説明

CCDの破損防止システム

【課題】 スコープ先端部のCCDへの配線を増やすことなく、CCDのラッチアップ等による破損を防止することができるCCD制御システム及び電子内視鏡装置を提供する。
【解決手段】 CCD制御システムにおいて、出力信号を通過させる通常状態または所定の信号を出力する異常状態の2種類の異なる導通状態を有し、基板バイアス電圧に基づいて2種類の異なる導通状態のうちいずれか一方の状態が選択される、伝送路上に備えられた導通状態切替手段と、導通状態切替手段の出力を監視し、導通状態切替手段の出力が所定の信号であるとき、駆動手段へ駆動信号の供給を停止するための指示を行う、伝送路変更手段と信号処理手段の間の伝送路上に備えられた出力信号監視手段と、を備えるCCD制御システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDの破損を防止するためのCCD制御システムと、それを用いた電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(Charge Coupled Devices:固体撮像素子)は、その受光面上に結像した被写体の光学像を光電変換により電気信号に変換することができるデバイスである。通常、この電気信号はデバイス外部のCCD制御回路に備えられた信号処理部により処理されて映像信号として出力される。CCDを駆動させるためには複数種類の電源電圧やクロックパルスを供給する必要があり、その電源電圧の一つとして基板バイアス電圧(以降、Vsubという)が用いられる。VsubはVsub生成回路により生成されるが、CCDにはVsub生成回路をデバイス内部に有するもの(Vsub内部生成型)と、デバイス外部のCCD制御回路に有するVsub生成回路からVsubが供給されるもの(Vsub外部生成型)とがある。
【0003】
ところで、電子内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部、操作部、プロセッサ部に接続するためのケーブル及びコネクタ等からなるスコープ部と、スコープ部に供給するための電源及び光源やスコープ部からの映像信号を処理してモニタへと出力する等の機能を有するプロセッサ部とからなる。挿入部は、患者の苦痛を軽減するため及び体内の細管内を観察することができるよう可能な限り細径となるように日々研究開発がなされている。従って、スコープ部の挿入部の先端に配置されるCCDは、より小型であるほうがよい。
【0004】
Vsub外部生成型のCCDはデバイス内部にVsub生成回路を形成する領域を必要としないため、Vsub内部生成型のCCDよりも小型化が可能である。一方でVsub外部生成型のCCDには、Vsub生成回路を備えるCCD制御回路からCCDへと延びるVsub供給線が必要となる。通常、CCD制御回路の配置はスコープ内部ではあるがプロセッサ近く(コネクタ付近)である。そのため、Vsub供給線は他の信号線と同様、スコープの内部を通って挿入部先端に設けられたCCDまで延びている。
【0005】
したがって、Vsub外部生成型のCCDを備える電子内視鏡では、Vsub内部生成型のCCDを備える電子内視鏡と比して、CCDにVsubが入力されずに(もしくは電圧レベルが低下して)他の信号(例えばクロックパルス)が入力されてしまう可能性が高くなる。その結果、ラッチアップ等によるCCDの破損が引き起こる可能性が、Vsub内部生成型のCCDの場合より高くなる。Vsubが入力されない原因は、Vsub生成回路に起因するVsub出力異常(Vsub生成回路の出力低下等、以下同様)やVsub生成回路からCCDまでのVsub供給異常(例えば、Vsub供給線のショート、断線、接点不良等、以下同様)が考えられる。Vsub外部生成型のCCDについては、Vsub出力異常を検知したら、CCDへのVsub以外の信号の入力を即座に停止することにより、ラッチアップ等を防止することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、Vsub供給異常を検出してラッチアップ等を防止するためには、例えば、CCD付近にVsubをモニタするための部品等を配置することが考えられるが、その場合、モニタ信号をCCD制御回路へ伝送するための信号線を新たに設けなければならない。信号線を増やすことは、スコープに配線のためのスペースを要し挿入部の径が大きくなること、またその信号線の断線・ショート等の新たな懸念材料も増えることとなるので、好ましくない。したがって、従来は、上述のようなVsub外部生成型のCCDを用いた電子内視鏡において、信号線を増やすことなく、CCD付近のVsubをモニタすることが困難であった。