説明

CO2排出量演算システムおよび画像形成装置

【課題】更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を自動的に演算することができるCO2排出量演算システムおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、コピージョブや印刷ジョブの実行指示を受けると(S101)、そのジョブの印刷履歴や画像データを保存すると共に(S102)、画像データに基づいた印刷を実行する(S103)。また、そのジョブの画像データが当該画像形成装置で過去に印刷を実行したジョブの画像データの更新版であるか否かを判断し(S105)、更新版であると判断した場合は(S105;Yes)、その過去のジョブの印刷枚数などに基づいて更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を演算し(S106)、演算結果を表示する(S107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2排出量演算システムおよび画像形成装置に係り、特に、画像データに基づいた印刷に関連して排出されるCO2の排出量を演算するCO2排出量演算システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能やプリンタ機能などを備えた画像形成装置においては、ユーザによるCO2削減(地球温暖化防止)の意識を高めるなどのために、装置の使用に伴うCO2排出量を演算して表示するようにした技術が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、画像形成装置を使用した特定期間の電力消費量によるCO2排出量と、同特定期間の消耗品の消費量に基づくCO2排出量とを各々算出して加算し、これを画像形成装置の特定期間のCO2排出量として表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−109345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置による原稿のコピーやドキュメント(文書ファイル)のプリントなどでは、過去に印刷した元の原稿やドキュメントを更新して再び印刷するようなことがある。このような更新を伴う印刷は、たとえば、文章構成中などの草稿版を確認したり新たに修正を加えたりした場合、あるいは正式版を改訂したりする場合などに行われる。そして、通常は更新版の印刷物が保存され、更新元の印刷物は不要となり廃棄(紙資源再生)や焼却などによって処分されることが多い。この印刷物の処分においてもCO2が排出されるため、CO2削減の意識向上などを図る上では、印刷物の処分に伴うCO2排出量も把握できることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を自動的に演算することができるCO2排出量演算システムおよび画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]画像データに基づいて印刷された印刷物の枚数情報と、前記画像データに関する情報であって、後に印刷される画像データが当該画像データの更新版であるか否かの判断時の比較に使用される更新判断情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
印刷指示された画像データが過去に印刷された画像データの更新版であるか否かを、前記印刷指示された画像データに関する更新判断情報と前記記憶部に記憶されている更新判断情報とを比較して判断し、更新版と判断した場合に、その更新元の画像データに基づいて印刷された印刷物の処分に伴うCO2排出量を、前記更新元の画像データに関する更新判断情報に対応付けて前記記憶部に記憶されている枚数情報に基づいて演算する制御部と、
を備えたCO2排出量演算システム。
【0009】
上記発明では、印刷指示されて印刷を行った画像データに関する更新判断情報と、その印刷による印刷物の枚数情報とを対応付けて記憶部に記憶し保存する。新たに印刷指示されて印刷を行う画像データについては、その画像データに関する更新判断情報と記憶部に記憶されている更新判断情報とを比較して、過去に印刷された画像データの更新版であるか否かを判断する。更新版と判断した場合は、その更新元の画像データに基づいて印刷された印刷物の処分に伴うCO2排出量を、その更新元の画像データに関する更新判断情報に対応付けられている枚数情報に基づいて演算する。
【0010】
このように、過去に印刷したことのある画像(画像データ)を更新して印刷を行うときには、通常と同じ操作で印刷指示を行うと、その画像データは過去に印刷した画像データの更新版であることが自動的に判断され、その過去に印刷した更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量が自動的に演算される。これにより、更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を簡単に把握することができる。
【0011】
[2]前記更新判断情報は、前記画像データの属性情報と、前記画像データのうちの少なくとも一方を含む
ことを特徴とする[1]に記載のCO2排出量演算システム。
【0012】
上記発明では、画像データが更新版であるか否かは、画像データのファイル名や更新履歴などの属性情報を比較する、あるいは、画像データ自体(たとえば、データの一部または全て)を比較することで判断することができる。
【0013】
[3]前記制御部は、前記演算を、前記印刷物1枚当たりの前記処分に伴うCO2排出量を示す処分係数と前記枚数情報とを乗算することで行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のCO2排出量演算システム。
【0014】
上記発明では、印刷物の処分に伴うCO2排出量は、印刷物1枚当たりの処分に伴うCO2排出量を示す処分係数と、印刷物の枚数情報とを乗算することで演算することができる。
【0015】
[4]前記処分は、前記印刷物を廃棄する廃棄処分と、前記印刷物を焼却する焼却処分とを含み、
前記制御部は、前記印刷物1枚当たりの前記廃棄処分に伴うCO2排出量を示す廃棄処分係数と前記枚数情報とを乗算する第1の演算と、前記印刷物1枚当たりの前記焼却処分に伴うCO2排出量を示す焼却処分係数と前記枚数情報とを乗算する第2の演算とのうちの少なくとも一方を行う
ことを特徴とする[3]に記載のCO2排出量演算システム。
【0016】
上記発明では、印刷物の廃棄処分(紙資源再生処分)に伴うCO2排出量と、印刷物の焼却処分に伴うCO2排出量とのうちの少なくとも一方を演算することができる。
【0017】
[5]前記第1の演算と前記第2の演算とのうちのいずれの演算を行うかの選択を受け付ける選択部を備える
ことを特徴とする[4]に記載のCO2排出量演算システム。
【0018】
上記発明では、印刷物の処分に伴うCO2排出量を、廃棄処分と焼却処分のいずれで演算するかを選択することができる。
【0019】
[6]前記制御部は、前記印刷指示された画像データに基づいて前記印刷を行った画像形成装置の使用に伴う装置使用CO2排出量を演算し、所定期間に演算した前記装置使用CO2排出量と前記処分に伴うCO2排出量とを累積した累積CO2排出量を演算する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システム。
【0020】
上記発明では、印刷を行った画像形成装置の使用に伴う装置使用CO2排出量と、その画像形成装置で更新版の印刷を行ったことにより不要となった更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を累積した累積CO2排出量を所定期間の単位で管理することができる。
【0021】
[7]前記演算の結果が表示される表示部を備える
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システム。
【0022】
上記発明では、表示部に表示された更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量や所定期間の累積CO2排出量を確認し、それらの情報を把握できるようになる。
【0023】
[8][1]乃至[7]のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システムと、
前記印刷指示された画像データに基づいて前記印刷を実行し前記印刷物を排出する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【0024】
