説明

CNS障害の治療に有用なキノリノン誘導体

本発明は、CNS障害の動物モデルにおいて有効であり、したがって、CNS(中枢神経系)疾患又は障害の予防又は治療用の貴重な候補である、新規なキノリノン誘導体(I)に関する。本発明は、他の態様において、本発明のキノリノン誘導体を含む医薬組成物及び治療用途のためのこれらの化合物の使用に関する。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、驚くべきことに、CNS障害の動物モデルにおいて有効であることが発見され、したがって、CNS(中枢神経系)疾患又は障害の予防又は治療用の貴重な候補である、新規なキノリノン誘導体を包含する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、人口の0.5〜1.0%が罹患しており、反復性の自発性発作という特徴がある一般的な神経障害である。多くの抗てんかん薬が入手可能であるが、現在の推定では、依然として、てんかん患者のほぼ30%が、入手可能な薬物で不適切な治療を受けている。加えて、多くの抗てんかん薬が不快な有害作用を引き起こす。したがって、治療抵抗性の患者に使用するための新たな抗てんかん剤の同定が求められているのは明白である。
【0003】
本態性振戦は、人口の3〜4%が罹患している最も一般的な運動障害の1つである。この障害の罹患率は高く、治療が限定されているため、可能性のある新たな治療の探求がきわめて注目されている。本態性振戦の最も一般的な動物モデルの1つは、ハルマリン誘発性振戦である。ハルマリンは、下オリーブ系−本態性振戦に罹患している患者において、活動亢進を示すのと同じ系−に作用することによって全身性振戦を誘発する(Patersonら、Eur J Pharmacol 2009 616(1〜3);73〜80)。
【0004】
WO2008/132139及びWO2008/132142は、てんかんを含めた種々のCNS障害の治療に有用な、ある特定の複素環誘導体を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、驚くべきことにCNS障害の動物モデルにおいて有効であることが発見された新規なキノリノン誘導体の提供を目的とする。
【0006】
さらなる目的は、動的挙動、生体利用率、溶解性、効力及び/又は有害作用などの、より最適な薬力学的及び/又は薬物動態学的特性を伴う化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その第1の態様において、式Iで表される新規なキノリノン誘導体、
【化1】


その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩を提供し、式中、
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し、
は、水素、ハロ又はアルキルを表し、
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0008】
本発明は、第2の態様において、本発明のキノリノン誘導体、又は薬学的に許容されるその付加塩の治療有効量を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤とともに含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明は、別の態様から見ると、抗痙攣薬に対して反応する、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減用の医薬組成物/薬剤を製造するための、本発明のキノリノン誘導体、又は薬学的に許容されるその付加塩の使用に関する。
【0010】
本発明は、さらに別の態様において、CNSの変調に対して反応する、ヒトを含む動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、これを必要とするかかる動物生体に、治療有効量の本発明のキノリノン誘導体を投与するステップを含む方法を提供する。本発明の他の目的は、以下の詳細な記載及び例から、当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
キノリノン誘導体
本発明は、その第1の態様において、式Iで表される新規なキノリノン誘導体、
【化2】


その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩を提供し、式中、
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し、
は、水素、ハロ又はアルキルを表し、
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明のキノリノン誘導体は、式Iの化合物、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩であり、式中、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表す。
【0013】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素又はハロ、特にブロモを表す。
【0014】
より好ましい別の実施形態では、R、R、R及びRのうち1個がハロ、シアノ又はSOCHを表し、R、R、R及びRのうち他の3個が水素を表す。
【0015】
より好ましい第3の実施形態では、R、R、R及びRのうち1個がハロ、特にブロモを表し、R、R、R及びRのうち他の3個が水素を表す。特別な実施形態では、Rがブロモを表し、R、R及びRが水素を表す。さらなる実施形態では、Rがクロロを表し、R、R及びRが水素を表す。一層さらなる実施形態では、Rがブロモを表し、R、R及びRが水素を表す。さらなる実施形態では、Rがクロロを表し、R、R及びRが水素を表す。
【0016】
より好ましい第4の実施形態では、R、R、R及びRのうち2個がハロ、シアノ又はSOCHを表し、R、R、R及びRのうち他の2個が水素を表す。
【0017】
