説明

CNS疾患の治療法

本発明はピペリジン誘導体、例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドおよびその薬剤的に許容される塩を投与することによる、アルツハイマー病、不安症、および大うつ病性障害のような中枢神経系疾患を治療するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジン誘導体、例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドおよびその薬剤的に許容される塩を投与することによる、アルツハイマー病、不安症、および大うつ病性障害のような中枢神経系疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、主に高齢者が発症する進行性の神経変性疾患である。アルツハイマー病は、脳における2つの主要な病理学的所見:神経原線維変化、および主にAβとして知られるペプチド断片の凝集により構成されるベータアミロイド(または神経突起)プラークによって特徴付けられる。ADを有する個人は、特徴的なベータアミロイドの沈着を脳内(ベータアミロイドプラーク)および脳血管内(ベータアミロイド血管障害)に示し、同様に神経原線維変化を示す。神経原線維変化はアルツハイマー病のみではなく、その他の認知症により誘導される疾患にも起こる。剖検において、一般にこれらの病変部の多くはヒトの脳の記憶および認知に重要な領域内に見出される。
【0003】
ADには早発性および遅発性の2つの型が存在する。早発性のADは稀であり、これは感受性の個人を早くて20代で襲い、多くの場合遺伝子の小セットにおける変異に関係する。遅発性または自発性のADは一般的であり、これは60代または70代を襲う、多数の遺伝的な危険因子を有する多因子性疾患である。65歳を越える人では、遅発性のADは認知症の主な原因である。疾病の初期に、患者は記憶および方向性が失われることを経験する。疾病の進行に従って患者が完全に生活能力を失うまでには、さらなる認知機能が損なわれる。従ってアルツハイマー病の進行を遅らせ、かつ/またはこれを最初に予防するための医薬品が緊急に必要とされている。
【0004】
気分障害の中でうつ病性障害は最も一般的であり、5人のうちの1人が一生の間にこれを発症する。世界保健機関は、現在うつ病が全世界で4番目に重要な障害調整生存年損失の原因であり、これは2020年までには2番目に重要な原因になるであろうと推定している(Science,288,39−40,2000を参照)。大うつ病性障害は、個人の生活の質に深く影響する深刻な精神疾患である。通常の死別または時々の「抑うつ」エピソードとは異なり、MDDは長期にわたる憂うつおよび絶望を引き起こし、かつ病人が以前に楽しんでいた活動または人間関係を楽しむ能力を奪い得る。幾つかの場合において、うつ病エピソードは明らかに辛い出来事によって誘発されると考えられるが、MDDは特定のストレス要因なしでも発生し得る。研究により、うつ病の初期エピソードは特定の刺激への反応であると考えられるが、後期エピソードは進行性に、誘発する出来事なしに始まる可能性がさらに高いことが示されている。大うつ病を患う人は、仕事関連の責任および育児のようなその他の任務に負担を見出し、非常な努力によってのみ実行した。精神的効率および記憶に影響が及び、単純な任務にさえ疲労し、いら立つ原因となる。性的関心の衰え;MDDを有する多くの人々が内にこもり、いずれの形での社会活動も避けるようになる。良い食事または健全な夜の睡眠を楽しむ能力でさえもしばしば失われ;多くのうつ病の人々は慢性の倦怠感(一般的な不快感または不安)を訴える。幾人かにとって、MDDに伴う苦痛および苦悩は非常に耐え難いものとなり、自殺が唯一の選択に見え;MDDはいずれの精神疾患の中でも最も高い死亡率を有する。
【0005】
大うつ病性障害を患う個人の状態は、その個人が不安症もまた患うという事実から時折複雑である。従ってうつ病症状に加え、患者は過剰な、または制御できない心配、過敏性、緊張感、恐怖、焦燥感および不眠症、集中の困難、ならびに疼痛およびうずき、けいれん、硬直、ミオクローヌス反射、耳鳴、かすみ目,熱または低温によるほてりなどのような複数の身体的不調の徴候を示す可能性があり、これらの全てが個人に社会的および職業的な障害を加える。
【0006】
医薬品によるうつ病の治療は、多くの患者が数か月にわたる治療後にも典型的に寛解しないことから、しばしば不十分である。さらに、寛解した患者はおおよそ85%の高い再発率を示し、大うつ病の別のエピソードを患い得る。最後に、現在利用できる抗うつ薬の多くには副作用があり、このため幾人かの患者は再びうつ病に(さらに)陥る危険性の下に薬物療法を中止し、その他の患者は病的状態となる。従って今日の薬物の多くは、多くの患者にとって完全に安全でもなければ、完全に許容できるものでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、アルツハイマー病、大うつ病性障害、および不安症のような状態を治療するための、安全であり、さらに許容できる、広範囲の患者(特に利用可能な医薬品に対して耐性のある患者)に有効な新しい医薬品、または既存の薬物の有効性を補う医薬品に対する必要が絶えず存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本発明は、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドのようなピペリジン誘導体およびその薬剤的に許容される塩を投与することを含んでなる、アルツハイマー病についての方法に関する。別の実施形態によれば、大うつ病性障害および不安症を治療する方法について記載される。
【0009】
一態様によれば、本発明は式(I):
【化1】

式中、VおよびUはそれぞれ独立して
水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアリールアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアラルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルスルホンアミド、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルカノイルアミド、アリールスルホンアミド、C−Cアルキルスルホニルオキシ、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−Cアルキル−SO−NH−CH−、NH−(CH1−4−SO−NH−、NH−(CH1−4−(CO)−NH−、スルファモイル[NH−SO−]、ホルミル[−CHO]、アミノメチル[−CH−NH]、ヒドロキシメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシメチル、ハロゲン化メチル、テトラゾリル、
またはそれぞれがアミノ基により任意に置換される、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、フェニル、もしくはC−Cアルコキシ、または