上記発明では、過去にコピーした原稿を更新して再びコピーしたり、過去にプリントしたドキュメントを更新して再びプリントしたりするなど、過去に印刷した画像(画像データ)の更新版を画像形成装置で再び印刷する際に、更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を把握することができる。また、この画像形成装置の使用による装置使用CO2排出量と上記の印刷物の処分に伴うCO2排出量とを所定期間内で累積した累積CO2排出量を把握することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を自動的に演算することができる。ユーザが更新版を印刷する際には、通常と同じ印刷指示を行うなどの簡単な操作で、不要となった更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を容易に把握することができる。これにより、印刷物の処分に伴うCO2排出量も考慮したCO2削減の意識向上をユーザに促すなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワークプリンタシステムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るネットワークプリンタシステムに設けられた端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るネットワークプリンタシステムに設けられた画像形成装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御部としてのCPUや画像処理部などの要部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における印刷速度の違いによる電力消費量の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電力パラメータテーブルの構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る紙種係数テーブルの構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るトナー種係数テーブルの構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る紙処分係数テーブルの構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る環境ISO選択画面を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る紙種選択画面を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置による印刷動作とCO2排出量の演算・表示動作を示す流れ図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るCO2排出量モード選択画面を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る印刷CO2排出量表示画面を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る再印刷CO2排出量表示画面(廃棄処分)を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る再印刷CO2排出量表示画面(焼却処分)を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係るCO2排出量累積推移グラフ画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置20と、画像形成装置20にアクセスする任意台数の端末10とをLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に接続して構成されたネットワークプリンタシステム5のシステム構成例を示している。
【0029】
画像形成装置20は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得し、その画像データを保存したり端末10へ送信したりするスキャン機能、原稿を読み取り、かつその読み取りで得た画像データに基づいて原稿の複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、端末10から受信した印刷データをラスタライズして得た画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、公衆回線網を通じて外部機器と画像(画像データ)をファクシミリで送受信するファクシミリ機能(FAX機能)などを備えた複合機(Multi Function Peripheral/Multi Function Printer;MFP)として構成されている。
【0030】
画像形成装置20がユーザから指示されて実行するジョブには、上記のコピー機能を用いて実行するコピージョブやプリンタ機能を用いて実行する印刷ジョブ(プリントジョブ)などがある。ユーザは、コピージョブの場合は画像形成装置20を操作して実行を指示し、印刷ジョブの場合は端末10を操作して画像形成装置20に実行を指示する。
【0031】
また画像形成装置20は、装置の使用に伴うCO2排出量や印刷物の処分に伴うCO2排出量を演算するCO2排出量演算システムとしての機能を備えている。この機能の詳細は、コピージョブや印刷ジョブを実行すると、その印刷動作に伴うCO2排出量を演算して表示したり、コピー対象の原稿やプリント対象のドキュメント(文書ファイル)が過去に当該画像形成装置20で印刷したものの更新版である場合には、その更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を演算して表示したりするものである。なお、本明細中では、更新を伴う印刷や更新版の印刷のことを「再印刷」と呼ぶ場合がある。
【0032】
端末10は、画像形成装置20に対してネットワーク2を通じてアクセスし、ドキュメントのプリントなど各種作業の指示や操作の依頼などを行う装置であり、たとえば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)に画像形成装置20のドライバプログラム(印刷ドライバ)などを組み込んで構成される。
【0033】
図2は、端末10における制御系の構成をブロック図で示している。端末10は、オペレーティングシステム(Operating System;OS)とそのOS上で動作する各種のアプリケーションプログラムを搭載しており、ユーザID(Identification)およびパスワードの入力を受け付けてユーザを認証するユーザ認証機能(ログイン機能)、アプリケーションプログラムによってドキュメントなどを作成する機能、ドキュメントなどの印刷を行う際にドライバプログラムによって出力モードの設定を受け付け、その出力モードを設定した印刷ジョブを生成しネットワーク2を通じて画像形成装置20に送信する機能などを備えている。
【0034】
端末10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)15と、表示部16と、操作部17と、ネットワーク通信部18とを接続して構成される。
【0035】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに基づいて端末10の動作を制御する。RAM14はCPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。ハードディスク装置15は、OSやアプリケーションプログラムのほか、画像形成装置20のドライバプログラム60、ユーザの認証情報となるユーザIDおよびパスワード、ドキュメントや各種の保存データなどを格納する。
【0036】
表示部16は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)などの表示装置で構成されており、OS、アプリケーションプログラム、ドライバプログラム60、ユーザ認証(ログイン)の操作や設定などを行うための画面、および画像や映像などを表示する。操作部17はキーボードやマウスなどの入力装置で構成されており、ユーザが端末10に対して行う操作や入力を受け付ける。ネットワーク通信部18は、ネットワーク2を通じて画像形成装置20と通信する機能を果たす。
【0037】
ユーザが端末10から画像形成装置20へ印刷を指示する場合は、端末10にログインし、表示部16および操作部17を通して所望のドキュメントなどの印刷指示操作を行う。この印刷指示操作では、必要に応じて出力モードの設定を行う。
【0038】
ユーザにより出力モードの設定を含む印刷指示操作が行われると、端末10のドライバプログラム60は、対象となるドキュメントなどの印刷データを含む印刷ジョブを生成する。印刷ジョブのヘッダには、端末10に関する情報(端末情報)と、ユーザIDと、上記ドキュメントなどの属性情報と、設定された出力モードを示す出力モード情報などを付加する。ドライバプログラム60は、この印刷ジョブを画像形成装置20に送信して印刷を指示する。
【0039】
印刷ジョブに付加される端末情報は、たとえば、端末10のID(Identification)やネットワーク2上におけるIP(Internet Protocol)アドレスなどの情報である。属性情報は、印刷を指示するドキュメントの名称(ファイル名)を示すファイル名情報、作成日時を示す作成日時情報、更新日時を示す更新日時情報、ページ数を示すページ数情報、印刷データのサイズを示すデータサイズ情報などである。
【0040】
