説明

CCR5拮抗剤としての化合物

本発明は、式Iの化合物或はその薬学的に許容される塩を公開し、CCR5拮抗剤として有用である。また、式Iの化合物の製法及び用途、並びに式Iの化合物を含有する薬物組成物を開示する。さらに、式Iの化合物の製造に有用な中間体を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR5拮抗剤とされる化合物(ピロール誘導体)、及びその製法と用途に関する。
【背景】
【0002】
背景技術
ケモカインは、リンパ細胞の特異的遊走を導くサイトカンで、炎症性反応、白血球の滲出、組織浸潤、腫瘍の発生、胚子の発育に重要な役割を担う。ケモカインは分泌型のシグナル分子ファミリーに属して、分子量が約8−14kDである。今までこのファミリーに約45のメンバーがあり、これらの共通の特徴は、四つの位置保存性システイン(Cys)を持っていることである。また、N端に近い2つのCysの間に他のアミノ酸の有無によって、このファミリーはC-C類、C-X-C類、C-X3-C類、C類に分かれている。その中でも、CC類(β-ケモカインともいう)とCXC類(α-ケモカインともいう)は最も主要な二種類である。
【0003】
生体内、ケモカインはケモカイン受容体を介して機能を発揮する。現在、ケモカイン受容体の標準の命名は、それと特異的に結合するケモカインの特徴によって決められている(例えば、その配位子がCC類ケモカインサブファミリーであれば、CCRと命名される)。ケモカイン受容体は7回膜貫通型のG蛋白質共役型受容体ファミリー(GPCR)に属し、N端は細胞外で、C端は細胞内で、7つの保存性の高いαヘリックスで構成される膜貫通区域が含まれている。これらは、アゴニストと結合したとき、G蛋白質にカップリングして細胞外のシグナルを細胞内に伝えさせることができる。アゴニストの作用で、ケモカイン受容体は、例えば、アデニルサイクラーゼ(AC)の抑制、細胞内のカルシウムの放出、一連の蛋白キナーゼの活性化、細胞の特異的遊走の誘導、サイトカンの放出への影響などの一連の細胞内シグナル及び細胞行為の変化を引き起こすことができる。
【0004】
これまで、CCR1-11、CXCR1-6、XCR1、CX3CR1という合計19種のケモカイン受容体が見つかった。ケモカイン受容体は、炎症性反応と自己免疫疾患の重要な仲介者なので(Gerard等, Nat Immunol, 2, 108-15 (2001))、ケモカイン受容体の調節剤が(アゴニスト及び拮抗剤を含み)炎症性反応またはアナフィラキシー疾患、アレルギー反応、自己免疫疾患、炎症性腸病、硬皮症、好酸球性筋炎、腫瘍の発生及び転移などの多種の疾患に使えると思われている。
【0005】
ケモカイン受容体ファミリーの一員として、CCR5の内因性アゴニストにはRANTES、MIP-1α及びMIP-1βがあって、末梢血由来の樹状細胞、Tリンパ細胞、単球、マクロファージ及び長期炎症反応の維持に参与する免疫細胞や炎症細胞で発現される。従って、CCR5の機能の調節によって、T細胞が炎症性反応のある損傷の箇所に集まるようにすることで、炎症性反応と自己免疫疾患の治療に新たなターゲットを提供することができる。例えば、マウスはCCR5欠陥によってDSSで誘導される厳重な炎症や粘膜の損傷を避けた(Andres等, J Immunol., 164, 6303-12 (2000));マウスでは、CCR5の小分子拮抗剤であるTAK-779が膠原で誘導される関節炎を抑制した(Yang等, Eur J Immunol., 32, 2124-32 (2002))。したがって、CCR5の拮抗剤は、喘息や局所障害(例えば局所性皮膚炎、局所アレルギー)、リウマチ性関節炎、動脈硬化、乾癬、肉芽腫症及びほかの繊維化疾患、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症、炎症性腸炎)などの疾患の治療に有用である。また、CD8+T細胞は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関わるので (Cosio等, Chest, 121, 160S-165S,(2002))、CCR5の拮抗剤はCOPDの治療にも有用である。
【0006】
ケモカイン受容体は炎症や免疫反応における作用のほかに、ある寄生虫やウイルスの細胞への侵入に重要な受容体でもある。例えば、Duffy受容体はマラリア原虫の赤血球への侵入の受容体で、Duffy受体欠陥の人はマラリアにかかりやすくない。もっと重要なのは、幾つかのケモカイン受容体はHIVの侵入に参与し、HIVの共受容体と呼ばれている。
【0007】
研究によって、Th細胞にあるCD4分子はHIVの侵入には不可欠であるが、HIVと細胞の融合には十分ではないことが明らかになった。さらに検討したところ、他のHIV侵入共受容体と呼ばれている分子は、ケモカイン受容体中のCCR5、CXCR4、CCR2b、CCR3、CCR8、及びオーファン受容体のV28、STRL-33、GPR1、GPR15、APJである(Doms等, virology, 235, 179-90, (1997))。生体内、CCR5とCXCR4はHIV侵入の主要な共受容体で、CCR3もHIV侵入の一部に参与しかねない。CCR5はマクロファージ向性(M-向性)のHIV-1の共受容体で、CXCR4はT細胞向性(T-向性)のHIV-1の共受容体である。従って、CCR5はHIVの伝播に重要な役割を担うので、CCR5を調節する物質はM-向性HIV-1の人々の間の伝播に影響を与え、疾患を早期にコントロールすることができる。in vitro実験では、CCR5と結合できるケモカインであるRANTES、MIP-1α及びMIP-1βはM-向性HIV-1の細胞への侵入を抑制することで、HIV感染を抑制した。また、CCR5と結合可能で、且つCCR5の機能を拮抗する小分子化合物も、体外ではHIVの細胞への侵入を有効に抑制した。
【0008】
上述のように、本分野では、潜在の薬物用途を持つCCR5拮抗剤とする化合物の開発が切望されている。
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、CCR5拮抗剤とする化合物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前述化合物の製法及び用途を提供することである。
【0011】
本発明の第一は、式I:
【化8】

【0012】
(I)
(式中、R1は無置換または1-3個の置換基で置換のベンジル、ベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、またはナフトイルで、前述置換基はハロゲン、C1-C4のアルキル、C1-C4のアルコキシからなる群から選ばれる;
R2はハイドロキシ、フェニルカルボニルオキシ、フェノキシ、チオフェニル、アニリノ或はフェニルスルフォニルで、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニル或は
【化9】

【0013】
(ベンゾ[1,3]-ジオキソル-4-イル)で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R4はなし、またはH、ハイドロキシである;
R7はH、C1-C6のアルキルまたはフェニルである;
Xはなし、或はO、Cである;
条件は、Xはなし、またはOである場合、R4、R5、R6とYはない;
XはCである場合、YはNで、R5はC1-C6のアルキルまたはアリルで、且つR6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルで、或はR5、R6はYとともに、フェニルまたは-R8-フェニルを構成し、但し、R8はC1-C4のアルキレンである。)
の化合物或はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
好ましい化合物の一類では、R1はベンジル、ベンゾイル、o-ハロゲンベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、或はナフトイルである。
【0015】
また、好ましい化合物の一類では、R2はハイドロキシ、フェニルカルボニルオキシ、フェノキシ、チオフェニル、アニリノ或はフェニルスルフォニルである。
【0016】
また、好ましい化合物の一類では、R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニル、4-ハロゲンフェニルまたは
【化10】

【0017】
である。
【0018】
また、好ましい化合物の一類では、Xはなし、またはOで、且つR4、R5、R6とYはない。
【0019】
また、好ましい化合物の一類では、XはCで、且つYはNで、R5はC1-C6のアルキル或はアリルで、R6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルで、またはR5、R6はYとともに、フェニルまたは-CH2CH2CH2-フェニルを構成する。
【0020】
また、好ましい化合物の一類では、R7はH、C1-C3のアルキル或はフェニルである。
【0021】
さらに、好ましい化合物の一類は式III:
【化11】

【0022】
(III)
(式中、R1は無置換、または1-3個の置換基で置換のベンジル、ベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、またはナフトイルで、前述置換基はハロゲン、C1-C4のアルキル、C1-C4のアルコキシからなる群から選ばれる;
R3はC1-C4のアルキル、フェニルまたは
【化12】

【0023】
で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルである。)
で表される化合物である。
【0024】
特に、好ましい化合物は表1で例示される化合物である。
【0025】
本発明の第二は、薬学的に許容される担体と式I化合物を含有する薬物組成物を提供する。
【0026】
本発明の第三は、本発明の式I化合物の薬物の製造、特にHIV感染、喘息、リウマチ性関節炎、自己免疫疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための用途を提供する。
【0027】
本発明の第四は、式II:
【化13】

【0028】
(II)
(式中、R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニルまたは
【化14】