共に1以上が同一であるかまたは異なる追加のヘテロ原子である隣接するVおよびU基、および/または−CH=、および/または4〜7員の置換ホモ−もしくはヘテロ環(例えばモルホリン、ピロール、ピロリジン、オキソ−ピロリジン、チオキソ−ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリジン、オキソ−イミダゾール、チオキソ−イミダゾール、イミダゾリジン、1,4−オキサジン、オキサゾール、オキサゾリジン、オキソ−オキサゾリジン、チオキソ−オキサゾリジン、または3−オキソ−1,4−オキサジン)を任意に形成する−CH−基であり;
WおよびXが同時にメチレンにはなり得ないという条件下で、WおよびXはそれぞれ独立して−CO−、−CH−、または−CH(C−Cアルキル)−であり;
Yは−O−、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレン、シクロアルキレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−CHO−、−CH(OH)−、または−OCH−であり;
Zは水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、またはカルボキシであり;
およびRはそれぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはRおよびRは共に、任意に置換されるC−C橋を形成し、かつ
nおよびmが同時に0にはなり得ないという条件下で、nおよびmは独立して0〜3である)
で表される化合物;
およびその薬剤的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば水和物)、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物を;
さらに
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、Wは−CO−、Xは−CH−、かつVは水素であり、次にUは4−ブロモ置換基以外であり、かつ
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、WおよびXは−CO−、かつVは水素であり、次にUは4−カルボキシルまたは4−エトキシカルボニル置換基以外であるという条件下で、治療上有効な量を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、CNS疾患(例えばアルツハイマー病、大うつ病性障害、不安症)を治療するための方法に関する。
【0010】
一実施形態によれば、式(I)で表される化合物は2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド(radiprodil)、またはその薬剤的に許容される塩である。radiprodilの合成については、例えば米国特許出願公開第2004/0157886に記載される。
【0011】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)、またはその薬剤的に許容される塩を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、アルツハイマー病を治療するための方法に関する。
【0012】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)、またはその薬剤的に許容される塩を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、うつ病(例えば大うつ病性障害)の治療に関する。
【0013】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)、またはその薬剤的に許容される塩を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症を伴う大うつ病性障害の治療に関する。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)、またはその薬剤的に許容される塩を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症の治療に関する。
【0015】
特定の実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約0.01mgないし約150mg、例えば約10mgないし約150mgのような、約5mgないし約150mgの量で投与される。
【0016】
さらなる実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの量で投与される。
【0017】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、アルツハイマー病を治療するための方法に関する。
【0018】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、アルツハイマー病を治療するための方法に関する。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、うつ病(例えば大うつ病性障害)の治療に関する。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、うつ病(例えば大うつ病性障害)の治療に関する。
【0021】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症を伴う大うつ病性障害の治療に関する。
【0022】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症を伴う大うつ病性障害の治療に関する。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症の治療に関する。
【0024】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、不安症の治療に関する。
【0025】
望ましい用量は、一日あたり1以上の副用量(sub dose)として、一日を通して適切な時間間隔で投与されてよいか、または単一用量、例えば朝もしくは夕方に投与されてよい。例えば一日あたりの投薬量は、1、2、3、または4に分割された一日用量であってよい。特定の実施形態によれば、有効成分は1、2、または3(例えば3)に分割された一日用量で投与される。
【0026】
治療期間は利点が持続する限り、数十年、数年、数か月、数週間、または数日であってよい。
【0027】
薬剤的に許容される塩は、塩を形成するために塩基として無機または有機酸と作用する主要化合物を反応させることによって得られるもの、例えば塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、マンデル酸、および炭酸の塩を含む。薬剤的に許容される塩はまた、主要化合物が酸として作用し、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびコリン塩を形成するために適切な塩基と反応するものも含む。当業者は、特許請求される化合物の酸付加塩が、幾つかの公知の方法を通した化合物と適切な無機または有機酸との反応によって調製され得ることをさらに認識するであろう。あるいはアルカリおよびアルカリ土類金属塩は、本発明の化合物を適切な塩基と様々な公知の方法を通して反応させることにより調製され得る。
