説明

CTLA4抗体とホルモン治療を用いた前立腺癌の治療

【課題】副作用の減少した前立腺癌の治療方法の提供。
【解決手段】抗CTLA4抗体またはその抗原結合部分、特にヒトCTLA4に対するヒト抗体、例えば、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ(または、11.2.1としても知られている)、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブ(または、MDX−010、および、10D1としても知られている)と、ホルモン治療とを組み合わせて投与することを含む。ホルモン治療剤としては、特に、抗アンドロゲン(例えばメゲストロール、シプロテロン、フルタミド、ニルタミド、および、ビカルタミド)、GnRHアンタゴニスト(例えばアバレリクスおよびヒストレリン)、および、LH−RHアゴニスト(例えばロイプロリド、ゴセレリン、および、ブセレリン)が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、前立腺癌は、有効な治療がないため、二番目に一般的な男性のガンでの死亡原因である。臨床学的に限局性の前立腺癌の根本的な前立腺切除術を受けた男性のうち約3分の1は、5年以内に再発性の前立腺癌に対する治療を必要とする(Syed等,Urol.Oncol.21:235〜243(2003年))。生化学的に再発している(すなわち、外科手術後または放射線治療後にそれらの前立腺に特異的な抗原[PSA]レベルが増加している)患者はさらに、ホルモン治療(HT、また、本明細書では、「アンドロゲン抑制治療」、「アンドロゲン除去治療」、および、「抗アンドロゲン治療」ともいう)を受ける。あるいは、ホルモン治療は、転移性の病気の臨床的な証拠が現れるまで遅らせてもよい。最終的には、患者の大半は、ホルモン治療では効果がなく、多くはガンの進行によって死亡すると予想される。従って、ホルモン治療などの進歩にもかかわらず、長い間切実で、未だ満たされていない新規の前立腺癌の治療方法の必要性がある。
【0002】
現在の抗ガン剤は、ガン細胞の成長と分裂を阻害し、最終的には悪性細胞を破壊する多種多様なメカニズムによって作用する。しかしながら、これらの細胞毒性物質は一般的に、新生細胞に選択的ではないため、正常な細胞を破壊し、生理学的な機能を崩壊させ、多くの場合、逆効果を伴う。ガン治療の代替アプローチは、患者自身の免疫系が腫瘍を攻撃し、同時に非腫瘍細胞には寛容になるような、腫瘍そのものではなく免疫系を標的とするアプローチである(「免疫治療」)。
【0003】
ガン免疫治療アプローチの一つは、活性化T細胞で発現される細胞表面受容体である、細胞傷害性Tリンパ球結合型の抗原4(CTLA4;CD152)を標的とするものである。動物モデルにおいて、CTLA4の天然リガンドであるB7.1(CD80)およびB7.2(CD86)へのCTLA4の結合は、負の調節因子シグナルをT細胞へ運搬し、この負のシグナルをブロックし、T細胞の免疫機能と抗腫瘍活性の上昇を生じさせる(ThompsonおよびAllison Immunity 7:445〜450(1997年);McCoyおよびLeGros Immunol.& Cell Biol.77:1〜10(1999年))。数々の研究によれば、CTLA4を抗体を用いて封鎖し、T細胞介在の腫瘍の死滅を著しく増大させ、抗腫瘍免疫性を誘導し得ることが実証されている(Leach等,Science 271:1734〜1736(1996年);Kwon等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:8099〜8103(1997年);Kwon等,Natl.Acad.Sci.USA 96:15074〜15079(1999年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抗CTLA4抗体はガン治療において多大な将来性を有しているが、このような抗体を用いて腫瘍を治療し、かつ現行の化学治療の細胞毒性の副作用を減少させるための新規の免疫治療を開発することが長い間切望されている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前立腺癌の治療が必要な患者における、前立腺癌の治療方法を含む。本方法は、a)所定量のホルモン治療剤、および、b)ヒトCTLA4と結合する所定量の抗体またはそれらの抗原結合部分を患者に投与することを含み、ここにおいて、前記ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に前記抗体またはそれらの部分の1回目の投与が行われ、そしてここで、前記量は、併用して前記治療に有効な量である。
【0006】
一実施形態において、前記抗体またはそれらの部分は、前記ホルモン治療剤の投与から2日以上おいて投与される。
【0007】
他の実施形態において、前記抗体またはそれらの部分は、前記ホルモン治療剤の投与から21日以内に投与される。
【0008】
さらなる実施形態において、前記ホルモン治療剤の投与は、前記抗体またはそれらの部分の1回目の投与の前に終わらせる。
【0009】
さらに他の実施形態において、前記ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される。
【0010】
他の実施形態において、前記ガンは、ホルモン依存性のガン、および、ホルモン非依存性のガンから選択される。
【0011】
一実施形態において、前記ガンは、ホルモン非依存性であり、前記ホルモン治療の投与は、前記抗体またはそれらの部分の1回目の投与の前に終わらせる。
【0012】
他の実施形態において、前記抗体は、28日毎に約10mg/kgを投与すること、および、3ヶ月毎に約15mg/kgを投与することから選択される処方計画に従って投与される。
【0013】
他の実施形態において、前記抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分は、
(a)約10-8またはそれ以上のCTLA4への結合親和性を有し、かつ、CTLA4とB7−1との結合、および、CTLA4とB7−2との結合を阻害するヒト抗体;
(b)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ(ticilimumab)、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブ(ipilimumab)からなる群より選択される抗体由来のCDR配列に相当するヒトCDR配列の少なくとも1種を含むアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(c)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(d)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(e)CTLA4との結合に関して、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の抗体と競合する抗体またはそれらの抗原結合部分;および
(f)CTLA4との結合に関して、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の抗体と交差競合(cross-compete)する抗体またはそれらの抗原結合部分、
からなる群より選択される少なくとも1種の抗体である。
【0014】
他の実施形態において、前記抗体は、抗体チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有するヒト抗体である。
【0015】
さらに他の実施形態において、前記抗体は、重鎖および軽鎖を含み、ここにおいて、前記重鎖の重鎖可変領域と、前記軽鎖の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列、および、配列番号9に記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列、および、配列番号21に記載のアミノ酸配列;
(c)配列番号27に記載のアミノ酸配列、および、配列番号33に記載のアミノ酸配列;
(d)配列番号1に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号7に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(e)配列番号13に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号19に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(f)配列番号25に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号31に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(g)抗体イピリムマブの重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列、
からなる群より選択される。
【0016】
一実施形態において、前記抗体またはそれらの抗原結合部分は、
(a)配列番号4、配列番号5および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号10、配列番号11および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;
(b)配列番号16、配列番号17および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号22、配列番号23および配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;
(c)配列番号28、配列番号29および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号34、配列番号35および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;および
(d)抗体イピリムマブの重鎖CDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、抗体イピリムマブの軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体、
からなる群より選択される抗体である。
【0017】
本発明は、ホルモン非依存性の前立腺癌の治療が必要な患者における、ホルモン非依存性の前立腺癌の治療方法を含む。本方法は、患者に、ヒトCTLA4と結合する所定量の抗体またはそれらの抗原結合部分、および、所定量のホルモン治療剤を投与することを含み、ここにおいて、ホルモン治療剤は、1ヶ月より長い期間、複数回の用量で投与され、前記抗体またはそれらの部分は、ホルモン治療剤の投与期間中に投与され、前記量は、併用して前記治療に有効な量である。
【0018】
一実施形態において、前記ホルモン治療剤は、2ヶ月より長い期間にわたり投与される。
【0019】
他の実施形態において、本方法は、ホルモン治療剤の投与期間とオーバーラップする1ヶ月より長い期間にわたり、前記抗体またはそれらの部分の複数回の用量を投与することをさらに含む。
【0020】
他の実施形態において、前記抗体またはそれらの部分の投与期間、および、前記ホルモン治療剤の投与期間は、2ヶ月より長くオーバーラップする。
【0021】
さらに他の実施形態において、前記抗体またはそれらの部分の複数回の用量、および、前記ホルモン治療剤の投与期間は、6ヶ月より長くオーバーラップする。
【0022】
本発明は、ホルモン依存性の前立腺癌の治療が必要な患者における、ホルモン依存性の前立腺癌の治療方法を含む。本方法は、前記患者に、治療有効量の抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分と、治療有効量の少なくとも2種のホルモン治療剤とを同時投与することを含み、ここにおいて、前記ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される。
【0023】
一実施形態において、前記抗アンドロゲンはビカルタミドであり、前記アゴニストはロイプロリドである。
【0024】
本発明は、前立腺癌を治療するための医薬組成物を含む。本組成物は、治療有効量の抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分、および、治療有効量の少なくとも2種のホルモン治療剤を含み、ここにおいて、前記ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される。
【0025】
図面の簡単な説明
前述の要約、同様に、以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と共に読めばさらによく理解できるであろう。本発明を説明する目的で、図面に、現時点で好ましい実施形態を示す。しかしながら、当然ながら本発明は、示された正確な配置や手段に限定されない。
【0026】
図面は以下の通りである:
図1は、図1A〜1Dからなり、抗CTLA4抗体4.1.1に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。図1Aは、4.1.1重鎖に関する全長ヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。図1Bは、4.1.1重鎖全長アミノ酸配列(配列番号2)、および、角括弧「[ ]」で示された4.1.1重鎖可変領域に関するアミノ酸配列(配列番号3)を示し、シグナルペプチド配列は、「[」括弧の外側のアミノ末端で示される。4.1.1重鎖CDRのアミノ酸配列はそれぞれ下線で示される。CDR配列は以下の通り:CDR1:GFTFSSHGMH(配列番号4);CDR2:VIWYDGRNKYYADSV(配列番号5);およびCDR3:GGHFGPFDY(配列番号6)。図1Cは、4.1.1軽鎖に関するヌクレオチド配列(配列番号7)を示す。図1Dは、全長4.1.1軽鎖のアミノ酸配列(配列番号8)、および、角括弧「[ ]」で示された可変領域のアミノ酸配列(配列番号9)を示し、シグナルペプチド配列は、「[」括弧の外側のアミノ末端で示される。各CDRのアミノ酸配列は、以下の通りに示される:CDR1:RASQSISSSFLA(配列番号10);CDR2:GASSRAT(配列番号11);およびCDR3:QQYGTSPWT(配列番号12)。
【0027】
図2は、図2A〜2Dからなり、抗CTLA4抗体4.13.1に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。図2Aは、4.13.1重鎖に関する全長ヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。図2Bは、4.13.1重鎖に関する全長アミノ酸配列(配列番号14)、および、角括弧「[ ]」で示された4.13.1重鎖可変領域に関するアミノ酸配列(配列番号15)を示す。4.13.1重鎖CDRのアミノ酸配列はそれぞれ下線で示される。CDR配列は、以下の通り:CDR1:GFTFSSHGIH(配列番号16);CDR2:VIWYDGRNKDYADSV(配列番号12);および、CDR3:VAPLGPLDY(配列番号18)。図2Cは、4.13.1軽鎖に関するヌクレオチド配列(配列番号19)を示す。図2Dは、全長4.13.1軽鎖のアミノ酸配列(配列番号20)、および、角括弧「[ ]」で示された可変領域のアミノ酸配列(配列番号21)を示す。各CDRのアミノ酸配列は、以下の通りに示される:CDR1:RASQSVSSYLA(配列番号22);CDR2:GASSRAT(配列番号23);および、CDR3:QQYGRSPFT(配列番号24)。
【0028】
図3は、図3A〜3Dからなり、抗CTLA4抗体11.2.1(ここにおいては、チシリムマブと称される)に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。図3Aは、11.2.1重鎖に関する全長ヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。図3Bは、11.2.1重鎖に関する全長アミノ酸配列(配列番号26)、および、角括弧「[ ]」で示された11.2.1重鎖可変領域に関するアミノ酸配列(配列番号27)を示す。各11.2.1重鎖CDRのアミノ酸配列は下線で示される。CDR配列は、以下の通り:CDR1:GFTFSSYGMH(配列番号28);CDR2:VIWYDGSNKYYADSV(配列番号29);および、CDR3:DPRGATLYYYYYGMDV(配列番号30)。図3Cは、11.2.1軽鎖に関するヌクレオチド配列(配列番号31)を示す。図3Dは、全長11.2.1軽鎖のアミノ酸配列(配列番号32)、および、角括弧「[ ]」で示された可変領域のアミノ酸配列(配列番号33)を示す。各CDRのアミノ酸配列は、以下の通りに示される:CDR1:RASQSINSYLD(配列番号34);CDR2:AASSLQS(配列番号35);および、CDR3:QQYYSTPFT(配列番号36)。
【0029】
図4は、抗体とホルモン治療を併用したネオアジュバント治療の、前立腺組織に対する作用を実証する写真を示す。
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、様々な実施形態において、前立腺癌の治療が必要な患者において前立腺癌を治療するための、抗CTLA4抗体と、少なくとも1種のホルモン治療剤との併用に関する。
【0031】
本発明に関して用いられる科学および技術用語は、特に他の定義がない限り、一般的に当業者に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって特に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般的に、本発明で説明される、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびに、タンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して用いられる専門語、およびそれらの技術は、当業界周知で、一般的に使用されるものである。
【0032】
本発明の方法および技術は通常、特に他の指定がない限り、当業界周知の方法に従って、さらに、本明細書中で引用され、考察された様々な一般的でより特定の参考文献で説明されているように行われる。このような参考文献としては、例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning,A Laboratory Approach,コールドスプリングハーバープレス(Cold Spring Harbor Press),コールドスプリングハーバー,ニューヨーク州(2001年),Ausubel等,Current Protocols in Molecular Biology,ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク州(2002年)、および、Harlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),コールドスプリングハーバー,ニューヨーク州(1990年)が挙げられ、これらは、参照により本発明に加入させる。酵素反応および精製技術は、製造元の説明書に従って、当業界で通常行われるように、または、本発明で説明されているように行われる。本発明で説明される分析化学、合成有機化学、ならびに、医薬品化学および製薬化学に関して用いられる専門語、および、それらの実験手法および技術は、当業界周知であり、一般的に使用されるものである。化学合成、化学的な解析、医薬製造、製剤および運搬、ならびに、患者の治療に関しては、標準的な技術が用いられる。
【0033】
本明細書で用いられる以下の用語はそれぞれ、この章においてそれに関連する意味を有する。
【0034】
本発明において、冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の対象物が1つであること、または、1より多いこと(すなわち、少なくとも1つであること)を意味するものとして用いられる。一例として、「構成要素(an element)」は、1つの構成要素、または、1より多くの構成要素を意味する。
【0035】
本明細書で用いられるように、20種の所定のアミノ酸とそれらの略語は、従来の慣用法に従う。Immunology−A Synthesis(第二版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991年))を参照(参照により本発明に加入させる)。
【0036】
