説明

AV機器

【課題】内部状態情報や操作方法の説明情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易かつ正確に外部装置へ伝送する機能や,外部装置へ伝送した内部状態情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易に入力し,その入力情報に応じた処理を実行する機能等を備えたAV機器を提供すること。
【解決手段】制御回路8が,内部状態情報や操作説明情報を表すQRコードを生成し,映像処理回路6が,そのQRコードを含む画像の画像信号を生成して映像表示部に出力する。また,制御回路8は,IrSimple受光部9bを通じてQRコードのデコード情報を受信し,そのデコード情報に対応する処理を実行する。例えば,デコード情報に含まれる音声及び映像の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報に基づいてそのパラメータの設定処理を実行,或いはデコード情報に含まれるコンテンツの再生処理のレジューム情報に基づいてレジューム再生処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,表示手段に画像信号を出力して画像を表示させる機能を備えたAV機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置に画像信号を出力して画像を表示させるテレビジョン受像機や録画再生装置等のAV機器は,自装置内部の状態を表す各種の情報(以下,内部状態情報という)をメモリに記憶させ,その情報に基づいて各種の処理を実行したり,その情報を表示装置や外部装置に出力したりする機能を備えている。
例えば,テレビジョン受像機は,音声や映像の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報を記憶し,その設定情報に基づいてイコライズ処理や出力映像の輝度の調節処理等を実行する。また,録画再生装置は,放送番組の録画予約の設定情報を記憶し,その設定情報に基づいて放送番組の自動録画処理を実行する。また,デジタル式の録画再生装置の中には,ハードディスクやDVD等の記憶部に記憶された録画データの再生処理を実行途中で再生の中断操作(再生終了操作)がなされた場合に,その再生処理の中断位置の情報(いわゆるレジューム情報)を記憶し,次に同じ録画データについて再生開始操作がなされた場合に,その記憶した中断位置から録画データの再生処理を開始するレジューム再生機能を備えるものも多い。また,装置内部の異常状態の情報を記憶し,所定の操作に応じてその異常状態の情報を表示部に表示させる異常通知機能を備えたAV機器も存在する。
また,昨今のAV機器は,高機能化に伴って操作方法が複雑化しており,取扱説明書を読むことは面倒であることから,ユーザが操作に混迷したり,設けられた機能が十分に利用されなかったりする状況がある。これに対し,昨今のAV機器は,操作部に設けられた所定の専用キー(例えば,HELPキー)の操作に応じて,その操作方法の説明情報の画面を自装置又は外部装置の映像表示部に表示させる機能(以下,説明画面出力機能という)を備えるものもある。
図7は,従来のAV機器が,その映像表示部に,所定の映像v3を表示させているときに,HELPキー等が操作されたことにより,その映像表示部に前記説明画面出力機能によって操作方法の説明情報の画面v4を表示させた状態を表す図である。
【0003】
一方,インターネットへの接続機能を備えた昨今のカメラ付き携帯電話機は,そのカメラによりQRコードが撮像された場合に,そのQRコードをデコードし,デコード情報に含まれる通信アクセス先の情報(URLやメールアドレス等)に基づいてインターネットを通じた通信アクセスを実行する機能を有するものが多い。このようなカメラ付き携帯電話機の普及にともない,新聞や雑誌,インターネット上のホームページ等において,通信アクセス先の情報(URLやメールアドレス等)を表すQRコードが表記される例が増えている。これにより,宣伝広告や懸賞応募の宛先をキー操作で入力する手間を省略でき,また,入力ミスも防止できる。
また,特許文献1には,カメラ付き携帯電話機が,撮像画像に含まれるQRコードをデコードし,そのデコード情報に番組予約情報が含まれる場合に,その番組予約情報をビデオ録画装置に送信する番組予約方法が示されている。
【特許文献1】特開2006−115310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,AV機器のユーザサポートサービスにおいて,サービス提供者が,AV機器における前記内部状態情報(前記パラメータの設定情報や異常状態の情報等)を知りたい場合が多い。その場合,ユーザが,所定の操作によって前記内部状態情報を表示部に表示させ,その表示情報を電話や電子メール等によってサービス提供者に伝える必要がある。しかしながら,従来,機器の知識に乏しいユーザからサービス提供者へ必要な内部状態情報を正確に伝えることが難しいという問題点があった。ここで,AV機器が,インターネットへの接続機能と,その機能を利用して前記内部状態情報をサービス提供者側へ送信する機能とを備えることも考えられる。しかしながら,ユーザそれぞれのインターネット接続環境は多種多様であるため,各ユーザがAV機器に対してインターネット接続のための設定を行う作業が手間であり,さらに,ユーザがインターネット接続環境を有さない場合には適用できないという問題点がある。
【0005】
また,AV機器において,部品交換や誤操作等によって前記パラメータの設定情報が初期化された場合,その設定情報を再設定する操作が手間であるという問題点もあった。また,テレビジョン受像機のように,1台の装置を複数のユーザで共用されるAV機器において,各ユーザの嗜好や視聴するコンテンツの種類(音楽番組かスポーツ番組か等)に対応した前記パラメータの設定情報の内容が異なる場合,ユーザごと或いはコンテンツの種類ごとに前記パラメータの設定情報を再設定する作業が手間であるという問題点もあった。
また,録画再生装置は,再生対象となるコンテンツが着脱自在の記憶メディア(DVD等)に記憶されている場合,一般に,その記憶メディアの入れ替え(機器からの取り出し)の検知に応じて,再生のレジューム情報を初期化する。そのため,録画再生装置において,記憶メディアの入れ替えが行われた場合には,レジューム再生機能が有効とならないという問題点があった。
