説明

AVシステム

【課題】2チャンネル以下の音声を出力するための内蔵スピーカ等と、マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声アンプ等へ音声信号を出力する光デジタル音声出力端子等とを備えるAVシステムにおいて、ユーザが音声信号の出力先を切り換える操作を行わなくとも、視聴するAVコンテンツに含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイスへ音声信号を出力させることができるAVシステムを提供する。
【解決手段】音声処理部本体107bに入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定するマルチチャンネル判別部105bと、マルチチャンネルステレオ音声信号であると判定された場合には音声信号を光デジタル音声出力端子110から外部の音声アンプ300へ出力させ、そうでないと判定された場合には、音声信号を内蔵スピーカ109から音声として出力させる消音指示部105cとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声および映像を出力するAV(Audio and Visual)システム(例えば、テレビ(テレビジョン受像機)、スピーカ内蔵ディスプレイなど)に関し、特に、2チャンネルステレオ音声を内蔵の音声出力手段(内蔵スピーカ等)から出力することができ、かつマルチチャンネルステレオ音声信号(2チャンネルを超えるチャンネル数で構成されるステレオ音声信号;サラウンド音声)を外部の音声出力システム(例えば、マルチチャンネルステレオ対応音声アンプとマルチチャンネルのスピーカとからなる音声出力システム)へ出力して外部の音声出力システムからマルチチャンネルステレオ音声を出力させることができるAVシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)/BD(Blu-ray Disc)ドライブ内蔵のテレビ等のようなAVシステムにおいては、再生するAVコンテンツが5.1チャンネルサラウンド音声などのマルチチャンネルステレオ音声信号を含んでいる場合がある。例えば、BDには、DTS(デジタル・シアター・システムズ)形式やドルビー(登録商標)デジタル形式等で符号化された5.1チャンネルサラウンドのデジタル音声信号が記録されているものがある。
【0003】
しかしながら、現在のテレビ等のAVシステムは、基本的には、2チャンネルのスピーカしか内蔵していないので、それ自体では、2チャンネルステレオ放送の音声等のような2チャンネル以下の音声しか再生できず、マルチチャンネルステレオ音声を再生できない。そのため、AVシステムは、それ自体でマルチチャンネルステレオ音声信号を音声として出力する場合には、マルチチャンネルステレオ音声信号を2チャンネルステレオ音声信号にダウンミックスして内蔵スピーカから2チャンネルステレオ音声として出力させる。したがって、AVシステム自体では音声を聴くだけはできるが、マルチチャンネルステレオ音声のAVコンテンツを有効に利用できず、マルチチャンネルステレオ音声による臨場感の高い音響を得ることができない。そこで、ユーザが、上記AVシステムを用いてマルチチャンネルステレオ音声信号をマルチチャンネルステレオ音声として聞こうとした場合には、AVシステムの光デジタル音声出力端子を光ケーブル経由で外部のマルチチャンネルステレオ対応の音声アンプ(最近ではテレビラック一体型になっているものがある)に接続して、その音声アンプに接続したマルチチャンネルのスピーカからマルチチャンネルステレオ音声を出力させることになる。このとき、ユーザは、AVシステムの内蔵スピーカを消音する操作、外部の音声アンプの電源をつける操作、外部の音声アンプを音量制御する操作、といった煩わしい操作が必要になる。また、逆に、ユーザが、マルチチャンネルステレオ音声を聞いている状態で、再生するAVコンテンツを2チャンネル以下の音声のAVコンテンツに切り換えて、テレビ等のAVシステムの内蔵スピーカから音声を聞こうとした場合、ユーザは、内蔵スピーカの消音を解除する、内蔵スピーカの音量を制御する、外部の音声アンプの電源を消す、といった煩わしい操作が必要になる。
【0004】
また、近年では、テレビ等のAVシステムと音声アンプとをHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルで接続して、AVシステム側からCEC(Consumer Electronics Control)制御により音声アンプの制御(電源オン/オフや音量制御等)を行うことができるようになっている。しかし、前述したような内蔵スピーカを備えるAVシステムの光デジタル音声出力端子を外部のマルチチャンネルステレオ対応の音声アンプに接続したシステムにおいては、このCEC制御により音声アンプを制御する方法を用いた場合であっても、結局、AVシステム内蔵スピーカと外部の音声アンプに接続したマルチチャンネルのスピーカとの何れから音声を出力させるかは、自動制御されない。そのため、ユーザは、AVシステムの表示画面のメニューを開き、AVシステム内蔵スピーカと外部の音声アンプに接続したマルチチャンネルのスピーカとの何れから音声を出力させるかを上記メニュー上で手動で選択する必要がある。そのため、ユーザは、再生するAVコンテンツが2チャンネル音声のAVコンテンツである時にはAVシステム内蔵スピーカから音声を出力させ、再生するAVコンテンツがマルチチャンネルステレオ音声のAVコンテンツである時には音声アンプに接続したマルチチャンネルのスピーカから音声を出力させるように、音声出力を切り換える煩わしい操作を要求される。
【0005】
また、ユーザは、再生するAVコンテンツの音声が2チャンネル以下の音声なのかマルチチャンネルステレオ音声なのかを認識していない場合が多い。例えば、現在のデジタルチャンネルの放送では、2チャンネルステレオ音声の番組とマルチチャンネルステレオ音声の番組とが同程度で混在しており、番組のジャンルによって2チャンネルステレオ音声であるかマルチチャンネルステレオ音声であるかが決まっているわけでもない(例えば、野球番組等のスポーツ番組では、マルチチャンネルステレオ音声である確率が比較的高いものの、全てがマルチチャンネルステレオ音声ではない)。そのため、ユーザは、特定のチャンネルや特定のジャンルの番組を選局したからといって、視聴中の番組が必ずマルチチャンネルステレオ音声であるということが分からない。また、視聴中の番組の音声が2チャンネル以下の音声であるかマルチチャンネルステレオ音声であるかは、ユーザが新聞のテレビ欄や電子番組表等を見れば分かるが、番組を見る度に2チャンネル以下の音声であるかマルチチャンネルステレオ音声であるかを確認しているユーザはあまりいない。以上のことから、ユーザは、再生するAVコンテンツの音声が2チャンネル以下の音声なのかマルチチャンネルステレオ音声なのかを認識していない場合が多く、したがって、AVシステム内蔵スピーカを使うべきなのか外部の音声アンプを使うべきであるかが分からない場合が多い。したがって、ユーザが、最適な音声出力デバイスを選択できない可能性がある。
【0006】
