説明

EHD流体を用いた冷却装置

【課題】EHD流体を用いて発熱体を冷却する冷却装置において、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプの配置を工夫することで、発熱体の冷却効率を従来よりも高める。
【解決手段】冷却装置が、発熱体2〜4が発生した熱を伝導により受ける冷却部12と、外部に熱を放出する放熱部13と、冷却部12および放熱部13に連結され、冷却部12から放熱部13に熱を輸送するための連結部11と、を備え、冷却部12、連結部11、放熱部13内に形成された流路をEHD流体が循環し、流路内の複数位置には、EHD流体に電圧を印加するポンプが配置され、冷却部内12内の流路における単位体積当たりのポンプの個数は、連結部11内の流路における単位体積当たりのポンプの個数よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EHD流体を用いて発熱体を冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体を冷却する冷却装置が、特許文献1に記載されている。具体的には、発熱体の熱が伝達される冷却部と熱を外部に放出する放熱部との間に配管を設け、冷却部内、放熱部内、および配管内にEHD流体を充填し、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させる電極をポンプとして、冷却部内もしくは放熱部内もしくは配管部内に設置している。そして、そのポンプがEHD流体を循環させることで発熱体を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−222072号公報
【特許文献2】特開平11−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発明者の検討によれば、上記のようなポンプの配置を改良することで、発熱体の冷却をより効率的にする余地があることがわかった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、EHD流体を用いて発熱体を冷却する冷却装置において、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプの配置を工夫することで、発熱体の冷却効率を従来よりも高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流し、前記上り連結流路(111)よりも前記下り連結流路(112)よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分を有する冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)が形成され、前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、それら複数のポンプ(20)のうち、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数は、前記連結部(11)の前記上り連結流路(111)内および前記下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多いことを特徴とする冷却装置である。
【0007】
このように、冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)内では、上り連結流路(111)や下り連結流路(112)よりも流路断面積を小さくすることでEHD流体の流速を速めるとともに、冷却部内により多くの流路を設置することが可能となる。そのため、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部の面積が増加するともに、流速増加により熱伝達率が向上することで冷却効率を高めている。
【0008】
そのような状況において、上り連結流路(111)、冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、下り連結流路(112)および放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路内の複数のポンプ(20)のうち、冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数を、連結部(11)の上り連結流路(111)内および下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多くすることで、特に冷却部(12)内の流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させることができる43。その結果、発熱体(2〜4)の冷却効率を従来よりも高めることができる。
【0009】
また、上記第1の目的を達成するための請求項2に記載の発明は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)が形成され、前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流し、前記上り連結流路(111)よりも前記下り連結流路(112)よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分を有する放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、それら複数のポンプ(20)のうち、前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数は、前記連結部(11)の前記上り連結流路(111)内および前記下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多いことを特徴とする冷却装置である。
【0010】
このように、放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)内では、上り連結流路(111)や下り連結流路(112)よりも流路断面積を小さくすることでEHD流体の流速を速めるとともに、冷却部内により多くの流路を設置することが可能となる。そのため、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部の面積が増加するとともに、流速増加により熱伝達率が向上することで、放熱効率を高めている。
【0011】
そのような状況において、上り連結流路(111)、冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、下り連結流路(112)および放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路内の複数のポンプ(20)のうち、放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数を、連結部(11)の上り連結流路(111)内および下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多くすることで、特に放熱部(13)内の流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させることができる。その結果、放熱部(13)における放熱効率を高め、ひいては、発熱体(2〜4)の冷却効率を従来よりも高めることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の冷却装置において、前記複数のポンプ(20)のそれぞれは、尖形電極(21)およびスリット電極(22)を有し、前記尖形電極(21)は、前記スリット電極(22)に向かって先細る形状となっており、前記スリット電極(22)は、スリット形状となっていることで、当該ポンプ(20)の位置の流路を更に狭めるようになっていることを特徴とする。
