説明

DVビデオへのチャプターマーカー及びタイトル境界の挿入のための方法及びシステム

DVDなどの第1媒体上にDVテープなどの第2媒体からのデータストリームからデータ記録を取得する方法及びシステム。データストリームは、各々が異なる記録開始時間を有するいくつかのデータセグメントを有する。「オン・ザ・フライ」及びプレ・スキャンと共に利用可能な本発明では、第1媒体上のデータ記録の記録セグメントは、現在の記録セグメントの期間の決定に基づき生成される。記録時間不連続が閾値を超えるとき、新たな記録セグメントが生成され、記録時間不連続は、第1データセグメントの記録終了時間と次のデータセグメントの記録開始時間との差である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が異なる記録開始時間を有する複数のデータセグメント又はシーンから構成されるデジタルビデオテープなどの第2媒体からのデータストリームから、DVD等の第1媒体に(デジタル)ビデオ記録などのデータ記録を取得する方法に関する。本方法は、現在の記録セグメントの長さを決定することに基づき、第1媒体のデータ記録の記録セグメントを生成することを有する。
【0002】
さらなる特徴では、本発明は、各々が異なる記録開始時間を有する複数のデータセグメントから構成される第2媒体からのデータストリームから、第1媒体にデータ記録を取得する記録システムに関し、当該記録システムは、第2媒体からデータストリームを受信するための入力手段と、第1媒体にデータ記録を格納するための出力手段と、入力手段と出力手段に接続され、現在の記録セグメントの長さを決定することに基づき、第1媒体のデータ記録の記録セグメントを生成するよう構成される処理手段とを有する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願US2002/0168181は、デジタルビデオキャプチャのための方法及び装置について記載している。ビデオ記録は、一組の基準に基づき複数のファイルに分割される。これらの基準は、ビデオ記録の時間の長さ及びビデオシーンの変化の検出を有する。ビデオシーンが画像処理技術により検出されるように変化するとき、新たなシーン(異なるイベント)が始まり、この結果新たなファイルが生成されると仮定される。あるいは、あるシーンが長すぎ、シーン変化が検出されないとき、新たなファイルがまた開始される。本方法及び装置は、すべてのシーン変化が新たなファイルの生成をもたらし、1つの記録から大変多くのファイルをもたらす可能性があるという欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に、ビデオデータの記録に適した改良されたインデックス方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴によると、上述の前文による方法が提供され、第1データセグメントの記録終了時間と次のデータセグメントの記録開始時間との間の差である記録時間不連続点が閾値を超えるとき、新たな記録セグメントが生成される。記録時間不連続点が閾値を超えるとき、新たなデータセグメントのみを開始することにより、データ記録への効率的なインデックスマーカーの挿入を提供することが可能となり、インデックスマーカーの挿入が多すぎることになることを回避することができる。デジタルビデオでは、チャプターマーカーなどのインデックスマーカーが、新たなデータセグメントの開始を示すのに利用される。
【0006】
本発明は、「オン・ザ・フライ(on the fly)」と「プレ・スキャン(pre−scan)」の2つの方法により実現可能である。「オン・ザ・フライ」の実施例において本発明を利用するとき、どのデータが記録されるべきか(記録時間、シーン変更数など)はわかっていない。「オン・ザ・フライ」を利用したさらなる実施例では、閾値は所望の記録セグメント期間と現在の記録セグメント期間に応じた関数である。閾値は時間に関して予め規定された関数となる閾値関数を適切に選択することにより、記録されるべきデータのプロパティがわかっていないときでさえ(「オン・ザ・フライ」)、インデックスマーカーの多すぎる挿入を回避することができる。
【0007】
