説明

DC−DCコンバータ

【課題】簡易な構成で消費電力が小さく、しかも2つの電力供給源を有する場合にも電流の逆流を防止できるDC−DCコンバータを提供する。
【解決手段】入力端子110と、出力端子111と、入力端子110と出力端子111の間に接続されるMOSトランジスタ101と、MOSトランジスタ101の端子に印加される電圧を制御し、出力端子111から出力される出力電圧の値を制御する制御回路105と、前記出力端子と接続する第2電力供給端子(例えば図1、図2に示した入力端子112)と、入力端子110とMOSトランジスタ101のバルクとの間に接続され、出力端子111にゲートが接続されるMOSトランジスタ102と、MOSトランジスタ101のバルクと出力端子111との間に接続され、入力端子110にゲートが接続されるMOSトランジスタ103とによってDC−DCコンバータを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータは、直流電圧を入力し、所望の電圧の直流電圧に変換する回路である。DC−DCコンバータには、適用される機器の複雑化に伴って、1つの入力端子と1つの出力端子とを備えた構成の他、2つの入力端子を備え、2つの電力供給源から電力の供給を受けるものがある。なお、2つの電力供給源としては、例えば、外部からDC−DCコンバータに電力を供給する電源と、DC−DCコンバータ内部の二次電池とが考えられる。
【0003】
2つの電力供給源から電力の供給を受けるDC−DCコンバータでは、出力端子から入力端子に向かって電流が逆流する可能性がある。電流の逆流を防止する機構を備えたDC−DCコンバータの従来技術としては、例えば、特許文献1に記載された発明がある。
図3は、特許文献1に記載された発明のDC−DCコンバータを説明するための図である。図3に示したDC−DCコンバータは、2つの電源の電圧を検出し、比較することで、2つの逆流防止用のスイッチMOSトランジスタM1、M2のいずれか一方を選択的にオンオフする逆流防止回路13を内蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−301209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した逆流防止回路13を含む従来技術は、2つの電源の電圧を検出して比較する比較器を複数備えている。このような従来技術の回路構成は、比較的複雑なものとなる上に消費電力も大きくなる。DC−DCコンバータを使用する分野では、このため、電流の逆流を防止する機能を備えながら、構成が簡易であって、消費電力がより小さいDC−DCコンバータが求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成であって消費電力が小さく、しかも2つの電力供給源を有する場合にも電流の逆流を防止できるDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のDC−DCコンバータは、直流の入力電圧を、電圧値の異なる直流の出力電圧に変換するDC−DCコンバータであって、前記入力電圧が入力される第1電力供給端子(例えば図1、図2に示した入力端子110)と、前記出力電圧が出力される出力端子(例えば図1、図2に示した出力端子111)と、前記第1電力供給端子と前記出力端子との間に接続される第1MOSトランジスタ(例えば図1、図2に示したMOSトランジスタ101)と、前記第1MOSトランジスタのゲート端子に印加される電圧を制御し、前記出力端子から出力される前記出力電圧の値を制御する出力制御回路(例えば図1、図2に示した制御回路105、205)と、前記出力端子と接続する第2電力供給端子(例えば図1、図2に示した入力端子112)と、前記第1電力供給端子と前記第1MOSトランジスタのバルクとの間にソース及びドレインが接続され、前記出力端子にゲートが接続される第2MOSトランジスタ(例えば図1、図2に示したMOSトランジスタ102)と、前記第1MOSトランジスタのバルクと前記出力端子との間にソース及びドレインが接続され、前記第1電力供給端子にゲートが接続される第3MOSトランジスタ(例えば図1、図2に示したMOSトランジスタ103)と、を含むことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、2つの入力端子を備えたDC−DCコンバータにあっても、比較器を用いずに電流の逆流を防止することができる構成を実現することができる。
また、本発明のDC−DCコンバータは、上記した発明において、前記第2電力供給端子に第2供給電圧が供給され、前記第1電力供給端子に第1供給電圧が供給され、前記第1供給電圧と、前記第2供給電圧とのうち、いずれか高い電圧が前記第1MOSトランジスタのバルクに供給されることが望ましい。
【0009】
このような構成によれば、第1供給電圧、第2供給電圧のいずれが高い場合であっても(外部電源が接続された場合であっても、切り離された場合であっても)第1MOSトランジスタの寄生ダイオードを介した電流の逆流を防止することが可能になる。