属性情報における作成日時と更新日時は、一般には、ドキュメントを作成した時点では同一、もしくは、数秒程度の誤差を生じた略同一の日時を示す。ドキュメントの内容を変更して上書き保存などを行うと、更新日時のみがその保存時点での日時に変更(更新)される。ドキュメントの複製保存などを行うと、作成日時のみがその保存時点での日時に変更(更新)される。
【0041】
したがって、作成日時と更新日時が同一、または数秒程度の誤差を生じている略同一の場合には、そのドキュメントは更新されていないと判断できる。更新日時が作成日時よりも新しい場合には、そのドキュメントは更新されていると判断できる。作成日時が更新日時よりも新しい場合には、そのドキュメントは複製されたものであるとの判断も可能である。この作成日時(作成日時情報)と更新日時(更新日時情報)とは、ドキュメントの更新履歴(および複製履歴)を示す更新履歴情報としての機能を果たす。
【0042】
また、ドキュメントの内容は変更せずにファイル名を変更した場合は、作成日時と更新日時は共に変更されずに元の日時を示す。そのため、ファイル名に差異があっても、作成日時と更新日時に基づいて元のドキュメント(旧名称のドキュメント)を識別することも可能である。
【0043】
出力モード情報は、印刷を行う記録紙のサイズ(A4/A3など)、印刷方向(縦方向/横方向)、片面印刷/両面印刷、複数ページを1ページに集約して印刷する集約印刷(Nin1(1in1/2in1/4in1など))、モノクロ/カラー、解像度、印刷ページ指定、印刷部数などの出力モードを示す情報である。
【0044】
印刷ジョブによる印刷枚数は、ドキュメントのページ数と、片面印刷/両面印刷、集約印刷、印刷ページ指定、および印刷部数などの条件(出力モード)によって変化する。たとえば、片面/1in1/全ページ指定/部数1を設定した場合には、印刷枚数はドキュメントのページ数と同一になる。この設定に対し、片面を両面に変更する、または、1in1を2in1に変更すると、印刷枚数は、ドキュメントが偶数ページの場合にはページ数の半分となり(ページ数÷2)、奇数ページの場合にはページ数に1ページを加算した値の半分となる((ページ数+1)÷2)。
【0045】
図3は、画像形成装置20における制御系の構成をブロック図で示している。画像形成装置20は、制御部としてのCPU21に、バス22を介してROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置(HDD)26と、操作表示部27と、ユーザ認証部28と、スキャナ部29と、画像処理部30と、画像形成部としてのプリンタ部31と、ファクシミリ通信部32と、ネットワーク通信部33と、消費電力測定部34とを接続して構成される。
【0046】
CPU21は、ROM23に格納されているプログラムに基づいて画像形成装置20の動作を制御する。さらに、CO2排出量の演算や印刷を行う画像の更新判断なども行う。RAM24はCPU21がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。
【0047】
不揮発メモリ25は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。さらに不揮発メモリ25には、ユーザデータベース61と、電力パラメータテーブル62と、紙種係数テーブル63と、トナー種係数テーブル64と、紙処分係数テーブル65と、CO2排出量管理テーブル66とが記憶されている。
【0048】
ユーザデータベース61には、画像形成装置20の使用を許可されたユーザの情報が記憶されている。たとえば、ユーザ毎に、ユーザIDと、認証情報と、設定情報と、ユーザの使用する端末10(ユーザ端末)のIPアドレスなどが対応付けられて記憶されている。CO2排出量管理テーブル66には、CO2排出量の演算結果を示すデータなどがユーザ毎に記憶管理される。それ以外のテーブルには、CO2排出量の演算に用いる各種のデータが記憶されている。
【0049】
ハードディスク装置26は、各種の保存データや、ユーザの印刷履歴を記憶管理するための印刷履歴テーブル67などを格納するほか、原稿のスキャンやコピーにおいて原稿を読み取って取得された画像データ、端末10から依頼された印刷ジョブに含まれている印刷データ(画像データ)なども保存する。
【0050】
印刷履歴テーブル67は、画像形成装置20がユーザから指示されて実行したコピージョブやユーザの端末10から受信して実行した印刷ジョブの履歴に関する情報をユーザ毎に記憶管理するテーブルである。
【0051】
コピージョブの場合は、ジョブを指示したユーザ(認証ユーザ)のユーザID、ジョブの実行指示を受け付けてCPU21が発行したジョブID、受付日時、状態(実行待ち/実行済/エラー終了など)、実行日時、ユーザの設定した出力モード(出力モード情報)、印刷枚数(枚数情報)などが対応付けられて印刷履歴テーブル67に記憶される。コピージョブの出力モードは、たとえば、印刷を行う記録紙のサイズ(A4/A3など)、片面読み取り片面印刷/片面読み取り両面印刷/両面読み取り片面印刷/両面読み取り両面印刷、集約印刷(Nin1)、モノクロ/カラー、解像度、印刷部数などである。コピージョブによる印刷枚数は、原稿の枚数と、印刷ジョブと同様に出力モードによって変化する。原稿の画像データは、このコピージョブの履歴情報に対応付けられてハードディスク装置26に保存される。
【0052】
印刷ジョブの場合は、ジョブに付加されている端末情報、ユーザID、ドキュメントなどの属性情報、出力モード(出力モード情報)、ジョブの受信時にCPU21が発行したジョブID、受信日時、状態(実行待ち/実行済/エラー終了など)、実行日時、印刷枚数(枚数情報)などが対応付けられて印刷履歴テーブル67に記憶される。印刷ジョブに含まれている印刷データ(画像データ)は、この印刷ジョブの履歴情報に対応付けられてハードディスク装置26に保存される。
【0053】
なお、このハードディスク装置26によるユーザの印刷履歴や画像データの記憶管理は、大容量のデータ記憶装置を備えたサーバなどで行うようにしてもよい。たとえば、図1に示すように、ネットワーク2に接続されたサーバ70が行うなどしてもよい。
【0054】
操作表示部27は、操作画面、設定画面、選択画面、入力画面、CO2排出量表示画面などの各種の画面を表示する表示部としての機能と、画像形成装置20の機能に係る操作、設定、選択、情報の入力などの各種の手動操作を受け付ける操作部としての機能とを果たす。ここでは、表示機能を担う液晶ディスプレイと、該液晶ディスプレイの表面に形成され、押下された座標位置を検出するタッチパネルや、スタートボタン、ストップボタン、テンキー、各種操作スイッチなどで構成される。
【0055】
ユーザ認証部28は、ユーザ認証を行うための認証用データ(認証情報)を取得する機能を果たす。ユーザ認証としては、たとえば、ユーザの所持するID(Identification)カードなどに記憶されている認証用データを接触式または非接触式のカードリーダなどで読み取って、予め登録されている認証情報と照合し個人認証を行うカード認証技術、ユーザの指紋や指静脈などの生体情報を認証用データとして生体認証ユニットなどで読み取って、予め登録されている認証情報と照合し個人認証を行う生体認証技術、ユーザが認証用データとしてのパスワードを操作表示部27から入力して、予め登録されている認証情報と照合し個人認証を行うパスワード認証技術などの汎用の各種の認証技術を単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0056】
スキャナ部29は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。たとえば、原稿を照射する光源と、原稿をその幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に移動させる移動機構と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーからなる光学経路などを備えている。ラインイメージセンサはCCD(Charge Coupled Device)で構成される。ラインイメージセンサが出力するアナログ画像信号はA/D(Analog to Digital)変換され、デジタルの画像データとして出力される。
【0057】
画像処理部30は、端末10から受信した印刷データ(ベクタ形式の印刷データ)に対してラスタライズ処理を施す機能や、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す機能を果たす。さらに、CO2排出量の演算などに用いられる画像データのドット数(画素数)を算出する機能や、画像(画像データ)の類似性を判別する機能も果たす。
【0058】
プリンタ部31は、入力された画像データに対応する画像を電子写真プロセスにより記録紙に形成して出力する機能を果たす。たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0059】
ファクシミリ通信部32は、ファクシミリ機能を備えた外部機器と公衆回線網を通じて通信する機能を果たす。ネットワーク通信部33は、ネットワーク2を通じて端末10やサーバ70などと通信する機能を果たす。消費電力測定部34は、画像形成装置20の図示しない電源に接続されており、印刷動作時などの電力消費量を測定する機能を果たす。
