説明

CO2捕捉発電装置

CO2が、主要な温室効果ガスであると明らかになっているので、その捕捉および貯蔵は地球温暖化を抑制するのに必須である。CO2を捕捉して圧縮するように設計された発電装置と、後付け対応発電装置と、従来型の発電装置をCO2捕捉装置に後付けする効率的な方法との競争力により、CO2捕捉システム(12)の早期利用が可能になるはずである。本発明の目的は、従来型の部分へのCO2捕捉システム(12)の影響が最低限の化石燃料発電装置ならびにこのような発電装置を運転する方法を提供することである。さらに、CO2捕捉装置の後付けに対応する発電装置、および既存の装置を、CO2捕捉を伴う発電装置へと改造する方法、ならびにこの種の装置を運転する方法が、本発明の目的である。本発明の主要な態様の1つは、CO2捕捉システム(12)を運転するのに必要な蒸気および電力を供給することができる発電装置部分を追加することと、従来型の発電装置部分および追加の発電装置部分の煙道ガス流からCO2を除去する能力を有するCO2捕捉システム(12)を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化したCO2捕捉を備えた発電装置、並びに、CO2捕捉対応の発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスの発生が地球温暖化をもたらしており、温室効果ガスの生成が増加すると地球温暖化が加速されることになる、ということが明白になっている。CO2(二酸化炭素)が主要な温室効果ガスとして特定されているので、炭素の捕捉および貯蔵は、大気中への温室効果ガスの放出を低減して地球温暖化を抑制する可能性のある主要な手段の1つと考えられる。本願明細書では、CCSは、CO2の捕捉、圧縮、移送および貯蔵のプロセスとして定義される。捕捉は、炭素ベース燃料の燃焼後に煙道ガスからCO2を除去するプロセス、または燃焼よりも先に炭素を除去して処理するプロセスのいずれかとして定義される。何らかの吸収剤、吸着剤または煙道ガスもしくは燃料ガスの流れからCO2の炭素を除去する他の手段の再生は、捕捉プロセスの一部分であると考えられる。
【0003】
現在、大規模な工業用途に最も近いと考えられるCO2捕捉技術は、燃焼後捕捉である。燃焼後捕捉では、煙道ガスからCO2が除去される。残りの煙道ガスは大気に放出され、CO2は、搬送および貯蔵のために圧縮される。吸収、吸着、膜分離、および深冷分離など、煙道ガスからCO2を除去するための既知のいくつかの技術がある。
【0004】
CO2の捕捉および圧縮用のすべての既知の技術は、比較的大量のエネルギーを必要とする。様々なプロセスの最適化、ならびにこれらのプロセスを発電装置に組み込むことによる電力低下および効率上の不利点に関して、多くの出版物がある。
【0005】
燃焼後捕捉の例およびCO2吸収による電力出力の不利点を緩和するための方法が、それぞれ吸収液体の再生とともに特許文献1に示されている。ここでは、タービン出力の低下を最小限にするために、発電装置の蒸気タービンの様々なステージから吸収剤を再生するための蒸気を抽出することが提案されている。
【0006】
同一の状況で、特許文献2には、吸収剤を再生するためのCO2流の圧縮から生じる圧縮熱の利用が提案されている。
【0007】
さらに、スワール・ノズルを使用する深冷CO2分離の利用およびこの方法の発電装置プロセスへの組込みを最適化するための取組みが、例として特許文献3に説明されている。
【0008】
これらの方法は、特定のCO2捕捉機器の所要電力を低減することを目的とするものであるが、装置および装置運転の複雑さが増す。さらに、複雑な統合的解決策では、既存の発電装置または発電装置のコンセプトの中にCO2捕捉機器を後付けするのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1688173号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/073201号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願第2009/0173073号明細書
【特許文献4】米国特許第5577378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主たる目的は、装置の従来型部分へのCO2捕捉システム(CO2捕捉装置とも称される)の影響が最低限の化石燃料発電装置ならびにこのような装置を運転する方法を提供することである。さらに、CO2捕捉装置の後付けに対応する発電装置、および既存の装置を、CO2捕捉を伴う発電装置へと改造する方法、ならびにこの種の装置を運転する方法が、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、CO2捕捉のない従来型の発電装置と基本的には同様に設計されている少なくとも1つの従来型の部分と少なくとも1つの追加の化石燃料発電装置部分とに加えて、従来型の装置部分および追加のCO2発電装置部分の煙道ガスからCO2を捕捉するように設計された少なくとも1つのCO2捕捉システムといった、少なくとも2つの部分を備える装置が提案される。発電装置の従来型の部分は、単に従来型の発電部分と称される。追加の発電装置部分は、CO2発電部分と称される。
【0012】