「保存的なアミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有するその他のアミノ酸残基で置換されているものである。一般的に、保存的なアミノ酸置換は、タンパク質の機能的な特性を実質的に変化させないと予想される。2またはそれ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、配列同一性のパーセントまたは類似性の度合いは、置換の保存的な性質を補正するために調節して高めることもできる。このような調節をする手段は当業者周知である。例えば、Pearson,Methods Mol.Biol.243:307〜31(1994年)を参照。
【0037】
類似の化学的特性を有する側鎖を含むアミノ酸群の例としては、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、および、イソロイシン;2)脂肪族−ヒドロキシル側鎖:セリン、および、スレオニン;3)アミドを含む側鎖:アスパラギン、および、グルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、および、トリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、および、ヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸、および、グルタミン酸;および、7)硫黄を含む側鎖:システイン、および、メチオニンが挙げられる。好ましい保存的なアミノ酸置換群は、以下の通りである:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、および、アスパラギン−グルタミン。
【0038】
あるいは、保存的な交換は、Gonnet等,Science 256:1443〜45(1992年)(参照により本発明に加入させる)で開示されたPAM250の対数尤度の行列において正の値を有するあらゆる変化である。「適度に保存的な」置換は、PAM250の対数尤度の行列において負ではない値を有するあらゆる変化である。
【0039】
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させる置換、(2)酸化に対する感受性を減少させる置換、(3)タンパク質複合体を形成する結合親和性を改変する置換、および、(4)このような類似体のその他の物理化学的または機能的な特性を与えるか、または改変する置換である。置換、欠失および/または挿入を含む類似体は、特定のペプチド配列以外の配列の、様々な突然変異タンパク質を含んでもよい。例えば、単一の、または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的なアミノ酸置換)を、特定の配列中に(好ましくは、分子間の接触を形成するドメインの外側、例えばCDRの外側のポリペプチドの一部において)作製することができる。保存的なアミノ酸置換は、もとの配列の構造的な特徴を実質的に変化させてはならない(例えば、置換アミノ酸は、もとの配列で生じるへリックスを破断したり、もとの配列に特徴的なその他の型の2次構造を崩壊させたりする傾向があってはならない)。当分野で認識されているポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編,W.H.FreemanおよびCompany,ニューヨーク(1984年));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編,Garland Publishing,ニューヨーク,ニューヨーク州(1991年));およびThornton等,Nature 354:105(1991年)で説明されており、これらはいずれも、参照により本発明に加入させる。
【0040】
ポリペプチドに関する配列類似性は、典型的には、配列解析ソフトウェアを用いて測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、様々な置換、欠失およびその他の改変(例えば保存的なアミノ酸置換)に割り当てられた類似性の指標を用いて、類似の配列を適合させる。例えば、ジェネティックス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group,GCG,ジェネティックス・コンピューター・グループ社より入手可能)は、ウィスコンシンパッケージともいい、これは、ヌクレオチドおよびタンパク質配列にアクセスし、これを解析し、捜査するための130を超えるプログラムからなる統合型ソフトウェアパッケージである。GCGは、「ギャップ(Gap)」および「ベストフィット(Bestfit)」のようなプログラムを含み、これらのプログラムは、デフォルトパラメーターで用いて、異なる生物種由来の相同ポリペプチドのような極めて関連の高いポリペプチド間、または、野生型タンパク質とそれらの突然変異蛋白質との間の配列類似性、相同性および/または配列同一性を決定することができる。例えば、GCGバージョン6.1、バージョン9.1、および、バージョン10.0を参照。
【0041】
ポリペプチド配列はまた、FASTAを用いて、デフォルトパラメーターまたは推奨パラメーターを用いて比較することもでき、;GCGバージョン6.1.FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)に含まれるプログラムは、クエリーと検索配列との間で最もオーバーラップする領域のアライメントと配列同一性パーセントを提供する(Pearson,Methods Enzymol.183:63〜98(1990年);Pearson,Methods Mol.Biol.132:185〜219(2000年))。本発明の配列を異なる生物由来の多数の配列を含むデータベースと比較する際のその他の好ましいアルゴリズムは、デフォルトパラメーターを用いた、コンピュータープログラムBLAST、特にblastp、または、tblastnである。例えば、Altschul等,J.Mol.Biol.215:403〜410(1990年);Altschul等,Nucleic Acids Res.25:3389〜402(1997年)を参照;参照により本発明に加入させる。
【0042】
インタクト「抗体」は、ジスルフィド結合で相互に連結された少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖を含む。一般的に、Fundamental Immunology,第7章(Paul,W.編,第二版,ラーベン・プレス(Raven Press),ニューヨーク州(1989年))を参照(全目的に関して、参照によりその全体が開示に含まれる)。重鎖はそれぞれ、重鎖可変領域(HCVRまたはVH)と、重鎖定常領域(CH)で構成されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3で構成されている。軽鎖はそれぞれ、軽鎖可変領域(LCVRまたはVL)と、軽鎖定常領域で構成されている。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLで構成されている。VHおよびVL領域はさらに、超可変性領域に分けることができ、この超可変性領域は相補性決定領域(CDR)といい、そこには、もっと保存されたフレームワーク領域(FR)という領域が点在している。VHとVLはそれぞれ、アミノ末端からカルボキシル末端へ、以下の順番で配置された3つのCDRと4つのFR(FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4)で構成される。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,ベセスダ,メリーランド州(1987年、および、1991年))、または、Chothia&Lesk,J.Mol.Biol.196:901〜917(1987年);Chothia等,Nature 342:878〜883(1989年)の定義に従う。
【0043】
本明細書で用いられる、抗体の「抗原結合部分」(または、単に「抗体の部分」)という用語は、抗原(例えばCTLA4)に特異的に結合する能力を保持した1またはそれ以上の抗体フラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって行うことができることが示されている。抗体の用語「抗原結合部分」に包含される結合フラグメントの例としては、以下が挙げられる:(i)Fabフラグメント、これは、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価のフラグメントである;(ii)F(ab’)2フラグメント、これは、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む2価のフラグメントである;(iii)Fdフラグメント、これは、VHおよびCH1ドメインからなる;(iv)Fvフラグメント、これは、単一の抗体アームのVLおよびVHドメインからなる、(v)dAbフラグメント(Ward等,(1989年)Nature 341:544〜546)、これは、VHドメインからなる;および、(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLとVHは、別個の遺伝子によってコードされているが、組換え方法を用いて、これらを合成リンカーによって連結させて一つのタンパク質鎖とすることができ、VLおよびVH領域が対を形成して1価の分子(単鎖Fv(scFv)としても知られている)を形成する;例えば、Bird等,Science 242:423〜426(1988年)、および、Huston等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879〜5883(1988年))を参照。このような単鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものとする。二重特異性抗体のような、単鎖抗体のその他の形態もまた包含される。二重特異性抗体は、2価の二重特異性を有する抗体であり、それにおいて、VHおよびVLドメインは、単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上で2つのドメイン間で対形成されるには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインに、他方の鎖の相補ドメインと対を形成させ、2つの抗原結合部位を形成する(例えば、Holliger等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444〜6448(1993年);Poljak等,Structure 2:1121〜1123(1994年)を参照)。
【0044】
さらにその上、抗体またはそれらの抗原結合部分は、抗体または抗体の部分と、1またはそれ以上のその他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合によって形成されたより大きい免疫接着分子の一部であってもよい。このような免疫接着分子の例として、ストレプトアビジンのコア領域の使用が挙げられ、それにより、四量体のscFv分子が形成され(Kipriyanov等,Human Antibodies and Hybridomas 6:93〜101(1995年))、さらに、システイン残基、マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグの使用が挙げられ、それにより、2価、および、ビオチン化したscFv分子が形成される(Kipriyanov等,Mol.Immunol.31:1047〜1058(1994年))。その他の例としては、抗体からの1またはそれ以上のCDRが、共有結合または非共有結合のいずれかによって分子に包含されることが挙げられ、それにより、その分子を、対象の抗原(例えばCTLA4)に特異的に結合する免疫接着分子(immunoadhesin)にすることができる。このような実施形態において、CDRは、より大きいポリペプチド鎖の一部として包含されていてもよいし、共有結合でその他のポリペプチド鎖に連結されていてもよいし、または、非共有結合で包含されていもよい。FabおよびF(ab’)2フラグメントのような抗体部分は、従来の技術を用いて、抗体全体から製造することができ、例えば抗体全体のパパインまたはペプシン消化によって製造することができる。その上、抗体、抗体部分および免疫接着分子は、本発明で説明されているような標準的な組換えDNA技術を用いて得てもよい。
【0045】
本明細書において、本発明に関連して「抗体」という場合、当然ながら、それらの抗原結合部分も用いることができると理解される。抗原結合部分は、インタクト抗体と特異的結合で競合する。一般的に、Fundamental Immunology,第7章(Paul,W.編,第二版,ラーベン・プレス,ニューヨーク州(1989年))を参照してもよい(全目的に関して、参照によりその全体が開示に含まれる)。抗原結合部分は、組換えDNA技術、または、酵素的もしくは化学的なインタクト抗体の切断によって生産してもよい。いくつかの実施形態において、抗原結合部分としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、dAb、および、相補性決定領域(CDR)フラグメント、単鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重特異性抗体、および、ポリペプチドへの特異的な抗原結合を可能にするのに十分な抗体部分の少なくとも一部を含むポリペプチドが挙げられる。1またはそれ以上の結合部位を有する実施形態において、結合部位は、互いに同一であってもよいし、または、異なっていてもよい。
【0046】
本発明において同じ意味で用いられる用語「ヒト抗体」または「ヒト配列抗体」としては、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から誘導された可変領域および定常領域(存在する場合)を有する抗体が挙げられる。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされたものではないアミノ酸残基を含んでいてもよい(例えば、ランダム変異誘発もしくはインビトロでの部位特異的変異誘発、または、インビボでの体細胞変異によって導入された突然変異)。しかしながら、本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、その他の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖細胞系から誘導されたCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフト化された「キメラ」抗体(すなわち「ヒト化」またはPRIMATIZEDTM抗体)は意味しないこととする。
【0047】
本明細書で用いられる用語「キメラ抗体」は、2種またはそれ以上の異なる抗体からの領域を含む抗体を意味する。一実施形態において、ヒト抗CTLA4抗体から1種またはそれ以上のCDRが誘導される。他の実施形態において、ヒト抗CTLA4抗体から全てのCDRが誘導される。他の実施形態において、1種より多くのヒト抗CTLA4抗体からのCDRは、ヒトキメラ抗体中で連結されている。例えば、キメラ抗体は、第一のヒト抗CD40抗体の軽鎖からのCDR1、第二のヒト抗CTLA4抗体の軽鎖からのCDR2、ならびに、第三のヒト抗CTLA4抗体の軽鎖からのCDR3およびCDR3を含んでもよく、重鎖からのCDRは、1またはそれ以上のその他の抗CD40抗体から誘導されたものでもよい。さらに、フレームワーク領域は、同じ抗CTLA4抗体のいずれか1種から誘導されたものでもよいし、または、1人またはそれ以上の異なるヒトから誘導されたものでもよい。
【0048】
その上、本明細書において上述したように、キメラ抗体は、1より多くの種の生殖細胞系の配列から誘導された部分を含む抗体を含む。
【0049】
本明細書で用いられる用語「有効量」または「治療有効量」とは、哺乳動物(好ましくはヒト)に投与した場合、化合物の非存在下で検出される応答と比較して検出可能な治療応答を達成する量を意味する。治療応答(例えば、ただしこれらに限定されないが、腫瘍成長、腫瘍の大きさ、転移などの阻害、および/または、それらの減少)は、例えば本明細書で開示されたような方法などの当分野で認識される多くの方法によって、容易に評価することができる。
【0050】
当業者には明らかなように、本発明において投与される化合物または組成物の有効量は様々であり、例えば、治療される病気または症状、病期、治療される哺乳動物の年齢および健康状態および身体的な状態、病気の重症度、投与される特定の化合物などの多数の要因に基づいて容易に決定することができる。
【0051】
用語「同時投与」は、ホルモン治療と抗体治療とが、実質的にそれぞれ同時に患者に施されることを意味する。すなわち、ホルモン治療と抗体治療は、同じ日に施されるか、または、治療サイクルにおけるホルモン治療の最終用量の投与(例えば、高用量のデポー剤の懸濁液としての酢酸ロイプロリドであり、通常、ホルモン治療への暴露が持続するように4ヶ月毎に投与される)と、抗体の投与との間の期間が4ヶ月以下であるか、または、所定用量の抗体の投与と、ホルモン治療の投与の間の期間が3ヶ月以下である。
【0052】
本明細書で抗体に関して用いられる用語「競合する」は、第一の抗体またはそれらの抗原結合部分が、結合に関して第二の抗体またはそれらの抗原結合部分と競合し、そこで、第二の抗体の存在下における第一の抗体とその同源のエピトープとの結合が、第二の抗体の非存在下における第一の抗体の結合と比較して検出可能に減少することを意味する。また、必ずしもそうなるとは限らないが、第二の抗体のそのエピトープへの結合が、第一の抗体の存在下で検出可能に減少するような場合も挙げられる。すなわち、第一の抗体は、第二の抗体が第一の抗体とそれに対応するエピトープとの結合を阻害することなく、第二の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができる。しかしながら、抗体がそれぞれ、同程度、より大きい程度、または、より小さい程度のいずれかで、その他の抗体とその同源のエピトープまたはリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、そのような抗体は、それらに対応するエピトープの結合に関して互いに「交差競合する」と表現される。例えば、交差競合する抗体は、本発明で用いられる抗体が結合するエピトープまたはエピトープの部分に結合できる。競合する抗体の使用、および、交差競合する抗体の使用はいずれも、本発明に包含される。このような競合または交差競合を発生させるメカニズム(例えば、立体障害、コンフォメーション変化、または、共通のエピトープまたはそれらの部分への結合など)に関係なく、当業者には明らかなように、本明細書で示された教示に基づき、このような競合する抗体および/または交差競合する抗体が包含され、本明細書で開示された方法に有用であり得る。
【0053】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的結合することができるあらゆるタンパク質決定基を含む。エピトープ性決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面の配置からなり、通常、特異的な3次元構造的な特徴、同様に、特異的な電荷特徴を有する。立体配座の、および非立体配座のエピトープは、変性溶媒の存在下で、後者ではなく前者への結合が失われるという点で区別される。
【0054】
「ホルモン治療」または「アンドロゲン抑制」という用語は、本明細書において同じ意味で用いられるが、これは、アンドロゲン(男性ステロイドホルモン、例えば、ただしこれらに限定されないが、テストステロンおよびジハイドロテストステロン)のレベルを、物質または化合物の非存在下の、または、物質または化合物の投与の前のアンドロゲンのレベルと比較して検出可能に減少させる物質または化合物の投与を含むあらゆる方法を包含する。ホルモン治療としては、これらに限定されないが、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、および、それらの組合せの使用が挙げられる。
【0055】
「抗アンドロゲン」という用語が本明細書において用いられるが、これは、前立腺細胞においてアンドロゲン受容体を検出可能にブロックし、それによって、物質または化合物の投与前の哺乳動物におけるアンドロゲンのレベルと比較して、および/または、物質または化合物が投与されていない他の同種の哺乳動物におけるアンドロゲンのレベルと比較して、哺乳動物におけるアンドロゲンのレベルを減少させるあらゆる物質または化合物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0056】