本方法の実施例では、新たな記録セグメントが、第1タイプのインデックスマーカーを第1媒体のデータ記録に挿入することにより生成される。デジタルビデオ記録アプリケーションでは、第1タイプのインデックスマーカーは、チャプターマーカーと呼ばれる。インデックスマーカーを追加することは、データ処理においてたくさんのリソースを要しないデジタルビデオ処理のシンプルな処理である。
【0008】
さらなる実施例では、閾値関数は、時間についての連続的な減少関数である。これは、一次、二次、指数又は他のタイプの減少関数とすることができる。これは、現在のデータセグメントの長さが増加するとき、閾値を小さくすることを可能にし、これにより、同時にグローバルに同じ長さのデータセグメントを取得しながら、元のシーンのビューの論理位置である位置にインデックスマーカーを挿入することを制御する。
【0009】
一例となる実施例として、閾値関数は、時間に関する2つの一次関数の結合からなる。
【0010】
th(t)=tho−a1*(t−C*d) (t<(C+0.5)*dについて)
th(t)=th1−a2*(t−(C+1)*d) ((C+0.5)*d<t<(C+1.5)*dについて)
th(t)=0 (t>(C+1.5*d)について)
ただし、Cは第1タイプのインデックスマーカーの計数であり、a1は第1の線形係数であり、a2は第2の線形係数である。この関数は、C*dの時間の一定間隔によりインデックスマーカーの挿入を取得しようとするが、記録時間不連続点に応じて遅かれ早かれ挿入を可能にする。
【0011】
特に「プレ・スキャン」に適したさらなる実施例では、本方法はさらに、データストリームの記録時間不連続点を取得するため、データストリームのプレ・スキャンを有する。実際の記録を開始する前にデータストリームの不連続点の個数を知ることにより、論理的かつ効率的な方法により、インデックスマーカーの挿入数及び挿入位置を選択することができる。
【0012】
記録時間不連続点の一部は、CMIpsの値が最小化される新たなセグメントの開始ポイントとしてすべての検出された記録時間不連続点から選択されるかもしれない。パラメータCMIpsは、
CMIps=C・(1−coverage)+I・imbalance
により与えられ、
【0013】
【数3】

は、
delta=記録セグメントcの記録開始時間と前の記録セグメントの記録終了時間の差、
delta=データセグメントsの記録開始時間と前のデータセグメントsの記録終了時間の差、及び
【0014】
【数4】

によるデータ記録のカバレッジ(coverage)プロパティであり、また、imbalanceは、
avrdur=所定の平均記録セグメント期間、
dur=記録セグメントcの期間、及び
C=カバレッジプロパティの所定の一定の加重係数、
I=インバランスプロパティの所定の一定の加重係数、
によるデータ記録のインバランス(imbalance)プロパティである。
【0015】
可能な限りゼロに近いインバランス値と、可能な限り1に近いカバレッジ値を取得することが目的とされる。
【0016】
本発明のさらなる実施例では、本方法はさらに、一組の所定の基準に基づくデジタルビデオ記録内のタイトル境界と呼ばれる第2タイプのインデックスマーカーに第1タイプの選択されたインデックスマーカーを変換することを有する。第2タイプのインデックスマーカーは、DVDのテーブル・オブ・コンテンツ(TOC)に記録可能であり、これにより、データ記録の当該部分の再生を開始するため、タイトル境界を選択することが可能となる。第1タイプのインデックスマーカーを第2タイプのインデックスマーカーに変換することは、シンプルかつ効率的な処理である。
【0017】
さらなる特徴では、本発明は、前文に規定されるような記録システムに関し、処理手段はさらに、記録時間不連続点が閾値を超えるときに生成される新たな記録セグメントを生成するよう構成され、当該記録時間不連続点は、第1データセグメントの記録終了時間と次のデータセグメントの記録開始時間の差であり、当該閾値は、所望の記録セグメント期間と現在の記録セグメント期間に応じた関数である。処理手段はさらに、本方法の動作を実行するよう構成されてもよい。本発明による記録システムは、本方法に関連して上述された効果に関する効果を提供する。
【0018】