本発明の主要な態様の1つは、CO2捕捉システムを運転するのに必要な蒸気および電力を供給することができるCO2発電部分と、従来型の発電部分およびCO2発電部分の煙道ガス流からCO2を除去するように設計されたCO2捕捉システムとを提供することである。従来型の装置は、全体のCO2捕捉システムを駆動するCO2発電部分の能力により、CO2捕捉システムの要件を無視して最適化され得る。具体的には、蒸気タービンまたは従来型の発電部分の蒸気サイクルの別の部分からの蒸気抽出は不要である。さらに、従来型の発電部分とCO2発電部分の間の機械的インターフェース、電気的インターフェース、および制御インターフェースを最小限に保つことができる。理想的には、機械的インターフェースは、煙道ガス管路に限定される。理論的には、制御インターフェースは、簡単な負荷信号に限定され得る。
【0013】
CO2発電部分は、配電網の要件および許可次第で、CO2捕捉システムの電力要求と一致するように設計するか、または装置全体の送電端出力を増加するために従来型の部分自体のサイズより大きなサイズにすることができる。
【0014】
CO2発電部分自体を、蒸気の大部分またはすべてがCO2捕捉システム向けに抽出されるプロセス向けに最適化することができる。
【0015】
従来型の部分とCO2発電部分を分離することにより、さもなければCO2捕捉を助長するのに必要とされる妥協をすることなく、最適条件下で、CO2捕捉があろうとなかろうと、従来型の発電部分の独立した運転が可能になる。さらに、全体の装置能力に対するCO2捕捉の影響を最小限にすることができる。動作の許可および配電網の要求次第で、CO2捕捉機器が運転状態になる場合またはCO2捕捉機器が既存の装置に追加される場合に、配電網に送出され得る電力は変更されるべきでない。
【0016】
文献から知られているように、CO2捕捉を伴う発電装置では、一旦CO2捕捉機器が運転状態になると、発電装置の能力がかなり低減される。CO2捕捉機器を運転していないときさえ、蒸気サイクルの効率は、起こり得るCO2捕捉の蒸気を抽出する可能性を与えることにより、一般に損なわれる。
【0017】
従来型の発電部分およびCO2発電部分は、化石燃料の蒸気発電装置またはガスタービン・ベースの発電装置であり得る。ガスタービン・ベースの発電装置は、例えば複合サイクル発電装置、簡単なサイクル・ガスタービン発電装置、もしくは熱併給発電を伴うガスタービンまたはこれらの装置タイプの任意の組合せである。適用可能であれば、CO2発電部分は、CO2吸収剤またはCO2吸着剤の再生に必要とされる蒸気を供給するようなサイズにすることができる。その蒸気サイクルは、従来型の部分で妥協することなくCO2吸収剤またはCO2吸着剤を再生するための蒸気を供給するように最適化され得る。CO2発電部分は、少なくともCO2捕捉機器を運転するのに必要とされる全補助電力を供給するサイズにすることができる。さらに、CO2発電部分は、CO2圧縮に必要とされる電力も供給するサイズにすることができる。
【0018】
CO2捕捉機器だけでなく、CO2捕捉システムを有するCO2発電部分も設けることにより、従来型の部分の効率不利点および能力低下といった両方の難点を回避することができる。
【0019】
本発明のさらなる主要な態様の1つに、煙道ガス流の混合物からCO2を捕捉するよりも先に、従来型の部分の煙道ガスをCO2捕捉部分の煙道ガスと混合する装置を提供するものがある。
【0020】
煙道ガス流を混合すると、必要なCO2捕捉部分が1つだけになるので有利である。これによって、装置全体の運転が容易になり、初期投資額ならびに装置の運転コストを低減することができる。さらに、2つの煙道ガス流のCO2濃度、CO2捕捉率および捕捉装置のタイプ次第で、混合煙道ガスからCO2を捕捉するためのエネルギー必要量を、2つの別々の煙道ガス流からCO2を捕捉するためのエネルギー必要量より少なくすることができる。このことは、従来型の発電部分が煙道ガスの第1のCO2濃度を有し、CO2捕捉部分が第1のCO2濃度とは異なる煙道ガスの第2のCO2濃度を有する場合に特に当てはまる。この混合物は、低い方のCO2濃度より高い質量平均された(mass averaged)煙道ガス濃度を有し、システム全体のより優れた捕捉性能をもたらすことができる。
【0021】
一実施形態では、従来型の発電部分は、化石燃料の蒸気発電装置、すなわち少なくとも1つの蒸気タービンを有する少なくとも1つの化石燃料のボイラを備える発電装置であり、CO2発電部分は複合サイクル発電装置を備える。
【0022】
一般に、化石燃料の蒸気発電装置のCO2濃度は約9〜12%(モル)であり、さらに大きな値に達することができる。ガスタービンのタイプおよび動作条件次第で、ガスタービンの煙道ガスのCO2濃度は約2〜5%(モル)である。低負荷では、ガスタービンの煙道ガスのCO2濃度は、1〜2%(モル)とさらに低くなることがある。これらの低いCO2濃度では、煙道ガスからの効率的なCO2除去は不可能である。
【0023】
化石燃料の従来型の発電部分からの煙道ガスをガスタービンからの煙道ガスと混合することにより、全体のCO2濃度が、高除去率で効率的なCO2除去を可能にするのに十分高いレベルであり続ける。
【0024】
煙道ガスのCO2濃度を上昇させるために、ガスタービン煙道ガスの一部分をガスタービンの流入空気の中へ再循環させることが、過去に提案されている。しかし、これには、追加の管路、煙道ガス冷却器および別の機器が必要となり、したがって、装置に必要なスペースがより大きくなり、装置の複雑さが増す。さらに、ガスタービンのタイプおよび用いられる燃料次第で、再循環率は、一般にガスタービンの煙道ガスの約50%未満に限定され、その結果、煙道ガス再循環を用いても、煙道ガスのCO2濃度は、化石燃料の蒸気発電装置のレベル未満にとどまる。
【0025】
したがって、従来型の発電部分が化石燃料の蒸気発電装置であって、CO2発電部分が煙道ガス再循環と組み合わせたサイクル発電装置を備える組合せが提案されている。この実施形態は、付加的な機器、スペース、および再循環によってガスタービンの煙道ガスのCO2濃度を上昇させるための運用上の負担を伴う。また、ガスタービンの煙道ガスが、化石燃料の蒸気発電装置の煙道ガスと混合されて、効率的なCO2除去のための高いCO2濃度をもたらす。
