説明

AHASL1の複数の除草剤耐性対立遺伝子を有する除草剤耐性ヒマワリ植物及び使用方法

ヒマワリアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット1(AHASL1)遺伝子の2種の異なる除草剤耐性対立遺伝子を含む除草剤耐性ヒマワリ植物を記載する。これらのヒマワリ植物の作製方法及びこれらのヒマワリ植物の近傍で生育する雑草その他の好ましくない植生を防除する方法を開示する。このような方法は、アセトヒドロキシ酸合成酵素阻害性除草剤の使用を含む。ヒマワリ植物に付いて生育する寄生性雑草を防除する方法も記載する。また、AHASL1遺伝子についてヒマワリ植物の遺伝子型を決定する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業分野、特にヒマワリのアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット1(AHASL1)遺伝子の2種の異なる除草剤耐性対立遺伝子を含む除草剤耐性ヒマワリ植物に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS;EC 4.1.3.18、アセト乳酸合成酵素(ALS)としても知られる)は、分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン及びイソロイシンの生化学合成を触媒する最初の酵素である(Singh(1999)「バリン、ロイシン及びイソロイシンの生合成」、Plant Amino Acids, Singh, B.K., ed., Marcel Dekker Inc. New York, New York, pp. 227-247)。AHASは、スルホニル尿素(Tan et al. (2005) Pest Manag. Sci. 61:246-57; Mallory-Smith and Retzinger (2003) Weed Technology 17:620-626; LaRossa and Falco (1984) Trends Biotechnol. 2:158-161)、イミダゾリノン(Shaner et al. (1984) Plant Physiol. 76:545-546)、トリアゾロピリミジン(Subramanian and Gerwick (1989)「トリアゾロピリミジンによるアセト乳酸合成酵素の阻害」、Biocatalysis in Agricultural Biotechnology, Whitaker, J.R. and Sonnet, P.E.. eds., ACS Symposium Series, American Chemical Society, Washington, D.C., pp. 277-288)、及びピリミジニルオキシベンゾエート(Subramanian et al. (1990) Plant Physiol. 94: 239-244)を含む、4種の構造的及び化学的に多様な除草剤ファミリーの作用部位である。イミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤は、それらの効能として非常に低散布率で効き、動物に対して比較的無毒性であるため、現代の農業で広く用いられている。AHAS活性を抑制することによって、これらの除草剤ファミリーは、多数の雑草種を含む感受性植物がさらに生育し成長するのを阻害する。市販のイミダゾリノン除草剤の幾つかの例として、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン)及びARSENAL(登録商標)(イマザピル)が挙げられる。スルホニル尿素除草剤の例として、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、ピリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン(amidosulfiuon)、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル及びハロスルフロンが挙げられる。
【0003】
イミダゾリノン除草剤は、その高い効能と低い毒性のため、広域の植生の上部にわたって噴霧することにより散布するのが好ましい。広域の植生の上部にわたって除草剤を噴霧することができれば、植物の定着及び維持に関連する費用が低減し、またこのような化学品を使用する前の敷地造成の必要性が低下する。所望する寛容性種の上部にわたって噴霧すると、競合種が存在しなくなるため、その所望する種の最大の生産可能性を達成することができるようになる。しかし、このような噴霧法を使用できるかどうかは、噴霧領域における所望の植生のイミダゾリノン耐性種の存在に依存する。
【0004】
主な農作物の中では、ダイズ等の幾つかのマメ科植物種は、除草剤化合物を迅速に代謝することができるため、自然にイミダゾリノン除草剤耐性となる(Shaner and Robinson (1985) Weed Sci. 33:469-471)。トウモロコシ(Newhouse et al. (1992) Plant Physiol. 100:882-886(非特許文献9))やイネ(Barrett et al. (1989) Crop Safeners for Herbicides, Academic Press, New York, pp. 195-220)等の他の作物は、イミダゾリノン除草剤にやや感受性がある。イミダゾリノン除草剤に対する感受性の差は、特定の除草剤の化学的な性質や、各植物において毒性から非毒性の形態になる化合物の代謝の差に依存している(Shaner et al. (1984) Plant Physiol. 76:545-546; Brown et al., (1987) Pestic. Biochem. Physiol. 27:24-29)。生体吸収や転位等の他の植物生理学的な差も、感受性に重要な役割を果たしている(Shaner and Robinson (1985) Weed Sci. 33:469-471)。
【0005】
イミダゾリノン、スルホニル尿素、トリアゾロピリミジン及びピリミジニルオキシベンゾエートに耐性の植物は、トウモロコシ、シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ(すなわちキャノーラ)、ダイズ、タバコ、サトウダイコン(ベータ・ブルガリス)及びイネにおいて、種子、小胞子、花粉及びカルスの突然変異誘発を用いてうまく生産されている(Sebastian et al. (1989) Crop Sci. 29:1403-1408; Swanson et al., 1989 Theor. Appl. Genet. 78:525-530; Newhouse et al. (1991) Theor. Appl. Genet. 83:65-70; Sathasivan et al. (1991) Plant Physiol. 97:1044-1050; Mourand et al. (1993) J. Heredity 84:91-96; Wright and Penner (1998) Theor. Appl. Genet. 96:612-620; 米国特許第 5,545,822号)。いずれの場合にも、単一の部分的に優性な核内遺伝子により耐性が生じていた。4種のイミダゾリノン耐性コムギ植物はまた、コムギ(Triticum aestivum L. cv. Fidel)の種子の突然変異誘発を受けて、以前に単離された(Newhouse et al. (1992) Plant Physiol. 100:882-886)。遺伝研究によって、単一の部分的に優性な遺伝子によって耐性が生じることが確認された。対立遺伝子の研究に基づき、この著者らは、これら四種の同定された系統の突然変異が、同じ遺伝子座に位置していると結論づけた。このFidel品種の耐性遺伝子の一つは、FS-4と命名された(Newhouse et al. (1992) Plant Physiol. 100:882-886)。
【0006】
イミダゾリノン除草剤及び/又はスルホニル尿素除草剤に耐性であることが見出された自然発生する植物集団は、除草剤耐性のヒマワリ育種系統を開発するのに用いられている。最近、スルホニル尿素除草剤に耐性のある2種のヒマワリ系統が、除草剤耐性の形質をもたらすものとして、通常のヒマワリ(ヘリアンタス・アヌウス(Helianthus annuus))の野生集団由来の生殖質を用いて開発された(Miller and Al-Khatib (2004) Crop Sci. 44: 1037-1038)。以前に、White et al.((2002) Weed Sci. 50:432-437))は、米国サウスダコタの通常のヒマワリ野生集団由来の個体が、イミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤に交差耐性であったことを報告した。この集団由来の個体がもつアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット(AHASL)遺伝子のコード領域の一部分を分析することによって、野生型シロイヌナズナAHASLタンパク質中のAla205に対応するAlaからValへのアミノ酸置換を生じる点突然変異がヒマワリAHASLタンパク質において起こっていることが明らかになった(White et al. (2003) Weed Sci. 51:845-853)。以前に、Al-KhatibとMiller((2000) Crop Sci. 40:869)は、4種のイミダゾリノン耐性ヒマワリ育種系統の生産について報告した。
【0007】
AHAS-阻害剤複合体の三次元コンフォメーションのコンピュータモデリングによって、提唱された阻害剤結合ポケット中の幾つかのアミノ酸が、突然変異の誘発によりイミダゾリノンに対する選択的耐性を付与しそうである部位として予測された(Ott et al (1996) J. Mol. Biol 263:359-368)。AHAS酵素の提唱された結合部位中で、これらの論理的にデザインした突然変異の幾つかをもつよう生産されたタバコ植物では、実際、ある1種の除草剤クラスに特異的な耐性を示した(Ott et al. (1996) J. Mol. Biol. 263:359-368)。
【0008】
イミダゾリノン除草剤耐性植物は、多くの特許でも報告されている。米国特許第4,761,373号、第5,331,107号、第5,304,732号、第6,211,438号、第6,211,439号及び第6,222,100号には一般的に、改変したAHAS遺伝子を用いて除草剤耐性を植物に誘発することが記載されており、特に、特定のイミダゾリノン耐性トウモロコシ系統が開示されている。米国特許第5,013,659号には、一箇所以上の保存領域中において少なくとも1個のアミノ酸の突然変異に起因して除草剤耐性を示す植物が開示されている。当該明細書に記載の突然変異は、イミダゾリノン及びスルホニル尿素に対する交差耐性、あるいはスルホニル尿素に特異的な耐性のいずれかをコードしているが、イミダゾリノン特異的な耐性については記載されていない。米国特許第5,731,180号及び米国特許第5,767,361号には、イミダゾリノン特異的な耐性を生じる、野生型単子葉植物のAHASアミノ酸配列において単一アミノ酸置換を有する単離された遺伝子についての考察がなされている。また、AHASを干渉する除草剤に耐性を示すイネ植物が、突然変異育種によって、及びさらに口培養によって生産されるイネ植物のプールから除草剤耐性植物を選択することによって、開発されている。米国特許第5,545,822号、第5,736,629号、第5,773,703号、第5,773,704号、第5,952,553号及び第6,274,796号を参照のこと。
【0009】
研究されている他の全ての生物のように、植物において、AHAS酵素は、2つのサブユニット:大サブユニット(触媒作用)と小サブユニット(調節作用)からなる(Duggleby and Pang (2000) J. Biochem. Mol. Biol. 33: 1-36)。AHAS大サブユニット(本明細書ではAHASLと表すこともある)は、シロイヌナズナやテンサイの場合のように単一の遺伝子でコードされていることもあれば、トウモロコシ、キャノーラや綿のように複数の遺伝子ファミリーのメンバーでコードされていることもある。大サブユニット中の特定の単一ヌクレオチド置換は、この酵素に1種以上の除草剤に一定の非感受性を付与する(Chang and Duggleby (1998) Biochem J. 333:765-777)。
【0010】
例えば、パンコムギであるトリチクム・アエスチブムL(Triticum aestivum L.)は、3種の同祖のアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット遺伝子を含む。各遺伝子は、除草剤応答、及びそれら3種の各遺伝子の突然変異体からの生化学的なデータに基き、顕著な発現を示している(Ascenzi et al. (2003) International Society of Plant Molecular Biologists Congress, Barcelona, Spain, Ref. No. S10-17)。3種の全ての遺伝子のコード配列は、ヌクレオチドレベルで高い相同性を共有する(国際公開第03/014357号)。コムギ(Triticum aestivum)の幾つかの品種からAHASL遺伝子を配列決定したところ、IMI寛容性(イミダゾリノン寛容性)系統の大半で、除草剤寛容性の分子基盤が突然変異S653(At)Nであることが見出され、これはシロイヌナズナのアミノ酸653位のセリンと同じ位置で、セリンからアスパラギンへの置換が生じたことを示している(国際公開第03/01436号;国際公開第03/014357号)。この突然変異は、AHASLタンパク質をコードするDNA配列における一塩基多型(SNP)によるものである。
【0011】
複数のAHASL遺伝子は、双子葉類植物種でも生じることが知られている。最近、Kolkman等((2004) Theor. Appl. Genet. 109: 1147-1159)は、除草剤耐性でかつ野生型のヒマワリ(ヘリアンツス・アヌウスL(Helianthus annuus L.))の遺伝子型由来である3種のAHASL遺伝子(AHASL1、AHASL2及びAHASL3)の同定、クローニング及び配列決定について報告した。Kolkman等は、除草剤耐性がAHASL1タンパク質中のPro197Leu(シロイヌナズナAHASLアミノ酸の位置命名法を用いる)置換あるいはAla205Val置換のいずれかによるものであること、またこれらの各置換によって、イミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤の両方に対して耐性を与えることを報告した。
【0012】
イミダゾリノン除草剤は高い効能をもち毒性が低いため、農業用途に好ましい。しかし、特定の作物生産系でイミダゾリノン除草剤を使用できるかどうかは、目的とする作物植物のイミダゾリノン耐性品種を入手できるかによる。このようなイミダゾリノン耐性品種を生産するには、植物育種家はイミダゾリノン耐性形質をもつ育成系統を開発する必要がある。従って、イミダゾリノン耐性をもつ作物植物の育成系統や品種がさらに必要となるだけでなく、イミダゾリノン耐性をもつ育成系統や品種の生産及び使用のための方法及び組成物も必要となる。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ヒマワリアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット1(AHASL1)遺伝子の2種の異なる除草剤耐性対立遺伝子を含む、新規な除草剤耐性ヒマワリ植物を提供する。特に、本発明のヒマワリ植物は、野生型ヒマワリ植物と比較して、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)阻害性除草剤に対して増加した耐性を有する。本発明の除草剤耐性ヒマワリ植物は、第一のAHASL1対立遺伝子及び第二のAHASL1対立遺伝子を含み、ここで、その第一及び第二のAHASL1対立遺伝子は、第一及び第二の除草剤耐性ヒマワリAHASL1タンパク質をそれぞれコードしている。その第一AHASL1対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。その第二AHASL1対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換又はP197Lアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。また、第一及び第二のAHASL1対立遺伝子を含む、ヒマワリ植物の部分、組織、細胞及び種子も提供する。
【0014】
本発明はさらに、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤に対する耐性を含む雑種ヒマワリ植物を生産する方法を提供する。この方法は、第一のヒマワリ植物と第二のヒマワリ植物とを他家受粉させ、雑種ヒマワリ種子を生産することを含み、その種子を播種し、雑種ヒマワリ植物、特にF1雑種ヒマワリ植物に成長させることができる。その第一ヒマワリ植物は、そのゲノム中に、AHASL1遺伝子の少なくとも1コピーの第一対立遺伝子を含み、またその第二ヒマワリ植物は、そのゲノム中に、AHASL1遺伝子の少なくとも1コピーの第二対立遺伝子を含む。好ましくは、第一ヒマワリ植物は、第一対立遺伝子についてホモ接合型であり、第二ヒマワリ植物は、第二対立遺伝子についてホモ接合型である。第一対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。第二対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換又はP197Lアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。
【0015】
本発明はさらに、本発明のヒマワリ植物の近傍における雑草又は好ましくない植生を防除する方法を提供する。方法の一つは、有効量のAHAS阻害性除草剤、特にイミダゾリノン除草剤又はスルホニル尿素除草剤を、雑草及びヒマワリ植物に散布することを含む。その他の方法は、播種前及び/又は発芽後の本発明のヒマワリ種子に、有効量のAHAS阻害性除草剤、特にイミダゾリノン除草剤又はスルホニル尿素除草剤を接触させることを含む。本発明はさらに、有効量のAHAS阻害性除草剤を処理した本発明のヒマワリ種子を提供する。これらの方法で使用するためのヒマワリの植物及び種子は、それらのゲノム中に、第一のAHASL1対立遺伝子及び第二のAHASL1対立遺伝子を含む。その第一AHASL1対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。その第二対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換又はP197Lアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。
【0016】
本発明はさらに、ヒマワリ植物に感染する、ハマウツボとしても知られる、寄生性の雑草、オロバンケ・クマナ(Orobanche cumana)及びオロバンケ・ケルヌア(Orobanche cernua)を防除する方法を提供する。この方法は、有効量のイミダゾリノン除草剤を、雑草や、本発明の除草剤耐性ヒマワリ植物、特に2個のA122T対立遺伝子を含むヒマワリ植物又は1個のAHASL1 A122T対立遺伝子及び1個のA205V AHASL1対立遺伝子を含むヒマワリ植物に散布することを含む。
【0017】
本発明は、個々のヒマワリにおいてAHASL1遺伝子の対立遺伝子を同定する診断方法を提供する。このような診断方法は、ヒマワリAHASL1遺伝子の特定領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を伴い、これは、例えばAHASL1遺伝子における突然変異の部位又はその近傍で、ヒマワリAHASL1遺伝子内の特定部位にアニールするよう設計したプライマーを用いる。さらに、これらの方法で用いるプライマー及びこの方法を行なうためのキットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、突然変異事象A122T及びA205Vについてのホモ接合体及びヘテロ接合遺伝子型A205+A122Tにおける、処理後14日の草丈に対するイマザピル葉面散布の効果の図示である。平均長(未処理のプロットに対する%)は記号によって表され、エラーバーは平均の標準偏差を表す。
【図2】図2は、突然変異事象A122T及びA205Vについてのホモ接合体及びヘテロ接合遺伝子型A205+A122Tにおける、処理後14日の植物毒性指数(PI)に対するイマザピル葉面散布の効果の図示である。平均のPIは記号によって表され、エラーバーは平均の標準偏差を表す。
【図3】図3は、突然変異事象A122T及びA205Vについてのホモ接合体及びヘテロ接合遺伝子型A205+A122Tにおける、処理後14日のバイオマス蓄積に対するイマザピル葉面散布の効果の図示である。平均の乾燥バイオマス(未処理のプロットに対する%)は記号によって表され、エラーバーは平均の標準偏差を表す。
【図4】図4は、プライマーp-AHAS18/pAHAS-19を用いたPCR増幅反応産物のアガロースゲル電気泳動後の写真図である。レーン1:GM40(A122T突然変異)、レーン2:L1(A205V突然変異)、レーン3及び4:H3、レーン5及び6:H4、レーン7及び8:H1、レーン9及び10:L2。
【図5】図5は、PCR増幅産物をBmgB Iで制限酵素消化した産物のアガロースゲル電気泳動後の写真図である。Lane M:分子量マーカー、レーン1:BTK47(野生型)、レーン2:GM40(A122T)、レーン3:cmsBTK47 x GM40交配種由来のF1植物、レーン4:cmsGM40(A122T)。
【図6】図6は、p-AHAS NIDF/AHAS 122 TMUの組み合わせを用いて得られたPCR増幅産物の写真図である。レーン1:分子量マーカー(25bpマーカー)、レーン2:分子量マーカー(100bpマーカー)、レーン3:122ホモ接合型個体、レーン4:205ホモ接合型個体、レーン5:197ホモ接合型個体、レーン6:WT(ハプロタイプ1)、レーン7:122/WT個体、レーン8:122/205個体、レーン9:122/197個体、レーン10:水(ネガティブコントロール)、レーン11:分子量マーカー(25bpマーカー)、レーン12:分子量マーカー(100bpマーカー)。
【図7】図7は、p-AHAS NIDF/AHAS 122 TWTの組み合わせを用いて得られたPCR増幅産物の写真図である。レーン1:分子量マーカー(25bpマーカー)、レーン2:分子量マーカー(100bpマーカー)、レーン3:122ホモ接合型個体、レーン4:205ホモ接合型個体、レーン5:197ホモ接合型個体、レーン6:WT(ハプロタイプ1)、レーン7:122/WT個体、レーン8:122/205個体、レーン9:122/197個体、レーン10:水(ネガティブコントロール)、レーン11:分子量マーカー(25bpマーカー)、レーン12:分子量マーカー(100bpマーカー)。
【図8】図8は、各ハプロタイプ(Hap)のヒマワリゲノムDNAをプライマー対p-AHAS NIDF/AHAS122TWT又はプライマー対p-AHAS NIDF/AHAS 122 TMUを用いて増幅した場合の、ヒマワリAHASL1ハプロタイプのヌクレオチド配列における差を示した配列アライメントである。プライマーの位置は矢印で示す。AHASL1ヌクレオチド配列中の(推定輸送ペプチドにおけるpoly-Thr領域をコードする)(ACC)nリピート及びINDELをコードするヌクレオチド配列の位置は、それぞれ太字及びハイライトで表示する。(ACC)nリピート及びINDELは、AHASL1の輸送ペプチドをコードするAHASL1ヌクレオチド配列部分に対応すると考えられている。A122T一塩基多型(SNP)の位置は矢頭(黒三角)で示す。配列の最後の数字は、p-AHAS NIDF/AHAS122TWT (Hap1-5)あるいはp-AHAS NIDF/AHAS 122 TMU (Hap6)のいずれかのプライマー対で増幅した場合に予想される各ハプロタイプの断片サイズを示している。
【図9】図9は、AHASL1 A122T対立遺伝子についてヘテロ接合型(HET)、AHASL1 A122T対立遺伝子についてホモ接合型(MUTANT)、又はAHASL1座の野生型(WT)のいずれかである植物のヒマワリ組織由来のDNA抽出物を用いて得られたPCR増幅産物の写真図である。PCR増幅は実施例7に記載されるように行い、そのPCR産物を2%(w/v)アガロースゲルのゲル電気泳動によって分離した。
【図10】図10は、4種の異なるタイプの雑種について、2007年に4箇所の農地で、200g ai/haのイマザモクスの処理後9〜12日(左図)及び25〜30日(右図)で測定した穀物損傷(平均%植物毒性)の図示である。4箇所の場所は、ベルバ、ND、USA;アンジェ、FR;サント、FR;及びフォルモサ、ARである。図10における4種の異なるタイプの雑種は、A122Tホモ接合型(CLHA-Plusホモ)、A122T/A205(CLHA-Plus/IMISUNヘテロ)、A122Tヘテロ接合型(CLHA-Plusへテロ)及びA205Vホモ接合型(IMISUNホモ)である。左パネル。
【図11】図11は、イマザモクス散布後のCLHA-Plus突然変異をもつ種々のヒマワリ雑種の穀物損傷の図示である。図11における4種の異なるタイプの雑種は、A122Tホモ接合型(CLHA-Plusホモ)、A122T/A205(CLHA-Plus/IMISUNヘテロ)、A122T ヘテロ接合型(CLHA-Plus/WTへテロ)及びA205Vホモ接合型(IMISUNホモ)である。
【図12】図12は、イマザピル散布後のCLHA-Plus突然変異をもつ種々のヒマワリ雑種の穀物損傷の図示である(CLHA-Plus ホモ接合型 :b=0.20±0.06,P<0.048、CLHA-Plus/IMISUNヘテロ接合型: b: 0.26±0.07,P<0.0019、CLHA-Plus/WT:b:0.55±0.18, P< 0.0109)。図11における4種の異なるタイプの雑種は、A122Tホモ接合型(CLHA-Plusホモ)、A122T/A205 (CLHA-Plus / IMISUN ヘテロ)、A122Tヘテロ接合型(CLHA-Plus / WT ヘテロ)及びA205V ホモ接合型(IMISUNホモ)である。
【図13】図13は、100μMイマザモクス(左図)又は100μMイマザピル(右図)存在下における4種のヒマワリ系統のAHAS酵素活性(未処理の対照に対する百分率として表示)の図示である。
【図14】図14は、増加するレベルのイマザモクスの存在下での5種のヒマワリ系統のAHAS酵素活性(未処理の対照に対する百分率として表示)の図示である。
【0019】
配列表
添付の配列表で列挙される核酸配列及びアミノ酸配列は、標準的なヌクレオチド塩基の省略文字とアミノ酸の三文字コードを用いて示す。核酸配列は、配列の5’末端から始まり3’末端に順方向に(即ち、各行で左から右に)進む標準的な規則に従う。各核酸配列の1本鎖のみを示すが、その相補鎖も表示される鎖を参照することによって含まれるものと理解される。そのアミノ酸配列は、配列のアミノ末端から始まりカルボキシ末端に順方向に(即ち、各行で左から右に)進む標準的な規則に従う。
【0020】
配列番号1は、p-AHAS18のヌクレオチド配列を示す。
【0021】
配列番号2は、p-AHAS19のヌクレオチド配列を示す。
【0022】
配列番号3は、p-AHAS NIDFのヌクレオチド配列を示す。
【0023】
配列番号4は、AHAS 122 TWTのヌクレオチド配列を示す。
【0024】
配列番号5は、AHAS 122 TMUのヌクレオチド配列を示す。
【0025】
配列番号6は、図8に示されるヒマワリハプロタイプ1(Hap1)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0026】
配列番号7は、図8に示されるヒマワリハプロタイプ2(Hap2)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0027】
配列番号8は、図8に示されるヒマワリハプロタイプ3(Hap3)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0028】
配列番号9は、図8に示されるヒマワリハプロタイプ4(Hap4)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0029】
配列番号10は、図8に示されるヒマワリハプロタイプ5(Hap5)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0030】
配列番号11は、図8で示されるヒマワリハプロタイプ6(Hap6)由来のAHASL1部分のヌクレオチド配列を示す。
【0031】
配列番号12は、図8で示されるAHASL1ヌクレオチド配列内のプライマーp-AHAS NIDFの位置に対応するヌクレオチド配列を示す(図8内の上部矢印を参照)。プライマーp-AHAS NIDFは、配列番号12で示されるヌクレオチド配列と相補するヌクレオチド配列にアニールする。
【0032】
配列番号13は、図8で示されるHap1-Hap5のAHASL1ヌクレオチド配列(それぞれ配列番号6〜10)内のプライマーAHAS 122 TWTのアニーリングサイトのヌクレオチド配列を示す(図8中の下部矢印を参照のこと)。
【0033】
配列番号14は、図8で示されるHap6のAHASL1ヌクレオチド配列(配列番号11)内におけるプライマーAHAS 122 TMUのアニーリングサイトのヌクレオチド配列を示す(図8中の下部矢印を参照のこと)。
【0034】
配列番号15は、HA122CFのヌクレオチド配列を示す。
【0035】
配列番号16は、HA122wtのヌクレオチド配列を示す。
【0036】
配列番号17は、HA122mutのヌクレオチド配列を示す。
【0037】
配列番号18は、HA122CRのヌクレオチド配列を示す。
【0038】
配列番号19は、国際公開第2007005581号に記載のヒマワリ系統S4897及びGM40由来のA122Tアミノ酸置換を含む除草剤耐性AHASL1タンパク質をコードする部分長ヌクレオチド配列を示す。配列番号19は国際公開第2007005581号の配列番号1に対応する。
【0039】
配列番号20は、配列番号19で示したヌクレオチド配列によってコードされた除草剤耐性AHASL1タンパク質の部分長アミノ酸配列を示す。配列番号20は、国際公開第2007005581号の配列番号2に対応する。
【0040】
配列番号21は、国際公開第2006024351号に記載のヒマワリ系統MUT28由来のP197Lアミノ酸置換を含む成熟除草剤耐性AHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。配列番号21は、国際公開第2006024351号の配列番号5に対応する。
【0041】
配列番号22は配列番号21で示したヌクレオチド配列によってコードされる成熟除草剤耐性AHASL1タンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号21は、国際公開第2006024351号の配列番号6に対応する。
【0042】
配列番号23は、GenBankアクセッション番号AY541455及び、Kolkman et al.(2004) Theor. Appl. Genet. 109: 1147-1159に記載のヒマワリ(ヘリアンタス・アヌウス(Helianthus annuus))ハプロタイプ5由来のA205Vアミノ酸置換を含む成熟除草剤耐性AHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。配列番号23は、GenBankアクセッション番号AY541455のヌクレオチド配列のヌクレオチド244-1959位に対応する。
【0043】
配列番号24は、配列番号23で示されたヌクレオチド配列によってコードされる成熟除草剤耐性AHASL1タンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号24は、GenBankアクセッション番号AY541455のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のアミノ酸85-652位に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、ゲノム中にヒマワリAHASL1遺伝子の2種の異なる対立遺伝子を含む除草剤耐性ヒマワリ植物に関する。2種の異なる各対立遺伝子は、1個以上のアミノ酸で野生型ヒマワリAHASL1のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。本発明の各AHASL1対立遺伝子は、AHAS阻害性除草剤、特にイミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤に対するヒマワリ植物の増加した耐性又は寛容性を与えることがわかった。本発明はさらに、これらのヒマワリ植物の作製方法、及び本発明のヒマワリ植物の近傍で生育する雑草又は好ましくない植生を防除する方法に関する。
【0045】
本発明は、ヒマワリAHASL1の2種の異なる各除草剤耐性対立遺伝子の単一コピーを含むF1雑種ヒマワリ植物が、商業的に受容可能な程度のAHAS阻害性除草剤に対する耐性を含むという知見に基づいている。従って本発明は、植物育種家に、例えば第一除草剤耐性AHASL1対立遺伝子についてホモ接合型である第一ヒマワリ系統、及び第二除草剤耐性AHASL1対立遺伝子についてホモ接合型である第二ヒマワリ系統を維持させることによる、雑種ヒマワリ植物の生産における使用を提供する。
【0046】
本発明のある実施形態において、この方法は、除草剤寛容性又は除草剤耐性の植物の使用を含む。「除草剤寛容性」又は「除草剤耐性」の植物は、通常の植物又は野生型の植物を標準的に死滅させる、又はその成長を阻害するレベルの少なくとも1種の除草剤に対して、寛容性又は耐性である植物を意図する。本発明の一実施形態において、本発明の除草剤寛容性植物は、除草剤寛容性又は除草剤耐性のAHASLタンパク質を含む。「除草剤寛容性AHASLタンパク質」又は「除草剤耐性AHASLタンパク質」は、このようなAHASLタンパク質が、AHAS活性を干渉することが知られる少なくとも1種の除草剤の存在下、野生型AHASLタンパク質のAHAS活性を阻害することが知られる該除草剤の濃度又はレベルで、野生型AHASLタンパク質のAHAS活性と比較して、より高いAHAS活性を示すものとする。また、このような除草剤寛容性又は除草剤耐性のAHASLタンパク質のAHAS活性は、本明細書で「除草剤寛容性」又は「除草剤耐性」のAHAS活性として表すことができる。
【0047】
本発明では、用語「除草剤寛容性の」及び「除草剤耐性の」を、相互に変換して用いることができ、同等の意味及び同等の範囲を有するものとする。同様に、用語「除草剤寛容性」及び「除草剤耐性」は、相互に変換して用いることができ、同等の意味及び同等の範囲を有するものとする。また同様に、用語「イミダゾリノン耐性の」及び「イミダゾリノン耐性」は、相互に変換して用いることができ、それぞれ用語「イミダゾリノン寛容性の」及び「イミダゾリノン寛容性」と同等の意味及び同等の範囲であるものとする。
【0048】
本発明は、少なくとも1種の除草剤、特にイミダゾリノン除草剤又はスルホニル尿素除草剤に対して増加した耐性又は寛容性を有する植物、植物組織、植物細胞及び宿主細胞を提供する。その除草剤の好ましい量又は濃度は、「有効量」又は「有効濃度」である。「有効量」及び「有効濃度」はそれぞれ、同様の野生型の植物、植物組織、植物細胞又は宿主細胞が死滅するか又はその成長が阻害されるのに十分な量及び濃度であるが、その量によって、本発明の除草剤耐性の植物、植物組織、植物細胞、及び宿主細胞が大幅に死滅しない、又はその成長が阻害されない量及び濃度とする。典型的には、除草剤の有効量又は有効濃度は、対象とする雑草を死滅させる農業生産系で日常的に用いられる量又は濃度である。このような量は、当業者に知られているか、又は当業者が容易に決定することができる。
【0049】
ある実施形態では、本発明は、AHAS阻害性除草剤に対して商業的に受容可能な程度の耐性又は寛容性を含むヒマワリ植物を提供する。本明細書で他に指示がないか、又は文脈から明確でなければ、AHAS阻害性除草剤に対するそのような程度の耐性又は寛容性を含むヒマワリ植物は、有効量又は有効濃度の少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤の散布に対して耐性又は寛容性である。上記のように、除草剤の有効量又は有効濃度は、雑草又は対象とする雑草を死滅させるために農業生産系で日常的に用いられ、このような量が、当業者に知られているか、又は当業者が容易に決定することができる量又は濃度である。
【0050】
「同様の野生型の植物、植物組織、植物細胞又は宿主細胞」はそれぞれ、本明細書に開示される本発明の除草剤耐性の特性及び/又は特定のポリヌクレオチドを欠いている植物、植物組織、植物細胞又は宿主細胞を意味する。従って、用語「野生型」は、植物、植物組織、植物細胞、又はその他の宿主細胞が、そのゲノム中に組換えDNAを含まない、及び/又は本明細書に開示されるものとは異なる除草剤耐性特性を欠いていること意味するのに用いる。
【0051】
本明細書で特に指示がなく用いられる場合、用語「植物」は、あらゆる発生段階の植物を意味するだけでなく、無傷の植物全体に付着可能な又はそれから分離可能な植物のあらゆる部分を意味する。このような植物の部分には、これらに限定されないが、植物の器官、組織及び細胞が含まれる。具体的な植物の部分の例としては、茎、葉、根、花序、花、小花、果実、茎(pedicle)、花柄、雄蕊、葯、柱頭、花柱、子房、花弁、萼片、心皮、根端、根冠、根毛、葉毛、種子毛、花粉粒子、小胞子、子葉、胚軸、上胚軸、木部、師部、柔組織、胚乳、伴細胞、孔辺細胞、及びその他のあらゆる既知の植物の器官、組織及び細胞が含まれる。また、種子は植物であるものとする。
【0052】
一態様では、本発明は、ゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1 A122T突然変異型対立遺伝子及び少なくとも1コピーのAHASL1 A205T突然変異型対立遺伝子を含むヒマワリ植物を提供する。このようなヒマワリ植物は、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤、特にイミダゾリノン除草剤に対する商業的に受容可能な程度の寛容性を含む。このような植物は、農業、特に本明細書に記載のイミダゾリノン除草剤の使用を含む雑草の防除方法において使用される。
【0053】
別の態様では、本発明は、ゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1 A122T突然変異型対立遺伝子及び少なくとも1コピーのAHASL1 P197L突然変異型対立遺伝子を含むヒマワリ植物を提供する。このようなヒマワリ植物は、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤、特にスルホニル尿素除草剤及び/又はイミダゾリノン除草剤に対して商業的に受容可能な程度の寛容性を含む。このような植物は、農業、特に本明細書に記載のイミダゾリノン除草剤及び/又はスルホニル尿素除草剤の使用を含む雑草の防除方法において使用される。
【0054】
本発明は、A122T突然変異を含むAHASL1遺伝子を含むヒマワリ植物の使用を含む。このようなAHASL1遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする。本発明は、A122T突然変異をもつAHASL1遺伝子を含む特定のヒマワリの品種、系統又は植物の使用に依存するものではない。A122T突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むいかなるヒマワリ植物も、本明細書で開示される方法において使用することができる。本発明の一実施形態では、A122T突然変異をもつAHASL1遺伝子は、配列番号19で示されるヌクレオチド配列又は配列番号20で示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0055】
