説明

E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶

E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態。E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの塩及び錯体の合成において、結晶形態が有用である。結晶形態は同様に薬学製品としての錠剤化又はカプセル化されたE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの安定性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、
【化1】

といった式Iを有するE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態に関する。
【背景技術】
【0002】
その遊離塩基形態での式Iは、その開示全体が本書に参考として内含されている2001年12月27日付けの国際公開第国際公開第01/98277号パンフレットの中で記述されている。上述の出願は本出願と共有譲渡されている。式Iの遊離塩基は、癌といった超増殖性疾患の治療において有用である。
【0003】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドのセスキコハク酸塩及びジマロン酸塩形態を含むコハク酸塩及びマロン酸塩は、本書に参考として内含されている2001年12月12日に出願された米国仮特許出願第60/340885号の中で開示されていた。
【0004】
遊離塩基結晶形態から調製可能なE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの錯体及び塩は、本書に参考として内含されている2003年12月17日付けの米国特許出願第10/738,972号に開示されている通りの薬学組成物の活性作用物質であり得る。これらの錯体及び塩は、哺乳動物特にヒトにおける癌といったような超増殖性疾患の治療において有用である。
【0005】
式Iの上述の形態は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドのこれらの形態が超増殖性疾患の治療において有用であるかぎりにおいて、当該技術分野において有意な前進を意味している。かくして、該化合物が、その重要な塩及び錯体の合成に適していることが重要である。さらに、薬物として利用される製品は、剤形として生産された場合に安定している必要がある。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
表題化合物の塩及び錯体の合成において有用であるE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの複数の結晶形態が現在発見されている。これらの安定した結晶形態の使用は表題化合物の純度を改善する。これらの安定した形態は同様に、薬物製品としての化合物の錠剤化又はカプセル化された形態に付随する安定性の問題をも軽減する。
【0007】
本発明に従うと、
【化2】

といった式Iを有するE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態が開示されている。
【0008】
本発明の化合物の結晶形態は、形態A及びその水和物及び/又は溶媒和物形態B及びその水和物及び/又は溶媒和物;形態C及びその水和物及び/又は溶媒和物;形態F及びその水和物及び/又は溶媒和物;形態G及びその水和物及び/又は溶媒和物;及び形態H及びその水和物及び/又は溶媒和物を内含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
詳細な説明
本発明は、
【化3】