抗アンドロゲンという用語は、当業界において理解され、本明細書で用いられるように、「非ステロイド系」または「ステロイド系」が可能である。すなわち、非ステロイド系抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド(CASODEX)、ニルタミド(NILANDRON)、フルタミド(EULEXIN、DROGENIL)など)は、前立腺細胞においてアンドロゲン受容体に競合的に結合し、前立腺におけるアンドロゲンの刺激作用を阻害する。ステロイド性の抗アンドロゲン、例えばメゲストロール(MEGACE)およびシプロテロン(ANDROCUR)は、細胞受容体でのアンドロゲンの結合を阻害するだけでなく、下垂体からLHを徐放させる。
【0057】
本明細書で用いられる「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト」は、下垂体においてGnRH(または、LH−RHとしても知られている)受容体に結合し、それによって、その受容体をゴナドトロピン放出を起こすことなくブロックする物質を意味する。GnRNアンタゴニストとしては、例えば、アバレリクス(PLENAXIS)、および、ヒストレリン(SUPPRELIN)が挙げられる。GnRHアンタゴニストは、LH−RHアゴニストとは異なり、検出可能なテストステロンの上昇を引き起こすことはない。
【0058】
用語「黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニスト」は、LH−RHアゴニストの非存在下の、または、LH−RHアゴニストの投与の前の上記ホルモンの下垂体における生産のレベルと比較して、その他の方法でテストステロン生産を刺激するホルモンの少なくとも1種の下垂体における生産を検出可能に減少させる物質または化合物を意味する。本明細書で用いられる用語としてのLH−RHアゴニストは、LH−RH受容体の連続的な過剰な刺激と、LH−RH受容体複合体の内在化を引き起こし、それにより、下垂体細胞を、細胞上の受容体の存在が減少することによるさらなる刺激に効果がないようにする物質である。これは順に、LHの減少とそれに続くテストステロンの分泌を引き起こす。LH−RHアゴニストとしては、これらに限定されないが、リュープロレリン(ロイプロリド;LUPRON、ELIGARD)、ゴセレリン(ZOLADEX)、ブセレリン(SUPREFACT)、トリプトレリン(DECAPEPTYL)などが挙げられる。
【0059】
用語「最大のアンドロゲン遮断」は、アンドロゲンホルモンをブロックするための、少なくとも1種の抗アンドロゲンと、少なくとも1種のLH−RHアゴニストまたは睾丸摘除術との併用を意味する。この用語には、これらの方法および化合物のあらゆる組み合わせ、例えば複数の抗アンドロゲン、複数のLH−HRアゴニスト、および、それらのあらゆる順列の組み合わせが包含される。
【0060】
本明細書において用いられる用語「教材」としては、本明細書で引用された様々な病気または障害に作用する、緩和する、または治療するためのキットに含まれる本発明の化合物、組み合わせ、および/または組成物の有用性を伝えるのに用いることができる出版物、記録、図解またはその他のあらゆる表現媒体が挙げられる。必要に応じて、または、その代わりに、このような教材は、本明細書の他の箇所で開示されたような細胞、組織または哺乳動物における病気または障害を緩和する方法の1またはそれ以上を説明することができる。
【0061】
本キットの教材は、例えば、本発明の化合物および/または組成物を含む容器に添付されていてもよいし、または、本発明の化合物および/または組成物を含む容器と共に輸送されてもよい。あるいは、このような教材は、レシピエントが上記教材と化合物を協調的に使用できるように、容器と別々に輸送されてもよい。
【0062】
特に他の規定がない限り、用語「患者」または「被検体」は、同じ意味で用いられ、哺乳動物、例えば、ヒトである患者、および、ヒト以外の霊長類、同様に、獣医学的な被検体、例えばウサギ、ラットおよびマウス、ならびにその他の動物を意味する。好ましくは、患者は、ヒトを意味する。
【0063】
本明細書においてポリペプチド配列を表記するのに、従来の表記法が用いられる:ポリペプチド配列の左側の末端は、アミノ末端であり;ポリペプチド配列の右側の末端は、カルボキシル末端である。
【0064】
本明細書で用いられる「特異的に結合する」という表現は、サンプル中で特異的な分子を認識し、結合するが、その他の分子を実質的に認識または結合しない化合物、例えばタンパク質、核酸、抗体などを意味する。例えば、サンプル中で、同源のリガンドを認識し結合する抗体またはペプチド阻害剤(例えば、同源の抗原であるCTLA4と結合する抗CTLA4抗体)は、サンプル中で実質的にその他の分子を認識または結合しない。従って、指示された分析条件下で、特定の結合成分(例えば、抗体またはそれらの抗原結合部分)は、選択的に特定の標的分子と結合するが、試験サンプルに存在するその他の成分には有意な量で結合することはない。対象の分子に特異的に結合する抗体を選択するための多種多様な分析様式を用いることができる。例えば、CTLA4と特異的に反応する抗体を同定するために、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、ビアコア(BIAcore)、および、ウェスタンブロット解析が用いられる。典型的には、特異的な反応、または、選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、さらに典型的にはバックグラウンドの10倍超で生じ、さらにより特定には、抗体は、平衡解離定数(KD)が1μM以下、好ましくは100nM以下、最も好ましくは10nM以下の場合に抗原に「特異的に結合する」と言われる。
【0065】
用語「KD」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を意味する。
【0066】
本明細書で用いられる「実質的に純粋な」は、目的の種が、優勢の種として存在すること(すなわち、モル基準で、組成物中のその他のあらゆる個々の種よりも豊富であること)を意味し、好ましくは、実質的に精製された分画は、目的の種(例えば抗CTLA4抗体)が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル基準で)で含まれるような組成物である。一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80パーセントより多くを占め、より好ましくは約85%、90%、95%および99%より多くを占める。最も好ましくは、目的の種は、実質的に均一になるまで(従来の検出方法で、組成物中に不純物種が検出できなくなるまで)精製され、このような場合、組成物は、実質的に単一の高分子種からなる。
【0067】
本明細書で用いられるように、「〜を治療する」は、患者において、病気の症状(すなわち、腫瘍成長および/または転移、または、免疫細胞の数および/または活性が関与するその他の作用など)が発生する頻度を減少させることを意味する。この用語は、症状の発現、合併症、または、病気の生化学的な兆候(例えば、PSAレベルの上昇)を予防するかまたは遅延させて症状を緩和させるかまたは、病気、状態または障害のさらなる進行を阻止または阻害するために本発明の化合物または物質を投与することを含む。治療は、予防的であってもよいし(病気の発病を予防する、または遅延させるために、または、それらの臨床的な症状または準臨床的な症状の出現を予防するために)、または、病気が出現した後の症状の治療による抑制または緩和であってもよい。
【0068】
I.併用治療
本発明は、以下で説明する、前立腺癌を治療するために、ヒトCTLA4と結合する抗体または前記抗体の抗原結合部分を、ホルモン治療と併用して投与する方法に関する。前立腺癌がホルモン依存性または非依存性であるかどうかに関わらず、以下でさらに詳細に述べるように、本発明の方法に係る、CTLA4の遮断と患者のアンドロゲンのレベルの減少との併用は、相乗的な治療上の利点を提供できる。
【0069】
本発明は、少なくとも1種の前立腺腫瘍ホルモン治療剤と併用して抗体が患者に投与されるような多数の併用治療を包含するが、例示された物質は単に本発明を説明する目的のために記載されたものであり、本発明を限定するものではない。
【0070】
本発明の一実施形態において、抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分は、ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に投与される。ホルモン治療剤および抗体の量は、併用して前立腺癌治療に有効な量である。ホルモン治療は、腫瘍のホルモン依存性の状態に関わりなく、抗体治療を施す前に施してもよい。例えば、腫瘍がホルモン依存性である場合、ホルモン依存性の状態を評価せず、ただし先行のホルモン治療は投与されないか、または、腫瘍がホルモン非依存性(または「ホルモン不応性」ともいう)であることがわかっていれば、ヒトCTLA4または前記抗体の抗原結合部分と結合する抗体は、ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に投与される。上記治療剤としては、これらに限定されないが、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニスト、または、それらの組合せが挙げられる。
【0071】
一実施形態において、相乗作用または追加の作用は、少なくとも1種のホルモン治療剤を投与してから1日以上おいて、抗CTLA4抗体を投与することによってなされる。本発明の特定の理論のいずれかに縛られることは望まないが、ホルモン治療は、腫瘍細胞に対する免疫反応が高まるように、恐らく前立腺に対するアポトーシスによる、またはその他の構造上の変化によって、前立腺の腫瘍に特異的な抗原の免疫系への暴露を増加させることができる。すなわち、ホルモン治療は、宿主において、腫瘍細胞死が介在する腫瘍特異的抗原の源を生成または増加させ、順に腫瘍抗原を宿主の抗原提示経路に供給することができる。抗CTLA4抗体は、抗原提示経路において、腫瘍特異的抗原のレベルの増加に対する免疫反応の増加を媒介し、それによって、相乗的な治療効果を提供する。腫瘍特異的抗原の細胞死による放出で免疫反応の抗CTLA4を増強することを併用して相乗効果が生じ得るその他の治療は、なかでも、放射線、外科手術、および、ホルモン治療である。
【0072】
さらに、アンドロゲンレベルの減少により、腫瘍非特異的な作用が介在する可能性のある患者の免疫反応を増加させるか、または延長させることができ、例えば、アンドロゲンレベルを低下させることが、腫瘍への攻撃に無関係のメカニズムによって高められた免疫反応に介在する可能性がある。本明細書で開示されたデータは、アンドロゲン遮断と本発明の抗CTLA4抗体(該抗体を単独で用いた場合、より重度の下痢を引き起こす)と間の明白な生物学的な相互作用が存在し得ることを示しており、すなわち、併用治療の有効性が高められたことを示している。これまでの研究によれば、アンドロゲンは、免疫系において役割を有する可能性があることが示されている。一般的に、Grossman,Science 227:257〜261(1985年)(性腺ステロイドによる免疫系の調節について述べられている);OlsenおよびKovacs,Immunologic Res.23:281〜288(2001年)(TおよびBリンパ球の発達におけるアンドロゲンの作用について述べられている);Sutherland等,J.Immunol.175:2741〜2753(2005年)(アンドロゲン遮断の後の胸腺の再生について述べられている);Tanriverdi等,J.Clin.Endocrinol.176:293〜304(2003年)(起こりうる免疫系とGnRHおよび性ステロイドとの相互作用について述べられている);および、Mercader等,Proc Natl Acad Sci USA 98:14565〜14570(2001年)(前立腺のT細胞への浸潤は、アンドロゲンの遮蔽により高められることについて述べられている);Arlen等,J Urol 174:539〜546(2005年)(前立腺抗原のPSAを発現するポックスウイルスベクターを、ホルモン治療と併用したワクチン接種について述べられている)を参照。
【0073】
本発明の理論のいずれかに縛られることは望まないが、アンドロゲン遮断と抗CTLA4抗体との併用は、前立腺において予想以上に強健な免疫反応を誘導し得る。それゆえに、アンドロゲン遮断の併用を用いて、なかでも、抗CTLA4抗体とロイプロリドおよびビカルタミドとの併用は、相乗効果を示す可能性があり、それによって、前立腺癌のための重要な新規の治療的処置が提供される。
【0074】
一実施形態において、前記抗体治療は、以前にホルモン治療を受けていない患者に、ホルモン治療の後、28日以内に投与される。これは、例えば、腫瘍のホルモン依存性の状態がまだ評価されていない場合に実施することもできる。抗体治療は、ホルモン治療を施してから、少なくとも1日おいて、そして28日以内に施される。好ましくは、ホルモン治療は、抗体治療期間中ずっと継続される。
【0075】
他の実施形態において、前記抗体またはそれらの部分は、ホルモン治療剤の投与後、21日以内に投与される。さらに、本発明の一実施形態において、前記抗体またはそれらの抗原結合部分は、ホルモン治療剤の投与から2日以上おいて投与される。
【0076】
さらに他の実施形態において、前記抗体は、ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に投与され、この場合、ホルモン治療の投与は、前記抗体の投与の前に終わらせる。すなわち、患者は、抗体が投与されたら、さらなるホルモン治療を受けない;しかしながら、前記抗体の複数回の用量を、要求に応じてホルモン治療の追加投与を行わないで投与してもよい。同様に、他の実施形態において、前記抗体は、ホルモン治療剤の投与から2日以上おいて、そして21日以内に投与され、ホルモン治療の投与は、前記抗体の投与の前に終わらせる。
【0077】
一実施形態において、前立腺癌は、ホルモン依存性であるが、他の実施形態において、前立腺癌は、ホルモン非依存性である。従って、抗体が、ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に投与される場合、前立腺癌は、ホルモン依存性か、またはホルモン非依存性のいずれでもよい。このような投与は、腫瘍のホルモン条件に関係なく相乗的な治療上の利点を提供し得る。
【0078】
腫瘍がホルモン依存性である場合、ホルモン治療剤を投与することができる。抗体治療は、ホルモン治療の所定用量の投与から少なくとも1日おいて、そして28日以内に、患者に投与され、抗体投与後もホルモン治療を継続してもよい。本発明の理論によれば、治療によって、腫瘍に対する免疫反応が誘発され、および/または、持続し、それによって患者に治療上の利点が提供されるように、腫瘍特異的抗原との暴露の増加および/またはアンドロゲンによるあらゆる免疫の下流調節作用の減少が提供されるという点で、この治療は患者に利点を与え得る。ホルモン治療の終結は、腫瘍の応答(例えば腫瘍の縮小、PSAレベルの安定化または衰退、骨の痛みの減少など)を伴い、これは、ホルモン治療を止めることは、腫瘍成長の制御における逆説的な変化を伴うことを示しており、それに続くCTLA4抗体治療を併用されると相乗効果を奏する可能性があるため、治療上の利点が提供される。
【0079】
他の実施形態において、腫瘍がホルモン非依存性である場合、少なくとも1種のホルモン治療剤を含むホルモン治療は、抗CTLA4抗体と共に投与される。腫瘍がホルモン非依存性であっても、アンドロゲンを減少させた治療を施すことは、抗体治療と共に投与されると、相乗的な、または追加の治療効果を提供する可能性がある。上記でより詳細に考察したように、本発明の特定の理論のいずれかに縛られることは望まないが、アンドロゲンレベルを減少させるホルモン治療は、腫瘍抗原の免疫系への暴露の増加に介在し、および/または、アンドロゲンが他の方法で介在する可能性のあるあらゆる免疫抑制性作用を減少させる可能性がある。あるいは、アンドロゲンレベルを減少させるホルモン治療は、胸腺での免疫系の能力を増強し、適応免疫反応を高める作用に介在する可能性がある[Sutherland等,J Immunol.175:2741〜2753(2005年)を参照]。しかしながら、本発明は、このような併用治療を施すことによるあらゆるメカニズムによって患者に治療上の利点を提供することを包含する。
【0080】
他の実施形態において、抗体治療は、ホルモン治療を施す前に投与される。すなわち、抗体治療は、その最大の利点(例えば、腫瘍の縮小、骨の痛みの減少、PSAレベルの減少または安定化など)が得られるまで、1ヶ月に1回、あるいは、2または3ヶ月毎に1回施してもよく、それに続くホルモン治療は、抗体治療に追加してもよいし、または、抗体治療を止めて、その後にホルモン治療を施してもよい。この理由は、抗体治療を先行して施すことによって抗体の長い半減期とT細胞の持久性が達成されるので、それに続いて追加のHTを施すかまたは、抗体治療をHTで置き換えることによって、性質を改変する、および/または、抗体で開始される免疫反応を増強することができるためである。従って、本発明は、まず第一に、好ましくは長期間にわたる抗体治療(例えば1ヶ月、より好ましくは2ヶ月、さらにより好ましくは3ヶ月、さらにより好ましくは4ヶ月の抗体治療)を施すこと、その後、ホルモン治療の同時投与、または、抗体治療をホルモン治療で置き換えることのいずれかを包含する。
【0081】
一実施形態において、抗体治療は、外科手術の前に施されるネオアジュバント治療である。外科手術の後に、抗体治療の代わりに、または、継続的な抗体治療と共に、ホルモン治療が施される。この理由は、上記で述べられているように、ホルモン治療の前に抗体治療を施し、続いて、前立腺切除術の後に、継続的な抗体治療を行わないでホルモン治療を施すこと、または、抗体治療に追加してホルモン治療を施すことのいずれかによって、患者に相乗的な治療効果が提供され得ることである。
【0082】
本明細書において上述したように、多くのホルモン治療剤が当業界既知であり、本発明は、これらに限定されないが、典型的な抗アンドロゲンであるGnRHアンタゴニストとLH−RHアゴニストの使用を包含する。抗アンドロゲンとしては、例えば、非ステロイド系抗アンドロゲンが挙げられ、例えば、ただしこれらに限定されないが、ビカルタミド(CASODEX)、ニルタミド(NILANDRON)、フルタミド(EULEXIN、DROGENIL)であり、および、ステロイド系抗アンドロゲンが挙げられ、例えば、メゲストロール(MEGACE)、および、シプロテロン(ANDROCUR)である。GnRHアンタゴニストとしては、なかでも、アバレリクス(PLENAXIS)、および、ヒストレリン(SUPPRELIN)が挙げられる。LH−RHアゴニストとしては、例えば、リュープロレリン(ロイプロリド;LUPRON、ELIGARD)、ゴセレリン(ZOLADEX)、ブセレリン(SUPREFACT)、トリプトレリン(DECAPEPTYL)などが挙げられる。
【0083】
他の実施形態において、ホルモン非依存性の前立腺癌の治療は、抗体またはそれらの抗原結合部分と、ホルモン治療剤とを患者を投与することを含み、ここにおいて、ホルモン治療は、1ヶ月より長い期間、複数回の用量で投与され、前記抗体または抗原結合部分は、ホルモン治療の投与期間中に投与される。さらに、それらの量は、前立腺癌の治療に併用して有効な量である。上述したように、本発明の理論の一つによれば、前立腺癌がホルモン非依存性であっても、ホルモン治療と抗体治療との併用は、腫瘍抗原の暴露、および/または、アンドロゲンのあらゆる免疫抑制性作用の減少に介在することができ、それにより、CTLA4遮断とホルモン治療との併用が、いずれかの治療を単独で用いた場合と比較して増強された、および/または、持続性の免疫反応を提供できる。
【0084】
一実施形態において、ホルモン治療剤は、2ヶ月より長い期間にわたり複数回の用量で投与される。その上、他の実施形態において、ホルモン治療の2ヶ月より長い投与期間中に、前記抗体の複数回の用量は、1ヶ月より長い期間にわたり投与される。1ヶ月より長い期間にわたる抗体の複数回の用量の投与期間は、ホルモン治療の投与期間とオーバーラップしていてもよい。他の実施形態において、抗体の投与期間と、ホルモン治療の投与期間は、2ヶ月より長い期間オーバーラップしていてもよい。その上、さらに他の実施形態において、抗体の投与期間と、ホルモン治療の投与期間は、6ヶ月より長くオーバーラップする。本明細書における開示が与えられた当業者にとっては明白であるが、ホルモン治療の投与期間、同様に、抗体の投与期間は、オーバーラップしていてもよく、治療上の利点が提供されるように調節することもできる。
【0085】
