説明

FM−CWレーダ装置

【課題】ビット数の少ないAD変換器を用いて目標物を検出するFM−CWレーダ装置を得ること。
【解決手段】送信波と反射波との周波数差の信号であるビート信号の出力先を切り替えるアナログスイッチ12と、ビート信号に対して最も広い通過特性を持つバンドパスフィルタ13と、ビート信号に対して所望の周波数以下の帯域を減衰させる特性を持つバンドパスフィルタ14と、アナログスイッチ12がビート信号の出力先としたバンドパスフィルタを入力元とする接続の切り替えを行うアナログスイッチ15と、通過したバンドパスフィルタの特性に応じた利得でビート信号を増幅する利得制御増幅器16と、ビート信号を通過させるバンドパスフィルタを決定して各アナログスイッチへ通知し、さらに、当該バンドパスフィルタの特性に基づいて利得制御増幅器16の利得の大きさを決定する制御部17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビット数の少ないAD変換器を用いて目標物を検出するFM−CWレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衝突防止等を目的としたFM−CW(Frequency Modulation−Continuous Wave)レーダ装置の開発が進められている。FM−CWレーダ装置の原理および構成については、下記非特許文献1において開示されている。
【0003】
FM−CWレーダ装置は、直近の数mから200m程度までの広範囲をカバーする必要があり、反射電力が距離の4乗に反比例する性質をもつため、受信信号のダイナミックレンジを広く取る必要がある。そして、ダイナミックレンジの広い信号を正確に得るためには、ビット数が多く分解能が高いAD(Analog to Digital)変換器を用いる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.A.Hovanessian書 “Radar System Design & Analysis” (Artech House出版、P.78〜P.81)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術によれば、ビット数が多く分解能が高いAD変換器は、一般的に高価である。また、ビット数の多いAD変換器は、回路内の抵抗を高精度に作り込む必要があるため、マイコンや他の制御回路を1つにまとめたICのワンチップ化が難しく、コスト削減の障害となっている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビット数の少ないAD変換器を用いた場合であっても、精度よく目標物を検出可能なFM−CWレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、送信波と目標物から反射された反射波とを用いて目標物を検出するFM−CWレーダ装置であって、前記送信波と前記反射波との周波数差の信号であるビート信号の出力先を切り替える第1の切替手段と、前記第1の切替手段により切り替え可能な出力先として、前記ビート信号に対して最も広い通過特性を持つバンドパスフィルタと、前記ビート信号に対して所望の周波数以下の帯域を減衰させる特性を持つ1つまたは異なる特性を持つ複数のバンドパスフィルタと、を備え、出力先となったいずれか1つのバンドパスフィルタが前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタ群と、前記第1の切替手段が前記ビート信号の出力先としたバンドパスフィルタを入力元とする接続の切り替えを行い、当該バンドパスフィルタを通過して入力されたビート信号を出力する第2の切替手段と、前記第2の切替手段が出力するビート信号を、通過したバンドパスフィルタの特性に応じた利得で増幅する増幅手段と、増幅後のビート信号をアナログデジタル変換し、変換後のビート信号の周波数分布に基づいて目標物を検出する検出手段と、前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタを決定し、当該バンドパスフィルタを、前記第1の切替手段におけるビート信号の出力先および前記第2の切替手段におけるビート信号の入力元として各切替手段へ通知し、さらに、当該バンドパスフィルタの特性に基づいて前記増幅手段の利得の大きさを決定する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビット数の少ないAD変換器を用いた場合であっても、目標物の検出を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、従来のFM−CWレーダ装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、送信波形と受信波形の周波数の変化を示す図である。