という式Iを有するE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態に関する。
【0010】
本発明は水和物及び/又は溶媒和物の結晶形態に向けられているものの、好ましい実施形態においては、6つの結晶形態が提供されている。当業者は、本書で開示されている結晶形態を調製する上で利用される合成方法に修正を加えることでその他の形態を合成することもできるということを認識している。これらの形態はその粉末X線回折パターンによって特徴づけされる。これらのパターンは、銅放射線(波長1:1.54056)を用いてBruker D5000回折計上で識別されてきた。真空管の電圧及び電流はそれぞれ40KV及び50mAにセットされた。発散及び拡散スリットは1mmでセットされ、受入スリットは0.6mmにセットされた。回折された放射線はKevex PSI検出器によって検出された。3.0から40°2θまでの2.4°/分(1秒/0/04°ステップ)におけるシータ2シータ連続走査が使用された。計器の心合せを検査するためにアルミナ標準が分析された。Bruker軸ソフトウェアバージョン7.0を用いてデータが収集され分析された。水晶ホルダーの中に置くことで試料を調製した。Bruker InstrumentsがSiemansを買収したことに留意すべきである。Bruker D5000計器は基本的にSiemans D5000と同じである。
【0011】
本発明の結晶形態が関係している置換された2環式誘導物を調製するために参照できる一般的合成方法は、国際公開第01/98277号(2001年12月27日公開)、米国特許第5,747498(1998年5月5日発行)、米国特許出願第08/953078号(1997年10月17日出願)、国際公開第98/02434号(1998年1月22日公開)、国際公開第98/02438号(1998年1月22日公開)、国際公開第96/40142号(1996年12月19日公開)、国際公開第96/09294号(1996年3月6日公開)、国際公開第97/03069号(1997年1月30日公開)、国際公開第95/19774号(1995年7月27日公開)及び国際公開第97/13771号(1997年4月17日公開)の中で提供されている。付加的な手順は、米国特許出願第09/488,350号(2000年1月20日出願)及び第09/488,378号(2000年1月20日出願)の中で言及されている。上述の特許及び特許出願は、本書にその全体が参考として内含されている。一部の出発材料は、当業者が精通した方法に従って調製され得、一部の合成的修正は当業者が精通した方法に従って行なわれ得る。6−ヨードキナゾリノンを調製するための標準的手順が、Stevenson, T. M., Kazmierczak, F., Leonard, N. J., Org. Chem. 1986, 51, 5, p616の中で提供されている。パラジウムを触媒とするボロン酸カップリングがMiyaura, N., Yanagi, T., Suzuki, A. Syn. Comm. 1981, 11, 7,p,513の中で記述されている。パラジウムを触媒とするHeckカップリングについては、Heck et al. Organic Reactions, 1982, 27, 345又はCabri et al. in Acc. Chem. Res. 1995, 28,2の中で記述されている。末端アルキンのハロゲン化アリールに対するパラジウムを触媒とするカップリングの例については、Castro et al. J. Org. Chem. 1963, 28, 3136.及びSonogashira et al. Synthesis, 1977, 777を参照のこと。末端アルキン合成は、Colvin, E. W. J. et al. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1977, 869; Gilbert, J. C. et al. J. Org. Chem., 47, 10, 1982; Hauske, J. R. et. al. Tet. Lett, 33, 26,1992,3715; Ohira, S. et. al. J. Chem. Soc. Chem. Commun., 9, 1992, 721; Trost, B. M. J, Amer. Chem. Soc., 119, 4, 1997,698;又はMarshall, J. A., et. al. J. Org. Chem. 62,13,1997,4313の中で記述されているように、適切に置換され/保護されたアルデヒドを用いて実施可能である。
【0012】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第1の結晶形態は形態Aである。形態Aは、表1〜3に記されている通りのその強度及びピーク位置によって特徴づけされる。これらの表は、形態Aの無水物についての2−シータ値を列挙している。しかしながら、水和物及び溶媒和物も同様に、本発明の範囲内に入る。
【0013】
回折線の最も顕著な強度及びピーク位置は表1に記されている。本書中の全ての表に関する位置の実験的誤差は+/−0.2シータであることが観察される。
【0014】
【表1】

【0015】
形態Aの回折線のより顕著な強度及びピーク位置が表2に記されている。
【0016】
【表2】

【0017】
形態Aの顕著な回折線の強度及びピーク位置は表3に記されている。
【0018】
【表3】

【0019】
さらに、形態Aは単結晶X線分析によって特徴づけされる。単結晶X線分析データは、銅放射線及び黒鉛単色光分光器の備わったBrukerX線回折計を用いて室温で得られる。直接的方法を用いて構造が解かれた。Bruker AXS.Incが提供するSHELXTLコンピュータライブラリが必要な全ての結晶学的計算及び分子表示を容易にした。
【0020】
形態Aの単結晶X線分析は以下の通りである。
【0021】
【表4】

【0022】
単結晶と粉末試料の間で結果を比較するために、単結晶結果から計算上の粉末パターンを得ることができる。SHELXTLコンピュータライブラリの一部として提供されたXFOG及びXPOWコンピュータプログラムはこの計算を実施することができる。SHELXTLコンピュータライブラリが開発され、長期間にわたりアップグレードされてきた。進行中のこの研究作業の最新バージョンは、以下の通りである:SHELXTLYTM Reference Manual, Version 5.1, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA(1997)。実験的粉末パターンと計算上の粉末パターンを比較することによって粉末試料か指定の単結晶構造に対応するか否かが確認される。その結果は、オーバレイされた粉末X線回折パターン内に表示される。下のパターンは、計算上の粉末パターン(単結晶結果からの)に対応し、上のパターンは、代表的な実験的粉末パターンに対応する。2つのパターン間の整合が、粉末試料と対応する単結晶構造との一致を表わしていた。
【0023】
形態Aについての固体状態核磁気共鳴(ssnmr)データは、表4中に記された特性を有するスペクトルによって特徴づけされる。
【0024】
【表5】