また、複数の音声出力デバイスを選択可能なAVシステムにおいて、どの音声出力デバイスから音声が出力されているのかをユーザに知らせる従来技術が知られている(特許文献1参照)。この従来技術では、テレビジョン受像機において、信号入力端子検出手段(CPU(Central Processing Unit)、信号入力端子検出プログラム等)は、HDMI端子からの入力を選択した際に、音声信号が入力される音声入力端子を検出し、信号入出力端子表示制御手段(CPU、信号入出力端子表示制御プログラム等)は、上記信号入力端子検出手段による検出に基づいて、音声信号が入力される音声入力端子に関する情報を、表示部にOSD(On-Screen Display)表示する。また、この従来技術では、接続機器検出手段による検出に基づいて、HDMI端子を介してテレビジョン受像機に接続される接続機器に関する情報を表示部にOSD表示し、設定手段による音声信号の出力の設定に基づいて、音声信号が出力される音声出力端子に関する情報を表示部にOSD表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−312182号公報(2007年11月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術は、テレビジョン受像機に音声情報を供給しているソース(接続機器)を検出してそのソースに関する情報と、テレビジョン受像機のどの音声出力端子(スピーカに接続された端子、光デジタル音声出力端子等)から音声信号が出力されているかの情報とをOSD表示してユーザに知らせている。
【0009】
しかしながら、これらの情報がOSD表示されても、音声の知識に疎いユーザにとっては、何をどのように設定すべきかが分からない。また、この従来技術においても、ユーザが、再生するAVコンテンツの音声が2チャンネル以下の音声なのかマルチチャンネルステレオ音声なのかを認識していなければ、最適な音声出力デバイスを選択できない。また、この従来技術においても、音声出力を切り換える煩わしい操作がユーザに要求される。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ユーザが音声信号の出力先を切り換える操作を行わなくとも、視聴するAVコンテンツ(映像信号および音声信号)に含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイスへ音声信号を出力させることができるAVシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のAVシステムは、上記の課題を解決するために、映像信号および音声信号を映像および音声として再生するためのAVシステムであって、2チャンネル以下の音声を出力するための内蔵の音声出力手段と(例えば、内蔵スピーカ)、マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声出力システム(例えば、マルチチャンネルステレオ対応の音声アンプとマルチチャンネルスピーカとの組み合わせ)へ音声信号を出力する音声信号出力手段と、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定するマルチチャンネル判別手段と、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であると判定された場合には、再生しようとする音声信号を音声信号出力手段から外部の音声出力システムへ出力させ、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオの音声信号でないと判定された場合には、再生しようとする音声信号を内蔵の音声出力手段から音声として出力させる音声出力制御手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かに応じて、音声信号の出力先を、マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声出力システムとするか、2チャンネル以下の音声を出力可能な内蔵の音声出力手段とするかを自動的に切り換えることができる。したがって、ユーザが音声信号の出力先を切り換える操作を行わなくとも、視聴するAVコンテンツ(映像信号および音声信号)に含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイス(外部の音声出力システムまたは内蔵の音声出力手段)へ音声信号を出力させることができる。すなわち、ユーザは、視聴するAVコンテンツがマルチチャンネルステレオの音声信号を含むかを意識しなくとも、常に最適な音響効果で音声を楽しむことができる。
【0013】
再生しようとする音声信号がデジタル音声信号である場合、上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとするデジタル音声信号に含まれる音声情報(音声のフォーマットの情報、デジタル音声信号が圧縮か非圧縮かの情報など)を取得して、該音声情報に基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定すればよい。
【0014】
上記AVシステムは、映像信号および音声信号が記録された記録媒体を再生して、映像信号および音声信号を含むHDMI信号として出力するための内蔵の記録媒体再生手段をさらに備え、上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号が上記記録媒体再生手段から出力されたHDMI信号に含まれる音声信号である場合、HDMI信号のHDMI制御信号に含まれる音声情報に基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0015】
上記AVシステムは、映像信号および音声信号を含むHDMI信号を外部から受信するHDMIレシーバをさらに備え、上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号が上記HDMIレシーバで受信された外部からのHDMI信号である場合、HDMI信号に含まれるSPDIF信号のChannel Statusに基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0016】
上記AVシステムは、デジタル放送信号を受信可能なチューナをさらに備え、上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号がチューナで受信されたデジタル放送信号である場合、デジタル放送信号のPIDに含まれる音声情報に基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0017】
上記AVシステムは、上記音声信号として、アナログ音声信号およびデジタル音声信号の両方が再生可能であり、上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号がアナログ音声信号であれば、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないと判定する構成であってもよい。
【0018】