さらなる特徴では、本発明は、第1媒体上のデータ記録を第2媒体からのデータストリームから取得するためのCD−ROMや他のデータキャリアなどのコンピュータプログラムプロダクトに関し、当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータシステムにロードされると、本方法の機能を当該コンピュータシステムに与えるコンピュータ実行可能コードを有する。従って、データストリームを受信及び格納するのに適したインタフェースが設けられる汎用コンピュータシステムが、記録システムにおいて転送可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1において、処理エレクトロニクス2、当該処理エレクトロニクス2に接続されたローカルメモリ3及び本ケースではDVDディスクである第1記録媒体4を有するDVDレコーダなどの記録システムのセットアップの概略図が示される。処理エレクトロニクス2とローカルメモリ3は、記録システム1の機能を提供するよう協調する。記録システム1は、DVカメラからのビデオ映像を第2記録媒体(DVテープなど)から第1記録媒体4に記録するため、DVカメラなどの(ビデオ)データソース5に接続されてもよい。この処理は、キャプチャリングと呼ばれる。映像をキャプチャするとき、タイトルが生成される。タイトルは、第1記録媒体4に関するテーブル・オブ・コンテンツ(TOC)のエントリを有する再生可能なエンティティである。ユーザはTOCにアクセスし、再生すべきタイトルを選択することができる。TOCは、タイトルを表す小さなアイコンピクチャであるキーフレームから構成されるかもしれない。
【0020】
1つのキャプチャリングセッションにおいて、1つのタイトルが生成される。このタイトルは、テープ5の再生時間と同程度の長さであってもよい。これの欠点は、テープ5の全体のビデオ映像がTOCから1つのユニットとしてアクセス可能であるということである。通常、テープ5のビデオ映像は、異なる時点において記録された複数のイベントから構成される。ユーザは、これらのイベントに属するビデオ映像に直接アクセスすることを所望する。このため、2つのアクセス方法が存在する。TOCを介して、ユーザはタイトルを(キーフレームを開始)選択し、当該タイトルを直接再生することができる。タイトル内では、ユーザはチャプターに直接ナビゲートすることができる。チャプターはタイトルをさらに分割したものである。「次の」又は「前の」を押下することによって、ユーザは、次のタイトルの再生を続けることができる。
【0021】
本発明は、カムコーダ5からのビデオ映像をタイトル及びチャプターに自動分割する方法に関する。このため、ビデオ映像のRD&T(Recording Date&Time)が利用される。ビデオ映像はシーンから構成される。シーンは、隣接する記録部分である。記録が中断されると、現在のシーンは終了され、新たなシーンが開始される。新たなシーンの開始は、現在のシーンの終了より以降のRD&Tを有する。これは、RD&T不連続又はより一般には記録時間不連続と呼ばれる。
【0022】
タイトル境界は、イベントへのアクセスを与えるべきである(例えば、誕生日や外出日など)。通常、近い時間に記録され、カムコーダ5に逐次的に記録されたシーンは、1つのイベントに属する。シーングループ(数日間など)間の大きなRD&T不連続は、イベント間の境界に対応する。従って、タイトル境界の第1オーダー基準は、不連続サイズである。第2オーダー基準は、タイトルが同じ長さを有するべきということである。
【0023】
タイトル内では、ナビゲーションはチャプターマーカーを介して行われる。チャプターマーカーは、経時的に等しく分割され、シーンの開始において揃えられることが最も良い。大きな不連続を有するシーンは、サブイベントを分離するためのアクセスを与える可能性が大きいため、好ましい。第1オーダー基準は長さの等しさであり、第2オーダー基準は不連続サイズである。
【0024】
図2において、DVテープ5からのデータストリーム10の例が与えられる。図では、タイトル境界(T_n及びT_n+1)とチャプターマーカー(C_m及びC_m+1)の位置が示される。DeltaRD&Tは、シーン間の不連続サイズを示す。
【0025】
例えば、テープ5は、誕生日を含む各種イベントを有することが可能である。誕生日の直前のシーンは、誕生日前の5日間に記録されたものである。すべての誕生日シーンが誕生日に記録されているが、誕生日後の最初のシーンは3日後に記録されている。誕生日シーンは、Title nに属する。誕生日内では、チャプターのシーンの長さに基づき、いくつかのチャプターが形成されている。
【0026】