実験的誤差+/−0.1ppm
【0025】
上述のスペクトルは、分析対象の各試料について約80mgの試料を4mmのZrOスピナー内に密に詰め込む手順により得られた。全てのスペクトルは、広口径のBruker-Biospin Avance DSX500MHzのNMR分光計内に位置づけられたBruker-Biospinの4mmのBLCPMASプローブ上で295K及び周囲圧力で収集された。試料は、マジック角で位置づけされ、4mmのスピナーについての最高規定回転速度に対応する15.0kHzで回転させられた。高い回転速度は、回転側帯波の強度を最小にした。プロトンデカップリング交差分極マジック角回転実験(CPMAS)を用いて、13C固体状態スペクトルを収集した。約85kHzのプロトンデカップリング磁場が適用された。走査数(600)は、適切な信号対雑音(S/N)を得るように調整された。再循環遅延は6秒に調整された。結晶性アダマンタンの外部標準を用いてスペクトルに基準を設け、その高磁場共鳴を29.5ppmにセットした。34.3、30.3、28.3におけるスペクトル内の低強度ピークならびに15ppm未満の化学シフトにおける全てのピークは、回転側帯波である。
【0026】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第2の結晶形態の形態Bである。水和物又は溶媒和物としての形態Bの2−シータ値及び強度は、表5に記されている。本発明は、無水形態も考慮している。
【0027】
【表6】

【0028】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第3の結晶形態は形態Cである。形態A及びBの場合と同様に、形態Cは、該形態その水和物及び/又は溶媒和物についての回折線の強度及びピーク位置により識別される。形態Cの水和物の2−シータ値及び強度は、表6〜8に記されている。ただし、無水形態C及びその溶媒和物も同様に本発明の考慮の範囲内に入る。
【0029】
表6〜8は、それぞれ、形態Cの最も顕著な、より顕著な及び顕著な2シータ値及び強度を提示している。
【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
【表9】

【0033】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第4の結晶形態は形態Fである。形態Fは同様に、表9〜11中の水和物についての回折線の強度及びピーク位置によっても識別される。ただし、無水形態F及び溶媒和物は本発明の考慮の範囲内に入る。
【0034】
表9〜11はそれぞれ、形態Fの最も顕著な、より顕著なそして顕著な2シータ値及び強度を提示する。
【0035】
【表10】

【0036】
【表11】

【0037】
【表12】

【0038】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第5の結晶形態は形態Gである。形態Gは上述の形態と同様に、表12〜14中で特徴づけされている。特定的には、形態Gの水和物が本書中で提供されている。ただし、無水形態G及び形態Gの溶媒和物は本発明の範囲内に入る。
【0039】
表12〜14はそれぞれ、形態Gの最も顕著な、より顕著なそして顕著な2シータ値及び強度を提示する
【0040】
【表13】

【0041】
【表14】

【0042】
【表15】

【0043】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの第6の結晶形態は形態Hである。E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド遊離塩基の結晶形態Hは、表15〜17に要約された回折線の強度及びピーク位置によって特徴づけされる。特定的には、無水状態H、その水和物又は溶媒和物が表15〜17に記されている。形態Hの無水、水和物及び溶媒和物は本発明の考慮の範囲内に入る。
【0044】
表15〜17はそれぞれ、形態Hの最も顕著な、より顕著なそして顕著な2シータ値及び強度を提示する。
【0045】
【表16】