【0013】
このように、ポンプ(20)を構成するスリット電極(22)が、当該ポンプ(20)の位置の流路を更に狭めるようになっていることで、当該流路の流速を上げるとともに、その流速の上がっている位置でポンプ(20)がEHD流体を駆動しているので、さらに流速が増加し、EHD流体とEHD流体に接する部位の熱伝達率を向上させ、より高い発熱体(2〜4)の冷却効率を実現することができる。
【0014】
また、上記第2の目的を達成するための請求項4に記載の発明は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、127、128)と、前記冷却部内流路(121、122、127、128)と連通し、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)とが形成され、前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、127、128)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、また、前記タンク(129)内にも、複数のポンプ(20)が配置され、前記タンク(129)内の前記複数のポンプ(20)は、前記タンク(129)内でEHD流体を循環させるように配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0015】
このように、冷却部(12)内において、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)を形成し、その冷却部(12)内でEHD流体が循環するようポンプ(20)を配置することで、冷却部(12)、連結部(11)、放熱部(13)を循環するEHD流体の流れ(主流)とは別の流れを冷却部(12)内に発生させることができ、それにより、冷却部(12)内のEHD流体の流速を主流とは独立に上げることができ、ひいては、従来よりも効率の高い発熱体(2〜4)の冷却を実現することができる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するための請求項5に記載の発明は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)とが形成され、前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、127、128)と、前記放熱部内流路(131、132、127、128)と連通し、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)とが形成され、前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、127、128)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、また、前記タンク(129)内にも、複数のポンプ(20)が配置され、前記タンク(129)内の前記複数のポンプ(20)は、前記タンク(129)内でEHD流体を循環させるように配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0017】
このように、放熱部(13)内において、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)を形成し、その放熱部(13)内でEHD流体が循環するようポンプ(20)を配置することで、冷却部(12)、連結部(11)、放熱部(13)を循環するEHD流体の流れ(主流)とは別の流れを放熱部(13)内に発生させることができ、それにより、放熱部(13)内のEHD流体の流速を主流とは独立に上げることができ、ひいては、従来よりも効率の高い発熱体(2〜4)の冷却を実現することができる。
【0018】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る冷却装置1および関連する装置2〜7の斜視図である。
【図2】冷却装置1の側面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図2のVI−VI断面図である。
【図7】図6のVII−VII断面図である。
【図8】図3、図4、または図6における1つのポンプ20の拡大図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態における冷却壁部12eの断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態における冷却壁部12eの断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図12の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る冷却装置1および関連する装置2〜7の斜視図を示し、図2に、冷却装置1の側面図を示す。本実施形態の冷却装置1は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)現象を示すEHD流体を作動流体(冷却媒体)として用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置である。このようなEHD流体は、数kVの高電圧を印加しても放電しないような誘電液体であり、周知のEHD効果により、電圧の印加を受けて流動する。
【0021】
本実施形態では、このようなEHD流体ならどのようなものを用いてもよい。例えば、EHD流体のうちでも、電界共役流体(Electro−Conjugate Fluid、略してECF)を用いてもよい。い。
【0022】
ECFとしては、例えば、特許文献1、2に記載のように、横軸が導電率σであり縦軸が粘度ηであって作動温度における流体の導電率σと粘度ηとの関係を示すグラフにおいて、導電率σ=4×10−10S/m、粘度η=1×100Pa・sで表される点P、導電率σ=4×10−10S/m、粘度η=1×10−4Pa・sで表される点Q、導電率σ=5×10−6S/m、粘度η=1×10−4Pa・sで表される点Rを頂点とする直角三角形の内部に位置する導電率σおよび粘度ηを有する化合物、または、当該三角形の内部に位置する導電率σおよび粘度η を有するように調製された二種類以上の化合物の混合物を用いることができる。例えば、デカン2酸ジブチル(dibutyldecane−dioate)を、ECFとして用いることができる。また、難燃性・不燃性の含ハロゲン(フッ素、塩素、臭素など)化液体をECFとして用いることができる。
【0023】
発熱体2〜4は、インバータのスイッチング素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。このインバータは、ハイブリッド自動車または電気自動車に搭載された走行用バッテリからの電力を用いて車両駆動用モータを駆動するためのインバータである。発熱体2〜4のそれぞれからは、インバータの他の回路に接続するための配線2a〜4a、2b〜4bが伸びている。また、冷却装置1には、電源7から導線7a、7bを介して電力が供給され、この供給電力を利用してEHD流体を流動させることで、発熱体2〜4の冷却を実現する。