以上に示したように,従来のAV機器は,その内部状態情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易かつ正確に外部装置へ伝送する機能や,外部装置へ伝送した内部状態情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易に入力し,その入力情報に応じた処理を実行する機能を十分に備えていなかった。
また,AV機器が,所定の映像を自装置又は外部装置の映像表示部に表示させているときに,その映像表示部に前記説明画面出力機能によって操作方法の説明情報を表示させると,その説明情報の情報量が多い場合には図7に示したように元の表示画面が遮られてしまい,説明情報を表示させたままでは操作を円滑に進めることができなくなるという問題点もあった。例えば,ユーザは,説明情報を表示させてその内容を確認した上で,再度その説明情報の表示を解除(消去)した上で所定の操作を行い,その操作の途中で再び説明情報を表示させてその内容を再確認するといった煩雑な操作を強いられる場合がある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,内部状態情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易かつ正確に外部装置へ伝送する機能や,外部装置へ伝送した内部状態情報を汎用性の高いインターフェースによって簡易に入力し,その入力情報に応じた処理を実行する機能,さらには,既に表示中の画面を極力遮ることなく操作方法の説明情報を提供できる機能を備えたAV機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係るAV機器は,内蔵する或いは外部装置が備える表示手段に画像信号を出力して画像を表示させる機能を備え,さらに,次の(1)及び(2)に示す各構成要素を備えるものである。
(1)当該AV機器内部の状態を表す情報(内部状態情報)又は当該AV機器の操作方法の説明情報を含む情報を表すQRコードを生成するQRコード生成手段。
(2)前記QRコード生成手段により生成されたQRコードを含む画像の画像信号を生成して前記表示手段に出力するQRコード画像信号出力手段。
本発明に係るAV機器によれば,前記内部状態情報や操作方法の説明情報を汎用性の高いインターフェースであるQRコードを介して簡易かつ正確に外部装置(カメラ付き携帯電話機やデジタルカメラ等がその典型例)へ伝送することができる。これにより,前記外部装置において,QRコードやそのデコード情報を用いた各種の処理,例えば,取得したQRコードやそのデコード情報を前記外部装置が備える表示部に表示させる処理や,さらに他の装置へ転送する処理等を実行することができる。ここで,QRコードのデコード情報がAV機器の操作方法の説明情報である場合,前記外部装置が,その説明情報(デコード情報)を自装置の表示部に表示させれば,本発明に係るAV機器によって既に表示中の画面を極力遮ることなく,情報量の多い操作方法の説明情報が前記外部装置を通じてユーザに提供される。
ここで,前記内部状態情報は,例えば,次の(I1)〜(I6)に示す各情報のうちの1又は複数を含む情報であることが考えられる。
(I1)音声及び映像の一方若しくは両方の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報。
(I2)放送番組の録画予約の設定情報。
(I3)所定の記憶手段に記憶されたコンテンツの再生処理のレジューム情報。
(I4)異常状態の情報。
(I5)処理の実行履歴の情報。
(I6)操作履歴の情報。
【0007】
また,本発明に係るAV機器が,以下の(1−1)及び(1−2)に示す各構成要素,又は(2−1)〜(2−3)に示す各構成要素を備えればなお好適である。
(1−1)所定の信号受信手段を通じてQRコードのデコード情報を受信するデコード情報受信手段。
(1−2)前記デコード情報受信手段による受信情報(デコード情報)に対応する処理を実行するデコード情報対応処理実行手段。
(2−1)QRコードを含む画像の画像データを取得する画像データ取得手段。
(2−2)前記画像データ取得手段により取得された画像データに基づく画像に含まれるQRコードをデコードするQRコードデコード手段。
(2−3)前記QRコードデコード手段によるデコード情報に対応する処理を実行するデコード情報対応処理実行手段。
なお,以下,(1−2)に示したデコード情報対応処理実行手段のことを第1のデコード情報対応処理実行手段と称し,(2−3)に示したデコード情報対応処理実行手段のことを第2のデコード情報対応処理実行手段と称する。
ここで,前記画像データ取得手段としては,所定の信号伝送媒体(赤外線信号等)を通じて外部装置から画像データを受信する画像データ受信手段,或いは二次元の像を撮像して画像データを得る撮像手段が考えられる。この撮像手段は,前記表示手段に表示されたQRコードを撮像する手段及びその撮像画像を表示する手段を備えた外部装置によって表示されたQRコードを撮像するものである。
本発明に係るAV機器がこれらの構成を備えれば,外部装置(カメラ付き携帯電話機やデジタルカメラ等がその典型例)へ伝送した内部状態情報を汎用性の高いインターフェースであるQRコードを介して簡易に入力し,その入力情報に応じた処理を実行することができる。
例えば,前記デーコード情報対応処理実行手段が,前記デコード情報に含まれる音声及び映像の一方若しくは両方の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報に基づいてそのパラメータの設定処理を実行するパラメータ設定手段を備えることが考えられる。
これにより,部品交換や誤操作等によって前記パラメータの設定情報が初期化された場合や,当該AV機器を共用する複数のユーザの嗜好や視聴するコンテンツの種類に対応した前記パラメータの設定情報の内容が異なる場合に,前記パラメータの設定情報のQRコードを外部装置(カメラ付き携帯電話機等)で予め撮影し,その撮像画像データ(QRコードの画像データ)或いはそのQRコードのデコード情報をその外部装置に記憶させておけば,前記パラメータの設定情報を再設定する手間を軽減できる。