【0029】
で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R7はH、C1-C6のアルキル、またはフェニルである。)
で表される本発明化合物の製造の中間体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明者は幅広く深刻に研究し、CCR5の構造の特徴によって、一類のピロール誘導体を設計して合成し、試験の結果から、これらの化合物が有効なCCR5拮抗剤だということが明らかになった。これに基づき、本発明が完成された。
【0031】
ここで用いられる用語「アルキル」とは、直鎖或は分岐の飽和の炭素数1-8個(好ましくは炭素数1-6個)の脂肪族アルカン類グループのことである。「アルケニル」は、少なくとも一個の炭-炭二重結合を含有する炭素数2-8個(好ましくは炭素数2-6個)の直鎖及び分岐の炭化水素基を含む。「アルキニル」は、少なくとも一個の炭-炭三重結合を含有する炭素数2-8個(好ましくは炭素数2-6個)の直鎖及び分岐の炭化水素基を含む。
【0032】
ここで、用語「アリール」とは、芳香族系のことで、少なくとも一部分縮合或は結合した環が共役になるように、単環、本来縮合或は結合した複数の芳香環からなる芳香族系でもいい。アリール基は、フェニル、ナフチル、ヒドロナフチルを含む(しかし、これらに限定されていない)。
【0033】
ここで用いられる用語「複素環」とは、安定な4-7員単環或は安定な多環複素環のことで、飽和、部分飽和或は不飽和で、且つ炭素原子とN、OとS原子からなる群から選ばれる1-4個のヘテロ原子で構成してもいい。NとS原子は酸化されてもいい。複素環には、任意の多環も含まれ、その中のいずれかの上述の複素環は芳香環に縮合してもいい。
【0034】
用語「置換のアリール」或は「置換の複素環」とは、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、置換のアルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシル、アルキルアミノとアリールチオからなる群れから選ばれる1-4個のグループで置換されたアリール或は複素環のことである。好ましくは、置換基はハロゲン、C1-C4のアルキルである。
【0035】
「ハロゲン」とは、F、Cl、BrまたはIのことである。
【0036】
本発明の化合物は、薬学的に或は生理学的に許容される酸若しくは塩基から誘導した塩の様態で使用してもいい。このような塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸と形成する塩、及び酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、メチルスルホン酸とマレイン酸のような有機酸と形成する塩を含む(しかし、これらに限定されていない)。他の塩は、アルカリ金属或はアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カリシウム或はマグネシウム)と形成する塩、及びエステル、カーバメート或は他の通常の「プロドラッグ」の様態(その様態で投与するとき、体内で活性の部分に変換することができる)を含む。
【0037】
本発明には、薬物組成物及び薬物有効量の式I化合物を哺乳動物に投与することを含む治療方法も含まれている。本発明の化合物は、HIV感染、喘息や局所障害(例えば局所性皮膚炎、局所アレルギー)、リウマチ性関節炎、動脈硬化、乾癬、肉芽腫症及びほかの繊維化疾患、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症、炎症性腸炎)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療には有用である。
【0038】
化合物が上述の用途に用いられる場合、一種或は多種の薬学的に許容される、例えば溶媒、希釈剤などの担体や賦形剤と混合してもいい。そして、錠剤、カプセル剤、分散可能の粉末、顆粒或は懸濁液(懸濁剤は例えば約0.05-5%含有されている)、シロップ剤(糖は例えば約10-50%含有されている)とエリキシル剤(エタノールは約20-50%含有されている)のような様態で経口服用投与してもいいし、または無菌注射可能の溶液或は懸濁液様態(等張媒体に懸濁剤は約0.05-5%含有されている)で非胃腸投与してもいい。例えば、これらの薬物製剤には、担体と混合する約25-90%、通常約5%-60%(重量)の活性成分が含有されてもいい。
【0039】
使用する活性成分の有効投与量は、使用する化合物、投与の方式と治療しようとする疾病の厳重さによって変更してもいい。しかし、通常本発明の化合物を毎日約0.5-500mg/kg動物体重の投与量で投与すると、充分な効果が得られ、毎日2-4回に分けた投与量で投与すること、或は緩慢放出の方式で投与することが望ましい。多数の大型哺乳動物については、毎日の総投与量は約1-100mg/kg、好ましくは2-80mg/kgである。固体或は液体の薬学的に許容される担体とよく混合した約0.5-500mgの活性化合物は内服の投与様態に適用する。最良の治療応答を提供するため、この投与法案を調節してもいい。例えば、治療状態の切望な要求により、毎日何回に分けた投与量で投与してもいいし、または投与量を比例によって減少してもいい。
【0040】
これらの活性化合物は経口服用、静脈内、筋肉内或は皮下などの方式で投与することができる。固体担体として、デンプン、ラクトース、リン酸二カルシウム、微晶質セルロース、ショ糖と白陶土が挙げられ、また液体担体として、無菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性表面活性剤と食用油(例えばコーン油、ピーナッツ油とゴマ油)が挙げられ、活性成分の特性と要求の特定の投与方式に適すればよい。例えば、矯味剤、色素、防腐剤及びビタミンE、ビタミンC、BHTとBHAのような酸化防止剤などの薬物組成物の製造に通常使用される補助剤も好ましく含まれている。
【0041】
薬物組成物が固体組成物、特に錠剤と固体充填或は液体充填のカプセルであることは、製造と投与の易しさの点から望ましい。化合物を経口服用で投与することが好ましい。
【0042】
また、これらの活性化合物は胃腸外或は腹腔内投与してもいい。また、表面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)が適当に混合された水で、これらの活性化合物(遊離塩基或は薬学的に允許される塩として)の溶液或は懸濁液を調製してもいい。さらに、グリセリン、液体、ポリエチレングリコール及びその油での混合物において、分散液を調製してもいい。通常の貯蔵と使用条件で、微生物の生長を防止するため、これらの製剤に防腐剤が含有される。
【0043】
注射に適する薬物の様態として、無菌水溶液或は分散液と無菌粉(臨時の無菌注射溶液或は分散液の調製のため)が挙げられる。すべての場合に、これらの様態は無菌で、且つ注射器で排出され易い流体であることが必要である。製造と貯蔵の状況下に安定で、且つ微生物(例えば細菌と真菌)汚染の影響を防止できることが必要である。担体は溶媒或は分散媒でいいが、それに水、アルコール(例えばグリセリン、プロピレングリコールと液体のポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物と植物油が含有される。
【0044】
本発明の化合物は以下のような工程により調製することができる。
【0045】
工程I:
β-アラニン化合物1をメタノールと塩化チオニルで還流し、メチルエステルが得られる。さらに炭酸カリウムを塩基として、二分子のベンジルブロミドでアミノ基を保護し、化合物2が得られる。保護されたβ-アラニンエステル2はケトエステル3とアルドール縮合をさせ、二組のエナンチオマー4が得られる。
【化15】

【0046】
得られた縮合生成物は触媒水素添加で1つのベンジル基を脱離させたら、5員ラクタム環になるように閉環させ、二組のシス・トランス異性体5が得られる。次いで、分子におけるメチルエステルがトランス酸6になるように、強塩基(水酸化ナトリウム或は水酸化カリウム)で鹸化が行われる。
【化16】

【0047】
縮合試薬の存在で、アミン化合物と縮合させ、アミド化合物7が得られる。最後に、水素化リチウムアルミニウムで還元させ、目的化合物8が得られる。
【化17】

【0048】
工程II:
工程Iで得られた化合物8は触媒水素添加でベンジル基を脱離させたら、塩化アシルと反応させ、化合物9が得られる。
【化18】

【0049】
工程III:
工程Iにおける酸6は縮合試薬の存在でアミン化合物11と縮合させ、化合物12が得られ、水素化リチウムアルミニウムで分子におけるアミド結合を還元させ、化合物13が得られる。さらにR6Clと反応させ、化合物14が得られる。
【化19】

【0050】
工程IV:
工程Iにおける酸6を縮合試薬の存在でピペリドン塩酸塩水和物と縮合して得られたケトン化合物15を、水素化リチウムアルミニウムで還元させ、アルコール化合物16が得られる。スワーン酸化でアルコールをケトン化合物17とし、さらにナトリウムトリアセトキシボロハイドライドの存在でアミンのR5NH2と縮合させ、最後にR6Clと反応させ、化合物18が得られる。
【化20】

【0051】
工程V:
工程IVでのアルコール化合物16における第二アルコールをエチルエステルで保護し、化合物19が得られ、触媒水素添加で分子におけるベンジル基を脱離させ、化合物20が得られる。さらにR1Clと反応させ、化合物21が得られる。化合物21は炭酸カリウムとメタノールにおいて第二アルコールにおける保護基を脱離させ、化合物22が得られる。スワーン酸化で第二アルコールをケトン23とし、さらにナトリウムトリアセトキシボロハイドライドの存在でアミンのR5NH2と縮合させ、最後にR6Clと反応させ、化合物24が得られる。
【化21】

【0052】
工程VI:
工程Iにおける化合物8はメタンスルホニルで分子におけるハイドロキシをメタンスルホネートと活性化させ、さらにR2Hと置換させ、化合物25が得られる。
【化22】

