説明

DC/DCコンバータ

【課題】降圧動作および昇圧動作時に第1及び第2のスイッチにサージ電圧が発生することを抑制する。
【解決手段】結合インダクタL11と、結合インダクタL11に接続され、相補的にスイッチされる第1及び第2のスイッチQ11及びQ12と、結合インダクタL11及び第1のスイッチQ11に接続され、第1のスイッチQ11がオフのときに、第1のスイッチQ11にかかる電圧を制限することにより結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収するQ11用のアクティブクランプ回路11と、結合インダクタL11及び第2のスイッチQ12に接続され、第2のスイッチQ12がオフのときに、第2のスイッチQ12にかかる電圧を制限することにより結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収するQ12用のアクティブクランプ回路12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDC/DCコンバータに関し、特に、双方向に電力変換を行うDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータでは、一般に、回生運転時に発生する回生電力を抵抗によって熱に変換し、排出する方法が取られている。しかしながら、省エネルギーのため、回生電力を蓄電デバイスへ蓄積し、蓄電した電力を力行運転時又は停電時に有効に活用する電力回生システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電力回生システムでは、エレベータの直流母線間電圧と蓄電デバイスの電圧を変換する双方向のDC/DCコンバータが用いられる。双方向DC/DCコンバータは、エレベータの回生運転時には、直流母線電圧を蓄電デバイスの電圧に降圧し、力行運転時又は停電時には、蓄電デバイスの電圧を直流母線電圧に昇圧する。
【0004】
図5に、従来の双方向DC/DCコンバータを示す。Vcは直流母線電圧、Vbは蓄電デバイスの電圧である。エレベータの回生運転時には、スイッチQ31を主スイッチとしてオン、オフさせ、降圧チョッパ動作によって、直流母線電圧を蓄電デバイスの電圧に降圧し、蓄電デバイスにエネルギーを蓄積する。力行運転時又は停電時には、スイッチQ32を主スイッチとしてオン、オフさせ、昇圧チョッパ動作によって、蓄電デバイスの電圧を直流母線電圧まで昇圧し、エネルギーを再利用する。従来の双方向DC/DCコンバータの電圧利得は、以下の式で与えられる。
【0005】
降圧時は、
【0006】
【数1】

【0007】
となり、昇圧時は、
【0008】
【数2】

【0009】
となる。ここで、Dは、降圧時に主スイッチとなるスイッチQ31の、昇圧時に主スイッチとなるスイッチQ32の時比率である。一般に時比率は0.5の時が効率がよい。そのため、直流母線電圧と蓄電デバイスの電圧比が3:1程度であれば、高効率を達成するのに問題は無かった。
【0010】
しかしながら、蓄電デバイスのコスト削減のため、直列数を下げた場合、蓄電デバイスの電圧が低くなり、直流母線電圧と蓄電デバイスの電圧比は大きくなる。また、蓄電デバイスに電気二重層キャパシタを用いた場合、電気二重層キャパシタは、蓄積されるエネルギーによって電圧が大きく変わるため、電圧比が大きくなる場合がある。このように、直流母線電圧と蓄電デバイスの電圧比が大きい場合、従来の双方向DC/DCコンバータでは、降圧の場合、時比率が小さくなり、昇圧の場合、時比率が大きくなる。そのため、DC/DCコンバータの効率が悪くなる。
【0011】
このように電圧差が大きい電圧変換を行う場合においても高効率が得られる方式として、結合インダクタを用いたDC/DCコンバータがある。図6に回路図を示す。従来方式と同様に、降圧時には、スイッチQ41を主スイッチとしてオン、オフさせることにより降圧し、昇圧時には、スイッチQ42を主スイッチとしてオン、オフさせることによって昇圧する。結合インダクタを用いた方式の双方向DC/DCコンバータの電圧利得は、以下の式で与えられる。
【0012】
降圧時は、
【0013】
【数3】

【0014】
となり、昇圧時は、
【0015】
【数4】

【0016】
となる。ここで、Dは、降圧時に主スイッチとなるスイッチQ41の、昇圧時に主スイッチとなるスイッチQ42の時比率である。また、Nは、結合インダクタの1次側巻き線N41の巻き線数、Nは、結合インダクタの2次側巻き線N42の巻き線数を示している。
【0017】
これらの式から、結合インダクタの巻き線数N及びNの巻き線比を適切に選択することによって、高効率が達成可能な約0.5の時比率が得られることが分かる。しかし、本方式の問題点は、結合インダクタの漏れインダクタンスのエネルギーによって、各スイッチにサージ電圧が発生することである。スイッチをオンからオフに切り替えた瞬間に、各スイッチのドレイン・ソース間にサージ電圧が発生する。その結果、定格電圧の高いスイッチング素子を用いなければならない。定格電圧の高いスイッチング素子はオン抵抗が高いので、損失が大きくなり効率が低下する。また、スイッチング損失が増大し効率が低下する。また、ノイズによる誤動作が発生するなどの問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭61−267675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したように、特許文献1に記載のような従来の双方向DC/DCコンバータにおいては、直流母線電圧と蓄電デバイスの電圧比が大きい場合には、降圧の場合、時比率が小さくなり、昇圧の場合、時比率が大きくなり、そのために、DC/DCコンバータの効率が悪くなるという問題点があった。