【0024】
図1、図2に示すように、この冷却装置1は、切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等で成形された金属製(例えば、アルミ製)の連結部11、冷却部12、放熱部13を有している。図2中の破線は、連結部11、冷却部12、放熱部13の境界を示す仮想的な線である。
【0025】
連結部11は、冷却部12と放熱部13の間で冷却部12および放熱部13に連結され、EHD流体を作動流体として冷却部12から放熱部13に熱を輸送するための部材である。
【0026】
冷却部12は、発熱体2〜4に対面すると共に発熱体2〜4を挟み込んで発熱体2〜4と接触している。これによって冷却部12は、発熱体2〜4が発生した熱を熱伝導により受けることができる。
【0027】
放熱部13は、空冷フィン5、6に対面すると共に空冷フィン5、6を挟み込んで空冷フィン5、6と接触している。これによって放熱部13は、連結部11からEHD流体を介して輸送された熱を空冷フィン5、6に熱伝達し、さらに空冷フィンから、熱伝達により冷却装置1の外部に熱を放出する。
【0028】
また、冷却部12は、互いに一体に形成された冷却基部12aおよび複数の冷却壁部12b〜12eを備えている。冷却基部12aは、連結部11と連結されている。
【0029】
複数の冷却壁部12b〜12eは、冷却基部12aの上面から垂直に立ち上がって互いに平行に並ぶ複数の直方体形状の部材であり、隣り合う冷却壁部間に発熱体2〜4のそれぞれを挟み込んで発熱体2〜4に接触することで、発熱体2〜4が発生した熱を熱伝導によって受けるようになっている。冷却壁部12b〜12eと発熱体2〜4との間の熱伝導は、直接接触による熱伝導であってもよいし、他の熱伝導性の高い物質を間に挟んだ間接的な熱伝導であってもよい。
【0030】
このように、冷却部12が複数枚の冷却壁部12b〜12eを有し、それらの間に発熱体2〜4が挟まれることで、発熱体2〜4と冷却部12との間の接触面積を大きくすることができる。なお冷却基部12aも、僅かながら発熱体2〜4に対面して接触している。
【0031】
放熱部13は、互いに一体に形成された放熱基部13aおよび放熱壁部13b〜13dを備えている。放熱基部13aは、直方体形状の部材であり、側面の1つが連結部11に一体に連結されている。
【0032】
放熱壁部13b〜13dは、放熱基部13aの上面から垂直に立ち上がって互いに平行に並ぶ複数の直方体形状の部材であり、隣り合う壁部間に空冷フィン5、6をそれぞれを挟み込んで空冷フィン5、6に接触することで、空冷フィン5、6に熱伝導する。放熱壁部13b〜13dと空冷フィン5、6との間の熱伝導は、直接接触による熱伝導であってもよいし、他の熱伝導性の高い物質を間に挟んだ間接的な熱伝導であってもよい。
【0033】
このように、放熱部13が複数枚の放熱壁部13b〜13dを有し、それらの間に空冷フィン5、6が挟まれることで、空冷フィン5、6と放熱部13との間の接触面積を大きくすることができる。なお放熱基部13aも、僅かながら空冷フィン5、6に対面して接触している。
【0034】
図3に、図2のIII−III断面図を示す。この図に示すように、連結部11の内部には、EHD流体を放熱部13の放熱基部13a内から導入して冷却部12の冷却基部12a内に流し出すための上り連結流路111と、EHD流体を冷却部12の冷却基部12a内から導入して放熱部13の放熱基部13a内に流し出すための下り連結流路112とが形成されている。この流路111、112は上述の通り切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成される。
【0035】
流路111、112のサイズとしては、例えば、図3の上下方向(EHD流体の流れに沿った方向)の長さは冷却部と放熱部の適切な配置を連結するための距離でよく、断面形状が例えば四角形ならば、例として、四角形の高さ(図2の上下方向の長さ)が0.05〜10mm、断面の四角形の幅(図3の左右方向の長さ)が0.05〜10mmが可能である。
【0036】
また、冷却基部12aの内部には、上り冷却基部流路121および下り冷却基部流路122が、上述の通り切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。上り冷却基部流路121は、上り連結流路111と連通することで、EHD流体を上り連結流路111から導入して上記冷却壁部12b〜12e内に流し出すための流路である。下り冷却基部流路122は、下り連結流路112と連通することで、EHD流体を上記冷却壁部12b〜12e内から導入して下り連結流路112に流し出すための流路である。
【0037】
流路121、122の断面形状は、四角形である必要はないが、例えば四角形となっている。また、、断面形状が例えば四角形ならば、高さ(図2の上下方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mm、断面の四角形の幅(図3の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mmが可能である。つまり、流路121、122は、流路111、112と同じ太さである。
【0038】
また、放熱基部13aの内部には、上り放熱基部流路131および下り放熱基部流路132が、上述の通り切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。上り放熱基部流路131は、上り連結流路111と連通することで、EHD流体を上述の放熱壁部13b〜13d内から導入して上り連結流路111に流し出すための流路である。下り放熱基部流路132は、下り連結流路112と連通することで、EHD流体を下り連結流路112から導入して上述の放熱壁部13b〜13d内に流し出すための流路である。
【0039】
流路131、132の断面形状は、四角形である必要はないが、例えば四角形となっている。また、断面の形状が例えば四角形ならば、高さ(図2の上下方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mm、断面の四角形の幅(図3の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mm。つまり、流路131、132は、流路111、112と同じ太さである。
【0040】
次に、冷却壁部12b〜12eの各々の内部構造について説明する。以下では、冷却壁部12eを例に挙げて説明するが、他の冷却壁部12b〜12dについても、内部構造は冷却壁部12eと同じである。
【0041】
図4に、図2のIV−IV断面図(すなわち、冷却壁部12eの断面図)を示し、図5に、図4のV−V断面図を示す。これらの図に示すように、冷却壁部12eの内部には、上り冷却幹流路123、下り冷却幹流路124、および複数の冷却支流路125a〜125gが、上述の通り切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。
【0042】
上り冷却幹流路123は、冷却基部12aの上り冷却基部流路121と連通することで、EHD流体を上り冷却基部流路121から流入させるための流路である。下り冷却幹流路124は、冷却基部12aの下り冷却基部流路122と連通することで、EHD流体を下り冷却基部流路122に流出させるための流路である。