【0053】
以下、具体的な実施例を例示し、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するためだけで、本発明の範囲を限定するものではないのが明らかである。
【実施例1】
【0054】
化合物I-a-a:1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール
工程Iに従って、氷浴でβ-アラニン塩酸塩(7.05g)のメタノール(40ml)溶液にSOCl2(10ml)を滴下してから、昇温して3時間還流した。冷却後、溶媒をロータリードライヤーで除去し、減圧乾燥し、K2CO3(38g)と150mlのアセトニトリル溶液を加え、撹拌し、さらにベンジルブロミドを22ml加え、室温で20時間撹拌した。水で炭酸カリウムを溶解させ、酢酸エチルで2回抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過、濃縮を行い、カラムクロマトグラフィで、N,N-ジベンジル-β-アラニンメチルエステル(14.9g)が得られ、収率は93.6%でした。
【0055】
1H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 7.27 (m, 10 H), 3.56 (s, 3H), 3.51 (s, 4H), 2.74 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.45 (t, 2H)。
【0056】
4-ベンゾ[1,3]ジオキソル-1-イル-ベンジル-4-ハイドロキシ-5-オキシピロール-3-カルボン酸メチルエステル
反応系を無水にしておき、窒素雰囲気で、0℃で、1.09mlの(iPr)2NHの7mlのTHF溶液に1.6Mのブチルリチウムのn-ヘキサン溶液を4.5ml加え、10分間撹拌し、-78℃に冷却し、N,N-ジベンジル-β-アラニンメチルエステル(100g,3.53mmol)のTHF溶液を40ml滴下してから、1時間撹拌した。さらに、反応物のベンゾ[1,3]ジオキソル-4-イル-2-オキソアセテートのTHF溶液を5ml加え、-78℃で4時間反応させた。NH4Clの飽和溶液で中止させ、(60×2)酢酸エチルで抽出し、水洗し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過、濃縮を行い、クロマトグラフィにより、(酢酸エチル:リグロイン=1:13)でカラムを通し、1つの固体化合物(0.654g)と1つの液体化合物(0.653g)が得られ、合計収率は73.3%だった。液体化合物(3.197g)を250mlのMeOHに溶解させ、Pd/Cを0.32g加え、室温で1大気圧の水素雰囲気で3時間反応させた。ろ過し、メタノールをロータリードライヤーで除去し、(酢酸エチル:リグロイン=1:4)で通して未反応の原料が1.065g得られ、さらに(酢酸エチル:リグロイン=1:2)で通して白色固体が0.935g得られ、転化率は59.8%だった。
【0057】
IR (KBr) 3332, 2962, 2916, 1725, 1683, 1504, 1492 cm_1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.27-7.41 (m, 5H), 6.76-6.94 (m, 3H), 5.97 (s, 2H), 4.65 (d, JAB = 14.7 Hz, 1H), 4.55 (d, JAB = 14.7 Hz, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.62 (m, 1H), 3.31-3.38 (m, 2H).
ESI-MS m/z 392 (M+ + Na+)。
【0058】
計算値:C20H19N1O6:C,65.03;H,5.18;N,3.79; 測定値: C, 65.11; H, 5.18; N, 3.74。
【0059】
4-ベンゾ[1,3]ジオキソル-1-イル-ベンジル-4-ハイドロキシ-5-オキシピロール-3-カルボン酸
前述で得られたメチルエステル化合物のメタノール溶液に1.4当量の1NのNaOH水溶液を加え、室温で原料がなくなるまで反応させ、メタノールをロータリードライヤーで除去し、水を加え、1NのHCl水溶液でpH=3に中和し、酢酸エチルで2回抽出し、水洗し、食塩水で中性まで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過、濃縮を行い、固体化合物が得られた。
【0060】
IR (KBr) 3267,2887,1713,1688,1501,1487,1254,1299 cm-1;
EI-MS m/z (%) 355 (M+, 54.49), 337 (2.76), 282 (3.64), 190 (6.62), 149 (100), 119 (19.60), 91 (41.13);
1H NMR(DMSO d6, 300 MHz)δ 12.45 (s, 1H) 7.41-7.30 (m, 5H), 6.94-6.86 (m, 3H), 6.44 (s, 1H), 6.019 (s, 2H), 4.46 (d, JAB = 15.3 Hz, 1H), 4.44 (d, JAB = 15.0 Hz, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.37 (m, 2H)。
【0061】
3-ベンゾ[1,3]ジオキソル-1-イル-ベンジル-3-ハイドロキシ-4-(4-フェニルピペリジン-1-イル-カルボニル)ピロリドン
0℃で窒素雰囲気で、前述のカルボン酸化合物(0.238g,0.67mmol)とN-ハイドロキシサクシンイミド(0.085g,0.74mmol)の20mlのTHF溶液にDCC(0.152g,0.74mmol)を加え、一晩自然昇温し、固体をろ過除去した。そして、4-フェニルピペリジンを加え、室温で12時間反応させ、THFをロータリードライヤーで除去し、水と酢酸エチルを加えて分液し、食塩水で有機層を洗浄し、乾燥した。ろ過、濃縮を行い、(EA:PE=1:1)でカラムを通し、白色固体(0.152g)が得られ、収率は45%でした。
【0062】
IR (KBr) 3325, 2921, 1695, 1682, 1492, 1442 cm-1
1H NMR (CDCl3,300 MHz)δ 7.31-7.20 (m, 8H), 7.12 (d, 2H), 6.98-6.78 (m, 3H), 5.97 (s, 2H), 4.76 (m, 2H), 4.51 (d, JAB = 14.7 Hz, 1H),3.76-3.67 (m, 2H), 3.54 (dd, 1H), 3.38-3.30 (m, 1H), 3.07-2.98 (m, 1H), 2.71-2.60 (m, 2H), 1.88-1.84 (m, 2H), 1.66-1.53 (m, 2H)。
【0063】
EI-MS m/z (%) 498 (M+,12.79), 480 (67.79), 352(100), 283 (70.60), 189 (95.24), 160 (55.04);
計算値:C30H30N2O5:C,72.27;H,6.06;N,5.62. 測定値:C,72.00;H,5.94;N,5.56。
【0064】
1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール(I-a-a)
0℃で前述化合物(1 eq)のTHF溶液にLiAlH4(8 eq)を加えてから、昇温して24時間還流した。冷却後、0℃で10%のNaOH水溶液を滴下して中止させ、ろ過し、THFをロータリードライヤーで除去し、酢酸エチルを加えて溶解し、食塩水で洗浄し、乾燥した。ろ過、濃縮を行い、さらに(EtOAc:Et3N=10:1)でカラムを通し、油状物が得られ、収率は90%でした。
【0065】
IR (KBr) 2935, 1503,1486 cm-1;
1H NMR (CDCl3 300M Hz)δ 7.32-7.05 (m, 12H), 6.69 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.61 (s, 2H), 2.96-2.88 (m, 3H), 2.82-2.75 (m, 2H ), 2.61-2.53 (m, 2H), 2.37-2.32 (m, 4H), 2.08-1.99 (m, 2H), 1.76-1.67 (m,3H);
ESI-MS m/z 471 (M+ + H+), 493 (M+ + Na+)。
【実施例2】
【0066】
化合物I-a-b:1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-ピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール
化合物I-a-aと同様な調製方法により、4-フェニルピペリジンをピペリジンと変更すれば、化合物I-a-bが得られた。
【0067】
IR (膜) 2933, 1504, 1486 cm-1
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.38-7.16 (m, 5H), 7.12 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 8.1 Hz 1.8 Hz, 1H), 6.68 (d, J=8.1 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.58 (s, 2H), 2.86 (t, 2H), 2.76- 2.64 (m, 2H), 2.53 (m, 1H), 2.31-2.24 (m, 2H), 2.14 (m, 4H),1.60-1.22 (m, 5H), 1.21-1.15 (m, 2H).
EI-MS m/z (%) 394 (M+,1.5), 277 (100), 98 (95.8), 91 (93.2);
HRMS 計算値:C24H30N2O3 (M+) 3942256, 測定値: 394.2228。
【実施例3】
【0068】
化合物I-a-c:1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-モルフォリン-1-メチレン)ピロール-3-オール
化合物I-a-aと同様な調製方法により、4-フェニルピペリジンをモルフォリンと変更すれば、化合物I-a-cが得られた。
【0069】
IR (膜) 3370, 2926, 1504, 1487 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.34-7.15 (m, 5H), 7.09 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 7.8 Hz とJ=1.5 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.56-3.49 (m, 4H), 2.88-2.83 (m, 2H), 2.78-2.71 (m, 2H), 2.60-2.50 (m, 1H), 2.35-2.29 (m, 2H), 2.20- 2.15 (m, 4H), 1.53-1.47 (m, 1H).
EI-MS m/z (%) 396 (M+, 7.1), 378 (1.4), 278 (51.7), 1656 (100), 91 (78.7);
HRMS 計算値:C23H28N2O4 (M+) 396.2049, 測定値: 396.2006。
【実施例4】
【0070】
化合物I-a-d:1-ベンジル-4-ジエチルアミノメチル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)ピロール-3-オール
化合物I-a-aと同様な調製方法により、4-フェニルピペリジンをエチレンジアミンと変更すれば、化合物I-a-dが得られた。
【0071】
IR (膜) 3314,2931,1665,1487,1452 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 7.31-7.17 (m, 5H), 7.11-7.02 (m, 2H), 6.70-6.67 (m, 1H),5.87 (s, 2H), 3.64-3.58 (m, 3H), 2.86-2.76 (m, 4H), 2.46-2.35 (m, 4H), 2.21-2.14 (m, 2H), 1.58-1.49 (m, 1H), 1.28-1.13 (m, 6H);
EI-MS m/z (%) 382 (M+, 2.1), 91 (77.3), 56 (100);
HRMS 計算値:C23H30N2O3 (M+) 382.2256, 測定値: 382.2296。
【実施例5】
【0072】
化合物I-b-a:1-ベンジル-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチル)ピロール-3-オール
化合物I-a-aと同様な調製方法により、エチルベンゾ[1,3]ジオキソル-4-イル-2-オキソアセテートをエチルフェニル2-オキソアセテートと変更すれば、化合物I-b-aが得られた。
【0073】
1H NMR (CDCl3, 300M Hz) δ 7.69-7.61 (m, 2H), 7.37-7.13 (m, 13H), 3.67 (s, 2H), 3.01-2.81 (m, 4H),2.65 (m, 1H), 2.57-2.52 (m, 1H), 2.46-2.35 (m, 2H), 2.08-2.02 (m, 2H),1.80-1.69 (m, 4H), 1.51-1.41 (m, 2H);
EI-MS m/z (%) 427 (M+ + 1, 0.79), 336 (3.81), 293 (43.34), 252 (19.54), 233 (95.09), 200 (14.97), 174 (97.91), 91 (100);
HRMS 計算値:C29H34N2O (M+) 426.2671, 測定値: 426.2657。
【実施例6】
【0074】
化合物I-b-b:[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチル)ピロリル]フェニルメチルケトン
工程IIに従って、化合物I-b-a(0.4g)を30mlのメタノールに溶解させ、Pd/Cを50mg加え、1大気圧の水素雰囲気で12時間反応させた後、ろ過し、メタノールをロータリードライヤーで除去した。2mlの塩化メチレンにこの生成物を96mg溶解させ(無水処理)、窒素雰囲気でトリエチルアミンを0.059ml加え、0℃で0.04mlのベンゾイルクロリドの1mlの塩化メチレン水溶液を滴下し、自然昇温し、4時間反応させた。水を加えて分液し、食塩水で洗浄し、乾燥し、ろ過、濃縮を行い、(EA:PE=1:2)でカラムを通し、さらに(EA:PE:Et3N=1:1:0.5)でカラムを通し、固体(65mg)が得られ、収率は52%だった。
【0075】
IR (KBr) 3269, 3028, 2922, 2808, 1723, 1592, 1571, 1453, 1381, 1247 cm-1
1H NMR (CDCl3, 300 MHz), δ 7.61-6.91 (m, 15H), 4.14-3.92 (m, 2H), 3.79-3.64 (m, 2H), 3.18-3.18 (m, 1H), 3.05-2.96 (m, 1H), 2.87-2.78 (m, 2H), 2.65-2.59 (m, 1H), 2.53-2.43 (m, 2H), 2.29-2.05 (m, 2H), 1.88-1.73 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 440 (M+, 0.93), 401 (5.42), 292 (16.12), 200 (12.45), 186 (35.38), 174 (100), 160 (7.34);
HRMS 計算値:C29H32N2O2 (M+) 440.2463, 測定値: 440.2448。
【実施例7】
【0076】
化合物I-b-c:[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチル)ピロリル]-o-ヨードフェニルメチルケトン
化合物I-b-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをo-ヨードベンゾイルクロリドと変更すれば、化合物I-b-cが得られた。
【0077】
IR (KBr) 3027, 2933, 2808, 1732, 1634, 1440, 1425, 1248, 762, 699 cm-1
1H NMR (CDCl3 300 MHz) δ 7.89-7.79 (m, 1H), 7.62-7.59 (m, 1H), 7.54-7.46 (m, 1H), 7.46-7.17 (m, 11H), 4.10-4.02 (m, 1H), 3.97-3.93 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.40 (m, 1H), 3.14 (m, 1H), 3.00 (m, 1H), 2.85-2.79 (m, 2H), 2.63-2.44 (m, 3H), 2.29-2.04 (m, 2H), 1.89-1.74 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 566 (M+, 0.37), 565 (0.40), 406 (0.68), 355 (0.5), 231 (8.77), 174 (100), 160 (3.43), 105 (5.04), 91 (3.57)。
【実施例8】
【0078】
化合物I-b-d:1-フェニルスルホニル-3-フェニル-4-(4-ピペリジン-1-メチル)ピロール-3-オール
化合物I-b-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをフェニルスルホニルクロリドと変更すれば、化合物I-b-dが得られた。
【0079】
IR (KBr) 3496, 3062, 2933, 2812, 1737, 1494, 1447, 1345, 1247, 1168 cm-1;
1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.83 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.57-7.47 (m, 3H), 7.34-7.07 (m, 10H), 3.64 (d, JAB = 10.8 Hz, 1H), 3.60-3.58 (m, 1H), 3.43 (d, JAB = 10.8 Hz, 1H), 3.32 -3.27 (q, 1H), 2.76 (d, 1H), 2.68 (d, 1H), 2.42-2.30 (m, 4H), 2.07-1.94 (m, 2H), 1.74-1.59 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 477 (M+ + 1, 0.33), 336 (25.49), 335 (100), 174 (83.55), 160 (3.01)。
【実施例9】
【0080】
化合物I-b-e:シクロペンチル-[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-ピペリジン-1-メチル)ピロール-1-イル]メチルケトン
化合物I-b-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをシクロペンチルフォルミルクロリドと変更すれば、化合物I-b-eが得られた。
【0081】
IR (KBr) 3276, 2953, 1608, 1493, 1453, 1381 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHZ) δ 7.58 (m, 2H), 7.39 (m, 2H), 7,31 (m, 2H), 7.20 (m, 2H), 3.90-3.70 (m, 4H), 3.14-3.05 (m, 1H), 2.88-2.69 (m, 3H), 2.60-2.44 (m, 3H), 2.29-2.14 (m, 2H), 1.91-1.71 (m, 10H), 1.62-1.54 (m, 2H):
EI-MS m/z (%) 432 (M+, 0.56), 292 (2.48), 174 (100):
HRMS 計算値:C28H36N2O2 (M+) 432.2776, 測定値: 432.2800。
【実施例10】
【0082】
化合物I-b-f:シクロヘキシル-[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-ピペリジン-1-メチル)ピロール-1-イル]メチルケトン
化合物I-b-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをシクロヘキシルフォルミルクロリドと変更すれば、化合物I-b-fが得られた。
【0083】
IR (KBr) 3253, 2939, 2850, 1606, 1493, 1453, 1398 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.57-7.51 (m, 2H), 7.43-7.20 (m, 8H),3.89-3.70 (m, 4H), 3.10 (t, 1H), 2.85-2.71 (m, 2H), 2.58-2.36 (m, 3H), 2.32-2.06 (m, 3H), 1.82-1.43 (m, 13H);
EI-MS m/z (%) 446 (M+, 0.55), 174 (100);
HRMS 計算値: C29H38N2O2 (M+) 446.2933, 測定値: 446.2945。
【実施例11】
【0084】
化合物I-b-g:1-ベンジル-3-フェニル-4-[4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-1-メチレン]ピロール-3-オール
化合物I-b-aと同様な調製方法により、4-フェニルピペリジンを4-フェニルプロピルピペリジンと変更すれば、化合物I-b-gが得られた。
