説明

ABCA−1を上昇させる化合物

【課題】哺乳動物における細胞性ABCA−1産生を上昇させ、冠状動脈疾患の治療に有用な化合物の提供。
【解決手段】化合物は


〔式中、R1は、水素、トリクロロメチルなどであり;Aは共有結合、または−C(=O)−であり;XYは−C(=O)−NH−などである。R6およびR7はそれらに結合する炭素原子と合わせて1,3−もしくは1,4−ジオキサンを形成できる。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2000年12月7日に出願された米国仮出願一連番号60/251916および2001年8月17日に出願された米国仮出願一連番号60/313274の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物における細胞性ABCA−1産生の上昇に有用な化合物、および冠状動脈疾患の治療においてこのような化合物を使用する方法に関する。
本発明はまた、このような化合物の調製のための方法、およびこのような化合物を含む医薬組成物に関する。
【0003】
(発明の背景)
コレステロールは高等生物の成長および生存能力に不可欠である。コレステロールは真核生物の膜の流動性を調節する脂質であり、そしてプロゲステロン、テストステロンなどのようなステロイドホルモンに対する前駆体である。コレステロールは食事から得られうるか、または肝臓および腸において内部合成され得る。コレステロールは、体液においてリポタンパク質によって特定の標的に輸送され、このリポタンパク質は漸増密度(increasing density)に従って分類される。例えば、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)は、肝臓へのコレステロールの輸送および肝臓からのコレステロールの輸送、ならびに末梢組織細胞へのコレステロールの輸送を担い、ここでLDLレセプターがLDLと結合し、そして細胞へのその流入を媒介する。
【0004】
コレステロールは哺乳動物における多くの生物学的プロセスに不可欠であるが、上昇した血清レベルのLDLコレステロールは、これが体中の動脈においてアテローム硬化性斑の形成に寄与することが公知である点で望ましくなく、この斑の形成は例えば冠状動脈疾患の発生を導き得る。逆に、上昇したレベルの高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)が、冠状疾患の発生に対して保護することがヒト臨床データおよび動物モデル系に基づいて見出されている。
【0005】
一般に、過剰のコレステロールは、高密度リポタンパク質(HDL)が関与する経路によって体から除去される。コレステロールは、2つのプロセス(成熟HDLへの受動輸送またはアポリポタンパク質A−1への能動輸送によるいずれか)のうちの1つによって細胞から「流出」される。後者のプロセスは、ATP結合カセットトランスポーター1(ABC−1あるいはABCA−1と参照される)として公知のタンパク質によって媒介される。後者のプロセスにおいて脂質−原始型(poor)HDL前駆体は、リン脂質およびコレステロールを獲得し、これは増大した血漿レベルの成熟HDL粒子を導く。HDLコレステロールは結局、「逆コレステロール輸送」として公知のプロセスにおいて肝臓に輸送され、ここで、このコレステロールは再循環されるかまたは胆汁として排出されるかのいずれかとなる。
【0006】
動脈におけるアテローム硬化性斑の形成の危険性を減少させることを目標とする治療の1つの方法は、血漿脂質レベルの減少に関連する。このような方法は、食事変化ならびに/または薬物(例えばフィブリン酸の誘導体(クロフィブラート、ゲムフィブロジルおよびフェノフィブラート)、ニコチン酸、ならびにHMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えばメビノリン、メバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、およびロバスタチン))を用いた治療を含み、これらの薬物は、コレステロールの細胞内合成の阻害またはLDLレセプターを介した取り込みの阻害のいずれかによって血漿LDLコレステロールレベルを減少させる。さらに、胆汁酸結合樹脂(例えばコレスチラミン(cholestyrine)、コレスチポール、およびプロブコールは、腸内取り込みの減少および肝臓におけるLDLコレステロールの異化作用の増大によってLDLコレステロールのレベルを減少させる。
【0007】
特にHDL経路を介した動脈壁からのコレステロールの除去に欠陥のある個体の動脈におけるアテローム硬化性斑の形成の危険性を減少させることを目標とする代替治療を提供することが所望される。HDLレベルが一般的にABCA−1の発現に関連すると仮定すると、HDLレベルを増大させる1つの方法は、ABCA−1の発現を増大させることである。従って、哺乳動物におけるABCA−1の発現の強力な刺激物質である化合物を提供し、従ってコレステロール流出を増大させ、そして血液におけるHDLコレステロールレベルを上昇させることが所望される。これは、低HDLレベルによって特徴付けられる種々の疾患状態、特に冠状動脈疾患の治療に有用である。
【0008】
LDLコレステロールレベルを減少させる薬物およびHDLコレステロールを増大させる薬物の組み合わせが有益であることが示されている。例えばMarian C.CheungらによるArterioscler.,Thromn.,Vasc.Biol.(2001)、21(8)、1320〜1326を参照のこと。従って、LDLコレステロールレベルを低下させる化合物とABCA−1の発現を刺激する化合物との組み合わせを提供することがまた所望される。
【0009】
マクロファージにおけるABCA−1産生の上昇は、血漿HDLコレステロールの顕著な上昇を伴わずに冠状動脈におけるコレステロール堆積を局所的に減少させることが示されていることに注目すべきである。この場合、ABCA−1発現の上昇は、HDLコレステロールが増大しなくても有益である。
【0010】
(発明の要旨)
ABC−1遺伝子の細胞発現を上昇させる化合物を提供し、従って血漿における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)のレベルを増大させ、そして哺乳動物における脂質レベルを低下させることが本発明の目的である。従って第一の態様において、本発明は以下の式Iで表される化合物に関する。
【0011】
【化1】