【0046】
【表17】

【0047】
【表18】

【0048】
溶媒和物というのは、単数又は複数の溶媒分子を伴う分子又は溶質イオンを内含する表題化合物の結晶形態として定義される。
【0049】
水和物は、表題化合物と共に水によって形成される化合物として定義される。
【0050】
組成物は、単数又は複数のその他の構成成分を伴う表題化合物の結晶形態として定義される。
【0051】
遊離塩基は、塩酸塩といったような酸性塩を形成する能力をもつ有機アミンの塩基性形態として定義される。
【0052】
薬学組成物は、従来の薬学的担体又は賦形剤を内含する表題化合物の結晶形態として定義される。さらに、組成物は、その他の薬剤又は薬学的作用物質、担体、アシュバントなどを内含し得る。薬学組成物は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、持続放出製剤、溶液、懸濁液、無菌溶液としての経口投与に適した形態、非経口投与向けの懸濁液又はエマルジョン、局所投与向けの軟こう又はクリーム又は直腸内投与のための座薬の形をしていてよい。薬学組成物は、精確な投薬量の単回投与に適した単位剤形の形をしていてよい。
【0053】
以下の例は、本発明を例示する目的で提供されている。これらの例は例示のみを目的として示されていることから、該発明がそれに制限されるものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0054】
実施例1
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態A
6−ヨード−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリンの合成:
【化4】

【0055】
3口丸底フラスコに機械式攪拌器をとりつけ、N2下に保った。フラスコに6−ヨード−4−クロロキナゾリン(10.0g、34.43モル)と乾燥THF(35ml)を投入した。その後3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミン(7.38g、34.43mmol)及び乾燥THF(45ml)を添加し、黄色懸濁液を還流に至るまで加熱した。15分後、大部分の反応物質は溶解状態となり、細かい黄色懸濁液が得られた。25分後、反応混合物の内部温度は56℃であり、所望の生成物の沈殿が開始した。加熱をさらに、2時間続行し、油浴中に放置したまま室温まで反応混合物を冷却させた。ろ過により黄色結晶を収集し、低温(0℃)THF(1×10ml)で洗浄し、50℃、p<200mbarで乾燥させた。表題化合物を明黄色結晶(15.75g、98%)として得た。
【化5】

【0056】
表題化合物は、以下のRP−HPLC条件下で12.13のtR(分)を有していた:対称シールドRP18、75×4.6mm;流量1.0mL/分;205/210/220/245nm;温度25℃;注入体積:ACN/H2O9/1中の約0.5%溶液10μL;溶離剤:B:ACN、C:H2O中の0.01mmolのNH4OAc、pH=6.0;及び勾配:0分:B=30%、C=70%;及び20分:B=85%、C=15%。
【0057】
2−メトキシ−酢酸プロパルギルアミドの合成:
【化6】

【0058】
2下に保たれた乾燥CH2−Cl2(45ml)中の塩化エトキシアセチル溶液(12.5ml、0.137モル、1.2当量)を−40℃まで冷却した。乾燥CH2Cl2(40ml)中のプロパルギルアミン溶液(7.98ml、0.125モル、1.0当量)を、温度を−25℃未満に保ちながら45分間にわたり添加した。15分後、温度を−25℃未満に保ちながら45分間にわたりトリエチルアミン(17.4ml、0.125モル、1.0当量)を添加した。反応混合物を室温まで暖めた。3時間後のTLCは、転換が完了したことを示していた。反応混合物をH2O(50ml)で急冷させ、有機相を半飽和NaCl溶液で洗浄し、脱脂綿を通してろ過させ、40℃の温度、650mbar超の圧力で濃縮させた。粗製化合物を短径路精製(49℃の沸点及び0.09mbarのp)により精製した。無色の液体(7.84g、50%)として表題化合物を得、これは放置時点で結晶化した。
【化7】