【0026】
従来型の複合サイクル発電装置からのCO2を捕捉するための別の実施形態では、CO2発電部分は化石燃料の蒸気装置に基づくものである。化石燃料のCO2捕捉部分の煙道ガスを複合サイクル発電装置の煙道ガスと混合すると、複合サイクル発電装置と比較して煙道ガスのCO2濃度が増加し、より優れたCO2捕捉効率をもたらす。これは、煙道ガスの再循環があろうとなかろうと、複合サイクル発電装置に対して行なうことができる。
【0027】
さらに、従来型の発電部分およびCO2発電部分は、どちらも複合サイクル発電装置であり得る。この場合、両方の煙道ガス流を混合すると、CO2捕捉装置を1つだけ使用すればよく、したがって、必要とされる機器の数が減少して装置全体の配置が簡単になる。
【0028】
別の実施形態では、従来型の複合サイクル発電装置は、再循環を伴う複合サイクル発電装置に基づくCO2捕捉部分と組み合わせることができる。これにより、従来型の部分向けに既存のガスタービン技術を用いて、CO2捕捉部分側の最新技術と組み合わせることが可能になる。従来型部分の煙道ガスのCO2濃度が、CO2捕捉部分からの煙道ガスと混合することによって増加し、したがってCO2捕捉が容易になる。
【0029】
この組合せは、既存の複合サイクル発電装置への後付け用途に特に適している。煙道ガスの再循環は、既存の従来型の複合サイクル発電装置については、運用上の制約または装置の配置における現地特有の制約のために実現不可能なことがある。しかし、追加のCO2捕捉部分の複合サイクルは、再循環用に設計された新規のガスタービンに基づくものであり得て、装置の配置は、CO2捕捉および再循環に必要なスペースを理解して設計することができる。繰り返しになるが、混合煙道ガスは、再循環のない従来型の複合サイクル発電装置の煙道ガスより高いCO2濃度を有する。
【0030】
さらに別の実施形態では、従来型の発電部分およびCO2発電部分は、どちらも再循環を伴う複合サイクル発電装置を備える。これは、両方の装置部分に対して使用するCO2捕捉システムが1つだけになるという利点を本質的に与える。
【0031】
さらに、2つの別々の再循環率を適用することが可能である。一般に、現在既存のガスタービンの再循環率は、煙道ガスの低い割合に限定され、結果として、煙道ガスのCO2濃度は依然としてあまり高くない。一般に、煙道ガスのCO2濃度は、高い再循環率を可能にするための設計修正なしでは、6%未満にとどまることになる。
【0032】
煙道ガスの再循環用に設計されたガスタービンの再循環率により、煙道ガスのより高い割合での再循環が可能になり、煙道ガスの高いCO2濃度をもたらす。この種のガスタービンは、一般的には、特に後付け用途の場合、CO2発電部分向けに利用することができる。両方の煙道ガス流を混合することにより、全体の煙道ガス流から効率的にCO2を捕捉することができる平均CO2濃度になる。
【0033】
本発明の一実施形態は、CO2捕捉装置の付加または後付けに対応する、炭素ベースの燃料を燃やす発電装置を対象とする。このタイプの装置は、捕捉対応とも称される。この捕捉対応装置の主要な優れた特徴は、装置の配置が、将来のCO2捕捉システムに必要なスペースを設けるように設計されるばかりでなく、完全なCO2捕捉装置、すなわち、将来のCO2捕捉システムに加えてCO2捕捉システムを駆動するための将来のCO2発電部分向けに設計されることである。さらに、従来型の発電部分の煙道ガス流とCO2発電部分の煙道ガス流を混合する煙道ガス・システム用のスペースが設けられる。
【0034】
一実施形態では、捕捉対応の従来型装置の排気筒が、既に、従来型の部分およびCO2発電部分を備える最終装置の最大の煙道ガス流向けに設計されている。さらに、この排気筒が配置されるのは、CO2発電部分を考慮した最終的な位置である。従来型の発電部分と将来のCO2発電部分は、煙道ガス配管を最小限にするために、煙道ガスを放出するように隣同士に配置される。さらに、一旦後付けされた煙道ガス管路には、煙道ガスをCO2捕捉システムへ導くためのフラップ、ダンパまたは分流器が既に備わっていてよい。これによって、CO2発電部分の建造中に、従来型部分の通常運転が可能になる。CO2発電部分は、従来型の発電部分の運転とは無関係に作動させることができ、CO2捕捉システム自体を、CO2発電部分の煙道ガスを用いて、その能力の一部分まで試験し、かつ作動させることができる。従来型の発電部分からCO2捕捉へと変更するには、フラップ、ダンパまたは分流器がその煙道ガスを放出する方向を変更するだけでよい。CO2捕捉装置が一旦フル稼働状態になると、従来型発電部分の、ダンパまたは分流器の下流にある元の煙道ガス管路の一部分が、バイパス管路になる。バイパス排気筒としての将来の使用を可能にするために、後付け対応の従来型発電装置の排気筒は、従来型発電部分の煙道ガスと将来のCO2捕捉システムのまわりの将来のCO2発電部分の煙道ガスの混合煙道ガスをバイパスするのに必要とされる流れ容量を有して設計される。
【0035】
CO2捕捉システムの追加の圧力損失に配慮するように、煙道ガス・ブロワ用のスペースを設けることができる。これにより、煙道ガスを排気筒へと直接導く配管の初期の背圧に対して従来型の発電部分を最適化することができることになる。一実施形態では、煙道ガス・ブロワは、分流器またはダンパの下流に組み込まれることになり、CO2捕捉運転にのみ必要とされる。
【0036】
この単一の機械的インターフェースに加えて、従来型の発電部分、CO2発電部分とCO2捕捉システムとの間の制御インターフェースが必要である。さらに、共通の電気的システムと配電網を接続するのが有利である。
【0037】