【0085】
IR (KBr) 3200, 3027, 2928, 2806, 1739, 1494, 1474, 1446, 1376 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300 MHZ) δ 7.78-7.60 (m, 2H), 7.41-7.14 (m, 13H), 3.70 (m, 2H), 3.01-2.53 (m, 8H), 2.58-2.53 (m, 2H), 2.45-2.41 (m, 2H), 2.00-1.83 (m, 1H), 1.80-1.50 (m, 4H), 1.43-1.18 (m, 5H);
EI-MS m/z (%) 377 (3.08), 334 (30.38), 233 (79.19), 216 (76.27), 91 (100)。
【実施例12】
【0086】
化合物I-b-h:1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピペリジン-3-メチレン)-4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-4-オール
化合物I-b-aと同様な調製方法により、4-フェニルピペリジンを4-フェニルプロピル-4-ハイドロキシピペリジンと変更すれば、化合物I-b-hが得られた。
【0087】
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.54-7.51 (m, 2H), 7.32-7.08 (m, 13H), 3.61-3.57 (m, 3H), 2.96 (m, 2H), 2.84 (d, 1H), 2.73 (q, 1H), 2.63-2.48 (m, 4H), 2.40-2.18 (m, 3H), 2.12-1.97 (m, 1H), 1.62-1.32 (m, 7H), 1.26-1.15 (m, 2H);
EI-MS m/z (%) 393 (4.19), 350 (31.62), 233 (83.79), 91 (100);
HRMS 計算値: C32H41N2O2 (M+) 485.3162, 測定値: 485.3162。
【実施例13】
【0088】
化合物I-b-j:1-ベンジル-3-フェニル-4-[4-(4-フルオロフェニルピペリジン-1-メチレン)]ピロール-3-オール
化合物I-b-aと同様な調製方法により、フェニル-2-オキソアセテートを4-フルオロフェニル-2-オキソアセテートと変更すれば、化合物I-b-jが得られた。
【0089】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.62-7.55 (m, 2H), 7.37-7.08 (m, 12H), 3.6 (s, 2H), 2.99-2.75 (m, 5H), 2.64-2.45 (m, 2H), 2.43-2.33 (m, 3H), 2.03 (m, 1H), 1.80-1.42 (m, 5H);
EI-MS m/z (%) 353 (1.64), 335 (1.81), 310 (25.31), 292 (24.04), 252 (38.22), 234 (38.90), 174 (100), 91 (54.63)。
【実施例14】
【0090】
化合物I-b-k:1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロフェニルピペリジン-3-メチレン)]-4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-4-オール
化合物I-b-hと同様な調製方法により、フェニル-2-オキソアセテートを4-フルオロフェニル-2-オキソアセテートと変更すれば、化合物I-b-kが得られた。
【0091】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.63-7.57 (m, 2H), 7.38-7.16 (, 10H), 7.02-6.96 (m, 2H), 3.73-3.66 (m, 3H), 2.96-2.89 (m, 2H), 2.89-2.81 (m, 2H), 2.63-2.54 (m, 4H), 2.43-2.18 (m, 4H), 1.71-1.64 (m, 3H), 1.61-1.42 (m, 4H), 1.32-1.24 (m, 2H);
EI-MS m/z (%) 283 (3.31), 268 (5.14), 258 (18.72), 232 (52.00), 91 (100)。
【実施例15】
【0092】
化合物I-c-a:1-ベンジル-3-メチル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール
化合物I-b-aと同様な調製方法により、フェニル-2-オキソアセテートをピルビン酸エチルと変更して、化合物I-c-aが得られた(0.088g,収率30.2%)。
【0093】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.20-7.06 (m, 10H), 3.73 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 3.58-3.45 (m, 2H), 3.16 (d, 1H), 2.89 (d, 1H), 2.75-2.31 (m, 5H), 2.18-2.00 (m, 2H), 1.90 (m, 1H), 1.78-1.54 (m, 4H), 1.26 (s, 3H);
EI-MS m/z (%) 274 (1.47), 273 (7.49), 172 (100), 160 (16.83), 91 (94.57)。
【実施例16】
【0094】
化合物I-c-b:安息香酸1-ベンジル-3-メチル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール
前述で得られた化合物I-c-a (1 eq)を塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(1.5 eq)を加え、0℃でベンゾイルクロリド(1.2 eq)を加え、室温で6時間反応させた。そして、水洗し、塩化メチレンで水層を抽出し、有機層と合併し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、化合物I-c-bが得られた。
【0095】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.95-7.87 (m, 2H), 7.46-7.08 (m, 13H), 4.26 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 3.65-3.51 (m, 3H), 3.32 (d, 1H), 3.08-2.83 (m, 5H), 2.78-2.56 (m, 3H), 2.42-2.20 (m, 3H), 2.09 (m, 1H), 1.94 (m, 1H), 1.65 (s, 3H);
EI-MS m/z (%) 377 (1.45), 172 (100), 91 (73.73)。
【実施例17】
【0096】
化合物I-d-a:1-ベンジル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール
化合物I-b-aと同様な調製方法により、フェニル-2-オキソアセテートをグリオキシル酸エチルと変更して、化合物I-d-aが得られた。
【0097】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.33-7.19 (m, 10H), 3.70 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.62 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.20 (d, 1H), 3.04-2.70 (m, 6H), 2.56-2.25 (m, 4H), 2.23-2.13 (m, 2H), 1.90-1.76 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 332 (0.54), 259 (13.15), 174 (57.86), 91 (100)。
【実施例18】
【0098】
化合物I-d-b:1-(1-ベンジル-4-フェノキシルピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン
工程VIに従って、化合物I-b-a (1 eq)を塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(1.5 eq)をこれに加え、0℃でフォルミルクロリド(1.2 eq)を加え、同温度で半時間反応させた。そして、水、食塩水でそれぞれ洗浄し、乾燥させ、ロータリードライヤーにより、白色固体が得られた。
【0099】
得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、フェノールナトリウム(2 eq)を加え、昇温して6時間還流した後、水洗し、乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、化合物I-d-bが得られた。
【0100】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.35-7.17 (m, 10H), 6.98-6.89 (m, 3H), 6.84-6.80 (m, 2H), 4.19-4.15 (m, 1H), 3.99 (t, 1H), 3.80 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.73 (d, J = 13,2 Hz, 1H), 3.18-3.12 (m, 2H), 2.95-2.83 (m, 5H), 2.79-2.62 (m, 2H), 2.50 (m, 1H), 2.06-1.99 (m, 2H), 1.80-1.73 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 426 (M++1, 1.00), 335 (17.96), 266 (18.06), 94 (100), 91 (57.79)。
【実施例19】
【0101】
化合物I-d-c:1-(1-ベンジル-4-フェニルチオピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン
化合物I-d-bと同様な調製方法により、フェノールナトリウムをチオフェノールナトリウムと変更すれば、化合物I-d-cが得られた。
【0102】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.40-7.16 (m, 15H), 3.75 (dd, JAB = 13.2 Hz, 2H), 3.33 (m, 1H), 2.94-2.70 (m, 8H), 2.68 (m, 1H), 2.59 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.78-1.60 (m, 4H);
EI-MS m/z (%) 442 (M++1, 3.83), 351 (21.14), 333 (100), 174 (30.73), 91 (83.42)。
【実施例20】
【0103】
化合物I-d-d:1-(4-フェニルスルホニル-1-ベンジルピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン
化合物I-b-c(1 eq)を塩化メチレンに溶解させ、mCPBA(2 eq)を加え、室温で一晩撹拌した後、水洗し、乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、化合物I-d-dが得られた。
【0104】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.84-7.81 (m, 2H), 7.58-7.21 (m, 13H), 4.80-4.68 (m, 1H), 4.53 (dd, JAB = 13.2 Hz, 2H), 4.20-4.11 (m, 2H), 4.08-3.96 (m, 1H), 3.64-3.51 (m, 3H), 3.30-3.12 (m, 3H), 2.98-2.84 (m, 1H), 2.59 (m, 3H), 1.70 (m, 2H);
EI-MS m/z (%) 382 (12.12), 332 (8.52), 282 (27.51), 267 (33.19), 91 (100)。
【実施例21】
【0105】
化合物I-d-e:[1-ベンジル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール]アニリン
化合物I-d-bと同様な調製方法により、フェノールナトリウムをアニリンと変更すれば、化合物I-d-eが得られた。
【0106】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.33-7.20 (m, 15H), 4.07 (q, 1H), 3.64 (dd, JAB = 13.2 Hz, 2H), 3.17 (d, 1H), 3.07-2.91 (m, 2H), 2.75-2.72 (m, 2H), 2.56-2.40 (m, 2H), 2.40-2.25 (m, 1H), 2.18 (m, 2H), 2.00 (m, 2H), 1.90-1.65 (m, 4H);
ESI-MS m/z 426 (M++1)。
【実施例22】
【0107】
化合物II-a-a:[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]アセチルギ酸ベンジル
工程IIIに従って、化合物I-b-aを調製するときの中間体である4-フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-イル-カルボン酸(1 eq)、DCC(1.1 eq)とHOSu(1.1 eq)をテトラヒドロフランに溶解させ、室温で6時間反応させた。そして、ろ過し、母液に4-アセトアミノピペリジン(1.1 eq)を加え、室温で6時間反応させた。次いで、溶媒をロータリードライヤーで除去し、水と酢酸エチルを加え、振動して分液し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させた。カラムクロマトグラフィにより、固体化合物が得られた。
【0108】
固体化合物をテトラヒドロフランに溶解させ、水素化リチウムアルミニウム(8 eq)を加えて昇温し、24時間還流した後、10%水酸化ナトリウム水溶液で中止させた。ろ過し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、粘稠化合物が得られた。
【0109】
上述粘稠化合物を塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(2.0 eq)とフェノキシカルボニルクロリド(1.5 eq)を加え、3時間反応させてから、体系に水を加えて振動して分液し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させた後、カラムクロマトグラフィにより、化合物II-a-aが得られた。
【0110】
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.38-7.12 (m, 15H), 5.07 (m, 2H), 3.91-3.89 (m, 1H), 3.87-3.33 (m, 2H), 3.20-3.07 (m, 3H), 2.95-2.85 (m, 3H), 2.82-2.72 (m, 2H), 2.62-2.56 (m, 1H), 2.45-2.40 (m, 2H), 2.36-2.29 (m, 1H), 2.04-1.98 (m, 2H), 1.39-1.12 (m, 3H), 1.06 (t, J = 7.2 Hz, 3H);
EI-MS m/z (%) 528 (M+ + H+, 1.43), 484 (2.56), 395 (61.84), 394 (67.91), 259 (16.15), 234 (58.02), 141 (48.31), 98 (40.18), 91 (100)。
【実施例23】
【0111】
化合物II-a-b:{1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロ)フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル}アセチルギ酸ベンジル
化合物II-a-aと同様な調製方法により、4-フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸を4-(4-フルオロ)フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸と変更して、化合物II-a-bが得られた。
【0112】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.60 (m, 2H), 7.36-7.28 (m, 11H), 6.98 (t, 2H), 5.11 (s, 2H), 3.76-3.60 (m, 2H), 3.10 (s, 2H), 3.00-2.87 (m, 2H), 2.87-2.71 (m, 2H), 2.63-2.30 (m, 3H), 2.05 (m, 2H), 1.73 (m, 3H), 1.40-1.20 (m, 2H), 1.11 (m, 2H), 0.85 (t, 3H);
ESI-MS m/z 546 (M++1)。
【実施例24】
【0113】
化合物II-a-c:[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-メチルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]アセチルギ酸ベンジル
化合物II-a-aと同様な調製方法により、4-フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸を4-メチル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸と変更して、化合物II-a-cが得られた。
【0114】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.38-7.27 (m, 10H), 5.14 (s, 2H), 4.20 (t, J = 4.2 Hz, 1H), 3.58 (dd, JAB = 13.2 Hz), 3.20 (d, 2H), 2.98 (d, 1H), 2.80-2.65 (m, 3H), 2.55 (d, 1H), 2.40-1.84 (m, 5H), 1.80-1.55 (m, 4H), 1.42-1.05 (m, 4H), 0.88 (t, 3H);
ESI-MS m/z 466 (M++1)。
【実施例25】
【0115】
化合物III-a-a:4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート
工程IVに従って、化合物I-b-aを調製するときの中間体である4-フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸(1 eq)、DCC(1.1 eq)とHOSu(1.1 eq)をテトラヒドロフランに溶解させ、室温で6時間反応させた。そして、ろ過し、トリエチルアミン(2.0 eq)とピペリドン塩酸塩水和物(1.1 eq)を加え、一晩撹拌した。テトラヒドロフランをロータリードライヤーで除去した後、水と酢酸エチルを加え、振動して分液し、有機層を食塩水で洗浄してから、乾燥させ、ろ過し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、白色固体が得られた。
【0116】
固体をテトラヒドロフランに溶解させ、水素化リチウムアルミニウム(8 eq)を加えて昇温し、24時間還流した後、10%水酸化ナトリウム水溶液で中止させた。次いで、ろ過し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、固体フォムー第二アルコール化合物が得られた。
【0117】
上述固体フォムーを塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(1.5 eq)とp-ニトロフェノキシカルボニルクロリド(1.2 eq)を加え、4時間反応させ、水洗して分液してから、乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、化合物III-a-aが得られた。
【0118】
IR (kBr) 2938, 2806, 1751, 1710, 1608, 1523, 1496, 1448, 1378, 1348, 1261 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.27-8.22 (m, 2H), 7.55-7.25 (m, 12H), 5.97-5.82 (m, 1H), 5.36-5.07 (m, 4H), 4.39 (m, 1H), 3.68 (m, 2H), 3.25 (m, 2H), 2.80-2.22 (m, 6H), 1.79 (m, 4H);
ESI-MS m/z 585 (M++1);
HRMS 計算値: C34H41N4O5 (M++1) 585.3071, 測定値: 585.3070。
【実施例26】
【0119】
化合物III-a-b:4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ベンゾイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート
工程Vに従って、化合物III-a-aを調製するときの中間体である第二アルコール化合物(1 eq)を塩化メチレンに溶解させ、体系に触媒量のDMAP(0.1 eq)、トリエチルアミン(5.0 eq)と無水酢酸(3.0 eq)を加え、0℃で2時間反応させた後、水を加えて振動分液し、有機層を食塩水で洗浄して乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、固体フォムーが得られた。
【0120】
上述固体フォムーをメタノールに溶解させ、5%のPd/Cを加えて1大気圧の水素雰囲気で一晩水素化し、ろ過で触媒を除去し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、フォムー化合物が得られた。生成物を塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(1.5 eq)とベンゾイルクロリド(1.2 eq)を加え、2時間撹拌し、水洗して乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、フォムー化合物が得られた。
【0121】
得られた化合物(1 eq)をメタノール:水が5:1の溶媒に溶解させ、炭酸カリウム(2.0 eq)を加えて4時間撹拌した後、メタノールをロータリードライヤーで除去し、酢酸エチルでを2回抽出してから、有機層を合併し、食塩水で洗浄し、乾燥してろ過し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、白色フォムー化合物が得られた。
【0122】
-78℃で、オキゾロクロリド(1.3 eq)の塩化メチレン溶液をジメチルスルホキシドの塩化メチレン溶液に滴下して10分間撹拌し、前述白色フォムー化合物(1 eq)の塩化メチレン溶液を上述の体系に加えて30分間反応させた後、トリエチルアミン(3 eq)を加えて室温に昇温し、水と酢酸エチルを加えて振動分液し、有機層を食塩水で洗浄して乾燥させ、カラムクロマトグラフィにより、ケトン化合物が得られた。
【0123】
前述ケトン化合物(1 eq)とNaBH(OAc)3(1.5 eq)の混合物に1,2-ジクロロエタンを加え、さらに体系にアリルアミン(1 eq)と酢酸(1 eq)を加え、一晩反応させた後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルでを2回抽出してから、有機層を合併し、食塩水で洗浄して乾燥させ、ろ過し、溶媒をロータリードライヤーで除去し、白色フォムー化合物が得られた。
【0124】
得られたフォムー化合物(1 eq)を塩化メチレンに溶解させ、トリエチルアミン(2 eq)とp-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリド(1.5 eq)を加えてから、2時間撹拌した。水と酢酸エチルを加えて振動分液し、有機層を食塩水で洗浄して乾燥させ、ろ過し、カラムクロマトグラフィにより、III-a-bが得られた。
【0125】
IR (KBr) 3375, 3063, 2943, 1701, 1627, 1608, 1577, 1522, 1496, 1421, 1346, 1250 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.24-8.19 (m, 2H), 7.61-7.21 (m, 12H), 5.82-5.77 (m, 1H), 5.22-5.11 (m, 4H), 4.14-3.61 (m, 8H), 3.17-3.07 (m, 1H), 2.98-2.40 (m, 4H), 2.20 (m, 1H), 1.82-1.50 (m, 4H);
ESI-MS m/z 599 (M++1);
HRMS 計算値: C34H39N4O6 (M++1) 599.2864, 測定値: 599.2879。
【実施例27】
【0126】
化合物III-a-c:4-ニトロベンジルアリル-[1-[1-(2-ヨード)ベンゾイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル]カルバメート
化合物III-a-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをp-ヨードベンゾイルクロリドと変更して、化合物III-a-cが得られた。
【0127】
IR (KBr) 3375, 2941, 1701, 1637, 1522, 1467, 1421, 1345, 1249 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.24-8.20 (m, 2H), 7.86-7.80 (m, 1H), 7.55-7.06 (m, 10H), 5.95-5.76 (m, 1H), 5.23-5.12 (m, 4H), 4.16-4.04 (m, 2H), 3.96-3.85 (m, 3H), 3.70-3.13 (m, 3H), 3.03 (m, 1H), 2.80 (m, 2H), 2.57 (m, 1H), 2.18-2.02 (m, 2H), 1.87-1.64 (m, 4H);
ESI-MS m/z 725 (M++1);
HRMS 計算値: C34H38N4O6I (M++1) 725.1831, 測定値: 725.1833。
【実施例28】
【0128】
化合物III-a-d:4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ナフトイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート
化合物III-a-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドを1-ナフトイルクロリドと変更して、化合物III-a-dが得られた。
【0129】
IR (KBr) 3381, 3060, 2943, 1701, 1633, 1522, 1465, 1428, 1384, 1346, 1249 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.23-8.18 (m, 2H), 7.96-7.82 (m, 3H), 7.58-7.21 (m, 11H), 5.95-5.76 (m, 1H), 5.21-5.11 (m, 4H), 4.20-3.96 (m, 3H), 3.94-3.58 (m, 3H), 3.52-3.21 (m, 2H), 3.10 (m, 1H), 2.82-2.52 (m, 4H), 2.25-2.06 (m, 1H), 1.74-1.39 (m, 4H);
ESI-MS m/z 649 (M++1);
HRMS 計算値: C38H41N4O6 (M++1) 649.3021, 測定値: 649.3016。
【実施例29】
【0130】
化合物III-a-e:4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート
化合物III-a-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをシクロペンチルフォルミルクロリドと変更して、化合物III-a-eが得られた。
【0131】
IR (KBr) 3375, 2948, 1700, 1637, 1523, 1467, 1345, 1249 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.23 (d, 2H), 7.54-7.23 (m, 8H), 5.83-5.77 (m, 1H), 5.23-5.12 (m, 4H), 4.10-3.67 (m, 7H), 3.58-3.40 (m, 1H), 3.06-2.60 (m, 4H), 2.59-2.40 (m, 1H), 2.14-2.03 (m, 1H), 2.00-1.48 (m, 13H);
ESI-MS m/z 591 (M++1);
HRMS 計算値: C33H43N4O6 (M++1) 591.3177, 測定値: 591.3168。
【実施例30】
【0132】
化合物III-a-f:4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-シクロヘキシルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート
化合物III-a-bと同様な調製方法により、ベンゾイルクロリドをシクロヘキシルフォルミルクロリドと変更して、化合物III-a-fが得られた。
【0133】
IR (KBr) 3375, 2933, 2855, 1701, 1638, 1523, 1450, 1346, 1250 cm-1;
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.22 (d, J = 7.8 Hz), 7.60-7.52 (m, 3H), 7.42-7.11 (m, 4H), 5.92-5.76 (m, 1H), 5.22 (s, 2H), 5.16-5.10 (m, 2H), 4.15-3.62 (m, 7H), 3.58-3.37 (m, 1H), 3.11-2.60 (m, 4H), 2.58-2.00 (m, 2H), 2.00-1.44 (m, 15H);
ESI-MS m/z 605 (M++1);
HRMS 計算値: C34H45N4O6 (M++1) 605.3334, 測定値: 605.3333。
【実施例31】
【0134】
化合物III-a-g:4-ニトロベンジルアリル-{1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロ)フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル}カルバメート
化合物III-a-aと同様な調製方法により、中間体の4-フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸を4-(4-フルオロ)フェニル-1-ベンジル-5-オキシピロール-3-カルボン酸と変更して、化合物III-a-gが得られた。
【0135】
IR (KBr)
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 8.21 (m, 2H), 7.64-7.47 (m, 3H), 7.40-7.20 (m, 6H), 7.05-6.96 (m, 2H), 5.89 (m, 1H), 5.18-5.06 (m, 4H), 3.68 (m, 3H), 3.28-3.21 (m, 3H), 2.95 (d, 1H), 2.86-2.74 (m, 3H), 2.60 (m, 1H), 2.53-2.25 (m, 5H), 1.85-1.75 (m, 4H).
ESI-MS m/z (M++1) 603;
HRMS 計算値: C34H39N4O5F (M++1) 625.2797, 測定値: 625.2808。
【実施例32】
【0136】
化合物I-c-c
化合物I-c-bと同様な調製方法により、ピルビン酸エチルをグリオキシル酸エチルと変更して、化合物I-c-cが得られた(0.086g,収率29%)。
【実施例33】
【0137】
化合物IV-a-aとIV-a-b
化合物I-b-aと類似な調製方法により、β-アラニンをβ-アミノブタン酸と変更して、エナンチオマー化合物IV-a-aとIV-a-bが得られた(0.086g,収率29%)。
【実施例34】
【0138】
化合物III-a-h
化合物III-a-eと同様な調製方法により、p-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリドをベンジルオキシカルボニルクロリドと変更して、化合物III-a-hが得られた。
【0139】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) 7.52-7.26 (m, 10H), 5.85-5.77 (m, 1H), 5.21-5.08 (m, 4H), 4.05-3.88 (m, 1H),3.87-3.64 (m, 6H), 3.01-2.39 (m, 7H), 2.38-2.14 (m, 1H), 1.87-1.48 (m, 12H);
ESI-MS m/z 546.4 (M++1)。
【実施例35】
【0140】
化合物III-a-i
化合物III-a-eと同様な調製方法により、p-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリドをp-メトロキシベンジルオキシカルボニルクロリドと変更して、化合物III-a-iが得られた。
【0141】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.52-7.24 (m, 7H), 6.95-6.82 (d, 2H), 5.92-5.68 (m, 1H), 5.26-5.02 (m, 4H), 4.21-3.63 (m, 10H), 3.22-2.34 (m, 7H), 2.02-1.51 (m, 13H)。
【実施例36】
【0142】
化合物III-a-j
化合物III-a-eと同様な調製方法により、p-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリドをp-ブロモベンジルオキシカルボニルクロリドと変更して、化合物III-a-jが得られた。
【0143】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.55-7.15 (m, 9H), 5.86-5.67 (m, 1H), 5.30-5.00 (m, 4H), 4.17-3.62 (m, 7H), 3.06-2.35 (m, 6H), 2.22-2.02 (m, 2H), 1.86-1.53 (m, 12H)。
【実施例37】
【0144】
化合物III-a-k
化合物III-a-eと同様な調製方法により、p-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリドをフェニルイソシアネートと変更して、化合物III-a-kが得られた。
【0145】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 7.58-7.26 (m, 8H), 7.08-6.98 (m, 2H),6.60-6.52 (d, 1H), 6.00-5.86 (m, 1H), 5.48-5.32 (m, 2H), 4.44-4.32 (m, 1H), 3.91-3.50 (m, 5H), 3.11-2.02 (m, 9H), 1.96-1.49 (m, 12H);
ESI-MS m/z 531 (M++1)。
【実施例38】
【0146】
化合物III-a-l
化合物III-a-eと同様な調製方法により、p-ニトロベンジルオキシカルボニルクロリドをフェノキシアセチルクロリドと変更して、化合物III-a-lが得られた。
【0147】
1H NMR (CDCl3, 300MHz) 7.52-7.26 (m, 7H),7.00-6.89(m,3H) 5.86-5.77 (m, 1H), 5.30-5.21 (m, 2H),4.70-4.66(d,2H), 4.58-4.40 (m, 1H),4.00-3.69 (m, 6H), 3.02-2.38 (m, 6H), 2.38-2.05 (m, 2H), 1.87-1.45 (m, 12H);
ESI-MS m/z 546.5 (M++1)。
【0148】
上述の実施例で調製した各化合物をまとめて表Iで示す。
【0149】
表I 化合物
【表1】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】
注:「+」は10,000nMで少し抑えること、「++」は10,000nMで大きく抑えるが、抑制率はまだ50%より小さいことを示す。
【0162】
生物活性のテスト例
A. [35S]GTPγS 結合実験
CCR5はアゴニストと結合すると、CCR5の配座が変化することによって、G蛋白と作用しあうことで、G蛋白が活性化される。G蛋白はαサブユニットとβγサブユニットで組成されるトリマーである。αサブユニットとGTPの結合能はCCR5とアゴニストの作用によって決められるので、アゴニストのCCR5に対する活性化能力はαサブユニットと結合したGTPの量の測定でわかることができる。GTPγS結合実験において、GTPがGTP酵素によって加水分解されることによるαサブユニットと結合したGTPの量の不正確を防止するとともに、検出の便宜を図るため、GTPの代わりに35Sで標識されたGTPの構成類似物である加水分解不能のGTPγSを使用した。これによって、CCR5が活性化されてないとき、αサブユニットはGDPと結合する;CCR5が活性化されたとき、αサブユニットはGTPγSと結合する。αサブユニットと結合した35S-GTPγSの数量を測定することにより、CCR5のアゴニストによる活性化程度が判明できる。本発明の拮抗剤を加えると、アゴニストのCCR5に対する活性化能力が下がるようになる。
【0163】
CCR5のG蛋白に対する活性化について、下記実験のように測定した。
【0164】
CCR5を発現するCHOセルライン(CHO-CCR5)(Euroscreen S.A.,Belgiumから入手)を細胞溶解緩衝液(5 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM EDTAと5 mM EGTA)で溶解し、15,000xgで10分間遠心分離した。反応緩衝液(50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM MgCl2, 1 mM EGTA, 100 mM NaCl)で細胞膜を懸濁してから、Bio-RadのBioford法で蛋白質を測定した。そして、反応緩衝液においてGTPγS 結合実験を行なった。ここで、反応系は100 μlで、10 μg膜蛋白、40 μM GDP、0.5 nM [35S] GTP-γ-S (1200 Ci/mmol)が含有されていた。測定しようとする化合物を加えた後、振動して均一に混合し、氷の上に5分間放置した。その後、CCR5アゴニスト(10 nM RANTESまたは30 nM MIP-1β)を加え、振動して均一に混合した後、反応のチューブを30℃で1時間インキュベションした。反応が終わったら、チューブを氷の上に置き、PBSで希釈することにより反応を中止させ、GF/Cフィルターフィルムで真空濾過した。結合したものについて、放射活性を液体フラッシュカウンターで測定した。基礎結合(basal)はアゴニストなしで測定し、非特異的結合(non-specific)を10 μM標識されてないGTPγSの存在で測定した。[35S]GTPγS結合の百分率は100x[c.p.m.sample-c.p.m.non-specific]/[c.p.m.basal-c.p.m.non-specific]で算出された。IC50は10 nM RANTESまたは30 nM MIP-1βによる[35S]GTPγS結合を50%に抑制されるときの化合物の濃度で、化合物の濃度曲線(6-7種の化合物の濃度ポイント)から得られた。
【0165】
B. 細胞走化性試験
ケモカイン受容体を発現する細胞はアゴニストに接触すると、アゴニストのある箇所に移動するため、細胞移動の測定により受体とアゴニストの相互作用を知ることができる。その測定は下記の方法で行なった。
【0166】
48ウェルプレート(AP48, Neuroprobe Inc.,USA)及び8 μmのフィルターフィルム(25×80mm)を用い、実験を行った。フィルターフィルムが使用される前に、サルビアコラーゲンに少なくとも2時間浸漬し、取り出したら無菌ベンチの上で自然乾燥し、そして0.1%BSA-MEMに浸漬した。細胞はヒトCCR5を発現するHEK293(293-CCR5)(Euroscreen S.A.,Belgiumから入手)であった。細胞をパンクレアチンで1分間消化し、200gの遠心で細胞を回収し、細胞の密度が約3×106/mlになるように0.1%BSA-MEMで懸濁した。各ウェルに26.5 μlのケモカイン或は1%BSA MEMをいれてから、フィルターフィルムを置き、蓋をして、ウェルに細胞懸濁液を50 μlずつ加えた。化合物拮抗実験の場合、細胞懸濁液に測定しようとする化合物を加え、37℃で20分間プレインキュベションする。ウェルプレートを37℃恒温箱に置き、6時間細胞走化をさせた。そして、フィルターフィルムを取り出し、サンプル孔に付いた細胞を除いてから、4℃で4%PFAで一晩固定した。次の日に、フィルターフィルムを取り出し、0.5%クリスタルバイオシットで2時間以上染色し、水で脱色した後、乾燥させ、スキャナーでフィルターフィルムを走査し、Scion Imageで灰度を統計、計算した。なお、拮抗剤の加えてない細胞の走化細胞数を100%とし、計算とプロットをした。
【0167】
C.MTT細胞毒性実験
細胞を単細胞懸濁液とし、細胞の大きさと生長特性によって、細胞密度を調整し、100 μl培養液で96ウェルプレートに入れ、37℃、5%CO2の培養箱で飽和湿度でインキュベションし、以下の処理に供する。細胞の密度について、末梢単球(PBMC)は105個/ウェルで、Jurkat細胞は4x104個/ウェルでした。24時間後、測定しようとする化合物を加え、細胞とインキュベションした。48時間後、各ウェルにMTT(Sigma, USA., 5 mg/ml, PBSで調製し、−20℃で保存する)を10 μlずついれて、37℃で細胞培養箱で続いて4時間インキュベションした。そして、フォルマザンを溶解する三連剤 (10%SDS-5%イソプロパノール-0.01 M HCl)を50μl加え、培養箱に一晩置き、ミクロプレートリーダーによりOD570/OD630 nmを測定した。なお、抑制曲線から50%毒性用量CC50を獲得した。
【0168】
活性測定結果:
A.[35S]GTPγS結合実験により、本発明の化合物はCCR5の拮抗剤で、これらの化合物はCCR5が10 nMのRANTESによって活性化されることによるGTPγSの結合を抑制することが判明した。その抑制状況とIC50は下記の表で示す。
【表2】