その結果、Vsub供給異常によってVsubが低下した際に、CCDに信号が入力され、ラッチアップ等を引き起こしCCDが破損してしまうという可能性が、Vsub内部生成型のCCDの場合よりも高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、スコープ先端部のCCDへの配線を増やすことなく、Vsub出力異常及びVsub供給異常を検出し、CCDのラッチアップ等による破損を防止することができるCCD制御システムを提供し、さらにそのシステムを電子内視鏡に用いることにより、スコープ内に配線を増やすことなく、上記異常を検出し、CCDのラッチアップ等による破損を防止することができる電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るCCD制御システムは、CCDへ駆動信号を供給しCCDを駆動させるための駆動手段と、CCDに入力する基板バイアス電圧を生成するためのバイアス生成手段と、CCDからの出力信号を信号処理手段まで伝送するための伝送路とを有するCCD制御システムにおいて、出力信号を通過させる通常状態または所定の信号を出力する異常状態の2種類の異なる導通状態を有し、前記基板バイアス電圧に基づいて2種類の異なる導通状態のうちいずれか一方の状態が選択される、前記伝送路上に備えられた伝送路変更手段と、前記伝送路変更手段からの出力を監視し、導通状態切替手段の出力が前記所定の信号であるとき、前記駆動手段へ前記駆動信号の供給を停止するための指示を行う、前記導通状態切替手段と前記信号処理手段の間の伝送路上に備えられた出力信号監視手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るCCD制御システムの上記の構成により、CCDへの配線を増やさなくとも、従来の出力信号線上に種々の手段を備えることで、Vsub供給異常およびVsub出力異常を検出することができ、即座にCCDへの駆動信号を停止することにより、ラッチアップ等を防止することができる。
【0010】
また、前記導通状態切替手段は、前記基板バイアス電圧が予め設定されている所定の値以上の場合に通常状態をとり、当該所定の値未満の場合に異常状態をとることを特徴とする。
【0011】
また、前記導通状態切替手段は、前記出力信号が入力される信号入力端子、前記出力信号監視手段へ接続される信号出力端子、及びグランドへ接続されるGND端子からなる3端子のスイッチを有し、通常状態では前記信号入力端子と前記信号出力端子が導通され、異常状態では前記GND端子と前記信号出力端子が導通されるように前記伝送路を変更することを特徴とする。
【0012】
また、前記出力信号監視手段は、前記導通状態切替手段の出力信号電圧がグランド付近となった場合に、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うことを特徴とする。
【0013】
また、前記出力信号監視手段は、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うと同時に、異常検出信号を送信することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る電子内視鏡装置は、スコープとプロセッサとを備え、スコープ内部にはCCDへ駆動信号を供給しCCDを駆動させるための駆動手段と、CCDに入力するための基板バイアス電圧を生成するためのバイアス生成手段と、CCDからの出力信号を信号処理手段まで伝送するための伝送路とを備え、スコープ先端部にCCDを有する電子内視鏡装置において、出力信号を通過させる通常状態または所定の信号を出力する異常状態の2種類の異なる導通状態を有し、前記基板バイアス電圧に基づいて2種類の異なる導通状態のうちいずれか一方の状態が選択される、前記伝送路上に備えられた導通状態切替手段と、前記導通状態切替手段からの出力を監視し、導通状態切替手段の出力が前記所定の信号であるとき、前記駆動手段へ前記駆動信号の供給を停止するための指示を行う、前記伝送路変更手段と前記信号処理手段の間の伝送路上に備えられた出力信号監視手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電子内視鏡の上記の構成により、スコープ先端に配置されたCCDへ配線を増やさなくとも、従来の出力信号線上に種々の手段を備えることで、Vsub供給異常を検出することができ、即座にCCDへの駆動信号を停止して、ラッチアップ等を防止することができる。
【0016】
また、前記導通状態切替手段は、前記基板バイアス電圧が予め設定されている所定の値以上の場合に通常状態をとり、当該所定の値未満の場合に異常状態をとることを特徴とする。
【0017】
また、前記導通状態切替手段は、前記出力信号が入力される信号入力端子、前記出力信号監視手段へ接続される信号出力端子、及びグランドへ接続されるGND端子からなる3端子のスイッチを有し、通常状態では前記信号入力端子と前記信号出力端子が導通され、異常状態では前記GND端子と前記信号出力端子が導通されるように前記導通状態を変更することを特徴とする。