【0028】
以下は、無機または有機酸との反応によって得ることのできる酸性塩のさらなる例である:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、メシラート、およびウンデカン酸塩。
【0029】
一実施形態によれば、薬剤的に許容される塩は塩酸塩である。
【0030】
本発明において有用な化合物の幾つかは、異なる多形型で存在し得る。当該技術分野において公知であるように、多型は1を超える異なった結晶性の、または「多形性の」種として結晶化する化合物の能力である。多形は、固体の段階において化合物分子の少なくとも2の異なる配置または多形型を有する、化合物の固体の結晶性段階である。いずれの所定の化合物の多形型も同じ化学式または組成物により定義され、2つの異なる化学化合物の結晶性構造として化学構造において異なっている。このような多形の使用は本発明の範囲内である。
【0031】
本発明において有用な化合物の幾つかは、異なる溶媒和物型で存在し得る。本発明の化合物の溶媒和物は、結晶化過程の間に溶媒分子が化合物分子の結晶性格子構造内に取り込まれる際にもまた形成され得る。例えば、適切な溶媒和物は水和物、例えば一水和物、二水和物、セスキ水和物、および半水和物を含む。このような溶媒和物の使用は本発明の範囲内である。
【0032】
式(I)で表される化合物は、有効成分として単独、または薬剤的に許容される組成物の追加成分のいずれかとして投与され得る。
【0033】
本発明による化合物の投与に適した様々な製剤の調製手順について記載される、多数の標準的な参考文献が入手可能である。可能性のある製剤および調製については、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(現行の版);Marcel Dekker,Inc.により発行されるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets(編者、Lieberman、Lachman、および Schwartz)の現行の版、同様にRemington’s Pharmaceutical Sciences(編者Arthur Osol)、1553−1593(現行の版)に記載される。
【0034】
投与の様式と剤形は、所定の治療応用に対して望ましくかつ効果的な、化合物または組成物の治療用の量と密接に関連する。
【0035】
適切な剤形は、経口、経直腸、舌下、粘膜内、経鼻、眼内、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、脊髄内、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下、気管支内、リンパ管内、および子宮内投与、ならびに有効成分の全身性送達のためのその他の剤形を含むが、これらに限定されない。経口投与に適した製剤が好ましい。
【0036】
錠剤、ゲルカプセル、カプセル、カプレット、顆粒、舐剤、および原薬粉末としてのこのような固体形を含む様々な固形経口剤形が、有効成分を投与するために用いられてよい。このような固形剤形では、有効成分は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムのような少なくとも1の不活性の薬剤的に許容される担体、および/またはa)デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のような注入剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシアのような結合剤、c)グリセロールのような保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agent)f)第四アンモニウム塩のような吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイのような吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムのような潤滑剤、ならびにそれらの混合物と共に混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤もまた含んでよい。
【0037】
頬または舌下投与に適した組成物は、有効成分が糖およびアカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体と共に処方される、錠剤、舐剤、およびトローチを含む。
【0038】
錠剤、カプセル、丸剤、および顆粒の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬品処方分野において公知のその他のコーティングのような、コーティングおよびシェルを用いて調製できる。これらは任意に乳白剤を含んでよく、かつ本発明の結晶性化合物を放出する組成物にもなり得る。本発明の別の実施形態によれば、radiprodilは、本発明の結晶性化合物の標的放出においてもまた有利である、徐放カプセル、錠剤、およびゲルに処方することができる。
【0039】
水性および非水性溶液、乳濁液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含む様々な液体経口剤形もまた、有効成分を投与するために使用できる。有効成分に加え、液体剤形は、例えば水またはその他の溶媒、例えばエチルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、油、脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物のような、当該技術分野において一般に使用される不活性の希釈剤を含んでよい。不活性の希釈剤に加え、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料および香料のような補助剤もまた含んでよい。エアロゾル製剤は、生理的に許容される水性または非水性溶媒中で、本発明の結晶性化合物の溶液または微細な懸濁液を典型的に含んでなり、通常密封された容器内の無菌の形で、単一または複数用量の量において供給される。
【0040】
本発明の注射可能な調製品、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いる公知の技術に従って処方されてよい。
【0041】
有効成分の直腸投与のための坐薬は、化合物を適切な賦形剤、例えばココアバター、サリチル酸塩、およびポリエチレングリコールと混合することにより調製できる。膣内投与のための製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パストフォーム(past foam)、またはスプレー処方の形であってよく、これらは有効成分に加え、当該技術分野において公知であるような適切な担体を含む。
【0042】