少なくとも1コピーのAHASL1 A122T突然変異型対立遺伝子を含むヒマワリ系統の例として、GM40(国際公開第2007005581号及び2005年7月1日に出願された米国仮特許出願番号第60/695,952号を参照のこと。これらは参照によって本明細書に組み込まれる)が挙げられる。GM40ヒマワリ種子は、American Type Culture Collection(ATCC) (Manassas, VA 20110 USA)の特許寄託当局に2005年5月17日に寄託され、ATCC特許寄託番号PTA-6716に割り当てられた。ヒマワリ系統GM40は、少なくとも30年間、その寄託試料の供給のために最も直近になされた申請がATCCによって受け入れられた後少なくとも5年間、寄託された。また出願人は、その試料の生存能力の表示を提供することを含む、37C.F.R. §§1.801-1.809の全ての要件を満たしている。
【0056】
少なくとも1コピーのAHASL1 A122T突然変異型対立遺伝子を含むヒマワリ系統の別の例は、GM1606である(国際公開第2007005581号を参照のこと)。ヒマワリGM1606の種子は、American Type Culture Collection (ATCC) (Manassas,VA 20110 USA)の特許寄託当局に2006年5月19日に寄託され、ATCC特許寄託番号PTA-7606に割り当てられた。ヒマワリ系統GM1606は、少なくとも30年間、その寄託試料の供給のために最も直近になされた申請がATCCによって受け入れられた後少なくとも5年間、寄託された。さらに出願人は、その試料の生存能力の表示を提供することを含む、37C.F.R.§§1.801-1.809の全ての要件を満たしている。
【0057】
本発明は、A205V突然変異を含むAHASL1遺伝子を含むヒマワリ植物の使用を含む。このようなAHASL1遺伝子は、A205Vアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする。本発明は、A205V突然変異をもつAHASL1遺伝子を含む特定のヒマワリの品種、系統又は植物の使用に依存するものではない。A205V突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むいかなるヒマワリ植物も、本明細書に開示される方法で用いることができる。本発明の一実施形態では、A205V突然変異をもつAHASL1遺伝子は、配列番号23で示されるヌクレオチド配列又は配列番号24で示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0058】
A205V突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むヒマワリ植物は、市販されるヒマワリの生産で広く用いられ、容易に入手することができる。このような商業的に入手可能なヒマワリ植物品種のいずれも、本明細書で開示の方法で用いることができる。このような品種は、様々な営利の種子会社(例えば、Nidera S.A., Buenos Aires, Argentina; Dekalb Genetics Corporation, Dekalb, IL, USA; Mycogen Seeds, Indianapolis, IN, USA; Seeds 2000, Breckenridge, MN, USA; Triumph Seed Company, Ralls, TX, USA)から入手することができ、これらに限定されないが、Paraiso 101CL、Paraiso 102CL、DKF38、-80CL、8H429CL、8H419CL、8H386CL、8H358CL、629CL、630、CL、4682NS/CL、4880NS/CL、Barracuda、Charger、Viper、620CL、650CL及び660CLを含む。また、A205V突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むヒマワリ植物の種子は、National Center for Genetic Resources Preservation (Fort Collins, Colorado)によって維持され、寄託番号PI633749及びPI633750として得ることができる。
【0059】
本発明は、P197L突然変異を含むAHASL1遺伝子を含むヒマワリ植物の使用を含む。このようなAHASL1遺伝子は、P197Lアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする。本発明は、P197L突然変異をもつAHASL1遺伝子を含む特定のヒマワリの品種、系統又は植物の使用に依存するものではない。P197L突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むいかなるヒマワリ植物も、本明細書で開示の方法で用いることができる。P197L突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含むヒマワリ植物は、国際公開第2006024351号及び国際出願日が2005年7月29日の米国国内段階特許出願番号11/659,007号に開示されている(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。本発明の一実施形態では、P197L突然変異をもつAHASL1遺伝子は、配列番号21で示されるヌクレオチド配列又は配列番号22で示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0060】
P197L突然変異をもつAHASL1遺伝子の少なくとも1種の対立遺伝子を含む3種のヒマワリ系統は、The United States Department of Agriculture Research Serviceによって公開されている。これら3種の系統は、HA 469、RHA 470及びRHA 471である。これら3種の各系統の種子は、Seedstocks Project, Department of Plant Sciences, Loftsgard Hall, North Dakota State University, Fargo, ND 58105, USから得ることができる。
【0061】
本発明は、ヒマワリAHASL1遺伝子中に突然変異をもつヒマワリ植物を含む。野生型のヒマワリAHASL1タンパク質のアミノ酸配列と比較する場合、これらの突然変異によって、アミノ酸配列中の特定のアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質が生じる。このようなアミノ酸置換は、例えばA122T、A205V及びP197Lを含む。「A122T」は、シロイヌナズナAHASL1タンパク質のアミノ酸122位に対応するヒマワリAHASL1タンパク質の位置での、アラニンからスレオニンへの置換を意味する。「A205V」は、シロイヌナズナAHASL1タンパク質のアミノ酸205位に対応するヒマワリAHASL1タンパク質の位置での、アラニンからバリンへの置換を意味する。「P197L」は、シロイヌナズナAHASL1タンパク質のアミノ酸197位に対応するヒマワリAHASL1タンパク質の位置での、プロリンからロイシンへの置換を意味する。
【0062】
他に指示がないか、文脈から明らかでない場合は、本明細書に記載されるヒマワリAHASL1タンパク質中のアミノ酸位は、よく研究されているシロイヌナズナAHASL1タンパク質中の対応する位置である。シロイヌナズナAHASL1アミノ酸位122、197及び205に対応するヒマワリAHASL1タンパク質中のアミノ酸位は、それぞれ、107、182及び197である。AHASLタンパク質に対して除草剤耐性をもたらす既知のアミノ酸置換の位置及びヒマワリ及びシロイヌナズナAHASL1タンパク質中の対応する位置に関する追加の情報については、国際公開第2007005581号(その中の表4)を参照のこと。
【0063】
本発明は、本明細書で開示されるヒマワリAHASL1タンパク質の保存領域内において特定のアミノ酸位でアミノ酸置換をもつAHASLタンパク質を提供する。さらに当業者は、このようなアミノ酸位が、アミノ酸が付加されるか、または例えばアミノ酸配列のN末端から除去されるかどうかによって変わりうることを理解するだろう。従って本発明は、その記載された位置又は同等の位置でのアミノ酸置換を含む。「同等の位置」は、例示されるアミノ酸位と同じ保存領域内にある位置を意味する。このような保存領域は、当技術分野で公知であるか(国際公開第20070055581中の表4を参照のこと)、多配列アライメント又は当技術分野で公知の他の方法によって決定することができる。
【0064】
本発明はさらに、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤に対する耐性を含む雑種ヒマワリ植物を生産する方法を提供する。この方法は、第一のヒマワリ植物と第二のヒマワリ植物とを他家受粉させ、播種することができ、雑種ヒマワリ植物、特にF1雑種ヒマワリ植物に成長できる雑種ヒマワリ種子を生産することを含む。第一ヒマワリ植物は、そのゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子含み、第二ヒマワリ植物はそのゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含む。好ましくは、第一ヒマワリ植物は、第一対立遺伝子についてホモ接合型であり、第二ヒマワリ植物は、第二対立遺伝子についてホモ接合型である。第一対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。第二対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換又はP197Lアミノ酸置換を含むヒマワリAHASL1タンパク質をコードする。
【0065】
雑種ヒマワリ植物を生産する方法はさらに、そのゲノム中に前記第一対立遺伝子及び前記第二対立遺伝子を含む前記交配由来の少なくとも1つの子孫ヒマワリ植物について、該交配及び選択から生じる種子を収穫することを含むことができる。このような子孫は、植物に存在する対立遺伝子を決定するためのAHASL1遺伝子の全て又は一部のPCR増幅を含む、当技術分野で公知のいかなる方法によっても選択することができる。このようなPCR増幅で使用するDNAは、交配によるヒマワリ種子の一部又はこのような種子から成長する植物の一部から得ることができる。下記実施例2では、PCR増幅を含む、所望の子孫植物を選択するための本発明の好ましい方法を提供する。あるいは、子孫植物は、明細書下記で記載されるように温室又は野外条件下で、除草剤耐性試験における子孫植物の性能を評価することによって選択することができる。
【0066】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の雑種ヒマワリ植物は、A205V AHASL1対立遺伝子についてホモ接合型である第一ヒマワリ植物と、AHASL1 A122T対立遺伝子についてホモ接合型である第二ヒマワリ植物とを交配させて生産する。その結果生じた雑種種子及びそのような種子から成長する雑種植物の全ては、そのゲノム中に、1個のA205V AHASL1対立遺伝子及び1個のAHASL1 A122T対立遺伝子を含むことが予想される。この好ましい実施形態では、第一又は第二のヒマワリのいずれかは、交配のための花粉のドナーとなりうる。
【0067】
本発明の他の好ましい実施形態では、本発明の雑種ヒマワリ植物を、P197L AHASL1対立遺伝子についてホモ接合型である第一ヒマワリ植物と、AHASL1 A122T対立遺伝子についてホモ接合型である第二ヒマワリ植物とを交配させて生産する。その結果生じた雑種種子及びこのような種子から成長する雑種植物の全ては、そのゲノム中に、1個のP197L AHASL1対立遺伝子及び1個のAHASL1 A122T対立遺伝子を含むことが予想される。この好ましい実施形態において、第一又は第二のヒマワリのいずれかは、交配のための花粉のドナーとなりうる。
【0068】
本発明の目的に関して、他に指示がないか、文脈から明らかでない場合には、「子孫植物」とは、本発明の少なくとも1種の植物からの子孫である任意の植物であり、これらに限定されないが、本発明の植物の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九及び第十世代の子孫を含む。好ましくは、このような子孫又は後代は、野生型植物と比較して、少なくとも1種のイミダゾリノン除草剤に対する増加した耐性を含み、そしてこのような子孫又は後代は、A122T、A205V及びP197L対立遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の突然変異型AHASL1対立遺伝子を含む。より好ましくは、このような子孫又は後代は、野生型植物と比較して、少なくとも1種のイミダゾリノン除草剤に対する増加した耐性を含み、そしてこのような子孫又は後代は、A122T、A205V及びP197L対立遺伝子からなる群より選択される2種の突然変異型AHASL1対立遺伝子を含む。
【0069】
本発明の一実施形態では、本発明のヒマワリ植物は、A122T対立遺伝子を含み、少なくとも85%(w/w)のオレイン酸、即ち油1kg当たり850gのオレイン酸を含む抽出種子油を含む種子を生産する。
【0070】
好ましくは、本発明のヒマワリ種子油のオレイン酸含有量(%)は、植物油の分析のための標準的な方法によって測定され、例えば、Official Methods of Analysis of Association of the Official Analytical Chemists (1990) W. Horwitz, ed., 14th ed., Washington, D.C.及び/又はAOCS-American Oil Chemists’ Society, Official and Tentative Methods of the American Oil Chemists’Society (1998) 5th ed, Chicago, Illinoisに記載されている方法が挙げられる。
【0071】
本発明は、AHAS酵素活性を干渉する少なくとも1種の除草剤に対して、植物、植物組織、植物細胞又はその他の宿主細胞の寛容性又は耐性を増強する方法を提供する。好ましくは、このような除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤、又はこれらの混合物である。より好ましくは、そのような除草剤はイミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、又はこれらの混合物である。本発明において、イミダゾリノン除草剤は、これらに限られないが、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル)、CADRE(登録商標)(イマザピック)、RAPTOR(登録商標)(イマザモクス)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン)、ASSERT(登録商標)(イマゼタベンツ)、ARSENAL(登録商標)(イマザピル)、上記の任意の除草剤の誘導体、及び上記の除草剤2種以上の混合物、例えば、イマザピル/イマザモクス(ODYSSEY(登録商標))を含む。より具体的には、イミダゾリノン除草剤は、これらに限定されないが、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミジアゾリン-2-イル)-ニコチン酸、[2-(4-イソプロピル)-4-][メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-3-キノリンカルボン酸、[5-エチル-2-(4-イソプロピル-]4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-(メトキシメチル)-ニコチン酸、[2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-]イミダゾリン-2-イル)-5-メチルニコチン酸、及び[6-(4-イソプロピル-4-]メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-m-トルイル酸メチル及び[2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-]オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-p-トルイル酸メチルの混合物から選択することができる。5-エチル-2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-ニコチン酸及び[2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-]イル)-5-(メトキシメチル)-ニコチン酸の使用は好ましい。
【0072】
[2-(4-イソプロピル-4-]メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-(メトキシメチル)-ニコチン酸の使用は、特に好ましい。
【0073】
本発明に関し、スルホニル尿素除草剤は、これらに限定されないが、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、プリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロンメチル、ホラムスルフロン、イオドスルフロン、オキサスルフロン、メソスルフロン、プロスルフロン、スルホスルフロン、トリフロキシスルフロン、トリトスルフロン、上記の任意の除草剤の誘導体、及び上記の除草剤2種以上の混合物を含む。本発明のトリアゾロピリミジン除草剤は、これらに限定されないが、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム及びペノクススラムを含む。本発明のピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、これらに限定されないが、ビスピリバック、ピリチオバック、ピリミノバック、ピリベンゾキシム及びピリフタリドを含む。スルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤は、これらに限定されないが、フルカルバゾン及びプロポキシカルバゾンを含む。
【0074】
ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、ピリミジニルチオベンゾエート除草剤と密接に関係しているとされ、米国雑草学会では、後者の名前の見出しで一般化されている。従って、本発明の除草剤はさらに、ピリミジニルチオベンゾエート除草剤を含み、これに限定されないが、上記のピリミジニルオキシベンゾエート除草剤を含む。
【0075】
本発明の除草剤耐性ヒマワリ植物は、雑草を防除する方法における使用を含む。従って、本発明はさらに、本発明の除草剤耐性ヒマワリ植物の近傍における雑草を防除する方法を提供する。この方法は、有効量の除草剤を雑草及び除草剤耐性ヒマワリ植物に散布することを含み、ここでその植物は、野生型ヒマワリ植物と比較して、少なくとも1種の除草剤、特にイミダゾリノン除草剤又はスルホニル尿素除草剤に対する増加した耐性を有する。
【0076】
一実施形態において、本発明は、感染したヒマワリ植物に付くハマウツボ(オロバンケ・エスピーピー(Orobanche spp.))として知られる寄生性雑草を防除する方法を提供する。このようなオロバンケ・エスピーピーには、例えばオロバンケ・クマナ(Orobanche cumana)及びオロバンケ・ケルヌア(Orobanche cernua)が含まれる。この方法は、有効量のイミダゾリノン除草剤を、雑草及び本発明の除草剤耐性ヒマワリ植物、特に2コピーのAHASL1 A122T対立遺伝子又は1コピーのAHASL1 A122T対立遺伝子及び1コピーのA205V AHASL1対立遺伝子を含むヒマワリ植物、に散布することを含む。好ましい実施形態では、イミダゾリノン除草剤は、イマザピルである。好ましくは、AHAS阻害性除草剤は、後期生長期及び/又は早期生殖期で散布する。より好ましくは、この除草剤は、早期生殖期で散布する。最も好ましくは、この除草剤はR1成長期で散布する。
【0077】
特に指示がなければ、本明細書に記載されるヒマワリの成長状態は、Schneiter and Miller (1981) Crop Sci. 21:901-903で定義される成長期である。
【0078】
除草剤、特にイミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤に対して増加した耐性を有するヒマワリ植物を提供することによって、広範な製剤を雑草から植物を保護するために使用して、植物の成長を増強し、栄養競合を減少させることができる。除草剤はそれ自体、発芽前、発芽後、植付前、植付時において、本明細書に記載される植物の周辺領域の雑草を防除するのに用いることができ、あるいは他の添加剤を含むイミダゾリノン除草製剤を用いることができる。この除草剤は種子処理としても用いることができる。イミダゾリノン除草剤又はスルホニル尿素除草剤の製剤に見られる添加剤は、他の除草剤、界面活性剤、補助剤、展着剤、固着剤、安定化剤等が含まれる。除草製剤は、湿潤又は乾燥調製物であることができ、これらに限定されないが、流動性粉末、乳化性濃縮物及び液状濃縮物を含むことができる。除草剤及び除草製剤は、例えば、噴霧、潅漑、散布等の従来の方法に従って散布することができる。
【0079】
本発明は、少なくとも1種の除草剤、特にAHAS阻害性除草剤、より詳細にはイミダゾリノン除草剤及びスルホニル尿素除草剤に対して増加した寛容性をもつ非トランスジェニック種子及びトランスジェニック種子を提供する。このような種子は、例えば、ヒマワリ植物S4897、ヒマワリ植物GM40、ヒマワリ植物GM1606、ATCC特許寄託番号PTA-6716のヒマワリ植物、又はATCC特許寄託番号PTA-7606のヒマワリ植物の除草剤寛容性の特性を含む非トランスジェニックヒマワリ種子、及び除草剤耐性AHASLタンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチド分子を含むトランスジェニック種子を含む。
【0080】
本発明は、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤の使用を含む方法を提供する。これらの方法では、AHAS阻害性除草剤を、これらに限定されないが、種子処理、土壌処理及び葉面処理等の当技術分野で公知のあらゆる方法によって散布することができる。
【0081】
散布前に、このAHAS阻害性除草剤を、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、ダスト、粉末、ペースト及び顆粒等の慣用の製剤に変換することができる。使用形態は、特定の利用目的により変わり、いずれの場合も本発明の化合物の微細で均一な分配を保証すべきである。
【0082】
この製剤は既知の様式で調製し(例えば、概説としてUS 3,060,084号、EP-A第707445号(液体濃縮物に関する)、Browning, ”Agglomeration”, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48, Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, 8-57頁, 及び以下参照。国際公開第91/13546号、US 第4,172,714号、US第4,144,050号、US第3,920,442号、US第5,180,587号、US第5,232,701号、US第5,208,030号、GB第2,095,558号、US第3,299,566号、Klingman, Weed Control as a Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, Hance et al., Weed Control Handbook, 8th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989、及びMollet, H., Grubemann, A., Formulationtechnology, Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim (Germany), 2001, 2. D. A. Knowles,Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, 1998 (ISBN 0-7514-0443-8))、例えば活性化合物を、溶媒及び/又は担体等の農薬製剤に適した補助剤、所望ならば、種子処理製剤用の乳化剤、界面活性剤、及び分散剤、防腐剤、消泡剤、凍結防止剤、また任意に着色剤及び/又は結合剤及び/又はゲル化剤で増量することによって調製する。
【0083】
好適な溶媒は、例えば、水、芳香族溶媒(例えば、Solvesso製品、キシレン)、パラフィン(例えば、鉱油画分)、アルコール(例えば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン、ガンマブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、アセテート(グリコールジアセテート)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸、及び脂肪酸エステルである。原則として、溶媒混合物も使用することができる。
【0084】
好適な担体は、例えば、粉砕した天然鉱物(例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク)及び粉砕した合成鉱物(例えば高分散シリカ、シリケート)である。
【0085】
好適な乳化剤は、非イオン性及びアニオン性の乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネート及びアリールスルホネート)である。
【0086】
分散剤は、例えばリグニン-亜硫酸排液及びメチルセルロースである。
【0087】
用いられる好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸、及び硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩、さらにスルホン化ナフタレン及びナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコール酸化エチレン縮合物、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸排液及びメチルセルロースである。
【0088】
直接噴霧可能な溶液、エマルジョン、ペースト、又は油分散液を調製するのに適している物質は、中〜高沸点鉱油画分、例えば、灯油又はディーゼル油、さらにコールタール油及び植物油又は動物油、脂肪族、環状及び芳香族の炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、高極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又は水である。
【0089】
凍結防止剤、例えばグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び殺菌剤自体も製剤に添加することができる。
【0090】
好適な消泡剤は、例えば、シリコン又はステアリン酸マグネシウムに基づく消泡剤である。
【0091】
好適な防腐剤は、例えば、ジクロロフェン及びべンジルアルコールヘミホルマールである。
【0092】
種子処理製剤は結合剤をさらに含んでもよく、任意に着色剤を含んでもよい。
【0093】
結合剤は、処理後の種子に活性物質を付着しやすくするために添加することができる。好適な結合剤は、EO/POブロックコポリマー界面活性剤であるが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標))、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、タイローズ及びこれらのポリマー由来のコポリマーでもよい。
【0094】
場合により、着色剤も製剤に含ませることができる。種子処理製剤のための好適な着色剤又は色素は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0095】
好適なゲル化剤は、例えばカラギーン(Satiagel(登録商標))である。
【0096】
粉末、拡散用物質及び散粉可能な(dustable)製品は、活性物質と固体担体とを混合又は同時に粉砕することによって調製することができる。
【0097】
粒剤、例えば、被覆粒剤、含浸粒剤(impregnated granule)及び均質粒剤は、活性化合物を固体担体に結合させることにより調製することができる。固体担体の例として、土類鉱物、例えばシリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、及び植物由来製品、例えば、穀粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻粉、セルロース粉末、並びに他の固体担体が挙げられる。
【0098】
一般的に、製剤は、AHAS阻害性除草剤を0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%含む。この場合、AHAS阻害性除草剤は、純度90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%(NMRスペクトルによる)で用いる。種子処理の目的のために、各製剤を2〜10倍に希釈することができ、その場合、即時使用可能な調製物における濃度は、活性化合物の重量にして0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%となる。
【0099】
AHAS阻害性除草剤は、それ自体、その製剤の形態で、又はそれから調製される使用形態で、例えば直接噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、エマルジョン、油分散液、ペースト、散布可能な製品、拡散用物質、又は顆粒の形態で、噴霧、微粒化、散布、拡散又は注入することによって使用することができる。使用形態は、完全に使用目的に基づいて決定される。いずれの場合にも、本発明のAHAS阻害性除草剤の可能な限りの微細な分配が保証されるべきである。
【0100】
水性使用形態は、エマルジョン濃縮物、ペースト、又は湿潤可能な粉末(噴霧可能な粉末、油分散液)から、水を添加することによって調製することができる。エマルジョン、ペースト又は油分散液を調製するためには、物質を、そのままで又は油もしくは溶媒中に溶解させて、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤、又は乳化剤によって、水中で均一化することができる。しかし、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤、又は乳化剤、及び、適宜、溶媒もしくは油からなる濃縮物を調製することもでき、そのような濃縮物は水で希釈するのに適している。
【0101】
即時使用可能な調製物における活性化合物の濃度は、比較的広範囲で変動しうる。一般的に、その濃度は0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
【0102】
AHAS阻害性除草剤は、超微量散布法(ULV)でうまく使用することもできるが、活性化合物を95重量%より多く含む製剤、又は添加物を含まない活性化合物も散布することができる。
【0103】
以下は製剤の例である:
1.葉面散布のための水希釈用製品。種子処理の目的で、前記製品は希釈して又は未希釈で種子に散布することができる。
【0104】
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部のAHAS阻害性除草剤を、90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解させる。あるいは、湿潤剤又はその他の補助剤を添加する。AHAS阻害性除草剤を水希釈で溶解させることにより、10%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤が得られる。
【0105】
B)分散性濃縮物(DC)
20重量部のAHAS阻害性除草剤を、ポリビニルピロリドン等の10重量部の分散剤を添加した70重量部のシクロヘキサノンに溶解させる。水希釈により分散液が得られ、AHAS阻害性除草剤を20%(w/w)含む製剤が得られる。
【0106】
C)乳化性濃縮物(EC)
15重量部のAHAS阻害性除草剤を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシ化ヒマシ油(いずれも5重量部)を加えて、7重量部のキシレンに溶解させる。水希釈によりエマルジョンとなり、AHAS阻害性除草剤を15%(w/w)含む製剤が得られる。
【0107】
D)エマルジョン(EW、EO、ES)
25重量部のAHAS阻害性除草剤を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシ化ヒマシ油(いずれも5重量部)を加えて、35重量部のキシレンに溶解させる。この混合物を、乳化器(例えばUltraturrax)により30重量部の水に加え、均一なエマルジョンとする。水希釈によりエマルジョンとなり、AHAS阻害性除草剤を25%(w/w)含む製剤が得られる。
【0108】
E)懸濁液(SC、OD、FS)
攪拌型ボールミル内で、20重量部のAHAS阻害性除草剤を、10重量部の分散剤、湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて粉砕することにより、微細なAHAS阻害性除草剤の懸濁液が得られる。水希釈により安定なAHAS阻害性除草剤の懸濁液となり、AHAS阻害性除草剤を20%(w/w)含む製剤が得られる。
【0109】
F)水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部のAHAS阻害性除草剤を、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて微細に粉砕し、専門装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性又は水溶性の顆粒とする。水希釈により、安定なAHAS阻害性除草剤の分散液又は溶液となり、AHAS阻害性除草剤を50%(w/w)含む製剤が得られる。
【0110】
G)水分散性粉末及び水溶性粉末(WP、SP、SS、WS)
75重量部のAHAS阻害性除草剤を、ローター・ステーターミル内で、25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加えて粉砕する。水希釈により安定なAHAS阻害性除草剤の分散物又は溶液となり、AHAS阻害性除草剤を75%(w/w)含む製剤が得られる。
【0111】
I)ゲル製剤(GF)
攪拌型ボールミル内で、20重量部のAHAS阻害性除草剤を、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて粉砕することにより、微細なAHAS阻害性除草剤の懸濁液とする。水希釈により安定なAHAS阻害性除草剤の懸濁液となり、AHAS阻害性除草剤を20%(w/w)含む製剤が得られる。このゲル製剤は種子処理に適している。
【0112】
2.葉面散布のために未希釈で散布する製品。種子処理の目的のために、前記製品を希釈して種子に散布することができる。
【0113】
A)散粉用粉末(DP、DS)
5重量部のAHAS阻害性除草剤を細かく粉砕し、95重量部の細かく分割したカオリンと十分に混合する。これにより、AHAS阻害性除草剤を5%(w/w)含む散粉可能な製品が得られる。
【0114】
B)顆粒(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部のAHAS阻害性除草剤を細かく粉砕し、95.5重量部の担体と合わせると、AHAS阻害性除草剤を0.5%(w/w)含む製剤が得られる。現行の方法は、押出、噴霧乾燥又は流動床である。これにより、未希釈で散布する葉用の顆粒が得られる。
【0115】
従来の種子処理製剤には、例えば、流動性濃縮物FS、溶液剤LS、乾燥処理粉剤DS、スラリー処理用の水分散性粉末WS、水溶性粉末SS及びエマルジョンES及びEC、並びにゲル製剤GFが含まれる。これらの製剤は、希釈又は未希釈で種子に散布することができる。種子への散布は、播種前に直接種子に行う。
【0116】
好ましい実施形態では、FS製剤を種子処理のために使用する。典型的には、FS製剤は、1〜800g/Lの活性成分、1〜200g/Lの界面活性剤、0〜200g/Lの凍結防止剤、0〜400g/Lの結合剤、0〜200 g/Lの着色剤及び最大で1リットルとする溶媒、好ましくは水を含んでいてもよい。
【0117】
種子処理では、本発明の除草剤耐性植物の種子を除草剤で、好ましくは、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、イオドスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモクス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノクススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック、及びこれらの混合物からなる群から選択されるAHAS阻害性除草剤、又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤で処理する。
【0118】
種子処理なる用語は、当技術分野で既知の全ての好適な種子処理技術、例えば、種子ドレッシング(seed dressing)、種子コーティング、種子ダスティング(seed dusting)、種子ソーキング(seed soaking)、および種子ペレッティング(seed pelleting)を含む。
【0119】
本発明の一変形においては、本発明の別の主題は、特に種蒔き機中に、組成物/製剤としてAHAS阻害性除草剤を含む粒剤(例えば、粒剤)のいずれかと、必要に応じて1種以上の固体又は液体状の農業上許容される担体及び/又は必要に応じて1種以上の農業上許容される界面活性剤とを適用することによって土壌を処理する方法である。この方法は、例えば、穀類、トウモロコシ、綿及びヒマワリの苗床に、有利に使用される。
【0120】
本発明はまた、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、イオドスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモクス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノクススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド及びピリチオバックからなる群から選択される少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤を含む種子処理製剤で被覆した、又はその製剤を共に含む種子を含む。
【0121】
種子なる用語は、あらゆる種類の種子及び植物珠芽を含み、これらに限定されないが、真正種子、種子片、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀粒、切穂、切苗等を含み、好ましい実施形態においては、真正種子を意味する。