(式中、Rは水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであり、
Aは共有結合、C(X)−または−C(X)−NH−であり(ここでXは酸素または硫黄である)、
、R、RおよびRは独立して水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルコキシ、ハロまたは任意に置換されるシクロアルキルであり、
Xは酸素、硫黄、−C(X)−または−NH−であり、
Yは、Xが酸素または硫黄である場合に任意に置換される低級アルキレンであるか、あるいは、
Yは、Xが−C(X)−である場合に−NH−であるか、あるいは、
Yは、Xが−NH−である場合に−C(X)−であり、
ただしXおよびYは両方−NH−であることができず、
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであるか、あるいは、
およびR、またはRおよびR、またはRおよびR、またはRおよびR10はそれらに結合する炭素原子と合わせて5員または6員のヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、または芳香族炭素環状部分もしくは非芳香族炭素環状部分を形成し、これらのすべては任意にハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはシクロアルキルによって置換される。)
第二の態様において、本発明はHDLコレステロールの血清レベルを上昇させる化合物を用いて有用に治療され得る哺乳動物の疾患または状態の治療において式Iの化合物を使用するための方法に関し、この方法はその治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。このような疾患は、動脈の疾患(特に冠状動脈疾患)および糖尿病を含むがこれらに限定されない。
【0012】
第三の態様において、本発明は、細胞からのコレステロール流出を促進する化合物を用いて有用に治療され得る哺乳動物の疾患または状態の治療において式Iの化合物を使用するための方法に関し、この方法はその治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。このような疾患は、動脈の疾患(特に冠状動脈疾患)および糖尿病を含むが、これらに限定されない。
【0013】
第四の態様において、本発明は、HDL−Cの血清レベルを上昇させる化合物を用いて有用に治療され得る哺乳動物において低HDL−Cによって特徴付けられる疾患または状態の治療において式Iの化合物を使用するための方法に関し、この方法はその治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。このような疾患は、動脈の疾患(特に冠状動脈疾患)および糖尿病を含むが、これらに限定されない。
【0014】
本発明の第五の態様は、治療有効量の式Iの化合物および少なくとも1つの医薬上許容可能な賦形剤を含む医薬製剤に関する。
【0015】
本発明の第六の態様は、式Iの化合物を調製する方法に関する。
【0016】
(定義および一般的パラメーター)
用語「アルキル」は、1〜20の炭素原子を有するモノラジカルの分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどのような基によって例示される。
【0017】
用語「置換アルキル」は以下をいう。
【0018】
1)アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、好ましくは1〜3の置換基を有する上記で規定されるようなアルキル基である。この定義によって別段束縛されない限りは、すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(ここで、Rはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る、あるいは、
2)酸素、硫黄および−NR−(ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される)から独立して選択される1〜5の原子または基によって妨げられる(interrupted)上記で規定されるようなアルキル基である。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(ここで、Rはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る、あるいは、
3)上記で規定されるような1〜5の置換基を有することと上記で規定されるような1〜5の原子または基によって妨げられることの両方である上記で規定されるようなアルキル基である。
【0019】
用語「低級アルキル」は、1〜6の炭素原子を有するモノラジカルの分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシルなどのような基によって例示される。
【0020】
用語「置換低級アルキル」は、置換アルキルについて規定されるような1〜5の置換基、好ましくは1〜3の置換基を有する上記で規定されるような低級アルキル、あるいは置換アルキルについて規定されるような1〜5の原子によって妨げられる上記で規定されるような低級アルキル基、または上記で規定されるような1〜5の置換基を有することと上記で規定されるような1〜5の原子によってまた妨げられることの両方である上記で規定されるような低級アルキル基をいう。
【0021】
用語「アルキレン」は、好ましくは1〜20の炭素原子、好ましくは1〜10の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子を有するジラジカルの分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖をいう。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば−CHCHCH−、および−CH(CH)CH−)などのような基によって例示される。
【0022】
用語「低級アルキレン」は、好ましくは1〜6の炭素原子を有するジラジカルの分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖をいう。
【0023】
用語「置換アルキレン」は以下をいう。
【0024】
(1)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基を有する上記で規定されるようなアルキレン基である。この定義によって別段束縛されない限りは、すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る、あるいは、
(2)酸素、硫黄および−NR−(ここでRは水素、任意に置換されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される)から独立して選択される1〜5の原子もしくは基、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから選択される基によって妨げられる上記で規定されるようなアルキレン基、あるいは、
(3)上記で規定されるような1〜5の置換基を有することと上記で規定されるような1〜20の原子によって妨げられることの両方である上記で規定されるようなアルキレン基である。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)などである。
【0025】
用語「アラルキル」は、アルキレン基に共有結合したアリール基(ここでアリールおよびアルキレンは本明細書中で規定される)をいう。「任意に置換されるアラルキル」は、任意に置換されるアルキレン基に共有結合した任意に置換されるアリール基をいう。このようなアラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどによって例示される。
【0026】
用語「アルコキシ」は、基R−O−(ここでRは任意に置換されるアルキルもしくは任意に置換されるシクロアルキルである)をいうか、あるいはRは基−Y−Z(これにおいてYは任意に置換されるアルキレンであり、そしてZは任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、または任意に置換されるシクロアルケニルである(ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは本明細書中で規定される通りである))をいう。好ましいアルコキシ基は、任意に置換されるアルキル−O−であり、そして例示としてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、1,2−ジメチルブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0027】
用語「アルキルチオ」は、基R−S−(ここでRはアルコキシについて規定される通りである)をいう。
【0028】
用語「アルケニル」は、好ましくは2〜20の炭素原子、より好ましくは2〜10の炭素原子、そしてなおより好ましくは2〜6の炭素原子を有し、そして1〜6、好ましくは1つの二重結合(ビニル)を有するモノラジカルの分枝または非分枝の不飽和炭化水素基をいう。好ましいアルケニル基としては、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが挙げられる。アルケニルが窒素に結合する場合においては、この二重結合は窒素に対してαであることができない。
【0029】
用語「低級アルケニル」は、2〜6の炭素原子を有する上記で規定されるようなアルケニルをいう。
【0030】
用語「置換アルケニル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、そして好ましくは1〜3の置換基を有する上記で規定されるようなアルケニル基をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0031】
用語「アルキニル」は、好ましくは2〜20の炭素原子、より好ましくは2〜10の炭素原子、そしてなおより好ましくは2〜6の炭素原子を有し、そして少なくとも1、そして好ましくは1〜6のアセチレン(三重結合)不飽和部位を有するモノラジカルの不飽和炭化水素をいう。好ましいアルキニル基としては、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(またはプロパ−1−イン−3−イル、−CHC≡CH)などが挙げられる。アルキニルが窒素に結合する場合においては、この三重結合は窒素に対してαであることができない。
【0032】
用語「置換アルキニル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、そして好ましくは1〜3の置換基を有する上記で規定されるようなアルキニル基をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0033】
用語「アミノカルボニル」は、基−C(O)NRR(ここで各々のRは独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであるか、またはここで両方のR基が結合して複素環式基(例えばモルホリノ)を形成する)をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0034】
用語「アシルアミノ」は、基−NRC(O)R(ここで各々のRは独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである)をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0035】
用語「アシルオキシ」は、基−O(O)C−アルキル、−O(O)C−シクロアルキル、−O(O)−アリール、−O(O)C−ヘテロアリールおよび−O(O)C−ヘテロシクリルをいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0036】
用語「アリール」は、単一の環(例えばフェニル)または複数の環(例えばビフェニル)あるいは複数の縮合(condensed)(縮合(fused))環(例えばナフチルまたはアントリル)を有する6〜20の炭素原子の芳香族炭素環式基をいう。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0037】
このアリール置換基についての定義によって別段束縛されない限りは、このようなアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、好ましくは1〜3の置換基で任意に置換され得る。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0038】
用語「アリールオキシ」は、基アリール−O−(ここでこのアリール基は上記で規定される通りである)をいい、そしてまた上記で規定されるように任意に置換されるアリール基を含む。用語「アリールチオ」は、基R−S−(ここでRはアリールについて規定される通りである)をいう。
【0039】
用語「アミノ」は、基−NHをいう。
【0040】
用語「置換アミノ」は、基−NRR(ここで各々のRは、両方のR基が水素でないという条件で、独立して水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(例えばベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群より選択される)あるいは基−Y−Z(これにおいて、Yは任意に置換されるアルキレンであり、そしてZはアルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルである)をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0041】
用語「カルボキシアルキル」は、基−C(O)O−アルキル、−C(O)O−シクロアルキル(ここでアルキルおよびシクロアルキルは、本明細書中で規定される通りである)をいい、そして任意にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0042】
用語「シクロアルキル」は、単一の環状環または複数の縮合環を有する3〜20の炭素原子の環状アルキル基をいう。このようなシクロアルキル基としては、例示として単一の環構造(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど)または複数の環構造(例えばアダマンタニルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタン)あるいはアリール基と縮合した環状アルキル基(例えばインダンなど)が挙げられる。
【0043】
用語「置換シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、そして好ましくは1〜3の置換基を有するシクロアルキル基をいう。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「非芳香族炭素環化合物」は、0〜2の二重結合を含む炭素および水素からなる5員または6員の炭素環式基をいう。
【0045】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨードをいう。
【0046】
用語「アシル」は、基−C(O)R(これにおいてRは水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールおよび任意に置換されるヘテロアリールである)を意味する。
【0047】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環内に1〜15の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子を含む芳香族基(すなわち不飽和基)をいう。
【0048】
このヘテロアリール置換基についての定義によって別段束縛されない限りは、このようなヘテロアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、好ましくは1〜3の置換基で任意に置換され得る。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えばピリジルまたはフリル)あるいは複数の縮合環(例えばインドリジニル、ベンゾチアゾリルまたはベンゾチエニル)を有し得る。窒素複素環およびヘテロアリールの例としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリンなど、ならびにヘテロアリール化合物を含むN−アルコキシ−窒素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、基ヘテロアリール−O−をいう。
【0050】
用語「ヘテロシクリル」は、環内に1〜40の炭素原子ならびに窒素、硫黄、リンおよび/または酸素から選択される1〜10のヘテロ原子、好ましくは1〜4のヘテロ原子を有する単一の環または複数の縮合環を有するモノラジカルの飽和基または部分不飽和基をいう。
【0051】
この複素環式置換基についての定義によって別段束縛されない限りは、このような複素環式基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群より選択される1〜5の置換基、そして好ましくは1〜3の置換基で任意に置換され得る。すべての置換基は、任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)R(これにおいてRはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてnは0、1もしくは2である)によってさらに置換され得る。複素環式基は、単一の環または複数の縮合環を有し得る。好ましい複素環式基としては、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニルなどが挙げられる。
【0052】
用語「チオール」は、基−SHをいう。
【0053】
用語「置換アルキルチオ」は、基−S−置換アルキルをいう。
【0054】
用語「ヘテロアリールチオール」は、基−S−ヘテロアリール(ここでこのヘテロアリール基は、上記で規定される通りであり、また上記で規定されるように任意に置換されるヘテロアリール基を含む)をいう。
【0055】
用語「スルホキシド」は、基−S(O)R(ここでRは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)をいう。「置換スルホキシド」は、基−S(O)R(ここでRは、本明細書中で規定されるように、置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである)をいう。
【0056】
用語「スルホン」は、基−S(O)R(ここでRは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)をいう。「置換スルホン」は、基−S(O)R(ここでRは、本明細書中で規定されるように、置換アルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである)をいう。
【0057】
用語「ケト」は、基−C(O)−をいう。用語「チオカルボニル」は、基−C(S)−をいう。用語「カルボキシ」は、基−C(O)−OHをいう。
【0058】
「任意の」または「任意に」は、引き続いて記載される事象または状況が生じるかもしれないし、または生じないかもしれないことを意味し、そしてこの記述が、上記の事象または状況が生じる場合の例、そしてこの事象または状況が生じない場合の例を含むことを意味する。
【0059】
用語「式Iの化合物」は、開示されるような本発明の化合物、ならびにこのような化合物の医薬上許容可能な塩、このような化合物の医薬上許容可能なエステル、およびこのような化合物のプロドラッグを包含することが意図される。さらに本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得、そしてラセミ混合物として産生され得るか、あるいは個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして産生され得る。任意の所定の式Iの化合物に存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数に依存する(2の立体異性体が存在し得る(nは不斉中心の数である))。個々の立体異性体は、合成のいくつかの適当な段階における中間体のラセミ混合物または非ラセミ混合物の分解によってか、あるいは従来手段による式Iの化合物の分解によって得られ得る。この個々の立体異性体(個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)ならびに立体異性体のラセミ混合物および非ラセミ混合物は本発明の範囲内に包含され、これらのすべては、特に別段の指示がない限り、本明細書に記載の構造によって表されることが意図される。
【0060】
「異性体」は、同じ分子式を有するが異なる化合物である。
【0061】
「立体異性体」は、原子が空間に配置される様式のみが異なる異性体である。
【0062】
「エナンチオマー」は、互いの重ね合わせることのできない鏡像である一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物が、「ラセミ」混合物である。用語「(±)」は、適切な場合のラセミ混合物を表すために使用される。
【0063】
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。
【0064】
絶対立体配置は、カーン−インゴールド−プレローグ(Cahn-Ingold-Prelog)R−S系に従って明記される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各々のキラル炭素における立体化学はRまたはSのいずれかによって特定され得る。絶対配置が未知である分解された化合物は、ナトリウムD線の波長での偏光面が回転する方向(右旋または左旋)に応じて、(+)または(−)と表される。
【0065】
用語「治療有効量」は、このような治療を必要とする哺乳動物に投与する場合に、以下に規定されるような治療を達成するのに十分な式Iの化合物の量をいう。この治療有効量は、治療されている被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重篤度、投与の様式などに依存して変化し、これは当業者によって容易に決定され得る。
【0066】
用語「冠状動脈疾患」は、冠状動脈の「硬化」(アテローム硬化)が存在する慢性疾患を意味する。
【0067】
用語「アテローム性動脈硬化症」は、コレステロール、リポイド物質および脂肪貪食細胞を含む帯黄色斑の沈着が、大きな動脈および中位の動脈の最も内部の中膜および内部の中膜内に形成される動脈硬化の形態をいう。
【0068】
用語「治療」または「治療する」は、哺乳動物における疾患の任意の治療を意味し、以下の工程を包含する。
【0069】
(i)疾患を予防する工程、すなわち疾患の臨床症状を発症させないようにする工程、
(ii)疾患を阻害する工程、すなわち臨床症状の発達を抑える工程、および/または
(iii)疾患を軽減する工程、すなわち臨床症状の後退を引き起こす工程。
【0070】
多くの場合において、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基あるいはそれに類似の基の存在によって酸塩および/または塩基塩を形成し得る。用語「医薬上許容可能な塩」は、式Iの化合物の生物学的有効性および性質を保持する塩をいい、そして生物学的または他の点で有害ではない塩をいう。医薬上許容可能な塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、例示のみとしてナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、第一級アミンの塩、第二級アミンの塩および第三級アミンの塩(例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ニ置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、二複素環式(diheterocyclic)アミン、三複素環式(triheterocyclic)アミン、アミン上の少なくとも2つの置換基が異なっていてアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環などからなる群より選択される場合のジアミンおよびトリアミンの混合アミンが挙げられるがこれらに限定されない。また、アミノ窒素と合わせて2つまたは3つの置換基が複素環式基またはヘテロアリール基を形成する場合のアミンが挙げられる。
【0071】
適切なアミンの特定の例としては、例示のみとして、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0072】
また、アミノ窒素と合わせて2つまたは3つの置換基が複素環式基またはヘテロアリール基を形成する場合のアミンが挙げられる。
【0073】
本開示は以下の定義を含む、RおよびR、またはRおよびR、またはRおよびR、またはRおよびR10はそれらに結合する炭素原子と合わせて5員または6員のヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたは芳香族炭素環状部分もしくは非芳香族炭素環状部分を形成する。従って、RおよびRがそれらに結合する炭素原子と合わせて6員のヘテロシクリルを形成し得る式Iの化合物は、以下に示される通りである。
【0074】
【化2】

