説明

ABCA−1を上昇させる化合物およびかかる化合物の使用方法



種々の病状(特に、インスリン抵抗性、糖尿病、異常脂質血症、冠状動脈疾患、および炎症)の治療に有用な式(1)の新規の化合物を開示する。本発明の化合物は、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、同様にABCA−1タンパク質レベルを増加させることにより、哺乳動物(特に、ヒト)における血漿中のHDLレベルを増加させることができる。特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の式Iの化合物および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させる化合物で有用に治療することができる哺乳動物における疾患または容態の治療のための薬学的処方物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年2月7日に出願された米国仮特許出願第61/027,016号に対する優先権を主張し、この全開示は本明細書において参考として援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、哺乳動物における細胞ABCA−1産生の惹起に有用な化合物、および冠状動脈疾患の治療におけるかかる化合物の使用方法に関する。本発明はまた、かかる化合物を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
コレステロールは、高等生物の成長および生存に不可欠である。これは、真核生物の膜の流動性を調整する脂質であり、プロゲステロンおよびテストステロンなどのステロイドホルモンの前駆体である。コレステロールを、食事から得ることができ、または、肝臓内および腸内で合成することができる。コレステロールは、体液を介してリポタンパク質によって特定の標的に輸送される。このリポタンパク質は、密度の高さによって分類される。例えば、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)は、肝臓から末梢組織細胞へのコレステロール輸送を担い、LDL受容体はLDLに結合し、細胞へのその侵入を媒介する。
【0004】
コレステロールは哺乳動物における多数の生物学的過程に不可欠であるにもかかわらず、身体全体の動脈中のアテローム斑の形成に寄与し、例えば、冠状動脈疾患を発症し得ることが知られているという点で血清LDLコレステロールレベルの上昇は望ましくない。逆に、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルの上昇は、ヒト臨床データおよび動物モデル系に基づいて、冠状動脈疾患の発症を防ぐことが見出されている。
【0005】
一般に、過剰なコレステロールは、高密度リポタンパク質(HDL)を含む経路によって体内から除去される。コレステロールは、2つの過程(成熟HDLへの受動輸送またはアポリポタンパク質A−1への能動輸送)のうちの1つによって細胞から「流出する」。後者の過程は、ATP結合カセット輸送体1(ABC−1、あるいは、ABCA−1と呼ばれる)として公知のタンパク質によって媒介される。後者の過程では、脂質に乏しいHDL前駆体はリン脂質およびコレステロールを必要とし、それにより、成熟HDL粒子の血漿中レベルが増加する。HDLコレステロールは「コレステロール逆輸送」として公知の過程において最終的に肝臓に輸送され、ここで、再利用されるか、胆汁として排泄される。
【0006】
動脈中のアテローム斑の形成リスクの軽減を目的とした1つの治療方法は、血漿中脂質レベルの減少に関する。かかる方法には、食事の変更、および/またはコレステロールの細胞内合成の阻害またはLDL受容体を介した取り込みの阻害のいずれかによって血漿中LDLコレステロールレベルを軽減する薬物(フィブリン酸の誘導体(クロフィブラート、ゲムフィブロジル、およびフェノフィブラート)、ニコチン酸、およびHMG−CoAレダクターゼインヒビター(メビノリン、メバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、およびロバスタチンなど)など)での処置が含まれる。さらに、胆汁酸結合樹脂(コレスチリン、コレスチポール、およびプロブコールなど)は、腸取り込みの軽減および肝臓内でのLDL−コレステロール異化の増加によってLDL−コレステロールレベルを減少させる。
【0007】
特に、HDL経路を介した動脈壁からのコレステロールの除去能力が欠損した個体における動脈中のアテローム斑の形成リスクの軽減を目的とした代替療法を得ることが望ましい。HDLレベルが一般にABCA−1の発現に関連することを考慮すると、HDLレベルの1つの増加方法は、ABCA−1発現を増加させることであろう。したがって、哺乳動物におけるABCA−1発現の強力な刺激物質であり、したがって、コレステロール流出を増加させ、血中HDLコレステロールレベルを上昇させる化合物を提供することが望ましい。これは、低HDLレベルを特徴とする種々の病状(特に、冠状動脈疾患)の治療に有用であろう。
【0008】
マクロファージ中のABCA−1産生の上昇によって血漿中HDLコレステロールを有意に上昇させることなく冠状動脈中のコレステロール沈着が局所的に減少することも示されていることに留意すべきである。この場合、ABCA−1発現の上昇は、HDLコレステロールが増加しない場合でさえ有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
したがって、本明細書中に記載の本発明の典型的な実施形態は、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させ、それにより、血漿中の高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルが増加し、哺乳動物における脂質レベルが低下する化合物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、式I:
【0010】
【化1】