他の実施形態において、腫瘍がホルモン非依存性とみなされたために先に施されたホルモン治療を中断する場合、ホルモン治療は、抗CTLA4抗体と併用して再度施される(すなわち、その前に投与されたものと同じホルモン治療剤または異なるホルモン治療剤のいずれかが用いられる)。この例において、ホルモン治療は、少なくとも1種のホルモン治療剤、例えば抗アンドロゲンおよびLH−RHアゴニスト、抗アンドロゲンおよびGnRHアンタゴニスト、ならびに、抗CTLA4抗体(例えば、4.1.1、4.13.1、6.1.1、チシリムマブ、イピリムマブ)またはそれらの抗原結合部分を投与することを含む。より好ましくは、ホルモン治療剤としては、これらに限定されないが、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、および、ロイプロリドが挙げられ、これらは、1ヶ月より長い期間にわたり抗体と共に投与される。他の実施形態において、前記抗体とホルモン治療剤の複数回の用量が投与され、前記抗体とホルモン治療の投与期間は、少なくとも1ヶ月の期間にわたりオーバーラップする。
【0086】
さらに他の実施形態において、少なくとも2種のホルモン治療剤を含むホルモン治療は、抗体治療と共に患者に投与され、この場合、前記腫瘍はホルモン依存性である。すなわち、少なくとも2種のホルモン治療剤を含むホルモン治療は、ホルモン依存性の前立腺癌患者に投与されると、それによって最大のアンドロゲン除去治療を提供することができ、ここにおいて、腫瘍のホルモン依存性の状態は、決定されていても、決定されていなくてもよいが、患者はその前にホルモン治療を受けない。本発明の理論のいずれかに縛られることは望まないが、抗CTLA4抗体治療と共に施された最大のアンドロゲン除去ホルモン治療は、患者に利点を提供することができ、この利点は、上記のような併用治療は、腫瘍特異的抗原の暴露の増加および/またはアンドロゲンのあらゆる免疫抑制性作用の減少を提供し、それにより、腫瘍への免疫反応が誘発され、および/または、持続し、それによって患者に治療上の利点が提供されるということにある。
【0087】
従って、本発明のこの実施形態において、前立腺癌がホルモン依存性である場合、独立して抗アンドロゲン、GnRHアンタゴニスト、および、LH−RHアゴニストから選択される少なくとも2種のホルモン治療剤の有効量、および、抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分の有効量が患者に投与される。ホルモン治療剤と抗体の投与は、オーバーラップしていてもよく、それぞれ複数回の用量でオーバーラップする期間にわたり(ただし必ずしもオーバーラップしていなくてもよい)投与してもよい。治療経過の長さは、規定通りに、かつガン治療の当業者にとって当然なように調節することもできる。
【0088】
前記抗体およびホルモン治療剤の同時投与または連続投与は、抗CTLA4抗体と1種またはそれ以上の追加のホルモン治療剤の両方を含む医薬組成物を投与すること、および、2種またはそれ以上の別個の医薬組成物を投与すること(一方は、抗CTLA4抗体を含み、他方は追加のホルモン治療剤を含む)を包含する。さらに、同時投与または組み合わせ(併用)治療は、それぞれを同時に投与することを包含するが、本発明はまた、個々の治療成分の同時、連続的または別々の投与も包含する。加えて、抗体が静脈投与され、ホルモン治療剤が、経口投与される場合(例えばビカルタミドなど)、または、皮下または筋肉注射される場合(例えばロイプロリド)、当然ながら、上記組み合わせは、別個の医薬組成物として投与してもよい。
【0089】
抗CTLA4抗体と少なくとも2種のホルモン治療剤とを併用する同時投与が治療に含まれる場合、治療剤としては、なかでも、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニストが挙げられる。このようなホルモン治療剤の多くは、当業界既知であり、本発明は、これらに限定されないが、上述のホルモン治療剤のクラスそれぞれにおける典型的な化合物を包含する。より特定には、抗アンドロゲンとしては、例えば非ステロイド系抗アンドロゲンなどであり、具体的には、ビカルタミド(CASODEX)、ニルタミド(NILANDRON)、フルタミド(EULEXIN、DROGENIL)などが挙げられる。ステロイド性の抗アンドロゲンとしては、メゲストロール(MEGACE)、および、シプロテロン(ANDROCUR)が挙げられる。ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストとしては、なかでも、アバレリクス(PLENAXIS)、および、ヒストレリン(SUPPRELIN)が挙げられる。さらに、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニストとしては、例えば、リュープロレリン(ロイプロリド;LUPRON、ELIGARD)、ゴセレリン(ZOLADEX)、ブセレリン(SUPREFACT)、トリプトレリン(DECAPEPTYL)などが挙げられる。一実施形態において、抗CTLA4抗体は、抗アンドロゲン(ビカルタミド)、および、LH−RHアゴニスト(ロイプロリド)と共に投与されるが、少なくとも2種のホルモン治療剤のあらゆる組み合わせ、同様に、単一のホルモン治療剤、および、抗CTLA4抗体が、本発明に包含される。
【0090】
本明細書の他の箇所で記載したように、ロイプロリドは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アンタゴニストのクラスの仲間である。ロイプロリドは、特に、男性の前立腺癌、女性の子宮内膜症および類線維腫、ならびに、子供の中枢性の早発思春期の治療に有用である。抗CTLA4抗体とロイプロリドの組み合わせに、さらにビカルタミドを併用すると、前立腺癌の治療に有用である。本発明は、抗CTLA4抗体と、ネオアジュバント(neoadjuvant)、アジュバントとしての抗アンドロゲン治療、例えばロイプロリドおよびビカルタミド(ただしこれらに限定されない)、および/または、非転移的に発生したPSA(生化学的な再発)および/または転移性の前立腺癌のための第一次治療および第二次治療との併用を包含する。好ましくは、このような組み合わせは、前立腺癌のためのネオアジュバント治療として用いられる。より特定には、ネオアジュバント治療は、その後のあらゆる治療の前に施され、例えばホルモン治療と抗体治療との組み合わせは前立腺切除術の前に施される。加えて、本明細書の他の箇所で例示されたように、前立腺切除術の後に、併用治療、または、単一の物質としての抗体治療を継続することができる。
【0091】
本発明の方法は、外科手術、放射線治療またはその他のあらゆる治療の前に、ネオアジュバント治療として腫瘍細胞を感作するために、または、患者に治療上の利点を与えるために行うことができる。しかしながら、本発明は、ネオアジュバントの設定に限定されない。むしろ、本発明の方法は、病気全体や治療の連続性、例えば、ただしこれらに限定されないが、アジュバント、(臨床学的に明白な転移の様相を呈する前の)PSAの上昇、および、前立腺癌のための第一次、第二次および/または第三次治療などに従って、用いることができる。
【0092】
本発明はさらに、患者を治療するための追加の物質および治療、例えば化学治療、外科手術、放射線治療、移植などと併用することもできる。すなわち、患者は、周知の物質を用いた追加の化学治療で治療することができ、このような物質としては例えば、ただしこれらに限定されないが、成長因子阻害剤、生体応答調整物質、アルキル化剤、インターカレーションを起こす抗生物質、ビンカアルカロイド、免疫調節薬、タキサン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えば、ただしこれらに限定されないが、ラソフォキシフェン、および、血管新生阻害剤が挙げられる。
【0093】
治療剤は様々であり、例えば、なかでも、米国特許出願公開番号2004/0005318、番号2003/0086930、番号2002/0086014、および、国際公報番号WO03/086459で説明されており、これらは全て参照により本発明に加入させる。このような治療剤としては、これらに限定されないが、トポイソメラーゼI阻害剤;その他の抗体(ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、パーツズマブ、抗IGF−1R、抗MAdCAM、抗CD40、抗4−1BBなど);化学治療剤、例えば、ただしこれらに限定されないが、イマチニブ(GLEEVEC)、SU11248(SUTENT)、SU12662、SU14813;BAY43−9006、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM;例えばラソフォキシフェン)、タキサン、ビンカアルカロイド、テモゾロマイド、血管新生阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、erbB2受容体阻害剤、増殖抑制剤(例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、および、αvβ3阻害剤、αvβ5阻害剤、p53阻害剤など)、免疫調節薬、サイトカイン、腫瘍ワクチン;腫瘍特異的抗原;ヒートショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチン;樹状細胞および幹細胞治療;アルキル化剤、葉酸拮抗剤;ピリミジンアンタゴニスト;アントラサイクリン系抗生物質;白金化合物;副刺激分子(例えば、CD4、CD25、PD−1、B7−H3、4−1BB、OX40、ICOS、CD30、HLA−DR、MHCII、および、LFA、および、それらに対するアゴニスト抗体)が挙げられる。
【0094】
上述したように、本発明の方法はさらに、移植(例えば幹細胞移植)と併用してもよく、それにより、治療上の利点が前立腺癌に苦しむ患者に提供される。幹細胞移植は、当業界既知の方法に従って行うことができ、同種異系の幹細胞または自己由来の幹細胞の移植のいずれも可能である。加えて、当業者には明らかなように、本明細書で示された開示に基づき、移植は、自己由来またはHLA適合ドナー由来のいずれかのリンパ球の養子移入を包含する。本方法に幹細胞移植が含まれる場合、抗体とホルモン治療剤の併用の初回用量は、哺乳動物の免疫系が移植から回復した後に、例えば移植後1〜12ヶ月の期間に投与することができる。特定の実施形態において、初回用量は、移植後、1〜3ヶ月、または、1〜4ヶ月の期間に投与される。移植方法は、多くの論文で説明されており、例えば、Appelbaum in Harrison’s Principles of Internal Medicine,第14章,Braunwald等編,第15版,マグローヒル・プロフェッショナル(McGraw−Hill Professional)(2001年)が挙げられ、これらは参照により本発明に加入させる。
【0095】
本発明はまた、抗CTLA4抗体およびホルモン治療剤に加えて、その他の治療剤の投与も包含する。このような治療剤としては、鎮痛薬、癌ワクチン、抗血管形成剤、増殖抑制剤、制吐剤、および、下痢止め剤が挙げられる。好ましい制吐剤としては、塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、および、メトクロプラミドが挙げられる。好ましい下痢止め剤としては、ジフェノキシラートおよびアトロピン(LOMOTIL)、ロペラミド(IMMODIUM)、および、オクトレオチド(SANDOSTATIN)が挙げられる。
【0096】
他の実施形態において、本発明は、下痢止め作用を有する物質を投与することを含み、ここにおいて、前記物質は、消化管の慢性の炎症性状態の治療において提供される。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えば、ブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えば、インフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ(adalimumab)[HUMIRA])が挙げられる。
【0097】
II.抗CTLA4抗体
一実施形態において、CTLA4抗体は重鎖を含み、ここにおいて、VHのアミノ酸配列は、配列番号3、15および27に記載のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態において、CTLA4抗体のVLは、配列番号9、21および33に記載のアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記抗体のVHおよびVL領域は、それぞれ配列番号3に記載のアミノ酸配列(VH4.1.1)、および、配列番号9(VL4.1.1);それぞれ配列番号15に記載のアミノ酸配列(VH4.13.1)、および、配列番号21(VL4.13.1);および、それぞれ配列番号27に記載のアミノ酸配列(VHチシリムマブ)、および、配列番号33(VLチシリムマブ)を含む。最も好ましくは、前記抗体は、チシリムマブ(または、CP−675,206としても知られており、これは、抗体チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する)である。
【0098】
さらに他の実施形態において、前記重鎖のアミノ酸配列は、配列番号1、13および25に記載の核酸配列を含む核酸によってコードされたアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態において、前記軽鎖は、配列番号7、19および31に記載の核酸配列を含む核酸によってコードされたアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号1(重鎖4.1.1)、および、配列番号7(軽鎖4.1.1)に記載の核酸配列を含む核酸;それぞれ配列番号13(重鎖4.13.1)、および、配列番号19(軽鎖4.13.1)に記載の核酸配列;および、それぞれ配列番号25(重鎖チシリムマブ)、および、配列番号31(軽鎖チシリムマブ)に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列を含む。
【0099】
その上、前記抗体は、VH3−30または3−33遺伝子から誘導されたヒトCDRアミノ酸配列、または、それらの中に保存的置換または体細胞変異を含む重鎖アミノ酸配列を含んでもよい。当然ながら、VH3−33遺伝子は、抗体分子の重鎖可変領域のFR1〜FR3をコードする。従って、本発明は、3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、2.9.1.1、イピリムマブ、および、DP−50からなる群より選択される抗体のFR1〜FR3の配列と、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも91%、さらにより好ましくは少なくとも94%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の同一性を有する抗体を包含する。
【0100】
前記抗体は、その軽鎖にA27またはO12遺伝子から誘導されたCDR領域をさらに含んでいてもよく、または、3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、2.9.1.1、イピリムマブからなる群より選択される抗体のCDR領域を含んでもよい。
【0101】
本発明の他の実施形態において、前記抗体は、CTLA4とB7−1、B7−2、またはその両方との結合を阻害する。好ましくは、前記抗体は、B7−1との結合を、IC50が、約100nMまたはそれ未満、より好ましくは、約10nMまたはそれ未満、例えば約5nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは、約2nMまたはそれ未満、または、さらにより好ましくは、例えば、約1nMまたはそれ未満で阻害することができる。同様に、前記抗体は、B7−2との結合を、IC50が、約100nMまたはそれ未満、より好ましくは、10nMまたはそれ未満、例えば、さらにより好ましくは、約5nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは、約2nMまたはそれ未満、または、さらにより好ましくは、約1nMまたはそれ未満で阻害することができる。
【0102】
さらに、他の実施形態において、抗CTLA4抗体のCTLA4に対する結合親和性が、約10-8、または、それより大きい親和性、より好ましくは約10-9またはそれより大きい親和性、より好ましくは、約10-10またはそれより大きい親和性、さらにより好ましくは、約10-11またはそれより大きい親和性である。
【0103】
抗CTLA4抗体としては、4.1.1、6.1.1、チシリムマブ、4.13.1、および、4.14.3からなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する抗体との結合に関して競合する抗体が挙げられる。さらに、抗CTLA4抗体は、抗体イピリムマブとの結合に関して競合することができる。
【0104】
他の実施形態において、前記抗体は、好ましくは、抗体4.1.1、4.13.1、4.14.3、6.1.1またはチシリムマブの重鎖および軽鎖の配列、可変重鎖および可変軽鎖配列、および/または、重鎖および軽鎖CDR配列を有する抗体と交差競合する。例えば、前記抗体は、4.1.1、4.13.1、4.14.3、6.1.1、または、チシリムマブからなる群より選択される抗体の、重鎖および軽鎖アミノ酸配列、可変配列および/またはCDR配列を有する抗体が結合するエピトープに結合することができる。他の実施形態において、前記抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖の配列、または、抗原結合配列を有する抗体と交差競合する。
【0105】
他の実施形態において、本発明は、CDR−1、CDR−2およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、および、3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、および、12.9.1.1からなる群より選択される抗体のCDR−1、CDR−2およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖、または、保存的な変化からなる群より選択される変化を含むCDR配列由来の配列を含む抗CTLA4抗体を用いて実施され、ここにおいて、前記保存的な変化は、非極性残基の、その他の非極性残基での置換、極性の電荷を有する残基の、その他の極性の電荷を有さない残基での置換、極性の電荷を有する残基の、その他の極性の電荷を有する残基での置換、および、構造的に類似している残基の置換からなる群より選択される;ここにおいて、非保存的置換は、極性の電荷を有する残基の極性の電荷を有さない残基での置換、および、非極性残基の極性残基での置換、付加および欠失からなる群より選択される。
【0106】
本発明のさらなる実施形態において、前記抗体は、フレームワークまたはCDR領域において、生殖細胞系の配列からの10、7、5または3個未満のアミノ酸の変化を含む。他の実施形態において、前記抗体は、フレームワーク領域において5個未満のアミノ酸の変化、および、CDR領域において10個未満の変化を含む。好ましい一実施形態において、前記抗体は、フレームワーク領域において3個未満のアミノ酸の変化、および、CDR領域において7個未満の変化を含む。好ましい実施形態において、フレームワーク領域における変化は保存的であり、CDR領域における変化は体細胞変異である。
【0107】
他の実施形態において、前記抗体は、重鎖および軽鎖の全長配列にわたり、または、重鎖または軽鎖それぞれにわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブの配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%の配列(例えば、アミノ酸、核酸、またはその両方)同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体は、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブから選択される抗体の重鎖および軽鎖にわたり、または、それらの重鎖または軽鎖それぞれにわたり、100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0108】
他の実施形態において、前記抗体は、重鎖および軽鎖の全長配列にわたり、または、重鎖または軽鎖それぞれにわたり、生殖細胞系のVκA27、生殖細胞系VκO12、および、生殖細胞系DP50(これは、VH3−33遺伝子座の対立遺伝子である)の配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、配列同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体は、生殖細胞系DP50の重鎖配列および/または生殖細胞系のA27、または、生殖細胞系O12の軽鎖配列にわたり100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0109】
