説明

FEDセンサおよびその製造方法

【課題】アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことにより真空セルの気密封止を製造歩留りよく実現する。
【解決手段】カソード基板10と、カソード基板10上に配置された電子放出源部14と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に配置された外部支持体20と、カソード基板10に対向して配置され、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12と、アノード基板12上に、電子放出源部14に対向して配置される光電変換膜22と、アノード基板12の外周部に配置される第1ハンダ42と、外部支持体20上に配置される第2ハンダ40と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に配置される第3ハンダ36とを備え、第3ハンダ36を介して第1ハンダ42と第2ハンダ40間にハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持するFEDセンサおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FEDセンサおよびその製造方法に関し、特に、ハンダ付けにより真空セルの真空気密を製造歩留りよく実現するFEDセンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィールドエミッションディスプレイ装置において、真空外囲器(真空セル)を作成する場合、下記の2つの方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
第1の方法は、ガラスフリットによる封着方法であり、対向する2枚の基板間の外周部にガラスフリットを塗布し、高温加熱することにより、ガラスフリットを融解させ、冷却し封着する方法である。耐熱性が高い材料に用いられる。
【0004】
第2の方法は、インジウム(In)による封着方法であり、対向する2枚の基板間の外周部にInを塗布し、高加圧することにより、Inを封着する方法である。耐熱性が低い材料に用いられる。
【0005】
従来のフィールドエミッションデバイス(FED:Field Emission Device)をセンサに適用するFEDセンサにおいて、ガラスフリット封着によるFEDセンサは、例えば、カソード基板の外周部にガラスフリットをスクリーン印刷などで形成し、アノード基板とカソード基板を対向させて配置し、高温加熱することにより、ガラスフリットを融解させ、冷却しアノード基板とカソード基板間を真空封着することによって形成される。
【0006】
ガラスフリットによる封止においては、真空セル全体に高温がかかるため、アノード基板上に配置される光電変換膜が熱により破壊される可能性がある。
【0007】
従来のFEDセンサにおいて、低融点金属封着によるFEDセンサは、例えば、カソード基板の外周部に低融点金属層を塗布などで形成し、アノード基板とカソード基板を対向させて配置し、高加圧することにより、アノード基板とカソード基板間に低融点金属層を真空封着することによって形成される。
【0008】
従来の低融点金属封着によるFEDセンサの製造方法を、図12を参照して説明する。
【0009】
(a)まず、図12に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する。
【0010】
(b)次に、カソード基板10の外周部において電子放出源部14を取り囲むように外部支持体20を形成する。
【0011】
(c)次に、外部支持体20の上面に低融点金属層30を形成する。
【0012】
(d)次に、低融点金属層30の削り出しによって、低融点金属層30の表面に清浄面を形成する。
【0013】
(e)次に、図12に示すように、光電変換膜22を表面に形成したアノード基板12をカソード基板10上に加圧する。
【0014】
真空セルを作製するには、低融点金属層を用いることがリークなどの点から非常に有効であるが、小型の真空セルの作製技術を大型の真空セルに応用すると、次のような問題点がある。
【0015】
加圧封着の場合は、例えば、固体Inなどの低融点金属層30の表面の酸化膜を取る表面処理のために低融点金属層30の削り出しによって清浄面を均一に出すことは、非常に困難である。また、大きな圧力が必要となり、ガラス割れの可能性が増大する。
【0016】
溶解封着を行う場合は、従来のように外部支持体20をカソード基板10上にのみ付けた状態では、アラインメントに時間を要するため、低耐熱性の光電変換膜22を使用することができない。また、ただ溶解しただけでは封着せず、加圧し低融点金属層30を引き延ばし、広げる必要がある。しかしながら、低融点金属層30を均一に引き延ばし、広げることが難しい。
【0017】
例えば、低融点金属層30の横への漏れで、アノード基板12上に配置された光電変換膜22に低融点金属層30が接触してしまうこともある。また、加圧時に横方向へのずれが発生する可能性がある。
【0018】
液体Inやハンダを使用する場合には、ハンダ密着層などが必要であり、このハンダ密着層がないと外部支持体20をアノード基板12およびカソード基板10に付着することが難しい。また、加熱、加圧のみでは、液体Inやハンダを均一に、外部支持体20とアノード基板12およびカソード基板10に付着することが難しい。
【0019】
さらに、有機系接着剤を使用して、外部支持体20をアノード基板12およびカソード基板10に付着する場合には、ガスの発生が多く、内部の真空度が悪くなり、また、アノード基板12下面と外部支持体20の上面の接着は難しい。
【特許文献1】特開平9−171768号公報(第1図および第3図、第8−11頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空セルの真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、カソード基板と、前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、前記カソード基板に対向して配置され、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、前記アノード基板の外周部に配置される第1ハンダと、前記アノード基板の側壁および前記外部支持体上に配置される第2ハンダと、前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に配置される第3ハンダとを備え、前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に前記第3ハンダを介してハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサが提供される。