より好ましい第5の実施形態では、R、R、R及びRのうち2個がハロを表し、R、R、R及びRのうち他の2個が水素を表す。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本発明のキノリノン誘導体は、式Iの化合物、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩であり、式中、Rは、水素、ハロ又はアルキルを表す。
【0019】
より好ましい実施形態では、Rは水素を表す。
【0020】
より好ましい別の実施形態では、Rはハロを表す。
【0021】
より好ましい第3の実施形態では、Rはアルキルを表す。特別な実施形態では、Rはエチルを表す。
【0022】
第3の好ましい実施形態では、本発明のキノリノン誘導体は、式Iの化合物、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩であり、式中、Xはイミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0023】
より好ましい実施形態では、Xはイミダゾール基を表す。
【0024】
より好ましい別の実施形態では、Xは、イミダゾール−1−イル及び1H−イミダゾール−4−イルから選択されるイミダゾール基を表す。
【0025】
より好ましい第3の実施形態では、Xはイミダゾール−1−イル基を表す。
【0026】
より好ましい第4の実施形態では、Xは1H−イミダゾール−4−イル基を表す。
【0027】
より好ましい第5の実施形態では、Xは−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0028】
より好ましい第6の実施形態では、Xは−(CO)NHを表す。
【0029】
より好ましい第7の実施形態では、Xは−(CO)NH(CH)を表す。
【0030】
より好ましい第8の実施形態では、Xは−(CO)N(CHを表す。
【0031】
一層さらなる実施形態では、本発明のキノリノン誘導体は、式Iの化合物、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩であり、式中、
及びRのうち1個がブロモ又はクロロなどのハロを表し、R、R、R及びRのうち他の3個が水素を表し、
は水素又はアルキルを表し、
Xは−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0032】
最も好ましい実施形態では、本発明のキノリノン誘導体は、
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩である。
【0033】
本明細書に記載する2つ以上の実施形態の任意の組み合わせは、本発明の範囲内とみなされる。
【0034】
置換基の定義
本発明に関しては、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0035】
本発明に関しては、アルキル基は、1価の飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は、好ましくは、1〜18個の炭素原子(C1〜18−アルキル)を含み、より好ましくは、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含めた、1〜6個の炭素原子(C1〜6−アルキル、低級アルキル)を含む。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、及び第三級ブチルを含めたC1〜4−アルキル基を表す。本発明の別の好ましい実施形態では、アルキルは、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルでもよいC1〜3−アルキル基を表す。
【0036】
薬学的に許容される塩
本発明のキノリノン誘導体は、目的の投与に好適な任意の形態で提供することができる。好適な形態は、本発明の化合物の薬学的に(すなわち生理学的に)許容される塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグ形態を含む。
【0037】
薬学的に許容される付加塩の例には、これらに限らないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、誘導されたナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの無毒性の無機酸及び有機酸の付加塩が含まれる。かかる塩は、当該技術分野において周知であり記載されている手順で形成することができる。
【0038】
薬学的に許容されるとは考えられない場合のある、シュウ酸などの他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用であることがある。
【0039】
本発明のキノリノン誘導体の金属塩には、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩などのアルカリ金属塩が含まれる。
【0040】
薬学的に許容される本発明の化合物のカチオン塩の例には、これらに限らないが、アニオン基を含む本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リシニウム(lysinium)塩、及びアンモニウム塩などが含まれる。かかるカチオン塩は、当該技術分野において周知であり記載されている手順で形成することができる。
【0041】
本発明に関しては、N−含有化合物の「オニウム塩」も、薬学的に許容される塩として企図している。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0042】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグ形態の例は、親化合物の1個又は複数の反応性基又は誘導可能基で修飾された化合物を含む、本発明による物質の好適なプロドラッグの例を含む。カルボキシ基、ヒドロキシ基、又はアミノ基で修飾された化合物が特に注目される。好適な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0043】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒とともに、可溶性又は不溶性の形態で提供することができる。可溶性の形態は、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和形態も含み得る。一般的に、可溶性の形態は、本発明の目的に対して不溶性の形態と同等と考えられる。