【0059】
ガスクロマトグラフィを用いて、下表で示されている条件下で6.42というtR(分)を決定した。
【表19】

【0060】
2下に保ったBH3*THF錯体の低温(0〜5℃)溶液(1.0Msol、3.0ml、3.0mmol、1.5当量)に対して1時間にわたり2−メチル−2−ブテン(0.59ml、5.60mmol、2.8当量)の調製物を添加した。30分間この温度で反応混合物を攪拌し、その後15分間にわたり乾燥THF(1ml)中に溶解させた2−メトキシ−酢酸プロパルギルアミド(255mg、2mmol、1.0当量)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を20分間にわたり室温まで暖めた。その後反応混合物を1時間35℃で加熱した。脱気H2O(1.2ml)中に溶解させたK2CO3(0.55g、4mmol、2.0当量)を反応混合物に30分間にわたり添加した。最初の半分の添加中に、ガス発生が観察され、これはさらなる添加の間に停止した。6−ヨード−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン(1.41g、3mmol、1.5当量)を3分量にわけて添加し、黄色懸濁液を得た。PPh3(21mg、0.08mmol、4モル%)及びPd(OAc)2(4.5mg、0.02mmol、1モル%)を各々1分量で添加し、反応混合物を還流に至るまで加熱した(65〜68℃)。約30分後、黄色溶液を得、反応をHPLC検定によって監視した。18時間後、反応混合物を室温まで冷却しその後半飽和NaCl溶液(10ml)及びEtOAc(10ml)を添加した。有機相を分離し、H2O(5ml)で洗浄し、50℃及び200mbar未満の圧力で濃縮した。プラグろ過による精製、SiO2、EtOAc/MeOH=9/1。表題化合物を黄色結晶(0.55g、59%)として得た。
【化8】


【0061】
逆相高性能液体クロマトグラフィを用いて、tR(分)は、下表に示されている条件下で表題化合物について6.02であることがわかった。
【表20】

【0062】
結晶形態Aの調製
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド非結晶質製品を沸とうしたアセトニトリル中に溶解させ、次に攪拌しながら室温まで冷却した。次に固体をろ過し、低温アセトニトリルで洗浄して結晶質粉末を得た。
【0063】
実施例2
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態B
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドのジメシラート塩は以下の通りに調製される。
【0064】
室温で400mLのEtOH及び100mlのCH2Cl2中の(以上の例1に従って調製された)遊離塩基形態のE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド67.33グラムに対して、100mlのアセトニトリル中の19.17mL(2.05)当量のメタンスルホン酸(CH3SO3H)溶液を滴下にて添加した。混合物を15分間室温でスラリー化し、次に塩化メチレン(最高100ml)を除去した。さらに600mLのアセトニトリルを添加して結晶化を完了させ、混合物を2時間スラリー化した。結晶を窒素雰囲気下でろ過し、100mlのアセトニトリルで洗浄した。99%の収量でジメシラート塩(94.48グラム)が生成された。
【0065】
先行段落の方法に従って生成されたジメシラート塩(90g)を水中(最高550mL)で溶解させた。溶液にクロロホルムを添加し(最高500mL)、その後、白色懸濁液/沈殿物が観察されるまで(pH最高13〜14)、1NのNaOHを添加した。NaOHの前のクロロホルムの添加によって、沈殿が形成するにつれてのゴム状化が削減された。混合物を、別の漏斗(2L)に移送し、クロロホルム3分量(最高300mL)で遊離塩基を抽出した。抽出物を組合せ(最高1.3L)、水で洗浄し(最高500mL)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後ろ過した。クロロホルムろ過液を真空下で濃縮させて、黄色非晶質固体/油を得た。この材料を酢酸エチル中で再度スラリー化し、結果として白色固体を得た。この材料を次にろ過し、低温酢酸エチルで洗浄し、次に45℃の真空オーブン内で乾燥させて白色結晶質固体(最高59g)を得た。遊離塩基を、偏光顕微鏡(PLM)、粉末X線回折(PXRD)及び示差走査熱量計(DSC)によって特徴づけした。それは針状をしており、DSCにより3つの球熱性事象を表示している(DSC融点;125℃、160℃及び167℃)。
【0066】
実施例3
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態C
形態Cを、形態3と塩化メチレンを組合せ、その後濃縮して発泡体を生成することによって調製した。該発泡体をその後室温で約3時間アセトニトリル中でスラリー化させろ過させて形態Cを得た。
【0067】
実施例4
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態F
例2で調製した通りの形態Bと酢酸エチルを組合わせてスラリーを形成させることにより、形態Fを調製した。このスラリーに対して、過酸化水素(30%)と水を添加し、結果としての混合物を一晩攪拌した。ろ過により固体をろ過により単離させ、水とアセトンで洗い流し、40〜45℃で真空乾燥させて形態Fを得た。
【0068】
実施例5
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態G
60℃で例1に従って形成させた遊離塩基(20グラム)、メタノール(10mL)及びメチル−テトラヒドロフラン(90mL)の溶液を形成させることにより、形態Gを調製した。該溶液を室温まで冷却させ、23℃に達した時点でこれはスラリーを形成した。固体をろ過によって単離させ、メチル−テトラヒドロフランを用いて洗浄し、形態Gを生成した。
【0069】
実施例6
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態H
高温THF/アセトン(5/100)中のE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの溶液に対して、2当量のコハク酸を添加した。溶液を冷却するにつれて結晶がゆっくりと形成した。一晩スラリー化させた後、結晶をろ過し、アセトンで洗い流した。生成物を白色固体として単離させ、CHN分析によりE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドのセスキコハク酸塩錯体として確認した。計算値:C=61.29、H=5.61、N=10.83、実験値:C=61.04、H=5.61、N=10.85。