上記各構成によれば、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを簡便にかつ確実に判定することができるので、視聴するAVコンテンツに含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイスへの音声信号の出力をより確実に実現でき、また、AVシステムの構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、ユーザが音声信号の出力先を切り換える操作を行わなくとも、視聴するAVコンテンツに含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイスへ音声信号を出力させることができるAVシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態に係るAVシステムとしてのテレビシステムを含むマルチチャンネルステレオ対応AVシステムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1のテレビシステムにおける音声出力先を切り換える処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るAVシステムとしてのテレビシステムを含むマルチチャンネルステレオ対応AVシステムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施の形態1〕
本実施の一形態に係るAVシステムとしてのテレビシステムを含むマルチチャンネルステレオ対応AVシステムの要部構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るAVシステムとしてのテレビシステムを含むマルチチャンネルステレオ対応AVシステムの要部構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施の形態に係るマルチチャンネルステレオ対応AVシステムは、映像信号および音声信号を映像および音声として再生するためのものであって、図1に示すように、テレビシステム100と、テレビシステム100外部に設けられた、外部HDMI機器(HDMI規格に準拠したデジタル信号出力機器)200、音声アンプ300、およびマルチチャンネルのスピーカ301とを備えている。
【0023】
外部HDMI機器200は、デジタル音声信号およびデジタル映像信号を含むHDMI信号(HDMI規格に準拠したデジタル信号)を、図示しないHDMIケーブル経由で音声アンプ300に出力するものであり、例えば、外付けのBD/DVDドライブ、HDD(Hard Disk Drive)レコーダ、ゲーム機、パーソナルコンピュータ等である。
【0024】
音声アンプ300は、外部HDMI機器200から入力されたHDMI信号を、図示しないHDMIケーブル(HDMI規格に準拠したデジタル信号伝送用ケーブル)経由でテレビシステム100に送るものである。また、音声アンプ300は、テレビシステム100から光ケーブル経由で入力された光デジタル音声信号をマルチチャンネルのスピーカ301から出力できる形式のアナログ音声信号に変換し、マルチチャンネルのスピーカ301に出力するものである。マルチチャンネルのスピーカ301は、音声アンプ300から入力された音声信号に応じてマルチチャンネルステレオ音声(サラウンド音声)を出力するスピーカである。マルチチャンネルのスピーカ301は、例えば、5.1チャンネルサラウンド音声を出力するための、左フロントスピーカ、右フロントスピーカ、センタースピーカ、左リアスピーカ、右リアスピーカ、およびサブウーファからなる。マルチチャンネルのスピーカ301は、他のチャンネル数、例えば、2.1チャンネル、3.1チャンネル、6.1チャンネル、7.1チャンネル等のスピーカであってもよい。音声アンプ300およびマルチチャンネルのスピーカ301によって、マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声出力システムが構成されている。
【0025】
テレビシステム100は、チューナ101、外部入力部102、HDMIレシーバ103、内蔵BD/DVDドライブ(内蔵の記録媒体再生手段、BDドライブ)104、マイコン(マイクロコンピュータ)105、映像処理部106、音声処理部107、表示デバイス108、内蔵スピーカ(内蔵の音声出力手段)109、光デジタル音声出力端子(音声信号出力手段)110、リモコン受光部111、およびリモートコントローラ112を備えている。
【0026】
チューナ101は、アナログチューナ部101aおよびデジタルチューナ部101bを備えている。アナログチューナ部101aは、図示しないアナログ放送用アンテナを介して受信するアナログ放送信号(地上波アナログテレビジョン放送、BS(放送衛星)アナログテレビジョン放送等の信号)を選局し、選局されたアナログチャンネルの放送信号からアナログ音声信号およびアナログ映像信号を抽出し、抽出したアナログ音声信号を音声処理部107に、抽出したアナログ映像信号を映像処理部106に送信する。デジタルチューナ部101bは、図示しないデジタル放送用アンテナを介して受信する、多重化されたデジタル放送信号(地上波デジタルテレビジョン放送、BSデジタルテレビジョン放送、CS(通信衛星)デジタルテレビジョン放送等のような、符号化音声信号および符号化映像信号を含む放送信号)を選局し、選局したデジタルチャンネルの放送信号を符号化音声信号および符号化映像信号のそれぞれに分離し、符号化音声信号をデコードしてデジタル音声信号として音声処理部107に出力し、符号化映像信号をデコードしてデジタル映像信号として映像処理部106に出力する。なお、アナログチューナ部101aおよびデジタルチューナ部101bは、最近では、通常は一体化されるが、分離されていてもよい。
【0027】
外部入力部102は、アナログビデオデッキ等のアナログ外部機器400からアナログ音声信号およびアナログ映像信号を受け取って、アナログ音声信号を音声処理部107に出力し、アナログ映像信号を映像処理部106に出力するものである。外部入力部102は、例えば、ステレオ音声信号用のRCA(登録商標)端子である。なお、外部入力部102およびアナログ外部機器400の組は、複数組、設けてもよい。
【0028】
HDMIレシーバ103は、HDMIセレクタ部103aおよびHDMIレシーバ本体103bを備えている。HDMIセレクタ部103aは、外部HDMI機器200から音声アンプ300経由で入力されたHDMI信号、および内蔵BD/DVDドライブ104から入力されたHDMI信号のうち、いずれか1つのHDMI信号を選択してHDMIレシーバ本体103bに出力し、出力するHDMI信号を切り換えるものである。この切り換えは、マイコン105からの制御指示に応じて行われる。HDMIレシーバ本体103bは、HDMIセレクタ部103aから入力されたHDMI信号をデジタル映像信号およびデジタル音声信号のそれぞれに分離し、デジタル音声信号を音声処理部107に出力し、デジタル映像信号を映像処理部106に出力するものである。さらに、HDMIレシーバ本体103bは、入力されたHDMI信号に含まれるHDMI制御信号(CECコマンドおよびVendor Packetを含む)および音声情報(Channel Statusを含む)を取得してマイコン105へ送る機能も備えている。
【0029】