また,前記画像データ取得手段及び前記QRコードデコード手段を備える場合,内部状態情報の伝送先である外部装置は,QRコードを撮影する撮像手段(カメラ)と,その撮像画像のデータを記憶する手段と,その画像データに基づく画像を表示する手段若しくはその画像データをAV機器へ送信する手段を備えていればよく,その撮像画像に含まれるQRコードのデコード機能を備える必要がない。そのため,前記外部装置として一般的なデジタルカメラやQRコードのデコード機能を備えていないカメラ付き携帯電話機等を用いることもできる。
なお,前記デコード情報受信手段が利用する信号受信手段としては,例えば,IrSimple規格に準拠した無線信号受信等の赤外線による無線信号受信手段を採用することが汎用性の高さの面で好適である。
【0008】
また,本発明に係るAV機器が,所定の記憶手段に記憶されたコンテンツの再生処理を実行するコンテンツ再生手段を備え,前記デーコード情報対応処理実行手段が,前記デコード情報に含まれるコンテンツの再生処理のレジューム情報に基づいて前記コンテンツの再生開始位置を特定し,特定した再生開始位置から前記コンテンツ再生手段による再生処理を開始させるレジューム再生制御手段を備えることも考えられる。
これにより,当該AV機器(ここでは,録画再生装置)は,再生対象となるコンテンツが着脱自在の記憶メディア(DVD等)に記憶されており,その記憶メディアの入れ替えが行われた場合であっても,レジューム再生機能を有効にすることができる。
【0009】
また,前記QRコード生成手段が,前記内部状態情報とその内部状態情報の送信先を表す宛先情報(URLや電子メールアドレス等)とを含む情報を表すQRコードを生成することが考えられる。
これにより,ごく一般的な携帯電話機(インターネット接続機能を備えたカメラ付き携帯電話機)を用いて,前記表示手段に表示されたQRコードの撮影,その撮影画像に基づくQRコードのデコード,及びそのデコード情報に基づく前記内部状態情報のインターネットを通じた送信を簡易に行うことができる。例えば,AV機器のユーザが,ユーザサポートサービスを受けるために,そのAV機器の内部状態情報を電子メールやホームページへのアクセスを通じてサービス提供者側に送信することが容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,内部状態情報を汎用性の高いインターフェースであるQRコードを介して簡易かつ正確に外部装置へ伝送でき,また,外部装置へ伝送した内部状態情報を汎用性の高いQRコードを介して簡易に入力し,その入力情報に応じた処理を実行することができる。また,本発明によれば,AV機器の操作方法の説明情報をQRコードを介して簡易に外部装置へ伝送できるため,外部装置においてその説明情報(QRコードのデコード情報)を表示させることができる。ここで,QRコードは大量の情報をごく小さなスペースに集約表記できる(1つのQRコードで約2千文字分の情報)ものである。そのため,本発明によれば,前記説明情報の情報量が多い場合であっても,前記表示手段に既に表示させている画面を極力遮ることなくその説明情報を前記外部装置を通じてユーザに提供することができる。そして,ユーザは,前記外部装置を通じて提供される前記説明情報を参照しつつ,本発明に係るAV機器の操作を円滑に進めることができる。以上に示したことから,本発明によれば非常に操作性に優れたAV機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図,図2はテレビジョン受像機XにおけるQRコード出力処理の手順を表すフローチャート,図3はテレビジョン受像機XにおけるQRコードデコード情報対応処理の手順を表すフローチャート,図4はテレビジョン受像機XにおけるQRコード出力選択メニュー画面の例を表す図,図5はテレビジョン受像機XにおけるQRコードの表示例を表す図,図6は本発明の実施例に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機X’の表示画面及び携帯端末の表示画面の一例を表す図,図7は従来のAV機器がその映像表示部に映像と操作方法の説明情報とを表示させた状態を表す図である。
【0012】
まず,図1に示すブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機Xの構成について説明する。
テレビジョン受像機Xは,入力された放送信号やAV信号に基づいて映像表示部16(表示手段の一例)に映像信号(画像信号と同義)を出力して映像(画像)を表示させる機能を備えるとともに,入力された放送信号やAV信号に基づく録画機能及びその録画機能により得られた録画データ(コンテンツ)の再生機能を備えるAV機器の一例である。
図1に示すように,テレビジョン受像機Xは,ディジタルチューナ1,復調回路2,デマルチプレクサ3,映像デーコーダ回路4,映像入力選択回路5,映像処理回路6,外部入力部7,制御回路8,リモコン受光部9a及びIrSimple受光部9b,リモコン15,映像表示部16,録画・再生回路17,ハードディスクドライブ18,DVDドライブ19,音声デコーダ回路10,音声入力選択回路11,音声処理回路12,アンプ13,及びスピーカ14等を具備している。
【0013】
前記ディジタルチューナ1は,前記制御回路8により選択を指示された放送番組の信号が含まれる搬送波周波数成分を選択して後段の復調回路2に伝送する。
前記復調回路2は,前記ディジタルチューナ1から伝送されてきた搬送波周波数成分からトランスポートストリーム信号(Transport Stream信号:以下、TS信号)を復調する。
前記デマルチプレクサ3は,前記ディジタルチューナ1及び前記復調回路2により抽出されたTS信号から,視聴する放送番組に対応した映像信号及び音声信号,並びに付加データ等を分離して抽出するものである。さらに,前記デマルチプレクサ3は,前記制御回路8から受けたPID(Packet IDentification)に応じて,視聴対象となる放送番組の映像信号及び音声信号を抽出し,各信号を前記映像デコーダ回路4及び前記音声デコーダ回路10それぞれに伝送する。
前記映像デコーダ回路4は,前記デマルチプレクサ3から受けた映像信号を復号し,復号した映像信号を前記映像入力選択回路5に伝送する。同様に,前記音声デコーダ回路10は,前記デマルチプレクサ3から受けた音声信号を復号し,復号した音声信号を前記音声入力選択回路11に伝送する。
【0014】