【0043】
また、冷却支流路125a〜125gは、等間隔かつ互いに平行に上り冷却幹流路123から下り冷却幹流路124まで伸びる流路であり、上り冷却幹流路123および下り冷却幹流路124に連通することでEHD流体を上り冷却幹流路123から導入して下り冷却幹流路124に流し出すようになっている。
【0044】
流路123、124の断面形状は、例えば四角形となっていてもよい。また、流路123、124のサイズとしては、断面が四角形ならば、高さ(図2の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mm、断面が四角形ならば、幅(図4の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mmする。つまり、流路123、124は、流路111、112と同じ太さである。
【0045】
冷却支流路125a〜125gのそれぞれも、断面形状は例えば四角形となっていてもよい。断面が四角形ならば、高さ(図2の左右方向の長さ)は流路123、124と同じく0.05〜10mmとする。
【0046】
また、冷却支流路125a〜125gの断面が四角形ならば、その幅(図4の上下方向の長さ)は流路123、124の幅の1/7より短い((0.05〜10)/7)mmとする。つまり、冷却支流路125a〜125gのそれぞれの幅は、流路123、124の幅を冷却支流路125a〜125gの本数で除算した長さよりも短くなる。
【0047】
このように、複数の冷却支流路125a〜125gの各断面積の総和は、上り冷却幹流路123の断面積よりも下り冷却幹流路124の断面積よりも上り冷却基部流路121の断面積よりも下り冷却基部流路122の断面積よりも上り連結流路111の断面積よりも下り連結流路112の断面積よりも小さくなっている。したがって、冷却支流路125a〜125g内におけるEHD流体の流速は、他の流路111、112、121、122、123、124内よりも速くなっている。このようにすることで、冷却部12内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させることにより冷却効率を高めている。
【0048】
このように、冷却部12の内部には、上り連結流路111および下り連結流路112に連通することでEHD流体を上り連結流路111から導入して下り連結流路112に流し出し、上り連結流路111や下り連結流路112よりも流路断面積が小さくかつEHD流体の流速の速い部分を有する冷却部内流路(すなわち、流路121、122、123、124、125a〜125gから構成される流路)が形成される。
【0049】
次に、放熱壁部13b〜13dの各々の内部構造について説明する。以下では、放熱壁部13bを例に挙げて説明するが、他の放熱壁部13c、13dについても、内部構造は放熱壁部13bと同じである。
【0050】
図6に、図2のVI−VI断面図(すなわち、放熱壁部13bの断面図)を示し、図7に、図6のVII−VII断面図を示す。これらの図に示すように、放熱壁部13bの内部には、上り放熱幹流路133、下り放熱幹流路134、および複数の放熱支流路135a〜135gが、上述の通り切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。
【0051】
上り放熱幹流路133は、放熱基部13aの上り放熱基部流路131と連通することで、EHD流体を上り放熱基部流路131に流出させるための流路である。下り放熱幹流路134は、放熱基部13aの下り放熱基部流路132と連通することで、EHD流体を下り放熱基部流路132から流入させるための流路である。
【0052】
また放熱支流路135a〜135gは、等間隔かつ互いに平行に上り放熱幹流路133から下り放熱幹流路134まで伸びる流路であり、上り放熱幹流路133および下り放熱幹流路134に連通することでEHD流体を下り放熱幹流路134から導入して上り放熱幹流路133に流し出すようになっている。
【0053】
流路133、134の断面形状は、四角形となっていてもよい。また、流路133、134のサイズとしては、断面が四角形ならば、その高さ(図2の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mm、断面が四角形ならば、その幅(図6の左右方向の長さ)は流路111、112と同じく0.05〜10mmとする。つまり、流路133、134は、流路111、112と同じ太さである。
【0054】
放熱支流路135a〜135gのそれぞれも、断面形状は四角形となっていてもよい。また、放熱支流路135a〜135gのサイズとしては、断面が四角形ならば、その高さ(図2の左右方向の長さ)は流路133、134と同じく0.05〜10mmとする。
【0055】
また、放熱支流路135a〜135gの断面が四角形ならば、その幅(図6の上下方向の長さ)は流路133、134の幅の1/7より短い((0.05〜10)/7)mmとする。つまり、放熱支流路135a〜135gのそれぞれの幅は、流路133、134の幅を放熱支流路135a〜135gの本数で除算した長さよりも短くなる。
【0056】
このように、複数の放熱支流路135a〜135gの各断面積の総和は、上り放熱幹流路133の断面積よりも下り放熱幹流路134の断面積よりも上り放熱基部流路131の断面積よりも下り放熱基部流路132の断面積よりも上り連結流路111の断面積よりも下り連結流路112の断面積よりも小さくなっている。したがって、放熱支流路135a〜135g内におけるEHD流体の流速は、他の流路111、112、131、132、133、134内よりも速くなっている。このようにすることで、放熱部13内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する放熱部間の熱伝達率を向上させることで放熱効率を高めている。
【0057】
このように、放熱部13の内部には、上り連結流路111および下り連結流路112に連通することでEHD流体を下り連結流路112から導入して上り連結流路111に流し出し、上り連結流路111よりも下り連結流路112よりも流路断面積が小さくすることで、EHD流体の流速の速い部分を有する放熱部内流路(すなわち、流路131、132、133、134、135a〜135gから構成される流路)が形成される。
【0058】
このように、上り連結流路111、上り冷却基部流路121、上り冷却幹流路123、冷却支流路125a〜125g、下り冷却幹流路124、下り冷却基部流路122、下り連結流路112、下り放熱基部流路132、下り放熱幹流路134、放熱支流路135a〜135g、上り放熱幹流路133、および上り放熱基部流路131から成る流路が形成され、これらの流路にEHD流体が充填され、この順にEHD流体が流れる。
【0059】
そして、このようEHD流体の流れを実現するため、図3、図4、図6に示すように、このような流路111、121、123、125a〜125g、124、122、112、132、134、135a〜135g、133、131の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を上記のように流動させるポンプ20が配置されている。これらポンプ20も、冷却装置1の構成要素である。図3、図4、図6中では、ポンプ20は流路中の黒点で示されており、それらのポンプ20のうち便宜的に一部にのみ符号20を付している。
【0060】