【0018】
また、前記出力信号監視手段は、前記導通状態切替手段の出力信号電圧がグランド付近となった場合に、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うことを特徴とする。
【0019】
また、前記出力信号監視手段は、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うと同時に、異常検出信号を送信することを特徴とする。
【0020】
また、前記導通状態切替手段が、スコープ部先端のCCD付近に配置されていることを特徴とする。
【0021】
また、前記駆動手段、前記バイアス生成手段、前記信号処理手段、及び前記出力信号監視手段が、前記スコープ内部の前記スコープが前記プロセッサと接続される基端部付近に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
したがって、本発明は上記の構成により、CCDからの配線を増やすことなく、Vsub供給異常及びVsub出力異常を検出したら、即座にCCDへの信号入力を停止することでCCDのラッチアップ等による破損を防止することができるCCD制御システムを提供し、さらにこのシステムを電子内視鏡に用いることにより、スコープ部先端のCCDからスコープ内に配設される配線を増やすことなく、Vsub出力異常及びVsub供給異常をCCD付近で検出することができ、即座にCCDへの信号入力を停止することでCCDのラッチアップ等による破損を防止することができる電子内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るCCD制御システム及び電子内視鏡装置の具体的な実施形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るCCD制御システムを備える電子内視鏡装置1の機能ブロック図である。電子内視鏡装置1は、スコープ部2及びプロセッサ部3からなる。スコープ部2とプロセッサ部3はスコープ部2の図示しないコネクタで互いに接続されている。また、プロセッサ部3には、操作部90及びモニタ80が接続されている。
【0025】
スコープ部2は、図示しない内視鏡の挿入部、操作部、鉗子差込口、ケーブル、コネクタ等からなる。また、その内部には、CCD部100及びCCD制御回路200(図2参照)からなるCCDシステム10、CCDシステム10からの映像信号を伝送するための信号ドライブ回路11、その他図示しないライトガイド、鉗子チャンネル、操作ケーブル、送気・送水管等の様々な機能を含む。このスコープ部2をハンドリングして術者は患者の体腔内の観察・処置を行う。
【0026】
プロセッサ3は、電源部20、絶縁部30、映像信号処理回路40、メモリ部50、ビデオ画像処理回路60、制御部70を有する。その他図示しない光源部(ランプや絞り、RGBカラーフィルタ等)も含まれる。電源部20は、映像信号処理回路40、メモリ部50、ビデオ画像処理回路60、制御部70、及びCCDシステム10、信号ドライブ回路11にそれぞれの電源を供給している。
【0027】
絶縁部30は、信号線に絶縁手段を設けることによりスコープ部2とプロセッサ部3を電気的に絶縁する機能を有する。絶縁部30には、絶縁トランスや、LEDとフォトダイオードを組み合わせたフォトカプラや、ICモジュール化されたもの等、絶縁状態で信号や電圧を伝送可能であればいずれの方法でも使用することができる。その結果、プロセッサ部3の回路に対して、スコープ部2の回路は電気的に浮いた状態になっているため、仮にスコープ部2において漏電が発生したとしても、患者は感電することがない構成となっている。
【0028】
CCDシステム10から出力されたアナログの映像信号は、信号ドライブ回路11、絶縁部30を介して、映像信号処理回路40に入力される。映像信号処理回路40では、入力された映像信号に対しA/D変換処理を行った後、制御部70から供給される同期信号に基づいてデジタル映像信号をR信号、G信号、B信号として順次、メモリ部50の所定の領域へと格納する。このメモリ部50は、制御部70によるメモリ書込み同期信号に基づいて動作制御されており、その後、R信号、G信号、B信号を出力する。
【0029】
メモリ部50の動作により出力され、同時化されたデジタル映像信号(すなわち、R信号、G信号、B信号)は、ビデオ画像処理回路60に入力される。ビデオ画像処理回路60では、D/A変換、増幅等の処理が行われ、アナログビデオ信号としてモニタ80に出力される。モニタ80は、術者が体腔内の映像を見ながら観察・処置を行うことができる。また、静止画像も見ることができる。
【0030】