内蔵BD/DVDドライブ104は、BD、DVD、およびCD(Compact Disc)を再生可能なものであり、BD、DVD、またはCDに記録されたデジタル映像信号およびデジタル音声信号を読み出してHDMI信号に変換し、HDMI信号をHDMIレシーバ103に出力する。内蔵BD/DVDドライブ104は、典型的には、デジタル映像信号およびデジタル音声信号を記録可能なBD(BD−RやBD−REなど)または記録可能なDVD(DVD−RやDVD−RWなど)に記録する録画機能を備えている。また、内蔵BD/DVDドライブ104は、デジタル映像信号およびデジタル音声信号を記憶するためのHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置を備えていてもよい。なお、内蔵BD/DVDドライブ104に代えて、内蔵BDドライブまたは内蔵DVDドライブ等のような他の記録媒体再生手段を設けてもよい。
【0030】
マイコン105は、テレビ放送受信機1が備える各部、例えば、チューナ101、外部入力部102、HDMIレシーバ103、映像処理部106、音声処理部107、表示デバイス108などを制御するためのものである。マイコン105は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)を備え、CPUが、RAMに記録されたプログラムを読み出し、実行することで、各種機能を実現することができる。マイコン105内の機能ブロックについては、後段で説明する。
【0031】
映像処理部106は、ビデオセレクタ部106aおよび映像処理部本体106bを備えている。ビデオセレクタ部106aは、チューナ101のアナログチューナ部101aから入力されたアナログ映像信号、チューナ101のデジタルチューナ部101bから入力されたデジタル映像信号、アナログ外部機器400から外部入力部102経由で入力されたアナログ映像信号、およびHDMIレシーバ103から入力されたデジタル映像信号(内蔵BD/DVDドライブ104から入力されたデジタル映像信号、または外部HDMI機器200から入力されたデジタル映像信号)のうち、いずれか1つの映像信号を選択して映像処理部本体106bに出力し、出力する映像信号を切り換えるものである。この切り換えは、マイコン105からの制御指示に応じて行われる。映像処理部本体106bは、ビデオセレクタ部106aから入力された映像信号を、表示デバイス108にて適切な形で表示できる映像信号へと変換して表示デバイス108に出力するものである。
【0032】
音声処理部107は、オーディオセレクタ部107aおよび音声処理部本体107bを備えている。オーディオセレクタ部107aは、チューナ101のアナログチューナ部101aから入力されたアナログ音声信号、チューナ101のデジタルチューナ部101bから入力されたデジタル音声信号、アナログ外部機器400から外部入力部102経由で入力されたアナログ音声信号、およびHDMIレシーバ103から入力されたデジタル音声信号(内蔵BD/DVDドライブ104から入力されたデジタル音声信号、または外部HDMI機器200から入力されたデジタル音声信号)のうち、いずれか1つの音声信号を選択して音声処理部本体107bに出力し、出力する音声信号を切り換える(音声信号出力経路を設定する)ものである。この切り換えは、マイコン105からの制御指示に応じて行われる。
【0033】
音声処理部本体107bは、オーディオセレクタ部107aから入力された音声信号を内蔵スピーカ109から出力できる形式の音声信号に変換し、内蔵スピーカ109に出力するものである。また、音声処理部本体107bは、オーディオセレクタ部107aから入力されたデジタル音声信号(電気信号)を光信号(光デジタル音声信号)に変換し、光デジタル音声出力端子110および図示しない光ケーブルを介して音声アンプ300に出力するものである。音声処理部本体107bは、マイコン105からの消音指示に応じて、内蔵スピーカ109に出力する音声信号、および音声アンプ300に出力するデジタル音声信号の何れか一方を消音(ミュート)信号とすることによって、内蔵スピーカ109および外部のスピーカ301の一方を消音する消音機能も備えている。さらに、音声処理部本体107bは、入力されたデジタル音声信号に含まれるコンテンツ情報(PIDを含む)を取得してマイコン105へ送る機能も備えている。音声処理部本体107bは、典型的には、音量制御機能やイコライザ機能なども含んでいる。
【0034】
なお、マイコン105、映像処理部106、および音声処理部107は、1つのIC(集積回路)チップによって構成してもよく、それぞれ個別のICチップによって構成してもよく、2つのICチップ(例えばマイコン105および音声処理部107を実現するICチップと、映像処理部106を実現するICチップ)によって構成してもよい。マイコン105と音声処理部107とが1つのICチップによって構成されている場合、デジタル音声信号がマイコン105に送られることになるので、音声処理部本体107bがデジタル音声信号に含まれる音声情報を取得してマイコン105へ送る必要はない。
【0035】
表示デバイス108は、例えば液晶表示デバイスであり、映像処理部106から入力された映像信号に応じて映像を表示するものである。表示デバイス108は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。
【0036】
内蔵スピーカ109は、音声処理部107から入力された音声信号に応じて2チャンネル以下の音声を出力するスピーカであり、例えば、2チャンネルステレオ音声を出力するための左チャンネル用スピーカおよび右チャンネル用スピーカからなる。
【0037】
光デジタル音声出力端子110は、音声処理部本体107bから入力された光デジタル音声信号を音声アンプ300へ出力するものである。なお、光デジタル音声出力端子110に代えて、あるいは光デジタル音声出力端子110に加えて、同軸デジタル音声出力端子を設け、音声処理部本体107bから同軸デジタル音声出力端子および同軸ケーブルを介して音声アンプ300へデジタル音声信号を出力するようにしてもよい。
【0038】
リモコン受光部111は、リモートコントローラ112から出力された光信号を受信し、該リモートコントローラ112からの制御指示、例えばユーザによる視聴ソースの切り換え指示を受付けるためのものである。受付けた制御指示は、マイコン105に送信する。
【0039】
マイコン105は、図1に示すように、視聴ソース切換指示部105a、マルチチャンネル判別部(マルチチャンネル判別手段)105b、および消音指示部(音声出力制御手段)105cを備えている。マイコン105の各部は、上記各部としてコンピュータ(CPUおよびRAM)を機能させるための、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(ハードディスクやフラッシュメモリ等)に記録されたプログラムと、コンピュータ(CPUおよびRAM)とによって実現される機能ブロックである。
【0040】