ここで、連結部11、冷却部12、放熱部13のそれぞれにおける、流路内の単位体積当たりのポンプ20の数について説明する。連結部11、冷却部12、放熱部13の設計の時点で、冷却部内流路121、122、123、124、125a〜125gの総体積X、上り連結流路111の体積Y1、下り連結流路112の体積Y2、放熱部内流路131、132、133、134、135a〜135gの総体積Zがわかる。
【0061】
そこで、冷却部内流路121、122、123、124、125a〜125g内に配置するポンプ20の個数A、上り連結流路111内に配置するポンプ20の個数B1、下り連結流路112内に配置するポンプ20の個数B2、放熱部内流路131、132、133、134、135a〜135g内に配置するポンプ20の個数Cを、以下の式が満たされるように設定する。
A/X>(B1+B2)/(Y1+Y2)
C/Z>(B1+B2)/(Y1+Y2)
つまり、冷却部内流路121、122、123、124、125a〜125g内における単位体積当たりのポンプ20の個数は、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数よりも多くする。そして、放熱部内流路131、132、133、134、135a〜135g内における単位体積当たりのポンプ20の個数は、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数よりも多くする。ただし、冷却部内流路121、122、123、124、125a〜125g内、放熱部内流路131、132、133、134、135a〜135g内における単位体積当たりのポンプ20の数としては、例えば、1個/1立方ミリメートル以上とし、上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数は、0個/1立方ミリメートル以上する。
【0062】
図3の例では、連結部11内においては、上り連結流路111中に1個、下り連結流路112中に1個の計2個、ポンプ20が配置されている。また、図3、図4の例では、冷却部12内においては、上り冷却基部流路121内に4個、下り冷却基部流路122内に4個、上り冷却幹流路123内に6個、下り冷却幹流路124内に6個、冷却支流路125a〜125g内に6×7=42個の計62個、ポンプ20が配置されている。また、図3、図6に示す例では、放熱部13内においては、上り放熱基部流路131内に4個、下り放熱基部流路132内に4個、上り放熱幹流路133内に6個、下り放熱幹流路134内に6個、放熱支流路135a〜135g内に6×7=42個の計62個、ポンプ20が配置されている。
【0063】
なお、以上のポンプ数は一例であって、必ずしもこのようなポンプ数である必要はなく、冷却部の流路内及び放熱器内の流路内に設置される単位体積あたりのポンプ数がそれぞれ連結部の流路内に設置される単位体積あたりのポンプ数よりも多ければよい。
【0064】
以下、各ポンプ20の構造について、図8〜図10を用いて説明する。図8は、図3、図4、または図6における1つのポンプ20の拡大図である。また、図9は図8のIX−IX断面図であり、図10は図8のX−X断面図である。
【0065】
これらの図に示す通り、複数のポンプ20のそれぞれは、1つの尖形電極21および1つのスリット電極22を有している。金属製の尖形電極21および金属製のスリット電極22は、互いに離れて流路の内壁に固定される。このとき、流路の内壁とポンプ20の間には、フェノール樹脂等の絶縁体(図示せず)を介在させることで、ポンプ20と連結部11、冷却部12、放熱部13とが導通しないようになっている。流路の内壁、絶縁体、ポンプ20間の固定は、例えば接着剤を用いて実現する。
【0066】
図8、図10に示す通り、尖形電極21はEHD流体の流れの上流側に配置され、スリット電極22は流れの下流側に配置されている。
【0067】
尖形電極21は、スリット電極22の切り欠きが形成されている部分に向かって先細る形状となっていることで、その先細った先端に電界が集中するようになっている。より具体的には、尖形電極21は、図8〜図10に示すように、線状の先端から4つの面(2つの平行な面と2つの斜交する面)が伸びるくさび形状になっている。また、他の例として、尖形電極21は、1点を先端としてそこから放射状に伸びる直線群から形づくられる錐体形状になっていてもよい。
【0068】
スリット電極22は、一部が切り欠かれたスリット形状になっている。また、他の例として、スリット電極22を、環状の電極としてもよい。スリット電極22が、スリット形状となっていることで、当該ポンプ20が配置されている位置の流路が更に狭められ、その部分におけるEHD流体の流速が更に大きくなる。
【0069】
なお、図示しないが、連結部11、冷却部12および放熱部13(以下、総称してケーシング11〜13という)中の各ポンプ20の近傍には、当該ケーシング11〜13の内部と外部を連通させる孔が2つ形成され、それらの孔には、フェノール樹脂等の絶縁体で周囲を覆われた導通用電極が密着して挿入され、それら導通用電極および導線7a、7bを介して電源7の電力が尖形電極21、スリット電極22に供給される。例として、尖形電極21が負極となり、スリット電極22が正極となる場合を図示する。(使用するEHDによっては電極の正極、負極を逆転しても問題がない)
例えば、尖形電極21が負極となり、スリット電極22が正極となって、EHD流体に電圧が印加されると、EHD効果によってEHD流体が尖形電極21からスリット電極22の方向に加速され、その結果、EHD流体が流路内で流動し、流路に沿って上り連結流路111、上り冷却基部流路121、上り冷却幹流路123、冷却支流路125a〜125g、下り冷却幹流路124、下り冷却基部流路122、下り連結流路112、下り放熱基部流路132、下り放熱幹流路134、放熱支流路135a〜135g、上り放熱幹流路133、上り放熱基部流路131、上り連結流路111という経路で循環する。
【0070】
以上説明した通り、冷却装置1において、冷却部内流路(すなわち、冷却部12内の流路121、122、123、124、125a〜125g)内では、上り連結流路111よりも下り連結流路112よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分(冷却支流路125a〜125g)を有することで、冷却部12内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させ、冷却効率を高めている。
【0071】
そのような状況において、複数のポンプ20のうち、冷却部内流路121、122、123、124、125a〜125g内における単位体積当たりのポンプ20の個数(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)を、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)よりも多くすることで、流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する部位間の熱伝達率を向上させることができる。その結果、発熱体2〜4の冷却効率を従来よりも高めることができる。
【0072】
また同様に、放熱部内流路(すなわち、放熱部13内の流路131、132、133、134、135a〜135g)内では、上り連結流路111よりも下り連結流路112よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分(放熱支流路135a〜135g)を有することで、冷却部12内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する放熱部間の熱伝達率を向上させ、放熱効率を高めている。
