説明

DC−DCコンバータ及び有機電界発光表示装置

【課題】消費電力を低減することのできるDC−DCコンバータ及びそれを用いた有機電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】本発明のDC−DCコンバータは、可変抵抗Rと、可変抵抗の抵抗値に対応して周波数が変調されるスイッチング制御信号s.cを出力するオシレータ130cと、スイッチング制御信号s.cに対応して入力電圧をスイッチングすることによって第1電源ELVDDを出力するブースタ130aと、スイッチング制御信号s.cに対応して入力電圧をスイッチング反転することによって第2電源ELVSSを生成するインバータ130bとを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータ及びこれを用いた有機電界発光表示装置に関し、より詳細には、画面の大きさに応じて最適な効率を有するDC−DCコンバータ及びこれを用いた有機電界発光表示装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、陰極線管(Cathode Ray Tube)の短所である重量及び体積を減らすことが可能な各種平板表示装置が開発されている。平板表示装置には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel)、及び有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting Display)などがある。
【0003】
平板表示装置のうち、有機電界発光表示装置は、電子と正孔との再結合により光を発生する有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)を用いて画像を表示する。
【0004】
有機発光ダイオードは、アノード電極と、カソード電極と、アノード電極とカソード電極との間に位置する発光層とを備え、アノード電極からカソード電極の方向に電流が流れると、光を発光して色を表現できるようになっている。
【0005】
有機電界発光表示装置は、優れた色再現性や薄さなどの様々な利点により、応用分野において、携帯電話用のほかPDA、MP3プレーヤーなどへ市場が大きく拡大している。
【0006】
有機電界発光表示装置は、携帯電話、PDA、MP3プレーヤーなどに用いた場合、バッテリから電源を供給されることになる。しかしながら、有機電界発光表示装置で消費される電流量が大きければ、携帯電話、PDA、MP3プレーヤーなどを長時間使用することができず、バッテリを頻繁に交換しなければならない。したがって、有機電界発光表示装置における消費電力の低減は非常に重要な問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005−0514185号
【特許文献2】大韓民国特許公開第2005−0499526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、効率を高めることによって消費電力を低減することのできるDC−DCコンバータ及びそれを用いた有機電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1態様は、可変抵抗と、前記可変抵抗の抵抗値に対応して周波数が変調されるスイッチング制御信号を出力するオシレータと、前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して入力電圧をスイッチングすることにより、第1電源を出力するブースタと、前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して前記入力電圧をスイッチング反転することにより、第2電源を生成するインバータとを備えていることを特徴とするDC−DCコンバータを提供するものである。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の第2態様は、データ信号、走査信号、第1電源及び第2電源に対応して画像を表現する画素部と、前記データ信号を生成して前記画素部に伝達するデータ駆動部と、前記走査信号を生成して前記画素部に伝達する走査駆動部と、前記第1電源及び前記第2電源を生成して前記画素部に伝達するDC−DCコンバータとを備え、前記DC−DCコンバータは、可変抵抗と、前記可変抵抗の抵抗値に対応して周波数が変調されるスイッチング制御信号を出力するオシレータと、前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して入力電圧をスイッチングすることにより、第1電源を出力するブースタと、前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して前記入力電圧をスイッチング反転することにより、第2電源を生成するインバータとを備えていることを特徴とする有機電界発光表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係るDC−DCコンバータ及びそれを用いた有機電界発光表示装置によれば、画面の大きさに応じた最適な効率を実現できるDC−DCコンバータを提供することにより、効率を高めることができる。特に、低階調部分において周波数を調整することによって効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る有機電界発光表示装置の構造を示す構造図である。
【図2】画素部に流れる電流量の変化によるDC−DCコンバータの効率の変化を示すグラフである。
【図3】図1に示すDC−DCコンバータの構造を示す回路図である。
【図4】図1に示す有機電界発光表示装置に採用された制御部の構造を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明に係る有機電界発光表示装置の構造を示す構造図である。図1に示すように、本発明に係る有機電界発光表示装置は、画素部100と、データ駆動部110と、走査駆動部120と、DC−DCコンバータ130と、制御部140とを備えている。
【0014】