【0044】
立体異性体
本発明のキノリノン誘導体は、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何異性体(シス−トランス異性体)を含む様々な立体異性体で存在し得ることが当業者によって理解されよう。本発明は、かかる全ての立体異性体、及びラセミ混合物を含めた任意のその混合物を含む。
【0045】
ラセミ体は、公知の方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。鏡像異性体化合物(鏡像異性体中間体を含めた)を分離する一方法は、−化合物がキラル酸である場合、光学活性アミンの使用、及び酸を用いた処置による分割されたジアステレオマー塩の遊離によるものである。ラセミ体を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリックス上のクロマトグラフィーに基づいている。このように、本発明のラセミ化合物は、例えばD−又はL−(酒石酸、マンデル酸、又はカンファースルホン酸)塩の分別結晶によって、その光学対掌体に分割することができる。
【0046】
光学異性体を分割するさらなる方法は、当該技術分野において公知である。かかる方法は、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons、New York(1981)の中でJaques J、Collet A及びWilen Sが記載したものを含む。
【0047】
光学活性化合物は、光学活性な出発原料又は中間体から調製することもできる。
【0048】
標識化合物
本発明の化合物は、その標識又は非標識の形態で使用することができる。本発明に関しては、標識化合物は、1個又は複数の原子が、通常自然界に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置換されている。標識化によって、前記化合物の定量的検出が容易になろう。
【0049】
本発明の標識化合物は、種々の診断方法における診断ツール、放射性トレーサ、又はモニタリング剤として、且つin vivo受容体画像診断に有用となり得る。
【0050】
本発明の標識異性体は、好ましくは、少なくとも1個の放射性核種を標識として含む。陽電子放出核種は全て使用の候補である。本発明に関しては、放射性核種は、好ましくは、H(重水素)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
【0051】
本発明の標識異性体を検出する物理的方法は、ポジション放射断層撮影法(Position Emission Tomography)(PET)、単一光子画像コンピュータ断層撮影法(Single Photon Imaging Computed Tomography)(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)、及びコンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0052】
キノリノン誘導体の作製方法
本発明のキノリノン誘導体は、従来の化学合成の方法、例えば実施例に記載した方法で調製することができる。本願に記載するプロセス用の出発原料は公知であり、市販の化学薬品から従来の方法で容易に調製することができる。
【0053】
さらに、本発明の1つの化合物は、従来の方法を使用して、本発明の別の化合物に変換することができる。
【0054】
本明細書に記載する反応最終生成物は、従来技術、例えば、抽出、晶出、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0055】
生物学的活性
新規な抗てんかん薬の発見に使用されている動物モデルは多い。これらの中で、低周波(6Hz)電気ショック痙攣モデルは、薬物抵抗性てんかんの潜在的モデルとして近年脚光を浴びており(By Jerome Engel、Timothy A.Pedley、Jean Aicardi、Marc A Dichter、Solomon MosheによるEpilepsy:a comprehensive textbook、1477ページ、−2007−Medicalを参照されたい)、したがって、抗てんかん薬の発見においてきわめて重要な動物モデルである。本発明の化合物は、6Hz痙攣から保護するために著しい活性を示した。
【0056】
本発明は、CNS疾患又は障害の予防又は治療用の貴重な候補である新規な薬剤の提供を目的とする。本発明の化合物は、種々の診断方法における診断ツール又はモニタリング剤として、特にin vivo受容体画像診断(神経画像診断)にも有用となり得るものであり、標識又は非標識の形態で使用することができる。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明に従って企図される疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん発作、痙攣、発作性障害、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、不安、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁うつ病、精神障害、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害、拒食症と過食症と肥満症とを含めた摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS認知症、老人性認知症、末梢神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、外傷後症候群、社会不安障害、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体期後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ぼけ、高血圧症、不整脈、痙攣性障害と、