【0022】
本発明の他の態様によれば、カソード基板と、前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、前記カソード基板に対向して配置され、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、前記アノード基板の外周部に配置される第1ハンダと、前記外部支持体上に配置される第2ハンダと、前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に配置される金属部材とを備え、前記第3ハンダを介して前記第1ハンダと前記第2ハンダ間にハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサが提供される。
【0023】
本発明の他の態様によれば、カソード基板と、前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、前記カソード基板に対向して配置され、端面がテーパ形状を有し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、前記アノード基板の外周部および前記外部支持体上に配置されるハンダとを備え、前記ハンダを介してハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサが提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、前記カソード基板に対向し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、前記アノード基板の外周部に第1ハンダをハンダ付けする工程と、前記アノード基板の側壁および前記外部支持体上に第2ハンダをハンダ付けする工程と、前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に第3ハンダをハンダ付けする工程とを有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサの製造方法が提供される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、前記カソード基板に対向し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、前記アノード基板の外周部に第1ハンダをハンダ付けする工程と、前記外部支持体上に第2ハンダをハンダ付けする工程と、前記第1ハンダと前記第2ハンダ間を金属部材を介して、ハンダ付けを行う工程とを有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサの製造方法が提供される。
【0026】
本発明の他の態様によれば、カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、前記カソード基板に対向し、端面がテーパ形状を有し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、前記アノード基板の外周部および前記外部支持体上にハンダ付けする工程とを有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持するFEDセンサの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0029】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0030】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造は、図1(a)〜(c)に示すように表される。図1(a)は、第1ハンダ42を形成した構造図、図1(b)は、さらに第2ハンダ40を形成した構造図、図1(c)は、さらに第3ハンダ36を形成した構造図を示す。第1の実施の形態に係るFEDセンサの形成方法は、(a)アノード基板12上部への気密封止のための第1ハンダ42の形成ステップ、(b)外部支持体20上部への気密封止のための第2ハンダ40の形成ステップ、(c)第1ハンダ42と第2ハンダ40の両者を接合するための第3ハンダ36の形成ステップからなる。アノード基板12と外部支持体20を封止する際、アノード基板12の外径を外部支持体20の外径より小さくし、アノード基板12上部エッジと外部支持体20上部エッジに気密を保つことのできるハンダ付けを行う。第1ハンダ42と第2ハンダ40の2箇所を接合することにより、アノード基板12とカソード基板10間の内部真空領域26の気密封止を行うことができる。
【0031】
本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造は、図1に示すように、カソード基板10と、カソード基板10上に配置された電子放出源部14と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に配置された外部支持体20と、カソード基板10に対向して配置され、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12と、アノード基板12上に、電子放出源部14に対向して配置される光電変換膜22と、アノード基板12の外周部に配置される第1ハンダ42と、アノード基板12の側壁に密着し、外部支持体20上に配置される第2ハンダ40と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に配置される第3ハンダ36とを備える。
【0032】
光電変換膜22にはアノード電極1(図示省略)が接続され、アノード電極1には、アノード引き出し電極3が接続されている。
【0033】
第1ハンダ42と第2ハンダ40間に第3ハンダ36を介してハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持することができる。
【0034】
外部支持体20は、カソード基板10上の外周部に配置されたガラスフリット32を介して配置されていてもよい。
【0035】