視聴ソース切換指示部105aは、チューナ101のアナログチューナ部101a、チューナ101のデジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、内蔵BD/DVDドライブ104、および外部HDMI機器200の何れか1つから他の1つへと視聴ソース(映像処理部本体106bおよび音声処理部本体107bへ映像信号および音声信号を供給するもの)を切り換える視聴ソース切り換え指示(ユーザ指示)をユーザからリモートコントローラ112およびリモコン受光部111を経由して受け取る。また、視聴ソース切換指示部105aは、チューナ101のアナログチューナ部101a、チューナ101のデジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、および外部HDMI機器200の何れか1つから内蔵BD/DVDドライブ104へと視聴ソースを切り換える視聴ソース切り換え指示(自動制御信号)を内蔵BD/DVDドライブ104から受け取る。視聴ソース切換指示部105aは、これらの視聴ソース切り換え指示に応じて、チューナ101のアナログチューナ部101a、チューナ101のデジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、内蔵BD/DVDドライブ104、および外部HDMI機器200の何れか1つから他の1つへと視聴ソースが切り替わるように、HDMIセレクタ部103a、ビデオセレクタ部106a、およびオーディオセレクタ部107aへ制御指示を送る。また、視聴ソース切換指示部105aは、HDMIセレクタ部103aにて選択されている視聴ソース(内蔵BD/DVDドライブ104または外部HDMI機器200)を示すHDMIセレクタ情報、およびビデオセレクタ部106aオーディオセレクタ部107aにて選択されている視聴ソース(チューナ101のアナログチューナ部101a、チューナ101のデジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、またはHDMI機器(内蔵BD/DVDドライブ104または外部HDMI機器200))を示す視聴ソース情報をマルチチャンネル判別部105bへ送る。
【0041】
マルチチャンネル判別部105bは、視聴ソース切換指示部105aから送られたHDMIセレクタ情報および視聴ソース情報と、HDMIレシーバ本体103bから送られたHDMI制御信号および音声情報と、音声処理部本体107bから送られたコンテンツ情報とに基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定する。具体的な判定方法については、後段で詳しく説明する。
【0042】
消音指示部105cは、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるとマルチチャンネル判別部105bによって判定された場合には、内蔵スピーカ109に出力する音声信号を消音信号とする指示を音声処理部本体107bに送ることによって、内蔵スピーカ109を消音させるものである。これによって、再生しようとする音声信号は、音声アンプ300へ選択的に出力され、マルチチャンネルのスピーカ301にてマルチチャンネルステレオ音声として出力される。一方、消音指示部105cは、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないとマルチチャンネル判別部105bによって判定された場合には、音声アンプ300に出力する音声信号を消音信号とする指示を音声処理部本体107bに送ることによって、マルチチャンネルのスピーカ301を消音させるものである。これによって、再生しようとする音声信号は、内蔵スピーカ109へ選択的に出力され、内蔵スピーカ109にて2チャンネル以下の音声として出力される。
【0043】
次に、図1に示すテレビシステム100の動作について、図2に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0044】
まず、マルチチャンネル判別部105bが、視聴ソース切換指示部105aから送られた視聴ソース情報に基づいて、視聴ソースが、チューナ101のアナログチューナ部101a、チューナ101のデジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、およびHDMI機器(内蔵BD/DVDドライブ104または外部HDMI機器200)の何れであるかを判定する(S1)。
【0045】
S1で視聴ソースがHDMI機器であると判定された場合、マルチチャンネル判別部105bが、視聴ソース切換指示部105aから送られたHDMIセレクタ情報に基づいて、視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブ104であるか、すなわち、内蔵BD/DVDドライブ104にて再生されたデジタル音声信号が内蔵BD/DVDドライブ104からHDMI信号の一部としてHDMIレシーバ本体103bに入力されているかを判定する(S2)。
【0046】
S2で視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブ104である(YES)と判定された場合、マイコン105のマルチチャンネル判別部105bが、HDMIレシーバ本体103bから送られたHDMI制御信号の中からCECコマンドまたはVendor Packetを音声情報として抽出する。すなわち、マルチチャンネル判別部105bが、HDMI制御信号からCECコマンドまたはVendor Packetを音声情報として取得する(S3)。なお、CECコマンドは、通信できる内容がHDMIの規格によって大部分が決められており、バイト数に制限があり、通信レートが遅いが、双方向通信できるものである。一方、Vendor Packetは、ベンダー毎に自由に決められる拡張部分であり、通信レートが速いが、片方向通信しかできないものである。
【0047】
そして、マルチチャンネル判別部105bが、取得した音声情報、すなわちCECコマンドまたはVendor Packetを元に、音声処理部本体107bへ入力される音声信号(再生しようとする音声信号)がマルチチャンネルステレオ音声信号であるかを判断する(S6)。すなわち、CECコマンドおよびVendor Packetは、音声処理部本体107bへ入力される音声信号が圧縮デジタル音声信号であるか非圧縮デジタル音声信号であるかを示す圧縮/非圧縮情報を含んでいる。そして、HDMIでは、マルチチャンネルステレオ音声信号は圧縮デジタル音声信号として伝送される一方、2チャンネル以下の音声信号は非圧縮デジタル音声信号として伝送される。そこで、マルチチャンネル判別部105bは、圧縮/非圧縮情報に基づき、音声処理部本体107bへ入力される音声信号が圧縮デジタル音声信号であることを上記圧縮/非圧縮情報が示していれば、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であると判断し、音声処理部本体107bへ入力される音声信号が非圧縮デジタル音声信号であることを上記圧縮/非圧縮情報が示していれば、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないと判断する。
【0048】