また、本発明のDC−DCコンバータは、上記した発明において、前記出力制御回路が、前記第1MOSトランジスタを制御して、前記第1供給電圧を降下させ、前記出力端子に供給することが望ましい。
【0010】
このような構成によれば、外部電源が接続された場合に出力電圧を一定の値に制御することができる。また、このような構成によれば、第2MOSトランジスタ、第3MOSトランジスタを能動的に動作させる素子を設けずに電流の逆流を防止する構成を実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、簡易な構成であって消費電力が小さく、しかも2つの電力供給源を有する場合にも電流の逆流を防止できるDC−DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1のDC−DCコンバータの回路図である。
【図2】本発明の実施形態2のDC−DCコンバータの回路図である。
【図3】特許文献1に記載された発明のDC−DCコンバータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態1、実施形態2のDC−DCコンバータを説明する。
[実施形態1]
(回路構成)
図1は、実施形態1のDC−DCコンバータの回路構成を説明するための図である。実施形態1は、本発明をシリーズレギュレータ型のDC−DCコンバータに適用した構成を説明するためのものである。
実施形態1のDC−DCコンバータは、2つの入力端子110、112と、1つの出力端子111を備え、直流の入力電圧を、電圧値の異なる直流の出力電圧に変換する。実施形態1のDC−DCコンバータは、出力端子111から入力端子110への電流の逆流を防ぐことを目的として構成されている。
実施形態1のDC−DCコンバータは、図1に示したように、入力電圧Vin1が入力される入力端子110と、出力電圧Voutが出力される出力端子111と、入力端子110と出力端子111との間に接続されるMOSトランジスタ101と、を含んでいる。
【0014】
MOSトランジスタ101のゲート端子101gには制御回路105が接続され、このゲート端子101gに電圧を印加している。制御回路105は、MOSトランジスタ101のゲート端子101gに印加されるゲート電圧の値を制御することができる。ゲート電圧が制御されることにより、MOSトランジスタ101の抵抗値が制御されて出力端子111の出力電圧Voutが制御回路105によって制御されることになる。
また、実施形態1のDC−DCコンバータは、出力端子111と接続される入力端子112を備えている。さらに、入力端子110とMOSトランジスタ101のバルクとの間にソース端子とドレイン端子とが接続され、出力端子111にゲート端子102gが接続されるMOSトランジスタ102と、MOSトランジスタ101のバルクと出力端子111との間にソース端子とドレイン端子とが接続され、入力端子110にゲート端子103gが接続されるMOSトランジスタ103と、を含んでいる。
【0015】
なお、ゲート端子102gは出力端子111に接続されていて、ゲート端子103gは入力端子110に接続されている。このため、実施形態1の構成は、MOSトランジスタ102、103を能動的に動作させる素子を設けずとも、外部電源の離接によって自動的にオン、オフさせて電流の逆流を防止することが可能になる。
このような実施形態1のDC−DCコンバータは、シリーズレギュレータ型のDC−DCコンバータである。
【0016】
図1に示した構成において、MOSトランジスタ101、102、103は、いずれもPチャネル型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタ102のバルク、ドレイン間にはボディダイオード113が形成されている。また、MOSトランジスタ103のバルク、ドレイン間にはボディダイオード114が形成されている。ボディダイオード113の順方向は、入力端子110からMOSトランジスタ101のバルクへ向かう方向に一致している。ボディダイオード114の順方向は、入力端子112からMOSトランジスタ101のバルクへ向かう方向に一致している。
【0017】
また、実施形態1のDC−DCコンバータでは、入力端子110にスイッチ104が接続されている。スイッチ104は、外部電源106と入力端子110とを離接するためにスイッチング動作をする。スイッチ104がオン状態になると、入力端子110に電圧が印加され、スイッチ104がオフ状態になると入力端子110はフローティング状態になる。一方、入力端子112には、二次電池108が接続されている。図1では、外部電源106の印加電圧をV1と記し、二次電池108の印加電圧をV2と記す。
【0018】
さらに、出力端子111には、出力電圧Voutを安定に維持するためのコンデンサ107が接続されている。出力端子111には、図示しない外部機器が接続され、変換後の直流電圧は外部機器に供給される。
【0019】
(動作)