提案された装置配置の主要な利点の1つに、CO2捕捉のない既存の化石燃料の従来型発電装置を、大幅に変更することなく、CO2捕捉を有する発電装置へと改造するかまたは改良する可能性がある。本発明の1つの要素に、CO2捕捉のない既存の化石燃料の従来型発電装置を、CO2捕捉を有する発電装置へと改造する方法がある。この方法によれば、CO2発電部分、煙道ガス配管およびCO2捕捉システムが、既存の従来型発電装置に隣接して構築され、煙道ガス配管は、既存の従来型発電部分の煙道ガスとCO2発電部分の煙道ガスを混合するように設計され、CO2捕捉システムは、混合煙道ガスからCO2を捕捉するように設計され、CO2発電部分は、少なくとも混合煙道ガスからCO2を捕捉するのに必要な熱エネルギーおよび/または電気エネルギーを供給するように設計される。
【0038】
この方法の一実施形態によれば、従来型の発電装置の通常運転中に、CO2捕捉システム、煙道ガス配管およびCO2発電部分が構築され、既存の化石燃料の従来型発電装置の運転が中断されるのは、既存の化石燃料の従来型発電装置を、追加または変更された煙道ガス配管に接続して再作動させるときのみである。既存の装置の排気筒次第で、全体の煙道ガス流の変化が、新規の排気筒を必要とすることがある。排気筒または排気筒の変更形態は、煙道ガス配管の一部分であると考えられる。
【0039】
したがって、既存の発電装置の商業運転の中断を最小限にすることができる。煙道ガス管路の再接続または変更に必要な時間は、通常の定期保守の停止に必要とされる時間未満に短縮することができる。CO2発電部分は、既存の装置の商業運転と並行して作動させることができる。さらに、システムがCO2発電部分からの煙道ガスを用いている間、CO2捕捉システムの主要な作動作業を実行することができる。
【0040】
本発明のさらなる課題は、CO2捕捉システムを有する、炭素ベース燃料を燃焼させるための火力発電所を前述のように運転する方法である。
【0041】
前述の発電装置により、最適化の目標次第で、CO2捕捉および別々の運転方法を有する融通性のある運転が可能になる。可能性のある最適化の目標は、例えば最大の電力、最高の効率、および最大のCO2捕捉率である。
【0042】
具体的には、従来型の発電部分、CO2発電部分およびCO2捕捉システムを起動し、有負荷にしたり無負荷にしたりする順序を、装置の運転を最適化するための制御パラメータとして用いることができる。
【0043】
例えば、従来型の発電部分が蒸気発電装置であると、一般に、起動するのに比較的長い時間、すなわち数時間を要する。起動中、煙道ガスの組成および温度は、CO2捕捉向けに最適化されていない。しかし、この期間中に排出される合計のCO2は、一般的な運転期間中に排出されるCO2と比較してわずかである。したがって、従来型の部分に対して大きい部分の負荷または基底負荷がかかった後にのみCO2捕捉が始まることが、たいてい容認される。CO2発電部分が、かなり速く起動して負荷をかけることができるガスタービン・ベースの発電装置であると、この装置は、従来型の発電部分を起動して負荷をかけるまでの時間とCO2発電部分を起動して負荷をかけるまでの時間の間の差に一致した時間遅延で起動される。
【0044】
さらに、CO2捕捉システムは、CO2発電部分が同システムの運転に十分な電力を送出した後に、起動して負荷をかけられることになる。
【0045】
使用されるCO2捕捉システム次第で、CO2捕捉システムの起動は、例えば電動機で駆動されるスワール・ノズルを使用するCO2分離に関して考えられるように、数分で行なうことができる。しかし、例えば、吸収システムまたは吸着システムといったCO2捕捉システムのタイプに関しては、起動するのに1時間または数時間程度のより長い期間を要することがある。装置全体の起動を通じて、CO2捕捉システムの起動時間を考慮する必要がある。必要に応じて、CO2捕捉システムの起動時間を考慮に入れて、CO2発電部分をより早く起動しなければならない。様々な装置の起動時間次第で、CO2発電部分は、CO2捕捉を保証するために、必要に応じて従来型の発電部分よりも先に起動されてよい。
【0046】
配電網または操作係の要求に従って、発電装置に速やかに負荷をかけることができるように、最初に、目標の総電力出力を満たすように従来型の発電部分およびCO2発電部分に負荷をかけ、次いで、CO2捕捉システムを運転して、目標の捕捉率に到達するように捕捉率を増加することにより、装置の総電力出力の変化を達成する方法が提案されている。CO2捕捉システムの立上り中および/またはその捕捉率が増加している間、総電力出力が一定に保たれ、装置の総計の電力出力は、CO2捕捉システムの増加する電力消費量を満たすようにさらに増加される。
【0047】
従来型の発電部分とCO2発電部分の間の制御インターフェースを簡単にするために、2つの別々の電力制御方法を用いることができる。
【0048】
CO2発電部分の負荷は、例えば、CO2捕捉システムの電力需要、混合煙道ガスの合計の流量質量、混合煙道ガス流のCO2含有量、もしくはこれらのパラメータの組合せ、または捕捉システムの動作条件を表す別のパラメータのような、CO2捕捉システムの主要な動作パラメータの関数として制御することができる。
【0049】
従来型発電部分の負荷制御は、発電装置の総電力出力を制御するのに用いられる。一般に、従来型の発電部分とCO2発電部分は、配電網への1つの共通の接続を有する。この配電網接続を介して配電網に送出される合計の電力は、総電力であり、配電網の電力需要を満たすものとする。この実施形態によれば、従来型の発電部分は、配電網の電力需要と、CO2発電部分がCO2捕捉システムを駆動する電力に加えて送出するCO2発電部分の何らかの超過の総電力出力との間の電力差を送出するように制御される。
【0050】