一実施形態において、前記抗体は、重鎖および軽鎖可変領域の配列にわたり、または、重鎖または軽鎖可変領域の配列それぞれにわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブの配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、配列(例えば、アミノ酸、核酸、またはその両方)同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体は、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブから選択される抗体の重鎖および軽鎖可変領域の配列にわたり、または、重鎖または軽鎖の配列それぞれにわたり、100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0110】
他の実施形態において、前記抗体は、重鎖可変領域の配列にわたり、重鎖の生殖細胞系DP50(これは、VH3−33遺伝子座の対立遺伝子である)の重鎖可変配列、または、生殖細胞系のVκA27、または、生殖細胞系VκO12の軽鎖可変配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、配列同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体の重鎖領域の配列は、生殖細胞系のDP50の配列、または、生殖細胞系A27、または、生殖細胞系O12の軽鎖配列と100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0111】
本発明の一実施形態において、前記抗体は、重鎖、軽鎖またはその両方の、FR1〜FR4の配列にわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブのFR1〜FR4領域の配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、配列同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体は、重鎖、軽鎖またはその両方の、FR1〜FR4の配列にわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブと、100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0112】
他の本発明の実施形態において、前記抗体は、重鎖のFR1からFR3までの配列にわたり、生殖細胞系DP50のFR1からFR3までの領域の配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは、約100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0113】
本発明のさらなる他の実施形態において、前記抗体は、軽鎖のFR1からFR4までの配列にわたり、生殖細胞系VκA27、または、生殖細胞系VκO12のFR1からFR4までの領域配列と、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは、約100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記抗体は、重鎖、軽鎖またはその両方の、CDR−1、CDR−2およびCDR−3の配列にわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、イピリムマブと、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性または配列類似性を有する。さらにより好ましくは、前記抗体は、重鎖、軽鎖またはその両方の、CDR−1、CDR−2およびCDR−3の配列にわたり、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブと、100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0115】
他の本発明の実施形態において、前記抗体は、重鎖のCDR−1およびCDR−2配列にわたり、生殖細胞系DP50のCDR−1およびCDR−2配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは、約100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0116】
本発明のさらなる他の実施形態において、前記抗体は、軽鎖のCDR−1、CDR−2およびCDR−3配列にわたり、生殖細胞系VκA27、または、生殖細胞系VκO12のCDR−1、CDR−2およびCDR−3配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは、約100%の配列同一性または配列類似性を有する。
【0117】
本発明で使用可能な抗体の例と、それらをを生産する方法は、特に以下で説明されている:、米国特許出願番号09/472,087、現在、米国特許第6,682,736号として特許付与されている;国際出願番号PCT/US00/23356(2001年3月1日に、WO01/14424として公開)(例えば抗体イピリムマブ、MDX−010としても知られている,メダレックス(Medarex),プリンストン,ニュージャージー州);国際出願番号PCT/US99/28739(2000年6月8日に、WO00/32231として公開);米国特許第5,811,097号、5,855,887号、6,051,227号、および、6,207,156号;これらはそれぞれ参照により本発明に加入させる。これらの抗体に関するアミノ配列および核酸配列に関する情報は本明細書で示されているが、さらなる情報については、米国特許第6,682,736号、同様に、WO00/37504を見てもよい;これらの出願に記載の配列は、参照により本発明に加入させる。
【0118】
これらの抗体に関する様々なガンを治療するための所定の使用が、米国特許出願番号10/153,382で考察されており、この出願は現在、米国特許出願公開番号2003/0086930として公開されており、参照により開示に含まれ、その全体が本明細書に記載されたものとみなす。
【0119】
本発明の方法において有用なヒト抗CTLA4抗体の特徴は、例えば米国特許第6,682,736号で広範囲にわたり考察されており、例えば抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブ(ただしこれらに限定されない)のアミノ酸配列を有する抗体のような抗体が挙げられる。本発明また、上記で引用された出願および特許で説明されているような、上記抗体の重鎖および軽鎖のCDRのアミノ酸配列を含む抗体、同様に、CDR領域に変化を含む抗体を用いる方法に関する。本発明はまた、上記抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体に関する。他の実施形態において、前記抗体は、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、および、12.9.1.1、および、イピリムマブの重鎖および軽鎖の全長、可変領域またはCDRのアミノ酸配列を含む抗体から選択される。
【0120】
これまで本明細書で述べられた抗CTLA4抗体が好ましいといえるが、当業者であれば、本明細書で示された開示に基づき、本発明は、多種多様の抗CTLA4抗体を包含し、これらの特定の抗体に限定されないことは明白であろう。より特定には、ヒト抗体が好ましいが、本発明はヒト抗体にまったく限定されない;むしろ、本発明は、種の由来に関係なく有用な抗体を包含し、なかでも、キメラ、ヒト化および/または霊長類化抗体が挙げられる。また、トランスジェニック哺乳動物、例えば一連のヒト免疫を含むマウスを用いて本明細書で例示された抗体が得られるが、当業者には、本明細書で示された開示に基づき、本発明は、この方法、またはその他のあらゆる特定の方法によって生産された抗体に限定されないことは明白であろう。その代わりに、本発明は、当業界既知の方法(例えばファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることなど、ただしこれらに限定されない)などのあらゆる方法によって生産された抗CTLA4抗体、または、将来的に本発明の抗CTLA4抗体を生産するように開発されるものを含む。本明細書と、例えばHanson等の米国特許第6,682,736号および米国特許出願公開番号2002/0088014で示された広範囲の開示に基づき、当業者であれば、前立腺癌の治療において、本明細書で開示された新規の方法を用いて、ホルモン治療剤と併用して有用な抗体を容易に生産し、同定することができる。
【0121】
本発明は、トランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いて生産されたヒト抗体、すなわち、Hanson等の米国特許第6,682,736号で開示されたようなXenoMouseTM(アブジェニックス社(Abgenix,Inc.,フレモント,カリフォルニア州)を包含する。
【0122】
「ヒト」抗体を生産するためのその他のトランスジェニックマウス系としては、「HuMAb−MouseTM」(メダレックス,プリンストン,ニュージャージー州)というものがあり、これは、再配列してないヒト重鎖(ミューおよびガンマ)とカッパ軽鎖からなる免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子のミニ遺伝子座(miniloci)を、標的とする内因性ミューおよびカッパ鎖遺伝子座を不活性化する突然変異と共に含む(Lonberg等,Nature 368:856〜859(1994年)、および、米国特許第5,770,429号)。
【0123】
しかしながら、本発明は、あらゆるトランスジェニック哺乳動物を用いて生産されたヒト抗CTLA4抗体を用い、このようなトランスジェニック哺乳動物としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、キリン(Kirin)のTC MouseTM(麒麟麦酒株式会社,東京都,日本)、これは、例えばTomizuka等,Proc Natl Acad Sci USA 97:722(2000年);Kuroiwa等,Nature Biotechnol 18:1086(2000年);Mikayama等の米国特許出願公開番号2004/0120948で説明されている;および、HuMAb−MouseTM(メダレックス,プリンストン,ニュージャージー州)、および、XenoMouseTM(アブジェニックス社,フレモント,カリフォルニア州)(上記の通り)が挙げられる。従って、本発明は、あらゆるトランスジェニック動物またはその他の非ヒト動物を用いて生産された抗CTLA4抗体を用いることを包含する。
【0124】
他の実施形態において、本発明の方法で用いられる抗体は、完全にヒト抗体ではなく、「ヒト化」抗体である。特に、マウス抗体またはその他の種由来の抗体を当業界周知の技術を用いて「ヒト化」または「霊長類化」することができる。例えば、WinterおよびHarris Immunol.Today 14:43〜46(1993年),Wright等,Crit.Reviews in Immunol.12:125〜168(1992年)、および、Cabilly等の米国特許第4,816,567号、ならびに、MageおよびLamoyi in Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications pp.79〜97,マルセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.),ニューヨーク,ニューヨーク州(1987年)を参照。従って、本明細書で開示された新規の方法を実施するために、あらゆる種から誘導されたヒト化キメラ抗体、抗CTLA4抗体(ラクダ科の動物から得られた単鎖抗体を含み、これは、例えばCastermanおよびHamersの米国特許第5,759,808号、および、6,765,087号で説明されている)、同様に、あらゆるヒト抗体は、治療剤と併用することができる。
【0125】
本明細書で示された開示によれば、当然ながら、本発明に使用するための抗体は、トランスジェニック非ヒト哺乳動物、および、それらから誘導されたハイブリドーマから得ることができが、ハイブリドーマ以外の細胞系で発現させることもできる。
【0126】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞系は当業界周知であり、例えば、多種多様な不死化細胞系が挙げられ、これは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection,ATCC)より入手可能であり、例えば、ただしこれらに限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0、Sp2、HEK、HeLa細胞、幼若ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、および、ヒト肝細胞ガン細胞(例えばHepG2)が挙げられる。非哺乳動物の原核および真核細胞もまた用いることができ、例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞および植物細胞が挙げられる。
【0127】
当業界周知の様々な発現系を用いることができ、例えば、ただしこれらに限定されないが、例えばSambrookおよびRussell,Molecular Cloning,A Laboratory Approach,コールドスプリングハーバープレス,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク州(2001年)、および、Ausubel等,Current Protocols in Molecular Biology,ジョン・ワイリー&サンズ,ニューヨーク州(2002年)で説明されているものが挙げられる。これらの発現系としては、なかでも、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)ベースの系が挙げられる。グルタミンシンセターゼ発現系が、欧州特許第0216846B1号、0256055B1号、および、0323997B1号、および、欧州特許出願番号EP89303964において全体的に、または部分的に述べられている。一実施形態において、用いられる抗体は、NS0細胞でグルタミンシンセターゼ系(GS−NS0)を用いて作製される。他の実施形態において、前記抗体は、CHO細胞でDHFR系を用いて作製される。いずれの系も当業界周知であり、特にBarnes等,Biotech&Bioengineering 73:261−270(2001年)、および、引用された参考文献で説明されている。
【0128】
非ヒト由来の糖の付加から生じる免疫原性機能、薬物動態学的機能および/またはエフェクター機能のいずれかにおける変化を防ぐために、抗体のCH2ドメインに部位特異的変異誘発を行い糖付加を除去することが好ましい場合がある。さらに、前記抗体は、酵素的方法(例えば、Thotakura等,Meth.Enzymol.138:350(1987年)を参照)、および/または、化学的方法(例えば、Hakimuddin等,Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987年)を参照)によって脱グリコシル化できる。
【0129】
さらに本発明は、改変された糖付加パターンを含む抗CTLA4抗体を用いることを包含する。当業者には明らかなように、本明細書で示された開示に基づき、抗CTLA4抗体は、天然に存在する抗体と比較して追加の、より少ない、または異なる糖付加部位を含むように改変することができる。このような改変は、例えば、米国特許出願公開番号2003/0207336、および、2003/0157108、および、国際特許公報番号WO01/81405、および、00/24893で説明されている。
【0130】
加えて、本発明は、グリコフォームの有無に関わらず(ここにおいて、グリコフォームが存在する場合、抗体に存在する)抗CTLA4抗体を用いることを含む。その上、糖タンパク質に存在するグリコフォームを広範囲にわたり改変する方法は当業界周知であり、例えば、国際特許公報番号WO03/031464、WO98/58964、および、WO99/22764、および、米国特許出願公報番号2004/0063911、2004/0132640、2004/0142856、2004/0072290、および、Umana等の米国特許第6,602,684号で説明された方法が挙げられる。
【0131】
さらに、本発明は、あらゆる当業界既知の共有結合および非共有結合における改変を含む抗CTLA4抗体を用いることを包含し、このような改変としては、ただしこれらに限定されないが、例えば米国特許出願公開番号2003/0207346、および、2004/0132640、および、米国特許第4,640,835号;4,496,689号;4,301,144号;4,670,417号;4,791,192号;4,179,337号に記載されたような様式で、ポリペプチドを、多種多様な非タンパク性ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン)のいずれか一種に連結させることが挙げられる。
【0132】
加えて、本発明は、抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分、例えばヒト血清アルブミンポリペプチドまたはそれらのフラグメントを含むキメラタンパク質を用いることを包含する。キメラタンパク質が、例えばキメラタンパク質をコードするキメラ核酸のクローニングによる組換え法を用いて生産されるか、または、2つのペプチド部分の化学結合によって生産されるかのいずれにおいても、当業者に本明細書で示された教示が与えられれば、このようなキメラタンパク質は当業界周知であり、望ましい生物学的特性(例えば、ただしこれらに限定されないが、安定性の増加および血清中半減期)を本発明の抗体に付与できることが理解できると思われるため、このような分子は本発明に含まれる。
【0133】
本発明に使用するために作成された抗体は、最初から特定の望ましいアイソタイプを有していなくてもよい。むしろ、作製された抗体はあらゆるアイソタイプを含む可能性があり、従来の技術を用いて、後になって切り替えられるアイソタイプであり得る。これらの技術としては、直接的な組換え技術(例えば、米国特許第4,816,397号を参照)、および、細胞−細胞融合技術(例えば、米国特許第5,916,771号を参照が挙げられる。
【0134】
本発明の抗体のエフェクター機能は、様々な治療用途に応じて、アイソタイプをIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、または、IgMに切り替えることによって変更してもよい。その上、細胞を死滅させるための相補物に対する依存性は、例えば二重特異性、免疫毒素または放射標識の使用によって回避できる。
【0135】
抗体4.1.1、4.13.1およびチシリムマブはIgG2抗体であり、前記抗体の可変領域の配列は、本明細書において(図1〜3)、および、本明細書で参照され包含される出願および特許で提供されるが、当然ながら、本明細書の他の箇所でより詳細に考察されているように、これらの抗体の全長配列、同様に、配列番号1〜36に記載の配列を含み、さらに、アイソタイプに関係なくあらゆる定常領域を含む抗体のいずれかの使用が本発明に包含される。同様に、イピリムマブの全長配列を含むあらゆる抗体、または、イピリムマブの抗原結合部分をコードする配列を含むそれらのあらゆる部分が、本発明の方法に従って用いることができる。
【0136】
従って、当業者なら、本明細書で示された教示が与えられれば、本発明の抗CTLA4抗体−治療剤の併用において、広範囲の抗CTLA4抗体を含むことが可能なことは、容易に理解できると思われる。
【0137】
さらに、当業者には、本明細書で示された開示に基づき、本発明は、単一の抗体のみの投与に限定されないことは明白であろう;むしろ、本発明は、少なくとも1種の抗CTLA4抗体(例えば、4.1.1、4.13.1、または、チシリムマブのいずれか一種)と治療剤とを併用して投与することを包含する。さらに、あらゆる抗CTLA−4抗体の組み合わせは、少なくとも1種の治療剤と組み合わせることができ、本発明は、このような組み合わせとそれらの順列の全てを包含する。
【0138】