第1ハンダ42、第2ハンダ40、および第3ハンダ36としては、例えば、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを適用することによって、ガラス上に直接ハンダ付けをすることができ、ハンダ密着層を省くことができる。この場合、ハンダ付けの温度は、例えば、約160℃〜170℃程度であり、約155℃が望ましい。ハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いると有効である。
【0036】
アノード基板12と外部支持体20間にハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持する。結果として、カソード基板10とアノード基板12間には内部真空領域26が形成された真空セルが形成されている。内部真空領域26の真空度は、例えば、約1×10-4Torr程度である。
【0037】
第1の実施の形態に係るFEDセンサは、アノード基板12側から照射された光(hν)によって光電変換膜22中において発生される電子―正孔対の内、過剰正孔を電子放出源部14から注入される電子によって再結合電流として検出する動作を行っている。
【0038】
外部支持体20は、基本的には、カソード基板10と同じ材料であり、ガラス基板の場合には、ガラスを適用している。なおステンレス、Cu−Ni合金などによっても形成可能である。
【0039】
電子放出源部14は、例えば、カーボンナノファイバ(CNF:Carbon Nano Fiber)、グラファイトナノファイバ(GNF:Graphite Nano Fiber)のいずれかを備えていてもよい。具体的には、後述する図3に示すように、電子放出源部14は、複数のストライプ状に形成されたカソード電極5と、複数のストライプ状に形成されたゲート電極6の交差部に形成された複数の開口部(ホール11)内に配置されたCNF電子源或いはGNF電子源によって形成される。その他の電子放出源部14の構成としては、スピント(Spint)型電子源、BSD(Ballistic electron Surface-emitting Device)型電子源、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)型電子源、SCE(Surface Conduction Emitter)型電子源、MIM(Metal Insulator Metal)型電子源を適用することができる。
【0040】
また、光電変換膜22としては、例えば、a−Se,a−Si,CdTe,CdZnTe,CdSe,HgI2,PbI2,PbO,TlBr,カルコゲナイド、カルコパイライトのいずれかを適用することができる。
【0041】
光電変換膜22としては、例えば、カルコパイライト構造をもつ化合物半導体薄膜として、CIGS薄膜(Cu(InX,Ga1-X)Se2(0≦X≦1))を用いることもできる。また、CIGS薄膜としては、Cu(InX,Ga1-X)(SeY, S1-Y) (0≦X≦1,0≦Y≦1)という組成のものも知られており、このような組成をもつCIGS薄膜も利用可能である。
【0042】
カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜としては、この他、CuAlS2,CuAlSe2,CuAlTe2,CuGaS2,CuGaSe2, CuGaTe2, CuInS2, CuInSe2, CuInTe2, AgAlS2, AgAlSe2, AgAlTe2, AgGaS2, AgGaSe2, AgGaTe2, AgInS2, AgInSe2, AgInTe2なども適用可能である。
【0043】
カソード基板10およびアノード基板12は、例えば、ガラス基板によって構成される。他に、石英、シリコン(Si)ウェハなどを適用することもできる。また、アノード基板12は、FEDセンサによって検出する光・電磁波の波長を十分透過可能な材質の材料基板によって形成される。
【0044】
なお、図1においては図示を省略しているが、電子放出源部14と光電変換膜22の間には、電子放出源部14から放出される電子を制御するメッシュグリッドと、メッシュグリッドをカソード基板10およびアノード基板12間において支持するためのメッシュ支持体が配置されている。第1の実施の形態に係るFEDセンサにおいては、大型FEDセンサにおいて、真空セル内にメッシュグリッドとそのメッシュ支持体を設置し、メッシュ支持体をアノード基板12とカソード基板10に接触する高さとして、スペーサ兼メッシュ固定部材として使用することもできる。
【0045】
メッシュ支持体は、例えば、メッシュ上部支持体とメッシュ下部支持体から構成され、メッシュグリッドを周辺部において挟む構成を有する。メッシュ支持体は、例えば、ステンレス、Cu−Ni合金などによって形成可能である。通常、大型化されたFEDセンサにおいては、大気圧によって、アノード基板12およびカソード基板10は内側に撓む構造となり易い。ステンレス、Cu−Ni合金などによって形成されたメッシュ支持体は、大気圧によって、内側に撓む構造となり易いアノード基板12およびカソード基板10をフラットに保持する上で、有効な材料となる。
【0046】
第1の実施の形態に係るFEDセンサの動作原理は、図2を用いて説明することができる。図1においては図示を省略しているが、光電変換膜22にはアノード電極1が接続され、アノード電極1には、アノード引き出し電極3が接続されている。アノード引き出し電極3には、アノード端子A(+)が接続される。電子放出源部14のカソード電極(図示省略)には、カソード端子K(−)が接続される。メッシュグリッド16にはグリッド端子G(+)が接続される。カソード基板10とアノード基板12間において、メッシュ支持体によって囲まれる内部真空領域26と、メッシュ支持体と外部支持体20によって囲まれる領域とは、真空度は同程度であり、例えば、10-4Torr程度の値を有する真空度を有するように、メッシュ支持体の一部分において開口部を備えていてもよい。
【0047】
メッシュグリッド16は、電子放出源部14から光電変換膜22に向けて放出される電子電流を制御するためにメッシュ構造を備える。メッシュグリッド16は、例えば、Ni,Cu−Niなどで形成可能である。
【0048】
(GNF電子源もしくはCNT電子源)
図3は、第1の実施の形態に係るFEDセンサの電子放出源部14の詳細な模式的断面構造図であり、GNF電子源もしくはCNT電子源の例を示す。
【0049】