次いで、消音指示部105cが、S6におけるマルチチャンネル判別部105bの判別結果に応じて、音声処理部本体107bを制御することによって、音声信号の出力先を内蔵スピーカ109にするか音声アンプ300にするかを選択する。すなわち、消音指示部105cは、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号である(YES)とS6で判定された場合(例えばBD再生時)、内蔵スピーカ109への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって内蔵スピーカ109を消音させ、デジタル音声信号(典型的にはSPDIF(Sony(登録商標) Philips(登録商標) Digital InterFace)信号)を光デジタル音声出力端子110から出力させて外部の音声アンプ300およびスピーカ301から音声を出力させる(S7)。一方、消音指示部105cは、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でない(NO)とS6で判定された場合、例えば音声処理部本体107bへ入力される音声信号が2チャンネルステレオ音声信号である場合(例えばCD再生時)には、光デジタル音声出力端子110への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって外部の音声アンプ300およびスピーカ301を消音させ、アナログ音声信号を内蔵スピーカ109へ送って内蔵スピーカ109から音声を出力させる(S8)。
【0049】
HDMI制御信号のCECコマンドまたはVendor Packetに音声情報が含まれるか、また音声情報が含まれる場合に音声情報がどのような形式であるかは、HDMI制御信号を出力する機器のメーカに依存する。そのため、前述したS3におけるHDMI制御信号のCECコマンドまたはVendor Packetから音声情報を取得する方法は、視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブ104である場合などのような、視聴ソースがテレビシステム100と同一メーカの製品であることが確実である場合に限られる。視聴ソースが外部HDMI機器200である場合などのような、視聴ソースがテレビシステム100と異なるメーカの製品である可能性がある場合であると、必ずしもHDMI制御信号から音声情報を取得できるとは限らない。
【0050】
そこで、S2で視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブ104でない(NO)と判定された場合(本実施形態では視聴ソースが外部HDMI機器200である場合)、S3とは別の方法を用いて音声情報を取得する。すなわち、HDMI信号には、音声信号がSPDIF信号として含まれており、SPDIF信号には、音声信号が非圧縮デジタル音声信号(リニアPCM(Pulse-Code Modulation)信号)であるか圧縮デジタル音声信号(ドルビー(登録商標)デジタル形式の圧縮デジタル音声信号など)であるかを示すChannel Status(SPDIF Channel Status)が含まれている。そこで、S2で視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブ104でない(NO)と判定された場合、マイコン105のマルチチャンネル判別部105bが、HDMIレシーバ本体103bから送られた音声情報の中からChannel Statusを抽出する。すなわち、マルチチャンネル判別部105bが、HDMI信号に含まれるSPDIF信号のVendor Packetから音声情報を取得する(S4)。
【0051】
そして、マルチチャンネル判別部105bが、SPDIF信号のChannel Statusに基づいて、音声処理部本体107bへ入力される音声信号(再生しようとする音声信号)がマルチチャンネルステレオ音声信号であるかを判断する(S6)。前述したように、HDMIでは、マルチチャンネルステレオ音声信号は圧縮デジタル音声信号として伝送される一方、2チャンネル以下の音声信号は非圧縮デジタル音声信号として伝送される。そこで、マルチチャンネル判別部105bは、SPDIF信号のChannel Statusに基づき、音声処理部本体107bへ入力される音声信号が圧縮デジタル音声信号であることをChannel Statusが示していれば、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であると判断し、音声処理部本体107bへ入力される音声信号が非圧縮デジタル音声信号(リニアPCM信号)であることをChannel Statusが示していれば、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないと判断する。
【0052】
次いで、消音指示部105cは、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号である(YES)とS6で判定された場合(音声処理部本体107bへ入力される音声信号が圧縮デジタル音声信号であると判定された場合)、内蔵スピーカ109への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって内蔵スピーカ109を消音させ、デジタル音声信号を光デジタル音声出力端子110から出力させて外部の音声アンプ300およびスピーカ301から音声を出力させる(S7)。一方、消音指示部105cは、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でない(NO)とS6で判定された場合(音声処理部本体107bへ入力される音声信号がリニアPCM信号であると判定された場合)には、光デジタル音声出力端子110への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって外部の音声アンプ300およびスピーカ301を消音させ、アナログ音声信号を内蔵スピーカ109へ送って内蔵スピーカ109から音声を出力させる(S8)。
【0053】
また、S1で視聴ソースがチューナ101のデジタルチューナ部101bであると判定された場合、マルチチャンネル判別部105bが、視聴中チャンネルのPIDから音声情報を取得する(S5)。すなわち、マルチチャンネル判別部105bが、音声処理部本体107bから送られたコンテンツ情報からPIDを抽出する。PIDには、デジタル音声信号が2チャンネルステレオ音声なのかマルチチャンネルステレオ音声なのか等を示す音声情報(音声コンポーネント記述子のcomponent_typeフィールド)が含まれている。そこで、マルチチャンネル判別部105bは、上記音声情報に基づいて、音声処理部本体107bへ入力される音声信号(再生しようとする音声信号)がマルチチャンネルステレオ音声信号であるかを判断する(S6)。
【0054】
次いで、消音指示部105cは、音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号である(YES)とS6で判定された場合(例えば、音声処理部本体107bへ入力されるデジタル放送の音声信号が、5.1チャンネルサラウンド音声信号であると判定された場合)、内蔵スピーカ109への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって内蔵スピーカ109を消音させ、デジタル音声信号を光デジタル音声出力端子110から出力させて外部の音声アンプ300およびスピーカ301から音声を出力させる(S7)。一方、消音指示部105cは、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でない(NO)とS6で判定された場合(例えば、音声処理部本体107bへ入力されるデジタル放送の音声信号が、2チャンネルステレオ音声信号であると判定された場合)には、光デジタル音声出力端子110への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって外部の音声アンプ300およびスピーカ301を消音させ、アナログ音声信号を内蔵スピーカ109へ送って内蔵スピーカ109から音声を出力させる(S8)。