前記外部入力部7は,外部機器からAV信号(映像信号及び音声信号)を入力する信号入力インターフェースである。この外部入力部7を通じて入力された映像信号は前記映像入力選択回路5へ伝送され,同音声信号は前記音声入力選択回路11へ伝送される。
前記映像入力選択回路5は,前記制御回路8からの制御指令に従って,前記ディジタルチューナ1により選局されたチャンネルの映像信号(前記映像デコーダ回路4を通じて入力される映像信号)と,前記外部入力部7を通じて入力される映像信号と,録画・再生回路17から入力される映像信号(再生信号)のいずれかを選択して前記映像処理回路6へ伝送する回路である。
前記映像処理回路6は,前記映像入力選択回路5により選択された映像信号に対して各種信号処理を行うものである。例えば,前記映像処理回路6は,制御回路8から伝送される画像情報や文字情報を映像入力選択回路5から伝送される映像信号に重ねて或いは置き換えて映像表示部16に表示させる機能を備えている。
【0015】
前記音声入力選択回路11は,前記制御回路8からの制御指令に従って,前記ディジタルチューナ1により選局されたチャンネルの音声信号(前記音声デコーダ回路10を通じて入力される音声信号)と,前記外部入力部7を通じて入力される音声信号と,録画・再生回路17から入力される音声信号(再生信号)のいずれかを選択して前記音声処理回路12へ伝送する回路である。
前記音声処理回路12は,前記制御回路8からの指示に従って,前記音声入力選択回路11により選択された音声信号に対して各種信号処理を行うものである。例えば,前記スピーカ14の特性に合わせたイコライズ処理や,サラウンド処理等を行う。前記アンプ13は,前記音声処理回路12による処理後の音声信号を,前記制御回路8からの指示に従って増幅或いは減衰させる処理を行い,前記スピーカ14に出力するものである。
また,前記映像表示部16は,映像処理回路6から出力される映像信号に基づく映像を表示するものである。
【0016】
前記リモコン受光部9aは,当該テレビジョン受像機Xの操作用のリモコン15(リモート操作器)から,所定の信号伝送プロトコル(いわゆるリモコンプロトコル)に従って比較的低速な信号伝送により,赤外線による無線信号受信を行う信号伝送インターフェースである。前記リモコン受光部9aにおける赤外線信号の波長は,940〜950nm程度であり,その信号伝送速度は数kbps程度である。前記リモコン受光部9aは,赤外線信号伝送によって前記リモコン15に対する操作入力情報を取得し,その操作入力情報を前記制御回路8に伝送する。
前記IrSimple受光部9bは,周知のIrSimple規格に準拠した信号伝送インターフェースであり,前記リモコン受光部9aよりも高速で赤外線による無線信号受信を行うことによって画像データの受信を行う。前記IrSipmple受光部9bにおける赤外線信号の波長は,850〜900nm程度であり,その信号伝送速度は4Mbps程度である。前記IrSimple受光部9bは,携帯電話機などの携帯端末20からデータを受信し,その受信データを前記制御回路8に伝送する。
【0017】
前記制御回路8は,演算手段であるMPU8a,そのMPU8aによって実行される制御プログラムが予め格納される記憶手段であるROM8b(EPROM),前記MPU8aが実行する処理において読み書き(参照又は書き込み)される各種データを記憶する不揮発メモリ8c等を備え,当該テレビジョン受像機X全体を制御するものである。前記不揮発メモリ8cは,例えばフラッシュメモリ等である。
また,制御回路8は,リモコン15に対する操作に応じて,音声及び映像の出力処理の内容を定めるパラメータ情報を設定して不揮発メモリ8cに記憶させるパラメータ設定処理や,放送番組の録画予約の情報を設定してハードディスクドライブ18のディスクに記憶させる録画予約情報設定処理を実行する。前記パラメータ情報には,例えば音声の周波数帯域ごとのゲイン増減に関するイコライズ情報等の音質に関するパラメータ情報や,映像の輝度やコントラスト,色相等の画質に関するパラメータ情報等が含まれる。また,前記録画予約の情報には,録画対象とする番組の放送チャンネル,録画開始時刻,録画終了時刻等の情報が含まれる。
また,制御回路8は,予め定められた異常検出アルゴリズムに従って当該テレビジョン受像機Xの異常状態を検出し,異常状態を検出した場合に,その異常状態の情報を不揮発メモリ8cに記憶させる異常検出処理を実行する。さらに,制御回路8cは,異常状態に至るプロセスの解明に役立てるため,MPU8aが実行した処理の実行履歴情報及び操作部(リモコン15又は携帯端末20)を通じた操作履歴情報を不揮発メモリ8cに記録し,それら履歴情報を最新の予め定められた個数(処理のステップ数又は操作入力の数)だけ不揮発メモリ8cに保存させる履歴記録処理を実行する。
さらに,制御回路8は,前記IrSimple受光部9bを通じて受信したデータを前記不揮発メモリ8cに記憶させるとともに,その受信データの内容に対応した処理を実行する。
【0018】
また,前記録画・再生回路17は,デジタルチューナ1又は外部入力部7を通じて入力されるコンテンツ(放送番組等)の信号(映像信号及び音声信号)を圧縮符号化してハードディスクドライブ18のディスク(ハードディスク)又はDVDドライブ19のディスク(DVD)に記録する録画処理を実行する。さらに,録画・再生回路17は,ハードディスクドライブ18のディスク(ハードディスク)又はDVDドライブ19のディスク(DVD)に記憶されたコンテンツのデータ(録画データ)を復号化し,復号化後の信号(再生信号)を出力する再生処理も実行する(前記コンテンツ再生手段の一例)。再生信号における映像信号は,映像入力選択回路5及び映像処理回路6を通じて映像表示部16に出力される。また,再生信号における音声信号は,音声入力選択回路5及び音声処理回路12を通じてスピーカ14に出力される。
さらに,録画・再生回路17は,ハードディスクドライブ18又はDVDドライブ19のディスクに記憶された録画データの再生処理を実行途中でリモコン15において再生の中断操作(例えば,再生終了キーの押下操作)がなされた場合に,その再生処理の中断位置の情報と録画データの識別情報(データファイル名や録画データのタイトル情報等)とを含むレジューム情報を制御回路8に引き渡し,制御回路8はそのレジューム情報を不揮発メモリ8cに記録する。そして,制御回路8は,リモコン15に対して録画データの選択操作及び再生開始操作(例えば,再生キーの押下操作)がなされたことを検知した場合,前記レジューム情報に基づいて,録画・再生回路17に対して録画データの再生処理を開始させる制御を実行する。