第1の実施の形態に係るFEDセンサの電子放出源部14は、図3に示すように、カソード基板10上に配置されたカソード電極5と、カソード電極5上に配置された絶縁膜7と、絶縁膜7上に配置されたゲート電極6と、絶縁膜7中にカソード電極5表面まで形成されたホール11の底面に形成された触媒微結晶核8と、触媒微結晶核8上に形成されたカーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)2とを備える。なお、CNT2の代わりに、前述の通り、GNFを形成することもできる。また、GNFの構造としては単層構造に限ることはなく、多層構造のものも適用可能である。また、CNT2の代わりに、カーボンナノファイバ(CNF:Carbon Nano Fiber)を形成することもできる。
【0050】
アノード電極1とカソード電極5間には、アノード電極1を正電位、カソード電極5を負電位とするアノード電源が印加され、アノード電極1とカソード電極5間には電子の加速電圧が与えられている。また、ゲート電極6とカソード電極5間には、ゲート電極6を正電位、カソード電極5を負電位とするゲート電源Vgが印加され、ゲート電極6とカソード電極5間には、CNT2からの電子の引出し電圧が与えられている。ゲート電極6とカソード電極5間に印加されたゲート電源VgによってCNT2から引き出された(出射された)電子は、アノード電極1とカソード電極5間の加速電圧によって、アノード電極1側の光電変換膜22に到達する。
【0051】
ここで、図2に示すように、アノード端子A(+)とカソード端子K(−)間に、数kV〜数10kVの高電圧が印加された状態で、アノード基板12を透過して光・電磁波(hν)が光電変換膜22に照射されると、光電変換膜22中において電子―正孔対が発生される。この電子―正孔対の内、過剰正孔を電子放出源部14から注入される電子によって再結合電流として検出することができる。この再結合電流は、アノード端子A(+)を通して外部において検出可能である。特に、アノード端子A(+)とカソード端子K(−)間に印加する数kV〜数10kVの高電圧によって、電子放出源部14から放出される電子は加速され、高速度で光電変換膜22中に注入されるため、光応答特性は極めて高速動作が可能となる。
【0052】
(製造方法)
第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法は、図4〜図6に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する工程と、電子放出源部14を取り囲み前記カソード基板10上の外周部に外部支持体20を形成する工程と、カソード基板10に対向し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する工程と、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する工程と、アノード基板12の外周部に第1ハンダ42をハンダ付けする工程と、外部支持体20上に第2ハンダ40をハンダ付けする工程と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に第3ハンダ36をハンダ付けする工程とを有する。結果として、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持することができる。
【0053】
以下、図4〜図6を参照して、第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法を詳細に説明する。
【0054】
(a)まず、図4に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する。電子放出源部14としては、例えばGNFを熱化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により形成する。具体的には、GNFの核となる触媒、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの触媒微結晶核を表面に配置したガラス、石英、シリコン(Si)ウェハなどのカソード基板10を準備し、このカソード基板10をサセプタ上に配置する。次いで、GNFの原料ガスを導入する。原料ガスとしては、例えば一酸化炭素/水素(CO/H2)混合ガスが採用可能であるが、他にも、二酸化炭素(CO2)ガス、メタン(CH4)ガスなどの炭素(C)を供給可能なガスが採用可能である。その後、加熱源によってサセプタが加熱される。温度は、例えば約500℃〜600℃の範囲であり、例えば約50℃/分で温度上昇させるように、例えば赤外線ランプによる加熱源の出力を急激に上げ、触媒微結晶核でのGNF析出を促す。上記条件によって、GNF成長が早くなるため、GNFは、直線状に成長し易くなる。
【0055】
(b)次に、カソード基板10の外周部上にガラスフリット32を形成する。ガラスフリット32は、例えばスクリーン印刷によって形成することができる。ガラスフリット32の焼成条件は、例えば大気中において約450℃程度、真空中における仮焼成温度は、約530℃程度である。
【0056】
(c)次に、ガラスフリット32上に外部支持体20を形成する。外部支持体20の配置後、ガラスフリット32の本焼成を真空中において、約520℃程度において行う。
【0057】
(d)次に、カソード基板10に対向し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する。
【0058】
(e)次に、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する。光電変換膜22としては、例えばa−Se,a−Si,CdTe,CdZnTe,CdSe,HgI2,PbI2,PbO,TlBr,カルコゲナイド、カルコパイライトなどを適用することができる。
【0059】
(f)次に、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を外部支持体20上に配置する。
【0060】
(g)次に、アノード基板12の外周部に第1ハンダ42をハンダ付けにより形成する。ハンダ付けは、ハンダゴテ44によって、第1ハンダ42をアノード基板12の外周部に形成することによって行う。第1ハンダ42としては、前述の通り、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを適用することによって、ガラス上に直接ハンダ付けをすることができ、この場合、ハンダ付けの温度は、例えば、約160℃〜170℃程度である。Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを用いる場合のハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いると有効である。
【0061】