狭心症と、早産と、痙攣と、下痢と、喘息と、早漏症と、勃起困難とを含めた平滑筋収縮障害、甲状腺中毒症及び褐色細胞腫を含めた内分泌系障害、一過性無酸素症及び誘発神経変性を含めた神経変性障害、疼痛、軽度、中等度、又は重度の疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、反復性の疼痛、神経障害性疼痛、片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、幻肢痛、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性ニューロパチー関連、帯状疱疹後神経痛関連又は末梢神経損傷関連の疼痛、炎症性皮膚障害と、ざ瘡と、酒さと、クローン病と、炎症性腸疾患と、潰瘍性大腸炎と、下痢とを含めた炎症性障害、ニコチン離脱症状、ヘロインとコカインとモルヒネとを含むオピオイド離脱症状、ベンゾジアゼピン系薬物を含むベンゾジアゼピン離脱症状、及びアルコールを含めた、依存性物質の使用停止によって起こる離脱症状関連の障害である。
【0058】
より好ましい実施形態では、疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん発作、痙攣、発作性障害、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、不安、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症である。
【0059】
より好ましい別の実施形態では、疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん発作、痙攣及び発作性障害である。
【0060】
より好ましい第3の実施形態では、疾患、障害又は状態は、急性、慢性又は反復性の、軽度、中等度、又は重度の疼痛さえも含めた疼痛、並びに片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、及び幻肢痛である。疼痛は、特に、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性ニューロパチー関連、帯状疱疹後神経痛関連又は末梢神経損傷関連の疼痛である場合がある。
【0061】
最後に、本発明の化合物は、依存性物質の使用停止によって起こる離脱症状の治療に有用となり得る。かかる依存性物質には、タバコなどのニコチンを含む製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン系の薬物、並びにアルコールが含まれる。依存性物質からの離脱は、一般的に、不安及び欲求不満を特徴とする心的外傷体験、怒り、不安、集中力の欠如、不穏状態、心拍数の低下並びに食欲増加及び体重増加である。
【0062】
本明細書に関しては、「治療(treatment)」は、離脱症状及び禁断の治療、予防、予防薬及び軽減、並びに依存性物質の摂取の自発的な減少に結果的につながる治療を包含する。
【0063】
医薬組成物
本発明は、別の態様において、治療有効量の本発明のキノリノン誘導体を含む新規な医薬組成物を提供する。
【0064】
治療用の本発明のキノリノン誘導体は、未処理化合物の形態で投与することもできるが、活性成分を、場合によっては生理学的に許容される塩の形態で、1つ又は複数の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又は他の通例の医薬助剤とともに医薬組成物中に導入することが好ましい。
【0065】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明のキノリノン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩若しくは誘導体を、1つ又は複数の薬学的に許容されるそのための担体、及び、場合によっては、当該技術分野において公知であり使用される他の治療成分及び/又は予防成分とともに含む医薬組成物を提供する。担体(単数又は複数)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0066】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適した任意の好都合な経路で投与することができる。好ましい投与経路には、経口投与として、特に、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、散剤、又は液剤の形態、及び非経口投与として、特に、皮膚、皮下、筋肉内、又は静脈内注射が含まれる。本発明の医薬組成物は、所望の製剤に適した標準的な方法及び従来技術を使用して、当業者が製造することができる。所望の場合、活性成分が徐放するように適合させた組成物が使用されてもよい。
【0067】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、肺、局所(口腔内及び舌下を含む)、経皮、膣内、又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は注入を含む)投与に好適なもの、或いは散剤及び液剤エアロゾル投与を含めた吸入若しくは吹送による投与、又は徐放系による投与に好適な形態のものでもよい。徐放系の好適な例には、本発明の化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、マトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセルなどの成形物の形態でもよい。
【0068】
本発明の化合物は、従来の補助剤、担体又は希釈剤とともに、このようにして医薬組成物及びその単位剤形の形態中に入れることができる。かかる形態には、固体として、特に、錠剤、充填カプセル剤、散剤及び粒剤の形態、及び液剤として、特に、水性又は非水性溶液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、及び同上の液剤で充填したカプセル剤が含まれ、以上は全て経口使用用であり、直腸投与用の坐剤及び非経口使用用の滅菌の注射可能な溶液剤が含まれる。かかる医薬組成物及びその単位剤形は、追加の活性化合物又は成分の有無にかかわらず、従来の成分を従来の割合で含んでもよく、かかる単位剤形は、使用されようとする、意図した1日投与量範囲に対応した任意の好適な有効量の活性成分を含んでもよい。