(式中、
Rは水素であり、
は、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリールであるか、
RおよびYRは、それらが結合する窒素原子と一緒になった場合に任意選択的に置換されたヘテロシクリルを示し、
は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、アシル、またはシアノであり、
は、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール;任意選択的に置換されたヘテロアリール、または任意選択的に置換されたヘテロシクリルであり、RおよびRは、独立して、水素またはアシルであり、
XおよびYは、独立して、共有結合または任意選択的に置換されたアルキレンであり、
但し、Rがメチルである場合、Yは共有結合であり、Xがメチレンまたはエチレンである場合、Rはフェニルであり得ない)の化合物に関する。
【0011】
ある実施形態では、本発明は、治療有効用量の式Iの化合物を、治療を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させる化合物で有用に治療することができる哺乳動物における疾患または容態の治療における式Iの化合物の使用方法に関する。かかる疾患には、動脈疾患(特に、冠状動脈疾患)が含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、疾患は、低HDLコレステロールによって特徴づけられる。ある実施形態では、疾患または容態は、1つまたは複数の糖尿病、インスリン抵抗性、異常脂質血症(dyslipidemia)、冠状動脈疾患、および炎症であり得る。
【0012】
典型的な実施形態では、本発明の方法は、治療有効用量の式Iの化合物を、治療を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させ、血清中HDLコレステロールレベルも上昇させる化合物で有用に治療することができる哺乳動物における疾患または容態の治療における式Iの化合物の使用を含む。かかる疾患には、動脈疾患(特に、冠状動脈疾患)が含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、疾患は、低HDLコレステロールによって特徴づけられる。ある実施形態では、疾患は、1つまたは複数の糖尿病、インスリン抵抗性、異常脂質血症、冠状動脈疾患、および炎症であり得る。
【0013】
特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の式Iの化合物および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させる化合物で有用に治療することができる哺乳動物における疾患または容態の治療のための薬学的処方物に関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、式Iの化合物の調製方法に関する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、特にR、R、R、およびRが全て水素である場合、Rは任意選択的に置換されたアリールまたは任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
【0016】
ある実施形態では、Rは任意選択的に置換されたアリール(例えば、任意選択的に置換されたフェニル)であり、Rは任意選択的に置換されたシクロアルキルであり、Xは共有結合である。いくつかのかかる実施形態では、Rはハロ(特に、フルオロ)によって置換されたフェニルであり、Rは、任意選択的に置換されたシクロペンチル(特に、2−ヒドロキシシクロペンチル)である。
【0017】
他の実施形態では、RおよびRは共に任意選択的に置換されたフェニルであり、Xは共有結合であり、Yは任意選択的に置換された低級アルキレンである(特に、Yがフェニルに置換されたエチレン、プロピレン、またはプロピレンである化合物)。
【0018】
さらに他の実施形態では、Rは任意選択的に置換されたアルキルまたは任意選択的に置換されたフェニルであり、Rは任意選択的に置換されたフェニルであり、XおよびYは共に共有結合である。いくつかのかかる実施形態では、Rは低級アルキルまたは2−フルオロフェニルであり、Rはフェニルまたは2−フルオロフェニルである。
【0019】
さらに他の実施形態では、Rは任意選択的に置換されたヘテロアリール(例えば、任意選択的に置換された1,3−チアゾール−2−イルまたは任意選択的に置換された1,3−ベンゾオキサゾール−2−イルなど)である。いくつかのかかる実施形態では、Rは任意選択的に置換されたシクロアルキルまたは任意選択的に置換されたフェニルであり、Xは共有結合であり、Yは共有結合またはアルキレンである。ある実施形態では、Rはビシクロアルキル(特に、ビシクロ[2.2.1]ヘプチ−2−イル)であり、Yは共有結合である。いくつかの実施形態では、Rは、単環(特に、シクロプロピル)であり、Yはメチレンである。いくつかの他の実施形態では、Rはフェニルであり、Yは低級アルキレンである。
【0020】
いくつかの実施形態では、R、R、およびRは全て水素であり、RおよびYRは、窒素と共に結合した場合に窒素含有ヘテロシクリルを示す。かかる特定の実施形態には、特に窒素と共に結合した場合にRおよびYRはピロリジン−1−イルを示す場合、Rは任意選択的に置換されたフェニルまたは任意選択的に置換されたヘテロアリールであり、Xは共有結合である化合物が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ZDF(ズッカー糖尿病肥満)ラットの肝臓内のABCA1遺伝子発現に及ぼす処置の影響の経時変化を示す。ラットを、0、2、および4時間後に式Iの試験化合物で処置した。)p<0.05、**)p<0.01(ビヒクル処置ラットと有意に異なる)。[図中および実験中の変化3619
【図2】図2は、ZDFラットにおける肝臓ABCA1タンパク質発現に及ぼす処置の影響の経時変化を示す。ラットを、0、2、および4時間後に式Iの試験化合物で処置した。処置により、ABCA1タンパク質発現が経時的に増加する。)p<0.05、**)p<0.01(ビヒクル処置ラットと有意に異なる)。ABCA1タンパク質発現を、ウェスタンブロットによって測定し、濃度測定によって定量し、測定点のビヒクルコントロールを使用して、各測定点でのABCA1発現を正規化した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
定義および一般的なパラメーター
本明細書中で使用する場合、以下の用語および句は、一般に、これらが使用される文脈が別の意味を示す範囲を除いて、下記の意味を有することを意図する。
【0023】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有するモノラジカルな分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖をいう。この用語の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、およびテトラデシルなどの基である。
【0024】
用語「置換アルキル」は、以下をいう。
【0025】
1)アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する上記定義のアルキル基。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0026】
2)酸素、硫黄、および−NR−(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される)から独立して選択される1〜5個の原子または基に割り込まれた上記定義のアルキル基。全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)にさらに置換することができる。または、
3)1〜5個の上記定義の置換基を有し、1〜5個の上記定義の原子または基にも割り込まれた上記定義のアルキル基。
【0027】
用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するモノラジカルな分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖をいう。この用語の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、およびn−ヘキシルなどの基である。
【0028】
用語「置換低級アルキル」は、置換アルキルについて定義の1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する上記定義の低級アルキル、置換アルキルについて定義の1〜5個の原子に割り込まれた上記定義の低級アルキル基、または1〜5個の上記定義の置換基を有し、1〜5個の上記定義の原子または基にも割り込まれた上記定義の低級アルキル基をいう。
【0029】
用語「アルキレン」は、好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖のジラジカルをいう。この用語の例は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、およびプロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などの基である。
【0030】
用語「低級アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖のジラジカルをいう。
【0031】
用語「置換アルキレン」は、以下をいう。
【0032】
1)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基を有する上記定義のアルキレン基。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0033】
2)酸素、硫黄、およびNR−(式中、Rは、水素、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル(heterocycyl)から選択される)から独立して選択される1〜5個の原子または基、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミド、およびスルホニルから選択される基に割り込まれた上記定義のアルキレン基、または
3)1〜5個の上記定義の置換基を有し、1〜20個の上記定義の原子にも割り込まれた上記定義のアルキレン基。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、および1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)である。
【0034】
用語「アラルキル」は、アルキレン基に共有結合したアリール基(アリールおよびアルキレンは本明細書中に定義されている)をいう。「任意選択的に置換されたアラルキル」は、任意選択的に置換されたアルキレン基に共有結合した任意選択的に置換されたアリール基をいう。かかるアラルキル基の例は、ベンジル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどである。
【0035】
用語「アルコキシ」は、R−O−基(式中、Rは任意選択的に置換されたアルキルまたは任意選択的に置換されたシクロアルキルであるか、Rは−Y−Z基(式中、Yは任意選択的に置換されたアルキレンであり、Zは任意選択的に置換されたアルケニル、任意選択的に置換されたアルキニル、または任意選択的に置換されたシクロアルケニルである)である)(アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは本明細書中で定義されている)をいう。好ましいアルコキシ基はアルキル−O−であり、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、および1,2−ジメチルブトキシなどが含まれる。
【0036】
用語「アルキルチオ」は、R−S−基(式中、Rはアルコキシについて定義のとおりである)をいう。
【0037】
用語「アルケニル」は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、1〜6個、好ましくは1個の二重結合(ビニル)を有する、分岐または非分岐の不飽和炭化水素のモノラジカルをいう。好ましいアルケニル基には、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、およびビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが含まれる。アルケニルが窒素に付着する場合でさえ、二重結合は窒素に対してα位であり得ない。
【0038】
用語「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有する上記定義のアルケニルをいう。
【0039】
用語「置換アルケニル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する上記定義のアルケニル基をいう。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0040】
用語「アルキニル」は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1〜6個のアセチレン(三重結合)不飽和部位を有する不飽和炭化水素のモノラジカルをいう。好ましいアルキニル基には、エチニル、(−C≡CH)、およびプロパルギル(またはプロピニル、および−C≡CCH)などが含まれる。アルキニルが窒素に付着する場合でさえ、三重結合は、窒素に対してα位であり得ない。
【0041】
用語「置換アルキニル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール.−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する上記定義のアルキニル基をいう。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0042】
用語「アミノカルボニル」は、−C(O)NRR基(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであるか、両R基が連結して複素環基(例えば、モルホリノ)を形成する)をいう。全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)にさらに置換することができる。
【0043】
用語「アシルアミノ」は、−NRC(O)R基(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである)をいう。全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R(Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)にさらに置換することができる。
【0044】
用語「アシルオキシ」は、−O(O)C−アルキル基、−O(O)C−シクロアルキル基、−O(O)C−アリール基、−O(O)C−ヘテロアリール基、および−O(O)C−ヘテロシクリル基をいう。全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)にさらに置換することができる。
【0045】
用語「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の環(例えば、ビフェニル)、または複数の縮合(融合)環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6〜20個の炭素原子の芳香族炭素環基をいう。好ましいアリールには、フェニルおよびナフチルなどが含まれる。
【0046】
他でアリール置換基についての定義によって限定されない限り、かかるアリール基を、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基と任意選択的に置換することができる。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0047】
用語「アリールオキシ」はアリール−O−基(式中、アリール基は上記定義の通りである)をいい、上記にも定義の任意選択的に置換されたアリール基が含まれる。用語「アリールチオ」は、R−S−基(式中、Rはアリールについて定義の通りである)をいう。
【0048】
用語「アミノ」は−NH基をいう。
【0049】
用語「置換アミノ」は、−NRR基(式中、各Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択される。但し、両R基は水素ではない)または−Y−Z基(式中、Yは任意選択的に置換されたアルキレンであり、Zは、アルケニル、シクロアルケニル、またはアルキニルである)をいう。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0050】
用語「カルボキシアルキル」は、−C(O)O−アルキル基、−C(O)O−シクロアルキル基(式中、アルキルおよびシクロアルキルは本明細書中に定義の通りである)をいい、任意選択的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)にさらに置換することができる。
【0051】
用語「シクロアルキル」は、単一の環式環または複数の縮合環を有する3〜20個の炭素原子の環式アルキル基をいう。かかるシクロアルキル基には、例として、単環構造(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルなど)または多環構造(アダマンタンイルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、または融合アリール基(例えば、インダンなど)である環式アルキル基など)が含まれる。
【0052】
用語「置換シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基をいう。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。
【0053】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロ、およびヨードをいう。
【0054】
用語「アシル」は、−C(O)R基(式中、Rは、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアリール、および任意選択的に置換されたヘテロアリールである)を示す。
【0055】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環内に1〜15個の炭素原子および1〜4個の酸素、窒素、硫黄から選択されるヘテロ原子を含む芳香族基(すなわち、不飽和)をいう。
【0056】
ヘテロアリール置換基についての定義によって他で限定されない限り、かかるヘテロアリール基を、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基と任意選択的に置換することができる。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。かかるヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)または縮合多環(例えば、インドリジニル、ベンゾチアゾール、またはベンゾチエニル)を有することができる。窒素複素環およびヘテロアリールの例には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、およびイミダゾリンなどならびにN−アルコキシ−窒素含有ヘテロアリール化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−基をいう。
【0058】
用語「ヘテロシクリル」は、環内に1〜40個の炭素原子および窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する単環または縮合多環を有するモノラジカルな飽和または部分飽和した基をいう。
【0059】
式Iの化合物は、「RおよびYRは、それらが結合する窒素原子と一緒になった場合に任意選択的に置換されたヘテロシクリルを示す」という定義を含む。かかる定義には、環内に窒素のみを有する複素環(例えば、ピロリジンおよびピペリジン)が含まれ、環内に1つを超えるヘテロ原子を有する複素環(例えば、ピペラジンおよびモルホリンなど)も含まれる。
【0060】
他で複素環置換基についての定義に限定されない限り、かかる複素環基を、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基と任意選択的に置換することができる。定義によって他で限定されない限り、全ての置換基を、任意選択的に、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である)から選択される1〜3個の置換基にさらに置換することができる。複素環基は、単環または縮合多環を有することができる。典型的な複素環には、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、およびピペリジニルなどが含まれる。
【0061】
用語「チオール」は−SH基をいう。
【0062】
用語「置換アルキルチオ」は−S−置換アルキル基をいう。
【0063】
用語「ヘテロアリールチオール」は、−S−ヘテロアリール基(式中、ヘテロアリール基は上記定義の通りである)(上記にも定義の任意選択的に置換されたヘテロアリール基が含まれる)をいう。
【0064】
用語「スルホキシド」は、−S(O)R基(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールである)をいう。「置換スルホキシド」は、−S(O)R基(式中、Rは、本明細書中に定義の置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである)をいう。
【0065】
用語「スルホン」は、−S(O)R基(式中、Rは、アルキル、アリール、またはヘテロアリールである)をいう。「置換スルホン」は、−S(O)R基(式中、Rは、本明細書中に定義の置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである)をいう。
【0066】
用語「ケト」は−C(O)−基をいう。用語「チオカルボニル」は−C(S)−基をいう。用語「カルボキシ」は−C(O)−OH基をいう。
【0067】
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載された事象または環境が起こっても起こらなくてもよく、この記載にはこの事象または環境が起こる例および起こらない例が含まれることを意味する。
【0068】
用語「式Iの化合物」は、開示の本発明の化合物、ならびに薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物(かかる化合物の薬学的に許容可能な水和物、薬学的に許容可能なエステル、およびプロドラッグなどであるが、これらに限定されない)を含むことを意図する。さらに、本発明の化合物は1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、ラセミ混合物、各鏡像異性体、またはジアステレオ異性体として生成することができる。任意の所与の式Iの化合物中の立体異性体の存在数は、不斉中心の存在数に依存する(n個の不斉中心数が存在する場合に2個の立体異性体が可能である)。各立体異性体を、いくつかの適切な合成段階での中間体のラセミ混合物または非ラセミ混合物の分解または従来手段による式Iの化合物の分解によって得ることができる。各立体異性体(各鏡像異性体およびジアステレオ異性体が含まれる)ならびに立体異性体のラセミ混合物つおよび非ラセミ混合物は、本発明の範囲内に含まれ、他で特に示されない限り、その全てが、本明細書の構造によって示されることを意図する。
【0069】
「異性体」は、同一分子式を有する異なる化合物である。
【0070】
「立体異性体」は、原子の空間的配置のみが異なる異性体である。
【0071】
「鏡像異性体」は、相互に重ね合わせることができない鏡像である立体異性体対である。鏡像異性体対の1:1混合物は「ラセミ混合物」である。必要に応じて、用語「(±)」を使用してラセミ混合物を示す。
【0072】
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの非対称原子を有するが、相互に鏡像でない立体異性体である。
【0073】
絶対立体化学を、カーン−酢酸エチルと水との間の残渣の分配−プレローグR/S表示法にしたがって特定する。化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素での立体化学を、RまたはSのいずれかによって特定することができる。その絶対配置が知られていない分割化合物を、ナトリウムD線の波長での偏光面を回転させる配向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(−)と指定する。
【0074】
用語「治療有効量」は、かかる治療を必要とする哺乳動物に投与した場合に下記定義の治療を行うのに十分な式Iの化合物の量をいう。治療有効量は、治療を受ける被験体および病状、被験体の体重および年齢、病状の重症度、および投与様式などに応じて変化し、当業者は治療有効量を容易に決定することができる。
【0075】
用語「冠状動脈疾患」は、冠状動脈の「硬化」(アテローム性動脈硬化症)が存在する慢性疾患を意味する。
【0076】
用語「アテローム性動脈硬化症」は、コレステロール、リポイド物質、および脂肪貪食細胞を含む黄色斑の沈着物が大動脈および中型の動脈の内膜および内膜内層内に形成される動脈硬化型をいう。
【0077】
用語「処置」または「治療」は、以下に挙げられる哺乳動物における疾患の任意の処置を意味する:
i)疾患の防止(すなわち、疾患の臨床症状を発症させないこと)、
ii)疾患の阻害(すなわち、臨床症状の発症を停止させること)、および/または
iii)疾患の緩和(すなわち、臨床症状の後退)。
【0078】
多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはこれらに類似の基の存在によって酸および/または塩基の塩を形成することができる。用語「薬学的に許容可能な塩」は、式Iの化合物の生物学的有効性および性質を保持し、生物学的またはその他の点で望ましくないわけではない塩をいう。薬学的に許容可能な塩基付加塩を、無機塩基および有機塩基から調製することができる。無機塩基由来の塩には、例示のみを目的として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が含まれる。有機塩基由来の塩には、アミン上の少なくとも2つの置換基が異なり、この置換基が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環からなる群から選択される第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミンの塩(アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環アミン、複素二環アミン、複素三環アミン、ジアミンとトリアミンの混合物など)が含まれるが、これらに限定されない。2つまたは3つの置換基がアミノ窒素と共に複素環基またはヘテロアリール基を形成するアミンも含まれる。
【0079】
適切なアミンの具体例には、例示のみを目的として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラブラミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、およびN−エチルピペリジンなどが含まれる。
【0080】
薬学的に許容可能な酸付加塩を、無機酸および有機酸から調製することができる。無機酸由来の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などが含まれる。有機酸由来の塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、およびサリチル酸などが含まれる。
【0081】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容可能なキャリア」には、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、ならびに等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのかかる媒質および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒質または薬剤が有効成分と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用を意図する。補足的有効成分を、組成物中有に組み込むこともできる。
【0082】
命名法
本発明の化合物の命名およびナンバリングを、式I(式中、Rは水素であり、Rは2−ヒドロキシシクロアルキルであり、Rは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RおよびRは共に水素であり、XおよびYは共に共有結合である)の代表的な化合物を用いて例示する。
【0083】
【化2】