(h)次に、図5に示すように、外部支持体20上に第2ハンダ40をハンダ付けにより形成する。ハンダ付けは、ハンダゴテ44によって、第2ハンダ40を外部支持体20上に形成することによって行う。第2ハンダ40としても、前述の通り、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを適用することによって、ガラス上に直接ハンダ付けをすることができ、ハンダ付けの温度は、例えば、約160℃〜170℃程度である。同様に、超音波ハンダゴテを用いると有効である。
【0062】
(i)次に、図6に示すように、第1ハンダ42と第2ハンダ40間にハンダ付けを行う。
【0063】
ハンダ付けは、ハンダゴテ44によって、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に第3ハンダ36を形成することによって行う。第3ハンダ36としても、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを適用することができ、ハンダ付けの温度は、例えば、約160℃〜170℃程度である。同様に、超音波ハンダゴテを用いると有効である。
【0064】
(j)次に、カソード基板10側から、真空引きを行い、チップ管封止を実施して、アノード基板12とカソード基板10間を真空封着する。結果として、カソード基板10とアノード基板12間には内部真空領域26が形成された真空セルが形成される。内部真空領域26の真空度は、例えば、約1×10-4Torr程度である。なお、内部真空領域26内には、ゲッター金属を配置してもよい。
【0065】
また、例えば、光電変換膜22として、耐熱性の低いa−Seを利用する場合には、光電変換膜22の温度を60℃以下とする必要があるため、光電変換膜22を形成したアノード基板12の裏面側に、光電変換膜22を冷却するペルチェ素子を形成して、光電変換膜22を冷却する工程を組み合わせてもよい。
【0066】
第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法によれば、アノード基板12と外部支持体20間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現することができる。
【0067】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るFEDセンサの構成は、図7に示すように、カソード基板10と、カソード基板10上に配置された電子放出源部14と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に配置された外部支持体20と、カソード基板10に対向して配置され、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12と、アノード基板12上に、電子放出源部14に対向して配置される光電変換膜22と、アノード基板12の外周部に配置される第1ハンダ42と、外部支持体20上に配置される第2ハンダ40と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に配置される金属部材41とを備える。
【0068】
図7においては図示を省略しているが、光電変換膜22にはアノード電極1が接続され、アノード電極1には、アノード引き出し電極3が接続されている。
【0069】
第1ハンダ42および第2ハンダ40と金属部材41間にハンダ36bおよびハンダ36aを介して、ハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持する。
【0070】
ハンダ36a,36b,40,42の材料としては、例えば、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金などを適用することができる。
【0071】
第1ハンダ42、および第2ハンダ40のハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることができる。
【0072】
外部支持体20は、カソード基板10上の外周部に配置されたガラスフリット32を介して配置される。
【0073】
第2の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法も第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法と同様である。
【0074】
第2の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法は、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する工程と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に外部支持体20を形成する工程と、カソード基板10に対向し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する工程と、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する工程と、アノード基板12の外周部に第1ハンダ42をハンダ付けする工程と、外部支持体20上に第2ハンダ40をハンダ付けする工程と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間を金属部材41を介して、ハンダ付けを行う工程とを有する。その結果、アノード基板とカソード基板間を真空に保持する。
【0075】
本発明の第2の実施の形態によれば、アノード基板と外部支持体間に金属部材を介してハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【0076】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るFEDセンサの構成は、図8に示すように、アノード基板12の端面がテーパ形状を有する点が異なるのみであり、その他の構成は、第1の実施の形態に係るFEDセンサと同様である。
【0077】
アノード基板12のエッジ部を斜めに切り落とし、アノード基板12の外径を外部支持体20より小さくした上で、アノード基板12上部と外部支持体20上部に気密を保つハンダ付けを行い、さらにその2箇所を繋ぐようにして、ハンダ付けを行う。
【0078】
