および反対側から取れる尾状組織におけるドーパミン、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸およびホモバニリン酸濃度を比較することによって示される。移動力、ならびにカテコールアミンおよび代謝産物の組織濃度における試験化合物のMPTP誘発効果の影響を、適正な試験での分散分析(ANOVA)を繰り返し測定することによって分析する。
【0243】
(実施例33)
(ラットにおけるインビボアルコール乱用の処置の評価)
体重が約250gのオスのロング・エバンズ・ラット(Harlan,Indianapolis,IN)を、独立して、可能な限り自由に、食事および水で飼育し、12時間明暗周期を保つ。自己投与のためのエタノール希釈液(10%v/v)を、95%エチルアルコールおよび水道水を使用して調製する。ショ糖溶液(10%w/v)を、水道水を使用して調製する。試験化合物を温生理食塩水に溶解し、1ml/kg容量を投与する。エタノールオペラント自己投与は、防音室内に入れられた標準のオペラントチャンバー(Med Associates,Georgia,VT)で行われる。各チャンバー(33×30.5×33cm)には、右壁に対し、床から7cm、右壁の左右の端からそれぞれ1cmの所に2個の格納式のレバーがある。床から2.5cm上で、チャンバーの中央に向かってレバーから6cmに位置する1個の凹んだ皿は、強制剤の受け口である。2個の受け口応答レバーの1個が反応した時、流体(0.1ml)が10個のシリンジポンプから供給される。レバーが押された時、3秒トーンが発せられる。働かないレバーを押しても、一晩ショ糖が送られる間を除いて、視覚的/聴覚的合図も、強制的供給も起こらない。トレーニング活動の始まりは、レバーに直面する壁の中央、床から27.2cm上に位置するハウスライトが点灯することによって通知される。コンピュータ制御刺激および流体供給、およびオペラント反応を記録する。
【0244】
エタノールオペラント自己投与を始める前に、ラットを、液体源としては10%エタノール溶液にのみ、そのケージに4日間入れ、これに曝す。次の14日間は、動物に、段階的ガラス管から、水道水中の10%エタノール溶液または水道水の間で自由に選択させる。この14日間の最終日に、些細な変更を加えたショ糖給餌法(Samson,1986)に従って、オペラント自己投与を開始する。ラットを連続2日間1日当たり30分の水に制限する。水を制限した2日目の夜、ラットをオペラントチャンバー内に、一晩12〜15時間置き、強制剤として10%ショ糖を与え、両方のレバーを働くようにしたFR1計画(レバーを1回押す毎に0.1mlの1強制剤)を行う。次の日、オペラント自己投与トレーニングを始める。次の4、5日間、水を制限した状態に動物を保ち、その間に45分間のセッションを1日1回、10%エタノール溶液を強制剤として、1個のレバーを働くようにしたFR1計画を受けさせる。次いで、実験の残りの期間彼らのゲージに水を自由に与え、先に記載したセッションをもう2.3回訓練する。次の日、セッションを30分に短縮し、反応の比をFR3計画に増加させた。エタノールを甘い溶液(10%ショ糖/10%エタノール)に加え、ラットにこの溶液のセッションを3,4回受けさせ、次いで10%エタノールのみのセッションを少なくとも20回受けさせた。どの薬物処置が始まる前にも、8セッションで最小平均0.3g/kgエタノールの消費が必要である。
【0245】
(実施例34)
(ニコチン依存性の低下)
生体材料:ウィスター系由来のオスのラット(250〜300g)を、2つの群で飼育し、温度制御の環境で12時間:12時間明サイクル(0600時オン−1800時オフ)で維持し、実験動物が到着した時、研究実験に使用される実験動物を慣れさせる1週間の期間の間、該動物には、餌および水への自由なアクセスが与えられた。実験動物の使用および世話に関する現行のNIHガイドライン、および全ての適用可能な地方、州および連邦レベルの規制およびガイドラインに従って、取り扱い、飼育し、致死させる。実験的試験の前、手でいじられるストレスに対する感度を下げるため、動物を数日間毎日手でいじる。細胞サイズ(n=8)は、薬物効果の信頼のおける評価を与える。
【0246】
薬物処理:ウィスター系ラットに、試験化合物(0.00,7.5,10,および15mg/kg)を腹腔内投与(i.p.)により、数回投与し、ポジティブコントロール化合物、メカミラミン(1.5mg/kg,皮下注射(s.c)で投与する。化合物を、SAセッションの30分前に投与する。試験化合物を、7.5mg/kg(3.75mg/ml)および10mg/kg(5mg/ml)用量を2ml/kgで、および15mg/kg用量(5mg/ml)を3ml/kgで投与する。化合物をトウモロコシ油(VEH)に溶解し、投与の2時間前までに、少なくとも30分音波処理を行う。メカミラミンを0.09%等張生理食塩水に溶解し、容量1ml/kgで投与する。
【0247】
装置:食事トレーニングおよびニコチン自己投与を、8個の標準Coulbournオペラントチャンバーで行う。各チャンバーを防音箱に入れる。オペラントチャンバーには、床から2cm上に2個のレバーが備えられ、チャンバーの背面壁上の右のレバーから2cm上に合図の灯りが備えられる。食事トレーニングに関して、フードホッパーが、背面壁の中央の、各レバーの左/右に2cmの所に配置される。静脈内注入は、防音室の外側にある注入ポンプ(Razel,CT)を介して、1秒間隔で0.1mlの容量で供給される。
【0248】
食事トレーニング:Hyytiaら(1996)の方法により示されるように、レバーの押し方を構築する。最初、ラットは毎日15グラムの餌(自由摂食時の体重の約85%)に制限する。食餌制限の2日目後、ラットを、1秒の小休止(TO−1)を伴う強化(レバー1押し当たり1餌ペレット)の固定した比1(FR1)スケジュール下で、餌に反応するようにトレーニングする。トレーニングは、1日あたり2回行われ、TO期間は、徐々に20秒まで増やす。一度ラットが強化のFRl−TO20スケジュールで反応する安定したベースラインを獲得すれば、頚静脈カテーテルインプラント外科手術の準備の前に、彼らを自由な食事に戻す。
【0249】
外科手術:ラットをケタミン/キシラジン混合物で麻酔し、連用サイラスティック頚静脈カテーテルを外頚静脈に挿入し、皮下に通って動物の背中に取り付けられたポリエチレンアッセンブリに通す。カテーテルアッセンブリは、13cmの長さのサイラスティックチューブ(内径0.31mm;外径0.64mm)で構成され、直角に曲げられたガイドカニューレに接続される。カニューレは、歯科用セメントに埋め込まれ、2×2cm角の耐久性メッシュで固定される。カテーテルをラットの背中から頚静脈に皮下的に通し、そこに挿入し、非吸収性シルク縫合糸で固定する。外科手術がうまく完了すれば、ラットには、自己投与期間が始まる前、3〜5日間の回復期間を与える。回復期間の間、ラットが自由に餌に接するようにし、カテーテル内での血液凝固および感染の予防のため、66mg/mlのチメンチンを含有する30単位/mlのヘパリン添加生理食塩水を毎日、カテーテルに流す。