本発明の一実施形態において、本方法は、チシリムマブと指定された抗CTLA4抗体を用いる。他の本発明の実施形態において、本方法は、例えば以下の出願および特許で説明されている抗CTLA4抗体を用いる:米国特許出願番号09/472,087、これは現在、と米国特許第6,682,736号して特許付与されている;国際出願番号PCT/US99/30895(2000年6月29日に、WO00/37504として公開);米国特許出願番号10/612,497(2004年11月18日に、US2004/0228858として公開);米国特許出願番号10/776,649(2004年11月18日に、US2004/0228861として公開);国際出願番号PCT/US00/23356(2001年3月1日に、WO01/14424として公開)(例えば抗体10D1、MDX−010、および、イピリムマブとしても知られている,メダレックス,プリンストン,ニュージャージー州);国際出願番号PCT/US99/28739(2000年6月8日に、WO00/32231として公開);米国特許第5,811,097号、5,855,887号、6,051,227号、および、6,207,156号;Linsley等の米国特許第5,844,095号;国際出願番号PCT/US92/05202(1993年1月7日に、WO93/00431として公開);米国特許出願番号10/153,382(2003年5月8日にUS2003/0086930として公開);米国特許出願番号10/673,738(2005年2月24日にUS2005/0042223として公開);米国特許出願番号11/085,368(2005年10月13日に、US2005/0226875として公開);米国特許出願番号60/624,856(2004年11月4日付で出願);米国特許出願番号60/664,364(2005年3月23日付で出願);米国特許出願番号60/664,653(2005年3月23日付で出願);米国特許出願番号60/697,082(2005年7月7日付で出願);米国特許出願番号60/711,707(2005年8月26日付で出願)。
【0139】
III.用量の処方計画
用量の処方計画は、本発明に関する方法に最適な望ましい応答が得られるように調節することができる。例えば、単一のボーラスを投与してもよいし、長期にわたり数回に分割された用量を投与してもよいし、または、治療状況の要件で示されるように、用量を比例的に減少または増加させてもよい。投与と用量の均一性が簡易化されるように非経口組成物を投与単位形態で配合することが特に有利である。本明細書で用いられる「投与単位形態」は、治療される哺乳動物の被検体に応じた単位投与量として適した物理的に別々の単位を意味する;予め決められた量の活性化合物を含む単位はそれぞれ、必要な製薬担体と共に望ましい治療効果が生産されるように計算される。本発明の投与単位形態に関する明細は、(a)抗体特有の特徴および達成され得る特定の治療または予防作用、および、(b)このような活性化合物を個体を治療するために調合する際の当業界特有の限定によって、さらにそれらを直接反映して説明される。
【0140】
留意すべきは、用量の値は、緩和しようとする状態のタイプと重症度に応じて様々であり、1回の用量を含んでいてもよいし、または複数回の用量を含んでいてもよい、ということである。さらに当然ながら、特定の被検体いずれかにとって、特定の用量の処方計画は、個々の必要性、および、本組成物を投与する人または本組成物の投与を管理する人の専門的な判断に従って、長期にわたり調節されるべきであり、本明細書に記載の用量範囲は、単なる例示であり、特許請求された組成物の範囲または実施を限定することを目的としない。
【0141】
本発明に従って投与される抗体の治療有効量の典型的な非限定的な範囲は、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約10mg/kg、約10mg/kgを超えて、または、少なくとも約15mg/kg、例えば約1〜30mg/kg、または、例えば約1〜25mg/kg、または、例えば約1〜20mg/kg、または、例えば約5〜20mg/kg、または、例えば約10〜20mg/kg、または、例えば約15〜20mg/kg、または、例えば約15mg/kgである。一実施形態において、上記量は、10mg/kgである。その他の実施形態において、上記量は、15mg/kgである。
【0142】
さらに、用量を段階的に増加させるプロトコールを用いて、最大耐量(MTD)を決定することができ、必要に応じて、抗体−ホルモン治療の併用治療の投与に関連する用量制限毒性(DLT)を評価することができる。用量を段階的に増加させることは、用量を増加させることを含み、例えば、ただしこれらに限定されないが、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、および、15mg/kg、または、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。他の実施形態において、3mg/kg、6mg/kgおよび10mg/kgからなる連続的な用量が投与され、患者は、その他のパラメーターのなかでも、必要に応じて毒性に関して、同様に治療の有効性に関して評価される。
【0143】
一実施形態において、前記抗体は、静脈投与用の製剤に、適切な緩衝液系中に約5〜20mg/mlの抗体を含む滅菌水溶液として投与される。
【0144】
一実施形態において、用量の一部が静脈内にボーラス投与され、その残りは抗体製剤の点滴によって投与される。例えば、ボーラスとして抗体0.01mg/kgを含む静脈注射が提供され、予め決められた抗体の用量の残りは、静脈注射によって投与することができる。予め決められた抗体の用量は、例えば約1時間半から約5時間の期間にわたり投与してもよい。一実施形態において、前記抗体は、約100ml/時間の1回の静脈点滴として投与され、より好ましくは、点滴速度は、約200ml/時間であり、点滴速度は、当分野で認識される方法に従って当業者によって決定されてもよい。
【0145】
一実施形態において、前記抗体は、単回投与または複数回の用量で投与してもよい。抗CTLA4抗体は、ヒトに、1日数回の頻度で投与してもよく、または、より低い頻度で、例えば1日1回、1週間に1回、2週間毎に1回、1ヶ月に1回投与してもよく、または、それよりさらに低い頻度で、例えば数ヶ月に1回、または、1年に1回またはそれ未満で投与してもよい。上記用量は、例えば、2週間毎に、毎月、20日毎、25日毎、28日毎、30日毎、40日毎、50日毎、2ヶ月毎、70日毎、80日毎、3ヶ月毎、6ヶ月毎、または、毎年投与してもよい。加えて、ホルモン治療剤は、1日に数回、1日1回、1週間に数回、毎週、数週間毎、第3週毎、第4週毎、毎月、3ヶ月毎、6ヶ月毎、1年に1回、または、患者に治療上の利点が提供されるようなその他のあらゆる期間、投与することができる。用量の頻度は、当業者には、容易に理解できると思われ、多数の要因、例えば、ただしこれらに限定されないが、治療される病気のタイプと重症度、および、ヒトの年齢などに依存すると予想される。
【0146】
本発明の一実施形態において、前記抗体とホルモン治療の投与がオーバーラップする場合、前記抗体とホルモン治療剤は、共に投与できるが、これは、前記抗体とホルモン治療剤は、同時投与が実質的に同時に発生するように、別々に、または、一日の異なるタイミングで、同様に、同時に、または、同じ日付に投与することができるという観点に基づく。従って、上記二種の投与によってどちらかの物質が他方の非存在下において投与された場合より検出可能に大きい治療上の利点が患者に付与されるように、同時投与は、前記抗体とホルモン治療剤の実質的に同時発生的な投与を包含する。
【0147】
加えて、本発明の特定の実施形態において、前記抗体とホルモン治療剤が投与されるが、ここにおいて、抗体の投与の前にホルモン治療剤が投与され、ホルモン治療剤の最後の用量の投与と抗体の投与との間に休止期間がある。休止期間の継続時間は、当業界周知の多種多様な因子に従って調節することができる。
【0148】
上述したように、特定の実施形態において、前記抗体とホルモン治療剤の併用はさらに、多数の追加の化合物(なかでも、その他の治療剤、サイトカイン、化学治療剤および/または抗ウイルス性薬)と併用される。あるいは、このような化合物は、抗体−治療剤の組み合わせ、またはそれらのあらゆる順列の前に、1時間、1日、1週間、1ヶ月またはそれより長い期間先行して投与してもよい。さらに、このような化合物は、放射線、幹細胞移植、または、あらゆる治療剤(例えばサイトカイン、化学治療化合物など)の投与、または、それらのあらゆる順列の投与後に、1時間、1日、1週間、またはそれより長い期間投与してもよい。頻度および投与計画は、当業者には容易に理解されると思われ、多数の要因、例えば、ただしこれらに限定されないが、治療される病気のタイプと重症度、動物の年齢および健康状態、投与される化合物の種類、様々な化合物の投与経路などに依存すると予想される。
【0149】
ロイプロリドは、好ましくは、特に、前記化合物を、例えば1日、毎月、数ヶ月毎、3または4ヶ月のインターバルで投与することを含む当業界周知の標準的な投与計画に従って、皮下投与(s.c.)または筋肉内投与(i.m.;ルプロンデポ(LUPRON DEPOT))される。その上、ロイプロリド/ルプロンデポの用量は、当業者には一般的な様々な要因に応じて調節でき、は、慣習的に、皮下投与されるロイプロリドの毎日約1mgから、毎月筋肉内投与されるルプロンデポの約3.5、および、7.5mg/用量、および、3ヶ月毎に投与されるルプロンデポ用量の11.23、および、22.5mg、および、4ヶ月毎に投与されるルプロンデポの約30mgの範囲が可能である。その代わりの処方計画は、その他の様々な当業界既知の処方計画のなかでも特に、毎日1回の皮下注射として投与されるロイプロリドは1mgであり、3ヶ月毎に1回の筋肉内注射として投与されるロイプロリドは22.5mgであることを包含する。本発明の特定の実施形態において、抗CTLA4抗体は、ロイプロリドの投与の最中、その前またはその後のいずれかのタイミングで投与される。好ましくは、ロイプロリドは、抗CTLA4抗体の静脈内投与と同時に、28日毎に筋肉内投与される。さらにより好ましくは、ロイプロリドは、約7.5mgの量で筋肉内投与される。
【0150】
ロイプロリドと抗体の投与がオーバーラップする、特に抗体がロイプロリドおよびビカルタミド(bicalumatide)と共に投与される本発明の実施形態において、3サイクルのロイプロリド/抗体を28日毎に投与することができる。場合により、前立腺切除術の後、少なくとも1回の追加のサイクルのロイプロリド/抗体が投与される。より好ましくは、外科手術後、約3サイクルのロイプロリド/抗体が投与される。さらにより好ましくは、第一目の外科手術後のサイクルは、外科手術後45日以内に開始され、それにより、患者に存在する抗体の治療的なレベルを維持することができる。
【0151】
ビカルタミドは、当業界周知の標準的な投与計画に従って投与することができる。簡単に言えば、ビカルタミドは、好ましくは、1日1回、約50mg〜200mgの範囲の量で投与される。好ましくは、ビカルタミドは、約50mg/日の量で経口投与される(口から)。さらにより好ましくは、ビカルタミドは、最初の投与サイクルの最初の14日間投与され、さらにより好ましくは、ビカルタミド、ロイプロリドおよび抗CTLA4は、最初のサイクルの一日目(D1)に共に投与される。その後、好ましくは、14日目(D14)の後にビカルタミドを中断する。一実施形態において、ロイプロリドと抗体は、D28およびD56に共に投与される。さらにより好ましくは、ロイプロリドは、筋肉内投与される。約7.5mgの注射と抗体は、静脈点滴で、約1mg/kg〜20mg/kg、他の実施形態において約3mg/kg〜15mg/kg、他の実施形態において約3mg/kg〜10mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0152】
当業者には明らかなように、本明細書で示された開示に基づき、用量および投与計画は、治療分野において周知の方法に従って調節される。すなわち、最大耐量は、容易に確立でき、検出可能な治療上の利点を患者に提供する有効量をもまた決定することができる。従って、本明細書において所定の用量および投与計画が例示されてはいるが、これらの例は、本発明の実施にあたり患者に提供できる用量および投与計画をまったく限定するものではない。さらに、当業者であれば当然だが、本明細書で示された教示が与えられれば、治療上の利点、例えば、その他の様々なパラメーターのなかでも、腫瘍の大きさおよび/または転移の検出可能な減少、PSAのレベルの減少、再発までの時間の延長(ただしこれらに限定されない)を前立腺癌治療の有効性を評価するための当業界既知の多種多様の方法によって評価することができ、これらの方法は、本発明に包含され、同様に、将来的に方法を開発することができる。
【0153】
一実施形態において、1回の抗CTLA4抗体を含むボーラス注射は、約28日毎に約1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で、患者に静脈内投与される。他の本発明の実施形態において、チシリムマブは、28日毎に、約10mg/kgの用量で投与される。さらに他の実施形態において、チシリムマブは、3ヶ月毎に約15mg/kg投与される。LH−RHアゴニスト(ロイプロリド)の用量は、抗体が投与された一日目と、その後の約28日毎に投与される。好ましくは、前記抗体とロイプロリドは、それぞれの用量サイクルの同じ日に共に投与される。他の実施形態において、ロイプロリドは28日毎に投与され、チシリムマブは3ヶ月毎に投与される。加えて、ビカルタミドは、抗体とロイプロリドが共に投与される日から開始して14日間毎日投与される。好ましくは、ビカルタミドは、その後の用量サイクルの間は投与されない;しかしながら、ビカルタミドは、その後のサイクルで投与してもよいし、および/または、14日間より長く投与してもよい。さらに、本発明は、抗体投与の間のあらゆるタイミングで、ビカルタミドおよび/またはロイプロリドを投与することを包含し、本発明は、抗体とホルモン治療剤が関連した投与に関するいかなる方法にも限定されない。従って、ホルモン治療は、抗体投与の前に、その間に、および/または、その後のいずれかに施すことができる。
【0154】
IV.医薬組成物
本発明は、抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分を含む医薬組成物の製造、および、前記組成物と、少なくとも2種のホルモン治療剤(独立して、例えば、抗アンドロゲン、GnRHアンタゴニスト、および、LH−RHアゴニストから選択される)との併用を包含する。このような医薬組成物は、被検体への投与に適した形態の各抗体またはホルモン治療剤単独(例えば、有効量の抗CTLA4、有効量の少なくとも1種のホルモン治療剤)からなっていてもよく、または、このような医薬組成物は、前記抗体またはホルモン治療剤、ならびに、1またはそれ以上の製薬上許容できる担体、1またはそれ以上の追加の(活性および/または不活性)成分、または、これら数種の組み合わせを含んでもよい。
【0155】
一実施形態において、前記抗体は、水溶液で非経口投与(例えば静脈内投与)され、一方でぜホルモン治療剤(例えば、抗アンドロゲン、GnRHアンタゴニスト、LH−RHアゴニストなど)は、丸剤/カプセルの形態で経口投与される。しかしながら、当業者であれば当然であるが、本明細書で示された開示に基づき、本発明は、これらの、または、その他のあらゆる製剤、用量、投与経路などに限定されない。むしろ、本発明は、あらゆる抗体製剤、または、ホルモン治療剤と併用して抗体を投与する方法を包含し、このような方法としては、ただしこれらに限定されないが、各物質を、異なる製剤で、異なる投与経路を介して別々に投与すること(例えば、抗CTLA4抗体を静脈内投与し、一方で非ステロイド系抗アンドロゲン(ビカルタミド)を同時に経口投与すること、および、LH−RHアゴニスト(ロイプロリド)を筋肉内注射すること)、および、前記抗体とホルモン治療(例えば、第二の抗CTLA4抗体、例えば、ただしこれらに限定されないが、特にイピリムマブ)を、特に単一の組成物(例えば、特に静脈内投与するための水性組成物)で投与することが挙げられる。従って、以下の考察により、本発明の、あらゆる抗CTLA4抗体とあらゆるホルモン治療剤とを併用した投与を含む方法を実施するための、様々な製剤を説明するが、本発明はこれらの製剤に限定されず、当業者に本発明の方法に使用するための本明細書で示された教示が与えられれば容易に決定できるようなあらゆる製剤を含む。
【0156】
本発明で用いられる抗体は、被検体への投与に適した医薬組成物に包含させることができる。典型的には、本医薬組成物は、前記抗体と、製薬上許容できる担体を含む。本明細書で用いられる「製薬上許容できる担体」としては、生理学的に適合する全てのあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張、ならびに、吸収遅延剤などが挙げられる。製薬上許容できる担体の例としては、水、食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、トレハロース、グリセロール、エタノールなどの1種またはそれ以上、同様に、それらの組み合わせが挙げられる。多くの場合において、本組成物中に、等張剤、例えば糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または、塩化ナトリウムを含むことが好ましいと予想される。湿潤剤のような製薬上許容できる物質、または、湿潤剤や乳化剤のような少量のアジュバント、保存剤もしくは緩衝液は、貯蔵寿命、または、抗体または抗体部分の有効性を高める。
【0157】
前記抗体は、多種多様な形態が可能である。これらの形態としては、例えば、液体状、例えば液状溶液(例えば、注射溶液および点滴溶液)、分散液または懸濁液、および、リポソームが挙げられる。好ましい形態は、目的とする投与様式と治療用途に応じて様々である。典型的な好ましい組成物は、注射溶液または点滴溶液の形態であり、例えば、その他の抗体を用いたヒトの受身免疫法で用いられるのと類似した組成物である。好ましい投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹膜内、筋肉内)である。好ましい実施形態において、前記抗体は、静脈点滴または注射によって投与される。その他の好ましい実施形態において、前記抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0158】
治療用組成物は通常、滅菌され、製造条件下で、および貯蔵中に安定でなければならない。本組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または、その他の高い薬物濃度に適した秩序だった構造として製剤化することができる。滅菌された注射用溶液は、必要量の抗体を、上記で列挙された成分の1種またはそれらを組み合わせて適切な溶媒に含ませること、必要に応じて、その後滅菌ろ過することによって製造できる。一般的に、分散液は、活性化合物を、基礎となる分散媒と上記で列挙されたものから必要とされるその他の成分を含む滅菌された基剤に含ませることによって製造される。滅菌された注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、活性成分とあらゆる追加の望ましい成分を含む予め滅菌ろ過された溶液から、活性成分とあらゆる追加の望ましい成分からなる粉末を得ることができる。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散液の場合は必要な粒度の維持、および、界面活性剤の使用によって維持できる。注射用組成物の持続性の吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含ませることによって達成できる。
【0159】
前記抗体は、これらに限定されないが、経口投与、非経口投与、経粘膜、吸入、局所投与、バッカル投与、鼻および直腸投与などの多種多様な当業界既知の方法によって投与することができる。多くの治療用途にとって、好ましい投与経路/様式は、皮下、筋肉内、静脈内または点滴である。注射針を用いない注射も必要に応じて用いることができる。当業者には当然であるが、投与経路および/または様式は、所望の結果に応じて様々であると予想される。
【0160】
特定の実施形態において、前記抗体は、化合物を迅速な放出に対して保護すると予想される担体と共に製造してもよく、このような担体としては、例えば制御放出製剤、インプラント、経皮パッチ、および、マイクロカプセル化運搬システムが挙げられる。生分解性生体適合性ポリマーを用いることができ、例えば酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、および、ポリ乳酸が挙げられる。このような製剤の多くの製造方法は、特許化されているか、または、一般的に当業者周知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson編,マルセル・デッカー社,ニューヨーク(1978年)を参照。
【0161】
一実施形態において、前記抗体は、pH約5〜6の範囲の、酢酸ナトリウム、ポリソルベート80、および、塩化ナトリウムと共に抗体5または10mg/mlを含む滅菌水溶液として、静脈投与用の製剤に投与される。好ましくは、静脈投与用の製剤は、pH5.