【0069】
本発明の化合物は、様々な経口及び非経口剤形で投与することができる。以下の剤形が、活性構成成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを含んでよいことは、当業者には明らかであろう。
【0070】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれでもよい。固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料として作用することもできる、1つ又は複数の物質でもよい。
【0071】
散剤において、担体は、微粉化した活性構成成分との混合物中にある微粉化固体である。
【0072】
錠剤において、活性構成成分は、必要な結合能を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮成形される。
【0073】
散剤及び錠剤は、好ましくは、5又は10〜約70パーセントの活性化合物を含む。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製物(preparation)」という用語は、カプセル剤を提供する担体としてのカプセル化材料を用いる活性化合物の製剤を含むことを意図しており、カプセル剤中で、担体の有無にかかわらず、活性構成成分がある担体に囲まれており、上記ある担体は、このようにしてそれと結びついている。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びロゼンジ剤は、経口投与に好適な固形として使用することができる。
【0074】
坐剤を調製するには、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点ワックスを最初に融解し、攪拌することによって、活性構成成分をその中に均一に分散させる。その後、融解した均一な混合物は、好都合なサイズの鋳型に注ぎ入れて冷却することにより、凝固する。
【0075】
膣内投与に好適な組成物は、活性成分に加えて、適切であることが当該技術分野で知られている担体を含む、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤又はスプレー剤として提供することができる。
【0076】
液体調製物には、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液剤などの、溶液剤、懸濁剤、及び乳剤が含まれる。例えば、非経口の注射液調製物は、水性のポリエチレングリコール溶液中の溶液剤として製剤化することができる。
【0077】
本発明による化合物は、このようにして、非経口投与(例えば、注射による、例えば、ボーラス投与又は持続注入)用に製剤化することができ、アンプル、充填済みの注射器、少量注入での単位剤形で、又は追加の防腐剤を伴う複数回用量容器で提供することができる。組成物は、油性若しくは水性媒体中の懸濁剤、溶液剤、又は乳剤のような形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤用剤を含んでもよい。又は、活性成分は、好適な媒体、例えばパイロジェン不含の滅菌水とともに、使用前に構成するための、滅菌の固体の無菌性単離又は溶液剤からの凍結乾燥によって得られる散剤形態でもよい。
【0078】
経口使用に好適な水性溶液剤は、水中で活性構成成分を溶解し、所望に応じて好適な着色剤、香味剤、安定化剤及び増粘剤を添加することによって調製することができる。
【0079】
経口使用に好適な水性懸濁液は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁化剤などの粘稠材料を含む水中に、微粉化した活性構成成分を分散させることによって作製することができる。
【0080】
さらに、使用直前に経口投与用の液体調製物に転換するように意図された固形調製物が含まれる。かかる液体には、溶液剤、懸濁剤、及び乳剤が含まれる。かかる調製物は、活性構成成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0081】
表皮への局所投与には、本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤、又は経皮パッチとして製剤化することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、好適な増粘剤及び/又はゲル化剤を添加し、水性又は油性基剤とともに製剤化してもよい。ローション剤は、水性又は油性基剤とともに製剤化してもよく、一般的に、1つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、又は着色剤も含むことになろう。
【0082】
口内の局所投与に好適な組成物には、香味をつけた基剤、通常はスクロース及びアラビアゴム又はトラガントの中に活性剤を含むロゼンジ剤、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ剤、並びに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が含まれる。
【0083】
溶液剤又は懸濁剤は、従来の手段によって、例えばスポイト、ピペット又はスプレーを用いて、鼻腔に直接適用される。組成物は、単回又は複数回用量の形態で提供されてもよい。
【0084】
呼吸路への投与は、活性成分が、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素、又は他の好適なガスなどの好適な噴霧剤を用いて加圧したパックに入れて提供される、エアロゾル製剤によって実現することもできる。エアロゾルは、好都合に、レシチンなどの界面活性剤を含んでもよい。薬物の用量は、計量バルブの提供によって制御することができる。
【0085】