次に、実施形態1のDC−DCコンバータの動作を説明する。この説明では、外部電源106が入力端子110に5V(Vin1=5V)を供給し、二次電池108が入力端子112に1.8V(Vin2=1.8V)を供給する。制御回路105は、外部電源106が入力端子110に印加する5VをMOSトランジスタ101によって降下させ、出力電圧Voutを1.8Vとする。
【0020】
実施形態1のDC−DCコンバータでは、出力端子111に接続された外部機器が通常動作しており、スイッチ104が入力端子110と外部電源106とを接続しているときに出力端子111へ適正な電流が出力されるように、制御回路105が、MOSトランジスタ101のゲート端子101gにゲート電圧を印加する。
また、実施形態1のDC−DCコンバータでは、スイッチ104がオフして入力端子110から外部電源106が外されているときと、DC−DCコンバータのパワーダウン時(待機時)とにP型チャネルのMOSトランジスタ101がオフするように、制御回路105がMOSトランジスタ101のゲート端子101gにハイレベルのゲート電圧を印加する。
【0021】
以上の動作において、MOSトランジスタ101は、外部機器が待機状態のときオフされているものとする。また、MOSトランジスタ101は、外部電源106が入力端子110と接続されていないとき、オフされているものとする。
次に、このような実施形態1のDC−DCコンバータが、出力端子111から入力端子110への電流の逆流を防ぐことについて説明する。
【0022】
(1) スイッチ104は、CTRL105がパワーダウンしていて、MOSトランジスタ101がオフされている状態で、入力端子110に外部電源106を接続する。上述したように、外部電源106は入力端子110に5Vの電圧を印加するから、入力端子110には5Vの電圧が印加される。また、入力端子112には二次電池108によって1.8Vの電圧が印加される。入力端子110に5Vの電圧が印加されたことにより、MOSトランジスタ103のゲート端子103gには5Vの電圧が印加される。また、MOSトランジスタ103のソース端子には1.8Vが印加される。よって、Pチャネル型のMOSトランジスタ103のゲートソース間電圧は正電圧となるため、MOSトランジスタ103はオフ状態になる。
【0023】
また、MOSトランジスタ102のゲート端子102gには1.8Vの電圧が印加され、ソース端子には5Vの電圧が印加されるので、MOSトランジスタ102のゲートソース間電圧が閾値電圧を超えた負電圧となるため、MOSトランジスタ102がオン状態になる。
以上の動作により、実施形態1のDC−DCコンバータに外部電源106が接続されるとき、MOSトランジスタ101のバルクには5Vの電圧がかかり、MOSトランジスタ101の閾値電圧の絶対値が大きくなり、バルクを介して電流が流れることはなくなる。なお、MOSトランジスタ101の「バルク」は、一般に基板を指すが、実際にはバックゲートもしくはウェル領域であってもよい。
【0024】
(2) スイッチ104は、CTRL105がパワーダウンしていて、MOSトランジスタ101がオフされている状態で、入力端子110から外部電源106を切り離す。このとき、入力端子110に印加される電圧は0Vとなるから、MOSトランジスタ103のゲート端子103gは0Vとなる。また、入力端子112には二次電池108によって1.8Vの電圧が印加されるので、MOSトランジスタ103のソース端子は1.8Vとなる。MOSトランジスタ103のゲートソース間電圧は閾値電圧を超えた負電圧となるため、Pチャネル型のMOSトランジスタ103はオン状態になる。
また、MOSトランジスタ102のゲート端子102gには1.8Vの電圧が印加され、ソース端子には0Vの電圧が印加されるので、MOSトランジスタ102のゲートソース間電圧は正電圧となり、MOSトランジスタ102はチャネルが形成されずにオフ状態になる。
【0025】
以上の動作により、実施形態1のDC−DCコンバータから外部電源106が切り離されるとき、MOSトランジスタ101のバルクには1.8Vの電圧がかかり、MOSトランジスタ101の閾値電圧の絶対値が大きくなり、バルクを介して電流が流れることはなくなる。
【0026】
以上説明したように、実施形態1では、入力端子110に電圧が印加されている場合とされていない場合とにかかわらず、MOSトランジスタ101のバルクには入力電圧Vin1および入力電圧Vin2のいずれか高い方の電圧が印加される。このため、出力制御用のMOSトランジスタ101の閾値電圧が高くなる。
以上のことから、実施形態1では、MOSトランジスタ101のドレインと基板との間に存在する寄生ダイオードの閾値電圧が高くなり、寄生ダイオードを通して出力端子111から入力端子110へ逆方向電流(逆流)が流れること防ぐことが可能になる。
また、実施形態1は、MOSトランジスタと制御回路とを組み合わせて上記した効果を有する回路を実現することができる。このため、回路構成が簡易なために消費電力が小さく、電源が2つある場合の電流の逆流を防止することができるDC−DCコンバータを提供することができる。
【0027】
[実施形態2]
(回路構成)