図3において、本方法の2つの可能な実施例のフロー図が示される。DVD4上のインデックスされたデータ記録を取得する方法は、2つのステップで実行される。第1には、第1タイプのインデックスマーカー、すなわち、チャプターマーカーがステップ16において挿入される。次のステップ17において、選択されたチャプターマーカーのタイトル境界(第2タイプのインデックスマーカー)への変換が行われる。
【0027】
すぐにタイトル境界を挿入せず、選択されたチャプターマーカーを変換する理由は2つある。すなわち、
a.それは、自動変換に対するものとして手動変換を可能にする。これの効果は、ユーザがどのチャプターマーカーを利用すべきか選択することができるということである。
b.チャプターマーカーは、タイトル境界の迅速な挿入を可能にする。実際には、タイトル境界の挿入は、1つのタイトルを2つに分割することであり、分割ポイントがチャプターマーカーである。タイトルがチャプターマーカーではないポイントで分割される場合、時間のかかる処理が実行される必要がある。
【0028】
任意的に、ステップ16はさらなるステップ18に続き、テープ5のプレ・スキャニングが実行されるようにしてもよい。これは、チャプターマーカーのより良好な配置が可能となるように、すべてのビデオ題材が予めわかっているという潜在的な効果を有する。プレ・スキャニングがない場合、チャプターマーカーを追加する方法は、「オン・ザ・フライアルゴリズム」と呼ばれる。プレ・スキャニングがある場合、チャプターマーカーを追加する方法は、「プレ・スキャンアルゴリズム」と呼ばれる。
【0029】
「オン・ザ・フライアルゴリズム」は、ビデオ題材をキャプチャリングしながら、チャプターマーカーを挿入する。「オン・ザ・フライアルゴリズム」により、チャプターマーカーは、挿入ポイントまでのビデオ題材の知識に基づき挿入される必要がある。合計でどれくらいのビデオ題材が記録されるかはわからないし、入力されるビデオ題材のRD&T情報についてもわからない。
【0030】
あるポイントにチャプターマーカーを挿入する決定は、以下の基準に基づく。
1.これまで挿入されたチャプターマーカーの量
2.記録開始からの経過時間
3.RD&T不連続の存在及び大きさ
大きな不連続を抽出し、チャプターマーカー間の距離を所望の値に等しくかつ近接して保持することが目的となる。
【0031】
これらの基準は、閾値関数により表現される。RD&T不連続が存在し、その大きさが閾値を超える場合、チャプターマーカーが挿入される。極めてシンプルな閾値関数は、例えば、2時間などの定数である。2時間を超えるRD&T不連続は、チャプターマーカーを挿入させる。このような閾値関数は、上記第3の基準しか満たさない。
【0032】
いくつかのチャプターマーカーCがこれまでに挿入されたと仮定する。dは15分などの所望のチャプター期間と仮定する。すべてのチャプターが同じ長さを有する場合、各d時間単位に新たなチャプターが挿入される。理想的には、C+1番目のチャプターマーカーは、t=(C+1)*dに配置される。
【0033】
ここで、閾値関数を図4に示されるような形状のth(t)とする。以下のケースは、チャプターマーカーC+1を配置するときに認められるかもしれない。
1.t<C*d
これは、チャプターマーカーCが理想的に挿入される位置の手前である。閾値レベルは高いが、t=(C+1)*dに近づくに従い減少する。
2.t>C*dかつt≦(C+1)*d
チャプターマーカーC+1の理想的な位置に接近しつつある。閾値は減少する。
3.t>(C+1)*d
チャプターマーカーC+1の理想的な位置は、すでに通過した。閾値はさらに、t=(C+1.5)*dにおいてゼロになるまで減少する。
【0034】
図4の閾値関数はまた、以下の数式を用いて2つの一次関数の結合として表現されるかもしれない。
【0035】
th(t)=tho−a1*(t−C*d) (t<(C+0.5)*dについて):第1の線形係数a1が用いられる。
【0036】
th(t)=th1−a2*(t−(C+1)*d) ((C+0.5)*d<t<(C+1.5)*dについて):a1より小さな第2の線形係数a2が用いられる。
【0037】
th(t)=0 (t>(C+1.5*d)について)
図5において、上述の実施例を用いて、チャプターマーカーが記録中にどのようにして挿入されるかについての例が示される。プロットにより、記録中に経時的な閾値th(t)が示される。水平軸は記録中の経過時間である。垂直軸はRD&T値である。太線は、記録実行中の実際の閾値を示す。水平軸から上方に向かう矢印は、RD&T不連続である。水平軸の丸印は、チャプターマーカーである。