【0169】
注:「+」は10,000nmで少し抑えること、「++」は10,000nmで大きく抑えるが、抑制率はまだ50%より小さいことを示す。IC50が低ければ低いほど、拮抗作用は強くなる。
【0170】
一部の化合物について、CXCR4及びCCR1受容体の活性化に対する影響を測定したところ、これらの化合物(II-a-a,III-a-a,III-a-b,III-a-c,III-a-d,III-a-e,III-a-f)は10,000 nMで両者の受容体には活性化の作用も拮抗の作用もないことが判明された。従って、これらはCCR5に特異的な拮抗剤である。
【0171】
また、II-a-aのメタンスルホン酸塩は水溶性が顕著に向上した(約10倍)ことを除いて、活性や特異性が塩になってないときと同様で、IC50は341.5±72.5 nMだった。
【0172】
一部の化合物(II-a-a及びそのメタンスルホン酸塩も含む)に対して、30 nMのMIP-1β(もう一種のCCR5アゴニスト)によるGTPγS結合のIC50を測定したところ、その結果はRANTESによるGTPγS結合を抑制する場合と一致した。
【0173】
B.走化性試験により、本発明化合物は低濃度でもRANTESによる細胞走化性を抑制することができることが証明された。なかでも、化合物III-a-eの10 nMのRANTESによる細胞走化性に対するIC50は約30 nMだった。
【0174】
C.細胞毒性実験により、テストされた化合物の毒性は低いまたは無いことが判明された。化合物II-a-a,III-a-b、III-a-c、III-a-d、III-a-e、III-a-f等は10,000 nMで細胞に顕著な毒性は見られず、CC50は約30,000 nMだった。
【0175】
上述のように、本発明化合物はCCR5に親和力が強く、選択性が高い拮抗剤である。これらの化合物は細胞毒性が低く、治療指数CC50IC50も1000より大きいので、臨床でCCR5を拮抗することによりCCR5に関わるエイズ病、自己免疫疾患、炎症性反応のような疾患を治療することに適する。
【0176】
本発明にかかる文献は、文献が単独にレファレンスとして引用されるように、本願において全部レファレンスとして引用される。また、本発明の上述の説明の内容を閲読してから、本分野の従業員が本発明に各種の変更や修飾をすることができるが、これらの等価の形態も同じく本願に付いている要求の範囲に限定される範囲にあることが明らかに理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(I)
(式中、R1は無置換または1-3個の置換基で置換のベンジル、ベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、またはナフトイルで、前述置換基はハロゲン、C1-C4のアルキル、C1-C4のアルコキシからなる群から選ばれる;
R2はハイドロキシ、フェニルカルボニルオキシ、フェノキシ、チオフェニル、アニリノまたはフェニルスルフォニルで、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニルまたは
【化2】