図2は、実施形態2のDC−DCコンバータの回路構成を説明するための図である。実施形態2は、本発明をスイッチング制御型のDC−DCコンバータに適用した構成を説明するためのものである。なお、図2において、図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略すものとする。
【0028】
実施形態2のDC−DCコンバータは、図1に示した実施形態1のDC−DCコンバータと同様に、入力端子110と、出力端子111と、入力端子110と出力端子111との間に接続されるMOSトランジスタ101と、を含んでいる。
また、実施形態2のDC−DCコンバータは、出力端子111と接続される入力端子112を備えている。さらに、入力端子110とMOSトランジスタ101のバルクとの間にソースとドレインが接続され、コイル207を介して出力端子111にゲート端子102gがDC(直流)接続されるMOSトランジスタ102と、MOSトランジスタ101のバルクとコイル207の一端との間にソースとドレインが接続され、入力端子110にゲート端子103gが接続されるMOSトランジスタ103と、を含んでいる。
【0029】
MOSトランジスタ101、102、103はいずれもPチャネル型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタ102のバルクにはボディダイオード113が形成され、MOSトランジスタ103のバルクにはボディダイオード114が形成される。
実施形態2のDC−DCコンバータは、MOSトランジスタ101のゲート端子101gに接続されるPWM制御回路205を備えている。PWM制御回路205は、ゲート端子101gに、出力電圧Voutに応じたデューティー比のパルス幅変調信号(PWM信号)を生成して出力する。生成されたPWM信号が、ゲート端子101gに入力(印加)される。
【0030】
さらに、実施形態2のDC−DCコンバータは、抵抗値がR1の抵抗素子208と抵抗値がR2の抵抗素子209を含む抵抗分割回路210を備えている。PWM制御回路205は、抵抗分割回路210の共通接続部pの電位に応じたパルス幅のPWM信号を生成する。MOSトランジスタ204のドレインと抵抗分割回路210との間には、リアクタンスLのコイル207が設けられている。
【0031】
また、実施形態2のDC−DCコンバータは、PWM制御回路205によってPWM信号がゲート電圧として入力されるMOSトランジスタ204を備えている。MOSトランジスタ204は、ソースがグラウンドに接続され、ドレインがコイル207の一端に接続されるNチャネル型のMOSトランジスタである。PWM制御回路205は、MOSトランジスタ101とMOSトランジスタ204とにPWM信号を出力し、MOSトランジスタ101とMOSトランジスタ204とを相補的にオンオフ制御する。実施形態2のDC−DCコンバータは、このような構成により、出力電圧Voutを所望の電圧に制御するスイッチング制御型のDC−DCコンバータである。
【0032】
(動作)
次に、実施形態2のDC−DCコンバータの動作を説明する。この説明では、外部電源106が入力端子110に5V(Vin1=5V)を供給し、二次電池108が入力端子112に1.8V(Vin2=1.8V)を供給し、出力電圧Voutを1.8Vとする。
実施形態2のDC−DCコンバータでは、出力端子111に接続された外部機器が通常動作しており、スイッチ104が入力端子110と外部電源106とを接続しているときに、PWM制御回路205がMOSトランジスタ101、204にPWM信号を供給する。PWM信号は、出力端子111へ適正な電流が出力されるように決定される。
【0033】
また、PWM制御回路205は、入力端子110から外部電源106が外されているときと、DC−DCコンバータのパワーダウン時(待機時)とにMOSトランジスタ101、MOSトランジスタ204をオフする信号を生成する。このとき、PWM制御回路205は、Pチャネル型のMOSトランジスタ101にハイレベルの信号(ゲート電圧)を出力してMOSトランジスタ101をオフさせる。また、PWM制御回路205は、Nチャネル型のMOSトランジスタ204にローレベルの信号(ゲート電圧)を出力してMOSトランジスタ204をオフさせる。
【0034】
以上の動作において、MOSトランジスタ101、204は、外部機器が待機状態のとき、オフされているものとする。また、MOSトランジスタ101、204は、外部電源106が入力端子110と接続されていないとき、オフされているものとする。
次に、このような実施形態2のDC−DCコンバータが、出力端子111から入力端子110への電流の逆流を防ぐことについて説明する。
【0035】
(1) スイッチ104は、PWM制御回路205がパワーダウンしていて、MOSトランジスタ101、204がオフされている状態で、入力端子110に外部電源106を接続する。このとき、実施形態1と同様に、入力端子110には5Vの電圧が印加される。また、入力端子112には二次電池108によって1.8Vの電圧が印加される。入力端子110に5Vの電圧が印加されたことにより、MOSトランジスタ103のゲート端子103gには5Vの電圧が印加され、ソース端子には1.8Vの電圧が印加されるので、MOSトランジスタ103のゲートソース間電圧は、正電圧となりMOSトランジスタ103はオフ状態になる。