・t=1.5*dにおいて、第1チャプターマーカーが挿入される。何れの不連続も閾値を超えていないため、閾値が0となるときにチャプターマーカーが挿入される。C=1の新たな閾値関数が有効となる。
・t=2*dの直後、RD&T不連続が閾値を超えるため挿入される。チャプターマーカー2が挿入される。C=2の新たな閾値関数が有効となる。
・tが3*dに接近すると、他のRD&T不連続は閾値を超える。チャプターマーカー3が挿入される。C=3の新たな閾値関数が有効となる。
・t=3*dの直後、RD&T不連続が閾値を超えるため、第4チャプターマーカーが挿入される。C=4の新たな閾値関数が有効となる。
・t=5.5*dにおいて、第5チャプターマーカーが挿入される。何れの不連続も閾値を超えないため、閾値が0となるとき、チャプターマーカーが挿入される。
【0038】
閾値関数th(t)の実際の形状は、線形(図示されるような)、二次又は指数などの任意の形状とすることができる。これまでの実験は、一次関数がすでに良好な結果を与えるということを示している。
【0039】
記録にチャプターマーカーとタイトル境界を挿入すると、チャプターマーカーの配置について基準がある。これらの基準は、関連するパラメータの数式を用いて記述することができる。
【0040】
第1に、チャプターマーカーは、パラメータimbalanceを用いて定式化することが可能な経過時間上に十分に分散化される必要がある。
【0041】
【数5】

ただし、
totdur=ビデオ題材のトータル期間
avrdur=所定の平均チャプター期間
dur=チャプターcの期間、
である。
【0042】
imbalanceの値は、可能な限り0に近いものとなるべきである。パラメータtotdurが特定のデータ記録について一定であるとき、このパラメータは、数式(1)において無視することができる。
【0043】
第2に、データストリームの元のデータセグメント又はシーンの時間カバリッジと、結果として得られるデータ記録における最終的なチャプターの時間カバリッジの比率を最適化することが目的とされる。この比率は、以下の式により記述することが可能である。
【0044】
【数6】

ただし、
delta=チャプターcのdeltaRD&T、
delta=データセグメント又はシーンsのdeltaRD&T
である。
【0045】
deltaRD&Tは、シーン/チャプターの開始におけるビデオのRD&Tと前のシーン/チャプターの終了におけるビデオのRD&Tとの差である。coverageの値は、可能な限り1に近いものとなるべきである。
【0046】
図3において、ステップ18を含む本発明の他の実施例が示される。そこでは、元のデータストリームが、すべての記録時間不連続を予め取得するためプレ・スキャンされる。プレ・スキャンアルゴリズムの実行は、キャプチャされたビデオ題材からすべてのRD&T不連続を収集することにより開始される。例えば、ビデオ題材がDVテープを用いてキャプチャされる場合、RD&T不連続を始めからDVテープの終わりまで早送りすることにより収集することができる(RD&T上方は、DVストリームに埋め込まれる)。
【0047】
プレ・スキャンアルゴリズムの第2段階を表すチャプターマーカー挿入(CMI、ステップ16)の問題は、以下の方法により数式(1)及び(2)を用いて定式化することができる。検出されたすべてのRD&T不連続から、数式(3)を最小化する部分が選択される必要がある。
【0048】
【数7】

ただし、
C=所定の定数(カバレッジプロパティの加重係数)
I=所定の定数(インバランスプロパティの加重係数)
である。
【0049】
CMIpsの最小値が検出されると、現在選択されたすべてのRD&T値は、チャプターマーカーとなる。
【0050】
再び、非線形最適化問題のより一般的なグループの一部は、CMI問題が組み合わせ的な最適化問題のグループに属するように定式化される。非線形最適化問題は、解析的な方法を用いて解くことができないということはよく知られている。従って、それを解くため、ヒューリスティックな方法を利用することができる。この問題について興味深いことは、CMIpsの大域的な最小値がわかっており、ゼロに等しいということである。これは理論的な最小値であり、この最小値に対する解が存在することは確定的ではない。理論的な最小値がわかっていることは、現在の解のクオリティを推定するのにプレ・スキャンアルゴリズムの実行中に大変良好に利用可能である。