【0019】
ところで,不揮発メモリ8cに記憶される前記パラメータ情報(音声及び映像の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報),コンテンツの再生処理のレジューム情報,異常状態の情報,処理の実行履歴の情報及び操作履歴の情報や,ハードディスクドライブ18のディスクに記憶される録画予約の設定情報は,テレビジョン受像機X内部の状態を表す情報である。以下,これらの情報を総称して内部状態情報という。なお,前記パラメータ情報は,音声関係のパラメータの設定情報のみ,或いは映像関係のパラメータの設定情報のみである場合も考えられる。
制御回路8は,MPU8aが所定のプログラムを実行することにより,リモコン15に対する所定の操作に応じて,前記内部状態情報を含む情報を表すQRコード(QRコードを表す画像データ)を生成する処理を実行する(QRコード生成手段の一例)。その場合,制御回路8は,生成したQRコードを映像処理回路6に引き渡し,映像処理回路6が,そのQRコードを含む画像の画像信号を生成して映像表示部16に出力する(前記QRコード画像信号出力手段の一例)。
ここに示したQRコードの表示に関する一連の処理のことを,以下,QRコード出力処理という。
【0020】
次に,図2に示すフローチャートを参照しつつ,制御回路8(のMPU8a)が所定のプログラムを実行することによって実現されるQRコード出力処理の手順について説明する。なお,以下に示すS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。
まず,制御回路8は,リモコン15に対して所定のQRコード出力指示操作(例えば,リモコン15に設けられたQRコードキー(専用キー)の押下操作)がなされたか否かを随時チェックする(S1)。
そして,制御回路8は,QRコード出力指示操作がなされたことを検知すると,映像処理回路6を制御することにより,映像表示部16にQRコード出力選択メニュー画面v1を表示させる(S2)。
図4は,ステップS2の処理により,映像表示部16に表示される前記QRコード出力選択メニュー画面v1の一例を表す。図4に示す例は,前記QRコード出力選択メニュー画面v1が,既に表示中の元の映像画面v0に重ねて表示されている状態(いわゆるOSD表示の状態)を表す。
図4に示すように,QRコード出力選択メニュー画面v1は,前記内部状態情報のうちのいずれを出力対象とするかを選択するためのメニュー画面である。
【0021】
制御回路8は,QRコード出力選択メニュー画面v1を表示中のリモコン15に対する選択操作(例えば,番号キーの押下操作)を検知し,その選択操作に応じて,前記内部状態情報の中から出力対象とする情報を選択する(S3)。
さらに,制御回路8は,リモコン15に対する選択操作に応じて選択した内部状態情報を含む情報を表すQRコードを生成する(S4,前記QRコード生成手段の一例)。
このステップS4において,制御回路8は,ステップS3で選択された情報(前記内部状態情報)の種類に応じて以下のようにQRコードを生成する。
即ち,選択された内部状態情報が前記異常状態の情報,処理の実行履歴の情報及び操作履歴の情報である場合,制御回路8は,それらの情報(内部状態情報)と,その情報の送信先を表す宛先情報と,当該テレビジョン受像機Xの識別情報(型式情報や製造番号等)と,その時点の日時情報とを含む情報を表すQRコードを生成する。なお,前記宛先情報は,予め不揮発メモリ8c又はROM8bに記憶された当該テレビジョン受像機Xのユーザサポートセンターを宛先(通信アクセス先)とする電子メールアドレスやURL等である。
一方,選択された内部状態情報がその他の情報(前記パラメータ情報(音声及び映像の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報),録画予約の情報又はコンテンツ再生処理のレジューム情報)である場合,制御回路8は,それらの情報(内部状態情報)とその時点の日時情報とを含む情報を表すQRコードを生成する。
【0022】
続いて制御回路8は,ステップS4で生成したQRコードを映像処理回路6に引き渡し,それに応じて映像処理回路6は,そのQRコード含む画像の画像信号(映像信号)を生成して映像表示部16に出力する(S5,前記QRコード画像信号出力手段の一例)。
図5は,ステップS5の処理によって映像表示部16にQRコードの表示画面v2が表示されている例を表す。図5に示す例は,複数(3つ)のQRコードが表示された例であるが,ステップS4及びS4の処理によって生成及び表示されるQRコードの数は,ステップS3で選択された内部状態情報の情報量に応じて1つである場合も複数である場合もある。
このQRコードの表示画面v2におけるQRコードは,カメラ付き携帯電話機等の携帯端末20により,カメラによる撮影及び撮影画像データの記憶と,その撮影画像データに基づくQRコードのデコードと,そのデコード情報の表示(携帯端末20が備える表示部への表示)及びメモリへの記録とが行われる。携帯端末20のメモリに記録(記憶)されたQRコードのデコード情報は,後にテレビジョン受像機Xに送信され,テレビジョン受像機Xは,そのデコード情報をIrSimple受光部9bを通じて受信するとともに,そのデコード情報に対応する処理(以下,QRコードデコード情報対応処理という)を実行する。その詳細については後述する。
その後,制御回路8は,リモコン15に対してQRコードの表示画面v2の表示状態を解除する操作(例えば,リモコン15に設けられたQRコードキー(専用キー)の押下操作)がなされたか否かを随時チェックする(S6)。
そして,制御回路8は,QRコードの表示画面v2の表示状態を解除する操作がなされたことを検知すると,映像処理回路6を制御することにより,映像表示部16の表示状態を元の表示状態(ステップS2の処理が開始される前の表示状態)に戻した上で(S7),前述したステップS1へ処理を戻す。制御回路8は,以上に示したステップS1〜S7の処理を繰り返す。
【0023】