局所投与のために、医薬組成物は、皮膚、眼、耳、または鼻への投与に適した、クリーム、軟膏、塗布薬、ローション、乳濁液、懸濁液、ゲル、溶液、ペースト、散剤、スプレー、および液滴の形であってよい。局所投与は、経皮パッチのような手段を通した経皮投与もまた含んでよい。
【0043】
吸入を通した投与に適するエアロゾル製剤もまた製造されてよい。例えば気道疾患の治療のために、有効成分は散剤(例えば微粒子化された)の形、または霧状の溶液もしくは懸濁液の形での吸入によって投与できる。エアロゾル製剤は、加圧が許容される噴霧剤内に含ませてよい。
【0044】
本発明はまた、アルツハイマー病、大うつ病性障害、および不安症のような状態を治療するための薬剤の製造における、式(I)で表される化合物の使用も提供する。
【0045】
一実施形態によれば、本発明の組成物はradiprodilを、薬剤的に許容される組成物の重量の約0.01%ないし約25%、約0.05%ないし約25%、約0.1%ないし約25%、約0.25%ないし約25%、約0.5%ないし約25%、約1%ないし約25%、約2%ないし約20%、約4%ないし約18%、約6%ないし約16%、約8%ないし約14%、約10%ないし約12%含む。
【0046】
このような医薬品剤形を調製するため、有効成分は、従来の医薬品配合技術によって医薬品担体と典型的に混合される。担体は、投与に望まれる調製品の形に依存した広範な種類の形をとってよい。
【0047】
経口剤形の形における組成物の調製のため、通常の医薬溶媒のいずれも用いられてよい。従って、例えば懸濁液、エリキシル剤、および溶液のような液体経口調製品のために適した担体ならびに添加物は、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存料、着色料などを含む。例えば散剤、カプセル、および錠剤のような固体調製品のために適した担体ならびに添加物は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。錠剤およびカプセルは、それらの投与における容易さから、最も有利な投薬量単位の形を代表する。所望により、錠剤は標準的な技術による糖衣錠または腸溶コーティング錠であってよい。
【0048】
非経口製剤に対しては、担体は通常滅菌水を含んでなり得るが、その他の成分、例えば溶解度の補助または保存のための成分が含まれてよい。注射可能な溶液もまた、適切な安定剤が用いられ得る場合に調製されてよい。
【0049】
幾つかの応用では、リポソームまたはその他の被包媒体内の有効薬剤の被包によるか、またはタンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、多糖から選択されるような適切な生体分子上への、例えば共有結合、キレート化、または配位結合(associative coordination)による有効薬剤の固定によるような、「ベクター化」された形の有効薬剤の利用が有利であろう。
【0050】
経口投与に適した製剤を用いる本発明の治療法は、それぞれが規定の量の有効成分を、例えば散剤もしくは顆粒として含む、カプセル、カシェ剤、錠剤、または舐剤のような別々の単位として提供されてよい。任意に、シロップ、エリキシル剤、乳濁液、または水薬のような、水性濃縮液もしくは非水性の液体中の懸濁液が用いられてよい。
【0051】
錠剤は、任意に1以上の補助成分と共に、圧縮もしくは成形、または湿式造粒法により製造されてよい。圧縮錠は、例えば結合剤、崩壊剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、表面活性剤、または放出剤(discharging agent)と任意に混合された、粉末または顆粒のような流動体の有効化合物を適切な装置内で圧縮することにより調製されてよい。粉末の有効化合物と適切な担体の混合物から構成される成形錠剤は、適切な装置内で成形することにより製造されてよい。
【0052】
シロップは、濃縮された糖、例えばショ糖の水溶液中に有効化合物を添加することにより製造されてよく、そこへはいずれの補助成分もまた添加され得る。このような補助成分は、香味料、適切な保存料、糖の結晶化を遅延させる薬剤、およびポリヒドロキシアルコール、例えばグリセロールまたはソルビトールのような、その他のいずれの成分の溶解度を増大させる薬剤を含んでよい。
【0053】
非経口投与に適した製剤は、通常、好ましくはレシピエントの血液に等張(例えば生理食塩水)な有効化合物の無菌水性調製品を含んでなる。このような製剤は、懸濁剤および増粘剤、ならびに化合物を血液成分または1以上の臓器に標的化するために設計された、リポソームまたはその他の微粒子系を含んでよい。製剤は単位用量または複数用量の形で提供されてよい。
【0054】
非経口投与は、全身性送達のいずれの適切な形を含んでよい。投与は例えば静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、腹内(例えば腹腔内)などであってよく、点滴ポンプ(外部型または埋め込み型)または望ましい投与様式に適した適切なその他のいずれの手段によって効果を及ぼしてよい。
【0055】
経鼻およびその他の粘膜スプレー製剤(例えば吸入可能な形)は、有効化合物の精製された水溶液を、保存料および等張液と共に含んでよい。このような製剤は、鼻またはその他の粘膜に適合するpHおよび等張状態へ好ましく調節される。あるいは、これらはガス担体に懸濁された、微粉化された固体粉末の形であってよい。このような製剤は、いずれの適切な手段または方法、例えばネブライザー、アトマイザー、定量吸入器などにより送達されてよい。
【0056】
直腸投与のための製剤は、坐薬として、ココアバター、硬化脂肪、または硬化脂肪カルボン酸のような適切な担体と共に提供されてよい。
【0057】
経皮製剤は、セルロース媒体、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースのような揺変性またはゼラチン状の担体内に有効薬剤を取り込むことによって調製されてよく、得られた製剤は、次に着用者の皮膚に接触して固定するように適応された経皮装置内に詰められる。
【0058】
前述の成分に加え、本発明の製剤は、希釈剤、緩衝剤、香味料、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料(抗酸化剤を含む)などから選択される1以上の補助成分をさらに含んでよい。
【0059】
本発明の製剤は、即時放出、持続放出、遅延放出、または当業者に公知のその他のいずれの放出特性を有してよい。
【0060】
式(I)で表される化合物は、CNS疾患(例えばアルツハイマー病、大うつ病性障害)の治療に有用なさらなる有効薬剤との組み合わせにより付属的に投与されてよい。例えば式(I)で表される化合物は、例えば、抗うつ薬(例えば三環系抗うつ薬)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害薬、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えばSNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、およびそれらの組み合わせと組み合わせて投与されてよい。
【0061】