制御部70は、CCDシステム10、映像信号処理回路40、メモリ部50、ビデオ画像処理回路60の制御を行う。また、操作部90からオペレータの操作に基づく信号を受信し、CCDシステム10から後述する異常検出信号を受信する。例えば、異常検出信号を受信した場合、その信号の情報に基づいて、ビデオ画像処理回路60によりモニタ80に所定の画像や文字等を表示させることができる。また、制御部70からの指令により、ブザーやスピーカ等(図示していない)で所定の音を発生させることもできる。これらの構成により、術者は、CCDへのVsubの供給に異常があり、CCDの駆動が停止したことを迅速に知ることができる。
【0031】
なお、上述した本発明の実施形態における信号処理機構は、主として面順次方式電子内視鏡に対応するものであるが、本発明に係るCCD制御システム及び電子内視鏡装置は、同時方式等の電子内視鏡においても採用することができる。
【0032】
次に、本発明の実施形態によるCCD制御システムについて説明する。
【0033】
図2は、図1のCCDシステム10の詳細を示した機能ブロック図である。CCDシステム10はCCD部100とCCD制御回路部200とからなる。CCD部100は、スコープ部2の挿入部の先端に配置されており、CCD110とスイッチ回路120を含む。CCD制御回路部200は、スコープ部2のコネクタ付近に配置されており、Vsub生成回路210、CCD駆動回路240、CCD信号処理部250、Vout信号監視回路260を有する。なお、図2には電源及び電源供給線が図示されていないが、CCD制御回路部200に含まれる各機能ブロックにはプロセッサ部3からそれぞれ電源が供給されているものとする。
【0034】
CCD110は、電荷結合素子であって光電変換デバイスの1つである。CCD110の受光面に照射された光の強弱の光学像をその強弱に応じた信号電荷に変換する動作を行う。この信号電荷の信号電圧への変換は水平CCDの出力段で行う。CCD110はこのような光電変換機能を持ったセンサーデバイスであり、各素子が非常に微細化されているため、その製造プロセスは半導体微細加工技術が用いられている。従って、デバイス内部に寄生トランジスタがやむを得ず存在してしまう。その結果、Vsub以外の入力信号電圧がVsubを上回ると、ラッチアップ等が生じ発熱により、デバイスの破損へとつながる。
【0035】
CCD110は、Vsub生成回路210により生成されたVsub及び、CCD駆動回路240から供給される複数のクロックパルス等のCCD入力信号を受けて、光電変換により蓄積された信号電荷を転送し、結果として電気信号を出力する。すなわち、本発明の実施形態によるVsub外部生成型のCCD110では、Vsub入力端子とクロックパルス入力端子がそれぞれ独立して存在するため、Vsubが入力されずVsub以外のCCD入力信号のみが入力されるという状況が起こりうる構造となっている。
【0036】
CCD駆動回路240は、CCD110へ、複数種類のクロックパルス(例えば、水平駆動パルス、垂直駆動パルス、リセットゲートパルス等)やその他各種電源電圧を供給している。
【0037】
Vsub生成回路210は、プロセッサ3の電源部20から供給される電源電圧により、所定のVsubを生成し、スイッチ回路120を経てCCD110にVsubを供給する。Vsubがデバイス内部の様々な電位分布の基準値となるため、Vsubの入力なしにはCCDは動作しない。そして、通常はVsub以外のCCD入力信号電圧の方がVsubよりも低いが、Vsubが入力されていない状態あるいはVsubが低下している状態でそのVsubよりも高い電圧のCCD入力信号が供給されると、CCDはラッチアップ等を引き起こしてしまう。そこで、本発明の実施形態では、Vsub低下を検知する手段の一つとして、Vsubの値に応じてスイッチを切り替えることができる機能を有するスイッチ回路120が設けられている。なお、Vsub供給線上にこのスイッチ回路120を設ける場合、モニタするVsub供給線の距離をできるだけ長くし、且つその回路とCCD110の間に生じる可能性のあるVsub供給異常の発生を防ぐために、可能な限りCCD110のVsub入力端子に近い位置に配置させることが好ましい。本発明の実施形態においては、スコープ先端のCCD部100内にスイッチ回路120が配置されている。
【0038】