【図3】図3は、ビート信号の周波数スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、近距離の目標物と遠距離の目標物が混在している場合の周波数スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、ビット数の少ないAD変換器を用いた場合の周波数スペクトルを示す図である。
【図6】図6は、本実施の形態のFM−CWレーダ装置の構成例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、BPF13の特性を示す図である。
【図7−2】図7−2は、BPF13を用いた場合のターゲットスペクトル特性を示す図である。
【図8−1】図8−1は、BPF14の特性を示す図である。
【図8−2】図8−2は、BPF14を用いた場合のターゲットスペクトル特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかるFM−CWレーダ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
まず、FM−CWレーダ装置の原理について、従来の構成に基づいて説明する。図1は、従来のFM−CWレーダ装置の構成例を示す図である。従来のFM−CWレーダ装置は、FM(Frequency Modulation)変調回路1と、発振器2と、方向性結合器3と、送信アンテナ4と、受信アンテナ5と、ミキサ6と、増幅器7と、DCカットフィルタ8と、AD変換器9と、周波数分析部10と、目標検出部11と、を備える。
【0012】
まず、FM変調回路1が、周波数変調(以下、FMとする。)信号を発生して発振器2へ送る。発振器2は、FM信号で変調された高周波信号を発生し、方向性結合器3を介して送信アンテナ4と、ミキサ6に送る。送信アンテナ4は、送られてきた高周波信号をレーダ装置前方の目標物に送信波として発射する。
【0013】
ここで、目標物が存在する場合、時間遅れを生じた受信波(反射波)が受信アンテナ5によって受信される。このとき、受信アンテナ5は、反射波をミキサ6へ送る。ミキサ6は、反射波と方向性結合器3によって分配された送信波の周波数差の信号(以下、ビート信号とする。)を発生して増幅器7へ送る。増幅器7は、ビート信号を増幅してDCカットフィルタ8に送る。DCカットフィルタ8は、DC成分を削除して、DC成分削除後のビート信号をAD変換器9に送る。
【0014】
AD変換器9は、ビート信号をアナログ信号形式からデジタル信号形式に変換して周波数分析部10へ送る。周波数分析部10は、デジタル化されたビート信号を取り込み、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等の処理により周波数分布(周波数スペクトル)を求める。目標検出部11は、周波数分布と閾値とを比較して、閾値を越えたものの中で極大となるものを目標物とし、さらにピックアップされた周波数により、目標物の相対距離及び相対速度を算出する。
【0015】
ここで、目標物の相対距離および相対速度の算出する方法について説明する。図2は、送信波形と受信波形の周波数の変化を示す図である。また、図3は、ビート信号の周波数スペクトルを示す図である。
【0016】
まず、FM−CWレーダ装置では、送信周波数を、upチャープ区間では直線的に上昇し、downチャープ区間では直線的に下降する変化をさせて電波を送信する。測定対象がFM−CWレーダ装置に対して相対速度V、相対距離Rで存在していた場合、光速C[m/s]、送信波長λ[m]として、FM−CWレーダ装置が時間Tmの区間でΔfだけ送信周波数を変化させたとすると、ドップラー周波数fdを式(1)、距離に比例した送信周波数と受信周波数の時間差により生じる距離周波数frを式(2)、upチャープ区間でのビート周波数fb1を式(3)、downチャープ区間でのビート周波数fb2を式(4)で表わすことができる。
【0017】
【数1】