ここで説明された化石燃料の蒸気発電装置は、一般に石炭燃料の蒸気発電装置である。しかし、本発明は、石油燃料の蒸気発電装置またはガス燃料の蒸気発電装置など、任意の他の種類の化石燃料の蒸気発電装置にも適用可能である。
【0051】
本発明、その性質、ならびにその利点が、添付図面を利用して以下でより詳細に説明されることになる。図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】化石燃料の従来型蒸気発電部分、CO2発電部分としての化石燃料の蒸気発電装置、およびCO2捕捉システムから成る発電装置を示す概略図である。
【図2】化石燃料の従来型蒸気発電部分、CO2発電部分としてのガスタービン複合サイクル装置、およびCO2捕捉システムから成る発電装置を示す概略図である。
【図3】化石燃料の従来型発電部分、CO2発電部分としての煙道ガス再循環を伴うガスタービン複合サイクル装置、およびCO2捕捉システムを示す概略図である。
【図4】従来型発電部分としての複合サイクル発電装置、CO2発電部分としての煙道ガス再循環を伴うガスタービン複合サイクル装置、およびCO2捕捉システムから成る発電装置を示す概略図である。
【図5】従来型の発電部分、両方の装置部分が煙道ガス再循環を伴う複合サイクル発電装置であるCO2発電部分、およびCO2捕捉システムから成る発電装置を示す概略図である。
【図6】化石燃料の従来型蒸気発電部分、CO2捕捉運転中に低圧蒸気タービンをクラッチで切り離すことができるCO2発電部分としての煙道ガス再循環を伴うガスタービン複合サイクル装置、およびCO2捕捉システムから成る発電装置を示す概略図である。
【図7】煙道ガスの様々なCO2濃度に対してCO2を捕捉するのに利用可能な比エネルギーの関数として達成可能なCO2捕捉率を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明によるCO2捕捉を伴う発電装置の主要な構成要素は、従来型の発電部分1、CO2発電部分2、およびCO2捕捉システム12である。
【0054】
本発明の一実施形態による装置配置の第1の例が、図1に示されている。この例では、従来型の発電部分1は、化石燃料の蒸気発電装置41である。蒸気発電装置41は、化石燃料8および空気7が供給されるボイラ3を備える。燃料7および空気8が燃焼して、生蒸気9および従来型の発電部分の煙道ガス15を生成する。さらに、蒸気発電装置41は、生蒸気9で駆動される蒸気タービン10、電力を生成する発電機5、および給水19がボイラに戻される凝縮器18を備える。様々な蒸気圧レベル、給水ポンプなどは本発明の対象でないので、蒸気サイクルは、これらなしで概略的に簡易化して示されている。
【0055】
ここに示された例では、CO2発電部分2は、化石燃料の背圧蒸気発電装置42である。背圧蒸気発電装置42は、燃料8および空気7が供給されるボイラ3を備える。燃料7および空気8が燃焼して、生蒸気9およびCO2発電部分の煙道ガス14を生成する。さらに、背圧蒸気発電装置42は、生蒸気9で駆動される背圧蒸気タービン4、および電力を生成する発電機5を備える。背圧蒸気タービン4を出る低圧蒸気11が、蒸気配管を介してCO2捕捉システム12に供給される。復水13が、CO2捕捉システム12からボイラ3に戻される。様々な蒸気圧レベル、給水ポンプなどは本発明の対象でないので、この蒸気サイクルも、これらなしで概略的に簡易化して示されている。
【0056】
混合煙道ガス37からCO2を除去するCO2捕捉システム12は、ボックスとして概略的に示されており、混合煙道ガス37は、従来型発電部分の煙道ガス15およびCO2発電部分の煙道ガス14から成る。CO2を減らされた煙道ガス16は、CO2捕捉ユニットから排気筒16へと放出される。CO2捕捉ユニット12は、運転していない場合には煙道ガス・バイパスによってバイパスされ得る。このバイパスを制御するために、従来型発電部分20の煙道ガス用のバイパス・フラップおよびCO2発電部分21用のバイパス・フラップが、煙道ガス配管に設けられる。
【0057】
CO2捕捉システム12は、例えば吸収剤によって混合煙道ガス37からCO2が除去されるCO2吸収ユニット、および吸収剤からCO2が放出される再生ユニットから成る。煙道ガスの温度およびCO2吸収ユニットの動作温度範囲次第で、煙道ガス冷却器6も必要とされることがある。捕捉されたCO2は、圧縮および貯蔵のための17へ送られる。
【0058】
図2は、化石燃料の従来型蒸気発電装置41、複合サイクル発電装置30、およびCO2捕捉システム12から成る発電装置を概略的に示す。蒸気発電装置41およびCO2捕捉システム12は、図1に示されたものと類似である。
【0059】
複合サイクル発電装置30は、ガスタービンと、水蒸気サイクルを伴う熱回収蒸気発電機39とを備える。ガスタービンは、流入空気7を圧縮するコンプレッサ31、燃焼器32、およびタービン33を備え、発電機5を駆動する。圧縮ガスは、燃焼器32の中で燃料8を燃焼するのに用いられ、加圧された熱ガスは、タービン33の中で膨張する。熱ガスの主な出力は、発電機5からの電力および熱い煙道ガス34である。熱い煙道ガス34は、生蒸気9を生成する熱回収蒸気発電機39(HRSG)を通る。煙道ガスは、低温レベルでHRSG 39を出て、CO2発電部分14の煙道ガスとしてCO2捕捉システム12に向けられる。さらに、複合サイクル発電装置30は、生蒸気9で駆動される背圧蒸気タービン4、および電力を生成する発電機5を備える。低圧蒸気11が、蒸気配管を介してCO2捕捉システム12に供給される。復水13または低級の蒸気が、CO2捕捉システム12からボイラ3に戻される。様々な蒸気圧レベル、給水ポンプなどは本発明の対象でないので、この蒸気サイクルも、これらなしで概略的に簡易化して示されている。