【0073】
そのような状況において、複数のポンプ20のうち、放熱部内流路131、132、133、134、135a〜135g内における単位体積当たりのポンプ20(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)の個数を、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)の個数よりも多くすることで、流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する部位間の熱伝達率を向上させる放熱部13における放熱効率を高め、ひいては、発熱体2〜4の冷却効率を従来よりも高めることができる。
【0074】
また複数のポンプ20のそれぞれにおいて、ポンプ20を構成するスリット電極22が、当該ポンプ20の位置の流路を更に狭めるようになっていることで、当該流路の流速を上げるとともに、その流速の上がっている位置でポンプ20がEHD流体に電圧印加して駆動しているので、より流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する部位間の熱伝達率を向上させる。ひいては、より高い発熱体2〜4の冷却効率を実現することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の冷却装置1が第1実施形態と異なるのは、冷却壁部12b〜12e内の管路の構成のみである。
【0075】
図11に、本実施形態の冷却壁部12e内の管路の構成を、図4と同様の形式(すなわち、図2のIV−IV断面図の形式)で示す。他の冷却壁部12b〜12d内の管路の構成も、この冷却壁部12eと同じである。
【0076】
この図11に示すように、本実施形態の冷却壁部12eの内部には、一本の蛇行した冷却壁部内管路126が、切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。
【0077】
この冷却壁部内管路126は、一端で上り冷却基部流路121に連通し、冷却壁部12e内を蛇行するように延び、他端で下り冷却基部流路122に連通している。このようになっていることで、冷却壁部内管路126は、上り冷却基部流路121から下り冷却基部流路122にEHD流体を流すことができる。
【0078】
冷却壁部内管路126の断面形状は、例えば四角形となっていてもよい。また、冷却壁部内管路126のサイズとしては、例えば、断面が四角形ならば、その高さ(図2の左右方向の長さ)は流路121、122と同じく0.05〜10mmとする。
【0079】
また、冷却支流路125a〜125gの断面が四角形ならば、その幅(図11面内かつEHD流体の流れに垂直な方向)は、流路121、122の幅より短い幅(例えば1mm)とする。
【0080】
このように、複数の冷却壁部内管路126の断面積(太さ)は、上り冷却基部流路121の断面積よりも下り冷却基部流路122の断面積よりも上り連結流路111の断面積よりも下り連結流路112の断面積よりも小さくなっている。したがって、冷却壁部内管路126内におけるEHD流体の流速は、他の流路111、112、121、122内よりも速くなっている。このようにすることで、冷却部12内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させ、冷却効率を高めている。
【0081】
このように、冷却部12の内部には、上り連結流路111および下り連結流路112に連通することでEHD流体を上り連結流路111から導入して下り連結流路112に流し出し、上り連結流路111よりも下り連結流路112よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分を有する冷却部内流路(すなわち、流路121、122、126から構成される流路)が形成される。
【0082】
そして、図11に示すように、このような冷却壁部内管路126の内部の複数位置(冷却壁部内管路126中の黒点の位置)のそれぞれにも、第1実施形態と同じポンプ20が第1実施形態と同様の取り付け方法で配置されており、これらのポンプ20に電圧が印加されることで、冷却壁部内管路126において上り連結流路111側から下り連結流路112側にEHD流体が流動する。
【0083】
ここでも、冷却部12の設計の時点で、冷却部内流路121、122、126の総体積X’がわかる。そこで、冷却部内流路121、122、126内に配置するポンプ20の個数A’、上り連結流路111内に配置するポンプ20の個数B1、下り連結流路112内に配置するポンプ20の個数B2を、以下の式が満たされるように設定する。
A’/X>(B1+B2)/(Y1+Y2)
つまり、冷却部内流路121、122、126内における単位体積当たりのポンプ20の個数は、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数よりも多くする。ただし、冷却部内流路121、122、126内における単位体積当たりのポンプ20の数としては、例えば、1個/1立方ミリメートル以上とし、上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数は、0個/1立方ミリメートル以上する。
【0084】
図3、図11の例では、冷却部12内においては、上り冷却基部流路121内に4個、下り冷却基部流路122内に4個、冷却壁部内管路126に24個の計32個、ポンプ20が配置されていることになる。
【0085】
このように、第1実施形態と同様に、冷却装置1において、冷却部内流路(すなわち、冷却部12内の流路121、122、126)内では、上り連結流路111よりも下り連結流路112よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分(冷却壁部内管路126)を有することで、冷却部12内のEHD流体の流速を上げ、EHD流体とそのEHD流体が接する冷却部間の熱伝達率を向上させ、冷却効率を高めている。
【0086】
そのような状況において、複数のポンプ20のうち、冷却部内流路121、122、126内における単位体積当たりのポンプ20の個数(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)を、連結部11の上り連結流路111内および下り連結流路112内における単位体積当たりのポンプ20の個数(または、EHD流体の流れに沿った単位長さ当たりのポンプ20の個数)よりも多くすることで、流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する部位間の熱伝達率を向上させることができる。その結果、発熱体2〜4の冷却効率を従来よりも高めることができる。
【0087】
また同様に、複数のポンプ20のそれぞれにおいて、ポンプ20を構成するスリット電極22が、当該ポンプ20の位置の流路を更に狭めるようになっていることで、当該流路の流速を上げるとともに、その流速の上がっている位置でポンプ20がEHD流体に電圧印加して駆動しているので、より流速を増加させて、EHD流体とそのEHD流体が接する部位間の熱伝達率を向上させる。ひいては、より高い発熱体2〜4の冷却効率を実現することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の冷却装置1が第1実施形態と異なるのは、冷却壁部12b〜12e内の管路の構成のみである。
【0088】