【0060】
図4は、画像形成装置20のCPU21や画像処理部30など、CO2排出量の演算に係る要部の詳細な構成を示すブロック図である。
【0061】
本実施形態では、画像データに基づいて印刷された印刷物の印刷枚数を示す枚数情報と、画像データに関する情報であって、後に印刷される画像データが当該画像データの更新版であるか否かの判断時の比較に使用される更新判断情報とを対応付けてハードディスク装置26に記憶し保存する。そして、印刷指示された画像データが過去に印刷された画像データの更新版であるか否かを、その印刷指示された画像データに関する更新判断情報とハードディスク装置26に記憶されている更新判断情報とを比較して判断し、更新版と判断した場合に、その更新元の画像データに基づいて印刷された印刷物の処分に伴うCO2排出量を、更新元の画像データに関する更新判断情報に対応付けてハードディスク装置26に記憶されている枚数情報に基づいて演算するようにしている。
【0062】
更新判断情報は、画像データの属性情報(ドキュメントのファイル名や更新履歴、画像データのドット数など)や画像データ自体(先頭ページのデータ内容など)などである。印刷指示された画像データが更新版であるか否かの判断(以下では、「更新判断」と略称する場合がある)は、CPU21が単独で行う、または、CPU21と画像処理部30が分担して行う。分担する場合は、画像処理部30が画像データのドット数やデータ内容を比較して画像データの類似判別を行い、その結果に基づいてCPU21が最終的に更新判断を行う。また、CO2排出量の演算はCPU21が行うようになっている。
【0063】
〔装置使用に伴うCO2排出量の演算方法〕
印刷動作時の装置使用に伴うCO2排出量については、印刷で消費された電力、記録紙、トナーといった3つの要素から印刷1枚当たりのCO2排出量を演算するようにしている。以下に演算式を示す。
【0064】
A=α×P+β×S+γ×T ・・・(1)式
A:印刷1枚当たりのCO2排出量[g‐CO2/枚]
α:装置の電源電力を所定単位量(たとえば1kWh)製造するために排出されるCO2排出量[g‐CO2/kWh]⇒「電力係数」
P:印刷1枚当たりの電力消費量[Wh/枚]
β:印刷で使用した種類の所定サイズ(たとえばA4サイズ)の記録紙を1枚製造するために排出されるCO2排出量[g‐CO2/枚]⇒「紙種係数」
S:印刷で使用した記録紙のサイズを換算するための係数⇒「紙サイズ係数」
※たとえば、上記の所定サイズと印刷で使用した記録紙のサイズが共にA4などで同一の場合はS=1とし(A4基準)、同一でない場合はサイズ比(面積比)などに応じた係数を用いる。たとえば、所定サイズがA4で紙サイズがA3の場合はS=2、所定サイズがA4で紙サイズがA5の場合はS=0.5などにしてもよい。
γ:印刷で使用した種類のトナーを所定単位量(たとえば1kg)製造するために排出されるCO2排出量[kg‐CO2/kg]⇒「トナー種係数」
T:印刷1枚当たりのトナー消費量[kg/枚]
【0065】
図4に示すように、CPU21は上記の演算を行う装置使用CO2排出量演算部40を備えている。
【0066】
装置使用CO2排出量演算部40は、印刷1枚当たりの電力消費量によって排出されるCO2排出量(電力消費CO2排出量:α×P)を算出する電力消費CO2算出部41と、印刷1枚当たりの記録紙消費量(消費サイズ)によって排出されるCO2排出量(紙消費CO2排出量:β×S)を算出する紙消費CO2算出部42と、印刷1枚当たりのトナー消費量によって排出されるCO2排出量(トナー消費CO2排出量:γ×T)を算出するトナー消費CO2算出部43と、これらの3つのCO2排出量を積算して印刷1枚当たりのCO2排出量(A)を算出するCO2排出量積算部44とを備えている。印刷1枚当たりのトナー消費量(T)については、画像データのドット数(印刷1枚当たりのドット数)から算出するようにしている。
【0067】
印刷1枚当たりの電力消費量(P)は、消費電力測定部34が測定する。この測定値は、紙サイズや印刷速度によって異なる。図5は、A4機での印刷速度の違いによる電力消費量の一例を示している。たとえば、印刷速度が20枚/分(Copy Per Minute;CPM)の場合は電力消費量が0.0142Wh/枚となり、印刷速度が50枚/分の場合は電力消費量が0.047Wh/枚などとなる。
【0068】
図6は、電力係数(α)が格納されている電力パラメータテーブル62の一例を示している。電力供給源(発電)の種類は、石油火力、太陽光、原子力などである。電力係数は、たとえば、画像形成装置20がネットワーク2上の管理サーバやデータベースなどにアクセスして随時最新の情報に更新される(図4参照)。
【0069】
図7は、A4サイズで換算した紙種係数(β)が格納されている紙種係数テーブル63の一例を示している。記録紙の種類は、上質コート紙、再生上質紙などである。A4以外のサイズを使用する場合には、(1)式で補足説明したように、A4に対するサイズ比の紙サイズ係数(S)を用いて換算する。たとえば、A3は本テーブルの紙種係数×2、A5は本テーブルの紙種係数×0.5などの換算を行う。また、サイズ毎に紙種係数テーブルを用意して使い分ける、あるいは、各サイズの紙種係数を一覧形式で格納した1つの紙種係数テーブルを用いるなどしてもよい。
【0070】
図8は、トナー種係数(γ)が格納されているトナー種係数テーブル64の一例を示している。トナーの種類は、粉砕トナー、重合トナーなどである。
【0071】
単色のトナーのみを使用するモノクロ機などの場合は、トナー種係数はトナー種毎に1つとなる。イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、シアン色(C)、ブラック色(K)などの4色のトナーを使用するカラー機などにおいても、各色のトナー種係数が同一であれば、トナー種係数はトナー種毎に1つでよいことになる。各色のトナー種係数が異なる場合は、トナー種係数はトナー種毎に複数となり、トナー種係数テーブル64にはトナー種毎に複数のトナー種係数が格納される。たとえば、上記4色のトナーのトナー種係数が全て異なる場合は、トナー種係数テーブル64にはトナー種毎に4つのトナー種係数(γy、γm、γc、γkなど)が格納される。この場合は、以下の演算式を用いて演算を行うようにしてもよい。
【0072】
A=α×P+β×S+(γy×Ty+γm×Tm+γc×Tc+γk×Tk) ・・・(1´)式
γy:Yトナーのトナー種係数 Ty:Yトナーのトナー消費量
γm:Mトナーのトナー種係数 Tm:Mトナーのトナー消費量
γc:Cトナーのトナー種係数 Tc:Cトナーのトナー消費量
γk:Kトナーのトナー種係数 Tk:Kトナーのトナー消費量
【0073】
〔印刷物の処分に伴うCO2排出量の演算方法〕
更新版の印刷(再印刷)で不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量については、印刷物(記録紙)を1枚処分するのに伴い排出されるCO2排出量を示す紙処分係数と、印刷物の枚数(印刷枚数=処分枚数)とを乗算して算出するようにしている。
【0074】
印刷物の処分は、廃棄処分(紙資源再生処分)と焼却処分の2種類がある。たとえば、画像形成装置20を設置した企業などが環境ISO(International Organization for Standardization(国際標準化機構))を取得している場合には印刷物が廃棄されて紙資源に再生され、環境ISOを取得していない場合には印刷物が焼却されるなどして処分される。紙処分係数については、この2種類の処分方法に対応する2つの係数(廃棄処分係数/焼却処分係数)を用意し、いずれかを選択するようにしている。以下に、廃棄処分と焼却処分の2つの演算式を示す。
【0075】
B=δ×N ・・・(2)式
B:印刷物の廃棄処分に伴うCO2排出量[g‐CO2]
δ:印刷物1枚当たりの廃棄処分に伴うCO2排出量[g‐CO2/枚]⇒「廃棄処分係数」
N:印刷物の枚数[枚]
【0076】
C=ε×N ・・・(3)式
C:印刷物の焼却処分に伴うCO2排出量[g‐CO2]
ε:印刷物1枚当たりの焼却処分に伴うCO2排出量[g‐CO2/枚]⇒「焼却処分係数」
N:印刷物の枚数[枚]
【0077】
図4に示すように、CPU21はこの演算などを行う紙処分CO2排出量演算部45を備えている。紙処分CO2排出量演算部45は、画像データが更新版であるか否かの判断を行う画像更新判断部46と、印刷物(記録紙)の処分種の識別を行う紙処分種識別部47と、印刷物の処分に伴うCO2排出量(B、C)を算出するCO2排出量算出部48とを備えている。
【0078】
図9は、紙処分係数(δ、ε)が格納されている紙処分係数テーブル65の一例を示している。紙処分の種類は、上記の廃棄処分と焼却処分である。本実施形態では、印刷物の処分に伴うCO2排出量の演算で、紙処分種毎に1つの紙処分係数を用いるようにしている。この紙処分係数は、処分する記録紙のサイズに応じて複数用意し使い分けるようにしたり、基準となる紙サイズの紙処分係数に対してサイズ比などで換算して用いたりするようにしてもよい。換算する場合は、たとえば、本テーブルの紙処分係数がA4サイズで換算されたものである場合には(A4基準)、A3は本テーブルの紙処分係数×2、A5は本テーブルの紙処分係数×0.5などの換算を行うようにしてもよい。