式(I)で表される化合物と共に投与されてよい化合物の特定の例は、メマンチン、エスシタロプラム、シタロプラム、ミルナシプラン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、フルボキサミン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、アミトリプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルタザピン、トラゾドン、ブプロピオン、およびそれらの組み合わせ(それらの塩および/または溶媒和物を含む)を含むが、限定されるものではない。
【0062】
例えば式(I)で表される化合物(例えばradiprodil)は、アルツハイマー病の治療のために、メマンチンまたはその薬剤的に許容される塩(例えばメマンチン塩酸塩)と共に投与されてよい。
【0063】
別の例によれば、式(I)で表される化合物(例えばradiprodil)は、うつ病(例えば大うつ病性障害)の治療のために、エスシタロプラムまたはその薬剤的に許容される塩(例えばエスシタロプラムシュウ酸塩)と共に投与されてよい。
【0064】
別の例によれば、式(I)で表される化合物(例えばradiprodil)は、うつ病(例えば大うつ病性障害)の治療のために、ミルナシプランまたはその薬剤的に許容される塩(例えばミルナシプラン塩酸塩)と共に投与されてよい。
【0065】
付属的な投与とは、同一の剤形における化合物の同時投与、別々の剤形における化合物の同時投与、または化合物の別々の投与を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
定義
「薬剤的に許容される」との語は、動物またはヒトにおけるin vivo使用に対して生物学的もしくは薬理学的に適合性であることを意味し、かつ好ましくは、動物、さらに詳細にはヒトにおける使用に対して、連邦または州政府の監督官庁により承認されているか、または米国薬局方もしくはその他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。
【0067】
「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、および「治療している(treating)」との語は、以下の1以上を意味する:
(a)例えば糖尿病性神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛を含む、被験体の疾患の少なくとも1の症状を軽減または緩和すること;
(b)限定はされないが、所定の刺激(例えば圧力、組織傷害、低温など)へ反応するものを含む、被験体によって経験される疾患の徴候の強度および/または持続を軽減または緩和すること;
(c)発症(すなわち疾患の臨床症状に先立つ期間)を抑止、遅延させることおよび/または疾患が進展または悪化する危険性を減少させること。
【0068】
「有効量」は、疾病を治療するために患者(例えば哺乳類)に投与した際、疾病に対するこのような治療が効果を及ぼすために十分な有効成分の量、または本発明の目的を達成するための、NMDA受容体(例えばNR2B受容体)の調節に十分な量を意味する。「有効量」は、化合物、疾病およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、反応性などに依存して変動し得る。
【0069】
治療用化合物の投与が、疾病または疾患に対する有効な最適投薬方式である被験体または患者は、好ましくはヒトであるが、治験またはスクリーニングもしくは活性実験に関連する実験動物を含むいずれの動物であってもよい。従って、当業者によって容易に認識されるように、本発明の方法、化合物および組成物はいずれの動物、特に哺乳類への投与に適しており、限定しようとするものではないが、すなわち獣医学における使用のための、ヒト、ネコまたはイヌの被験体のような家畜、限定はされないがウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、およびブタの被験体のような農場動物、野生動物(野生であるか動物園にいるかに関わらず)、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなどのような実験動物、ニワトリ、シチメンチョウ、鳴禽などのような鳥類が含まれる。
【0070】
「約」または「おおよそ」との語は、当業者によって決定された特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味し、これは値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定系の限界に部分的に依存し得る。例えば「約」は、当該技術分野における1実行あたりの、1以内、または1を超える標準偏差を意味し得る。あるいは組成物に関して「約」は、20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までのプラスまたはマイナスの範囲を意味し得る。
【実施例】
【0071】
本開示を読むことにより本発明に包含される多くの変更および均等物が当業者に明らかとなり得るように、以下の実施例は本発明の単なる実例であり、本発明の範囲を限定するものとしてどのようにも解釈されてはならない。
【実施例1】
【0072】
この研究の目的は、radiprodilの抗うつ活性を評価することであった。強制水泳試験は、薬物のヒトにおける抗うつ効力を予測するために用いることのできる行動試験である。
【0073】
動物
体重24〜26gの雄NMRIマウスを使用した。動物は、24±2℃にサーモスタット制御された室内で、相対湿度(RH)50±10%にてポリカーボネートケージ内に保持された。飼育室は午前6時から午後6時まで人工的に明るくされ、マウスは105℃でオートクレーブされた市販のペレットであるラット−マウス用の餌、および濾過滅菌された水道水を自由に与えられた。
【0074】
投薬
radiprodilの水溶液として、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン(DIMEB)との複合体を2.5、5、および10mg/kg(非複合体のradiprodilについて算出した)の用量で経口投与した。DIMEB−80(異性体純度が>80%のヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン)を7mg/mlの濃度で水に溶解し、コントロールとして使用した。全ての溶液は10mL/kgの量で投与された。
【0075】
手順
強制水泳試験
強制水泳試験(FST)は、23〜25℃に維持された12cmの水を含むガラス円柱(高さ:185cm、直径14cm)内で測定された。各試験群は10マウスから成った。試験化合物またはビヒクルを経口投与してから60分後に、マウスをガラス円柱内に個別に6分間配置した。ストップウォッチを用いて、不動の持続時間を記録した。マウスが直立の姿勢で浮かび、その頭を水の上に出すためのわずかな動作のみを行う場合に不動であると判断した。
【0076】
自発運動活動
自発運動活動は、Farmakotechnika(ハンガリー)によって製造された4チャネルの活動モニターにより測定された。器材は、ケージの底部の軸に沿って2x16対のフォトセルを備えたアクリルケージ(43cmx43cmx32cm)から成った。立ち上がりの反応を検出するため、追加のフォトセルのアレイ(16対)を、ケージの2つの対立する側面に沿って高さ10cmに配置した。フォトセルビームが中断された時、カウントシグナルが送られ、これは次にコンピューターによって記録された。