この化合物の名称は、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである。
【0084】
合成反応パラメーター
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」、または「不活性溶媒」は、これらと合わせて記載される反応条件下で不活性な溶媒を意味する(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、およびピリジンなどが含まれる)。逆に特定しない限り、本発明の反応で使用される溶媒は不活性有機溶媒である。
【0085】
用語「q.s.」は、記述の機能を達成する(例えば、溶液を所望の体積(すなわち、100%)にする)のに十分な量を添加することを意味する。
【0086】
式Iの化合物の合成
反応スキームIに示すように、式Iの化合物を、2,6−ジクロロプリンから出発して調製することができる。
【0087】
反応スキーム1
【0088】
【化3】

反応スキーム1(続き)
【0089】
【化4】

工程1−式(2)の調製
式(1)の出発化合物を、米国特許第5,789,416号(その完全な開示が参考として援用される)に以前に記載のように調製する。
【0090】
式(2)の化合物を、不活性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中における触媒量の酸触媒(例えば、p−トルエンスルホン酸)の存在下にて約40〜90℃、典型的には約70℃で約24〜72時間、典型的には約48時間の2,2−ジメトキシプロパンとの反応によって式(1)の化合物から従来法で調製する。反応の実質的な完了時に、式(2)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去およびフラッシュクロマトグラフィによる残渣の精製)によって単離する。
【0091】
工程2−式(3)の調製
次いで、式(2)の化合物を式(3)の化合物に変換する。式(2)の化合物を、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシラートの存在下において不活性溶媒(例えば、エーテルまたはテトラヒドロフラン)中で式RSH(式中、Rは上記で定義の通りである)のチオ化合物と反応させる。典型的には、還流にて約24〜100時間、典型的には約72時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式(3)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去およびフラッシュクロマトグラフィによる残渣の精製)によって単離する。
【0092】
工程3−式(4)の調製
次いで、2−クロロ部分を、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下での式RRYNH(式中、Yは共有結合またはアルキレンである)のアミンとの反応によって式(3)の化合物から置換する。不活性プロトン性溶媒(例えば、エタノール)中にて、ほぼ還流温度で約14〜48時間、典型的には約24時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式(4)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、その後のシリカゲルでの残渣のクロマトグラフィ)によって単離する。
【0093】
工程4−式Iの調製
次いで、式(4)の化合物を、酸(有機酸(例えば、酢酸)など)での処理によって脱保護する。酸と水との混合物中にて約50〜100℃、典型的には約80〜90℃で約10〜48時間、典型的には約16時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式Iの生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、その後のシリカゲルでの残渣のクロマトグラフィ)によって単離する。
【0094】
工程2および3を逆の順序で行うことができることに留意すべきである。
【0095】
式Iの化合物の別の合成方法
あるいは、式Iの化合物を、反応スキームIIに示すように調製することができる。
【0096】
反応スキームII
【0097】
【化5】

反応スキームII(続き)
【0098】
【化6】

工程1−式(5)の調製
樹脂/式(5)の化合物を、不活性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド)中の触媒量の酸触媒(10−カンファースルホン酸など)の存在下にて、ほぼ室温で約1〜7日間(例えば、約4日間)のジメチルアセタール樹脂との反応によって式(1)の化合物から調製する。反応の実質的な完了時に、樹脂/式(5)の生成物を、従来の手段(例えば、濾過)によって単離する。
【0099】
工程2−式(6)の調製
次いで、2−クロロ部分を、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下での式RRYNH(式中、Yは共有結合またはアルキレンである)のアミンとの反応によって樹脂/式(5)の化合物から置換する。不活性プロトン性溶媒(例えば、1,4−ジオキサン)中にて約80℃で約14〜96時間、典型的には約48時間反応させる。反応の実質的な完了時に、樹脂/式(6)の生成物を従来の手段によって単離する。
【0100】
工程3−式(7)の調製
次いで、式(6)の生成物を、樹脂/式(7)の化合物に変換する。樹脂/式(6)の化合物を、最初に、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で脱離基を形成することができる化合物(例えば、メタンスルホニルクロリド)と約0℃で反応させる。次いで、メシル化生成物を、不活性溶媒(例えば、アセトニトリル水溶液)中で式RXSH(式中、RおよびXは上記で定義の通りである)のチオ化合物と反応させる。典型的には、ほぼ還流温度で約24〜100時間(例えば、約70時間)反応させる。反応の実質的な完了時に、式(7)の生成物を、従来の手段(例えば、濾過)によって単離する。
【0101】
工程4−式Iの調製
次いで、樹脂/式(7)の化合物を、酸(例えば、有機酸(例えば、2%トリフルオロ酢酸/5%メタノール/塩化メチレン))での処理によって脱保護する。ほぼ室温で約30分間〜10時間(例えば、約2時間)反応させる。反応の実質的な完了時に、式Iの生成物を、従来の手段(例えば、不活性溶媒(塩化メチレンなど)での抽出および減圧下での蒸発による抽出物からの溶媒の除去)によって単離する。
【0102】
出発物質
式(1)(式中、Rは水素ではない)の化合物を、当該分野で周知の方法によって調製することができる。例えば、式(1)(式中、Rはトリフルオロメチルである)の化合物を、反応スキームIIIに示すように調製する。
【0103】
反応スキームIII
【0104】
【化7】

式(4)(式中、Rはニトリルである)の化合物の調製を、反応スキームIVに示すように調製する。
【0105】
反応スキームIV
【0106】
【化8】

式(e)の出発物質
式(b)の出発物質を購入する(Aldrich,Milwaukee)。式(e)の生成物を、上記のように式(4)の化合物に変換する。
【0107】
式(1)(式中、Rはアシルである)の化合物を、2−スタンニル−6−クロロ−2’,3’,5’−トリス−t−ブチルジメチルシリルアデノシン(K.Katoら,J.Org.Chem.1997,62,6833−6841)の酸塩化物との反応によって得る。
【0108】
式I(式中、Rは2−ヒドロキシシクロペンタンであり、RおよびRは水素であり、Yは共有結合である)の化合物を、反応スキームVに示すように6−クロロプリンリボシドから出発して調製することもできる。
【0109】
反応スキームV
【0110】
【化9】

工程1−式(9)の調製
式(9)の化合物を、プロトン性溶媒(エタノールなど)中の塩基(トリエチルアミンなど)の存在下にて、ほぼ還流温度で約24時間の2−(ベンジルオキシ)シクロペンチルアミンとの反応によって式(8)の化合物から調製する。反応の実質的な完了時に、式(9)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、酢酸エチルと水との間の残渣の分配、有機層からの溶媒の除去、および、例えば、酢酸エチル/ヘキサンからの結晶化または沈殿による残渣の精製)によって単離する。
【0111】
工程2−式(10)の調製
次いで、式(9)の化合物を式(10)の化合物に変換する。式(9)の化合物を含む不活性溶媒(例えば、アセトニトリル)の懸濁液に、塩基(例えば、ピリジン)の存在下で塩化チオニルを添加する。典型的には、約0℃で約4時間反応させ、次いで、室温に一晩加温する。反応の実質的な完了時に、得られた懸濁液を減圧下で濃縮して、式(10)の化合物を得た。これを精製せずに次の工程に供する。
【0112】
工程3−式(11)の調製
式(11)の化合物を、塩基(例えば、水酸化アンモニウム)とプロトン性溶媒(例えば、メタノール)との混合物への(10)の溶解によって式(10)の化合物から調製する。ほぼ室温で約30分間反応させる。反応の実質的な完了時に、式(11)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、酢酸エチルと水との間の分配、および減圧下での酢酸エチルの除去)によって単離する。残渣をさらに精製せずに次の工程に供する。
【0113】
工程4−式(12)の調製
次いで、式(11)の化合物を、触媒(水酸化パラジウムなど)の存在下での部分不飽和シクロアルキル化合物(シクロヘキセンなど)での処理によって脱保護する。あるいは、ギ酸アンモニウムを、不飽和シクロアルキル化合物の代わりに使用することができる。プロトン性溶媒(例えば、エタノール)中にて典型的にはほぼ還流温度で約18時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式(12)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、その後の残渣のトリチュレーション)によって単離する。
【0114】
工程5−式Iの調製
次いで、式(12)の化合物を、式RSHの化合物(例えば、2−フルオロチオフェノール)と反応させる。極性溶媒(典型的には、N,N−ジメチルホルムアミド)中の塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下にて約100℃で約3〜5時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式Iの生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去およびジエチルエーテルでの残渣のトリチュレーション)によって単離する。
【0115】
出発物質の調製
2−(ベンジルオキシ)−シクロペンチルアミンを、反応スキームVの工程1の出発物質として使用する。ラセミ混合物または各異性体としてのこの化合物は、市販されているか、当業者に周知の方法によって作製することができる。例えば、(1R,2R)−2−(ベンジルオキシ)−シクロペンチルアミンの1つの作製方法を、以下の反応スキームVIに示す。
【0116】
反応スキームVI
【0117】
【化10】