第3の実施の形態に係るFEDセンサは、図8に示すように、カソード基板10と、カソード基板10上に配置された電子放出源部14と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に配置された外部支持体20と、カソード基板10に対向して配置され、端面がテーパ形状を有し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12と、アノード基板12上に、電子放出源部14に対向して配置される光電変換膜22と、アノード基板12の外周部および外部支持体20上に配置されるハンダ42および40とを備える。
【0079】
図8および図9においては図示を省略しているが、光電変換膜22にはアノード電極1が接続され、アノード電極1には、アノード引き出し電極3が接続されている。
【0080】
ハンダ42および40を介してハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持する。
【0081】
ハンダ42およびハンダ40間は、ハンダ36を介して、ハンダ付けを行う。
【0082】
ハンダ36,40および42の材料としては、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金のいずれかを適用することができる。
【0083】
ハンダ36,40および42のハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることができる。
【0084】
外部支持体20は、カソード基板10上の外周部に配置されたガラスフリット32を介して配置される。
【0085】
第3の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法も、ハンダ密着層25の形成工程が加わる点が異なるのみであり、第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法と同様である。
【0086】
第3の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法は、図8および図9に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する工程と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に外部支持体20を形成する工程と、カソード基板10に対向し、端面がテーパ形状を有し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する工程と、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する工程と、アノード基板12の外周部および外部支持体20上にハンダ付けする工程とを有する。
【0087】
ハンダ付けをする工程は、アノード基板12の外周部に第1ハンダ42をハンダ付けする工程と、外部支持体20上に第2ハンダ40をハンダ付けする工程と、第1ハンダ42と第2ハンダ40間に第3ハンダ36をハンダ付けする工程とを有する。
【0088】
結果として、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持することができる。
【0089】
本発明の第3の実施の形態によれば、アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【0090】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係るFEDセンサの構成は、図10に示すように、アノード基板12の端面がテーパ形状を有すると共に、アノード基板のテーパ形状を有する端面と外部支持体の上面には、ハンダ密着層を備える点が異なるのみであり、その他の構成は、第1の実施の形態に係るFEDセンサと同様である。
【0091】
ここで、ハンダ36,40および42として、例えば、BiSn、InSn、BiInSn,Inなどで形成される低融点金属を適用することもできる。ハンダ40として、このような低融点金属を適用する場合には、アノード基板12および外部支持体20の側壁部分にハンダ密着層33,34を形成する必要がある。BiSn、InSn、BiInSn,Inの融点は、例えば、それぞれ、約138℃、117℃、79℃、157℃程度である。
【0092】
ハンダ密着層33,34は、例えば、Cu、Sn、Ni、Ag、Au、Au/Niメッキのいずれかで形成することができる。
【0093】
第4の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法は、図10に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する工程と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に外部支持体20を形成する工程と、カソード基板10に対向し、端面がテーパ形状を有し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する工程と、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する工程と、アノード基板12の外周部および外部支持体20上にハンダ密着層33,34を形成する工程と、アノード基板12の外周部および外部支持体20上にハンダ付けする工程とを有する。
【0094】
ハンダ付けをする工程は、アノード基板12の外周部にハンダ36をハンダ付けする工程を有する。
【0095】
第4の実施の形態に係るFEDセンサおよびその製造方法によれば、ハンダ付けは、アノード基板12および外部支持体20に配置されたハンダ密着層33,34を介して行われるので、付着力が増し、製造歩留りよく真空気密を実現することができる。
【0096】
本発明の第4の実施の形態によれば、アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【0097】
なお、上記の第4の実施の形態に係るFEDセンサにおいては、アノード基板12の側面上および外部支持体20の側面上に配置されるハンダ密着層33,34の代わりに、これらの側面に、鏡面削り加工層を形成しても同様の密着性を得ることができる。
【0098】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係るFEDセンサの構成は、図11に示すように、アノード基板12の端面がテーパ形状を有すると共に、アノード基板のテーパ形状を有する端面と外部支持体の上面に、直接ハンダ36によって、ハンダ付けを行った構成を有する点が異なるのみで会って、その他の構成は、第1の実施の形態に係るFEDセンサと同様である。
【0099】
ハンダ36を介してハンダ付けを行うことにより、アノード基板12とカソード基板10間を真空に保持する。
【0100】