【0018】
【数2】

【0019】
【数3】

【0020】
【数4】

【0021】
ここで、距離周波数frがドップラー周波数fdよりも大きい場合、式(5)が成立する。
【0022】
【数5】

【0023】
式(5)に式(2)を代入することにより、FM−CWレーダ装置から目標物までの相対距離Rを表す式(6)を求めることができる。
【0024】
【数6】

【0025】
式(6)より、upチャープ区間でのビート周波数fb1とdownチャープ区間でのビート周波数fb2を用いて、目標物までの距離が求めることができる。また、距離周波数frを算出することにより、式(1)、式(3)および式(4)を用いて相対速度Vを求めることができる。
【0026】
このとき、ドップラー周波数fd<<距離周波数frが成り立つ場合、距離が遠いほどビート周波数が高く出る。一方、受信電力Prは、式(7)に示されるように距離の4乗に反比例して減衰する。
【0027】
【数7】

【0028】
式(7)において、Ptは送信電力を、Gtは送信アンテナ利得を、Grは受信アンテナ利得を、σは前方車両等の目標物の散乱断面積を、それぞれ示すものである。
【0029】
ここで、目標物の距離とAD変換器9のビット数の関係について説明する。図4は、近距離の目標物と遠距離の目標物が混在している場合の周波数スペクトルを示す図である。図5は、近距離の目標物と遠距離の目標物が混在している状況でビット数の少ないAD変換器を用いて観測した場合の周波数スペクトルを示す図である。
【0030】
一般に、FM−CWレーダ装置において、カバーする範囲内で目標物が1つしかない状況は稀であり、通常は複数の目標物が存在するため、例えば、図4、図5に示すように近距離と遠距離の目標物の周波数ピークが発生する。距離の差が開くほどピークレベルの差が大きくなり、加えて遠距離の目標物の散乱断面積が小さいとさらに差が大きくなる。
【0031】
そのため、受信信号を取り込むAD変換器9には、広いダイナミックレンジが要求される。AD変換器9では、ビット数が多くなるほどダイナミックレンジも広くなるが、同時に、変換速度が速く、リニアリティが良いほど高価となる。一方、FM−CWレーダ装置では、コストを抑えるためにビット数が少ないAD変換器9を使用した場合、図5に示すようにダイナミックレンジが狭くなり、遠距離の目標物を示す信号がノイズレベルに埋もれてしまい検出できない、という問題が発生する。例えば、AD変換器9のbit数を12bitにした場合と8bitにした場合とで比較すると、ダイナミックレンジに約24dBの開きがあり、8bitのAD変換器9で微小信号を検出しようとすると、AD変換器9自体のノイズが障害となり、微小信号である目標物を示す信号が埋もれてしまう。
【0032】
そこで、本実施の形態では、異なるフィルタ特性を持つ複数のバンドパスフィルタ(以下、BPFとする。)を用いてFM−CWレーダ装置を構成する。図6は、本実施の形態のFM−CWレーダ装置の構成例を示す図である。本実施の形態のFM−CWレーダ装置は、FM変調回路1と、発振器2と、方向性結合器3と、送信アンテナ4と、受信アンテナ5と、ミキサ6と、増幅器7と、アナログスイッチ12と、BPF13と、BPF14と、アナログスイッチ15と、利得制御増幅器16と、制御部17と、AD変換器9と、周波数分析部10と、目標検出部11と、を備える。
【0033】
アナログスイッチ12は、制御部17の制御に基づいて、ビート信号の出力先となるBPFを切り替える。BPF13は、低域から高域まで広い通過特性を持つバンドパスフィルタである。BPF14は、低域を減衰させる特性を持つバンドパスフィルタである。アナログスイッチ15は、制御部17の制御に基づいて、いずれかのBPFからフィルタ通過後のビート信号を入力し、利得制御増幅器16へ出力する。利得制御増幅器16は、利得を増減することができ、制御部17の制御に基づいて、入力したビート信号に対して利得を変更して増幅する。制御部17は、ビート信号が通過するBPFを決定し、アナログスイッチ12、アナログスイッチ15、および利得制御増幅器16の各動作を制御する。その他の構成は図1に示す従来の構成と同様であるので説明を省略する。なお、AD変換器9は、従来のビット数より少ないビット数(例えば、8bitのAD変換器)のものを使用する。
【0034】
つづいて、本実施の形態のFM−CWレーダ装置の動作について説明する。なお、図1に示す従来のFM−CWレーダ装置とは、DCカットフィルタ8以外の部分は従来同等のため、従来と異なる部分について説明する。
【0035】
図7−1は、低周波数領域からビート周波数の上限の周波数領域までの広い利得を持つバンドパスフィルタ(BPF13)の特性を示す図である。また、図7−2は、BPF13を用いた場合のターゲットスペクトル特性の例を示す図である。
【0036】
図8−1は、低周波数領域の利得を減衰させるバンドパスフィルタ(BPF14)の特性を示す図である。図8−2は、BPF14を用いた場合のターゲットスペクトル特性の例を示す図である。