【0079】
また、CPU21は、印刷動作時の装置使用に伴うCO2排出量と、印刷物の処分に伴うCO2排出量とを積算して合計のCO2排出量を算出したり、CO2排出量の月毎の累積値などを個人や全体(管理対象全ユーザ)の単位で算出したりする合計CO2排出量積算部49を備えている。
【0080】
画像更新判断部46による画像データの更新判断は、上述した画像データの属性情報(ファイル名、更新履歴、ドット数など)やデータ内容の他に、印刷を指示したユーザの情報(ユーザID)、画像データの印刷履歴の有無を示すユーザによる入力情報などに基づいて行う。画像データのドット数やデータ内容に基づく判断では、ハードディスク装置26に保存されている過去に印刷した画像データの中に、今回印刷指示された画像データと類似するものが存在しているか否かといった類似判別をそのドット数やデータ内容(先頭ページのデータ内容)に基づいて画像処理部30が行い、この結果に基づいて画像更新判断部46が画像データの更新判断を行う。
【0081】
画像処理部30は、この画像の類似判別やトナー消費量の計算に用いる画像データのドット数を算出するドット数算出部50と、画像の類似判別を行う画像判別部51とを備えている。
【0082】
次に、画像形成装置20の動作について説明する。
【0083】
図10は、画像形成装置20の操作表示部27に表示される環境ISO選択画面150を示している。本画面には、取得済みの選択操作を受け付ける取得済みボタン151と、未取得の選択操作を受け付ける未取得ボタン152と、選択の確定操作を受け付けるOKボタン153とが表示される。
【0084】
ユーザや管理者などは、本画面を通して、自社などの環境ISOの取得状況に応じた取得済みまたは未取得の選択を行う。取得済みを選択した場合は、印刷物の処分の種類が廃棄処分に設定される。未取得を選択した場合は、印刷物の処分の種類が焼却処分に設定される。選択・設定された印刷物の処分の種類を示す紙処分種情報は、不揮発メモリ25に記憶される。
【0085】
図11は、画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示される紙種選択画面160を示している。本画面は、画像形成装置20でコピージョブの出力モードを設定する際に操作表示部27に表示され、端末10で印刷ジョブの出力モードを設定する際に表示部16に表示される。
【0086】
本画面には、印刷に使用する記録紙の種類の選択操作を受け付ける複数の選択ボタン(記録紙が4種類の場合は、4つの選択ボタン161、162、163、164など)と、選択の確定操作を受け付けるOKボタン165とが表示される。ユーザは、本画面を通して、印刷に使用する記録紙の種類の選択を行う。選択された記録紙の種類を示す紙種情報は、出力モードに付加される。
【0087】
印刷に使用する記録紙の種類は、一度選択した種類またはデフォルトの種類などが固定的に設定され、設定を変更する場合のみに本画面(紙種選択画面160)の表示操作を行って選択・設定するようにしてもよい。固定的な設定による場合の紙種情報は、端末10のハードディスク装置15や画像形成装置20の不揮発メモリ25などに保存される。
【0088】
図12は、画像形成装置20による印刷動作とCO2排出量の演算・表示動作の流れを示している。動作の流れは、図12と図4などを用いて説明する。
【0089】
画像形成装置20で原稿のコピーを行う場合には、ユーザは、認証操作、画像形成装置20への原稿のセット、コピーモードの選択や出力モードの設定などを行い、スタートボタンを押下する(コピージョブの実行指示)。画像形成装置20は、この操作を受けるとスキャナ部29で原稿を読み取り画像データを取得する。
【0090】
画像形成装置20でドキュメントのプリントを行う場合には、ユーザは、端末10でログイン操作、ドキュメントの指定や出力モードの設定などを行い、OKボタンなどを押下する(印刷指示操作)。端末10は、この操作を受けると(図4参照)、ユーザID、ドキュメントの属性情報(ファイル名、更新履歴など)、出力モード、ドキュメントの印刷データなどを含む印刷ジョブを画像形成装置20へ送信する。
【0091】
画像形成装置20では(Start)、コピージョブの実行指示を受け付ける、または、端末10から印刷ジョブを受信すると(ステップS101)、CPU21は、そのジョブデータ(履歴情報および画像データ)をハードディスク装置26に保存する(ステップS102)。
【0092】
コピージョブの場合は、CPU21は、ジョブを指示したユーザ(認証ユーザ)のユーザIDと、ジョブID、出力モード、印刷枚数、画像処理部30のドット数算出部50が算出した原稿の画像データのドット数などを対応付けて印刷履歴テーブル67に記憶し、このコピージョブの履歴情報に対応付けて原稿の画像データをハードディスク装置26に保存する。
【0093】
印刷ジョブの場合は(図4参照)、CPU21は、ジョブに含まれているユーザID、ドキュメントのファイル名、更新履歴、出力モードなどと、ジョブID、印刷枚数、画像処理部30がドキュメントの印刷データをラスタライズした画像データに対してドット数算出部50が算出したドット数などを対応付けて印刷履歴テーブル67に記憶し、この印刷ジョブの履歴情報に対応付けてドキュメントの画像データをハードディスク装置26に保存する。
【0094】
印刷枚数については、画像形成装置20内の印刷枚数カウンタによるカウント値を用いる、もしくは、原稿やドキュメントのページ数と出力モードから算出した算出値などを用いてもよい。
【0095】
続いて、CPU21はジョブの出力モードに基づいて画像データの印刷を実行する(ステップS103)。詳細には、プリンタ部31を制御し、画像データに対応する画像を出力モードに基づいて記録紙に形成する動作を印刷枚数分繰り返し、その印刷枚数分の記録紙(印刷物)を排紙トレイに排出する。
【0096】
CPU21の装置使用CO2排出量演算部40は、このジョブの印刷動作における印刷1枚当たりの装置使用に伴うCO2排出量を演算する(ステップS104)。印刷1枚当たりの演算方法は、先頭ページに対する演算値を用いる、あるいは、全ページに対する演算値の合計を印刷枚数で除算した平均値を用いるなどの方法で行う。演算動作の詳細は、処理を簡素化できる前者を例に、図4などを用いて説明する。演算式は、前述した(1)式(または(1´)式)となる。
【0097】
〔装置使用に伴うCO2排出量演算〕
消費電力測定部34は、印刷1枚当たりの電力消費量(P)を測定し、電力消費CO2算出部41に入力する。この電力消費量は、コピージョブの場合には、原稿1ページ目の読み取り開始(スキャン開始信号の入力など)から記録紙1枚目の印刷出力完了(プリント終了信号の入力など)までの動作期間に使用された電力量などとする。印刷ジョブの場合には、記録紙1枚目の給紙開始(プリント開始信号の入力など)から印刷出力完了(プリント終了信号の入力など)までの動作期間に使用された電力量などとする。
【0098】
電力消費CO2算出部41は、電力パラメータテーブル62から電力係数(α)を取得し(図6参照)、電力係数と電力消費量とを乗算(α×P)して算出した印刷1枚当たりの電力消費CO2排出量をCO2排出量積算部44に入力する。
【0099】
紙消費CO2算出部42は、紙種選択画面160(図11参照)による選択操作で出力モードに付加された紙種情報、または、保存されている紙種情報によって示される種類の記録紙に対応する紙種係数(β)を紙種係数テーブル63(図7参照)から取得し、出力モードに付加された紙サイズ情報によって示される紙サイズに対応する紙サイズ係数(S)を乗算(β×S)して算出した印刷1枚当たりの紙消費CO2排出量をCO2排出量積算部44に入力する。
【0100】
画像処理部30のドット数算出部50は、画像データの印刷1枚当たりのドット数となる先頭ページのドット数を算出し、トナー消費CO2算出部43に入力する。トナー消費CO2算出部43は、このドット数から印刷1枚当たりのトナー消費量(T)を算出する。また、トナーカートリッジに付加されているトナー種識別情報などから自動識別した、または、ユーザ設定/管理者設定などから識別した種類のトナーに対応するトナー種係数(γ)をトナー種係数テーブル64(図8参照)から取得し、トナー種係数とトナー消費量とを乗算(γ×T)して算出した印刷1枚当たりのトナー消費CO2排出量をCO2排出量積算部44に入力する。
【0101】
CO2排出量積算部44は、入力された3つのCO2排出量を積算して(α×P+β×1+γ×T)、ジョブの印刷動作における印刷1枚当たりの装置使用に伴うCO2排出量(A)を算出し、この装置使用CO2排出量と、電力消費、紙消費、トナー消費の個々のCO2排出量とを、合計CO2排出量積算部49と操作表示部27とに入力する。合計CO2排出量積算部49は、ユーザIDと、ジョブIDと、入力された4つのCO2排出量とを対応付けてCO2排出量管理テーブル66に記憶する。
【0102】
また、CPU21の紙処分CO2排出量演算部45(画像更新判断部46)は、印刷を実行した画像データが更新されているか否か、詳細には、今回印刷を実行した画像データが過去に印刷を実行した画像データの更新版であるか否かを判断する(図12のステップS105)。更新されていないと判断した場合は(ステップS105;No)、CPU21は操作表示部27を制御し、上記の4つのCO2排出量などを表示して(ステップS108/図14参照)、本動作を終了する(End)。