【0020】
また、そのような高い電圧比でも電圧変換を行うために、結合インダクタを用いた双方向DC/DCコンバータを用いた場合には、結合インダクタの漏れインダクタンスのエネルギーによって、スイッチにサージ電圧が発生するという問題点があった。その結果、定格電圧の高いスイッチング素子を用いなければならず、そのような定格電圧の高いスイッチング素子はオン抵抗が高いので、損失が大きくなり、効率が低下するという問題点があった。また、スイッチング損失が増大し、効率が低下するという問題点もあった。さらに、ノイズによる誤動作が発生するなどの問題を引き起こすという問題点もあった。
【0021】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、電圧比が高い場合においても、各スイッチにサージ電圧が発生しない結合インダクタを用いた双方向のDC/DCコンバータを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、結合インダクタと、上記結合インダクタに接続され、相補的にスイッチされる第1及び第2のスイッチと、上記結合インダクタおよび上記第1のスイッチに接続され、上記第1のスイッチがオフのときに、上記第1のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第1のアクティブクランプ回路と、上記結合インダクタおよび上記第2のスイッチに接続され、上記第2のスイッチがオフのときに、上記第2のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第2のアクティブクランプ回路とを備えたDC/DCコンバータである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、結合インダクタと、上記結合インダクタに接続され、相補的にスイッチされる第1及び第2のスイッチと、上記結合インダクタおよび上記第1のスイッチに接続され、上記第1のスイッチがオフのときに、上記第1のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第1のアクティブクランプ回路と、上記結合インダクタおよび上記第2のスイッチに接続され、上記第2のスイッチがオフのときに、上記第2のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第2のアクティブクランプ回路とを備えたDC/DCコンバータであるので、電圧比が高い場合においても、第1および第2のアクティブクランプ回路の働きにより、第1及び第2のスイッチにサージ電圧が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る結合インダクタを用いたDC/DCコンバータを降圧動作に用いた場合の回路である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るアクティブクランプ回路がない場合の各波形である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るアクティブクランプ回路がある場合の各波形である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る結合インダクタを用いたDC/DCコンバータを昇圧動作に用いた場合の回路である。
【図5】従来の双方向DC/DCコンバータを示す回路図である。
【図6】従来の結合インダクタを用いた双方向DC/DDコンバータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係る結合インダクタを用いた双方向DC/DCコンバータ10の構成を示す。図1に示すように、実施の形態1に係るDC/DCコンバータ10は、入力電源Vinと、1次側巻き線N11と2次側巻き線N12からなる結合インダクタL11と、相補的にスイッチされる第1のスイッチQ11および第2のスイッチQ12と、第1のスイッチQ11がオフのときに、第1のスイッチQ11にかかる電圧を制限することにより結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収するQ11用のアクティブクランプ回路11と、第2のスイッチQ12がオフのときに、第2のスイッチQ12にかかる電圧を制限することにより結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収するQ12用のアクティブクランプ回路12と、出力コンデンサC11と、負荷Voと、第1および第2のスイッチQ11およびQ12、並びに、後述する第1のクランプスイッチQ13および第2のクランプスイッチQ14を制御する制御回路13とから構成される。