【0077】
各群は10動物から成った。試験化合物またはビヒクルを経口投与してから30分後に、動物を4ケージのうちの1つに個別に1時間配置した。水平および垂直運動を、1時間を通して15分間隔で収集されたビーム妨害の数として決定した。
【0078】
データ解析
強制水泳試験において、秒による平均(s.e.m)不動時間についての平均±標準誤差を測定した。これらの結果を自発運動活動データと比較するため、各動物について前時間から不動時間を差し引くことにより「FST活動」変数も算出した(すなわち360秒−不動時間)。各群について平均(±s.e.m)「FST活動」値も算出し、不動性データと同じデータ解析過程に供した。
【0079】
自発運動活動試験において、各群についての1時間の水平活動データ(カウントによる)の平均(±s.e.m)値を算出した。
【0080】
薬物効果の有意性をANOVA、およびそれに続く多重比較ダンカン試験(post−hoc Duncan−test)によって決定した。水平活動、不動性、または「FST活動」変数におけるパーセント変化を方程式;
%=[(X−Y)/Y]x100
(式中、Xは薬物処置群の平均値であり、Yはビヒクル処置群の平均値である)
に従い、各用量に対して算出した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1に見られるように、radiprodilは5および10mg/kgの用量で、強制水泳試験において著しい効果を示した。Radiprodilは、同用量で、マウスの自発運動活動も刺激した。強制水泳試験におけるradiprodilの効果は、非特異的な刺激効果からもたらされた可能性があり、擬陽性結果とみなされ得る。しかしながら運動活動の変化に対する感度の低い試験の結果も、radiprodilがうつ病を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例2】
【0083】
この研究は、ヒトのアルツハイマー病のモデルとしての役割を果たす三重トランスジェニックマウス(3xTg−ADマウス)の行動障害におけるradiprodil投与の効果を、空間記憶、物体認識、および恐怖条件付けの欠損を同定するために計画された、十分に特徴付けられた行動試験を用いて決定しようとするものである。
【0084】
計画および方法
マウス:半接合性(PS1M146V/PS1M146V;APPSwe+/0;Taup301L+/0)およびホモ接合性(PS1M146V/PS1M146V;APPSwe+/+;TauP301L+/+)の遺伝子型を有する3xTg−ADマウスが使用され得る。マウスは、ヒトにおけるアルツハイマー病の発生を模倣する階層的、領域特異的、および加齢進行性の様式で、プラークおよび濃縮体の両方を発生する。Oddo et al,Neuron,39(3),409−421,2003を参照されたい。この研究は、radiprodilを投与された3xTg−AD(ホモ接合体)マウスにおける行動の変化に焦点を合わせようとするものである。月齢および性別の一致した非トランスジェニック(NonTg)マウスもまた、コントロール群として含まれ得る。
【0085】
被験体および薬物投与:9、12、および15か月齢のマウスが、radiprodilによって3か月間処置され得る。統計的な目的で、各群は10マウスから成り得、最も高齢の3xTg−AD群には5マウスがプラスされる。研究の終了時に、マウスは全ての課題について試験され得る。従って、各時点あたり40または50動物が存在することになる(群あたり10動物x2遺伝子型x2処置群)。計画される研究群を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
全ての動物は食物および水を自由に利用でき得る。全ての動物は3か月の試験後に屠殺され得る。Aβ負荷およびタウ病変の範囲を決定するために、脳の詳細な神経病理学的、組織化学的、および生化学的解析が行われ得る。
【0088】
生化学マーカー
Aβの測定:
Aβの様々な種(例えばAβ40対Aβ42;可溶性対不溶性Aβ)におけるradiprodilの効果についての定量的データが取得され得る。radiprodilにより処置されたマウスの脳組織から抽出されたタンパク質が可溶性および不溶性のタンパク質抽出物を産生するために用いられ、サンドイッチELISAによって分析され得る。分泌されたAPPホロタンパク質、C99断片、およびAPPの定常レベルを測定してこれらの生物マーカーにおけるradiprodilの効果を決定するため、ウェスタンブロットもまた行われ得る。
【0089】
タウ過剰リン酸化:
機能的生物マーカーとしてのタウ過剰リン酸化におけるradiprodilの効果が、過剰リン酸化されたタウを特異的に認識する抗体(例えばAT8、AT100、またはPHF1)による定量的ウェスタンブロッティングを用いて評価され得る。
【0090】
行動試験
モリス水迷路
モリス水迷路(MWM)において、空間記憶が試験され得る。水迷路は、26℃に維持され、粉ミルクの添加によって不透明にした水で満たされた円形のプール(直径=1メートル)である。マウスは予め、水面の1.5cm下に沈められている12x12cmポリ(メタクリル酸メチル)のプラットフォームへの水泳によって予め訓練され得る。プラットフォームの位置は各マウスに対して無作為に選択され得るが、個別のマウスそれぞれに対しては、訓練の間を通して一定の位置が維持され得る。迷路は、幾つかの視覚的な、迷路外の手がかりとなるものを含む室内に位置し得る。空間的な訓練のため、マウスには、基準に達するために要求される日数の間、1日にあたり4回の試行がなされる。最初の訓練試行の前に、マウスはプラットフォーム上に10秒間置かれ得る。各試行において(水泳)、マウスは無作為の順序で開始点を設定された4つのタンクのうちの1つの中に配置され得る。マウスは沈められたプラットフォームを見出し、逃避することが可能となり得る。動物が60秒以内にプラットフォームを見出せない場合、手でプラットフォームへ導き、そこに5秒間留まらせ得る。その後各マウスは、次の試行が始まるまで、温めるためのランプの下で保持ケージ内に25秒間置かれ得る。
【0091】
空間的な訓練の記憶は1.5時間目、および最後の訓練試行から24時間後に再び評価され得る。これらの探索試行の両方は、プラットフォームを除いたプール内での60秒間の自由水泳からなり得る。マウスはプールの真上の天井に備え付けられたカメラによってモニターされ得り、全ての試行は続く解析のためにビデオテープに保存され得る。探索試行の間に測定されるパラメーターは、(1)試行の間にプラットフォームを含む象限とは反対の象限内で費やした時間、および(2)プラットフォームの位置を横断する最初の潜時、および(3)プラットフォームの位置を横断する数を含み得る。以前の水迷路経験からの「救済」を避けるため、各時点での標的象限は各動物に対して変動し得る。迷路外の手がかりの特徴による潜在的な違いを制御するため、各時点での標的象限は群内の動物間で変動し得る。
【0092】