【0103】
更新されていると判断した場合は(ステップS105;Yes)、CPU21は更新元の印刷物(記録紙)の処分に伴うCO2排出量を演算する(ステップS106)。この更新判断および演算動作の詳細についても、図4などを用いて説明する。更新判断は、コピージョブについては1つの判断方法を例示し、印刷ジョブについては4つの判断方法を例示する。演算式は、前述した(2)式や(3)式となる。
【0104】
〔コピージョブの更新判断〕
コピージョブの場合は、ジョブを指示したユーザの過去のコピージョブの画像データの中に、今回のジョブの画像データと先頭ページの内容が一致するものがある場合には、今回のジョブの画像データはその更新版であると判断し、一致するものがない場合には、今回のジョブの画像データは更新版ではなく新規版などであると判断する。
【0105】
詳細には、画像更新判断部46は、コピージョブを指示したユーザ(認証ユーザ)のユーザIDと画像判別要求信号とを画像処理部30の画像判別部51に送信する。画像判別部51は、これを受けて画像判別を開始し、受信したユーザIDに対応するハードディスク装置26内の画像データの中に、今回のジョブの画像データと先頭ページの内容が一致するものがあるかを検索する。一致するものが見つかった場合には、画像判別部51はその画像データに対応付けて印刷履歴テーブル67内に記憶されているジョブIDと画像類似信号とを画像更新判断部46に送信する。一致するものが見つからなかった場合には、画像判別部51は画像非類似信号を画像更新判断部46に送信する。
【0106】
画像判別部51は、画像非類似信号を受信した場合には、今回のジョブの画像データは更新版ではないと判断する。画像類似信号を受信した場合には、今回のジョブの画像データは受信したジョブIDに対応する画像データの更新版であると判断し、画像更新信号を紙処分種識別部47に入力する。さらに、受信したジョブIDに対応付けて印刷履歴テーブル67内に記憶されている印刷枚数を取得し、CO2排出量算出部48に入力する。
【0107】
〔印刷ジョブの更新判断1〕
印刷ジョブにおける1例目の更新判断では、画像更新判断部46は、ジョブを指示したユーザのユーザID(印刷ジョブに付加されているユーザID)に対応する印刷履歴テーブル67内のファイル名の中に、今回のジョブに含まれているドキュメントのファイル名と一致するものがあるかを検索する。完全に一致するもの、または、一部のみ一致するもの(たとえば、「○○○20080522.xls」VS「○○○20080524.xls」などのように日付以外は一致するようなもの)が見つかった場合には、そのファイル名に対応する印刷履歴テーブル67内の更新履歴(作成日時/更新日時)と、今回のジョブに含まれている更新履歴(作成日時/更新日時)とを比較して更新判断を行う。たとえば、作成日時は同一で、更新日時は印刷履歴テーブル67内のものよりも今回のジョブに含まれているものの方が新しいなどの場合には、今回のジョブの画像データはその完全一致または一部のみ一致したファイル名に対応する画像データの更新版であると判断する。
【0108】
〔印刷ジョブの更新判断2〕
印刷ジョブにおける2例目の更新判断では、画像更新判断部46は、1例目と同様にジョブを指示したユーザの過去のジョブにファイル名の一致するものがあるかを検索する。一部のみ一致するものが見つかった場合には、そのファイル名に対応するジョブIDと画像判別要求信号とを画像処理部30の画像判別部51に送信する。画像判別部51は、これを受けて画像の類似判別を開始し、受信したジョブIDに対応するハードディスク装置26内の画像データの先頭ページと、今回のジョブの画像データと先頭ページとを比較する。
【0109】
双方の内容が一致した場合には、画像更新判断部46に画像類似信号を送信し、双方の内容が一致しない場合には、画像更新判断部46に画像非類似信号を送信する。画像判別部51は、受信した信号がいずれであるかにより、今回のジョブの画像データが上記の一部のみ一致するファイル名に対応する画像データの更新版であるか否かを判断する。
【0110】
〔印刷ジョブの更新判断3〕
印刷ジョブにおける3例目の更新判断は、2例目の更新判断における画像の類似判別を画像データの先頭ページではなくドット数で行うものである。その相違点のみを説明すると、画像判別部51は、画像更新判断部46から受信したユーザIDに対応するハードディスク装置26内の画像データのドット数と、今回のジョブの画像データのドット数とを比較する。ドット数比が所定の閾値(たとえば95%)以上である場合には、画像更新判断部46に画像類似信号を送信し、ドット数比が所定の閾値未満である場合には、画像更新判断部46に画像非類似信号を送信する。
【0111】
この画像の類似判別に用いるドット数は、先頭ページのドット数でもよいし、全ページの総ドット数でもよいし、総ドット数をページ数で除算した1ページ当たりの平均ドット数などでもよい。
【0112】
〔印刷ジョブの更新判断4〕
印刷ジョブにおける4例目の更新判断は、1〜3例目の更新判断において、ジョブを指示したユーザの過去のジョブにファイル名の一致するものが見つからなかった場合などに行うものである。この場合には、画像更新判断部46は、印刷ジョブの送信元の端末10に、ジョブに含まれている画像データが更新版であるか否かの情報提供を依頼する。端末10は、これを受けて表示部16にドキュメント更新確認画面を表示し、ユーザの入力した情報を画像形成装置20に送信する。たとえば、更新版ではないことを示す更新否定情報、または、更新版であることを示す更新肯定情報およびユーザ入力による更新元のファイル名情報などを送信する。
【0113】
画像判別部51は、更新否定情報を受信した場合には、今回のジョブの画像データは更新版ではないと判断する。更新肯定情報を受信した場合には、今回のジョブの画像データは更新版であると判断し、ジョブを指示したユーザのユーザIDに対応する印刷履歴テーブル67内のファイル名の中から、受信した更新元のファイル名情報が示すファイル名と一致するものを特定する。
【0114】
このようなファイル名の一致しないドキュメントの更新版は、たとえば、部署情報ドキュメント(組織図、連絡先一覧など)などのファイル名に部署名を使用していた場合に、部署名が変更となってファイル名を旧部署名から新部署名に変更したような場合(旧部署名「情報技術部」→新部署名「ITソリューショングループ」)や、製品仕様ドキュメントなどのファイル名に製品の試作型番(プロトタイプ名)を使用していた場合に、製品の正式名称が決定してファイル名を試作型番から製品名に変更したような場合(試作型番「PT−X25」→製品名「KMbhC1000」)などが該当する。
【0115】
上述した印刷ジョブにおける4種類の更新判断は、各々を単独で行うようにしてもよく、いずれか2つ以上を組み合わせて行うようにしてもよい。
【0116】
画像判別部51は、今回の印刷ジョブの画像データが更新版であると判断した場合には、コピージョブの場合と同様に、画像更新信号を紙処分種識別部47に入力する。さらに、更新元の画像データに対応付けて印刷履歴テーブル67内に記憶されている印刷枚数を取得し、CO2排出量算出部48に入力する。
【0117】
〔再印刷による印刷物の処分に伴うCO2排出量演算〕
紙処分種識別部47は、画像更新信号の入力を受けて、印刷物(記録紙)の処分種類の識別を開始し、環境ISO選択画面150(図10参照)による選択操作で不揮発メモリ25に記憶された紙処分種情報によって示される種類の処分に対応する紙処分係数(δまたはε)を紙処分係数テーブル65(図9参照)から取得し、CO2排出量算出部48に入力する。
【0118】
CO2排出量算出部48は、紙処分係数と、画像更新判断部46から入力された印刷枚数(N)とを乗算して算出した印刷物の処分に伴うCO2排出量(廃棄処分に伴うCO2排出量はB=δ×N、焼却処分に伴うCO2排出量はC=ε×N)を合計CO2排出量積算部49と操作表示部27とに入力する。合計CO2排出量積算部49は、この紙処分CO2排出量を今回のジョブの更新元となるジョブのジョブIDに対応付けてCO2排出量管理テーブル66に記憶する。以上が更新判断および演算動作の詳細である。
【0119】
そして、CPU21は、更新元のジョブデータ(履歴情報および画像データ)をハードディスク装置26から削除し(図12のステップS107)、操作表示部27を制御して上記の紙処分CO2排出量などを表示し(ステップS108/図15および図16参照)、本動作を終了する(End)。
【0120】
また、印刷ジョブの場合には、画像形成装置20は上述した演算結果などの各種情報をジョブ送信元の端末10に送信する。端末10内のドライバプログラム60は、画像形成装置20から受信した各種情報を表示部16に表示する。
【0121】
〔CO2排出量の演算例〕
以下に、(1)式によるCO2排出量の演算例を示す。
【0122】
・電力消費CO2排出量
印刷速度(CPM)が50枚/分の場合には、図5に示した消費電力測定値例より、印刷1枚当たりの電力消費量(P)は0.041[Wh/枚]となる。図6の電力パラメータテーブル62による電力係数(α)において、電力供給源の比率が石油火力=30%、太陽光=10%、原子力=60%である場合には、印刷1枚当たりの電力消費量によるCO2排出量は、