【0250】
ニコチン自己投与:カテーテルインプラント外科手術からうまく回復した後、ラットの餌を再び、自由摂食時の体重の85%に減らす。自己投与期間が始まると、対象を、強制剤のFR1−TO−20スケジュール下、安定した応答が達成されるまで、1週間当たり5日間、1時間ベースライン時間中IV自己投与ニコチンでトレーニングする。3連続セッションを通しばらつきが20%未満である場合を、安定した応答と定義する。ニコチンの安定した応答を獲得した後、被験者内ラテン方格法を用いて、種々の用量の試験化合物を試験する。1試験セッションに関し各用量の試験化合物で処置した後、ラットにニコチンの自己投与をさせ、その後、1試験自己投与セッションの間、次の用量を探る前に1〜3日間、「再度ベースライン」とする。第一化合物の試験の後、ラットにポジティブコントロール化合物、メカミラミン(1.5mg/kg)を交差試験の条件に従って投与する。
【0251】
SAセッションの間、カテーテル開存性を確保するために、試験の前にラットを生理食塩水で洗い流し、カテーテル中の血液凝固および感染を予防するために、試験後に66mg/mlのチメンチンを含有する30単位/mlのヘパリン添加生理食塩水で再び洗い流す。カテーテル開存性に問題があり、応答速度に予期しえぬシフトあるいはカテーテルからの血液の引抜き不能によって実証された場合、0.1mlの短時間作用型麻酔薬(ブレビタール)を注入する。開存カテーテルを付けた動物は、3秒以内に筋緊張の早期喪失を発揮する。ブレビタール試験によるもはや開存ではないカテーテルを付けたラットは、実験から除く。
【0252】
(データ分析)
データを複数のオペラントチャンバーからオンラインで集め、ニコチンのバーを押した平均累積数として報告する。データは、PC−互換コンピュータで、Stat View統計パッケージを使用して分析する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物または多型であって、式中、
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、場合によっては置換されたC2−4アルケニル、または場合によっては置換されたC2−4アルキニルであり;
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環であり;
は、水素、−C(O)NR(式中、RおよびRは、水素、場合によっては置換された低級アルキルから独立して選択される)、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環またはヘテロアリールであり;あるいは
およびRは、一緒になって、場合によっては置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は、結合して、場合によっては置換された5員または6員環状アルケニル環、またはヘテロ原子が酸素または窒素である5員または6員複素環を形成し;
は、水素または場合によっては置換されたC1−4アルキルである、
化合物。
【請求項2】
が水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが一緒に結合して、場合によっては置換された5員または6員環状アルケニル環を形成する請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がエチルである、すなわち3−エチル−l,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロベンゾ[b]チオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−エニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンおよび
3−エチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンからなる群から選択される請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環またはヘテロアリールである請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−[3−ベンジル(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(6−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−メトキシ(3−ピリジル))−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(3−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−(2−フリル)−3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(シクロプロピルメチル)−5−メチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3,5−ジメチル−6−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(3−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1−エチル−6−(2−フリル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4R)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−メチル−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾリン−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンからなる群から選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
がC(O)NRである請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミド、
N−メチル(5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド、
N−((1R)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)(3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))カルボキサミド;および