【0122】
用語「被覆された及び/又は含む」とは一般的に、散布の方法に応じて多かれ少なかれ活性成分が繁殖産物内に浸透するけれども、この活性成分が散布時に繁殖産物の表面の大部分に存在することを意味する。この繁殖産物を(再)植付すると、活性成分を吸収することができる。
【0123】
AHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤による種子処理の適用は、植物の播種前及び植物の発芽前の種子に、噴霧又は散布することにより行なう。
【0124】
種子の処理において、その対応する製剤は、有効量のAHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤を用いて種子を処理することによって散布する。なお施散布量は、一般に100kgの種子当たり0.1g〜10gの活性成分(又は活性成分の混合物もしくは製剤)、好ましくは100kgの種子当たり1g〜5kg、特に1g〜2.5kgである。レタス等の特定の作物では、散布量は高くなりうる。
【0125】
本発明は、播種前及び/又は発芽後の本発明の耐性植物の種子に、AHAS阻害性除草剤を接触させることを含む、好ましくない植生を駆除し又は雑草を防除する方法を提供する。この方法はさらに、例えば、野外の土壌に又は温室の培養土に、種子を播種することを含むことができる。この方法は、種子のごく近傍の好ましくない植生を駆除し又は雑草を防除する特定の使用を提供する。
【0126】
好ましくない植生の防除とは、雑草を死滅させる及び/又はその他雑草の通常の成長を遅らせるもしくは阻害することを意味すると理解される。雑草とは広い意味で、好ましくない場所で成長する全ての植物を意味すると理解される。
【0127】
本発明の雑草は、例えば双子葉及び単子葉の雑草を含む。双子葉の雑草には、これらに限定されないが、次の属の雑草が含まれる:シナピス(Sinapis)、マメグンバイナズナ(Lepidium)、ガリウム(Galium)、ミドリハコベ(Stellaria)、カミツレ(Matricaria)、ローマンカモミール(Anthemis)、ハキダメギク(Galinsoga)、ケノポディウム(Chenopodium)、セイヨウイラクサ(Urtica)、セネキオ(Senecio)、アマランサス(Amaranthus)、マツバボタン(Portulaca)、オナモミ(Xanthium)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus)、ソライロアサガオ(Ipomoea)、ミズヒキ(Polygonum)、セスバニア(Sesbania)、ブタクサ(Ambrosia)、アメリカオニアザミ(Cirsium)、カルドゥウス(Carduus)、ノゲシ(Sonchus)、ナス(Solanum)、イヌガラシ(Rorippa)、キカシグサ(Rotala)、アメリカアゼナ(Lindernia)、ヒメオドリコソウ(Lamium)、ベロニカ(Veronica)、イチビ(Abutilon)、エメックス(Emex)、ケチョウセンアサガオ(Datura)、マキノスミレ(Viola)、ガレオプシス(Galeopsis)、オニゲシ(Papaver)、ケンタウレア(Centaurea)、ムラサキツメクサ(Trifolium)、キツネノボタン(Ranunculus)及びタンポポ(Taraxacum)。単子葉の雑草には、これらに限定されないが、次の属の雑草が含まれる:イヌビエ(Echinochloa)、イタリアンミレット(Setaria)、ヌカキビ(Panicum)、メヒシバ(Digitaria)、ミヤマアワガエリ(Phleum)、イチゴツナギ(Poa)、ウシノケグサ(Festuca)、オヒシバ(Eleusine)、ブラキアリア(Brachiaria)、ロリウム(Lolium)、スズメノチャヒキ(Bromus)、アベナ(Avena)、シペラス(Cyperus)、ソルガム(Sorghum)、カモジグサ(Agropyron)、シノドン(Cynodon)、ミズアオイ(Monochoria)、フィンブリスチスリス(Fimbristyslis)、サギッタリア(Sagittaria)、ハリイ(Eleocharis)、アブラガヤ(Scirpus)、スズメノヒエ(Paspalum)、カモノハシ(Ischaemum)、スフェノクレア(Sphenoclea)、ダクチロクテニウム(Dactyloctenium)、アグロスチス(Agrostis)、スズメノテッポウ(Alopecurus)及びアペラ(Apera)。他の双子葉の雑草は、これらに限定されないが、ヒマワリに感染する寄生植物、特に、オロバンケ・エスピーピー(Orobanche spp.)(ハマウツボ)、例えば、オロバンケ・クムナ(Orobanche Cumana)及びオロバンケ・セルヌア(Orobanche cernua)が含まれる。
【0128】
また本発明の雑草は、例えば、好ましくない場所で成長する作物植物も含むことができる。例えば、ダイズ植物を大部分含む農地に自生するトウモロコシ植物は、このトウモロコシ植物がダイズ植物の農地で好ましくない場合、雑草とみなすことができる。
【0129】
本発明のヒマワリ植物は、対象とする1種以上の遺伝子で形質転換することができる。本発明の対象とする遺伝子は、所望の結果に応じて変わる。例えば、対象とされうる表現型の様々な変化には、植物の脂肪酸組成の改変、植物のアミノ酸含有量の変更、植物の害虫及び/又は病原体に対する防御機構の変更等が含まれる。これらの結果は、植物中の異種産物の発現、又は内因性産物の発現の増加を提供することによって達成することができる。あるいは、これらの結果は、1種以上の内因性産物、特に植物中の酵素又は補因子の発現の減少を提供することによって達成することができる。これらの変化によって、形質転換植物の表現型の変化が生じる。
【0130】
本発明の一実施形態では、対象とする遺伝子は、例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒素タンパク質遺伝子(米国特許第5,366,892号;第5,747,450号;第5,736,514号;第5,723,756号;第5,593,881号及びGeiser et al. (1986) Gene 48:109)等の害虫耐性遺伝子を含む。
【0131】
本発明は、個々のヒマワリのAHASL1遺伝子の対立遺伝子を同定する診断方法を提供する。下記の通り、このような診断方法は、イミダゾリノン除草剤に対して増加した耐性をもつ市販のヒマワリ栽培品種を育種する方法における使用を提供する。これらの方法を記載するに際し本明細書で用いられる次の用語は、下記の通り定義される。
【0132】
「プライマー」は、標的DNA鎖のアニーリングサイトにアニールすることができる、5'末端及び3'末端をもつ一本鎖オリゴヌクレオチドであり、このプライマーは、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅における、DNAポリメラーゼによるDNA合成の開始点として働く。このようなプライマーは、標的DNAのアニーリングサイトに対して十分に相補的であっても、そうでなくてもよい。
【0133】
標的DNA鎖の「アニーリング」サイトは、プライマーが本発明の方法でアニールすることができる場所である。一般的に、PCRによる遺伝子断片の増幅のために、二本鎖DNA分子の反対鎖にアニールするプライマー対を用いる。特に指示がないか又は文脈から明らかでない限り、通常の慣例で及び本明細書で用いられる「順方向プライマー」は遺伝子の非コード鎖にアニールし、「逆方向プライマー」はコード鎖にアニールする。
【0134】
本明細書を通して、用語「突然変異型対立遺伝子」、「突然変異型AHASL1対立遺伝子」又は「突然変異型AHASL1遺伝子」は、本明細書中に特に指示がなく、ぶっ脈から明らかでない限り、野生型AHASL1タンパク質と比較して、単一アミノ酸置換を含むイミダゾリノン寛容性AHASL1タンパク質をコードするポリヌクレオチドを意味する。このような単一アミノ酸置換には、例えば、A122T、A205V及びP197Lが含まれる。典型的には、このようなアミノ酸置換は、AHASL1コード配列中の一塩基置換の結果である。
【0135】
対照的に、特に指示が無い場合、用語「野生型対立遺伝子」、「野生型AHASL1対立遺伝子」又は「野生型AHASL1遺伝子」対立遺伝子は、AHASL1タンパク質をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0136】
本発明は、PCR増幅のための様々なプライマーの使用を含む。これらのプライマーは、下記に詳細に記載される。
【0137】
「順方向AHASL1プライマー」は、ヒマワリAHASL1対立遺伝子の断片のPCR増幅を含む本発明の方法で用いることができるプライマーであり、この断片はA122Tアミノ酸置換を生じる突然変異部位から5'の方向に伸びる。好ましくは、「順方向AHASL1プライマー」のアニーリングサイトの相補体は、図8に示される(ACC)nリピートの5'側にある。
【0138】
「逆方向野生型AHASL1プライマー」は、A122Tアミノ酸置換を生じる突然変異を含まないAHASL1対立遺伝子断片のPCR増幅を含む方法で用いることができる逆方向プライマーである。この逆方向プライマーのアニーリングサイトは、図8に示される。逆方向野生型AHASL1プライマーの3'終末(3'末端)ヌクレオチドは、図8中のHap1-Hap5におけるSNPサイトにあるGにアニールする。逆方向野生型AHASL1プライマーの3'終末ヌクレオチドは、Cである。
【0139】
「逆方向突然変異型AHASL1プライマー」は、A122Tアミノ酸置換を生じる突然変異を含む突然変異型AHASL1対立遺伝子断片のPCR増幅を含む方法で用いることができる逆方向プライマーである。この逆方向プライマーのアニーリングサイトは、図8に示される。この逆方向突然変異型AHASL1プライマーの3'終末(3'末端)ヌクレオチドは、図8中のSNPサイトであるHap6中のAにアニールする。逆方向野生型AHASL1プライマーの3'終末ヌクレオチドは、Tである。
【0140】
本発明は、ヒマワリAHASL1を遺伝型決定するための方法を提供する。この方法は、ヒマワリ植物由来のゲノムDNAを採取し、ゲノムDNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、順方向AHASL1プライマー及び逆方向野生型AHASL1プライマーを含む第一のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のための鋳型として、ゲノムDNAもしくは試料又はそれらの一部を用いることを含む。逆方向野生型AHASL1プライマーは、配列番号13に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールする核酸分子を含み、ここで、該逆方向野生型AHASL1プライマーの3'末端ヌクレオチドにあるヌクレオチドは、配列番号13に示されるヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である。この方法はさらに、前記DNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、前記順方向AHASL1プライマー及び突然変異型逆方向AHASL1プライマーを含む、第二のPCR増幅のための鋳型として、ゲノムDNAもしくは試料又はそれらの一部を用いることを含む。逆方向突然変異型AHASL1プライマーは、配列番号14に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールする核酸分子を含み、該逆方向突然変異型AHASL1プライマーの3'末端ヌクレオチドにあるヌクレオチドは、配列番号14に示されるヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である。この方法はさらに、前記第一及び第二のPCR増幅の産物を検出することを含む。
【0141】
本発明の逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向突然変異型AHASL1プライマーはそれぞれ、AHASL1遺伝子又は図8に示されるヒマワリの一部をPCR増幅するのに適した条件下で、配列番号13及び14に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールする。逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向突然変異型AHASL1プライマーはさらに、A122Tアミノ酸置換を生じる突然変異サイトにあるヌクレオチドからなる3'末端ヌクレオチドを有する。各逆方向プライマーは、それらのアニーリングサイトに完全に相補的であり得るが、必要条件ではなく、アニーリングサイトの完全長を伸ばす必要はない。また、逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向突然変異型AHASL1プライマーは、アニーリングサイトを超えるそれらの5'末端の付加的なヌクレオチドを含むことができる。このような付加的なヌクレオチドは、ヒマワリAHASL1遺伝子の一部と完全に又は部分的に相補的でありうるが、必要条件ではない。付加的な5'ヌクレオチドは、例えば、制限酵素認識配列を含むことができる。本発明の一実施形態において、逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向野生型AHASL1プライマーはそれぞれ、配列番号4及び5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0142】
ヒマワリAHASL1の遺伝子型を決定する方法は、順方向AHASL1プライマーの使用を含む。A122Tアミノ酸置換を生じる突然変異サイトでアニールする逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向野生型AHASL1プライマーとは異なり、順方向AHASL1プライマーヌクレオチドのアニーリングサイトは、図8に示される(ACC)n領域の5'にあるヒマワリAHASL1遺伝子の領域に対応し、それにより、ハプロタイプ1-6を、生じたPCR産物の長さ(即ちbp)の差によって区別することができる。A122T突然変異サイトの近傍におけるこれらのハプロタイプの配列は、図8に示されている。本発明の一実施形態において、順方向AHASL1プライマーは、配列番号12で示されるヌクレオチド配列の相補体を含むヌクレオチド配列にアニールする。本発明の好ましい実施形態において、順方向AHASL1プライマーは、配列番号3で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド分子を含み、より好ましい実施形態においては、順方向AHASL1プライマーは、プライマーの5’末端の任意に付加されたヌクレオチドと共に、配列番号3で示されるヌクレオチド配列を有する。このような付加されたヌクレオチドは、ヒマワリAHASL1遺伝子の一部と完全に又は部分的に相補的であってもよいが、必要条件ではない。付加された5'ヌクレオチドは、例えば、制限酵素認識配列を含むことができる。
【0143】
本発明はさらに、ヒマワリ植物のAHASL1対立遺伝子を同定する方法を提供する。この方法は、ヒマワリ植物由来のゲノムDNAを採取し、少なくとも1回のPCR増幅においてこのゲノムDNAもしくは試料又はその一部を用いることを含む。このPCR増幅は、ゲノムDNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含む第一の順方向プライマー、配列番号16で示されるヌクレオチド配列を含む第一の逆方向プライマー、配列番号17で示されるヌクレオチド配列を含む第二の順方向プライマー、及び配列番号18で示されるヌクレオチド配列を含む第二の逆方向プライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応増幅のための鋳型として、そのゲノムDNAを用いることを含む。この方法はさらに、PCR増幅産物を検出することを含む。
【0144】
あるいは、2回又は3回の別個のPCR増幅を、本発明の方法で用いることができる。2回の別個のPCR増幅を用いる場合、第一のPCR増幅は、ゲノムDNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含む第一の順方向プライマー、及び配列番号16で示されるヌクレオチド配列を含む第一の逆方向プライマーを含む、第一のポリメラーゼ連鎖反応増幅のための鋳型としてゲノムDNAを用いることを含む。第二のPCR増幅は、ゲノムDNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、配列番号17で示されるヌクレオチド配列を含む第二の順方向プライマー、及び配列番号18で示されるヌクレオチド配列を含む第二の逆方向プライマーを含む、第二のポリメラーゼ連鎖反応増幅のための鋳型としてゲノムDNAを用いることを含む。第一のPCR増幅は、配列番号18で示されるヌクレオチド配列を含む第三のプライマーを必要に応じて含むことができ、第二のPCR増幅は、配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含む第三のプライマーを必要に応じて含むことができる。第一及び第二のPCR増幅のいずれか一方、又は両方にこのような任意のプライマーを加えることによって、配列番号15及び18で示されるヌクレオチド配列を含むプライマー対によって増幅する対照のバンドを生成することができる。この方法はさらに、第一及び第二のPCR増幅の産物を検出することを含む。
【0145】
3回の別個のPCR増幅を用いる場合、第一及び第二のPCR増幅は上記の通り同じである。第三のPCR増幅は、ゲノムDNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含む第一の順方向プライマー、及び配列番号18で示されるヌクレオチド配列を含む第二の逆方向プライマーを含む、第三のポリメラーゼ連鎖反応増幅のための鋳型としてゲノムDNAを用いることを含む。この方法はさらに、第一、第二及び第三のPCR増幅産物を検出することを含む。
【0146】
本発明の一実施形態において、第一の順方向プライマーは、実質的に配列番号15からなるヌクレオチド配列を有し、第一の逆方向プライマーは、実質的に配列番号16からなるヌクレオチド配列を有し、第二の順方向プライマーは、実質的に配列番号17からなるヌクレオチド配列を有し、及び/又は第二の逆方向プライマーは、実質的に配列番号18からなるヌクレオチド配列を有する。本発明において、例示される配列「から実質的になる」プライマーとは、そのプライマーが例示される配列全体からなるが、プライマーの5'末端のヌクレオチドをさらに含むことができることを意味する。このような付加的なヌクレオチドは、増幅するための標的遺伝子と完全に又は部分的に相補的でありうるが、必要条件ではない。DNA合成は、プライマーの3'末端から開始されるので、このような付加的なヌクレオチドは、その付加的なヌクレオチドを除いて同一となるプライマーと比較した場合、DNA合成の開始部位を変更しない。
【0147】
本発明の好ましい実施形態では、第一の順方向プライマーは、配列番号15からなるヌクレオチド配列を有し、第一の逆方向プライマーは、配列番号16からなるヌクレオチド配列を有し、第二の順方向プライマーは、配列番号17からなるヌクレオチド配列を有し、及び/又は第二の逆方向プライマーは、配列番号18からなるヌクレオチド配列を有する。
【0148】
本明細書で特に指示がない場合、「ポリメラーゼ」は、DNAポリメラーゼを意味し、特に本発明の1回以上のPCR増幅で使用するのに適したDNAポリメラーゼを意味する。
【0149】
本発明の方法において、PCR増幅の結果物は、例えばPCR産物のアガロースゲル電気泳動に続いて、ゲル中のDNAをエチジウムブロマイド染色し、UV光で可視化することによって、検出することができる。
【0150】
本発明の方法は、DNAを増幅するためのPCRの使用を含む。オリゴヌクレオチドプライマーは、ゲノムDNA由来の対応するDNA配列又は対象とする任意の生物から抽出したcDNAを増幅するためのPCR反応において使用するために設計することができる。PCRプライマーを設計する方法は、一般的に当技術分野で公知であり、またSambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)に開示されている(参照により本明細書に組み込まれる)。また、以下を参照のこと、Innis et al., eds. (1990) PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Academic Press, New York); Innis and Gelfand, eds. (1995) PCR Strategies (Academic Press, New York); Innis and Gelfand, eds. (1999) PCR Methods Manual (Academic Press, New York); Dietmaier et al,. eds. (2002) Rapid Cycle Real Time PCR - Methods and Applications, (Springer Verlag, New York); Theophilus and Raphley, eds. (2002) PCR Mutation Detection Protocols (Humana Press, New York);及びBartlett and Stirling, eds. (2003) PCR Protocols (Humana Press, New York);これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。本発明の方法で用いることができるPCRの他の公知の方法は、これらに限定されないが、プライマー対、ネステッドプライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、DNA/RNA混合プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的ミスマッチプライマー等を用いる方法を含む。
【0151】
本明細書で用いられる用語「プライマー」又は「PCRプライマー」は、本発明を、DNAを含むプライマーに限定する意図はない。当業者は、このようなプライマーが例えばデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及びそれらの組み合わせからなることができると認識するだろう。このようなデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドは、自然に生じる分子及び合成類似体の両方を含む。
【0152】
本発明はヌクレオチドの特定数のヌクレオチドのPCRプライマーに左右されないが、鋳型DNAの相補的な標的にアニールするPCRプライマーの部分は一般的に、約10から50個の連続ヌクレオチド、好ましくは、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、又はそれ以上の連続ヌクレオチドであることが理解される。しかし、本発明のPCRプライマーはさらに、例えば1箇所以上の制限酵素認識部位を含むDNA配列等の標的にアニールすることを意図しない、その5'末端の付加的なヌクレオチドを含むことができる。
【0153】
本発明の方法は、DNAをPCR増幅するためのDNAポリメラーゼの使用を含む。PCRによって標的DNAを増幅させることができる当技術分野で公知のあらゆるDNAポリメラーゼが、本発明の方法で用いることができる。本発明の方法は、DNAをPCR増幅するための特定のDNAポリメラーゼに左右されず、このようなポリメラーゼは1種以上の植物AHASL遺伝子又はその断片を増幅することができるのみである。好ましくは、本発明のDNAポリメラーゼは熱安定性DNAポリメラーゼであり、これらに限定されないが、以下を含む:Taqポリメラーゼ;Pfuポリメラーゼ;Tgo DNAポリメラーゼとしても知られるThermococcus gorgonarious由来の熱安定性DNAポリメラーゼ;例えばVent(登録商標)DNA ポリメラーゼ (Perler, F. et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 5577)として知られるThermococcus litoralis由来の熱安定性DNAポリメラーゼ;例えばDeep Vent(登録商標)DNAポリメラーゼ (Xu, M. et al. (1993) Cell 75, 1371-1377)として知られる、Pyrococcus種GB-D由来の熱安定性DNAポリメラーゼ;並びにその改変体及び混合物。
【0154】
本発明の方法は、PCRによる標的DNA配列の増幅を含む。本発明のある実施形態では、標的DNA配列を、少なくとも1種の植物又はその部分、器官、組織もしくは細胞から単離したゲノムDNAを含む試料から直接増幅する。当業者は、ゲノムDNAの量又は濃度が、これらに限定されないが、PCR条件(例えばアニーリング温度、変性温度、サイクル数、プライマー濃度、dNTP濃度等)、熱安定性DNAポリメラーゼ、プライマー配列、及び標的の配列を含む任意数の要因によって変わることを理解するだろう。典型的には、本明細書に記載の発明の実施形態において、ゲノムDNAの濃度は、少なくとも約5ng/μLから約100ng/μLである。
【0155】
PCR増幅に加え、本発明の方法は、例えば、DNA単離、特にゲノムDNA単離、制限酵素及びヌクレアーゼによるDNA又はPCR産物の消化、DNAライゲーション、DNA配列決定、アガロールゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、DNAの電気泳動的な分離のための他のあらゆる好適な基質中でのゲル電気泳動、エチジウムブロマイド染色によるDNAの検出等の分子生物学の様々な技術を含むことができる。このような技術は、一般的に当技術分野で公知であり、また例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)に開示されている。
【0156】
本発明の方法は、植物から単離したゲノムDNAの使用を含む。本発明の方法は、特定の方法により単離されたゲノムDNAに左右されない。植物から、上記のPCR増幅のための鋳型DNAの原料として用いることができるゲノムDNAを単離又は精製する当技術分野で公知のあらゆる方法が、本発明の方法で用いることができる。例えば、Stein et al. ((2001) Plant Breeding, 12:354-356); Clark, ed. ((1997) Plant Molecular Biology - A Laboratory Manual, Springer-Verlag, New York, pp. 3-15); Miller et al.,((1988) Nucleic Acids Research, 16:1215)を参照のこと(これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる)。好ましくは、植物ゲノムDNAを単離するこのような方法は、比較的多数の植物の組織試料からゲノムDNAを単離するのに適しているか、あるいは当業者はそのために適合させることができる。本発明の一実施形態では、ゲノムDNAを、DNeasy(登録商標)キットを製造元の取扱説明書(Qiagen Inc., Valencia, CA, USA)に従って用いて、ヒマワリ植物から単離する。他の実施形態では、ゲノムDNAを、MagneSil(登録商標)キットを製造元の取扱説明書(Promega Corp., Madison, WI, USA)に従って用いて、ヒマワリ植物から単離する。
【0157】
本発明の方法では、ゲノムDNAを、植物全体又はその任意の部分、器官、組織もしくは細胞から単離することができる。例えば、ゲノムDNAは、苗木、葉、茎、根、花序、種子、胚、分げつ、子葉鞘、葯、柱頭、培養細胞等から単離することができる。また本発明は、いかなる特定の発生段階にある植物又はその部分、器官、組織もしくは細胞からゲノムDNAを単離したかに左右されない。この方法は、例えば苗、もしくは成熟した植物、又はその任意の部分、器官、組織もしくは細胞から単離したゲノムDNAを用いることができる。また本発明は、特定の条件下で栽培した植物に左右されない。この植物は、例えば野外条件下、温室もしくは栽培箱中、培養中、又は温室もしくは栽培箱中での水耕で栽培することができる。典型的には、植物は、その植物の成長及び発達で好まれる光、温度、栄養分及び湿気の条件で栽培する。
【0158】
本発明の方法は、PCR増幅産物を検出することを含む。典型的には、PCR産物は、最初に分子量に基づいて基質中で産物を分離し、続いて基質中の分離した各PCR産物を検出することによって検出する。本発明の好ましい実施形態では、PCR産物は、PCR産物をアガロースゲル電気泳動し、続いてゲル中のDNAをエチジウムブロマイド染色し、UV光存在下で蛍光によりゲルを可視化することによって検出する。しかし、ポリヌクレオチドを分離するのに適するあらゆる検出方法は、本発明のPCR産物を検出するために用いることができ、これらに限定されないが、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動等が含まれる。このような方法のための基質は、例えば、アガロース、ポリアクリルアミド、ジエチルアミノエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セファロース、ポリオキシエチレン等を含む。本発明のPCR増幅は、放射性で標識した、又は蛍光色素、発光性標識、常磁性標識もしくは核酸の検出に適する他のあらゆる標識により標識した、1種以上のプライマーの使用を含むことができる。PCR増幅が1種以上のこのような標識したプライマーを含む場合、検出ステップは、このような標識を検出するための当技術分野で公知のあらゆる方法による放射性、蛍光、発光、常磁性又はその他の標識の検出を含むことができる。
【0159】
本発明はまた、本明細書で記載されるヒマワリAHASL1の遺伝子型を決定する方法を行なうためのキットを提供する。このようなキットは、本発明のプライマー、特に上記の順方向AHASL1プライマー、逆方向野生型AHASL1プライマー、及び逆方向突然変異型AHASL1プライマーを含む。好ましくは、順方向AHASL1プライマーは、図8に示される(ACC)n領域の5'にあるヒマワリAHASL1遺伝子の領域に対応するヌクレオチド配列を含み、逆方向野生型AHASL1プライマーは、配列番号13で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、逆方向突然変異型AHASL1プライマーは、配列番号14で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールする。より好ましくは、順方向AHASL1プライマーは、図8に示される(ACC)n領域の5'にあるヒマワリAHASL1遺伝子の領域に対応するヌクレオチド配列を含み、逆方向野生型AHASL1プライマーは、配列番号13で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、逆方向突然変異型AHASL1プライマーは、配列番号14で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールする。より好ましくは、順方向AHASL1プライマー、逆方向野生型AHASL1プライマー及び逆方向突然変異型AHASL1プライマーはそれぞれ、配列番号3、配列番号4及び配列番号5で示されるヌクレオチド配列を有するヌクレオチド分子を含む。本発明のキットは必要に応じて、次のものを1個以上含むことができる:ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、及びこの方法を行なうための取扱説明書。
【0160】
本発明はさらに、ヒマワリ植物のAHASL1対立遺伝子を同定する方法を行なうキットを提供する。このようなキットは、上記の本発明のプライマー、特に第一の順方向プライマー、第一の逆方向プライマー、並びに第二の順方向プライマー及び第二の逆方向プライマーを含む。第一の順方向プライマーは配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含み、第一の逆方向プライマーは、配列番号16で示されるヌクレオチド配列を含み、第二の順方向プライマーは、配列番号17で示されるヌクレオチド配列を含み、第二の逆方向プライマーは、配列番号18で示されるヌクレオチド配列を含む。このキットは必要に応じて、次のものを1個以上含むことができる:ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、及びこの方法を行なうための取扱説明書。
【0161】
また本発明は、本明細書に記載のPCR増幅を含む方法で用いるプライマーを提供する。このようなプライマーは、配列番号3、4、5、15、16、17及び18で示されるヌクレオチド配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0162】
本明細書で使用される「1(a及びan)」とは、一以上(即ち、少なくとも1)の文法的な対照項目を意味する。例えば、「1個の要素」とは、1個以上の要素を意味する。
【0163】
本明細書において、単語「含む」、あるいは「含んでいる」等は、述べられた要素、整数もしくはステップ、又は要素、整数もしくはステップの群が含まれていることを意味するが、他の要素、整数もしくはステップ、又は要素、整数もしくはステップの集まりを排除するものではないと理解される。
【0164】
以下の実施例は、例示目的で提示するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0165】
実施例1:ヒマワリAHASL1のイミダゾリノン耐性突然変異の表現型相互作用
GM40及びGM1606は、ヒマワリの突然変異由来の系統であり、AHASL1のコドン122(シロイヌナズナ命名法)中の点変異によりイミダゾリノンに対して高レベルの耐性を示す(国際公開第2007005581号及び米国仮特許出願番号60/695,952;2005年7月1日に出願)。A122T突然変異並びにその由来系統及び該突然変異についてのホモ接合型雑種は、既知で市販利用されている、AHASL1のA205V突然変異についてホモ接合型であるクリアーフィールドヒマワリより、イマザモクスに対してより優れた耐性を示すことが証明された(国際公開第2007005581号)。両方の突然変異体は、当該文献の他の多くの実施例にあるように、野生型の感受性対立遺伝子に対して不完全優性を示す。本発明は、A122T突然変異が、市販される用量の0.5xから6xまでの除草剤の散布範囲において、A205Vよりもイミダゾリノンに対する耐性に関してほぼ完全な優性を提供するという知見に基づいている。本発明は、イミダゾリノンの用量の増加に対してホモ接合型A122Tヒマワリ植物と同じ寛容性レベル及びパターンを示すヘテロ接合型A122T/A205Vヒマワリ植物を提供する。従って、イミダゾリノンに対するより高い寛容性は、クリアーフィールドヒマワリの親系統の一方でのみ、A122TによりA205Vをアレル置換することによって得ることができ、次にヒマワリ作物においてこの新規の対立遺伝子をより迅速に展開することができる。
【0166】
IMI-Rヒマワリ(HA425)において既に記載の耐性遺伝子A122T及びImr1遺伝子(A205V)の表現型相互作用を決定するために、交雑種GM40 (A122T)/HA425 (A205V)由来のF1、F2及びBC1F1の集団を、2種の除草剤散布量(イマザピル80g.a.i.Ha-1及び320g.a.i.Ha-1)で評価した。子孫をより低い除草剤量で評価する場合、この交雑種から生じたF2及びBC1F1の集団中には、感受性のある植物は観察されず、このことは、GM40及びHA425における耐性遺伝子が同じ遺伝子座の対立遺伝子であること、またそれらの両方が1xの除草剤散布量でイミダゾリノンに対して同じ耐性レベルを示すことを意味する。F2及びBC1F1の集団を高い除草剤量(320g.a.i.Ha-1)で記録し、両方の親を区別した場合、感受性の分離が観察された。2種の表現型種のみを検出することができ、それは傷害又は微兆候の無い植物を含む耐性種と、対照系統HA425のように死滅した感受性のある表現型である。選抜した450個のF2植物に対して観察された分離比は、分離比3:1と有意に異ならなかった。これらの結果を確認するために、F1植物をHA425に戻し交配し、それにより生じたBC1F1植物をイマザピル320g.a.i.ha-1で選抜した。観察された分離比は、R:S比1:1によく合い、このことにより、GM40における耐性遺伝子がHA425における耐性遺伝子に対して完全優性を示したことと、それらの両方が同じ遺伝子座であるAHASL1の対立遺伝子であることが確認された。
【0167】
これらの結果をさらに確認するために、分子マーカーによる手法を用いた。ヒマワリのAHASL1遺伝子は、Imr1対立遺伝子をもつ系統と、他のあらゆるヒマワリ遺伝子型とを区別する単純反復配列(SSR)多型を提供する(Kolkman et al. (2004) Theor. Appl. Genet. 109: 1147-1159)。このSSRを含むAHASL1遺伝子断片を、プライマーp-AHAS18及びp-AHAS19を用いてPCR増幅すると、GM40及びBTK47(元の突然変異誘発系統)に関する321bpの産物及びHA425に関する312bpの断片が算出された。GM40及びHA425で検出されたこの長さの変異多型は、両系統の交雑から生じるF2及びBC1F1集団における分離を調べるために用いた。F2集団由来の80個の植物及びBC1F1集団由来の50個の植物を無作為に選び、DNA単離のため採取し、320g.a.i.ha-1のイマザピル散布量でチャレンジし、このマーカーを用いて遺伝子型決定をした。F2集団では、22個の植物が除草剤(S)で死滅し、58個は兆候を示さなかったか軽微な損傷であった(R)。耐性に対する観察された分離比は、F2で分離する完全優性因子についての予想分離比(3R:1S)と有意に異ならなかった(P<0.61)。AHASL1 SSRマーカーについて観察された分離(19 A/A:39 A/B:22 B/B)は、F2において分離する共優性マーカーについての予想分離比と合う(1:2:1, P<0.87)。AHASL1 SSRについて遺伝子型決定した全ての感受性植物は、HA425ハプロタイプについてホモ接合型(B/B)であったが、R植物はGM40ハプロタイプについてヘテロ接合型(A/B)かホモ接合型(A/A)のいずれかであった(表4、図1)。除草剤耐性表現型及びAHASL1ハプロタイプの共分離をさらに、耐性について分離する50 BC1F1子孫で分析した。耐性について観察された分離比は、BC1における1つの遺伝子座の分離について予想された比1:1(P<0.78)に合う。AHASL1 SSRハプロタイプは、除草剤反応についての表現型と完全に共分離した(23 A/B:27 B/B)。感受性子孫は、HA425ハプロタイプについてホモ接合型(B/B)であったが、耐性子孫はHA425及びGM40ハプロタイプについてヘテロ接合型(A/B)であった。
【0168】
これらの結果によって、GM40の耐性遺伝子がHA425の耐性遺伝子と異なること、それらの両方が遺伝子座AHASL1の対立遺伝子変異体であること、またGM40に存在する遺伝子がImr1対立遺伝子に対して完全に優性であることが確認された。
【0169】
実施例2:全植物レベルにおけるイマザピルに対するホモ接合型A122T/A122T及びA205V/A205V並びにヘテロ接合型A122T/A205V事象の応答
この実験は、異なる遺伝的背景及び全植物レベルでのホモ接合型(A122T/A122T又はA205V/ A205V)及びヘテロ接合型(A122T/A205V)状態におけるA122T及びA205V突然変異をもつヒマワリ雑種のイマザピル感受性を定量化及び対比するために行った。
【0170】
材料
種々のヒマワリ系統の種子(表1)を、野外条件下で得た。
【表1】