5の、20mM酢酸ナトリウム、0.2mg/mlポリソルベート80、および、140mM塩化ナトリウムと共に抗体5または10mg/mlを含む滅菌水溶液である。
【0162】
他の本発明の実施形態において、前記抗体は、20mMヒスチジン緩衝液、pH5.5、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌溶液に投与される。一形態において、このような製剤は、ゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアル中に包装される。その他の形態において、このバイアルは、約20mg/mlの抗体を含み、名目上、バイアルあたり約400のmgの含量である。
【0163】
ホルモン治療剤に関して、前記物質は、生理学的に許容できるエステルまたは塩の形態で、例えば、当業界周知の生理学的に許容できるカチオンまたはアニオンと併用して、前記医薬組成物に含ませることができる。
【0164】
本発明で説明される医薬組成物の製剤は、既知のあらゆる方法、または、これ以降に薬理学分野で開発されたあらゆる方法によって製造してもよい。一般的に、このような予備的な方法には、活性成分を担体または1またはそれ以上のその他のアクセサリー成分に結合させ、次に、必要に応じて、または、望ましくは、生成物を望ましい1回または複数回投与単位に成形または包装する工程が含まれる。
【0165】
本発明の医薬組成物は、単位用量を一個として、または、一個の単位用量を複数として製造し、包装するか、または、バルクで販売してもよい。本明細書で用いられる「単位用量」とは、活性成分の予め決められた量を含む医薬組成物の個々の量である。活性成分の量は、一般的に、被検体に投与する予定の活性成分の用量、または、このような用量の使いやすい部分(例えば例えばこのような用量の二分の一または三分の一)に等しい。
【0166】
本発明の医薬組成物中の活性成分、製薬上許容できる担体、および、あらゆる追加の成分の相対量は、治療される被検体の性質、大きさおよび状態、それに加えて、本組成物が投与される経路に応じて様々である。一例として、本組成物は、0.1%〜100%(w/w)の活性成分を含んでもよい。
【0167】
上記活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は、1種またはそれ以上の追加の医薬活性物質をさらに含んでいてもよい。特に考慮される追加の物質としては、制吐剤、下痢止め剤、化学治療剤、サイトカインなどが挙げられる。
【0168】
従来の技術を用いて、本発明の医薬組成物の制御放出性または持続放出製剤を作製してもよい。
【0169】
本明細書で用いられる医薬組成物の「非経口投与」としては、被検体の組織の身体的な突破口とみなされるあらゆる投与経路、および、組織の切り目を介する医薬組成物の投与が挙げられる。従って、非経口投与としては、これらに限定されないが、本医薬組成物の注射、外科的な切開術による本医薬組成物の適用、組織浸透性の非外科的な創傷を介した本組成物の適用などによる医薬組成物の投与が挙げられる。特に、非経口投与としては、これらに限定されないが、皮下の、腹膜内、筋肉内、胸骨内注射、および、腎臓透析による注入技術を含むものとする。
【0170】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、活性成分を、製薬上許容できる担体(例えば滅菌水または滅菌等張食塩水)と組み合わせて含む。このような製剤は、ボーラス投与または連続投与に適した形状に製造し、包装または販売してもよい。注射用製剤は、1回投与量で(例えばアンプルまたは複数回投与のための保存剤を含む容器中に)製造し、包装または販売してもよい。非経口投与のための製剤としては、これらに限定されないが、以下で述べられるような懸濁液、溶液、油性または水性基剤中の乳濁液、ペースト、および、インプラント可能な持続放出性または生分解性製剤が挙げられる。このような製剤は、1種またはそれ以上の追加の成分をさらに含んでもよく、このような成分としては、ただしこれらに限定されないが、懸濁剤、安定化剤、または、分散剤が挙げられる。非経口投与のための製剤の一実施形態において、活性成分は、再溶解された組成物の非経口投与の前に適切な基剤(例えば滅菌パイロジェンフリー水)で再溶解させるために乾燥状(すなわち粉末または顆粒)で提供される。
【0171】
本医薬組成物は、滅菌された注射用の水性または油性懸濁液または溶液の形態で製造し、包装するか、または、販売してもよい。この懸濁液または溶液は、既知の技術に従って製剤化してもよいし、活性成分に加えて追加の成分(例えば本明細書で説明されている分散剤、湿潤剤または懸濁化剤)を含んでもよい。このような滅菌された注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒(例えば水または1,3ブタンジオールなど)を用いて製造してもよい。その他の許容できる希釈剤および溶媒としては、これらに限定されないが、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、および、不揮発性油、例えば合成モノまたはジグリセリドが挙げられる。その他の有用な非経口投与可能な製剤としては、微小結晶状の活性成分を、リポソーム調製物中に、または、生分解性ポリマー系の成分として含む製剤が挙げられる。持続放出またはインプランテーションのための組成物は、製薬上許容できる高分子または疎水性材料(例えば乳濁液、イオン交換樹脂、やや難溶性のポリマー、または、やや難溶性の塩)を含んでもよい。
【0172】
V.キット
本発明は、前立腺癌を治療するための様々なキットを含む。一実施形態において、本キットは、ホルモン依存性の前立腺癌を治療するために用いられ、本キットは、本発明の方法を実施するためのアプリケーターと組み合わせの使用を説明する説明書と共に、治療有効量の抗CTLA4抗体またはそれらの抗原結合部分、および、治療有効量の少なくとも2種のホルモン治療剤を含む。典型的なキットを以下で説明するが、その他の有用なキット内容物も、当業者には本発明の開示の観点において明白であろう。これらのキットはそれぞれ、本発明に含まれる。
【0173】
本発明は、ホルモン非依存性の前立腺癌を治療が必要な患者のための、ホルモン非依存性の前立腺癌を治療するためのキットを含む。本キットには、本発明のヒト抗CTLA4抗体と、少なくとも1種のホルモン治療剤が含まれる。本キットには、患者にキットの成分を投与するためのアプリケーターがさらに含まれ、このようなアプリケーターとしては、ただしこれらに限定されないが、注射器が挙げられる。さらに、本キットは、患者の前立腺癌を治療するために本キットを使用するのに適切な情報を説明するための教材を含む。
【0174】
一実施形態において、本キットは、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、10D1(イピリムマブ;MDX−010,メダレックス)から選択される抗CTLA4抗体の少なくとも1種を含み、さらにより好ましくは、前記抗体は、4.1.1、4.13.1、6.1.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される。より好ましくは、前記抗体は、4.1.1、4.13.1、4.14.3、6.1.1、および、チシリムマブから選択される。
【0175】
一実施形態において、ホルモン治療剤は、なかでも、抗アンドロゲン、GnRHアンタゴニスト、および、LH−RHアゴニストから選択される物質の少なくとも1種である。一形態において、抗アンドロゲンは、ステロイド系または非ステロイド系抗アンドロゲンのいずれかである。その他の形態において、非ステロイド系抗アンドロゲンは、なかでも、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミドから選択される。ステロイド性の抗アンドロゲンは、メゲストロール、シプロテロンなどからなる群より選択される。さらにその他の形態において、GnRHは、アバレリクス、および、ヒストレリンからなる群より選択される。さらなる形態において形態、LH−RHは、ロイプロリド、ゴセレリン、ブセレリン、および、トリプトレリンなどからなる群より選択される。
【0176】
本発明は、ホルモン非依存性の前立腺癌を治療するためのキットを包含し、ここにおいて、本キットは、抗CTLA4抗体、および、あらゆるホルモン剤(例えば、ただしこれらに限定されないが、ロイプロリド、ビカルタミド)、および、抗体のいずれかの組み合わせを含む。好ましくはこのようなキットであるが、本発明はこの特定の組み合わせに限定されない。むしろ、本キットは、アンドロゲンレベルを減少させることがわかっている既知のホルモン治療剤のあらゆる組み合わせを含ませることができる。さらに、本キットは、ガン治療のための多種多様な追加の物質を含ませることができる。このような物質はこれまでに記載されており、例えば、なかでも、化学治療化合物、癌ワクチン、シグナル伝達阻害剤、異常細胞成長またはガンを治療するのに有用な物質、IGF−1Rに結合することによって腫瘍成長を阻害する抗体またはその他のリガンド、化学治療剤(なかでも、タキサン、ビンカアルカロイド、白金化合物、インターカレーションを起こす抗生物質)、および、サイトカイン、同様に、例えば治療中に生じるあらゆる毒性を治療するための苦痛緩和剤が挙げられる。
【0177】
本明細書に引用されたそれぞれの特許、特許出願および文献の開示は、参照によりその全体を本発明に加入させる。
【0178】
以下の実験的な実施例を参照することによって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、説明するためだけに提供されるものであて、特に他の規定がない限り限定することは目的としない。従って、本発明は、以下の実施例に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、本明細書で示された教示の結果として明白となるいずれかの変化形、および全ての変化形を包含する解釈すべきである。
【実施例】
【0179】
実施例1:高危険度の前立腺癌のネオアジュバント治療における、抗CTLA4と少なくとも2種のホルモン治療剤との併用
現在の標準的な医療により根治的な前立腺切除術に適格であり、中程度の危険または高い再発の危険を有する前立腺癌患者が、抗体−ホルモンを併用したネオアジュバント治療のための候補である。この研究のための標的個体群は、病理学的に限定されたガンの発生確率の代わりに、生化学的な再発の危険を用いて定義される。このアプローチは、前立腺に限定された病気を有する患者は、「限定的な」局所治療を施したにもかかわらず生化学的な再発を起こす可能性があるという観察によって裏付けられる。それゆえに、このような患者の定義は、より広範囲である。PSAが障害を起こすまでの時間が2年未満だと、遠隔の障害が起こると予測されることを示す近年のデータを考慮すると、初期のPSA障害に関して高危険度にある患者は、本明細書で開示されたネオアジュバント(および補助)抗体−ホルモン併用治療の候補である。
【0180】
全ての患者に関して、臨床学的に示された通りに、ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group,米国東海岸癌臨床試験グループ)の一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学的なパネル(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(例えば、タンパク尿および尿沈渣が挙げられる)、およびその他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル、PSAレベル)が得られた。
【0181】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。薬物動態学は、0時間(投与の直前に)と、抗体点滴の1時間後に測定した。
【0182】
14日目に、ECOG PSと、有害事象(発生した場合)を評価した。血液学、化学実験に関するサンプルを、PT、APTT、CRPおよびPSAと共に得た。
【0183】
手術前に、およそ抗体−ホルモン併用治療の最終サイクルの最後から計画的な前立腺切除術の前に、以下の評価を完了させた:あらゆる有害反応、ECOG PS、バイタルサインおよび重量、身体検査(例えば、自己免疫の兆候など)、ECG、および、DRE。血液学および化学的なパネルのためのサンプルを、PT、APTT、CRPおよびPSAと共に得た。
【0184】
術後の評価は、外科手術後の約2週間で行われた。この評価には、身体検査(例えば、自己免疫など)、バイタルサイン、ECOGの一般状態、体重、血液学および化学的なパネル、PT、APTT、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、CRP、尿検査が含まれる。自己抗体パネル、PSA、テストステロン、HAH力価およびPKのための追加のサンプルを得た。全ての患者を手術標本の病理学的評価と有害反応に関して評価した。
【0185】
抗体−ホルモンの併用治療の追加のサイクルを受けていない患者に関して、患者を術後の評価の後に約1ヶ月評価した。患者は、ECOG PS、身体検査(例えば、自己免疫の兆候など)、および、デジタルの直腸検査に関して評価された。PSAのための血液サンプルも得た。
【0186】
患者は、病気が再発するか、またはPSAが進行するまで、もしくは最大で24ヶ月、または、他の治療計画の開始まで(いずれか早い方)3ヶ月毎に観察された。
【0187】
病理学的な応答が実証された患者は、必要に応じて、28日毎で3回の追加の抗体のサイクル(ホルモン治療なし)を受けた。好ましくは、外科手術後45日以内に前記抗体を患者に投与した。
【0188】
抗体−ホルモンの併用治療のサイクルに関してこれまで説明したように、1日目、14日目に経過観察について患者を評価した。
【0189】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0190】
抗体は、10mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルに提供された。各バイアルは、20mM酢酸ナトリウム、0.2mg/mlポリソルベート80、および、140mM塩化ナトリウムを含む滅菌水溶液(pH5.5)中の5mg/ml(名目上、50mg/バイアルの含量である)の抗CTLA4抗体を含んでいた。
【0191】
抗CTLA4の点滴(ただし前投与は必要ない)の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。
【0192】
患者に、ロイプロリド(LUPRON)およびビカルタミド(CASODEX)を、抗CTLA4抗体(チシリムマブ)と併用して投与した。より具体的に言えば、1日目(D1)に、患者に、1回の抗CTLA4抗体の静脈点滴(100mL/時間)を1mg/kg、3mg/kg、または、6mg/kgの用量で、ロイプロリド(ルプロンデポ)7.5mgの筋肉注射と併用して投与した。最低限3人の患者に、各抗体の用量を投与した。より低い用量レベル(すなわち1mg/kg)で用量の段階的増加を再開するために、研究を改正した。3人の患者は、その用量レベルを摂取し、外科手術を受けた(併用治療の3ヶ月後に)。用量を段階的に増加させることを3mg/kgまで継続した。続いて、用量を段階的に増加させることを6mg/kgおよび10mg/kgまで継続的した。
【0193】
錠剤の形状のビカルタミド(CASODEX)を、50mgの用量で、1日1回、1日目(D1)から開始して最初の14日間経口投与した。好ましくは、ビカルタミドは、D1〜D14の毎日、同じ時間に摂取させ、患者の薬物治療日誌を用いてビカルタミド投与の全ての中断を記録した。
【0194】
必要に応じて予防的な制吐剤と下痢止め剤を与えた。28日後に、外科手術の前に最大で3サイクル(D1、D28、および、D56)、抗体の輸注とルプロンデポ7.5mgの筋肉注射を用いた治療を繰り返した。
【0195】
必要に応じて抗体の用量を、例えば1〜3mg/kg、3〜6mg/kg、および、6〜10mg/kgなどに増加させた。1つの同齢集団あたり3〜6人の被検体で、用量倍加計画を利用する加速させた滴定計画を用いて、用量を増加させた。新たに生じる各同齢集団において、被検体間の待機期間は必要はない。第一の被検体は、次の同齢集団の観察を開始せずに目下の用量レベルで21日間観察し、続いて、次の被検体を14日間観察した。より好ましくは、毒性またはその他のあらゆる逆の指標により用量の減少が要求されない限り、開始用量が維持された。
【0196】
外科手術の後に、抗体とホルモン治療の併用は、好ましくは前立腺切除術の45日以内に、追加で3サイクルまでが投与された。外科手術の後に、抗体(IV)とロイプロリド(IM)(7.5mg)は、28日毎に共に投与された(ビカルタミドなし)。
【0197】
注目すべきことに、黒色腫における1種の物質の研究において、6mg/kgチシリムマブの単回投与で治療された3人の患者のうち1人がグレード3の下痢を起こしたが、6mg/kgの複数回の用量で治療された患者は誰も下痢を起こさなかった。それに対して、本発明の研究において、ホルモン治療とCTLA4遮断の併用で治療された3人の患者のうち2人が、グレード3の下痢を起こした。もっとも注目すべきことは、下痢の重症度(持続時間および規模)は、これまであらゆる用量レベルを用いたその他のあらゆる研究で観察されたものより著しく高かったである。例えば、3mg/kgチシリムマブとホルモン治療を受けた患者は、持続性の下痢を示した。これは、ホルモン治療とチシリムマブとが相互作用を起こし、それによりチシリムマブの下痢を誘導する性質が増強されたことを示している。下痢は、チシリムマブの作用機序に関連する可能性が高いという点で、薬理学的に介在しているとみなされている。それゆえに、これらのデータにより、HTとCTLA4遮断との間に生物学的な相互作用があることが示され、下痢は、免疫介在性の作用であると推測される。従って、これらのデータにより、ホルモン治療が介在する可能性のある免疫介在性の作用と、CTLA4遮断が介在する可能性のある免疫介在性の作用との間に関連がある可能性があることが示される。その他の治療がまったく施されない単一の物質としてのCTLA4の遮断に関して、黒色腫における腫瘍応答と、推定上の「自己免疫を打開する事象」との相関の可能性が報告されている(Attia等,J Clin Oncol.23(25):6043〜6053(2005年)を参照)。従って、ホルモン治療と抗体治療が介在する相乗効果が生じる可能性があり、これは、本発明の研究において観察された下痢の重症度の増加を示すデータによって示されている。
【0198】
3人の患者からなる一同齢集団を、6mg/kgのチシリムマブ(または、抗体11.2.1、または、CP−675,206としても知られている)で登録した。3人の患者(患者番号1005〜1004)のうち1人は、研究を続行し、前立腺切除術を施した。前立腺切除術からの試料は、検出可能な腫瘍の縮小と、腫瘍細胞の周囲に炎症性の浸潤の兆候が見られた(図4)。すなわち、抗体治療とホルモン治療(ロイプロリド、および、ビカルタミド)の3ヶ月後に、患者から採取された前立腺切除術からの試料に広範囲の治療作用とリンパ球浸潤が検出された。他方の2人の患者は下痢を起こしたため、研究が完了しなかった。
【0199】
1mg/kgおよび6mg/kgで治療された数人の患者から採取された前立腺切除術からの試料に、治療作用の証拠が観察された。これらの作用としては、癌腫の退縮、および、良性の前立腺の腺組織、リンパ球浸潤(図4を参照)、および、急性および慢性炎症の兆候が挙げられる。腺組織で観察された変化の大きさ、同様に、炎症性および免疫性の変化はいずれも、単にアンドロゲン遮断が原因というわけではなく、それゆえに、前立腺の腺組織における抗CTLA4抗体11.2.1(または、チシリムマブとしても知られている)の免疫介在性の作用が示される。
【0200】
実施例2:臨床学的に限局性の前立腺癌のアジュバント治療における、抗CTLA4と、少なくとも2種のホルモン治療剤との併用
臨床学的に限局性の前立腺癌を有する患者に、ホルモン治療プロトコール毎にゴセレリン(ZOLADEX)とフルタミド(EULEXIN)の両方を(放射線治療の前とその間に)投与し、例えば、EULEXINは、250mg tid(1日3回)で投与し、ZOLADEXは、合計4ヶ月(放射線治療の2ヶ月前に、および、放射線治療2ヶ月の間に)、3.6mgで毎月皮下投与した。あるいは、患者は、ZOLADEXでの治療を追加で24ヶ月受けた。このようなアジュバント治療のための処方計画は、典型的には放射線治療が施されるが(ただし外科手術を伴わないか、または外科手術の後に)、これは、例えば、Hanks等,J Clin Oncology 21:3972〜3978(2003年)で説明されている。
【0201】
さらに、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、約3mg/kg、または、6mg/kg、または、10mg/kg、または、15mg/kgの用量で、本明細書で説明されているように患者に投与された。予防的な下痢止め剤を必要に応じて与えた。28日後に、抗CTLA4を初期用量で投与することによってこの治療を繰り返し(好ましくは用量を段階的に増加させない)、その後、28日毎に、許容できない毒性または病気の進行がない状態で、最大限で12サイクル繰り返した。あるいは、3ヶ月毎に抗体を投与した。ZOLADEXは、抗体と共に投与され、および/または、28日毎に、3.6mgを皮下投与される。
【0202】
好ましくは、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を、チシリムマブの点滴の少なくとも30分間前に前投与した。前投与は推奨されるが、必須ではない。
【0203】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0204】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0205】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAを得た。
【0206】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0207】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0208】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0209】
実施例3:PSAが増加しつつある前立腺癌を有する患者の治療における、抗CTLA4と少なくとも2種のホルモン治療剤との併用
外科手術または放射線治療後に前立腺癌とPSAの増加がみられる患者に、標準的なホルモン治療プロトコール毎に、ロイプロリド(LUPRON)またはゴセレリン(ZOLADEX)のいずれかを、ビカルタミド(CASODEX)またはフルタミド(EULEXIN)と共に、または、それらなしで投与した(例えば、LUPRONは、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与され、ZOLADEXは、約4週間毎に3.6mgで皮下投与され、CASODEXは、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、EULEXINは、1日3回を毎日250mgで投与される)。さらに、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、約1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、または、15mg/kgの用量で本明細書で説明されているように患者に投与した。予防的な下痢止め剤を必要に応じて与えた。
【0210】
その後、この治療を、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で28日毎に繰り返した。LUPRONを、28日毎に7.5mgで筋肉内投与した。
【0211】
好ましくは、抗CTLA4の点滴の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。前投与は推奨されるが、必須ではない。
【0212】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0213】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0214】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0215】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0216】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0217】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0218】
実施例4:ホルモン非依存性の転移性前立腺癌の第一選択薬または第二選択薬による治療における、抗CTLA4と少なくとも1種のホルモン治療剤との併用
転移性前立腺癌を有する患者(外科手術または放射線治療の後に)に、標準的なホルモン治療プロトコール毎に、ロイプロリド(LUPRON)およびビカルタミド(CASODEX)の両方が投与され、例えば、CASODEXは、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、LUPRONは、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与される。さらに、1回の抗CTLA4抗体の静脈点滴(100mL/時間)が、本明細書で説明されているように、約1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、または、15mg/kgの用量で患者に投与された。必要に応じて予防的な制吐剤と下痢止め剤を与えた。