【0037】
FM−CWレーダ装置では、周波数変調の傾きを大きくとると、ドップラー効果によって生じるビート周波数と比較して、目標までの距離差で発生するビート周波数が支配的になる。そのため、速度に関わらず、距離が遠いほどビート信号の周波数が高くなる。この場合、ビート信号の周波数の帯域で近距離か遠距離かを区別できるため、反射レベルの低い遠距離からの目標信号に対しては、高周波領域の利得を上げることでAD変換器9のダイナミックレンジに目標信号を追い込むことができる。
【0038】
まず、近距離目標を検出するために、制御部17においてBPF13がビート信号を通過させることを決定し、制御部17からの通知に基づいて、アナログスイッチ12はビート信号の出力先をBPF13側に、アナログスイッチ15はビート信号の入力元をBPF13側に、それぞれ設定する。また、利得制御増幅器16は、制御部17からの通知に基づいて、近距離目標でAD変換器9が飽和しないレベルに利得を設定する。
【0039】
この状態で受信信号の周波数解析を行うと、BPF13は、図7−1に示す特性を持つため、ビート信号の所定の周波数帯を均等に出力する。そして、利得制御増幅器16は、近距離目標を示すピークが飽和しないレベルでビート信号を増幅する。その後、AD変換器9から目標検出部11において目標物の検出を行うが、目標検出部11では、遠距離の微小信号はAD変換器9の持つノイズレベルに埋もれてしまい検出することができない。しかしながら、近距離のノイズレベルより高い目標信号については検出可能なため、目標検出部11は、近距離の信号について、そのピーク周波数とピークレベルを取り込んでおく(図7−2参照)。
【0040】
つぎに、遠距離目標を検出するために、制御部17においてBPF14がビート信号を通過させることを決定し、制御部17からの通知に基づいて、アナログスイッチ12はビート信号の出力先をBPF14側に、アナログスイッチ15はビート信号の入力元をBPF14側に、それぞれ設定する。また、利得制御増幅器16は、制御部17の通知に基づいて、近距離目標検出時よりも利得を上げ、AD変換器9が飽和しないレベルに利得を設定する。
【0041】
この状態で受信信号の周波数解析を行うと、BPF14は、図8−1に示す特性を持つため、ビート信号の低周波数帯を減衰させて出力する。そして、利得制御増幅器16は、遠距離目標を示すピークが飽和しないレベルでビート信号を増幅する。その後、AD変換器9から目標検出部11において目標物の検出を行うが、目標検出部11では、減衰領域に埋もれている近距離目標を検出できない。しかしながら、遠距離の微小信号については大きな利得で増幅されているため、目標検出部11は、AD変換器9のノイズに埋もれることなく検出することができる(図8−2参照)。
【0042】
このように、FM−CWレーダ装置は、目標物を検出する場合に、全範囲同時に対象とするのではなく、距離に応じて分割して行う。全範囲を同時に対象とせず、限られた範囲に限定することで、ビット数が少なくダイナミックが狭いAD変換器を用いた場合でも、その限られた範囲の中では、十分に目標物の検出を行うことができる。この場合、目標検出部11では、BPF13を通過したビート信号、およびBPF14を通過したビート信号の2つにビート信号に対して検出を行うことで、全範囲の検出を行うことが可能である。
【0043】
また、FM−CWレーダ装置の制御部17は、定期的にアナログスイッチ12、15を順次切り替えて、目標検出部11が、所定の期間内にBPF13を通過したビート信号、およびBPF14を通過したビート信号、の2つのビート信号について検出ができるようにする。なお、アナログスイッチ12は、入力されたビート信号の出力先を切り替えるのみであるので、BPF13に入力されたビート信号と、つぎにBPF14に入力されたビート信号とは、完全には一致しない。しかしながら、制御部17が、アナログスイッチ12の出力先を瞬時に切り替える制御を行うことによって、BPF13およびBPF14に入力されるビート信号が同程度のものであるとみなすことができる。
【0044】
また、本実施の形態では、アナログスイッチ12がBPF13、14へ出力するビート信号は時系列的に連続する異なるタイミングのものであるが、これに限定するものではない。例えば、アナログスイッチ12が、ある特定の時間のビート信号を記憶するための記憶部を備え、BPF13、14へ同タイミングのビート信号を出力してもよい。
【0045】