【0026】
Q11用のアクティブクランプ回路11は、図1に示すように、第1のクランプスイッチQ13と第1のクランプコンデンサCr13とが直列に接続されて構成されている。また、同様に、Q12用のアクティブクランプ回路12は、第2のクランプスイッチQ14と第2のクランプコンデンサCr14とが直列に接続されて構成されている。
【0027】
なお、Q11、Q12、Q13、Q14に並列に接続されているD11、D12、D13、D14は、各スイッチの内蔵ダイオードを示している。
【0028】
入力電源Vinの正極は、スイッチQ11のドレインと接続され、スイッチQ11のソースは第1のクランプコンデンサCr13の一端に接続されるとともに、結合インダクタL11の1次巻き線N11のドットのある端子と接続している。第1のクランプコンデンサCr13のもう一方の端子は、第1のクランプスイッチQ13のドレインと接続している。また、結合インダクタL11の1次巻き線N11のドットのない端子と、2次巻き線N12のドットのある端子と、整流スイッチである第2のスイッチQ12のドレインと、第2のクランプコンデンサCr14の一端とが、互いに接続されている。また、結合インダクタL11の2次巻き線N12のドットのない端子と、第2のクランプスイッチQ14のドレインと、出力平滑コンデンサC11の一端と、負荷Voの一端とが、互いに接続されている。第2のクランプコンデンサCr14のもう一方の端子は、第2のクランプスイッチQ14のソースと接続されている。また、第1のクランプスイッチQ13のソースと、第2のスイッチQ12のソースと、出力平滑コンデンサC11のもう一方の端子と、負荷Voのもう一方の端子とは、入力電源Vinの負極と接続されている。
【0029】
図1の例では、本実施の形態1に係るDC/DCコンバータ10を、降圧動作に用いた場合を示している。図1においては、双方向DC/DCコンバータ10の左端を入力、右端を出力としており、入力電圧を出力電圧に降圧する動作を行う。降圧動作では、第1のスイッチQ11が主スイッチとなり、電流を供給する時間を制御し、第2のスイッチQ12が転流スイッチとなり、励磁エネルギーによる電流を転流させる役割を行う。
【0030】
図6に示した従来の双方向DC/DCコンバータと図1に示した本発明の実施の形態1に係る双方向DC/DCコンバータ10との構成で異なる点は、本発明においては、第1のスイッチQ11のサージ電圧を抑制するためにQ11用のアクティブクランプ回路11と、スイッチQ12のサージ電圧を抑制するためにQ12用のアクティブクランプ回路12との、2つのアクティブクランプ回路が接続されている点である。
【0031】
次に、Q11用およびQ12用のアクティブクランプ回路11および12の効果を示すため、それらのアクティブクランプ回路11および12がない場合について説明する。図2に、アクティブクランプ回路11および12がない場合の各波形を示す。Vg1は主スイッチである第1のスイッチQ11のゲート電圧、Vg2は転流スイッチである第2のスイッチQ12のゲート電圧、Id1は第1のスイッチQ11のドレイン電流、Id2は第2のスイッチQ2のドレイン電流、Vds1は第1のスイッチQ1のドレイン・ソース間電圧、Vds2は第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間電圧を示している。
【0032】
第1のスイッチQ11と第2のスイッチQ12は、相補的にスイッチされる、すなわち、交互にオン(またはオフ)するようになっており、第1のスイッチQ11がオン(およびオフ)されると、そのときに、第2のスイッチQ12は、第1のスイッチQ11の切り替えと同じタイミングで、オフ(またはオン)するようになっている。
【0033】
図2に示すように、時刻T2で、第1のスイッチQ11がオフすると、第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧が発生する。時刻T1からT2までの間、第1のスイッチQ11がオンしている間、結合インダクタL11の励磁インダクタンスに励磁エネルギーが蓄積されると同時に、漏れインダクタンスに漏れエネルギーが蓄積される。時刻T2で、励磁エネルギーは負荷側へ伝えられるが、漏れエネルギーは負荷側へ伝えられない。そのため、漏れエネルギーが主スイッチである第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こす。
【0034】
同様に、時刻T3で第2のスイッチQ12がオフすると、第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧が発生する。時刻T2からT3までの間、第2のスイッチQ12がオンしている間、結合インダクタL11の励磁インダクタンスに励磁エネルギーが蓄積されると同時に、漏れインダクタンスに漏れエネルギーが蓄積される。時刻T3で、励磁エネルギーは負荷側へ伝えられるが、漏れエネルギーは負荷側へ伝えられない。そのため、漏れエネルギーが転流スイッチである第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こす。
【0035】