或いは、活性成分は、乾燥粉末の形態、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)などの好適な粉末基剤中の、化合物の粉末混合物で提供することができる。好都合には、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、例えば、ゼラチンの、カプセル剤若しくはカートリッジ中、又は吸入器によって散剤を投与することができるブリスターパックなどの、単位剤形で提供することができる。
【0086】
鼻腔内組成物を含めた、呼吸路への投与を意図した組成物において、化合物は、一般的に、例えば5ミクロン以下程度の小粒径を有するであろう。かかる粒径は、当該技術分野において公知の手段、例えば微粒子化によって得ることができる。
【0087】
所望の場合、活性成分を徐放するように適合させた組成物が使用されてもよい。
【0088】
医薬調製物は、好ましくは、単位剤形となっている。かかる形態において、調製物は、適切な量の活性構成成分を含む単位用量に細分される。単位剤形は、包装された調製物でもよく、パッケージは、包装された錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤など、個々の量の調製物を含む。さらに、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジ剤のそれぞれ自体でもよく、これらのうちのいずれかが適切な数で包装された形態になったものでもよい。
【0089】
経口投与用の錠剤又はカプセル剤、並びに静脈内投与用及び持続注入用の液剤は、好ましい組成物である。
【0090】
製剤及び投与の技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に出すことができる。
【0091】
治療有効量とは、症状又は状態を回復させる活性成分の量を意味する。治療効果及び毒性、例えば、ED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物において、標準的な薬理学的手順によって求めることができる。治療効果と毒性作用との間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比で表すことができる。大きい治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0092】
投与される用量は、当然、治療されている個体の年齢、体重及び状態、並びに投与経路、剤形及び投与計画、さらには所望の結果に注意深く合わせられなければならず、当然のことながら、厳密な投与量は開業医によって決定されるべきである。
【0093】
実際の投与量は、治療されている疾患の性質及び重症度によって決まり、医師の裁量内であり、所望の治療効果を生むための、本発明の個々の事情に対する投与量の力価測定によって変化し得る。しかし、医薬組成物が、個別の用量当たり約0.1〜約3000mg、好ましくは約1〜約1000mgの活性成分を含むことを現在企図している。
【0094】
活性成分は、1日当たり単回又は数回の用量で投与してもよい。
【0095】
治療方法
本発明のキノリノン誘導体は、てんかんを含めたCNS疾患及び障害に関するある範囲の病気の治療に有用な、貴重な候補である。
【0096】
本発明は、別の態様において、CNSの変調に対して反応する、ヒトを含む動物生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、これを必要とするヒトを含めたかかる動物生体に、有効量の本発明のキノリノン誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0097】
本発明に関しては、「治療(treatment)」という用語は、治療、予防、予防法又は軽減を包含し、「疾患(disease)」という用語は、疾病、疾患、障害及び当該の疾患に関する状態を包含する。
【0098】
本発明に従って企図される好ましい適応症は、上記の通りである。
【0099】
従前通り、厳密な投与方法、投与される形態、投与が向けられる適応症、当該対象及び当該対象の体重、さらには担当の医師又は獣医師の選好及び経験に応じて、好適な投与量の範囲が、1日当たり0.1〜3000ミリグラムであることを現在企図している。
【0100】
本発明は、添付の図面の参照によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】化合物1(すなわち2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド)(ED50:16mg/Kg)によって誘発された抗痙攣特性を示す。
【図2】時間の関数として報告された、化合物1(すなわち2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド)によって誘発された抗振戦特性を示す。
【実施例】
【0102】
本発明を、以下の例に関してさらに例示するが、そうした例は、本発明の請求の範囲を限定する意図は決してない。
【0103】
(例1)
準備例
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド中の炭酸カリウムの存在下で、2−ブロモアセトアミド又は2−ブロモブタンアミドのいずれかによる、市販の又は好適に合成したベンゾキノロンのアルキル化によって、本発明の化合物を容易に調製した。
【0104】
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド(化合物1)
市販の6−ブロモ−2−キノロン(0.50g、2.232mmol)、2−ブロモアセトアミド(0.31g、2.232mmol)、炭酸カリウム(0.77g、5.579mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)の混合物を終夜加熱した(70℃)。反応混合物をセライト床で濾過し、これを酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発させ、得られた固体粗生成物をクロロホルムで洗浄し、オフホワイトの固体として、0.62gの表題生成物を得た(収率ほぼ100%)。
【0105】
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、280.9918Daを示す。計算値280.992021Da、偏差−0.8ppm