逃避データは、遺伝子型(トランスジェニック対コントロール)、処置(radiprodil対コントロール)および探索試行(1.5または24時間)を含む多因子分散分析(ANOVA)によって試験され得る。多重比較試験により、群内での個々の相違が各時点でのコントロール(非トランスジェニックマウス)に関して決定され得る。
【0093】
物体認識の課題
この課題は、熟知した物体よりも新しい物体の方をより頻繁に探索するげっ歯類の自発的な傾向に基づくものであり、ADモデルにおける記憶障害の研究に広く用いられている。例えば、Ennaceur et al,Behav.Brain Res.,31(1),47−59,1988;Dodart et al,Nat.Neurosci,5(5),452−457,2002;Vaucher et al,Exp.Neurol,175(2),298−406,2002を参照されたい。
【0094】
試験の1日目に、マウスは開放された何も無い場所での5分間の熟知時間に供され得る。マウスは次の日に、開放された場所に2つの同一な物体(物体A;例えば2つの同一なビー玉または2つの同一なさいころ)が左右対照に置かれた、同じ開放された場所での5分間の探索時間に供され得る。動物を15分および24時間後に、同じ開放された場所の左右対照の位置に置かれた1つの物体Aに再び触れさせ、かつ新規物体である物体B(15分時点)および物体C(24時間時点)にも触れさせる、5分間の記憶段階に供され得る。物体に足または鼻で触れるか、または物体の1.5cm以内で臭いをかぐことが探索に相当するとして、熟知した物体(物体A)および新規物体(物体BまたはC)の探索に費やした時間が算出され得る。記憶指数(MI)がMI=(tn−tf)/(tn+tf)のように算出され得り、ここでtfは熟知した物体(物体A)の探索に費やした時間であり、tnは新規物体(物体BまたはC)の探索に費やした時間である。この記憶指数は、新規物体に対して、熟知した物体の探索に費やした時間の相対的な量を表すスコアを提供し得る。嗅覚に関連した手がかりを除去するため、各試行後に全ての物体および開放された場所は70%エタノールにて拭き取られ得る。
【0095】
MIスコアの違いは、遺伝子型、処置群、月齢、および探索試行(15分および24時間)を含む多因子ANOVAを用いて解析され得る。多重比較試験により、群内での個々の相違が各時点でのコントロール(非トランスジェニックマウス)に関して決定され得る。
【0096】
抑制性回避手順
抑制性回避は、マウス用に設計された格子状の床を有するGemini Avoidance System(San Diego Instruments、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて測定され得る。この装置は、明および暗区画(各25.4x20.3cm)の2つのチャンバーから成る。2つの区画は、ドア(8.9x8.9cm)によって分離される。この手順は、訓練試行および記憶試行から成る。訓練試行では、マウスは抑制性回避箱の明区画に置かれ得る。マウスが暗区画に入った後に2つの区画の間のドアが閉められ、暗区画に入るまでの潜時が記録され得る(ベースライン潜時)。ドアが閉められた後、マウスは直ちに0.3〜0.5mAのフットショックを与えられ得る(1秒間;天井または床の記憶潜時を避けるため、フットショックの大きさは予備研究によって決定され得る)。ホームケージに戻るまで、動物は暗区画にさらに10秒間留まり得る。訓練試行の後、1.5時間および24時間の記憶試行が実行され得る。記憶試行の間にマウスは再び明区画に置かれ、暗区画に入るまでの潜時が記録され得る。暗区画に入るまでの許容される最大時間は180秒となり得る。2か月後の各時点において試験を行うため、最初の記憶試行は恐怖条件付けを繰り返す前に実行され得る。
【0097】
潜時スコアの違いは、遺伝子型(トランスジェニック対コントロール)、処置(radiprodil対コントロール)および探索試行(1.5または24時間)を含む多因子ANOVAによって解析され得る。多重比較試験により、群内での個々の相違が各時点でのコントロール(非トランスジェニックマウス)に関して決定され得る。
【0098】
上記の治療計画の結果は、radiprodilがアルツハイマー病を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例3】
【0099】
アルツハイマー病を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilがアルツハイマー病を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例4】
【0100】
大うつ病性障害を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilが大うつ病性障害を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例5】
【0101】
不安症を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilが不安症を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例6】
【0102】
大うつ病性障害を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、radiprodilおよびエスシタロプラムシュウ酸塩の組み合わせが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilおよび/またはエスシタロプラムシュウ酸塩の投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilおよびエスシタロプラムシュウ酸塩の組み合わせが大うつ病性障害を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。radiprodilおよびエスシタロプラムシュウ酸塩の組み合わせは、radiprodilまたはエスシタロプラムシュウ酸塩単独で処置された患者に比較して、相乗的な利点を提供し得る。
【実施例7】
【0103】
アルツハイマー病を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、radiprodilおよびメマンチン塩酸塩の組み合わせが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilおよび/またはメマンチン塩酸塩の投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilおよびメマンチン塩酸塩の組み合わせがアルツハイマー病を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。radiprodilおよびメマンチン塩酸塩の組み合わせは、radiprodilまたはメマンチン塩酸塩単独で処置された患者に比較して、相乗的な利点を提供し得る。
【実施例8】
【0104】