他のこのような部分としては以下が挙げられるがこれらに限定されない。
【0075】
【化3】

医薬上許容可能な酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。無機酸から誘導される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容可能なキャリア」は、任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および因子の使用は当該分野でよく知られている。任意の従来の媒体または因子がこの活性成分と配合禁忌である範囲を除いて、治療的組成物におけるこの使用が意図される。補充活性成分がまた、この組成物に組込まれ得る。
【0077】
(命名法)
本発明の化合物の命名および番号付けは、以下の代表的な式Iの化合物を用いて例示される。
【0078】
【化4】

(式中、AはC(X)(ここで、Xは酸素である)であり、Rはトリクロロメチルであり、R、R、RおよびRはすべて水素である。Xは硫黄であり、Yはメチレンであり、RおよびRはそれらに結合する炭素原子と合わせて1,3−ジオキサンを形成し、RおよびR10は水素であり、そしてRは塩素であり、これは以下と命名される。2,2,2−トリクロロ−N−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミド。)
(合成反応パラメータ)
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、それとともに記載されている反応条件下で不活性である溶媒[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどを含む]を意味する。それと反対に明記されない限り、本発明の反応において使用される溶媒は不活性有機溶媒である。
【0079】
用語「十分量(q.s.)」は、述べられる機能を達成するに十分な量を付加すること、例えば溶液を所望の容量にすること(すなわち、100%)を意味する。
【0080】
(式Iの化合物の合成)
Xが酸素であり、そしてYが低級アルキレンである場合の式Iの化合物の調製についての方法の例を、反応スキームIに示す。
【0081】
(反応スキームI)
【化5】

(ステップ1−式(3)の調製)
式(3)の化合物を、式(2)の化合物と式(1)の化合物(これらは市販されるか、または当該分野でよく知られている手段によって調製され得るかのいずれかである)との反応によって調製する。この反応を、不活性溶媒(例えばアセトンまたはジメチルホルムアミド)においておよそ50〜100℃の温度でおよそ12〜20時間行う。この反応が実質的に完了した後、精製せずに次の反応を行う。
【0082】
(ステップ2−Aが共有結合であり、そしてRが水素である場合の式(I)の調製)
式(I)の化合物を、式(3)の化合物の触媒還元によって調製する。式(3)の化合物をプロトン性溶媒(例えばエタノール)に溶解し、そして水素の理論量が吸収されるまで(通常およそ12〜20時間)、およそ室温にて水素雰囲気下で撹拌する。この反応をPtO触媒の存在下で行い、この触媒を、反応が完了した後、濾過によって除去する。式(I)の生成物を、従来手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、およびシリカゲルを用いた残渣のクロマトグラフィー)によって単離する。
【0083】
(ステップ3.Aが−C(X)−であり、そしてRが水素でない場合の式(I)の調製)
Aが−C(X)−であり、そしてRが水素でない場合の式Iの化合物を、第三級アミン(好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、式RC(X)−Clの化合物と、Aが共有結合でありRが水素である場合の式Iの化合物との反応によって調製する。この反応を、およそ0〜40℃の温度(好ましくはおよそ室温)でおよそ12〜20時間、不活性溶媒(好ましくはテトラヒドロフラン)中で行う。この反応が実質的に完了した後、この生成物を従来手段(例えばシリカゲルに対するクロマトグラフィー)によって単離する。
【0084】
Xがカルボニルであり、そしてYが−NH−である場合の式Iの化合物の調製を、反応スキームIIに示す。
【0085】
(反応スキームII)
【化6】

(式(7)の化合物の調製−ステップ1)
式(7)の化合物を、第三級アミン(好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、式(6)の化合物と式(5)の化合物との反応によって調製する。この反応を、20℃と70℃との間の温度(好ましくはおよそ50℃)でおよそ12〜20時間、不活性溶媒(好ましくはTHF)中で行う。この反応が実質的に完了した後、この生成物を精製せずに次の反応を行う。
【0086】
式(5)の化合物および式(6)の化合物は、市販されるか、または当該分野でよく知られている手段によって調製され得るかのいずれかである。
【0087】
(Aが共有結合であり、そしてRが水素である場合の式(I)の化合物の調製−ステップ2)
式(I)の化合物を、式(7)の化合物の触媒還元によって調製する。式(7)の化合物をプロトン性溶媒(例えばエタノール)に溶解し、そして水素の理論量が吸収されるまで(通常およそ12〜20時間)、およそ室温下にて水素雰囲気下で撹拌する。この反応をPtO触媒の存在下で行い、この触媒を、反応が完了するときに濾過によって除去する。式(I)の生成物を、従来手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、およびシリカゲルを用いた残渣のクロマトグラフィー)によって単離する。
【0088】
(Aが−C(X)−である場合の式Iの化合物の調製−ステップ3)
式Iの化合物を、第三級アミン(好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、式RC(X)−Clの化合物と、Aが共有結合でありRが水素である場合の式(I)の化合物との反応によって調製する。この反応を、およそ0〜40℃の温度(好ましくはおよそ室温)でおよそ12〜20時間、不活性溶媒(好ましくはTHF)中で行う。この反応が実質的に完了した後、この生成物を従来手段(例えばシリカゲルに対するクロマトグラフィー)によって単離する。
【0089】
Xが−NH−であり、そしてYが−C(X)−(これにおいてXは酸素または硫黄である)である場合の式Iの化合物の調製を、反応スキームIIIに示す。
【0090】
(反応スキームIII)
【化7】

この反応を、反応スキームIIに示されるものと同じ様式で行い、式(9)の1−アミノ−2−ニトロフェニル化合物から始めて、そして式(10)の塩化ベンゾイルまたはチオベンゾイル誘導体と反応させる。このような化合物を、反応スキームIIにおいて以下に示されるように、Aが−C(X)−である場合の式Iの化合物に変換する。
【0091】
Aが−C(X)−NH−である場合の式Iの化合物の調製を、反応スキームIVに示す。
【0092】
(反応スキームIV)
【化8】

