説明

Cu−Ga合金の切断方法

【課題】例えば溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができるCu−Ga合金の切断方法を提供する。
【解決手段】加工対象物15であるCu−Ga合金塊とワイヤー12とを互いに交わる方向に相対移動させ、Cu−Ga合金塊に対してその全長にわたってワイヤー放電加工を行う。切断前のCu−Ga合金塊の形状が直方体である場合には、直方体の最も短い辺と切断面とが交わるように、当該Cu−Ga合金塊を切断する(いわゆる「スライス」を行う)ことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Cu−Ga合金の切断方法に関するものであり、より詳しくは、例えば溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができるCu−Ga合金の切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スパッタリングターゲットは、例えば300mm×400mm×1000mmの大きさに溶解鋳造された直方体形状の合金(インゴット)を、旋盤や丸鋸を用いて幾つかに切断し、切断された合金片(スラブ)を圧延、切削することにより製造されている。
【0003】
そして、スパッタリングターゲットとして、Gaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金は、主に、薄膜型太陽電池を構成する光吸収層の薄膜形成に用いられている。
【0004】
ところが、一般にスパッタリングターゲットとして用いられるGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金は、延性や展性が乏しく、硬度が高くて割れ易い(脆い)。このため、例えば直方体形状のCu−Ga合金塊に切断加工を含む塑性加工等の加工を施すと、加工後の当該Cu−Ga合金にヒビが入ったり、割れたり欠けたりする。このような不都合が生じたCu−Ga合金を製品化するには、例えばヒビが入った部分等を切削して除去しなければならない。また、発生した切削クズには切削によって不純物が混入してしまうため、例えばCu−Ga合金をスパッタリングターゲットとして用いる場合には、当該切削クズをCu−Ga合金として再利用することはできない。それゆえ、再利用できない多量の切削クズが発生してCu−Ga合金の製品の歩留りが悪くなる。
【0005】
さらに、一般にスパッタリングターゲットとして用いられるCu−Ga合金のうち、Gaの組成比が25モル%(≒26.8重量%)以上と大きいCu−Ga合金(いわゆる硬脆材)は、特に硬度が高くて割れ易い(脆い)ため、塑性加工等の加工を施すことができない。
【0006】
そこで、上記の不都合を防止するために、通常、Gaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金は、セラミックス等の成形と同様に、Cu−Ga合金粉末を焼結することによって所望の形状に成形(製造)している。
【0007】
しかしながら、粉末を焼結することによって所望の形状のCu−Ga合金を製造する方法では、塑性加工等の加工を施して製造する方法と比較して、Cu−Ga合金の製品の歩留りは改善されるものの、当該製品の生産性が低くなってしまう。
【0008】
また、溶解鋳造によるスパッタリングターゲット用のCu−Ga合金の製造方法も提案されている(例えば、特許文献1)が、この方法では、所望するCu−Ga合金の大きさに合わせたモールドをその都度用意しなければならないので、生産性が極めて低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−73163(2000年3月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
Cu−Ga合金をスパッタリングターゲットとして用いる場合には、当該Cu−Ga合金は一般的に生産性の高い溶解鋳造によって製造されていることが望ましいものの、加工を施さずに所望の大きさのCu−Ga合金を得る上記方法では生産性が向上せず、溶解鋳造によって製造されたCu−Ga合金塊に塑性加工等の加工を施すと、加工後の当該Cu−Ga合金にヒビが入ったり、割れたり欠けたりする。従って、Cu−Ga合金を製品化するには、例えばヒビが入った部分等を切削して除去しなければならないので、再利用できない多量の切削クズが発生してCu−Ga合金の製品の歩留りが悪くなるという問題点を有している。
【0011】
それゆえ、例えば溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができるCu−Ga合金の切断方法が望まれている。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、例えば溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなくこれを切断して所望の形状に切断(加工)することができるCu−Ga合金の切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るCu−Ga合金の切断方法は、上記の課題を解決するために、ワイヤー放電加工によってCu−Ga合金塊を切断することを含む。
【0014】