第1の工程では、(f)の化合物((1R,2R)−2−アミノシクロペンタン−1−オール)を、従来の手段(例えば、4−ジメチルアミノピリジンの存在下での不活性溶媒中での反応)によって(BOC)O(ジ−t−ブチルカーボナート)でN保護する。次いで、保護したシクロペンタノール(g)誘導体を、塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下で臭化ベンジルと反応させて(h)を形成し、次いで、従来の様式(例えば、ジオキサン中での塩酸の使用)で脱保護する。
【0118】
(1S,2S)−2−アミノシクロペンタン−1−オールから出発して式(i)と立体学的に逆の化合物を生成し、(1RS,2RS)−2−アミノシクロペンタン−1−オールから出発して式(i)の化合物のラセミアナログを生成する。
【0119】
コア構造へのRSY部分の添加をR部分の任意の保護基(反応スキームVに示す6Nシクロペンチル基上の2−ヒドロキシ基由来の保護基など)の除去前または除去後のいずれかで行うことができることが当業者に認識されるであろう。異なる保護基を使用し、RSY部分の添加およびR基の脱保護を逆にした式Iの化合物の別の調製過程を、反応スキームVII(式中、Rは2−ヒドロキシシクロペンタンであり、RおよびRは水素であり、Yは共有結合である)に示す。
【0120】
反応スキームVII
【0121】
【化11】

出発物質の保護されたシクロペンチル誘導体は、(1R,2R)−2−アミノシクロペンタン−1−オール、(1S,2S)−2−アミノシクロペンタン−1−オール、または(1RS,2RS)−2−アミノシクロペンタン−1−オールに由来し得る。ヒドロキシ基を、当該分野で周知の方法(例えば、メタノール中でのNHFとの反応)によってt−ブチルジメチルシリル基として保護する。
【0122】
あるいは、式Iの化合物を、反応スキームVIII(式中、Rは2−ヒドロキシシクロペンタンであり、RおよびRは水素であり、Yは共有結合である)に示すように、いかなる保護基も使用せずに都合よく合成することができる。
【0123】
反応スキームVIII
【0124】
【化12】

いかなる保護基の使用や中間体の単離および/または精製も必要としない式Iの化合物の調製方法を、反応スキームIX(式中、Rは2−ヒドロキシシクロペンタンであり、RおよびRは水素であり、Yは共有結合である)に示す。
【0125】
反応スキームIV
【0126】
【化13】

工程1−式(19)の調製
式(8)の化合物を、塩化チオニルとの反応によって式(19)の化合物に変換する。一般に、式(8)の化合物を、約2〜2.5モル当量の塩基(例えば、ピリジン)の存在下で不活性溶媒(例えば、アセトニトリル)に懸濁し、約5〜5.5モル当量の塩化チオニルを約1時間にわたってゆっくり添加する。典型的には、約0℃で約3時間反応させ、次いで、室温に一晩加温する。反応の実質的な完了時に、得られた懸濁液を減圧下で濃縮して式(19)の化合物を得る。典型的にはこれを精製せずに次の工程に供する。
【0127】
工程3−式(20)の調製
式(20)の化合物を、プロトン性溶媒(例えば、メタノール水溶液)と塩基(例えば、アンモニア水)との混合物への工程1の粗生成物の溶解によって式(19)の化合物から調製する。約0℃で約1時間およびその後に室温で約3時間反応させる。反応の実質的な完了時に、式(20)の生成物を従来の手段によって単離し、さらに精製せずに次の工程で使用する。
【0128】
工程4−式(18)の調製
式(18)の化合物を、プロトン性溶媒(イソプロパノールなど)中における約3モル当量の塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下にて、ほぼ還流温度で約24時間の約1〜1.1モル当量の2−ヒドロキシシクロペンチルアミンとの反応によって工程3の粗生成物(式(20)の化合物)から調製する。反応の実質的な完了時に、式(18)の生成物を、従来の手段(例えば、減圧下での溶媒の除去および残渣の水との撹拌)によって単離する。
【0129】
工程5−式Iの調製
次いで、工程4の生成物(式(18)の化合物)を、約3〜5モル当量の式RSHの化合物(例えば、2−フルオロチオフェノール)と反応させる。極性溶媒(典型的には、N,N−ジメチルホルムアミド)中において約5〜6モル当量の塩基(例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはトリエチルアミン)(例えば、トリエチルアミン)の存在下にて、ほぼ室温で約1〜5日間(典型的には、約3日間)反応させる。反応の実質的な完了時に、式Iの生成物を従来の手段によって単離する。生成物を、種々の溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはメタノールとエタノールとの混合物)からの再結晶によってさらに精製することができる。あるいは、生成物を、酢酸エチルからの再結晶または酢酸エチルでのスラリー化によって精製することができる。
【0130】
有用性、試験、および投与
一般的有用性
式Iの化合物は、ABCA−1遺伝子の細胞発現を上昇させ、そして/またはABCA−1タンパク質発現を上昇させる化合物で有用に治療することができる哺乳動物の疾患または容態の治療において有効である。かかる疾患には、動脈疾患、特に冠状動脈疾患が含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、疾患は、低HDLコレステロールによって特徴づけられる。ある実施形態では、疾患または容態は、1つまたは複数の糖尿病、インスリン抵抗性、異常脂質血症、冠状動脈疾患、および炎症であり得る。
【0131】
試験
活性試験を、上記で参照された特許および引用文献中ならびに下記の実施例に記載のように、および当業者に明らかな方法によって行う。
【0132】
薬学的組成物
式Iの化合物を、通常は薬学的組成物の形態で投与する。したがって、本発明は、有効成分としての1つまたは複数の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩またはエステル、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤、キャリア(不活性固体希釈剤および充填剤が含まれる)、希釈剤(滅菌水溶液および種々の有機溶媒が含まれる)、透過促進剤、可溶化剤、およびアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。式Iの化合物を、単独または他の治療薬と組み合わせて投与することができる。かかる組成物を、薬学分野で周知の様式で調製する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.,Philadelphia,PA 17th Ed.(1985)および“Modern Pharmaceutics”,Marcel Dekker,Inc.3rd Ed.(G.S.Banker & CT.Rhodes,Eds.)を参照のこと)。
【0133】
投与
式Iの化合物を、例えば、参考として援用される特許および特許出願に記載の類似の有用性を有する薬剤の許容された任意の投与様式(直腸、口内、鼻腔内、および経皮経路、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入剤として、または薬物注入またはコーティングされたデバイス(ステント(例えば、動脈に挿入された円柱状のポリマー)など)が含まれる)によって単回用量または複数回用量で投与することができる。
【0134】
1つの投与様式は、特に注射による非経口投与である。本発明の新規の組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態には、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはラッカセイ油、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および類似の薬学的ビヒクルを有する水性または油性の懸濁液または乳濁液が含まれる。生理食塩水も注射のために都合よく使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど(およびその適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も使用することができる。例えば、コーティング(レシチンなど)の使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。種々の抗生物質および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチロメサールなど)によって微生物作用を防止することができる。
【0135】
滅菌注射液を、上記列挙の種々の他の成分を有する適切な溶媒への必要量の式Iの化合物の組み込み、必要に応じたその後の濾過滅菌によって調製する。一般に、基剤となる分散媒および上記列挙の必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルへの種々の滅菌有効成分の組み込みによって分散液を調製する。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、典型的な調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これらにより、予め滅菌濾過したその溶液由来の有効成分の粉末および任意のさらなる所望の成分が得られる。
【0136】
経口投与は、式Iの化合物の別の投与経路である。カプセルまたは腸溶コーティング錠剤などによって投与することができる。少なくとも1つの式Iの化合物を含む薬学的組成物の作製では、有効成分を、通常、賦形剤によって希釈し、そして/またはカプセル、サシェ、紙、または他の容器の形態であり得るかかるキャリア内に封入する。賦形剤が希釈剤としての機能を果たす場合、賦形剤は、有効成分のためのビヒクル、キャリア、または媒質として作用する固体、半固体、または液体の物質(上記)であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸薬、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアゾール(固体または液体媒質として)、軟膏(例えば、10重量%までの活性化合物を含む)、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、滅菌注射液、および滅菌包装された粉末の形態であり得る。
【0137】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが含まれる。処方物には、さらに、以下が含まれ得る:潤滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱物油など)、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、防腐剤(メチル−およびプロピルヒドロキシ−ベンゾアートなど)、甘味剤、および香味物質。
【0138】
本発明の組成物を、当該分野で公知の手順の使用によって患者に投与した後に有効成分が速放、徐放、または遅延放出するように処方することができる。経口投与のための制御放出性薬物送達系には、ポリマーコーティングされたリザーバーまたは薬物−ポリマーマトリックス処方物を含む浸透圧ポンプ系および溶解系が含まれる。制御放出系の例は、米国特許第3,845,770号、同第4,326,525号、同第4,902,514号、および同第5,616,345号に記載されている。本発明の方法で用いる他の処方物は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。かかる経皮貼布を使用して、調節された量の本発明の化合物を連続または不連続に注入することができる。医薬品送達のための経皮貼布の構築および使用は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号、同第5,001,139号を参照のこと。かかるパッチを、医薬品の連続送達、拍動性送達、またはオンデマンド送達のために構築することができる。
【0139】
組成物を、典型的には、単位投薬形態で処方する。用語「単位投薬形態」は、ヒト被験体および他の哺乳動物のための単位投薬量として適切な物理的に個別の単位をいい、各単位は、適切な薬学的賦形剤(例えば、錠剤、カプセル、アンプル)と組み合わせて所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質を含む。式Iの化合物は、広範な投薬量にわたって有効であり、一般に、薬学的有効量で投与される。典型的には、経口投与のために、各投薬単位は、10mg〜2gの式Iの化合物、より典型的には10mg〜700mg、非経口投与には典型的には10mg〜700mgの式Iの化合物、より典型的には約50mg〜200mgを含む。しかし、式Iの化合物の実際の投与量は、関連する環境(治療すべき容態、選択された投与経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、各患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者の症状の重症度などが含まれる)を考慮して医師によって決定されると理解されるであろう。
【0140】
錠剤などの固体組成物の調製のために、主な有効成分を薬学的賦形剤と混合して本発明の化合物の均一な混合物を含む固体の予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均一という場合、組成物を等しく有効な単位投薬形態(錠剤、丸薬、およびカプセルなど)に容易に再分割することができるように有効成分が組成物全体に均一に分散していることを意味する。
【0141】
本発明の錠剤または丸薬を、コーティングするか、そうでなければ配合して、長期作用の利点が付与された投薬形態を得るか、胃の酸性条件から保護することができる。例えば、錠剤または丸薬は、内部投薬成分および外部投薬成分を含むことができ、後者は、前者の被膜の形態である。2つの成分を、胃内での崩壊に耐性を示すように機能し、内部成分を無傷で十二指腸を通過させるか、放出を遅延させる腸溶層によって分離することができる。種々の物質をかかる腸溶層またはコーティングのために使用することができ、かかる物質には、多数のポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物が含まれる。
【0142】
吸入またはガス注入のための組成物には、薬学的に許容可能な水性溶媒、有機溶媒、またはその混合物および粉末を含む溶液および懸濁液が含まれる。液体および固体の組成物は、上記の適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物を、局所または全身に作用させるための経口および鼻の呼吸経路によって投与する。組成物を含む薬学的に許容可能な溶媒を、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧液を噴霧デバイスから直接吸入することができ、また、噴霧デバイスをフェイスマスクテントまたは間欠的陽圧呼吸装置に取り付けることができる。溶液、懸濁液、または粉末の組成物を、典型的には、経口または鼻腔に投与するか、適切な様式で処方物を送達させるデバイスから投与することができる。
【0143】
以下の実施例は、いくつかの本発明の典型的な実施形態を証明するために含まれる。以下の実施例に開示の技術は本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって発見された技術を示し、したがって、その実施のための例を構成すると見なすことができることが当業者に認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示を考慮して、開示の特定の実施形態の変更形態を多数得ることができ、依然として本発明の精神および範囲を逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができると認識すべきである。
【実施例】
【0144】
(実施例1)
式(2)の化合物の調製
A.式(2)(式中、Rは水素である)の化合物の調製
【0145】
【化14】