【0051】
CMI問題を解くため、遺伝的アルゴリズム(GA)の標準的なもの(“Genetic Algorithms in Search,Optimization and Machine Learning”,D.E.Goldberg,Addison−Wesley,ISBN0−201−15767−5を参照されたい)を利用することが決定された(GAのより複雑なバージョンを利用してもよい)。世代nにおいて、各種のGA遺伝演算子(選択、クロスオーバー、変異)が、新たな集団n+1(世代n+1から)を生成するため、現在のGA集団に逐次的に実行される。当該プロセスは、現在の集団からの最適解が向上する限り、繰り返される。各世代において、集団は、CMI問題の符号化された解(染色体)の集合を含む。
【0052】
適切な方法によりGA演算を実行するため、以下のアイテム、すなわち、CMI問題の解がどのように染色体、適合度関数及び遺伝演算子に符号化されるかについて定義される必要がある。
【0053】
CMI問題の各解は、プレ・スキャンアルゴリズムの第1段階のビデオ題材から収集されたすべての既知のRD&T値の部分集合を表す。すべてのRD&T値が1つのアレイに置かれる場合、シンプルなバイナリ文字列(アレイ)が、1つの可能なRD&T部分集合を解くのに利用可能である。これは、CMI問題の解を表すのに最もシンプルな方法である。それはまた、GAの標準的なものに大変良く適した表現である。
【0054】
GAは、CMI問題の2つの解を容易に比較することができなければならない。このため、数式(3)を利用することができる。
【0055】
以下のGA演算子を利用することができる。
・選択として、トーナメント選択
・クロスオーバーとして、ワン・ポイントクロスオーバー
・変異として、小さな変異確率によるバイナリ変異
他のより複雑な演算子もまた利用可能である。この提案は、CMI問題の大域的な最小値に到達することを保証するものではないということに留意されたい。
【0056】
本発明の最終段階(図3のステップ17)は、上述の2つの実施例に適用可能である。タイトル境界挿入は、システム内においてビデオ映像シーン情報がわかった後に実行される。従って、プレ・スキャンアルゴリズムが利用可能である。imbalance及びcoverageパラメータについて上述されたような基準を利用することができる。その違いは、チャプターがシーン/データセグメントの役割を担い、タイトルがチャプターの役割を担うということである。これは、チャプターマーカーのみが境界についての候補であるため実行可能である。チャプターマーカーが存在しない場所におけるタイトル境界挿入は禁止される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の実施例による記録システムの簡単化された図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施例によるインデックスマーカーが設けられたデータ記録の図解を示す。
【図3】図3は、本発明の2つの可能な実施例のフロー図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施例による閾値関数のプロットを示す。
【図5】図5は、関連する閾値関数を用いたデータ記録に挿入されるチャプターマーカーのプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が異なる記録開始時間を有する複数のデータセグメントを有する第2媒体からのデータストリームから、第1媒体上にデータ記録を取得する方法であって、
現在の記録セグメントの期間の決定に基づき、前記第1媒体上のデータ記録の記録セグメントを生成するステップを有し、
記録時間不連続が閾値を超えると、新たな記録セグメントが生成され、
前記記録時間不連続は、第1データセグメントの記録終了時間と次のデータセグメントの記録開始時間との差であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記閾値は、所望の記録セグメント期間と前記現在の記録セグメント期間とに応じた関数であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、