ワイヤー放電加工は、アーク放電によって加工対象物を切断する非接触の加工方法であるので、加工対象物に大きな力が加わらない。従って、上記の方法によれば、Gaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができる。また、切断して得られるCu−Ga合金にヒビが入ったり、割れ欠けを生じないので、従来は必要であった切削工程が不要となる。従って、再利用できない多量の切削クズが発生することが無いので、Cu−Ga合金の製品の歩留りが良好となる。さらに、一般に、ワイヤー放電加工は、微細な加工を行うことができ、加工精度も高い。このため、従来は必要であった圧延工程が不要となる。従って、Cu−Ga合金の製品の生産性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、切断速度が、0.1mm/分以上、8mm/分以下であることがより好ましく、0.1mm/分以上、3mm/分以下であることがさらに好ましい。さらに、本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、切断前のCu−Ga合金塊の形状が直方体であって、直方体の最も短い辺と切断面とが交わるように当該Cu−Ga合金を切断することがより好ましい。本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、上記直方体の最も短い辺の長さが50mm以下であることがより好ましい。本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、Cu−Ga合金におけるGaの組成比が、10モル%以上、50モル%以下であることがより好ましい。本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、切断して得られるCu−Ga合金の用途が、スパッタリングターゲットであることがより好ましい。本発明に係るCu−Ga合金の切断方法においては、Cu−Ga合金塊が、溶解鋳造によって製造されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るCu−Ga合金の切断方法は、ワイヤー放電加工によってCu−Ga合金塊を切断する方法である。
【0017】
これにより、Gaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができるCu−Ga合金の切断方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る切断方法を実施するのに好適なワイヤー放電加工装置の一例を示すものであり、概略の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る切断方法の一実施例を示すものであり、切断対象物であるCu−Ga合金の概略の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るCu−Ga合金の切断方法の好適な実施形態の一例について、以下に説明する。先ず、本発明に係るCu−Ga合金の切断方法の切断対象物であるCu−Ga合金について説明する。
【0020】
<Cu−Ga合金>
本発明に係るCu−Ga合金の切断方法の切断対象物であるCu−Ga合金塊は、溶解鋳造によって製造されていることが好ましい。溶解鋳造によって製造することにより、Cu中にGaが偏析しないので、Cu−Ga合金をスパッタリングターゲットとしてスパッタリングに用いたときに得られる薄膜の性能を維持することができる。尚、溶解鋳造の具体的な方法は、一般的な方法を採用することができ、特に限定されるものではない。また、Cu−Ga合金の用途は、スパッタリングターゲットに限定されるものではない。
【0021】
Cu−Ga合金におけるGaの組成比は、任意の値とすればよいが、10モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、15モル%以上、40モル%以下であることがより好ましい。特に25モル%を上回る、塑性加工し難いものについて効果を発揮する。尚、本発明においては、「モル%」を「atomic%」と同義語として扱うこととする。
【0022】
また、Cu中にGaができるだけ偏析しないようにするには、Cu−Ga合金全体がより均一に冷却されることが望ましい。従って、溶解鋳造されるCu−Ga合金塊は、偏平な直方体形状、具体的には、溶解鋳造の具体的な条件にもよるが、例えば250mm×500mm×50mm程度の大きさにすることが好ましい。つまり、本発明において用いられるCu−Ga合金塊は、従来鋳造されているCu−Ga合金塊(例えば240mm×300mm×1000mmの大きさ)と比較して、小さくかつ偏平な直方体形状に鋳造されていることが好ましい。
【0023】
<切断方法>
上記Cu−Ga合金塊に対して行う本発明に係る切断方法の好適な実施形態の一例を、図1を参照しながら説明する。本発明に係る切断方法は、ワイヤー放電加工によって切断する方法である。
【0024】
ワイヤー放電加工とは、カットワイヤー(電極)と導電性を備えた加工対象物(切断対象物であり、本発明においてはCu−Ga合金塊)との間で短周期に繰り返されるアーク放電(放電エネルギー)によって、当該加工対象物を非機械的に切断する方法である。ワイヤー放電加工は、ワイヤーの材質や直径等を制御することにより、微細な加工を行うことができ、加工精度も高い。
【0025】