次に、第1および第2のアクティブクランプ回路11および12がある場合を説明する。図3に、第1および第2のアクティブクランプ回路11および12がある場合の各波形を示す。Vg1は主スイッチである第1のスイッチQ11のゲート電圧、Vg2は転流スイッチである第2のスイッチQ12のゲート電圧、Vg3は第1のクランプスイッチQ13のゲート電圧、Vg4は第2のクランプスイッチQ14のゲート電圧、Id1は第1のスイッチQ11のドレイン電流、Id2は第2のスイッチQ12のドレイン電流、Vds1は第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間電圧、Vds2は第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間電圧を示している。
【0036】
第1のスイッチQ11と第2のスイッチQ12は、相補的にスイッチされる、すなわち、交互にオン(およびオフ)するようになっており、第1のクランプスイッチQ13は第2のスイッチQ12と同じタイミングでオン(およびオフ)され、そのときに、第2のクランプスイッチQ14は第1のスイッチQ11と同じタイミングで、オフ(およびオン)するようになっている。
【0037】
図3に示すように、時刻T2で、第1のスイッチQ11がオフすると、第1のクランプスイッチQ13がオンされ、その期間中に、漏れエネルギーは、一旦、第1のクランプコンデンサCr13に吸収される。その結果、第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こすことがない。その後、このエネルギーは入力電源Vin又は負荷Voへ回生される。そのため、漏れエネルギーは原則損失にはならない。
【0038】
また、時刻T3で、第2のスイッチQ12がオフすると、第2のクランプスイッチQ14がオンされ、その期間中に、漏れエネルギーは、一旦、第2のクランプコンデンサCr14に吸収される。その結果、第1のスイッチQ12のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こすことがない。その後、このエネルギーは入力電源Vin又は負荷Voへ回生される。そのため、漏れエネルギーは原則損失にはならない。
【0039】
図4に、本発明の実施の形態1に係る結合インダクタを用いた双方向DC/DCコンバータ10を昇圧動作に用いた場合の回路を示す。図4においては、図1の各構成に相当する構成については同一符号を付して示し、ここではその説明を省略する。なお、図4においては、図1とは逆に、双方向DC/DCコンバータ10の右端を入力、左端を出力としており、入力電圧を出力電圧に昇圧する動作を行う。昇圧動作では、第2のスイッチQ12が主スイッチとなり、電流を供給する時間を制御し、一方、第1のスイッチQ11が転流スイッチとなり、励磁エネルギーによる電流を転流させる役割を行う。
【0040】
降圧時と同様に、第1および第2のアクティブクランプ回路11および12が無い場合、第2のスイッチQ12がオフすると、結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーによって、第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧が発生する。また、第1のスイッチQ11がオフすると、結合インダクタL11の漏れインダクタンスによる漏れエネルギーによって、第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧が発生する。
【0041】
一方、第1および第2のアクティブクランプ回路11および12がある場合、第2のスイッチQ12がオフすると、第2のクランプスイッチQ14がオンされ、その期間中に、漏れエネルギーは、一旦、第2のクランプコンデンサCr14に吸収される。その結果、第2のスイッチQ12のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こすことがない。その後、このエネルギーは入力電源Vin又は負荷Voへ回生される。
【0042】
また、第1のスイッチQ11がオフすると、第1のクランプスイッチQ13がオンされ、その期間中に、漏れエネルギーは、一旦、第1のクランプコンデンサCr13に吸収される。その結果、第1のスイッチQ11のドレイン・ソース間に、高圧のサージ電圧を引き起こすことがない。その後、このエネルギーは入力電源Vin又は負荷Voへ回生される。
【0043】