【0060】
図3は、化石燃料の従来型蒸気発電装置41、複合サイクル発電装置40、およびCO2捕捉システム12から成る発電装置の別の例を概略的に示す。主要な部分は、図2に示されたものと類似である。しかし、ここに示されたガスタービンは、煙道ガス再循環を伴うガスタービンである。煙道ガスの制御可能な留分は、煙道ガス再循環22用の制御フラップに分流され、煙道ガス循環系統35を通って流入空気7に再循環される。再循環された煙道ガスは、ガスタービン圧縮機31の入口温度を制限するかまたは制御するように、煙道ガス冷却器36で冷却される。煙道ガス冷却器36は、一般に、冷却された煙道ガスから復水を除去する復水分離器(図示せず)を備える。
【0061】
図4は、従来型発電部分1としての複合サイクル発電装置30、CO2発電部分2としての煙道ガス再循環を伴うガスタービン複合サイクル装置40、およびCO2捕捉システム12から成る発電装置を示す概略図である。この機構は、図3に示された機構に基づくものである。従来型の発電部分1として、蒸気発電装置41の代わりに複合サイクル発電装置30が使用されている。
【0062】
複合サイクル発電装置30は、ガスタービン、水蒸気サイクルを伴う熱回収蒸気発電機39を備える。ガスタービンは、流入空気7を圧縮するコンプレッサ31、燃焼器32、およびタービン33を備え、発電機5を駆動する。圧縮ガスは、燃焼器32の中で燃料8を燃焼するのに用いられ、加圧された熱ガスは、タービン33の中で膨張する。熱ガスの主な出力は、発電機5からの電力および熱い煙道ガス34である。熱い煙道ガス34は、生蒸気9を生成する熱回収蒸気発電機39を通る。煙道ガスは、低温レベルでHRSG 39を出て、従来型の発電部分15の煙道ガスとしてCO2捕捉システム12に向けられる。さらに、複合サイクル発電装置30は、生蒸気9で駆動される蒸気タービン10、電力を生成する発電機5、および給水19がHRSG 39に戻される凝縮器18を備える。
【0063】
図5は、煙道ガス再循環を伴う2つの複合サイクル発電装置40およびCO2捕捉システム12から成る発電装置の別の例を概略的に示す。主要な部分は、図4に示されたものと類似である。しかし、従来型の発電部分1のガスタービンは、煙道ガス再循環を伴うガスタービンでもある。煙道ガスの制御可能な留分は、煙道ガス再循環用の制御フラップ22に分流され、煙道ガス循環系統35を通って流入空気7に再循環される。再循環された煙道ガスは、ガスタービン圧縮機31の入口温度を制限するかまたは制御するために、煙道ガス冷却器36で冷却される。煙道ガス冷却器36は、一般に、冷却された煙道ガスから復水を除去する復水分離器(図示せず)を備える。
【0064】
図6は、図3に基づくものであり、化石燃料の従来型蒸気発電装置41、煙道ガス再循環を伴う複合サイクル発電装置40、およびCO2捕捉システム12から成る発電装置を概略的に示す。蒸気発電装置41およびCO2捕捉システム12は、図3に示されたものと類似である。
【0065】
CO2発電部分2の運用上の融通性を向上するために、図3に示された実施形態と比較して水蒸気サイクルが変更されている。この実施形態では、追加の蒸気制御弁38、低圧蒸気タービン24、凝縮器18、および給水ライン19が、水蒸気サイクルに追加されている。この機構により、CO2捕捉システム12を運転するのに、低圧蒸気11がまったく必要とされない場合、またはすべての低圧蒸気11が必要とされるわけではない場合に、低圧蒸気11を用いてさらなる電力を生成することができる。CO2捕捉システム12に向けられる低圧蒸気11と低圧蒸気タービン24の間の分割が、蒸気制御弁38によって制御される。蒸気制御弁38は、三方弁として概略的に示されている。あるいは、例えば2つの制御弁などの別の制御手段も使用することができる。
【0066】
蒸気タービン24は、クラッチ23によって発電機5に機械的に接続することができる。例えば、自動オーバーランニング・クラッチは、発電機5および背圧蒸気タービン4の既存の軸系に低圧蒸気タービン24を結合するのに使用することができる。この機構により、CO2捕捉システム12に低圧蒸気が用いられる場合に、低圧蒸気タービン24を遮断することができる。一旦、超過低圧蒸気が利用可能になると、超過蒸気は、蒸気制御弁23経由で低圧蒸気タービン24へ向けられる。低圧蒸気タービン24の回転が上昇し、クラッチ23が自動的に係合し、発電機5を駆動するまで低圧蒸気タービン24に負荷をかけることができ、したがって装置の電力生成が増加する。
【0067】
図7は、煙道ガスの様々なCO2濃度c、cおよびcに対してCO2を捕捉するのに利用可能な比エネルギーeCO2の関数として達成可能なCO2捕捉率rを概略的に示す。この図は、CO2捕捉よりも先に2つの煙道ガス流を混合することが有利であり得る理由を視覚化している。
【0068】
CO2濃度の増加c↑に伴って、所与の比エネルギーeCO2で煙道ガスからのCO2捕捉を達成することができる捕捉率rが増加する。さらに、達成可能な捕捉率rは、煙道ガスからCO2を捕捉するのに利用可能な比エネルギーeCO2に比例する。達成可能な捕捉率rは、すべての濃度c、cおよびcに対してCO2を捕捉するのに利用可能な比エネルギーeCO2の関数としての特性傾向を示す。最初に、すべての曲線がステップ勾配を示し、勾配はより小さくなり、漸近的に100%の捕捉率rに近づく。しかし、勾配が変化する捕捉率rは、煙道ガスのCO2濃度次第である。
【0069】