【0055】
S1で視聴ソースが、その他、すなわちチューナ101のアナログチューナ部101aまたはアナログ外部機器400である場合には、音声処理部本体107bへ入力される音声信号(再生しようとする音声信号)は、アナログ音声信号であり、必ず、2チャンネル以下のアナログ音声信号、通常は2チャンネルステレオのアナログ信号(場合によってはデュアルモノ信号のこともある)であるので、マルチチャンネルステレオ音声信号であることはありえない。そのため、この場合には、マルチチャンネル判別部105bが、音声情報を参照することなく、無条件に音声処理部本体107bへ入力される音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないと判定し、消音指示部105cが、光デジタル音声出力端子110への出力信号を消音信号とする消音指示を音声処理部本体107bに送ることによって外部の音声アンプ300およびスピーカ301を消音させ、アナログ音声信号を内蔵スピーカ109へ送って内蔵スピーカ109から音声を出力させる(S8)。
【0056】
以上のように、本実施形態の構成によれば、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かに応じて、音声信号の出力先を、マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声アンプ300およびマルチチャンネルのスピーカ301とするか、内蔵スピーカ109とするかを自動的に切り換えることができる。したがって、ユーザが音声信号の出力先を切り換える操作を行わなくとも、視聴するAVコンテンツ(映像信号および音声信号)に含まれる音声信号に応じた最適な音声出力デバイス(音声アンプ300とマルチチャンネルのスピーカ301との組み合わせ、または内蔵スピーカ109)へ音声信号を出力させることができる。
【0057】
なお、図2のフローチャートに示す処理は、常時行ってもよいが、視聴ソースの選択、および視聴番組の選択(チャンネル選択、または時間経過による視聴中の番組の切り替わり)をトリガーとして実行するとよい。後者の場合、例えば、図2のS2が、図1のHDMIセレクタ部103aにおける切り換えをトリガーとして実行される。すなわち、後者の場合、図2のS2における視聴ソースが内蔵BD/DVDドライブであるかをマイコン105が判定する処理は、視聴ソース切換指示部105aが、外部HDMI機器200から入力されたHDMI信号および内蔵BD/DVDドライブ104から入力されたHDMI信号の何れをHDMIセレクタ部103aが選択してHDMIレシーバ本体103bに出力するかをHDMIセレクタ部103aに対して指示することをトリガーとして実行される。
【0058】
視聴ソース切換指示部105aによる切換指示は、例えば、ユーザがリモートコントローラ112を用いて表示デバイス108上に表示された入力切換メニューから外部HDMI機器入力および内蔵BD/DVDドライブ104の一方を選択する操作を行ったときになされる。例えば、ユーザが内蔵BD/DVDドライブ104を選択する操作を行ったときには、視聴ソース切換指示部105aが、「HDMIレシーバ103への視聴ソースとして(信号供給経路として)、まず内蔵BD/DVDドライブ104を選択せよ」という指示をHDMIセレクタ部103aに送る。視聴ソース切換指示部105aによる切換指示のトリガーは、基本的にはユーザの指示入力であるが、必ずしもそうとは限らない。例えば、テレビシステム100は、チューナ101で受信されたテレビジョン放送を表示デバイス108に表示している時に、BDまたはDVDが内蔵BD/DVDドライブ104に挿入されると、BDまたはDVDの自動再生を開始すると共に、視聴ソースを内蔵BD/DVDドライブ104に切り換える構成とすることができる。したがって、視聴ソース切換指示部105aによる切換指示は、ユーザの指示入力によって発生するのみならず、BDまたはDVDを内蔵BD/DVDドライブ104に挿入するというユーザの操作によっても発生する。さらに、視聴ソース切換指示部105aによる切換指示は、内蔵BD/DVDドライブ104に限らず、外部HDMI機器200に対するユーザの操作によっても発生する。例えば、テレビシステム100は、チューナ101で受信されたテレビジョン放送を表示デバイス108に表示している時に、BDまたはDVDが外部HDMI機器200としての外部BD/DVDドライブに挿入されると、視聴ソースを外部BD/DVDドライブに切り換える構成とすることができる。この場合、外部BD/DVDドライブが、BDまたはDVDの挿入を認識すると、BDまたはDVDの自動再生を開始すると共に、自動再生を開始したことをHDMI信号中のCECまたはVendor Packetを使ってテレビシステム100に通知し、視聴ソース切換指示部105aがHDMI信号中のCECまたはVendor Packetに基づいて視聴ソースを外部BD/DVDドライブに自動的に切り換える。
【0059】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0060】
本実施形態は、HDMIバージョン1.4にて新たに導入された、HDMIケーブルで音声信号を双方向に伝送するオーディオリターンチャンネル機能を利用するものである。本実施形態に係るAVシステムとしてのテレビシステム500は、光デジタル音声出力端子110を省略しており、オーディオリターンチャンネル機能を備える以外は、実施の形態1のテレビシステム100と同様の構成を備えるものである。
【0061】
テレビシステム500は、オーディオリターンチャンネル機能を実現するために、デジタル音声信号を光信号に変換して光デジタル音声出力端子110に出力する音声処理部本体107bを備える音声処理部107に代えて、デジタル音声信号をHDMIレシーバ503(後述する)に出力する音声処理部本体507bを備える音声処理部507を備えている。音声処理部本体507bは、デジタル音声信号を出力する機能以外は音声処理部本体107bと同様の機能を備えている。テレビシステム500は、オーディオリターンチャンネル機能を実現するために、デジタル音声信号を片方向に伝送するHDMIレシーバ本体103bを備えるHDMIレシーバ103に代えて、デジタル音声信号を双方向に伝送できるHDMIレシーバ本体503bを備えるHDMIレシーバ503を備えている。HDMIレシーバ本体503bは、HDMIレシーバ本体103bが備える機能に加えて、音声処理部本体507bから入力されたデジタル音声信号をHDMIケーブルを介して外部の音声アンプ600(後述する)へ出力する機能を有している。
【0062】
上記外部の音声アンプ600は、テレビシステム500からHDMIケーブルを介して入力されたデジタル音声信号をマルチチャンネルのスピーカ301から出力できる形式のアナログ音声信号に変換してスピーカ301に出力する機能をさらに備える以外は、実施の形態1の音声アンプ300と同様の構成を有している。
【0063】