前記新たな記録セグメントは、前記第1媒体上のデータ記録に第1タイプのインデックスマーカーを挿入することにより生成されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、
前記閾値関数は、時間について連続的な減少関数であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
前記閾値関数は、時間に関する2つの線形関数の結合を有し、
th(t)=tho−a1*(t−C*d) (t<(C+0.5)*dについて)
th(t)=th1−a2*(t−(C+1)*d) ((C+0.5)*d<t<(C+1.5)*dについて)
th(t)=0 (t>(C+1.5*d)について)
であり、Cは前記第1タイプのインデックスマーカーの計数であり、a1は第1の線形係数であり、a2は第2の線形係数であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記データストリームの記録時間不連続を取得するため、前記データストリームをプレ・スキャンするステップを有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、
記録時間不連続の一部は、
CMIps=C・(1−coverage)+I・imbalance
であるCMIpsの値が最小化される新たなセグメントの開始ポイントとして、すべての検出された記録時間不連続から選択され、ここで、
【数1】

は、前記データ記録のカバレッジプロパティであり、
delta=記録セグメントcの記録開始時間と前の記録セグメントの記録終了時間の差であり、
delta=データセグメントsの記録開始時間と前のデータセグメントsの記録終了時間の差であり、
【数2】

は、前記データ記録のインバランスプロパティであり、
avrdur=所定の平均記録セグメント期間であり、
dur=記録セグメントcの期間であり、
C=カバレッジプロパティの所定の一定の加重係数であり、
I=インバランスプロパティの所定の一定の加重係数であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、さらに、
一組の所定の基準に基づき、前記第1タイプの選択されたインデックスマーカーを第2タイプのインデックスマーカーに変換するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
各々が異なる記録開始時間を有する複数のデータセグメントを有する第2媒体からのデータストリームから、第1媒体上にデータ記録を取得する記録システムであって、
前記第2媒体から前記データストリームを受け付ける入力手段と、
前記データ記録を前記第1媒体上に格納する出力手段と、
前記入力手段と前記出力手段とに接続され、現在の記録セグメントの期間の決定に基づき、前記第1媒体上のデータ記録の記録セグメントを生成するよう構成され、
前記処理手段はさらに、記録時間不連続が閾値を超えると生成される新たな記録セグメントを生成するよう構成され、
前記記録時間不連続は、第1データセグメントの記録終了時間と次のデータセグメントの記録開始時間との差であることを特徴とする記録システム。
【請求項10】
請求項9記載の記録システムであって、
前記処理手段はさらに、請求項2乃至8何れか一項記載の方法の動作を実行するよう構成されることを特徴とする記録システム。
【請求項11】
第2媒体からのデータストリームから第1媒体上のデータ記録を取得するコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにロードされると、該コンピュータシステムに請求項1乃至8何れか一項記載の方法の機能を提供するコンピュータ実行可能なコードを有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−515029(P2007−515029A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540712(P2006−540712)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052422
【国際公開番号】WO2005/052937
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】