また、バンドパスフィルタの数を3つ以上にすることも可能である。例えば、遠距離、中距離、近距離等、距離に応じて、目標物の検出精度を上げることができる。この場合、複数のバンドパスフィルタは、それぞれ異なる特性を持って低い周波数帯を減衰させる。また、利得制御増幅器16における利得の大きさは、バンドパスフィルタによって減衰された帯域が大きくなるほど、利得を大きくする。減衰された低い周波数帯が大きいほど、より遠距離の周波数スペクトルだけが通過するため、検出する距離に応じて利得の大きさを変化させることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態では、FM−CWレーダ装置が周波数特性の異なるBPFを備え、近距離の目標物を対象とするときは、広い帯域のBPFを用い、BPF通過後のビート信号に対してピークレベルが飽和しないレベルの増幅を行って得た周波数分布から近距離の目標物を検出する。一方、遠距離の目標物を対象とするときは、低い周波数帯を減衰させる特性のBPFを用い、BPF通過後のビート信号に対して、広い帯域のBPFを用いたときよりも大きな利得で増幅を行って得た周波数分布から目標物を検出する。これにより、ビット数が少なくダイナミックレンジの狭いAD変換器を用いた場合であっても、遠距離から近距離まで幅広く目標物を検出でき、低コストのAD変換器を採用することが可能になる。また、マイコン等と一体化したカスタムICの実現が容易となり、さらなる低コスト化が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかるFM−CWレーダ装置は、目標物の検出に有用であり、特に、遠距離から近距離までの目標物の検出に適している。
【符号の説明】
【0048】
1 FM変調回路
2 発振器
3 方向性結合器
4 送信アンテナ
5 受信アンテナ
6 ミキサ
7 増幅器
8 DCカットフィルタ
9 AD変換器
10 周波数分析部
11 目標検出部
12 アナログスイッチ
13 バンドパスフィルタ(BPF)
14 バンドパスフィルタ(BPF)
15 アナログスイッチ
16 利得制御増幅器
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波と目標物から反射された反射波とを用いて目標物を検出するFM−CWレーダ装置であって、
前記送信波と前記反射波との周波数差の信号であるビート信号の出力先を切り替える第1の切替手段と、
前記第1の切替手段により切り替え可能な出力先として、前記ビート信号に対して最も広い通過特性を持つバンドパスフィルタと、前記ビート信号に対して所望の周波数以下の帯域を減衰させる特性を持つ1つまたは異なる特性を持つ複数のバンドパスフィルタと、を備え、出力先となったいずれか1つのバンドパスフィルタが前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタ群と、
前記第1の切替手段が前記ビート信号の出力先としたバンドパスフィルタを入力元とする接続の切り替えを行い、当該バンドパスフィルタを通過して入力されたビート信号を出力する第2の切替手段と、
前記第2の切替手段が出力するビート信号を、通過したバンドパスフィルタの特性に応じた利得で増幅する増幅手段と、
増幅後のビート信号をアナログデジタル変換し、変換後のビート信号の周波数分布に基づいて目標物を検出する検出手段と、
前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタを決定し、当該バンドパスフィルタを、前記第1の切替手段におけるビート信号の出力先および前記第2の切替手段におけるビート信号の入力元として各切替手段へ通知し、さらに、当該バンドパスフィルタの特性に基づいて前記増幅手段の利得の大きさを決定する制御手段と、
を備えることを特徴とするFM−CWレーダ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタとして、
最も広い通過特性を持つバンドパスフィルタを選択した場合には、前記増幅手段の利得を最も小さくし、
所望の周波数以下の帯域を減衰させる特性を持つバンドパスフィルタを選択した場合には、前記増幅手段の利得を前記バンドパスフィルタの減衰帯域が大きいほど大きくする、
ことを特徴とする請求項1に記載のFM−CWレーダ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記バンドパスフィルタ群から前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタを順次決定し、
すべてのバンドパスフィルタが前記ビート信号を通過させるバンドパスフィルタとして決定されるまで、前記バンドパスフィルタを決定する処理を繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のFM−CWレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2011−237268(P2011−237268A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108648(P2010−108648)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】