本発明に係る切断方法においては、一般的なワイヤー放電加工装置を用いることができる。具体的には、例えば、図1に示すように、一般的なワイヤー放電加工装置は、主に、高周波パルス電源10、電極11、ワイヤー12、サーボメカニズム13、並びに、加工槽14で構成されている。高周波パルス電源10は、アーク放電を行うための電力を高周波パルスとして電極11に供給するようになっている。電極11は、60〜300Vのパルス状の直流電流をワイヤー12に供給し、ワイヤー12と加工対象物15との間でアーク放電させるようになっている。ワイヤー12は、図示しないワイヤー供給装置から供給され、一定の張力を保った状態で、図示しない巻取装置にて巻き取られるようになっている。サーボメカニズム13は、ワイヤー12の供給速度および走行速度を制御するようになっている。加工槽14は、その底面部が高周波パルス電源10と電気的に接続されている。加工槽14には、水や油等の一般的な加工液16が満たされている。また、加工槽14には、ワイヤー12に対する加工対象物15の位置合わせを行う図示しない調整装置が設けられている。そして、加工槽14では、載置された加工対象物15に対して、加工液16中にてワイヤー12による切断(加工)が行われるようになっている。
【0026】
上記ワイヤー放電加工による切断工程を、手順を追って説明する。以下の説明においては、切断前のCu−Ga合金塊の形状が直方体であって、直方体の最も短い辺と切断面とが垂直に交わるようにして当該Cu−Ga合金を切断する場合を例に挙げることとする。
【0027】
始めに、加工槽14に、加工対象物15である直方体形状のCu−Ga合金塊を、上記切断が可能な向きに載置した後、加工液16を満たす。これにより、Cu−Ga合金塊は、加工槽14を介して高周波パルス電源10と電気的に接続される。次に、当該Cu−Ga合金塊直方体の一頂点を原点として、原点から延びる三辺を座標軸X,Y,Zに合わせる。例えば、Cu−Ga合金の長手方向をX軸方向とし、厚さ方向(直方体の最も短い辺の方向)をY軸方向とする。従って、この場合には、ワイヤー12は、その供給方向がZ軸方向となるように張り渡されていることになる。
【0028】
次いで、切断後のCu−Ga合金の厚さが所望の厚さ、例えば厚さaとなるように、原点からZ軸方向に距離aよりもさらに少しだけ移動した位置(後で研削することによって薄くなることを考慮した位置)に、ワイヤー12をセットする。その後、ワイヤー12を供給すると共に当該ワイヤー12に直流電流を供給しながら、Cu−Ga合金塊とワイヤー12とを互いに交わる方向に相対移動させ、Cu−Ga合金塊に対してその全長にわたってワイヤー放電加工を行う。即ち、ワイヤー12の位置を固定してCu−Ga合金塊を−X軸方向に移動させるか、或いは、Cu−Ga合金塊の位置を固定してワイヤー12をX軸方向に移動させながら、加工液16を介して、Cu−Ga合金塊に対してその全長にわたってアーク放電を行うことにより、当該Cu−Ga合金塊の切断を行う。
【0029】
直方体形状のCu−Ga合金塊を3つ以上に切り分ける場合には、上記操作と同様の操作を繰り返し行えばよい。これにより、直方体形状のCu−Ga合金から、所望の厚さのCu−Ga合金を切り分けることができる。
【0030】
ワイヤーの材質は、黄銅(Cu65重量%−Zn35重量%の合金)、銅等が好ましい。また、ワイヤーの直径は、0.1mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.2mm程度であることがより好ましい。ワイヤーの全長は、3000m程度であることが好ましい。そして、切断に利用されるワイヤーの長さ(加工液16中で張り渡されている長さ)、つまり、高周波パルス電源10側のワイヤー支持端から電極11側のワイヤー支持端までのワイヤーの長さは、「切断するCu−Ga合金塊の厚さ+1cm以内」程度であることが好ましい。
【0031】
ワイヤーの供給速度は、5m/分以上、15m/分以下であることが好ましい。ワイヤーの張力は、0.1kgf以上、0.5kgf以下であることが好ましい。また、ワイヤーの走行速度、即ち、Cu−Ga合金塊の切断速度(加工速度)は、0.1mm/分以上、8mm/分以下であることが好ましく、0.1mm/分以上、3mm/分以下であることがより好ましい。
【0032】
放電加工条件は、例えば、パルス幅を0.15μs以上、1.85μs以下、パルス休止期間を2μs以上、16μs以下、電流波高値を4.5A以上、70A以下、無負荷電圧を30V以上、100V以下とすればよいが、加工対象物であるCu−Ga合金塊の大きさやワイヤーの種類に応じて、適宜設定すればよい。
【0033】
尚、切断後のCu−Ga合金は、その切断面に、ワイヤー放電加工によって変質した変質層が形成される場合がある。しかしながら、当該変質層は、研削するだけで容易に除去することができる。
【0034】
本発明に係る切断方法においては、加工対象物であるCu−Ga合金塊が従来鋳造されているCu−Ga合金塊と比較して小さくかつ偏平であることがより好ましい。従って、所望の大きさのCu−Ga合金(スパッタリングターゲット)を得るには、切断前のCu−Ga合金塊の形状が直方体である場合には、直方体の最も短い辺と切断面とが交わるように、当該Cu−Ga合金塊を切断する(いわゆる「スライス」を行う)ことが好ましい。また、上記直方体の最も短い辺の長さは、50mm以下であることが好ましい。
【0035】
上記ワイヤー放電加工の、より具体的な一実施例を、以下に説明する。
【実施例1】
【0036】
図2に示すように、溶解鋳造し、研削して250mm×500mm×50mmの大きさになるように調整したGaの組成比が25モル%である直方体形状のCu−Ga合金1を、長さ50mmの辺と切断面とが垂直に交わるようにして、ワイヤー放電加工で3等分に切断した。