低いCO2濃度cの場合、勾配の顕著な変化が、比較的小さい捕捉率rで既に起こっている。より高いCO2濃度cまたはcの場合、好ましいステップ勾配が、90%程度以上の大きな捕捉率rまで存続する。勾配の変化が起こる捕捉率が別々であるため、90%程度の大きな捕捉率に到達する比エネルギーeCO2は、例えば濃度cといった煙道ガスの低いCO2濃度では、ほぼ指数関数的に増加する。その結果、平均CO2濃度cの混合煙道ガス37を得るために、低いCO2濃度cの第1の煙道ガス流と高いCO2濃度cの第2の煙道ガス流とを混合すると、2つの別々の煙道ガス流からCO2を捕捉する場合より、例えば83%といった特定の目標捕捉率rc,tに到達するのに必要とされるエネルギーが少ない。
【0070】
上記および図面で説明された例示的実施形態は、本発明の範囲に包含されていて例示的実施形態とは異なる実施形態を当業者に開示する。
【0071】
例えば、低圧蒸気タービン24は、電力生成用の別々の発電機を駆動するために別々の軸上に配置することができ、あるいは、複合サイクル発電装置のうちの任意の蒸気タービンとガスタービンを、単一の軸に配置することができる。
【0072】
別の例として、CO2発電部分の煙道ガス14と従来型の発電部分の煙道ガス15を、バイパス・フラップ20、21の上流で混合することができ、その結果、全部の煙道ガスに対して必要とされるバイパス・フラップが1つだけになる。さらに、従来型発電部分の煙道ガス15用とCO2発電部分の煙道ガス14用の2つの煙道ガス冷却器6の配置が有利になり得る。これは、例えば、従来型発電部分の煙道ガス15とCO2発電部分の煙道ガス14の温度が異なる場合に相当することになる。
【0073】
上記に示された例では、単一の燃焼ガスタービンが説明されている。例えば特許文献4に説明されているような、再加熱燃焼器を有するガスタービンとも称される順次燃焼ガスタービンも、同様に使用され得ることを理解されたい。順次燃焼ガスタービンと単一燃焼ガスタービンの組合せに基づく発電装置も使用することができる。一般に、順次燃焼ガスタービンの煙道ガスのCO2濃度は単一燃焼ガスタービンのものより高いので、順次燃焼ガスタービンを適用するのが有利であり得る。さらに、上記の例のうちいかなるものも、ガスタービンで、煙道ガス再循環があろうとなかろうと実現することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 従来型の発電部分
2 CO2発電部分
3 ボイラ
4 背圧蒸気タービン
5 発電機
6 煙道ガス冷却器
7 空気
8 燃料
9 生蒸気
10 蒸気タービン
11 低圧蒸気
12 CO2捕捉システム
13 復水または低等級帰路蒸気
14 CO2発電部分の煙道ガス
15 従来型発電部分の煙道ガス
16 CO2の減った煙道ガス
17 圧縮および貯蔵用のCO2
18 凝縮器
19 給水
20 従来型発電部分の煙道ガス用バイパス・フラップ
21 CO2発電部分の煙道ガス用バイパス・フラップ
22 煙道ガス再循環用の制御フラップ
23 クラッチ
24 低圧蒸気タービン
30 複合サイクル発電装置
31 コンプレッサ
32 燃焼器
33 タービン
34 ガスタービンの煙道ガス
35 煙道ガスの循環系統
36 煙道ガス冷却器
37 混合煙道ガス
38 蒸気制御弁
39 HRSG
40 煙道ガスの再循環ガスタービンを有する複合サイクル発電装置
41 蒸気発電装置
42 背圧蒸気発電装置
43 従来型部分からのバイパス管路
44 CO2発電部分からのバイパス管路
c↑ 濃度の増加
、c、c 煙道ガスのCO2濃度
捕捉率
c,t 目標捕捉率
CO2 CO2を捕捉するのに必要な比エネルギー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来型発電部分(1)と、CO2発電部分(2)と、前記従来型発電部分(1)の煙道ガス流と前記CO2発電部分(2)の煙道ガス流を混合する煙道ガス・システムと、混合煙道ガス(37)からCO2を除去するためのCO2捕捉システム(12)とを備える発電装置であって、前記従来型発電部分(1)が、化石燃料の蒸気発電装置またはガスタービン・ベースの発電装置であり、前記CO2発電部分(2)が、前記混合煙道ガス(37)の質量流量からCO2を捕捉するのに必要な熱および/または電力を少なくとも供給するように設計されている化石燃料の蒸気発電装置またはガスタービン・ベースの発電装置である発電装置。
【請求項2】
前記従来型発電部分(1)の前記煙道ガスが第1のCO2濃度を有し、前記CO2発電部分(2)の前記煙道ガスが、前記第1のCO2濃度とは異なる第2のCO2濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記従来型発電部分(1)が化石燃料の蒸気発電装置であって前記CO2発電部分(2)がガスタービン・ベースの発電装置であるか、または前記従来型発電部分(1)がガスタービン・ベースの発電装置であって前記CO2発電部分(2)が化石燃料の蒸気発電装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
煙道ガスの再循環を有するガスタービン・ベースの発電装置を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の発電装置。
【請求項5】
前記従来型発電部分(1)および前記CO2発電部分(2)がガスタービン・ベースの発電装置であり、前記CO2発電部分(2)のガスタービンが煙道ガスの再循環を有し、前記従来型発電部分(1)が、煙道ガスの再循環を有しない、又は、前記CO2発電部分(2)の設計再循環率より低い設計再循環率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項6】
前記CO2発電部分(2)が、前記CO2捕捉システム(12)に低圧または中間圧の蒸気を供給するための少なくとも1つの背圧蒸気タービン(4)を有する複合サイクル発電装置であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の発電装置。