2−(6−クロロプリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン−3,4−ジオール(式(I)の化合物)(4.9g、17.1mmol)および2,2−ジメトキシプロパン(10.5mL、84.7mmol)のジメチルホルムアミド(100mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸(325mg、1.71mmol)を添加した。70℃で24時間の撹拌後、反応物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(70%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、6−(6−クロロプリン−9−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]メタノール(式(2)の化合物)をオフホワイトの固体(2)として得た(3.8g、68%)。
【0146】
【化15】

B.式(2)(式中、種々のR)の化合物の調製
同様に、上記1Aの手順に従うが、2−(6−クロロプリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン−3,4−ジオールを式(1)の他の化合物と交換して、式(2)の他の化合物を調製する。
【0147】
(実施例2)
式(3)の化合物の調製
A.式(3)(式中、Rは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、Xは共有結合である)の化合物の調製
【0148】
【化16】

6−(6−クロロプリン−9−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]メタノール(式(2)の化合物)(0.48g、1.47mmol)を含む20mLのテトラヒドロフランの溶液に、トリフェニルホスフィン(0.77g、2.94mmol)およびジエチルアゾジカルボキシラート(0.47mL、2.94mmol)を添加し、混合物を5分間撹拌した。次いで、2−フルオロチオフェノール(0.31mL、2.94mmol)を添加し、混合物を還流下で撹拌した。還流72時間後、反応物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−フルオロベンゼン(式(3)の化合物)を透明な粘性オイル(3)として得た(0.25g、約40%)。
【0149】
【化17】

B.式(3)(式中、種々のRおよびR)の化合物の調製
同様に、上記2Aの手順に従うが、任意選択的に6−(6−クロロプリン−9−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]メタノールを式(2)の他の化合物と交換し、任意選択的に2−フルオロチオフェノールを式RXHの他の化合物と交換して、以下の式(3)の化合物を調製した。
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}ベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2,6−ジクロロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2,4−ジフルオロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−4−フルオロベンゼン;
2−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−4−メチル−1,3−チアゾール;
2−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−1,3−ベンズオキサゾール;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−メチルベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−クロロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6、8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−4−クロロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−フルオロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−3−フルオロベンゼン;
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−チオフェン;および
1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メトキシ}−2−フルオロベンゼン
B.式(3)(式中、種々のRおよびR)の化合物の調製
同様に、上記2Aの手順に従うが、任意選択的に6−(6−クロロプリン−9−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]メタノールを式(2)の他の化合物と交換し、任意選択的に2−フルオロチオフェノールを式RXHの他の化合物と交換して、式(3)の他の化合物を調製する。
【0150】
(実施例3)
式(4)の化合物の調製
A.式(4)(式中、Rは水素であり、Rはシクロペンチルであり、Rは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、XおよびYは共有結合である)の化合物の調製
【0151】
【化18】

1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−フルオロベンゼン(式(3)の化合物)(0.125g、2.86mmol)を含む10mLのエタノールおよび1mLのトリエチルアミンの溶液に過剰量のシクロペンチルアミンを添加し、混合物を窒素下で24時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を1:1のEtOAc:ヘキサンを使用した分取TLCによって精製して、(9−{(4S,1R,2R,5R)−4−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル}プリン−6−イル)シクロペンチルアミン(式(4)の化合物)を黄色オイルとして得た(80mg、56%)。
【0152】
【化19】

B.式(4)(式中、種々のR、R、R、およびY)の化合物の調製
同様に、上記3Aの手順に従うが、任意選択的に1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−フルオロベンゼンを式(3)の他の化合物と交換し、任意選択的にシクロペンチルアミンを式RYNHの他の化合物と交換して、以下の式(4)(式中、Rはメチルであり、Rは2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルであり、Rは水素であり、XおよびYは共有結合である)の化合物も調製した。
は2,6−ジクロロフェニルである。
は4−メチルチアゾール−2−イルである。
は1,3−ベンゾオキサゾール−2−イルである。
は2−メチルフェニルである。
は2−クロロフェニルである。
は4−クロロフェニルである。
【0153】
C.式(4)(式中、種々のR、R、R、およびY)の化合物の調製
同様に、上記3Aの手順に従うが、任意選択的に1−{[(2S,1R,4R,5R)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル]メチルチオ}−2−フルオロベンゼンを式(3)の他の化合物と交換し、任意選択的にシクロペンチルアミンを式RYNHの他の化合物と交換して、式(4)の他の化合物を調製する。
【0154】
(実施例4)
式Iの化合物の調製
A.式I(式中、Rは水素であり、Rはシクロペンチルであり、Rは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、XおよびYは共有結合である)の化合物の調製
【0155】
【化20】

(9−{(4S,1R,2R,5R)−4−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル}プリン−6−イル)シクロペンチルアミン(式(4)の化合物)(50mg)を酢酸(8mL)と水(2mL)との混合物に溶解し、90℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取TLC(メタノール−ジクロロメタン(1:9))によって精製して、(4S,5S,3R)−2−[6−(シクロペンチルアミノ)プリン−9−イル]−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール(式Iの化合物)を得た。
【0156】
【化21】

B.式I(式中、種々のR)の化合物の調製
同様に、上記4Aの手順に従うが、(9−{(4S,1R,2R,5R)−4−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル}プリン−6−イル)シクロペンチルアミンを式(4)の他の化合物と交換して、以下の式I(R、R、R、およびRは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、XおよびYは共有結合であり、Rは、
シクロペンチル、
(R,R)−2−ヒドロキシシクロペンチル、
(R,S)−2−ヒドロキシシクロペンチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル,
7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル−3−カルボン酸エチルエステル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル−3−カルボン酸
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル−3−メタノール、
シクロペンチル−2−カルボン酸エチルエステル、
シクロペンチル−2−カルボン酸、
(R)2−ヒドロキシシクロヘキシル
(S)2−ヒドロキシシクロヘキシル、
(R)−1−フェニルエチル、
(S)−1−フェニルエチル、
(4−フルオロフェニル)メチル、
4−トリフルオロメトキシフェニルメチル、
2,6−ジフルオロフェニルメチル、
(3−メトキシフェニル)メチル、
(4−メトキシフェニル)メチル、
2−ベンジルオキシシクロペンチル、
(4−メチルフェニル)エチル、
フラン−2−イル、
フェニルシクロプロピル、
3−プロピオン酸エチルエステル、
シクロヘキシル、
1−(4−メトキシフェニル)エチル、
3−トリフルオロメチルフェニルメチル、
3,5−ジクロロフェニルメチル、
(3−フルオロフェニル)メチル、
(2−トリフルオロメチルフェニル)メチル、
(4−クロロフェニル)メチル、
(2−フルオロフェニル)メチル、
2−クロロ−4−フルオロフェニルメチル、
2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニルメチル、
2,4−ジクロロフェニルエチル、
(R)−2−フェニルプロピル、
(S)−2−フェニルプロピル、
2−(3−フルオロフェニル)エチル、
2−(2−クロロフェニル)エチル、
6,6−ジメチルビシクロ[3.3.1]ヘプタ-3−イル、
4−(tert−ブチル)シクロヘキシル、
2−クロロフェニルメチル、
1−(4−メチルフェニル)エチル、
(3−メチルフェニル)メチル、
(4−メチルフェニル)メチル、
2−トリフルオロメチル−5−フルオロフェニルメチル、
2−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチル、
2,6,6−トリメチルビシクロ[3.3.1]ヘプタ-3−イル、
1−ナフチルメチル、
ビシクロ[3.1.1]ヘプチル−3−イル、
2−イソプロピル−4−メチルシクロヘキシル、
2−カルボキサミドシクロヘキシル、
(R)−2−カルボキシシクロヘキシル、
(S)−2−カルボキシシクロヘキシル、
2−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、
2−カルボキシシクロヘキシルエチルエステル、
2−カルボキシ−4−フェニルシクロヘキシル、
2−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5−エン−3−イル、および
2−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3−イルエチルエステルである)の化合物を作製した。
【0157】
同様に、以下の式I(式中、R、R、R、およびRは水素であり、XおよびYは共有結合である)の化合物を調製した。
は4−フルオロフェニルであり、Rはシクロペンチルである。
は2−メチルフェニルであり、Rはシクロペンチルである。
は2,4−ジフルオロフェニルであり、Rはシクロペンチルである。
【0158】
C.式I(式中、種々のR、R、R、R、R、XおよびY)の化合物の調製
同様に、上記4Aの手順に従うか、実施例5〜8の組み合わせ合成を使用するが、任意選択的に(9−{(4S,1R,2R,5R)−4−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル}プリン−6−イル)シクロペンチルアミンを式(4)の他の化合物と交換して、以下の式Iの化合物を作製した。
【0159】
【表1−1】