ハンダ36の材料としては、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金のいずれかを適用することができる。
【0101】
ハンダ36のハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることができる。
【0102】
外部支持体20は、カソード基板10上の外周部に配置されたガラスフリット32を介して配置される。
【0103】
第5の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法は、図11に示すように、カソード基板10上に電子放出源部14を形成する工程と、電子放出源部14を取り囲みカソード基板10上の外周部に外部支持体20を形成する工程と、カソード基板10に対向し、端面がテーパ形状を有し、外径が外部支持体20の外径よりも小さいアノード基板12を準備する工程と、アノード基板12上に電子放出源部14に対向して光電変換膜22を形成する工程と、アノード基板12のテーパ形状を有する端面および外部支持体20上にハンダ付けする工程とを有する。
【0104】
ハンダ付けをする工程は、アノード基板12のテーパ形状を有する端面および外部支持体20上に直接ハンダ付けする工程とを有する。
【0105】
本発明の第5の実施の形態によれば、アノード基板と外部支持体間にハンダ付けを行うことで、簡単に、広い面に均一にハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【0106】
本発明の第1〜第5の実施の形態によれば、アノード基板および外部支持体にハンダゴテをあてるだけなので、アノード基板上に配置される光電変換膜に高温はかからない。ガラスに圧力をかける必要がない。また、ハンダ封止ができるので、ガス放出による内部真空度の悪化は起こらない。
【0107】
本発明の第1〜第5の実施の形態によれば、アノード基板および外部支持体にハンダ付けを行うことで、簡単に、ハンダをつけることができ、温度上昇を防ぐことができ、製造歩留りよく真空気密を実現するFEDセンサおよびその製造方法を提供することができる。
【0108】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第5の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0109】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のFEDセンサは、真空管、フィールドエミッションディスプレイ(FED:Field Emission Display)、フィールドエミッションセンサ(FES::Field Emission Sensor)、2インチ以上の大型のセンサ、X線センサ、赤外線センサなどに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造であって、(a)第1ハンダ42を形成した構造図、(b)第2ハンダ40を形成した構造図、(c)第3ハンダ36を形成した構造図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの動作原理を説明するための模式的断面構造図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの電子放出源部の詳細な模式的断面構造図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法の一工程を説明する図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法の一工程を説明する図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法の一工程を説明する図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法の一工程を説明する図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るFEDセンサの製造方法の一工程を説明する図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るFEDセンサの模式的断面構造図。
【図12】従来の低融点金属封着によるFEDセンサの模式的断面構造図。
【符号の説明】
【0112】
1…アノード電極
2…カーボンナノチューブ(CNT)
3…アノード引き出し電極
5…カソード電極
6…ゲート電極
7…絶縁膜
8…触媒微結晶核
9…ゲート電源Vg
10…カソード基板
11…ホール
12…アノード基板
14…電子放出源部
16…メッシュグリッド
20…外部支持体
22…光電変換膜
26…内部真空領域
30…低融点金属層
32…ガラスフリット
33,34…ハンダ密着層
36,36a,36b,40,42…ハンダ
41…金属部材(ステンレス)
44…ハンダゴテ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード基板と、
前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、
前記カソード基板に対向して配置され、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、
前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、
前記アノード基板の外周部に配置される第1ハンダと、
前記アノード基板の側壁および前記外部支持体上に配置される第2ハンダと、
前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に配置される第3ハンダと
を備え、前記第3ハンダを介して前記第1ハンダと前記第2ハンダ間にハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサ。
【請求項2】
前記アノード基板の端面は、テーパ形状を有することを特徴とする請求項1に記載のFEDセンサ。
【請求項3】
前記外部支持体は、前記カソード基板上の外周部に配置されたガラスフリットを介して配置されたことを特徴とする請求項1に記載のFEDセンサ。
【請求項4】
前記ハンダは、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のFEDセンサ。
【請求項5】
前記第1ハンダ、前記第2ハンダ、および前記第3ハンダのハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることを特徴とする請求項1に記載のFEDセンサ。