図12に、本実施形態の冷却壁部12e内の管路の構成を、図4と同様の形式(すなわち、図2のIV−IV断面図の形式)で示し、図13に、図12のXIII−XIII断面図を示し、図14に、図12の二点鎖線40で囲んだ部分の拡大図を示す。他の冷却壁部12b〜12d内の管路の構成も、この冷却壁部12eと同じである。
【0089】
これらの図に示すように、本実施形態の複数の冷却壁部12eの内部には、タンク流入管路127、タンク流出管路128、およびタンク129が、切削加工、ウエットエッチング加工、メッキ加工等によって形成されている。
【0090】
タンク流入管路127は、冷却基部12aの上り冷却基部流路121と連通することで、EHD流体を上り冷却基部流路121から流入させるための流路である。また、タンク流出管路128は、冷却基部12aの下り冷却基部流路122と連通することで、EHD流体を下り冷却基部流路122に流出させるための流路である。
【0091】
流路127、128の断面形状は、四角形となっているてもうよい。また、流路127、128のサイズとしては、例えば、断面が四角形ならば、その高さ(図2の左右方向の長さ)は流路121、122と同じく0.05〜10mm、断面が四角形ならば、その幅(図6の左右方向の長さ)は流路121、122と同じく0.05〜10mmとする。つまり、流路127、128は、流路121、122と同じ太さである。
【0092】
また、タンク129は、一部が円盤形状に形成され、タンク流入流路127およびタンク流出流路128に連通し、それにより、EHD流体をタンク流入流路127から導入して下りタンク流出流路128に流し出すようになっている。
【0093】
このタンク129は、タンク流入管路127およびタンク流出管路128に比べても体積が遙かに大きく、冷却壁部12eの大部分を占めるほどであり、更に、一部は冷却基部12a内にまで伸びている。このようになっていることで、タンク129内には、大量のEHD流体を一時的に貯留することができる。例えば、タンク129のサイズとしては、厚み(図2の左右方向の長さ)は流路127、128と同じく0.05〜10mm、容積が冷却壁部12eの外形の体積の30%以上とする。
【0094】
このように、冷却部12の内部には、上り連結流路111および下り連結流路112に連通することでEHD流体を上り連結流路111から導入して下り連結流路112に流し出す冷却部内流路121、122、127、128と、冷却部内流路121、122、127、128と連通し、EHD流体を一時的に貯留する円盤状のタンク129とが形成されている。
【0095】
また、タンク129内の複数箇所(冷却壁部内管路126中の黒点の位置)には、第1実施形態と同じポンプ20が、第1実施形態同様の取り付け方法で配置されている。これらのポンプ20に電圧が印加されることで、冷却壁部内管路126においてEHD流体が流動する。
【0096】
具体的には、図12、図14に示すように、ポンプ20がタンク129の周縁部の4箇所に等間隔に配置され、図12中で時計回り方向にEHD流体が駆動されるような配置で、ポンプ20の尖形電極21およびスリット電極22が配置されている。
【0097】
このようにポンプ20が配置されることで、タンク129内のポンプ20によって電圧が印加されたEHD流体は、タンク129内を矢印のように時計回りに循環すると共に、一部がタンク流出管路128から下り冷却基部流路122に流出し、その分、上り冷却基部流路121、タンク流入管路127を介してEHD流体が流入する。
【0098】
この循環により、冷却部12、連結部11、放熱部13を循環するEHD流体の主流(タンク流出管路128、下り冷却基部流路122、下り連結流路112、下り放熱基部流路132、下り放熱幹流路134、放熱支流路135a〜135g、上り放熱幹流路133、上り放熱基部流路131、上り連結流路111、上り冷却基部流路121、タンク流入管路127の流れ)とは別に、タンク129内のEHD流体の流速を高くすることができる。
【0099】
また、さらにタンク129内には、EHD流体と冷却部12との接触面積を多くするための複数枚の板状の放熱フィン30、31が、EHD流体の流れに沿って冷却部12と一体に形成されている。この放熱フィン30、31により、発熱体2〜4の冷却効果が更に高まる。
【0100】
以上のように、冷却部12内において、EHD流体を一時的に貯留するタンク129を形成し、その冷却部12内でEHD流体が循環するようポンプ20を配置することで、冷却部12、連結部11、放熱部13を循環するEHD流体の流れ(主流)とは別の流れを冷却部12内に発生させることができ、それにより、冷却部12内のEHD流体の流速を主流とは独立に上げることができ、ひいては、従来よりも効率の高い発熱体2〜4の冷却を実現することができる。
【0101】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0102】
例えば、上記各実施形態において、放熱壁部13b〜13d内の流路の構造は、図4、図5に示した通りだが、放熱壁部13b〜13dの構造を、図11と同様なものにしてもよい。具体的には、図11において、冷却壁部12eを放熱壁部13b〜13dのそれぞれに置き換え、冷却基部12aを放熱基部13aに置き換え、上り冷却基部流路121を下り放熱基部流路132に置き換え、下り冷却基部流路122を上り放熱基部流路131に置き換えればよい。
【0103】
また、放熱壁部13b〜13dの構造を、図12〜図14と同様なものにしてもよい。具体的には、図12において、冷却壁部12eを放熱壁部13b〜13dのそれぞれに置き換え、冷却基部12aを放熱基部13aに置き換え、上り冷却基部流路121を下り放熱基部流路132に置き換え、下り冷却基部流路122を上り放熱基部流路131に置き換えればよい。
【0104】
また、各ポンプ20の尖形電極21、スリット電極22は、上記実施形態のような形状でなく、流路の内壁に(絶縁体を介して)貼り付けられた平面導体パターンであってもよい。
【0105】
また、冷却装置1による冷却対象であるスイッチング素子を備えたインバータは、ハイブリッド車両に限らず、列車(新幹線、電車等)、エレベータ等のモータの駆動用として用いられてもよい。
【0106】
また、冷却装置1の冷却対象は、スイッチング素子に限らず、周囲の環境温度よりも高温で発熱する発熱体ならどのようなものでもよく、例えば、CPUでもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 冷却装置
2〜4 発熱体
11 連結部
12 冷却部
12a 冷却基部
12b〜12e 冷却壁部
13 放熱部
13a 放熱基部
13b〜13d 放熱壁部
20 ポンプ
21 尖形電極
22 スリット電極
30、31 放熱フィン
111、112 連結流路
121、122 冷却基部流路
123、124 冷却幹流路
125a〜125g 冷却支流路
126 冷却壁部内管路
127 タンク流入管路
128 タンク流出管路
129 タンク
131、132 放熱基部流路
133、134 放熱幹流路
135a〜135g 放熱支流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、
前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、
当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、
前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、