本実施形態の構成においても、前記の実施の形態1と同様に図2のフローチャートの動作を実現でき、前記の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、テレビシステム500と音声アンプ600との光ケーブル接続を省くことができるので、ケーブル接続の手間を省くことができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態では、外部HDMI機器200からのデジタル音声信号が音声処理部507まで伝送された後、音声アンプ600まで戻されるようになっていた。しかしながら、HDMIレシーバ503が消音機能を備える場合には、HDMIレシーバ503が外部HDMI機器200からのデジタル音声信号を、音声処理部507を介さずに音声アンプ600へ戻し、内蔵スピーカ109から音声を出力させるときにはHDMIレシーバ503の消音機能を利用して音声アンプ600への出力信号を消音信号としてもよい。
【0065】
また、図3の構成では、図1の構成にあった光デジタル音声出力端子110を省略しているが、光デジタル音声出力端子110を残しておく方が良い。それは、光デジタル音声出力端子110は、HDMIバージョン1.4以降に対応していない音声アンプやMD録音機器等の録音機器へデジタル音声信号を出力するためには必要だからである。
【0066】
なお、上述の説明では、AVシステムが、アナログチューナ部101a、デジタルチューナ部101b、アナログ外部機器400、内蔵BD/DVDドライブ104、および外部HDMI機器200の5つの視聴ソースから出力された音声信号を利用できる場合について説明したが、これに限るものではない。AVシステムは、少なくとも1つの視聴ソースから出力された2チャンネル以下の音声信号およびマルチチャンネルステレオ音声信号を利用できるものであれば、視聴ソースの数および種類は制限されるものではない。例えば、AVシステムは、テレビシステム100から、アナログチューナ部101a、外部入力部102、HDMIレシーバ103、および内蔵BD/DVDドライブ104を省いた構成のテレビシステムであってもよい。また、AVシステムは、テレビシステム100から、チューナ101、外部入力部102、および内蔵BD/DVDドライブ104を省いた構成のスピーカ内蔵ディスプレイであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
100 テレビシステム(AVシステム)
101 チューナ
101a アナログチューナ部
101b デジタルチューナ部
103 HDMIレシーバ
104 内蔵BD/DVDドライブ(記録媒体再生手段、BDドライブ)
105 マイコン
105b マルチチャンネル判別部(マルチチャンネル判別手段)
105c 消音指示部(音声出力制御手段)
106 映像処理部
107 音声処理部
109 内蔵スピーカ(内蔵の音声出力手段)
110 光デジタル音声出力端子(音声信号出力手段)
200 外部HDMI機器
300 音声アンプ(外部の音声出力システム)
301 スピーカ(外部の音声出力システム)
400 アナログ外部機器
500 テレビシステム(AVシステム)
503 HDMIレシーバ
507 音声処理部
600 音声アンプ(外部の音声出力システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号および音声信号を映像および音声として再生するためのAVシステムであって、
2チャンネル以下の音声を出力するための内蔵の音声出力手段と、
マルチチャンネルステレオ音声を出力可能な外部の音声出力システムへ音声信号を出力する音声信号出力手段と、
再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定するマルチチャンネル判別手段と、
再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であると判定された場合には、再生しようとする音声信号を音声信号出力手段から外部の音声出力システムへ出力させ、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオの音声信号でないと判定された場合には、再生しようとする音声信号を内蔵の音声出力手段から音声として出力させる音声出力制御手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項2】
映像信号および音声信号が記録された記録媒体を再生して、映像信号および音声信号を含むHDMI信号として出力するための内蔵の記録媒体再生手段をさらに備え、
上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号が上記記録媒体再生手段から出力されたHDMI信号に含まれる音声信号である場合、HDMI信号のHDMI制御信号に含まれる音声情報に基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のAVシステム。
【請求項3】
映像信号および音声信号を含むHDMI信号を外部から受信するHDMIレシーバをさらに備え、
上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号が上記HDMIレシーバで受信された外部からのHDMI信号である場合、HDMI信号に含まれるSPDIF信号のChannel Statusに基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載のAVシステム。
【請求項4】
デジタル放送信号を受信可能なチューナをさらに備え、
上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号がチューナで受信されたデジタル放送信号である場合、デジタル放送信号のPIDに含まれる音声情報に基づいて、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のAVシステム。
【請求項5】
上記音声信号として、アナログ音声信号およびデジタル音声信号の両方が再生可能であり、
上記マルチチャンネル判別手段は、再生しようとする音声信号がアナログ音声信号であれば、再生しようとする音声信号がマルチチャンネルステレオ音声信号でないと判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のAVシステム。
【請求項6】
HDMI信号を外部から受信可能なHDMIレシーバをさらに備え、
上記外部の音声出力システムは、HDMIケーブルを介して上記HDMIレシーバに接続された音声アンプを含んでいることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のAVシステム。
【請求項7】
BDドライブを内蔵したテレビシステムであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のAVシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−77843(P2011−77843A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227525(P2009−227525)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】