【0036】
このとき、入力端子112には二次電池108によって1.8Vの電圧が印加されている。このため、MOSトランジスタ102のゲート端子102gには1.8Vの電圧が印加され、ソース端子には5Vの電圧が印加されるので、MOSトランジスタ102のゲートソース間電圧は閾値電圧を超えた負電圧となり、MOSトランジスタ102はオン状態になる。
以上の動作により、実施形態2のDC−DCコンバータに外部電源106が接続されるとき、MOSトランジスタ101のバルクには5Vの電圧がかかり、MOSトランジスタ101の閾値電圧の絶対値が大きくなり、バルクを介して電流が流れることはなくなる。
【0037】
(2) スイッチ104は、PWM制御回路PWMCTRL205がパワーダウンしていて、MOSトランジスタ101、204がオフされている状態で、入力端子110から外部電源106を切り離す。このとき、実施形態1と同様に、入力端子110に印加される電圧は0Vとなるから、MOSトランジスタ103はオン状態になる。また、実施形態1と同様に、MOSトランジスタ102のゲート端子102gには1.8Vの電圧が印加されているから、MOSトランジスタ102はオフ状態になる。
【0038】
以上の動作により、実施形態2のDC−DCコンバータから外部電源106が切り離されるとき、MOSトランジスタ101のバルクには1.8Vの電圧がかかることになる。
以上説明したように、実施形態2では、MOSトランジスタ101のドレインと基板との間に存在する寄生ダイオードの閾値電圧が高くなり、寄生ダイオードを通して出力端子111から入力端子110へ逆方向電流(逆流)が流れること防ぐことが可能になる。
また、実施形態2は、MOSトランジスタと制御回路とを組み合わせて上記した効果を有する回路を実現することができる。このため、回路構成が簡易なために消費電力が小さく、電源が2つある場合の電流の逆流を防止することができるDC−DCコンバータを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、複数の電源を入力し、直流電圧を出力するシリーズレギュレータ型のDC−DCコンバータ、スイッチング制御型のDC−DCコンバータの分野において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
101、102、103、204 MOSトランジスタ
101g、102g、103g ゲート端子
104 スイッチ
105 制御回路
106 外部電源
107 コンデンサ
108 二次電池
110 入力端子
111、112 出力端子
113、114 ボディダイオード
205 PWM制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の入力電圧を、電圧値の異なる直流の出力電圧に変換するDC−DCコンバータであって、
前記入力電圧が入力される第1電力供給端子と、
前記出力電圧が出力される出力端子と、
前記第1電力供給端子と前記出力端子との間に接続される第1MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタのゲート端子に印加される電圧を制御し、前記出力端子から出力される前記出力電圧の値を制御する出力制御回路と、
前記出力端子と接続される第2電力供給端子と、
前記第1電力供給端子と前記第1MOSトランジスタのバルクとの間にソース及びドレインが接続され、前記出力端子にゲートがDC接続される第2MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタのバルクと前記出力端子との間にソース及びドレインが接続され、前記第1電力供給端子にゲートが接続される第3MOSトランジスタと、
を含むことを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記第2電力供給端子に第2供給電圧が供給され、前記第1電力供給端子に第1供給電圧が供給され、
前記第1供給電圧と、前記第2供給電圧とのうち、いずれか高い電圧が前記第1MOSトランジスタのバルクに供給されることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記出力制御回路は、前記第1MOSトランジスタを制御して、前記第1供給電圧を降下させ、前記出力端子に供給することを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−25695(P2013−25695A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162263(P2011−162263)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】