【0160】
【表1−2】

【0161】
【表1−3】

【0162】
【表1−4】

【0163】
【表1−5】

【0164】
【表1−6】

【0165】
【表1−7】

【0166】
【表1−8】

【0167】
【表1−9】

【0168】
【表1−10】

【0169】
【表1−11】

【0170】
【表1−12】

【0171】
【表1−13】

【0172】
【表1−14】

【0173】
【表1−15】

以下の式I(式中、Rはメチルであり、Rは2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルであり、Rは水素であり、XおよびYは共有結合である)の化合物も調製した。
は2,6−ジクロロフェニルである。
は4−メチルチアゾール−2−イルである。
は1,3−ベンゾオキサゾール−2−イルである。
は2−メチルフェニルである。
は2−クロロフェニルである。
は4−クロロフェニルである。
【0174】
D.式I(式中、種々のR、R、R、R、R、X、およびY)の化合物の調製
同様に、上記4Aの手順に従うが、任意選択的に(9−{(4S,1R,2R,5R)−4−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−7,7−ジメチル−3,6,8−トリオキサビシクロ[3.3.0]オクタ-2−イル}プリン−6−イル)シクロペンチルアミンを式(4)の他の化合物と交換して、他の式Iの化合物を作製する。
【0175】
式Iの化合物を、上記反応スキームIIに示すように、組み合わせ様式で代替的に作製した。実施例5〜8は、このテクノロジーを使用した単一化合物の調製を詳述しているが、この過程を使用して、組み合わせ様式で複数の式Iの化合物を並行合成した。
【0176】
(実施例5)
式(5)の化合物の調製
A.式(5)(式中、Rは水素である)の化合物の調製
【0177】
【化22】

p−ベンジルオキシベンズアルデヒドポリスチレン樹脂(1)(100g、3.0mmol/g、0.3mol、150〜300μm、Polymer Labs)を、乾燥オルトギ酸トリメチル(1L)に懸濁した。p−トルエンスルホン酸一水和物(5.70g、0.03mol、0.1当量)を添加し、懸濁液を室温で 48時間震盪した。トリエチルアミン(60mL)を添加し、樹脂を迅速に濾過し、1%トリエチルアミンを含む塩化メチレンで4回洗浄し、真空下で24時間乾燥させて、ジメチルアセタール樹脂を得た。
【0178】
ジメチルアセタール樹脂(20.0g、3mmol/g、60.0mmol)を無水N,N−ジメチルアセトアミド(300mL)に懸濁し、式(1)のリボシド(34.4g、120mmol、2当量)および10−カンファースルホン酸(2.78g、12.0mmol、0.2当量)で連続的に処理した。混合物を、200rpmにて室温で96時間震盪した。次いで、トリエチルアミン(4.2mL、30.0mmol、0.5当量)を添加し、樹脂を迅速に濾過し、N,N−ジメチルアセトアミドで1回洗浄し、1%EtNを含む塩化メチレンおよび1%トリエチルアミンを含むMeOHの交互サイクルで4回洗浄し、最後に1%トリエチルアミンを含む塩化メチレンで3回洗浄した。回収した樹脂を、真空下で48時間乾燥させて、式(5)の樹脂結合リボシドを得た。
【0179】
(実施例6)
式(6)の化合物の調製
A.式(6)(式中、RおよびRは水素であり、Yは共有結合であり、Rはシクロペンチルである)の化合物の調製
【0180】
【化23】

反応容器に無水1,4−ジオキサン(30mL)に懸濁した式(5)の樹脂結合リボシド(30mg樹脂;樹脂ローディング1.5mmol/g)を入れた。次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.4mL、13.5mmol、20当量)および過剰量のシクロペンチルアミンを添加した。反応容器を、撹拌や扇動することなく80℃で48時間加熱した。室温への冷却後、溶媒を除去し、1%トリエチルアミンを含むメタノール(50mL)を添加して樹脂を収縮させた。生成物を1%トリエチルアミンを含むメタノールおよび1%トリエチルアミンを含む塩化メチレンの交互のサイクルで4回洗浄し、真空下で一晩乾燥させて式(6)の樹脂結合化合物を得た。
【0181】
(実施例7)
式(7)の化合物の調製
A.式(7)(式中、RおよびRは水素であり、Yは共有結合であり、Rはシクロペンチルであり、Rは2−フルオロフェニルである)の化合物の調製
【0182】
【化24】

実施例6由来の生成物を、無水ピリジン(2mL)に懸濁し、ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL)で処理した。0℃に冷却後、メタンスルホニルクロリド(0.035mL,337mmol)を滴下した。添加中に反応混合物を手で規則正しく撹拌した。90分後、反応混合物を室温に加温し、24時間震盪した。反応混合物の除去後、生成物を、1%トリエチルアミンを含む無水塩化メチレンでリンスし、1%トリエチルアミンを含むメタノールで処理して樹脂を収縮させて、式(6)の樹脂結合化合物のメシル化誘導体を得た。
【0183】
次いで、メシラートをアセトニトリル(1.5mL)に懸濁し、過剰量のジイソプロピルエチルアミン(0.16mL)で処理し、その後に水(0.7mL)および2−フルオロチオフェノール(45mmol)で処理した。反応容器を撹拌せずに約80℃に65時間加温した。生成物を1%トリエチルアミンを含むメタノールおよび1%トリエチルアミンを含む塩化メチレンの交互のサイクルで4回洗浄し、真空下で一晩乾燥させて式(7)の樹脂結合化合物を得た。
【0184】
(実施例8)
式Iの化合物の調製
A.式I(式中、Rは水素であり、Rはシクロペンチルであり、Rは水素であり、Rは2−フルオロフェニルであり、XおよびYは共有結合である)の化合物の調製
【0185】
【化25】

式(7)の樹脂結合化合物を、2%トリフルオロ酢酸/5%メタノール/塩化メチレン溶液に懸濁し、室温で2時間震盪した(200rpm)。溶液の除去後、残渣を塩化メチレン(3×0.5mL)でリンスし、合わせた濾液を減圧下で濃縮して、(4S,5S,3R)−2−[6−(シクロペンチルアミノ)プリン−9−イル]−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール(式Iの化合物)を得た。
【0186】
(実施例9)
式(9)の化合物の調製
【0187】
【化26】

6−クロロプリンリボシド(10.0g、35mmol)のエタノール(350mL)溶液に、トリエチルアミン(10.0mL、100mmol)および(1R,2R)−2−(ベンジルオキシ)−シクロペンチルアミン(5.2g、52mmol)を添加した。混合物を24時間還流し、その間に懸濁液から透明な溶液に反応が進行した。エタノールを減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと水(100mL:200mL)との間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×75mL)で洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(150mL)に溶解し、ヘキサン添加によって生成物を沈殿させて、白色固体として2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0188】
【化27】

B.式(9)の化合物の調製
同様に、上記9Aの手順に従うが、(1R,2R)−2−(ベンジルオキシ)シクロペンチルアミンを2−(ベンジルオキシ)シクロペンチルアミンの他の異性体と交換して、以下の化合物を調製する。
2−(6−{[(1S,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1R,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1S,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール;および
2−(6−{[(1RS,2RS)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール。
【0189】
(実施例10)
式(10)の化合物の調製
【0190】
【化28】

0℃の2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]−アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール(2.0g、4.5mmol)を含むアセトニトリル(15mL)およびピリジン(0.728mL、9mmol)の撹拌懸濁液に、塩化チオニル(1.7mL、22.5mmol)を滴下した。0℃で4時間の撹拌後、反応物を室温に加温し、次いで、一晩撹拌した。得られた懸濁液から減圧下で溶媒を除去して、4−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オンを得た。これをさらに精製せずに次の工程に供した。
【0191】
B.式(10)の化合物の調製
同様に、上記10Aの手順に従うが、2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]−アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオールを2−(6−{[2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]−アミノ}プリン−9−イル)(4S,3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオールの他の異性体と交換して、以下の化合物を調製する。
4−(6−{[(1S,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン;
4−(6−{[(1R,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン;
4−(6−{[(1S,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン;および
4−(6−{[(1RS,2RS)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン。
【0192】
(実施例11)
式(11)の化合物の調製
【0193】
【化29】

実施例10由来の4−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オンをメタノールと水との混合物(40mL/2mL)に溶解し、この溶液に濃縮水酸化アンモニウム(2.2mL、28%)を滴下した。23℃で30分間の撹拌後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を水(15mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを得た。これをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0194】
B.式(11)の化合物の調製
同様に、上記11Aの手順に従うが、4−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オンを4−(6−{[2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(6S,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オンの他の異性体と交換して、以下の化合物を作製する。
2−(6−{[(1S,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1R,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1S,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;および
2−(6−{[(1RS,2RS)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール。
【0195】
(実施例12)
式(12)の化合物の調製
【0196】
【化30】

実施例11で得た2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール(22g)を、エタノール(450mL)およびシクロヘキサン(200mL)に溶解した。この溶液に水酸化パラジウムを添加し(20mole%、最初に1g添加し、6時間後に1g添加し、14時間後に1g添加する)、反応混合物を18時間還流した。反応混合物を加熱したままセライトで濾過し、溶媒を減圧下で濾液から除去した。生成物をエタノール(20mL)でトリチュレーションし、濾過し、エタノールで洗浄して、白色粉末として、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0197】
さらなる物質を回収した水酸化パラジウムのメタノール溶液(200mL)への懸濁および混合物の90℃で1時間の加温によって回収した。加熱混合物をセライトで濾過し、セライトを加熱メタノールでさらに洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をエタノール(20mL)でトリチュレーションして、さらなる8.6グラムの2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0198】
【化31】

B.式(12)の化合物の調製
同様に、上記12Aの手順に従うが、2−(6−{[(1R,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを2−(6−{[2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールの他の異性体と交換して、以下の化合物を調製する。
2−(6−{[(1S,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1R,2S)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;
2−(6−{[(1S,2R)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール;および
2−(6−{[(1RS,2RS)−2−(フェニルメトキシ)シクロペンチル]アミノ}プリン−9−イル)(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール。
【0199】
(実施例13)
式I(式中、Rは2−フルオロフェニルである)の化合物の調製
【0200】
【化32】

2−フルオロチオフェノール(38mL、406mmol)の2N水酸化ナトリウム溶液(100mL)に、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール(15.0g、40.6mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(120mL)を添加した。TLCによって反応の進行を追跡しながら混合物を100℃に4時間加温した。N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下で除去し、残存混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸で中和し、酢酸エチル(3×125mL)で抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させた。減圧下での溶媒の除去後、残渣をジエチルエーテルでトリチュレーションし、濾過して、白色粉末として16グラムの2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0201】
【化33】

