説明

DCブラシレスモ−タ及びそれを用いた空気調和機

【課題】従来のモールドモ−タは、ステータと負荷側ブラケットを導通ピンにて接続しているため構成部品が増え接続状態の確認が必要となる課題を有していた。
【解決手段】ベアリング7,8を介して回転自由に保持されたロータ5と、前記ベアリングを保持する負荷側及び反負荷側ブラケット10と、ステータ1の一部を露出しモールド樹脂4により成形されたステータを有するモータであって、前記ステータの露出部に導電性の材料で構成されたブラケットを圧入により接続し、ステータの露出部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材によって接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCブラシレスモ−タの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のモールドモ−タは、図2に示すように、ステ−タ101を一体モ−ルド成形されたステ−タ完成体に、磁石102、シャフト103、ベアリングA104、ベアリングB105からなるロ−タ完成体を有する。負荷側のベアリングA104は、負荷側ブラケット106に支持されステ−タ完成体に固定されている。反負荷側のベアリングB105は、ステータ完成体に一体成型されたベアリングハウジングに支持されている。ステータ101と負荷側ブラケット106は導通ピン107により接続されている。
【特許文献1】特開2007−159302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記のような構成では、ステータ101と負荷側ブラケット106のみを導通ピン107にて接続しているため、負荷側ブラケットとステータとは同電位であるが反負荷側とシャフトは電位が異なるため電食現象に至る可能性がある。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、導電性の材料で構成された反負荷側ブラケットを露出されたステータの一部に圧入しさらに、ステータの一部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材により接続することによりステータと反負荷側と負荷側が全て同電位となりより効果が向上する。高圧PWM方式による駆動方式でも電食が発生しないモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のDCブラシレスモ−タは、ベアリングを介して回転自由に保持されたロータと、前記ベアリングを保持する負荷側及び反負荷側ブラケットと、ステータの一部を露出しモールド樹脂により成形されたステータを有するモータであって、前記導電性の材料で構成された反負荷側ブラケットを露出されたステータの一部に圧入しさらに、ステータの一部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材により接続することによりステータと反負荷側と負荷側が全て同電位となりより効果が向上する。高圧PWM方式による駆動方式でも電食が発生しないモータを提供することが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明のDCブラシレスモータは、ステータと導電性の材料で構成された負荷側ブラケットによりステータ部を圧入しさらに、ステータに一部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材により接続することによりステータと反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットが全て同電位となり、シャフトとステータ、反負荷側ブラケット、負荷側ブラケット間に循環電流が流れなくなり電食が発生しにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、ベアリングを介して回転自由に保持されたロータと、前記ベアリングを保持する負荷側及び反負荷側ブラケットと、ステータの一部を露出しモールド樹脂により成形されたステータを有するモータであって、前記導電性の材料で構成された反負荷側ブラケットを露出されたステータの一部に圧入しステータの一部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材により接続することにより、ステータと反負荷側と
負荷側が全て同電位となりシャフトとステータと反負荷側ブラケット、負荷側ブラケット間に循環電流が流れなくなり電食が発生しないモータを提供することが出来る。
【0008】
第2の発明は、負荷側ブラケットと反負荷側ブラケットをネジで接続することにより安価な構成で接続することが出来る。
【0009】
第3の発明は、前記モールドモータが高圧PWM方式のDCブラシレスモータであればより効果を発揮することが出来る。
【0010】
第4の発明は、上記1〜4の発明のモールドモータを空気調和機に使用されるのが好ましい。近年、空気調和機のモータは高効率化により高圧PWM方式が主流であり、上記1〜3の発明のモールドモータを採用することにより、より効果が発揮できる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1に本実施の形態のDCブラシレスモータの一部断面図を示す。