Aが共有結合でありRが水素である場合の式Iの化合物を、触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)および第三級塩基(好ましくはトリエチルアミン)の存在下で、式RNCX(ここで、Xは酸素または硫黄である)のイソシアナートまたはイソチオシアナートと反応させる。この反応を、およそ0〜30℃の温度(好ましくはおよそ室温)でおよそ4〜24時間、不活性溶媒(例えばアセトニトリル)中で行う。この反応が実質的に完了した後、RがRNHC(X)−である場合の式Iの生成物を、従来手段(例えば、減圧下での溶媒の除去、その後のシリカゲルに対する残渣のクロマトグラフィー)によって単離する。
【0093】
(有用性、試験および投与)
(一般的有用性)
式Iの化合物は、哺乳動物細胞におけるABCA−1発現を促進し、従ってコレステロール流出を増大し、そして血漿におけるHDLレベルを上昇させる。従って、式Iの化合物は、哺乳動物における高コレステロール/低HDLレベルに関連する状態(糖尿病を含む冠状動脈疾患が挙げられるがこれらに限定されない)の治療に有用である。
【0094】
(試験)
活性試験を、上記で参照される特許および特許出願に記載されるように、そして以下の実施例に記載されるように、そして当業者に明らかな方法によって行う。
【0095】
(医薬組成物)
式Iの化合物は、通常医薬組成物の形態で投与される。従って本発明は、活性成分として1つ以上の式Iの化合物またはその医薬上許容可能な塩もしくはエステル、ならびに1つ以上の医薬上許容可能な賦形剤、キャリア(不活性固形希釈剤および充填剤を含む)、希釈剤(滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含む)、透過増強剤、可溶化剤および補助薬を含む医薬組成物を提供する。式Iの化合物は、単独で、または他の治療的因子と組み合わせて投与され得る。このような組成物は、医薬分野でよく知られている様式で調製される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA 第17版(1985)および「Modern Pharmaceutics」、Marcel Dekker,Inc.第3版(G.S.BankerおよびC.T.Rhodes編)を参照のこと)。
【0096】
(投与)
式Iの化合物は、類似の有用性(例えば参考として援用される特許および特許出願に記載されるような有用性)を有する因子の投与の容認される様式のいずれかによって(直腸経路、頬経路、鼻内経路および経皮経路、動脈内注入によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入剤として、あるいは浸漬(impregnated)デバイスまたは被覆デバイスを介して(例えばステントまたは動脈に挿入される円柱状ポリマーのような)を含む)、単回用量または複数回用量のいずれかで投与され得る。
【0097】
投与についての1つの様式は、非経口、特に注入による。本発明の新規の組成物が注入による投与について組込まれ得る形態としては、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油もしくはラッカセイ油と、エリキシル、マンニトール、デキストロースもしくは滅菌水溶液との水性または油性の懸濁液または乳剤、ならびに類似の薬学的ベヒクルが挙げられる。生理食塩水における水溶液がまた、注入について従来通り使用されるが、本発明の文脈においてはあまり好ましくない。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(およびそれらの適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体ならびに植物油がまた利用され得る。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用、分散の場合においては必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の活動の防止が、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって成し遂げられ得る。
【0098】
滅菌注入可能溶液は、必要に応じて、適切な溶媒中の必要量の式Iの化合物を上記で列挙されるような種々の他の成分に組込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に分散は、種々の滅菌活性成分を一般的な分散媒を含む滅菌ベヒクルおよび上記で列挙される成分からの必要とされる他の成分に組込むことによって調製される。滅菌注入可能溶液の調製についての滅菌粉末の場合においては、調製の好ましい方法は、真空乾燥技術および凍結乾燥技術であり、この技術は、あらかじめ滅菌濾過されるその溶液から活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末をもたらす。
【0099】
経口投与は、式Iの化合物の投与についての別の経路である。投与は、カプセルまたは腸溶性錠剤などを介し得る。少なくとも1つの式Iの化合物を含む医薬組成物の作製において、この活性成分は通常賦形剤によって希釈され、そして/またはカプセル、サシェ剤(sachet)、紙もしくは他の容器の形態であり得るような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤としての役割を果たす場合、これは、(上記のような)固形物質、半固形物質または液体物質であり得、この物質は、活性成分についてのベヒクル、キャリアまたは媒体として作用する。従って、この組成物は錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、乳剤、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体において)、例えば活性化合物の10%重量までを含む軟膏、ソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセル、滅菌注入可能溶液、ならびに滅菌包装粉末の形態であり得る。
【0100】
適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギナート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。この製剤はさらに以下を含み得る。タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油のような潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、安息香酸メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾアートのような保存剤、甘味剤、ならびに香味剤。
【0101】
本発明の組成物は、当該分野で公知の手順の利用による患者への投与後の活性成分の迅速な放出、徐放性放出または遅延性放出を提供するように処方され得る。経口投与のための徐放性薬物送達システムとしては、浸透ポンプシステムおよび溶解システム(ポリマーコーティングレザバーまたは薬物−ポリマーマトリックス製剤を含む)が挙げられる。徐放システムの例は、米国特許第3,845,770号、同第4,326,525号、同第4,902,514号、および同第5,616,345号に記載される。本発明の方法における使用のための別の処方は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を利用する。このような経皮パッチを使用して、制御された量で本発明の化合物の連続的注入または断続的注入を提供し得る。薬学的因子の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当該分野でよく知られている。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号および同第5,001,139号を参照のこと。このようなパッチは、薬学的因子の連続的送達、拍動性送達または要求送達について構築され得る。
【0102】
この組成物は、好ましくは単位投与形態に製剤化される。用語「単位投与形態」は、ヒト被験体および他の哺乳動物について単位投与として適切な物理的に別個の単位をいい、各々の単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生み出すために計算されたあらかじめ決定される量の活性物質を含む(例えば錠剤、カプセル、アンプル)。式Iの化合物は、広範な投与範囲にわたって有効であり、そして一般的に医薬上有効な量において投与される。好ましくは、経口投与について各々の投与単位は、10mg〜2gの式Iの化合物、より好ましくは10mg〜700mgの式Iの化合物を含み、そして非経口投与については、好ましくは10mg〜700mgの式Iの化合物、より好ましくはおよそ50mg〜200mgの式Iの化合物を含む。しかし、実際に投与される式Iの化合物の量は、治療されるべき状態、投与の選択経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度などを含む関連事情に鑑みて医師によって決定されることが理解される。
【0103】
錠剤のような固形組成物の調製については、主要な活性成分が医薬賦形剤と混合されて、本発明の化合物の均一な混合物を含む固形の前製剤化(preformulation)組成物を形成する。これらの前製剤化組成物を均一という場合、活性成分が組成物の全体にわたって等しく分散され、その結果この組成物が等しく有効な単位投与形態(例えば錠剤、丸剤およびカプセル)に容易に分割され得ることが意味される。
【0104】
本発明の錠剤または丸剤は、コーティングされるかまたはそうでなければ混合されて、延長作用という利点を提供する投与形態を提供し得るか、または胃の酸性状態から保護し得る。例えば、この錠剤または丸剤は、内部投薬成分および外部投薬成分を含み得、この外部投薬成分は、内部投薬成分を覆う包被の形態である。この2つの成分は、胃での崩壊の阻止に役立ってこの内部成分が十二指腸へと無傷で移動ことを可能にするか、または放出の遅延に役立つ腸溶層によって分離され得る。種々の物質が、このような腸溶層またはコーティングのために使用され得、このような物質は、多くのポリマー酸(polymeric acid)、ならびにシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような物質とのポリマー酸の混合物を含む。
【0105】
吸入(inhalation)または通気(insufflation)のための組成物としては、医薬上許容可能な水性溶媒または有機溶媒における溶液および懸濁液あるいはそれらの混合物、ならびに粉末が挙げられる。この液体組成物または固形組成物は、上記のような適切な医薬上許容可能な賦形剤を含み得る。好ましくはこの組成物は、局所効果または全身性効果のために口呼吸経路または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは医薬上許容可能な溶媒における組成物は、不活性ガスの使用によって霧状にされ得る。霧状溶液は、噴霧デバイスから直接吸入され得るか、またはこの噴霧デバイスは、フェースマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸機械に接続され得る。溶液組成物、懸濁液組成物または粉末組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから、好ましくは口または鼻を通して投与され得る。
【0106】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含められる。続く実施例に開示される技術が、本発明の実施において良好に機能するために本発明者によって発見される技術を代表し、従ってその実施についての好ましい形態を構成すると見なされ得ることが当業者によって認識されるべきである。しかし当業者は本開示に鑑みて、多くの変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態においてなされ得、そしてなお同等または類似の結果を獲得し得ることを認識するべきである。
【0107】
(実施例1)
(式(3)の化合物の調製)
(A.RおよびRがそれらに結合する炭素と合わせて1,3ジオキサンを形成し、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、Rが塩素であり、Xが酸素であり、そしてYがメチレンである場合の式(3)の化合物の調製)
【化9】

アセトン(100ml)における2−ニトロフェノール(1.27g、9.13mmol)の溶液に固体炭酸カリウム(1.27g、9.13mmol)を添加し、その後6−クロロ−8−(クロロメチル)ベンゾ−1,3−ジオキサン(1.0g、4.57mmol)を添加し、そしてこの溶液を16時間還流した。溶媒を蒸発させ、そしてこの残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]−2−ニトロベンゼンである式(3)の化合物を与えた。
【0108】
(B.RおよびRがそれらに結合する炭素と合わせて1,3ジオキサンを形成し、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、Rが塩素であり、Xが硫黄であり、そしてYがメチレンである場合の式(3)の化合物の調製)
同様に上記の1Aの手順に従うが、2−ニトロフェノールを2−ニトロチオフェノールで置換し、1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メチルチオ]−2−ニトロベンゼンを調製した。
【0109】
(B.X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10を変更する式(3)の化合物の調製)
同様に上記の1Aの手順に従うが、任意に2−ニトロフェノールを式(1)の他の化合物で置換し、そして任意に6−クロロ−8−(クロロメチル)ベンゾ−1,3−ジオキサンを式(2)の他の化合物で置換し、以下の式(3)の化合物を調製する。
【0110】
1−[(6−フルオロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−[5,6,7,8−テトラヒドロナフチル−1−イル)メトキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−[3−フルオロナフチル−1−イル)メトキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−[(3−メトキシ(5−イソキノリル))メトキシ]−2−ニトロ−3−メチルベンゼン、
1−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル)メトキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ}−2−ニトロベンゼン、
1−(2−5,6−ジヒドロナフチルメトキシ)−2−ニトロベンゼン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エトキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル))プロポキシ]−2−ニトロベンゼン、
1−[5,6,7,8−テトラヒドロナフチル−1−イル)メチルチオ]−2−ニトロベンゼン、
1−[3−フルオロナフチル−1−イル)メチルチオ]−2−ニトロベンゼン、1−[(3−メトキシ(5−イソキノリル))メチルチオ]−2−ニトロ−3−メチルベンゼン、
1−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル))メチルチオ]−2−ニトロベンゼン、
1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチルチオ}−2−ニトロベンゼン、
1−(2−5,6−ジヒドロナフチルメチルチオ)−2−ニトロベンゼン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エチルチオ]−2−ニトロベンゼン、および
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル))プロピルチオ]−2−ニトロベンゼン。
【0111】
(実施例2)
(式(I)の化合物の調製)
(A.RおよびRがそれらに結合する炭素と合わせて1,3ジオキサンを形成し、Rが塩素であり、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、Aが共有結合であり、そしてRが水素である場合の式(I)の化合物の調製)
【化10】