図3はスイッチ回路120の概念図である。選択的に、スイッチ回路120はアナログスイッチ回路とコンパレータ等を組み合わせた比較的小型なIC等である。スイッチ回路120はスコープ部2の挿入部先端のCCD部100に配置されるため、より小型であるほうが好ましい。スイッチ回路120は、CCD110の信号出力端子に接続される端子122、Vout信号監視回路260に接続される端子124、及びグランド(GND)に接続される端子126の3つの信号端子、及びVsub入力端子を少なくとも有する。スイッチ回路120は、Vsubが入力されていない場合、端子126と端子124を導通しており、端子124はGNDとなっている。そしてVsubがある所定の値以上であれば端子122と端子124を導通(通常状態)させ、その後Vsubがある所定の値未満であれば端子124と端子126を導通(異常状態)させる機構を有する。したがって、正常なVsub(所定値以上のVsub)が入力されているときには、Vout信号監視回路260へCCD110の出力信号が伝送されるが、Vsub供給異常またはVsub出力異常により、Vsubが入力されていないとき又はVsubが所定の値未満となったときには、端子126と端子124が導通されるため、Vout信号監視回路260で検出されるスイッチ回路120の出力電圧(Vout信号電圧)はGNDレベルとなる。
【0039】
Vout信号監視回路260(図2)は、スイッチ回路120とCCD信号処理部250の間の出力信号伝送路上に設けられており、Vout信号電圧を監視している。Vout信号電圧が所定の値以下になった場合、即座にCCD駆動回路240に対し制御信号を送り、駆動信号の供給を停止させる。すなわち、本発明の実施形態では、スイッチ回路120においてVsubの低下が検出された場合に、端子126(GND)を端子124(すなわち、Vout信号監視回路260)と導通させるため、Vout信号監視回路260で検出される信号電圧が瞬時にGNDレベルへと低下するので、Vout信号電圧が所定の値以下であると判断して、CCD駆動回路240に制御信号を送信し、駆動信号の供給を停止することができる。また、Vout信号監視回路260は、CCD駆動回路240に制御信号を送信すると同時に、プロセッサ部3へ異常検出信号を送信する。この異常検出信号は、制御部70で受け取られ、例えば、ビデオ画像処理回路60を介してモニタ80に所定の表示をし、及び/又は音声等を発生させることにより、ユーザに異常があった旨を通知することを可能とする。
【0040】
CCD信号処理部250は、CCD110から出力された電気信号を受信する。そして、CCD駆動回路240から供給された同期信号に基づいて電気信号を映像信号へと変換する所定の処理を行う。その処理された映像信号はアナログ信号として、図1の信号ドライブ回路11へと出力される。
【0041】
したがって、本発明に係るCCD制御システムは、CCD部100内にスイッチ回路120を設け、さらにCCD制御回路部200にVout信号監視回路260を設けることにより、CCD110への配線を増やすことなく、挿入部の径を大きくすることなく、Vsub供給異常及びVsub出力異常を検出し、CCD駆動回路240を停止して、CCD110のラッチアップ等による破損を防止することができる。また、このシステムを採用した電子内視鏡装置は、スコープ部2の先端付近に配置されたCCD110への配線を増やすことなく、Vsub供給異常及びVsub出力異常を検出し、CCD110のラッチアップ等による破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示すCCDシステムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態のスイッチ回路を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 電子内視鏡装置
2 スコープ部
3 プロセッサ部
10 CCDシステム
11 信号ドライブ回路
20 電源部
30 絶縁部
40 映像信号処理回路
50 メモリ部
60 ビデオ画像処理回路
70 制御部
80 モニタ
90 操作部
100 CCD部
110 CCD
120 スイッチ回路
122,124,126 端子
200 CCD制御回路部
210 Vsub生成回路
240 CCD駆動回路
250 CCD信号処理部
260 Vout信号監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDへ駆動信号を供給しCCDを駆動させるための駆動手段と、CCDに入力する基板バイアス電圧を生成するためのバイアス生成手段と、CCDからの出力信号を信号処理手段まで伝送するための伝送路とを有するCCD制御システムにおいて、
前記出力信号を通過させる通常状態または所定の信号を出力する異常状態の2種類の異なる導通状態を有し、前記基板バイアス電圧に基づいて前記2種類の異なる導通状態のうちいずれか一方の状態が選択される、前記伝送路上に備えられた導通状態切替手段と、
前記導通状態切替手段の出力を監視し、前記導通状態切替手段の出力が前記所定の信号であるとき、前記駆動手段へ前記駆動信号の供給を停止するための指示を行う、前記導通状態切替手段と前記信号処理手段の間の伝送路上に備えられた出力信号監視手段と、