一方,携帯端末20は,QRコードのデコード情報に電子メールアドレスが含まれる場合には,その電子メールアドレスを宛先とし,デコード情報におけるその他の情報(内部状態情報を含む)を送付データとする電子メールの送信データを自動生成する。そして,携帯端末20は,その操作部に対して所定のメール送信操作(メール送信キーの押下操作等)が行われた場合に,自動生成した電子メールの送信データを送信する。
また,携帯端末20は,QRコードのデコード情報にURLが含まれる場合には,そのURLをアクセス先として表示するWebデータ(HTMLデータ等)を自動生成する。そして,携帯端末20は,その操作部に対して表示したURLを指定する操作が行われた場合に,デコード情報におけるその他の情報(内部状態情報を含む)を指定されたURLを宛先としてアップロード(送信)する。なお,QRコードの画像データそのものを電子メール送信或いはアップロードすることも考えられる。
このように,ごく一般的な携帯電話機(インターネット接続機能を備えたカメラ付き携帯電話機)等の携帯端末20を用いて,映像表示部16に表示されたQRコードの撮影,その撮影画像に基づくQRコードのデコード,及びそのデコード情報に基づく内部状態情報のインターネットを通じた送信を簡易に行うことができる。その結果,AV機器のユーザが,ユーザサポートサービスを受けるために,当該テレビジョン受像機Xの内部状態情報を電子メールやホームページへのアクセスを通じてサービス提供者側に送信することが容易となる。
【0024】
次に,図3に示すフローチャートを参照しつつ,制御回路8により実行される前記QRコードデコード情報対応処理の手順について説明する。
まず,制御回路8は,リモコン15に対してIrSimple通信モードへの移行操作(例えば,リモコン15に設けられたIrSimpleキー(専用キー)の押下操作)がなされたか否かを随時チェックする(S11)。
そして,制御回路8は,IrSimple通信モードへの移行操作がなされたことを検知すると,IrSimple受光部9b(信号受信手段の一例)を通じて,携帯端末20からデータを受信し,受信データを不揮発メモリ8cに記憶させる(S12)。この受信データ(携帯端末20による送信データ)は,カメラ付きの携帯端末20において,当該テレビジョン受像機X又はこれと同機能を備えた他のテレビジョン受像機が映像表示部16に表示させたQRコードを撮像し,その撮像画像に含まれるQRコードをデコードして得られたデコード情報であるか,或いはその他のデータ(携帯端末20のカメラで撮像した画像データ等)である。なお,ステップS12の処理を実行する制御回路8が,前記デコード情報受信手段の一例である。
【0025】
次に,制御回路8は,携帯端末20からの受信データの種類を判別する(S13,S15)。
ここで,制御回路8は,携帯端末20からの受信データに,前記パラメータ情報(音声及び映像の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報(デコード情報の一例))が含まれると判別した場合(S13のY),その受信データに含まれる前記パラメータ情報に基づいて,前記パラメータ情報の再設定(不揮発メモリ8cに既に記憶されている情報の更新)を自動的に実行し(S14,前記パラメータ設定手段の一例),その後,前述したステップS11へ処理を戻す。
これにより,部品交換や誤操作等によって前記パラメータ情報が初期化された場合や,当該テレビジョン受像機Xを共用する複数のユーザの嗜好や視聴するコンテンツの種類に対応した前記パラメータ情報の内容が異なる場合に,前記パラメータ情報のQRコードを携帯端末20で予め撮影し,その撮像画像データ(QRコードの画像データ)に基づくQRコードのデコード情報を携帯端末20のメモリに記憶させておけば,前記パラメータ情報を再設定する手間を軽減できる。
【0026】
また,制御回路8は,携帯端末20からの受信データに,コンテンツ再生処理のレジューム情報(デコード情報の一例)が含まれると判別した場合(S15のY),その受信データに含まれるレジューム情報に基づいて,リモコン15に対する操作によって指定されたコンテンツ(ハードディスクドライブ18又はDVDドライブ19に記憶された録画データ)の再生開始位置を特定し,特定した再生開始位置から録画・再生回路17による再生処理を開始させ(S16,前記レジューム再生制御手段の一例),その後,前述したステップS11へ処理を戻す。
より具体的には,制御回路8は,まず,リモコン15を通じて指定された録画データの識別情報と,受信データ内のレジューム情報に含まれる識別情報とが一致するか否かを判別する。次に,制御回路8は,それら識別情報が一致すると判別した場合,受信データ内のレジューム情報に含まれる再生処理の中断位置の情報に基づいて,指定された録画データにおける再生開始位置を特定する。そして,制御回路8は,リモコン15に対する再生開始操作(再生キーの押下操作等)がなされたことを検知すると,録画・再生回路17を制御することにより,特定した再生開始位置(即ち,前回の再生中断位置)から指定された録画データの再生処理を開始させる。なお,制御回路8は,指定された録画データの識別情報と,受信データ内のレジューム情報に含まれる識別情報とが一致しないと判別した場合には,リモコン15に対する再生開始操作に応じて,指定された録画データの再生処理をその先頭部分から開始させる。
これにより,テレビジョン受像機Xは,再生対象となるコンテンツ(録画データ)が着脱自在の記憶メディアであるDVDに記憶されており,そのDVDの入れ替えによって過去に不揮発メモリ8cに記憶されたレジューム情報が削除(或いは初期化)されている場合であっても,レジューム再生機能を有効にすることができる。
【0027】
以上に示したように,制御回路8は,IrSimple受光部9bを通じて受信したデータがQRコードのデコード情報を含む場合,そのデコード情報に対応する処理(S14,S16)を実行する(前記第1のデコード情報対応処理実行手段の一例)。
一方,制御回路8は,携帯端末20からの受信データが,前記パラメータ情報も前記レジューム情報も含まない他のデータである場合,そのデータの内容に応じて予め定められた処理を実行し(S17),その後,前述したステップS11へ処理を戻す。例えば,制御回路8は,携帯端末20からの受信データが携帯端末20のカメラでの撮影により得られた画像データである場合,その画像データを不揮発メモリ8cに記憶させるとともに,映像処理回路5を制御することにより,その画像データに基づく映像(画像)を映像表示部16に表示させる。
【0028】