前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、
前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流し、前記上り連結流路(111)よりも前記下り連結流路(112)よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分を有する冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)が形成され、
前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、
前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、
それら複数のポンプ(20)のうち、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数は、前記連結部(11)の前記上り連結流路(111)内および前記下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多いことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、
前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、
当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、
前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、
前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、
前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)が形成され、
前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流し、前記上り連結流路(111)よりも前記下り連結流路(112)よりも細くかつEHD流体の流速の速い部分を有する放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、
前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、
それら複数のポンプ(20)のうち、前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数は、前記連結部(11)の前記上り連結流路(111)内および前記下り連結流路(112)内における単位体積当たりのポンプ(20)の個数よりも多いことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記複数のポンプ(20)のそれぞれは、尖形電極(21)およびスリット電極(22)を有し、前記尖形電極(21)は、前記スリット電極(22)に向かって先細る形状となっており、前記スリット電極(22)は、スリット形状となっていることで、当該ポンプ(20)の位置の流路を更に狭めるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、
前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、
当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、
前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、
前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、
前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、127、128)と、前記冷却部内流路(121、122、127、128)と連通し、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)とが形成され、
前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)が形成され、
前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、127、128)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、133、134、135a〜135g)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、
また、前記タンク(129)内にも、複数のポンプ(20)が配置され、前記タンク(129)内の前記複数のポンプ(20)は、前記タンク(129)内でEHD流体を循環させるように配置されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)効果によって流動するEHD流体を用いて発熱体(2〜4)を冷却するための冷却装置であって、
前記発熱体(2〜4)に対面し、前記発熱体(2〜4)が発生した熱を熱伝導により受ける冷却部(12)と、
当該冷却装置の外部に熱を放出する放熱部(13)と、
前記冷却部(12)および前記放熱部(13)に連結され、前記冷却部(12)から前記放熱部(13)に熱を輸送するための連結部(11)と、を備え、
前記連結部(11)の内部には、EHD流体を前記放熱部(13)内から前記冷却部(12)内に流すための上り連結流路(111)と、EHD流体を前記冷却部(12)内から前記放熱部(13)内に流すための下り連結流路(112)と、が形成され、
前記冷却部(12)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記上り連結流路(111)から前記下り連結流路(112)に流すための冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)とが形成され、
前記放熱部(13)の内部には、前記上り連結流路(111)および前記下り連結流路(112)に連通することでEHD流体を前記下り連結流路(112)から前記上り連結流路(111)に流すための放熱部内流路(131、132、127、128)と、前記放熱部内流路(131、132、127、128)と連通し、EHD流体を一時的に貯留するタンク(129)とが形成され、
前記上り連結流路(111)、前記冷却部内流路(121、122、123、124、125a〜125g、126)、前記下り連結流路(112)および前記放熱部内流路(131、132、127、128)から成る流路の内部の複数位置のそれぞれには、EHD流体に電圧を印加することでEHD流体を流動させるポンプ(20)が配置され、
また、前記タンク(129)内にも、複数のポンプ(20)が配置され、前記タンク(129)内の前記複数のポンプ(20)は、前記タンク(129)内でEHD流体を循環させるように配置されていることを特徴とする冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−57872(P2012−57872A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202185(P2010−202185)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】