【0037】
ワイヤーの材質として黄銅(Cu65重量%−Zn35重量%の合金)を用い、直径を0.3mmとし、長さを0.26mとした。そして、ワイヤーの供給速度を1.3m/分とし、切断速度(ワイヤーの走行速度)を1.5〜1.8mm/分に制御して、Cu−Ga合金1を切断した。切断速度の平均値は1.7mm/分であった。
【0038】
切断された合金片2…を平面研削盤で研削することにより、250mm×500mm×16mmの大きさの、3枚のスパッタリングターゲット3…を製造した。上記ワイヤー放電加工による切断において、Cu−Ga合金は、割れたり欠けたりすることなく、また切断面にヒビの発生もなく所望の形状に切断(加工)することができた。
【実施例2】
【0039】
実施例1において、250mm×500mm×50mmの大きさに溶解鋳造されたGaの組成比が20モル%である直方体形状のCu−Ga合金塊を用い、切断速度を0.5〜0.8mm/分(切断速度の平均値は0.6mm/分)とした以外は実施例1と同様にして、250mm×500mm×16mmの大きさの、3枚のスパッタリングターゲット3…を製造した。上記ワイヤー放電加工による切断において、得られたCu−Ga合金は、割れたり欠けたりすることなく、また切断面にヒビの発生もなく所望の形状に切断(加工)することができた。
【実施例3】
【0040】
実施例1において、250mm×500mm×50mmの大きさに溶解鋳造されたGaの組成比が30モル%である直方体形状のCu−Ga合金塊を用い、切断速度を1.1〜1.5mm/分(切断速度の平均値は1.3mm/分)とした以外は実施例1と同様にして、250mm×500mm×16mmの大きさの、3枚のスパッタリングターゲット3…を製造した。上記ワイヤー放電加工による切断において、得られたCu−Ga合金は、割れたり欠けたりすることなく、また切断面にヒビの発生もなく所望の形状に切断(加工)することができた。
【実施例4】
【0041】
実施例1において、250mm×500mm×50mmの大きさに溶解鋳造されたGaの組成比が40モル%である直方体形状のCu−Ga合金塊を用い、切断速度を0.6〜0.9mm/分(切断速度の平均値は0.8mm/分)とした以外は実施例1と同様にして、250mm×500mm×16mmの大きさの、3枚のスパッタリングターゲット3…を製造した。上記ワイヤー放電加工による切断において、得られたCu−Ga合金は、割れたり欠けたりすることなく、また切断面にヒビの発生もなく所望の形状に切断(加工)することができた。
【0042】
以上の実施例1〜4から、本発明に係る切断方法を採用することにより、溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、割れたり欠けたりすることなく、また切断面にヒビの発生もなく所望の形状に切断(加工)することができることが判った。
【0043】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、硬度が高くて割れ易い(脆い)Cu−Ga合金塊を切断することができる。即ち、例えば溶解鋳造によって製造されたGaの組成比が比較的大きいCu−Ga合金塊であっても、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりすることなく切断して所望の形状に切断(加工)することができるので、例えばスパッタリングターゲットの製造等の、幅広い産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 高周波パルス電源
11 電極
12 ワイヤー
13 サーボメカニズム
14 加工槽
15 加工対象物(Cu−Ga合金)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤー放電加工によってCu−Ga合金塊を切断することを含むことを特徴とするCu−Ga合金の切断方法。
【請求項2】
切断速度が、0.1mm/分以上、8mm/分以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
切断前のCu−Ga合金塊の形状が直方体であって、直方体の最も短い辺と切断面とが交わるように当該Cu−Ga合金塊を切断することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記直方体の最も短い辺の長さが50mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Cu−Ga合金塊におけるGaの組成比が、10モル%以上、50モル%以下であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
得られるCu−Ga合金の用途が、スパッタリングターゲットであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
Cu−Ga合金塊が、溶解鋳造によって製造されたものであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−255286(P2009−255286A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74749(P2009−74749)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】