以上に示した実施形態では,制御回路8が,IrSimple受光部9bを通じてQRコードのデコード情報を受信し(S12),その受信情報(デコード情報)に対応する処理(S14,S16)を実行する例を示した。
これに対し,前記テレビジョン受像機Xが,QRコードを含む画像の画像データを取得する画像データ取得部を備えることも考えられる。この場合,制御回路8が,その画像データ取得部により取得された画像データに基づく画像に含まれるQRコードをデコードし(前記QRコードデコード手段の一例),そのデコード情報に対応する処理を実行する(前記第2のデコード情報対応処理実行手段の一例)。
例えば,前記テレビジョン受像機Xが,前記画像データ取得部として,二次元の像を撮像して画像データを得るカメラ(撮像手段)を備える例が考えられる。
この場合,ユーザは,リモコン15に対してQRコード撮像モードへの移行操作(例えば,QRコードキー(専用キー)の押下操作等)を行った上で,携帯端末20の表示部(液晶表示パネル等)に,予めテレビジョン受像機Xの映像表示部16の画面を撮影して保存しておいておいたQRコード(画像)を表示させ,そのQRコードの表示画面をテレビジョン受像機Xのカメラに近づける。
一方,制御回路8は,リモコン15に対するQRコード撮像モードへの移行操作を検知すると,前記カメラによる撮像画像(携帯端末20の表示部に表示されたQRコードを含む画像)を取得し,その撮像画像からQRコードを抽出するとともに,抽出したQRコードをデコードし,そのデコード情報を不揮発メモリ8cに記憶させる。このとき,制御回路8が,映像処理回路6を制御することにより,前記カメラによる撮像画像を映像表示部16に表示させることが望ましい。これにより,前記カメラに対する携帯端末20(QRコードの表示画面)の位置合わせが容易となる。
なお,制御回路8が,不揮発メモリ8cに記憶させたデコード情報の内容に応じた処理(図3に示したS13〜S16の処理)を実行することは,実施形態に示した前記テレビジョン受像機Xの場合と同様である(前記第2のデコード情報対応処理実行手段の一例)。
このように,テレビジョン受像機Xが,カメラとそのカメラにより撮影されたQRコードのデコード機能とを備えることにより,携帯端末20は,QRコードを撮影するカメラと,そのカメラにより得られる画像データを記憶するメモリと,その画像データに基づく画像を表示する表示部とを備えていればよく,QRコードのデコード機能やテレビジョン受像機Xへのデータ送信機能を備える必要がない。そのため,携帯端末20として一般的なデジタルカメラ等を用いることもできる。
【0029】
また,前記テレビジョン受像機Xにおいて,IrSimple受光部9b及び制御回路8が,前記画像データ取得部として機能することも考えられる。
この場合,ユーザは,リモコン15に対してQRコード受信モードへの移行操作(例えば,QRコードキー(専用キー)の押下操作等)を行った上で,携帯端末20において過去に撮影したQRコードの画像データをテレビジョン受像機Xに送信するための操作を行う。
一方,制御回路8は,リモコン15に対するQRコード受信モードへの移行操作を検知すると,IrSimple受光部9bを通じて携帯端末20からQRコードを含む画像の画像データを取得(受信)し,その画像データからQRコードを抽出するとともに,抽出したQRコードをデコードし,そのデコード情報を不揮発メモリ8cに記憶させる。
なお,制御回路8が,不揮発メモリ8cに記憶させたデコード情報の内容に応じた処理(図3に示したS13〜S16の処理)を実行することは,実施形態に示した前記テレビジョン受像機Xの場合と同様である(前記第2のデコード情報対応処理実行手段の一例)。
このように,テレビジョン受像機Xが,QRコードを含む画像データの受信機能と,受信データに基づくQRコードのデコード機能とを備えることにより,携帯端末20は,QRコードを撮影するカメラと,そのカメラにより得られる画像データを記憶するメモリと,その画像データをテレビジョン受像機Xへのデータ送信機能とを備えていればよく,QRコードのデコード機能を備える必要がない。そのため,携帯端末20としてQRコードのデコード機能を備えないカメラ付き携帯電話機等を用いることもできる。
また,前述の実施形態では,本発明の実施形態に係るAV機器の一例として,映像表示部16を備えたテレビジョン受像機Xを示したが,本発明は,録画再生装置のように,映像表示部を備えた外部装置(テレビジョン受像機等)に対し,所定のインターフェース(AV端子やHDMIインターフェース等)を通じて映像信号を出力する他のAV機器への適用も可能である。
【0030】
また,前述した実施形態は,テレビジョン受像機Xの前記内部状態情報をQRコード化して映像表示部16に表示させる例であった。
一方,テレビジョン受像機Xがその映像表示部16に映像を表示させている状態において,制御回路8が,その状態のテレビジョン受像機Xの操作方法の説明情報を含むQRコードを,既に表示中の映像とともに映像表示部16に表示させる実施例も考えられる。
以下,図6を参照しつつ,そのような本発明の実施例に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機X’について説明する。なお,テレビジョン受像機X’は,前記テレビジョン受像機Xと同じハードウェア構成を備えている。
テレビジョン受像機X’において,前記制御回路8は,リモコン15に対する操作に応じた映像v3を映像表示部16に表示させる際に,その映像v3とともに,その映像v3を表示する状態における当該テレビジョン受像機X’の操作方法の説明情報を含む(その説明情報をコード化した)QRコードv5を,表示対象とする映像v3とともに映像表示部16に表示させる。なお,図6に示す映像v3は,テレビジョン放送の番組ガイド情報を表示する映像の一例である。
前記操作方法の説明情報としては,例えば,リモコン15の操作キーの情報とその操作キーが操作されたときの処理内容を表す情報との対応関係を表す情報や,表示中の用語やマークを説明する情報等が考えられる。制御回路8のROM8b又は不揮発性メモリ8cには,映像表示部16に表示させる映像の種類ごとに,その映像を表示中に有効な操作に関する説明情報が予め記憶されている。そして,制御回路8は,映像表示部16に映像v3を表示させる際に,その映像v3の種類に対応する前記説明情報をROM8b又は不揮発性メモリ8cから読み出し,その説明情報を含むQRコードv5を生成してそのQRコードを表示対象とする映像v3とともに映像表示部16に表示させる。