で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R4はなし、またはH、ハイドロキシである;
R7はH、C1-C6のアルキル、またはフェニルである;
Xはなし、或はO、Cである;
条件は、Xはなし、またはOである場合、R4、R5、R6とYはない;
XはCである場合、YはNで、R5はC1-C6のアルキル、またはアリルで、且つR6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルで、またはR5、R6はYとともに、フェニルまたは-R8-フェニルを構成し、但し、R8はC1-C4のアルキレンである。)
の化合物或はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R1はベンジル、ベンゾイル、o-ハロゲンベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、或はナフトイルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2はハイドロキシ、フェニルカルボニルオキシ、フェノキシ、チオフェニル、アニリノ或はフェニルスルフォニルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニル、4-ハロゲンフェニルまたは
【化3】

であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xはなし或はOで、且つR4、R5、R6とYはないことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
XはCで、且つYはNで、R5はC1-C6のアルキルまたはアリルで、R6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルで、またはR5、R6はYとともに、フェニルまたは-CH2CH2CH2-フェニルを構成することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R7はH、C1-C3のアルキルまたはフェニルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式III:
【化4】

(III)
(式中、R1は無置換または1-3個の置換基で置換のベンジル、ベンゾイル、シクロヘキシルホルミル、シクロペンチルホルミル、フェニルスルフォニル、またはナフトイルで、前述置換基はハロゲン、C1-C4のアルキル、C1-C4のアルコキシからなる群から選ばれる;
R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニルまたは
【化5】