エタノールにおける1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]−2−ニトロベンゼンである式(3)の化合物の溶液にPtOを添加し、そしてこの混合物を水素雰囲気下で16時間撹拌した。酸化白金を濾過によって除去し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。この残渣を酢酸エチルに溶解し、そして10%のHClで洗浄した。この水層を塩基で中和し、そして酢酸エチルで抽出した。この有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニルアミンを与えた。
【0112】
(B.Aが共有結合であり、そしてRが水素であり、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10を変更する場合の式Iの化合物の調製)
同様に上記の2Aの手順に従うが、1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]−2−ニトロベンゼンを式(3)の他の化合物で置換し、以下の式Iの化合物を調製する。
【0113】
2−[(6−フルオロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニルアミン、
1−[5,6,7,8−テトラヒドロナフチル−1−イル)メトキシ]−2−フェニルアミン、
1−[3−フルオロナフチル−1−イル)メトキシ]−2−フェニルアミン、1−[(3−メトキシ(5−イソキノリル))メトキシ]−2−(3−メチルフェニル)アミン、
1−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル))メトキシ]−2−フェニルアミン、
1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ}−2−フェニルアミン、
1−(2−5,6−ジヒドロナフチルメトキシ)−2−フェニルアミン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エトキシ]−2−フェニルアミン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル))プロポキシ]−2−フェニルアミン、
1−[5,6,7,8−テトラヒドロナフチル−1−イル)メチルチオ]−2−フェニルアミン、
1−[3−フルオロナフチル−1−イル)メチルチオ]−2−フェニルアミン、1−[(3−メトキシ(5−イソキノリル)メチルチオ]−2−(3−メチルフェニル)アミン、
1−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル))メチルチオ]−2−フェニルアミン、
1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチルチオ}−2−フェニルアミン、
1−(2−5,6−ジヒドロナフチルメチルチオ)−2−フェニルアミン、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エチルチオ]−2−フェニルアミン、および、
1−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル))プロピルチオ]−2−フェニルアミン。
【0114】
(実施例3)
(A.RおよびRがそれらに結合する炭素と合わせて1,3ジオキサンを形成し、Rが塩素であり、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、Aが−C(X)−であり、そしてRがトリクロロメチルである場合の式Iの化合物の合成)
【化11】

無水テトラヒドロフラン(2mL)における2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニルアミン(75mg、0.257mmol)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.090mL、0.514mmol)を添加し、その後トリクロロアセチルクロリド(0.058mL、0.514mmol)を添加した。この得られる混合物を室温で16時間撹拌した。この溶媒を減圧下で蒸発させ、そしてこの残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]フェニル}アセトアミド、M+1=438.1を与えた。
【0115】
(B.A、X、YおよびRを変更する式Iの化合物の合成)
同様にトリクロロアセチルクロリドを式RC(X)Cl(ここでXは酸素または硫黄である)の他の化合物で置換し、以下の式Iの化合物を作製した。
【0116】
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(6−フルオロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]フェニル}アセトアミド、
N−{2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミド、
N−{2−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メトキシ]フェニル}−2,2−ジメチルプロパンアミド、
N−{2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミド、および
N−{2−[(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))メチルチオ]フェニル}−2,2−ジメチルプロパンアミド。
【0117】
(C.A、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10を変更する式Iの化合物の調製)
同様に上記の3Aの手順に従うが、2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニルアミンを式Iの他の化合物(これにおいてAは共有結合であり、そしてRは水素である)で置換し、以下の式Iの化合物を調製する。
【0118】
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(5,6,7,8−テトラヒドロナフタ−1−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(3−フルオロナフタ−1−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(3−メトキシ(5−イソキノリル]メトキシ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル)]メトキシ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(4−(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(2−5,6−ジヒドロナフチルメトキシ)フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エトキシ)フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))プロポキシ)フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(5,6,7,8−テトラヒドロナフタ−1−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミド、2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(3−フルオロナフタ−1−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(3−メトキシ(5−イソキノリル]メチルチオ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル)]メチルチオ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチルチオ]フェニル}アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−[(2−5,6−ジヒドロナフチルメチルチオ)フェニル]アセトアミド、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))エチルチオ}フェニル}アセトアミド、および、
2,2,2−トリクロロ−N−{2−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル))プロピルチオ)フェニル}アセトアミド。
【0119】
(実施例4)
(式Iの化合物の調製)
(A.RおよびRがそれらに結合するフェニルと合わせてナフタレンを形成し、R、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、Aが共有結合であり、Rが水素であり、Xがカルボニルであり、そしてYが−NH−である場合の式Iの化合物の調製)
【化12】