α×P=(975×0.3+53×0.1+22×0.6)[g‐CO2/kWh]×0.041[Wh/枚]×10−3=0.0099[g‐CO2/枚]
となる。
【0123】
・紙消費CO2排出量
印刷に使用した記録紙がA4サイズの再生上質紙である場合には、図7の紙種係数テーブル63による紙種係数(β)=4.64[g‐CO2/枚]より、印刷1枚当たりの紙消費量によるCO2排出量は、
β×1=4.64[g‐CO2/枚]×1=4.64[g‐CO2/枚]
となる。
【0124】
・トナー消費CO2排出量
トナー種係数(γ)[kg‐CO2/kg]が同一であるY、M、C、Kの4色のトナーを使用するカラー機において、印刷1枚当たり(先頭ページ)のドット数が各色共に100[dot/枚]であり、100[dot]当たりのトナー消費量が0.001[kg/100dot]であり、トナーの種類が重合トナーの場合には、図8のトナー種係数テーブル64による紙種係数(γ)=1.7[kg‐CO2/kg]より、印刷1枚当たりのトナー消費量によるCO2排出量は、
γ×T=1.7[kg‐CO2/kg]×(100[dot/枚]×0.001[kg/100dot]×4)=6.8[g‐CO2/枚]
となる。
【0125】
・装置使用CO2排出量
したがって、上記の3つのCO2排出量を積算した印刷1枚当たりの装置使用に伴うCO2排出量は、
A=0.0099+4.64+6.8=11.45[g‐CO2/枚]
となる。
【0126】
また、このジョブの印刷枚数が10枚である場合には、このジョブの印刷動作における装置使用に伴うCO2排出量は、114.5[g‐CO2]となる。
【0127】
このジョブの画像(原稿/ドキュメント)が更新されて印刷され(再印刷)、更新元の画像の印刷を過去に実行したジョブの印刷枚数も10枚である場合には、その過去のジョブの印刷を実行したときの装置使用に伴うCO2排出量も同じく114.5[g‐CO2]となる。また、その更新元の印刷物が処分される場合のCO2排出量は、以下のようになる。
【0128】
・廃棄処分CO2排出量
図9の紙処分係数テーブル65による廃棄処分係数(δ)=0.014[g‐CO2/枚]、印刷枚数(=処分枚数)=10[枚]より、廃棄処分に伴うCO2排出量は、
B=0.014[g‐CO2/枚]×10[枚]=0.14[g‐CO2]
となる。
【0129】
・焼却処分CO2排出量
図9の紙処分係数テーブル65による焼却処分係数(ε)=0.16[g‐CO2/枚]、印刷枚数(=処分枚数)=10[枚]より、焼却処分に伴うCO2排出量は、
C=0.16[g‐CO2/枚]×10[枚]=1.6[g‐CO2]
となる。
【0130】
・合計CO2排出量
したがって、今回の再印刷のジョブに対応する過去のジョブの装置使用とその印刷物の処分に伴う合計のCO2排出量は、
廃棄処分の場合には、
A+B=114.5+0.14=114.64[g‐CO2]
焼却処分の場合には、
A+C=114.5+1.6=116.1[g‐CO2]
となる。
【0131】
以上がCO2排出量の演算例である。
【0132】
図13は、画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示されるCO2排出量モード選択画面170を示している。本画面には、CO2排出量の画面表示モードの選択操作を受け付ける複数の選択ボタン(画面が3種類の場合は、3つの選択ボタン171、172、173など)と、選択の確定操作を受け付けるOKボタン174とが表示される。ユーザは、本画面を通してCO2排出量の画面表示モードの選択を行う。
【0133】
図14は、画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示される印刷CO2排出量表示画面180を示している。本画面には、ユーザが指示したジョブの印刷1枚当たりの電力消費CO2排出量、紙消費CO2排出量、トナー消費CO2排出量、およびそれらを積算した印刷1枚当たりの装置使用CO2排出量と、印刷枚数と、当該ジョブの印刷動作による装置使用CO2排出量(印刷枚数分の総排出量)と、累積推移グラフ画面の表示操作を受け付ける選択ボタン181と、本画面の表示終了操作を受け付けるOKボタン182などが表示される。ユーザは、本画面により、自分の指示したジョブの装置使用(印刷動作)に伴うCO2排出量を把握することができる。
【0134】
図15は、廃棄処分の場合に画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示される再印刷CO2排出量表示画面190aを示している。本画面には、ユーザが指示したジョブ(再印刷のジョブ)の印刷動作による装置使用CO2排出量(図14の「総排出量」に相当)と、このジョブの更新元となる過去のジョブの印刷動作による装置使用CO2排出量、その更新元の印刷物の廃棄処分に伴うCO2排出量、それらを合計した合計CO2排出量と、再印刷枚数(図14の「印刷枚数」に相当)と、更新元の印刷物の処分枚数と、CO2排出量累積推移グラフ画面の表示操作を受け付ける選択ボタン191と、本画面の表示終了操作を受け付けるOKボタン192などが表示される。ユーザは、本画面により、再印刷を行ったことで不要になった更新元の印刷物の廃棄処分に伴うCO2排出量を把握することができる。
【0135】
図16は、焼却処分の場合に画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示される再印刷CO2排出量表示画面190bを示している。本画面では、上記の廃棄処分の場合に表示される更新元の印刷物の廃棄処分に伴うCO2排出量が焼却処分に伴うCO2排出量に置き換えられて表示が行われる。ユーザは、本画面により、再印刷を行ったことで不要になった更新元の印刷物の焼却処分に伴うCO2排出量を把握することができる。
【0136】
図17は、画像形成装置20の操作表示部27や端末10の表示部16に表示されるユーザ個人のCO2排出量累積推移グラフ画面200を示している。本画面には、ユーザ自身が実行したジョブによる月毎のCO2排出量の累積推移グラフと、本画面の表示終了操作を受け付ける戻るボタン201などが表示される。ユーザは、本画面により、自分が実行したジョブによる月毎のCO2排出量の累積推移を把握することができる。
【0137】
また、図示は省略するが、図13のCO2排出量モード選択画面170における選択ボタン173(「全体CO2排出量」)の選択操作により、所属先における管理対象の全ユーザのCO2排出量を積算した全体CO2排出量などを画面表示することもできる。
【0138】
このように、本実施形態に係る画像形成装置20では、過去に印刷した原稿やドキュメントなどの画像(画像データ)を更新して印刷を行うときには、ユーザが通常と同じ操作で印刷を指示すると、その画像データは過去に印刷した画像データの更新版であるか否かが自動的に判断され、更新版と判断された場合には、その過去に印刷した更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量が自動的に演算されて表示される。これにより、更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量を簡単に把握することができるようになり、そのCO2排出量も考慮したCO2削減の意識向上をユーザに促すなどが可能となる。
【0139】
また、印刷物の処分に伴うCO2排出量の演算および表示では、廃棄処分または焼却処分を選択できるため、利便性が向上する。
【0140】
また、画像形成装置20は、印刷物の処分に伴うCO2排出量と装置使用(印刷動作)に伴うCO2排出量とを累積した累積CO2排出量を月毎などの単位で管理し、その累積CO2排出量をCO2排出量表示画面(再印刷CO2排出量表示画面190a、190bやCO2排出量累積推移グラフ画面200など)に表示する。これにより、ユーザは月毎などの累積CO2排出量を把握でき、CO2排出量削減の自己管理などが行いやすくなる。
【0141】
また、更新版の印刷による印刷物の印刷枚数と、それに伴い処分となる更新元の印刷物の処分枚数とは、ページ数や出力モードの相違などによって一致しない場合もある。たとえば、更新に伴いページ数に増減が生じた場合や、片面印刷/両面印刷、集約印刷、印刷ページ指定、印刷部数などの条件が再印刷と過去の印刷とで異なる場合などである。出力モードを変更する具体例は、草稿版は両面印刷や2in1印刷などで確認し、正式版は片面印刷や1in1印刷などで保存するような場合や、更新したページのみを指定して印刷し差し替えるような場合や、草稿版は確認用に部数1で印刷し、正式版は配布用に複数部数で印刷したりするような場合などである。
【0142】
本実施形態の画像形成装置20は、ジョブ毎に印刷枚数を記憶管理しているので、このような更新版の印刷物の印刷枚数と更新元の印刷物の処分枚数の不一致にも対応することができる。すなわち、更新版の印刷を行うことで不要となる更新元の印刷物の処分に伴うCO2排出量は、その更新元の印刷物を印刷したときの印刷枚数を用いて演算するため正確な値を算出することができる。
【0143】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0144】