画素部100は複数の画素101を備え、各画素101は電流の流れに対応して光を発光する有機発光ダイオード(図示せず)を備えている。また、画素部100は、行方向に配列されて走査信号を伝達する複数の走査線S1,S2,・・・Sn−1,Snと、列方向に配列されてデータ信号を伝達する複数のデータ線D1,D2,・・・Dm−1,Dmとを備えている。また、画素部100は、第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSを外部から供給されている。
【0015】
データ駆動部110は、赤色、青色、緑色の成分を有する映像信号(RGB Video data)を受信してデータ信号を生成する。また、データ駆動部110は、画素部100のデータ線D1,D2,・・・Dm−1,Dmに接続され、生成したデータ信号を画素部100に印加している。
【0016】
走査駆動部120は、走査信号を画素部100の特定の行に伝達する。走査駆動部120は、走査線S1,S2,・・・Sn−1,Snに接続され、生成した走査信号を画素部100に印加する。走査信号が伝達された画素101には、データ駆動部110から出力されたデータ信号が伝達され、画素101で駆動電流が生成されて有機発光ダイオードに流れる。
【0017】
DC−DCコンバータ130は、画素部100に第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSを伝達し、データ駆動部110、走査駆動部120などに駆動電圧VDDを伝達する。DC−DCコンバータ130は、バッテリから入力された電圧を昇圧または反転して第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSを生成する。また、DC−DCコンバータ130は、スイッチング動作によって第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSの電圧を生成する。このとき、スイッチング動作は、画素部に流れる電流量に対応して流れるようになる。
【0018】
制御部140は、周波数制御信号f.cを出力してDC−DCコンバータ130を制御する。制御部140は、映像信号を用いて画素部100に流れる駆動電流の電流量を把握する。例えば、1フレームの期間に入力される映像信号の階調を合わせることで、画素部100に流れる駆動電流の電流量を把握する。また、駆動電流の量に対応して第2電源ELVSSの電圧を調整することにより、DC−DCコンバータ130の効率が低下しないようにする。
【0019】
図2は、画素部に流れる電流量の変化によるDC−DCコンバータの効率の変化を示すグラフである。グラフのX軸は画素部100の輝度を示し、Y軸は効率を示す。また、第2電源ELVSSの電圧の絶対値は3.7Vである。図2に示すように、画素部100の輝度が10カンデラであれば、DC−DCコンバータ130の効率は60%程度になり、輝度が70カンデラ以上であれば、DC−DCコンバータ130の効率は80%以上になる。すなわち、画素部100の輝度が非常に低い場合、効率は非常に悪くなる。
【0020】
有機電界発光表示装置は、特性上、有機発光ダイオードに流れる電流の量に対応して高輝度または低輝度で発光する。したがって、画素部100の輝度が高ければ、電流の量が高いと判断し、画素部100の輝度が低ければ、電流の量が低いと判断することができる。
【0021】
したがって、全体として画素部100に流れる電流量を用いることにより、低階調の場合、すなわち画素部100に流れる駆動電流の量が少ない場合に第2電源ELVSSの電圧を調整すると、有機電界発光表示装置の効率を高めることができる。
【0022】
図3は、図1におけるDC−DCコンバータ130の構造を示す回路図である。図3に示すように、DC−DCコンバータ130は、第1電源ELVDDを生成するブースタ130aと、第2電源ELVSSを生成するインバータ130bとを備えている。また、コイルL1と、第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2と、オシレータ130cと、可変抵抗Rとを備えている。ブースタ130aは、オシレータ130cの動作により、第1トランジスタT1がターンオン/ターンオフ動作を繰り返すように動作する。これによってコイルL1に起電力が形成され、ブースタ130aでは入力電源Vinより高い電圧を生成する。
【0023】
インバータ130bは、オシレータ130cの動作によって第2トランジスタT2がターンオン/ターンオフ動作を繰り返すように動作する。これにより、生成されたコイルL1の起電力及び入力電圧を反転し、第1電源ELVDDより低い電圧の第2電源ELVSSを生成する。
【0024】
オシレータ130cは、正の電圧と負の電圧を交互に印加して第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2に伝達し、第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2がターンオン/ターンオフ動作を行うことができるようにする。すなわち、オシレータ130cは、周波数を有するスイッチング制御信号s.cを発生して第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2をターンオン/ターンオフさせる。また、オシレータ130cは、スイッチング制御信号s.cの周波数を調整するため、ターンオン/ターンオフ時間を調整することにより、コイルL1で発生する起電力を調整する。
【0025】
可変抵抗Rは、制御部140から周波数制御信号f.cを受信して抵抗値が調整され、オシレータ130cは可変抵抗Rの抵抗値に対応してスイッチング制御信号s.cの周波数を調整する。このとき、可変抵抗Rの抵抗値が大きくなると、スイッチング制御信号s.cの周波数が減少する。
【0026】
図4は、図1における有機電界発光表示装置に採用された制御部140の構造を示すブロック図である。図4に示すように、制御部140は、電流検出部141と、記憶部142と、周波数調整部143とを備えている。
【0027】
電流検出部141は、外部から入力された映像信号を用いて画素部100に流れる駆動電流Iの電流量を検出する。有機電界発光表示装置は、各々の画素で、輝度に対応して駆動電流Iが流れるため、高輝度の画素が多い場合には、消費される駆動電流Iは大きくなり、高輝度の画素が少ない場合には、消費される駆動電流Iは少なくなる。電流検出部141は、このような有機電界発光表示装置の特性を利用して、フレームごとに画素部100に流れる駆動電流Iの電流量を把握する。