うつ病を患う患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilおよび/またはミルナシプラン塩酸塩の投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせがうつ病を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせは、radiprodilまたはミルナシプラン塩酸塩単独で処置された患者に比較して、相乗的な利点を提供し得る。
【0105】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態による範囲に限定されるものではない。実際に本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明および添付される図から当業者に明らかとなるであろう。このような改変は、付属の請求項の範囲内であることが意図される。さらに、全ての値はおおよそのものであり、説明のために提供されることが理解されなければならない。
【0106】
本明細書に引用される全ての出願、特許、および出版物全ての全体的開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、VおよびUはそれぞれ独立して
水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアリールアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアラルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルスルホンアミド、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルカノイルアミド、アリールスルホンアミド、C−Cアルキルスルホニルオキシ、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−Cアルキル−SO−NH−CH−、NH−(CH1−4−SO−NH−、NH−(CH1−4−(CO)−NH−、スルファモイル、ホルミル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシメチル、ハロゲン化メチル、テトラゾリル、
またはそれぞれがアミノ基により任意に置換される、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、フェニル、もしくはC−Cアルコキシ、または
共に1以上が同一であるかまたは異なる追加のヘテロ原子である隣接するVおよびU基、および/または−CH=、および/または4〜7員の置換ホモ−もしくはヘテロ環を任意に形成する−CH−基であり;
WおよびXが同時にメチレンにはなり得ないという条件下で、WおよびXはそれぞれ独立して−CO−、−CH−、または−CH(C−Cアルキル)−であり;
Yは−O−、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレン、シクロアルキレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−CHO−、−CH(OH)−、または−OCH−であり;
Zは水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、またはカルボキシであり;
およびRはそれぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはRおよびRは共に、任意に置換されるC−C橋を形成し、かつ
nおよびmが同時に0にはなり得ないという条件下で、nおよびmは独立して0〜3である)
で表される化合物;
およびその薬剤的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば水和物)、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物を;
さらに
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、Wは−CO−、Xは−CH−、かつVは水素であり、次にUは4−ブロモ置換基以外であり、かつ
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、WおよびXは−CO−、かつVは水素であり、次にUは4−カルボキシルまたは4−エトキシカルボニル置換基以外であるという条件下で、治療上有効な量を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、アルツハイマー病、不安症、および大うつ病性障害から選択される疾患を治療するための方法。
【請求項2】
式(I)で表される化合物が、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド、またはその薬剤的に許容される塩、その溶媒和物、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
疾患がアルツハイマー病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
疾患が大うつ病性障害である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
疾患が不安症である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
式(I)で表される化合物が、1、2、3、または4に分割された一日用量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
式(I)で表される化合物が、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害薬、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、およびそれらの組み合わせと共に付属的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
式(I)で表される化合物が、メマンチン、エスシタロプラム、シタロプラム、ミルナシプラン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、フルボキサミン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、アミトリプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルタザピン、トラゾドン、ブプロピオン、およびそれらの組み合わせと共に付属的に投与される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−500801(P2012−500801A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524018(P2011−524018)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054569
【国際公開番号】WO2010/022304
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)
【Fターム(参考)】