で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R6はp-ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ハロゲンベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル、フェニルカルバモイル、フェノキシアセチル、3,4-ジオキシメチレンベンジルオキシカルボニル、p-アミノベンジルオキシカルボニル、フェニルスルフォニル、p-メチルフェニルスルフォニルである。)
で表される構成をもつことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-ピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
1-ベンジル-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
1-ベンジル-4-ジエチルアミノメチル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)ピロール-3-オール、
1-ベンジル-3-(3a,7a-ジヒドロベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イル)-4-(4-モルフォリン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン) ピロール-1-イル]フェニルメチルケトン、
[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン) ピロール-1-イル]-2-ヨードフェニルメチルケトン、
1-フェニルスルホニル-3-フェニル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]アセチルギ酸ベンジル、
1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピペリジン-3-メチレン)-4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-4-オール、
1-ベンジル-3-メチル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
シクロヘキシル-[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-ピペリジン-1-メチレン)ピロール-1-イル]メチルケトン、
シクロペンチル-[3-ハイドロキシ-3-フェニル-4-(4-ピペリジン-1-メチレン)ピロール-1-イル]メチルケトン、
1-ベンジル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
安息香酸1-ベンジル-3-メチル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
安息香酸1-ベンジル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
1-(1-ベンジル-4-フェノキシピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン、
1-ベンジル-3-フェニル-4-[4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-1-メチレン]ピロール-3-オール、
1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロフェニルピペリジン-3-メチレン)]-4-(3-フェニルプロピル)ピペリジン-4-オール、
1-ベンジル-5-メチル-3-フェニル4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
1-ベンジル-5-メチル-3-フェニル4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール、
4-ニトロベンジルアリル-{1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロ)フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル}カルバメート、
{1-[1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-(4-フルオロ)フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル}アセチルギ酸ベンジル、
[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-メチルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]アセチルギ酸ベンジル、
1-ベンジル-4-フェニルチオピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン、
1-(4-フェニルスルホニル-1-ベンジルピロール-3-メチレン)-4-フェニルピペリジン、
[1-ベンジル-4-(4-フェニルピペリジン-1-メチレン)ピロール-3-オール]アニリン、
4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ベンジル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ベンゾイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ニトロベンジルアリル-[1-[1-(2-ヨード)ベンゾイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン]ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-ナフトイル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ニトロベンジルアリル-[1-(1-シクロヘキシルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
ベンジルアリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-メトキシベンジルアリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
4-ブロモベンジルアリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]カルバメート、
アリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]-3-フェニル尿素、
アリル-[1-(1-シクロペンチルフォルミル-4-ハイドロキシ-4-フェニルピロール-3-メチレン)ピペリジン-4-イル]アセチルアミノフェニルエテール
からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
薬学的に許容される担体と請求項1に記載の化合物を含有する薬物組成物。
【請求項11】
薬物の製造に使用することを特徴とする請求項1に記載の化合物の用途。
【請求項12】
式II:
【化6】

(II)
(式中、R3は水素原子、C1-C4のアルキル、フェニル或は
【化7】

で、前述グループにおけるベンゼン環はハロゲンとC1-C4のアルキルからなる群から選ばれる1-3個の置換基で置換されてもいい;
R7はH、C1-C6のアルキル或はフェニルである。)
で表される化合物。

【公表番号】特表2008−501732(P2008−501732A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526172(P2007−526172)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000659
【国際公開番号】WO2005/121123
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506411298)
【Fターム(参考)】