【0013】
本実施の形態のモータは、鋼板を積層したステータ1に絶縁樹脂2を施すことにより絶縁層を形成し、この絶縁層にコイル3が巻回されている。前記ステータ完成体はモールド樹脂4により一体成型され、一部の側面は鋼板を積層したステータ1の鋼板が露出している。一体成型されたステータ完成体の内周側にはロータ5が収納されている。このロータ5には金属製回転軸6が貫通され、負荷側にはベアリングA7、反負荷側にはベアリングB8が取り付けられている。モールド樹脂4により一体成型されたステータ完成体の負荷側には部分的に凸状になった金属製ブラケット9が固定され金属製回転軸6は負荷側のベアリングA7を介して金属製負荷側ブラケット9内に回転自在に固定されている。ロータ5の反負荷側の金属製回転軸6は、反負荷側のベアリングB8を介して反負荷側金属製ブラケット10に取り付けられている。
【0014】
上記反負荷側金属製ブラケット10は上記ステータ完成体の側面の露出部に圧入により取り付けられている。ステータ完成体の側面の露出部に圧入された金属製反負荷側ブラケット10と部分的に凸状になった金属製負荷側ブラケット9の凸状部分がネジ11とボルト12により接続されている。このように、鋼板を積層したステータ1と金属製反負荷側ブラケット10と金属製負荷側ブラケット9を接続することにより鋼板を積層したステータ1と金属製反負荷側ブラケット10と金属製負荷側ブラケット9は同電位となり循環電流が流れなくなり電食が発生しにくくなる。
【0015】
(実施の形態2)
上記実施の形態1のモータは、高圧PWM方式のDCブラシレスモータであればより効果を発揮することが出来る。近年、高圧PWM方式により高効率化を実現するために高周波で制御する場合は、ブラケットとシャフトに電位差が生じて循環電流が流れ、電食が発生する。
【0016】
反負荷側のブラケットとステータ及び反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを接続することにより反負荷側のブラケットとステータ及び負荷側ブラケットが同電位となり循環電流が流れなくなり電食が発生しにくくなる。
【0017】
(実施の形態3)
上記実施の形態1のモータは、空気調和機用ファンモータとして使用されるのが好まし
い。近年、空気調和機の高性能化が進みモ−タの高出力化が要求され高圧PWM方式を用いる。従って、上記実施の形態1のモータを空気調和機用のファンモータとして使用すると本発明の効果がより顕著に発現する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明にかかるDCブラシレスモータは、ステータに反負荷側のブラケットを圧入により接続し、さらにステータに圧入された反負荷側のブラケットと負荷側ブラケットを接続することにより、反負荷側のブラケットとステータと負荷側ブラケットが同電位となり縦貫電流が流れなくなり、電食が発生しにくくなるので高効率を必要とした空気調和機のモ−タの用途に適する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1におけるDCブラシレスモ−タの部分断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるDCブラシレスモ−タの正面図
【図3】従来のモールドモ−タの断面図
【符号の説明】
【0020】
1 ステータ
2 絶縁樹脂
3 コイル
4 モールド樹脂
5 ロータ
6 金属製回転軸
7 ベアリングA
8 ベアリングB
9 金属製負荷側ブラケット
10 金属製反負荷側ブラケット
11 ネジ
12 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングを介して回転自由に保持されたロータと、前記ベアリングを保持する負荷側及び反負荷側ブラケットと、ステータの一部を露出しモールド樹脂により成形されたステータを有するモータであって、前記ステータの露出部に導電性の材料で構成されたブラケットを圧入により接続し、ステータの露出部に圧入された反負荷側ブラケットと負荷側ブラケットを導電部材によって接続したことを特徴とするDCブラシレスモータ。
【請求項2】
導電部材がネジにより構成されたことを特徴とする請求項1記載のDCブラシレスモータ。
【請求項3】
前記モータが高圧PWM方式のDCブラシレスモータであることを特徴とする請求項1または2記載のDCブラシレスモータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のDCブラシレスモータを用いた空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−239761(P2010−239761A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84583(P2009−84583)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】