1)無水THF(5mL)における2−ニトロベンゾイルクロリドの溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.235mL、1.35mmol)を添加し、その後1−アミノナフタレン(192.9mg、1.35mmol)を添加し、そしてこの溶液を40℃で16時間撹拌した。この溶媒を蒸発させて、N−ナフチル(2−ニトロフェニル)カルボキサミドである式(7)の化合物を与え、これを精製せずに次のステップについて使用した。
【0120】
2)エタノール中におけるN−ナフチル(2−ニトロフェニル)カルボキサミドの溶液にPd/Cを添加し、そしてこの混合物を水素雰囲気下で16時間撹拌した。Pd/Cを濾過によって除去し、そしてこの溶媒を蒸発させた。この得られる油を酢酸エチルに溶解し、そしてHCl水溶液で抽出した。この水層を中和し、そして酢酸エチルで抽出した。この有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮して(2−アミノフェニル)−N−ナフチルカルボキサミドである式Iの化合物を与えた。
【0121】
(B.Aが共有結合であり、Rが水素であり、Xがカルボニルであり、そしてYが−NH−であり、R、R、R、RおよびR10を変更する場合の式Iの化合物の調製)
同様に上記の4Aの手順に従うが、任意に2−ニトロベンゾイルクロリドを式(5)の他の化合物で置換し、そして任意に1−アミノナフタレンを式(6)の他の化合物で置換し、以下の式Iの化合物を調製した。
【0122】
(2−アミノフェニル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフチル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(5−キノリル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(5−イソキノリル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)エチル]フェニル}カルボキサミド。
【0123】
(C.Aが共有結合であり、Rが水素であり、Xが−C(X)−であり、Yが−NH−であり、R、R、R、RおよびR10を変更する場合の式Iの化合物の調製)
同様に上記の4Aの手順に従うが、任意に2−ニトロベンゾイルクロリドを式(5)の他の化合物で置換し、そして任意に1−アミノナフタレンを式(6)の他の化合物で置換し、以下の式Iの化合物を調製する。
【0124】
(2−アミノフェニル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタ−1−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(3−フルオロナフチル−1−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(3−メトキシ−イソキノール−5−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(2−5,6−ジヒドロナフチル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル)カルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−ナフチルカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタ−1−イル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(3−フルオロナフチル−1−イル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(3−メトキシ−イソキノール−5−イル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(2H,3H−ベンゾ[3,4−e]1,4−ジオキサン−6−イル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(2−5,6−ジヒドロナフチル)チオカルボキサミド、
(2−アミノフェニル)−N−(6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−7−イル)チオカルボキサミド、および、
(2−アミノフェニル)−N−ナフチルチオカルボキサミド。
【0125】
以下の実施例は、式Iの化合物を含む代表的な医薬製剤の調製を例示する。
【0126】
(実施例8)
以下の成分を含むハードゼラチンカプセルを調製する。
【0127】
成分 量(mg/カプセル)
活性成分 30.0
デンプン 305.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
上記の成分を混合し、そしてハードゼラチンカプセルに入れる。
【0128】
(実施例9)
錠剤処方物を以下の成分を用いて調製する。
【0129】
成分 量(mg/錠剤)
活性成分 25.0
微結晶性セルロース 200.0 コロイド二酸化ケイ素 10.0
ステアリン酸 5.0
この成分を混合し、そして圧縮して錠剤を形成する。
【0130】
(実施例10)
以下の成分を含む乾燥粉末吸入処方物を調製する。
【0131】
成分 重量%
活性成分 5
ラクトース 95
この活性成分をラクトースと混合し、そしてこの混合物を乾燥粉末吸入器具に添加する。
【0132】
(実施例11)
30mgの活性成分を各々含む錠剤を以下の通りに調製する。
【0133】
成分 量(mg/錠剤)
活性成分 30.0mg
デンプン 45.0mg
微結晶性セルロース 35.0mg
ポリビニルピロリドン
(滅菌水における10%溶液として) 4.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1.0mg
合計 120mg
この活性成分、デンプンおよびセルロースを20番メッシュのU.S.篩に通し、そして完全に混合する。このポリビニルピロリドンの溶液を得られる粉末と混合し、次いでこれを16メッシュのU.S.篩に通す。このように産生される顆粒を50℃〜60℃で乾燥し、そして16メッシュのU.S.篩に通す。次いで、あらかじめ30番メッシュのU.S.篩に通したデンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクをこの顆粒に添加し、混合後これを錠剤機械上で圧縮して、各々120mg重量の錠剤を得る。
【0134】
(実施例12)
25mgの活性成分を各々含む坐剤を以下の通りに作製する。
【0135】
成分
活性成分 25mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mg
この活性成分を60番メッシュのU.S.篩に通し、そして必要最低限の熱を用いてあらかじめ融解される飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次いでこの混合物を公称2.0g容量の坐剤鋳型に注ぎ、そして冷却する。
【0136】
(実施例13)
5.0mL用量当たり50mgの活性成分を各々含む懸濁液を以下の通りに作製する。
【0137】
成分
活性成分 50.0mg
キサンタンガム 4.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム(11%)
微結晶性セルロース(89%) 50.0mg
スクロース 1.75g
安息香酸ナトリウム 10.0mg
香味料および着色料 任意の量
精製水 5.0mL
この活性成分、スクロースおよびキサンタンガムを混合し、10番メッシュのU.S.篩に通し、次いであらかじめ作製された水中の微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、香味料および着色料をいくらかの水で希釈し、そして撹拌しながら添加する。
次いで十分な水を添加して必要量を産生する。
【0138】
(実施例14)
皮下処方物を以下の通りに調製し得る。
【0139】
成分
活性成分 5.0mg
トウモロコシ油 1.0mL
(実施例15)
以下の組成物を有する注入可能製剤を調製する。
【0140】
成分
活性成分 2.0mg/ml
マンニトール、USP 50mg/ml
グルコン酸、USP 十分な量(pH5〜6)
水(蒸留、滅菌) 十分な量〜1.0ml
窒素ガス、NF 十分な量
(実施例16)
以下の組成物を有する局所製剤を調製する。
【0141】
成分 グラム
活性成分 0.2〜10
Span 60 2.0
Tween 60 2.0
鉱油 5.0
ペトロラタム 0.10 メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)0.01
水 十分な量〜100
水を除くすべての上記の成分を化合し、そして撹拌しながら60℃まで加熱する。次いで60℃における十分な量の水を激しく撹拌しながら添加してこの成分を乳化し、次いで水を十分な量100g添加する。
【0142】
(実施例17)
(徐放性組成物)
成分 重量範囲(%) 好ましい範囲(%) 最も好ましい
活性成分 50〜95 70〜90 75
微結晶性セルロース
(充填剤) 1〜35 5〜15 10.6
メタクリル酸
コポリマー 1〜35 5〜12.5 10.0
水酸化ナトリウム 0.1〜1.0 0.2〜0.6 0.4
ヒドロキシプロピル
メチルセルロース 0.5〜5.0 1〜3 2.0
ステアリン酸
マグネシウム 0.5〜5.0 1〜3 2.0
本発明の徐放性処方物を以下の通りに調製する。化合物およびpH依存性結合剤ならびに任意の賦形剤を十分に混合する(乾燥混合)。次いでこの乾燥混合される混合物を混合粉末に噴霧される強塩基水溶液の存在下で粒状化する。この粒状体を乾燥させ、スクリーニングし、任意の潤滑剤(例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム)と混合し、そして錠剤に圧縮する。好ましい強塩基水溶液は、水中(任意に25%までの水混和性溶媒(例えば低級アルコール)を含む)におけるアルカリ金属水酸化物の溶液(例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、好ましくは水酸化ナトリウム)である。
【0143】
この得られる錠剤は、識別のために、味を消す目的のために、そして嚥下の容易さの改善のために任意の被膜形成因子でコーティングされ得る。この被膜形成因子は、代表的には錠剤重量の2%と4%との間の範囲の量で存在する。適切な被膜形成因子は当該分野でよく知られており、そしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性メタクリレートコポリマー(メタクリル酸ジメチルアミノエチル/メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチルコポリマー−Eudragit(登録商標)E-Roehm.Pharma)などが挙げられる。これらの被膜形成因子は、任意に着色料、可塑剤および他の補足成分を含み得る。
【0144】
この圧縮される錠剤は、好ましくは8Kp圧縮に耐えるに十分な堅さを有する。この錠剤サイズは、主に錠剤中の化合物の量に依存する。この錠剤は、300mg〜1100mgの化合物遊離塩基を含む。好ましくはこの錠剤は、400mg〜600mg、650mg〜850mgおよび900mg〜1100mgの範囲の量の化合物遊離塩基を含む。
【0145】
溶解速度に影響を与えるために、化合物を含む粉末を湿潤混合する時間を制御する。好ましくはこの合計の粉末混合時間、すなわちこの粉末が水酸化ナトリウム溶液に曝露される時間は、1分〜10分、そして好ましくは2分〜5分の範囲である。粒状化後、この粒子を造粒機から取り出し、そして乾燥のためにおよそ60℃で流動床乾燥器に配置する。
【0146】
(実施例18)
(pGL3ルシフェラーゼアッセイ)
本実施例は、ABCA−1プロモーターの制御下でレポーター遺伝子発現を測定する組換えプラスミドを作製するためのpGL3ルシフェラーゼレポーターベクター系(Promega、Madison、WI)を用いて、本発明の化合物のABCA−1遺伝子発現に対する効果を示す。
【0147】
(レポータープラスミドの構築)
プラスミドpGL3−Basic(Promega、Madison、WI、カタログ番号E1751)を、プロモーターのないルシフェラーゼ遺伝子を含むコントロールプラスミドとして使用した。ABCA−1プロモーターおよびルシフェラーゼ遺伝子を含むレポーター構築物を、ABCA−1遺伝子の5’フランキング領域(hAPR1 5’プロモーター、配列番号3のヌクレオチド1080〜1643番に対応する)からGL3−BasicプラスミドのSacI部位にゲノムフラグメントをクローニングすることによって作製し、プラスミドGL−6aを作製した。次に、プラスミドGL−6aをSpeIおよびAcc65Iで消化した。λサブクローンから切り出されるBsiWI−SpeIフラグメント(配列番号3のヌクレオチド1〜1534番に対応するABCA−1ゲノム配列を表す)を、この消化によって産生される残りのベクター/ABCA−1プロモーターフラグメントに連結した。この得られるプラスミド、pAPR1は、1.75kbのヒトABCA−1プロモーター配列の転写制御下でルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。
【0148】
(レポーター構築物のトランスフェクション):上記のコントロールプラスミドまたはpAPR1プラスミドを、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中に維持されるRAW 264.7細胞のコンフルエントな培養物にトランスフェクトした。12ウェル皿の各々のウェルを、pGL3−Basic、pGL3−PromoterまたはpAPR1 DNA(1μg)、ルシフェラーゼプラスミドDNA(1μg)および12μlのGeneporter試薬(Gene Therapy Systems、San Diego、CA、カタログ番号T201007)のいずれかで5時間トランスフェクトした。さらに、0.1μgのpCMVβプラスミドDNA(Clontech、Palo Alto、CA、カタログ番号6177−1)を、トランスフェクション効率のためのコントロールとして加えた。5時間後、この培養培地をアセチル化LDL(100μg/ml)の存在下または非存在下の無血清DMEM/BSAで置換し、そして24時間インキュベーションした。
【0149】
ハイスループットスクリーニングにおける便宜を付加するために、培養細胞を以下の手順を用いてレポータープラスミドで安定にトランスフェクトし得る。第一に、5×10 RAW 264.7細胞を5時間、60mm皿において、50μlのGeneporterトランスフェクション試薬(Gene Therapy Systems、San Diego、CA)を含む10mlの無血清DMEMにおける9μgのpAPR1プラスミドおよびpCMVスクリプト(Stratagene、LaJolla、CA)でトランスフェクトする。その後、このトランスフェクション培地を完全培地で置換し、そして細胞を37℃で一晩インキュベーションする。続いて、この細胞を別個の皿に1:5〜1:1000の範囲の希釈で移し、そして800μg/mlのG418(Life Technologies、Bethesda、MD)を含む選択培地において20日間インキュベーションする。目に見えるコロニーを選び、拡張し、そして以下に記載されるようにルシフェラーゼ活性についてアッセイする。この方法を用いて、ルシフェラーゼ活性に対して陽性の5つのクローン細胞系をハイスループットアッセイにおける使用について同定した。
【0150】
(ルシフェラーゼアッセイ):トランスフェクション後、各々のウェルにおける細胞を、70μlの1×細胞溶解試薬(Promega、Madison、WI、カタログ番号E3971)において溶解し、1回の凍結融解サイクルに供し、そしてこの溶解物を、12,000gでの5分間の遠心分離によって清浄にした。遠心分離後、100μlのルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、Madison、WI、カタログ番号E1501)を10μlの溶解物に添加した。各々の溶解物のルシフェラーゼ活性を、照度計を用いて光単位として測定した。さらに、各々の溶解物のβガラクトシダーゼ活性を、製造業者の指示書に従ってGalacto−lightキットにおいて供給される化学ルミネセンスアッセイ試薬(Tropix Inc.,Bedford、MA:カタログ番号BL100G)を用いて測定した。各々の溶解物についての正規化されるルシフェラーゼ活性を、ルシフェラーゼ活性値を決定されるβガラクトシダーゼ値で割ることによって決定し、そして相対的光単位として報告した。
【0151】
本発明の化合物は、このアッセイにおいてABCA−1遺伝子発現の増大を実証した。
【0152】
(実施例19)
(mRNAアッセイ)
本発明の化合物によるABCA−1 mRNAレベルの発現の調節を、以下のアッセイにおいて決定した。
【0153】
(定量PCR)
THPの培養物を、DMEM/BSAおよび指示添加剤での置換前に、24時間または48時間、DMEM/10% FBSにおいてほぼコンフルエンスになるまで増殖した。RNAを用いる標準的方法。
【0154】
定量PCRを、GeneAmp 5700 Sequence Detection System(Perkin−Elmer Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて行った。手短に言えば、500ngのDNAse処理mRNAを、2.5μMでランダムヘキサマープライマーを用いて逆転写した。およそ5%のこの反応物を、SYBR green coreキット(PE Applied Biosystems、Foster City、CA、カタログ番号4304886)、ならびにヒトABCA−1プライマー、LF:5’−CCTCTCATTACACAAAAACCAGAC(配列番号11)およびLR:5’−GCTTTCTTTCACTTCTCATCCTG(配列番号12)を用いたPCRによって増幅して、ヒトABCA−1のヌクレオチド7018〜7099番に対応する82bpフラグメントを生じた。PCRサイクル条件は以下の通りであった。95℃、10分間、その後の95℃、15秒間を40サイクル、および60℃、60秒間。各々のサンプルにおけるmRNAを、各々のPCRサイクルの間に作製される二本鎖増幅産物に結合するSYBR greenによって引き起こされる蛍光の増大を検出することによって定量した。すべてのサンプルを三連で流し(run)、そしてプライマー、アクチンF:5’−TCACCCACACTGTGCCATCTACGA(配列番号54)およびアクチンB:5’−CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG(配列番号55)との並行反応において増幅されるβアクチンmRNAに対して正規化した。標準曲線を、同じPCRプレート上のABCA−1およびβアクチンの両方について流した。
【0155】
mRNAレベルの変化をまた、バイエル社からのQuantiGene(登録商標)Expression KitとともにRAW 264.7細胞を用いて決定した。
【0156】
本発明の化合物は、このアッセイにおいてABCA−1 mRNAレベルの発現を調節した。
【0157】
(実施例20)
(脂質流出アッセイ)
本実施例は、細胞膜におけるABCA−1タンパク質の発現の増強が脂質流出に関連することを実証する。
【0158】
細胞表面標識および免疫沈降を使用して、細胞膜におけるABCA−1タンパク質の発現の増大がコレステロール流出の増大に相関するか否かを決定する。細胞表面上のABCA−1の相対量を、膜不浸透性因子であるスルホ−NHS−ビオチンとのインタクトな細胞上の表面タンパク質の架橋、その後の膜可溶化ステップ、ABCA−1抗体との免疫沈降ステップ、SDS−PAGEステップおよびストレプトアビジンを用いた検出ステップによって決定する。
【0159】
(細胞培養):線維芽細胞を、コントロール条件下、およびコレステロール流出を増大することが公知の条件下(Oramら、J.Lip.Res.、40:1769〜1781(1999))で培養する。コントロール細胞を、DMEM/10% FBSにおいてコンフルエンスになるまで増殖させ、次いで添加剤を加えずにDMEM/BSAにおいて18時間インキュベーションする(コントロール)。cAMP処理細胞を、DMEM/10% FBSにおいてコンフルエンスになるまで増殖し、次いで1mM 8−Br−cAMPとともにDMEM/BSAにおいて18時間インキュベーションする(cAMP)。コレステロールロード細胞を、DMEM/10% FBSにおいてコンフルエンスになるまで増殖し、次いで30μg/ml コレステロールとともにDMEM/BSAにおいて48時間、そして添加剤を加えずに18時間インキュベーションする(コレステロール)。cAMPで処理されるコレステロールロード細胞を、DMEM/10% FBSにおいてコンフルエンスになるまで増殖し、次いで30μg/ml コレステロールとともにDMEM/BSAにおいて48時間、そして1mM 8−Br−cAMPとともに18時間インキュベーションする(コレステロール+cAMP)。
【0160】
(細胞表面標識):細胞膜のABCA−1の選択的標識について、細胞を30分間0℃で、1mg/ml スルホ−NHS−ビオチン(Pierce、Rockford、IL、カタログ番号21217)を含むPBSとともにインキュベーションして、細胞表面タンパク質をビオチン化する(Walkerら、Biochemistry、50:14009〜14014(1993)を参照のこと)。
【0161】
(免疫沈降):ABCA−1に対するウサギ抗血清を、ヒトABCA−1のC末端に位置する推定ペプチドKNQTVVDAVLTSFLQDEKVKESに対応する合成ペプチドに対して惹起する。免疫沈降を、1% Triton X−100(Sigma、St.Louis、MO)ならびにプロテアーゼインヒビターであるロイペプチン(1mM)、ペプスタチン(1mM)およびアプロチニン(1mM)を含むPBSにおいて細胞を可溶化することによって行う。この細胞抽出物を、4℃で一晩、1:200希釈での抗ABCA−1抗血清とともにインキュベーションし、その後5μl プロテインAコート磁気ビーズ(Dynal、Lake Success、NY、カタログ番号1001.01)とともにさらに1時間インキュベーションする。磁石を用いてこの抗体−抗原複合体を沈殿させ、このビーズを1% Triton−X/PBSで2回洗浄(ished)し、そしてこのタンパク質を1% 酢酸で抽出する。
【0162】
(ABCA−1タンパク質の検出):この溶出されるビオチン化タンパク質を、SDS−PAGEに供し(6%ゲル、150V、5時間)、そしてニトロセルロース膜に移す(200mA、18時間)。このニトロセルロースを、300倍に希釈したストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ、カタログ番号RPN1231)とともにプローブ化し、そして売り主のプロトコルに従って増強化学ルミネセンス標識(ECL)(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)によって検出する。細胞内タンパク質の可能なビオチン化について試験するために、免疫沈降後の上清を、細胞内タンパク質β−COPに対するマウスモノクローナル抗体で処理し、そして免疫沈降されるビオチン化β−COPを、ストレプトアビジンブロッティングによってアッセイする。
【0163】
(実施例21)
本発明の化合物が細胞からのコレステロール流出を刺激する能力を、以下のアッセイにおいて決定した。
【0164】
RAW 264.7細胞を、Smithら、J.Biol.Chem.、271:30647〜30655(1996)において記載されるようにコレステロールとともにロードした。手短に言えば、48ウェル皿にプレーティングされるほぼコンフルエントな細胞を、4.5g/L グルコース、0.1g/L ピルビン酸ナトリウムおよび0.584g/Lのグルタミン、10% ウシ胎仔血清、50μg/ml アセチル化低密度リポタンパク質(AcLDL)ならびに0.5μCi/mlの[H]−コレステロールを補充される0.2mlのDMEMにおいてインキュベーションした。18時間後、細胞を1% BSAを含むPBSで2回洗浄し、そしてDMEM/1% BSAにおいて一晩(16〜18時間)インキュベーションして、コレステロールプールの平衡を見込んだ。次いでこの細胞を、PBS/BSAで4回リンスし、そしてDMEM/BSAとともに37℃で1時間インキュベーションした。アルブミン単独(コントロール)、アルブミンおよびHDL(40μgタンパク質/ml)またはアルブミンおよびアポA−I(20μg/ml、Biodesign International、Kennebunk、ME)のいずれかを含む流出培地(DMEM/BSA)を添加し、そしてこの細胞を、4時間、24時間または48時間インキュベーションした。
【0165】
コレステロール流出を、培地の除去、細胞層の洗浄および細胞の抽出によって測定した。細胞放射能を、0.5mlの0.2M NaOHにおける可溶化後のシンチレーション計数(Smithら、J.Biol.Chem.、271:30647〜30655(1996))またはFrancisら、J.Clin.Invest.、96、78〜87(1995)に記載されるようなヘキサン:イソプロパノール(3:2 v/v)における抽出によって測定した。この培地に残存する標識されるリン脂質をまた、液体シンチレーション計数によって決定した。コレステロールの流出を、培地におけるトリチウム化脂質計数を細胞および培地から回収される合計のトリチウム化脂質計数で割ったパーセンテージ(cpm培地/cpm(培地+溶解物)×100)として表した。
【0166】
コレステロール流出をまた、THP細胞において決定した。THP細胞の複製培養物を、記載される方法(Kritharidesら、Thrombo Vasc Biol 18、1589〜1599、1998を参照のこと)を用いて48ウェル皿においてプレーティングした。細胞を、1ウェル当たり500,000細胞の初期密度でプレーティングした。PMAの添加後(100ng/ml)、この培養物を37℃で48時間インキュベーションした。この培地を吸引し、そして2mg/mlのFAFA、50μg/mlのアセチル化LDLおよび3μCi/mlの放射能標識されるコレステロールを含むRPMI−1640培地で置換した。一晩のインキュベーション後、この培地を吸引し、このウェルを広範にPBSで洗浄した。2mg/mlのFAFAを含む0.2mlのRPMI−1640培地を、各々のウェルに添加した。目的の化合物を、10μMの最終濃度に添加した。4時間後、アポリポタンパク質A1(10μg/ml)をいくつかのウェルに添加し、そしてこの培養物を24時間インキュベーションした。この培地を採取し、そして放射能についてアッセイした。細胞層における放射能の量を、0.2mlの2M NaOHの添加および溶解細胞の計数によって確認した。パーセントコレステロール流出を上記のように計算した。
【0167】
本発明の化合物は、このアッセイにおいてコレステロール流出を刺激した。
【0168】
(実施例22)
ABCA−1発現とHDLレベルとの間の関係を、以下のインビボアッセイにおいて決定する。
【0169】
インビトロでABCA−1発現を増大し、そして薬理学的に活性かつインビボで利用可能な候補化合物を、腹腔内注入または10% Cremaphore(BASF)/生理食塩水における栄養のいずれかによって、7週齢の雄性C57B1/6マウスにあらかじめ決定される投薬量で毎日投与する。最終注入の3〜4時間後、抵抗性の(fasted)EDTA−血漿および適切な組織を分析のために収集する。血漿HDLを、リンタングステン酸沈殿(Sigma)によって単離し、そしてHDLコレステロール、合計のコレステロールおよびトリアシルグリセロールを、キット(Roche Diagnostics)を用いて酵素的に決定する。HDLコレステロールに対する変化およびサイズを、連続して接続される2つのSuperose 6/30カラムを用いたFPLCによって、酵素的に検出される溶出画分におけるコレステロールを用いてさらに分析する。ABCA−1遺伝子発現におけるインビボ変化を、候補組織から単離されるRNAのRT−PCR分析によってさらに確認する。
【0170】
ABCA−1発現とHDLレベルとの間の相関を、このアッセイにおいて観察した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCA−1発現を増大し得る因子を用いた治療によって緩和され得る哺乳動物における疾患状態を治療する方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の以下の式Iで表された化合物を投与するステップを包含する方法。
【化1】