【0171】
系統L1及びL2は、それぞれ雄性不稔系統及び回復育種系統であり、ホモ接合型状態でA205V対立遺伝子をもつ。L5、BTK 47は、GM40系統を開発するための開始材料として利用した維持系統である。GM40は、ホモ接合型状態でA122T突然変異をもつ元の系統である(ATCC特許寄託番号PTA-6716;国際公開第2007005581号を参照のこと)。L4は、各戻し交配世代において反復親と大部分で同様な植物を選択するためのマーカー補助戻し交配(marker assisted backcrossing)を用いて、交雑種R701*3/GM40から生じるBC2F4回復系統である。R701は、良い組合せ能力をもつ感受性回復系統である。戻し交配の二世代後、R701と大部分で同様な植物を自家受粉させ、その子孫をイマザピル耐性について選抜した。ホモ接合型のA122T植物は、本明細書下記に記載されるA122T突然変異の分子マーカー診断を用いて耐性子孫の間で選抜した。CMS GM40は、A122T対立遺伝子についてホモ接合型の植物とヘテロ接合型の植物とを区別するための同一の診断マーカーを用いて交雑種cmsBTK47/*2 GM40由来のBC1F1世代から開発したGM40の雄性不稔型である。
【0172】
方法
A122T突然変異についての診断マーカー
対立遺伝子特異的PCRアッセイは、AHASL1のA122T突然変異をもつヒマワリ植物の遺伝子型をハイスループットで決定することついて記載される。このアッセイによって:(1)突然変異をもつ個体を検出すること;(2)それらの個体の接合型を決定すること;及び(3)この変異をもつ耐性植物とA205V突然変異を含む植物とを区別することができる。
【0173】
PCRプライマーは、Kolkman et al.((2004) Theor. Appl. Genet. 109: 1147-1159)によって提供されたものを採用し、A122T突然変異及び挿入-欠失多型(「INDEL」)を含み、A122T突然変異の配列と既知の突然変異A205Vの配列とを区別するために用いることができるヒマワリAHASL1配列の断片を増幅した。
【0174】
これらのプライマーの名前及び配列は次の通りである:

【0175】
反応混合物は次の通りであった:1U Taq DNAポリメラーゼ、70 ngヒマワリゲノムDNA、25μg BSA、 並びに各dNTP 100μM、各プライマー0.25μM、90 mM Tris-HCl pH8、20mM(NH4)2SO4及び2.5 mM MgCl2の最終濃度。PCRプログラムは、初めに94℃で2分間の変性ステップ、続いて94℃で30秒間、56℃で30秒間及び72℃で30秒間を40サイクル、最後に72℃で10分間の伸長ステップからなる。
【0176】
前記のプライマーを用いたときのBTK47(又はGM40)に対する予想断片サイズは、321bpであり、A205V突然変異をもつヒマワリハプロタイプに関するGenBankアクセッション番号AY541455に基づいて予想される断片サイズは、312bpである。図4は、記載のPCR反応によって、配列間のINDEL多型の存在に基づいてA122T及びA205V両突然変異体を区別することができることを示す。
【0177】
増幅産物は制限酵素で処理され、生じた断片をアガロースゲルで解析した。制限酵素反応は、10μlの増幅産物、BSA 1X (100μg/ml)、NEBuffer 3 1X (100mM NaCl、50mM Tris HCl、10mM MgCl2、1mM ジチオトレイトール pH 7,9)及び2,5U BmgB Iからなる。この混合液を37℃で3時間インキュベートした。野生型及びA122T植物に対する制限酵素処理後の予想断片サイズは次の通りである:
野生型は183+138bpの断片を示す。GM40 (A122T)は183+76+62bpの断片を示す。ヘテロ接合型個体は183+138+76+62bpの断片を示す。図5は、この方法を用いた際に予想されるサイズの断片が得られること、及び野生型の植物からA122T保持体を検出することができること、また、A122T突然変異についてのホモ接合型個体とヘテロ接合型個体とを区別することが可能であることを示している。
【0178】
除草剤処理
種子をペトリ皿に播種し、発芽後、小植物体を等量のバーミキュライト、土壌及び砂からなる培養媒体が入っている10cm直径の鉢に移した。植物は、温室内で、16時間日長になるように400Wのハロゲン化ナトリウムで補った自然光条件下で栽培した。昼/夜温度は、それぞれ25及び20℃であった。V2-V4期(Schneiter & Miller (1981) Crop Sci. 21:901-903)で、各遺伝子型の10個の植物を8種のイマザピル用量(0、40、80、160、240、320、400及び480g ai/haは、それぞれ未処理、0.5x、1x、2x、3x、4x、5x及び6xに対応する)からなる各処理に無作為に割り当て、ゼロ時間バイオマス決定(zero-time biomass determination)を行なった。実験は、処理及び10回反復の完全実施要因(ヒマワリ系統x処理)計画で、乱塊法にて計画した。
【0179】
除草剤散布当日に、各遺伝子型の10個の植物を子葉節で切り取り、ゼロ時間乾燥重量決定のために60℃で48時間乾燥した。
【0180】
残った植物を、イマザピル処理後14日(DAT)間保持し、それらの高さ、植物毒性指数(PI)及び乾燥地上バイオマスを測定した。高さは、各植物の子葉節とその先端の距離として測定した。各系統の地上バイオマスのデータは、各試料からの適切な平均ゼロ時間バイオマスを差し引くことによって、散布後のバイオマス蓄積(biomass accumulation)に変換した。乾燥バイオマスデータは、各系統内の未処理の対照植物の割合に変換し、それにより、グループ間の直接的な比較ができるようになった。PIは、目視検査によって各植物について評価された0から9までの表現型の尺度である。兆候の無い植物は「0」として記録し、未処理の対照植物に関して成長阻害及びクロロシスの度合いが増加する場合、「1」から「4」と記録し、葉の異常及び葉のネクローシスの度合いが増加する場合、「5」から「8」と記録し、先端が完全なネクローシスとなる死滅した植物は「9」として記録した。
【0181】
結果
高さ
感受性系統の高さの減少は、低用量のイマザピル散布(0.5x)の場合85%であった。この系統における1xから6xまでの高さの減少は、未処理の対照植物の約85%であった。ホモ接合型状態でA205V突然変異をもつヒマワリ系統及びヒマワリ雑種の高さは、0.5x又は1xの割合のイマザピルを散布した場合、未処理の対照の高さと相違しなかった。2xから6xまで散布した場合、これらの系統は、未処理の対照の69.6% +/- 3.9に達する著しい高さの減少を示した(表2及び図1)。対照的に、ホモ接合型状態でA122T突然変異をもつヒマワリ系統は、高さの減少が減少した(それぞれ0,5x及び6xのイマザピル量について、未処理の対照の0.1%〜18.8%)。両グループの系統は、2xから6xへの除草剤量増加に対する応答について、グループ間で有意な差を示した(表2及び図1)。
【0182】
AHASL1で両方の突然変異型対立遺伝子をもつ材料(ヘテロ接合体A122T/A205V)は、0.5xから6x量の除草剤散布について、未処理対照の0.6%から38.2% +/- 2.7の高さ減少を示した。ヘテロ接合体についてのこの高さの減少は、ホモ接合型A122T/A122Tで観察された減少と相違しなかったが、ホモ接合型A205V/A205Vで記録されたものよりも少なかった(図1)。実際、ヘテロ接合体における高さ減少の平均は、いかなる用量の除草剤を散布した場合でも、ホモ接合型A122T/A122T植物で観察されたものと相違しなかったが、2xから6x量の除草剤散布の場合にホモ接合型A205V/A205V植物で観察されたものとは有意に異なった(表2)。
【0183】
植物毒性指数
ホモ接合型状態での両突然変異体は、0.5xから6xの除草剤量の増加に対する応答で大きな差を示した(図2)。ホモ接合型状態でA122T突然変異をもつヒマワリ系統は、除草剤量が増加するにつれて、対照植物よりも葉の大きさが微減し、緑色が明るくなった(表3)。対照的に、A205V突然変異をもつ植物は、0.5x又は1xの除草剤量で損傷を示さなかったが、損傷の度合い(クロロシス、葉の変形及び葉のネクローシス)は、2xから6xで急速に増加した(表3)。ホモ接合型状態での2つの突然変異体は、2xから6xの場合での植物毒性指数に関して互いに有意に異なった(表3)。ヘテロ接合型A122T/A205Vは、ホモ接合型A122T/A122Tと同じ応答パターンを示した。実際それらは、いかなる除草剤散布量でも対照植物より緑色が明るくなり、5x及び6x量での対照植物より葉の大きさが小さくなるのみであり、この場合、より高用量で1のPIを測定するのみであった(図2)。
【0184】
乾燥重量地上バイオマス
図3には、突然変異体A122T及びA205Vの乾燥重量に対する用量応答曲線を示した。ホモ接合型状態での事象A122Tのバイオマス重量は、4x、5x及び6x量で対照植物に対し減少し、この減少はより高用量の場合で25%に達した。一方、事象A205Vの乾燥重量は、0.5x(40g ai/ha)から6xまで、対照植物に対し減少した。両突然変異体は、0.5xから6xまで、この変数について突然変異体間で有意な差を示した(表4)。ヘテロ接合型A122T/A205Vは、ホモ接合型A122Tと同じ傾向を確かに示した(図3、表4)。それらは、0.5xから6x量の除草剤散布に対して、0.3%から33%のバイオマス重量の減少を示し、これは、どのような量の場合でのホモ接合型A122T個体で記録されたものとも変わらなかった。しかしヘテロ接合体は、3xから6x量で除草剤を散布した場合、乾燥物質蓄積に関してホモ接合型A205V個体に対して有意な差を示した(表4)。
【0185】
結論
AHASL1遺伝子座で両方の突然変異体対立遺伝子をもつヘテロ接合体は、ホモ接合型A122Tよりも、イマザピル散布量が増加するにつれて、植物の高さ、植物毒性指数及び乾燥物質の蓄積に関して、同じ寛容性レベル、応答パターンを示し、この寛容性レベルは、ホモ接合型A205Vによって発現されるものより優れている。
【表2】