【請求項6】
カソード基板と、
前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、
前記カソード基板に対向して配置され、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、
前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、
前記アノード基板の外周部に配置される第1ハンダと、
前記外部支持体上に配置される第2ハンダと、
前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に配置される金属部材と
を備え、前記第1ハンダおよび前記第2ハンダと前記金属部材間にハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサ。
【請求項7】
前記ハンダは、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載のFEDセンサ。
【請求項8】
前記第1ハンダ、および前記第2ハンダのハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることを特徴とする請求項6に記載のFEDセンサ。
【請求項9】
カソード基板と、
前記カソード基板上に配置された電子放出源部と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に配置された外部支持体と、
前記カソード基板に対向して配置され、端面がテーパ形状を有し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板と、
前記アノード基板上に、前記電子放出源部に対向して配置される光電変換膜と、
前記アノード基板の外周部および前記外部支持体上に配置されるハンダと
を備え、前記ハンダを介してハンダ付けを行うことにより、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサ。
【請求項10】
前記ハンダは、Pb−Sn−Zn−Sb合金、若しくはIn−Sn−Zn−Sb合金のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載のFEDセンサ。
【請求項11】
前記ハンダのハンダ付けは、超音波ハンダゴテを用いることを特徴とする請求項9に記載のFEDセンサ。
【請求項12】
前記アノード基板のテーパ形状を有する端面と前記外部支持体の上面には、ハンダ密着層を備えることを特徴とする請求項9に記載のFEDセンサ。
【請求項13】
前記ハンダ密着層は、Cu、Sn、Ni、Ag、Au、Au/Niメッキのいずれかで形成されることを特徴とする請求項12に記載のFEDセンサ。
【請求項14】
前記アノード基板側から照射された光によって前記光電変換膜中において発生される電子―正孔対の内、過剰正孔を前記電子放出源部から注入される電子によって再結合電流として検出することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のFEDセンサ。
【請求項15】
前記外部支持体は、ガラスであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のFEDセンサ。
【請求項16】
前記電子放出源部は、カーボンナノファイバ、グラファイトナノファイバ、スピント型、BSD型、SED型、MIM型のいずれかを備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のFEDセンサ。
【請求項17】
前記光電変換膜は、a−Se,a−Si,CdTe,CdZnTe,CdSe,HgI2,PbI2,PbO,TlBr,カルコゲナイド,カルコパイライトのいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のFEDセンサ。
【請求項18】
カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、
前記カソード基板に対向し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、
前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、
前記アノード基板の外周部に第1ハンダをハンダ付けする工程と、
前記アノード基板の側壁および前記外部支持体上に第2ハンダをハンダ付けする工程と、
前記第1ハンダと前記第2ハンダ間に第3ハンダをハンダ付けする工程と
を有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサの製造方法。
【請求項19】
カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、
前記カソード基板に対向し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、
前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、
前記アノード基板の外周部に第1ハンダをハンダ付けする工程と、
前記外部支持体上に第2ハンダをハンダ付けする工程と、
前記第1ハンダと前記第2ハンダ間を金属部材を介して、ハンダ付けを行う工程と
を有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサの製造方法。
【請求項20】
カソード基板上に電子放出源部を形成する工程と、
前記電子放出源部を取り囲み前記カソード基板上の外周部に外部支持体を形成する工程と、
前記カソード基板に対向し、端面がテーパ形状を有し、外径が前記外部支持体の外径よりも小さいアノード基板を準備する工程と、
前記アノード基板上に前記電子放出源部に対向して光電変換膜を形成する工程と、
前記アノード基板の外周部および前記外部支持体上にハンダ付けする工程と
を有し、前記アノード基板と前記カソード基板間を真空に保持することを特徴とするFEDセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−283371(P2009−283371A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135910(P2008−135910)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】