【請求項7】
前記背圧蒸気タービン(4)が、前記CO2捕捉システム(12)の前記設計蒸気流を送出するようにサイズ設定されることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
従来型発電部分(1)と、CO2捕捉装置を付加するのに必要なスペースと、CO2発電部分(2)と、前記従来型発電部分(1)の煙道ガス流と前記CO2発電部分(2)の煙道ガス流を混合する煙道ガス・システムと、混合煙道ガス(37)の質量流量からCO2を除去するように設計されたCO2捕捉システム(12)とを備える捕捉対応発電装置であって、前記従来型発電部分(1)が、化石燃料の蒸気発電装置またはガスタービン・ベースの発電装置であり、前記CO2発電部分(2)が、前記混合煙道ガス(37)の質量流量からCO2を捕捉するのに必要な熱および/または電力を少なくとも供給するように設計されている化石燃料の蒸気発電装置またはガスタービン・ベースの発電装置である捕捉対応発電装置。
【請求項9】
前記従来型発電部分(1)および将来のCO2捕捉発電部分(2)の煙道ガスが、それらの煙道ガスを放出するために隣同士に配置され、かつ、必要とされる煙道ガス配管を最小限にするために、前記煙道ガスを混合するのに必要なスペースおよび前記CO2捕捉システム(12)に必要なスペースが続くようにレイアウトが設計されることを特徴とする請求項8に記載の捕捉対応発電装置。
【請求項10】
前記レイアウトが、前記CO2発電部分(2)から前記CO2捕捉システム(12)への電力および蒸気の供給ライン用のスペースを設けるように設計されることを特徴とする請求項8または9に記載の捕捉対応発電装置。
【請求項11】
前記煙道ガス配管が、前記CO2発電部分(2)の将来の接続のための混合区間と、将来のCO2捕捉システム(12)への接続用に準備された1つの閉じた分岐を有する煙道ガスのフラップまたはダンパと、排気筒に通じる1つの分岐とを備え、前記排気筒が、前記従来型発電部分(1)および前記将来のCO2捕捉システム(12)のまわりの前記将来のCO2発電部分(2)の前記混合煙道ガス(37)をバイパスするのに必要とされる流れ容量を有して設計されることを特徴とする請求項8から10のいずれか一つに記載の捕捉対応発電装置。
【請求項12】
CO2捕捉のない既存の化石燃料の従来型発電装置を、CO2捕捉を有する発電装置へと改造する方法であって、CO2発電部分、煙道ガス配管、およびCO2捕捉システム(12)が、前記既存の従来型発電部分に隣接して構築され、前記CO2捕捉システム(12)が、前記従来型発電部分および前記CO2発電部分からの混合煙道ガス(37)からCO2を捕捉するように設計され、前記CO2発電部分が、少なくとも前記混合煙道ガス(37)の質量流量からCO2を捕捉するのに必要な電気エネルギーおよび/または熱エネルギーを供給するように設計されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記従来型発電部分の運転中に、前記CO2捕捉システム(12)、前記煙道ガス配管、および前記CO2発電部分(2)が構築され、前記既存の化石燃料の従来型発電部分の運転は、前記既存の化石燃料の従来型発電部分を、追加または変更された煙道ガス配管に接続して再作動させるときのみ中断されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一つに記載の発電装置を運転する方法であって、前記従来型発電部分(1)、前記CO2発電部分(2)、およびCO2捕捉システム(12)を起動し、有負荷にしたり無負荷にしたりする順序を、前記装置全体の運転を最適化するための制御パラメータとして用いることを特徴とする方法。
【請求項15】
起動中および有負荷期間中のCO2排出を最小限にするために、最初に前記CO2発電部分(1)が起動され、2番目に前記CO2捕捉システム(12)が起動され、3番目に前記従来型発電部分(1)が起動されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
起動中および有負荷期間中、前記装置の総電力出力が、最初に前記従来型発電部分(1)およびCO2発電部分(2)に負荷をかけることによって達成され、目標の総電力出力が達成された後に、前記CO2捕捉システム(12)が、起動され、かつ/または目標捕捉率に到達するためにそのCO2捕捉率が増加し、前記CO2捕捉システム(12)の、立上り中および/または捕捉率の増加中に、前記装置の総計の電力出力がさらに増加されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
定常状態の運転をするために、前記CO2発電部分(2)の負荷が、、前記全体の混合煙道ガス(37)質量流量の関数として、前記混合煙道ガス(37)流のCO2含有量の関数として、前記CO2捕捉システム(12)の電力需要またはこれらのパラメータの組合せの関数として制御され、前記従来型発電部分(1)の負荷設定が、前記発電装置の前記総電力出力を制御するのに用いられることを特徴とする請求項14から16のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506087(P2013−506087A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531325(P2012−531325)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063848
【国際公開番号】WO2011/039072
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】