【表3】

【表4】

【0186】
実施例3:野外条件下での、A122T及びA205Vについてのホモ接合型系統及びヘテロ接合型系統の、両突然変異についてのへテロ接合型系統(A122T/A205V)に対する、除草剤寛容性
この実験は、野外条件下で、ホモ接合型(A122T/A122T又はA205V/A205V)、ヘテロ接合型(A122T/-又はA205V/-)及び二重ヘテロ接合型(A122T/A205V)状態でA122T及びA205Vをもつ、種々の遺伝子型のヒマワリ雑種及びヒマワリ系統の除草剤寛容性を比較して行った。
【0187】
材料
用いたヒマワリを表5で一覧にした。
【表5】

【0188】
方法
表5の各エントリーの種子は、2005-2006年の生育期間中に南アメリカにて、最適な種子生産条件下で生産した。野外試験は、2006年にアメリカノースダコタの一箇所で行った。これらのエントリーは、各処理の組み合わせについての3回反復からなる分割法を用いて無作為完備計画で構成した。因子A(表6)は除草剤処理であり、因子Bはヒマワリのエントリーであった。プロットの大きさは、4列x12フィートであり、播種量は、現地の農業実務と一致した。
【表6】

【0189】
噴霧量: バックパック噴霧器に関し、1エーカー当たり10ガロン(GPA)(又は100リットル/ha)、又はトラクター搭載ブームに関し、20GPA(又は200リットル/ha)。
【0190】
除草剤散布での成長期:2-4葉期
エントリー15(野生型維持系統)は、全ての処理計画において噴霧されずに置かれた。
【0191】
植物毒性の評価は、除草剤散布後7日及び21日時点で評価した。植物毒性は、植物損傷の量として記録し(百分率で)、「0」の評価は、未処理のプロットに比較してそのプロット中で植物に損傷が無かったことを示した。「100」の評価は、未処理のプロットに比較したそのプロット中での植物の完全なネクローシス(死)を示した。
【0192】
データは、ANOVA解析し、3回の平均を表7(処理後7日時点での植物毒性)及び表8(処理後21日時点での植物毒性)に示した。
【0193】
結果
160g ai/haのイマザピルで、処理後7日及び21日後の時点(DAT)で、A205V/A122T二重へテロ接合型エントリー並びにホモ接合型A205V及びA122Tエントリー間での植物毒性の有意差はなかった。ヘテロ接合型A205Vエントリーの植物毒性は、7DAT及び21DATでの評価について、二重へテロ接合型A205V/A122Tエントリー及びホモ接合型エントリーより顕著に高かった(21DATについて、ヘテロ接合型A205Vエントリーでは20〜43%の範囲)。ヘテロ接合型エントリーの植物毒性はまた、7DATでの評価時期から21DATでの評価がされた時期に増加した。A205V/A122T二重へテロ接合型エントリー並びにA122T/A122T及びA205V/A205Vホモ接合型エントリーでは、7DATから21DATにかけて植物毒性の顕著な増加はなかった。
【0194】
50g ai、100g ai及び200g ai/haの3つのイマザモクスレベルは、全てのエントリーで試験した(エントリー15を除く)。200g ai/haのイマザモクスでは、ヘテロ接合型A205V/A122T系統(21DATで2〜3%植物毒性)は、ホモ接合型A205V/A205V系統(21DATで15〜22%植物毒性)より植物毒性が顕著に低く、ホモ接合型A122T/A122T系統(21DATで3〜5%植物毒性)と同等の植物毒性であることが示された。
【0195】
考察
二重ヘテロ接合型A205V/A122Tエントリーは、ホモ接合型A122T/A122Tエントリーに対する同等の除草剤寛容性と、ホモ接合型A205V/A205Vエントリーよりも優れた除草剤寛容性を示し、これは最高量のイマザモクス処理レベル(200g ai/ha)によって示された。
【0196】
イマザピルの単回処理レベルである160g ai/haは、二重へテロ接合型A205V/A122Tエントリーとホモ接合型エントリー間の植物毒性ついて有意な差を示すのに十分量ではなかったが、各へテロ接合型突然変異そのものと対比して、2種のヘテロ接合型A205V/A122T突然変異を一緒に掛け合わすことによって得られたより高い寛容性を示すのには十分であった。
【0197】
イマザモクス処理データに基づいて、ヘテロ接合型状態でのA205V突然変異と掛け合わした場合のA122T突然変異は、ホモ接合型状態でのA205V突然変異よりも強い除草剤寛容性を提供する。
【0198】
上記の実験は、ヒマワリにおけるAHASL1の2種の対立遺伝子突然変異間の相互作用を開示する。コドン122の突然変異は、以前報告されていたいかなるヒマワリのAHAS突然変異よりも著しく大きな除草剤寛容性を有するが、コドン205の突然変異は、中程度の耐性に寄与する。対立遺伝子122は対立遺伝子205よりも優性なので、両突然変異をもつヘテロ接合体の遺伝子型は、ホモ接合型122と同程度の寛容性を有する。
【0199】
除草剤寛容性が増加することによって、本発明は、ヒマワリ生産のための新規で高効率の除草剤製品の開発を可能にする方法を提供する。本発明は、A205V/A205Vである現在のクリアーフィールドヒマワリ雑種において単一遺伝子置換を作製することにより生産される、市販レベルの除草剤寛容性もつヒマワリ植物を提供するので、本発明は、除草剤寛容性ヒマワリ雑種の生産のための育種効率を増加させる際に使用され、市販のヒマワリ雑種におけるA122T突然変異のより急速な展開も提供する。
【表7】

【表8】

【0200】
実施例4:ハマウツボ防除のための、植物生育の後期生育期又は初期生殖期におけるイマザピル葉面散布に対する、ホモ接合型A122T/A122T又はA205V/A205V及びヘテロ接合型A122T/A205V事象の除草剤寛容性
オロバンケ・クマナ(Orobanche cumana)及びオロバンケ・セルヌア(Orobanche cernua)(ハマウツボ)は、世界中の多くの生産地でヒマワリに感染する2種の寄生性植物である。両種は、V6期から開花(R5)期にかけて順次ヒマワリ植物に感染する。V10からR1生育期においてA205を含むヒマワリ植物にイマゼタピル等のイミダゾリノン除草剤を散布することによってハマウツボを防除するための、その除草剤の使用が提案されている(国際公開第1999065312号)。この方法によって、オロバンケの防除はうまくいき、植物毒性はごくわずかであった。
【0201】
ここで我々は、イマザピル等のイミダゾリノン除草剤を、生育の初期生殖期(R1)間に、2x散布量で散布する際、A122T/A122T雑種又はA122T/A205V雑種の寛容性がA205Vホモ接合型植物の寛容性より優れていることを示す。本明細書において我々は、ヒマワリにおけるオロバンケ防除のためのA122T/A122T及びA122T/A205Vの有用性を示す。
【0202】
材料
系統H1、H2及びH3を、表9に記載する。雑種H5は、L3xR701間の交雑により生じたF1であり、雑種H6はL1xR701間の交雑により生じたF1である。
方法
各エントリーの種子は、2005年ラグーナ・ブランカ(フォルモサ、アルゼンチン)において最適な種子生産条件下で生産した。野外試験は、2006年ベナド・ツエルト(サンタフェ、アルゼンチン)の一箇所で行った。これらのエントリーは、各処理の組み合わせについての3反復からなる無作為完備計画により構成した。因子Aはヒマワリ生育の個体発生期(V8及びR1)であり、因子Bはヒマワリのエントリーであった。プロットサイズは、5列x6メートルであり、植物を各列内に25cm間隔で分配した。V8又はR1期において、160g ai/haイマザピル+0.25%(v/v)NISを、バックパック噴霧器を用いて噴霧量100リットル/haで散布した。
【0203】
植物毒性評価は、除草剤散布後14日及び21日時点で評価した。植物毒性は、植物損傷量として記録し、ここで評価「0」は、未処理の対照プロットに比較してそのプロット中の植物に傷害がなかったことを示した。評価1〜15は、プロット中のクロロシスの増加するレベルを示し、ここで「15」は、そのプロット全体が帯黄色になることを示した。評価「20」〜「49」は、成長阻害、変形及びネクローシスの増加するレベルを示した。評価「50」は、植物の死(完全なネクローシス)を示した。
【0204】
データはANOVA解析し、各エントリーの平均は、0.01確率レベルでのLSD検定により比較した。
結果
処理後14日及び21日時点(DAT)で記録した平均植物毒性指数(PI)を、表9及び10に示す。
【0205】
雑種のほとんど全ては、植物生育のV8期で噴霧した場合、わずかなクロロシスの兆候を示した。唯一の例外は、ヘテロ接合型122/WT雑種であって、14DATで完全に黄色化した(表9)。この黄色化は、21DATでは消失した(表10)。また21DATで、PIに関しては系統間で差はなかった(表10)。
【0206】
一方、雑種に植物生育のR1期で噴霧し、14DATで評価した場合では、2種の十分に明確なグループを認めた。1つのグループは、クロロシスの兆候(PI は11.7より小さい)を示しただけであったが、第2のグループは、成長阻害及び変形と共にクロロシスの兆候(PIは35より大きい)を示した。第一のグループは、少なくとも1種の対立遺伝子A122Tをもつ系統からなり(即ち:雑種A122T/A122T、A122T/A205V及びA122/WT)、第二のグループは、ホモ接合型及びヘテロ接合型の両状態でA205V突然変異事象をもつ雑種からなる(A205V/A205V、A205V/WT)。両グループ間でのPIの差は、極めて有意である(p<0.01;表9)。しかし21DATでは、A122/WT雑種でPIスコアが増加したが(11.7から23.3に)、A122T/A122T及びA122T/A205V雑種でPIスコアが2.3〜4.3から1.7〜0.7に減少した。これら後者の2種の雑種とA122T/WT雑種間の差は、21DATで極めて顕著であった(表10)。A205/A205V及びA205V/WTを含む系統はまた、多くの植物が頂部焼け及び成長点への傷害の兆候を示す非常に高いPIスコアを示した(表10)。
【0207】
考察
これらの結果によって、雑種A205V/A205V又はA205V/WTは、散布後に植物毒性の増加及び深刻な傷害を示したので、V8後にイマザピルで噴霧できないことが示される。雑種A122T/A122T及びA122T/A205Vは、イマザピル散布後にごくわずかなクロロシスの兆候を示しただけであった。これにより、A122T/A122T及びA122T/A205Vヒマワリ植物は、R1期で散布した場合、A205V/A205V又はA205V/WTよりイミダゾリノン除草剤に対してより優れた寛容性レベルを示すことが確認された。つまり、A122T/A122T及びA122T/A205Vの組合せ(stack)を含む系統は、植物生育のR1(後期植生又は初期生殖)期にイマザピルを散布することによって、オロバンケをその除草剤で防除するために用いることができる。
【表9】