このように、本回路は、降圧動作時、昇圧動作時においても、アクティブクランプ回路11および12によって、スイッチのサージ電圧が抑えることができる。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態1に係るDC/DCコンバータは、結合インダクタL11と、相補的にスイッチされる第1および第2のスイッチQ11およびQ12と、第1のスイッチQ11がオフのときに、第1のスイッチQ11にかかる電圧を制限するように構成されたQ11用のアクティブクランプ回路11と、第2のスイッチQ12がオフのときに、第2のスイッチQ12にかかる電圧を制限するように構成されたQ12用のアクティブクランプ回路12とを備えた、DC/DCコンバータである。本実施の形態1に係るDC/DCコンバータにおいては、このように、第1および第2のスイッチQ11およびQ12の両方に、それぞれのスイッチがオフのときに、それぞれのスイッチにかかる電圧を制限するためのアクティブクランプ回路11および12を設けているため、結合インダクタL11の漏れインダクタンスのエネルギーによって第1および第2のスイッチQ11およびQ12にサージ電圧が発生することを抑制することができる。その結果、第1および第2のスイッチQ11およびQ12として、定格電圧が低く、かつ、オン抵抗の低いスイッチング素子を用いることができるので、損失を低減し、効率を向上させることができる。また、スイッチング損失も低減し、効率が向上する。さらに、サージ電圧によるノイズに起因する誤動作も発生しないという効果が得られる。
【0045】
また、本発明の実施の形態1に係るDC/DCコンバータにおいては、第1のクランプコンデンサCr13と第1のクランプスイッチQ13とが直列に接続されて第1のアクティブクランプ回路11を構成しており、第1のアクティブクランプ回路11の一端が、第1のスイッチQ11のソースに接続されるとともに結合インダクタL11の一端と接続され、第1のアクティブクランプ回路11のもう一方の端子が、入力の負極側と接続されている構成にしたので、第1のスイッチQ11の電圧サージをより確実に抑制することができる。
【0046】
また、本発明の実施の形態1に係るDC/DCコンバータにおいては、第2のクランプコンデンサCr14と第2のクランプスイッチQ14とが直列に接続されて第2のアクティブクランプ回路12を構成しており、第2のアクティブクランプ回路12の一端が、第2のスイッチQ12のドレインに接続されるとともに結合インダクタL11の一端と接続され、第2のアクティブクランプ回路12のもう一方の端子が、出力の正極側と接続されている構成にしたので、第2のスイッチQ12の電圧サージをより確実に抑制することができる。
【0047】
なお、本明細書の説明においては、本発明のDC/DCエレベータを主にエレベータシステムに適用する例について説明したが、その場合に限らず、本発明のDC/DCコンバータは種々のシステムに適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
10 DC/DCコンバータ、11,12 アクティブクランプ回路、13 制御回路、C11 出力平滑コンデンサ、Cr13 第1のクランプコンデンサ、Cr14 第2のクランプコンデンサ、D11,D12,D13,D14 内蔵ダイオード、L11 結合インダクタ、N11 1次巻き線、N12 2次巻き線、Q11 第1のスイッチ、Q12 第2のスイッチ、Q13 第1のクランプスイッチ、Q14 第2のクランプスイッチ、Vin 入力電源、Vo 負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合インダクタと、
上記結合インダクタに接続され、相補的にスイッチされる第1及び第2のスイッチと、
上記結合インダクタおよび上記第1のスイッチに接続され、上記第1のスイッチがオフのときに、上記第1のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第1のアクティブクランプ回路と、
上記結合インダクタおよび上記第2のスイッチに接続され、上記第2のスイッチがオフのときに、上記第2のスイッチにかかる電圧を制限することにより上記結合インダクタの漏れインダクタンスによる漏れエネルギーを一時的に吸収する第2のアクティブクランプ回路と
を備えたことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
上記第1のアクティブクランプ回路は、直列に接続された第1のクランプコンデンサと第1のクランプスイッチとから構成されており、
上記第1のアクティブクランプ回路の一方の端子は、上記第1のスイッチのソースに接続されるとともに上記結合インダクタの一端と接続され、
上記第1のアクティブクランプ回路の他方の端子は、上記DC/DCコンバータの入力の負極側と接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
上記第2のアクティブクランプ回路は、直列に接続された第2のクランプコンデンサと第2のクランプスイッチとから構成されており、
上記第2のアクティブクランプ回路の一方の端子は、上記第2のスイッチのドレインに接続されているとともに上記結合インダクタの一端と接続され、
上記第2のアクティブクランプ回路の他方の端子は、上記DC/DCコンバータの出力の正極側と接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−124974(P2012−124974A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89860(P2009−89860)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発 要素技術開発 次世代自動車用高性能モータ蓄電パワエレシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】