M.p.256.6〜257.5℃
【0106】
同様に調製した化合物の例:
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド(化合物2)
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、309.0236Daを示す。計算値309.023321Da、偏差0.9ppm
M.p.138.5〜140.0℃
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド(化合物3)
[M+Na]+のLC−ESI−HRMSは、302.9731Daを示す。計算値302.973991Da、偏差−2.9ppm
M.p.158.5〜160.0℃
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド(化合物4)
[M+Na]+のLC−ESI−HRMSは、259.0239Daを示す。計算値259.024506Da、偏差−2.3ppm
M.p.159.4〜160.9℃
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド(化合物5)
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、237.0419Daを示す。計算値237.042536Da、偏差−2.7ppm
M.p.166.5〜167.6℃
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド(化合物6)
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、265.0724Daを示す。計算値265.073836Da、偏差−5.4ppm
M.p.127〜128℃
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド(化合物7)
[M+Na]+のLC−ESI−HRMSは、287.0553Daを示す。計算値287.055806Da、偏差−1.8ppm
M.p.127.5〜128.8℃
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド(化合物8)
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、309.0234Daを示す。計算値309.023321Da、偏差0.3ppm
M.p.124.2〜125.5℃
【0107】
(例2)
生物学的活性
抗痙攣特性
本例では、化合物1(すなわち2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド)(ED5016mg/Kg、前処置時間60分、経口、媒体:5%のクレマフォール(cremaphor))によって誘発された抗痙攣特性を求める(図1)。
【0108】
雌のNMRIマウス(20〜25g、Taconic、デンマーク)において、抗痙攣特性の評価を実施した。マウスを群毎(体重によって、1ケージにつき8匹)に収容し、餌及び水を自由に摂取できるようにした。環境は、温度(20±2℃)及び湿度(55±15%)を制御し、12:12時間の明暗周期(明期は06:00時から)とした。実験は、Danish Committee for Experiments on Animalsに従って実施した。Grass S48刺激装置、定電流ユニット(CCU1)及び絶縁ユニット(SIU5)を使用し、これら全てを刺激発生器(Master−8、AMPI、イスラエル)で駆動して、角膜刺激(6Hz、0.2ms、32mAの矩形波を3秒間)によって、精神運動発作を誘発した。
【0109】
角膜刺激装置のパッドを、0.9%の生理食塩水に浸漬した。角膜刺激中はマウスを抑え、その後直ちに解放し、発作活動の有無を観察した。発作活動には、以下の行動的要素のうちの1つが含まれていた。気絶、ぎこちないが直立した姿勢、たびたび前肢を組み且つ後肢を大きく開く、頻繁に尾をほぼ垂直に持ち上げる(ストラウブの挙尾)、時折、気絶する前に千鳥足で数秒走ることがある、顔及び前肢の動作が「随意的な」自動症に類似する、マウスが自動行動を呈しながら後肢でほぼ直立することがよくある、又は緊張病がたびたび現れる。
【0110】
任意のこれらの様々な発作の持続時間は、10〜75秒である。様々な発作のうちいずれかが出現した場合、マウスを保護率0%と分類し、上記のいずれも出現しない場合、マウスを保護率100%と分類した。
【0111】
スクリーニングの目的で、試験化合物を1時点1用量で試験した。マウス8匹中3匹以上が保護された場合、用量反応について化合物をさらに評価した(N=8/群)。データを用量の対数関数としてプロットし、勾配可変のS字形用量反応に適合させ(GraphPad Prism、ver.4)、これを使用して発作からの保護率が50%(N=8/群)となるような用量を推定した。
【0112】
抗振戦特性
化合物1(2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド)によって誘発された抗振戦特性を、本明細書に記載する。雌のNMRIマウス(20〜25g、Taconic、デンマーク)において、抗振戦特性の評価を実施した。マウスを群毎(体重によって、1ケージにつき8匹)に収容し、餌及び水を自由に摂取できるようにした。環境は、温度(20±2℃)及び湿度(55±15%)を制御し、12:12時間の明暗周期(明期は06:00時から)とした。実験は、Danish Committee for Experiments on Animalsに従って実施した。
【0113】
マウスに化合物1を経口注射し、1時間後にハルマリン注射をした。1回のハルマリン注射(20mg/kg、皮下)によって振戦が誘発され、注射後、60分間マウスを観察し、次の評価尺度を使用して10分毎に手作業でスコアをつけた。「0」:振戦なし、「1」:軽度の振戦(頭部にかろうじて見える、時折の筋攣縮又は軽微な振戦)、「2」:中等度の間欠性振戦(頭部限定の間欠性振戦)、「3」:中等度の持続性振戦(前部に発生し、時折の休止期間を伴う可視の振戦)、「4」:明白な重度の振戦(連続的で重度の著しい全身振戦)。データは、平均±SEMとして提示される。対応する媒体+ハルマリン群に対して、P<0.05(二元配置分散分析の後、フィッシャーのLSD検定)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表されるキノリノン誘導体、