【表10】

【0208】
実施例5:全植物レベルにおけるスルホニル尿素除草剤に対するホモ接合型A122T/A122T又はP197L/P197L及びヘテロ接合型A122T/P197Lの事象の応答
ヒマワリのスルホニル尿素に対する耐性は、カンザスの野生ヒマワリ(ヘリアンサス(Helianthus))集団で発見された(USA, (Al-Khatib et al. (1998) Weed Sci. 46:403-407)。耐性遺伝子(Ar-kan)は、除草剤耐性栽培品種及び雑種を生育及び展開するために、野生の集団から選良の近交系に遺伝子移入された(Al-Khatib and Miller (2000) Crop Sci. 40:869; Miller and Al-Khatib (2002) 42:988-989; Miller and Al-Khatib (2004) Crop Sci. 44:1037-1038)。スルホニル尿素耐性遺伝子型由来のAHASL1は、コドン197でCからTへの突然変異を有し、それによりこの位置でProからLeuへの変化が生じることが示されている(Kolkman et al. (2004) Theor. Appl. Genet. 109: 1147-1159)。
【0209】
メトスルフロンメチル(メチル2E[C[(4-メトキシ-6-メチル-l,3,5-トリアジフル-2-イル)アミノルカルボニル]アミノ]スルホニル]ベンゾエート])は、コムギやオオムギ及び敷設用地等の非耕作地での使用用に登録されたスルホニル尿素除草剤である(EPA Pesticide Fact Sheet Metsulfuron Methyl (1986) Collection of pesticide chemistry, US Government Printing Office 461-221/24041)。
【0210】
この研究の目的は、温室条件下にて、全植物レベルでホモ接合型(A122T/A122T又はP197L/ P197L)及びヘテロ接合型(A122T/P197L)状態でA122T及びP197L突然変異をもつヒマワリ雑種のメトスルフロン感受性を定量化及び比較することであった。
【0211】
材料
次の材料を用いた:B770、GM1606、GM40、L4、cms GM40xL4、cms GM40xBTSu-R1及びBTSu-R1。B770は、突然変異誘発系統GM1606の親供給源として用いた感受性ヒマワリ系統である。GM1606は、A122T突然変異についてホモ接合型であり、GM1606及びB770は、AHASL1遺伝子座でのみ異なる同種系統である。GM40、L4及びcmsGM40xL4は上記の通りであった。BTSu-R1は、我々の研究室で生育した回復系統であり、混在集団SURES-2からの系統選択によって得られ、このことは、Miller及びAl-Khatib (2004) Crop Sci. 44:1037-1038によって開示された。
【0212】
方法
ペトリ皿に種子を蒔き、発芽後、小植物体を等分量のバーミキュライト、土及び砂からなる培養媒体を含む10cmのポットに移した。植物は、16時間日長になるよう、400Wハロゲン化ナトリウムで補った自然光条件下にて温室中で栽培した。昼/夜の温度は、それぞれ25℃及び20℃であった。V2-V4期(Schneiter & Miller, 1981)で、各遺伝子型の20個の植物は、3種のメトスルフロンメチル用量(0又は処理なし、5g ai/ha又は1x量、及び10g ai/ha又は2x量)からなる各処理に対して無作為に割り当てた。ゼロ時間バイオマス測定も行なった。実験は、処理及び20反復の完全実施要因計画(ヒマワリ系統x処理)で無作為完備型ブロック計画(RCBD)として手配した。
【0213】
ゼロ時間乾燥重量測定では、各遺伝子型の10個の植物を、除草剤散布の当日に、子葉節で切り取り、60℃で48時間乾燥させた。残りの植物は、除草剤処理後(DAT)14日間維持され、それらの高さ、植物毒性指数(PI)及び地上乾燥バイオマスを記録した。高さは、子葉節と各植物の頂部間の距離として測定した。各系統の地上バイオマスのデータは、各試料から適切な平均ゼロ時間バイオマスを差し引くことによって、散布後のバイオマス蓄積に変換した。高さ及び乾燥バイオマスは、各系統に関して未処理の対照に対する割合に変換し、グループ間の直接的な比較をできるようにした。PIは、目視検査によって各植物の植物毒性を評価する0から9までの表現型基準である。兆候が無い植物は、「0」として記録した。未処理の対照植物に対して成長阻害及びクロロシスの度合いが増加する場合は、「1〜4」の範囲で記録した。葉の異常及び葉のネクローシスの度合いが増加する場合は、「5〜8」の範囲で記録した。頂部が全てネクローシスとなった死滅した植物は「9」として記録した。
【0214】
データはANOVA解析し、平均はLSD検定によって比較した。
【0215】
結果
野生型及びA122/A122Tホモ接合型植物の高さ、乾燥物質蓄積及びPIは、両散布量でのスルホニル尿素に対する慣用のヒマワリ及び突然変異事象A122Tの高感受性を反映した(表11)。対照的に、突然変異事象P197Lは、両除草剤量において未処理の対照の高さのほぼ80%となる、より高い寛容性を示した。同様に、1x及び2xのメトスルフロン量で、この事象についての乾燥物質蓄積は、それぞれ88%及び77%であった。最後に、P197L/P197Lホモ接合型系統のPIは、両除草剤量で0及び0.1となり、このことは、植物に植物毒性の兆候が実質的になかったことを反映している(表11)。
【0216】
掛け合わせの雑種A122T/P197Lは、ホモ接合型P197系統と同じ寛容性パターンを示し、解析した全ての変項について、全てのホモ接合型A122Tよりも良い能力を示した(表11)。これを例証するため、1xメトスルフロンで処理した場合、A122T/P197L系統は、ホモ接合型P197L耐性系統と同じPI及び高さの減少を示した。2xメトスルフロン量では、A122T/P197Lは、P197Lホモ接合型系統と同じ乾燥物質の蓄積を示した。ヘテロ接合型P197L/A122T雑種は、次のパラメーターについて耐性系統P197Lと有意に異なった:1xにおけるDNA(それぞれ74.4対88.1)、PH(62対80.9%)及び2xにおけるPI(1対0.1)。しかし、これらの差の大きさは、A122T/P197Lヘテロ接合体と全てのホモ接合型A122T及び野生型系統の間で観察された差と比較して非常に小さかった。
【0217】
考察
これらの結果に基づき、二重ヘテロ接合型A122T/P197Lは、ホモ接合型A122T/A122T及び野生型より優れたメトスルフロン耐性を示し、P197L/P197Lホモ接合型系統とほぼ同じ寛容性を示した。
【表11】

【0218】
実施例6:ヒマワリにおけるAHASL1遺伝子座の除草剤耐性対立遺伝子のための診断PCRマーカー
一塩基多型(SNP)アッセイは、本明細書の上記及び2005年7月1日出願の米国仮特許出願番号第60/695,952号に記載のAHASL1ヒマワリ突然変異をもつヒマワリ植物の遺伝子型をハイスループットで決定するために準備された。このアッセイによって、(1)A122T突然変異をもつ個体の検出、(2)これらの個体におけるA122T突然変異の接合型決定、及び(3)ヘテロ接合の場合に、植物中に存在する他の掛け合わせのAHAS耐性対立遺伝子(A205V又はP197L)と共に両方のA122T突然変異の検出が可能となる。
【0219】
1)PCRプライマーと増幅条件
PCRプライマーは、本明細書及び上記の特許出願で開示のDNA配列に基づいて開発した。これらのプライマーの名前及び配列は、次の通りである:

【0220】
反応混合液は次の通りである:1 U Taq DNAポリメラーゼ(Biotools, 10.047)、70ngヒマワリゲノムDNA、25μg BSA、並びに各dNTP100μM、各p-AHAS NIDF/AHAS122TWTプライマー又はp-AHAS NIDF/AHAS 122 TMUプライマー0.25μM、90 mM Tris-HCl pH8、20mM(NH4)2SO4及び2.5 mM MgCl2の最終濃度。
【0221】
PCRプログラムは、初めに94℃で2分の変性ステップを行ない、続いて94℃で30秒、55℃で30秒及び72℃で30秒を45サイクル、最後に72℃で10分間の伸長ステップからなる。
【0222】
2)A122T突然変異及びそれらの接合型をもつ植物の検出
前記記載の突然変異をもつ個体を検出するために、p-AHAS NIDF/AHAS 122 TMUプライマーの組み合わせを用いた。少なくとも1コピー(即ち、ホモ及びヘテロ接合型の個体)のA122T対立遺伝子を有する個体は、194bpの断片を生じる。野生型個体又はAHASL1についての他の任意のハプロタイプを有する個体は、このプライマーの組み合わせでは断片を生じない(図6及び表12を参照のこと)。結論として、このプライマーの組み合わせは、A122T突然変異のための診断となる。
【0223】
プライマーの組み合わせp-AHAS NIDF/AHAS 122 TWTは、(a)A122T対立遺伝子が、このプライマーの組み合わせでは増幅産物を生産するはずではないので、以前の結果の特異性を確認するために、及び(b)各植物で存在する他の対立遺伝子がどれであるかを決定するために(もしA122Tと異なるならば)、用いた(図7及び表12を参照のこと)。
【0224】
プライマーの組み合わせp-AHAS NIDF/AHAS 122 TWTを用いる場合には、野生型個体、A205V及びP197L突然変異では特定の断片が生じ(表12)、一方、A122Tホモ接合体では、増幅産物は生じなかった。
【0225】
1)で増幅した産物は、4%アガロースゲル(Methaphor Agarose)で分析した。
【0226】
AHAHL1遺伝子における種々のヒマワリハプロタイプ(Hap)由来のPCR産物の予想サイズを、表12に示す。Hap1-Hap6の配列アライメントは、図8で示され、これは上記のp-AHAS NIDF、AHAS122TWT、及びAHAS 122 TMUプライマーのアニーリングサイトの位置、並びに、A122T突然変異及び(ACC)n領域のサイトの位置を含み、それにより種々のハプロタイプ間のPCR産物の大きさの違いが生じる。
【表12】

【0227】
実施例7:ヒマワリAHASL1 A122T対立遺伝子を検出するための対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応
CLEARFIELDヒマワリの育種を容易にするために、ヒマワリAHASL1 A122T対立遺伝子を検出するための次のSNPアッセイを開発した。アッセイの開発及び検証のために用いられるIMI寛容性品種は、多数の慣用の及び除草剤寛容性の品種を含む。このアッセイは、対立遺伝子特異的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、ヒマワリAHASL1 A122T対立遺伝子の接合型を検出し決定する。4種のプライマーによる1ラウンドの増幅によって、3種の可能性のある接合型状態:野生型、ヘテロ接合型、及び突然変異型(A122T/A122T)を検出するのに必要な産物が得られる。AHASL1及びAHASL2の遺伝子座は突然変異を含む領域中で同一なので、1セットのプライマーを、AHASL1遺伝子座を特異的に増幅するために設計した(下記のHA122CF及びHA122CRを参照のこと)。また、対立遺伝子特異的なプライマーは、アラニンからスレオニンへの各コドンの変化に関与する、単一ヌクレオチド「G」から「A」に特異的にアニール/伸長するように設計した。野生型対立遺伝子特異的なプライマーは、逆方向プライマーである。従って、その末端塩基は下記の通り「C」である。HA122CF及びHA122CRによって形成される794塩基対の対照バンドは、突然変異サイトの塩基に関わらず生成され、ポジティブコントロールとして働く(図9)。
【0228】
プライマーHA122CF及びHA122wtの増幅によって生成した野生型条件についての診断バンドでは、258塩基対の断片が生じた(図9)。このプライマーは、野生型試料に対する特異性を増加させるのに役立つ、意図的な4塩基のミスマッチを実際の突然変異の上流に含む。突然変異型条件についての診断バンドでは、576塩基対の断片が生じる(図9)。576塩基対産物は、HA122mut及びHA122CRの増幅から生成し、これは突然変異型対立遺伝子の存在を示している。突然変異型特異的なプライマーは、突然変異型試料に対する特異性を増加させるのに役立つ、意図的な3塩基のミスマッチを実際の突然変異の上流に含む。従って、その突然変異についてヘテロ接合型である試料では、アガロースゲル電気泳動によって可視化される際に3種のバンドが生じ、それは対照バンド及び両診断バンドである。ホモ接合型試料は、2種のバンドを示す。そのゲルパターンは、コドン122中の塩基判定(base call)によって変わる。これらのPCRプライマーは下記の通り与えられる:

【0229】
実施例8:A122T形質を発現する高オレイン酸、イミダゾリノン耐性ヒマワリ
ヒマワリ植物にイミダゾリノン除草剤に対する高レベルの耐性を付与するAHASL1 A122T突然変異体対立遺伝子を発現し、少なくとも85%のオレイン酸を含む抽出種子油を含む種子を生成するヒマワリ植物を作製した。これらのヒマワリ植物は、GM40から生じるIMI耐性系統と高オレイン酸(HO)系統(VB141)とを交雑し、分子マーカーを用いてF2の形質及び同系交配の後代を選抜することを介する、慣用の育種法により得られた。GM40及び少なくとも1コピーのAHASL1 A122T突然変異型対立遺伝子を含む他のヒマワリ系統であるGM1606は、上記及び国際公開第2007005581号に記載されている。GM40及びGM1606の種子は、ATCCに寄託され、それぞれATCC特許寄託番号PTA-6716及びPTA-7606に割り当てられている。
【0230】
材料
系統BTI-OL-M1511、BTI-OL-M1709及びBTI-OL-2201は、高オレイン酸含有量及びイミダゾリノンに対する寛容性をもつよう選抜された3種の実験ヒマワリ系統である。VB141、HA445及びOB712は、高オレイン酸系統であり、B770及びBTK112は2種の慣用系統であり、GM40はA122Tの慣用系統である。
【0231】
方法
種子の脂肪酸組成:全ての植物は、3反復の完備型無作為ブロック計画に従って、ラグーナ・バランカ(フォルモサ・アルゼンチン)の野外条件下で栽培した。各反復からの10グラムの種子を解析に用いた。各試料の脂肪酸組成は、標準的な手順に従うガスクロマトグラフィーにより測定した。各材料に対して3反復の平均値を表16に示す。
【0232】
イミダゾリノンに対する寛容性:9種の系統の種子を温室条件下で鉢に播種した。各系統の少なくとも20本の小植物体に、160gr/haの用量でイマザピルを、V4期(Schneiter & Miller, 1981)に噴霧した。処理後14日時点で、各植物について植物毒性指数(PI)を用いて表現型を記録した。PIは、目視検査によって各植物で評価した0から9までの表現型基準である。兆候がない植物は、「0」として記録し、未処理の対照植物に対して成長阻害及び黄色化の度合いが増加する場合は、「1」〜「4」として記録し、葉の異常及び葉のネクローシスの度合いが増加する場合は、「5」〜「8」と記録し、頂部が完全なネクローシスとなる死滅した植物は「9」として記録した。
【0233】
結果
高オレイン酸系統は、種子中で85.79から88.97%のオレイン酸含有量を示したが、一方、慣用の材料は、より少ない含有量を示した(18,62から24,2%)。系統BTI-OL-M1511、BTI-OL-M1709及びBTI-OL-2201は、種子中で89.58から90.83のオレイン酸濃度を示し、HO系統で得られたものも同様であった(表16)。
【0234】
系統HA445、VB141、OB712、B770及びBTK112は、除草剤処理によって死滅したが、系統BTI-OL-M1511、BTI-OL-M1709及びBTI-OL-2201は、耐性系統GM40で観察された耐性レベルと同様であった(表17)。
【0235】
結論として、系統BTI-OL-M1511、BTI-OL-M1709及びBTI-OL-2201では、イミダゾリノンに対する高耐性及び種子中の高レベルのオレイン酸が組み合わされる。
【表13】

【表14】

【0236】
実施例9 A122T/A122T、A205V/A205V及びA122T/A205V事象についての野外評価及びAHAS活性評価
野外評価は、AHASL1遺伝子についてA122T/A122T、A122T/A205V又はA205V/A205Vであるヒマワリ植物の相対的なイミダゾリノン寛容性レベルを決定するために種々の場所にわたり行なった。種々の各遺伝子型のヒマワリ植物は、環境条件の範囲下で、種々の用量のイマザモクス及びイマザピルでチャレンジした。また、インビトロAHAS活性は、3種の各ヒマワリ遺伝子型のヒマワリ植物について、増加するレベルの除草剤の存在下で測定した。
【0237】
材料と方法
E因子(imr1 imr1 / imr2 imr2)の欠損について特異的に選抜したヒマワリ系統であるBTK47は、EMS種子突然変異誘発を受けた。イマザピル野外選抜で生存したM2:4系統は、次の交雑及び酵素活性試験のために選抜した。この系統をGM40と名づけた。
【0238】
A122T形質の野外評価
A122T突然変異型対立遺伝子を、種々の維持系統、回復系統及び不稔近交系統に遺伝子移入した。ホモ接合型A122T近交系は、野生型(WT)近交系(除草剤寛容性突然変異を含まない)、ホモ接合型A122T近交系、又はホモ接合型A205V近交系のいずれかと交雑し、種々のF1突然変異対立遺伝子接合型の組み合わせを生成した(表18)。これらのエントリーは、幾つかの地域的に適合したCLEARFIELD(登録商標)A205V市販品種検査と共に、2005年から2008年まで北アメリカ、南アメリカ及びヨーロッパの多数の場所でイミゾリノン寛容性について野外検査した(表19)。
【表15】