【0070】
このように形成されたセスキコハク酸錯体(5グラム)を水(25mL)及びクロロホルム(25mL)と混合した。この混合物に対して、1.1当量の水酸化ナトリウム(1正規水溶液(nromal aqueous))を加え、2層が形成されるまで攪拌した。混合物を分液漏斗に移し、層を分離させた。漏斗の内容物を充分に混合させ、層を分離した。抽出をクロロホルムの付加的なアリコート(25mL)で2度目に反復させた。その後、水層を廃棄し、組合さったクロロホルム層(最高75mL)を、幾分かの水(25mL)と共に分液漏斗内に戻した。漏斗の内容物を充分混合させ、層を分離させた。水層を廃棄し、クロロホルム層を1口丸底フラスコに入れた。
【0071】
回転蒸発を用いて、クロロホルムを除去し、黄色油を得た。酢酸エチルを添加し(125mL)、油と共に攪拌して厚いスラリーを生成した。およそ1日攪拌した後、ろ紙(Whatman #2)が取付けられたブフナー漏斗を用いた真空ろ過を介してスラリーを単離させた。固体を酢酸エチル(25mL)で洗い流し、次に結晶皿に入れた。皿と固体を45℃の真空オーブンに入れ、一晩乾燥させて、薄黄色の粉末を得た。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Aの回折図である。
【図2】図2は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Bの回折図である。
【図3】図3は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Cの回折図である。
【図4】図4は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Fの回折図である。
【図5】図5は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Gの回折図である。
【図6】図6は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Hの回折図である。及び
【図7】図7は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶形態Aの固体状態nmRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶。
【請求項2】
形態A、形態C、形態F、形態G及び形態Hから成る群の中から選択されたE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの結晶。
【請求項3】
【表1】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態Aである、請求項2に記載の結晶。
【請求項4】
(a)
【表2】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態A、
(b)
【表3】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態A、
(c)
【表4】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態C、
(d)
【表5】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態C、
(e)
【表6】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態C、
(f)
【表7】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態F、
(g)
【表8】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態F、
(h)
【表9】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態F、
(i)
【表10】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態G、
(j)
【表11】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態G、
(k)
【表12】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態G、
(l)
【表13】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態H、
(m)
【表14】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態H、そして
(n)
【表15】

という表の通りの、角度(2−シータ)で表わされた特徴的ピークをもつX線粉末回折スペクトルを有する形態H、
から成る群の中から選択される、請求項2に記載の結晶。
【請求項5】
469.54という式量;0.24mm×0.08mm×0.06mmという結晶サイズ、空間群P21(1)/n単斜晶系及び単位格子寸法(a=9.456Å、b=9.237Å、c=27.947Å、α=90°、β=92.97°及びγ=90°)を有する形態Aである、請求項2に記載の結晶。
【請求項6】
100万分の1単位で表わされた172.1、158.6、153.7、149.6、147.7、138.8、135.0、132.4、129.9、125.8、123.6、120.9、119.4、118.4、117.1、71.3、58.1、44.0、20.7及び16.6という化学シフトを有する固体状態13C核磁気共鳴を特徴とする形態Aである、請求項2に記載の結晶。
【請求項7】
請求項1に記載の結晶を含む組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の結晶を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524712(P2007−524712A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500309(P2007−500309)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000378
【国際公開番号】WO2005/085229
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】