B.式I(式中、Rは2−フルオロフェニルである)の化合物の調製
同様に、上記13Aの手順に従うが、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを2−{6−[(2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールの他の異性体と交換して、以下の化合物を調製する。
2−{6−[((1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;
2−{6−[((1R,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;
2−{6−[((1S,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;および
2−{6−[((1RS,2RS)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール。
【0202】
C.式I(式中、種々のR)の化合物の調製
同様に、上記13Aの手順に従うが、2−フルオロチオフェノールを式RSHの他のチオフェノールと交換して、他の式Iの化合物を調製する。
【0203】
(実施例14)
式(19)の化合物の調製
【0204】
【化34】

調製1
6−クロロプリンリボシド(50.0g、174.4mmol)を含む乾燥アセトニトリル(600ml)および蒸留ピリジン(30ml、370mmol)の冷却(0℃、氷浴)懸濁液に、塩化チオニル(SOCl、66.0ml、907mmol)を55分間にわたって滴下した。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次いで、室温で18時間撹拌した。黄色溶液を40℃の減圧下で濃縮し、次いで、高圧下で6時間乾燥させた。残渣(6S,4R,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン(12)を、精製せずに次の工程で使用した。
【0205】
2.式(19)の化合物の別の調製
6−クロロプリンリボシド(1Kg)を含む乾燥ジクロロメタン(15リットル)と蒸留ピリジン(850ml)との混合物に、30〜60分間にわたって30℃未満に維持しながら塩化チオニル(SOCl、530ml)を滴下した。反応混合物を30℃で4時間撹拌し、次いで、20℃に冷却した。20℃に維持しながら無水エタノール(1700ml)を添加し、混合物を15分間撹拌した。次いで、水(3.5リットル)をゆっくり添加し、混合物を30分間撹拌し、その後に内容物を分離した。相を分離し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム(4リットル)で洗浄した。2相の分離後、有機層を飽和塩化ナトリウム(2.6リットル)で洗浄し、分離し、約4リットルの体積到達するまで溶媒を減圧下で除去して、(6S,4R,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2−ジオキサチオラン−2−オン(12)溶液を得た。これをさらに精製せずに次の反応で使用した。
【0206】
(実施例15)
式(20)の化合物の調製
【0207】
【化35】

実施例14(調製1)から得た式(19)の化合物を、メタノール(1000ml)および蒸留水(50ml)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、濃縮アンモニア水(28%、56ml)を25分間にわたって滴下した。0℃で1時間撹拌し続け、次いで、室温で3時間撹拌し続けた。この間にさらに10mlの濃縮アンモニア水(28%)を添加した(反応の進行はTLC(CHCl/MeOH、9:1)に従った)。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を室温の5%クエン酸水溶液(1000ml)で加水分解した。水層を酢酸エチル(1×900ml、1×400ml、1×200ml、2×100ml)で抽出し、合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウム(450ml)で洗浄した。重炭酸ナトリウム水層を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(400ml)で洗浄し、塩化ナトリウム水層も酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して41.8gの(4S,5S,2R,3R)−5−(クロロメチル)−2−(6−クロロプリン−9−イル)オキソラン−3,4−ジオール(式(13)の化合物)を得た。さらなる精製を行わなかった。
【0208】
調製2
あるいは、6S,4R,3aR,6aR)−6−(クロロメチル)−4−(6−クロロプリン−9−イル)−4H,6H,3aH,6aH−オキソラノ[3,4−d]1,3,2,−ジオキサチオラン−2−オン(12)を含む実施例14(調製2)で得た溶液を含む溶液に、水酸化アンモニウム(500ml)を添加し、混合物を25℃で12時間撹拌した。固体を濾取し、ジクロロメタン(500ml)で洗浄した。濾液および洗浄液を合わせ、真空下で体積を約6リットルに減少させた。さらなる精製を行わなかった。
【0209】
(実施例16)
式(18)の化合物の調製
【0210】
【化36】

調製1
(R,R)−2−アミノペンタノール塩酸塩(34.2g、249mmol)を含む脱気イソプロパノール(100ml)および蒸留トリエチルアミン(水素化カルシウムで乾燥、95ml、69g、226mmol)の懸濁液に、(4S,5S,2R,3R)−5−(クロロメチル)−2−(6−クロロプリン−9−イル)オキソラン−3,4−ジオール(36.3g、118.7mmol)を含む400mlのイソプロパノール溶液を滴下した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、20時間還流した(油浴温度約80℃)。反応混合物の周囲温度への冷却後、溶媒を減圧下で除去し、1000mlの水を残渣に添加した。懸濁液を室温で3.5時間撹拌し、固体物質を濾取し、水(1×60mlおよび1×90ml)で洗浄し、真空下でPにて3日間乾燥させて、淡褐色粉末として68.0g(81%)の2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0211】
調製2
あるいは、実施例15(調製2)で得た溶液を20〜25℃に冷却し、トリエチルアミン(1000ml)を添加し、その後に(R,R)−2−アミノペンタノール(530g)を添加した。混合物を8時間還流し、次いで、大気圧で約4リットルに到達するまで溶媒を除去し、混合物を55〜60℃に冷却し、水(15リットル)を添加し、混合物を20〜25℃に冷却した。混合物を約1時間撹拌し、次いで、濾過し、固体を無水エタノール(1.25リットル)で洗浄し、60℃を超えないようにして固体を減圧下で乾燥させた。
【0212】
B.同様に、上記の16A(調製1または調製2)の手順に従うが、(R,R)−2−アミノペンタノール塩酸塩を(S,S)−2−アミノペンタノール塩酸塩と交換して、2−{6−[((1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを作製する。
【0213】
C.同様に、上記の16A(調製1または調製2)の手順に従うが、(R,R)−2−アミノペンタノール塩酸塩を(1R,2S)−2−アミノペンタノール塩酸塩と交換して、2−(6−[((1R,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを作製する。
【0214】
D.同様に、上記の16A(調製1または調製2)の手順に従うが、(R,R)−2−アミノペンタノール塩酸塩を(1S,2R)−2−アミノペンタノール塩酸塩と交換して、2−{6−[((1S,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを作製する。
【0215】
(実施例17)
式I(式中、Rは2−フルオロフェニルである)の化合物の調製
【0216】
【化37】

調製1
2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]−プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオール(166.5g、0.457mol)および水素化カルシウム(352ml、256g、2.53mol、4当量)から蒸留したトリエチルアミンを含む脱気無水N,N−ジメチルホルムアミド(1.8リットル)の溶液に、2−フルオロチオフェノール(190ml、228g、1.78mol、4当量)を2〜3時間毎に38.5mlずつ添加した。溶液に窒素を継続的にバブリングしながら混合物を室温で4日間撹拌した(反応をH NMRによってモニタリングした)。反応完了後、反応混合物を7リットルの酢酸エチルに注ぎ、3リットルの水で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×500ml)で抽出し、合わせた有機層を水(3×2リットル)で洗浄し、次いで、体積を約1.8リットルに減少させて、白色固体の懸濁液を得た。懸濁液を室温で9時間撹拌し、白色沈殿を濾取し、ジエチルエーテル(3×200ml)で洗浄し、高圧下で24時間乾燥させて、白色粉末として131g(収率63%)の2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−オキソラン−3,4−ジオール(純度98.9%)を得た。
【0217】
【化38】

生成物を1リットルのエチルエーテル/エタノール(50:1)中での一晩の撹拌によってさらに精製して、127gの純粋な2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0218】
調製2
実施例16(調製2)の生成物(1Kg)をN,N−ジメチルアセトアミド(2.7リットル)に溶解し、炭酸カリウム(560g)を添加した。25℃未満に維持した混合物に2−フルオロチオフェノール(380g)を添加し、混合物を60〜65℃で約6時間加熱した。次いで、混合物を25〜30℃に冷却し、酢酸エチル(10リットル)を添加し、その後に塩化ナトリウム(260g)の水溶液(4.9リットル)を添加し、混合物を15分間撹拌した。2層の分離後、有機相を塩化ナトリウム(260g)の水溶液(4.9リットル)で再度洗浄し、混合物を15分間撹拌した。分離後、有機層を大気圧で約5リットルに濃縮し、メタノール(10リットル)を添加した。混合物を大気圧で約2.8リットルに再度濃縮し、得られた溶液を約35〜40℃に冷却した。次いで、ジクロロメタン(5リットル)を添加し、混合物を約35〜40℃に1時間維持し、その後に、0〜5℃に30分間冷却した。固体生成物を濾取し、ジクロロメタン(2.8リットル)で洗浄し、温度を50℃超に上昇させることなく減圧下で恒量まで乾燥させて、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−オキソラン−3,4−ジオールを得た。
【0219】
60〜70℃でメタノール(20リットル)に1Kgの生成物(2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−オキソラン−3,4−ジオール)を溶解し、この温度を1時間維持し、45〜50℃に冷却し、次いで、溶液を1ミクロンのフィルターで濾過し、溶液の温度を40℃超に維持することによって生成物をさらに精製した。溶液を40℃超に維持しながら溶液を約7リットルに濃縮し、得られた溶液を50〜55℃で1時間維持した。次いで、溶液を2時間にわたって−5℃に冷却し、−5℃で1時間維持した。生成物を−5℃で濾取し、濾液を使用して固体を洗浄して、純粋な(2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−オキソラン−3,4−ジオール)を得た。
【0220】
B.式I(式中、Rは2−フルオロフェニルである)の化合物の調製
同様に、上記の17A(調製1または2)の手順に従うが、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールを2−{6−[(2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−(クロロメチル)オキソラン−3,4−ジオールの他の異性体と交換して、以下の化合物を調製する。
2−{6−[((1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;
2−{6−[((1R,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;
2−{6−[((1S,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール;および
2−{6−[((1RS,2RS)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオール。
【0221】
C.式I(式中、種々のR)の化合物の調製
同様に、上記の17A(調製1または2)の手順に従うが、2−フルオロチオフェノールを式RSHの他のチオフェノールと交換して、式Iの他の化合物を調製する。
【0222】
(実施例18)
以下の成分を含む硬ゼラチンカプセルを調製する。
【0223】
【数1】

上記成分を混合し、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0224】
(実施例19)
以下の成分を使用して錠剤処方物を調製する。
【0225】
【数2】

成分をブレンドし、打錠して錠剤を形成する。
【0226】
(実施例20)
以下の成分を含むドライパウダー吸入処方物を調製する。
【0227】
【数3】

有効成分をラクトースと混合し、混合物を乾燥粉末吸入装置に添加する。
(実施例21)
30mgの有効成分をそれぞれ含む錠剤を以下のように調製する。
【0228】
【数4】