(式中、Rは水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであり、
Aは共有結合、C(X)−または−C(X)−NH−であり、ここでXは酸素または硫黄であり、
、R、RおよびRは独立して水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルコキシ、ハロまたは任意に置換されるシクロアルキルであり、
Xは酸素、硫黄、−C(X)−または−NH−であり、
Yは、Xが酸素または硫黄である場合には、任意に置換される低級アルキレンであるか、あるいは、
Yは、Xが−C(X)−である場合には、−NH−であるか、あるいは、
Yは、Xが−NH−である場合には、−C(X)−であり、
ただしXおよびYは両方−NH−であることができず、
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであるか、あるいは、
およびR、またはRおよびR、またはRおよびR、またはRおよびR10はそれらに結合する炭素原子と合わせて5員または6員のヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたは芳香族炭素環状部分もしくは非芳香族炭素環状部分を形成し、これらのすべては任意にハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはシクロアルキルによって置換される。)
【請求項2】
Xが酸素であることと、Yがメチレンであることとを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
およびRがそれらに結合する炭素原子と合わせて6員のヘテロシクリルを形成することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヘテロシクリルが任意に置換される1,3ジオキサンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがクロロであること、すなわち2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,2−ジオキシン−8−イル)メトキシ]−フェニルアミンを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Aが−C(X)−であることと、Rが任意に置換されるアルキルであることと、を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであることと、Rがクロロであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が酸素であることと、Rがメチルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
が酸素であることと、Rがジメチルプロピルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}−2,2−ジメチルプロパンアミドを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
Xが硫黄であることと、Yがメチレンであることとを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
およびRがそれらに結合する炭素原子と合わせて6員のヘテロシクリルを形成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヘテロシクリルが任意に置換される1,3ジオキサンであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがクロロであること、すなわち2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]−フェニルアミンを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがフルオロであること、すなわち2−[(6−フルオロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]−フェニルアミンを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
Aが−C(X)であることと、Rが任意に置換されるアルキルであることと、を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
が酸素であることと、Rがメチルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
が酸素であることと、Rがジメチルプロピルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル−2,2−ジメチルプロパンアミドを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであることと、Rがクロロであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
Xがカルボニルであることと、Yが−NH−であることとを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることとを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項22】
、R、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項23】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせてナフチル−1−イルを形成すること、すなわち2アミノフェニル−N−ナフチルカルボキサミドを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて1,2,3,4−テトラヒドロナフチル(tetrahdronaphthyl)−5−イルを形成すること、すなわち2(2アミノフェニル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフチル)カルボキサミドを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて5−キノリルを形成すること、すなわち(2アミノフェニル)−N−(5−キノリル)カルボキサミドを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて5−イソキノリルを形成すること、すなわち(2アミノフェニル)−N−(5−イソキノリル)カルボキサミドを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
Aが−C(X)−であることと、Rが置換されるアルキルであることとを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−[2−[(N−ナフチルカルバモイル)フェニル]アセトアミドを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルプロパン−2−オールであること、すなわち2(2−アミノフェニル)−N−{4−[2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル}カルボキサミドを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
HDLコレステロールの血清レベルを上昇させる化合物を用いて有用に治療され得る哺乳動物の疾患または状態(状況)の治療についての方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与するステップを包含する方法。
【請求項32】
前記疾患状態または状況が冠状動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
低HDLコレステロールレベルに関連する哺乳動物の疾患または状況の治療についての方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与するステップを包含する方法。
【請求項34】
前記疾患状態または状況が冠状動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
細胞からのコレステロール流出を促進する化合物を用いて有用に治療され得る哺乳動物の疾患または状態(状況)の治療についての方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物を投与するステップを包含する方法。
【請求項36】
前記疾患状態または状況が冠状動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
HDLコレステロールの血清レベルを上昇させる化合物およびLDLコレステロールを低下させる化合物との組み合わせを用いて有用に治療され得る哺乳動物の冠状動脈疾患に関連する状態の治療についての方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に治療有効用量の式Iの化合物およびLDLコレステロールを低下させる化合物を投与するステップを包含する方法。
【請求項38】
前記LDLコレステロール低下化合物が、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ニコチン酸、メビノリン、メバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、コレスチラミン(cholestyrine)、コレスチポール、およびプロブコールから選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
以下で表された式Iの化合物。
【化2】