を備えることを特徴とするCCD制御システム。
【請求項2】
前記導通状態切替手段は、前記基板バイアス電圧が予め設定されている所定の値以上の場合に通常状態をとり、当該所定の値未満の場合に異常状態をとることを特徴とする請求項1に記載のCCD制御システム。
【請求項3】
前記前記導通状態切替手段は、前記出力信号が入力される信号入力端子、前記出力信号監視手段へ接続される信号出力端子、及びグランドへ接続されるGND端子からなる3端子のスイッチを有し、通常状態では前記信号入力端子と前記信号出力端子が導通され、異常状態では前記GND端子と前記信号出力端子が導通されるように前記導通状態を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のCCD制御システム。
【請求項4】
前記出力信号監視手段は、前記導通状態切替手段の出力信号電圧がグランド付近となった場合に、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うことを特徴とする請求項3に記載のCCD制御システム。
【請求項5】
前記出力信号監視手段は、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うと同時に、異常検出信号を送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のCCD制御システム。
【請求項6】
スコープとプロセッサとを備え、スコープ内部にはCCDへ駆動信号を供給しCCDを駆動させるための駆動手段と、CCDに入力するための基板バイアス電圧を生成するためのバイアス生成手段と、CCDからの出力信号を信号処理手段まで伝送するための伝送路とを備え、スコープ先端部にCCDを有する電子内視鏡装置において、
前記出力信号を通過させる通常状態または所定の信号を出力する異常状態の2種類の異なる導通状態を有し、前記基板バイアス電圧に基づいて前記2種類の異なる導通状態のうちいずれか一方の状態が選択される、前記伝送路上に備えられた導通状態切替手段と、
前記導通状態切替手段の出力を監視し、前記導通状態切替手段の出力が前記所定の信号であるとき、前記駆動手段へ前記駆動信号の供給を停止するための指示を行う、前記導通状態切替手段と前記信号処理手段の間の伝送路上に備えられた出力信号監視手段と、
を備えることを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項7】
前記導通状態切替手段は、前記基板バイアス電圧が予め設定されている所定の値以上の場合に通常状態をとり、当該所定の値未満の場合に異常状態をとることを特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡装置。
【請求項8】
前記導通状態切替手段は、前記出力信号が入力される信号入力端子、前記出力信号監視手段へ接続される信号出力端子、及びグランドへ接続されるGND端子からなる3端子のスイッチを有し、通常状態では前記信号入力端子と前記信号出力端子が導通され、異常状態では前記GND端子と前記信号出力端子が導通されるように前記導通状態を変更することを特徴とする請求項6または7に記載の電子内視鏡装置。
【請求項9】
前記出力信号監視手段は、前記導通状態切替手段の出力信号電圧がグランド付近となった場合に、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うことを特徴とする請求項8に記載の電子内視鏡装置。
【請求項10】
前記出力信号監視手段は、前記駆動信号の供給を停止するための指示を行うと同時に、異常検出信号を送信することを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の電子内視鏡装置。
【請求項11】
前記導通状態切替手段が、スコープ部先端のCCD付近に配置されていることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の電子内視鏡装置。
【請求項12】
前記駆動手段、前記バイアス生成手段、前記信号処理手段、及び前記出力信号監視手段が、前記スコープ内部の前記スコープが前記プロセッサと接続される基端部付近に配置されていることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の電子内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−212247(P2006−212247A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28777(P2005−28777)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】