有効成分、デンプン、およびセルロースをNo.20メッシュのU.S.篩にかけ、完全に混合する。ポリビニルピロリドン溶液を得られた粉末と混合し、次いで、16メッシュのU.S.篩にかける。このようにして生成された顆粒を50℃〜60℃で乾燥させ、16メッシュのU.S.篩にかける。次いで、事前にNo.30メッシュのU.S.篩にかけたカルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを顆粒に添加して、混合後、錠剤機で圧縮して、それぞれ120mgの錠剤を得る。
【0229】
(実施例22)
25mgの有効成分をそれぞれ含む座剤を以下のように作製する。
【0230】
【数5】

有効成分をNo.60メッシュのU.S.篩にかけ、予め必要最小限に加熱して融解した飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次いで、混合物を名目上の容量2.0gの座剤の鋳型に注ぎ、冷却する。
【0231】
(実施例23)
5.0mL用量あたり50mgの有効成分をそれぞれ含む懸濁液を以下のように作製する。
【0232】
【数6】

有効成分、スクロース、およびキサンタンガムをブレンドし、No.10メッシュのU.S.篩にかけ、次いで、予め作製した微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、フレーバー、および着色料を幾らかの水で希釈し、撹拌しながら添加する。次いで、十分な水を添加して所望の体積にする。
【0233】
(実施例24)
皮下処方物を以下のように調製することができる。
【0234】
【数7】

(実施例25)
以下の組成を有する注射用調製物を調製する。
【0235】
【数8】

(実施例26)
以下の組成を有する局所調製物を調製する。
【0236】
【数9】

水以外の全ての上記の成分を合わせ、撹拌しながら60℃に加熱する。次いで、60℃の十分量の水を強く撹拌しながら添加して成分を乳化し、次いで、十分量の水100gを添加した。
【0237】
(実施例27)
【0238】
【数10】

徐放性組成物
本発明の徐放性処方物を以下のように調製する。化合物、pH依存性結合剤、および任意選択的に何か賦形剤を完全に混合する(乾式ブレンド)。次いで、乾式ブレンドした混合物を強塩基水溶液の存在下で造粒し、ブレンドした粉末にスプレーする。顆粒を乾燥させ、篩にかけ、任意選択的な潤滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)と混合し、打錠する。好ましい強塩基水溶液は、アルカリ金属水酸化物の水溶液(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液(任意選択的に、25%までの水混和性溶媒(低級アルコールなど)を含む)など)である。
【0239】
得られた錠剤を、識別、味のマスキング、および嚥下の改善のために任意の塗膜形成剤でコーティングすることができる。塗膜形成剤は、典型的には、錠剤重量の2%と4%との間の範囲の量で存在するであろう。適切な塗膜形成剤は当該分野で周知であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカチオン性メタクリラートコポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリラート/メチル−ブチルメタクリラートコポリマー−Eudragit(登録商標)E−Rohm.Pharma)などが含まれる。これらの塗膜形成剤は、任意選択的に、着色剤、可塑剤、および他の補助成分を含むことができる。
【0240】
圧縮錠は、好ましくは、8Kpの圧力に耐えるのに十分な硬度を有する。錠剤のサイズは、主に、錠剤中の化合物の量に依存するであろう。錠剤は、300〜1100mgの化合物の遊離塩基を含むであろう。好ましくは、錠剤は、400〜600mg、650〜850mg、および900〜1100mgの範囲の化合物の遊離塩基を含むであろう。
【0241】
溶出速度に影響を及ぼすために、化合物含有粉末が湿式混合される期間を調節する。好ましくは、総粉末の混合時間(すなわち、粉末が水酸化ナトリウム溶液に曝露される時間)は、1〜10分間、好ましくは2〜5分間であろう。造粒後、粒子を造粒機から取り出し、流動層乾燥機に入れて約60℃で乾燥させた。
【0242】
(実施例28)
定量PCRによるRNA発現
製造者の説明書にしたがってRNAeasyキット(Qiagen,USA)およびDNアーゼ処理(Qiagen,USA)を使用して、細胞、凍結組織、またはRNA Later(Qiagen)中に保存した組織から総RNAを単離した。Tagman逆転写試薬キット(ABI,Foster City,CA)を使用して、ランダムヘキサマーを使用した50μlの反応物中で1μgの総RNAを転写した。cDNAを5倍(1:5)希釈し、MX300xP QPCRシステム(Stratagene)においてSYBR化学(Applied Biosystems,CA)を使用してQPCRを行った。ラットおよびヒトのABCA−1ならびにラットおよびヒトのβ−アクチンのプライマーを、Beacon Designerソフトウェア(Premier Biosoft,CA)およびNCBI配列データベースからインポートした適切な配列を使用してデザインした。ABCA−1発現をβ−アクチンに対して正規化した。記載のアッセイを使用して、ZDF(ズッカー糖尿病肥満)ラットの肝臓におけるABCA−1遺伝子発現に及ぼす処置の影響を決定した。ラットを、0,2、および4時間後に式Iの試験化合物で処置した。結果を図1に示す。図1の試験で使用した式Iの試験化合物は、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールであった。
【0243】
(実施例29)
ABCA−1タンパク質発現の測定
細胞または組織中の細胞ABCA−1タンパク質発現を、プロテアーゼインヒビターを含む溶解緩衝液中でホモジナイズした組織または細胞から調製したホモジネートから定量した。溶解物のタンパク質を、SDS−PAGEによって分離し、ABCA11およびハウスキーピングタンパク質についてウェスタンブロッティングした。ABCA−1を、ヒト、ラット、およびマウスと交差反応するマウスモノクローナル抗体で検出した。β−アクチン(または他の一般的に使用される標準化タンパク質)を、適切な市販の抗体で検出した。記載のアッセイを使用して、ZDFラットにおける肝臓ABCA1タンパク質発現に及ぼす処置の影響を決定した。ラットを、0、2、および4時間後に式Iの試験化合物で処置した。結果を図2に示す。処置により、ABCA−1タンパク質発現が経時的に増加する。ビヒクルコントロールの測定点を使用して、各測定点でのABCA1発現を正規化した。図2の実験で使用した式Iの試験化合物は、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールであった。
【0244】
(実施例30)−予想
ABCA−1発現とHDLレベルとの間の関係を、以下のin vivoアッセイで決定する。
【0245】
in vitroでABCA−1発現を増加させ、薬学的に活性であり、且つin vivoで利用可能な候補化合物を、所定の投薬量にて10%Cremaphore(BASF)/生理食塩水での腹腔内注射または胃管栄養法のいずれかによって7週齢の雄C57B1/6マウスに毎日投与する。最終注射の3〜4時間後、絶食時EDTA−血漿および適切な組織を分析のために回収する。血漿HDLをリンタングステン酸沈殿(Sigma)によって単離し、HDLコレステロール、総コレステロール、およびトリアシルグリセロールを、キット(Roche Diagnostics)を使用して酵素的に決定する。HDLコレステロールおよびサイズの変化を、酵素的に検出された溶離画分中のコレステロールと直列に接続した2つのSuperose6/30カラムを使用したFPLCによってさらに分析する。ABCA−1遺伝子発現のin vivo変化を、候補組織から単離したRNAのRT−PCR分析によってさらに確認する。
【0246】
本アッセイを使用して、ABCA−1発現とHDLレベルとの間の相関を決定する。
【0247】
本発明をその特定の実施形態を参照して説明しているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の変更形態を得ることができ、等価物に置換することができると当業者に理解されるべきである。さらに、本発明の特定の状況、材料、材料の組成、方法、工程段階又は工程、目的、精神、および範囲に適応するための多数の改変を得ることができる。全てのかかる改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。上記で引用された全ての特許および刊行物は、本明細書中で参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCA−1発現を増加することができる薬剤での処置によって緩和することができる哺乳動物における病状の治療方法であって、治療有効用量の式I:
【化39】

(式中、
Rは水素または低級アルキルであり、
は、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリールであるか、
RおよびYRは、それらが結合する窒素原子と一緒になった場合に任意選択的に置換されたヘテロシクリルを示し、
は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、アシル、またはシアノであり、
は、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール;任意選択的に置換されたヘテロアリール、または任意選択的に置換されたヘテロシクリルであり、
およびRは、独立して、水素またはアシルであり、
XおよびYは、独立して、共有結合または任意選択的に置換されたアルキレンであり、
但し、Rがメチルである場合、Yは共有結合であり、Xがメチレンまたはエチレンである場合、Rはフェニルであり得ない)の化合物を、治療を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
は任意選択的に置換されたアリールまたは任意選択的に置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R、R、R、およびRは全て水素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
は任意選択的に置換されたアリールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
は任意選択的に置換されたシクロアルキルであり、Xは共有結合であり、Rは任意選択的に置換されたフェニルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Yは共有結合であり、Rは任意選択的に置換されたシクロペンチルであり、Rはハロゲンまたはアルキルに置換されたフェニルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは2−フルオロフェニルであり、すなわち、(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−フルオロフェニルチオ)メチル]−2−{6−[(2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]−プリン−9−イル}オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは3−フルオロフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(3−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは2−クロロフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−クロロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは2,4−ジフルオロフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2,4−ジフルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(4−クロロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは4−フルオロフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(4−フルオロフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは2,6−ジメチルフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2,6−ジメチルフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
は2−ヒドロキシシクロペンチルであり、Rは2−メチルフェニルであり、すなわち、2−{6−[((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ]プリン−9−イル}(4S,5S,2R,3R)−5−[(2−メチルフェニルチオ)メチル]オキソラン−3,4−ジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
Yは任意選択的に置換された低級アルキレンであり、RおよびRは共に任意選択的に置換されたフェニルであり、Xは共有結合である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
XおよびYは共に共有結合であり、Rは任意選択的に置換されたアルキルまたは任意選択的に置換されたフェニルであり、Rは任意選択的に置換されたフェニルである、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
は任意選択的に置換されたヘテロアリールである、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
XおよびYは共に共有結合であり、Rは任意選択的に置換されたシクロアルキルであり、Rは任意選択的に置換された1,3−チアゾール−2−イルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Yは低級アルキレンであり、Rは任意選択的に置換されたシクロアルキルまたは任意選択的に置換されたフェニルであり、Rは任意選択的に置換された1,3−チアゾール−2−イルである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記病状は、糖尿病、インスリン抵抗性、異常脂質血症、冠状動脈疾患、および炎症から選択される少なくとも1つの病状である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記病状は冠状動脈疾患である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511802(P2011−511802A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546046(P2010−546046)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033385
【国際公開番号】WO2009/100326
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】