(3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−イル))−N−メチルカルボキサミドからなる群から選択される請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、場合によっては置換されたC1−4アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がメチルである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が水素である請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−1−メチル−5−(5−メチル(2−フリル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンからなる群から選択される請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環またはヘテロアリールである請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
6−((5R)−5−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−エチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((4S)−4−メチル(1,3−オキサゾリン−2−イル))−1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(2−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−(3−フリル)−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(4−メチル(2−チエニル))−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−6−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−1,5−ジメチル−6−ピロール−2−イル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−(2−プロピルメチル)−6−(1,3−オキサゾール−4−イル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[1,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−1,5−ジメチル−6−(2−ピリジル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオンからなる群から選択される請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物または多型を含む薬学的組成物。
【請求項18】
2A受容体拮抗剤化合物で治療することができる哺乳動物の疾患または状態を治療する方法であって、治療的に有効な用量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物または多型を、該処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項19】
疾患状態が、肥満、CNS障害(「運動障害」、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシーを含む)、脳虚血、興奮毒性、認知性および生理学的障害、うつ病、ADHDおよび薬物依存(アルコール依存、アンフェタミン依存、カンナビノイド依存、コカイン依存、ニコチン依存およびオピオイド依存を含む)からなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物の冠状血管盗流現象を予防するために冠動脈拡張を阻害する方法であって、治療的に有効な用量の請求項1に記載の化合物を、該予防を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項21】
式II:
【化2】

の化合物であって、式中、
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、場合によっては置換されたC2−4アルケニル、または場合によっては置換されたC2−4アルキニルであり;
は、水素、場合によっては置換されたC1−4アルキル、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、場合によっては置換された5員または6員単環式複素環であり;
は、−COOR、−C(O)R、または場合によっては置換された低級アルキルであり、ここで、Rは、水素または場合によっては置換された低級アルキルであり、Rは、水素または場合によっては置換された低級アルキルであり;
は、水素または場合によっては置換されたC1−4アルキルである、
化合物。
【請求項22】
3−エチル−5,6−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
エチル3,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;
5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸;
エチル5−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート;および
エチル1,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートからなる群から選択される請求項21に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−528389(P2009−528389A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557512(P2008−557512)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/063143
【国際公開番号】WO2007/103776
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(504003226)シーブイ・セラピューティクス・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】CV Therapeutics, Inc.
【Fターム(参考)】