【化1】


その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩
[式中、
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し、
は、水素、ハロ又はアルキルを表し、
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRは、互いに独立に、水素又はアルキルを表す]。
【請求項2】
、R、R及びRが、互いに独立に、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表す、請求項1に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、水素、ハロ又はアルキルを表す、請求項1に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
Xが、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)を表し、式中、R及びRが、互いに独立に、水素又はアルキルを表す、請求項1に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(6−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)アセトアミド、
2−(8−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(6−クロロ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
2−(8−ブロモ−2−オキソ−1−キノリル)ブタンアミド、
である、請求項1に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤とともに、請求項1から5までのいずれか一項に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその付加塩の治療有効量を含む、医薬組成物。
【請求項7】
抗痙攣薬に対して反応する、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減用の医薬組成物を製造するための、請求項1から5までのいずれか一項に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその付加塩の使用。
【請求項8】
反応性の疾患、障害又は状態が、てんかん、痙攣、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、てんかん発作、不安、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁うつ病、精神障害、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害、拒食症と過食症と肥満症とを含めた摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS認知症、老人性認知症、末梢神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、外傷後症候群、社会不安障害、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体期後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ぼけ、高血圧症、不整脈、痙攣性障害と、狭心症と、早産と、下痢と、喘息と、早漏症と、勃起困難とを含めた平滑筋収縮障害、甲状腺中毒症及び褐色細胞腫を含めた内分泌系障害、一過性無酸素症及び誘発神経変性を含めた神経変性障害、疼痛、軽度、中等度又は重度の疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、反復性の疼痛、神経障害性疼痛、片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、幻肢痛、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性ニューロパチー関連、治療後神経痛関連又は末梢神経損傷関連の疼痛、炎症性皮膚障害と、ざ瘡と、酒さと、クローン病と、炎症性腸疾患と、潰瘍性大腸炎と、下痢とを含めた炎症性障害、ニコチン離脱症状、ヘロインとコカインとモルヒネとを含むオピオイド離脱症状、ベンゾジアゼピン系薬物を含むベンゾジアゼピン離脱症状、及びアルコールを含めた、依存性物質の使用停止によって起こる離脱症状関連の障害である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
CNSの変調に対して反応する、ヒトを含む動物生体の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減の方法であって、それを必要とするかかる動物生体に、請求項1から5までのいずれか一項に記載のキノリノン誘導体、その立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を投与するステップを含む上記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−515192(P2012−515192A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545756(P2011−545756)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050515
【国際公開番号】WO2010/081900
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】