【0031】
図6に示すように,QRコードは,ごく小さなスペースに表記できるものであり,そのQRコードには大量の情報(1つのQRコードで約2千文字分の情報)を含めることができる。
そして,携帯端末20により,映像表示部16に表示されたQRコードv5を撮像し,そのQRコードv5をデコードした情報v6(即ち,テレビジョン受像機X’の操作方法の説明情報)をその表示部に表示させることができる。
このように,テレビジョン受像機X’によれば,前記説明情報の情報量が多い場合であっても,映像表示部16に既に表示させている映像v3の画面をほとんど遮ることなくその説明情報を携帯端末20の表示部を通じてユーザに提供することができる。その結果,ユーザは,携帯端末20の表示部を通じて提供される前記説明情報を参照しつつ,テレビジョン受像機X’の操作を円滑に進めることができる。
なお,所定の無線通信によりテレビジョン受像機X’から携帯端末20等の表示部を備えた外部装置に前記説明情報を所定の通信媒体を通じて送信することも考えられる。しかしながら,その場合,外部装置との間で通信を開始するための操作方法を説明する必要が生じたり,そもそもテレビジョン受像機X’が外部装置との通信を行う状態であるときには説明情報の送信を行うことができないといった問題が生じ得る。この点,テレビジョン受像機X’において説明情報提示に必要な操作,即ち,表示されたQRコードをカメラを備えた携帯端末20で撮像するという操作は,ユーザにとってごく一般的でわかりやすい操作である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は,テレビジョン受像機や録画再生装置等のAV機器への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】テレビジョン受像機XにおけるQRコード出力処理の手順を表すフローチャート。
【図3】テレビジョン受像機XにおけるQRコードデコード情報対応処理の手順を表すフローチャート。
【図4】テレビジョン受像機XにおけるQRコード出力選択メニュー画面の例を表す図。
【図5】テレビジョン受像機XにおけるQRコードの表示例を表す図。
【図6】本発明の実施例に係るAV機器の一例であるテレビジョン受像機X’の表示画面及び携帯端末の表示画面の一例を表す図。
【図7】従来のAV機器がその映像表示部に映像と操作方法の説明情報とを表示させた状態を表す図。
【符号の説明】
【0034】
X,X’:テレビジョン受像機
1 :ディジタルチューナ
2 :復調回路
3 :デマルチプレクサ
4 :映像デコーダ回路
5 :映像入力選択回路
6 :映像処理回路
7 :外部入力部
8 :制御回路
9a:リモコン受光部
9b:IrSimple受光部
10:音声デコーダ回路
11:音声入力選択回路
12:音声処理回路
13:アンプ
14:スピーカ
15:リモコン
16:映像表示部
17:録画・再生回路
18:ハードディスクドライブ
19:DVDドライブ
20:携帯端末
S1,S2,・・:ステップ(処理手順)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に画像信号を出力して画像を表示させる機能を備えたAV機器であって,
当該AV機器内部の状態を表す内部状態情報又は当該AV機器の操作方法の説明情報を含む情報を表すQRコードを生成するQRコード生成手段と,
前記QRコード生成手段により生成されたQRコードを含む画像の画像信号を生成して前記表示手段に出力するQRコード画像信号出力手段と,
を具備してなることを特徴とするAV機器。
【請求項2】
前記内部状態情報が,音声及び映像の一方若しくは両方の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報,放送番組の録画予約の設定情報,所定の記憶手段に記憶されたコンテンツの再生処理のレジューム情報,異常状態の情報,処理の実行履歴の情報及び操作履歴の情報のうちの1又は複数を含んでなる請求項1に記載のAV機器。
【請求項3】
所定の信号受信手段を通じてQRコードのデコード情報を受信するデコード情報受信手段と,
前記デコード情報受信手段による受信情報に対応する処理を実行するデコード情報対応処理実行手段と,
を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載のAV機器。
【請求項4】
QRコードを含む画像の画像データを取得する画像データ取得手段と,
前記画像データ取得手段により取得された画像データに基づく画像に含まれるQRコードをデコードするQRコードデコード手段と,
前記QRコードデコード手段によるデコード情報に対応する処理を実行するデコード情報対応処理実行手段と,
を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載のAV機器。
【請求項5】
前記デーコード情報対応処理実行手段が,
前記デコード情報に含まれる音声及び映像の一方若しくは両方の出力処理の内容を定めるパラメータの設定情報に基づいて該パラメータの設定処理を実行するパラメータ設定手段を具備してなる請求項3又は4のいずれかに記載のAV機器。
【請求項6】
所定の記憶手段に記憶されたコンテンツの再生処理を実行するコンテンツ再生手段を具備し,
前記デーコード情報対応処理実行手段が,
前記デコード情報に含まれるコンテンツの再生処理のレジューム情報に基づいて前記コンテンツの再生開始位置を特定し,特定した再生開始位置から前記コンテンツ再生手段による再生処理を開始させるレジューム再生制御手段を具備してなる請求項3〜5のいずれかに記載のAV機器。
【請求項7】
前記QRコード生成手段が,前記内部状態情報と該内部状態情報の送信先を表す宛先情報とを含む情報を表すQRコードを生成してなる請求項1又は2のいずれかに記載のAV機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−49948(P2009−49948A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216652(P2007−216652)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】