【0219】
その後、28日毎に、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態でこの治療を繰り返した。LUPRONは、28日毎に7.5mgで筋肉
内投与された。
【0220】
好ましくは、抗CTLA4の点滴の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。前投与は推奨されるが、必須ではない。
【0221】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0222】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0223】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0224】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0225】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0226】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0227】
実施例5:ホルモン非依存性の転移性前立腺癌の第一選択薬または第二選択薬による治療における、抗CTLA4と少なくとも1種のホルモン治療剤との併用
転移性前立腺癌を有する患者(外科手術または放射線治療の後に)に、標準的なホルモン治療プロトコール毎に、ロイプロリド(LUPRON)およびビカルタミド(CASODEX)の両方が投与され、例えば、CASODEXは、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、LUPRONは、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与される。さらに、1回の抗CTLA4抗体の静脈点滴(100mL/時間)が、本明細書で説明されているように、約15mg/kgの用量で患者に投与された。必要に応じて予防的な制吐剤と下痢止め剤を与えた。
【0228】
その後、3ヶ月毎に、抗体を、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で投与した。ロイプロリドは、28日毎に7.5mgで筋肉内投与された。
【0229】
好ましくは、抗CTLA4の点滴の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。前投与は推奨されるが、必須ではない。
【0230】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0231】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0232】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0233】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0234】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0235】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0236】
実施例6:ホルモン依存性の前立腺癌の治療における、抗CTLA4とホルモン治療剤との連続的な併用
ホルモン依存性の前立腺癌を有する患者(先行のホルモン治療を受けていない患者を含む)に、標準的なホルモン治療プロトコール毎に少なくとも1クールの少なくとも1種のホルモン治療剤を含むホルモン治療を施した(例えば、なかでも、ロイプロリド(LUPRON)は、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与され、ゴセレリン(ZOLADEX)は、約4週間毎に3.6mgで皮下投与され、ビカルタミド(CASODEX)は、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、フルタミド(EULEXIN)は、1日3回を毎日250mgで投与される)。少なくとも1クールのホルモン治療の後に、かつ、最後のホルモン治療剤の用量の投与の後に少なくとも1週間(ただし4ヶ月未満)を経過させた後に、患者に、本明細書で説明されているように、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、4週間毎に少なくとも10mg/kgの用量で連続的に投与した。予防的な下痢止め剤を必要に応じて与えた。
【0237】
この治療を、指示通りに、用量を段階的に増加させて、または、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で繰り返した。
【0238】
抗CTLA4の点滴(ただし前投与は必要ない)の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。
【0239】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0240】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0241】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0242】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0243】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0244】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0245】
実施例7:ホルモン依存性の前立腺癌の治療における、抗CTLA4とホルモン治療剤との連続的な併用
ホルモン依存性の前立腺癌を有する患者(先行のホルモン治療を受けていない患者を含む)に、標準的なホルモン治療プロトコール毎に少なくとも1クールの少なくとも1種のホルモン治療剤を含むホルモン治療を施した(例えば、なかでも、ロイプロリド(LUPRON)は、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与され、ゴセレリン(ZOLADEX)は、約4週間毎に3.6mgで皮下投与され、ビカルタミド(CASODEX)は、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、フルタミド(EULEXIN)は、1日3回を毎日250mgで投与される)。少なくとも1クールのホルモン治療の後に、かつ、最後のホルモン治療剤の用量の投与の後に少なくとも1週間(ただし4ヶ月未満)を経過させた後に、患者に、本明細書で説明されているように、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、約3ヶ月毎に少なくとも15mg/kgの用量で連続的に投与した。予防的な下痢止め剤を必要に応じて与えた。
【0246】
この治療を、指示通りに、用量を段階的に増加させて、または、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で繰り返した。
【0247】
抗CTLA4の点滴(ただし前投与は必要ない)の少なくとも30分前に、患者に抗ヒスタミン剤(H1)を前投与した。
【0248】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0249】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0250】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0251】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0252】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0253】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0254】
実施例8:ホルモン非依存性の前立腺癌の治療における、抗CTLA4と少なくとも1種のホルモン治療剤との連続的な併用
ホルモン非依存性の前立腺癌を有する患者に、例えば、先行のホルモン治療の後に(例えば、標準的なホルモン治療プロトコール毎に、ロイプロリド(LUPRON)、ゴセレリン(ZOLADEX)、ビカルタミド(CASODEX)、フルタミド(EULEXIN)、および、それらの組み合わせ)、標準的なホルモン治療プロトコール毎に少なくとも1クールの少なくとも1種のホルモン治療剤を含むホルモン治療を投与した(例えば、LUPRONは、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与され、ZOLADEXは、約4週間毎に3.6mgで皮下投与され、CASODEXは、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、EULEXINは、1日3回を毎日250mgで投与される)。少なくとも1クールのホルモン治療の後に、かつ、最後のホルモン治療剤の用量が投与された後に少なくとも1週間(ただし約4ヶ月を超えない)の期間経過させたの後に、患者に、本明細書で説明されているように、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、28日毎に少なくとも10mg/kgの用量で投与した。
【0255】
この治療を、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で繰り返した。例えば、LUPRONは、28日毎に7.5mgで筋肉内投与された。
【0256】
患者に抗ヒスタミン剤(H1)を、チシリムマブの点滴(ただし前投与は必要ない)の少なくとも30分間前に前投与した。
【0257】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0258】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0259】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0260】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0261】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0262】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0263】
実施例9:ホルモン非依存性の前立腺癌の治療における、抗CTLA4と少なくとも1種のホルモン治療剤との連続的な併用
ホルモン非依存性の前立腺癌を有する患者に、例えば、先行のホルモン治療の後に(例えば、標準的なホルモン治療プロトコール毎に、ロイプロリド(LUPRON)、ゴセレリン(ZOLADEX)、ビカルタミド(CASODEX)、フルタミド(EULEXIN)、および、それらの組み合わせ)、標準的なホルモン治療プロトコール毎に少なくとも1クールの少なくとも1種のホルモン治療剤を含むホルモン治療を投与した(例えば、LUPRONは、約4週間毎に7.5mgで筋肉内投与され、ZOLADEXは、約4週間毎に3.6mgで皮下投与され、CASODEXは、最初のサイクルのみ50mgを14日間毎日投与され、EULEXINは、1日3回を毎日250mgで投与される)。少なくとも1クールのホルモン治療の後に、かつ、最後のホルモン治療剤の用量が投与された後に少なくとも1週間(ただし約4ヶ月を超えない)の期間経過させたの後に、患者に、本明細書で説明されているように、1回のチシリムマブの静脈点滴(100mL/時間)を、3ヶ月毎に少なくとも15mg/kgの用量で投与した。
【0264】
この治療を、用量を段階的に増加させないで、許容できない毒性または病気の進行がない状態で繰り返した。例えば、LUPRONは、28日毎に7.5mgで筋肉内投与された。
【0265】
患者に抗ヒスタミン剤(H1)を、チシリムマブの点滴(ただし前投与は必要ない)の少なくとも30分間前に前投与した。
【0266】
また、下痢止め作用を有する物質を投与してもよく、このような物質としは、消化管の慢性炎症性の状態の治療において示された物質が挙げられる。このような物質としては、なかでも、局所活性を有するステロイド(例えばブデソニド[ENTOCORT])、および、抗腫瘍壊死因子(TNF)薬(例えばインフリキシマブ[REMICADE]、エタネルセプト[ENBREL]、および、アダリムマブ[HUMIRA])が挙げられる。
【0267】
20mlのゴムストッパーとアルミニウムシールを備えた透明ガラス製バイアルにチシリムマブを入れた。各バイアルは、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、84mg/mlトレハロース二水和物、0.2mg/mlポリソルベート80、および、0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液中に、20mg/ml(名目上、400mg/バイアルの含量である)のチシリムマブを含んでいた。
【0268】
全ての患者について、臨床学的に示された通りに、ECOGの一般状態、バイタルサインおよび体重を投与前に評価し、バイタルサインは投与後に繰り返し評価した。1日目に、身体検査(例えば、眼科的評価、および、自己免疫の兆候など)を行った。血液学的なパネルのためのサンプル(ヘマトクリット、RBCカウント、WBCカウント、ディファレンシャル)、化学(アルカリホスファターゼ、カルシウム、塩化物、GGT、LDH、マグネシウム、リン、ランダムなグルコース、ナトリウム、尿素、尿酸)、尿検査(血液、タンパク質)、その他(活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]、プロトロンビン時間(PT)、自己抗体パネル、C反応性タンパク質、TSH、T3、T4、アミラーゼ、リパーゼ、血清C3、C4、血清Igレベル)およびPSAレベルを得た。
【0269】
基準のヒト抗ヒト抗体(HAHA)の力価が決定され、薬物動態学的(PK)試料は投与前に得た。
【0270】
以下の評価項目を測定した:PKパラメーター、HAHA、反応速度、または、進行するまでの時間。進行するまでの時間と全体の生存は、カプラン・マイヤー積極限法を用いて計算した。
【0271】
抗CTLA4抗体は、4.1.1、4.13.1、チシリムマブ、および、イピリムマブから選択される少なくとも1種の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む。このような抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する。抗CTLA4抗体はチシリムマブである。
【0272】
本明細書で引用されたそれぞれの特許、特許出願、および、文献の開示は参照によりその全体を本発明に加入させる。
【0273】
特定の実施形態を参照して本発明を開示したが、当然ながら、当業者であれば、本発明の本質および範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態および変化形を考案することができる。添付の請求項は、このような実施形態および同等の変化形を全て含むと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0274】
【図1】抗CTLA4抗体4.1.1に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【図2】抗CTLA4抗体4.13.1に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【図3】抗CTLA4抗体11.2.1(ここにおいては、チシリムマブと称される)に関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【図4】抗体とホルモン治療を併用したネオアジュバント治療の、前立腺組織に対する作用を実証する写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に、a)所定量のホルモン治療剤、および、b)ヒトCTLA4と結合する所定量の抗体またはその抗原結合部分を投与することを含み、ここにおいて、該ホルモン治療剤の投与から1日以上おいて、そして28日以内に抗体またはその部分の1回目の投与が行われ、そしてここで、該量は、併用して該治療に有効な量である、前立腺癌の治療が必要な患者における、前立腺癌の治療方法。
【請求項2】
抗体またはその部分は、ホルモン治療剤の投与から2日以上おいて投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗体またはその部分は、ホルモン治療剤の投与から21日以内に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ホルモン治療剤の投与は、抗体またはその部分の1回目の投与の前に終わる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ガンは、ホルモン依存性のガンおよびホルモン非依存性のガンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ガンは、ホルモン非依存性であり、ホルモン治療の投与は、抗体またはそれらの部分の1回目の投与の前に終わる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
抗体は、28日毎に約10mg/kgを投与すること、および、3ヶ月毎に約15mg/kgを投与することから選択される処方計画に従って投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
抗CTLA4抗体またはその抗原結合部分は、
(a)約10-8またはそれ以上のCTLA4への結合親和性を有し、かつ、CTLA4とB7−1との結合、および、CTLA4とB7−2との結合を阻害するヒト抗体;
(b)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体由来のCDR配列に相当するヒトCDR配列の少なくとも1種を含むアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(c)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、および、12.9.1.1からなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(d)4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト抗体;
(e)CTLA4との結合に関して、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する抗体の少なくとも1種と競合する抗体または
その抗原結合部分;および、
(f)CTLA4との結合に関して、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、チシリムマブ、11.6.1、11.7.1.、12.3.1.1、12.9.1.1、および、イピリムマブからなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有する抗体の少なくとも1種と交差競合する抗体またはその抗原結合部分、
からなる群より選択される少なくとも1種の抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗体は、チシリムマブの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を有するヒト抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
抗体は、重鎖および軽鎖を含み、ここにおいて、重鎖の重鎖可変領域と軽鎖の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列、および、配列番号9に記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列、および、配列番号21に記載のアミノ酸配列;
(c)配列番号27に記載のアミノ酸配列、および、配列番号33に記載のアミノ酸配列;
(d)配列番号1に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号7に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(e)配列番号13に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号19に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(f)配列番号25に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列、および、配列番号31に記載の核酸配列によってコードされたアミノ酸配列;
(g)イピリムマブの重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列、
からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
抗体またはその抗原結合部分は、
(a)配列番号4、配列番号5および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号10、配列番号11および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;
(b)配列番号16、配列番号17および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号22、配列番号23および配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;
(c)配列番号28、配列番号29および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、配列番号34、配列番号35および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体;および
(d)抗体イピリムマブの重鎖CDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、さらに、抗体イピリムマブの軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体、
からなる群より選択される抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
患者に、ヒトCTLA4と結合する所定量の抗体またはその抗原結合部分、および、所定量のホルモン治療剤を投与することを含み、ここにおいて、該ホルモン治療剤は1ヶ月より長い期間にわたって複数回の用量で投与され、そして抗体またはその部分は該ホルモン治療剤の投与期間中に投与され、そして該量は併用して該治療に有効な量である、ホルモン非依存性の前立腺癌の治療が必要な患者における、ホルモン非依存性の前立腺癌の治療方法。
【請求項14】
ホルモン治療剤は、2ヶ月より長い期間にわたり投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗体またはその部分を複数回の用量で1ヶ月より長い期間にわたって投与することをさらに含み、該期間はホルモン治療剤の投与期間とオーバーラップする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
抗体またはその部分の投与期間と、ホルモン治療剤の投与期間は、2ヶ月以上の間オーバーラップする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗体またはその部分の複数回の用量と、ホルモン治療剤の投与期間は、6ヶ月以上の間オーバーラップする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
患者に、治療有効量の抗CTLA4抗体またはその抗原結合部分と、治療有効量の少なくとも2種のホルモン治療剤とを同時投与することを含み、ここにおいて、該ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される、ホルモン依存性の前立腺癌の治療が必要な患者における、ホルモン依存性の前立腺癌の治療方法。
【請求項19】
抗アンドロゲンは、ビカルタミドであり、アゴニストは、ロイプロリドである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療有効量の抗CTLA4抗体またはその抗原結合部分と、治療有効量の少なくとも2種のホルモン治療剤とを含み、ここにおいて、該ホルモン治療剤は、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、および、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)アゴニストからなる群より選択される、前立腺癌を治療するための医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−265244(P2006−265244A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57537(P2006−57537)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】