【0028】
記憶部142は、駆動電流Iの電流量に対応して、DC−DCコンバータ130のオシレータ130cで発生するスイッチング制御信号s.cの周波数が記憶されている。例えば、駆動電流Iの電流量の基準を定めた後、駆動電流Iの電流量が基準電流量である場合には、オシレータ130cの発振周波数を1MHzに設定し、駆動電流Iの電流量の変化によって電流量が減少すると、段階的に0.2MHzずつ周波数を減少させ、電流量が増加すると、段階的に0.2MHzずつ周波数を増加させる。このとき、オシレータ131cで発振可能な周波数は、駆動電流Iの電流量に対応して0.4MHz〜1.6MHzの範囲内で変化できるようにする。
【0029】
周波数調整部143は、電流検出部141で検出された駆動電流Iの電流量と、記憶部142に記憶されている周波数値とを用いて周波数制御信号f.cを出力する。また、周波数制御信号f.cにより、オシレータ130cはスイッチング制御信号s.cの周波数を決定する。オシレータ130cにより、第2電源ELVSSの電圧は駆動電流Iの量に応じて調整され、効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0030】
100 画素部
101 画素
110 データ駆動部
120 走査駆動部
130 DC−DCコンバータ
140 制御部
141 電流検出部
142 記憶部
143 周波数調整部
130a ブースタ
130b インバータ
130c オシレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変抵抗と、
前記可変抵抗の抵抗値に対応して周波数が変調されるスイッチング制御信号を出力するオシレータと、
前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して入力電圧をスイッチングすることにより、第1電源を出力するブースタと、
前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して前記入力電圧をスイッチング反転することにより、第2電源を生成するインバータと
を備えていることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記可変抵抗の抵抗値を調整する制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記制御部は、
流れる電流量を検出する電流検出部と、
前記電流検出部で検出された電流量に対応した周波数値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された周波数値を用いて前記可変抵抗の抵抗値を調整する周波数調整部と
を備えていることを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記記憶部に記憶されている周波数値の周波数範囲は、0.6MHz〜1.4MHz内であることを特徴とする請求項3に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
前記電流検出部は、フレームごとに、流れる電流量を検出することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項6】
前記可変抵抗の抵抗値が大きくなると、前記スイッチング制御信号の周波数が減少することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項7】
データ信号、走査信号、第1電源及び第2電源に対応して画像を表現する画素部と、
前記データ信号を生成して前記画素部に伝達するデータ駆動部と、
前記走査信号を生成して前記画素部に伝達する走査駆動部と、
前記第1電源及び前記第2電源を生成して前記画素部に伝達するDC−DCコンバータとを備え、
前記DC−DCコンバータは、
可変抵抗と、
前記可変抵抗の抵抗値に対応して周波数が変調されるスイッチング制御信号を出力するオシレータと、
前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して入力電圧をスイッチングすることにより、第1電源を出力するブースタと、
前記スイッチング制御信号を受信して、前記スイッチング制御信号に対応して前記入力電圧をスイッチング反転することにより、第2電源を生成するインバータと
を備えていることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記可変抵抗の抵抗値を調整する制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、
流れる電流量を検出する電流検出部と、
前記電流検出部で検出された電流量に対応した周波数値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された周波数値を用いて前記可変抵抗の抵抗値を調整する周波数調整部と
を備えていることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記記憶部に記憶されている周波数値の周波数範囲は、0.6MHz〜1.4MHz内であることを特徴とする請求項9に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記電流検出部は、フレームごとに、流れる電流量を検出することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記可変抵抗の抵抗値が大きくなると、前記スイッチング制御信号の周波数が減少することを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の有機電界発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−160646(P2011−160646A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109495(P2010−109495)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】