たとえば、更新判断情報と対応付けて記憶する印刷物の枚数情報は、実施の形態で説明した印刷枚数を直接的に示す情報に限らず、印刷枚数を算出できる情報(印刷枚数を間接的に示す情報)で構成するようにしてもよい。
【0145】
このような情報は、コピージョブの場合には、原稿の枚数を示す原稿枚数情報と、出力モードを示す出力モード情報などによって構成することができる。出力モードの詳細は、実施の形態で説明した片面読み取り片面印刷/片面読み取り両面印刷/両面読み取り片面印刷/両面読み取り両面印刷、集約印刷、印刷部数などである。印刷ジョブの場合には、ドキュメントなどのページ数を示すページ数情報と、出力モードを示す出力モード情報などによって構成することができる。出力モードの詳細は、実施の形態で説明した片面印刷/両面印刷、集約印刷、印刷ページ指定、印刷部数などである。
【0146】
上述した実施の形態では、これらの情報を更新判断情報と対応付けてジョブ毎に記憶管理しているので、印刷枚数を直接的に示す印刷情報を記憶管理しなくとも、これらの情報に基づいてジョブ毎の印刷物の印刷枚数(処分枚数)を算出することができる。
【0147】
画像処理部30の画像判別部51による画像の類似判別では、画像データのドット数やデータ内容(先頭ページ)に基づいて判別を行う例を説明したが、この他に、画像データのサイズなどに基づいて判別を行うようにしてもよい。印刷ジョブの場合は、印刷データのサイズがジョブに付加されているため、CPU11の画像更新判断部46などがその情報に基づいて直接更新判断を行うようにしてもよい。
【0148】
また、画像データの先頭ページのドット数やデータ内容を比較する構成においては、画像形成装置20内に全データを保存せず、最低限必要なその先頭ページのデータのみを保存するようにしてもよい。
【0149】
再印刷によるCO2排出量の演算および表示(再印刷CO2排出量表示画面190a、190b)では、廃棄処分と焼却処分のうち選択・設定したいずれか一方のCO2排出量のみを演算して表示するようにしているが、両方を演算して表示するようにしてもよい。この場合は、演算結果の表示後に、予め選択・設定されている処分種のCO2排出量のみを自動的に累積演算に用いたり、ユーザによって手動選択された処分種のCO2排出量のみを累積演算に用いたりするなどしてもよい。
【0150】
装置使用に伴うCO2排出量の演算方法や表示形態などは、実施の形態で説明したものに限らず、背景技術で説明した特許文献1(特開2008−109345号公報)に記載されている演算方法や表示形態などを用いたり、上述した実施の形態とは異なる内容を加えたりするようにしてもよい。たとえば、装置使用に伴うCO2排出量の演算は、特許文献1に記載されているように、画像形成装置の待機中、節電中、ウォームアップ中など使用者の不確定な状態の電力消費によるCO2排出量や、定着ユニット、給紙ローラユニット、プロセスユニットなどの各種の交換ユニットの消費(交換)によるCO2排出量、記録紙のジャムによるトラブルなども加味して行うようにしてもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態では画像形成装置20がCO2排出量演算システムとしての機能を備えた構成で説明したが、このCO2排出量演算システムは画像形成装置単体に備えた構成に限らない。図1に例示するネットワーク2に接続されたサーバ70などが備えるようにしてもよく、画像形成装置とサーバなどに分けて備え、CO2排出量演算システムとしての機能を画像形成装置とサーバなどが連携(分担)して行うようにしてもよい。実施の形態で説明したように、端末10から実行を指示する印刷ジョブの場合には、端末10の表示部16がCO2排出量の演算結果を表示する表示部としての機能を果たすようにしてもよい。
【0152】
また、本発明に係る画像形成装置は実施の形態で説明した複合機に限らず、複写機やプリンタ機など他の画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0153】
2…ネットワーク
5…ネットワークプリンタシステム
10…端末(PC)
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…ハードディスク装置
16…表示部
17…操作部
18…ネットワーク通信部
20…画像形成装置(MFP)
21…CPU
22…バス
23…ROM
24…RAM
25…不揮発メモリ
26…ハードディスク装置
27…操作表示部
28…ユーザ認証部
29…スキャナ部
30…画像処理部
31…プリンタ部
32…ファクシミリ通信部
33…ネットワーク通信部
34…消費電力測定部
40…装置使用CO2排出量演算部
41…電力消費CO2算出部
42…紙消費CO2算出部
43…トナー消費CO2算出部
44…CO2排出量積算部
45…紙処分CO2排出量演算部
46…画像更新判断部
47…紙処分種識別部
48…CO2排出量算出部
49…合計CO2排出量積算部
50…ドット数算出部
51…画像判別部
60…ドライバプログラム
61…ユーザデータベース
62…電力パラメータテーブル
63…紙種係数テーブル
64…トナー種係数テーブル
65…紙処分係数テーブル
66…CO2排出量管理テーブル
67…印刷履歴テーブル
70…サーバ
150…環境ISO選択画面
151…取得済みボタン
152…未取得ボタン
153…OKボタン
160…紙種選択画面
161、162、163、164…選択ボタン
165…OKボタン
170…CO2排出量モード選択画面
171、172、173…選択ボタン
174…OKボタン
180…印刷CO2排出量表示画面
181…選択ボタン
182…OKボタン
190a、190b…再印刷CO2排出量表示画面
191…選択ボタン
192…OKボタン
200…CO2排出量累積推移グラフ画面
201…戻るボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて印刷された印刷物の枚数情報と、前記画像データに関する情報であって、後に印刷される画像データが当該画像データの更新版であるか否かの判断時の比較に使用される更新判断情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
印刷指示された画像データが過去に印刷された画像データの更新版であるか否かを、前記印刷指示された画像データに関する更新判断情報と前記記憶部に記憶されている更新判断情報とを比較して判断し、更新版と判断した場合に、その更新元の画像データに基づいて印刷された印刷物の処分に伴うCO2排出量を、前記更新元の画像データに関する更新判断情報に対応付けて前記記憶部に記憶されている枚数情報に基づいて演算する制御部と、
を備えたCO2排出量演算システム。
【請求項2】
前記更新判断情報は、前記画像データの属性情報と、前記画像データのうちの少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のCO2排出量演算システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記演算を、前記印刷物1枚当たりの前記処分に伴うCO2排出量を示す処分係数と前記枚数情報とを乗算することで行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のCO2排出量演算システム。
【請求項4】
前記処分は、前記印刷物を廃棄する廃棄処分と、前記印刷物を焼却する焼却処分とを含み、
前記制御部は、前記印刷物1枚当たりの前記廃棄処分に伴うCO2排出量を示す廃棄処分係数と前記枚数情報とを乗算する第1の演算と、前記印刷物1枚当たりの前記焼却処分に伴うCO2排出量を示す焼却処分係数と前記枚数情報とを乗算する第2の演算とのうちの少なくとも一方を行う
ことを特徴とする請求項3に記載のCO2排出量演算システム。
【請求項5】
前記第1の演算と前記第2の演算とのうちのいずれの演算を行うかの選択を受け付ける選択部を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のCO2排出量演算システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記印刷指示された画像データに基づいて前記印刷を行った画像形成装置の使用に伴う装置使用CO2排出量を演算し、所定期間に演算した前記装置使用CO2排出量と前記処分に伴うCO2排出量とを累積した累積CO2排出量を演算する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システム。
【請求項7】
前記演算の結果が表示される表示部を備える
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載のCO2排出量演算システムと、
前記印刷指示された画像データに基づいて前記印刷を実行し前記印刷物を排出する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−201654(P2010−201654A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47307(P2009−47307)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】