(式中、Rは水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであり、
Aは共有結合、C(X)−または−C(X)−NH−であり、ここでXは酸素または硫黄であり、
、R、RおよびRは独立して水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルコキシ、ハロまたは任意に置換されるシクロアルキルであり、
Xは酸素、硫黄、−C(X)−または−NH−であり、
Yは、Xが酸素または硫黄である場合には、任意に置換される低級アルキレンであるか、あるいは、
Yは、Xが−C(X)−である場合には、−NH−であるか、あるいは、
Yは、Xが−NH−である場合には、−C(X)−であり、
ただしXおよびYは両方−NH−であることができず、
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、任意に置換されるシクロアルキル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリールまたは任意に置換されるヘテロアリールであるか、あるいは、
およびR、またはRおよびR、またはRおよびR、またはRおよびR10はそれらに結合する炭素原子と合わせて5員または6員のヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたは芳香族炭素環状部分もしくは非芳香族炭素環状部分を形成し、これらのすべては任意にハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはシクロアルキルによって置換される。)
【請求項40】
Xが酸素であることと、Yがメチレンであることとを特徴とする請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
およびRがそれらに結合する炭素原子と合わせて6員のヘテロシクリルを形成することを特徴とする請求項42に記載の化合物。
【請求項43】
ヘテロシクリルが任意に置換される1,3ジオキサンであることを特徴とする請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがクロロであること、すなわち2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,2−ジオキシン−8−イル)メトキシ]−フェニルアミンを特徴とする請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
Aが−C(X)−であることと、Rが任意に置換されるアルキルであることとを特徴とする請求項43に記載の化合物。
【請求項46】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであることと、Rがクロロであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
が酸素であることと、Rがメチルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項45に記載の化合物。
【請求項48】
が酸素であることと、Rがジメチルプロピルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メトキシ]フェニル}−2,2−ジメチルプロパンアミドを特徴とする請求項45に記載の化合物。
【請求項49】
Xが硫黄であることと、Yがメチレンであることとを特徴とする請求項39に記載の化合物。
【請求項50】
、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
およびRがそれらに結合する炭素原子と合わせて6員のヘテロシクリルを形成することを特徴とする請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
ヘテロシクリルが任意に置換される1,3ジオキサンであることを特徴とする請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがクロロであること、すなわち2−[(6−クロロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]−フェニルアミンを特徴とする請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることと、Rがフルオロであること、すなわち2−[(6−フルオロ−2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]−フェニルアミンを特徴とする請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
Aが−C(X)であることと、Rが任意に置換されるアルキルであることと、を特徴とする請求項52に記載の化合物。
【請求項56】
が酸素であることと、Rがメチルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
が酸素であることと、Rがジメチルプロピルであることと、Rがクロロであること、すなわちN−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル−2,2−ジメチルプロパンアミドを特徴とする請求項55に記載の化合物。
【請求項58】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであることと、Rがクロロであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−{2−[6−クロロ(2H,4H−ベンゾ[e]1,3−ジオキシン−8−イル)メチルチオ]フェニル}アセトアミドを特徴とする請求項55に記載の化合物。
【請求項59】
Xがカルボニルであることと、Yが−NH−であることとを特徴とする請求項39に記載の化合物。
【請求項60】
Aが共有結合であることと、Rが水素であることとを特徴とする請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
、R、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせてナフチル−1−イルを形成すること、すなわち2アミノフェニル−N−ナフチルカルボキサミドを特徴とする請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて1,2,3,4−テトラヒドロナフチル(tetrahdronaphthyl)−5−イルを形成すること、すなわち2(2アミノフェニル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフチル)カルボキサミドを特徴とする請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて5−キノリルを形成すること、すなわち(2アミノフェニル)−N−(5−キノリル)カルボキサミドを特徴とする請求項62に記載の化合物。
【請求項65】
およびRがそれらに結合するフェニル基と合わせて5−イソキノリルを形成すること、すなわち(2アミノフェニル)−N−(5−イソキノリル)カルボキサミドを特徴とする請求項62に記載の化合物。
【請求項66】
Aが−C(X)−であることと、Rが置換されるアルキルであることとを特徴とする請求項59に記載の化合物。
【請求項67】
、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であることを特徴とする請求項66に記載の化合物。
【請求項68】
が酸素であることと、Rがトリクロロメチルであること、すなわち2,2,2−トリクロロ−N−[2−[(N−ナフチルカルバモイル)フェニル]アセトアミドを特徴とする請求項67に記載の化合物。
【請求項69】
が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルプロパン−2−オールであること、すなわち2(2−アミノフェニル)−N−{4−[2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル}カルボキサミドを特徴とする請求項68に記載の化合物。
【請求項70】
少なくとも1つの医薬上許容可能な賦形剤および治療有効量の請求項39に記載の化合物を含む医薬組成物。

【公開番号】特開2009−149602(P2009−149602A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−263387(P2008−263387)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【分割の表示】特願2002−547919(P2002−547919)の分割
【原出願日】平成13年12月6日(2001.12.6)
【出願人】(595145500)スィーヴィー セラピューティクス インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CV THERAPEUTICS, INC.
【Fターム(参考)】