【表16】

【0239】
2007年及び2007/2008年における各場所のエントリーは、各処理の組み合わせについての3反復からなる無作為2要因分割法で手配した。因子Aは除草剤処理であり(表20)、因子Bはヒマワリのエントリーであった(表18)。プロットサイズは、2列x7mであり、播種量は、現地の農業実務と一致した。除草剤処理は、トラクター搭載ブームで2-4葉期に散布した(20ガロン/エーカー、又は200リットル/ha)。処理2は、フランスの2箇所で散布したのみであった。
【表17】

【0240】
作物損傷(植物毒性%)評価は、処理後6〜10日及び処理後16〜21日時点で評価した。植物毒性%は、所与のプロットにおける平均量の植物損傷として記録し、ここで、「0%」の評価は、未処理プロットに比較して植物に傷害が無かったことを示した。10%から40%の評価は、クロロシスの度合いが増加したことを示した(40は葉が完全に黄色化する可能性がある)。50%又はそれより高い評価は、植物が完全な黄色化を示すこと、並びに葉のネクローシスの度合いが増加することを示した。「100」の評価は、植物の完全なネクローシス(死)を示した。
【0241】
発芽、開花の日数、開花の終わりまでの日数及び成熟は、各場所で各プロットについて評価した(データは示していない)。このデータをANOVA解析した。
【0242】
AHAS活性の酵素アッセイ
表21に示される各系統由来の12個の温室栽培ヒマワリ植物をバルク化し、Singh et al. (1988) Anal. Biochem. 171:173-179の方法によりAHAS酵素活性アッセイを行なった。各活性アッセイは、二度繰り返した。試料が非常に多かったため、実験を2セットに分けた(表21)。
【表18】

【0243】
4週齢の小植物体の幼若な活動的に生育する葉を、液体窒素を用い、すり鉢及びすりこぎで細かくすり潰し、100mMピルベート、200mM KH2PO4、20mM MgCl2、2mM チアミンピロホスフェート及び20μMフラビンアデニンジヌクレオチドからなる緩衝液で抽出した。植物抽出物は、製造元の推奨により、10mL ZebaTM脱塩スピンカラム(Pierce番号89893)を介して回転させた。阻害アッセイは、Singh et al. (1988) Anal. Biochem. 171:173-179によって記載の通りに行った。アッセイは、96ウェル形式で行なった。50μlの阻害剤を、50μlの可溶性タンパク質抽出物を含む各ウェルに添加し、最終濃度を、イマザモクスでは0.78、1.56、3.125、6.25、12.5、25、50及び100μM、あるいはイマザピルでは0.78、1.56、3.125、6.25、12.5、25、50及び100μMになるようにした。ゼロの除草剤対照も、各系統について含めた。反応はSingh et al. (1988) Anal. Biochem. 171:173-179によって概説されているように処理した。吸光度は530nmで測定した。各処理に対する吸収値の平均として表されるAHAS活性は、ゼロ除草剤対照の平均の百分率として示した。
【0244】
結果と考察
除草剤寛容性作物において、作物損傷の表現型は、遺伝子型及び環境間(GxE)の相互作用により生じると考えられる。除草剤寛容性に対する環境成分は、除草剤用量の効果と結合した、非生物要因(例えば天気、土壌)及び生物要因(例えば昆虫、病気及び雑草圧)の合計である。この環境効果の例は、図10に見られ、ここでは同用量(200g ai/haイマザモクス)で、4箇所(ベルバ、ND、USA;アンジェ、FR;サント、FR;フォルモサ、AR)で栽培した同じ遺伝子型の植物毒性の変動が示されている。除草剤寛容性(HT)植物の遺伝子型因子は、残存する遺伝子背景に加えた、HT遺伝子の合計であり、その両者間の相互作用である。
【0245】
それらの相対的な寛容性レベルについてHT遺伝子を評価するために、2つのアプローチを用いた。第一のアプローチは、ある環境の厳しさ(種々の除草剤用量と組合せた場所及び年度)の範囲下で除草剤損傷を測定し、第二のアプローチは、増加するレベルの除草剤を用いて標的酵素を(インビトロで)試験した。第一のアプローチを用いて、我々は、除草剤処理後6〜10日時点での現在市販される地域的に適合したA205V検査の平均植物毒性指数(PI)を計算することによって、この形質と関連する環境因子を定量化した。A122T突然変異をもつ種々の雑種についてのPI値は、A205V検査の平均PI値に対してプロットし、環境成分の範囲にわたって新しい突然変異の相対的な耐性レベルを評価した(図11及び12)。図11及び12のx軸で理解できるように、場所と除草剤用量の組み合わせは、環境条件の多様な配置を生成し、イマザモクス処理については5.9から78のPI平均値、イマザピル処理については2から100のPI平均値に及んだ。y=x線は、全環境成分にわたるA205V検査についての平均PI値を表した。
【0246】
イマザモクス処理後に得られた結果を図11に示す。A122Tホモ接合型雑種は、環境成分が厳しくなるにつれて、PIが増加することを示した。しかし、回帰線の傾き(b= 0.149±0.0667、P<0.0375)は、環境の厳しさの関数としての作物損傷のレベルがA205V検査より低い割合で増加することを示した。ヘテロ接合型状態でA122T突然変異とA205V対立遺伝子とを組み合わせた雑種は、ホモ接合型状態のA122T雑種と環境の厳しさに対して同様の応答(b=0.39±0.05、P<0.0001)を示した。一方、ヘテロ接合型状態(A122T /WT)のA122T突然変異を含む雑種は、回帰線のより大きいy切片値(a=15.3±2.67)によって示されるように、より低い環境の厳しさでA205V検査より高い穀物損傷評価を示した。環境成分の厳しさが増加する場合、これらのA122Tヘテロ接合型雑種は、線形方程式の傾きによって示されるように(b=0.45±0.062、P<0.0001)、A205V検査より良い結果を示した。イマザピルを用いて同じエントリーを同環境でチャレンジした場合を、同様に図12に示す。
【0247】
イマザピル処理による環境の厳しさは、図12中の各遺伝子型についての凡例で要約される回帰によって要約することができる。
【0248】
野外で観察される除草剤寛容性効果を明らかにするために、同じ除草剤寛容性遺伝子の組み合わせについて、AHAS酵素阻害試験を行なった。これらの試験は、表18中の各エントリーの12個体の大部分について行なわれた。2反復の平均を、第一の実験(セット1、表21)では図13、第二の実験(セット2、表21)では図14に示した。未処理の対照試料は、100%AHAS酵素活性についての基線を設けるため含めた。100μMイマザモクスで処理したA122Tホモ接合型雑種のAHAS活性は、未処理の対照の69%で、100μMイマザピルの場合、未処理の対照の64%であった(図13)。A122T/A205Vヘテロ接合型雑種のAHAS酵素活性は、100μMイマザモクス及び100μMイマザピル処理の抽出物に対して、それぞれ59%及び60%であった(図13)。現在市販のA205V製品である、A205Vホモ接合型雑種系統は、100μMイマザモクス及び100μMイマザピルでそれぞれ未処理の対照の36%及び42%のAHAS活性を示し(図13)、これはA122Tホモ接合型雑種及びA122T/A205Vヘテロ接合型雑種の両活性よりも低かった。
【0249】
第二のデータセットでは、A205Vホモ接合型雑種は、A122Tヘテロ接合型雑種とほとんど同一であった(図14)。雑種の両タイプは50μMイマザモクスで30%のAHAS活性を示したが、A205V雑種は100μMイマザモクスで26%の活性を有し、A122Tヘテロ接合型雑種は100μMイマザモクスで30%の活性を有した。対照的に、A122Tホモ接合型雑種のAHAS酵素抽出物は、イマザモクスの増加に伴い、最少量の阻害を示し、50μM及び100μMのイマザモクスでは、未処理の対照に比べて、それぞれ63%及び60%の活性を示した(図14)。野生型系統(B7)は、両実験セットで遺伝子型が同一であり、2実験間で100μMイマザモクスにて6%活性の分散を示した(セット1では未処理の対照に比べて17%のAHAS活性(図13)及びセット2では未処理の対照に比べて11%のAHAS活性(図14))。
【0250】
野外及びAHAS酵素活性のデータに基づいて、新規のA122T突然変異が、現在のA205V突然変異に比べて、イミダゾリノンに対してより優れた除草剤寛容性を提供することが決定された。A205Vヒマワリの除草剤耐性の市販レベルは、Imr1によって得られる中程度の耐性のために、ホモ接合型状態での2種の遺伝因子の組み合わせを必要とする。対照的に、A122T突然変異のみを用いることによって、Imr2エンハンサー(又は遺伝子型相互作用による遺伝子)は、市販レベルの寛容性を達成するためにもはや必要とされない。最も重要なことだが、これらの結果によって、A122Tはホモ接合型単一遺伝子HT形質として、あるいはA205V HT形質を伴うヘテロ接合型の掛け合わせとして用いることができ、それによりCLEARFIELD生産系において寛容性レベルが増強し、雑草防除で柔軟性が増し、この新規な突然変異の展開を容易にすることが示される。
【0251】
本明細書に記載された全ての文献及び特許出願は、この発明が属する技術分野における当業者の水準の指標となる。全ての文献及び特許出願は、個々の各文献又は各特許出願が参照によって組み込まれるべきことが明確かつ個別に示されるのと同程度に、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0252】
上記発明は、理解を明確にするために、実例及び実施例によって幾らか詳細に記載しているが、一定の変更や修飾は、添付の特許請求の範囲内で行なってもよいことは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲノム中にアセトヒドロキシ酸合成酵素大サブユニット(AHASL1)遺伝子の第一の対立遺伝子及び該AHASL1遺伝子の第二の対立遺伝子を含む除草剤耐性ヒマワリ植物であって、該第一対立遺伝子がA122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子がA205Vアミノ酸置換及びP197Lアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする、前記ヒマワリ植物。
【請求項2】
前記除草剤耐性ヒマワリ植物が、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤に対して耐性をもつ、請求項1に記載のヒマワリ植物。
【請求項3】
前記AHAS阻害性除草剤が、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤及びスルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤からなる群より選択される、請求項1に記載のヒマワリ植物。
【請求項4】
前記ヒマワリ植物が種子である、請求項1に記載のヒマワリ植物。
【請求項5】
前記ヒマワリ植物が、少なくとも85%のオレイン酸を含む抽出種子油を含む種子を生産する、請求項1に記載のヒマワリ植物。
【請求項6】
雑種ヒマワリ植物の生産方法であって、該方法は第一ヒマワリ植物を第二ヒマワリ植物に交配させることを含み、ここで該第一ヒマワリ植物がそのゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子を含み、該第二ヒマワリ植物は、そのゲノム中に少なくとも1コピーのAHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含み、該第一対立遺伝子はA122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換及びP197Lアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする、前記方法。
【請求項7】
前記交配から生じる種子を収穫することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一ヒマワリは前記第一対立遺伝子についてホモ接合型であり、前記第二ヒマワリ植物は前記第二対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ゲノム中に前記第一及び第二の対立遺伝子を含む、該交配由来の少なくとも1種の子孫ヒマワリ植物を選抜することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ヒマワリ植物の近傍の雑草を防除する方法であって、該方法は有効量のAHAS阻害性除草剤を雑草及びヒマワリ植物に散布することを含み、該ヒマワリ植物は:
(a)ゲノム中にAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子及び該AHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含むヒマワリ植物であって、該第一対立遺伝子はA122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子は、A205Vアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする、前記ヒマワリ植物;及び
(b)ゲノム中にAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子及び該AHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含むヒマワリ植物であって、該第一対立遺伝子はA122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子は、P197Lアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする、前記ヒマワリ植物
からなる群より選択される、前記方法。
【請求項11】
前記AHAS阻害性除草剤が、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記イミダゾリノン除草剤が:[2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-]イミジアゾリン-2-イル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル)-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-3-キノリンカルボン酸、[5-エチル-2-(4-イソプロピル-4-メチル-]5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-(メトキシメチル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-メチルニコチン酸、及び6-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-m-トルイル酸メチルと[2-(4-]イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-p-トルイル酸メチルの混合物、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スルホニル尿素除草剤が、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、ピリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ゲノム中にAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子及び該AHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含むヒマワリ種子であって、該第一対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子はA205Vアミノ酸置換及びP197Lアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該種子はAHAS阻害性除草剤で処理される、前記ヒマワリ種子。
【請求項15】
前記AHAS阻害性除草剤が、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤及びスルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項14に記載の種子。
【請求項16】
播種前及び/又は発芽後のヒマワリ種子に有効量のAHAS阻害性除草剤を接触させることを含む、好ましくない植生を防止する方法であって、該ヒマワリ種子はそのゲノム中においてAHASL1遺伝子の第一対立遺伝子及び該AHASL1遺伝子の第二対立遺伝子を含み、該第一対立遺伝子は、A122Tアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードし、該第二対立遺伝子はA205Vアミノ酸置換及びP197Lアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を含むAHASL1タンパク質をコードする、前記方法。
【請求項17】
前記AHAS阻害性除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤及びスルホニルアミノ-カルボニルトリアゾリノン除草剤又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ヒマワリ植物に付いて生育するハマウツボを防除するための方法であって、該方法は有効量のイミダゾリノン除草剤をハマウツボ及びヒマワリ植物に散布することを含み、該ヒマワリ植物は:
(a)ゲノム中に2種のAHASL1 A122T対立遺伝子を含むヒマワリ植物;及び
(b)ゲノム中に1種のAHASL1 A122T対立遺伝子及び1種のA205V AHASL1対立遺伝子を含むヒマワリ植物
からなる群より選択される、前記方法。
【請求項19】
前記ハマウツボが、オロバンケ・クマナ(Orobanche cumana)及びオロバンケ・ケルヌア(Orobanche cernua)からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記イミダゾリノン除草剤が、 [2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-]イミジアゾリン-2-イル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル)-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-3-キノリンカルボン酸、[5-エチル-2-(4-イソプロピル-4-メチル-]5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-(メトキシメチル)-ニコチン酸、2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-5-メチルニコチン酸、及び6-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-m-トルイル酸メチルと[2-(4-]イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)-p-トルイル酸メチルの混合物、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記イミダゾリノン除草剤がイマザピルである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記イミダゾリノン除草剤を成長期R1で散布する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1コピーのAHASL1 A122T対立遺伝子、及び少なくとも約85%のオレイン酸を含む抽出種子油を含むヒマワリ種子。
【請求項24】
前記種子はヒマワリ系統GM40のヒマワリ植物の後代であり、該系統の代表となる種子がATCC特許寄託整理番号PTA-6716で寄託される、請求項23に記載のヒマワリ種子。
【請求項25】
前記種子はヒマワリ系統GM1606のヒマワリ植物の後代であり、該系統の代表となる種子がATCC特許寄託整理番号PTA-7606で寄託される、請求項23に記載のヒマワリ種子。
【請求項26】
請求項23に記載の種子を生育することによって生産するヒマワリ植物。
【請求項27】
ヒマワリ植物の近傍内の雑草を防除する方法であって、該方法は有効量のイミダゾリノン除草剤を雑草及び植物に散布することを含み、ヒマワリ植物は請求項23に記載の種子を生育することによって生産されるものである、前記方法。
【請求項28】
ヒマワリAHASL1の遺伝子型を決定する方法であって、該方法は工程:
(a)ヒマワリ植物由来のゲノムDNAを採取すること;
(b)前記DNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、順方向AHASL1プライマー及び逆方向野生型AHASL1プライマーを含む第一のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のための鋳型としての前記DNAを使用すること、その際、該逆方向野生型AHASL1プライマーは、配列番号13に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、該逆方向野生型AHASL1プライマーの3’末端ヌクレオチドにあるヌクレオチドは、配列番号13に記載のヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である;
(c)前記DNA、ポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、該順方向AHASL1プライマー及び突然変異型逆方向AHASL1プライマーを含む第二のPCR増幅のための鋳型としての前記DNAを使用すること、その際、該逆方向突然変異型AHASL1プライマーは配列番号14に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、該逆方向突然変異型AHASL1プライマーの3’末端ヌクレオチドにあるヌクレオチドは、配列番号14に記載のヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である;及び
(d)前記第一及び第二のPCR増幅の産物を検出すること;
を含み、前記順方向AHASL1プライマーは(ACC)n領域の5’であるヒマワリAHASL1遺伝子の領域に対応するヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項29】
前記逆方向野生型AHASL1プライマーが配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記逆方向突然変異型AHASL1プライマーが配列番号5に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記順方向AHASL1プライマーが配列番号12に記載のヌクレオチド配列の相補体を含むヌクレオチド配列にアニールする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記順方向AHASLプライマーが配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
ヒマワリAHASL1の遺伝子型を決定するためのキットであって、該キットが
(a)(ACC)n領域の5’であるヒマワリAHASL1遺伝子の領域に対応するヌクレオチド配列を含む順方向AHASL1プライマー;
(b)逆方向野生型AHASL1プライマー、ここで該逆方向野生型AHASL1プライマーは配列番号13に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、該逆方向野生型AHASL1プライマーの3’末端ヌクレオチドにおけるヌクレオチドは、配列番号13に記載のヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である;及び
(c)逆方向突然変異型AHASL1プライマー、ここで該逆方向突然変異型AHASL1プライマーは配列番号14に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にアニールし、該逆方向突然変異型AHASL1プライマーの3’末端ヌクレオチドにおけるヌクレオチドは、配列番号14に記載のヌクレオチド配列の1位におけるヌクレオチドの相補体である
を含む、前記キット。
【請求項34】
ヒマワリAHASL遺伝子の第一断片及びヒマワリAHASL遺伝子の第二断片のPCR増幅を触媒することができるポリメラーゼ酵素をさらに含み、第一断片はヒマワリAHASL1遺伝子において前記順方向AHASL1プライマーの前記アニーリングサイトと前記逆方向野生型AHASL1プライマーの前記アニーリングサイトとの間にあり、第二断片はヒマワリAHASL1遺伝子において前記順方向AHASL1プライマーの前記アニーリングサイトと前記逆方向突然変異型AHASL1プライマーの前記アニーリングサイトとの間にある、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記順方向AHASL1プライマーが配列番号12に記載のヌクレオチド配列の相補体を含むヌクレオチド配列にアニールする、請求項33に記載のキット。
【請求項36】
前記順方向AHASLプライマーが配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載のキット。
【請求項37】
前記逆方向野生型AHASL1プライマーが配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載のキット。
【請求項38】
前記逆方向変異型AHASL1プライマーが配列番号5に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−523122(P2010−523122A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502262(P2010−502262)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059125
【国際公開番号】WO2008/124431
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509275563)ビーエーエスエフ アグロケミカル プロダクツ ビー.ブイ. (3)
【出願人】(509275493)ニデラ エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】